(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】一酸化炭素、又は有機化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C25B 3/26 20210101AFI20221104BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20221104BHJP
C25B 3/03 20210101ALI20221104BHJP
C25B 3/07 20210101ALI20221104BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20221104BHJP
C25B 11/02 20210101ALI20221104BHJP
C25B 11/043 20210101ALI20221104BHJP
C25B 11/042 20210101ALI20221104BHJP
C25B 15/023 20210101ALI20221104BHJP
C25B 11/047 20210101ALI20221104BHJP
【FI】
C25B3/26
C25B1/23
C25B3/03
C25B3/07
C25B9/00 G
C25B9/00 Z
C25B11/02 301
C25B11/043
C25B11/042
C25B15/023
C25B11/047
(21)【出願番号】P 2022019162
(22)【出願日】2022-02-10
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2021021298
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021186458
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 琢也
(72)【発明者】
【氏名】公江 仁一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐太
(72)【発明者】
【氏名】小笹 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】野崎 紗矢
(72)【発明者】
【氏名】チョラプ山本 笙真
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 智弘
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭佳
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-045527(JP,A)
【文献】Efficient Electrocatalytic Reduction of Carbon Dioxide in 1-Ethyl-3-methylimidazolium Trifluoromethanesulfonate and Water Mixtures,Energy&Fuels,2018年
【文献】Improvement of Electrochemical Reduction of CO2 Using the Potential-Pulse Polarization Method,Electrochemistry,2020年08月18日
【文献】CO2 Electroreduction in Ionic Liquids,frontiers in Chemistry
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード電極と、カソード電極と、二酸化炭素を含む電解液とを有する電解還元装置において二酸化炭素を電解還元して、
有機化合物を得る、
有機化合物の製造方法であって、
前記有機化合物は、ブタン、アセトン、又は芳香族化合物であり、前記電解液は、イオン液体及び水を含み、前記アノード電極と前記カソード電極との間に印加する電位によって、二酸化炭素を、
ブタン、アセトン、又は芳香族化合物に選択的に還元する、
有機化合物の製造方法。
【請求項2】
前記イオン液体は、イミダゾリウム系イオン液体、芳香族系イオン液体、ピロリジニウム系イオン液体、アンモニウム系イオン液体、ピペリジニウム系イオン液体、又は四級ホスホニウム系イオン液体である、請求項
1に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項3】
前記イオン液体は、N,N-ジエチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、又はN,Nジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである、請求項
1又は2に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項4】
前記電解液は、添加剤を含む、請求項
1~3のいずれか1項に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項5】
前記添加剤は、支持電解質又は塩基性触媒を含む、請求項
4に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項6】
前記支持電解質は、KHCO
3、KHPO
4、LiBF
4、LiPF
6、LiClO
4、LiAsF
6、LiTf、LiTFSI、Li(CF
3SO
2)
2N、K
2CO
3、Li
2CO
3、Na
2CO
3、又はNaHCO
3である、請求項
5に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項7】
前記支持電解質は、KHCO
3である、請求項
5又は6に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項8】
前記イオン液体と、水及び支持電解質の合計の体積比は、1:99~99:1である、請求項
5~7のいずれか1項に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項9】
前記塩基性触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物である、請求項
5に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項10】
前記塩基性触媒は、Ca(OH)
2、LiOH、NaOH、KOH、又はCsOHである、請求項
5又は9に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項11】
前記電解還元装置は、さらに参照電極を含み、前記参照電極は、Ag
+/Ag電極であり、前記カソード電極の電位は、-5.0~-1.5Vである、請求項
1~10のいずれか1項に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項12】
前記電解液の温度は、0~100℃である、請求項
1~11のいずれか1項に記載の、有機化合物の製造方法。
【請求項13】
前記カソード電極は、平板電極である、請求項
1~12のいずれか1項に記載の、有機化合物の製造方法。
【請求項14】
前記アノード電極は、Pt、金属酸化物、グラッシーカーボン、又はボロンドープダイヤモンド電極であり、前記カソード電極は、Cu、Ag、Fe又はNi電極である、請求項
1~13のいずれか1項に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項15】
前記カソード電極は、Ag、Cu又はFe電極である、請求項
1~14のいずれか1項に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項16】
前記カソード電極は、Ag、Cu又はFe電極であり、前記アノード電極は、Pt電極である、請求項
1~15のいずれか1項に記載の、
有機化合物の製造方法。
【請求項17】
前記カソード電極の電位を変化させることにより、
ブタン、アセトン、又は芳香族化合物を選択的に生成する、請求項
1~16のいずれか1項に記載の、
有機化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一酸化炭素、又は有機化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球温暖化対策の一つとして、二酸化炭素を炭素資源として捉え、これを回収し、多様な炭素化合物として再利用するカーボンリサイクルに係る技術の開発が求められている。
【0003】
かかる技術として、無機電解質水溶液中の陽極と陰極間に電位をかけて二酸化炭素を電解還元して、低級の炭化水素、低級のアルコール、低級の有機酸などを得ることができることが報告されている(非特許文献1参照)。また、KHCO3水溶液中にバブリングによって二酸化炭素を溶存させた状態で、Cu電極をカソード電極、Pt電極をアノード電極として用い、二酸化炭素を電解還元することにより、メタンあるいはエチレンを得ることができることが報告されている(非特許文献2参照)。一方、予めハロゲン化第1銅で被覆されたCu電極をカソード電極として用い、二酸化炭素を電解還元することにより、エチレンを製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
KCl水溶液中にバブリングによって二酸化炭素を溶存させた状態で、マイクロ波プラズマCVD装置により作製したボロンドープダイヤモンド上に硫酸銅水溶液中Cuナノ粒子を電析させて得た「銅修飾ボロンドープダイヤモンド電極」をカソード電極とし、Pt電極をアノード電極として用い、二酸化炭素を電解還元することにより、エタノールとともにアセトン、アセトアルデヒドを得ることができることが報告されている(非特許文献3参照)。
【0005】
KHCO3水溶液中にバブリングによって二酸化炭素を溶存させた状態で、導電性カーボンとPVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)とN―メチル-2-ピロリドンとを混合しよく溶解・分散したスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、80℃、0.5mTorrで一夜真空乾燥し、「メソ細孔を有する窒素ドープカーボン触媒」(nitrogen-doped ordered mesoporous carbon、触媒の作製方法は省略)をナフィオン(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルスルホン酸の共重合体、Chemours社商標)のエタノール溶液に超音波分散させたものを塗布したものをカソード電極、Pt電極をアノード電極として用い、二酸化炭素を電解還元することにより、エタノールを得ることができることが報告されている(非特許文献4参照)。
【0006】
イミダゾリウム系イオン液体である1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートにバブリングによって二酸化炭素を溶存させた状態で、Au電極をカソード電極、Pt電極をアノード電極として用い、二酸化炭素を電解還元することにより、一酸化炭素を得ることができることが報告されている(非特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Yoshio Hori, Handbook of fuel cells : fundamentals technology and applications. Volume 2, Chapter 48, 720-733 (2010)
【文献】Y.Hori et al., Chem.Lett.15, 897-898(1986)
【文献】Jiwanti et al., Electrochim. Acta, 266, 414-419 (2018).
