(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】遊戯拡張具、及び盤上遊戯具
(51)【国際特許分類】
A63F 3/00 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A63F3/00 514E
A63F3/00 513A
A63F3/00 506Z
A63F3/00 502
(21)【出願番号】P 2020219587
(22)【出願日】2020-12-10
(62)【分割の表示】P 2020028792の分割
【原出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-06-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302019935
【氏名又は名称】中林 猛季
(72)【発明者】
【氏名】中林 猛季
【審査官】安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】特許第6823239(JP,B1)
【文献】実開昭52-003687(JP,U)
【文献】米国特許第4497491(US,A)
【文献】米国特許第3531123(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0160007(US,A1)
【文献】米国特許第4776597(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 3/00-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形のマスが縦横同数形成されたマス目からなる競技面を有する遊戯盤と、少なくとも二人以上の競技者がそれぞれ担当することとなる種類を有し、前記遊戯盤のマス内に個々に載置することとなる複数の遊戯石と、から構成される盤上遊戯具において、遊戯石が並べられたマス内に載置して用いる遊戯用の道具であって、
前記遊戯盤のマス内に並べられた遊戯石が外部から視認できないように覆い隠してなる被覆手段を備えると共に、当該被覆手段の上面に、新たな遊戯石の載置を可能とする拡張競技領域を設けてなり、さらに、当該拡張競技領域の上部へ互いの積み重ねを可能とするガイド手段を備える、
ことを特徴とする遊戯拡張具。
【請求項4】
四角形のマスが縦横同数形成されたマス目からなる競技面を有する遊戯盤と、
少なくとも二人以上の競技者がそれぞれ担当することとなる数の種類を有し、前記遊戯盤のマス内に個々に載置する複数の遊戯石と、
前記遊戯石が並べられた各マス内にそれぞれ載置され、当該遊戯石が外部から視認できないように覆い隠してなる被覆手段を備えると共に、当該被覆手段の上面に、新たな遊戯石の載置を可能とする拡張競技領域を設けてなり、さらに、当該拡張競技領域の上部へ互いの積み重ねを可能とするガイド手段を備える複数の遊戯拡張具と、
から構成されることを特徴とする盤上遊戯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊戯盤上のマス目に並べた遊戯石の多さを争う対戦型の盤上遊戯具に用いられる遊戯拡張具と、この遊戯拡張具を用いる盤上遊戯具である。詳しくは、これまでの遊び方を変更することなく、遊戯盤上の全てのマスに遊戯石を並べた後も引き続き延長して楽しむことができるようにした盤上遊戯の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
マス目からなる競技面を有する遊戯盤上のマス内に並べた遊戯石の多さを争う対戦型の遊びの一つとして、源平碁やリバーシ(Reversi)、もしくはオセロ(Othello:登録商標)と称される盤上遊戯が広く知られている。
この遊びは、古くから知られており、ルールが単純明快であることから老若男女を問わず万人が楽しむことができるものとなっている。
【0003】
この遊びの具体的なルールは、たとえば、まず、一面側に黒色が施されると共に他面側に白色が施された、円盤状をした遊戯石を遊戯盤上に設けたマス目の一マスに交互に載置する。この際、自分を識別する色彩の二つの遊戯石が縦、横、斜めにおいて相手を識別する色彩の遊戯石を挟んだとき、相手を識別する色彩の遊戯石を裏返して自分を識別する色彩の遊戯石とするものである。そして、遊戯盤上の全てのマス内に遊戯石を並べた後、自分を識別する色彩の遊戯石の数と相手を識別する色彩の遊戯石の数とを比較し、多くの遊戯石を並べた者を勝者とするものである(非特許文献1を参照)。
