(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】工作機械、工作機械、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20221102BHJP
B23Q 15/00 20060101ALI20221102BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G05B19/18 C
B23Q15/00 J
B23Q11/00 Z
(21)【出願番号】P 2022063247
(22)【出願日】2022-04-06
【審査請求日】2022-04-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】長末 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀明
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-028993(JP,A)
【文献】特開2021-035708(JP,A)
【文献】特開2021-014001(JP,A)
【文献】特開平05-228767(JP,A)
【文献】特開2020-006496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18
B23Q 15/00
B23Q 11/00、10
B23Q 17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記ワークを加工する際には工具が装着され、前記ワークの加工を補助する際には自走装置の姿勢補正用のタグが装着される主軸
と、
前記主軸を
駆動するための
駆動部と、
前記工作機械を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記主軸に前記工具を装着した状態で前記ワークを加工する処理と、
前記主軸に前記タグを装着させた際における上面視において当該主軸と当該タグとが重ならないように前記主軸を駆動し、当該主軸に当該タグを装着する処理と、
前記上面視において前記主軸と前記タグとが重なっていない状態で、前記自走装置に前記タグを認識させる処理とを実行する、工作機械。
【請求項2】
前記上面視において前記主軸と前記タグとが重ならないように前記主軸を駆動する処理
では、前記主軸の軸方向と重力方向との間が成す角度が90度になるように前
記駆動部
が駆動
される、請求項
1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記工作機械は、さらに、前記工作機械内にクーラントを吐出するための吐出機構を備え
、請求項1
または2に記載の工作機械。
【請求項4】
ワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記ワークを加工する際には工具が装着され、前記ワークの加工を補助する際には補助具が装着される主軸を備え、
前記補助具は、自走装置の姿勢補正用のタグと、接続部とを含み、前記接続部は、当該接続部の一端が当該タグに接続され、当該接続部の他端が前記主軸に接続されるように構成されており、
前記工作機械は、さらに、
前記主軸を
駆動するための
駆動部と、
前記工作機械を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記主軸に前記工具を装着した状態で前記ワークを加工する処理と、
前記主軸に前記補助具を装着した状態で前記ワークの加工を補助する処理とを実行し、
前記接続部は、前記主軸が重力方向と平行であるときにおける上面視において、前記主軸と前記タグとが重ならない形状を有する、工作機械。
【請求項5】
ワークを加工することが可能な工作機械の制御方法であって、
前記工作機械は、
前記ワークを加工する際には工具が装着され、前記ワークの加工を補助する際には自走装置の姿勢補正用のタグが装着される主軸と、
前記主軸を
駆動するための
駆動部
とを備え、
前記制御方法は、
前記主軸に前記工具を装着した状態で前記ワークを加工するステップと、
前記主軸に前記タグを装着させた際における上面視において当該主軸と当該タグとが重ならないように前記主軸を駆動し、当該主軸に当該タグを装着するステップと、
前記上面視において前記主軸と前記タグとが重なっていない状態で、前記自走装置に前記タグを認識させるステップとを備える、制御方法。
【請求項6】
ワークを加工することが可能な工作機械の制御プログラムであって、
前記工作機械は、
前記ワークを加工する際には工具が装着され、前記ワークの加工を補助する際には自走装置の姿勢補正用のタグが装着される主軸と、
前記主軸を
駆動するための
駆動部
とを備え、
前記制御プログラムは、前記工作機械に、
前記主軸に前記工具を装着した状態で前記ワークを加工するステップと、
前記主軸に前記タグを装着させた際における上面視において当該主軸と当該タグとが重ならないように前記主軸を駆動し、当該主軸に当該タグを装着するステップと、
前記上面視において前記主軸と前記タグとが重なっていない状態で、前記自走装置に前記タグを認識させるステップとを実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械、工作機械、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場などの生産システムにおいて、無人化が望まれている。無人化を実現するために、搬送装置の開発が進められている。搬送装置は、搬送物を工作機械に搬入したり、工作機械から搬送物を回収したりする。搬送装置による搬送物としては、たとえば、ワークおよび工具が挙げられる。
【0003】
搬送装置が工作機械に対して正確に作業を行うためには、搬送装置は、自身の姿勢を定期的に補正する必要がある。当該補正技術に関し、特開2021-035708号公報(特許文献1)は、作業姿勢を補正することが可能なロボットを開示している。当該ロボットには、カメラが設けられている。当該ロボットは、カメラを用いて、主軸に装着されている識別図形を撮影し、当該カメラと当該識別図形との位置関係に基づいて、ロボットの作業姿勢を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
主軸には、上述の識別図形の他にも、カメラなどの様々な補助具が装着され得る。ワークの加工中には様々な異物が発生し、当該異物は、主軸に付着する。そのため、当該異物は、主軸から補助具に落下することがある。異物が補助具に付着すると、予期せぬ異常が発生する可能性が高まる。したがって、主軸から補助具への異物の落下を防ぐための技術が望まれている。なお、特許文献1は、このような技術に関するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例では、ワークを加工することが可能な工作機械は、上記ワークの加工工程に用いられる加工具を装着可能に構成されている主軸を備える。上記加工具は、上記ワークを加工するための工具と、上記ワークの加工を補助するための補助具とを含む。上記工作機械は、さらに、上記主軸の軸方向に直交する方向を回転中心として上記主軸を回転するための回転駆動部と、上記工作機械を制御するための制御部とを備える。上記制御部は、上記主軸に上記工具を装着した状態で上記ワークを加工する処理と、上記主軸に上記補助具を装着した状態で上記ワークの加工を補助する処理と、上記主軸に付着している異物が上記主軸から上記補助具に落下しないように上記回転駆動部を駆動する処理とを実行する。
【0007】
本開示の他の例では、ワークを加工することが可能な工作機械が提供される。当該工作機械は、上記ワークの加工工程に用いられる加工具を装着可能に構成されている主軸を備える。上記加工具は、上記ワークを加工するための工具と、上記ワークの加工を補助するための補助具とを含む。上記工作機械は、さらに、上記主軸の軸方向に直交する方向を回転中心として上記主軸を回転するための回転駆動部と、上記工作機械を制御するための制御部とを備える。上記制御部は、上記主軸に上記工具を装着した状態で上記ワークを加工する処理と、上記主軸に上記補助具を装着した状態で上記ワークの加工を補助する処理とを実行し、上記補助具は、当該補助具が上記主軸に装着されている状態で上記主軸に付着している異物が上記主軸から上記補助具に落下しない形状を有する。