【文献】Y. Song et al., ChemSusChem, 13, 293-297(2020).
【文献】Yongchun Fu et al., ChemElectroChem, 5, 748-752(2018).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの方法では、水溶液の電解であるため、カソード電極で水素の発生が避けられず高い電流効率を長期間安定して維持する事が困難である。具体的には非特許文献2記載の方法では、メタン生成のファラデー効率は、電解液温度0℃で65%、また、エチレン生成のファラデー効率は、電解液温度40℃で20%に過ぎず、温度制御等複雑な操作を必要とする上、長時間にわたり電解を継続するとファラデー効率が低くなるため電極交換が必要となるなど操作が煩雑となるという課題がある。
【0010】
特許文献1記載の方法では、前処理された電極を用いることにより電解継続時間を若干延長出来ているが数時間に過ぎず、電極に複雑な前処理を必要とするため、やはり操作が煩雑となるという課題がある。
【0011】
非特許文献3記載の方法では、もともと高価なボロンドープカーボンをさらにCuナノ粒子で修飾することにより、アセトンの生成につき一時的に15%という高いファラデー効率を得ているものの、電極が非常に高価である上、経時的にCuナノ粒子が脱落するため、長時間高いファラデー効率を維持して電解を行う事は困難であるという課題がある。
【0012】
非特許文献4記載の方法では、複雑な工程を経て調製された精緻な細孔構造を有するカソード電極を用いることにより、エタノールの生成につき25時間にわたりおよそ78%という高いファラデー効率を得ているものの、電極触媒が高価である上、経時的に細孔構造は崩壊し、さらに触媒活性が低下し、長時間高いファラデー効率を維持して電解を行う事は困難であるという課題がある。
【0013】
非特許文献5記載の方法では、高価なAuをカソード電極に用いることにより、一酸化炭素の生成につき30分程度95%という高いファラデー効率を得ているものの、電極が非常に高価である上、また電極の表面状態の影響を強く受けるため、長時間高いファラデー効率を維持して電解を行う事は困難であるという課題がある。また、水溶液を含まない為、電解液抵抗が高く、電流密度が低く、そのため単位時間当たりの一酸化炭素生成量が少なく生産性が低いという課題がある。
【0014】
本開示は、低エネルギーで簡便に二酸化炭素を還元して、一酸化炭素、又は有機化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、下記の態様を含む。
[1] アノード電極と、カソード電極と、二酸化炭素を含む電解液とを有する電解還元装置において二酸化炭素を電解還元して、一酸化炭素又は有機化合物を得る、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法であって、前記アノード電極と前記カソード電極との間に印加する電位によって、二酸化炭素を、一酸化炭素又は特定の有機化合物に選択的に還元する、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[2] アノード電極と、カソード電極と、二酸化炭素を含む電解液とを有する電解還元装置において二酸化炭素を電解還元して、一酸化炭素又は有機化合物を得る、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法であって、前記電解液は、イオン液体を含む、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[3] 前記電解液は、さらに水を含む、上記[2]に記載の一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[4] 前記イオン液体は、イミダゾリウム系イオン液体、芳香族系イオン液体、ピロリジニウム系イオン液体、アンモニウム系イオン液体、ピペリジニウム系イオン液体、又は四級ホスホニウム系イオン液体である、上記[2]又は[3]に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[5] 前記イオン液体は、N,N-ジエチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、又はN,Nジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである、上記[2]~[4]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[6] 前記電解液は、添加剤を含む、上記[2]~[5]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[7] 前記添加剤は、支持電解質又は塩基性触媒を含む、上記[2]~[6]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[8] 前記支持電解質は、KHCO3、KHPO4、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiTf、LiTFSI、Li(CF3SO2)2N、K2CO3、Li2CO3、Na2CO3、又はNaHCO3である、上記[7]に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[9] 前記支持電解質は、KHCO3である、上記[7]又は[8]に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[10] 前記イオン液体と、水及び支持電解質の合計の体積比は、1:99~99:1である、上記[3]~[9]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[11] 前記塩基性触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物である、上記[7]に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[12] 前記塩基性触媒は、Ca(OH)2、LiOH、NaOH、KOH、又はCsOHである、上記[7]又は[8]に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[13] 前記電解還元装置は、さらに参照電極を含み、前記参照電極は、Ag+/Ag電極であり、前記カソード電極の電位は、-5.0~-1.5Vである、上記[2]~[12]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[14] 前記電解液の温度は、0~100℃である、上記[2]~[13]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[15] 前記カソード電極は、平板電極である、上記[1]~[14]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[16] 前記アノード電極は、Pt、金属酸化物、グラッシーカーボン、又はボロンドープダイヤモンド電極であり、前記カソード電極は、Cu、Ag、Fe又はNi電極である、上記[1]~[15]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[17] 前記カソード電極は、Ag、Cu又はFe電極である、上記[1]~[16]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[18] 前記カソード電極は、Ag、Cu又はFe電極であり、前記アノード電極は、Pt電極である、上記[1]~[17]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[19] 前記有機化合物は、炭化水素、又は、炭素、水素、及び酸素からなる有機化合物である、上記[1]~[18]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[20] 前記炭化水素は、C1-10炭化水素である、上記[19]に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[21] 前記炭素、水素、及び酸素からなる有機化合物は、エーテル、環状エーテル、アルコール、又はカルボニル化合物である、上記[19]に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[22] 前記カソード電極の電位を変化させることにより、一酸化炭素、又は所定の有機化合物を選択的に生成する、上記[2]~[21]のいずれか1項に記載の、一酸化炭素又は有機化合物の製造方法。
[23] アノード電極と、カソード電極と、二酸化炭素を含む電解液を収容する電解槽とを有し、電解還元により二酸化炭素から一酸化炭素又は有機化合物を製造するための、電解還元装置であって、前記アノード電極と前記カソード電極との間に印加する電位によって、二酸化炭素を、一酸化炭素又は特定の有機化合物に選択的に還元する、電解還元装置。
[24] 前記カソード電極は、Ag、Cu又はFe電極である、上記[22]に記載の電解還元装置。
[25] 二酸化炭素を、一酸化炭素に選択的に還元する、上記[22]又は[23]に記載の電解還元装置。
[26] 前記電解液において、水の含有量が5質量%以下である、上記[22]~[24]のいずれか1項に記載の電解還元装置。
[27] 前記電解液は、トリエチルペンチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである、上記[22]~[26]のいずれか1項に記載の電解還元装置。
