(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 75/36 20060101AFI20221104BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20221104BHJP
B65D 27/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
B65D75/36
B65D1/26
B65D27/00 Z
(21)【出願番号】P 2018187002
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】592233141
【氏名又は名称】株式会社ラヤマパック
(74)【代理人】
【識別番号】100142734
【氏名又は名称】安 裕 希
(72)【発明者】
【氏名】羅山 能弘
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-073114(JP,U)
【文献】特開2016-108029(JP,A)
【文献】特開平04-006035(JP,A)
【文献】特開2005-153896(JP,A)
【文献】特開2013-075668(JP,A)
【文献】特開2002-337933(JP,A)
【文献】実公昭49-035619(JP,Y1)
【文献】特開2002-120480(JP,A)
【文献】特開2002-127653(JP,A)
【文献】実開昭58-157672(JP,U)
【文献】実開平03-026591(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
B65D 27/00
B65D 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納可能な凹状をなす収納部と、該収納部の開口端面の周囲に設けられた鍔部と、前記開口端面を囲むように前記鍔部に設けられた溝部又は凸部と、を有する収納ケース部と、
前記鍔部の周囲のうちの一部の領域に折り曲げ可能に接続された蓋部であって、当該蓋部を前記収納ケース部に対して前記開口端面側に折り曲げた際に少なくとも前記開口端面を覆う蓋領域と、該蓋領域の周囲に設けられ、当該蓋部を前記収納ケース部に対して前記開口端面側に折り曲げた際に前記溝部又は前記凸部と嵌合可能な凸部又は溝部と、を有する蓋部と、
前記鍔部の周囲のうち前記一部の領域とは異なる領域に折り曲げ可能に接続された枠部であって、前記蓋部及び当該枠部を前記収納ケース部に対してこの順に前記開口端面側に折り曲げた際に前記蓋部の一部を露出させる開口が形成された枠部と、
を備える包装材。
【請求項2】
前記収納ケース部、前記蓋部、及び、前記枠部の各々は、樹脂材料によって形成されている、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記収納ケース部、前記蓋部、及び、前記枠部は、同一の樹脂材料により一体的に形成されている、請求項2に記載の包装材。
【請求項4】
前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部は、形状及び大きさが互いに同一の外周形状を有し、前記蓋部及び前記枠部を前記収納ケース部に対してこの順に前記開口端面側に折り曲げた際に、前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部の外周が互いに重なる、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項5】
前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部は、矩形の外周形状を有する、請求項4に記載の包装材。
【請求項6】
前記蓋部は、前記鍔部の外周のうちの1辺に接続され、
前記枠部は、前記鍔部の外周のうち前記蓋部と対向する辺に接続されている、
請求項5に記載の包装材。
【請求項7】
前記枠部に形成された前記開口は、前記蓋部及び前記枠部を前記収納ケース部に対してこの順に前記開口端面側に折り曲げた際に、前記蓋部が有する前記凸部又は前記溝部よりも内周側となる領域に形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項8】
前記鍔部の外周のうち、前記蓋部及び前記枠部が接続されている領域以外の領域に、前記鍔部に対して折り曲げ可能に設けられたフラップが設けられている、請求項1~7のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項9】
前記フラップに、端部から突出する舌部が形成され、
前記枠部に、前記舌部を挿入可能な第2の開口が形成されている、請求項8に記載の包装材。
【請求項10】
前記蓋部の外周のうち、前記収納ケース部と接続されている領域以外の領域に、前記蓋部に対して折り曲げ可能に設けられたフラップであって、端部から突出する舌部が形成されたフラップが設けられ、
前記枠部に、前記舌部を挿入可能な第2の開口が形成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項11】
コの字状をなし、前記蓋部及び前記枠部をこの順に折り曲げて前記収納ケース部の前記開口端面側の面に重ねた状態で、前記鍔部、前記蓋部、及び前記枠部の周縁部を挿入可能なスライド溝が形成された枠体と、
前記枠体を前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部の周縁部に固定する固定具と、
をさらに備える請求項1~7のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項12】
前記収納ケース部と、前記蓋部と、前記枠部と、を備える包装材本体を封止するクリップをさらに備え、
前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部の各々の周縁部のうち、前記蓋部及び前記枠部をこの順に折り曲げることにより前記包装材本体を折り畳んだ際に互いに一致する領域に、第
3の開口が形成され、
前記クリップは、
互いに対向し、折り畳んだ状態の前記包装材本体の周縁部を保持可能な空間を介して配置された第1及び第2のクリップ部と、
前記第1及び第2のクリップ部の基端側を互いに連結する連結部と、
を備え、
前記第1及び第2のクリップ部は、前記第
3の開口に収容可能な2つの突出部であって、重ねられた状態の前記鍔部、前記蓋部、及び前記枠部が通過可能な隙間を開けて互いに対向するように配置された2つの突出部をそれぞれ有し、
前記空間に面する前記第1及び第2のクリップ部の端面のうち、前記2つの突出部よりも先端側の領域は、先端に向かうほど間隔が広くなるように傾斜しており、
前記2つの突出部の前記第1及び第2のクリップ部の基端側の端面は、前記包装材本体を当該クリップに差し込む方向に対して直交又は鋭角的に交わっている、
