(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】電動搬送車用充電装置およびそれを備えた物品搬送システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20221102BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20221102BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2022509823
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020012989
(87)【国際公開番号】W WO2021192025
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真司
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-092622(JP,A)
【文献】特開2017-135833(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208539(WO,A1)
【文献】特開2018-113791(JP,A)
【文献】特開2001-152512(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010025951(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/90
H02J 50/10
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動搬送車の側方から充電を行う電動搬送車用充電装置であって、
床に設置されるベース部材と、
前記ベース部材に対して第1方向および前記第1方向と逆方向である第2方向に移動可能、かつ、前記ベース部材に対して鉛直線回りに回転可能な可動部材と、
前記可動部材を前記第1方向および前記第2方向に駆動する第1アクチュエータと、
前記可動部材に支持され、前記可動部材に対して前記第1方向および前記第2方向に移動可能なコイル支持部材と、
前記コイル支持部材に支持された送電コイルと、
前記送電コイルよりも前記第1方向の方に位置する第1接触部を有し、前記コイル支持部材に設けられた第1接触部材と、
前記送電コイルよりも前記第1方向の方に位置し、かつ、前記第1接触部から前記第1方向および鉛直方向に直交する第3方向に離間した第2接触部を有し、前記コイル支持部材に設けられた第2接触部材と、
前記コイル支持部材を前記第1方向に付勢する弾性体と、
前記可動部材に対する前記送電コイルの前記第1方向の位置を検出する第1センサと、
前記第1センサからの信号を受け、前記第1アクチュエータを制御する制御装置と、
を備えた、電動搬送車用充電装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1アクチュエータを駆動することにより、前記可動部材の前記第1方向の移動を開始させる第1移動開始部と、
前記送電コイルと前記可動部材との前記第1方向の位置の差が予め定められた第1閾値以下か否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部により前記第1方向の位置の差が前記第1閾値以下と判定されると、前記第1アクチュエータを停止することにより、前記可動部材の前記第1方向の移動を終了させる第1移動終了部と、
を有している、請求項1に記載の電動搬送車用充電装置。
【請求項3】
前記可動部材は、前記ベース部材に対して前記第3方向および前記第3方向と逆方向である第4方向に移動可能に構成され、
前記電動搬送車の受電コイルに対する前記送電コイルの前記第3方向の位置を検出する第2センサと、
前記可動部材を前記第3方向および前記第4方向に駆動する第2アクチュエータと、を備え、
前記制御装置は、前記第2センサからの信号を受け、前記第2アクチュエータを制御するように構成されている、請求項1または2に記載の電動搬送車用充電装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記送電コイルと前記受電コイルとの前記第3方向の位置の差が小さくなるように前記第2アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と、
前記送電コイルと前記受電コイルとの前記第3方向の位置の差が予め定められた第2閾値以下か否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により前記第3方向の位置の差が前記第2閾値以下と判定されると、前記第2アクチュエータの駆動を停止することにより、前記可動部材の前記第3方向または前記第4方向の移動を終了させる第2移動終了部と、
を有している、請求項3に記載の電動搬送車用充電装置。
【請求項5】
前記第1接触部材の前記第1接触部および前記第2接触部材の前記第2接触部は、回転可能な回転体により構成されている、請求項1~4のいずれか一つに記載の電動搬送車用充電装置。
【請求項6】
前記第1接触部材は、前記送電コイルよりも上方または下方に配置され、前記コイル支持部材から前記第1方向に延びる第1延伸部材を有し、
前記第2接触部材は、前記送電コイルよりも上方または下方に配置され、前記コイル支持部材から前記第1方向に延びる第2延伸部材を有し、
前記第1接触部は、前記第1延伸部材の先端に設けられ、
前記第2接触部は、前記第2延伸部材の先端に設けられている、請求項1~5のいずれか一つに記載の電動搬送車用充電装置。
【請求項7】
前記可動部材は、前記ベース部材に対して前記第1方向および前記第2方向に移動可能な移動部材と、前記移動部材に鉛直線回りに回転可能に支持された回転部材とを有し、
前記コイル支持部材は、前記回転部材に前記第1方向および前記第2方向に移動可能に支持され、
前記第1センサは、前記回転部材に対する前記送電コイルの位置を検出するように構成されている、請求項1~6のいずれか一つに記載の電動搬送車用充電装置。
【請求項8】
前記弾性体は、前記回転部材と前記コイル支持部材との間に配置された圧縮ばねである、請求項7に記載の電動搬送車用充電装置。
【請求項9】
前記可動部材は、前記ベース部材に前記第3方向および
前記第3方向と逆方向である第4方向に移動可能に支持された他の移動部材を有し、
前記移動部材は、前記他の移動部材に前記第1方向および前記第2方向に移動可能に支持されている、請求項7または8に記載の電動搬送車用充電装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一つに記載の電動搬送車用充電装置と、
