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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】移動装置及び移動装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/656 20180101AFI20221104BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221104BHJP
   B64C 37/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G06F8/656
B60R16/02 660U
B64C37/00
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2018192216
(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公開番号】P2020060987
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-09
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】514228217
【氏名又は名称】みこらった株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 將洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真由美
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-125039(JP,A)
【文献】特開2017-208071(JP,A)
【文献】特開2009-102003(JP,A)
【文献】特開2015-079468(JP,A)
【文献】特開2018-069870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/656
B60R 16/02
B64C 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置を移動させるための複数の移動モードを備え、前記複数の移動モードの内、少なくとも一つの移動モードは、当該移動モード用の移動支援用プログラムを用いて移動を支援する移動装置であって、
前記移動支援用プログラムの更新プログラムの情報は、少なくとも前記複数の移動モードの内のいずれの移動モード用であるかを識別可能とする更新プログラム・モード種別識別情報を含み、
前記移動支援用プログラムの更新プログラムの情報を取得するための更新プログラム取得手段と、
前記更新プログラム取得手段で取得される前記更新プログラムの情報に含まれる前記更新プログラム・モード種別識別情報に基づいて、前記更新プログラムの情報がいずれの移動モード用であるかを識別する更新プログラム・モード種別識別手段と、
前記更新プログラムの情報の取得時点における自装置の移動モードを検知する移動モード検知手段と、
前記更新プログラム取得手段で取得される前記更新プログラムの情報に基づいて前記移動支援用プログラムの更新の実行を制御するプログラム更新制御手段と、
を備え、
前記プログラム更新制御手段は、
前記移動モード検知手段の検知結果と、前記更新プログラム・モード種別識別手段の識別結果とに基づいて、前記更新プログラム取得手段で取得された前記更新プログラムの情報が、前記移動モード検知手段で検知された移動モード用ではないと判別したときに、前記移動支援用プログラムの更新を実行するように制御する
ことを特徴とする移動装置。
【請求項2】
前記プログラム更新制御手段は、
前記移動モード検知手段の検知結果と、前記更新プログラム・モード種別識別手段の判別結果とに基づいて、前記更新プログラム取得手段で取得された前記更新プログラムの情報が、前記移動モード検知手段で検知された移動モード用であると判別したときには、前記移動支援用プログラムの更新をしないように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
外部のプログラム更新サーバと通信するための通信手段を備えると共に、
前記プログラム更新制御手段は、前記通信手段を通じて前記プログラム更新サーバからのプログラム更新通知を受け取ったか否かを監視する監視手段を備え、
前記更新プログラム取得手段は、前記監視手段で、前記プログラム更新サーバからのプログラム更新通知を受け取ったことに基づいて、前記プログラム更新サーバからの前記更新プログラムの情報を前記通信手段を通じて取得する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動装置。
【請求項4】
外部のプログラム更新サーバと通信するための通信手段を備えると共に、
前記プログラム更新制御手段は、前記通信手段を通じて前記プログラム更新サーバに前記プログラムの更新問い合わせをする更新問い合わせ手段を備え、
前記更新プログラム取得手段は、前記プログラムの更新問い合わせに対応して送られてくる前記プログラム更新サーバからの前記更新プログラムの情報を取得する
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載に移動装置。
【請求項5】
前記複数の移動モードの内の2以上の移動モードにおいて共用される共用モード用の移動支援用プログラムを用いる移動装置であって、前記共用モード用の移動支援用プログラムの更新プログラムの情報には、前記更新プログラム・モード種別識別情報として、共用される前記2以上の移動モードを識別可能な共用モード識別情報を含むものであり、
