(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】天井埋設型エアーコンディショナー洗浄装置および取付方法
(51)【国際特許分類】
F28G 15/02 20060101AFI20221104BHJP
F28G 9/00 20060101ALI20221104BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
F28G15/02
F28G9/00 M
B08B3/02 E
(21)【出願番号】P 2021061748
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】595031409
【氏名又は名称】日菱インテリジェンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【氏名又は名称】小野 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100093230
【氏名又は名称】西澤 利夫
(72)【発明者】
【氏名】佐野 隆俊
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-089892(JP,A)
【文献】特開2007-120915(JP,A)
【文献】特開平08-296993(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2018-0039531(KR,A)
【文献】韓国登録特許第1112604(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 1/00 - 15/10
B08B 1/00 - 17/06
F24F 1/00 - 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の筐体と当該筐体の内部に配置される熱交換器を有する天井埋設型エアーコンディショナーを洗浄する洗浄装置であって、
前記筐体の下部を塞ぐための受皿と、
液体を噴射するノズル部と、前記ノズル部を支持する支持部材とを含み、前記受皿に着脱可能に取り付けられる流体噴射ノズル装置とを具備し、
前記受皿は、上部が開口した箱型に形成され、
受皿底部と、
前記受皿底部の外周から上方に立ち上がる外周壁と、
前記受皿底部に設けられ、前記流体噴射ノズル装置を取り付けるための取付孔と、
前記受皿底部に設けられ、洗浄液の廃液を排出するための排出口と、
前記取付孔の周縁における全周において上方に立ち上がる装置取付け部とを含み、
前記支持部材は、前記装置取付け部の内周面に嵌合する第1部分を含み、
前記流体噴射ノズル装置のうち前記支持部材が、固着具により前記装置取付け部とは反対側から前記受皿に着脱可能に取り付けられる
洗浄装置。
【請求項2】
前記装置取付け部は、第1取付部と、当該第1取付部よりも上方に位置し、当該第1取付部よりも内径が小さい第2取付部とを含み、
前記第1部分は、前記第2取付部の内周面に嵌合する
請求項1の洗浄装置。
【請求項3】
前記装置取付け部の内周面は、弾性体で形成される
請求項1または請求項2の洗浄装置。
【請求項4】
前記第1部分の外周面には、周方向の全周にわたり設けられる突起部を含む
請求項1から請求項3の何れかの洗浄装置。
【請求項5】
前記突起部は、弾性体で形成される
請求項4の洗浄装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記第1部分における下方の端部から張り出す部分であって、前記受皿底部における前記装置取付け部とは反対側の面のうち前記取付孔の周囲に当接する第2部分とを含み、
前記支持部材のうち前記第2部分が、前記受皿のうち前記受皿底部に着脱可能に取り付けられる
請求項1から請求項5の何れかの洗浄装置。
【請求項7】
前記固着具は、
前記受皿底部に先端側が固着され、当該受皿底部における前記装置取付け部とは反対側の面から下方に延在するネジ部材と、
前記ネジ部材に螺合するネジ孔が形成され、当該ネジ部材と締結可能な留め具とを含み、
前記第2部分には、前記ネジ部材が挿通可能な貫通孔が形成され、
前記貫通孔に前記ネジ部材がある状態で、前記周囲に前記第2部分が当接するように当該ネジ部材に前記留め具を締結することで、当該第2部分が前記固着具により前記受皿に着脱可能に取り付けられる