車体と、前記車体の側部に配置された受電コイルと、前記受電コイルに接続されたバッテリと、前記バッテリに接続された電動モータと、前記電動モータにより駆動される車輪と、を有する1または2以上の電動搬送車と、
を備えた、物品搬送システム。
【請求項11】
前記電動搬送車は自動運転車である、請求項10に記載の物品搬送システム。
【請求項12】
前記電動搬送車用充電装置は、前記電動搬送車の前記第3方向の位置を検出する車両位置センサを備え、
前記電動搬送車は、前記車両位置センサの検出結果に基づいて、前記車体を前進または後進させるように前記電動モータを制御する制御装置を備えている、請求項11に記載の物品搬送システム。
【請求項13】
前記電動搬送車は、
前記車体、前記受電コイル、前記バッテリ、前記電動モータ、および前記車輪を有する牽引車と、
物品が載せられる荷台および車輪を備え、前記牽引車に連結された1または2以上の被牽引車と、を含んでいる、請求項10~12のいずれか一つに記載の物品搬送システム。
【請求項14】
前記電動搬送車は、屋内および屋外の両方を走行するように構成されている、請求項10~13のいずれか一つに記載の物品搬送システム。
【請求項15】
前記電動搬送車は、地面に埋められた誘導線を検出する装置を備えていない、請求項10~14のいずれか一つに記載の物品搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動搬送車の充電を行う電動搬送車用充電装置およびそれを備えた物品搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗用車としての電気自動車が広く普及してきている。また、工場等において、電動モータによって駆動される車輪を備えた電動搬送車の利用が促進されている。電気自動車および電動搬送車では、バッテリ残量が少なくなると充電が必要である。
【0003】
充電は、充電装置に備えられた送電コイルと車両に備えられた受電コイルとを互いに接近させた後、送電コイルに電流を流すことによって実行される。工場等において利用される電動搬送車では、充電作業を自動化したいというニーズが大きい。充電作業を自動化するためには、送電コイルと受電コイルとの位置合わせを自動化する必要がある。
【0004】
また、電動搬送車では、搬送業務の効率を高めるため、後進動作が無いまたは少ないように搬送ルートが設定される場合が多い。ここで、受電コイルが車両の後部に設置されていると、充電前に車両を充電装置に近づける際に、後進動作が必要となる。受電コイルが車両の前部に設置されていると、充電後に車両を充電装置から遠ざける際に、後進動作が必要となる。一方、受電コイルが車両の側部に設置されていれば、車両を充電装置に近づける際および遠ざける際のいずれにおいても、車両を充電装置の側方にて前進させるだけで足りる。そのため、搬送業務の効率を高めるために、受電コイルは車両の側部に設置されていることが好ましい。
【0005】
特許文献1には、電動搬送車用の充電装置ではないが、側部に受電コイルが設けられた電気自動車に対して、自動的に充電を行う充電装置が開示されている。この充電装置は、送電コイルと送電コイルの周囲に配置された3つまたは4つのギャップセンサとを有するプローブと、プローブを車両前後方向に移動させるモータと、プローブを車両左右方向に移動させるモータと、プローブを車両上下方向に移動させるモータと、を備えている。受電コイルは、車両のサイドカバーから側方に突出した突起物に埋め込まれている。充電時に、プローブは突起物に対して平行に位置づけられる。
【0006】
送電コイルおよび受電コイルの位置が合っている場合、全てのギャップセンサがサイドカバーと対向するため、全てのギャップセンサの検出値は等しくなる。一方、送電コイルが受電コイルからずれた位置にある場合、一部のギャップセンサは突起物と対向し、他のギャップセンサはサイドカバーと対向する。そのため、一部のギャップセンサの検出値と他のギャップセンサの検出値とは相違する。特許文献1に開示された充電装置では、それらギャップセンサの検出値に基づいて、送電コイルと受電コイルとの位置ずれを検出する。そして、位置ずれがなくなるように前記モータを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電動搬送車が充電装置の側方にて停車する際、車体が左右に傾いた状態で停車してしまう場合がある。このような場合、プローブの車両前後方向、車両左右方向、および車両上下方向の位置を調整したとしても、プローブは突起物と平行にはならない。そのため、送電コイルが受電コイルに正対せず、充電効率が低下するおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、側部に受電コイルを有する電動搬送車が左右に傾いた状態で停車した場合であっても、効率の良い充電を行うことができる電動搬送車用充電装置およびそれを備えた搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに開示される電動搬送車用充電装置は、電動搬送車の側方から充電を行う電動搬送車用充電装置である。前記電動搬送車用充電装置は、床に設置されるベース部材と、前記ベース部材に対して第1方向および前記第1方向と逆方向である第2方向に移動可能、かつ、前記ベース部材に対して鉛直線回りに回転可能な可動部材と、前記可動部材を前記第1方向および前記第2方向に駆動する第1アクチュエータと、前記可動部材に支持され、前記可動部材に対して前記第1方向および前記第2方向に移動可能なコイル支持部材と、前記コイル支持部材に支持された送電コイルと、前記送電コイルよりも前記第1方向の方に位置する第1接触部を有し、前記コイル支持部材に設けられた第1接触部材と、前記送電コイルよりも前記第1方向の方に位置し、かつ、前記第1接触部から前記第1方向および鉛直方向に直交する第3方向に離間した第2接触部を有し、前記コイル支持部材に設けられた第2接触部材と、前記コイル支持部材を前記第1方向に付勢する弾性体と、前記可動部材に対する前記送電コイルの前記第1方向の位置を検出する第1センサと、前記第1センサからの信号を受け、前記第1アクチュエータを制御する制御装置と、を備える。なお、第1方向とは、電動搬送車が電動搬送車用充電装置の側方に停車した場合に、電動搬送車用充電装置から電動搬送車に向かう方向である。
【0011】