前記プログラム更新制御手段は、
前記更新プログラム・モード種別識別手段での識別結果が、前記共用モード識別情報により識別される前記共用される前記2以上の移動モードを識別している場合であって、前記移動モード検知手段で検知された移動モードが、前記識別された前記共用される前記2以上の移動モードに含まれているときには、前記移動支援用プログラムの更新をしないように制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の移動装置。
【請求項6】
前記プログラム更新制御手段は、
前記共用モード用の移動支援用プログラムが、前記移動装置が備える前記複数の移動モードの全てに共用される場合には、前記共用モード用の移動支援用プログラムの更新は、自装置の停止状態において実行するように制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の移動装置。
【請求項7】
自装置が移動中であるか、停止中であるかを判別する自装置状態判別手段を備え、
前記プログラム更新制御手段は、
前記自装置状態判別手段で自装置が停止中であると判別されたときには、前記更新プログラム取得手段で取得した前記更新プログラムの情報を用いて、前記移動支援用プログラムの更新を実行するように制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の移動装置。
【請求項8】
前記自装置状態判別手段で自装置が停止中であると判別されたときに、停止継続時間を予測する停止継続時間予測手段を備え、
前記プログラム更新制御手段は、
前記自装置状態判別手段で自装置が停止中であると判別されたときに、前記停止継続時間予測手段で予測された前記停止継続時間と、前記更新プログラム取得手段で取得した前記更新プログラムに含まれる新時間の情報とに基づいて前記移動支援用プログラムの更新が可能であるか否か判別し、可能であると判別したときに、前記移動支援用プログラムの更新を実行するように制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の移動装置。
【請求項9】
停止中または停止後の自装置の振る舞いの設定を利用者から受け付ける振る舞い受付手段と、
少なくとも前記振る舞い受付手段で受け付けた前記自装置の振る舞いの設定情報に応じた振る舞いをする機能を備えると共に、自装置の振る舞いを制御及び管理する振る舞い制御管理手段と、
を備え、
前記停止継続時間予測手段は、前記振る舞い制御管理手段に問い合わせて停止中の自車の振る舞いを認定し、その認定に基づいて前記停止継続時間の予測をする
ことを特徴とする請求項8に記載の移動装置。
【請求項10】
前記振る舞い受付手段は、利用者による降車時における降車後の振る舞い設定を受け付ける降車後振る舞い受付手段である
ことを特徴とする請求項9に記載の移動装置。
【請求項11】
前記振る舞い受付手段は、前記降車後の振る舞いの設定を時間情報を含めて受け付け、
前記停止継続時間予測手段は、前記降車後の振る舞いの設定に含まれる時間情報に基づいて、前記停止継続時間の予測をする
ことを特徴とする請求項10に記載の移動装置。
【請求項12】
年、月、日、曜日及び時間の時計情報を提供する時計手段と、
前記時計情報に関連付けて自車の走行及び停止に関する履歴を記憶する履歴情報記憶手段と、
を備え、
前記停止継続時間予測手段は、履歴情報記憶手段に記憶されている前記履歴を参照して、停止状態である現在の時点での停止継続時間を予測する
ことを特徴とする請求項8~請求項11のいずれかに記載の移動装置
【請求項13】
移動以外用途の機能を提供する移動以外用途機能部を備え、
前記移動以外用途機能部は、前記移動以外用途の機能を、移動以外用途用プログラムにより実行するものであり、
前記移動以外用途用プログラムの更新は、自装置の移動中及び停止中においても実行するようにした
ことを特徴とする請求項1~請求項12のいずれかに記載の移動装置。
【請求項14】
前記プログラム更新制御手段は、
前記更新プログラム取得手段で取得された前記更新プログラムの情報が、前記移動モード検知手段で検知された移動モード用であって、前記移動支援用プログラムの更新をしないとしたときには、前記更新プログラム取得手段で取得した前記更新プログラムの情報を記憶しておき、
前記移動モード検知手段で検知された移動モードにおいては、前記記憶されている前記更新プログラムの情報の内、前記移動モード検知手段で検知された移動モードと異なる移動モード用の前記記憶されている前記更新プログラムの情報を用いて前記移動支援用プログラムの更新を実行する
ことを特徴とする請求項1~請求項13に記載のいずれかに記載の移動装置。
【請求項15】
前記移動支援用プログラムの更新の実行中には、前記更新が実行中である前記移動支援用プログラムの起動は禁止する
ことを特徴とする請求項1~請求項14のいずれかに記載の移動装置。
【請求項16】
前記移動支援用プログラムの更新の実行中に、当該更新が実行中の移動支援用プログラムの更新の強制停止の指示があったときには、前記移動支援用プログラムの更新を中断し、記移動支援用プログラムの更新プログラムの情報を記憶保持する
ことを特徴とする請求項1~請求項14のいずれかに記載の移動装置。
【請求項17】
前記移動支援用プログラムの更新を中断したときには、後の停止状態において、あるいは、更新を中断した前記移動支援用プログラムの前記更新プログラム・モード種別識別情報で識別される移動モードとは異なる移動モードの状態において、中断した前記移動支援用プログラムの更新を実行する
ことを特徴とする請求項16に記載の移動装置。

【請求項18】
自装置は自動車であって、
