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特許7169584オーキシン生合成阻害活性を有する新規化合物、その製造方法及びその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】オーキシン生合成阻害活性を有する新規化合物、その製造方法及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/732 20060101AFI20221104BHJP
   A01N 37/36 20060101ALI20221104BHJP
   A01N 43/78 20060101ALI20221104BHJP
   A01N 43/42 20060101ALI20221104BHJP
   A01N 43/12 20060101ALI20221104BHJP
   A01N 43/38 20060101ALI20221104BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20221104BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20221104BHJP
   C07C 67/31 20060101ALI20221104BHJP
   C07C 67/22 20060101ALI20221104BHJP
   C07C 67/347 20060101ALI20221104BHJP
   C07C 69/738 20060101ALI20221104BHJP
   C07D 277/64 20060101ALI20221104BHJP
   C07D 215/14 20060101ALI20221104BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20221104BHJP
   C07D 209/18 20060101ALI20221104BHJP
   C07C 239/20 20060101ALI20221104BHJP
   C07C 69/712 20060101ALI20221104BHJP
   C07C 235/34 20060101ALI20221104BHJP
   A01N 37/38 20060101ALI20221104BHJP
   C07C 57/42 20060101ALI20221104BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221104BHJP
【FI】
C07C69/732 Z CSP
A01N37/36
A01N43/78 101
A01N43/42 101
A01N43/12 Z
A01N43/38
A01P21/00
A01P13/00
C07C67/31
C07C67/22
C07C67/347
C07C69/738 A
C07D277/64
C07D215/14
C07D307/91
C07D209/18
C07C239/20
C07C69/712 Z
C07C235/34
A01N37/38
C07C57/42
C07B61/00 300
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019009335
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2019131540
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2018013493
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
(73)【特許権者】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 幸久
(72)【発明者】
【氏名】岡本 専太郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 理絵
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102258020(CN,A)
【文献】特表2013-506639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0068722(US,A1)
【文献】特開2006-121962(JP,A)
【文献】特開2002-371033(JP,A)
【文献】特表平05-507919(JP,A)
【文献】特表2007-536289(JP,A)
【文献】特開昭55-000022(JP,A)
【文献】国際公開第2006/074797(WO,A1)
【文献】特開2014-118404(JP,A)
【文献】特開2016-169221(JP,A)
【文献】Plant Cell,2011年,23(11),3944-3960
【文献】Plant Cell Reports,2015年,34(8),1343-1352
【文献】Plant Signaling & Behavior,2015年,10(12),e1071752/1-e1071752/4
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry,2017年,25(3),926-940
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2016年,26(19),4748-4752
【文献】Angew. Chem. Int. Ed.,2004年,43,317-320
【文献】Macromolecules,2008年,41,1937-1944
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 69/732
A01P 13/00
A01N 37/36
A01N 43/78
A01N 43/42
A01N 43/12
A01N 43/38
A01P 21/00
C07C 67/31
C07C 67/22
C07C 67/347
C07C 69/738
C07D 277/64
C07D 215/14
C07D 307/91
C07D 209/18
C07C 239/20
C07C 69/712
C07C 235/34
A01N 37/38
C07C 57/42
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aは、以下の式:
【化2】

からなる群より選択される二価基であり、
*は、Arを含む残部との結合位置を示し、
**は、R 1 ~R 3 を含む残部との結合位置を示し、
X 1 は、Oであり、
nは、Aが式(A-1)及び(A-3)からなる群より選択される二価基である場合、1であり、Aが式(A-4)で表される二価基である場合、1、2又は3であり、
Arは、4-ブロモフェニル、4-クロロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2-メチル-4-クロロフェニル、2-メトキシ-4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、2,4,5-トリクロロフェニル、4-ヒドロキシフェニル、ナフチル、インドリル、1-メトキシカルボニル-1H-インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、フルオレニル、9-オキソ-9H-フルオレニル又はジベンゾフラニルであり、
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のアシルオキシであり、
R2は、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R3は、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R4、R5、R6、及びR7は、存在する場合、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R8及びR9は、存在する場合、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NH2、又は-ONH2である。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項2】
R 1が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキニルであり、
R2が、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R3が、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C8アルコキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R4、R5、R6、及びR7が、存在する場合、いずれも水素であり、
R8及びR9が、存在する場合、互いに独立して、水素、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R 1が、水素、又はメチルであり、
R2が、ヒドロキシル、メトキシ、-NH2、又は-ONH2であり、
R3が、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ又は-NR8R9であり、
R4、R5、R6、及びR7が、存在する場合、いずれも水素であり、
R8及びR9が、存在する場合、互いに独立して、水素、メチル、エチル、又はプロピルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R 1が、水素であり、
R2が、ヒドロキシル、又は-ONH2であり、
R3が、ヒドロキシル、メトキシ、又はエトキシであり、
R4、R5、R6、及びR7が、存在する場合、いずれも水素である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
メチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-1);
メチル 2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-2);
2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタン酸(I-1-3);
2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタン酸(I-1-4);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-5);
メチル 3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-5-オキソペント-1-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレート(I-1-7);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-1-イル)ペンタノエート(I-1-9);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(I-3-1);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(I-3-5);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)ペント-4-イノエート(I-3-6);
エチル 5-(ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシペント-4-イノエート(I-3-11);
エチル 2-ヒドロキシ-5-フェニルペント-4-イノエート(I-3-16);
2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イン酸(I-3-17);
エチル 2-(アミノオキシ)-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(I-3-18);
メチル 4-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシブタノエート(I-4-1);
エチル 6-(4-クロロフェノキシ)-2-ヒドロキシヘキサノエート(I-4-8);
メチル 5-(4-クロロ-2-メトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-9);
メチル 5-(4-メチルフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-10);又は
メチル 5-(2,4,5-トリクロロフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-11);若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、オーキシン生合成阻害剤。
【請求項7】
インドール-3-酪酸(IBA)の生合成を阻害するために使用される、請求項6に記載のオーキシン生合成阻害剤。
【請求項8】
望ましくない植物を防除するために使用される、請求項6又は7に記載のオーキシン生合成阻害剤。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物で植物を処理することを含む、該植物におけるオーキシンの生合成を阻害する方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物で植物を処理することを含む、該植物の成長を調節する方法。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物で望ましくない植物を処理することを含む、該望ましくない植物の除草方法。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか1項に記載の式(I)(式中、Aは、式(A-1)及び(A-4)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、以下:
式(II):
【化3】

[式中、
n及びArは、請求項1に記載の定義と同義であり、
Aは、式(A-1)及び(A-4)からなる群より選択される二価基である。]
で表される化合物とシアン化物とを反応させて、式(III):
【化4】

[式中、n、Ar及びAは、前記式(II)の定義と同義である。]
で表される化合物を得る工程(工程1-1);
式(III)で表される化合物とアルコールR11-OHとを、クロロトリメチルシラン、塩酸、硫酸又はリン酸とともに反応させて、式(IV):
【化5】

[式中、
n、Ar及びAは、前記式(II)の定義と同義であり、
R11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルである。]
で表される化合物を得る工程(工程1-2);
を含む、前記方法。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか1項に記載の式(I)(式中、Aは、式(A-1)、及び(A-3)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、以下:
式(V):
【化6】

[式中、
nは、請求項1に記載の定義と同義であり、
Hal1は、ハロゲンである。]
で表される化合物と、式(VI):
【化7】

[式中、
R11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルである。]
で表される化合物とを反応させて、式(VII):
【化8】

[式中、
n及びR11は、前記式(V)又は(VI)の定義と同義である。]
で表される化合物を得る工程(工程2-1);
式(VII)で表される化合物と、化合物Ar-Hal2 (式中、Arは、請求項1に記載の定義と同義であり、Hal 2 は、ハロゲンである。)とを反応させて、式(VIII):
【化9】

[式中、
Arは、前記化合物Ar-Hal 2 の定義と同義であり
n及びR11は、前記式(V)又は(VI)の定義と同義である。]
で表される化合物を得る工程(工程2-2);
を含む、前記方法。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか1項に記載の式(I)(式中、Aは、式(A-1)、及び(A-3)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、以下:
式(IX):
【化10】

[式中、
n、Ar及びAは、請求項1に記載の定義と同義であり、
R11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルである。]
で表される化合物と、2-アリールスルホニル-3-フェニルオキサジリジンとを反応させて、式(IV):
【化11】

[式中、
n、Ar,A及びR11は、前記式(IX)の定義と同義である。]
で表される化合物を得る工程(工程3-1);
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーキシン生合成阻害活性を有する新規化合物、その製造方法及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
オーキシンは、植物の発生、成長、分化及び様々な環境応答に関与することが知られている植物ホルモンである。天然オーキシンとしては、インドール-3-酢酸(IAA)が最も普遍的に分布していることが知られている。また、インドール-3-酪酸(IBA)及び4-クロロインドール-3-酢酸(4-Cl-IAA)等の他の天然オーキシンも知られている。
【0003】
主要な天然オーキシンであるIAAは、化学的に非常に不安定である。また、植物体内においては、IAAを分解するIAAの代謝経路が存在する。このため、農業及び植物化学の分野では、農薬又は植物化学調節剤として合成オーキシンが広く用いられている。合成オーキシンとしては、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、1-ナフタレン酢酸(NAA)及び2-メチル-4-クロロフェノキシ酪酸(MCPB)等が知られている。例えば、2,4-Dは、除草剤及び植物の組織培養試薬として使用されている。MCPBは、水田広葉雑草に対する選択的除草剤として使用されている。
【0004】
オーキシンすなわちIAAは、複数の経路によって生合成されることが知られている。現在までに、大別すると、L-トリプトファン(L-Trp)を経由する経路と経由しない経路(非トリプトファン経路)との2つの経路が存在することが確認されている。L-Trpを経由する経路は、さらに4つ以上の経路に分岐し、それぞれの経路が異なる生合成酵素によって制御されている。シロイヌナズナでは、インドール-3-ピルビン酸(IPyA)を生合成中間体としてIAAが生合成される経路が、IAA生合成の主要な経路である。前記経路において、L-TrpからIPyAが形成される反応はトリプトファンアミノ基転移酵素(TAA)により、IPyAからIAAが形成される反応は、特定のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)により、それぞれ制御される。TAAをコードするTAA1遺伝子及びYUCCAをコードするYUCCA1遺伝子の過剰発現体の解析から、このIAA生合成経路においては、YUCCAが主要な律速酵素であると考えられている(非特許文献1)。
【0005】
また、オーキシンの生合成経路において、IAAとIBAとは相互変換されることが知られている(非特許文献2)。IBAからIAAへの変換は、β酸化によって行われることが、また、IAAからIBAへの変換は、IBA生合成酵素によって制御されることが、それぞれ知られている。IBAの機能として、例えば、植物の初期生育における側根の形成が、IBAによって制御されると考えられている(非特許文献2)。
【0006】
前記のように、オーキシンの生合成においては、共通且つ主要な生合成前駆体として、芳香族アミノ酸であるL-Trpが利用されている。例えば、公知の除草剤であるグリホサートは、芳香族アミノ酸の生合成前駆体である5-エノールピルビル-3-ホスホシキミ酸(EPSP)の生合成酵素(5-エノールピルビル-3-ホスホシキミ酸シンターゼ(EPSPS))を阻害する。このため、グリホサートは、EPSPの下流に位置する芳香族アミノ酸及び/又は他の二次代謝産物の生合成に広く影響を与えることにより、除草活性を発現する。しかしながら、前記のように幅広い代謝産物の生合成に影響を与える酵素の阻害剤の場合、標的とする化合物以外の代謝産物の生合成にも悪影響を与える可能性がある。
【0007】
近年、オーキシンの生合成経路のうち、特定の経路を特異的に阻害する化合物が開発された。例えば、特許文献1は、L-α-(2-アミノエトキシビニル)グリシン(AVG)、L-アミノオキシフェニルプロピオン酸(L-AOPP)、アミノオキシ酢酸(AOA)及び2-アミノオキシイソ酪酸(AOIBA)のようなオーキシン生合成阻害剤を記載する。前記化合物のうち、AVG及びL-AOPPは、TAAの阻害を介してオーキシン生合成を阻害する(非特許文献3)。
【0008】
特許文献2は、L-AOPPのフェニル基、カルボキシル基及びアミノオキシ基を修飾した新規オーキシン生合成阻害剤を記載する。当該文献に記載の化合物もまた、TAAの阻害を介してオーキシン生合成を阻害する。
【0009】
特許文献3は、L-AOPPの骨格に含まれるアミノオキシ基を、窒素原子を含まない基に置換した構造を有する新規オーキシン生合成阻害剤を記載する。
【0010】
特許文献4は、式(I)又は式(II)で表されるボロン酸基を有する新規オーキシン生合成阻害剤を記載する。当該文献は、ボロン酸基を有する特定の新規化合物が、オーキシンの生合成経路において、IPyAからIAAが形成される反応を制御するYUCCAを阻害することにより、オーキシン生合成阻害活性を発現することを記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開2008/150031号
【文献】国際公開2012/118216号
【文献】特許第6037277号公報
【文献】特許第6120272号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】Mashiguchi, K.ら, 2011年, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 第108巻, p. 18512-18517
【文献】Woodward A及びBartel B., 2005年, Annals of Botany, 第95巻, p. 707-735
【文献】Soeno, K.ら, 2010年, Plant Cell Physiol., 第51巻, p. 524-536
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のように、様々なオーキシン生合成阻害剤が開発されてきた。しかしながら、前記のようなオーキシン生合成阻害剤には、いくつかの問題が存在した。例えば、L-AOPPは、安定性が低く、植物培地又は土壌に添加した場合に植物の成長阻害効果を持続的に発現することが困難である。また、L-AOPPは、フェニルプロパノイドの主要な生合成酵素として知られるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の阻害剤としても使用される化合物である。このため、L-AOPPは、TAAの阻害を介してオーキシン生合成を阻害するだけでなく、アントシアニン、フラボノイド及びリグニンのようなフェニルプロパノイド系の二次代謝産物、並びに植物ホルモンであるサリチル酸の生合成も阻害する可能性がある。
【0014】
オーキシンは、複雑な生合成経路によって産生される。また、植物体においては、IAA及びIBAのように様々な天然オーキシンが機能している。従来技術のオーキシン生合成阻害剤は、主に、TrpからIAAを形成するいずれかの段階を阻害することによって、オーキシンの生合成を阻害する。しかしながら、例えばIAA及びIBAの相互変換のように、オーキシンの生合成経路の他の段階を特異的に阻害する化合物は知られていなかった。このような、従来技術のオーキシン生合成阻害剤と異なる作用機序を有する化合物は、従来技術のオーキシン生合成阻害剤と異なる特徴的な生物活性を発現する可能性がある。
【0015】
それ故、本発明は、オーキシン生合成阻害活性を有する新規化合物を提供することを課題とする。一態様において、本発明は、従来技術のオーキシン生合成阻害剤と異なる作用機序のオーキシン生合成阻害活性を有する新規化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、従来技術のオーキシン生合成阻害剤にみられる芳香環を有するプロパン酸骨格において、プロパン酸主鎖の鎖長及び鎖構造を改変することにより、高いオーキシン生合成阻害活性を有する新規化合物が得られることを見出した。また、本発明者らは、このようにして得られた特定の新規化合物は、従来技術のオーキシン生合成阻害剤と異なる作用機序のオーキシン生合成阻害活性を有することを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
【0017】
すなわち、本発明の要旨は、以下の実施形態の通りである。
(1) 式(I):
【化1】
[式中、
nは、0~4の範囲の整数であり、
Arは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであり、
Aは、以下の式:
【化2】
からなる群より選択される二価基であり、
*は、Arを含む残部との結合位置を示し、
**は、R1~R3を含む残部との結合位置を示し、
X1及びX2は、互いに独立して、O、S及びN-R8からなる群より選択されるヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のアシルオキシであり、 R2は、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R3は、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R4、R5、R6、及びR7は、存在する場合、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R8及びR9は、存在する場合、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NH2、又は-ONH2である。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(2) nが、1又は2であり、
Arが、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであり、
R1が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキニルであり、
R2が、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R3が、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C8アルコキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R4、R5、R6、及びR7が、存在する場合、いずれも水素であり、
R8及びR9が、存在する場合、互いに独立して、水素、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルキルである、前記実施形態(1)に記載の化合物。
(3) nが、1又は2であり、
Arが、置換若しくは非置換のフェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ナフチル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、フルオレニル、9-オキソ-9H-フルオレニル又はジベンゾフラニルであり、
X1及びX2が、存在する場合、互いに独立して、O又はSであり、
R1が、水素、又はメチルであり、
R2が、ヒドロキシル、メトキシ、-NH2、又は-ONH2であり、
R3が、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ又は-NR8R9であり、
R4、R5、R6、及びR7が、存在する場合、いずれも水素であり、
R8及びR9が、存在する場合、互いに独立して、水素、メチル、エチル、又はプロピルである、前記実施形態(1)又は(2)に記載の化合物。
(4) nが、1であり、
Arが、置換若しくは非置換のフェニル、ナフチル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、フルオレニル、9-オキソ-9H-フルオレニル又はジベンゾフラニルであり、
Aが、式(A-1)、(A-2)、(A-3)及び(A-4)からなる群より選択される二価基であり、
X1が、存在する場合、Oであり、
R1が、水素であり、
R2が、ヒドロキシル、又は-ONH2であり、
R3が、ヒドロキシル、メトキシ、又はエトキシであり、
R4、R5、R6、及びR7が、存在する場合、いずれも水素である、前記実施形態(1)~(3)のいずれかに記載の化合物。
(5) メチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-1);
メチル 2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-2);
2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタン酸(I-1-3);
2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタン酸(I-1-4);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-5);