請求項1~10のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項13】
前記収納ケース部と、前記蓋部と、前記枠部と、を備える包装材本体を封止するロック機構をさらに備え、
前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部の各々の周縁部のうち、前記蓋部及び前記枠部をこの順に折り曲げることにより前記包装材本体を折り畳んだ際に互いに一致する領域に、第
3の開口が形成され、
前記ロック機構は、
折り畳んだ状態の前記包装材本体の周縁部が差し込まれる平板状の空間と、該平板状の空間を貫く向きの貫通孔と、が形成された本体部と、
前記貫通孔に挿通可能な挿入部と、該挿入部の基端側に設けられたつまみ部と、を有する鍵部と、
を有し、
前記貫通孔の1つの方向における幅は、前記第
3の開口の前記1つの方向における幅よりも
大きく、
前記挿入部の一部に、折り畳んだ状態の前記包装材本体の周縁部を前記平板状の空間に挿入し、前記貫通孔の位置に前記第
3の開口の位置を合わせた場合に、前記貫通孔の1つの内周面から突出する前記包装材本体の部分を収容可能な空間が形成され、
前記挿入部の先端部のうち、当該挿入部を前記貫通孔に挿入した場合に、前記貫通孔の内周面から前記包装材本体の部分が突出する側の面に、
先端に向かって側面の幅が狭くなる傾斜面又は湾曲面が形成されている、
請求項1~10のいずれか1項に記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を包装する包装材に関し、特に、物品を包装してそのまま郵送することができる郵送用の包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を包装し、定型外郵便物として郵送することができる種々の包装材が知られている。例えば特許文献1には、郵便物の一部を形成する第1シート部と、窓状の切り抜き部を有して第1シート部に重ね合わされて郵便物として閉じられる第2シート部との間に固定され、上記切り抜き部から突出する郵便物用突出ケースであって、内部に空間を、その周囲に鍔部を有するカップと、上記カップの内部空間を閉じるための蓋体と、上記蓋体とカップとを係合させる係合手段とを備える郵便物用突出ケースが開示されている。特許文献1においては、第1シート部と第2シート部との間に郵便物用突出ケースを固定して一体化させたものを郵便物として郵送する方式となっている。
【0003】
特許文献2には、容器入り情報記憶媒体より大なる面積を有する方形の第1~第3領域が、この順序で折曲線を介して連続してなる包装紙を備える容器入り情報記憶媒体郵送ケースが開示されている。特許文献2においては、郵送ケース全体を厚紙によって形成し、郵送ケースの表側面に宛名などを直接記入して郵送する方式となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-329867号公報
【文献】実用新案第3058718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1においては、郵便物用突出ケースと、これを保持するシート部とが別体となっているため、物品を収納して郵便物として差し出せる状態にする工程が面倒である。
【0006】
上記特許文献2においては、郵送ケースの蓋となる第3領域に設けられた差込片を、郵送ケースの本体側に設けられた差し込み口に差し込むことで郵送ケースを封じるので、蓋と本体側との間に隙間が生じることがある。そのため、郵送ケースが水濡れした場合に、隙間から水が浸入してしまい、防水性が不十分となるおそれがある。また、郵送ケースに細々とした物品を収納した場合、内容物が隙間から漏れ出てしまうおそれも考えられる。さらに、特許文献2においては、郵送ケースの表側面に宛名などを直接記入する方式であるため、当該郵送ケースは1回の使い切りとなる。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、物品を隙間なく収納して郵便物として簡単に差し出すことができ、且つ、繰り返し使用することもできる包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様である収納ケースは、物品を収納可能な凹状をなす収納部と、該収納部の開口端面の周囲に設けられた鍔部と、前記開口端面を囲むように前記鍔部に設けられた溝部又は凸部と、を有する収納ケース部と、前記鍔部の周囲のうちの一部の領域に折り曲げ可能に接続された蓋部であって、当該蓋部を前記収納ケース部に対して前記開口端面側に折り曲げた際に少なくとも前記開口端面を覆う蓋領域と、該蓋領域の周囲に設けられ、当該蓋部を前記収納ケース部に対して前記開口端面側に折り曲げた際に前記溝部又は前記凸部と嵌合可能な凸部又は溝部と、を有する蓋部と、前記鍔部の周囲のうち前記一部の領域とは異なる領域に折り曲げ可能に接続された枠部であって、前記蓋部及び当該枠部を前記収納ケース部に対してこの順に前記開口端面側に折り曲げた際に前記蓋部の一部を露出させる開口が形成された枠部と、を備えるものである。
【0009】
上記包装材において、前記収納ケース部、前記蓋部、及び、前記枠部の各々は、樹脂材料によって形成されていても良い。
【0010】
上記包装材において、前記収納ケース部、前記蓋部、及び、前記枠部は、同一の樹脂材料により一体的に形成されていても良い。
【0011】
上記包装材において、前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部は、形状及び大きさが互いに同一の外周形状を有し、前記蓋部及び前記枠部を前記収納ケース部に対してこの順に前記開口端面側に折り曲げた際に、前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部の外周が互いに重なっても良い。
【0012】
上記包装材において、前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部は、矩形の外周形状を有しても良い。
【0013】
上記包装材において、前記蓋部は、前記鍔部の外周のうちの1辺に接続され、前記枠部は、前記鍔部の外周のうち前記蓋部と対向する辺に接続されていても良い。
【0014】
上記包装材において、前記枠部に形成された前記開口は、前記蓋部及び前記枠部を前記収納ケース部に対してこの順に前記開口端面側に折り曲げた際に、前記蓋部が有する前記凸部又は前記溝部よりも内周側となる領域に形成されていても良い。
【0015】
上記包装材において、前記鍔部の外周のうち、前記蓋部及び前記枠部が接続されている領域以外の領域に、前記鍔部に対して折り曲げ可能に設けられたフラップが設けられていても良い。
【0016】
上記包装材において、前記フラップに、端部から突出する舌部が形成され、前記枠部に、前記舌部を挿入可能な第2の開口が形成されていても良い。
