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特許7169609人工筋肉、人工筋肉セット及び動作補助具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】人工筋肉、人工筋肉セット及び動作補助具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/50 20060101AFI20221104BHJP
   F15B 15/10 20060101ALI20221104BHJP
   A61F 2/08 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A61F2/50
F15B15/10 H
A61F2/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018207636
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020069340
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】592127965
【氏名又は名称】NKE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 翔太
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-153663(JP,A)
【文献】特開2005-006490(JP,A)
【文献】国際公開第2007/058327(WO,A1)
【文献】特開2009-011818(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0129988(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/50
F15B 15/10
B25J 19/00
A61H 3/00
A61F 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるM(Mは2以上の自然数)本の人工筋肉筋を有する人工筋肉において、
前記M本の人工筋肉筋は、弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるN(NはMより小さい自然数)本のチューブを前記人工筋肉筋の一端側で折り返して構成され、
前記チューブの折返部分の中心軸の直径は、前記チューブにおける前記人工筋肉筋に相当する部分の外径に対して、2.3倍以上である
人工筋肉。
【請求項2】
弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるM(Mは2以上の自然数)本の人工筋肉筋と、
平行に並べて配した状態の前記M本の人工筋肉筋の一端側を固定する固定具と
を備え、
前記M本の人工筋肉筋は、弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるN(NはMより小さい自然数)本のチューブを前記人工筋肉筋の一端側で折り返して構成され、
前記固定具は前記チューブの折返部分を固定し、
前記チューブの折返部分の中心軸の直径は、前記チューブにおける前記人工筋肉筋に相当する部分の外径に対して、2.3倍以上である
人工筋肉セット。
【請求項3】
前記固定具は、前記チューブの中心軸と前記M本の人工筋肉筋の並設方向とに直交し且つ前記チューブの折返部分に対向する対向面と、前記対向面から折返部側に突出する位置決め部とを有し、
前記折返部分は前記位置決め部の外周に沿って旋回するように配され、
前記チューブの中心軸と前記M本の人工筋肉筋の並設方向とに直交する方向から前記固定具を見たときに、前記位置決め部の半径が、前記チューブにおける前記人工筋肉筋に相当する部分の外径の0.65倍以上である
請求項2に記載の人工筋肉セット。
【請求項4】
前記折返部分は、平行に配された前記M本の人工筋肉筋が並ぶ方向に隣接する他の折返部分と近接又は接触している
請求項2又は3に記載の人工筋肉セット。
【請求項5】
使用者の腰回りに装着される腰ベルト部を備えた動作補助具であって、
前記腰ベルト部は請求項2~4の何れか1項に記載の人工筋肉セットを有する