【0004】
近年、このような遊びを行うための遊戯具に様々な工夫を施したものが提案されている。
たとえば、遊戯中に駒(遊戯石)が所定のマス目から区画線を越えて隣接するマス目内にはみ出すのを防止し得る手段が講じられた遊戯具が提案されている(特許文献1を参照)。
また、遊戯盤上に摺動可能に複数の移動盤を設けることで、従来の遊びを改良した新規で奥が深く興趣ある遊戯具も提案されている(特許文献2を参照)。
【0005】
しかしながら、何れの遊戯具においても、遊戯盤上の全てのマスに遊戯石が並べられたら遊びは終了となり、引き続き遊びを楽しむには、もう一度最初から行わなければならない。
また、どのマス内に遊戯石を置くかといった興趣性はあるものの、戦術としての定石があり、相手に定石通りに進行された場合、途中で形勢を逆転することが難しく、射幸性に欠けるものである。すなわち、相手に悪手を誘う、いわゆる変化手が行うことが難しく、途中から面白みが低下してしまうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3162490号公報
【文献】特開2012-254227号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「オセロ(遊戯)」<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%BB%E3%83%AD_(%E9%81%8A%E6%88%AF)>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、これまでの遊び方を変更することなく、遊戯盤上の全てのマスに遊戯石を並べた後も引き続き延長して楽しむことを可能とした、射幸性の向上した盤上遊戯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る盤上遊戯具は、四角形のマスが縦横同数形成されたマス目からなる競技面を有する遊戯盤と、少なくとも二人以上の競技者がそれぞれ担当することとなる数の種類を有し、遊戯盤のマス内に個々に載置する複数の遊戯石と、遊戯石が並べられた各マス内にそれぞれ載置される複数の遊戯拡張具と、から構成されている。
【0010】
この遊戯石は、各競技者が自他識別可能とするものあれば良く、たとえば、競技者の数だけ形状や色彩、模様がそれぞれ異なる複数の種類を競技者ごとに個々に設けるようにしても良い。また、遊戯石は、形状は同じであるが、競技者の数だけ色彩や模様がそれぞれ異なる複数の種類を競技者ごとに個々に設けるようにしても良い。さらに、遊戯石は、競技者の数に相当する複数の面を有する単一のものとし、各面の色彩や模様が異なることで、各競技者が自他識別可能とするものでも良い。
【0011】
すなわち、遊戯石を単一のものとした場合、たとえば、競技者が二人であれば、表面と裏面といった二つの面で識別可能な色彩や模様が施された円形などの平盤体とすることができる。また、競技者が四人であれば、四つの面でそれぞれ識別可能な色彩や模様が施された正三角錐などの四面体とすることができる。遊戯石は、識別可能な複数の面を有する単一のものとすることで、各競技者が一つの遊戯石を共通して効率良く用いることができるものとなるので望ましい。
【0012】
遊戯拡張具は、本願の発明者によって提案された遊戯用の新たな道具であって、遊戯石が外部から視認できないように覆い隠してなる被覆手段を備えると共に、被覆手段の上面に、新たな遊戯石の載置を可能とする拡張競技領域を設けてなり、さらに、複数段の積み重ねを可能とするガイド手段をさらに備える。
この遊戯拡張具は、これまでの遊び方を基本的に変更することなく、同じ遊び方を踏襲して用いることができる。
【0013】
すなわち、本発明に係る遊戯拡張具は、本発明に係る盤上遊戯具だけに用いられるものではなく、マス目からなる競技面を有する遊戯盤と、少なくとも二人以上の競技者がそれぞれ担当することとなる種類を有し、遊戯盤のマス内に個々に載置することとなる複数の遊戯石と、から構成された従来の盤上遊戯具においても用いることができるものである。
【0014】
ここで、上述した「これまでの遊び方」とは、各競技者がマス内に遊戯石を順番に並べていき、一人の競技者が担当する種類の遊戯石が、競技面の縦、横、斜めにおいて他の競技者が担当する種類の遊戯石を挟んだ場合に、挟まれた遊戯石の種類を挟んだ遊戯石の種類に変更する条件(ルール)をいう。そして、この遊びでは、全てのマス内に遊戯石を並べた結果、最終的にどの種類の遊戯石が競技面に一番多く並べられているかを競うものとなっている。