請求項6の洗浄装置。
【請求項8】
前記貫通孔は、前記取付孔の周方向に沿って連続的に位置する第1孔部と第2孔部とを含み、
前記第1孔部は、前記留め具が挿通可能な大きさに形成され、
前記第2孔部は、前記ネジ部材が挿通可能であり、かつ、前記留め具が挿通不可能な大きさに形成され、
前記第2孔部内に前記ネジ部材がある状態で、前記周囲に前記第2部分が当接するように当該ネジ部材に前記留め具を締結させることで、当該第2部分が前記固着具により前記受皿に着脱可能に取り付けられる
請求項7の洗浄装置。
【請求項9】
請求項8の洗浄装置において、前記第2部分を前記受皿に取り付ける方法であって、
前記ネジ部材における前記留め具と前記受皿底部との間における区間の長さが前記第2部分の厚さを上回る位置に当該留め具がある状態で、前記第1孔部に前記留め具を挿通させて前記区間が当該第1孔部内に位置するように前記支持部材を上方に移動させ、
前記第2孔部内に前記区間が位置するように前記支持部材を前記周方向に沿って回転し、
前記第2孔部内に前記区間がある状態で、前記周囲に前記第2部分が当接するように当該ネジ部材に前記留め具を締結させることで、当該第2部分を前記固着具により前記受皿に着脱可能に取り付ける
取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井埋設型エアーコンディショナーの洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筒状の筐体の内部に設置された環状の熱交換器を具備する天井埋設型エアーコンディショナー(特に熱交換器)を洗浄する洗浄装置が従来から提案されている。例えば、特許文献1には、液体を噴射可能な流体噴射ノズル装置と、当該液体噴射ノズル装置が固定された受皿とを具備する洗浄装置が開示されている。流体噴射ノズル装置が固定された受皿を天井埋設型エアーコンディショナーの筐体の下部に密着させることで、洗浄装置が天井埋設型エアーコンディショナーに取り付けられる。そして、流体噴射ノズル装置から液体を噴射させて熱交換器を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の技術では、流体噴射ノズル装置が固定された状態の受皿を天井付近まで持ち上げて天井埋設型エアーコンディショナーの筐体の下部に装着する。すなわち、作業者は、洗浄装置を天井埋設型エアーコンディショナーに取り付ける際に、受皿および流体噴射ノズル装置の双方を同時に持ち上げる必要がある。受皿の重量と流体噴射ノズル装置の重量とはそれぞれ数kgである。例えば、受皿は約4.0kgであり、流体噴射ノズル装置は約6.3kgである。したがって、洗浄装置を天井埋設型エアーコンディショナーに取り付ける際に、作業者にかかる負荷が大きいという問題がある。ひいては、作業者の作業効率が低下する。
【0005】
以上の事情を考慮して、本発明では、洗浄装置を天井埋設型エアーコンディショナーに取り付ける際に作業者にかかる負荷を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好適な態様に係る洗浄装置は、筒状の筐体と当該筐体の内部に配置される熱交換器を有する天井埋設型エアーコンディショナーを洗浄する洗浄装置であって、前記筐体の下部を塞ぐための受皿と、液体を噴射するノズル部と、前記ノズル部を支持する支持部材とを含み、前記受皿に着脱可能に取り付けられる流体噴射ノズル装置とを具備し、前記受皿は、上部が開口した箱型に形成され、受皿底部と、前記受皿底部の外周から上方に立ち上がる外周壁と、前記受皿底部に設けられ、前記流体噴射ノズル装置を取り付けるための取付孔と、前記受皿底部に設けられ、洗浄液の廃液を排出するための排出口と、前記取付孔の周縁における全周において上方に立ち上がる装置取付け部とを含み、前記支持部材は、前記装置取付け部の内周面に嵌合する第1部分を含み、前記流体噴射ノズル装置のうち前記支持部材が、固着具により前記装置取付け部とは反対側から前記受皿に着脱可能に取り付けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗浄装置によれば、天井埋設型エアーコンディショナーの筐体に受皿を取り付けた後に、流体噴射ノズル装置を下方から受皿に流体噴射ノズル装置を取り付けることができる。したがって、流体噴射ノズル装置が予め固定された受皿を天井埋設型エアーコンディショナーの筐体に取り付ける構成と比較して、洗浄装置を天井埋設型エアーコンディショナーに取り付ける際に作業者にかかる負荷を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一般的なエアーコンディショナーの構造を示す斜視図である。