【0008】
本開示の他の例では、ワークを加工することが可能な工作機械の制御方法が提供される。上記工作機械は、上記ワークの加工工程に用いられる加工具を装着可能に構成されている主軸を備える。上記加工具は、上記ワークを加工するための工具と、上記ワークの加工を補助するための補助具とを含む。上記工作機械は、さらに、上記主軸の軸方向に直交する方向を回転中心として上記主軸を回転するための回転駆動部を備える。上記制御方法は、上記主軸に上記工具を装着した状態で上記ワークを加工するステップと、上記主軸に上記補助具を装着した状態で上記ワークの加工を補助するステップと、上記主軸に付着している異物が上記主軸から上記補助具に落下しないように上記回転駆動部を駆動するステップとを備える。
【0009】
本開示の他の例では、ワークを加工することが可能な工作機械の制御プログラムが提供される。上記工作機械は、上記ワークの加工工程に用いられる加工具を装着可能に構成されている主軸を備える。上記加工具は、上記ワークを加工するための工具と、上記ワークの加工を補助するための補助具とを含む。上記工作機械は、さらに、上記主軸の軸方向に直交する方向を回転中心として上記主軸を回転するための回転駆動部を備える。上記制御プログラムは、上記工作機械に、上記主軸に上記工具を装着した状態で上記ワークを加工するステップと、上記主軸に上記補助具を装着した状態で上記ワークの加工を補助するステップと、上記主軸に付着している異物が上記主軸から上記補助具に落下しないように上記回転駆動部を駆動するステップとを実行させる。
【0010】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】加工システムの装置構成の一例を示す図である。
【
図4】
図3とは異なる方向から工作機械内の様子を表わす図である。
【
図8】ワークの加工工程を時系列の順に示す図である。
【
図9】
図8に続く加工工程を時系列の順に示す図である。
【
図10】角度θの他の例を説明するための図である。
【
図11】CPU(Central Processing Unit)ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図12】CNC(Computer Numerical Control)ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図13】自走装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図14】工作機械の制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0013】
<A.加工システム10>
まず、
図1を参照して、加工システム10の装置構成について説明する。
図1は、加工システム10の装置構成の一例を示す図である。
【0014】
図1に示されるように、加工システム10は、コントローラ15と、工作機械100と、自走装置200とを含む。
【0015】
図1には、加工システム10が1つのコントローラ15で構成されている例が示されているが、加工システム10は、2つ以上のコントローラ15で構成されてもよい。同様に、加工システム10は、2つ以上の工作機械100で構成されてもよい。同様に、加工システム10は、2つ以上の自走装置200で構成されてもよい。
【0016】
コントローラ15は、自走装置200の制御装置として機能する。コントローラ15は、たとえば、デスクトップ型のPC(Personal Computer)、ノート型のPC、タブレット端末、または、通信機能を備えたその他のコンピュータである。コントローラ15は、ネットワークNWに接続可能に構成されている。ネットワークNWには、たとえば、EtherNet(登録商標)、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、またはその他の通信規格を通じて接続される。
【0017】
自走装置200は、WiFi、Bluetooth、またはその他の無線通信規格を通じてネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介してコントローラ15と通信可能に構成される。自走装置200への制御指令は、ネットワークNWを介してコントローラ15から自走装置200に送信される。当該制御指令としては、たとえば、搬送物の搬送指令などが挙げられる。搬送物としては、たとえば、加工前のワーク、加工中のワーク、加工完了後のワーク、使用前の工具、および使用済みの工具などが挙げられる。
【0018】
自走装置200は、たとえば、コントローラ15からの搬送指令に従って、指定された搬送物を、工作機械100などの指定された場所に搬送する。また、自走装置200は、コントローラ15からの搬送指令に従って、工作機械100などの所定の場所から、指定された搬送先に搬送物を搬送する。工作機械100は、自走装置200によって搬送された工具を用いて、自走装置200によって搬送されたワークを加工する。
【0019】
<B.工作機械100>
次に、
図2を参照して、
図1に示される工作機械100について説明する。
図2は、工作機械100の外観を示す図である。
【0020】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械100は、横形のマシニングセンタであってもよいし、立形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械100は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。
【0021】
工作機械100は、工具収納部40Aと、加工機本体40Bとを有する。工具収納部40Aおよび加工機本体40Bは、カバーによって区画化されている。
【0022】
工具収納部40Aには、マガジン150と、ATC(Automatic Tool Changer)160とが設けられている。加工機本体40Bには、主軸170が設けられている。
【0023】
マガジン150は、ワークの加工工程に用いられる種々の加工具を収納する。加工機本体40Bは、マガジン150に保持されている複数の加工具の内の少なくとも1つを用いてワークを加工する。
【0024】
より具体的には、工作機械100は、マガジン150を駆動し、加工工程に応じた一の加工具(以下、「次使用加工具」ともいう。)を第1の交換位置に移動する。また、工作機械100は、主軸170を駆動し、主軸170に装着されている加工具(以下、「使用済加工具」ともいう。)を第2の交換位置に移動する。その後、ATC160は、第1の交換位置で待機している次使用加工具と、第2の交換位置で待機している使用済加工具とを交換する。加工具の交換は、工具収納部40Aと加工機本体40Bとの間の仕切に設けられているドアDを介して行なわれる。ドアDは、スライド式のドアであり、モータなどの駆動源により開閉される。
【0025】
また、工作機械100には、操作盤500が設けられている。操作盤500は、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイ505と、工作機械100に対する各種操作を受け付ける操作キー506とを含む。
【0026】
<C.主軸170の制御処理の概要>
次に、工作機械100による主軸170の制御について説明する。
【0027】
主軸170には、マガジン150に保持されている複数の加工具の内の一の加工具が装着され得る。加工具とは、ワークの加工工程で用いられる機具である。当該加工工程は、ワークの加工を実現するための種々の工程を含む。一例として、当該加工工程は、自走装置200が搬送物を工作機械100に搬入する工程から、自走装置200が工作機械100から搬送物を搬出する工程までの実施される各工程を含む。
【0028】
主軸170に装着され得る加工具としては、たとえば、ワークを加工するための工具と、ワークの加工を補助するための補助具とが挙げられる。当該補助具としては、たとえば、自走装置200による位置認識用のタグと、ワークなどの測定器具とが挙げられる。当該測定器具としては、たとえば、カメラと、レーザスキャナとが挙げられる。
【0029】