前記複数の移動モードは、手動運転モードと自動運転モードとを含み、少なくとも前記自動運転モードは、自動運転モード用の移動支援用プログラムを用いて移動としての自車の走行を支援する
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の移動装置。
【請求項19】
自装置は自動車であって、
前記複数の移動モードは、手動運転モードと自動運転モードとを含み、前記手動運転モード用の移動支援用プログラムと、前記自動運転モード用の移動支援用プログラムとを用いて移動としての自車の走行を支援する
ことを特徴とする請求項1~請求項18のいずれかに記載の移動装置。
【請求項20】
前記手動運転モードと前記自動運転モードとで共用される共用モード用の移動支援用プログラムとして、自動衝突防止システム用プログラム、クルーズコントロールシステム用プログラム、又はレーンキープアシストシステム用プログラムを含み、
前記共用モード用の移動支援用プログラムの更新は、自装置の停止状態において実行するように制御する
ことを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の移動装置。
【請求項21】
自律走行を支援する自律走行支援用プログラムにより自律走行を実行するように制御する自動運転モード実行制御手段を備え、
前記自動運転モード用の前記移動支援用プログラムは、前記自律走行支援用プログラムである
ことを特徴とする請求項18~請求項20のいずれかに記載の移動装置。
【請求項22】
自装置は、水陸両用の移動装置であって、
前記複数の移動モードとして、水上及び/又は水中の移動を専用の前記移動支援用プログラムを用いて行う水上及び/又は水中移動モードと、陸上の移動を専用の前記移動支援用プログラムを用いて行う陸上移動モードとを備える
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の移動装置。
【請求項23】
自装置は、空陸両用の移動装置であって、
前記複数の移動モードとして、飛行を専用の前記移動支援用プログラムを用いて行う飛行モードと、陸上の移動を専用の前記移動支援用プログラムを用いて行う陸上移動モードとを備える
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の移動装置。
【請求項24】
自装置は、水空両用の移動装置であって、
前記複数の移動モードとして、水上及び/又は水中の移動を専用の前記移動支援用プログラムを用いて行う水上及び/又は水中移動モードと、飛行を専用の前記移動支援用プログラムを用いて行う飛行モードとを備える
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の移動装置。
【請求項25】
自装置は、水空陸両用の移動装置であって、
前記複数の移動モードとして、水上及び/又は水中の移動を専用の前記移動支援用プログラムを用いて行う水上及び/又は水中移動モードと、飛行を専用の前記移動支援用プログラムを用いて行う飛行モードと、陸上の移動を専用の前記移動支援用プログラムを用いて行う陸上移動モードとを備える
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の移動装置。
【請求項26】
自装置を移動させるための複数の移動モードを備え、前記複数の移動モードの内、少なくとも一つの移動モードは、当該移動モード用の移動支援用プログラムを用いて移動を支援する移動装置であって、前記移動支援用プログラムの更新プログラムの情報は、少なくとも前記複数の移動モードの内のいずれの移動モード用であるかを識別可能とする更新プログラム・モード種別識別情報を含む移動装置が備えるコンピュータを、
前記移動支援用プログラムの更新プログラムの情報を取得するための更新プログラム取得手段、
前記更新プログラム取得手段で取得される前記更新プログラムの情報に含まれる前記更新プログラム・モード種別識別情報に基づいて、前記更新プログラムの情報がいずれの移動モード用であるかを識別する更新プログラム・モード種別識別手段、
前記更新プログラムの情報の取得時点における自装置の移動モードを検知する移動モード検知手段、
前記更新プログラム取得手段で取得される前記更新プログラムの情報に基づいて前記移動支援用プログラムの更新の実行を制御するプログラム更新制御手段、
として機能させるための自動車用プログラムであって、
前記プログラム更新制御手段は、
前記移動モード検知手段の検知結果と、前記更新プログラム・モード種別識別手段の識別結果とに基づいて、前記更新プログラム取得手段で取得された前記更新プログラムの情報が、前記移動モード検知手段で検知された移動モード用ではないと判別したときに、前記移動支援用プログラムの更新を実行するように制御する
ことを特徴とする移動装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、手動運転モードと自動運転モードなど複数の移動モードを備える自動車などの移動装置に関し、特に、当該移動装置が備えるソフトウェアプログラムの更新に関する。また、この発明は、この移動装置が有する移動装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車には、自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステムなどの走行支援機能が搭載され、より安全で、且つ、運転者の負担を軽減させることができるようになってきている。さらには、運転者が手動運転操作を全くしなくても自律走行することができるようにする自律走行支援機能を用いて完全自動運転が可能な自動運転車の開発も進んでいる。このような自動車の走行支援機能や自律走行支援機能は、ソフトウェアプログラム(以下移動支援用プログラムという)が用いられて実行される。