【0017】
上記包装材において、前記蓋部の外周のうち、前記収納ケース部と接続されている領域以外の領域に、前記蓋部に対して折り曲げ可能に設けられたフラップであって、端部から突出する舌部が形成されたフラップが設けられ、前記枠部に、前記舌部を挿入可能な第2の開口が形成されていても良い。
【0018】
上記包装材は、コの字状をなし、前記蓋部及び前記枠部をこの順に折り曲げて前記収納ケース部の前記開口端面側の面に重ねた状態で、前記鍔部、前記蓋部、及び前記枠部の周縁部を挿入可能なスライド溝が形成された枠体と、前記枠体を前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部の周縁部に固定する固定具と、をさらに備えても良い。
【0019】
上記包装材は、前記収納ケース部と、前記蓋部と、前記枠部と、を備える包装材本体を封止するクリップをさらに備え、前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部の各々の周縁部のうち、前記蓋部及び前記枠部をこの順に折り曲げることにより前記包装材本体を折り畳んだ際に互いに一致する領域に、第2の開口が形成され、前記クリップは、互いに対向し、折り畳んだ状態の前記包装材本体の周縁部を保持可能な空間を介して配置された第1及び第2のクリップ部と、前記第1及び第2のクリップ部の基端側を互いに連結する連結部と、を備え、前記第1及び第2のクリップ部は、前記第2の開口に収容可能な2つの突出部であって、重ねられた状態の前記鍔部、前記蓋部、及び前記枠部が通過可能な隙間を開けて互いに対向するように配置された2つの突出部をそれぞれ有し、前記空間に面する前記第1及び第2のクリップ部の端面のうち、前記2つの突出部よりも先端側の領域は、先端に向かうほど間隔が広くなるように傾斜しており、前記2つの突出部の前記第1及び第2のクリップ部の基端側の端面は、前記包装材本体を当該クリップに差し込む方向に対して直交又は鋭角的に交わっていても良い。
【0020】
上記包装材は、前記収納ケース部と、前記蓋部と、前記枠部と、を備える包装材本体を封止するロック機構をさらに備え、前記鍔部、前記蓋部、及び、前記枠部の各々の周縁部のうち、前記蓋部及び前記枠部をこの順に折り曲げることにより前記包装材本体を折り畳んだ際に互いに一致する領域に、第2の開口が形成され、前記ロック機構は、折り畳んだ状態の前記包装材本体の周縁部が差し込まれる平板状の空間と、該平板状の空間を貫く向きの貫通孔と、が形成された本体部と、前記貫通孔に挿通可能な挿入部と、該挿入部の基端側に設けられたつまみ部と、を有する鍵部と、を有し、前記貫通孔の1つの方向における幅は、前記第2の開口の前記1つの方向における幅よりも小さく、前記挿入部の一部に、折り畳んだ状態の前記包装材本体の周縁部を前記平板状の空間に挿入し、前記貫通孔の位置に前記第2の開口の位置を合わせた場合に、前記貫通孔の1つの内周面から突出する前記包装材本体の部分を収容可能な空間が形成され、前記挿入部の先端部のうち、当該挿入部を前記貫通孔に挿入した場合に、前記貫通孔の内周面から前記包装材本体の部分が突出する側の面に、傾斜面又は湾曲面が形成されていても良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、収納ケース部に対して蓋部を折り曲げ、収納ケース部に設けられた溝部又は凸部に、蓋部に設けられた凸部又は溝部を嵌合させることにより、収納ケース部に設けられた収納部を隙間なく閉じることができる。また、収納ケース部に対して蓋部及び枠部をこの順で折り曲げた際に、枠部に形成された開口から蓋部の一部が露出するので、蓋部と枠部との間に宛名票等を挟み込むことにより、包装材を郵便物として差し出すことができる。さらに、宛名票を交換することにより、包装材を再使用することができる。従って、本発明によれば、物品を隙間なく収納して郵便物として簡単に差し出すことができ、且つ、繰り返し使用することもできる包装材を実現することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る包装材の上面側を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る包装材の底面側を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る包装材の上面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る包装材(閉じた状態)を示す上面図である。
【
図7】
図1に示す包装材における物品の収納方法を説明するための模式図である。
【
図8】
図1に示す包装材における物品の収納方法を説明するための模式図である。
【
図9】
図1に示す包装材における物品の収納方法を説明するための模式図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る包装材を示す上面図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係る包装材を示す上面図である。
【
図12】
図11に示す包装材本体(開いた状態)を示す上面図である。
【
図15】
図11に示す包装材本体へのクリップの取付方法を説明するためのC-C面における拡大断面図である。
【
図16】
図11に示す包装材本体へのクリップの取付方法を説明するためのC-C面における拡大断面図である。
【
図17】本発明の第4の実施形態に係る包装材を示す斜視図である。
【
図20】
図17に示す包装材本体への枠体の取付方法を説明するための斜視図である。
【
図21】本発明の第5の実施形態に係る包装材を示す上面図である。
【
図22】
図21に示すロック機構のうちの本体部を示す斜視図である。
【
図23】
図21に示すロック機構のうちの鍵部を示す斜視図である。
【
図24A】
図21に示すロック機構による包装材本体のロック方法を説明するためのD-D面における拡大端面図である。
【
図24B】
図21に示すロック機構による包装材本体のロック方法を説明するためのD-D面における拡大端面図である。
【
図24C】
図21に示すロック機構における包装材本体のロック解除方法を説明するためのD-D面における拡大端面図である。
【
図25】本発明の第6の実施形態に係る包装材を示す上面図である。
【
図26】本発明の第7の実施形態に係る包装材(開いた状態)を示す上面図である。
【
図27】本発明の第7の実施形態に係る包装材(閉じた状態)を示す上面図である。
【
図28】本発明の第8の実施形態に係る包装材(開いた状態)を示す上面図である。
【
図29】本発明の第8の実施形態に係る包装材(閉じた状態)を示す上面図である。
【
図30】本発明の第9の実施形態に係る包装材(開いた状態)を示す上面図である。
【
図31】
図30に示す包装材における物品の収納方法を説明するための模式図である。
