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特許7169555ベーパーチャンバ、ベーパーチャンバ搭載基板およびベーパーチャンバ用金属シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ベーパーチャンバ、ベーパーチャンバ搭載基板およびベーパーチャンバ用金属シート
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20221104BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20221104BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20221104BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
F28D15/02 F
F28D15/02 101H
F28D15/02 L
H01L23/46 B
H01L23/36 D
H05K7/20 R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021105917
(22)【出願日】2021-06-25
(62)【分割の表示】P 2017061553の分割
【原出願日】2017-03-27
(65)【公開番号】P2021167715
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】平田 賢郎
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-050323(JP,A)
【文献】特表2001-505644(JP,A)
【文献】国際公開第99/053255(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0040726(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0123678(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/00 - 15/06
H01L 23/427
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装された被冷却装置を冷却するベーパーチャンバであって、
作動液が封入された密封空間と、前記被冷却装置の前記基板に実装される面とは反対側の面に取り付けられる取付面と、を有し、前記被冷却装置の熱を受けるチャンバ本体と、 前記チャンバ本体の熱を前記基板に伝導させる熱伝導部と、を備え、
前記チャンバ本体は、第1の金属シート本体と、前記第1の金属シート本体上に設けられた第2の金属シート本体と、を有し、
前記熱伝導部は、前記第1の金属シート本体の前記取付面の側に位置するとともに、前記第1の金属シート本体と一体に形成され、
前記第1の金属シート本体に、前記密封空間の一部を構成する取付面側流路凹部および熱伝導部側流路凹部が設けられ、
前記取付面側流路凹部は、平面視で前記取付面に重なる位置に位置し、
前記熱伝導部側流路凹部は、平面視で前記熱伝導部に重なる位置に位置しており、
前記熱伝導部側流路凹部の流路断面積は、前記取付面側流路凹部の流路断面積よりも大きく、
前記取付面側流路凹部と前記熱伝導部側流路凹部との間に、第2の金属シート本体に当接する流路突出部が介在されている、ベーパーチャンバ。
【請求項2】
前記熱伝導部側流路凹部の流路断面形状は、前記取付面側流路凹部の流路断面形状と異なっている、請求項1に記載のベーパーチャンバ。
【請求項3】
前記熱伝導部は、前記取付面の周囲に形成されている、請求項1または2に記載のベーパーチャンバ。
【請求項4】
前記熱伝導部は、前記取付面の周囲に枠状に形成されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の前記ベーパーチャンバと、
前記基板と、
前記基板に実装された前記被冷却装置と、を備えた、ベーパーチャンバ搭載基板。
【請求項6】
作動液が封入された密封空間を有し、基板に実装された被冷却装置を冷却するベーパーチャンバのためのベーパーチャンバ用金属シートであって、
前記被冷却装置の熱を受けるシート本体と、
前記シート本体の熱を前記基板に伝導させる熱伝導部と、を備え、
前記熱伝導部は、前記シート本体の前記被冷却装置の側に位置するとともに、前記シート本体と一体に形成され、
前記シート本体は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面であって、前記被冷却装置の側に位置する第2面と、を含み、
前記シート本体の前記第1面に、前記密封空間の一部を構成する被冷却装置側流路凹部および熱伝導部側流路凹部が設けられ、
前記被冷却装置側流路凹部は、平面視で前記被冷却装置に重なる位置に位置し、
前記熱伝導部側流路凹部は、平面視で前記熱伝導部に重なる位置に位置しており、
前記熱伝導部側流路凹部の流路断面積は、前記被冷却装置側流路凹部の流路断面積よりも大きく、
前記被冷却装置側流路凹部と前記熱伝導部側流路凹部との間に、前記第1面まで突出する流路突出部が介在されている、ベーパーチャンバ用金属シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動液が密封された密封空間を有するベーパーチャンバ、ベーパーチャンバ搭載基板およびベーパーチャンバ用金属シートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末やタブレット端末といったモバイル端末等で使用される中央演算処理装置(CPU)等の発熱を伴うデバイスの冷却のために、ベーパーチャンバ(ヒートパイプとも言う)が使用されている(例えば、特許文献1参照)。ベーパーチャンバ内には、作動液が封入されており、この作動液がデバイスの熱を吸収して外部に放出することで、デバイスの冷却を行っている。
【0003】
より具体的には、ベーパーチャンバ内の作動液は、デバイスに近接した部分(蒸発部)でデバイスから熱を受けて蒸発して蒸気になり、その後蒸気が、蒸発部から離れた位置に移動して冷却され、凝縮して液状になる。液状になった作動液は、ベーパーチャンバ内の流路を通過して蒸発部に輸送され、再び蒸発部で熱を受けて蒸発する。このようにして、作動液が、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながらベーパーチャンバ内を還流することによりデバイスの熱を移動させ、熱輸送効率を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-315745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ベーパーチャンバにおいては、デバイスが取り付けられる面とは反対側の面に、モバイル端末等のハウジングの一部を構成するハウジング部材が取り付けられる。そして、ベーパーチャンバを構成する金属シートが受け取る熱は、このハウジング部材を介して外気に放出される。このため、金属シートの冷却が制限されてしまい、ベーパーチャンバの熱輸送効率の向上が困難になっている。
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、熱輸送効率を向上させることができるベーパーチャンバ、ベーパーチャンバ搭載基板およびベーパーチャンバ用金属シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
