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  • 特許-ストーマ袋装飾用キット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ストーマ袋装飾用キット
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/445 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A61F5/445
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022002905
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2022-08-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイト1)https://readyfor.jp/projects/colorfulstoma(令和3年10月14日), 2)https://wwwd.pikara.ne.jp/kobayasi/infor-05.html#pauchi(令和3年10月8日),3)https://alcare.co.jp/user/stoma-care/news/20211014.html(令和3年10月14日)にて掲載。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518268606
【氏名又は名称】医療法人社団小林内科小児科医院
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】小林 稔
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5759180(US,A)
【文献】登録実用新案第3157339(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0123362(US,A1)
【文献】特開2013-212414(JP,A)
【文献】特表2008-545456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に装飾面を有する基材の裏面側が粘着層を介して剥離紙により覆われた装飾体と、
前記装飾体を一対のシート部材により挟持して収容する収容体とを備え、
前記装飾体を前記収容体と共に切断して切り出された前記基材をストーマ袋に粘着することができるストーマ袋装飾用キットであって、
前記基材は、ストーマ袋の通気口に対応する位置に開口部を有しており、
一対の前記シート部材の少なくとも一方には、収容された前記装飾体の前記開口部を取り囲むように閉曲線が複数表示されているストーマ袋装飾用キット。
【請求項2】
複数の前記閉曲線が表示された前記シート部材に、前記各閉曲線に対応する通気口形状の集合体からなる位置決め部が表示されている請求項1に記載のストーマ袋装飾用キット。
【請求項3】
前記基材は、和紙からなる請求項1または2に記載のストーマ袋装飾用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストーマ袋装飾用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
病気や事故等の理由で腹部に新たに造設された便や尿の排泄口(ストーマ)に装着して排泄物を貯めることができるストーマ袋が従来から知られている。ストーマ袋は、医療用品であるため実用性が重視される一方で見栄えが悪くなり易いことから、ストーマ袋をシールやカバーで覆うことが検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたストーマ袋用貼り付けシートは、肌色の表面を有し、ストーマ袋の正面と同じもしくはそれより小さく形成されており、ストーマ袋に貼り付けることで、ストーマ袋の中身を見えなくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3157339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、市販されているストーマ袋は、形状や大きさが多種多様であることから、個々のストーマ袋に合わせて貼り付けシートを製造する場合には、製造コストが高くなるという問題がある。また、ストーマ袋の表面には、袋内部の排泄物が漏れ出るのを防止しつつ、内部の排泄物から生じるガスを脱臭して外部に排出するフィルタ付きの通気口が通常設けられているが、このフィルタの位置もストーマ袋によって相違するため、貼り付けシートによってフィルタを塞いだ場合には、ストーマ袋が膨張して破裂するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、ストーマ袋の装飾を低コストで安全に行うことができるストーマ袋装飾用キットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、表面側に装飾面を有する基材の裏面側が粘着層を介して剥離紙により覆われた装飾体と、前記装飾体を一対のシート部材により挟持して収容する収容体とを備え、前記装飾体を前記収容体と共に切断して切り出された前記基材をストーマ袋に粘着することができるストーマ袋装飾用キットであって、前記基材は、ストーマ袋の通気口に対応する位置に開口部を有しており、一対の前記シート部材の少なくとも一方には、収容された前記装飾体の前記開口部を取り囲むように閉曲線が複数表示されているストーマ袋装飾用キットにより達成される。
【0008】
このストーマ袋装飾用キットにおいて、複数の前記閉曲線が表示された前記シート部材には、前記各閉曲線に対応する通気口形状の集合体からなる位置決め部が表示されていることが好ましい。
【0009】
前記基材は、和紙からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のストーマ袋装飾用キットによれば、ストーマ袋の装飾を低コストで安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るストーマ袋装飾用キットの正面図である。
図2図1に示すストーマ袋装飾用キットの要部断面図である。
図3図1に示すストーマ袋装飾用キットの収容体の背面図である。
図4図1に示すストーマ袋装飾用キットの使用方法を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るストーマ袋装飾用キットの正面図である。図1に示すように、ストーマ袋装飾用キット1は、装飾体10と、装飾体10が収容される収容体20とを備えて構成されている。図1においては、装飾体10を収容体20から取り出した状態で示している。
【0013】
装飾体10は、プリント柄等からなる装飾面を表面側に有する矩形シート状の基材11を備えており、基材11をストーマ袋に貼り付けることで、ストーマ袋を装飾することができる。基材11の大きさは特に限定されないが、市販されている種々の形状・大きさのストーマ袋に対応可能であることが好ましく、JIS規格のB5サイズを例示することができる。