【
図32】本発明の第10の実施形態に係る包装材(開いた状態)を示す断面図である。
【
図33】本発明の第10の実施形態に係る包装材(閉じた状態)を示す拡大断面図である。
【
図34】本発明の第10の実施形態に係る包装材(閉じた状態)を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る包装材について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0024】
以下の説明において参照する図面は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示しているに過ぎない。即ち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る包装材の上面側を示す斜視図である。
図2は、同包装材の底面側を示す斜視図である。
図3は、同包装材の上面図である。
図4は、同包装材を閉じた状態を示す上面図である。
図5は、
図3のA-A拡大断面図である。
図6は、
図4のB-B拡大断面図である。
【0026】
図1~
図6に示すように、本実施形態に係る包装材1は、物品を収納して郵便物として差し出すことができる郵便用の包装材である。包装材1は、収納ケース部11と、該収納ケース部11に対して折り曲げ可能に接続された蓋部12と、収納ケース部11に対して折り曲げ可能に接続された枠部13とを備える。
【0027】
本実施形態において、収納ケース部11、蓋部12、及び枠部13は、樹脂材料を用いた射出成形により、一体的に形成されている。樹脂材料としては特に限定することなく使用することができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を使用することができる。また、樹脂材料を用いることにより、包装材1全体に防水性を付与することができるが、包装材1に適用可能な材料は樹脂材料に限定されない。例えば、ボール紙等の紙材や、紙材に樹脂コートを施した複合材料など、包装材1の形状に加工可能な材料であれば、特に限定することなく適用することができる。
【0028】
収納ケース部11と蓋部12との境界部14、及び、収納ケース部11と枠部13との境界部15には、折り曲げを容易とするため、V字溝を形成しても良い。或いは、境界部14、15をリビングヒンジ状にしても良い。さらに、後述するように、包装材1を使用する際には、収納ケース部11に対して蓋部12及び枠部13をこの順で折り曲げるため、境界部15の枠部13側に、蓋部12の周縁部の厚み分を吸収する段差15aを設けても良い。もちろん、段差15aは必須ではなく、要は、収納ケース部11に対して枠部13を折り曲げ、後述する開口131から露出する部分を除いて、蓋部12の上面を概ね覆うことができれば良い。
【0029】
収納ケース部11は、物品を収納可能な凹状をなす収納部111と、該収納部111の開口端面111aの周囲に設けられた鍔部112と、収納部111の開口端面111aを囲むように鍔部112に設けられた溝部113と、を有する。本実施形態において、鍔部112の外周形状は矩形状をなしており、収納部111及び溝部113の平面形状も、概ね、鍔部112の外周形状を縮小させ、且つ、角を丸くした矩形状をなしている。
【0030】
もっとも、収納部111、鍔部112、及び溝部113の形状は
図1~
図5に示すものに限定されない。また、鍔部112の外周形状に対し、収納部111及び溝部113の平面形状が相似である必要もない。例えば、鍔部112の外周形状を矩形状とし、収納部111の平面形状を円形や楕円形、その他種々の形状としても良い。また、溝部113については、収納部111の開口端面111aを囲むことができれば、開口端面111aの形状や、鍔部112の外周形状と異なる形状であっても良い。
【0031】
本実施形態において、溝部113は、断面がU字状をなす凹部となっている。なお、溝部113の断面形状はU字状に限定されず、後述する蓋部12の凸部が嵌合可能な形状であれば良い。
【0032】
蓋部12は、収納ケース部11の鍔部112の周囲のうちの一部の領域と折り曲げ可能に接続されている。本実施形態においては、鍔部112の外周形状が矩形状をなしており、蓋部12は、この矩形の1つの辺に接続されている。
【0033】
蓋部12は、該蓋部12を収納ケース部11に対して開口端面側111aに折り曲げた際に、少なくとも開口端面111aを覆う蓋領域121と、該蓋領域121の周囲に設けられた凸部122とを有する。凸部122は、該蓋部12を収納ケース部11に対して開口端面側111aに折り曲げた際に、溝部113と嵌合可能な形状及び寸法を有している。
【0034】
枠部13は、収納ケース部11の鍔部112の周囲のうち、蓋部12が接続された領域とは異なる領域と折り曲げ可能に接続されている。本実施形態において、枠部13は、矩形状をなす鍔部112が有する4つの辺のうち、蓋部12が接続された辺と対向する辺に接続されている。もっとも、鍔部112が矩形状をなす場合であっても、必ずしも、蓋部12と枠部13を互いに対向する領域に接続する必要はない。例えば、鍔部112の4つの辺のうち、隣り合う辺に蓋部12及び枠部13を接続しても良い。要は、収納ケース部11の鍔部112と蓋部12と枠部13とをぴったりと重ねることができれば良い。
【0035】
枠部13には、蓋部12及び枠部13を収納ケース部11に対してこの順に開口端面111a側に折り曲げ、枠部13を蓋部12に重ねた際に、蓋部12の一部を露出させる開口131が形成されている。
【0036】
図7~
図9は、包装材1における物品の収納方法を説明するための模式図である。包装材1により物品を包装する際には、まず、収納部111に物品を収納し、
図7に示すように、収納ケース部11に対して蓋部12を折り曲げることにより、蓋部12を収納部111の開口端面に重ね、収納ケース部11の溝部113に蓋部12の凸部122を嵌合させる。
【0037】
続いて、
図8に示すように、蓋部12の蓋領域121に、宛名票2を載せ、収納ケース部11に対して枠部13を折り曲げることにより、枠部13を蓋部12に重ねる。ここで、宛名票2には、送付先の住所等の宛名や発送元が記載される他、包装材1を郵送する際に必要な切手が貼付される。宛名票2のサイズは、枠部13に形成された開口131のサイズよりも大きく、且つ、枠部13の外周のサイズよりも小さければ良い。それにより、蓋部12と枠部13とにより、宛名票2を挟み込むことができる。なお、宛名票2として、裏面に粘着剤が配置されたシール部材を用いても良い。
【0038】
さらに、
図9に示すように、セロハンテープ等のシール部材21を用いて、枠部13の端部を収納ケース部11の鍔部112に固定する。これにより、物品を包装した包装材1をそのまま郵便物として差し出すことができる。シール部材21としては、一般的な粘着テープの他、開封防止テープや開封防止シールを用いても良い。また、