メチル 3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-5-オキソペント-1-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレート(I-1-7);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-1-イル)ペンタノエート(I-1-9);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(I-3-1);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(I-3-5);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)ペント-4-イノエート(I-3-6);
エチル 5-(ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシペント-4-イノエート(I-3-11);
エチル 2-ヒドロキシ-5-フェニルペント-4-イノエート(I-3-16);
2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イン酸(I-3-17);
エチル 2-(アミノオキシ)-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(I-3-18);
メチル 4-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシブタノエート(I-4-1);
エチル 6-(4-クロロフェノキシ)-2-ヒドロキシヘキサノエート(I-4-8);
メチル 5-(4-クロロ-2-メトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-9);
メチル 5-(4-メチルフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-10);又は
メチル 5-(2,4,5-トリクロロフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-11);
若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、前記実施形態(1)に記載の化合物。
(6) 前記実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、オーキシン生合成阻害剤。
(7) インドール-3-酪酸(IBA)の生合成を阻害するために使用される、前記実施形態(6)に記載のオーキシン生合成阻害剤。
(8) 望ましくない植物を防除するために使用される、前記実施形態(6)又は(7)に記載のオーキシン生合成阻害剤。
(9) 前記実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物で植物を処理することを含む、該植物におけるオーキシンの生合成を阻害する方法。
(10) 前記実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物で植物を処理することを含む、該植物の成長を調節する方法。
(11) 前記実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物で望ましくない植物を処理することを含む、該望ましくない植物の除草方法。
(12) 前記実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の式(I)(式中、Aは、式(A-1)、(A-4)、(A-5)及び(A-6)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、以下:
式(II):
【化3】
[式中、
n及びArは、前記実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の定義と同義であり、
Aは、式(A-1)、(A-4)、(A-5)及び(A-6)からなる群より選択される二価基である。]
で表される化合物とシアン化物とを反応させて、式(III):
【化4】
[式中、n、Ar及びAは、前記と同義である。]
で表される化合物を得る工程(工程1-1);
式(III)で表される化合物とアルコールR11-OHとを、クロロトリメチルシラン、塩酸、硫酸又はリン酸とともに反応させて、式(IV):
【化5】
[式中、
n、Ar及びAは、前記と同義であり、
R11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルである。]
で表される化合物を得る工程(工程1-2);
を含む、前記方法。
(13) 前記実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の式(I)(式中、Aは、式(A-1)、(A-2)、及び(A-3)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、以下:
式(V):
【化6】
[式中、
nは、前記実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の定義と同義であり、
Hal1は、ハロゲンである。]
で表される化合物と、式(VI):
【化7】
[式中、
R11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルである。]
で表される化合物とを反応させて、式(VII):
【化8】
[式中、
n及びR11は、前記と同義である。]
で表される化合物を得る工程(工程2-1);
式(VII)で表される化合物と、化合物Ar-Hal2とを反応させて、式(VIII):
【化9】
[式中、
Ar、n及びR11は、前記と同義であり、
Hal2は、ハロゲンである。]
で表される化合物を得る工程(工程2-2);
を含む、前記方法。
(14) 前記実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の式(I)(式中、Aは、式(A-1)、(A-2)、及び(A-3)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、以下:
式(IX):
【化10】
[式中、
n、Ar及びAは、前記と同義であり、
R11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルである。]
で表される化合物と、2-アリールスルホニル-3-フェニルオキサジリジンとを反応させて、式(IV):
【化11】
[式中、
n、Ar、A及びR11は、前記と同義である。]
で表される化合物を得る工程(工程3-1);
を含む、前記方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、オーキシン生合成阻害活性を有する新規化合物を提供することが可能となる。また、本発明の一態様により、従来技術のオーキシン生合成阻害剤と異なる作用機序のオーキシン生合成阻害活性を有する新規化合物を提供することが可能となる。
【0019】
前記以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1-1】図1-1は、シロイヌナズナの生育試験における、試験化合物の添加濃度と主根長との関係を示すグラフである。(a):比較例の化合物PPBoの結果、(b)~(f):化合物(I-1-1)、(I-1-4)、(I-1-5)、(I-4-1)、又は(I-3-11)の結果。
図1-2】図1-2は、シロイヌナズナの生育試験における、試験化合物の添加濃度と主根長との関係を示すグラフである。(g)~(l):化合物(I-3-6)、(I-3-1)、(I-3-5)、(I-1-9)、(I-1-2)又は(I-1-3)の結果。
図1-3】図1-3は、シロイヌナズナの生育試験における、試験化合物の添加濃度と主根長との関係を示すグラフである。(m)~(r):化合物(I-3-16)、(I-3-17)、(I-1-7)、(I-4-8)、(I-4-9)又は(I-4-10)の結果。
図1-4】図1-4は、シロイヌナズナの生育試験における、試験化合物の添加濃度と主根長との関係を示すグラフである。(s):化合物(I-4-11)の結果、(t):化合物(I-3-18)の結果。
図2-1】図2-1は、シロイヌナズナの生育試験における、試験化合物の添加濃度と側根密度との関係を示すグラフである。(a):比較例の化合物PPBoの結果、(b)~(f):化合物(I-1-1)、(I-1-4)、(I-1-5)、(I-4-1)、又は(I-3-11)の結果。
図2-2】図2-2は、シロイヌナズナの生育試験における、試験化合物の添加濃度と側根密度との関係を示すグラフである。(g)~(l):化合物(I-3-6)、(I-3-1)、(I-3-5)、(I-1-9)、(I-1-2)又は(I-1-3)の結果。
図2-3】図2-3は、シロイヌナズナの生育試験における、試験化合物の添加濃度と側根密度との関係を示すグラフである。(m)~(r):化合物(I-3-16)、(I-3-17)、(I-1-7)、(I-4-8)、(I-4-9)又は(I-4-10)の結果。
図2-4】図2-4は、シロイヌナズナの生育試験における、試験化合物の添加濃度と側根密度との関係を示すグラフである。(s):化合物(I-4-11)の結果、(t):化合物(I-3-18)の結果。
図3図3は、IAAと比較例の化合物PPBo(0.3 μM)とを同時に施用したときのIAA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IAA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIAAと比較例の化合物PPBoとを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図4図4は、IBAと比較例の化合物PPBo(0.3 μM)とを同時に施用したときのIBA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IBA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIBAと比較例の化合物PPBoとを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図5図5は、IAAと実施例化合物(I-1-1)(5 μM)とを同時に施用したときのIAA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IAA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIAAと実施例化合物(I-1-1)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図6図6は、IBAと実施例化合物(I-1-1)(5 μM)とを同時に施用したときのIBA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IBA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIBAと実施例化合物(I-1-1)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図7図7は、IAAと実施例化合物(I-3-11)(10 μM)とを同時に施用したときのIAA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IAA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIAAと実施例化合物(I-3-11)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図8図8は、IBAと実施例化合物(I-3-11)(10 μM)とを同時に施用したときのIBA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IBA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIBAと実施例化合物(I-3-11)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図9図9は、IAAと実施例化合物(I-3-1)(0.2 μM)とを同時に施用したときのIAA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IAA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIAAと実施例化合物(I-3-1)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図10図10は、IBAと実施例化合物(I-3-1)(0.2 μM)とを同時に施用したときのIBA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IBA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIBAと実施例化合物(I-3-1)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図11図11は、IAAと実施例化合物(I-3-5)(0.2 μM)とを同時に施用したときのIAA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IAA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIAAと実施例化合物(I-3-5)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図12図12は、IBAと実施例化合物(I-3-5)(0.2 μM)とを同時に施用したときのIBA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IBA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIBAと実施例化合物(I-3-5)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図13図13は、IAAと実施例化合物(I-1-2)(1 μM)とを同時に施用したときのIAA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IAA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIAAと実施例化合物(I-1-2)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図14図14は、IBAと実施例化合物(I-1-2)(1 μM)とを同時に施用したときのIBA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IBA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIBAと実施例化合物(I-1-2)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図15図15は、IAAと実施例化合物(I-1-3)(1 μM)とを同時に施用したときのIAA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IAA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIAAと実施例化合物(I-1-3)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
図16図16は、IBAと実施例化合物(I-1-3)(1 μM)とを同時に施用したときのIBA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を示す図である。(a):IBA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフ、(b):異なる濃度のIBAと実施例化合物(I-1-3)とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1. 新規化合物>
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1~C6アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても6個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。好適なアルキルは、限定するものではないが、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシル等の直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルキルを挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なアルケニルは、限定するものではないが、例えばビニル、1-プロペニル、アリル、1-メチルエテニル(イソプロペニル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、3-メチルブタ-2-エン-1-イル及び1-ペンテニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルケニルを挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルは、限定するものではないが、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル及び1-ペンチニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルキニルを挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3~C6シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても6個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のC3~C6シクロアルキルを挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等のC4~C6シクロアルケニルを挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「シクロアルキニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルキニルは、限定するものではないが、例えばシクロブチニル、シクロペンチニル及びシクロヘキシニル等のC4~C6シクロアルキニルを挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「ヘテロシクロアルキル」は、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルの1個以上の炭素原子が、互いに独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等の3~6員のヘテロシクロアルキルを挙げることができる。好適なヘテロシクロアルケニルは、限定するものではないが、ジヒドロピロール及びテトラヒドロピリジン等の5員又は6員のヘテロシクロアルケニルを挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「シクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロヘキシルメチル及びシクロヘキセニルメチル等のC7~C11シクロアルキルアルキルを挙げることができる。
【0029】
本明細書において、「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えば3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C5アルキルを挙げることができる。
【0030】
本明細書において、「アルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルに置換された基を意味する。好適なアルコキシは、限定するものではないが、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びペントキシ等のC1~C5アルコキシを挙げることができる。
【0031】
本明細書において、「シクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシは、限定するものではないが、例えばシクロプロポキシ、シクロブトキシ及びシクロペントキシ等のC3~C6シクロアルコキシを挙げることができる。
【0032】
本明細書において、「ヘテロシクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシは、限定するものではないが、例えば3~6員のヘテロシクロアルコキシを挙げることができる。
【0033】
本明細書において、「アリール」は、芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル及びアントラセニル等のC6~C18アリールを挙げることができる。
【0034】
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、ビフェニルメチル、テルフェニルメチル及びスチリル等のC7~C20アリールアルキルを挙げることができる。
【0035】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、互いに独立してN、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等の5~15員のヘテロアリールを挙げることができる。
【0036】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばピリジルメチル等の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルを挙げることができる。
【0037】
本明細書において、「アリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシ及びアントリルオキシ(アントラセニルオキシ)等のC6~C15アリールオキシを挙げることができる。
【0038】
本明細書において、「アリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールアルキルに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えばベンジルオキシ、1-フェネチルオキシ、2-フェネチルオキシ及びスチリルオキシ等のC7~C20アリールアルキルオキシを挙げることができる。
【0039】
本明細書において、「ヘテロアリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフラニルオキシ、チエニルオキシ(チオフェンイルオキシ)、ピロリルオキシ、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、トリアゾリルオキシ、テトラゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、チアジアゾリルオキシ、イソチアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、キノリニルオキシ、イソキノリニルオキシ及びインドリルオキシ等の5~15員のヘテロアリールオキシを挙げることができる。
【0040】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えば5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシを挙げることができる。
【0041】
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される一価基とカルボニルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばホルミル、アセチル及びプロピオニル等のC1~C5脂肪族アシル、並びにベンゾイル等のC7~C120芳香族アシルを包含するC1~C20アシルを挙げることができる。
【0042】
前記で説明した基は、互いに独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数の前記で説明した一価基によってさらに置換することもできる。
【0043】
本明細書において、「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を意味する。
【0044】
本発明の一態様は、式(I):
【化12】
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物に関する。
【0045】
本発明者らは、特許文献2及び3に記載のような、従来技術のオーキシン生合成阻害剤にみられる芳香環を有するプロパン酸骨格において、プロパン酸主鎖の鎖長及び鎖構造を改変することにより、高いオーキシン生合成阻害活性を有する新規化合物が得られることを見出した。また、本発明者らは、このようにして得られた特定の新規化合物は、従来技術のオーキシン生合成阻害剤と異なる作用機序のオーキシン生合成阻害活性を有することを見出した。
【0046】
式(I)において、nは、0~4の範囲の整数である。nは、1、2又は3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。nが前記で例示した範囲の整数の場合、本態様の式(I)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有することができる。
【0047】
Arは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルである。Arは、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6~C15アリール縮合-C6~C15シクロアルキル又は置換若しくは非置換のC6~C15アリール縮合した5~15員のヘテロシクロアルキルであることが好ましく、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであることがより好ましく、置換若しくは非置換のフェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ナフチル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、フルオレニル、9-オキソ-9H-フルオレニル又はジベンゾフラニルであることがさらに好ましく、置換若しくは非置換のフェニル、ナフチル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、フルオレニル、9-オキソ-9H-フルオレニル又はジベンゾフラニルであることが特に好ましく、4-ブロモフェニル、4-クロロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2-メチル-4-クロロフェニル、2-メトキシ-4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、2,4,5-トリクロロフェニル、4-ヒドロキシフェニル、ナフチル、インドリル、1-メトキシカルボニル-1H-インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、フルオレニル、9-オキソ-9H-フルオレニル又はジベンゾフラニルであることがとりわけ好ましい。Arが前記で例示した基の場合、本態様の式(I)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有することができる。
【0048】
Aは、以下の式:
【化13】
からなる群より選択される二価基である。式(A-1)~(A-6)において、*は、Arを含む残部との結合位置を示し、且つ**は、R1~R3を含む残部との結合位置を示す。
【0049】
好ましくは、Aは、以下の式:
【化14】
からなる群より選択される二価基である。Aは、式(A-1)、(A-2)、(A-3)及び(A-4)からなる群より選択される二価基、特に式(A-1-1)、(A-2-1)、(A-3-1)及び(A-4-1)からなる群より選択される二価基であることが好ましく、式(A-1)、(A-3)及び(A-4)からなる群より選択される二価基、特に式(A-1-1)、(A-3-1)及び(A-4-1)からなる群より選択される二価基であることがより好ましい。Aが前記で例示した基の場合、本態様の式(I)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有することができる。
【0050】
X1及びX2は、互いに独立して、O、S及びN-R8からなる群より選択されるヘテロ原子又はヘテロ原子含有基である。X1及びX2は、存在する場合、互いに独立して、O又はSであることが好ましく、存在する場合、Oであることがより好ましい。X1及びX2が前記で例示した基の場合、本態様の式(I)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有することができる。
【0051】
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のアシルオキシである。R1は、水素、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC2~C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであることが好ましく、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキニルであることがより好ましく、水素、又はメチルであることがさらに好ましく、水素であることが特に好ましい。R1が前記で例示した基の場合、本態様の式(I)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有することができる。
【0052】