ワークの加工中には、様々な異物が発生する。当該異物としては、たとえば、吐出機構125から吐出されるクーラントと、ワークの切り屑とが挙げられる。当該異物は、主軸170に付着する。そのため、当該異物は、主軸170から補助具に落下することがある。
【0030】
異物が補助具に付着すると、様々な異常が生じる。一例として、補助具の一例である姿勢補正用のタグに異物が付着すると、自走装置200は、自身の姿勢を正確に補正することができない。また、補助具の一例である測定具に異物が付着すると、ワークの加工精度が低下する。
【0031】
そこで、工作機械100は、主軸170に付着している異物が主軸170から補助具に落下しないように主軸170の駆動を制御する。より具体的には、工作機械100の制御部50は、主軸170に工具を装着した状態でワークを加工する。その際、様々な異物が主軸170に付着する。
【0032】
一方で、制御部50は、主軸170に補助具を装着した状態でワークの加工を補助する。ワークの加工を補助する工程は、工具を用いてワークを加工する工程を除く工程である。補助工程の具体例については後述する。制御部50は、当該補助工程において、主軸170に付着している異物が主軸170から補助具に落下しないように後述のモータ132B(
図5参照)を駆動する。モータ132Bは、主軸170の軸方向に直交する方向を回転中心として主軸170を回転駆動する回転駆動部として機能する。これにより、主軸170の軸方向に直交する方向を回転中心とする主軸170を回転角度が調整され、主軸170から補助具への異物の落下が防がれる。
【0033】
<D.工作機械100の内部構成>
次に、
図3および
図4を参照して、工作機械100の内部構成について説明する。
図3は、工作機械100内の様子を表わす図である。
図4は、
図3とは異なる方向から工作機械100内の様子を表わす図である。
【0034】
説明の便宜のために、以下では、主軸132を基準とする座標系をX軸,Y軸およびZ軸で表わす。Z軸は、主軸132の軸方向と平行な軸である。Y軸は、Z軸に直交する平面上の軸である。X軸は、Y軸およびZ軸の両方に直交する軸である。
【0035】
また、X軸方向を回転中心とした周方向を「A軸方向」とも称する。Y軸方向を回転中心とした周方向を「B軸方向」とも称する。Z軸方向を回転中心とした周方向を「C軸方向」とも称する。
【0036】
図3および
図4に示されるように、工作機械100は、その内部に、クーラントの吐出機構125と、主軸170と、テーブル176と、回収機構180とを含む。
【0037】
吐出機構125は、工作機械100内に設けられ、ワークWの加工により生じた切り屑を回収機構180に排出するためにクーラントを吐出する。吐出機構125は、1つ以上の吐出機構で構成されている。
図3の例では、吐出機構125は、カバー140の天井に設けられている。
【0038】
吐出機構125は、A軸方向およびC軸方向のそれぞれに駆動可能に構成される。これにより、吐出機構125は、A軸方向およびC軸方向におけるクーラントの吐出方向を変え、加工エリアARの全体にクーラントを吐出する。
【0039】
主軸170は、ハウジングの内部に設けられている。主軸170には、被加工物であるワークWを加工するための工具などが装着される。
図3および
図4の例では、ミーリング加工を行うための工具174Aが主軸170に装着されている。
【0040】
回収機構180は、ワークWの加工によって生じた切り屑を加工エリアARの外へ排出する。また、回収機構180は、吐出機構125から加工エリアARに吐出されたクーラントを回収する。
【0041】
なお、上述では、吐出機構125がカバー140の天井に設けられている例について説明を行ったが、吐出機構125は、加工エリアAR内の他の箇所に設けられてもよい。一例として、吐出機構125は、主軸170に設けられる。この場合、吐出機構125は、主軸170のハウジングを通じて主軸170の端面からクーラントを吐出するサイドスルー仕様であってもよいし、主軸中心を通じて工具の刃先からクーラントを吐出するセンタースルー仕様であってもよい。吐出機構125は、主に、ワークの加工点にクーラントを吐出することにより、主軸170および工具174Aに付着した切り屑を除去したり、ワークの加工点の発熱を抑えたりする。
【0042】
<E.工作機械100の駆動機構>
次に、
図5を参照して、工作機械100の各種構成について説明する。
図5は、工作機械100の駆動機構の一例を示す図である。
【0043】
図5に示されるように、工作機械100は、制御部50と、ポンプ109と、駆動部110,120,130と、吐出機構125と、マガジン150と、ATC160と、主軸170とを含む。
【0044】
本明細書でいう「制御部50」とは、工作機械100を制御する装置を意味する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。
図5の例では、制御部50は、CPUユニット50Aと、CNCユニット50Bとで構成されている。
【0045】
CPUユニット50AおよびCNCユニット50Bは、たとえば、バスBSを介して互いに通信を行なう。CPUユニット50Aは、たとえば、PLC(Programmable Logic Controller)である。
【0046】
CPUユニット50Aは、予め設計されているPLCプログラムに従って、駆動部110を制御する。当該PLCプログラムは、たとえば、ラダープログラムで記述されている。
【0047】
一例として、CPUユニット50Aは、PLCプログラムに従ってポンプ109を制御し、吐出機構125によるクーラントの吐出を制御する。これにより、クーラントの吐出のオン/オフ、およびクーラントの吐出量などが制御される。
【0048】
駆動部110は、マガジン150を回転駆動するための駆動機構である。駆動部110の装置構成は、任意である。駆動部110は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。
図5の例では、駆動部110は、モータドライバ111Mと、モータ112Mとで構成されている。
【0049】
モータドライバ111Mは、CPUユニット50Aからの制御指令に従って、マガジン150を駆動する。マガジン150には、モータ112Mが設けられている。モータ112Mは、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0050】
より具体的な処理として、モータドライバ111Mは、目標回転速度の入力をCPUユニット50Aから受け、モータ112Mを制御する。モータ112Mは、モータドライバ111Mからの出力電流に従ってマガジン150を回転駆動し、マガジン150内の指定された次使用加工具T1を指定された位置に駆動する。
【0051】
また、CPUユニット50Aは、予め設計されているPLCプログラムに従って、駆動部120を制御する。駆動部120は、ATC160を駆動するための駆動機構である。駆動部120の装置構成は、任意である。駆動部120は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。
図5の例では、駆動部120は、ATCドライバ121Aと、モータ122A,122Bとで構成されている。
【0052】
ATCドライバ121Aは、たとえば、2軸一体型のドライバであり、ATC160に接続されるモータ122A,122Bの駆動を制御する。ATC160は、中心軸165と、アーム166とを含む。アーム166は、たとえば、同時に2つの加工具を保持できるダブルアームである。すなわち、アーム166は、中心軸165の軸方向に直交する一方向に中心軸165から延出している把持部166Aと、当該一方向の反対方向に中心軸165から延出している把持部166Bとを有する。
【0053】
モータ122A,122Bの各々は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。ATCドライバ121Aは、たとえば、モータ122Aの目標回転速度の入力と、モータ122Bの目標回転速度の入力とのそれぞれをCPUユニット50Aから受け、モータ122A,122Bのそれぞれを制御する。モータ122Aは、ATCドライバ121Aからの出力電流に従ってATC160のアーム166を送り駆動し、中心軸165の軸方向の任意の位置にアーム166を駆動する。モータ122Bは、ATCドライバ121Aからの出力電流に従ってATC160のアーム166を回転駆動し、中心軸165を回転中心として任意の回転角度にアーム166を駆動する。