図9においては、枠部13の境界部14側の辺の一部のみにシール部材21を貼付しているが、境界部15以外の全ての辺にシール部材21を貼付しても良い。境界部14側の辺に加え、境界部15以外の2つの辺にもシール部材を貼付することにより、蓋部12と枠部13との間から宛名票2が滑り落ちることを防ぐことができる。
【0039】
以上、説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、収納ケース部11に対して蓋部12を折り曲げ、収納ケース部11の溝部113に蓋部12の凸部122を嵌合させることにより、簡単に、収納部111を隙間なく封止することができる。それにより、外部から収納部111への液体やゴミ等の侵入を防ぐことができる。反対に、細々とした物品を収納した場合であっても、収納部111からの物品の漏出等を防ぐこともできる。特に、包装材1を樹脂材料により形成する場合には、包装材1に良好な防水性を付与することができる。
【0040】
また、本発明の第1の実施形態によれば、蓋部12と枠部13との間に宛名票2を挟み込むことにより、包装材1を郵便物として簡単に差し出すことができる。包装材1においては、枠部13の開口131から宛名票2の一部が露出するので、宛名票2にそのまま消印を押すことができる。また、宛名票2は容易に交換することができるので、当該包装材1繰り返し使用することも可能となる。
【0041】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る包装材を示す上面図である。本実施形態に係る包装材1Aは、全体として、上記第1の実施形態に係る包装材1(
図1~
図6参照)と同様の構造を有しており、包装材1Aが有する枠部13Aに形成された開口132のサイズが第1の実施形態と異なる。
【0042】
本実施形態のように、開口132のサイズを、宛名票2に記載された宛名の表示が見える程度に狭くすることにより、枠部13Aのより広い範囲で宛名票2を保護及び保持することが可能となる。
【0043】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係る包装材を示す上面図である。
図11に示すように、本実施形態に係る包装材3は、包装材本体1Bと、クリップ30とを備える。
【0044】
図12は、包装材本体1B(開いた状態)の上面図である。
図12に示すように、包装材本体1Bは、全体として、上記第1の実施形態に係る包装材1(
図1~
図6参照)と同様の構造を有しており、包装材本体1Bが有する収納ケース部11B、蓋部12B、枠部13Bの各部に開口115、124、132がそれぞれ設けられている点が、包装材1と異なる。
【0045】
即ち、収納ケース部11Bが有する鍔部114の境界部14近傍には、開口115が形成されている。また、蓋部12Bの周縁部123の境界部14近傍には、開口124が形成されている。さらに、枠部13Bの境界部15と反対側の端部近傍には、開口132が形成されている。これらの開口115、124、132は、収納ケース部11Bに対して蓋部12B及び枠部13Bを折り曲げることにより包装材本体1Bを折り畳み、周縁部同士を重ねた際に互いに一致する位置及びサイズとなるように形成されている。
【0046】
図13は、
図11に示すクリップ30の拡大斜視図である。
図14は、
図13に示すクリップ30の側面図である。クリップ30は、例えば硬質の樹脂材料などの比較的弾性変形しにくい材料によって形成されている。
【0047】
図13に示すようにクリップ30は、クリップ上部31と、クリップ下部32と、これらのクリップ上部31とクリップ下部32とを接続する連結部33とを有する。クリップ上部31及びクリップ下部32は、折り畳んだ状態の包装材本体1Bの周縁部を保持可能な空間を介して、互いに対向するように配置されている。
【0048】
図14に示すように、クリップ上部31及びクリップ下部32には、所定のサイズの隙間342を開けて互いに対向するように配置された突出部343が形成されている。隙間342のサイズは、折り畳んだ状態の包装材本体1Bの周縁部がちょうど、或いは、やや押し潰した状態で通過できる程度である。また、突出部343は、包装材本体1Bの周縁部が通過した後、開口115、124、132に収容可能なサイズを有している。
【0049】
クリップ上部31及びクリップ下部32との間の空間のうち、突出部343よりも先端側の空間(差し込み口34)に面するクリップ上部31及びクリップ下部32の端面341は、クリップ上部31及びクリップ下部32の先端に向かうほど互いの間隔が広がるように傾斜している。
【0050】
クリップ上部31及びクリップ下部32との間の空間のうち、突出部343よりも基端側の空間は、開口115、124、132よりも外周側に位置する収納ケース部11B(鍔部114)、蓋部12B(周縁部123)、及び、枠部13Bの部分を収容可能な保持部35である。
【0051】
突出部343の基端側の端面351は、クリップ30に包装材本体1Bを差し込む方向(
図14の矢印参照)に対して、略直交するか、又は、該方向に対して鋭角的に交わっている。
【0052】
図15及び
図16は、
図11に示す包装材本体1Bへのクリップ30の取付方法を説明するためのC-C面における拡大断面図である。
図15に示すように、包装材本体1Bにクリップ30を取り付ける際には、収納ケース部11Bに対して蓋部12B及び枠部13Bを折り曲げることにより折り畳んだ包装材本体1Bを、開口115、124、132をクリップ30側に向けて、クリップ30の差し込み口34に挿入する。
図16に示すように、包装材本体1Bの周縁部が間隙342を通過すると、突出部343が開口115、124、132に入り込む。それにより、包装材本体1Bとクリップ30とを互いに反対方向に引っ張っても、開口115、124、132の内周面が突出部343に掛止され、クリップ30が抜けなくなる。
【0053】
クリップ30を包装材本体1Bから取り外す際には、クリップ上部31とクリップ下部32とのいずれか一方を他方に対して拡げるように弾性変形させて、間隙342を拡げるか、連結部33を破断し、クリップ上部31とクリップ下部32とを分離させれば良い。
【0054】
本実施形態においては、差し込み口34の端面341が傾斜していることから、包装材本体1Bをクリップ30に容易に挿入することができるが、突出部343の保持部35側の端面351が包装材本体1Bの挿入方向(又は引き出し方向)に対して直交又は鋭角的に交わっているため、包装材本体1Bを抜き出し難い構造となっている。そのため、本実施形態によれば、ロックし易く、且つ、ロックを解除し難い包装材3を実現することができる。
【0055】
包装材本体1B及びクリップ30を繰り返し使用したい場合には、クリップ30の全体又は連結部33を弾性変形し易い材料で形成すれば良い。また、包装材本体1Bの途中開封を防ぎたい場合には、クリップ30の全体を弾性変形し難い材料で形成し、クリップ30を壊さない限り包装材本体1Bから取り外せないようにすれば良い。