基板に実装された被冷却装置を冷却するベーパーチャンバであって、
作動液が封入された密封空間と、前記被冷却装置の前記基板に実装される面とは反対側の面に取り付けられる取付面と、を有し、前記被冷却装置の熱を受けるチャンバ本体と、 前記チャンバ本体の熱を前記基板に伝導させる熱伝導部と、を備えた、ベーパーチャンバ、
を提供する。
【0008】
なお、上述したベーパーチャンバにおいて、前記熱伝導部は、前記チャンバ本体とは別体に形成されている、ようにしてもよい。
【0009】
また、上述したベーパーチャンバにおいて、前記熱伝導部は、前記チャンバ本体と一体に形成されている、ようにしてもよい。
【0010】
また、上述したベーパーチャンバにおいて、前記熱伝導部は、前記取付面の周囲に枠状に形成されている、ようにしてもよい。
【0011】
また、上述したベーパーチャンバにおいて、前記熱伝導部は、平面視で前記チャンバ本体の外側に設けられ、前記熱伝導部と前記チャンバ本体との間に屈曲部が介在されている、ようにしてもよい。
【0012】
また、本発明は、
上述したベーパーチャンバと、
前記基板と、
前記基板に実装された前記被冷却装置と、を備えた、ベーパーチャンバ搭載基板、
を提供する。
【0013】
また、本発明は、
作動液が封入された密封空間を有し、基板に実装された被冷却装置を冷却するベーパーチャンバのためのベーパーチャンバ用金属シートであって、
前記被冷却装置の前記基板に実装される面とは反対側の面に取り付けられる取付面を有し、前記被冷却装置の熱を受けるシート本体と、
前記シート本体の熱を前記基板に伝導させる熱伝導部と、を備えた、ベーパーチャンバ用金属シート、
を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱輸送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態によるベーパーチャンバ搭載基板を示す断面図である。
図2図2は、図1のベーパーチャンバを示す上面図である。
図3図3は、図2のA-A線断面図である。
図4図4は、図2のB-B線断面図である。
図5図5は、図2のC-C線断面図である。
図6図6は、図2のベーパーチャンバの製造方法において、下側金属シートの準備工程を説明するための図である。
図7図7は、図2のベーパーチャンバの製造方法において、下側金属シートのハーフエッチング工程を説明するための図である。
図8図8は、図2のベーパーチャンバの製造方法において、ウィック取付工程を説明するための図である。
図9図9は、図2のベーパーチャンバの製造方法において、仮止め工程を説明するための図である。
図10図10は、図2のベーパーチャンバの製造方法において、拡散接合工程を説明するための図である。
図11図11は、図2のベーパーチャンバの製造方法において、作動液の封入工程を説明するための図である。
図12図12は、図2のベーパーチャンバの製造方法において、熱伝導部取付工程を説明するための図である。
図13図13は、図2のベーパーチャンバを基板へ搭載する搭載工程を説明するための図である。
図14図14は、図2のベーパーチャンバの下側金属シートの変形例を示す上面図である。
図15図15は、図2のベーパーチャンバの上側金属シートの変形例を示す下面図である。
図16図16は、図14の下側金属シートと図15の上側金属シートとを接合したベーパーチャンバの断面図である。
図17図17は、本発明の第2の実施の形態によるベーパーチャンバ搭載基板を示す断面図である。
図18図18は、本発明の第3の実施の形態によるベーパーチャンバ搭載基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1乃至図16を用いて、本発明の第1の実施の形態におけるベーパーチャンバ、ベーパーチャンバ搭載基板およびベーパーチャンバ用金属シートについて説明する。ここで、本実施の形態によるベーパーチャンバ搭載基板は、基板に実装された被冷却装置を冷却するためのベーパーチャンバが搭載された基板を意味する。このうち被冷却装置は、ベーパーチャンバの冷却対象物であり、携帯端末やタブレット端末といったモバイル端末等で使用される中央演算処理装置(CPU)等の発熱を伴う装置を意味する。ベーパーチャンバは、作動液が封入された密封空間を有しており、密封空間内の作動液が相変化を繰り返すことにより、被冷却装置を冷却するための装置である。ベーパーチャンバは、概略的に薄い平板状に形成されている。
【0018】
まず、図1を用いて、第1の実施の形態によるベーパーチャンバ搭載基板100について説明する。
【0019】
図1に示すように、ベーパーチャンバ搭載基板100は、基板101と、基板101に実装されたデバイス102(被冷却装置)と、デバイス102上に取り付けられ、デバイス102を冷却するベーパーチャンバ1と、を備えている。
【0020】
デバイス102とベーパーチャンバ1との間には、熱伝導シート103が介在されている。この熱伝導シート103は、デバイス102およびベーパーチャンバ1に密着して、デバイス102とベーパーチャンバ1との間の熱抵抗を低減させるためのものである。この熱伝導シート103を設けることにより、デバイス102で発生した熱が、ベーパーチャンバ1に効率良く伝導されるようになっている。なお、熱伝導シート103は、熱伝導性の良好な材料をシート状に形成したものである。この熱伝導シート103の代わりに、熱伝導性の良好なサーマルグリスを用いることもできる。
【0021】
図1および図2に示すように、本実施の形態によるベーパーチャンバ1は、作動液2が封入された密封空間3を有するチャンバ本体5と、チャンバ本体5の熱を基板101に伝導させる熱伝導部6と、を備えている。このうちチャンバ本体5は、後述する下側金属シート10の少なくとも一部を構成する下側シート本体10Xと、後述する上側金属シートの少なくとも一部を構成する上側シート本体20Xと、によって構成されている。本実施の形態では、下側シート本体10Xは、下側金属シート10の全体を構成し、上側シート本体20Xは、上側金属シート20の全体を構成している。
【0022】
チャンバ本体5の下側シート本体10X(本実施の形態では下側金属シート10に相当)は、デバイス102が取り付けられる取付面10c(後述)を有している。この取付面10cは、密封空間3よりも基板101の側(図1における下側)に設けられている。取付面10cには、デバイス102の上面102a(基板101に実装される面102bとは反対側の面)が、熱伝導シート103を介して取り付けられている。この取付面10cを介して、チャンバ本体5は、デバイス102の熱を受けるようになっている。
【0023】
熱伝導部6は、この取付面10cの周囲に設けられている。熱伝導部6によって、取付面10cに取り付けられたデバイス102を収容する装置収容部7が形成されている。
【0024】
本実施の形態による熱伝導部6についてより具体的に説明する。
【0025】
本実施の形態では、熱伝導部6は、チャンバ本体5とは別体に形成されており、チャンバ本体5の下側シート本体10Xに接合されている。また、熱伝導部6は、下側シート本体10Xの基板101の側の面(すなわち、下面10b)から、基板101の側に延びている。そして、熱伝導部6は、デバイス102上にベーパーチャンバ1が取り付けられた場合に、基板101に接することができる厚さ(図1における上下方向寸法)を有している。すなわち、熱伝導部6の厚さは、デバイス102の厚さと熱伝導シート103の厚さとの合計厚さにほぼ等しくなっている。このことにより、ベーパーチャンバ1が基板101に搭載された状態では、熱伝導部6の下端(すなわち、後述する熱伝導面6a)は、基板101の受熱部101a(後述)に接して、チャンバ本体5の熱を受熱部101aに放出可能になっている。