【0015】
一方、本発明に係る遊戯拡張具を用いた遊び方がこれまでの遊び方と異なる点としては、遊戯盤上の平面的なマス目の他に、各マス内に個々に載置される遊戯拡張具の上面に設けられた拡張競技領域をも競技面とする立体的なものある。ゆえに、本発明に係る遊戯拡張具での遊び方は、遊戯盤の全てのマス内に遊戯石を並べるこれまでの遊び方に引き続き、マス内に並べられた遊戯石が外部から視認できないように遊戯拡張具で覆い隠すことで形成された個々の拡張競技領域の全てに、新たな遊戯石をそれぞれ並べるものとする。その結果、最終的にどの種類の遊戯石が競技面に一番多く並べられているか(並べられていたか)、その数を競うものである。
【0016】
したがって、この盤上遊戯具を用いた競技(遊戯)での勝敗は、たとえば、遊戯盤のマス目に並べられた遊戯石の個々の数と、遊戯拡張具の拡張競技領域に並べられた遊戯石の個々の数とで別々に判断しても良いし、遊戯石の種類ごとにその数を合算して判断しても良い。すなわち、遊戯盤のマス目に遊戯石を並べる場合を第一ゲームとし、遊戯拡張具の拡張競技領域に遊戯石を並べる場合を第二ゲームとして判断するものとしても良い。また、遊戯盤のマス目に遊戯石を並べる場合を前半、遊戯拡張具の拡張競技領域に遊戯石を並べる場合を後半として、それぞれの終了時点での遊戯石の数の合計で判断するものとしても良い。
【0017】
また、この盤上遊戯具を用いた遊び方は、遊戯盤のマス目の全てのマス内に遊戯石を並べ、引き続き当該遊戯石が外部から視認できないように遊戯拡張具で個々に覆い隠すことで形成された全ての拡張競技領域に、新たな遊戯石をそれぞれ並べることで終了として良い。さらに、遊戯盤のマス目から遊戯拡張具を個々に取り去って、覆い隠された全ての遊戯石を露呈させることを第三ゲームもしくは延長戦として行うものとしても良い。
【0018】
また、本発明に係る遊戯拡張具において拡張競技領域は、遊戯盤のマスの形状とは異なる形状であることが望ましい。すなわち、遊戯盤のマスの形状は四角形(正方形)であるから、拡張競技領域の形状は、たとえば、平面視形状が八角形や円形とすることが望ましい。このように遊戯盤のマスの形状と拡張競技領域の形状とを異なるものとすることで、隣接して配された遊戯拡張具における拡張競技領域同士の間に隙間が生じる。そして、マス内に載置した遊戯拡張具を取り除く際に、当該隙間への指の挿入が可能となり、隣接する遊戯拡張具が邪魔になることなく、目的とする遊戯拡張具を摘まんで取り除く作業が容易に行えるものとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の盤上遊戯具は、新たな遊戯石の載置を可能とする拡張競技領域を設けた遊戯拡張具を備える。ゆえに、遊戯盤上の全てのマスに遊戯石を平面的に並べた後、この遊戯石を遊戯拡張具によって覆い隠すことで、遊戯盤のマス目に並べられた個々の遊戯石の上方に新たな競技面をそれぞれ設け、マス目に平行な競技領域を立体的に備えるものとすることができる。
【0020】
したがって、マス目からなる競技面を有する遊戯盤と、当該遊戯盤のマス内に個々に載置することとなる複数の遊戯石と、から構成される従来の盤上遊戯具でのこれまでの遊び方を変更することなく、遊戯盤上の全てのマスに遊戯石を並べた後も引き続き延長して遊びを楽しむことが可能な、射幸性の向上した盤上遊戯具を提供することができる。
【0021】
また、本発明の遊戯拡張具は、遊戯盤のマス目の個々のマス内にそれぞれ載置し、上面に設けられた全ての拡張競技領域に新たな遊戯石をそれぞれ並べた後、引き続き遊戯盤のマス目から取り去ることができる。ゆえに、覆い隠された遊戯石を露呈させることで、恰も競技者が遊戯盤のマス目に新たに遊戯石を並べたようにして延長して遊びを楽しむことが可能となる。
この際、遊戯拡張具を取り去ることで露呈する遊戯石の種類は、競技者の意図に関係なく遊戯拡張具を被せた時のものである。ゆえに、その種類を記憶しておかないと相手の競技者に優位な一手(相手の競技者が担当する種類の遊戯石を並べたもの)となりかねず、意外性を備えた遊びとすることができる。
【0022】
さらに、本発明の遊戯拡張具は、複数段の積み重ね(拡張競技領域の上部への遊戯拡張具のさらなる積み重ね)を可能とするガイド手段を備える。ゆえに、遊戯盤のマス目に並ベられた個々の遊戯石の上方に、複数の遊戯拡張具によって、マス目に平行な複数の拡張競技領域からなる新たな競技面を立体的に複数備えるものとすることができ、積み上げた遊戯拡張具の数だけ遊びを延長して楽しむことができる。