R2は、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9である。R2は、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC2~C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であることが好ましく、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であることがより好ましく、ヒドロキシル、メトキシ、-NH2、又は-ONH2であることがさらに好ましく、ヒドロキシル、又は-ONH2であることが特に好ましい。R2が前記で例示した基の場合、本態様の式(I)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有することができる。
【0053】
R3は、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9である。R3は、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C8アルキル、置換若しくは非置換のC2~C8アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C8アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC1~C8アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であることが好ましく、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C8アルコキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であることがより好ましく、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ又は-NR8R9であることがさらに好ましく、ヒドロキシル、メトキシ、又はエトキシであることが特に好ましい。R3が前記で例示した基の場合、本態様の式(I)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有することができる。
【0054】
R4、R5、R6、及びR7は、存在する場合、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9である。R4、R5、R6、及びR7は、存在する場合、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC2~C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であることが好ましく、存在する場合、いずれも水素であることがより好ましい。R4、R5、R6、及びR7が前記で例示した基の場合、本態様の式(I)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有することができる。
【0055】
R8及びR9は、存在する場合、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシルオキシ、-NH2、又は-ONH2である。R8及びR9は、存在する場合、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC2~C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であることが好ましく、存在する場合、互いに独立して、水素、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルキルであることがより好ましく、存在する場合、互いに独立して、水素、メチル、エチル、又はプロピルであることがさらに好ましい。R8及びR9が前記で例示した基の場合、本態様の式(I)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有することができる。
【0056】
式(I)において、前記基が置換されている場合、該置換基は、互いに独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、オキソ(=O)及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される少なくとも1個の1価基又は2価基であることが好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC2~C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、オキソ及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される少なくとも1個の1価基又は2価基であることがより好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC2~C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C5アルキニル、置換若しくは非置換のC1~C5アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の1価基又は2価基であることがさらに好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシル、メチル又はオキソであることが特に好ましい。前記1価基が置換されている場合、該置換基は、前記1価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記1価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0057】
本態様の一実施形態において、式(I)で表される化合物は、以下の式:
【化15】
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物であることが好ましい。
【0058】
式(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)において、n 、Ar、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、前記と同義である。
【0059】
式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物は、前記で例示されるn、Ar、A、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9の任意の組み合わせによって定義される化合物を包含することができる。
【0060】
好ましくは、式(I)で表される化合物、特に式(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物は、
nが、1又は2であり、
Arが、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであり、
R1が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキニルであり、
R2が、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R3が、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C8アルコキシ、-NR8R9、又は-ONR8R9であり、
R4、R5、R6、及びR7が、存在する場合、いずれも水素であり、
R8及びR9が、存在する場合、互いに独立して、水素、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルキルであり、
前記基が置換されている場合、特に言及しない限り、該置換基は、互いに独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC2~C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、オキソ及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される少なくとも1個の1価基又は2価基である。前記1価基又は2価基が置換されている場合、該置換基は、前記1価基又は2価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記1価基又は2価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0061】
より好ましくは、式(I)で表される化合物、特に式(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物は、
nが、1又は2であり、
Arが、置換若しくは非置換のフェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ナフチル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、フルオレニル、9-オキソ-9H-フルオレニル又はジベンゾフラニルであり、
X1及びX2が、存在する場合、互いに独立して、O又はSであり、
R1が、水素、又はメチルであり、
R2が、ヒドロキシル、メトキシ、-NH2、又は-ONH2であり、
R3が、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ又は-NR8R9であり、
R4、R5、R6、及びR7が、存在する場合、いずれも水素であり、
R8及びR9が、存在する場合、互いに独立して、水素、メチル、エチル、又はプロピルであり、
前記基が置換されている場合、特に言及しない限り、該置換基は、互いに独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC2~C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C5アルキニル、置換若しくは非置換のC1~C5アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の1価基又は2価基である。前記1価基又は2価基が置換されている場合、該置換基は、前記1価基又は2価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記1価基又は2価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0062】
さらに好ましくは、式(I)で表される化合物、特に式(I-1)、(I-2)、(I-3)又は(I-4)で表される化合物は、
nが、1であり、
Arが、置換若しくは非置換のフェニル、ナフチル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、フルオレニル、9-オキソ-9H-フルオレニル又はジベンゾフラニルであり、
Aが、存在する場合、式(A-1)、(A-2)、(A-3)及び(A-4)からなる群より選択される二価基であり、
X1が、存在する場合、Oであり、
R1が、水素であり、
R2が、ヒドロキシル、又は-ONH2であり、
R3が、ヒドロキシル、メトキシ、又はエトキシであり、
R4、R5、R6、及びR7が、存在する場合、いずれも水素であり、
前記基が置換されている場合、特に言及しない限り、該置換基は、互いに独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC2~C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C5アルキニル、置換若しくは非置換のC1~C5アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の1価基又は2価基である。前記1価基又は2価基が置換されている場合、該置換基は、前記1価基又は2価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記1価基又は2価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0063】
とりわけ特に好ましい式(I)で表される化合物、特に式(I-1)、(I-2)、(I-3)又は(I-4)で表される化合物は、以下:
メチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-1);
メチル 2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-2);
2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタン酸(I-1-3);
2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタン酸(I-1-4);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-5);
メチル 3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-5-オキソペント-1-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレート(I-1-7);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-1-イル)ペンタノエート(I-1-9);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(I-3-1);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(I-3-5);
エチル 2-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)ペント-4-イノエート(I-3-6);
エチル 5-(ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシペント-4-イノエート(I-3-11);
エチル 2-ヒドロキシ-5-フェニルペント-4-イノエート(I-3-16);
2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イン酸(I-3-17);
エチル 2-(アミノオキシ)-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(I-3-18);
メチル 4-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシブタノエート(I-4-1);
エチル 6-(4-クロロフェノキシ)-2-ヒドロキシヘキサノエート(I-4-8);
メチル 5-(4-クロロ-2-メトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-9);
メチル 5-(4-メチルフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-10);又は
メチル 5-(2,4,5-トリクロロフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-11);
若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である。本態様の式(I)で表される化合物が前記化合物である場合、該化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を発現することができる。また、この場合、本態様の式(I)で表される化合物は、IBAの生合成を特異的に阻害することができる。
【0064】
本発明の各態様において、式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物、並びに以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。前記化合物の塩としては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、若しくは置換若しくは非置換のアンモニウムイオンのようなカチオンとの塩、又は塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸若しくはリン酸のような無機酸、又はギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、p-トルエンスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸のような有機酸アニオンとの塩が好ましい。式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物が前記の塩の形態である場合であっても、高いオーキシン生合成阻害活性を発現することができる。
【0065】
本発明の各態様において、式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物、並びに以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)で表される化合物は、前記化合物自体だけでなく、該化合物又はその塩の溶媒和物も包含する。前記化合物、又はそれらの塩と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、水、又は低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール若しくは2-プロパノール(イソプロピルアルコール)のような1~6の炭素原子数を有するアルコール)、高級アルコール(例えば、1-ヘプタノール若しくは1-オクタノールのような7以上の炭素原子数を有するアルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン若しくは酢酸エチルのような有機溶媒が好ましい。式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物、又はそれらの塩が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合であっても、高いオーキシン生合成阻害活性を発現することができる。
【0066】
本発明の各態様において、式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物、並びに以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)で表される化合物は、前記化合物自体だけでなく、その保護形態も包含する。本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数個の官能基(例えばヒドロキシル基又はアミノ基)に保護基が導入された形態を意味する。本明細書において、前記化合物の保護形態を、前記化合物の保護誘導体と記載する場合がある。また、本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。前記化合物の保護形態を形成し得る保護基としては、限定するものではないが、例えば、ヒドロキシル基の保護基の場合、シリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)若しくはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS))、又はアルキル(例えば、メトキシメチル(MOM)若しくはメチル(Me))が、アミノ基の保護基の場合、t-ブトキシカルボニル(Boc)、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(BrZ)、又は9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)が、それぞれ好ましい。前記保護基による保護化及び脱保護化は、公知の反応条件に基づき、当業者が適宜実施することができる。式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物が前記の保護基による保護形態である場合であっても、高いオーキシン生合成阻害活性を発現することができる場合がある。
【0067】
本発明の各態様において、式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物、並びに以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)で表される化合物が1個又は複数個の互変異性体を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々の互変異性体の形態も包含する。
【0068】
また、本発明の各態様において、式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物、並びに以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)で表される化合物が1個又は複数個の二重結合を有する場合、前記化合物は、該化合物の幾何異性体も包含する。さらに、本発明の各態様において、式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物、並びに以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)で表される化合物が1個又は複数個の立体中心(キラル中心)を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のようなそれらの混合物を含む、該化合物の立体異性体も包含する。
【0069】
前記特徴を有することにより、式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を発現することができる。
【0070】
<2. 新規化合物の製造方法>
本発明の別の一態様は、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物を製造する方法に関する。
【0071】
[2-1. 製造方法1]
本態様の一実施形態において、本態様の製造方法は、以下に例示する工程1-1及び1-2を含む方法により、実施することができる(以下、「製造方法1」とも記載する)。本実施形態の製造方法1により、式(I)(式中、Aは、式(A-1)、(A-4)、(A-5)及び(A-6)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物、特に式(I-1)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物を製造することができる。
【0072】
本実施形態の製造方法1は、式(II):
【化16】
で表される化合物とシアン化物とを反応させて、式(III):
【化17】
で表される化合物を得る工程(工程1-1);
式(III)で表される化合物とアルコールR11-OHとを、クロロトリメチルシラン、塩酸、硫酸又はリン酸とともに反応させて、式(IV):
【化18】
で表される化合物を得る工程(工程1-2);
を含む方法により、実施することができる。
【0073】
式(II)、(III)及び(IV)において、n、Ar及びAは、前記と同義である。
【0074】
式(IV)及びアルコールR11-OHにおいて、R11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであることが好ましく、置換若しくは非置換のC1~C8アルキル、置換若しくは非置換のC2~C8アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C8アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C5アルキル、置換若しくは非置換のC6~C15アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C5アルキルであることがより好ましく、置換若しくは非置換のC1~C8アルキルであることがさらに好ましく、メチル、エチル又はオクチルであることが特に好ましく、メチル又はエチルであることがとりわけ好ましい。
【0075】
工程1-1において、式(II)で表される化合物は、予め調製された該化合物を購入等して準備してもよく、脂肪族アルコールの酸化、又はエステル若しくはニトリルの還元のような脂肪族アルデヒドの調製として公知の方法に基づき調製してもよい。
【0076】
工程1-1において、使用されるシアン化物としては、限定するものではないが、例えば、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化水素及びシアントリメチルシランを挙げることができる。
【0077】
本実施形態の製造方法1は、場合により、式(IV)で表される化合物を加水分解及びエステル化、又は加アルコール分解する工程(エステル交換工程)を含むことができる。本工程の反応は、当該技術分野で公知の反応条件に基づき、実施することができる。
【0078】
本実施形態の製造方法1は、場合により、式(IV)で表される化合物と、N-ヒドロキシフタルイミド又はN-ヒドロキシコハク酸イミドであるアミノ化試薬とを反応させて、次いで生成物をヒドラジンで分解する工程(アミノオキシ化工程)を含むことができる。本工程の反応は、当該技術分野で公知の反応条件に基づき、実施することができる。
【0079】
本実施形態の製造方法1により、式(I)(式中、Aは、式(A-1)、(A-4)、(A-5)及び(A-6)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物、特に式(I-1)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物を製造することができる。
【0080】
[2-2. 製造方法2]
本態様の一実施形態において、本態様の製造方法は、以下に例示する工程2-1及び2-2を含む方法により、実施することができる(以下、「製造方法2」とも記載する)。本実施形態の製造方法2により、式(I)(式中、Aは、式(A-1)、(A-2)、及び(A-3)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物、特に式(I-1)、(I-2)、又は(I-3)で表される化合物を製造することができる。
【0081】
本実施形態の製造方法2は、式(V):
【化19】
で表される化合物と、式(VI):
【化20】
で表される化合物とを反応させて、式(VII):
【化21】
で表される化合物を得る工程(工程2-1);
式(VII)で表される化合物と、化合物Ar-Hal2とを反応させて、式(VIII):
【化22】
で表される化合物を得る工程(工程2-2);
を含む方法により、実施することができる。
【0082】
式(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)、並びに化合物Ar-Hal2において、n、Ar及びR11は、前記と同義である。
【0083】
式(V)及び化合物Ar-Hal2において、Hal1及びHal2は、互いに独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)である。
【0084】
工程2-1において、式(V)及び(VI)で表される化合物は、予め調製された該化合物を購入等して準備してもよく、公知の方法(例えば、Xiang Zhang, Min Wang, Ran Ding, Yun-He Xu, Teck-Peng Loh, Organic Letters, 2015年, 第17巻(11), pp 2736-2739;Petr Viski, Zoltan Szeverenyi, Laszlo I. Simandi, Journal of Organic Chemistry, 1986年, 第51巻, pp 3213-3214)に基づき調製してもよい。
【0085】
工程2-1の反応は、当該技術分野で公知の反応条件に基づき、実施することができる(例えば、Gerald Dyker, Dirk Hildebrandt, Journal of Organic Chemistry, 2005年, 第70巻(15), pp 6093-6096)。例えば、本工程の反応は、亜鉛、マグネシウム、マンガン又はインジウムの存在下で実施することが好ましい。
【0086】
工程2-2の反応は、薗頭カップリングとして公知の反応条件に基づき、実施することができる(例えば、Sonogashira, K., Tohda, Y., Hagihara, N., Tetrahedron Lett., 1975年, 第16巻, p. 4467-4470;Takahashi, K., Kuroyama, Y., Sonogashira, K., Hagihara, N., Synthesis, 1980年, p. 627-630.;Sonogashira, K., In Metal Catalyzed Cross-Coupling Reactions, Diederich, F., Stang, P. J.編, Wiley-VCH, Weinheim, 1998年, 第5章)。例えば、本工程の反応は、ヨウ化銅、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)又は1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンパラジウム(II)二塩化物等の触媒、及びトリエチルアミン、n-プロピルアミン又はジエチルアミン等の塩基の存在下で実施することが好ましい。
【0087】
本実施形態の製造方法2は、場合により、式(VIII)で表される化合物を加水分解及びエステル化する工程(エステル交換工程)を含むことができる。本工程の反応は、当該技術分野で公知の反応条件に基づき、実施することができる。
【0088】
本実施形態の製造方法2は、場合により、式(VIII)で表される化合物と、N-ヒドロキシフタルイミド又はN-ヒドロキシコハク酸イミドであるアミノ化試薬とを反応させて、次いで生成物をヒドラジンで分解する工程(アミノオキシ化工程)を含むことができる。本工程の反応は、当該技術分野で公知の反応条件に基づき、実施することができる。
【0089】