【0026】
また、熱伝導部6は、図1および図2に示すように、平面視(後述)で、下側シート本体10Xの取付面10cの周囲、すなわち装置収容部7の周囲に枠状に形成されている。ここでは、熱伝導部6は、装置収容部7の周囲に全周にわたって連続状に形成されており、装置収容部7を囲むように矩形枠状に形成されている。このことにより、熱伝導部6における熱の主要な移動方向(図1における上下方向)に垂直な断面の面積を確保している。なお、図2においては、熱伝導部6が、後述するアライメント孔15、24に平面視で重なる位置に配置されている例が示されているが、平面視における熱伝導部6の位置は、装置収容部7を形成することができれば、これに限られることはない。また、熱伝導部6の平面形状は、装置収容部7を形成することができれば、矩形枠状に限られることはなく、任意の形状で枠状に形成されていてもよい。また、熱伝導部6は、平面視で、円柱状もしくは角柱状などに形成されて、デバイス102の周囲に複数設けられるようにしてもよい。この場合、隣り合う熱伝導部6の間に間隙が形成されて、熱伝導部6が全体として断続的に形成されるようにしてもよい。
【0027】
熱伝導部6を形成する材料は、熱伝導性が良好な材料であれば特に限られることはなく任意とすることができるが、例えば、ステンレスやニッケル、銅、銅合金等の金属材料を用いることが好適である。このように、熱伝導部6は、熱伝導性を確保することができれば、チャンバ本体5とは異なる材料で形成されていてもよく、あるいはチャンバ本体5と同一の材料で形成されていてもよい。
【0028】
熱伝導部6は、チャンバ本体5の熱を基板101に伝導させる熱伝導面6aを有している。この熱伝導面6aは、熱伝導部6のうち基板101の側の面(図1に示す下面)に設けられている。熱伝導面6aは、接着剤、銀ペースト、ろう付け、はんだ付け、拡散接合、レーザ溶接等によって基板101に接合されている。しかしながら、このことに限られることはなく、熱伝導面6aは、基板101にかしめ等の結合部材(図示せず)によって、機械的に結合されていてもよい。なお、基板101が、熱伝導性が良好な材料(例えば、金属材料等)から形成された受熱部101aを有し、この受熱部101aに、熱伝導面6aが接合または結合されていることが好適である。この場合、熱伝導部6からの熱を、効率良く基板101に逃がすことができる。
【0029】
また、熱伝導部6は、チャンバ本体5の下側シート本体10Xの下面10bに接合されている。例えば、熱伝導部6は、この下面10bに、接着剤、銀ペースト、ろう付け、はんだ付け、拡散接合、レーザ溶接等によって接合されていてもよい。
【0030】
なお、熱伝導部6を、装置収容部7の周囲に全周にわたって連続状に形成し、グランド電極と電気的に接続して接地電位を持たせることにより、熱伝導部6に、磁気シールドとしての機能を付与することもできる。
【0031】
次に、本実施の形態によるベーパーチャンバ1のチャンバ本体5について、図2乃至図5を用いて説明する。
【0032】
図2乃至図5に示すように、ベーパーチャンバ1のチャンバ本体5は、上述したように、下側シート本体10Xと、下側シート本体10X上に設けられた上側シート本体20Xと、を備えている。本実施の形態では、下側シート本体10Xが、下側金属シート10の全体を構成し、上側シート本体20Xが、上側金属シート20の全体を構成している。すなわち、本実施の形態によるチャンバ本体5は、下側金属シート10と、下側金属シート10上に設けられた上側金属シート20と、によって構成されている。そこで、以下では、下側シート本体10Xの代わりに下側金属シート10を用い、上側シート本体20Xの代わりに上側金属シート20を用いて説明する。なお、下側金属シート10および上側金属シート20が、ベーパーチャンバ用金属シートにそれぞれ相当する。
【0033】
下側金属シート10の下面10bのうち取付面10c(後述する蒸発部11の下面)に、装置収容部7に収容されたデバイス102が取り付けられる。取付面10cは、下側金属シート10の下面10bの一部であり、本実施の形態では、平面視でベーパーチャンバ1の中央部に形成されている。
【0034】
下側金属シート10と上側金属シート20との間には、作動液2が封入された密封空間3が形成されている。作動液2の例としては、純水、エタノール、メタノール、アセトン等が挙げられる。
【0035】
下側金属シート10と上側金属シート20とは、後述する拡散接合によって接合されている。図2に示す形態では、下側金属シート10および上側金属シート20は、平面視でいずれも矩形状に形成されている例が示されているが、これに限られることはない。ここで平面視とは、ベーパーチャンバ1がデバイス102から熱を受ける面(下側金属シート10の下面10b、とりわけ取付面10c)、および受けた熱を放出する面(上側金属シート20の上面20b)に直交する方向から見た状態であって、例えば、ベーパーチャンバ1を上方から見た状態(図2参照)、または下方から見た状態に相当している。
【0036】
なお、ベーパーチャンバ1がモバイル端末内に設置される場合、モバイル端末の姿勢によっては、下側金属シート10と上側金属シート20との上下関係が崩れる場合もある。しかしながら、本実施の形態では、デバイス102から熱を受ける液相側の金属シートを下側金属シート10と称し、受けた熱を放出する気相側の金属シートを上側金属シート20と称して、下側金属シート10が下側に配置され、上側金属シート20が上側に配置された状態で説明する。
【0037】
図2乃至図5に示すように、下側金属シート10は、作動液2が蒸発して蒸気を生成する蒸発部11と、上面10a(上側金属シート20の側の面)に設けられ、平面視で矩形状に形成された下側流路凹部12と、を有している。このうち下側流路凹部12は、上述した密封空間3の一部を構成しており、主として、蒸発部11で生成された蒸気から凝縮した作動液2(図3乃至図5参照)を蒸発部11に輸送するように構成されている。この蒸発部11は、下側金属シート10の取付面10cに取り付けられるデバイス102から熱を受けて、密封空間3内の作動液2が蒸発する部分である。このため、蒸発部11という用語は、デバイス102に重なっている部分に限られる概念ではなく、デバイス102に重なっていなくても作動液2が蒸発可能な部分をも含む概念として用いている。ここで蒸発部11は、下側金属シート10の任意の場所に設けることができるが、図2においては、下側金属シート10の中央部に設けられている例が示されている。この場合、ベーパーチャンバ1が設置されたモバイル端末の姿勢が、ベーパーチャンバ1の動作の安定化に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0038】