【0054】
一例として、ATC160は、加工具の交換命令を受けたことに基づいて、マガジン150から次使用加工具T1を取得する。その後、ATC160は、使用済加工具T2を主軸170から抜き取るとともに、次使用加工具T1を主軸170に装着する。その後、ATC160は、主軸170から抜き取った使用済加工具T2をマガジン150に収納する。
【0055】
CNCユニット50Bは、CPUユニット50Aからの加工開始指令を受けたことに基づいて、予め設計されている加工プログラムの実行を開始する。当該加工プログラムは、たとえば、NC(Numerical Control)プログラムで記述されている。CNCユニット50Bは、当該加工プログラムに従って、駆動部130を駆動する。
【0056】
駆動部130は、主軸170を移動するための駆動機構である。駆動部130の装置構成は、任意である。駆動部130は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。
図5の例では、駆動部130は、モータドライバ131B,131C,131X,131Y,131Zと、モータ132B,132C,132X,132Y,132Zとで構成されている。
【0057】
モータドライバ131Bは、CNCユニット50Bから目標回転速度の入力を逐次的に受け、モータ132Bを制御する。モータ132Bは、主軸170の軸方向に直交する方向(たとえば、Y軸方向)を回転中心として主軸170を回転駆動する。モータ132Bは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0058】
モータ132Bがサーボモータである場合、モータドライバ131Bは、モータ132Bの回転角度を検知するためのエンコーダ(図示しない)のフィードバック信号からモータ132Bの実回転速度を算出する。そして、モータドライバ131Bは、算出した実回転速度が目標回転速度よりも小さい場合にはモータ132Bの回転速度を上げ、算出した実回転速度が目標回転速度よりも大きい場合にはモータ132Bの回転速度を下げる。このように、モータドライバ131Bは、モータ132Bの回転速度のフィードバックを逐次的に受けながらモータ132Bの回転速度を目標回転速度に近付ける。
【0059】
モータドライバ131Cは、CNCユニット50Bから目標位置の入力を逐次的に受け、モータ132Cを制御する。モータ132Cは、主軸170の軸方向を回転中心として主軸170を回転駆動する。モータ132Cは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。モータドライバ131Cによるモータ132Cの制御方法は、モータドライバ131Bと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0060】
モータドライバ131Xは、CNCユニット50Bから目標位置の入力を逐次的に受け、モータ132Xを制御する。モータ132Xは、主軸170を送り駆動し、X軸方向の任意の位置に主軸170を移動する。モータ132Xは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。モータドライバ131Xによるモータ132Xの制御方法は、モータドライバ131Bと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0061】
モータドライバ131Yは、CNCユニット50Bから目標位置の入力を逐次的に受け、モータ132Yを制御する。モータ132Yは、主軸170を送り駆動し、Y軸方向の任意の位置に主軸170を移動する。モータ132Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。モータドライバ131Yによるモータ132Yの制御方法は、モータドライバ131Bと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0062】
モータドライバ131Zは、CNCユニット50Bから目標位置の入力を逐次的に受け、モータ132Zを制御する。モータ132Zは、主軸170を送り駆動し、Z軸方向の任意の位置に主軸170を移動する。モータ132Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。モータドライバ131Zによるモータ132Zの制御方法は、モータドライバ131Bと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0063】
<F.自走装置200の外観>
次に、
図6を参照して、
図1に示される自走装置200の外観について説明する。
図6は、自走装置200の外観の一例を示す図である。
【0064】
自走装置200は、ワークや工具などの搬送物を、工作機械100などの所定の場所に搬送する。また、自走装置200は、工作機械100などの所定の場所から搬送物を搬出する。
【0065】
図6に示されるように、自走装置200は、車輪駆動の走行本体20と、搬送ロボット23とを含む。走行本体20は、カバー210を含む。
【0066】
カバー210の内部には、レーザセンサ205が設けられている。レーザセンサ205は、レーザ光を回転させながら照射し、当該レーザ光の反射光を受光するように構成される。これにより、レーザセンサ205は、周囲にある物体までの距離を測定する。自走装置200は、レーザセンサ205の測定結果に基づいて、前進方向R、後進方向B、右折方向、および左折方向などの走行本体20の走行を制御する。
【0067】
搬送ロボット23は、たとえば、走行本体20上に設けられている。搬送ロボット23は、たとえば、アームロボットである。アームロボットとしての搬送ロボット23は、アームAR1~AR4と、エンドエフェクタ225とを含む。
【0068】
アームAR1の一端は、走行本体20に連結されている。アームAR1の他端は、アームAR2の一端と連結されている。アームAR2の他端は、アームAR3の一端と連結されている。アームAR3の他端は、アームAR4の一端と連結されている。アームAR4の他端には、エンドエフェクタ225が設けられている。エンドエフェクタ225は、ワークや工具を保持可能に構成される。
【0069】
アームAR2は、アームAR1との連結軸を回転中心としてモータによって回転可能に構成される。アームAR3は、アームAR2との連結軸を回転中心としてモータによって回転可能に構成される。アームAR4は、アームAR3との連結軸を回転中心としてモータによって回転可能に構成される。
【0070】
また、搬送ロボット23には、カメラ207が設けられている。
図6の例では、カメラ207は、エンドエフェクタ225に設けられている。カメラ207は、CCD(Charge Coupled Device)カメラであってもよいし、赤外線カメラ(サーモグラフィ)であってもよいし、その他の種類のカメラであってもよい。
【0071】
なお、カメラ207は、必ずしも搬送ロボット23に設けられる必要はない。カメラ207は、たとえば、走行本体20のカバー210に設けられてもよい。
【0072】
また、走行本体20上には、搬送物の設置台209が設けられている。
図6の例では、搬送物として、ワークWが示されている。搬送ロボット23は、設置台209上のワークWを把持し、指定された場所に当該ワークWを移動する。あるいは、搬送ロボット23は、指定された場所からワークWを取り出し、当該ワークWを設置台209に置く。
【0073】
なお、
図6では、アームロボットとしての搬送ロボット23ついて説明を行ったが、搬送ロボット23は、アームロボットに限定されない。一例として、搬送ロボット23は、オートローダであってもよい。
【0074】
<G.自走装置200の走行制御>
次に、
図7を参照して、自走装置200の走行制御の一例について説明する。
図7は、一例としての3次元マップ224を示す図である。説明の便宜のために、
図7には、3次元マップ224が2次元のマップで示されている。
【0075】
自走装置200は、たとえば、3次元マップ224に基づいて、走行本体20の走行を制御する。3次元マップ224は、たとえば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術により生成される。3次元マップ224は、自走装置200の位置を特定するために生成される情報であり、かつ、自走装置200の走行場所における静止物の位置を示す情報である。当該静止物は、たとえば、壁、棚、工作機械などである。