[28] アノード電極と、カソード電極と、二酸化炭素を含む電解液とを有し、電解還元により二酸化炭素から、一酸化炭素又は有機化合物を製造するための、電解還元装置であって、前記電解液は、イオン液体及び水を含む、電解還元装置。
[29] 前記イオン液体は、イミダゾリウム系イオン液体、芳香族系イオン液体、ピロリジニウム系イオン液体、アンモニウム系イオン液体、ピペリジニウム系イオン液体、又は四級ホスホニウム系イオン液体である、上記[28]に記載の電解還元装置。
[30] 前記イオン液体は、N,N-ジエチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、又はN,Nジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである、上記[28]又は[29]に記載の電解還元装置。
[31] 前記電解液は、添加物を含む、上記[28]~[30]のいずれか1項に記載の電解還元装置。
[32] 前記添加剤は、支持電解質又は塩基性触媒を含む、上記[31]に記載の電解還元装置。
[33] 前記支持電解質は、KHCO3、KHPO4、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiTf、LiTFSI、Li(CF3SO2)2N、K2CO3、Li2CO3、Na2CO3、又はNaHCO3である、上記[32]に記載の電解還元装置。
[34] 前記支持電解質は、LiBF4である、上記[32]又は[33]に記載の電解還元装置。
[35] 前記イオン液体と、水及び支持電解質の合計の体積比は、75:25~25:75である、上記[28]~[34]のいずれか1項に記載の炭化水素の電解還元装置。
[36] 前記塩基性触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物である、上記[32]に記載の炭化水素の電解還元装置。
[37] 前記塩基性触媒は、Ca(OH)2、LiOH、KOH、NaOH、又はCsOHである、上記[36]に記載の炭化水素の電解還元装置。
[38] 前記カソード電極は、平板電極である、上記[28]~[37]のいずれか1項に記載の電解還元装置。
[39] 前記アノード電極は、Pt、金属酸化物、グラッシーカーボン、又はボロンドープダイヤモンド電極であり、前記カソード電極は、Cu、Ag、Fe又はNi電極である、上記[28]~[38]のいずれか1項に記載の電解還元装置。
[40] 前記カソード電極は、Ag、Cu又はFe電極である、上記[28]~[39]のいずれか1項に記載の電解還元装置。
[41] 前記カソード電極は、Ag、Cu又はFe電極であり、前記アノード電極は、Pt電極である、上記[28]~[40]のいずれか1項に記載の電解還元装置。
【発明の効果】
【0016】
本開示の電解還元方法によれば、低コストで効率よく二酸化炭素を還元して、一酸化炭素、又は有機化合物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実験に用いた実験装置を概略的に表す図である。
【
図2】電解液Aを用いて実施した電解還元時の二酸化炭素の還元挙動を説明するサイクリックボルタモグラムである。
【
図3】電解液Aを用いて実施した電解還元時に、カソード電極側で発生するガスのガスクロマトグラフィー分析で得たクロマトグラムを、標準ガスと対比して示す図である。
【
図4】電解液Bを用いて実施した電解還元時の二酸化炭素の還元挙動を説明するサイクリックボルタモグラムである。
【
図5】電解液Bを用いて実施した電解還元時に、カソード電極側で発生するガスのガスクロマトグラフィー分析で得たクロマトグラムを、標準ガスと対比して示す図である。
【
図6】電解液Bを用いてカソード電位を-2.3Vで実施した電解還元時に、カソード電極側で発生するガスのガスクロマトグラフィー分析で得たクロマトグラムを示す図である。
【
図7】電解液Bを用いてカソード電位を-2.5Vで実施した電解還元時に、カソード電極側で発生するガスのガスクロマトグラフィー分析で得たクロマトグラムを示す図である。
【
図8】電解液Bを用いてカソード電位を-2.7Vで実施した電解還元時に、カソード電極側で発生するガスのガスクロマトグラフィー分析で得たクロマトグラムを示す図である。
【
図9】電解液Cを用いてカソード電位を-2.1Vで実施した電解還元時に、カソード電極側で発生するガスのガスクロマトグラフィー分析で得たクロマトグラムを示す図である。
【
図10】電解液Cを用いてカソード電位を-2.3Vで実施した電解還元時に、カソード電極側で発生するガスのガスクロマトグラフィー分析で得たクロマトグラムを示す図である。
【
図11】電解液Cを用いてカソード電位を-2.5Vで実施した電解還元時に、カソード電極側で発生するガスのガスクロマトグラフィー分析で得たクロマトグラムを示す図である。
【
図12】電解液Cを用いてカソード電位を-2.7Vで実施した電解還元時に、カソード電極側で発生するガスのガスクロマトグラフィー分析で得たクロマトグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示について詳細に説明する。
【0019】
本開示は、アノード電極と、カソード電極と、二酸化炭素を含む電解液とを有する電解還元装置において二酸化炭素を電解還元して、一酸化炭素、又は有機化合物を製造する方法、及び、かかる電解還元装置を提供する。
【0020】
上記電解還元は、通常、電解槽にて行われる。かかる電解槽は、1室型、2室型、PEM型(固体高分子膜型)、フロー型、バイポーラ型のいずれであってもよい。
【0021】
上記電解還元方法に用いられる電解還元装置は、アノード電極と、カソード電極と、二酸化炭素を含む電解液とを有する。上記アノード電極とカソード電極は、少なくとも一部が上記電解液に接触するように配置される。かかる装置において、上記アノード電極とカソード電極の間に電位を印加することにより、上記カソード電極において二酸化炭素が有機化合物に還元され、電流が流れる。
【0022】
上記アノード電極としては、特に限定されないが、例えば、Pt、導電性金属酸化物、グラッシーカーボン、ボロンドープダイヤモンド等の電極が挙げられる。導電性金属酸化物電極としては、例えば、ITO電極と呼ばれるインジウムとスズの混合酸化物をガラス上に製膜した透明導電性電極や、DSA電極(デノラ・ペルメレック電極株式会社商標)と呼ばれるルテニウム、イリジウム等の白金族の金属の酸化物をチタン等の基材上に成膜した電極等が使用できる。
【0023】
好ましい態様において、上記アノード電極は、Pt電極であり得る。アノード電極としてPt電極を用いることにより、電解還元の効率が向上し、長期間にわたって安定な電解還元が可能になる。
【0024】
上記カソード電極としては、特に限定されないが、例えば、Ag、Cu、Ni、Pb、Hg、Tl、Bi、In、Sn、Cd、Au、Zn、Pd、Ga、Ge、Ni、Fe、Pt、Pd、Ru、Ti、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、及びZr、ならびにこれらの合金の電極、及びグラッシーカーボン、熱分解グラファイト、プラスチックフォームドカーボン、導電性ダイヤモンド等のカーボン材料の電極が挙げられる。
【0025】
好ましい態様において、上記カソード電極は、Cu、Ag又はFe電極、より好ましくはCu電極であり得る。カソード電極としてCu電極を用いることにより、電解還元の効率が向上し、より少ないエネルギーで目的とする、一酸化炭素又は有機化合物の製造が可能になる。
【0026】
より好ましい態様において、上記アノード電極は、Pt電極であり、上記カソード電極は、Cu、Ag又はFe電極であり得る。アノード電極としてPt電極を、カソード電極としてCu電極を用いることにより、電解還元の効率が向上し、より少ないエネルギーで目的とする、一酸化炭素又は有機化合物の製造が可能になる。
【0027】
一の態様において、上記カソード電極は、Cu電極である。
【0028】
別の態様において、上記カソード電極は、Ag電極である。
【0029】
別の態様において、上記カソード電極は、Fe電極である。
【0030】
好ましい態様において、上記アノード電極及び/又は上記カソード電極は、板状電極である。好ましくは、上記カソード電極は、板状電極であり、より好ましくはアノード電極及びカソード電極の両方は、板状電極である。
【0031】
一の態様において、上記電解液は、イオン液体を含む。
【0032】
一の態様において、上記電解液の水の含有量は、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特には実質的に0質量%であり得る。電解質中の水の含有量を上記のように少なくすることにより、電解質中の水の蒸発による組成変化を抑制することができ、長期にわたってメンテナンスを行わずに電解を継続することができる。
【0033】
別の態様において、上記電解液は、少なくともイオン液体及び水を含む。上記電解液がイオン液体及び水を含むことにより、陰極表面上で水と二酸化炭素が同時に電解還元され、外部より水素ガスを供給することなく有機化合物の生成が効率的に進行する。ここに、上記イオン液体とは、融点が100℃以下の塩、すなわちカチオン部とアニオン部からなるイオン性物質を意味する。
【0034】
上記イオン液体は、好ましくは、具体的には100℃以下の、好ましくは40℃以下、さらに好ましくは20℃以下の融点を有するイオン液体であり得る。100℃以下の融点を有するイオン液体を用いることにより、常温で効率よく電解還元することが可能になり、電解還元時に電解液の加熱が不要になる。また、融点が低いイオン液体は、粘度が低く、導電率(イオン伝導率)が高いため、同じ電流値で電解した場合の電解電圧を低く出来るため、単位時間あたりの生産量およびエネルギー効率を上げることが出来る。
【0035】