【0003】
ところで、移動支援用プログラムは、その不具合を修正したり、新規機能を追加したりするために、適宜、更新されるのが通常である。この場合に、移動支援用プログラムの更新のために、都度、自動車をディーラーに持ち込むようにすることは不便であるため、一般的には、プログラム更新サーバからインターネットを通じて自動車に更新プログラムを提供する方法が用いられる。
【0004】
ただし、移動走行支援用プログラムの更新は、いつでもできる訳ではなく、それらの走行支援用プログラムの実行中に、当該移動支援用プログラムの更新しながらの走行は危険である。このことに鑑み、特許文献1(特開平11-259284号公報)には、プログラムが非稼働であるときに当該プログラムの更新を可能とすることが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明を用いる場合には、個々のプログラムの稼働状況を判定しなければならず、管理が複雑になると共に、自車の走行モード(移動モード)が、当該移動支援用プログラムが利用できるモードであるときであっても、利用者が利用したいと望むときに、更新中となっていて利用できない恐れがあり、不便である。
【0006】
この問題点を改善したものとして、例えば特許文献2(特開2007-230317号公報)には、移動支援用プログラムの書き替え要求があった場合、車両を停止状態に制御した後、当該移動支援用プログラムの書き換えを実行するようにすることが開示されている。この特許文献2に記載の発明によれば、個々のプログラムの稼働状況を判定する必要はなく、また、更新(書き替え)を行うのは停止状態であるので、移動支援用プログラムが利用できる環境ではないので、利用者が利用したいと望むことはなく、利用者が不便に感じることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11-259284号公報
【文献】特開2007-230317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の発明を用いる場合には、自動車が、走行しているときに、プログラム更新通知を受信したときには、自動車は、都度、停止制御されることになり、運転者や乗車者にとっては非常に不便である。
【0009】
この発明は、自動車などの移動装置において、移動支援用プログラムの更新を、安全に、かつ更新の管理が容易であると共に、利用者にとっての便利なタイミングで実行することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、
自装置を移動させるための複数の移動モードを備え、前記複数の移動モードの内、少なくとも一つの移動モードは、当該移動モード用の移動支援用プログラムを用いて移動を支援する移動装置であって、
前記移動支援用プログラムの更新プログラムの情報は、少なくとも前記複数の移動モードの内のいずれの移動モード用であるかを識別可能とする更新プログラム・モード種別識別情報を含み、
前記移動支援用プログラムの更新プログラムの情報を取得するための更新プログラム取得手段と、
前記更新プログラム取得手段で取得される前記更新プログラムの情報に含まれる前記更新プログラム・モード種別識別情報に基づいて、前記更新プログラムの情報がいずれの移動モード用であるかを識別する更新プログラム・モード種別識別手段と、
前記更新プログラムの情報の取得時点における自装置の移動モードを検知する移動モード検知手段と、
前記更新プログラム取得手段で取得される前記更新プログラムの情報に基づいて前記移動支援用プログラムの更新の実行を制御するプログラム更新制御手段と、
を備え、
前記プログラム更新制御手段は、
前記移動モード検知手段の検知結果と、前記更新プログラム・モード種別識別手段の識別結果とに基づいて、前記更新プログラム取得手段で取得された前記更新プログラムの情報が、前記移動モード検知手段で検知された移動モード用ではないと判別したときに、前記移動支援用プログラムの更新を実行するように制御する
ことを特徴とする移動装置を提供する。
【0011】
上述の構成のこの発明の移動装置は、自装置を移動させるための複数の移動モードを備える。そして、複数の移動モードの内、少なくとも一つの移動モードは、当該移動モード用の移動支援用プログラムを用いて移動を支援する。
【0012】
そして、この発明の移動装置においては、プログラム更新制御手段は、更新プログラム取得手段で取得された更新プログラムの情報が、移動モード検知手段で検知された、更新プログラム取得手段で更新プログラムの情報の取得時点における自装置の移動モード用ではない前記移動支援用プログラムであると判別したときに、前記移動支援用プログラムの更新を実行するように制御する。
【0013】
したがって、この発明の移動装置によれば、移動支援用プログラムが実行されているとき、また、実行されるおそれがあるときに、当該移動支援用プログラムの更新がされることはなく、移動装置の移動時の安全が確保される。そして、この発明の移動装置によれば、プログラムの更新の管理においては、自装置の移動モードを管理するだけで良く、個々のプログラムの稼働状況を判定する必要はないという利点がある。また、停止状態のみではなく、移動状態においても更新が可能であるので、更新機会が増加して、迅速なプログラム更新ができて便利である。さらに、移動装置の移動状態での更新は、移動支援用プログラムが利用されない移動モードにおいて実行されるので、利用者の当該移動モード用プログラムの利用が阻害されることはなく便利である。
【発明の効果】
【0014】