【
図3】洗浄装置を天井埋設型エアーコンディショナーに取付けた状態を示す概略側面図である。
【
図9】天井埋設型エアーコンディショナーに取り付けられた状態の洗浄装置の断面図である。
【
図10】
図9における流体噴射ノズル装置付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る洗浄装置100は、天井埋設型エアーコンディショナーを洗浄する装置である。
図1は、一般的な天井埋設型エアーコンディショナー(以下「エアーコンディショナーA」と表記する)の構造を示している。以下の説明では、鉛直方向をZ方向と表記し、水平面内において相互に直交する方向をX方向およびY方向と表記する。
【0010】
図1に例示される通り、エアーコンディショナーAは、下面を解放した筐体Bと、環状の熱交換器C(例えばフィン付熱交換器)と、熱交換器Cの中央の空間に設けられるブロワーDと、筐体Bの下面に密着する着脱自在の蓋部材Fとを具備する。
【0011】
蓋部材Fには、中央に付近に位置する吸気口Gと、当該吸気口Gの周囲に位置する4箇の吹出口Hとを具備する。筐体Bは、ステーボルトJによりスラブに吊り下げられている。なお、熱交換器Cは、
図2に例示される通り、例えば、環状の一部が開放された形状でもよい。
【0012】
図3は、エアコンに取り付けられた状態の洗浄装置100を概略的に表す概略図である。洗浄装置100は、蓋部材FとブロワーDを取外した状態で、筐体Bの下部(Z方向の負側の端部)に取り付けられる。
【0013】
図3に例示される通り、洗浄装置100は、流体噴射ノズル装置40と受皿50とを具備する。
図4は、流体噴射ノズル装置40の正面図であり、
図5は、流体噴射ノズルの平面図である。
【0014】
洗浄装置100に使用される流体噴射ノズル装置40には、公知の機器が任意に採用される。
図4および
図5に例示される通り、本実施形態の洗浄蔵置は、第1ノズルN1(「ノズル部」の例示)と第2ノズルN2と軸部材Uと支持部材41とを含む。
【0015】
支持部材41は、第1ノズルN1および第2ノズルN2を支持するための部材である。例えば、各種の金属により支持部材41が形成される。具体的には、支持部材41は、第1部分42と第2部分43とを含む。第1部分42は、支持部材41のうちZ方向の正側に位置する部分である。第1部分42は、円柱状の部材である。
【0016】
第1部分42の外周面には、周方向の全周にわたり設けられる突起部46を含む。本実施形態では、突起部46はゴム等の弾性体で形成される。すなわち、環状に突起部46が形成される。例えば、突起部46は、第1部分42のうちZ方向の正側の端部に近い位置に設けられる。なお、突起部46の幅(Z方向における長さ)は、第1部分42の高さ(Z方向における長さ)よりも小さい。
【0017】
第2部分43は、第1部分42から張り出す部分である。具体的には、第1部分42における下方の端部(Z方向の負側の端部)からX-Y平面内において張り出す部分が第2部分43である。第1部分42の全周にわたり第2部分43が設けられる。本実施形態では、平面視において外縁が円形になるように第2部分43が形成される。なお、第1部分42におけるZ方向の負側の端面は開口する。すなわち、支持部材41における下方の端部が開口するとも換言できる。
【0018】
第2部分43には、流体噴射ノズル装置40を取り付けるための貫通孔421が形成される。本実施形態では、4個の貫通孔421が形成される構成を例示したが、貫通孔421の個数は任意である。貫通孔421の詳細については後述する。
【0019】
第1ノズルN1は、液体(洗浄水)を噴射するノズルである。第2ノズルN2は、空気を噴射するノズルである。第1ノズルN1は、筐体B内部に位置する状態で、筐体Bの内周面に対して液体を噴射する。同様に、第2ノズルN2は、筐体B内部に位置する状態で、筐体Bの内周面に対して空気を噴射する。第1ノズルN1により液体を噴射して筐体Bを洗浄した後に、第2ノズルN2により空気を噴射することで、筐体Bの水切りを行う。なお、第2ノズルN2を流体噴射ノズル装置40に設けることは必須ではない。