上記電動搬送車用充電装置によれば、第1アクチュエータが可動部材を第1方向に駆動すると、送電コイルは第1方向に移動し、電動搬送車の受電コイルに接近する。第1接触部材および第2接触部材が電動搬送車の側部に接触した後、可動部材は第1方向に移動可能であるが、コイル支持部材の第1方向への移動は規制される。そのため、可動部材に対する送電コイルの第1方向の位置は変化し、この位置変化は第1センサによって検出される。第1センサの検出結果に基づいて、送電コイルが受電コイルに接近したことが検出される。すなわち、送電コイルと受電コイルとの第1方向の位置が合ったことが自動的に検出される。また、上記電動搬送車用充電装置によれば、可動部材が鉛直線回りに回転可能であるため、可動部材に支持されるコイル支持部材は鉛直線周りに回転可能である。電動搬送車が左右に傾いた状態で停車している場合、第1接触部材および第2接触部材のいずれか一方が電動搬送車の側部に接触した後、コイル支持部材は電動搬送車の側部に倣って左右に傾く。そのため、送電コイルの向きが変わり、送電コイルは受電コイルに対して自動的に正対する。したがって、上記電動搬送車用充電装置によれば、電動搬送車が左右に傾いた状態で停車した場合であっても、送電コイルと受電コイルとの第1方向の位置合わせが自動的に行われると共に、送電コイルと受電コイルとの向きが自動的に揃うので、効率の良い充電が行われる。
【0012】
前記制御装置は、前記第1アクチュエータを駆動することにより、前記可動部材の前記第1方向の移動を開始させる第1移動開始部と、前記送電コイルと前記可動部材との前記第1方向の位置の差が予め定められた第1閾値以下か否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部により前記第1方向の位置の差が前記第1閾値以下と判定されると、前記第1アクチュエータを停止することにより、前記可動部材の前記第1方向の移動を終了させる第1移動終了部と、を有していてもよい。
【0013】
前記可動部材は、前記ベース部材に対して前記第3方向および前記第3方向と逆方向である第4方向に移動可能に構成されていてもよい。前記電動搬送車用充電装置は、前記電動搬送車の受電コイルに対する前記送電コイルの前記第3方向の位置を検出する第2センサと、前記可動部材を前記第3方向および前記第4方向に駆動する第2アクチュエータと、を備えていてもよい。前記制御装置は、前記第2センサからの信号を受け、前記第2アクチュエータを制御するように構成されていてもよい。
【0014】
上記態様によれば、送電コイルと受電コイルとの第3方向の位置合わせを自動的に行うことができる。
【0015】
前記制御装置は、前記送電コイルと前記受電コイルとの前記第3方向の位置の差が小さくなるように前記第2アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と、前記送電コイルと前記受電コイルとの前記第3方向の位置の差が予め定められた第2閾値以下か否かを判定する第2判定部と、前記第2判定部により前記第3方向の位置の差が前記第2閾値以下と判定されると、前記第2アクチュエータの駆動を停止することにより、前記可動部材の前記第3方向または前記第4方向の移動を終了させる第2移動終了部と、を有していてもよい。
【0016】
前記第1接触部材の前記第1接触部および前記第2接触部材の前記第2接触部は、回転可能な回転体により構成されていてもよい。
【0017】
上記態様によれば、第1接触部材および第2接触部材を電動搬送車の側部に接触させた状態のまま、コイル支持部材を第3方向または第4方向に容易に移動させることができる。そのため、第1接触部材および第2接触部材が電動搬送車の側部に接触した状態のまま、送電コイルと受電コイルとの第3方向の位置を容易に調整することができる。また、コイル支持部材を第3方向または第4方向に移動させたときに、第1接触部材および第2接触部材と電動搬送車の側部とが擦れないので、電動搬送車の側部に跡が付きにくい。
【0018】
前記第1接触部材は、前記送電コイルよりも上方または下方に配置され、前記コイル支持部材から前記第1方向に延びる第1延伸部材を有していてもよい。前記第2接触部材は、前記送電コイルよりも上方または下方に配置され、前記コイル支持部材から前記第1方向に延びる第2延伸部材を有していてもよい。前記第1接触部は前記第1延伸部材の先端に設けられ、前記第2接触部は前記第2延伸部材の先端に設けられていてもよい。
【0019】
上記態様によれば、送電コイルを受電コイルに近づける際に、第1接触部材および第2接触部材が邪魔になることはない。また、第1接触部材および第2接触部材を電動搬送車の側部に接触させた状態のままコイル支持部材を第3方向または第4方向に移動させる際に、第1接触部材および第2接触部材が受電コイルに干渉することが避けられる。
【0020】
前記可動部材は、前記ベース部材に対して前記第1方向および前記第2方向に移動可能な移動部材と、前記移動部材に鉛直線回りに回転可能に支持された回転部材とを有していてもよい。前記コイル支持部材は、前記回転部材に前記第1方向および前記第2方向に移動可能に支持されていてもよい。前記第1センサは、前記回転部材に対する前記送電コイルの位置を検出するように構成されていてもよい。
【0021】
前記弾性体は、前記回転部材と前記コイル支持部材との間に配置された圧縮ばねであってもよい。
【0022】
前記可動部材は、前記ベース部材に前記第3方向および前記第4方向に移動可能に支持された他の移動部材を有していてもよい。前記移動部材は、前記他の移動部材に前記第1方向および前記第2方向に移動可能に支持されていてもよい。
【0023】
ここに開示される物品搬送システムは、前記電動搬送車用充電装置と、1または2以上の電動搬送車と、を備える。前記電動搬送車は、車体と、前記車体の側部に配置された受電コイルと、前記受電コイルに接続されたバッテリと、前記バッテリに接続された電動モータと、前記電動モータにより駆動される車輪と、を有する。
【0024】
上記物品搬送システムによれば、電動搬送車が電動搬送用充電装置の側方において左右に傾いて停車した場合であっても、電動搬送車用充電装置の送電コイルと電動搬送車の受電コイルとの位置合わせを迅速かつ正確に行うことができる。電動搬送車の充電作業を迅速かつ効率良く行うことができるので、物品の搬送業務の効率を向上させることができる。
【0025】
前記電動搬送車は自動運転車であってもよい。
【0026】
上記態様によれば、物品の搬送業務の効率を更に向上させることができる。
【0027】
前記電動搬送車用充電装置は、前記電動搬送車の前記第3方向の位置を検出する車両位置センサを備えていてもよい。前記電動搬送車は、前記車両位置センサの検出結果に基づいて、前記車体を前進または後進させるように前記電動モータを制御する制御装置を備えていてもよい。
【0028】
上記態様によれば、充電に先立って電動搬送車が電動搬送車用充電装置の側方に自動的に停車する。そのため、物品の搬送業務の効率を更に向上させることができる。
【0029】