本実施の形態では、図2図3および図5に示すように、下側金属シート10の下側流路凹部12内に、下側流路凹部12の底面12a(後述)から上方(底面12aに垂直な方向)に突出する複数の下側流路突出部13が設けられている。本実施の形態では、下側流路突出部13は、円柱状のボスとして形成されている例が示されており、上面13aと側面とを含んでいる。また、各下側流路突出部13は、ベーパーチャンバ1の長手方向(図2における左右方向)に沿って、等間隔に離間して配置されている。また、下側流路突出部13は、ベーパーチャンバ1の横断方向(長手方向に直交する横方向、図2における上下方向)にも沿って配置されている。このようにして配置された下側流路突出部13の周囲には、下側流路凹部12の底面12aが形成されている。このようにして、下側流路突出部13の周囲を作動液2の蒸気が流れるように構成されており、蒸気の流れが妨げられることを抑制している。また、下側流路突出部13は、上側金属シート20の対応する上側流路突出部22(後述)に平面視で重なるように配置されており、ベーパーチャンバ1の機械的強度の向上を図っている。
【0039】
図3乃至図5に示すように、下側流路凹部12には、ウィックWが設けられている。ここで、ウィックとは、例えば銅線を不定形状に圧接した金属メッシュや、多孔質焼結体により形成され、毛細管作用を発揮する部材である。このウィックWは、毛細管作用を発揮することにより、下側流路凹部12内の作動液2に、蒸発部11に向かう推進力を与えることができるように構成されている。このようにして、蒸気から凝縮した下側流路凹部12内の作動液2が、蒸発部11に向かってスムースに輸送されるようになっている。なお、図3乃至図5に示すように、ウィックWは、下側流路凹部12の底面12aの全領域に設けられていてもよい。底面12aのうち蒸発部11に設けられたウィックWは、液状の作動液2とデバイス102から受けた熱との熱交換面積を増大させ、熱効率向上をさせることに寄与し得る。一方、底面12aのうち蒸発部11の周囲に設けられたウィックWは、液状の作動液2を、蒸発部11に効果的に輸送することに寄与し得る。なお、ウィックWは、下側流路凹部12のうち下側流路突出部13の間の領域に嵌められるように取り付けられており、ベーパーチャンバ1の姿勢によってウィックWが移動することを防止している。また、ウィックWの高さは、蒸発部11における熱交換面積を増大させることや、毛細管作用によって蒸発部11に向かう作動液2の流量を確保することができれば任意とすることができる。
【0040】
図2乃至図5に示すように、下側金属シート10の周縁部には、下側周縁壁14が設けられている。下側周縁壁14は、密封空間3、とりわけ下側流路凹部12を囲むように形成されており、密封空間3を画定している。また、図2に示すように、平面視で下側周縁壁14の四隅に、下側金属シート10と上側金属シート20との位置決めをするための下側アライメント孔15がそれぞれ設けられている。
【0041】
本実施の形態では、上側金属シート20は、下側金属シート10と同一の構造を有している。すなわち、本実施の形態によるベーパーチャンバ1は、下側金属シート10を上下反転させると上側金属シート20になるように構成されており、下側金属シート10と同一構造の金属シートを2枚作製して、一方を上下反転させて互いに接合した構成になっている。以下に、上側金属シート20の構成についてより詳細に説明する。
【0042】
図2乃至図5に示すように、上側金属シート20は、下面20a(下側金属シート10の側の面)に設けられた上側流路凹部21を有している。この上側流路凹部21は、密封空間3の一部を構成しており、主として、蒸発部11で生成された蒸気を拡散して冷却するように構成されている。より具体的には、上側流路凹部21内の蒸気は、蒸発部11から離れる方向に拡散して、蒸気の多くは、比較的温度の低い周縁部に輸送される。また、図3および図4に示すように、上側金属シート20の上面20bには、モバイル端末等のハウジングの一部を構成するハウジング部材Hが配置される。このことにより、上側流路凹部21内の蒸気は、上側金属シート20およびハウジング部材Hを介して外気によって冷却される。
【0043】
本実施の形態では、図2に示すように、上側金属シート20の上側流路凹部21内に、上側流路凹部21の天井面21a(上側金属シート20を上下反転させた場合には上側流路凹部21の底面に相当する)から下方(天井面21aに垂直な方向)に突出する複数の上側流路突出部22が設けられている。本実施の形態では、上側流路突出部22は、円柱状のボスとして形成されている例が示されており、下面22aと側面とを含んでいる。また、各上側流路突出部22は、ベーパーチャンバ1の長手方向に沿って延び、等間隔に離間して配置されている。また、上側流路突出部22は、ベーパーチャンバ1の横断方向にも沿って配置されている。このようにして配置された上側流路突出部22の周囲には、上側流路凹部21の天井面21a(下側流路凹部12の底面12aに相当する面)が形成されている。このようにして、上側流路突出部22の周囲を作動液2の蒸気が流れるように構成されており、蒸気の流れが妨げられることを抑制している。また、上側流路突出部22は、下側金属シート10の対応する下側流路突出部13に平面視で重なるように配置されており、ベーパーチャンバ1の機械的強度の向上を図っている。
【0044】
図2乃至図5に示すように、上側金属シート20の周縁部には、上側周縁壁23が設けられている。上側周縁壁23は、密封空間3、とりわけ上側流路凹部21を囲むように形成されており、密封空間3を画定している。また、図2に示すように、平面視で上側周縁壁23の四隅に、下側金属シート10と上側金属シート20との位置決めをするための上側アライメント孔24がそれぞれ設けられている。すなわち、各上側アライメント孔24は、後述する仮止め時に、上述した各下側アライメント孔15に重なるように配置され、下側金属シート10と上側金属シート20との位置決めが可能に構成されている。
【0045】
このような下側金属シート10と上側金属シート20とは、好適には拡散接合で、互いに恒久的に接合されている。より具体的には、図3乃至図5に示すように、下側金属シート10の下側周縁壁14の上面14aと、上側金属シート20の上側周縁壁23の下面23aとが当接し、下側周縁壁14と上側周縁壁23とが互いに接合されている。このことにより、下側金属シート10と上側金属シート20との間に、作動液2を密封した密封空間3が形成されている。また、下側金属シート10の下側流路突出部13の上面13aと、上側金属シート20の上側流路突出部22の下面22aとが当接し、各下側流路突出部13と対応する上側流路突出部22とが互いに接合されている。このことにより、ベーパーチャンバ1の機械的強度を向上させている。とりわけ、本実施の形態による下側流路突出部13および上側流路突出部22は等間隔に配置されているため、ベーパーチャンバ1の各位置における機械的強度を均等化させることができる。なお下側金属シート10と上側金属シート20とは、拡散接合ではなく、恒久的に接合できれば、ろう付け等の他の方式で接合されていてもよい。
【0046】
また、図2および図4に示すように、ベーパーチャンバ1は、長手方向における一対の端部のうちの一方の端部に、密封空間3に作動液2を注入する注入部4を更に備えている。この注入部4は、下側金属シート10の端面から突出する下側注入突出部16と、上側金属シート20の端面から突出する上側注入突出部25と、を有している。このうち下側注入突出部16の上面に下側注入流路凹部17が形成され、上側注入突出部25の下面に上側注入流路凹部26が形成されている。下側注入流路凹部17は、下側流路凹部12に連通しており、上側注入流路凹部26は、上側流路凹部21に連通している。下側注入流路凹部17および上側注入流路凹部26は、下側金属シート10と上側金属シート20とが接合された際、作動液2の注入流路を形成する。当該注入流路を通過して作動液2は密封空間3に注入される。なお、本実施の形態では、注入部4は、ベーパーチャンバ1の長手方向における一対の端部のうちの一方の端部に設けられている例が示されているが、これに限られることはない。