【0020】
軸部材Uは、第1ノズルN1と第2ノズルN2とを支持するための部材である。第1部分42におけるZ方向の正側の表面から上方に向かって延在するように軸部材Uが支持される。具体的には、第1ノズルN1および第2ノズルN2は、上下方向(Z方向)に沿って移動可能なように軸部材Uに支持される。また、第1ノズルN1および第2ノズルN2は、軸部材Uを中心軸として回転可能なように支持される。すなわち、第1ノズルN1および第2ノズルN2は、上下動並びに垂直軸を中心に回転する。なお、
図4では、軸部材Uを貫通する支持盤47を第1部分42におけるZ方向の正側の表面に載置する構成を例示する。
【0021】
支持部材41における下方の開口から、第1ノズルN1および第2ノズルN2を上下方向に移動および軸部材Uを中心に回転させるための各種の要素(例えばモーター等の駆動装置や制御装置)が収容されるが、便宜的に図示は省略する。なお、第1ノズルN1および第2ノズルN2を上下方向に沿って移動される構成と、第1ノズルN1および第2ノズルN2を垂直軸を中心に回転させる構成には、公知の技術が任意に採用される。
【0022】
第1ノズルN1には、例えば、当該第1ノズルN1に接続された供給管T1を介して洗浄水が供給される。供給管T1には、洗浄水が充填されたタンクに接続されたチューブを介して洗浄水が供給される。第2ノズルN2には、例えば、当該第2ノズルN2に接続された供給管T2を介して空気(圧縮空気)が供給される。供給管T2には、コンプレッサーに接続されたチューブを介して空気が供給される。なお、第1ノズルN1に洗浄水を供給する構成と、第2ノズルN2に空気を供給する構成とには、公知の技術が任意に採用される。
【0023】
図6は、受皿50をZ方向の正側からみたときの平面図であり、
図7は、受皿50をZ方向の負側からみたときの底面図であり、
図8は、
図6のP-P線における断面図である。
【0024】
受皿50は、
図3に例示される通り、筐体Bの下部を塞ぐための部材である。
図6から
図8に例示される通り、受皿50は上部(Z方向の正側)が開口した箱型に形成される。例えば、合成樹脂等の透明な材料で受皿50が形成される。
【0025】
受皿50は、受皿底部51と外周壁52とを含む。受皿底部51は、X-Y平面内において平行な板状の部材であり、例えば四隅を欠いた略八角形に形成される。外周壁52は、受皿底部51の外周の全周にわたり上方(Z方向の正側)に立ち上がる部材である。
【0026】
外周壁52の内周面には、周方向の全周にわたり延在する筐体当接部535eが設けられる。例えば、ゴム等の弾性部材で筐体当接部535eが形成される。そして、筐体Bの下部が外周壁52の内側に位置する状態で(すなわち筐体Bの下部を塞ぐように)、受皿50が筐体Bに固定される。筐体当接部535eは筐体Bの下部と受皿50とを密閉するためのパッキンとして機能する。
【0027】
受皿50は、任意の方法により筐体Bに固定される。例えば、受皿底部51におけるZ方向の負側の表面にフックを設ける。そして、
図3に例示される通り、ステーボルトJと当該フックとを紐状の部材70で連結することで、受皿50を筐体Bに固定する。なお、フックの個数は任意である。
【0028】
図6から
図8に例示される通り、受皿底部51には、排出口55と取付孔56とが設けられる。取付孔56は、流体噴射ノズル装置40を取り付けるための貫通孔であり、受皿底部51の中央に設けられる。取付孔56は円形に形成される。取付孔56の径(直径)は、支持部材41の第1部分42が挿通可能であり、支持部材41の第2部分43が挿通不可能な大きさに設定される。以下の説明では、受皿底部51におけるZ方向の負側の表面を設置面511と表記する。
【0029】
排出口55は、洗浄に使用した洗浄液を排出するための貫通孔である。熱交換器Cを洗浄した後の洗浄液の廃液は、受皿50で受けとめられ、受皿底部51に設けられた排出口55を介して、排出口55に接続されたドレンホースにより適切に排出される。
【0030】
取付孔56の周縁には受皿底部51におけるZ方向の正側の表面において上方(Z方向の正側)に立ち上がる装置取付け部57が設けられる。なお、装置取付け部57の高さは、受皿50の外周壁52よりも低い。装置取付け部57は、取付孔56の全周にわたり設けられる。装置取付け部57は筒状に形成されるとも換言できる。
【0031】