【0023】
しかも、遊戯盤のマス目に並べられた遊戯石は、遊戯拡張具の上面に新たな遊戯石を並べることで他の種類の遊戯石を挟むと、その都度種類が変更されるものとなる。ゆえに、全てのマスに遊戯石が並べられた際に全体を記憶したとしても、遊戯拡張具を被せた時の遊戯石の種類を確実に記憶しておかないと、悪手になりかねない非常に高い記憶力を要する遊びといえる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】 本発明に係る盤上遊戯具の構成を示す概略図である。
【
図2】 本発明に係る遊戯拡張具を示す斜視図である。
【
図3】 本発明に係る遊戯拡張具を示す平面図である。
【
図4】 [
図3]に示すI-I線に沿う遊戯拡張具の断面図である。
【
図5】 本発明に係る盤上遊戯具を用いたこれまでの遊び方を説明する概略図である。
【
図6】 本発明に係る盤上遊戯具において遊戯拡張具の使い方を説明する(A)遊戯石に遊戯拡張具を被せる状態を示す斜視図、(B)遊戯石に遊戯拡張具を披せた後の状態を示す中央縦断面図である。
【
図7】 本発明に係る盤上遊戯具において遊戯拡張具を用いた新たな遊び方を説明する概略図である。
【
図8】 本発明に係る盤上遊戯具において遊戯拡張具を用いた新たな遊び方を説明する概略図である。
【
図9】 本発明に係る盤上遊戯具において遊戯拡張具の使い方を説明する(A)遊戯拡張具の上面に設けられた拡張競技領域に新たな遊戯石を載置した状態を示す中央縦断面図、(B)その平面図である。
【
図10】 本発明に係る盤上遊戯具において遊戯拡張具を用いた新たな遊び方を説明する概略図である。
【
図11】 本発明に係る盤上遊戯具において遊戯拡張具を用いた新たな遊び方を説明する概略図である。
【
図12】 本発明に係る盤上遊戯具において遊戯拡張具を取り去る更なる遊び方を説明する概略図である。
【
図13】 本発明に係る盤上遊戯具において遊戯拡張具を取り去る更なる遊び方を説明する概略図である。
【
図14】 本発明に係る盤上遊戯具において遊戯拡張具を取り去る更なる遊び方を説明する概略図である。
【
図15】 本発明に係る盤上遊戯具において遊戯拡張具の更なる使い方を説明する、遊戯拡張具の上に積み重ねた新たな遊戯拡張具の上面に設けられた拡張競技領域に新たな遊戯石を載置する状態を示す中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る遊戯拡張具を用いた盤上遊戯具の実施の形態の一例について、図面に基づき説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態における盤上遊戯具50は、遊戯盤20と、複数の遊戯石30・・30と、複数の遊戯拡張具10・・10と、を備えることにより構成されている。
【0027】
遊戯盤20は、盤面21の上に、縦横同数のマス23が形成されたマス目22からなる競技面を有する。
図においてマス目22は、縦にマス23が8個、横にマス23が8個それぞれ設けられた、合計64個のマス23を有するものとして示されている。ゆえに、競技面22の縦、横だけでなく、斜めにおいても一直線状に遊戯石30を並べることができるものとなっている。なお、マス目22は、8行×8列のマス23で構成されたものに限定されることなく、縦横同数のマス23が形成されるものであれば、マス23の数は適宜増減しても良い。
【0028】
また、マス23は、上面が平坦であるのが一般的であるが、遊戯石30の外径と同じもしくは若干大きい寸法で窪んだものとしても良い。これにより、マス3内に置かれた遊戯石30の位置が乱れることなく整列するものとなり、遊戯拡張具10のマス23内への載置が整然と行えるものとなる。
【0029】
遊戯石30は、遊戯盤20のマス23内に個々に載置することが可能な形状及び大きさをし、各競技者がそれぞれ担当することとなる種類の識別が可能なものとなっている。この遊戯石30としては、たとえば、二人の競技者がそれぞれ担当する種類の識別が可能なように、一面側と他面側とで色彩が異なるものとすることができる。
図において遊戯石30は、一面側が白色、他面側が黒色である、平面視形状が円形をした、円盤状の単一のものとして示されている。
【0030】
ゆえに、遊戯石30の形状や大きさ、色彩の組み合わせが全く同じ単一のものであっても、円盤状をした遊戯石30を反転させることで、各競技者がそれぞれ担当することとなる種類の識別が可能なものとなっている。