【0076】
3次元マップ224は、たとえば、工場内のマップを示す。一例として、3次元マップ224には、工作機械100A,100Bの位置と、障害物230A,230Bの位置と、自走装置200の走行ルート240と、自走装置200の姿勢補正用のタグTGA,TGBの位置とが規定されている。
【0077】
自走装置200は、たとえば、走行ルート240に従って位置PAと位置PBとの間の移動を繰り返すことによって、ワークの搬送作業を継続して行う。一例として、自走装置200は、位置PAにおいて、工作機械100Aから自走装置200へのワークの搬入作業を行い、位置PBにおいて、自走装置200から工作機械100Bへのワークの搬出作業を行う。
【0078】
自走装置200は、工作機械100Aでの作業開始前において、タグTGAを撮影可能な範囲内に移動する。
図7の例では、タグTGAは、工作機械100Aの内部に設けられている。その後、自走装置200は、カメラ207を用いてタグTGAを撮影し、カメラ207から得られた画像に基づいて、自走装置200の位置姿勢を補正する。その後、自走装置200は、工作機械100Aに対する作業を開始する。
【0079】
同様に、自走装置200は、工作機械100Bでの作業開始前においては、タグTGBを撮影可能な範囲内に移動する。
図7の例では、タグTGBは、工作機械100Bの横に設けられている。その後、自走装置200は、カメラ207を用いてタグTGBを撮影し、カメラ207から得られた画像に基づいて、自走装置200の位置姿勢を補正する。その後、自走装置200は、工作機械100Bに対する作業を開始する。
【0080】
なお、上述では、自走装置200が位置PAおよび位置PBとの間でワークの搬送作業を行う例について説明を行ったが、自走装置200が行う作業内容は、特に限定されない。一例として、自走装置200は、ワークではなく工具を搬送してもよい。
【0081】
また、工作機械100Aに替わって、ワークの素材が格納されるストッカが設けられてもよい。同様に、工作機械100Bに替わって、ワークの素材が格納されるストッカが設けられてもよい。この場合、自走装置200は、工作機械100A,100Bではなく、ストッカに対してワークの搬送作業を行う。
【0082】
<H.加工工程>
次に、
図8~
図10を参照して、工作機械100によるワークの加工工程について説明する。
図8は、ワークの加工工程を時系列の順に示す図である。
図9は、
図8に続く加工工程を時系列の順に示す図である。
【0083】
説明の便宜のために、以下では、ワールド座標系をX'軸,Y'軸およびZ'軸で表わす。
図8に示されるZ'軸は、重力方向と平行な軸である。
図8に示されるX'軸は、Z'軸方向に直交する水平面上の軸である。
図8に示されるY'軸は、X'軸方向およびZ'軸方向の両方に直交する軸である。
【0084】
また、以下では、ワークWの加工工程に用いられる加工具174の一例として、ワークを加工するための工具174Aと、ワークの加工を補助するための補助具174Bとを例に挙げて説明を行う。
【0085】
ステップS1において、ワークWの加工を開始する処理が加工プログラム上において実行されたとする。このことに基づいて、工作機械100の制御部50は、マガジン150を駆動し、予め定められた第1の交換位置に工具174Aを移動する。また、制御部50は、予め定められた第2の交換位置に主軸170を移動する。次に、上述のATC160は、第1の交換位置で待機している工具174Aを、第2の交換位置で待機している主軸170に装着する。その後、制御部50は、加工プログラムに従って主軸170を駆動しながらワークWを加工する。
【0086】
ステップS2において、ワークWの加工が終了したとする。このことに基づいて、制御部50は、主軸170に付着している異物がステップS3で主軸170に装着する補助具174Bに落下しないように上述のモータ132Bを駆動する。
図8の例では、主軸方向AXSと重力方向AXGとの間が成す角度θが90度になるようにモータ132Bが駆動されている。また、
図8には、主軸170に付着している異物の例として、上述の吐出機構125から吐出されるクーラントCLが示されている。
【0087】
ステップS3において、ワークWの加工を補助する処理が加工プログラム上で実行されたとする。当該補助する処理としては、たとえば、主軸170に装着されているタグを用いて自走装置200に姿勢を補正させる処理と、主軸170に装着されている測定器具(たとえば、カメラやレーザスキャナなど)を用いてワークWの欠陥を検査する処理とが挙げられる。
【0088】
より具体的な処理として、工作機械100の制御部50は、マガジン150を駆動し、予め定められた第1の交換位置に補助具174Bを移動する。また、制御部50は、予め定められた第2の交換位置に主軸170を移動する。次に、上述のATC160は、第1の交換位置で待機している補助具174Bと、第2の交換位置で待機している工具174Aとを交換する。これにより、補助具174Bが主軸170に装着される。好ましくは、制御部50は、主軸170に付着している異物が補助具174Bに落下しない角度θを保った状態で工具174Aと補助具174Bとを交換する。
【0089】
図8のステップS3の例では、補助具174Bの一例として位置認識用のタグTGが主軸170に装着されている。タグTGは、たとえば、AprilTagなどのAR(Augmented Reality)マーカーである。タグTGには、2次元バーコードが付されている。2次元バーコード上には、白または黒で色塗られた正方形がマトリクス状に配置される。
図8の例では、黒色の正方形に対してハッチングが付されている。
【0090】
このように、ステップS2におけるモータ132Bの駆動処理は、ワークWの加工が完了してから、補助具174Bが主軸170に装着される前に実行される。これにより、主軸170から補助具174BへのクーラントCLの落下が確実に防がれる。
【0091】
なお、ステップS2におけるモータ132Bの駆動処理は、補助具174Bが主軸170に装着される前に必ずしも実行される必要はない。すなわち、駆動処理は、補助具174Bが主軸170に装着された後に実行されてもよい。このような場合でも、主軸170から補助具174BへのクーラントCLの落下が多少防がれる。典型的には、ステップS2におけるモータ132Bの駆動処理は、補助具174Bが主軸170に装着されたタイミングから所定時間以内に実行される。
【0092】
ステップS4において、制御部50は、タグTGが装着された主軸170を予め定められた位置に駆動する。また、自走装置200は、上述の3次元マップ224に基づいて、予め定められた位置に移動するとともに、予め設定されている姿勢を搬送ロボット23に取らせる。その後、自走装置200は、カメラ107にタグTGを撮影させ、画像内におけるタグTGの位置姿勢を認識する。
【0093】
ステップS5において、自走装置200は、画像基準の座標系で示される当該認識した位置姿勢を、所定の座標変換式に基づいて、所定の座標系で示される位置姿勢に変換する。当該所定の座標系は、たとえば、タグTGを基準とするマーカー座標系であってもよいし、搬送ロボット23を基準とするロボット座標系であってもよいし、走行本体20を基準とするワールド座標系であってもよい。
【0094】
その後、自走装置200は、当該所定の座標系で示される位置姿勢と、予め設定されている正解値との誤差を認識する。続いて、自走装置200は、当該正解値を基点として予め設定されている目標位置を当該誤差で補正し、補正後の目標位置に向けて搬送ロボット23を駆動する。これにより、自走装置200は、加工済みのワークWを工作機械100から搬出する。
【0095】
なお、
図8のステップS2,S3に示される例では、主軸方向AXSと重力方向AXGとの間が成す角度θが90度になるようにモータ132Bが駆動されていた。しかしながら、角度θは、90度に限定されない。
【0096】
図10は、角度θの他の例を説明するための図である。
図10に示されるように、制御部50は、上面視において主軸170と補助具174Bとが重ならないようにモータ132Bが駆動する。上面視とは、補助具174Bが装着されている主軸170を重力方向AXGに視ることを意味する。