前記電動搬送車は、前記車体、前記受電コイル、前記バッテリ、前記電動モータ、および前記車輪を有する牽引車と、物品が載せられる荷台および車輪を備え、前記牽引車に連結された1または2以上の被牽引車と、を含んでいてもよい。
【0030】
前記電動搬送車は、屋内および屋外の両方を走行するように構成されていてもよい。
【0031】
前記電動搬送車は、地面に埋められた誘導線を検出する装置を備えていなくてもよい。前記電動搬送車は、自律走行する車両であってもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、側部に受電コイルを有する電動搬送車が左右に傾いた状態で停車した場合であっても、効率の良い充電を行うことができる電動搬送車用充電装置およびそれを備えた搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図3】電動搬送車および電動搬送車用充電装置の平面図である。
【
図4】電動搬送車および電動搬送車用充電装置の背面図である。
【
図5】電動搬送車用充電装置の主要部の平面図である。
【
図6】電動搬送車用充電装置の制御系のブロック図である。
【
図8】送電コイルおよび受電コイルの位置合わせを行う際の電動搬送車用充電装置の主要部の平面図であり、第1接触部材および第2接触部材が電動搬送車の側部から離間している状態を表している。
【
図9】送電コイルおよび受電コイルの位置合わせを行う際の電動搬送車用充電装置の主要部の平面図であり、第1接触部材が電動搬送車の側部に接触し、第2接触部材が電動搬送車の側部から離間している状態を表している。
【
図10】送電コイルおよび受電コイルの位置合わせを行う際の電動搬送車用充電装置の主要部の平面図であり、第1接触部材および第2接触部材が電動搬送車の側部に接触している状態を表している。
【
図11】送電コイルおよび受電コイルの位置合わせが行われたときの電動搬送車用充電装置の主要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る物品搬送システム100は、工場の敷地1内において、電動搬送車10により物品を搬送するシステムである。物品搬送システム100は、物品を積載して走行可能な1または2以上の電動搬送車10と、電動搬送車10の充電を行う電動搬送車用充電装置(以下、単に充電装置という)20と、電動搬送車10および充電装置20に指令を与える指令コンピュータ30とを備えている。
【0035】
工場の敷地1には、倉庫等の建物2~5が建てられている。本実施形態では、充電装置20は建物2の内部に設置されている。ただし、充電装置20の設置場所は何ら限定されない。充電装置20は、他の建物3~5の内部に設置されていてもよい。また、充電装置20は、建物2~5の外部に設置されていてもよい。すなわち、充電装置20は屋内に設置されていてもよく、屋外に設置されていてもよい。
【0036】
本実施形態では、指令コンピュータ30は建物2の内部に設置されている。ただし、指令コンピュータ30の設置場所は何ら限定されない。指令コンピュータ30は、他の建物2~5の内部に設置されていてもよい。また、指令コンピュータ30は、工場の敷地1以外の場所に設置されていてもよい。指令コンピュータ30は、電動搬送車10および充電装置20と通信可能である。例えば、指令コンピュータ30は、インターネットを介して電動搬送車10および充電装置20と通信可能であってもよい。指令コンピュータ30は、1台のコンピュータにより構成されていてもよく、複数台のコンピュータにより構成されていてもよい。電動搬送車10は、指令コンピュータ30から指令を受け、所定の移動経路8を通って目的地まで走行する。
【0037】
電動搬送車10は、電動モータによって駆動されることにより走行する搬送車である。電動搬送車10は、単一の車両により構成されていてもよいが、本実施形態では複数の車両により構成されている。
図2に示すように、本実施形態に係る電動搬送車10は、牽引車11と、牽引車11によって牽引される2台の被牽引車12とにより構成されている。牽引車11は物品9を積載する荷台を有していてもよいが、本実施形態では、牽引車11には荷台は備えられていない。物品9は被牽引車12に積載される。
【0038】
牽引車11は、車体11Aと、車体11Aに搭載されたコンピュータ11Eと、車体11Aの側部に配置された受電コイル11Cと、受電コイル11Cに接続されたバッテリ11Bと、バッテリ11Bに接続された電動モータ11Mと、電動モータ11Mに連結された車輪11Wとを備えている。車輪11Wは電動モータ11Mにより駆動される。図示は省略するが、受電コイル11Cは、直方体形状の保護ケースと、保護ケースの内部に収容されたコイル本体とを含んでいる。
【0039】
牽引車11は人が運転する車両であってもよいが、本実施形態では、自動運転車である。すなわち、牽引車11は、人が運転しなくても自動で走行できる車両である。また、本実施形態に係る牽引車11は、自律走行する車両である。ここで自律走行とは、地中に埋められた誘導線を用いずに、車両に備えられた検出機器(GPSセンサ、カメラ等)から得られる情報に基づいて外部環境を把握し、障害物を避けながら目的地に向かって走行することを言う。本実施形態に係る牽引車11は、図示しない検出機器を備えており、指令コンピュータ30によって指示された目的地に向けて、コンピュータ11Eの制御により自律走行するように構成されている。
【0040】
被牽引車12は、物品9が載せられる荷台12Aと、車輪12Wとを備えている。
【0041】
図3は、充電装置20および牽引車11の構成を表す平面図である。
図4は、充電装置20および牽引車11の構成を表す背面図である。図中の符号Xは車両前後方向を表す。符号X1は前方を表し、符号X2は後方を表す。符号Yは車両左右方向を表す。符号Y1は左方を表し、符号Y2は右方を表す。符号Zは車両上下方向を表す。以下の説明では、符号Y1、Y2、X1、X2のことを、それぞれ第1方向、第2方向、第3方向、第4方向と言う。
【0042】
図3および
図4に示すように、充電装置20は、牽引車11の側方から充電を行う装置である。充電の際に、牽引車11は充電装置20の側方に停車する。充電装置20は、床に設置されるベース部材25と可動部材21Kとを備えている。可動部材21Kは、ベース部材25に第3方向X1および第4方向X2に移動可能に支持された移動部材24と、移動部材24に第1方向Y1および第2方向Y2に移動可能に支持された移動部材21と、移動部材21に鉛直線回りに回転可能に支持された回転部材22とを有している。可動部材21Kは、ベース部材25に対して、第1方向Y1および第2方向Y2に移動可能である。また、可動部材21Kは、ベース部材25に対して、第3方向X1および第4方向X2に移動可能である。また、可動部材21Kは、ベース部材25に対して、鉛直線回りに回転可能である。