動作補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、M本の人工筋肉筋を並設してなる人工筋肉、人工筋肉セット及び動作補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人工筋肉として、「弾性チューブと前記弾性チューブの外側に設けられる組紐チューブとを備えた複数本の人工筋肉により形成されるアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体の端部に装着される外側筒体と、前記外側筒体の内部に設けられ、前記弾性チューブと前記組紐チューブとを接着し、かつ前記第外側筒体と前記人工筋肉とを接着する接着部と、を有するアクチュエータ」が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-153663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、複数本の人工筋肉のそれぞれが外側筒体に接着剤で固定するため、組み立てが面倒であるという課題がある。
本発明が解決しようとする課題は、組み立てが容易な人工筋肉及びそれを用いた動作補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る人工筋肉は、弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるM(Mは2以上の自然数)本の人工筋肉筋を有する人工筋肉において、前記M本の人工筋肉筋は、弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるN(NはMより小さい自然数)本のチューブを前記人工筋肉筋の一端側で折り返して構成され、前記チューブの折返部分の中心軸の直径は、前記チューブにおける前記人工筋肉筋に相当する部分の外径に対して、2.3倍以上である。
本発明の一態様に係る人工筋肉セットは、弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるM(Mは2以上の自然数)本の人工筋肉筋と、平行に並べて配した状態の前記M本の人工筋肉筋の一端側を固定する固定具とを備え、前記M本の人工筋肉筋は、弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるN(NはMより小さい自然数)本のチューブを前記人工筋肉筋の一端側で折り返して構成され、前記固定具は前記チューブの折返部分を固定し、前記チューブの折返部分の中心軸の直径は、前記チューブにおける前記人工筋肉筋に相当する部分の外径に対して、2.3倍以上である。
本発明の一態様に係る動作補助具は、使用者の腰回りに装着される腰ベルト部を備えた動作補助具であって、
前記腰ベルト部は上記に記載の人工筋肉セットを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、チューブを折り返して利用するため、組み立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る動作補助具(コルセット)の概略図である。
図2】(a)は人工筋肉セットの斜視図であり、(b)は、カバー体を本体から外した状態の一方の固定具側の拡大斜視図である。
図3】カバー体を本体から外した状態の一方の固定具側の拡大平面図である。
図4】分解状態の固定具を示す斜視図である。
図5】変形例に係る動作補助具(スーツ)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
本発明の一態様に係る人工筋肉は、弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるM(Mは2以上の自然数)本の人工筋肉筋を有する人工筋肉において、前記M本の人工筋肉筋は、弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるN(NはMより小さい自然数)本のチューブを前記人工筋肉筋の一端側で折り返して構成され、前記チューブの折返部分の中心軸の直径は、前記チューブにおける前記人工筋肉筋に相当する部分の外径に対して、2.3倍以上である。チューブを折り返しているため、組み立てが容易となる。N本のチューブによりM本の人工筋肉筋を構成するため、弾性チューブへの編組スリーブの被覆が効率よく行える。チューブの折返部分の中心軸の直径は、チューブにおける前記人工筋肉筋に相当する部分の外径に対して、2.3倍以上であるため、圧縮空気を流入させる際の折返部分の圧縮空気の流動抵抗を抑えることができる。