本実施形態の製造方法2は、場合により、式(VIII)で表される化合物を水素化する工程(水素化工程)を含むことができる。本工程の反応は、例えば、パラジウム炭素、リンドラー触媒、ニッケル/アルミナ、Pd2(dba)3-P(n-Bu)3又はN-ヘテロ環状カルベン-Pd等の触媒の存在下で、当該技術分野で公知の反応条件に基づき、実施することができる。例えば、パラジウム炭素又はニッケル/アルミナ等の触媒の存在下で本工程を実施する場合、式(I)(式中、Aは、式(A-1)で表される二価基である。)で表される化合物、特に式(I-1)で表される化合物を得ることができる。また、例えば、リンドラー触媒、Pd2(dba)3-P(n-Bu)3又はN-ヘテロ環状カルベン-Pd等の触媒の存在下で本工程を実施する場合、式(I)(式中、Aは、式(A-2)で表される二価基である。)で表される化合物、特に式(I-2)で表される化合物を得ることができる。
【0090】
本実施形態の製造方法2により、式(I)(式中、Aは、式(A-1)、(A-2)及び(A-3)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物、特に式(I-1)、(I-2)又は(I-3)で表される化合物を製造することができる。
【0091】
[2-3. 製造方法3]
本態様の一実施形態において、本態様の製造方法は,以下に例示する工程3-1を含む方法により、実施することができる(以下、「製造方法3」とも記載する)。本実施形態の製造方法3により、式(I)(式中、Aは、式(A-1)、(A-2)、及び(A-3)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物、特に式(I-1)、(I-2)、又は(I-3)で表される化合物を製造することができる。
【0092】
本実施形態の製造方法3は、式(IX):
【化23】
で表される化合物と、2-アリールスルホニル-3-フェニルオキサジリジンとを反応させて、式(IV):
【化24】
で表される化合物を得る工程(工程3-1);
を含む方法により、実施することができる。
【0093】
式(IX)及び式(IV)において、n、Ar、A及びR11は、前記と同義である。
【0094】
工程3-1の反応は、当該技術分野で公知の反応条件に基づき、実施することができる(例えば、Andres Hernandez, Manuel Marcos, Henry Rapoport, Journal of Organic Chemistry, 1995年, 第60巻(9), pp 2683-2691)。例えば、本工程の反応は、2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジンを用いて、リチウムヘサメチルジシラジド、ナトリウムヘサメチルジシラジド又はカリウムヘサメチルジシラジド等の塩基の存在下で実施することが好ましい。
【0095】
本実施形態の製造方法3により、式(I)(式中、Aは、式(A-1)、(A-2)及び(A-3)からなる群より選択される二価基である。)で表される化合物、特に式(I-1)、(I-2)又は(I-3)で表される化合物を製造することができる。
【0096】
<3. 新規化合物を含むオーキシン生合成阻害剤及びその用途>
本発明の別の一態様は、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、オーキシン生合成阻害剤に関する。
【0097】
本明細書において、「オーキシンの生合成阻害」及び「オーキシン生合成阻害活性」は、植物体においてオーキシンの生合成に関与する酵素反応の少なくとも1個を阻害すること、又はそのような活性を意味する。すでに説明したように、植物のオーキシンの生合成経路においては、L-TrpからIPyAを経由してIAAが形成され、さらにIAAがIBAに変換される。例えば、公知のオーキシン生合成阻害剤であるL-AOPPは、L-TrpからIPyAが形成される反応を制御するトリプトファンアミノ基転移酵素(TAA)だけでなく、フェニルプロパノイドの主要な生合成酵素として知られるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)も阻害する。このため、L-AOPPは、PALの下流に位置するフェニルプロパノイド系の二次代謝産物の生合成も阻害し得る。また、別の公知のオーキシン生合成阻害剤である4-フェノキシフェニルボロン酸(特許文献4)は、オーキシンの生合成経路における主要な律速酵素の一つと考えられているフラビンモノオキシゲナーゼの一種であるYUCCAの活性を特異的に阻害し得る。これに対し、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物は、IAAからIBAへの変換を特異的に阻害することにより、IBAの生合成を阻害することができる。それ故、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤を植物に施用することにより、他の二次代謝産物の産生量に実質的な影響を与えることなく、植物におけるオーキシンの生合成、特にIBAの生合成を阻害することができる。
【0098】
本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物は、従来技術のオーキシン生合成阻害剤と比較して、植物の生育(例えば幼植物体の主根若しくは側根の形成及び/又は伸長)を顕著に阻害することができる。
【0099】
植物において、側根の形成又は伸長は、IBAによって制御されると考えられている(Chhun Tら, 2003年, Journal of Experimental Bonany, 第54巻, p. 2701-2708;Schlichtら, 2013年, New Phytologist, 第200巻, p. 473-782)。本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物は、幼植物体の側根の形成又は伸長を特異的に阻害することができる。それ故、本態様のオーキシン生合成阻害剤は、IBAの生合成を阻害するために使用することができる。
【0100】
本発明の各態様において、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤のオーキシン生合成阻害活性は、限定するものではないが、例えば、幼植物体を該化合物等の存在下で所定期間生育させ、形成される主根及び側根の長さ又は密度等(例えば、主根長又は側根密度)を、化合物非存在下で生育させた対照の幼植物体と比較することにより、評価することができる。或いは、幼植物体を前記化合物等の存在下で所定期間生育させた後、幼植物体における内性オーキシン量(例えば、内性IAA量)を、公知文献(例えば、Soeno, K.ら, 2010年, Plant Cell Physiol., 第51巻, p. 524-536)に記載の方法で定量することにより、評価することができる。
【0101】
本発明の各態様において、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤のIBA生合成阻害活性は、限定するものではないが、例えば、幼植物体を、該化合物等とIAA及び/又はIBAとの共存在下で所定期間生育させ、形成される側根の長さ、形態又は密度を、IAA及び/又はIBA非存在下で生育させた対照の幼植物体と比較することにより、評価することができる。
【0102】
本態様のオーキシン生合成阻害剤は、有効成分である式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物に加えて、場合により1種以上のさらなる活性成分、1種以上の農業上許容される担体及び1種以上の農業上許容される補助剤を含んでもよい。この場合、本態様のオーキシン生合成阻害剤は、有効成分である式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、並びに場合により1種以上のさらなる活性成分、1種以上の農業上許容される担体及び1種以上の農業上許容される補助剤の少なくともいずれかを含む農業化学組成物として提供される。
【0103】
さらなる活性成分としては、パラクロロフェノキシイソ酪酸(PCIB)及びα-(フェニルエチル-2-オン)-インドール-3-酢酸(PEO-IAA)のようなオーキシン受容阻害剤、並びに1-N-ナフチルフタラミン酸(NPA)及び2,3,5-トリヨード安息香酸(TIBA)のようなオーキシン極性輸送阻害剤等を挙げることができる。或いは、さらなる活性成分は、特許文献2~4に記載の公知のオーキシン生合成阻害剤であってもよい。
【0104】
農業上許容される担体としては、水、ケロセン若しくはディーゼル油のような鉱油画分、植物若しくは動物由来の油、環状若しくは芳香族炭化水素(例えばパラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン類若しくはそれらの誘導体、又はアルキル化ベンゼン類若しくはそれらの誘導体)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又はシクロヘキサノール)、ケトン(例えばシクロヘキサノン)、アミン(例えばN-メチルピロリドン)、又はこれらの混合物のような農業上許容される液体担体が好ましい。
【0105】
農業上許容される補助剤としては、例えば、固体担体、不活性補助剤、界面活性剤(例えば、分散剤、保護コロイド、乳化剤及び湿展剤)、有機若しくは無機の増粘剤、殺菌剤、不凍剤、消泡剤又は着色剤が好ましい。
【0106】
オーキシンは、植物に普遍的に存在することが知られている。それ故、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤は、被子植物及び裸子植物を含む様々な植物に対して適用することができる。本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤を適用し得る植物としては、限定するものではないが、例えば、シロイヌナズナ及びアブラナのようなアブラナ科植物、イネ、トウモロコシ、コムギ及びオオムギのようなイネ科植物、ダイズのようなマメ科植物、ブドウのようなブドウ科植物、ペチュニア及びトマトのようなナス科植物、並びにモモ及びリンゴのようなバラ科植物等の望ましい植物(例えば作物植物)を挙げることができる。或いは、以下で説明するように、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤を望ましくない植物の防除に使用する場合、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤を適用し得る植物としては、限定するものではないが、例えば、イヌビエ及びタイヌビエのようなイネ科雑草、コナギ及びヤナギタデのような広葉雑草、タマガヤツリ及びミズガヤツリのようなカヤツリグサ科雑草等の望ましくない植物(例えば雑草)を挙げることができる。前記のような植物に本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤を適用することにより、植物(in vivo及び/又はex vivo)におけるオーキシン生合成を阻害することができる。また、前記のような植物に本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤を適用することにより、植物(in vivo及び/又はex vivo)において、該植物におけるIBAの生合成を阻害することができる。
【0107】
本明細書において、「in vivo」又は「in vivoにおける処理」は、前記で挙げた植物の体内における本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤による処理を意味する。また、「ex vivo」又は「ex vivoにおける処理」は、前記で挙げた植物の部分、例えば前記植物に由来する培養細胞、カルス、組織及び/又は器官における本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤による処理を意味する。前記植物の部分は、該植物から分離することによって得てもよく、当該技術分野で通常使用される培養技術を用いて該植物又はその部分を脱分化及び/若しくは再分化させることによって得てもよい。本発明の各態様において、「本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤を植物に適用する」は、in vivoにおいて該植物に適用することだけでなく、ex vivoにおいて該植物に適用することも包含する。また、本発明の各態様において、「本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤によって植物を処理する」は、in vivoにおいて該植物を処理することだけでなく、ex vivoにおいて該植物を処理することも包含する。
【0108】
本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)及び(I-6)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有する。それ故、本発明の一態様はまた、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるオーキシンの生合成を阻害する方法に関する。本態様の方法において、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤で処理する植物は、前記で挙げた望ましい植物及び/又は望ましくない植物であることが好ましい。
【0109】
本態様の方法は、所望により、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤に加えて、さらなる薬剤で植物を処理することをさらに含んでもよい。さらなる薬剤としては、前記で説明した農業化学組成物のさらなる活性成分であることが好ましい。この場合、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤、及びさらなる薬剤で植物を処理する順序は特に限定されない。例えば、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤と、さらなる薬剤とを同時に(単一の若しくは別々の製剤として)用いて植物を処理してもよく、又は逐次的に用いて処理してもよい。本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤に加えて、さらなる薬剤で植物を処理することにより、該植物におけるオーキシンの生合成をより顕著に阻害することができる。
【0110】
オーキシンは、植物の発生、成長、分化及び様々な環境応答に関与することが知られている。また、オーキシンは、植物体において、エチレン、ジベレリン、アブシジン酸、サイトカイニン及びブラシノステロイド等の他の植物ホルモンと相互に関連(クロストーク)して様々な生理作用を調節していることが知られている。それ故、本発明の一態様はまた、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物の成長を調節する方法に関する。本明細書において、「植物の成長を調節する」は、植物の成長に何らかの影響を与えることを意味する。ここで、植物の成長に与えられる影響とは、植物の成長に対する促進的効果及び抑制的効果のいずれも包含する。前記植物の成長を調節する作用は、例えば、望ましい植物の生育促進作用(例えば、根長の成長促進)であることが好ましい。或いは、前記植物の成長を調節する作用は、オーキシン及びエチレンのクロストークに基づく作用(例えば、落葉若しくは落果の抑制、花卉の老化抑制又は果実の成熟抑制)であることが好ましい。前記植物の成長を調節する作用は、花卉の老化抑制又は果実の成熟抑制のような、植物の鮮度保持であることがより好ましい。前記の場合において、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤で処理される植物は、前記で説明した植物であることが好ましく、前記で説明した望ましい植物であることがより好ましい。本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤で前記の望ましい植物を処理することにより、該植物の生育を促進し、且つ/又は該植物の鮮度を保持することができる。
【0111】
本態様の方法は、所望により、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤に加えて、さらなる薬剤で植物を処理することをさらに含んでもよい。さらなる薬剤としては、前記で説明した農業化学組成物のさらなる活性成分であることが好ましい。この場合、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤、及びさらなる薬剤で植物を処理する順序は特に限定されない。例えば、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤と、さらなる薬剤とを同時に(単一の若しくは別々の製剤として)用いて植物を処理してもよく、又は逐次的に用いて処理してもよい。本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤に加えて、さらなる薬剤で植物を処理することにより、該植物の成長をより顕著に調節することができる。
【0112】
本態様のオーキシン生合成阻害剤は、望ましくない植物のオーキシン生合成を阻害することにより、該植物の生育を阻害(例えば、根伸長阻害、殺草、枯死又は発芽阻害)することができる。それ故、本発明の別の一態様はまた、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤で望ましくない植物を処理することを含む、該望ましくない植物の除草方法に関する。この場合、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤は、望ましくない植物を防除するために使用される。前記の場合において、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤で処理される植物は、前記で説明した望ましくない植物であることが好ましい。本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤で前記の望ましくない植物を処理することにより、該植物の生育を阻害して、該植物を防除することができる。
【0113】
本態様の方法は、所望により、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤に加えて、さらなる薬剤で望ましくない植物を処理することをさらに含んでもよい。さらなる薬剤としては、前記で説明した農業化学組成物のさらなる活性成分であることが好ましい。この場合、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤、及びさらなる薬剤で望ましくない植物を処理する順序は特に限定されない。例えば、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤と、さらなる薬剤とを同時に(単一の若しくは別々の製剤として)用いて望ましくない植物を処理してもよく、又は逐次的に用いて処理してもよい。本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤に加えて、さらなる薬剤で望ましくない植物を処理することにより、該植物の生育をより顕著に阻害することができる。
【0114】
本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理する場合、当該技術分野で通常使用される農薬の剤形及び施用方法を用いることができる。好適な剤形としては、例えば、乳剤、水和剤、液剤、水溶剤、粉剤、粉末剤、ペースト剤及び粒剤等を挙げることができる。好適な施用方法としては、例えば、散布、散粉、噴霧、浸漬及び塗布等を挙げることができる。
【0115】
以上のように、本発明の一態様の式(I)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)又は(I-6)で表される化合物、或いは本発明の一態様のオーキシン生合成阻害剤は、植物におけるオーキシンの生合成、特にIBAの生合成を特異的に阻害することができる。それ故、本発明の一態様の前記化合物、或いは本態様のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することにより、植物の成長を調節することができる。
【実施例
【0116】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0117】
<I. 化合物の合成>
[ メチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-1)の合成]
【化25】
【0118】
化合物(I-1-1)を、2-ナフトアルデヒドを出発物質として、エチル (E)-3-(ナフタレン-2-イル)アクリレート、(E)-3-(ナフタレン-2-イル)プロプ-2-エン-1-オール、(E)-3-(ナフタレン-2-イル)アクリルアルデヒド、メチル (E)-3-(2-(ナフタレン-2-イル)ビニル)オキシラン-2-カルボキシレート及びメチル (E)-2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタ-4-エノエートを経由して合成した。
【0119】
7.6 g(165 mmol)のNaH(60%、油中)を、窒素雰囲気下で、200 mLのTHFに懸濁した。混合物を氷浴中で冷却した後、混合物に37.45 g(165 mmol)のホスホノ酢酸トリエチルを滴下した。混合物を0℃で30分間攪拌した。次いで、混合物に23.7 g(150 mmol)の2-ナフトアルデヒドを滴下した。混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を、飽和塩化アンモニウムでクエンチした。混合物を、酢酸エチルで2回抽出し、飽和塩化アンモニウム及び飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。混合物を濾過して、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 5:1)で精製して、エチル (E)-3-(ナフタレン-2-イル)アクリレート(33.98g, 150 mmol, q.y., 白色固体)を得た。
【化26】
【0120】
エチル (E)-3-(ナフタレン-2-イル)アクリレート 32.08 g(142 mmol)を、窒素雰囲気下で、500 mLのTHFに溶解した。混合物を-40℃に冷却した後、混合物にDIBAL-H(1M、THF中) 445 mL(445 mmol)をゆっくりと滴下した。混合物を2時間攪拌した。反応混合物を、10% NaOH水溶液でクエンチして、酢酸エチルで2回抽出した。その後、抽出した酢酸エチル相を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 5:1)で精製して、(E)-3-(ナフタレン-2-イル)プロプ-2-エン-1-オール(22.04 g, 120 mmol, 84.4 %, 淡黄色固体)を得た。
【化27】
【0121】
(E)-3-(ナフタレン-2-イル)プロプ-2-エン-1-オール 20 g(109 mmol)を、窒素雰囲気下で、DMSO 200 mL及び酢酸エチル 200 mLに溶解した。氷浴中で混合物を冷却した後、トリメチルアミン 55.4 g(543 mmol) 及びS03-ピリジン 56.34 g(326 mmol)を混合して、0℃で2時間攪拌した。反応混合物を、酢酸エチルで抽出した。その後、抽出した酢酸エチル相を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、再結晶(酢酸エチル及びヘキサン)で精製して、(E)-3-(ナフタレン-2-イル)アクリルアルデヒド(15.79 g, 86 mmol, 79.2 %, 淡黄色固体)を得た。
【化28】
【0122】
NaH(60%、油中) 0.27 g(7 mmol)を、窒素雰囲気下で、THF 15 mLに懸濁した。氷浴中で混合物を冷却した後、混合物にTHF 15 mL中の(E)-3-(ナフタレン-2-イル)アクリルアルデヒド 1 g(5.5 mmol)をゆっくりと滴下した。混合物を0℃で30分間攪拌した。その後、混合物にクロロ酢酸メチル 0.72 g(6.6 mmol)をゆっくりと滴下した。混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を、飽和塩化アンモニウムでクエンチして、酢酸エチルで2回抽出した。その後、抽出した酢酸エチル相を、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、粗メチル (E)-3-(2-(ナフタレン-2-イル)ビニル)オキシラン-2-カルボキシレート(1.1 g, 黄色固体)として得た。
【化29】
【0123】
粗メチル (E)-3-(2-(ナフタレン-2-イル)ビニル)オキシラン-2-カルボキシレート 1.1 gを、窒素雰囲気下で、酢酸エチル 19 mLに溶解した。次いで、混合物にギ酸 0.64 g(14 mmol)及びトリエチルアミン 1.41 g(14 mmol)を加えた。混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を、セライト濾過して、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)で精製して、メチル (E)-2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタ-4-エノエート(I-2-1)(554 mg, 2.1 mmol, 39.3 %, 黄色固体)を得た。
【化30】
【0124】
メチル (E)-2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタ-4-エノエート(I-2-1) 550 mg(2.1 mmol)を、窒素雰囲気下で、酢酸エチル 27 mLに溶解した。次いで、混合物にギ酸 0.64 g(14 mmol)及びトリエチルアミン 1.41 g(14 mmol)を加えた。混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を、セライト濾過し、濃縮した。残渣を、酢酸エチルで抽出した。その後、抽出した酢酸エチル相を、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、メチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-1)(468 mg, 1.8 mmol, 84.4 %, 黄色油状物)として得た。
【0125】
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δppm: 7.74-7.81(3 H, m), 7.61(1 H, s), 7.39-7.47(2 H, m), 7.32 (1 H, dd, J=8.4, 1.6 Hz), 4.20-4.22(1 H, m), 3.76(3 H, s), 2.77-2.84(2 H, m), 2.69 (1 H, d, J=5.6 Hz), 1.82-1.92(4 H, m); ESI-HR-MS m/z C16H19O3(M+H+)に対する計算値259.33, 実測値 259.10.
【化31】
【0126】
[メチル 2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエートの合成]
メチル 2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエートを、メチル 2-ブロモ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエートから合成した。メチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート 468 mg(1.8 mmol)及びトリフェニルホスフィン 570 mg(2.2 mmol)を、窒素雰囲気下で、CH2Cl2 16 mLに溶解した。氷浴中で混合物を冷却した後、混合物に、CBr4 721 mg(2.2 mmol)を加えた後でイミダゾール 148 mg(2.2 mmol)を加えた。混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を、減圧下で濃縮した。残渣に、ヘキサン 15 mL及びジエチルエーテル 5 mLを加えて、濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)で精製して、メチル 2-ブロモ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(480 mg, 1.5 mmol, 82.5 %, 黄色油状物)を得た。
【化32】
【0127】
N-ヒドロキシフタルイミド 251 mg(1.5 mmol)及びトリエチルアミン 156 mg(1.5 mmol)を、DMF 10 mLに溶解した。混合物を50℃で加熱した後、混合物にメチル 2-ブロモ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート 450 mg(1.4 mmol)のDMF溶液を滴下した。混合物を2時間攪拌した。反応混合物を、酢酸エチルで抽出した。抽出した酢酸エチル相を、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1から1:1)で精製して、メチル 2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート (462 mg, 1.1 mmol, 81.7 %, 淡黄色油状物)を得た。
【0128】
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δppm:7.73-7.85(7H, m), 7.65(1H, s), 7.39-7.47(2 H, m), 7.36(1 H, dd, J=8.4, 1.6 Hz), 4.78(1H, dd, J=5.3, 2.2 Hz), 3.76(3H, s), 2.9(2 H, tq, J=6.8 Hz), 1.95-2.15(4 H, m); ESI-HR-MS m/z C24H22NO5(M+H+)に対する計算値404.44, 実測値 404.14.