【0047】
ところで、下側金属シート10および上側金属シート20に用いる材料は、熱伝導率が良好な材料であれば特に限られることはないが、例えば、下側金属シート10および上側金属シート20は、銅または銅合金により形成されていることが好適である。このことにより、下側金属シート10および上側金属シート20の熱伝導率を高めることができる。このため、ベーパーチャンバ1の熱輸送効率を高めることができる。また、ベーパーチャンバ1のチャンバ本体5の厚さT0は、0.1mm~1.0mmである。下側金属シート10の厚さT1および上側金属シート20の厚さT2は、ハンドリングを良好にするために、ベーパーチャンバ1の厚さの半分にし、T1とT2を等しくすることが好適である。
【0048】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、まず、ベーパーチャンバ1の製造方法について、図6乃至図12を用いて説明するが、上側金属シート20のハーフエッチング工程の説明は簡略化する。なお、図6乃至図12では、図5の横断面と同様の横断面を示している。
【0049】
まず、本体作製工程として、ベーパーチャンバ1のチャンバ本体5が作製される。
【0050】
本体作製工程においては、まず、準備工程として、図6に示すように、平板状の金属材料シートMを準備する。
【0051】
続いて、ハーフエッチング工程として、図7に示すように、金属材料シートMがハーフエッチングされて、密封空間3の一部を構成する下側流路凹部12を有する下側金属シート10が形成される。この場合、まず、金属材料シートMの上面Maに図示しないレジスト膜が、フォトリソグラフィー技術によって、複数の下側流路突出部13および下側周縁壁14に対応するパターン状に形成される。続いて、ハーフエッチング工程として、金属材料シートMの上面Maがハーフエッチングされる。このことにより、金属材料シートMの上面Maのうちレジスト膜の開口(図示せず)に対応する部分がハーフエッチングされて、図7に示すような下側流路凹部12、下側流路突出部13および下側周縁壁14が形成される。この際、図2に示す下側注入流路凹部17も同時に形成され、また、図2に示すような外形輪郭形状を有するように金属材料シートMが上面Maおよび下面からエッチングされて、所定の外形輪郭形状が得られる。ハーフエッチング工程の後、レジスト膜が除去される。なお、ハーフエッチングとは、材料を貫通しないような凹部を形成するためのエッチングを意味している。このため、ハーフエッチングにより形成される凹部の深さは、下側金属シート10の厚さの半分であることには限られない。エッチング液には、例えば、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液、または塩化銅水溶液等の塩化銅系エッチング液を用いることができる。
【0052】
一方、下側金属シート10と同様にして、上側金属シート20用の金属材料シート(図示せず)が下面からハーフエッチングされて、上側流路凹部21、上側流路突出部22および上側周縁壁23が形成される。このようにして、上述した上側金属シート20が得られる。
【0053】
次に、ウィック取付工程として、図8に示すように、下側流路凹部12の下側流路突出部13の間にウィックWが挿入されて嵌められる。
【0054】
次に、仮止工程として、図9に示すように、下側流路凹部12を有する下側金属シート10と、上側流路凹部21を有する上側金属シート20とが仮止めされる。この場合、まず、下側金属シート10の下側アライメント孔15(図2参照)と上側金属シート20の上側アライメント孔24(図2参照)とを利用して、下側金属シート10と上側金属シート20とが位置決めされる。続いて、下側金属シート10と上側金属シート20とが固定される。固定の方法としては、特に限られることはないが、例えば、下側金属シート10と上側金属シート20とに対して抵抗溶接を行うことによって下側金属シート10と上側金属シート20とを固定してもよい。この場合、図9に示すように、電極棒40を用いてスポット的に抵抗溶接を行うことが好適である。抵抗溶接の代わりにレーザ溶接を行ってもよい。このようにして、下側金属シート10と上側金属シート20とが、位置決めされた状態で固定される。
【0055】
仮止工程の後、拡散接合工程として、図10に示すように、下側金属シート10と上側金属シート20とが、拡散接合によって恒久的に接合される。拡散接合とは、接合する下側金属シート10と上側金属シート20とを密着させ、減圧雰囲気中で、各金属シート10、20を密着させる方向に加圧するとともに加熱して、接合面に生じる原子の拡散を利用して接合する方法である。拡散接合は、下側金属シート10および上側金属シート20の材料を融点に近い温度まで加熱するが、融点よりは低いため、各金属シート10、20が溶融して変形することを回避できる。より具体的には、下側金属シート10の下側周縁壁14の上面14aと上側金属シート20の上側周縁壁23の下面23aとが、接合面となって拡散接合される。このことにより、下側周縁壁14と上側周縁壁23とによって、下側金属シート10と上側金属シート20との間に密封空間3が形成される。また、下側注入流路凹部17(図2参照)と上側注入流路凹部26(図2参照)とによって、密封空間3に連通する作動液2の注入流路が形成される。さらに、下側金属シート10の下側流路突出部13の上面13aと、上側金属シート20の上側流路突出部22の下面22aとが、接合面となって拡散接合され、ベーパーチャンバ1の機械的強度が向上する。
【0056】
このようにして、本実施の形態によるチャンバ本体5が作製される。
【0057】
本体作製工程の後、封入工程として、図11に示すように、注入部4(図2参照)から密封空間3に作動液2が注入される。この際、まず、密封空間3が真空引きされて減圧され、その後に、作動液2が密封空間3に注入される。注入時、作動液2は、下側注入流路凹部17と上側注入流路凹部26とにより形成された注入流路を通過する。
【0058】
作動液2の注入の後、上述した注入流路が封止される。例えば、注入部4にレーザを照射し、注入部4を部分的に溶融させて注入流路を封止することが好適である。このことにより、密封空間3と外気との連通が遮断され、作動液2が密封空間3に封入される。このようにして、密封空間3内の作動液2が外部に漏洩することが防止される。
【0059】
封入工程の後、熱伝導部取付工程として、図12に示すように、チャンバ本体5の下側金属シート10の下面10bに熱伝導部6が取り付けられる。この場合、例えば、下側金属シート10と熱伝導部6とが、接着剤、ろう付け、はんだ付け、拡散接合、レーザ溶接等によって接合される。上述した封入工程においてベーパーチャンバ1が加熱される場合があることから、熱伝導部取付工程は、特に接着剤やはんだ付けで熱伝導部6を下側金属シート10に接合する場合には、接着剤やはんだに熱が加えられることを回避するために封入工程の後に行うことが好適である。なお、熱伝導部6は、予めチャンバ本体5とは別体に形成される。熱伝導部6は、エッチング等の方法で、矩形枠状に形成することができるが、形成方法は任意である。例えば、熱伝導部6は、下側金属シート10の下面10bに、めっきによって形成されてもよい。
【0060】
以上のようにして、本実施の形態によるベーパーチャンバ1が得られる。
【0061】