具体的には、装置取付け部57は、第1取付部571と第2取付部572とを含む。第1取付部571は、Z方向の正側に位置する部分であり、第2取付部572は、Z方向の負側に位置する部分である。すなわち、第1取付部571よりも上方に位置する部分が第2取付部572である。
図8に例示される通り、第2取付部572の内径は、第1取付部571の内径よりもが小さい。第1取付部571と第2取付部572とは連続的に形成される。
【0032】
第1取付部571の端部(Z方向の負側の端部)が取付孔56の周縁に固着される。なお、
図8では、取付孔56の内周面を覆うように第1取付部571を設ける構成を例示する。装置取付け部57の高さ(Z方向における長さ)は、支持部材41の高さに応じて設定される。なお、第2取付部572の高さは、第1取付部571の高さよりも小さい。
【0033】
装置取付け部57は、例えば、ゴム等の弾性体で形成される。なお、装置取付け部57の全体を弾性体で形成することは必須ではなく、少なくとも装置取付け部57の内周面が弾性体で形成されればよい。受皿底部51における装置取付け部57とは反対側の面が設置面511であるとも換言できる。
【0034】
受皿50には、流体噴射ノズル装置40を取り付けるための固着具90が設けられる。本実施形態の固着具90は、ネジ部材91と留め具92とを含む。ネジ部材91は、Z方向に沿って延在する軸状に形成され、表面にはネジ溝が形成される。受皿底部51において貫通孔421の周囲にネジ部材91が設けられる。具体的には、受皿底部51に先端(Z方向の正側の端部)側が固着された状態で、設置面511から下方に延在するように、ネジ部材91が設けられる。すなわち、ネジ部材91は設置面511から露出する部分を含む。ネジ部材91は、先端とは反対側の端部(Z方向の負側の端部)ネジ頭部が設けられる。以上の説明から理解される通り、ネジ部材91は、受皿底部51に先端側が固着され、設置面511から下方に延在するように設けられる。
【0035】
図8では、ネジ部材91の先端は、受皿底部51を貫通し、さらに、装置取付け部57に挿入される構成を例示する。すなわち、平面視において、受皿底部51と装置取付け部57とがかさなる位置にネジ部材91が固着される。また、ネジ部材91における先端側にはX方向に突出する部分を含み、当該部分が装置取付け部57の内部から外周面を貫通する。
【0036】
留め具92は、ネジ部材91と締結可能な部材であり、当該ネジ部材91に螺合するネジ孔が形成される。
図8に例示される通り、ネジ部材91における設置面511から露出する部分に留め具92が配置される。留め具92を回すことでネジ部材91に螺合した状態で上下方向に移動する。なお、留め具92は、ネジ部材91のネジ頭部と設置面511との間において上下方向に移動する。本実施形態では、ネジ部材91と留め具92とが一体型の固着具90であるとも換言できる。
【0037】
図5に例示される通り、第2部分43に形成される貫通孔421は、固着具90におけるネジ部材91が挿通可能である。具体的には、貫通孔421は、受皿底部51の取付孔56の周方向(すなわち支持部材41の第1部分42の周方向)に沿って連続的に位置する第1孔部211と第2孔部212とを含む。
【0038】
第1孔部211は、留め具92が挿通可能な大きさに形成される部分である。第2孔部212は、ネジ部材91が挿通可能であるが、留め具92が挿通不可能な大きさに形成される部分である。
【0039】
流体噴射ノズル装置40は、受皿50に着脱可能に取り付けられる。具体的には、流体噴射ノズル装置40のうち支持部材41が受皿50に着脱可能に取り付けられる。本実施形態では、第1部分42が受皿底部51に取り付けられる構成を例示する。
図9は、受皿50に取り付けられた状態の流体噴射ノズル装置40の断面図である。なお、
図9では、エアーコンディショナーAの筐体Bおよび熱交換器Cの断面も図示する。
図10は、
図9における取付孔56付近の拡大図である。
【0040】
図9および
図10に例示される通り、第1部分42が装置取付け部57の内周面に嵌合する状態で、かつ、第2部分43が設置面511における取付孔56の周囲に当接した状態で、当該第2部分43が固着具90により下方から(装置取付け部57とは反対側から)受皿50に着脱可能に取り付けられる。すなわち、流体噴射ノズル装置40が着脱可能に受皿50に取り付けられる。
【0041】
本実施形態では、支持部材41の第1部分42が第2取付部572の内周面に嵌合する。
図9および