【0097】
より具体的には、主軸170と加工具174との装着面を主軸端面SFとした場合、制御部50は、主軸端面SFを上面視で表した領域ARSと、補助具174BのタグTG部分を上面視で表した領域ARTとが重ならないように、主軸170の角度θを調整する。これにより、主軸端面SFに付着している異物が落下したとしてもタグTGには落下しない。
【0098】
なお、領域ARSと領域ARTとが重ならない角度であれば、角度θは、任意の角度に設定され得る。一例として、角度θは、45度以上である。好ましくは、角度θは、90度以上180度以下である。角度θは、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されていてもよい。また、角度θは、加工プログラム内で規定されていてもよいし、制御パラメータとして規定されていてもよい。
【0099】
<I.CPUユニット50Aのハードウェア構成>
次に、
図11を参照して、上述の
図5に示されるCPUユニット50Aのハードウェア構成について説明する。
図11は、CPUユニット50Aのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0100】
CPUユニット50Aは、制御回路301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、通信インターフェイス304と、フィールドバスコントローラ306と、補助記憶装置320とを含む。これらのコンポーネントは、内部バスB3に接続される。
【0101】
制御回路301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0102】
制御回路301は、制御プログラム322などの各種プログラムを実行することでCPUユニット50Aの動作を制御する。制御回路301は、制御プログラム322の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置320またはROM302からRAM303に制御プログラム322を読み出す。RAM303は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム322の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0103】
通信インターフェイス304は、フィールドネットワークを用いて外部機器と定周期通信を行なうためのインターフェイスである。当該外部機器は、たとえば、上述のモータドライバ111M(
図5参照)や上述のATCドライバ121A(
図5参照)などを含む。フィールドネットワークとしては、たとえば、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、CC-Link(登録商標)、またはCompoNet(登録商標)などが採用される。
【0104】
フィールドバスコントローラ306は、フィールドバスに接続される各種ユニットとの通信を実現するための通信ユニットである。当該フィールドバスに接続されるユニットの一例として、CNCユニット50Bが挙げられる。
【0105】
補助記憶装置320は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置320は、制御プログラム322などを格納する。なお、制御プログラム322の格納場所は、補助記憶装置320に限定されず、制御回路301の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM302、RAM303、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0106】
<J.CNCユニット50Bのハードウェア構成>
次に、
図12を参照して、上述の
図5に示されるCNCユニット50Bのハードウェア構成について説明する。
図12は、CNCユニット50Bのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0107】
CNCユニット50Bは、制御回路401と、ROM402と、RAM403と、通信インターフェイス404と、通信インターフェイス405と、フィールドバスコントローラ406と、補助記憶装置420とを含む。これらのコンポーネントは、内部バスB4に接続される。
【0108】
制御回路401は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0109】
制御回路401は、制御プログラム422などの各種プログラムを実行することでCNCユニット50Bの動作を制御する。制御プログラム422は、ワーク加工を実現するための加工プログラムなどを含む。制御プログラム422には、たとえば、
図8および
図9のステップS1~S4に示される主軸170の駆動指令などが規定されている。制御回路401は、制御プログラム422の実行命令を受け付けたことに基づいて、ROM402からRAM403に制御プログラム422を読み出す。RAM403は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム422の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0110】
通信インターフェイス404には、LAN、WLAN、またはBluetoothなどが接続される。CNCユニット50Bは、通信インターフェイス404を介して外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、上述の操作盤500やサーバー(図示しない)などを含む。
【0111】
通信インターフェイス405は、外部機器との通信を実現するためのインターフェイスである。一例として、CNCユニット50Bは、通信インターフェイス405を介して外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、ワーク加工のための各種駆動ユニット(たとえば、上述のモータドライバ131B,131C,131X~131Z)などを含む。
【0112】
フィールドバスコントローラ406は、フィールドバスに接続される各種ユニットとの通信を実現するための通信ユニットである。当該フィールドバスに接続されるユニットの一例として、CPUユニット50Aが挙げられる。
【0113】
補助記憶装置420は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置420は、制御プログラム422などを格納する。なお、制御プログラム422の格納場所は、補助記憶装置420に限定されず、制御回路401の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM402、RAM403、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0114】
また、制御プログラム422は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種の処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム422の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム422によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム422の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でCPUユニット50Aが構成されてもよい。
【0115】
<K.自走装置200のハードウェア構成>
次に、
図13を参照して、自走装置200のハードウェア構成について説明する。
図13は、自走装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0116】
自走装置200は、制御回路201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、レーザセンサ205と、モータ駆動装置206,208と、補助記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、内部バスB2に接続される。