【0014】
基材11の材質は特に限定されるものではなく、例えば合成樹脂や紙などを挙げることができ、特に、撥水性を有する和紙を使用する場合には、入浴等の際にも良好な装飾効果を長時間維持することができる。和紙からなる基材11は、強靭な一方で厚みが薄く柔軟であるため、ストーマ袋のロールアップ(巻き上げ)にも容易に追従させることができると共に、不快な擦れ音が生じないため使用感の悪化を抑制することができる。
【0015】
基材11には、ストーマ袋の通気口に対応する開口部14が形成されている。開口部14は単一であってもよいが、通気口の位置や大きさはストーマ袋によって若干異なるため、種々のストーマ袋の通気口に対応する位置を開口できるように、複数形成されていることが好ましい。開口部14は、基材11に予め形成された開口部分であってもよく、あるいは、ハーフカットやミシン目などにより形成して必要箇所を使用時に容易に開口できるように区画された部分であってもよい。
【0016】
図2は、図1に示すストーマ袋装飾用キット1の装飾体10が収容体20に収容された状態を示す要部断面図である。装飾体10は、基材11の裏面側が粘着層12を介して剥離紙13により覆われている。粘着層12は、例えばアクリル系やゴム系の粘着剤を使用することができる。また、剥離紙13は、例えば合成樹脂や紙などから形成することができ、粘着層12から容易に剥離できるようにシリコン処理などを施すことができる。
【0017】
図3は、図1に示すストーマ袋装飾用キット1の収容体20の背面図である。図1から図3に示すように、収容体20は、矩形状に形成された一対のシート部材21,22を備えている。一対のシート部材21,22は、公知のクリアファイルと同様に、隣接する2辺の縁部E1,E2において互いに接合されており、残りの2辺の縁部を介して装飾体10を挿入することにより、装飾体10を挟持して収容することができる。シート部材21,22の材料は特に限定されないが、合成樹脂や薄紙などを例示することができる。シート部材21,22は、透明または半透明であることが好ましい。一対のシート部材21,22の大きさは、装飾体10の全体を確実に収容することができるように、装飾体10よりも若干大きいことが好ましい。
【0018】
一対のシート部材21,22には、それぞれ複数の閉曲線21a,22aが印刷等により表示されている。各閉曲線21a,22aの形状は、市販されている種々のストーマ袋の形状に合致しており、収容された装飾体10の開口部14は、各閉曲線21a,22aによって取り囲まれる。各閉曲線21a,22aは、複数箇所で互いに交差することから、判別を容易にするためそれぞれ異なる線色、線種または線幅で表示されることが好ましい。閉曲線21a,22aにはハーフカットやミシン目などを形成してもよく、これによって、後述する鋏を用いた基材11の切り出しを、閉曲線21a,22aに沿って容易且つ正確に行うことができる。
【0019】
また、一対のシート部材21,22には、収容された装飾体10の開口部14に対応する位置に、位置決め部21b,22bが印刷等で表示されている。位置決め部21b,22bは、各閉曲線21a,22aに対応するストーマ袋の通気口形状の集合体からなり、各通気口形状は、閉曲線21a,22aを対応するストーマ袋の輪郭に合わせたときに、ストーマ袋の通気口の開口縁に合致する。なお、使用するストーマ袋に対応する閉曲線21a,22aが存在しない場合には、ストーマ袋を、通気口が位置決め部21b,22bの通気口形状に合致するように一対のシート部材21,22上に載置して、輪郭線を油性ペン等により記入することで、閉曲線21a,22aを後から追加することも可能である。
【0020】
本実施形態においては、複数の閉曲線21a,22aおよび位置決め部21b,22bが、一対のシート部材21,22の両方に互いに重なり合うように設けられているが、一対のシート部材21,22のいずれか一方のみに設けられてもよい。なお、位置決め部21b,22bは、本発明において必須のものではなく、位置決め部21b,22bを備えない構成であってもよい。
【0021】
次に、上記の構成を備えるストーマ袋装飾用キット1の使用方法を説明する。まず図2に示すように、収容体20に対して装飾体10を位置合わせして収容する。装飾体10と収容体20との位置合わせは、例えば、装飾体10の開口部14を収容体20の位置決め部21b,22bに合わせて行うことができ、あるいは、装飾体10の角部を収容体20の角部に合わせて行うことができる。収容体20には単一の装飾体10を収容してもよく、あるいは、複数の装飾体10を重ね合わせて収容してもよい。
【0022】
ついで、使用するストーマ袋の形状に対応する閉曲線21a,22aを選択し、この閉曲線21a,22aに沿って、装飾体10および収容体20を鋏Sなどで切断する。こうして切り出された基材11から剥離紙13を剥離して、図4に示すようにストーマ袋50の表面に貼り付けることにより、作業が完了する。基材11をストーマ袋50に粘着する際には、通気口51を閉塞することがないように、開口部14を通気口51に確実に一致させる。
【0023】
ストーマ袋50に対する基材11の粘着は、ストーマ袋50を交換するタイミング等で適宜行うことができ、新たなストーマ袋50を身体に装着する前に行うことで作業性を高めることができる。ストーマ袋50を交換する毎に、基材11の柄や色などを変えることで、ストーマ袋50の使用者に生じるマンネリ感や苦痛を抑制し、明るい気持ちで日々を過ごす一助にすることができる。また、入浴等の際には、基材11の柄などで周囲の人とのコミュニケーションを図ることができる。
【0024】
本実施形態のストーマ袋装飾用キット1は、一対のシート部材21,22の少なくとも一方に対して、収容された装飾体10の開口部14を取り囲む閉曲線21a,22aが複数表示されているため、種々の形状を有するストーマ袋50に対応可能であり、量産による製造コストの低減を図ることができる。また、開口部14を介してストーマ袋50の通気口51を外部と連通させることができるため、ストーマ袋50の膨張による破裂を確実に防止することができ、安全性を維持することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 ストーマ袋装飾用キット
10 装飾体
11 基材
12 粘着層
13 剥離紙
14 開口部
20 収容体
21,22 シート部材
21a,22a 閉曲線
21b,22b 位置決め部
【要約】      (修正有)
【課題】ストーマ袋の装飾を低コストで安全に行うことができるストーマ袋装飾用キットを提供する。
【解決手段】表面側に装飾面を有する基材11の裏面側が粘着層12を介して剥離紙13により覆われた装飾体10と、装飾体10を一対のシート部材21により挟持して収容する収容体20とを備え、装飾体10を収容体20と共に切断して切り出された基材11をストーマ袋に粘着することができるストーマ袋装飾用キット1であって、基材11は、ストーマ袋の通気口に対応する位置に開口部14を有しており、シート部材21には、収容された装飾体10の開口部14を取り囲むように閉曲線21aが複数表示されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4