なお、遊戯石30は、各競技者がそれぞれ担当する種類の識別が可能なものであれば、一面側と他面側とで色彩が異なるものに限定されることなく、一面側と他面側とで模様が異なるものとしても良い。この模様としては、たとえば、動物や花の絵の他に、戦国武将や競技者の家紋といった紋章を施したものとすることができる。
【0031】
遊戯拡張具10は、遊戯盤20と遊戯石30とから構成された従来の盤上遊戯具でのこれまでの遊び方を基本的に変更することなく、同じ遊び方を踏襲して用いることを可能とする遊戯用の道具である。この遊戯拡張具10は、遊戯石30が並べられた各マス23・・23内にそれぞれ載置される形状及び大きさをしたものであって、
図2乃至
図4に示すように、被覆手段11を備えると共に、その上面に拡張競技領域12が設けられたものとなつている。
【0032】
被覆手段11は、遊戯石23が外部から視認できないように覆い隠してなる逆凹状をした部材であって、周壁部111と天部112とから構成されたものとなっている。すなわち、被覆手段11は、平板状をした天部112の周縁部から下方に向かって垂下した周壁部111を有するものとなっている。
【0033】
拡張競技領域12は、被覆手段11の上面に新たな遊戯石30の載置を可能とする平坦な部位である。すなわち、拡張競技領域12は、覆い隠した遊戯石30の上方に新たな遊戯石30を積み重ねることを可能とするため、被覆手段11の天部112の外面(上面)が兼ねるものとなっている。
【0034】
この拡張競技領域12は、遊戯盤20におけるマス23の形状(四角形)とは異なる形状、たとえば、平面視形状が八角形や円形とすることが望ましい。すなわち、遊戯盤20のマス23の形状と、拡張競技領域12の形状とが同じであると、遊戯拡張具10がマス目22に隙間なく並べられたものとなってしまう。その結果、任意のマス23内に載置した遊戯拡張具10を一つだけ取り除く際に、遊戯拡張具10の上縁や側面を摘まむための指の挿入が困難なものとならざるを得ない。
【0035】
ゆえに、遊戯盤20のマス23の形状と、拡張競技領域12の形状とを異なるものとすることで、隣接する拡張競技領域12,12同士の間に隙間Sが生じ、マス23内に載置した遊戯拡張具10を取り除く際に当該隙間Sへの指の挿入が可能となる。その結果、隣接する遊戯拡張具10が邪魔にならずに、目的とする遊戯拡張具10を取り除く作業を容易に行うことができるものとなる。
図において遊戯拡張具10は、周壁部111が八面体、及び拡張競技領域12を兼ねる天部112が平面視形状八角形をした、高さが低く平たい逆さ凹状体をしたものとして示されている。
【0036】
なお、拡張競技領域12は平坦であっても良いが、遊戯盤20のマス23と同様に、遊戯石30の外径と同じもしくは若干大きい寸法で窪んだものとしても良い。これにより、拡張競技領域12に置かれた遊戯石30の位置が乱れることなく整列するものとなり、拡張競技領域12への遊戯石30の載置が容易に、かつ、確実に安定して行えるものとなる。
【0037】
また、遊戯拡張具10は、拡張競技領域12に載置される遊戯石30の外側を囲むこととなる位置に、突出した位置決め手段を備えるものとしても良い。この位置決め手段は、拡張競技領域12から遊戯石30がはみ出してしまうことを防止するものであって、たとえば、図に示すように、複数の凸部15・・15から構成されるものとすることができる。図において凸部15は、八角形をした拡張競技領域12の各角部の近傍においてドーム状に突出する8個の凸部15・・15から構成されるものとして示されている。
【0038】
なお、凸部15は、必ずしも拡張競技領域12の各角部近傍に設ける必要はなく、たとえば、半分の四ヵ所に設けるものとしても良い。また、凸部15は、ドーム状に限らず、連続した土手状をしたものとしても良い。
【0039】
また、遊戯拡張具10は、互いの積み重ね(拡張競技領域12の上部へのさらなる積み重ね)を可能とするガイド手段をさらに備える。このガイド手段は、積み重ねられる遊戯拡張具10同士が互いに接する被覆手段11の下部に設けても良いし、拡張競技領域12の上面に設けても良いし、被覆手段11の下部と拡張競技領域12の上面の双方に設けるものとしても良い。
【0040】
すなわち、ガイド手段は、拡張競技領域12の上面外縁に係止するように被覆手段11の下端部に係止片を設けるようにしても良いし、被覆手段11の下端部が係止されるように拡張競技領域12の上面に係止突起を設けるようにしても良い。また、ガイド手段は、被覆手段11の下端部と拡張競技領域12の上面が嵌合するように、一方に突起を設けると共に、他方に孔部を設けるようにしても良い。
【0041】