上述のようにして得られたベーパーチャンバ1は、搭載工程として、図13に示すように、デバイス102が実装された基板101に搭載される。
【0062】
この場合、まず、基板101に実装されたデバイス102上に熱伝導シート103が載置される。また、例えば、ベーパーチャンバ1の熱伝導部6の熱伝導面6aおよび基板101の受熱部101aのうちの少なくとも一方に、接着剤が塗布される。
【0063】
続いて、ベーパーチャンバ1が、デバイス102が実装された基板101に搭載される。このことにより、図1に示すように、デバイス102が、ベーパーチャンバ1の装置収容部7に収容されて、チャンバ本体5の下側金属シート10の取付面10cに、熱伝導シート103を介して取り付けられる。また、熱伝導部6の熱伝導面6aが、基板101の受熱部101aに接着剤によって接合される。このようにして、本実施の形態によるベーパーチャンバ搭載基板100が得られる。
【0064】
上述のようにして得られたベーパーチャンバ搭載基板は、モバイル端末等のハウジング内に設置される。
【0065】
次に、ベーパーチャンバ1の作動方法、すなわち、デバイス102の冷却方法について説明する。
【0066】
下側金属シート10が鉛直下方に配置され、上側金属シート20が鉛直上方に配置される場合には、密封空間3に封入された作動液2の多くは、重力の影響を受けて、下側金属シート10の下側流路凹部12に滞留する。
【0067】
この状態でデバイス102が発熱すると、下側流路凹部12のうち蒸発部11に存在する作動液2が、デバイス102から熱を受ける。受けた熱は潜熱として吸収されて作動液2が蒸発(気化)し、作動液2の蒸気が生成される。生成された蒸気の多くは、密封空間3内を上昇して上側流路凹部21内に拡散する。生成された蒸気の一部は、下側金属シート10の下側流路凹部12内でも拡散する。上側流路凹部21内および下側流路凹部12内の蒸気は、蒸発部11から離れ、蒸気の多くは、比較的温度の低い周縁部に輸送される(図4の実線矢印参照)。拡散した蒸気は、チャンバ本体5の下側金属シート10および上側金属シート20に放熱して冷却される。下側金属シート10および上側金属シート20が蒸気から受けた熱の一部は、ハウジング部材H(図3および図4参照)を介して外気に伝達される。
【0068】
チャンバ本体5の下側金属シート10および上側金属シート20が作動液2の蒸気から受けた熱の一部は、熱伝導部6を介して、デバイス102が実装された基板101にも伝導され、各金属シート10、20の熱を基板101に逃がすことができる。このように、チャンバ本体5の熱が、ハウジング部材Hだけでなく、熱伝導部6および基板101を介して放出されるため、チャンバ本体5の放熱経路を増やすことができる。このことにより、各金属シート10、20を効率良く冷却することができ、これにより、密封空間3の下側流路凹部12内および上側流路凹部21内の作動液2の蒸気を効率良く冷却することができる。このため、密封空間3内の蒸気の凝縮速度を高めることができ、作動液2の相変化を促進することができる。
【0069】
蒸気は、下側金属シート10および上側金属シート20に放熱することにより、蒸発部11において吸収した潜熱を失って凝縮する。上側流路凹部21内において液状になった作動液2は、上側流路凹部21内を下降して、下側流路凹部12に達する。蒸発部11では作動液2が蒸発し続けているため、下側流路凹部12のうち蒸発部11以外の部分における作動液2は、蒸発部11に向かって輸送される(図4の破線矢印参照)。この際、下側流路凹部12には、毛細管作用を発揮することができるウィックWが設けられている。このため、ウィックWの毛細管作用により、作動液2は、蒸発部11に向かう推進力を得て、蒸発部11に向かってスムースに輸送される。
【0070】
蒸発部11に達した作動液2は、デバイス102から再び熱を受けて蒸発する。このようにして、作動液2が、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながらベーパーチャンバ1内を還流してデバイス102の熱を移動させて放出する。この結果、デバイス102が冷却される。
【0071】
このように本実施の形態によれば、チャンバ本体5の熱が、熱伝導部6によって基板101に伝導される。このことにより、チャンバ本体5の熱を基板101に逃がすことができ、密封空間3内の作動液2を効率良く凝縮させることができる。このため、作動液2の相変化を促進させることができ、ベーパーチャンバ1の熱輸送効率を向上させることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、熱伝導部6は、チャンバ本体5とは別体に形成されている。この場合、装置収容部7を形成するためのエッチング工程を不要にすることができる。このことにより、ベーパーチャンバ1を形成するために準備するエッチング前の金属材料シートM(図6参照)の材料の使用量を低減することができる。
【0073】
さらに、本実施の形態によれば、熱伝導部6は、下側金属シート10の取付面10cの周囲に枠状に形成されている。このことにより、熱伝導部6がデバイス102に干渉することを回避しながら、熱伝導部6における熱の主要な移動方向に垂直な断面の面積を確保することができる。このため、熱伝導部6により、チャンバ本体5の下側金属シート10および上側金属シート20の熱を、基板101の受熱部101aに効率良く逃がすことができる。
【0074】
なお、上述した本実施の形態においては、密封空間3が、蒸発部11で生成された蒸気が主として上側流路凹部21内を拡散するように構成され、蒸気から凝縮した液状の作動液2が、下側流路凹部12内に設けられたウィックWによって蒸発部11に輸送される例について説明した。しかしながら、密封空間3の構成は、これに限られることはない。例えば、下側流路凹部12にウィックWが設けられることなく、蒸発部11で生成された蒸気が主として下側流路凹部12および上側流路凹部21内を拡散するように密封空間3が構成され、蒸気から凝縮した液状の作動液2が、下側流路凹部12および上側流路凹部21とは異なる液流路凹部30によって蒸発部11に輸送されるようにしてもよい。この場合のベーパーチャンバ1のチャンバ本体5の構成の一例について、図14乃至図16を用いて説明する。
【0075】
図14に示す形態では、下側金属シート10の下側流路突出部13は、ベーパーチャンバ1の長手方向(図14における左右方向)に沿って細長状に延びている。各下側流路突出部13は、等間隔に離間して、互いに平行に配置されている。このようにして、各下側流路突出部13の周囲を作動液2の蒸気が流れて、下側流路凹部12の周縁部に蒸気が輸送される(図14に示す実線矢印参照)ように構成されており、蒸気の流れが妨げられることを抑制している。
【0076】
図15に示すように、上側金属シート20の上側流路突出部22は、ベーパーチャンバ1の長手方向(図15における左右方向)に沿って細長状に延びている。各上側流路突出部22は、等間隔に離間して、互いに平行に配置されている。このようにして、各上側流路突出部22の周囲を作動液2の蒸気が流れて、上側流路凹部21の周縁部に蒸気が輸送される(図15に示す実線矢印参照)ように構成されており、蒸気の流れが妨げられることを抑制している。上側流路突出部22は、下側金属シート10の対応する下側流路突出部13に平面視で重なるように配置されており、ベーパーチャンバ1の機械的強度の向上を図っている。
【0077】
下側流路突出部13の上面13aおよび上側流路突出部22の下面22aのうちの少なくとも一方に、上述した液流路凹部30が設けられている。ここでは、図14および図16に示すように、下側流路突出部13の上面13aに、液流路凹部30が設けられている例について説明する。