【0117】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0118】
制御回路201は、制御プログラム222やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで自走装置200の動作を制御する。制御回路201は、制御プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置220またはROM202からRAM203に制御プログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0119】
通信インターフェイス204には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。自走装置200は、通信インターフェイス204を介して外部機器との無線通信または有線通信を実現する。当該外部機器は、たとえば、上述のコントローラ15、上述の工作機械100、自走装置200を操作するためのユーザ端末(図示しない)などを含む。当該ユーザ端末は、たとえば、タブレット端末やスマートフォンなどである。ユーザは、当該ユーザ端末を介して自走装置200の走行を制御することができる。
【0120】
レーザセンサ205は、レーザ光を回転させながら照射し、当該レーザ光の反射光を受光するように構成される。これにより、レーザセンサ205は、周囲にある物体までの距離を角度別に表わした2次元距離データを出力する。
【0121】
より具体的には、レーザセンサ205は、照射部と、ミラーと、受光部とで構成される。当該照射部は、当該ミラーに向けてレーザ光を照射する。当該ミラーは、モータによって回転可能にされており、レーザ光を各方向に反射する。これにより、レーザセンサ205は、レーザ光を各方向に照射する。物体がレーザセンサ205の周囲にある場合には、レーザ光は、当該物体に反射され、レーザセンサ205に戻る。レーザセンサ205は、当該反射光を受光部で受ける。
【0122】
レーザセンサ205は、物体からの反射光を受けて、当該物体までの距離を算出する。一例として、レーザセンサ205は、レーザ光を照射してから、当該レーザ光の反射光を受光するまでの時間に基づいて、レーザセンサ205から物体までの距離を算出する。典型的には、レーザセンサ205は、光の速度に当該時間を掛けることで物体までの距離を算出する。レーザセンサ205は、当該距離をレーザ光の照射角度に対応付けることで、角度別に距離を表わした2次元距離データを出力する。
【0123】
モータ駆動装置206は、制御回路201からの制御指令に従って、自走装置200の駆動輪に接続されているモータ206Mの回転を制御する。当該制御指令は、たとえば、モータ206Mの正転指令、モータ206Mの逆転指令、モータ206Mの回転速度などを含む。モータ206Mには、たとえば、ステッピングモータまたはサーボモータなどが採用される。
【0124】
モータ駆動装置208は、制御回路201からの制御指令に従って、搬送ロボット23に設けられている各モータの回転を制御する。当該モータは、搬送ロボット23の各関節に設けられている。当該モータは、たとえば、サーボモータである。サーボモータの回転軸にはエンコーダが設けられている。当該エンコーダは、サーボモータの位置、サーボモータの回転速度、サーボモータの累積回転数などを、モータ駆動装置208にフィードバックする。モータ駆動装置208は、エンコーダの出力値に基づいて、搬送ロボット23の位置姿勢を制御する。
【0125】
補助記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置220は、自走装置200の走行を制御するための制御プログラム222、および、自走装置200の走行経路を規定する上述の3次元マップ224などを格納する。制御プログラム222および3次元マップ224の格納場所は、補助記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM202、RAM203、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0126】
<L.フローチャート>
次に、
図14を参照して、工作機械100の制御フローについて説明する。
図14は、工作機械100の制御処理を示すフローチャートである。
【0127】
図14に示される処理は、工作機械100の制御部50が上述の制御プログラム422を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0128】
ステップS110において、制御部50は、主軸170に工具を装着する指令が実行されたか否かを判断する。当該指令は、たとえば、上述の制御プログラム422に規定されている。当該指令は、主軸170に装着する工具の識別情報を含む。制御部50は、主軸170に工具を装着する指令が実行されたと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御部50は、制御をステップS120に切り替える。
【0129】
ステップS112において、制御部50は、ステップS110で指定された工具を主軸170に装着するように、マガジン150とATC160と主軸170との駆動を制御する。
【0130】
ステップS114において、制御部50は、上述の制御プログラム422に従ってワークの加工処理を実行する。当該加工処理は、たとえば、ステップS110で指定された工具を用いたワークの加工が終了するまで実行される。また、制御部50は、当該加工処理の実行中において、クーラントを吐出するように上述の吐出機構125を制御する。
【0131】
ステップS120において、制御部50は、主軸170に補助具を装着する指令が実行されたか否かを判断する。当該指令は、たとえば、制御プログラム422に規定されている。当該指令は、主軸170に装着する補助具の識別情報を含む。制御部50は、主軸170に補助具を装着する指令が実行されたと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御部50は、制御をステップS130に切り替える。
【0132】
ステップS122において、制御部50は、上述のモータ132Bを駆動し、主軸170の傾き角を予め定められた角度に駆動する。これにより、補助具が主軸170に装着された際に、異物が主軸170から補助具に落下することが防止される。一例として、主軸170の傾き角は、主軸方向AXSと重力方向AXGとの間が成す角度が90度になるように調整される。
【0133】
ステップS124において、制御部50は、ステップS120で指定された補助具を主軸170に装着するように、マガジン150とATC160と主軸170との駆動を制御する。
【0134】
ステップS126において、制御部50は、制御プログラム422に従って、補助具を用いた補助処理を実行する。一例として、補助具の一例であるタグが主軸170に装着されている場合、制御部50は、当該タグを基準として自走装置200に姿勢を補正させる処理を補助処理として実行する。他の例として、補助具の一例である測定器具(たとえば、カメラやレーザスキャナなど)が主軸170に装着されている場合、制御部50は、当該測定器具を用いてワークの欠陥を検査する処理を補助処理として実行する。
【0135】
ステップS130において、制御部50は、ワークの加工工程を終了するか否かを判断する。一例として、制御部50は、制御プログラム422において加工工程の終了指令が実行されたことに基づいて、ワークの加工工程を終了すると判断する。制御部50は、ワークの加工工程を終了すると判断した場合(ステップS130においてYES)、
図14に示される処理を終了する。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御部50は、制御をステップS110に戻す。
【0136】
なお、上述では、ステップS122の処理が実行された後にステップS124の処理が実行される例について説明を行ったが、ステップS124の処理が実行された後にステップS122の処理が実行されてもよい。
【0137】
<M.変形例>
次に、
図15を参照して、
図8~