ここで、上記イオン液体は、具体的には、25℃において1000mPa・s以下、好ましくは300mPa・s以下、さらに好ましくは300mPa・s以下の粘度を有するイオン液体であり得る。また、上記イオン液体は、具体的には、25℃において0.1mS・s-1以上、好ましくは1mS・s-1以上、さらに好ましくは10mS・s-1以上の粘度を有するイオン液体であり得る。
【0036】
上記イオン液体は、広い電位窓、すなわち高い耐酸化還元性を有する事が望ましい。本製造方法におけるアノード電極における酸素発生反応、カソード電極における二酸化炭素および水の還元反応に対して安定なイオン液体を使用する事によって長時間、効率良く電解還元を実施する事ができる。耐酸化還元性は、サイクリックボルタンメトリー法により評価され、電位窓、すなわち実質的に電流が流れない電位範囲で規定出来る。具体的には、還元側の電位窓が銀/塩化銀参照電極基準で(以下同様)―2V以下、好ましくは―2.5V以下、さらに好ましくは3V以下であるイオン液体であり得る。酸化側の電位窓は、具体的には2V以上、好ましくは2.5V以上のイオン液体であり得る。電位窓を超える範囲で電解を実施した場合はイオン液体が分解し、長期間電解を継続する事は困難という問題があるが、陰極電位は電解液組成、目的生成物により最適設定値が異なるため、その最適設定値において二酸化炭素を導入せず、アルゴン雰囲気で通電し、実質的に電流が流れないイオン液体であれば良い。
上記観点から目的生成物や運転条件等を鑑みて融点、粘度、導電率(イオン伝導率)、電位窓の観点から適宜イオン液体を選択すれば良く、イオン液体の種類は特に例示しているものに限定されるものではない。
【0037】
上記イオン液体は、二酸化炭素の溶解度が高いことが望ましい。二酸化炭素の溶解度が高いイオン液体を用いることによって、より効率の高い電解還元を実施する事ができる。
【0038】
上記イオン液体としては、例えば、イミダゾリウム系イオン液体、芳香族系イオン液体、ピロリジニウム系イオン液体、アンモニウム系イオン液体、ピペリジニウム系イオン液体、四級ホスホニウム系イオン液体等が挙げられる。
【0039】
上記イミダゾリウム系イオン液体としては、特に限定されないが、ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C1C6Im-NTf2)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C1C4Im―NTf2)、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C1C1C6Im―NTf2)、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C1C1C4Im-NTf2)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C1C2Im]―NTf2)、1-ノニル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C1C8Im―NTf2)、1-ノニル-2,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C1C1C8Im―NTf2)、1-プロピル-2,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C1C1C3Im―NTf2)、1-エチル-3-ビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EVIm―NTf2)、1,2-ジメチル-1-プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DMPI-TFSI)、1,2-ジメチル-1-プロピルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DMPI-Me)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMI-BF4)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド(EMI-Cl)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI-TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス((パーフルオロエチル)スルホニル)イミド(EMI-BETI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート(EMI-TfO)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート(EMI-TA)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム2.3フッ化水素(EMI-F(HF)2.3)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(EMI-PF6)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMI-BF4)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート(BMI-TA)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(BMI-PF6)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BMI-TFSI)、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(C8MI-TFSI)、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(C8MI-TFSI)、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DMPI-TFSI)、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムビスメチド(DMPI-Me)等が挙げられる。
【0040】
上記芳香族系イオン液体としては、特に限定されないが、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(MDI-TFSI)等が挙げられる。
【0041】
上記アンモニウム系イオン液体としては、特に限定されないが、例えば、N,N-ジエチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート(DEME-BF4)、トリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TMPA-(CF3SO2)2N)、テトラエチルアンモニウム2,2,2-トリフルオロ-N-(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド(TEA―CF3CO)(CF3SO2)N)、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DEME-TFSI)、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEME―NTF2)、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(DEME―FSI)等が挙げられる。
【0042】
上記ピロリジウム系イオン液体としては、特に限定されないが、例えば、N-メチル-N-プロピルピロリニジウムヘキサフルオロホスフェート(P13―PF6)、N-メチル-N-プロピルピロリニジウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(P13―TFSI)、N-メチル-N-プロピルピロリニジウムビス(フルオロスルホニル)イミド(P13-FSI)、N-メチル-N-メチルピロリニジウムビス(フルオロスルホニル)イミド(P14-FSI)等が挙げられる。
【0043】
上記ピペリジニウム系イオン液体としては、特に限定されないが、例えば、N-プロピル-N-メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド([PMPip](CF3SO2)2N)等が挙げられる。
【0044】
上記四級ホスホニウム系イオン液体としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルペンチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(P2225TFSI)、トリエチルオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(P2228-TFSI)、トリブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(P4441-TFSI)、トリエチルメトキシメチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(P222(1O1)-TFSI)等が挙げられる。
【0045】
好ましい態様において、上記イオン液体は、N,N-ジエチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート(DEME-BF4)、又はN,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DEME-TFSI)であり得る。上記イオン液体として、DEME-BF4又はDEME-TFSIを用いることにより、電解還元が、より長時間にわたり効率的に進行する。
【0046】
上記イオン液体は、1種のみで用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0047】