【0078】
液流路凹部30は、図14に示すように、下側流路突出部13の長手方向(図14における左右方向)に沿って、細長状に延びている例が示されており、下側流路突出部13の長手方向における一端から他端まで延びている。図16に示すように、液流路凹部30の幅は、下側流路突出部13の幅よりも小さく、互いに隣り合う下側流路突出部13同士の間隔よりも小さくなっている。このようにして、液流路凹部30は、下側流路凹部12の周縁部および上側流路凹部21の周縁部において凝縮した液状の作動液2を、毛細管作用によって蒸発部11に輸送するようになっている(図14に示す破線矢印参照)。1つの下側流路突出部13の上面13aには、複数の液流路凹部30が形成されており、各液流路凹部30は、等間隔に離間して、互いに平行に配置されている。
【0079】
なお、下側流路突出部13の一端から他端にわたって、各液流路凹部30は、図示しない複数の連絡凹部によって、下側流路凹部12に連通している。このことにより、蒸発部11においては、液流路凹部30内の液状の作動液2が蒸発すると、流路断面積が大きい下側流路凹部12および上側流路凹部21に拡散され、蒸気から凝縮した液状の作動液2が、下側流路凹部12および上側流路凹部21から、液流路凹部30内に入り込むようになっている。
【0080】
(第2の実施の形態)
次に、図17を用いて、本発明の第2の実施の形態におけるベーパーチャンバ、ベーパーチャンバ搭載基板およびベーパーチャンバ用金属シートについて説明する。
【0081】
図17に示す第2の実施の形態においては、熱伝導部が、チャンバ本体と一体に形成されている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図16に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図17において、図1乃至図16に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
図17に示すように、本実施の形態においては、熱伝導部6は、チャンバ本体5の下側シート本体10Xと一体に形成されている。すなわち、本実施の形態では、下側シート本体10Xは、下側金属シート10の一部を構成しており、下側金属シート10は、この下側シート本体10Xと熱伝導部6とによって構成されている。この下側金属シート10が、本実施の形態によるベーパーチャンバ用金属シートに相当する。なお、下側シート本体10Xは、主として、蒸発部11、下側流路凹部12、下側流路突出部13および下側周縁壁14によって構成されている部分に相当する。
【0083】
本実施の形態においても、熱伝導部6は、下側シート本体10Xの取付面10c、すなわち装置収容部7の周囲に矩形枠状に形成されるとともに、チャンバ本体5の下側シート本体10Xの下面10bから、基板101の側に延びている。
【0084】
すなわち、本実施の形態による下側金属シート10は、チャンバ本体5の下側シート本体10Xと熱伝導部6とを形成可能な厚さを有する金属材料シート(図示せず)を準備し、この金属材料シートの下面に凹部を形成することにより得られる。この凹部が、上述した装置収容部7に相当する。このようにして、装置収容部7の周囲に矩形枠状に形成された熱伝導部6が、チャンバ本体5の下側シート本体10Xと一体化されている。なお、凹部は,ハーフエッチングにより形成することが好適であるが、これに限られることはない。ハーフエッチングで装置収容部7を形成する場合には、例えば、図10に示す拡散接合工程と図11に示す封入工程との間に、装置収容部7を形成するための第2のハーフエッチング工程を実施することが好適である。この場合には、拡散接合工程において、下側金属シート10の下面10bが残存しているため、下側金属シート10を均等に加圧することができ、拡散接合を好適に行うことができる。しかしながら、これに限られることはなく、工程の煩雑化を回避するという観点では、装置収容部7は、図7に示すハーフエッチング工程において、下側流路凹部12等と同時に形成するようにしてもよい。
【0085】
ところで、図17に示すベーパーチャンバ1においては、下側シート本体10Xに密封空間3を構成する第2の下側流路凹部18が設けられている。この第2の下側流路凹部18は、下側シート本体10Xから熱伝導部6にわたって形成されている。また、上側シート本体20Xには、密封空間3を構成する第2の上側流路凹部27が設けられている。このように、熱伝導部6の領域を利用することにより、比較的大きな流路断面積を有する第2の下側流路凹部18および第2の上側流路凹部27を形成することができる。この場合、作動液2の蒸気をより一層拡散させやすくすることができ、蒸気の輸送効率を向上させることができる。なお、この第2の下側流路凹部18および第2の上側流路凹部27で構成される流路内には、凝縮して液状になった作動液2を蒸発部11に輸送させるために、図3等に示すウィックWが設けられていてもよい。
【0086】
このように本実施の形態によれば、チャンバ本体5の熱が、熱伝導部6によって基板101に伝導される。このことにより、チャンバ本体5の熱を基板101に逃がすことができ、密封空間3内の作動液2を効率良く凝縮させることができる。このため、作動液2の相変化を促進させることができ、ベーパーチャンバ1の熱輸送効率を向上させることができる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、熱伝導部6は、チャンバ本体5の下側シート本体10Xと一体に形成されている。このことにより、下側シート本体10Xと熱伝導部6との間に熱抵抗が発生することを防止でき、チャンバ本体5の熱を、基板101の受熱部101aに効率良く逃がすことができる。また、熱伝導部6を備えるベーパーチャンバ1を形成するための部品点数が増大することを防止できるとともに、上述した図12に示す熱伝導部接合工程を不要にすることができる。
【0088】
さらに、本実施の形態によれば、熱伝導部6は、下側シート本体10Xの取付面10cの周囲に枠状に形成されている。このことにより、熱伝導部6がデバイス102に干渉することを回避しながら、熱伝導部6は、熱伝導部6における熱の主要な移動方向(図1における上下方向)に垂直な断面の面積を確保することができる。このため、熱伝導部6により、チャンバ本体5の熱を、基板101の受熱部101aに効率良く逃がすことができる。とりわけ、本実施の形態によれば、下側シート本体10Xの下面をハーフエッチングすることにより装置収容部7とともに熱伝導部6を形成している。このことにより、熱伝導部6の平面面積を容易に増大させることができる。
【0089】
なお、上述した本実施の形態においては、上側シート本体20Xに、第2の上側流路凹部27が設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第2の上側流路凹部27は設けられていなくてもよい。この場合においても、第2の下側流路凹部18によって、作動液2の蒸気を拡散させるための流路断面積を確保することができ、作動液2の蒸気をより一層拡散させやすくすることができる。とりわけ、第2の上側流路凹部27が設けられていない場合には、上側流路凹部21は、主として液状の作動液2を蒸発部11に輸送するように構成されていてもよい。この場合には、例えば図16に示す液流路凹部30のように、上側流路凹部21の横断面形状を小さくすることができる。すなわち、上側金属シート20に、密封空間3の一部として形成される上側流路凹部21を、主として液状の作動液2を通すように構成する場合には、上側流路凹部21の深さを小さくすることができる。この場合、上側金属シート20の厚さを低減することができ、ベーパーチャンバ1のチャンバ本体5の薄型化に寄与し得る。