【化33】
【0129】
[メチル 2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-2)の合成]
メチル 2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート 357 mg(0.9 mmol)及びヒドラジン一水和物 53 mg(1.1 mmol)を、メタノール 4 mL及びジオキサン 4 mLに溶解した。混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウムでクエンチし、酢酸エチルで2回抽出した。抽出した酢酸エチル相を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)で精製して、メチル 2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(化合物(I-1-2))(195 mg, 0.7 mmol, 80.6 %, 無色油状物)を得た。
【0130】
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δppm:7.74-7.81(3 H, m), 7.6(1 H, s), 7.38-7.46(2 H, m), 7.31(1 H, dd, J=7.4, 1.6 Hz), 5.67(2 H, s), 4.21(1 H, dd, J=7.2 Hz), 3.75(3H, s), 2.79(2 H, t, J=7 Hz), 1.70-1.90(4 H, m); ESI-HR-MS m/z C16H20NO3 (M+H+)に対する計算値274.34, 実測値 274.11.
【化34】
【0131】
[2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタン酸(I-1-3)の合成]
メチル 2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート 114 mg(0.4 mmol)及び2 N NaOH水溶液 0.5 mL(1.0 mmol)を、メタノール 3 mLに溶解した。混合物を室温で3時間攪拌した。1 M-HClを反応混合物に加えてpH 2に調節した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチルで洗浄して、2-アミノオキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタン酸(化合物(I-1-3))(108 mg, q.y., 白色固体)を得た。
【0132】
1H-NMR (DMSO, 400 MHz) δppm:8.13 (1H, s), 7.82-7.87(3 H, m), 7.67(1 H, s), 7.41-4.5(2 H, m), 7.37(1H, dd, J=8.4, 1.6 Hz), 4.05-4.15(1H, m), 2.77(2 H, td, J=10.5, 3.1 Hz), 1.63-1.76(4 H, m); ESI-HR-MS m/z C15H18NO3に対する計算値 (M+H+)260.31, 実測値260.09.
【化35】
【0133】
[メチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-1)の合成(シアノヒドリンを経由する製造方法1)]
【化36】
[4-(ナフタレン-2-イル)ブタン-1-オールの合成]
【化37】
アルゴン雰囲気下、2-クロロメチルナフタレン(21.6 mmol, 4.78 g)のテトラヒドロフラン(86 mL)溶液に、0℃で、1.0 Mのアルリマグネシウムブロミド(43.2 mmol, 43.2 mL)のジエチルエーテル溶液を滴下して加えた。混合物を、0℃で2時間撹拌した後、室温で12時間攪拌した。混合物に、飽和塩化アンモニウム水溶液(100 mL)をゆっくり加えた後、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、2-(ブト-3-エン-1-イル)ナフタレン(3.93 g)を定量的に得た。
【0134】
アルゴン雰囲気下、2-(ブト-3-エン-1-イル)ナフタレン(21.6 mmol, 3.93 g)のテトラヒドロフラン(86.4 mL)溶液に、0℃で2 Mのボランジメチルスルフィド(30 mmol, 15 mL)テトラヒドロフラン溶液を滴下した。混合物を、0℃で2時間撹拌した後、さらに室温で12時間攪拌した。反応液を0℃に冷却した後、2 M水酸化ナトリウム水溶液(57 mL)を加え、次いで約30%の過酸化水素水溶液(6 mL)をゆっくり加えた。得られた混合液を、室温で12時間攪拌した後、ジエチルエーテルで抽出した。得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(3.89 g)を白色固体として収率90%で得た。
【0135】
[メチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエートの合成]
【化38】
アルゴン雰囲気下、4-(ナフタレン-2-イル)ブタン-1-オール(19.6 mmol, 3.93 g)、ジメチルスルホキシド(196 mmol, 13.7 mL)、トリエチルアミン(294 mmol, 16.5 mL)及び塩化メチレン(59 mL)の溶液に、0℃でSO3-ピリジン(53 mmol, 8.43 g)をゆっくり加えた。混合物を0℃で1時間、さらに室温で2時間攪拌した後、混合物に水(100 mL)を加えた。混合物を、酢酸エチルで抽出した後、有機相を0.5 M塩酸、次いで飽和重曹水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、濾液を減圧下で濃縮してアルデヒド体の粗生成物(4.34 g)を得た。これに塩化メチレン(15 mL)を加えた後、シアン化カリウム(32.7 mmol, 2.13 g)及び水(7 mL)を加え、0℃に冷却した。混合物に、酢酸(2.5 mL)をゆっくり加えた後、室温に昇温して2時間攪拌した。混合物に、水(40 mL)を加えた後、塩化メチレンで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、シアノヒドリン体の粗生成物(6.2 g)を得た。得られた粗生成物のメタノール(39 mL)及び塩化メチレン(15 mL)混合溶液に、室温で濃塩酸(3 mL)次いでクロロトリメチルシラン(6.2 mL)を加え、室温で20時間攪拌した。水(60 mL)を加えた後、塩化メチレンで抽出した。得られた有機相を飽和重曹水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(3.36 g)を無色液体として収率66%で得た。
【0136】
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ 7.75-7.82 (m, 3H, Ar), 7.61 (s, 1H, Ar), 7.39-7.48 (m, 2H, Ar), 7.32 (dd, J = 2.4, 10.2 Hz, 1H, Ar), 4.22 (ddd, J = 4.8, 6.6, 9 Hz, 1H, CHO), 3.76 (s, 3H, CH3), 2.76-2.87 (m, 2H, ArC[H2]), 2.73 (d, J = 6.6 Hz, OH), 1.69-1.95 (m, 4H, CH2CH2).
【0137】
なお、本明細書において、NMRの帰属データ中の「[H]」は、該帰属データに示す化学シフト値に対応する原子を意味する。
【0138】
[メチル 4-(4-ブロモフェノキシ)-2-ヒドロキシブタノエート(I-4-1)の合成(シアノヒドリンを経由する製造方法1)]
【化39】
【化40】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモフェノール(3.00 mmol, 0.519 g)、ヨウ化カリウム(0.09 mmol, 0.015 g)、炭酸カリウム(6.00 mmol, 0.829 g)及びイソプロパノール(10 mL)の混合液に、室温で2-(2-ブロモエチル)-1,3-ジオキソラン(4.50 mmol, 0.815 g)を加えた。混合物を85℃で23時間攪拌した。混合物を室温に冷却後、混合物に水(10 mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を、水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をそのまま次の反応に用いた。
【0139】
得られたアセタール化合物(4.0 mmol, 1.11 g)のテトラヒドロフラン(16 mL)溶液に、1 M塩酸(16 mmol, 16 mL)を加えた。混合物を60℃で5時間攪拌した。混合物を室温に冷却後、混合物に、飽和重曹水をpH 7になるまで加えた。混合物を酢酸エチルで抽出して、得られた有機相を、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をそのまま次の反応に用いた。
【0140】
得られたアルデヒド(3.0 mmol, 0.662 g)の塩化メチレン(0.8 mL)溶液に、0℃でシアン化カリウム(5.0 mmol, 0.326 g)、次いで酢酸(5.0 mmol, 0.286 mL)を加えた。混合液を0℃で1時間撹拌した後、さらに室温で2時間攪拌した。混合物に、水(15 mL)を加えた後、混合物を塩化メチレンで抽出した。有機相を、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣のメタノール(5.5 mL)及び塩化メチレン(4 mL)混合溶液に、濃塩酸(0.42 mL)、次いでクロロトリメチルシラン(7.2 mmol, 0.91 mL)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌した後、混合物に水(20 mL)を加え、混合物を塩化メチレンで抽出した。得られた有機相を飽和重曹水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.101 g)を粘性白色固体として収率12%で得た。
【0141】
1H NMR (500MHz, CDCl3) δ 7.36 (d, J = 9 Hz, 2H, Ar), 6.76 (d, J = 9 Hz, 2H, Ar) 4.41 (dd, J = 4.5, 7,5 Hz, 1H, C[H]OH), 4.07-4.15 (m, 2H, OCH2), 3.82 (s, 3H, COOC[H3]), 2.26-2.33 (m, 1H, OCH2C[H2]CHOH), 2.09-2.18 (m, 1H, OCH2C[H2]CHOH).
【0142】
[エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(I-3-1)の合成(クロスカップリングを経由する製造方法2)]
【化41】
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(1.62 mmol, 0.230 g)、2-ブロモナフタレン(1.5 mmol, 0.311 g)、ヨウ化銅(0.06 mmol, 0.011 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.06 mmol, 0.042 g)、トリフェニルホスフィン(0.12 mmol, 0.032 g)、トリエチルアミン(7.5 mmol, 0.76 mL)及びテトラヒドロフラン(5 mL)の混合溶液を、60℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.342 g)を薄黄色液体として収率85%で得た。
【0143】
1H NMR (500MHz, CDCl3) δ 7.91 (s, 1H, Ar), 7.73-7.82 (m, 3H, Ar), 7.43-7.49 (m, 3H, Ar), 4.43 (t, J = 5 Hz, 1H, C[H]OH), 4.27-4.40 (m, 2H, OC[H2]CH3), 3.00 (dd, J = 4.5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 2.94 (dd, J = 5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 1.34 (t, J = 7.5 Hz, 3H, OC[H2]CH3).
【0144】
[エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(I-3-5)の合成]
【化42】
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(1.1 mmol, 0.156 g)、1-ブロモナフタレン(1.0 mmol, 0.207 g)、ヨウ化銅(0.04 mmol, 0.008 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.04 mmol, 0.028 g)、トリフェニルホスフィン(0.08 mmol, 0.021 g)、トリエチルアミン(5.0 mmol, 0.69 mL)及びテトラヒドロフラン(3.3 mL)の混合溶液を、60℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。混合物をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.154 g)を薄黄色液体として収率57%で得た。
【0145】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.30 (d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.83 (d, J = 8.5 Hz, 1H, Ar), 7.80 (d, J = 8 Hz, 1H, Ar), 7.62 (d, J = 6.5 Hz, 1H, Ar), 7.48-7.58 (m, 2H, Ar), 7.39 (dd, J = 7, 8 Hz, 1H, Ar), 4.48 (t, J = 4.5 Hz, 1H, C[H]OH), 4.28-4.39 (m, 2H, OCH2), 3.11 (dd, J = 4.5, 16.5 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 3.06 (dd, J = 4.5, 16.5 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 1.33 (t, J = 7.5 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0146】
[エチル 2-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)ペント-4-イノエート(I-3-6)の合成]
【化43】
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(1.65 mmol, 0.235 g)、4-ブロモフェノール(1.5 mmol, 0.267 g)、ヨウ化銅(0.06 mmol, 0.011 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.06 mmol, 0.042 g)、トリフェニルホスフィン(0.12 mmol, 0.032 g)、トリエチルアミン(7.5 mmol, 0.76 mL)及びテトラヒドロフラン(5.0 mL)の混合溶液を、60℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.069 g)を薄黄色液体として収率20%で得た。
【0147】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.27 (d, J = 8.5 Hz, 2H, Ar), 6.73 (d, J = 9 Hz, 2H, Ar), 4.37 (t, J = 5 Hz, 1H, C[H]OH), 4.25-4.34 (m, 2H, OC[H2]CH3), 2.92 (dd, J = 4.5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 2.86 (dd, J = 5, 17 Hz, 2H, Ar-CC-C[H2]), 1.32 (t, J = 7.5 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0148】
[エチル 5-(ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシペント-4-イノエート(I-3-11)の合成]
【化44】
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(2.60 mmol, 0.370 g)、2-クロロチアゾール(2.0 mmol, 0.339 g)、ヨウ化銅(0.08 mmol, 0.015 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.08 mmol, 0.056 g)、トリフェニルホスフィン(0.16 mmol, 0.042 g)、トリエチルアミン(10.0 mmol, 1.01 mL)及びテトラヒドロフラン(5.0 mL)の混合溶液を、60℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.125 g)を薄黄色液体として収率23%で得た。
【0149】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.03 (d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.84 (d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.42-7.53 (m, 2H, Ar), 4.45 (t, J = 5 Hz, 1H, C[H]OH), 4.27-4.39 (m, 2H, OC[H2]CH3), 3.06 (dd, J = 5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 2.98 (dd, J = 5.5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 1.35 (t, J = 7.0 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0150】
[エチル 5-(9H-フルオレン-2-イル)-2-ヒドロキシペント-4-イノエート(I-3-7)の合成]
【化45】
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(6.50 mmol, 0.923 g)、2-ブロモフルオレン(5.05 mmol, 1.239 g)、ヨウ化銅(0.419 mmol, 0.0798 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.202 mmol, 0.142 g)、トリエチルアミン(45.4 mmol, 6.3 mL)及びトルエン(16.0 mL)の混合溶液を、60℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.983 g)を黄色固体として収率64%で得た。
【0151】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.76 (d, J = 7.5 Hz, 1H, Ar), 7.69 (d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.57 (s, 1H, Ar), 7.54 (d, J = 7.5 Hz, 1H, Ar), 7.29-7.44 (m, 3H, Ar), 4.41 (dt, J = 7, 5 Hz, 1H, C[H]OH), 4.25-4.39 (m, 2H, OC[H2]CH3), 3.87(s, 2H, Ar-C[H2]-Ar), 3.14 (d, J = 7 Hz, 1H, OH), 2.98 (dd, J = 4.5, 17 Hz, Ar-CC-C[H2]), 2.92 (dd, J = 5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 1.34 (t, J = 7 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0152】
[エチル 2-ヒドロキシ-5-(9-オキソ9H-フルオレン-2-イル)ペント-4-イノエート(I-3-8)の合成]
【化46】
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(3.60 mmol, 0.512 g)、2-ブロモ-9-フルオレン(5.05 mmol, 1.239 g)、ヨウ化銅(0.200 mmol, 0.0381 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.0963mmol, 0.0676 g)、トリエチルアミン(30.3 mmol, 4.2 mL)及びトルエン(6.0 mL)の混合溶液を、60℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.593 g)を黄色固体として収率61%で得た。
【0153】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.65-7.67 (m, 2H, Ar), 7.48-7.53 (m, 2H, Ar), 7.45 (d, J = 7.5 Hz, 1H, Ar), 7.28-7.33 (m, 1H, Ar), 4.40 (dt, J = 7, 4.5 Hz, 1H, C[H]OH), 4.27-4.38 (m, 2H, OC[H2]CH3), 3.13 (d, J = 7 Hz, 1H, CHO[H]), 2.97 (dd, J = 4.5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 2.91 (dd, J = 5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 1.34 (t, J = 7 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0154】
[エチル 2-ヒドロキシ-5-(キノリン-3-イル)ペント-4-イノエート(I-3-10)の合成]
【化47】
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(6.50 mmol, 0.924 g)、3-ブロモ-キノリン(5.00 mmol, 1.040 g)、ヨウ化銅(0.394 mmol, 0.0750 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.195mmol, 0.1372 g)、トリエチルアミン(45.5 mmol, 6.3 mL)及びトルエン(6.3 mL)の混合溶液を、60℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、再結晶を行い、標題化合物(0.494 g)を白色固体として収率37%で得た。
【0155】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.86 (d, J = 2.0 Hz, 1H, Ar), 8.18 (d, J = 2.0 Hz, 1H, Ar), 8.08 (d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.76 (d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.68-7.73 (m, 1H, Ar), 7.53-7.58 (m, 1H, Ar), 4.45 (dt, J = 6.5, 5.0 Hz, 1H, C[H]OH), 4.27-4.40 (m, 2H, C[H2]CH3), 3.21 (d, J = 6.5 Hz, 1H, OH), 3.03 (dd, J = 5.0, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 2.96 (dd, J = 5.5, 17 Hz, Ar-CC-C[H2]), 1.35 (t, J = 7 Hz, CH2C[H3]).