図10では、第1部分42の突起部46が第2取付部572の内周面に当接することで、第1部分42が第2取付部572に嵌合する構成を例示する。突起部46は支持部材41と装置取付け部57とを密着させるためのパッキンとして機能する。
【0042】
なお、第1部分42において突起部46以外の部分が装置取付け部57の内周面に当接するか否かは不問である。装置取付け部57の内径は、第1部分42の外径に応じて適宜に設定される。ただし、第1取付部571の内径は、突起部46が第1取付部571の内周面に接触した状態(または非接触の状態)で支持部材41が上下方向および周方向に沿って容易に移動可能なように設定する。一方で、第2取付部572の内径は、突起部46が第2取付部572の内周面に隙間なく当接するように(すなわち突起部46が第2取付部572内に圧入されるように)設定される。
【0043】
第2部分43(Z方向の正側の表面)は、貫通孔421(第1孔部211)にネジ部材91が挿通された状態で設置面511に当接する。そして、留め具92により下方(受皿底部51とは反対側)から第2部分43が受皿50に取り付けられる。以上の説明から理解される通り、貫通孔421(第1孔部211)にネジ部材91がある状態で、設置面511における貫通孔421の周囲に第2部分43が当接するように当該ネジ部材91に留め具92を締結させることで、当該第2部分43が固着具90により受皿50に着脱可能に取り付けられる。
【0044】
以上の説明から理解される通り、第1部分42は、装置取付け部57の内周面に嵌合する要素であり、第2部分43は、受皿底部51における設置面511のうち取付孔56の周囲に当接する要素である。
【0045】
なお、第1部分42は装置取付け部57の内周面に嵌合可能であれば以上に例示した構成に限定されない。同様に、第2部分43は受皿50における設置面511に当接可能であれば以上に例示した形状に限定されない。また、支持部材41(第1部分42)における下側の開口の有無も任意である。
【0046】
以下、受皿50に流体噴射ノズル装置40と取り付ける方法について説明する。事前に受皿50を筐体Bの下部に固定した状態で、当該受皿50に流体噴射ノズル装置40を取り付ける。
【0047】
まず、ネジ部材91における留め具92と受皿底部51との間における区間(以下「設置区間」という)Mの長さが前記第2部分43の厚さを上回る位置に当該留め具92を移動させる。なお、
図8に設置区間Mを図示する。
【0048】
次に、
図5の第2部分43の第1孔部211に留め具92を挿通させて設置区間Mが当該第1孔部211内に位置するように支持部材41(流体噴射ノズル装置40)を上方に移動させる。そして、第2孔部212内に設置区間Mが位置するように支持部材41を取付孔56の周方向に沿って回転する。
【0049】
第1部分42が第2取付部572の内周面に嵌合し、かつ、第2部分43が設置面511における貫通孔421の周囲に当接するように支持部材41を上方に移動させた後に、ネジ部材91に留め具92を締結させる(留め具92を上方に移動させる)。
【0050】
なお、流体噴射ノズル装置40を受皿50から取り外す際には、留め具92を下方に移動させた後に、設置区間Mが第2孔部212内から第1孔部211に移動するように支持部材41を回転させた後に、支持部材41を下方に移動させる。
【0051】
以上の説明から理解される通り、本実施形態では、第2部分43が固着具90により装置取付け部57とは反対側から受皿底部51に着脱可能に取り付けられる。したがって、エアーコンディショナーAの筐体Bに受皿50を取り付けた後に、流体噴射ノズル装置40を下方から受皿50に流体噴射ノズル装置40を取り付けることができる。したがって、流体噴射ノズル装置40が予め固定された受皿50を天井埋設型エアーコンディショナーの筐体Bに取り付ける構成と比較して、洗浄装置100を天井埋設型エアーコンディショナーに取り付ける際に作業者にかかる負荷を低減することが可能である。
【0052】
装置取付け部57が第1取付部571と第2取付部572とを含む構成によれば、第1部分42(突起部46)が第1取付部571に対応する位置にある状態で受皿底部51に対する支持部材41の位置を調整した後に、第1部分42を第2取付部572内に嵌合させることができる。
【0053】
装置取付け部57の内周面および突起部46を弾性体で形成することで、第1部分42を装置取付け部57に隙間なく密着して嵌合させることできるという利点がある。