図においてガイド手段は、下方に位置する遊戯拡張具10の拡張競技領域12において、上方に位置して載置された遊戯拡張具10の下端部のすぐ内側に相当する位置に設けられた、ドーム状に突出する8個の複数の凸部15・・15から構成されるものと示されている。すなわち、本実施の形態においてガイド手段は、位置決め手段を兼ねた複数の凸部15・・15として設けられたものとなっている。
【0042】
次に、このように構成された遊戯拡張具10を備える盤上遊戯具50での遊び方の一例として、一面側が黒色、他面側が白色である、平面視形状が円形をした円盤状の単一の遊戯石30を用い、二人の競技者のうち一方が黒色の遊戯石を担当し、他方が白色の遊戯石を担当するものとして競技を行う場合について説明する。
【0043】
まず、マス目22の中央に位置する縦横各2個のマス(合計4つのマス)23・・23内に、右上と左下が黒色、左上と右下が白色になるように、互い違いに遊戯石30をそれぞれ配置する。
次いで、この状態から黒色の遊戯石30を担当する競技者を先手として競技を開始する。二人の競技者は、残りの空いているマス23内に自分が担当する種類(色彩)の遊戯石30を順番(交互)に並べていく。
【0044】
この際、一人の競技者がマス23内に遊戯石30を並べることで、競技面22の縦、横、斜めにおいて他の競技者が担当する種類の遊戯石30を挟んだ場合、挟まれた他の競技者が担当する種類の遊戯石30を全てひっくり返し、挟んだ遊戯石30と同じ種類へと変更する。
【0045】
そして、
図5に示すように、全てのマス23が埋まるまで交互に遊戯石30を並べる。
従来の盤上遊戯具であれば、これにより競技が終了し、数多く並べられた色彩の遊戯石30を担当する競技者が勝ちとなるが、本発明では、遊戯拡張具10を用いることで引き続き競技を延長して楽しむことができる。
【0046】
ゆえに、ここでは、全てのマス23が遊戯石30で埋め尽くされた時点を第一ゲームとして、多く並べられた色彩の遊戯石30を担当する競技者がポイントを獲得するものとして中間判定を行うことができる。そして、引き続き行われる第二ゲームが終了した後に、獲得したポイントの数で競技の勝敗を決定する。
また、全てのマス23が遊戯石30で埋め尽くされた時点を前半戦とし、各競技者が担当する遊戯石の数をかぞえてそれぞれ控え、引き続き行われる後半戦が終了した後に、各競技者が担当する遊戯石の数と合算して競技の勝敗の決定するものとしても良い。
【0047】
図5においては、黒色の遊戯石30の数が30個、白色の遊戯石30の数が34個となり、白色の遊戯石30を担当する競技者が第一ゲームのポイントを獲得したもの、もしくは白色の遊戯石30を担当する競技者が前半戦を4個分リードしているものとなっている。
【0048】
本盤上遊戯具50では、引き続き競技を拡張して楽しむことができるものとなっている。
すなわち、
図6及び
図7に示すように、遊戯盤20のマス23内に並べられた遊戯石30が外部から視認できないように遊戯拡張具10で覆い隠すと共に、
図8及び
図9に示すように、この遊戯拡張具10の上面に設けられた拡張競技領域12を競技面として、新たな遊戯石30を積み重ねるように載置して第二ゲームもしくは後半戦を行う。
【0049】
図6において、白色である一面30a側が表面に露呈し、黒色である他面30b側が裏面となっている、平面視形状が円形をした円盤状の単一の遊戯石30を遊戯拡張具10で覆い隠す状態が示されている。
【0050】
また、
図7において、マス目22における一番左端の列の一番下の行のマス23に並べられた白色の遊戯石30を遊戯拡張具10で覆い隠す状態が示されている。
ここで、説明の便宜上、マス目22におけるマス23の位置を、アルファベットのA~Hを用いて「列」を示し、数字の1~8を用いて「行」を示すものとする。ゆえに、
図7では、A列の8行目に位置するマス23内に並べられた白色の遊戯石30が、点線矢印で示すように遊戯拡張具10で覆い隠されるものとして示されている。
【0051】
なお、マス目22におけるマス23の位置は、以下、アルファベットと数字だけで示すものとする。したがって、上述したA列の8行目に位置するマス23は、単に「A8」と示されるものとなる。
【0052】
そして、
図8及び
図9において、白色の遊戯石30を覆い隠した遊戯拡張具10の拡張競技領域12に、新たに黒色の遊戯石30を並べた状態が示されている。
ここで、図面において説明の便宜上、盤面21に直接載置された遊戯石30-1と示し、遊戯拡張具10の拡張競技領域12に載置された遊戯石30-2と示すものとし、以下、他の図面でも同様の符号を付して示すものとする。したがって、