一の態様において、上記電解液は、イオン液体及び水から成る。
【0048】
上記電解液における、上記イオン液体と水の体積比は、好ましくは1:99~99:1、より好ましくは5:95~95:5、さらに好ましくは75:25~25:75、さらにより好ましくは70:30~30:70、特に好ましくは60:40~40:60であり得る。上記イオン液体と水の体積比を、上記の範囲にすることにより、電解還元が、より効率的に進行する。
【0049】
別の態様において、上記電解液は、イオン液体及び水に加え、添加物を含み得る。
【0050】
上記添加物としては、電解液の電気伝導度を上げる効果のある支持電解質、塩基性触媒、電解液への二酸化炭素の溶解度を上げる効果のある添加物等が挙げられる。
【0051】
一の態様において、上記電解液は、イオン液体、水及び支持電解質から成る。イオン液体、水及び支持電解質から成る電解液を用いることにより、電解還元が、低い槽電圧で長時間にわたり安定的、かつ、効率的に進行する。
【0052】
上記支持電解質は、特に限定されないが、二酸化炭素の電解還元、あるいはH2Oの電解還元を妨げないくらいに卑な、もしくは同等の標準電極電位を有するカチオンを含むものが好ましい。
【0053】
上記支持電解質としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられ、例示するとLiHCO3、NaHCO3、KHCO3、CsHCO3、KCl、KClO4、K2SO3、KHPO4、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiTf、LiTFSI、Li(CF3SO2)2N、K2CO3、Li2CO3、Na2CO3等が挙げられる。
【0054】
好ましい態様において、上記支持電解質は、KHCO3であり得る。上記支持電解質として、KHCO3を用いることにより、電解還元が、より効率的に進行する。
【0055】
上記支持電解質は、1種のみで用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
好ましい態様において、上記イオン液体と支持電解質の組み合わせは、DEME-BF4とKHCO3の組み合わせであり得る。
【0057】
上記支持電解質は、好ましくは水溶液として添加される。かかる水溶液の濃度は、好ましくは0.01~10mol/L、より好ましくは0.01~5.0mol/L、さらに好ましくは0.05~0.5mol/Lであり得る。支持電解質の水溶液の濃度を上記の範囲にすることにより、電解還元が、より効率的に進行する。
【0058】
上記電解液における、上記イオン液体と、水及び支持電解質(即ち、支持電解質の水溶液)の体積比は、好ましくは75:25~25:75、より好ましくは70:30~30:70、さらに好ましくは60:40~40:60であり得る。上記イオン液体と、水及び支持電解質の体積比を、上記の範囲にすることにより、電解還元が、より効率的に進行する。
【0059】
一の態様において、上記電解液は、イオン液体、水及び塩基性触媒質から成る。イオン液体、水及び塩基性触媒から成る電解液を用いることにより、電解還元が、効率的に進行する。
【0060】
上記塩基性触媒としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられ、具体的には、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH、Be(OH)2、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、及びBa(OH)2が挙げられる。
【0061】
好ましい態様において、上記塩基性触媒は、Ca(OH)2、LiOH、NaOH、KOH、又はCsOHであり得る。上記塩基性触媒として、Ca(OH)2、LiOH、NaOH、KOH、又はCsOHを用いることにより、電解還元が、より効率的に進行する。また、塩基性触媒は電解液への二酸化炭素の溶解度を上げる効果があるため、電解還元が、より効率的に進行する。
【0062】
上記電解液における塩基性触媒の含有量は、上記イオン液体及び水の合計100モル部に対して、好ましくは1.0×10-4~5.0モル部、より好ましくは1.0×10-3~1.0モル部、さらに好ましくは5.0×10-3~0.1モル部であり得る。上記塩基性触媒の含有量を、上記の範囲にすることにより、電解還元が、より効率的に進行する。
【0063】
一の態様において、上記電解質は、イオン液体を含み、水の含有量が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特には実質的に0質量%であり得る。水の含有量が多すぎると水の電解還元による水素発生が主反応となり、目的生成物の収量が著しく減少するという問題があり、水の含有量が少なすぎると電解液の抵抗値が上がるため全生成物の収量が減少する上、分子中に水素を含む有機化合物の収量も低下する。このため、最適な水の含有量を維持する必要がある。
【0064】
一の態様において、上記電解質は、上記添加物を含まない。
【0065】
一の態様において、上記電解質は、イオン液体を含み、水の含有量が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特には実質的に0質量%であり、上記添加物を含まない。
【0066】
上記電解液中の二酸化炭素の濃度は、特に限定されないが、高濃度であることが好ましく、例えば飽和濃度であり得る。
【0067】
二酸化炭素を電解液に溶存させる方法としては、特に限定されないが、例えば、電解液への二酸化炭素のバブリング、電解液を含む電解槽内の二酸化炭素を飽和状態にする方法、撹拌装置による撹拌、超音波照射による撹拌、フロー電解セルの使用等が挙げられる。
【0068】
本開示の電解還元方法において、二酸化炭素は、他のガスと併用してもよい。併用ガスとしては、アルゴン、窒素、水素、水蒸気などが挙げられる。
【0069】
電解還元を行う際の電解液の温度は、好ましくは0~100℃、より好ましくは0~80℃、さらに好ましくは10~50℃、さらにより好ましくは20~40℃であり得る。電解液の温度が室温付近の場合は、電解液の加熱装置および冷凍機を伴う冷却装置を設ける必要が無く、装置および運転コストを低く抑えることが出来る。また、40~100℃の温度範囲の場合は、簡易な加熱装置が必要になるが、加熱により電解液の粘度が低く出来、そのため伝導率(イオン伝導率)を高く出来るため、電解電圧を低く出来、単位時間あたりの生産量を上げることが出来る。本開示の電解還元方法においては、電解液の温度を上記のような温度範囲に設定した場合であっても、電解還元が効率的に進行し、エネルギーコストを低減することができる。
【0070】
電解還元を行う際の圧力は、好ましくは大気圧~0.5MPa、例えば0.1MPa~0.5MPa、より好ましくは0.1MPa~0.3MPa、さらに好ましくは0.1MPa~0.2MPaであり得る。本開示の電解還元方法においては、加圧をしない、あるいは小さな加圧であっても、電解還元が効率的に進行し、エネルギーコストを低減することができる。
【0071】
電解還元を行う際のカソード電極の電位は、好ましくは-5.0V~-1.5V、より好ましくは-5.0V~-2.0V、さらに好ましくは-4.0V~-2.0V、さらにより好ましくは-3.0V~-2.0V、特に好ましくは-2.7V~-2.3Vであり得る。なお、かかる電位は、Ag+/Ag電極を参照電極としたときの電位である。上記カソード電極の電位を、上記の範囲にすることにより、電解還元が、より効率的に進行し、目的とする化合物を収率良く得ることができる。
【0072】
本開示の電解還元方法により、二酸化炭素は還元され、一酸化炭素、又は有機化合物が得られる。
【0073】
上記有機化合物としては、例えば、炭化水素、及び、炭素、水素、及び酸素からなる有機化合物が挙げられる。
【0074】
上記炭化水素は、好ましくは炭素数が1~10の炭化水素、より好ましくは炭素数が1~6の炭化水素、さらに好ましくは炭素数が1~3の炭化水素であり得る。上記炭化水素は、鎖状であっても、環状であってもよく、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、飽和であっても、不飽和であってもよい。一の態様において、上記炭化水素は、鎖状である。別の態様において、上記炭化水素は、環状である。
【0075】
好ましい態様において、上記鎖状の炭化水素は、メタン、エタン、エチレン、プロパン又はプロペンであり得る。
【0076】
好ましい態様において、上記環状の炭化水素は、脂環式化合物であっても、芳香族化合物であってもよく、具体的には、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ベンゼン、トルエン、又はキシレンであり、特に好ましくはトルエンであり得る。
【0077】
上記炭素、水素、及び酸素からなる有機化合物は、例えばエーテル、環状エーテル、アルコール、及びカルボニル化合物であり得る。
【0078】
一の好ましい態様において、上記炭素、水素、及び酸素からなる有機化合物は、炭素数1~3の炭化水素基(好ましくは、メチル基)を有するオキセタノン、アセトン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドであり得る。
【0079】
一の好ましい態様において、上記炭素、水素、及び酸素からなる有機化合物は、アルコール、好ましくは炭素数が1~10のアルコール、より好ましくは炭素数が1~6のアルコール、さらに好ましくは炭素数が1~3のアルコールであり得る。
【0080】