【0009】
本発明の一態様に係る人工筋肉セットは、弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるM(Mは2以上の自然数)本の人工筋肉筋と、平行に並べて配した状態の前記M本の人工筋肉筋の一端側を固定する固定具とを備え、前記M本の人工筋肉筋は、弾性チューブに編組スリーブを被覆してなるN(NはMより小さい自然数)本のチューブを前記人工筋肉筋の一端側で折り返して構成され、前記固定具は前記チューブの折返部分を固定し、前記チューブの折返部分の中心軸の直径は、前記チューブにおける前記人工筋肉筋に相当する部分の外径に対して、2.3倍以上である。チューブを折り返しているため、組み立てが容易となる。N本のチューブによりM本の人工筋肉筋を構成するため、弾性チューブへの編組スリーブの被覆が効率よく行える。チューブの折返部分の中心軸の直径は、チューブにおける前記人工筋肉筋に相当する部分の外径に対して、2.3倍以上であるため、圧縮空気を流入させる際の折返部分の圧縮空気の流動抵抗を抑えることができる。
【0010】
本発明の別態様に係る人工筋肉セットにおいて、前記固定具は、前記チューブの中心軸と前記M本の人工筋肉筋の並設方向とに直交し且つ前記チューブの折返部分に対向する対向面と、前記対向面から折返部側に突出する位置決め部とを有し、前記折返部分は前記位置決め部の外周に沿って旋回するように配され、前記チューブの中心軸と前記M本の人工筋肉筋の並設方向とに直交する方向から前記固定具を見たときに、前記位置決め部の半径が、前記チューブにおける前記人工筋肉筋に相当する部分の外径の0.65倍以上である。これにより、圧縮空気を流入させる際の折返部分の圧縮空気の流動抵抗を抑えることができる。
本発明の別態様に係る人工筋肉セットにおいて、前記折返部分は、前記並設方向に隣接する他の折返部分と近接又は接触している。これにより、並設方向の寸法を小さくできる。
【0011】
<実施形態>
動作補助具の一例としてコルセット及び人工筋肉セットについて図面を参照しながら説明する。
【0012】
1.全体
概要
主に、図1を用いて説明する。
コルセット100は、使用者の腰回りに装着される腰ベルト部101と、腹回りに装着される腹ベルト部102,103と、人工筋肉セット30とを有する。腰ベルト部101の表面に、2つの人工筋肉セット30が取り付けられている。
以下、人工筋肉セット30について説明する。
【0013】
2.人工筋肉セット
主に、図2を用いて説明する。
人工筋肉セット30は、人工筋肉10と、人工筋肉10を固定する固定具20とを備える。ここでは、人工筋肉10の両端が固定されており、人工筋肉セット30は2個の固定具20を備える。
人工筋肉10は、M本(Mは、2以上の自然数)の人工筋肉筋11を並設してなる。ここでは、M=10であり、10本の人工筋肉筋11を10列に並設している。換言すると、10本の人工筋肉筋11の中心軸が同一平面内に位置し且つ10本の人工筋肉筋11の中心軸の端が1本の仮想線上に位置する状態で、人工筋肉筋11が配されている。
【0014】
(1)人工筋肉
主に図3を用いて説明する。
人工筋肉10は、N(Mより小さい自然数)本のチューブ1によりM本の人工筋肉筋11を構成してなる。ここでは、M=10、N=1である。つまり、10本の人工筋肉筋11は、1本のチューブ1を折り返して構成されている。チューブ1は、内部に圧縮空気が流入される弾性体チューブと、弾性体チューブの外周面を覆う編組スリーブとを備える。
なお、人工筋肉筋11も、内部に圧縮空気が流入される弾性体チューブと、弾性体チューブの外周面を覆う編組スリーブとから構成される。言うまでもなく、チューブ1を構成する弾性体チューブ及び編組スリーブは、当該チューブ1により構成される人工筋肉筋11の弾性体チューブ及び編組スリーブと同じ構成である。
【0015】
(1-1)チューブ
チューブ1は、図2に示すように長さ方向の一端側(1a)が固定具20から導出され、他端が固定具20で閉塞されている(図示省略)。チューブ1の一端側(1a)には、チューブ1の内部に圧縮空気を流入させるためのプラグが取付けられている。なお、プラグには、図外の圧縮空気を流入させるポンプと接続されたソケットが着脱自在に装着される。