【0090】
(第3の実施の形態)
次に、図18を用いて、本発明の第3の実施の形態におけるベーパーチャンバ、ベーパーチャンバ搭載基板およびベーパーチャンバ用金属シートについて説明する。
【0091】
図18に示す第3の実施の形態においては、熱伝導部が、チャンバ本体と一体に形成されており、熱伝導部とチャンバ本体との間に屈曲部が介在されている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図16に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図18において、図1乃至図16に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0092】
図18に示すように、本実施の形態においては、装置収容部7の周囲に設けられた熱伝導部6は、下側シート本体10Xおよび上側シート本体20Xを含むチャンバ本体5と一体に形成されている。そして、熱伝導部6は、平面視でチャンバ本体5の外側に設けられており、熱伝導部6とチャンバ本体5との間に、屈曲部50が介在されている。この屈曲部50によって、熱伝導部6は、チャンバ本体5よりも基板101の側に配置されている。熱伝導部6および屈曲部50は、チャンバ本体5の周囲に全周にわたって連続状に形成されていることが好適であるが、周方向に断続的であってもよい。
【0093】
本実施の形態による熱伝導部6についてより具体的に説明する。
【0094】
本実施の形態では、チャンバ本体5の下側シート本体10Xは、下側金属シート10の一部を構成しており、下側金属シート10は、この下側シート本体10Xと下側熱伝導部51(後述)と下側屈曲部53(後述)とによって構成されている。このうち下側シート本体10Xは、主として、蒸発部11、下側流路凹部12、下側流路突出部13および下側周縁壁14によって構成されている部分に相当する。同様に、上側シート本体20Xは、上側金属シート20の一部を構成しており、上側金属シート20は、この上側シート本体20Xと上側熱伝導部52(後述)と上側屈曲部54(後述)とによって構成されている。このうち上側シート本体20Xは、主として、上側流路凹部21、上側流路突出部22および上側周縁壁23によって構成されている部分に相当する。
【0095】
熱伝導部6は、下側金属シート10の下側シート本体10Xの下側周縁壁14に連結された下側熱伝導部51と、上側金属シート20の上側シート本体20Xの上側周縁壁23に連結された上側熱伝導部52と、を有している。このうち下側熱伝導部51と下側周縁壁14との間に下側屈曲部53が介在されており、上側熱伝導部52と上側周縁壁23との間に上側屈曲部54が介在されている。下側屈曲部53および上側屈曲部54は、上述した屈曲部50を構成している。下側熱伝導部51および下側屈曲部53は、下側周縁壁14に対して連続状に一体に形成されており、上側熱伝導部52および上側屈曲部54は、上側周縁壁23に対して連続状に一体に形成されている。下側熱伝導部51と上側熱伝導部52とが拡散接合されており、下側屈曲部53と上側屈曲部54とが拡散接合されている。
【0096】
上述した屈曲部50が設けられていることにより、熱伝導部6の熱伝導面6aは、下側金属シート10の下面10bよりも基板101の側に変位されている。そして、熱伝導面6aは、基板101の受熱部101aに接し、チャンバ本体5の熱を基板101に伝導可能になっている。
【0097】
本実施の形態によるベーパーチャンバ1を製造する場合には、下側シート本体10X、下側屈曲部53および下側熱伝導部51を形成するために、これらの部分を形成可能な大きさを有する金属材料シート(図示せず)を用いる。また、上側シート本体20X、上側屈曲部54および上側熱伝導部52を形成するために、これらの部分を形成可能な大きさを有する金属材料シート(図示せず)を用いる。
【0098】
図11に示す作動液2の封入工程の後、折曲工程が実施される。より具体的には、屈曲部50のうち下側周縁壁14および上側周縁壁23の側において、下側屈曲部53が内側になるように、下側金属シート10および上側金属シート20が折り曲げられる。また、屈曲部50のうち下側熱伝導部51および上側熱伝導部52の側において、上側屈曲部54が内側になるように、下側金属シート10および上側金属シート20が折り曲げられる。このようにして、図18に示す屈曲部50が形成され、熱伝導部6が、チャンバ本体5よりも基板101の側に変位され、基板101の受熱部101aに接する熱伝導面6aが得られる。
【0099】
その後、図13に示す搭載工程と同様にして、ベーパーチャンバ1が、デバイス102が実装された基板101に搭載され、図18に示すベーパーチャンバ搭載基板100を得ることができる。
【0100】
このように本実施の形態によれば、チャンバ本体5の熱が、熱伝導部6によって基板101に伝導される。このことにより、チャンバ本体5の熱を基板101に逃がすことができ、密封空間3内の作動液2を効率良く凝縮させることができる。このため、作動液2の相変化を促進させることができ、ベーパーチャンバ1の熱輸送効率を向上させることができる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、熱伝導部6は、チャンバ本体5とは一体に形成されている。このことにより、チャンバ本体5と熱伝導部6との間に熱抵抗が発生することを防止でき、チャンバ本体5の熱を、基板101の受熱部101aに効率良く逃がすことができる。また、熱伝導部6を備えるベーパーチャンバ1を形成するための部品点数が増大することを防止できるとともに、上述した図12に示す熱伝導部接合工程を不要にすることができる。
【0102】
さらに、本実施の形態によれば、熱伝導部6とチャンバ本体5との間に屈曲部50が介在されている。このことにより、熱伝導部6がデバイス102に干渉することを回避しながら、熱伝導部6の熱伝導面6aが、基板101の受熱部101aに接することができる。このため、チャンバ本体5の熱を、基板101の受熱部101aに効率良く逃がすことができる。
【0103】
本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0104】
例えば、上述した本実施の形態においては、下側シート本体10X(あるいは下側金属シート10)の下側流路凹部12内に、下側流路突出部13がボスとして設けられるとともに、上側シート本体20X(あるいは上側金属シート20)の上側流路凹部21内に、上側流路突出部22がボスとして設けられている例について説明した。しかしながら、下側流路突出部13および上側流路突出部22の形状や構成は、これに限られることはなく、任意である。
【符号の説明】
【0105】
1 ベーパーチャンバ
2 作動液
3 密封空間
5 チャンバ本体
6 熱伝導部
10 下側金属シート
10X 下側シート本体
10c 取付面
20 上側金属シート
50 屈曲部
100 ベーパーチャンバ搭載基板
101 基板
102 デバイス
102a 上面
102b 面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18