図10に示される補助具174Bの変形例について説明する。
図15は、変形例に従う補助具174Bを示す図である。
【0138】
上述の
図8~
図10の例では、主軸170の傾き角を調整することで主軸170から補助具174Bへの異物の落下が防止されていた。これに対して、本変形例では、補助具174Bの形状を工夫することで主軸170から補助具174Bへの異物の落下が防止される。すなわち、補助具174Bは、補助具174Bが主軸170に装着されている状態で主軸170に付着している異物が主軸170から補助具174Bに落下しない形状を有する。
【0139】
より具体的には、補助具174Bは、タグTGと、接続部175とで構成されている。接続部175は、たとえば、L字形状を有する。接続部175の一端はタグTGに接続されており、接続部175の他端は主軸170に接続されている。
【0140】
補助具174Bは、主軸方向AXSが重力方向と平行であるときにおける上面視において、主軸端面SFとタグTGとが重ならない形状を有する。これにより、主軸方向AXSが重力方向を向いている場合であっても、主軸170に付着している異物は、主軸170からタグTGに落下しない。
【0141】
<O.付記>
以上のように、本実施形態は以下のような開示を含む。
【0142】
[構成1]
ワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記ワークの加工工程に用いられる加工具を装着可能に構成されている主軸を備え、
前記加工具は、
前記ワークを加工するための工具と、
前記ワークの加工を補助するための補助具とを含み、
前記工作機械は、さらに、
前記主軸の軸方向に直交する方向を回転中心として前記主軸を回転するための回転駆動部と、
前記工作機械を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記主軸に前記工具を装着した状態で前記ワークを加工する処理と、
前記主軸に前記補助具を装着した状態で前記ワークの加工を補助する処理と、
前記主軸に付着している異物が前記主軸から前記補助具に落下しないように前記回転駆動部を駆動する処理とを実行する、工作機械。
【0143】
[構成2]
前記駆動する処理は、前記補助具が前記主軸に装着される前に実行される、構成1に記載の工作機械。
【0144】
[構成3]
前記駆動する処理は、前記補助具が前記主軸に装着された後に実行される、構成1に記載の工作機械。
【0145】
[構成4]
前記駆動する処理は、上面視において前記主軸と前記補助具とが重ならないように前記回転駆動部を駆動する処理を含む、構成1~3のいずれか1項に記載の工作機械。
【0146】
[構成5]
前記駆動する処理は、前記主軸の軸方向と重力方向との間が成す角度が90度になるように前記回転駆動部を駆動する処理を含む、構成1~4のいずれか1項に記載の工作機械。
【0147】
[構成6]
前記工作機械は、さらに、前記工作機械内にクーラントを吐出するための吐出機構を備え、
前記異物は、前記クーラントを含む、構成1~5のいずれか1項に記載の工作機械。
【0148】
[構成7]
ワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記ワークの加工工程に用いられる加工具を装着可能に構成されている主軸を備え、
前記加工具は、
前記ワークを加工するための工具と、
前記ワークの加工を補助するための補助具とを含み、
前記工作機械は、さらに、
前記主軸の軸方向に直交する方向を回転中心として前記主軸を回転するための回転駆動部と、
前記工作機械を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記主軸に前記工具を装着した状態で前記ワークを加工する処理と、
前記主軸に前記補助具を装着した状態で前記ワークの加工を補助する処理とを実行し、
前記補助具は、当該補助具が前記主軸に装着されている状態で前記主軸に付着している異物が前記主軸から前記補助具に落下しない形状を有する、工作機械。
【0149】
[構成8]
ワークを加工することが可能な工作機械の制御方法であって、
前記工作機械は、前記ワークの加工工程に用いられる加工具を装着可能に構成されている主軸を備え、
前記加工具は、
前記ワークを加工するための工具と、
前記ワークの加工を補助するための補助具とを含み、
前記工作機械は、さらに、前記主軸の軸方向に直交する方向を回転中心として前記主軸を回転するための回転駆動部を備え、
前記制御方法は、
前記主軸に前記工具を装着した状態で前記ワークを加工するステップと、
前記主軸に前記補助具を装着した状態で前記ワークの加工を補助するステップと、
前記主軸に付着している異物が前記主軸から前記補助具に落下しないように前記回転駆動部を駆動するステップとを備える、制御方法。
【0150】
[構成9]
ワークを加工することが可能な工作機械の制御プログラムであって、
前記工作機械は、前記ワークの加工工程に用いられる加工具を装着可能に構成されている主軸を備え、
前記加工具は、
前記ワークを加工するための工具と、
前記ワークの加工を補助するための補助具とを含み、
前記工作機械は、さらに、前記主軸の軸方向に直交する方向を回転中心として前記主軸を回転するための回転駆動部を備え、
前記制御プログラムは、前記工作機械に、
前記主軸に前記工具を装着した状態で前記ワークを加工するステップと、
前記主軸に前記補助具を装着した状態で前記ワークの加工を補助するステップと、
前記主軸に付着している異物が前記主軸から前記補助具に落下しないように前記回転駆動部を駆動するステップとを実行させる、制御プログラム。
【0151】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0152】
10 加工システム、15 コントローラ、20 走行本体、23 搬送ロボット、40A 工具収納部、40B 加工機本体、50 制御部、50A CPUユニット、50B CNCユニット、100 工作機械、100A 工作機械、100B 工作機械、107 カメラ、109 ポンプ、110 駆動部、111M モータドライバ、112M モータ、120 駆動部、121A ATCドライバ、122A モータ、122B モータ、125 吐出機構、130 駆動部、131B モータドライバ、131C モータドライバ、131X モータドライバ、131Y モータドライバ、131Z モータドライバ、132 主軸、132B モータ、132C モータ、132X モータ、132Y モータ、132Z モータ、140 カバー、150 マガジン、165 中心軸、166 アーム、166A 把持部、166B 把持部、170 主軸、174 加工具、174A 工具、174B 補助具、175 接続部、176 テーブル、180 回収機構、200 自走装置、201 制御回路、202 ROM、203 RAM、204 通信インターフェイス、205 レーザセンサ、206 モータ駆動装置、206M モータ、207 カメラ、208 モータ駆動装置、209 設置台、210 カバー、220 補助記憶装置、222 制御プログラム、224 3次元マップ、225 エンドエフェクタ、230A 障害物、230B 障害物、240 走行ルート、301 制御回路、302 ROM、303 RAM、304 通信インターフェイス、306 フィールドバスコントローラ、320 補助記憶装置、322 制御プログラム、401 制御回路、402 ROM、403 RAM、404 通信インターフェイス、405 通信インターフェイス、406 フィールドバスコントローラ、420 補助記憶装置、422 制御プログラム、500 操作盤、505 ディスプレイ、506 操作キー。
【要約】
【課題】主軸から補助具への異物の落下を防ぐための技術を提供する。
【解決手段】ワークを加工することが可能な工作機械は、ワークの加工工程に用いられる加工具を装着可能に構成されている主軸を備える。加工具は、ワークを加工するための工具と、ワークの加工を補助するための補助具とを含む。工作機械は、さらに、主軸の軸方向に直交する方向を回転中心として主軸を回転するための回転駆動部と、工作機械を制御するための制御部とを備える。制御部は、主軸に工具を装着した状態でワークを加工する処理と、主軸に補助具を装着した状態でワークの加工を補助する処理と、主軸に付着している異物が主軸から補助具に落下しないように回転駆動部を駆動する処理とを実行する。
【選択図】
図8