チューブ1は、10本の人工筋肉筋11の全長の合計より長く構成され、人工筋肉筋11に相当する10個の筋肉筋部(11)と、チューブ1の長さ方向に隣接する筋肉筋部(11)間に存在し且つ固定具20により固定される9個の固定部13とを有する。なお、人工筋肉筋11は、チューブ1の筋肉筋部(11)であるため、筋肉筋部も人工筋肉筋11と同じ符号(11)を用いる。
チューブ1は、10個の筋肉筋部11の中心軸が略平行になるように、折り返されている。つまり、チューブ1の固定部13は、図3の拡大図に示すように、折返部分13Bと、一対の筋肉筋部11と折返部分13Bの各端部を連結する連結部分13Aとから構成される。なお、一対の連結部分13A及び折返部分13Bは固定具20内に配されている。なお、筋肉筋部11の中心軸が延伸する方向を長手方向とし、10個の筋肉筋部11が並ぶ方向を並設方向とする。
【0016】
ここでの連結部分13Aの中心軸は筋肉筋部11の中心軸の直線延長線に対して並設方向に湾曲している。なお、連結部分13Aは、チューブ1の固定具20への固定の際に湾曲することもあるし、予め湾曲させておいて固定具20にセットしてもよい。
折返部分13Bは、長手方向と並設方向に直交する方向から見る(つまり、図3である)と、半円状に折り返されている。ここでの半円状には、折返部分13Bの中心軸が円弧状に湾曲し、その円弧の中心Oと円弧の周方向の端部を結ぶ2本の仮想線B,Cの間の角度(この角度を「円弧角」とする)が、160~280度の範囲内にある形状をいう。
折返部分13Bの円弧角は180度よりも大きい260度である。これにより、折返部分13Bを含む固定部13の並設方向の寸法Eが、当該固定部13に連設する2つの筋肉筋部11の並設方向の外寸法Fよりも大きくなる。
【0017】
半円状の折返部分13Bの中心軸(不図示)の直径D1は、筋肉筋部11の外径D2に対して、2.3倍以上に構成されている。これにより、人工筋肉10内に圧縮空気を流入させた際の折返部分13Bの影響を小さくできる。つまり、圧縮空気の流動抵抗を抑えることができる。
折返部分13Bの中心軸の直径D1は、筋肉筋部11の外径D2に対して、2.3倍以下に構成されている。これにより、固定部13の並設方向の寸法を小さくできる。つまり、圧縮空気の流動抵抗を抑えつつ小型化できる。なお、小型化の要請がない場合は、折返部分13Bの中心軸の直径D1は、筋肉筋部11の外径D2に対して、2.3倍以上であってもよい。なお、折返部分13Bの形状は、後述の固定具20の位置決め部24の形状で規定される。
ここでの固定部13の折返部分13Bは、並設方向に隣接する他の折返部分13Bと近接又は接触している。なお、接触する場合、圧縮空気の流動特性に影響が出ない程度に当接している。これにより固定部13の並設方向の寸法を小さくできる。
【0018】
(1-2)弾性チューブ
弾性体チューブは、外径4mm以下の細径であり、好ましくは2~4mmである。このように細径の弾性体チューブを使用することにより、動作補助具(例えば、コルセットやスーツ)に使用する場合の嵩張りを抑えることができる。また、人工筋肉筋11の1本当りの収縮を、低圧、小空気量で行うことができる。
また、弾性体チューブは、硬度30度以下且つ肉厚(厚さ)が外径の1/6以下のものが好ましく、特に好ましくは硬度10度以下且つ肉厚が外径の1/8以下である。肉厚(厚さ)は具体的には、0.5mm以下が好ましく、特に好ましくは0.2~0.5mmである。このように、柔軟な弾性体チューブを使用することにより、動作補助具(例えば、コルセットやスーツ)にフィットしやすくでき、嵩張らず使用者の動作をスムーズに行うことができる。弾性体チューブは、外径4mm以下の細径であるが、0.5MPa程度までの圧縮空気に耐えることができる。
【0019】
(1-3)編組スリーブ
編組スリーブは、例えばナイロン繊維等の繊維をスリーブ状に編みこんだ構造である。編組スリーブにおける繊維の編組角度は、20~30度が好ましい。なお、編組角度は、編組スリーブの筒軸(中心軸)と繊維との間の角度である。編組スリーブにおける繊維同士の間隔は0.5~0.8mmが好ましい。
【0020】
(2)固定具
主に図4を用いて説明する。
固定具20は、図1に示すように、人工筋肉10を腰ベルト部101の両端の上下の被係止部104に固定するために使用される。ここでは、固定具20の係止部23が被係止部104に固定される。
固定具20は本体21とカバー体25とを備える。
【0021】
(2-1)本体
本体21は、チューブ1の固定部13を収容する収容部22とC字状の係止部23とを有する。