【0056】
(第4の実施形態)
図17は、本発明の第4の実施形態に係る包装材を示す斜視図である。
図17に示すように、本実施形態に係る包装材4は、包装材本体1Cと、枠体40と、包装材本体1Cと枠体40とを固定する固定具としてのピン41とを含む。
【0057】
図18は、包装材本体1C(開いた状態)の上面図である。
図17に示すように、包装材本体1Cは、全体として、上記第1の実施形態に係る包装材1(
図1~
図6参照)と同様の構造を有しており、包装材本体1Cが有する収納ケース部11C、蓋部12C、枠部13Cの各部にV字状の切り欠き16が形成されている点が、包装材1と異なる。切り欠き16は、収納ケース部11C、蓋部12C、及び、枠部13Cの周縁部のうち、収納ケース部11Cに対して蓋部12C及び枠部13Cを折り曲げ、周縁部同士を重ねた際に互いに一致する位置に形成されている。
【0058】
図19は、枠体40の斜視図である。
図19に示すように、枠体40は全体としてコの字状をなしており、内周面のうち厚さ方向の略中央の高さに、折り畳んだ状態の包装材本体1Cの周縁部をスライドして挿入することができる溝42が形成されている。また、枠体40の表面及び裏面のうち、包装材本体1Cの切り欠き16の位置に対応する位置には、V字状に切り欠いた段差43が形成されている。さらに、この段差43の底面には、貫通孔44が形成されている。
【0059】
段差43の平面形状(V字状)は、包装材本体1Cの切り欠き16に対し、V字の向きが反対になっている。これにより、包装材本体1Cを枠体40に嵌めた際に、切り欠き16の部分から貫通孔44が露出すると共に、段差43上に切り欠き16の周囲の部分(枠部13Cの周縁部)が露出する。
【0060】
図17に示すように、ピン41は、頭部46と軸部47と先端部48とを含む。ピン41は、樹脂材料等の弾性変形可能な材料によって形成されている。軸部47は、枠体40に形成された貫通孔44を挿通可能な径を有する。先端部48は、例えば円錐状をなし、先端部48の最大径は貫通孔44の径よりも大きい。頭部46の高さは、枠体40に形成された段差43の高さ以下であり、ピン41を貫通孔44に嵌合させた場合、頭部46は段差43の中に収容される。
【0061】
図20は、包装材本体1Cへの枠体40の取付方法を説明するための斜視図である。包装材本体1Cに枠体40を取り付ける際には、まず、収納ケース部11Cに物品を収納して蓋部12C及び枠部13Cを閉じた包装材本体1Cを、枠体40の溝42に差し込み、突き当たるまでスライドさせる。そして、
図17に示すように、ピン41を枠体40の表側(溝42の上面側)の貫通孔44に差し込み、先端部48を枠体40の裏側(溝42の下面側)の貫通孔44から突出させる。先端部48は、弾性変形することにより表側及び裏側の貫通孔44を通過するが、裏側の貫通孔44を通過した後は、先端部48の底面が裏側の段差43の底面に引っかかるため、先端部48を軸部47から折り取らない限り、ピン41を逆方向に抜くことはできない。
【0062】
本実施形態によれば、包装材本体1Cの周囲を枠体40で保護するので、郵便物としてより安全に発送することが可能となる。また、ピン41を壊さない限り、ピン41を枠体40から取り外して開封することができないので、包装材本体1Cの途中開封を防ぐことができる。
【0063】
なお、ピン41の代わりにネジを使用すると共に、貫通孔44にネジ切りをし、ねじを貫通孔44に螺合させるようにしても良い。また、包装材本体1Cに、切り欠き16の代わりに、ピン41が挿通可能な貫通孔を形成しても良い。
【0064】
(第5の実施形態)
図21は、本発明の第5の実施形態に係る包装材を示す上面図である。
図21に示すように、本実施形態に係る包装材5は、包装材本体1Bと、ロック機構50とを備える。このうち、包装材本体1Bは、上記第3の実施形態における包装材本体1B(
図12参照)と同様である。また、ロック機構50は、本体部51及び鍵部52を含む。
【0065】
図22は、ロック機構50のうちの本体部51を示す斜視図である。
図22に示す本体部51は、例えば硬質の樹脂材料などの比較的弾性変形しにくい材料によって形成されている。本体部51には、折り畳んだ状態の包装材本体1Bの周縁部が差し込まれる平板状の空間であるスライド部512と、該スライド部512を貫く向きの貫通孔513とが形成されている。貫通孔513の幅W2は、包装材本体1Bに形成された開口115、124、132の幅W1(
図21参照)よりも若干広い。このため、折り畳んだ状態の包装材本体1Bをスライド部512に挿入し、幅W2方向と直交する貫通孔513の一方の内周面の位置に、開口115、124、132の内周面の位置を合わせると、貫通孔513の他方の内周面から、開口115、124、132の周囲の収納材本体1Bの部分が突出する。
【0066】
図23は、ロック機構50のうちの鍵部52を示す斜視図である。
図23に示すように、鍵部52は、つまみ部521と、該つまみ部521の基端部に設けられ、本体部51の貫通孔513に挿入可能な挿入部522とを含む。本実施形態においては、つまみ部521に対して挿入部522を概ね直交させることにより、鍵部52を全体としてL字状に形成している。しかしながら、つまみ部521と挿入部522とのなす角度は直角に限定されず、貫通孔513に挿入部522を挿入することができ、好ましくは、この状態で、つまみ部521の上面が本体部511の上面とほぼ平行になる状態を維持できれば良い。例えば、本体部511の上面に対して貫通孔513が傾斜している場合、つまみ部521に対して挿入部522を同程度だけ傾斜させても良い。
【0067】
挿入部522の一部には、折り畳んだ状態の包装材本体1Bの周縁部をスライド部512に挿入した場合に、貫通孔513の内周面から突出する包装材本体1Bの部分を収容可能な空間である凹部526が形成されている。凹部526よりも先端側に位置し、挿入部522のうち最も幅が広い部分である突出部523の幅W3は、貫通孔513の幅W2と略等しい。また、突出部523の凹部526側の端面525は、挿入部522の長手方向(即ち、貫通孔513に挿入する方向)に対して略直交させると良い。
【0068】
挿入部522の先端部のうち、包装材本体1Bが突出する貫通孔513の内周面と対向する側の面524は、先端に向かって側面の幅が狭くなる平面状の傾斜面となっている。或いは、面524をR状の湾曲面としても良いし、斜面と湾曲面とからなる面としても良い。さらに、つまみ部521の先端側に切り欠き527を形成しても良い。
【0069】
図24A及び
図24Bは、
図21に示すロック機構50による包装材本体1Bのロック方法を説明するためのD-D面における拡大端面図である。包装材本体1Bにロック機構50を取り付ける際には、まず、収納ケース部11Bに物品を収納して蓋部12B及び枠部13Bを閉じた包装材本体1Bを、本体部51のスライド部512に挿入し、貫通孔513の位置に包装材本体1Bの開口115、124、132の位置を合わせる。