この発明による移動装置によれば、移動支援用プログラムの更新を、安全に、かつ更新の管理が容易であると共に、利用者にとっての便利なタイミングで実行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車の電子制御回路部の構成例を示すブロック図である。
図2】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車の電子制御回路部の構成例の一部を説明するためのブロック図である。
図3】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車の電子制御回路部の構成例の他の一部を説明するためのブロック図である。
図4】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車における降車後振る舞いの例を説明するための図である。
図5】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車における降車時処理動作の流れの一例を示すフローチャートを示す図である。
図6】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新方法を説明するための図である。
図7】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートを示す図である。
図8】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図9】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図10】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図11】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図12】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図13】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図14】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図15】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図16】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図17】この発明による移動装置の実施形態としての自動運転車の他の構成例を説明するための図である。
図18】この発明による移動装置の他の実施形態としての水陸両用車の例を示す図である。
図19】この発明による移動装置の他の実施形態としての空陸両用車の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明による移動装置の実施形態を、図を参照しながら説明する。以下に説明する移動装置の実施形態は、移動装置が自動車の場合であって、移動モードとして、運転者による手動運転操作に応じて走行を行う手動運転モードと、運転者による運転操作によらずに、自律走行を行うようにする自動運転モードとの2つの移動モードを備える自動運転車の場合である。なお、以下の説明においては、移動は自動車の走行であるので、移動モードは、走行モードと称し、移動支援用プログラムは走行支援用プログラムと称することとする。また、移動モード識別情報は、走行モード識別情報と称する。
【0017】
以下に説明する実施形態の自動運転車においては、手動運転モードにおいて運転者の手動運転を支援する手動運転モード用の走行支援用プログラムを搭載していると共に、自動運転モードにおいて自律走行を支援するための自動運転モード用の走行支援用プログラムを搭載している。これらの手動運転モード用の走行支援用プログラム及び自動運転モード用の走行支援用プログラムは、それぞれを識別するプログラム識別情報と、どの走行モード用であるかの走行モード識別情報とが割り当てられている。
【0018】
手動運転モード用の走行支援用プログラムの例としては、自車の走行速度に応じてハンドル操作の軽さを制御するようにするパワーステアリングシステムのプログラムなどが挙げられる。また、自動運転モード用の走行支援用プログラムの例としては、センサやカメラを用いて、障害物を回避して自律走行させるようにするためのプログラムなどが挙げられる。
【0019】
そして、この実施形態の自動運転車においては、自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステムを備え、手動運転モードにおいて、それらが起動できるように構成されている。これらの自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステムは、それぞれのシステム用の走行支援用プログラムが用いられて動作する。
【0020】
自動衝突防止アシストシステムは、障害物に対して衝突するのを防止して、自車を当該障害物の直前で停止させる機能を備えるものであり、これは、自動ブレーキシステムと呼称される等、名称は自動車会社等によりさまざまであるが、この明細書では、自動衝突防止システムの名称を用いるものとする。
【0021】
また、クルーズコントロールシステムは、直前を走行する他車と自車との車間距離を一定に保った状態での走行を維持する機能を有するものであるが、これも、オートクルーズシステム、自動追尾システム等、名称は自動車会社等によりさまざまであるが、この明細書では、クルーズコントロールシステムの名称を用いるものとする。
【0022】