【0156】
[エチル 5-(ジベンゾ[b,d]フラン-2-イル)-2-ヒドロキシペント-4-イノエート(I-3-14)の合成]
【化48】
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(4.14 mmol, 0.589 g)、2-ブロモジベンゾフラン(2.07 mmol, 0.512 g)、ヨウ化銅(0.144 mmol, 0.0275 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.0653 mmol, 0.0458 g)、トリフェニルホスフィン(0.187 mmol, 0.0490 g)トリエチルアミン(20.0 mmol, 2.77 mL)及びテトラヒドロフラン(6.67 mL)の混合溶液を、60℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.494 g)を黄色固体として収率44%で得た。
【0157】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.00 (br s, 1H, Ar), 7.92 (br d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.56 (br d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.44-7.52 (m, 3H, Ar), 7.33-7.37 (m, 1H, Ar), 4.43 (dt, J = 7, 4.5 Hz, C[H]OH), 4.27-4.40 (m, 2H, OC[H2]CH3), 3.16 (d, J = 6.5 Hz, 1H, CHO[H]), 2.99 (dd, J = 5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 2.93 (dd, J = 5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 1.35 (t, J = 7 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0158】
[エチル 2-ヒドロキシ-5-(1H-インドール-3-イル)ペント-4-イノエート(I-3-9)の合成]
【化49】
インドール(20.0 mmol, 2.343 g)、DMF(50 mL)、水酸化カリウム(50.0 mmol, 2.806 g)及びヨウ素(20.0 mmol,5.076 g)の混合液を、室温で1時間撹拌した。混合物に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、3-ヨードインドールの粗生成物を赤色結晶として得た。
【0159】
得られた3-ヨードインドールの粗生成物及びトリエチルアミン(60.0 mmol, 8.32 mL)のジクロロメタン(67 mL)溶液に、0℃でエチルクロロホルメート(40.0 mmol, 3.07 mL)を加えて、室温で3時間撹拌した。混合物に水を加えて反応を停止した後、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、エチル3-ヨード-1H-インドール-1-カルボキシレート(4.3590 g)を赤色溶液として収率72%で得た。
【0160】
アルゴン雰囲気下、ヨウ化銅(0.579 mmol, 0.1103 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.579 mmol, 0.4064 g)及びトリフェニルホスフィン(1.058 mmol, 0.3037 g)を入れた容器内に、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(17.83 mmol,2.588 g)のテトラヒドロフラン(36.2 mL)溶液、続いてエチル3-ヨード-1H-インドール-1-カルボキシレート(14.48 mmol, 4.359 g)のトリエチルアミン(10.03 mL)溶液を加えた。得られた混合物を、50℃で19時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、エチル3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-5-オキソペント-1-イン-1-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレートを茶褐色液体として得た。
【0161】
エチル3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-5-オキソペント-1-イン-1-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレート(1.532 mmol,0.4827 g)、テトラヒドロフラン(3.83 mL)、エタノール(3.83 mL)及び水酸化リチウム(0.766 mmol,32.14 mg)の混合液を、0℃で2時間半撹拌した。反応混合物を、飽和食塩水で希釈した後、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(エチル 2-ヒドロキシ-5-(1H-インドール-3-イル)ペント-4-イノエート)(0.2600 g)を茶褐色油状液体として収率66%で得た。
【0162】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.15 (bs, 1H, -NH), 7.71 (d, J = 8.0 Hz, 1H, -Ar), 7.34-7.37 (m, 2H, -Ar), 7.16-7.26 (m, 2H, -Ar), 4.43 (dd, J = 7.0, 5.0 Hz, 1H, C[H]OH), 4.25-4.38 (m, 2H, COC[H2]CH3), 3.16 (d, J = 7.0Hz, 1H, OH), 3.04 (dd, J = 5.0, 17.0 Hz, 1H, CC-CH2), 2.99 (dd, J = 5.0, 16.8 Hz, 1H, CC-CH2), 1.33 (t, J = 7.0 Hz, 3H,CH3).
【0163】
[2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)-N-プロピルペント-4-イナミド(I-3-3)の合成]
【化50】
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-N-プロピルペント-4-イナミド(3.07 mmol, 0436 g)、2-ブロモナフタレン(2.80 mmol, 0.580 g)、ヨウ化銅(0.168 mmol, 0.032 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.0826 mmol, 0.0580 g)、プロピルアミン(32.9 mmol, 2.7 mL)及びトルエン(6.6 mL)の混合溶液を、90℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.518 g)を無色固体として収率54%で得た。
【0164】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.92 (s, 1H, Ar), 7.74-7.82 (m, 2H, Ar), 7.77 (d, J = 8.5 Hz, 1H, Ar), 7.46-7.49 (m, 2H, Ar), 7.44 (dd, J = 1.5, 8.5 Hz, 1H, Ar), 6.72 (br s, 1H, CON[H]), 4.33 (dt, J = 5, 6.5 Hz, 1H, C[H]OH), 3.26-3.35 (m, 2H, NCH2), 3.22 (br s, 1H, CHO[H]), 3.03 (dd, J = 5.5, 17 Hz, 1H, ArCC-C[H2]), 2.94 (dd, J = 7, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 1.53-1.60 (m, 2H, C[H2]CH3 ), 0.94 (t, J = 7.5 Hz, 3H, NHCH2C[H3]).
【0165】
[トランス-エチル 2-(ヒドロキシル)-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート(I-2-3)及びシス-エチル 2-(ヒドロキシル)-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート(I-2-4)の合成(鈴木カップリングを経由する製造方法)]
【化51】
【化52】
水酸化リチウム(4.30 mmol, 0.103 g)を、メチル 5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート(0.86 mmol, 0.206 g)のメタノール(2.2 mL)及び水(2.2 mL)の混合溶液へ加えた。混合物を、室温で3時間撹拌した。混合物に1N塩酸を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。5-(ナフタレン-2-イル)-4-ペンテン酸(0.177 g)を無色固体として収率91%で得た。
【0166】
塩化チオニル(1.09 mmol, 0.079 mL)を、5-(ナフタレン-2-イル)-4-ペンテン酸(0.78 mmol, 0.177 g)のエタノール(0.78 mL)溶液へ室温で滴下した。混合物を、15時間加熱還流した。混合物を室温へ冷却して、減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、エチル 5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート(0.164 g)を無色固体として収率83%で得た。
【0167】
エチル 5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート(0.645 mmol, 0.164 g)のテトラヒドロフラン(6.5 mL)溶液を、カリウムヘキサメチルジシラジド(0.5 Mトルエン溶液)(0.97 mmol, 1.94 mL)のテトラヒドロフラン(0.65 mL)の溶液へ-78℃で滴下した。混合物を、30分間撹拌した。混合物に、2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(1.29 mmol, 0.337 g)のテトラヒドロフラン(18 mL)溶液を-78℃で滴下した。混合物を、30分間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。混合物を室温に昇温し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.038 g)を無色液体として収率22%で得た(シス : トランス = 2.1 : 1.0)。
【0168】
シス-エチル 2-(ヒドロキシル)-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート:
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.83-7.79 (3H, Ar), 7.74 (brs, 1H, Ar), 7.49-7.44 (2H, Ar), 7.43 (m, 1H, Ar), 6.76 (d, J = 11.4 Hz, 1H, ArC[H]), 5.81 (ddd, J = 11.4, 7.5, 7.5 Hz, 1H, C[H]CH2), 4.34 (m, 1H, C[H]OH), 4.20 (m, 1H, OCH2), 4.19 (m, 1H, OCH2), 2.93 (m, 1H, ArCHCHC[H2]), 2.91 (d, J = 5.4 Hz, 1H, OH), 2.84 (m, 1H, ArCHCHC[H2]), 1.20 (dd, J = 6.9, 6.9 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0169】
トランス-エチル 2-(ヒドロキシル)-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート:
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.82-7.74 (3H, Ar), 7.69 (brs, 1H, Ar), 7.57 (m, 1H, Ar), 7.48-7.41 (2H, Ar), 6.66 (d, J = 15.9 Hz, 1H, ArC[H]), 6.34 (ddd, J = 15.9, 6.6, 6.6 Hz, 1H, C[H]CH2), 4.36 (m, 1H, C[H]OH), 4.29 (m, 1H, OCH2), 4.26 (m, 1H, OCH2), 2.90 (d, J = 5.4 Hz, 1H, OH), 2.79 (m, 1H, ArCHCHC[H2]), 2.67 (m, 1H, ArCHCHC[H2]), 1.31 (dd, J = 7.2, 7.2 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0170】
[2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタン酸(I-1-4)の合成(製造方法2)]
【化53】
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(0.61 mmol, 0.157 g)の水(1 mL)及びテトラヒドロフラン(2 mL)の混合溶液に、0℃で水酸化リチウム(2.44 mmol, 0.102g)を加えた。混合物を室温で4時間撹拌した後、混合物に1 M塩酸をpH 2になるまで加えた。混合物を、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、クロロホルムを用いて再結晶して精製し、標題化合物(0.076 g)を無色固体として収率51%で得た。
【0171】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.75-7.82 (m, 3H, Ar), 7.61 (s, 1H, Ar), 7.39-7.47 (m, 2H, Ar), 7.31 (dd, J = 2, 8.5 Hz, 1H, Ar), 4.30 (dd, J = 4, 7.5 H, 1H, C[H]OH), 2.78-2.88 (m, 2H, ArC[H2]), 1.73-1.97 (m, 4H, ArCH2C[H2]C[H2]).
【0172】
[メチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(I-3-2)の合成(製造方法2)]
【化54】
2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(28.7 mmol, 4.08 g)の水(19 mL)の混合溶液を3日間加熱還流した。混合物を室温に冷却後、混合物に1 M塩酸をpH 2になるまで加えた。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮し、カルボン酸体の粗生成物(0.660 g)を得た。得られた粗生成物のメタノール(20 mL)の混合溶液に、室温で塩化水素酸(0.037 mL)次いで1,4-ジオキサン(0.3 mL)を加えた。混合物を、室温で12時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した、有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、メチル 2-ヒドロキシペント-4-イノエート(0.455 g)を得た。アルゴン雰囲気下、メチル 2-ヒドロキシペント-4-イノエート(3.55 mmol, 0.455 g)、2-ブロモナフタレン(3.04 mmol, 0.621 g)、ヨウ化銅(0.196 mmol, 0.0374 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.0959 mmol, 0.0673 g)、トリエチルアミン(20.9 mmol, 2.90 mL)及びトルエン(7.23 mL)の混合溶液を、60℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.237 g)を薄黄色液体として収率30%で得た。
【0173】
1HNMR (500 MHz,CDCl3) δ 7.92 (s, 1H, Ar), 7.77-7.82 (m, 2H, Ar), 7.75 (d, 1H, J = 8.5 Hz, Ar), 7.48 (d, 1H, J = 9.5 Hz, Ar), 7.47-7.49 (m, 1H, Ar), 7.44 (dd, 1H, J = 2.0, 8.5 Hz, Ar), 4.46 (dt, 1H, J = 7, 5 Hz, -C[H]OH), 3.87 (s, 3H, COOC[H3]), 3.12 (d, 1H, J = 7 Hz, OH), 3.01 (dd, 1H, J = 4.5, 17 Hz, C[H2]CHOH), 2.94 (dd, 1H, J = 5, 17 Hz, C[H2]CHOH).
【0174】
[オクチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(I-3-4)の合成]
【化55】
2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステルのテトラヒドロフラン(46 mL)及び水(23 mL)の混合溶液に、水酸化リチウム一水和物(55.5 mmol, 2.33 g)を0℃で加えた後、混合物を12時間攪拌した。混合物に1 M塩酸(57 mL)を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、カルボン酸体の粗生成物(12.2 mmol, 1.39 g)を得た。得られた粗生成物(6.81mmol, 0.778 g)のN,N-ジメチルホルムアミド(6.8 mL)溶液に、炭酸カリウム(7.02 mmol, 0.970 g)、テトラブチルアンモニウムヨージド(1.38 mmol, 0.510 g)及びn-オクチルブロミド(1.2 mL , 6.90 mmol)を加え、混合物を室温で一時間攪拌した。混合物に水(6 mL)を加えた後、混合物をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機相を水で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、オクチル 2-ヒドロキシ-4-イノエート(5.90 mmol, 1.33 g)を得た。アルゴン雰囲気下、オクチル 2-ヒドロキシ-4-イノエート(5.90 mmol, 1.33 g)、2-ブロモナフタレン(4.92 mmol, 1.02 g)、ヨウ化銅(0.304 mmol, 0.0580 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.152 mmol, 0.107 g)、トリフェニルホスフィン(0.408 mmol, 0.1069 g)、トリエチルアミン(49.1 mmol, 6.8 mL)及びテトラヒドロフラン(16.4 mL)の混合溶液を、60℃で4日間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(1.21 g)を薄黄色液体として収率70%で得た。
【0175】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.91 (s, 1H, Ar), 7.75-7.82 (m, 2H, Ar), 7.74 (d, J = 9.0 Hz, 1H, Ar), 7.44-7.50 (m, 2H, Ar), 7.43 (dd, J = 2.0, 8.5 Hz, 1H), 4.43 (dt, J = 6.5, 4.5 Hz, 1H, C[H]OH), 4.31 (dt, J = 10.5, 7 Hz, 1H, OC[H2]CH2), 4.21 (dt, J = 10.5, 6.5 Hz, 1H, OC[H2]CH2), 3.17 (d, J = 6.5 Hz, 1H, CHO[H]), 3.00 (dd, J = 4.5, 17 Hz, Ar-CC-C[H2]), 2.95 (dd, J = 5, 17 Hz, 1H, Ar-CC-C[H2]), 1.66-1.73 (m, 2H, OCH2C[H2]), 1.18-1.40 (m, 8H, CH2), 0.84 (t, J = 7 Hz, 3H, CH2C[H3]).
【0176】
[エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペンタノエート(I-1-5)(製造方法2)]
【化56】
1気圧水素雰囲気下で、Pd/C(10重量%, 0.026 g)、エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(0.673 mmol, 0.171 g)及びエタノール(12.7 mL)混合液を、室温で18時間攪拌した。混合物をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.163 g)を無色液体として収率94%で得た。
【0177】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.74-7.82 (m, 3H, Ar), 7.61 (s, 1H, Ar), 7.38-7.47 (m, 2H, Ar), 7.32 (dd, J = 2, 8.5 Hz, Hz,1H, Ar), 4.22 (q, J = 7 Hz, 1H, OC[H2]CH3), 4.18-4.22 (m, 1H, C[H]OH), 2.76-2.87 (m, 2H, ArC[H2]), 1.66-1.93 (m, 4H, Ar-CH2C[H2]C[H2]), 1.26 (t, J = 7 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0178】
[メチル 2-ヒドロキシ-5-(1H-インドール-3-イル)ペント-4-イノエート(I-3-15)の合成]
【化57】
インドール(3.0 mmol, 0.3515 g)、DMF(7.5 mL)、水酸化カリウム(7.5 mmol, 0.4208 g)及びヨウ素(3.0 mmol, 0.7614 g)の混合液を、室温で1時間撹拌した。混合物に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、3-ヨードインドールの粗生成物(0.9286 g)を赤色結晶として得た。
【0179】
得られた3-ヨードインドールの粗生成物(0.7291g)及びトリエチルアミン(9.0 mmol, 1.248 mL)のジクロロメタン(10 mL)溶液に、0℃でエチルクロロホルメート(6.0 mmol, 0.5711 mL)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。混合物に水を加えて反応を停止した後、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、エチル3-ヨード-1H-インドール-1-カルボキシレート(0.8049 g)を赤色溶液として収率85%で得た。
【0180】
アルゴン雰囲気下、ヨウ化銅(0.102 mmol, 19.4 mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.102 mmol, 71.6 mg)及びトリフェニルホスフィン(0.204mmol, 53.5mg)を入れた容器内に、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(2.55mmol, 0.320g)のテトラヒドロフラン(6.4 mL)溶液、続いてエチル3-ヨード-1H-インドール-1-カルボキシレート(2.55 mmol, 0.8049 g)のトリエチルアミン(1.77 mL)溶液を加えた。得られた混合物を、50℃で19時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、エチル3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-5-オキソペント-1-イン-1-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレート(0.5361 g)を茶褐色液体として収率64%で得た。
【0181】
エチル3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-5-オキソペント-1-イン-1-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレート(1.63 mmol, 0.5361 g)、テトラヒドロフラン(3.26 mL)、メタノール(3.26 mL)、水(1.63 mL)及び水酸化リチウム(0.851 mmol,34.20 mg)の混合物を、0℃で2時間半撹拌した。反応混合物を飽和食塩水で希釈した後、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(メチル 2-ヒドロキシ-5-(1H-インドール-3-イル)ペント-4-イノエート)(0.1631g)を茶褐色油状液体として収率39%で得た。
【0182】
1H NMR (500MHz, CDCl3) δ 8.17 (bs, 1H, -NH), 7.70 (d, J = 7.5 Hz, 1H, -Ar), 7.33-7.38 (m, 2H, -Ar), 7.17-7.25 (m, 2H, -Ar), 4.46 (dt,J = 7.0, 4.5 Hz, 1H, C[H]OH), 3.86 (s, 3H, COCH3), 3.14 (d, J = 7.0 Hz, 1H, OH), 3.04 (dd, J = 5.0, 17.0 Hz, 1H, CC-CH2), 2.99 (dd, J = 5.0, 17.0 Hz, 1H, CC-CH2).