【0070】
続いて、
図24Aに示すように、鍵部52の挿入部522を貫通孔513から挿入する。このとき、貫通孔513の1つの内周面からは、包装材本体1Bの一部が突出しているが、挿入部522の傾斜する面524により包装材本体1Bの突出部分を押して弾性変形させながら、突出部523に貫通孔513及び包装材本体1Bの開口115、124、132を貫通させることができる。
【0071】
図24Bに示すように、突出部523が包装材本体1Bの開口115、124、132を貫通すると、突出部523の端面525が貫通孔513への包装材本体1Bの突出部分により掛止されるため、鍵部52は貫通孔513から抜けなくなる。これにより、包装材本体1Bがロック機構50によりロックされる。
【0072】
図24Cは、
図21に示すロック機構50における包装材本体1Bのロック解除方法を説明するためのD-D面における拡大端面図である。
図24Cに示すように、ロック機構50のロックを解除する際には、鍵部52のつまみ部521を持ち上げるようにして、つまみ部521と挿入部522との接続部分を破断させる。このとき、切り欠き527に指を入れるとつまみ部521を持ち上げ易い。それにより、挿入部522が貫通孔513から抜け落ち、ロックが解除される。
【0073】
本実施形態によれば、包装材本体1Bを強固にロックすることができる。また、鍵部52を破断させないと包装材本体1Bを開封することができないので、包装材本体1Bの途中開封を防ぐことができる。
【0074】
なお、本実施形態におけるロック機構50は、包装材本体1B以外にも、少なくとも周縁部が板状をなす部材であれば、当該部材のロック機構として適用することができる。この場合、ロック対象である複数の部材の周縁部を重ねて開口を形成し、この開口を含む周縁部を本体部51のスライド部512に挿入し、鍵部52の挿入部522をこの開口に挿通すれば良い。
【0075】
(第6の実施形態)
図25は、本発明の第6の実施形態に係る包装材を示す上面図である。
図25に示すように、本実施形態に係る包装材1Dは、全体として、上記第1の実施形態に係る包装材1(
図1~
図6参照)と同様の構造を有し、
図25に示すように、最表面となる枠部13Dの構造が、第1の実施形態と異なっている。
【0076】
即ち、枠部13Dには、枠部13Dと蓋部12(
図8参照)との間に配置される宛名票2の四隅を挟み込みための4つの切り込み133a~133dが形成されている。枠部13Dに形成された開口134の位置及びサイズは、4つの切り込み133a~133dの内側に収まるように決定されている。
【0077】
本実施形態によれば、宛名票2の4隅を切り込み133a~133dに挟み込むことにより、枠部13Dと蓋部12(
図8参照)との間から宛名票2が滑り落ちることを防止することができる。
【0078】
なお、本実施形態においては、枠部13Dの4箇所に切り込み133a~133dを形成したが、切り込みはこのうちの2箇所であっても良い。例えば、切り込み133aと切り込み133d、又は、切り込み133bと切り込み133cなど、宛名票2の対角線上の2箇所に切り込みを形成しても良い。
【0079】
(第7の実施形態)
図26及び
図27は、本発明の第7の実施形態に係る包装材を示す上面図である。このうち、
図26は包装材を開いた状態を示し、
図27は包装材を閉じた状態を示している。
【0080】
図26に示すように、本実施形態に係る包装材1Eは、全体として、上記第1の実施形態に係る包装材1(
図1~
図6参照)と同様の構造を有しており、収納ケース部11E及び枠部13Eの構造の一部が、第1の実施形態における収納ケース部11及び枠部13の構造と異なっている。
【0081】
本実施形態における収納ケース部11Eには、鍔部112の4つの辺のうち、境界部14、15と異なる2つの辺にフラップ116が設けられている。各フラップ116は、鍔部112に対して
図26の手前側に折り曲げ可能に形成されている。また、各フラップ116の端部には、略T字状の突出する舌部116aが設けられている。
【0082】
枠部13Eには、宛名票の一部を露出させるための開口134と、舌部116aを挿入可能な開口135とが形成されている。
【0083】
包装材1Eを閉じる際には、まず、収納部111に物品を収納し、収納ケース部11Eに対して蓋部12を折り曲げ、収納ケース部11の溝部113に蓋部12の凸部122を嵌合させる。
【0084】
続いて、
図27に示すように、蓋部12の蓋領域121に宛名票2を載せ、枠部13Eを折り曲げて蓋部12に被せる。さらに、フラップ116を折り曲げて枠部13Eに被せ、舌部116aを開口135に挿入する。境界部14側においては、シール部材21を用いて、枠部13Eの端部を収納ケース部11Eに固定しても良い。
【0085】
本実施形態によれば、境界部14側に設けられた蓋部12及び境界部15側に設けられた枠部13Eに加え、他の2辺に設けられたフラップ116により、鍔部112の周囲の全ての辺を覆うことができるので、包装材1Eの防水性をさらに向上させることができる。また、フラップ116を設けることにより、蓋部12と枠部13Eとの隙間から宛名票2が滑り落ちることを防止することができる。
【0086】
(第8の実施形態)
図28及び
図29は、本発明の第8の実施形態に係る包装材を示す上面図である。このうち、
図28は包装材を開いた状態を示し、
図29は包装材を閉じた状態を示している。
【0087】
図28に示すように、本実施形態に係る包装材1Fは、全体として、上記第1の実施形態に係る包装材1(
図1~
図6参照)と同様の構造を有しており、蓋部12F及び枠部13Fの一部の構造が、第1の実施形態における蓋部12及び枠部13の構造と異なっている。
【0088】
本実施形態における蓋部12Fには、境界部14及び該境界部14と対向する辺と異なる2つの辺にフラップ125が設けられている。各フラップ125は、蓋部12Fに対し、
図27の奥側に折り曲げ可能に形成されている。また、各フラップ125の端部には、略T字状の突出する舌部125aが設けられている。
【0089】
枠部13Fには、宛名票の一部を露出させるための開口136と、舌部125aを挿入可能な開口137とが形成されている。
【0090】
包装材1Fを閉じる際には、まず、収納部111に物品を収納し、収納ケース部11に対して蓋部12Fを折り曲げ、収納ケース部11の溝部113に蓋部12Fの凸部122を嵌合させる。
【0091】
続いて、
図29に示すように、蓋部12Fの蓋領域121に宛名票2を載せ、枠部13Fを折り曲げて蓋部12Fに被せる。さらに、フラップ125を折り曲げて枠部13Fに被せ、舌部125aを開口137に挿入する。境界部14側においては、シール部材21を用いて、枠部13Fの端部を収納ケース部11に固定しても良い。
【0092】
本実施形態によれば、フラップ125を設けることにより、蓋部12Fと枠部13Fとの隙間から宛名票2が滑り落ちることを防止することができる。