収容部22は、人工筋肉筋11の並設方向に長い矩形状をし、厚み方向の一方側から凹入する凹入部分22aと、凹入部分22aを構成し且つ他方の固定具20側と対向する壁部21aに並設方向に間隔を置いて形成された溝部分22bとを有する。
凹入部分22aには主に折返部分13Bが配され、溝部分22bには連結部分13Aが配される。なお、凹入部分22aの底面(本発明の対向面の一例に相当する)は略平坦状をし、溝部分22bは、長手方向から見たとき(他方の固定具側から一方の固定具を見たとき)、厚み方向の一方側が開放する「U」字状をしている。
【0022】
本体21は、収容部22に収容される固定部13を位置決めする位置決め部24を有している。位置決め部24は、収容される固定部13に対応して、溝部分22b間に位置する壁部21aと凹入部分22aの底面とに跨って一方側に突出する凸部分により構成されている。
位置決め部24は、厚み方向の一方側から本体21を見たときに、凹入部分22aにおける人工筋肉筋11の長手方向の略中央から他方の固定具20が存在する側と反対側に半円状に膨出する半円状部分24aと、半円状部分24aにおける他方の固定具20が存在する側に先細り状の延伸する延伸部分24bとからなる。半円状部分24aは、チューブ1の折返部分13Bの形状に対応し、円弧角が180度よりも大きくなっている。半円状部分24aの外周の直径(外径)は、筋肉筋部11の外径D2に対して、1.3倍以上に構成されている。つまり、半円状部分24aの外周の半径は、筋肉筋部11の外径D2に対して、0.65倍以上に構成されている。チューブ1の折返部分13Bは位置決め部24の外周に沿って旋回するように固定具20内に配される。
なお、位置決め部24は、並設方向に設けられた溝部分22bの間の壁部であって並設方向に1個間隔をあけた壁部に連結するように設けられている。
【0023】
(2-2)カバー体
カバー体25は、本体21の収容部22を被覆する被覆部26と、被覆部26における並設方向の端部に設けられた固定部27とを有する。被覆部26は、例えば、並設方向に長い矩形状部分26aと、溝部分22bを覆うように他方の固定具20側の矩形状部分26aの長辺から他方の固定具20側に張り出す張出部分26bとを有している。
固定部27は被覆部26(矩形状部分26a)の端部から厚み方向に延伸する延伸板部27aと、延伸板部27aの内面に設けられ且つ本体21の被係止部21bに係止する係止部分とを有する。これにより、カバー体25を本体21に着脱可能に装着できる。
【0024】
(3)組み立て
以下、チューブ1の固定具20への固定について、その一例を説明する。
まず、固定具20を用意して、本体21からカバー体25を取り外して、凹入部分22aを露出させる。
1本のチューブ1を、筋肉筋部11の長さを確保しつつ、固定具20の本体21の一対の溝部分22bの一方の溝部分22bから導入して、位置決め部24の外周を経由して、他方の溝部分22bから導出させて、位置決めする。この位置決めを固定部13の個数分を2個の固定具20に対して繰り返す。位置決めがすべて完了すると、位置決め状態を維持して、カバー体25を本体21に装着する。
このように、1本のチューブ1を固定具20の位置決め部24に沿って配するだけで複数本の人工筋肉筋11を配置でき、容易に組み立てすることができる。
また、チューブ1の固定部13の一対の連結部分13Aが溝部分22bに、折返部分13Bが位置決め部24の外周に沿うように、それぞれ配されるため、チューブ1の半円状の折返部分13Bの中心軸の外径D1は、筋肉筋部11の外径D2に対して、2.3倍以上とすることができる。
【0025】
<変形例>
以上、一実施形態に係る動作補助具について説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例とを組み合わせたものでもよいし、変形例同士を組み合わせたものでもよい。また、実施形態や変形例に記載していない例や要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0026】
1.動作保持具
実施形態では、主に腰回りに使用するコルセット100について説明したが、肩専用、腕専用、脚専用等のコルセットとして使用することもできる。
実施形態では動作補助具としてコルセットについて説明したが、人工筋肉セット30は、他の動作補助具としても利用できる。以下、動作補助具の一例としてスーツ200について、図5を用いて説明する。
スーツ200は、使用者400の腰回りに装着される腰ベルト部201と、肩回りに装着される肩ベルト部202,203と、脚回りに装着される脚ベルト部204,205と、人工筋肉セット30とを有する。