図9においては、白色の遊戯石30-1が遊戯拡張具10で覆い隠され、この遊戯拡張具10の上面に設けられた拡張競技領域12に、黒色の遊戯石30-2が載置されたものとして示されている。
【0053】
また、
図9において、遊戯拡張具10の拡張競技領域12に置かれた遊戯石30-2は、複数の凸部15・・15によって拡張競技領域12からはみ出る(位置が乱れる)ことなく整列して置かれたものとなっている。
【0054】
この際、A8のマスに黒色の遊戯石30-2を並べることで、H1のマスに並べられている黒色の遊戯石30-1によって、A8のマスとH1のマスを直線で結んだ競技面22の斜めに位置する各マスにそれぞれ並べられた6個の白色の遊戯石30-1を挟み込んだものとなる。具体的には、B7のマスと、C6のマスと、D5のマスと、E4のマスと、F3のマスと、G2のマスにそれぞれ並べられた6個の白色の遊戯石30-1が、A8のマスとH1のマスに並べられた2つの黒色の遊戯石30-2,30-1で挟まれたものとなる。
【0055】
そうすると、
図10に示すように、A8のマスとH1のマスに並べられた2つの黒色の遊戯石30-2,30-1で挟まれた6個の白色の遊戯石30-1が、全てひっくり返されて黒色の遊戯石30-1へ変更されるものとなる。
図10において、B7のマスと、C6のマスと、D5のマスと、E4のマスと、F3のマスと、G2のマスにそれぞれ並べられていた白色の遊戯石30-1が、全て黒色の遊戯石30-1へ変更された状態が示されている。
【0056】
そして、
図11に示すように、全てのマス23が埋まるまで交互に遊戯拡張具10を載置すると共に、その拡張競技領域12に遊戯石30-2を並べていく。
これにより、第二ゲームもしくは後半戦が終了し、獲得したポイントの数もしくは担当する遊戯石30の数で競技の勝敗の決定することができる。
【0057】
図11においては、黒色の遊戯石30の数が47個、白色の遊戯石30の数が17個となっている。
そうすると、第二ゲームでは、黒色の遊戯石30を担当する競技者がポイントを獲得したものなり、第一ゲームは白色の遊戯石30を担当する競技者がポイントを獲得したので、ゲームの獲得ポイントは1対1の引き分けとなる。または、前半戦の遊戯石30の数と後半戦の遊戯石30の数とを合算すると、黒色の遊戯石30の数は、前半戦の30個と後半戦の47個を足した合計77個、白色の遊戯石30の数は、前半戦の34個と後半戦の17個を足した合計51個となり、黒色の遊戯石30を担当する競技者が26個差で勝ったものとなる。
【0058】
本発明では、遊戯拡張具10をさらに用いることで引き続き競技を延長して楽しむことができる。
すなわち、
図12及び
図13に示すように、遊戯盤20のマス目22から遊戯拡張具10と遊戯石30-2を取り去って、覆い隠された遊戯石30-1を露呈させることで第三ゲームもしくは延長戦を行うものである。
【0059】
図12に示すように、遊戯拡張具10は、遊戯盤20のマス23内に並べられた複数の遊戯拡張具10における拡張競技領域12同士の間に形成された隙間Sに指を挿入することで、隣接する遊戯拡張具10が邪魔にならずに目的とする遊戯拡張具10だけを容易に取り除くことができる。
図12において、複数の遊戯拡張具10における拡張競技領域12同士の間に隙間Sが生じ、G7のマスと、G8のマスと、H7のマスと、H8のマスとの間に、指を挿入する場合が例示されている。
【0060】
そして、
図13に示すように、H8のマスに載置された遊戯拡張具10と遊戯石30-2を取り去ることで、盤面21に直接載置された遊戯石30-1を露呈させる。
図13において、H8のマスから白色の遊戯石30-2を遊戯拡張具10と共に取り除くことで、黒色の遊戯石30-1が露呈した状態が示されている。
【0061】
この際、H8のマスに黒色の遊戯石30-1が露呈することで、新たに黒色の遊戯石30-1をH8のマスに並べたものとして扱う。そうすると、H5のマスに載置されている遊戯拡張具10の拡張競技領域12に並べられた黒色の遊戯石30-2によって、H5のマスとH8のマスを直線で結んだ競技面22の縦に位置する各マスにそれぞれ並べられた2個の白色の遊戯石30-2が、2つの黒色の遊戯石30-1,30-2で挟まれたものとなる。また、同時にF8のマスとH8のマスを直線で結んだ競技面22の横に位置するマスに並べられた1個の白色の遊戯石30-2が、2つの黒色の遊戯石30-1,30-2で挟まれたものとなる。さらに、同時にF6のマスとH8のマスを直線で結んだ競技面22の斜めに位置するマスに並べられた1個の白色の遊戯石30-2が、2つの黒色の遊戯石30-1,30-2で挟まれたものとなる。