【0054】
貫通孔421が第1孔部211と第2孔部212とを含む構成によれば、留め具92とネジ部材91とが一体型の固着具90を利用できるという利点がある。
【0055】
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
【0056】
(1)前述の形態では、受皿底部51に先端が固着されたネジ部材91と、ネジ部材91における設置面511とネジ頭部との間を移動可能に設けられた留め具92とを固着具90として利用したが、第2部分43(流体噴射ノズル装置40)が装置取付け部57とは反対側から受皿底部51に着脱可能に取り付けることが可能であれば、固着具90の構成は任意である。固着具90の構成によっては、第2部分43に貫通孔421を設けることは必須ではない。
【0057】
同様に、ネジ部材91の構成についても留め具92を締結可能であれば、任意である。例えば、ネジ頭部がないネジ部材91を用いてもよい。ネジ部材91の構成により、第2部分43に設けられる貫通孔421の形状は任意に採用される。
【0058】
(2)前述の形態では、受皿底部51に第2部分43を着脱可能に取り付ける構成を例示したが、受皿50に支持部材41を取り付ける構成は以上の例示に限定されない。すなわち、受皿50に取り付ける部分は支持部材41のうち第2部分43以外でもよい。同様に、支持部材41が取り付けられる部分は受皿50のうち受皿底部51以外でもよい。
【0059】
例えば、第1部分42の外周面および装置取付け部57の内周面の一方にストッパーを設け、他方に当該ストッパーに係合可能な係合部を設ける構成も採用される。以上の構成では、支持部材41をZ方向の負側(下方)から装置取付け部57の内周面に挿入して、第1部分42と装置取付け部57とを嵌合させると、ストッパーが係合部に係合する。ストッパーが係合部に係合することで、支持部材41が受皿50に取り付けられる。ストッパーおよび係合部は、固着具90の例示である。以上の構成では、支持部材41に第2部分43を設けることは必須ではない。なお、例えば、ストッパーおよび係合部の一方を第2部分43に設けて、他方を受皿底部51に設ける構成を採用してもよい。
【0060】
以上の説明から理解される通り、支持部材41が固着具90により装置取付け部57とは反対側から受皿50に着脱可能に取り付けることが可能であれば、受皿50に支持部材41を取り付ける方法や構成は任意である。同様に、固着具90の構成も適宜に変更し得る。
【0061】
(3)前述の形態では、第1部分42の突起部46および装置取付け部57を弾性体で形成する構成を例示したが、第1部分42と装置取付け部57が密着して嵌合することが可能であれば、第1部分42の突起部46および装置取付け部57の双方を弾性体で形成することは必須ではない。同様に、第1部分42に突起部46を設けることも必須ではない。なお、第1部分42の外周面の全体または一部を弾性体で形成してもよい。
【0062】
(4)前述の形態では、第1取付部571と第2取付部572とを装置取付け部57が含む構成を例示したが、装置取付け部57の構成は、第1部分42が密着して嵌合可能であれば任意である。例えば、内径が高さ方向にわたり一定である装置取付け部57や、Z方向の正側にかけて連続的に内径が小さくなる装置取付け部57を採用してもよい。
【0063】
(5)前述の形態において、受皿50に流体噴射ノズル装置40を取り付けずに、取付孔56から手洗浄用のハンドガンを挿入して、エアーコンディショナーAを手動で洗浄してもよい。すなわち、受皿50を手洗浄用養生カバーとして使用することもできる。
【符号の説明】
【0064】
40 :流体噴射ノズル装置
41 :支持部材
42 :第1部分
43 :第2部分
46 :突起部
47 :支持盤
50 :受皿
51 :受皿底部
53 :筐体当接部
55 :排出口
56 :取付孔
57 :装置取付け部
90 :固着具
91 :ネジ部材
92 :留め具
100 :洗浄装置
211 :第1孔部
212 :第2孔部
421 :貫通孔
511 :設置面
52 :外周壁
571 :第1取付部
572 :第2取付部
A :エアーコンディショナー
B :筐体
C :熱交換器
D :ブロワー
F :蓋部材
G :吸気口
H :吹出口
J :ステーボルト
M :設置区間
N1 :第1ノズル
N2 :第2ノズル
T1 :供給管
T2 :供給管
U :軸部材