一の態様において、本開示の電解還元方法により、二酸化炭素は還元され、一酸化炭素が得られる。従来の一酸化炭素の製造においては、金属ナノ粒子等を用いた特殊で高価な電極材料が用いられていた。本開示の方法によれば、このような高価な電極材料を用いることなく、安価な銅板、又は銀板をそのまま使用した場合であっても、高価な電極材料に匹敵するファラデー効率が得られるため、長時間メンテナンスを行うことなく電解を継続できる。また、メンテナンス費用を含めたトータルコストを、低減することができる。本開示の電解還元方法において、水溶液を含まないイオン液体を電解液に用いた場合も二酸化炭素は還元され、一酸化炭素が得られる。水溶液を含まない場合は、電解液抵抗が高いため、生成物全体の収量が低下するが、適切なイオン液体、例えばトリエチルペンチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いる事により収量の低下を最小限に抑えつつ、水の蒸発による組成変化の影響を受けず、長時間メンテナンスを行うことなく電解を継続できる。また、電解液の組成維持のための装置を設ける必要が無く、小型で安価な二酸化炭素分解装置を実現する事が出来る。
【0081】
別の態様において、本開示の電解還元方法により、二酸化炭素は還元され、アルコール、好ましくはエタノールが得られる。従来の方法では、「メソ細孔を有する窒素ドープカーボン触媒」(nitrogen-doped ordered mesoporous carbon)のような特殊で高価な電極材料が用いられていた。本開示の方法によれば、このような高価な電極材料を用いることなく、安価な銀板をそのまま使用した場合であっても、高価な電極材料に匹敵するファラデー効率が得られるため、長時間メンテナンスを行うことなく電解を継続できる。また、メンテナンス費用を含めたトータルコストを、低減することができる。
【0082】
本開示の電解還元方法では、アノード電極とカソード電極との間に印加する電位を調整することにより、二酸化炭素を所定の有機化合物に選択的に電解還元することができる。例えば、ある電位を印加することによりメタンを得、別の電位を印加することによりエタンを得ることができる。
【0083】
従って、本開示は、アノード電極と、カソード電極と、二酸化炭素を含む電解液と、を有する電解還元装置において二酸化炭素を電解還元する方法であって、上記アノード電極と上記カソード電極との間に印加する電位によって、一酸化炭素又は所定の有機化合物に選択的に電解還元しうる電解還元方法をも提供する。
【0084】
例えば、カソード電極としてCu電極を、アノード電極としてPt電極を、電解液としてDEME-BF4及びKHCO3水溶液の混合物を用いて、アノード電極と上記カソード電極との間に、約-2.3Vを印加することによりメタンを得、約-2.5Vを印加することによりプロペンを得、約-2.7Vを印加することによりエタン及びエチレンを選択的に得ることができる。
【0085】
上記したように本開示の二酸化炭素の電解還元により、一酸化炭素、又は有機化合物を得る方法においては、二酸化炭素を有機化合物に還元する効率、例えばファラデー効率が高い。本開示の方法における電解還元のファラデー効率は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上であり得る。
【0086】
本開示の方法では、高温での処理、複雑な電極形態、他の触媒などが不要であることから、耐久性の面でも有利である。例えば、本開示の二酸化炭素を電解還元して、一酸化炭素、又は有機化合物を得る、一酸化炭素、又は有機化合物の製造方法は、好ましくは100時間以上、より好ましくは150時間以上稼働した場合であっても、還元効率の低下が抑制される。
【0087】
以上、本発明について説明したが、本発明は上記に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【実施例】
【0088】
以下、本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0089】
図1に、本実施例で用いた実験装置の概略を示す。かかる実験装置は、電解槽1と、二酸化炭素の供給管2と、カソード電極である作用極WEと、アノード電極である対極CEと、参照電極REと、排気管3を備えている。電解槽1は、槽本体11と、槽本体11の上部開口を閉じる蓋12を備えている。上記作用極WEは、平板電極であり、ガラス製の隔壁に納められ、Ni製の導線4に接続されている。上記対極CEは、Pt板電極であり、Ni製の導線4に接続されている。上記参照電極REは、Ag
+/Ag電極であり、Ni製の導線4に接続されている。給気管2は、上部がY字に第1分岐管部21と第2分岐管部22の2つに分岐し、両分岐管部21、22が、蓋12の上部から突出している。給気管2は、上記分岐管部の他端に拡径した円筒状の拡径部23を有する。電解槽1中には、電解液7が存在し、上記作用極WE、対極CE、及び参照電極RE、並びに拡径部23が、電解液7に浸かった状態で固定されている。尚、電解液は、特に断りの無い限り25±2℃で用いた。
【0090】
(実施例1)
イオン液体としてのDEME-BF
4と、KHCO
3水溶液(0.1mol/L)とを体積比で1:1となるように混合して、電解液Aを得た。得られた電解液Aを、
図1に示すように、各電極WE、RE及びCE、並びに拡径部23が電解液Aに浸かる高さまで、電解槽1の槽本体11内に加えた。作用極WEとしては、Cu板電極を用いた。蓋12で電解槽1を封じて、作用極WE、参照電極RE、及び対極CEをポテンショスタット/ガルバノスタット装置(バイオロジック社製)に接続した。
第1分岐管部21に接続された二酸化炭素供給管(図示せず)を介して給気管2内に0.1MPaのガス圧で二酸化炭素を30分間供給し、給気管2の下端から電解槽1内の電解液Aに二酸化炭素をバブリングした。次いで、サイクリックボルタンメトリーにより、走査速度10mV/sで、作用極WEと対極CE間に電位を印加して電流密度を測定することにより、二酸化炭素の還元挙動を観察した。
【0091】
(比較例1)
二酸化炭素の代わりにArを用いること以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0092】
(比較例2)
電解液Aの代わりにDEME-BF4を用いること以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0093】
実施例1及び比較例1及び2の結果を、
図2のグラフに示す。グラフ中、実線が実施例1の結果であり、破線が比較例1の結果であり、点線が比較例2の結果である。
図2から、二酸化炭素の電解還元がDEME-BF
4の電位窓の間で進行することが確認された。具体的には、電解液がDEME-BF
4のみの比較例2における還元電流の立ち上がりが-2.9V付近であるのに対し、KHCO
3水溶液と混合した電解液Aを用いて二酸化炭素を導入した実施例1では-2.0V付近から還元電流が流れだした。また、二酸化炭素の代わりにArを用いた比較例1においても-2.0V付近から還元電流が流れだした。この結果は、H
2Oの還元による水素発生を示しており、本発明における炭化水素ガスの水素源として使用されると考えられる。したがって、二酸化炭素の電解還元による炭化水素ガスの形成が、DEME-BF
4の還元分解の影響を受けずに進行することがわかる。
【0094】
(実施例2)
(実験1)
実施例1と同様にして、二酸化炭素を電解槽1内の電解液Aにバブリングしたのち、カソード電位を-2.1Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第2分岐管部22のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。
【0095】
(実験2)
カソード電位を-2.8Vの定電圧状態にした以外は、実験1と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験1と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。
【0096】
図3に、上記実験1及び2のガスクロマトグラフィー分析で得られたクロマトグラムと、参照ガスである水素、二酸化炭素、エチレンガスのクロマトグラムとを対比して示す。
図3に示されるように、カソード電位が-2.1Vである実験1では、水素及び二酸化炭素のピークと同じ位置にピークが見られた。一方、カソード電位が-2.8Vである実験2では、水素及び二酸化炭素のピークと同じ位置のピークに加え、エチレンガスと同じ位置にピークが見られた。これらの結果から、上記電解液Aを用いる電解還元において、印加する電位を調整することにより、エチレンを高効率で選択的に得ることができることが確認された。
【0097】
(実施例3)
イオン液体としてのDEME-BF4と、KHCO3水溶液(0.1mol/L)とを容量比で50:11となるように混合して、電解液Bを得た。得られた電解液Bを実施例1と同様にして電解槽1に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、サイクリックボルタンメトリーにより、走査速度10mV/sで、作用極WEと対極CE間に電位を印加して電流密度を測定することにより、二酸化炭素の還元挙動を観察した。
【0098】
(比較例3)
二酸化炭素の代わりにArを用いること以外は、実施例4と同様に操作を行った。
【0099】
実施例3及び比較例3の結果を、
図4のグラフに示す。グラフ中、実線が実施例3の結果であり、破線が比較例3の結果である。
図4から、二酸化炭素の電解還元は、電解液B中においても、-2.0V付近より卑な電位にて進行することが確認された。この電位は、実施例1と同様に、DEME-BF
4の還元分解の影響を受けずに二酸化炭素の還元が進行することを示している。
【0100】
(実施例4)
(実験3)
実施例3と同様にして、二酸化炭素を電解槽1内の電解液Bにバブリングしたのち、カソード電位を-1.9Vの定電圧状態にして60分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。