【0043】
図3および
図4では図示を省略するが、充電装置20は、移動部材21を第1方向Y1および第2方向Y2に駆動する第1アクチュエータ21Aと、移動部材24を第3方向X1および第4方向X2に駆動する第2アクチュエータ24Aとを備えている(
図6参照)。第1アクチュエータ21Aおよび第2アクチュエータ24Aは特に限定されないが、例えば、サーボモータにより構成される。
【0044】
牽引車11の受電コイル11Cの前方および後方には、反射板14が設けられている。充電装置20の送電コイル20Cの前方および後方には、反射型の光電センサからなる車両位置センサ29が設けられている。
【0045】
図5に示すように、充電装置20は、回転部材22に第1方向Y1および第2方向Y2に移動可能に支持されたコイル支持部材23と、コイル支持部材23に支持された送電コイル20Cとを備えている。図示は省略するが、送電コイル20Cは、直方体形状の保護ケースと、保護ケースの内部に収容されたコイル本体とを含んでいる。
【0046】
移動部材21は、移動部材24に摺動可能な第1部分21aと、第1部分21aに固定された第2部分21bとを有している。第2部分21bには、鉛直方向に延びる孔21hが形成されている。
【0047】
回転部材22は、横板22aと、横板22aの左部から上方に延びる縦板22bと、横板22aから右方に延びる棒状部22cと、棒状部22cの右部から上方に延びる軸22dとを有している。軸22dは、移動部材21の孔21hに回転可能に挿入されている。縦板22bには、孔22hが形成されている。
【0048】
移動部材21と回転部材22との間には、ばね27aおよびばね27bが設けられている。ばね27aは軸22dよりも前方に配置され、ばね27bは軸22dよりも後方に配置されている。ばね27aの右端部およびばね27bの右端部は、移動部材21に取り付けられている。ばね27aの左端部およびばね27bの左端部は、回転部材22に取り付けられている。ばね27aは回転部材22を左方に押しており、回転部材22に対して軸22d回りに反時計回り方向の力を付与する。ばね27bは回転部材22を左方に押しており、回転部材22に対して軸22d回りに時計回り方向の力を付与する。
図5に示すように、回転部材22が傾いていない位置を中立位置とする。回転部材22が中立位置にあるときに、ばね27aの力とばね27bの力とは釣り合う。ばね27aおよびばね27bは、回転部材22が鉛直線回りに回転したときに、回転部材22を中立位置に戻すような力を発生させる。
【0049】
コイル支持部材23は、送電コイル20Cを支持する縦板23cと、縦板23cから右方に延びる棒23aとを有する。棒23aは回転部材22の縦板22bの孔22hに摺動可能に挿入されている。縦板22bと縦板23cとの間には、ばね28が配置されている。本実施形態では、ばね28はコイルばねである。棒23aはばね28の内部に配置されている。ばね28は圧縮ばねであり、縦板23cを第1方向Y1に押している。棒23aは縦板22bの孔22hに摺動可能であるので、コイル支持部材23は回転部材22に対して、第1方向Y1および第2方向Y2に移動可能である。コイル支持部材23が第1方向Y1または第2方向Y2に移動することにより、回転部材22に対するコイル支持部材23の位置が変化する。送電コイル20Cは縦板23cの左方に配置されている。コイル支持部材23が第1方向Y1に移動することにより、送電コイル20Cは受電コイル11Cに接近する。
【0050】
コイル支持部材23には、左方に延びる第1接触部材41および第2接触部材42が設けられている。第1接触部材41は軸22dよりも後方に配置され、第2接触部材42は軸22dよりも前方に配置されている。第1接触部材41および第2接触部材42は、送電コイル20Cよりも上方に配置されている。第1接触部材41は、縦板23cから左方に延びる棒状または板状の延伸部材41aと、延伸部材41aの先端に設けられた第1ローラ41bとを有している。第2接触部材42は、縦板23cから左方に延びる棒状または板状の延伸部材42aと、延伸部材42aの先端に設けられた第2ローラ42bとを有している。第1ローラ41bおよび第2ローラ42bは、充電時に牽引車11の側部11Sに接触する部分であり、それぞれ第1接触部および第2接触部の一例である。第1ローラ41bおよび第2ローラ42bは回転可能であり、回転体の一例である。第1ローラ41bおよび第2ローラ42bは、送電コイル20Cよりも左方に配置されている。
【0051】
充電装置20は、回転部材22に対するコイル支持部材23の位置を検出する第1センサ51を備えている。送電コイル20Cはコイル支持部材23に固定されているため、第1センサ51により、回転部材22に対する送電コイル20Cの第1方向Y1の位置が検出される。本実施形態では、第1センサ51は、コイル支持部材23の位置を検出することにより、送電コイル20Cの位置を間接的に検出する。ただし、第1センサ51は送電コイル20Cの位置を直接的に検出するように構成されていてもよい。本実施形態では、第1センサ51は、コイル支持部材23が初期位置にあるか否かを検出するセンサ51Aと、コイル支持部材23が予め定められたリミット位置にあるか否かを検出するセンサ51Bとを有している。なお、初期位置とは、
図5に示すように、第1接触部材41および第2接触部材42が牽引車11に接触する前のコイル支持部材23の位置である。センサ51AがONからOFFまたはOFFからONに切り替わると、第1接触部材41および第2接触部材42が牽引車11の側部11Sに接触したことが検出される。センサ51Aおよびセンサ51Bの種類は特に限定されない。本実施形態では、センサ51Aおよびセンサ51Bは、縦板23Cを検出する光電センサにより構成されている。
【0052】
充電装置20は、受電コイル11Cに対する送電コイル20Cの第3方向X1の位置を検出する第2センサ52を備えている。第2センサ52は、赤外線の発光素子52Bおよび受光素子52Aから構成されている。本実施形態では、受光素子52Aは縦板23cに設けられている。発光素子52Bは、牽引車11の側部11Sに設けられている。発光素子52Bに対する受光素子52Aの位置が前方または後方にずれている場合、受光素子52Aの受光量は少なくなる。受光素子52Aの受光量が所定量以上になると、発光素子52Bと受光素子52Aとの位置が揃ったことが検出され、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第3方向X1の位置が合ったことが検出される。なお、上記の発光素子52Bおよび受光素子52Aの設置箇所は一例に過ぎない。発光素子52Bおよび受光素子52Aを他の箇所に設けることも可能である。また、第2センサ52は赤外線センサに限定されない。第2センサ52として、公知の各種センサを好適に用いることができる。