【0062】
そうすると、
図14に示すように、H5のマスとH8のマスに並べられた2つの黒色の遊戯石30-1,30-2で挟まれた2個の白色の遊戯石30-2と、F8のマスとH8のマスに並べられた2つの黒色の遊戯石30-1,30-2で挟まれた1個の白色の遊戯石30-2と、F6のマスとH8のマスに並べられた2つの黒色の遊戯石30-1,30-2で挟まれた1個の白色の遊戯石30-2が、全てひっくり返されて黒色の遊戯石30-2へ変更されるものとなる。
【0063】
図14において、G7のマスと、G8のマスと、H6のマスと、H7のマスにそれぞれ並べられていた白色の遊戯石30-2が、全て黒色の遊戯石30-2へ変更された状態が示されている。
【0064】
そして、これ以降同様に、遊戯盤20の個々のマス目22から遊戯石30-2と遊戯拡張具10を全て取り去って、覆い隠された全ての遊戯石30-1を露呈させることで、第三ゲームもしくは延長戦を行うものとしても良い。
【0065】
以上のように本発明では、遊戯盤20のマス目22の他に、各マス23内に個々に載置される遊戯拡張具10の上面に設けられた拡張競技領域12をも競技面とする点が、これまでの遊び方とは異なるものとなっている。
【0066】
ゆえに、本発明に係る遊戯拡張具10を用いた盤上遊戯具50での遊び方は、遊戯盤20の全てのマス23内に遊戯石30を並べるこれまでの遊び方に引き続き、マス23内に並べられた遊戯石30が外部から視認できないように遊戯拡張具10で覆い隠すことで形成された個々の拡張競技領域12の全てに、新たな遊戯石30をそれぞれ並べるものとする。その結果、最終的にどの種類の遊戯石30が競技面22に一番多く並べられているか(並べられていたか)、その数を競うものである。
【0067】
したがって、この盤上遊戯具50での競技(遊戯)の勝敗は、たとえば、遊戯盤20のマス目22に並べられた遊戯石30の個々の数と、遊戯拡張具10の拡張競技領域12に並べられた遊戯石30の個々の数とで別々に判断しても良いし、遊戯石30の種類ごとにその数を合算して判断しても良い。
【0068】
すなわち、遊戯盤20のマス目22に直接遊戯石30-1を並べる場合を第一ゲームとし、遊戯拡張具10の拡張競技領域12に遊戯石30-2を並べる場合を第二ゲームとして勝敗を判断するものとしても良い。
また、遊戯盤20のマス目22に直接遊戯石30-1を並べる場合を前半戦とし、遊戯拡張具10の拡張競技領域12に遊戯石30-2を並べる場合を後半戦とすることで、それぞれの終了時点での遊戯石30-1,30-2の数の合計で勝敗を判断するものとしても良い。
【0069】
また、本発明に係る盤上遊戯具50での遊び方は、遊戯拡張具10の上面に設けられた拡張競技領域12に新たな遊戯石30-2をそれぞれ並べることに引き続き、さらに、遊戯石30-2と遊戯拡張具10を取り去って、覆い隠された全ての遊戯石30-1を個々に露呈させることを第三ゲームもしくは延長戦として行うものとしても良い。
【0070】
さらに、本発明に係る盤上遊戯具50での遊び方は、遊戯拡張具10の上面に設けられた拡張競技領域12に新たな遊戯石30-2が並べられた後、すぐに遊戯石30-2と遊戯拡張具10を取り去ることはせずに、
図15に示すように、引き続きこの遊戯拡張具10-1を一段目として、その上に新たな(二段目の)遊戯拡張具10-2をさらに積み上げて遊戯石30-2を覆い隠し、新たな遊戯拡張具10-2の拡張競技領域12に新たな遊戯石30-3を並べることをそれぞれ複数段繰り返すものとすることができる。
【0071】
すなわち、本発明における盤上遊戯具50では、遊戯拡張具10を複数段積み重ねて用いることで、遊戯盤20のマス目22に並べられた個々の遊戯石30-1の上方に、複数の遊戯拡張具10-1,10-2・・・によって、マス目22に平行な複数の拡張競技領域12・・・からなる新たな競技面を立体的に複数備えるものとすることができる。
【0072】
このように、本発明における遊び方においては、複数段積み上げられた遊戯拡張具10を一段ごと個々に取り去って、覆い隠された遊戯石30を露呈させることで、積み上げた遊戯拡張具10の数だけ遊びを延長して楽しむことができる。
【符号の説明】
【0073】
S 隙間
10 遊戯拡張具
11 被覆手段
12 拡張競技領域
15 凸部(位置決め手段・ガイド手段)
20 遊戯盤
21 盤面
22 マス目
23 マス
30 遊戯石
30a 一面側
30b 他面側
50 盤上遊戯具
111 周壁部
112 天部