【0093】
(第9の実施形態)
図30は、本発明の第9の実施形態に係る包装材を示す上面図である。
図30に示す包装材における物品の収納方法を説明するための模式図である。
【0094】
図30に示すように、本実施形態に係る包装材1Gは、全体として、上記第1の実施形態に係る包装材1(
図1~
図6参照)と同様の構造を有しており、収納ケース部11Gの構造が、第1の実施形態における収納ケース部11の構造と異なっている。
【0095】
本実施形態における収納ケース部11Gには、鍔部112の4つの辺のうち、境界部14、15と異なる2つの辺にフラップ138が設けられている。
【0096】
包装材1Gを閉じる際には、まず、収納部111に物品を収納し、収納ケース部11Gに対して蓋部12を折り曲げ、収納ケース部11Gの溝部113に蓋部12の凸部122を嵌合させる。
【0097】
続いて、
図31に示すように、蓋部12の蓋領域121に宛名票2を載せ、フラップ138を折り曲げて宛名票2の端部に被せる。さらに、枠部13を折り曲げて、蓋部12及びフラップ138に被せる。境界部14側においては、セロハンテープ等のシール部材を用いて、枠部13の端部を収納ケース部11に固定する。
【0098】
本実施形態によれば、フラップ138を設けることにより、蓋部12と枠部13との隙間から宛名票2が滑り落ちることを防止することができると共に、包装材1Gの防水性を向上させることが可能となる。
【0099】
(第10の実施形態)
図32は、本発明の第10の実施形態に係る包装材(開いた状態)を示す断面図である。
図33は、同包装材(閉じた状態)を示す拡大断面図である。
図34は、同包装材(閉じた状態)を示す上面図である。
【0100】
上記第1~第8の実施形態においては、収納部111の開口端面111aの周囲に溝部113を形成し、この溝部113に凸部122を嵌合させることにより、収納部111を密閉することとした(
図6参照)。しかし、収納部111を密閉するための構造はこれに限定されない。
【0101】
図32及び
図33に示すように、本実施形態に係る包装材1Hは、第1の実施形態に係る包装材1が備える収納ケース部11、蓋部12、及び、枠部13の代わりに、収納ケース部11H、蓋部12H、及び、枠部13Hをそれぞれ備える。
【0102】
収納ケース部11Hにおいて、収納部111の開口端面111aの周囲に設けられた鍔部117には、収納部111と反対方向に突出する凸部118が、収納部111を囲むように形成されている。また、蓋部12Hの蓋領域121の周囲には、凸部118と嵌合可能な溝部126が形成されている。さらに、枠部13Hには、収納ケース部11Hに蓋部12Hを被せた際に上面側に突出する溝部126の裏側と嵌合可能な溝部139が形成され、この溝部139の内側に、宛名票2(
図8参照)の一部を露出させる開口140が形成されている。
【0103】
包装材1Hを閉じる際には、まず、収納部111に物品を収納し、収納ケース部11Hに対して蓋部12Hを折り曲げ、収納ケース部11Hの凸部118に蓋部12Hの溝部126を嵌合させる。
【0104】
続いて、
図34に示すように、蓋部12Hの蓋領域121に宛名票2を載せ、枠部13Hを折り曲げて蓋部12Hに被せ、上面側に突出する溝部126の裏側に溝部139を嵌合させる。さらに、セロハンテープ等のシール部材を用いて、枠部13Hの端部を収納ケース部11Hに固定しても良い。
【0105】
このように、収納部111の周囲に凸部118を形成することによっても、収納部111を密閉することができる。また、本実施形態においては、溝部126の裏側に溝部139を嵌合させるので、枠部13Hを蓋部12Hに固定することもできる。さらに、本実施形態によれば、宛名票2が配置される蓋領域121が、凸部118及び溝部126、140により囲まれているので、蓋部12Hと枠部13Hとの隙間から宛名票2が滑り落ちることを防止することができる。
【0106】
本発明は、上記第1~第10の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、第1~第10の実施形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、第1~第10の実施形態及び変形例に示した全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成しても良いし、第1~第10の実施形態及び変形例に示した構成要素を適宜組み合わせて形成しても良い。具体例として、第6~第10の実施形態に係る包装材に対し、第3の実施形態におけるクリップや、第4の実施形態における枠体及びピンや、第5の実施形態におけるロック機構を組み合わせても良い。
【0107】
(付記)
少なくとも周縁部が板状をなし、積層された複数の部材をロックするロック機構であって、
前記周縁部に開口が形成され、
前記複数の部材の周縁部が差し込まれる平板状の空間と、該平板状の空間を貫く向きの貫通孔と、が形成された本体部と、
前記貫通孔に挿通可能な挿入部と、該挿入部の基端側に設けられたつまみ部と、を有する鍵部と、
を備え、
前記貫通孔の1つの方向における幅は、前記開口の前記1つの方向における幅よりも小さく、
前記挿入部の一部に、前記複数の部材の前記周縁部を前記平板状の空間に挿入し、前記貫通孔の位置に前記開口の位置を合わせた場合に、前記貫通孔の1つの内周面から突出する前記複数の部材の部分を収容可能な空間が形成され、
前記挿入部の先端部のうち、当該挿入部を前記貫通孔に挿入した場合に、前記貫通孔の内周面から前記複数の部材の部分が突出する側の面に、傾斜面又は湾曲面が形成されている、ロック機構。
【符号の説明】
【0108】
1、1A、1D、1E、1F、1G、1H、3、4、5 包装材
1B、1C 包装材本体
2 宛名票
11、11B、11C、11E、11G、11H 収納ケース部
12、12B、12C、12F、12H 蓋部
13、13A、13B、13C、13D、13E、13F、13H 枠部
14、15 境界部
15a 段差
21 シール部材
30 クリップ
31 クリップ上部
32 クリップ下部
33 連結部
34 差し込み口
35 保持部
40 枠体
41 ピン
42 溝
43 段差
44 貫通孔
46 頭部
47 軸部
48 先端部
50 ロック機構
51 本体部
52 鍵部
111 収納部
111a 開口端面
112、114、117 鍔部
113、126、139 溝部
115、124、131、132、134、135、136、137、140 開口
116、125、138 フラップ
116a、125a 舌部
118 凸部
121 蓋領域
122 凸部
123 周縁部
133a、133b、133c、133d 切り込み
341 端面
342 間隙
343 突出部
351 端面
512 スライド部
513 貫通孔
521 つまみ部
522 挿入部
523 突出部
524 面
525 端面
526 凹部