【0101】
(実験4)
カソード電位を-2.1Vの定電圧状態にした以外は、実験3と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験3と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。
【0102】
(実験5)
カソード電位を-2.5Vの定電圧状態にした以外は、実験3と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験3と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。
【0103】
(実験6)
カソード電位を-2.8Vの定電圧状態にした以外は、実験3と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験3と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。
【0104】
(実験7)
カソード電位を-3.1Vの定電圧状態にした以外は、実験3と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験3と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。
【0105】
上記実験3~7のガスクロマトグラフィー分析で得られたクロマトグラムと、参照ガスである水素、二酸化炭素、エチレンガスのクロマトグラムとを対比して
図5に示した。
図5に示されるように、カソード電位が-1.9V、-2.1V、-2.5V及び-3.1Vである実験3、4、5及び7では、水素及び二酸化炭素のピークと同じピークが見られた。一方、カソード電位が-2.8Vである実験6では、水素及び二酸化炭素のピークと同じピークに加え、エチレンガスと同じ位置にピークが見られた。これらの結果から、上記電解液Bを用いる電解還元において、印加する電位を調整することにより、エチレンを高効率で選択的に得ることができることが確認された。
【0106】
(実施例5)
(実験8)
実施例1と同様にして、二酸化炭素を電解槽1内の電解液Aにバブリングしたのち、カソード電位を-2.3Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。得られたガスクロマトグラムを
図6に示す。
【0107】
(実験9)
カソード電位を-2.5Vの定電圧状態にした以外は、実験8と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験8と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。得られたガスクロマトグラムを
図7に示す。
【0108】
(実験10)
カソード電位を-2.7Vの定電圧状態にした以外は、実験8と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験8と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。得られたガスクロマトグラムを
図8に示す。
【0109】
上記実験8~10のガスクロマトグラフィー分析で得られたクロマトグラム
図6~8と、参照ガスである水素、二酸化炭素、メタンガス、エタンガス、エチレンガス及びプロペンガスのクロマトグラムとを対比した。その結果、カソード電位が-2.3Vである実験8では、水素及び二酸化炭素のピークと同じピークに加え、メタンガスと同じ位置にピークが見られた。カソード電位が-2.5Vである実験9では、水素及び二酸化炭素のピークと同じピークに加え、プロペンガスと同じ位置にピークが見られた。カソード電位が-2.7Vである実験10では、水素及び二酸化炭素のピークと同じピークに加え、エタンガス及びエチレンガスと同じ位置にピークが見られた。これらの結果から、上記電解液Aを用いる電解還元において、印加する電位を調整することにより、メタン、エタン、エチレン及びプロペンを高効率で選択的に得ることができることが確認された。
【0110】
(実施例6)
(実験11)
イオン液体としてのDEME-BF
4と、水とを容量比で50:50となるように混合して、電解液Cを得た。得られた電解液Cを実施例1と同様にして電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-2.1Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。得られたガスクロマトグラムを
図9に示す。
【0111】
(実験12)
カソード電位を-2.3Vの定電圧状態にした以外は、実験11と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験11と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。得られたガスクロマトグラムを
図10に示す。
【0112】
(実験13)
カソード電位を-2.5Vの定電圧状態にした以外は、実験11と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験11と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。得られたガスクロマトグラムを
図11に示す。
【0113】
(実験14)
カソード電位を-2.7Vの定電圧状態にした以外は、実験11と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験11と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。得られたガスクロマトグラムを
図12に示す。
【0114】
上記実験11~14のガスクロマトグラフィー分析で得られたクロマトグラムと、参照ガスである水素、二酸化炭素、メタンガス、エタンガス、及び4-メチル-2-オキセタノンガスのクロマトグラムとを対比した。その結果、カソード電位が-2.1V、-2.5V及び-2.7Vである実験11、13、及び14では、水素及び二酸化炭素のピークと同じピークが見られた。一方、カソード電位が-2.5Vである実験12では、水素及び二酸化炭素のピークと同じピークに加え、メタンガス、エタンガス、及び4-メチル-2-オキセタノンガスと同じ位置にピークが見られた。これらの結果から、上記電解液Cを用いる電解還元において、印加する電位を調整することにより、メタン、エタン、及び4-メチル-2-オキセタノンを高効率で選択的に得ることができることが確認された。
【0115】
(実施例7)
(実験15)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、Ca(OH)2とをモル比で2.0:1.0:1.8×10-4となるように混合して、電解液Dを得た。得られた電解液Dを実施例1と同様にして、作用極WEとしてCu板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-2.05Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0116】
ファラデー効率eは、以下のようにして算出できる。
まず、GC-MS分析から得られるピークの合計面積と検量線とから、回収したガスに含まれる有機化合物の体積割合を算出する。次いで、回収容器内の気相が占める体積と、算出されたガスに占める有機化合物の体積割合とから、有機化合物の生成体積を算出する。最後に、発生した有機化合物は標準状態にあったとして、下記の数式により、ファラデー効率e(%)を算出する。
【数1】
【0117】
(実験16)
カソード電位を-2.85Vの定電圧状態にした以外は、実験15と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験15と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0118】
(実験17)
カソード電位を-2.55Vの定電圧状態にし、作用極WEとしてFe板電極を用いた以外は、実験15と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験15と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0119】
(実験18)
カソード電位を-2.50Vの定電圧状態にし、作用極WEとしてAg板電極を用いた以外は、実験15と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験15と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0120】
(実施例8)
(実験19)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、Ca(OH)2とをモル比で1.0:2.0:1.8×10-4となるように混合して、電解液Eを得た。得られた電解液Eを実施例1と同様にして、作用極WEとしてCu板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-1.80Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0121】
(実施例9)
(実験20)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、KOHとをモル比で2:1:0.001となるように混合して、電解液Fを得た。得られた電解液Fを実施例1と同様にして、作用極WEとしてCu板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-1.76Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0122】