【0053】
図6に示すように、充電装置20は、移動部材21を第1方向Y1および第2方向Y2に移動させる第1アクチュエータ21Aと、移動部材24を第3方向X1および第4方向X2に移動させる第2アクチュエータ24Aとを備えている。また、充電装置20、コンピュータからなるコントローラ60を備えている。コントローラ60は、第1センサ51、第2センサ52、車両位置センサ29、第1アクチュエータ21A、および第2アクチュエータ24Aに通信可能に接続されている。また、充電装置20は、図示しない電源と送電コイル20Cとを接続するスイッチ(図示せず)を備えている。コントローラ60は、上記スイッチを介して送電コイル20Cに接続されており、送電コイル20Cの通電を制御する。図示は省略するが、コントローラ60は、CPU、ROM、およびRAMなどを有している。コントローラ60は、CPUがROM等に保存されているプログラムを読み出すことにより、各種の制御を実行する。コントローラ60は、第1アクチュエータ21Aおよび第2アクチュエータ24Aを制御することにより、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの位置合わせを行う。また、コントローラ60は、上記スイッチを制御することにより、送電コイル20Cの通電を制御する。詳細は後述するが、CPUが上記プログラムを実行することにより、コントローラ60は、第1移動開始部61S、第1判定部61D、第1移動終了部61E、アクチュエータ制御部62A、第2判定部62D、および第2移動終了部62Eとして機能する。
【0054】
次に、
図7のフローチャートを参照しながら、充電装置20の充電動作について説明する。なお、以下の充電動作は自動的に行われる。
【0055】
まず、電動搬送車10が充電装置20の側方に向かって前進する。電動搬送車10の牽引車11が充電装置20の側方に到達すると(
図3参照)、充電装置20の車両位置センサ29から照射された光は、牽引車11の反射板14により反射され、車両位置センサ29に入射する。このようにして、車両位置センサ29により、牽引車11が充電装置20の側方に到着したことが検出される。車両位置センサ29から信号を受けたコントローラ60は、指令コンピュータ30(
図1参照)に対し、牽引車11が充電装置20の側方に到着したことを知らせる信号を送信する。この信号を受けた指令コンピュータ30は、牽引車11のコントローラ11Eに停止を指示する信号を送信する。コントローラ11Eは、この信号を受信すると、牽引車11の走行を停止させる。このようにして電動搬送車10は、充電装置20の側方に到着すると、走行を停止する(ステップS1)。
【0056】
牽引車11は、受電コイル11Cが送電コイル20Cと平行となるように、真っ直ぐに停止することが好ましい。しかし、牽引車11が左方または右方に傾いた姿勢で停止する場合がある。以下の説明では、
図8に示すように、牽引車11は左方に傾いた姿勢で停止したものとする。この場合、送電コイル20Cは受電コイル11Cに対して非平行となる。
【0057】
次に、コントローラ60は、第1アクチュエータ21Aを駆動する(ステップS2)。これにより、移動部材21の第1方向Y1への移動が開始する。なお、移動部材21の第1方向Y1への移動が開始されることは、可動部材21Kの第1方向Y1への移動が開始されることと同義である。この際、コントローラ60のCPUは第1移動開始部61Sとなる。
【0058】
移動部材21が第1方向Y1に移動すると、第1接触部材41および第2接触部材42の少なくとも一方が牽引車11の側部11Sに接触する。ここでは、牽引車11は左方に傾いているので、
図9に示すように、第1接触部材41が第2接触部材42よりも先に牽引車11の側部11Sに接触する。なお、牽引車11が右方に傾いている場合には、第2接触部材42が第1接触部材41よりも先に牽引車11の側部11Sに接触することになる。
【0059】
回転部材22は移動部材21に対して鉛直線回りに回転可能である。移動部材21が第1方向Y1に更に移動すると、
図10に示すように、第2接触部材42が牽引車11の側部11Sに接触するまで、回転部材22は回転する。そして、第2接触部材42が牽引車11の側部11Sに接触すると、回転部材22の回転は停止する。これにより、送電コイル20Cは受電コイル11Cに対して平行となる。送電コイル20Cは受電コイル11Cに正対する。
【0060】
第1接触部材41および第2接触部材42が牽引車11の側部11Sに接触すると、コイル支持部材23の第1方向Y1の移動は規制される。一方、回転部材22はコイル支持部材23に対してX方向に移動可能である。移動部材21が第1方向Y1に更に移動すると、回転部材22に対するコイル支持部材23の位置(以下、単にコイル支持部材23の位置という)が変化する。詳しくは、移動部材21が第1方向Y1に移動するほど、コイル支持部材23の位置は回転部材22に近くなる。
【0061】
コイル支持部材23の位置が変化すると、センサ51AがONからOFF、またはOFFからONに切り替わる。コントローラ60は、センサ51Aからの信号を受け、第1接触部材41および第2接触部材42が牽引車11の側部11Sに接触したことを検出する。充電装置20では、送電コイル20Cは受電コイル11Cと非接触で給電を行う。第1接触部材41および第2接触部材42が牽引車11の側部11Sに接触することにより、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第1方向Y1の間隔は、充電に適した間隔に保たれる。
図11に示すように、回転部材22とコイル支持部材23との第1方向Y1の位置の差が予め定められた第1閾値になると、センサ51BがONからOFF、またはOFFからONに切り替わる。回転部材22とコイル支持部材23との第1方向Y1の位置の差が第1閾値となると、センサ51BがONからOFFまたはOFFからONに切り替わる。コントローラ60は、センサ51Bからの信号に基づいて、回転部材22とコイル支持部材23との第1方向Y1の位置の差が第1閾値以下か否かを判定する(ステップS3)。なお、第1閾値は、コントローラ60の記憶部63に記憶されている。
【0062】