【0183】
[メチル 3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-5-オキソペント-1-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレート(I-1-7)の合成]
【化58】
アルゴン雰囲気下、ヨウ化銅(0.0656 mmol, 0.0125 g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.0656 mmol, 0.0460 g)及びトリフェニルホスフィン(0.1312 mmol, 0.0347 g)を入れた容器内に、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(1.68 mmol, 0.239 g)のテトラヒドロフラン(5.5 mL)溶液、続いてメチル3-ヨード-1H-インドール-1-カルボキシレート(1.64 mmol, 0.04932 g)のトリエチルアミン(8.22 mmol, 1.14 mL)溶液を加えた。得られた混合物を、50℃で24時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、メチル3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-5-オキソペント-1-イン-1-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレートを茶褐色液体として得た。
【0184】
1気圧水素雰囲気下で、Pd/C(10重量%, 19.0 mg)、メチル3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-5-オキソペント-1-イン-1-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレート(0.6066 mmol, 0.1913 mg)及びエタノール(12.1 mL)の混合物を室温で50時間攪拌した。混合物をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物 (72.2 mg)を無色液体として収率37%で得た。
【0185】
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ 8.16 (br s, 1H, Ar), 7.52 (d, J = 7.2 Hz, 1H, Ar), 7.40-7.36 (m, 1H, Ar), 7.35-7.31 (m, 1H, Ar), 7.27-7.24 (m, 1H, Ar), 4.22 (q, J = 6.9 Hz, 2H, OC[H]2CH3), 4.23-4.20 (m, 1H, C[H]OH), 4.02 (s, 3H, OCH3), 2.80-2.77 (m, 1H, OH), 2.79-2.67 (m, 2H, ArC[H]2), 1.93-1.87 (m, 2H, CH2), 1.84-1.79 (m, 1H, C[H]2CHO), 1.78-1.72 (m, 1H, C[H]2CHO), 1.26 (t, J = 6.9 Hz, 3H, CH2C[H]3).
【0186】
[エチル 2-ヒドロキシ-5-(キノリン-3-イル)ペンタノエート(I-1-8)の合成]
【化59】
1気圧水素雰囲気下で、Pd/C(10重量%, 0.071 g)、エチル 2-ヒドロキシ-5-(キノリン-3-イル)ペント-4-イノエート(0.264 mmol, 0.071 g)及び酢酸エチル(2 mL)混合物を、室温で12時間攪拌した。混合物をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.0738 g)を白濁色液体として収率82%で得た。
【0187】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.78 (d, J = 2.0 Hz, 1H, Ar), 8.08 (d, J = 8.5 Hz, 1H, Ar), 7.93 (d, J = 1.5 Hz, 1H, Ar), 7.77 (dd, J = 1.0, 8.0 Hz, 1H), 7.64-7.68 (m, 1H, Ar), 7.52-7.55 (m, 1H, Ar), 4.23 (q, J = 7 Hz, 2H, OC[H2]CH3), 4.19-4.23 (m, 1H, C[H]OH), 2.80-2.91 (m, 3H, Ar-C[H2]CH2,CHO[H]),1.69-1.88 (m, 4H, Ar-CH2C[H2]C[H2]), 1.27 (t, J = 7.3 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0188】
[エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-1-イル)ペンタノエート(I-1-9)の合成]
【化60】
1気圧水素雰囲気下で、Pd/C(10重量%, 0.015 g)、エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(0.4 mmol, 0.1 g)及びエタノール(5 mL)混合物を、室温で18時間攪拌した。混合物をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.163 g)を無色液体として収率95%で得た。
【0189】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.03 (d, J = 8 Hz, 1H, Ar), 7.85 (d, J = 8 Hz, 1H, Ar), 7.71 (d, J = 8Hz, 1H, Ar), 7.43-7.43 (m, 2H, Ar), 7.39 (t, J = 7.5 Hz, 1H, Ar), 7.32 (d, J = 7 Hz, 1H, Ar), 4.20-4.24 (m, 1H, C[H]OH), 4.21 (q, J = 7.3 Hz, 2H, OC[H2]CH3), 3.05-3.16 (m, 2H, ArC[H2]), 2.75 (br s, 1H, CHO[H]), 1.73- (m, 2H, Ar-CH2C[H2]CH2), 1.90-2.00 (m, 4H, Ar-CH2C[H2]C[H2]), 1.24 (t, J = 7.3 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0190】
[エチル 2-(アミノキシル)-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(I-3-12)の合成(製造方法2)]
【化61】
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(0.959 mmol, 0.257 g)、トリフェニルホスフィン(1.16 mmol, 0.3045 g)及びN-ヒドロキシフタルイミド(1.21 mmol, 0.198 g)のテトラヒドロフラン(5.5 mL)混合溶液を、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(40%トルエン溶液)(1.15 mmol, 0.61mL)のテトラヒドロフラン(1 mL)の溶液へ、-20℃で滴下した後、混合物を3時間撹拌した。混合物を、室温に昇温し、3時間撹拌した。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウムでクエンチし、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、エチル 2-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)オキシ)-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(0.221 g)を黄色固体として収率56%で得た。これを、塩化メチレン(0.4 mL)及びエタノール(1.6 mL)との混合物とした。この混合物に、ヒドラジン一水和物(0.581 mmol, 0.029 g)を0℃で滴下した後、混合物を6時間撹拌した。混合物に、ジエチルエーテルを加えた。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.139 g)を黄色液体として収率86%で得た。
【0191】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ7.92 (s, 1H, Ar), 7.76-7.82 (m, 2H, Ar), 7.75 (d, J = 8.5 Hz, 1H, Ar), 7.43-7.49 (m, 3H, Ar), 5.81(br s, 2H, ON[H2]), 4.43 (dd, J = 6, 6.5 Hz, 1H, C[H]ONH2), 4.24-4.36 (m, 2H, OC[H2]CH3), 2.91-3.00 (m, 2H, Ar-CC-C[H2]), 1.33 (t, J = 7 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0192】
[メチル 2-(ヒドロキシル)-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート((I-2-1)及び(I-2-2))の合成(ヒドロキシル化による合成)]
【化62】
メチル 5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート(0.570 mmol, 0.137 g)のテトラヒドロフラン(5.7 mL)溶液を、カリウムヘキサメチルジシラジド(0.5 Mトルエン溶液)(0.86 mmol, 1.70 mL)のテトラヒドロフラン(0.6 mL)の溶液へ、-78℃で滴下した後、混合物を30分間撹拌した。この混合物に、2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(1.14 mmol, 0.298 g)のテトラヒドロフラン(16 mL)溶液を、-78℃で滴下した後、混合物を30分撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。その後、混合物を室温に昇温し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.022 g)を無色液体として収率15%で得た。
【0193】
【化63】
トランス-メチル 2-(ヒドロキシル)-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート(I-2-1):
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.80-7.75 (3H, Ar), 7.69 (s, 1H, Ar), 7.57 (m, 1H, Ar), 7.50-7.41 (2H, Ar), 6.66 (d, J = 15.9 Hz, 1H, ArC[H]), 6.33 (ddd, J = 15.9, 6.9, 6.9 Hz, 1H, C[H]CH2), 4.39 (m, 1H, C[H]OH), 3.82 (s, 3H, OCH3), 2.85 (m, 1H, OH), 2.79 (m, 1H, CH2), 2.66 (m, 1H, CH2).
【0194】
【化64】
シス-メチル 2-(ヒドロキシル)-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-エノエート(I-2-2):
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.84-7.78 (3H, Ar), 7.74 (s, 1H, Ar), 7.50-7.43 (2H, Ar), 7.42 (m, 1H, Ar), 6.76 (d, J = 11.4 Hz, 1H, ArCH), 5.80 (ddd, J = 11.4, 7.2, 7.2 Hz, 1H, C[H]CH2), 4.35 (m, 1H, CHOH), 3.74 (s, 3H, OCH3), 2.93 (m, 1H, CH2), 2.86 (m, 1H, OH), 2.83 (m, 1H, CH2).
【0195】
[メチル 5-(4-クロロフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-3)の合成]
【化65】
【化66】
炭酸カリウム(3.3 mmol, 0.46 g)を、4-クロロフェノール(3.0 mmol, 0.39 g)及びメチル 5-ブロモペンタノエート(3.0 mmol, 0.43 mL)のDMF(15 mL)溶液へ室温で加えた。混合物を、30時間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、メチル 5-(4-クロロフェノキシ)ペンタノエート(0.61 g)を無色液体として収率84%で得た。
【0196】
メチル 5-(4-クロロフェノキシ)ペンタノエート(0.62 mmol, 0.15 g)のテトラヒドロフラン(5.1 mL)溶液を、カリウムヘキサメチルジシラジド(0.5 Mトルエン溶液)(0.93 mmol, 1.86 mL)のテトラヒドロフラン(0.62 mL)の溶液へ-78℃で滴下した。混合物を、20分間撹拌した。混合物に、2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(1.24 mmol, 0.32 g)のテトラヒドロフラン(15.3 mL)溶液を-78℃で滴下した。混合物を、20分間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を室温に昇温し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、及びヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.0625 g)を黄色液体として収率39%で得た。
【0197】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.22 (m, 2H, Ar), 6.81 (m, 2H, Ar), 4.26 (m, 1H, C[H]OH), 4.01-3.93 (2H, ArOC[H2]), 3.79 (s, 3H, OCH3), 2.81 (d, J = 5.0 Hz, 1H, OH), 2.01 (m, 1H, CH2), 1.98-1.85 (m, 2H, CH2), 1.82 (m, 1H, CH2).
【0198】
[メチル 5-(2,4-ジクロロフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-4)の合成]
【化67】
【化68】
炭酸カリウム(5.5 mmol, 0.76 g)を、2,4-ジクロロフェノール(5.0 mmol, 0.82 g)及びメチル 5-ブロモペンタノエート(5.0 mmol, 0.72 mL)のDMF(25 mL)溶液へ室温で加えた。混合物を、30時間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、メチル 5-(2,4-ジクロロフェノキシ)ペンタノエート(1.02 g)を無色液体として収率73%で得た。
【0199】
メチル 5-(2,4-ジクロロフェノキシ)ペンタノエート(0.54 mmol, 0.15 g)のテトラヒドロフラン(4.5 mL)溶液を、カリウムヘキサメチルジシラジド(0.5 Mトルエン溶液)(0.81 mmol, 1.62 mL)のテトラヒドロフラン(0.54 mL)溶液へ-78℃で滴下した。混合物を20分間撹拌した。混合物に2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(1.08 mmol, 0.28 g)のテトラヒドロフラン(13.3 mL)溶液を-78℃で滴下した。混合物を、20分間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を室温に昇温し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、及びヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.060 g)を黄色液体として収率35%で得た。
【0200】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.36 (d, J = 3.0 Hz, 1H, Ar), 7.17 (dd, J = 8.8, 3.0 Hz, 1H, Ar), 6.83 (d, J = 8.8 Hz,1H, Ar), 4.29 (m, 1H, C[H]OH), 4.08-4.01 (2H, ArOC[H2]), 3.80 (s, 3H, OCH3), 2.81 (d, J = 5.0 Hz, 1H, OH), 2.05 (m, 1H, CH2), 2.05-1.88 (m, 2H, CH2), 1.87 (m, 1H, CH2).
【0201】
[メチル 5-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-5)の合成]
【化69】
【化70】
炭酸カリウム(8.25 mmol, 1.14 g)を、4-クロロ-2-メチルフェノール (7.5 mmol, 1.07 g)及びメチル 5-ブロモペンタノエート(5.0 mmol, 0.72 mL)のDMF(37.5 mL)溶液へ室温で加えた。混合物を、30時間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、メチル 5-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)ペンタノエート(0.99 g)を無色液体として収率52%で得た。
【0202】
メチル 5-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)ペンタノエート(0.58 mmol, 0.15 g)のテトラヒドロフラン(4.9 mL)溶液を、カリウムヘキサメチルジシラジド(0.5 Mトルエン溶液)(0.88 mmol, 1.75 mL)のテトラヒドロフラン(0.59 mL)の溶液へ-78℃で滴下した。混合物を20分間撹拌した。混合物に2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(1.17 mmol, 0.31 g)のテトラヒドロフラン(14.4 mL)溶液を-78℃で滴下した。混合物を、20分間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。混合物を、室温に昇温し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、及びヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(メチル 5-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート)(0.035 g)を薄黄色液体として収率22%で得た。
【0203】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.13-7.05 (2H, Ar), 6.70 (d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 4.28 (m, 1H, C[H]OH), 3.97 (m, 2H, ArOCH2), 3.80 (s, 3H, OCH3), 2.81(d, J = 5.5 Hz, 1H, OH), 2.19 (s, 3H, ArC[H3]), 2.03 (m, 1H, CH2), 2,03-1,85 (2H, CH2), 1.85 (m, 1H, CH2).
【0204】
[メチル 2-(ヒドロキシル)-4-(4-クロロフェノキシ)ブタノエート(I-4-6)の合成]
【化71】
メチル 4-(4-クロロフェノキシ)ブタノエート(0.437 mmol, 0.100 g)のテトラヒドロフラン(4.0 mL)溶液を、カリウムヘキサメチルジシラジド(0.5 Mトルエン溶液)(0.66 mmol, 1.32 mL)のテトラヒドロフラン(0.5 mL)の溶液へ、-78℃で滴下した後、混合物を30分間撹拌した。この混合物に、2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(0.876 mmol, 0.229 g)のテトラヒドロフラン(12 mL)溶液を-78℃で滴下した後、混合物を30分間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。混合物を、室温に昇温し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.077 g)を黄色液体として収率72%で得た。
【0205】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.22 (m, 2H, Ar), 6.80 (m, 2H, Ar), 4.42 (dd, J = 7.8, 4.2 Hz, 1H, C[H]OH), 4.11 (m, 2H, ArOC[H2]), 3.82 (s, 3H, OC[H3]), 2.29 (m, 1H, C[H2]CHOH), 2.14 (m, 1H, C[H2]CHOH).
【0206】
[エチル-2-ヒドロキシ-5-(1H-インドール-3-イル)-5-オキソペンタノエート(I-4-2)の合成(ケトン体の合成)]
【化72】
tert-ブチル3-(5-エトキシ-4-ヒドロキシ-オキソペント-1-イン-1-イル)-1H-インドール-1-カーボキシレート(0.639 mmol, 0.228 g)の塩化メチレン(2.1 mL)の混合溶液に、0℃でトリフルオロ酢酸(2.31 mmol, 0.268 g)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。この混合物に、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30 mL)を加えた。混合物を塩化メチレンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.284 g)を収率44%で得た。
【0207】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.58 (br s, 1H, N[H]), 8.37-8.41 (m, 1H, Ar), 7.93 (d, J = 3.0 Hz, 1H, Ar), 7.42 (m, 1H, Ar), 7.33-7.27 (m, 2H, Ar), 4.31 (ddd, J = 4.0, 5.3, 8.3 Hz, 1H, C[H]OH), 4.26 (q, 7.1 Hz, 2H, OC[H2]CH3), 3.20 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 3.13 (ddd, J = 7, 8, 16.5 Hz, 1H, Ar-COC[H2]), 3.03 (ddd, J = 5.5, 8, 16.5 Hz, 1H, Ar-C[H2]), 2.39 (dddd, J = 3.5, 7, 8, 18 Hz, 1H, Ar-COCH2C[H2]), 2.08 (ddt, J = 6, 11.5, 8.5 Hz, 1H, Ar-COCH2C[H2]), 1.30 (t, J = 7.1 Hz, 3H, OCH2C[H3]).
【0208】
[エチル 2-ヒドロキシ-5-フェニルペント-4-イノエート(I-3-16)の合成]
【化73】
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4-ペンチン酸エチルエステル(0.853 mmol, 0.1212 g)、ブロモベンゼン(0.711 mmol, 0.1116 g)、ヨウ化銅(0.0284 mmol, 5.4 mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.0284 mmol, 19.9 mg)、トリフェニルホスフィン(0.0568 mmol, 14.9 mg)、トリエチルアミン(3.555 mmol, 0.493 mL)及びテトラヒドロフラン(2.37 mL)の混合溶液を、60℃で22時間攪拌した。混合物を室温に冷却した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.0609 g)を薄黄色液体として収率39%で得た。
【0209】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.41-7.36 (m, 2H, Ar), 7.30-7.25 (m, 3H, Ar), 4.41-4.37 (m, 1H, C[H]OH), 4.36-4.24 (m, 2H, C[H]2CH3), 3.13 (d, J = 7.0 Hz, 1H, OH), 2.95 (dd, J = 4.8, 16.8 Hz, 1H, C≡CCH2), 2.89 (dd, J = 5.3, 16.8 Hz, 1H, C≡CCH2), 1.33 (t, J = 6.8 Hz, 3H, CH2C[H]3).
【0210】
[2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イン酸(I-3-17)の合成]
【化74】
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-2-イル)ペント-4-イノエート(I-3-1) (1.19 mmol, 0.320 g)のテトラヒドロフラン(11.9 mL)、メタノール(2.98 mL)、水(5.95 mL)の混合溶液に水酸化リチウム一水和物(11.9 mmol, 0.499 g)を0℃で加え、室温で2時間撹拌した。1 M塩酸でpH1にし、反応を止めた後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を再結晶で精製し、標題化合物(0.0362 g)を黄色粉末として収率12%で得た。
【0211】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.98 (s, 1H, Ar), 7.93-7.88 (m, 3H, Ar), 7.57-7.51 (m, 2H, Ar), 7.44 (dd, J = 1.8, 8.8 Hz, 1H, Ar), 4.22 (dd, J = 5.2, 6.3 Hz, 1H, C[H]OH), 2.84 (dd, J = 5.2, 17.3 Hz, 1H, CCH2), 2.78 (dd, J = 6.3, 17.3 Hz, 1H, CCH2).