(実験21)
カソード電位を-2.16Vの定電圧状態にした以外は、実験20と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験20と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0123】
(実施例10)
(実験22)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、CsOHとをモル比で2.0:1.0:3.7×10-3となるように混合して、電解液Gを得た。得られた電解液Gを実施例1と同様にして、作用極WEとしてAg板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-2.55Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0124】
(実施例11)
(実験23)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水とをモル比で10:1となるように混合して、電解液Hを得た。得られた電解液Hを実施例1と同様にして、作用極WEとしてCu板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-1.85Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0125】
(実験24)
カソード電位を-2.45Vの定電圧状態にした以外は、実験23と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験23と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0126】
(実施例12)
(実験25)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水とをモル比で20:1となるように混合して、電解液Iを得た。得られた電解液Iを実施例1と同様にして、作用極WEとしてCu板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-1.96Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表1に示す。
【0127】
【0128】
(実施例13)
(実験26)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、CsOHとをモル比で10:1.0:4.0×10-4となるように混合して、電解液Jを得た。得られた電解液Jを実施例1と同様にして、作用極WEとしてAg板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-2.65Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0129】
(実施例14)
(実験27)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、NaOHとをモル比で2.0:1.0:1.8×10-4となるように混合して、電解液Kを得た。得られた電解液Kを実施例1と同様にして、作用極WEとしてAg板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-3.00Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0130】
(実施例15)
(実験28)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、CsOHとをモル比で1.0:2.0:7.5×10-4となるように混合して、電解液Lを得た。得られた電解液Lを実施例1と同様にして、作用極WEとしてCu板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-2.00Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0131】
(実施例16)
(実験29)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、CsOHとをモル比で10:1.0:4.2×10-4となるように混合して、電解液Mを得た。得られた電解液Mを実施例1と同様にして、作用極WEとしてAg板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-1.95Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0132】
(実施例17)
(実験30)
カソード電位を-2.75Vの定電圧状態にした以外は、実験29と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験29と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0133】
(実施例18)
(実験31)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、NaOHとをモル比で2.1:2.0:2.0×10-3となるように混合して、電解液Nを得た。得られた電解液Nを実施例1と同様にして、作用極WEとしてAg板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-2.80Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0134】
(実施例19)
(実験32)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、LiOHとをモル比で2.0:1.0:4.0×10-3となるように混合して、電解液Oを得た。得られた電解液Oを実施例1と同様にして、作用極WEとしてAg板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-2.40Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0135】
(実施例20)
(実験33)
カソード電位を-3.05Vの定電圧状態にした以外は、実験32と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験32と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0136】
(実施例21)
(実験34)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、Ca(OH)2とをモル比で2.0:1.0:2.0×10-4となるように混合して、電解液Pを得た。得られた電解液Pを実施例1と同様にして、作用極WEとしてCu板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-2.70Vの定電圧状態にして30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0137】
(実施例22)
(実験35)
イオン液体としてのDEME-BF4と、水と、Ca(OH)2とをモル比で2.0:1.0:2.0×10-4となるように混合して、電解液Pを得た。得られた電解液Pを実施例1と同様にして、作用極WEとしてAg板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-2.60Vの定電圧状態にして80℃で30分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0138】
(実施例23)
(実験36)
カソード電位を-3.05Vの定電圧状態にした以外は、実験35と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験35と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0139】
(実施例24)
(実験37)
イオン液体としてのP2225TFSI(トリエチルペンチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)をそのまま電解液Qとした。電解液Qを実施例1と同様にして、作用極WEとしてAg板電極を用いる電解装置の電解槽に加え、二酸化炭素をバブリングした。次いで、カソード電位を-3.20Vの定電圧状態にして60分間、電解を行った。電解終了後、第1分岐管部21のゴム栓5から第1分岐管部21内にシリンジ6の針をさし入れて給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0140】
(実施例25)
(実験38)
カソード電位を-2.85Vの定電圧状態にした以外は、実験37と同様にして、電解を行った。電解終了後、実験37と同様に給気管2内のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィー分析(キャリアガス:窒素)を行った。分析結果を、下記表2に示す。
【0141】
【産業上の利用可能性】
【0142】
本開示の電解還元方法は、地球温暖化などの原因となる二酸化炭素を、有用な一酸化炭素や有機化合物等に変換することができることから、種々の分野、特に環境分野において有用である。
【符号の説明】
【0143】
1…電解槽
2…ガス供給管
3…排気管
4…導線
5…ゴム栓
6…シリンジ
7…電解液
11…槽本体
12…蓋
21…第1分岐管部
22…第2分岐管部
23…拡径部