回転部材22とコイル支持部材23との第1方向Y1の位置の差が第1閾値以下になると、コントローラ60は第1アクチュエータ21Aを停止する(ステップS4)。これにより、コイル支持部材23は牽引車11の側部11Sに適度な力で押しつけられる。なお、コントローラ60のCPUは、センサ51Bの検出結果に基づいて回転部材22とコイル支持部材23との第1方向Y1の位置の差が第1閾値以下か否かを判定する際には、第1判定部61Dとなる。また、コントローラ60のCPUは、第1アクチュエータ21Aを停止する際には、移動部材21の第1方向Y1の移動を終了させる第1移動終了部61Eとなる。なお、回転部材22とコイル支持部材23との第1方向Y1の位置の差が第1閾値以下か否かを判定することは、送電コイル20Cと可動部材21Kとの第1方向Y1の位置の差が第1閾値以下か否かを判定することと同義である。移動部材21の第1方向Y1の移動を終了させることは、可動部材21Kの第1方向Y1の移動を終了させることと同義である。
【0063】
ところで、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第1方向Y1の間隔が充電に適した間隔となったとしても、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第3方向X1の位置がずれている場合があり得る。そこで、コントローラ60は、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第3方向X1の位置合わせを行う。すなわち、コントローラ60は、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第3方向X1の位置の差が小さくなるように、第2アクチュエータ24Aを駆動することにより、コイル支持部材23を第3方向X1または第4方向X2に移動させる(ステップS5)。すなわち、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第3方向X1の位置の差が小さくなるように、第2アクチュエータ24Aを制御する。この際、コントローラ60のCPUは、アクチュエータ制御部62Aとなる。
【0064】
次に、コントローラ60は、第2センサ52からの信号に基づき、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第3方向X1の位置の差が第2閾値以下か否かを判定する(ステップS6)。第2閾値は予め定められた値であり、コントローラ60の記憶部63に記憶されている。コントローラ60のCPUは、ステップS6の処理を実行する際、第2判定部62Dとなる。
【0065】
ステップS6の判定結果がNOの場合、ステップS5に戻る。ステップS6の判定結果がYESの場合、コントローラ60は第2アクチュエータ24Aを停止する(ステップS7)。これにより、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第3方向X1の位置ずれが解消される。
【0066】
そして、コントローラ60は、このようにして送電コイル20Cおよび受電コイル11Cの第1方向Y1および第3方向X1の位置が合った状態で、送電コイル20Cに電流を供給する(ステップS8)。すなわち、送電コイル20Cを通電する。これにより、電動搬送車10の充電が行われる。
【0067】
なお、乗用車としての電気自動車は、主に公道を走行することを目的としており、美観が重視される。充電の際に充電装置20の一部(すなわち、第1接触部材41および第2接触部材42)がサイドカバーに接触すると、サイドカバーに跡が付くおそれがある。そのため、乗用車としての電気自動車の充電には、サイドカバーに跡が付くことを確実に防止すべく、ギャップセンサのような非接触式のセンサを用いることが好ましい。これに対し、電動搬送車10は、工場等において使用され、物品の搬送を目的とした車両である。電動搬送車10は、電気自動車ほどには美観が重視されない。そのため、充電の際に充電装置20の一部が側部11Sに接触しても、特に問題はない。本実施形態に係る充電装置20は、このような電動搬送車10の特性に基づいたものである。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る充電装置20によれば、第1アクチュエータ21Aが移動部材21を第1方向Y1に駆動すると、送電コイル20Cは第1方向Y1に移動し、電動搬送車10の受電コイル11Cに接近する。第1接触部材41および第2接触部材42が牽引車11の側部(以下、電動搬送車10の側部という)11Sに接触した後、回転部材22は第1方向Y1に移動可能であるが、コイル支持部材23の第1方向Y1への移動は規制される。そのため、回転部材22に対するコイル支持部材23の第1方向Y1の位置は変化する。この位置変化は第1センサ51によって検出される。第1センサ51の検出結果に基づき、送電コイル20Cが受電コイル11Cに接近したことが検出される。すなわち、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第1方向Y1の位置が合ったことが自動的に検出される。
【0069】
また、本実施形態に係る充電装置20によれば、回転部材22は移動部材21に対して鉛直線回りに回転可能である。そのため、回転部材22に支持されるコイル支持部材23は、鉛直線回りに回転可能である。電動搬送車10が左右に傾いた状態で停車している場合、第1接触部材41および第2接触部材42のいずれか一方が電動搬送車10の側部11Sに接触した後、コイル支持部材23は電動搬送車10の側部11Sに倣って左右に傾く。そのため、送電コイル20Cの向きが変わり、送電コイル20Cは受電コイル11Cに対して自動的に正対する。
【0070】
このように、本実施形態に係る充電装置20によれば、電動搬送車10が左右に傾いた状態で停車した場合であっても、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第1方向Y1の位置合わせが自動的に行われると共に、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの向きが自動的に揃うので、効率の良い充電が行われる。
【0071】
また、本実施形態に係る充電装置20によれば、第2センサ52からの信号に基づき、第2アクチュエータ24Aを制御することにより、送電コイル20Cの第3方向X1の位置が調整される。そのため、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第3方向X1の位置合わせが自動的に行われる。
【0072】