【0212】
[エチル 2-(アミノオキシ)-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(I-3-18)の合成]
【化75】
エチル 2-ヒドロキシ-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(1.163 mmol, 0.312 g)、トリフェニルホスフィン(1.396 mmol, 0.3661 g)、テトラヒドロフラン(3.88 mL)の混合溶液を、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(40%トルエン溶液)(1.397 mmol, 0.735 mL)のテトラヒドロフラン(1.4 mL)の溶液へ、-20℃で滴下した後、混合物を3時間攪拌した。混合物を、室温に昇温し、3時間攪拌した。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウムでクエンチし、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、エチル 2-(アミノキシル)-5-(ナフタレン-1-イル)ペント-4-イノエート(0.4026 g)を黄色固体として収率96%で得た。これを、塩化メチレン(0.7 mL)及びエタノール(3.5 mL)との混合物とした。この混合物に、ヒドラジン一水和物(0.1257 mmol, 0.061 mL)を0℃で滴下した後、混合物を6時間攪拌した。混合物に、ジエチルエーテルを加えた。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.151 g)を黄色液体として収率48%で得た。
【0213】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.33 (d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.83 (d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.79 (d, J = 8.0 Hz, 1H, Ar), 7.55 (m, 1H, Ar), 7.50 (m, 1H, Ar), 7.39 (dd, J = 7.8, 8.3 Hz, 1H, Ar), 5.82 (s, 2H, NH2), 4.49 (dd, J =5.8, 7.0 Hz, 1H, C[H]ONH2), 4.35-4.25 (2H, CO2C[H]2), 3.09 (dd, J = 7.0, 17.0 Hz, 1H, C≡CCH2), 3.04 (dd, J = 5.8, 17.0 Hz, 1H, C≡CCH2), 1.31 (t, J = 7.0 Hz, 3H, CO2CH2C[H]3).
【0214】
[エチル 6-(4-クロロフェノキシ)-2-ヒドロキシヘキサノエート(I-4-8)の合成]
【化76】
炭酸カリウム(5.7 mmol, 0.78 g)を、4-クロロフェノール(4.8 mmol, 0.61 g)及びエチル 6-ブロモヘキサノエート(5.0 mmol, 0.89 mL)のDMF(15 mL)溶液へ室温で加えた。混合物を、23時間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、エチル 6-(4-クロロ-3-メトキシフェノキシ)ヘキサノエート(1.0 g)を黄色液体として収率79%で得た。
【0215】
エチル 6-(4-クロロフェノキシ)ヘキサノエート(0.57 mmol, 0.15 g)のテトラヒドロフラン(5.7 mL)溶液を、カリウムヘキサメチルジシラジド(0.5 Mトルエン溶液)(0.84 mmol, 1.7 mL)のテトラヒドロフラン(0.55 mL)の溶液へ-78℃で滴下した。混合物を、20分間撹拌した。混合物に、2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(1.1 mmol, 0.28 g)のテトラヒドロフラン(16 mL)溶液を-78℃で滴下した。混合物を、1時間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を室温に昇温し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、及びヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.059 g)を黄色液体として収率36%で得た。
【0216】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.24-7.20 (m, 2H, Ar), 6.83-6.78 (m, 2H, Ar), 4.28-4.22 (m, 2H, CH3C[H]2O), 4.21-4.18 (m, 1H, C[H]OH), 3.93 (t, J = 6.3 Hz, 2H, OCH2), 2.79 (br s, 1H, O[H]), 1.90-1.76 (m, 3H, CH2), 1.76-1.66 (m, 1H, CH2), 1.65-1.52 (m, 2H, CH2), 1.30 (t, J = 7.0 Hz, 3H, OCH2C[H]3).
【0217】
[メチル 5-(4-クロロ-2-メトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-9)の合成]
【化77】
【0218】
炭酸カリウム(7.7 mmol, 1.07 g)を、4-クロロ-2-メトキシフェノール(5.7 mmol, 0.7 mL)及びメチル 5-ブロモペンタノエート(5.7 mmol, 0.81 mL)のDMF(29 mL)溶液へ室温で加えた。混合物を、30時間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、メチル 5-(4-クロロ-2-メトキシフェノキシ)ペンタノエート(1.5 g)を黄色固体として収率99%で得た。
【0219】
メチル 5-(4-クロロ-2-メトキシフェノキシ)ペンタノエート(0.57 mmol, 0.15 g)のテトラヒドロフラン(5.7 mL)溶液を、カリウムヘキサメチルジシラジド(0.5 Mトルエン溶液)(0.85 mmol, 1.7 mL)のテトラヒドロフラン(0.54 mL)の溶液へ-78℃で滴下した。混合物を、20分間撹拌した。混合物に、2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(1.0 mmol, 0.26 g)のテトラヒドロフラン(16 mL)溶液を-78℃で滴下した。混合物を、40分間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を室温に昇温し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、及びヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.099 g)を黄色固体として収率60%で得た。
【0220】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 6.87-6.84 (m, 2H, Ar), 6.79-6.77 (m, 1H, Ar), 4.32-4.24 (m, 1H, C[H]OH), 4.07-3.98 (m, 2H, OCH2), 3.85 (s, 3H, ArOCH3), 3.78 (s, 3H, COOCH3), 2.97 (br d, J = 4.5 Hz, 1H, OH), 2.06-1.89 (m, 3H, CH2), 1.88-1.80 (m, 1H, CH2).
【0221】
[メチル 5-(4-メチルフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-10)の合成]
【化78】
炭酸カリウム(12 mmol, 1.6 g)を、p-クレゾール(5.0 mmol, 0.52 mL)及びメチル 5-ブロモペンタノエート(5.0 mmol, 0.71 mL)のDMF(25 mL)溶液へ室温で加えた。混合物を、30時間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、メチル 5-(4-メチルフェノキシ)ペンタノエート(0.73 g)を無色液体として収率65%で得た。
【0222】
メチル 5-(4-メチルフェノキシ)ペンタノエート(0.85 mmol, 0.19 g)のテトラヒドロフラン(8.1 mL)溶液を、カリウムヘキサメチルジシラジド(0.5 Mトルエン溶液)(1.3 mmol, 2.6 mL)のテトラヒドロフラン(0.81 mL)の溶液へ-78℃で滴下した。混合物を、20分間撹拌した。混合物に、2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(1.7 mmol, 0.45 g)のテトラヒドロフラン(24 mL)溶液を-78℃で滴下した。混合物を、2時間30分間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を室温に昇温し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、及びヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.050 g)を黄色液体として収率24%で得た。
【0223】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.09-7.04 (m, 2H, Ar), 6.81-6.77 (m, 2H, Ar), 4.29-4.24 (m, 1H, C[H]OH), 4.01-3.93 (m, 2H, OCH2), 3.79 (s, 3H, OCH3), 2.85 (br s, 1H, OH), 2.28 (s, 3H, C[H]3-Ar), 2.06-1.97 (m, 1H, CH2), 1.97-1.87 (m, 2H, CH2), 1.86-1.78 (m, 1H, CH2).
【0224】
[メチル 5-(2,4,5-トリクロロフェノキシ)-2-ヒドロキシペンタノエート(I-4-11)の合成]
【化79】
炭酸カリウム(5.8 mmol, 0.80 g)を、2,4,5-トリクロロフェノール(5.0 mmol, 0.99 g)及びメチル 5-ブロモペンタノエート(5.0 mmol, 0.71 mL)のDMF(15 mL)溶液へ室温で加えた。混合物を、140時間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、メチル 5-(2,4,5-トリクロロフェノキシ)ペンタノエート(1.3 g)を黄色固体として収率85%で得た。
【0225】
メチル 5-(2,4,5-トリクロロフェノキシ)ペンタノエート(0.57 mmol, 0.18 g)のテトラヒドロフラン(5.7 mL)溶液を、カリウムヘキサメチルジシラジド(0.5 Mトルエン溶液)(0.84 mmol, 1.7 mL)のテトラヒドロフラン(0.55 mL)の溶液へ-78℃で滴下した。混合物を、20分間撹拌した。混合物に、2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(1.2 mmol, 0.31 g)のテトラヒドロフラン(16 mL)溶液を-78℃で滴下した。混合物を、45分間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、混合物を室温に昇温し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、及びヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(0.105 g)を無色液体として収率56%で得た。
【0226】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.45 (s, 1H, Ar), 6.98 (s, 1H, Ar), 4.29 (dd, J = 7.8, 3.8 Hz, 1H, C[H]OH), 4.05 (t, J = 5.8 Hz, 2H, OCH2), 3.81 (s, 3H, OCH3), 2.83 (br s, 1H, OH), 2.09-1.99 (m, 2H, CH2), 1.98-1.90 (m, 1H, CH2), 1.90-1.80 (m, 1H, CH2).
【0227】
<II. 新規化合物の生物活性試験>
[II-1. シロイヌナズナの主根長及び側根密度に対する本発明の化合物の効果]
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana L. col-0)の種子を、10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液で10分間滅菌処理後、オートクレーブ済みMilliQ水にて5回洗浄した。この滅菌済み種子を、試験化合物を添加した1/2ムラシゲ-スクーグ(Murashige-Skoog、1/2MS)培地(1%スクロース及び0.8%寒天を含む、pH 5.8±0.05)を含むプレート上に、15粒ずつ播種した。播種した種子を、4℃で1日以上置いた後、22℃、連続白色光下で8日間生育させた。このとき、プレートは縦置きにした。
【0228】
生育8日目のシロイヌナズナを、各試験区又は対照区ごとに写真撮影した。画像処理ソフトウェア(Image J、米国国立衛生研究所(NIH)、http://imagej.nih.gov/ij/download.html)を用いて、撮影した写真におけるシロイヌナズナの各個体の主根長及び側根数を測定した。個体ごとに、測定した側根数を主根長で除算することにより、側根密度を算出した。算出した各個体の側根密度に基づき、各試験区又は対照区における平均値を算出した。
【0229】
本試験において、各試験化合物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。試験化合物のDMSO溶液は、DMSOの終濃度が0.1%になるように、1/2MS培地に添加した。対照区は、試験化合物に代えて、同量のDMSOを添加した1/2MS培地を含むプレートを用いた他は、前記と同様の手順で試験を実施した。
【0230】
また、本試験において、比較例の試験化合物として、公知のオーキシン生合成阻害剤である、特許第6120272号公報(特許文献4)に開示される4-フェノキシフェニルボロン酸(以下、「PPBo」とも記載する)を用いた。
【化80】
【0231】
シロイヌナズナの生育試験における、試験化合物の添加濃度と主根長との関係を図1-1~1-4に、試験化合物の添加濃度と側根密度との関係を図2-1~2-4に、それぞれ示す。図中、(a)は、比較例の化合物PPBoの結果を、(b)~(t)は、化合物(I-1-1)、(I-1-4)、(I-1-5)、(I-4-1)、(I-3-11)、(I-3-6)、(I-3-1)、(I-3-5)、(I-1-9)、(I-1-2)、(I-1-3)、(I-3-16)、(I-3-17)、(I-1-7)、(I-4-8)(I-4-9)、(I-4-10)、(I-4-11)又は(I-3-18)の結果を、それぞれ示す。公知のオーキシン生合成阻害剤である化合物PPBoを各濃度で処理すると、1 μM以上で主根長の伸長阻害が観察されたのに対して、側根密度の阻害は、0.1 μM以上で観察された(図1-1(a)及び図2-1(a))。これに対し、実施例化合物(I-1-1)を処理すると、10 μM以上で主根長の伸長阻害が観察され、1 μM以上で側根密度の阻害が観察された(図1-1(b)及び図2-1(b))。他の実施例化合物の処理においても、これらの化合物の処理の場合と同様に、主根長の伸長阻害が観察される最小濃度よりも、側根密度の阻害が観察される最小濃度の方が低くなった(図1-1~1-4、並びに図2-1~2-4)。
【0232】
[II-2.オーキシン及び本発明の化合物の同時処理によるシロイヌナズナの側根数回復試験]
本発明の化合物が、オーキシン生合成経路を阻害していることを確認するため、オーキシン及び本発明の実施例化合物をシロイヌナズナに同時に処理して、側根数の回復程度を調査した。前記II-1の手順において、試験化合物を1/2MS培地に添加する工程を、試験化合物のみ、オーキシン(IAA又はIBA)のみ、又はその両方を添加する工程に変更する他は、前記と同様の手順で、オーキシン及び/又は試験化合物を添加した1/2MS培地を含むプレート上でシロイヌナズナを生育させた。試験化合物の濃度は、前記II-1の結果に基づき、シロイヌナズナの側根密度を対照区の半分以下まで低下させる濃度に設定した。IAAの処理濃度が100 nMの場合、主根が極端に短くなり、側根数の測定ができなくなった。このため、IAAの濃度は、1又は10 nMの濃度に設定した。一方、IBAの処理濃度が1 μMの場合、側根が急激に増加した。このため、IBAの濃度は、10又は100 nMに設定した。
【0233】
IAAと比較例の化合物PPBo(0.3 μM)とを同時に施用したときのIAA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を図3に示す。図中、(a)は、IAA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフであり、(b)は、異なる濃度のIAAと比較例の化合物PPBoとを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真である。また、IBAと比較例の化合物PPBo(0.3 μM)とを同時に施用したときのIBA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を図4に示す。図中、(a)は、IBA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフであり、(b)は、異なる濃度のIBAと比較例の化合物PPBoとを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真である。*は、スチューデントt-検定により算出した、0 nM IBA試験区に対するp値が0.01以下であることを示す。図3及び4に示すように、IAA又はIBAと比較例の化合物PPBoとを同時に施用すると、いずれの場合も側根密度が回復した。オーキシンの生合成経路において、IAA及びIBAは、相互変換されることが知られている。前記試験において、IBAと比較例の化合物PPBoとを同時に施用した場合、IBAがIAAに変換されて、側根が形成されたと推測される。
【0234】
これに対し、IAA又はIBAと実施例化合物とを同時に施用した場合、比較例の化合物PPBoとの同時施用の場合とは異なる結果が得られた。IAAと実施例化合物(I-1-1)(5 μM)、(I-3-11)(10 μM)、(I-3-1)(0.2 μM)、(I-3-5)(0.2 μM)、(I-1-2)(1 μM)、又は(I-1-3)(1 μM)とを同時に施用したときのIAA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を図5、7、9、11、13又は15にそれぞれ示す。図中、(a)は、IAA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフであり、(b)は、異なる濃度のIAAと実施例化合物とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真である。また、IBAと実施例化合物(I-1-1)(5 μM)、(I-3-11)(10 μM)、(I-3-1)(0.2 μM)、(I-3-5)(0.2 μM)、(I-1-2)(1 μM)、又は(I-1-3)(1 μM)とを同時に施用したときのIBA濃度とシロイヌナズナの生育との関係を図6、8、10、12、14又は16にそれぞれ示す。図中、(a)は、IBA濃度とシロイヌナズナの側根密度との関係を示すグラフであり、(b)は、異なる濃度のIBAと実施例化合物とを同時に施用したときのシロイヌナズナの表現型を示す写真である。*は、スチューデントt-検定により算出した、0 nM IBA試験区に対するp値が0.01以下であることを示す。n.s.は、スチューデントt-検定により算出した、0 nM IAA試験区に対するp値が0.01超、すなわち有意差がないことを示す。図6、8、10、12、14及び16に示すように、IBAと実施例化合物とを同時に施用すると、いずれの場合も側根密度が回復した。これに対し、図5、7、9、11、13及び15に示すように、IAAと実施例化合物とを同時に施用しても、いずれの場合も側根密度は回復しなかった。
【0235】
以上の結果から、本発明の実施例化合物は、比較例の化合物PPBoとは異なる作用機序でオーキシンの生合成を阻害することが推測される。オーキシンの生合成経路において、IAAとIBAとは相互変換されることが知られている。また、側根の形成及び/又は伸長は、IBAによって制御されると考えられている(Woodward A及びBartel B., 2005年, Annals of Botany, 第95巻, p. 707-735)。比較例の化合物PPBoは、オーキシンの生合成経路において、IAAとIBAとの相互変換の上流側に位置するIPyAからIAAが形成される反応を制御するYUCCAを阻害することにより、オーキシン生合成阻害活性を発現する(特許文献4)。このため、比較例の化合物PPBoの施用によってYUCCAが制御する段階でオーキシンの生合成が阻害されても、同時に施用されたIAA又はIBAによって、同様の表現性を示したと推測される。これに対し、本発明の実施例化合物は、IBAと同時に施用した場合には側根密度の回復が観察されたのに対し、IAAと同時に施用した場合には側根密度の回復が観察されなかった。前記結果から、本発明の実施例化合物は、IAAからIBAへの変換を特異的に阻害すると推測される。
【0236】
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16