第1実施形態のコルセット100では、人工筋肉10は腰ベルト部101の長手方向に沿って、すなわち使用者400の腰部から腹部方向に沿って設置したが、第2実施形態のスーツ200では、人工筋肉10は腰ベルト部201の幅方向に沿って、すなわち使用者400の腰部から肩部方向に沿って設置している。
第1実施形態のコルセット100では、腹部から腰部方向にアシスト力が働くが、第2実施形態のスーツ200では、肩部から腰部方向及び脚部から腰部方向にアシスト力が働く。
【0027】
動作補助具は人工筋肉を用いて使用者の動作を補助するものであれば特に限定はなく、コルセットやスーツに限定されるものではなく、リハビリに使用することもできる。また、筋力トレーニング用の補助具としても利用することができる。但し、この場合、動作補助具における人工筋肉の収縮のタイミングが異なる。
人工筋肉セット30は着脱自在に係合していたが、人工筋肉セットをコルセットやスーツに縫い付けて一体化してもよい。また、人工筋肉セット30は着脱自在のため、他の動作補助具と共通して使用できるようにしてもよい。実施形態においては、2つの人工筋肉セット30を使用したが、数に限定はなく、1つもしくは3つ以上であってもよい。
【0028】
2.人口筋肉セット
(1)チューブ
実施形態では1本のチューブ1を用いて10本の人工筋肉筋11を構成していたが、例えば、2本のチューブを用いて10本の人工筋肉筋11を構成してもよい。つまり、M本の人工筋肉筋を、M本よりも本数が小さいN本のチューブを用いて構成すればよい。これにより、全本数の人工筋肉筋の両端を固定具に固定する場合に比べて、効率よく人工筋肉筋の両端を固定具に固定できる。
チューブを複数本でM本の人工筋肉筋を構成する場合、複数本のチューブの仕様を同じにしてもよいし、異なるようにしてもよい。
例えば、チューブを3本利用し、それぞれ弾性チューブの特性(特に弾性率)を変えて徐々に膨張率が上がるように(人工筋肉筋として収縮が大きくなるように)構成してもよいし、弾性チューブの外径を変えてもよい。
実施形態では、1本のチューブを利用し、(M-1)個の折り返し部を有するようにしたが、1本のチューブで2個の人工筋肉筋部と1個の折り返し部(固定部)とを有するように構成してもよい。この場合も、全本数の人工筋肉筋の両端を固定具に固定する場合に比べて、効率よく人工筋肉筋の両端を固定具に固定できる。
【0029】
(2)人工筋肉
実施形態の人工筋肉10では、10本の人工筋肉筋11を1列(1段)に並設したが、2段以上の多段に並設してもよい。実施形態では、10本の人工筋肉筋11を1本のチューブ1で構成しているため、弾性体チューブの外径が同じであったが、編組スリーブは異なっていてもよい。この場合、編組スリーブは1本の人工筋肉筋11の略同じ長さを有する必要がある。但し、弾性体チューブの外径は4mm以下が好ましい。
人工筋肉10は固定具20で動作補助具に固定させたが、固定手段は限定されるものでない。また、固定具20は人工筋肉10の両端に設けたが、固定具20の取付け場所、取付個数等は、実施形態に限定されるものではない。
実施形態では圧縮空気について説明したが、気体に限らず、オイル等の液体等であってもよい。
【0030】
(3)固定具
実施形態の固定具20は、チューブ1の固定部13を固定具の位置決め部24に沿うように配し、カバー体25を本体21に装着することで、チューブ1を固定している。しかしながら、例えば、固定具20の本体21の凹入部分22aに固定部13を固着する接着剤を配してもよい。
位置決め部24は溝部分22bが形成されている壁部21aと連結するように設けられているが、壁部21aから独立して底面から柱状に突出するように設けられてもよい。この場合も、柱状の直径(外寸法)は人工筋肉筋の外径の1.3倍以上が好ましい。
位置決め部24は本体21に設けられていたが、例えば、カバー体に設けられてもよいし、位置決め部を別部材で構成し、本体に着脱自在に設けるようにしてもよい。このような例としては、位置決め体を本体の底面の嵌合部に嵌合させる構造がある。この場合、位置決め部を有しない構造の他の固定具と兼用できる場合がある。
【符号の説明】
【0031】
1 チューブ
10 人工筋肉
11 筋肉筋部(人工筋肉筋)
13 固定部
13B 折返部分
20 固定具
30 人工筋肉セット
100 コルセット(動作補助具)
200 スーツ(動作補助具)
図1
図2
図3
図4
図5