送電コイル20Cおよび受電コイル11Cの第3方向X1の位置を合わせる際、第1接触部材41および第2接触部材42は、電動搬送車10の側部11Sに接触したまま第3方向X1または第4方向X2に移動する。しかし、本実施形態によれば、第1接触部材41の接触部は第1ローラ41bによって構成され、第2接触部材42の接触部は第2ローラ42bにより構成されている。そのため、第1接触部材41および第2接触部材42は、第3方向X1および第4方向X2に円滑に移動する。よって、送電コイル20Cと受電コイル11Cとの第3方向X1の位置合わせを容易に行うことができる。また、電動搬送車10の側部11Sは、第1接触部材41および第2接触部材42によって擦られないので、跡が付きにくい。なお、第1ローラ41bおよび第2ローラ42bの材料は特に限定されないが、電動搬送車10の側部11Sに跡が付きにくいように、第1ローラ41bおよび第2ローラ42bはゴム製であってもよい。
【0073】
本実施形態では、第1接触部材41および第2接触部材42は、送電コイル20Cよりも上方に配置されている。そのため、送電コイル20Cを受電コイル11Cに近づける際に、第1接触部材41および第2接触部材42が邪魔になることはない。また、第1接触部材41および第2接触部材42を電動搬送車10の側部11Sに接触させた状態のまま第3方向X1または第4方向X2に移動させる際に、第1接触部材41および第2接触部材42が受電コイル11Cに干渉することが避けられる。なお、第1接触部材41および第2接触部材42は、送電コイル20Cよりも下方に配置されていてもよい。この場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0074】
本実施形態に係る物品搬送システム100によれば、上述のように電動搬送車10の充電作業を迅速かつ効率良く行うことができるので、物品の搬送業務の効率を向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、電動搬送車10は自動運転車であるので、物品の搬送業務の効率を更に向上させることができる。また、電動搬送車10は、充電に先立って、車両位置センサ29の検出結果に基づいて充電装置20の側方に自動的に停車する。そのため、物品の搬送業務の効率を更に向上させることができる。
【0076】
以上、一実施形態について説明したが、前記実施形態は例示に過ぎない。他にも様々な実施形態が可能である。以下、他の実施形態の例について簡単に説明する。
【0077】
前記実施形態では、可動部材21Kは、ベース部材25に第3方向X1および第4方向X2に移動可能に支持された移動部材24と、移動部材24に第1方向Y1および第2方向Y2に移動可能に支持された移動部材21と、移動部材21に鉛直線回りに回転可能に支持された回転部材22とを有している。しかし、可動部材21Kは、ベース部材25に対して、第1方向Y1および第2方向Y2に移動可能、かつ、第3方向X1および第4方向X2に移動可能、かつ、鉛直線回りに回転可能であればよく、その構成は特に限定されない。例えば、可動部材21Kは、ベース部材25に第3方向X1および第4方向X2に移動可能に支持された移動部材と、この移動部材に鉛直線回りに回転可能に支持された回転部材と、この回転部材に第1方向Y1および第2方向Y2に移動可能に支持された他の移動部材とを有していてもよい。例えば、可動部材21Kは、ベース部材25に第1方向Y1および第2方向Y2に移動可能に支持された移動部材と、この移動部材に第3方向X1および第4方向X2に移動可能に支持された他の移動部材と、この他の移動部材に鉛直線回りに回転可能に支持されたコイル支持部材とを有していてもよい。
【0078】
充電動作において、ステップS2~S4はステップS5~S7の後に行われてもよい。ステップS2~S4の一部または全部と、ステップS5~S7の一部または全部とは、同時に行われてもよい。
【0079】
第1センサ51は可動部材21Kに対する送電コイル20Cの第1方向Y1の位置を検出可能なセンサであれば足り、特に限定されない。第1センサ51は、接触式のセンサであってもよく、非接触式のセンサであってもよい。第1センサ51は、磁気センサであってもよく、光学センサであってもよい。
【0080】
第2センサ52は赤外線センサに限られない。第2センサ52は、他の光学センサであってもよく、磁気センサであってもよい。第2センサ52は、非接触式のセンサに限らず、接触式のセンサであってもよい。
【0081】
車両位置センサ29は、反射式の光学センサに限られない。車両位置センサ29は、他の光学センサであってもよく、磁気センサであってもよい。車両位置センサ29は、非接触式のセンサに限らず、接触式のセンサであってもよい。
【0082】
コイル支持部材23を第1方向Y1に付勢する弾性体は、コイル支持部材23を第1方向Y1に押す圧縮ばねに限られない。弾性体は、コイル支持部材23を第1方向Y1に引っ張る引張ばねであってもよい。弾性体は、コイルばねに限らず、他の形態のばねであってもよい。例えば、弾性体は、シリンダおよびロッドを有する空気ばねであってもよい。
【0083】
第1接触部41bおよび第2接触部42bを構成する回転体は、ローラに限られない。回転体は、少なくとも鉛直線回りに回転可能なボールであってもよい。
【0084】
電動搬送車10は、自律走行可能な自動運転車に限られない。電動搬送車10は、誘導線を検出する装置を有し、地中に埋められた誘導線に沿って自動走行する自動運転車であってもよい。また、電動搬送車10は自動運転車に限定されない。電動搬送車10は、人が運転する車両であってもよい。電動搬送車10は、屋外のみを走行する車両であってもよく、屋内のみを走行する車両であってもよい。
【0085】
物品搬送システム100が設置される場所は工場の敷地1に限られない。物品搬送システム100は、電動搬送車10が利用される任意の場所に適用可能である。例えば、物品搬送システム100は、配送センター、ショッピングモールなどに設置してもよい。
【0086】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0087】
10…電動搬送車、11…牽引車、11A…車体、11B…バッテリ、11C…受電コイル、11E…コントローラ(制御装置)、11M…電動モータ、11W…車輪、12…被牽引車、12A…荷台、12W…車輪、20…充電装置、20C…送電コイル、21…移動部材、21A…第1アクチュエータ、21K…可動部材、22…回転部材、23…コイル支持部材、24…移動部材(他の移動部材)、24A…第2アクチュエータ、25…ベース部材、28…ばね(弾性体)、29…車両位置センサ、41…第1接触部材、41a…第1延伸部材、41b…第1接触部、42…第2接触部材、42a…第2延伸部材、42b…第2接触部、51…第1センサ、52…第2センサ、60…コントローラ(制御装置)、61S…第1移動開始部、61D…第1判定部、61E…第1移動終了部、62A…アクチュエータ制御部、62D…第2判定部、62E…第2移動終了部、Y1…第1方向、Y2…第2方向、X1…第3方向、X2…第4方向