また、レーンキープアシストシステムは、走行車線(走行レーン)の両側の白線を検知して、当該両側の白線内の走行を維持する機能を有するものであり、これもレーントレーシングアシストシステムと呼称する等、名称は自動車会社等によりさまざまであるが、この明細書では、レーンキープアシストシステムの名称を用いるものとする。
【0023】
そして、この実施形態の自動運転車の自動運転モードにおいては、これらの自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステムのそれぞれのシステム用の走行支援用プログラムが自律走行を支援するためにも用いられる。すなわち、自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステム用の走行支援用プログラムは、手動運転モードと自動運転モードとの両走行モードで共用される走行支援用プログラムである。
【0024】
これらの共用モード用の走行支援用プログラムには、それぞれを識別するプログラム識別情報と共に、走行モード識別情報として、手動運転モードと自動運転モードとで共用される共用モード用であることを示す識別情報が割り当てられている。この実施形態では、共用モード用であることを示す識別情報は、当該共用モードであることを示すユニークな識別情報とされるが、その代わりに、手動運転モード用であることを示す走行モード識別情報と、自動運転モード用であることを示す走行モード識別情報との両方を、走行モード識別情報として持つようにしてもよい。
【0025】
なお、この実施形態の自動運転車では、手動運転モードにおいても用いられる走行支援プログラムを備える場合としたが、手動運転モードでは、そのような走行支援プログラムを備えず、自動運転モードにおいてのみ走行支援用プログラムが用いられる自動車であっても、この発明は適用可能である。
【0026】
図1は、この実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10のハードウエア構成例を示すブロック図である。なお、この実施形態の自動運転車1は、電気自動車の場合の例であり、駆動源としてのバッテリー11を搭載している。
【0027】
また、この実施形態の自動運転車1は、手動運転モードと、この実施形態では自律走行を行う自動運転モードとを備えている。
【0028】
手動運転モードは、自動運転車ではない通常の自動車と同様に、運転者のアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作(ハンドル操作)に応じた走行ができるモードである。ただし、上述したように、この実施形態の自動運転車1は、手動運転モードにおいて自動的に起動される走行支援用プログラムを有すると共に、手動運転モードにおける運転者の操作により起動される自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステムの機能を実行する走行支援用プログラムを有する。そして、この例では、運転者による所定の所作により、手動運転モードから自動運転モードに切り替えが可能に構成されている。
【0029】
また、この実施形態における自動運転モードは、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作をしなくても、自動運転車1自身が自動的(自律的)に障害物を回避しながら自律走行するモードであり、複数の自動運転モード用の走行支援用プログラムが用いられる。この自動運転モードは、運転者による所定の所作により、手動運転モードに切り替えられる。
【0030】
ここで、運転者による所定の所作とは、運転者の手動運転操作などの所定の操作と、運転者の後述するタッチパネル112を通じた操作入力と、運転者による音声入力の所作を含むものである。
【0031】
例えば、自動運転車1の運転者による後述するタッチパネル112を通じた所定の操作や、運転者の音声の指示入力により、手動運転モードで走行中の自動運転車1を自動運転モードに切り替えることができると共に、自動運転モードで走行中に、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作などの操作をすると、自動的に手動運転モードに戻るように構成されている。なお、自動運転モードで走行中に、運転者によるタッチパネル112を通じた所定の操作や、運転者の音声の指示入力があった時に、自動的に手動運転モードに戻るように構成されていても勿論よい。
【0032】
そして、上述したように、この実施形態の自動運転車1においては、この自動運転モードの機能には、自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステム等の機能も含まれるものである。すなわち、自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステムの機能を実行する走行支援用プログラムは、手動運転モードと自動運転モードとで共用される。
【0033】
図1に示すように、電子制御回路部10は、コンピュータを搭載して構成されている制御部101に対して、システムバス100を通じて、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、ブレーキ駆動制御部105、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、表示部111、タッチパネル112、カーナビゲーション(以下、カーナビと略称する)機能部113、利用者認証部114、呼出者認証部115、降車後振る舞い設定受付部116、振る舞い制御管理部117、走行以外用途機能部118、プログラム更新管理制御部119、音声入出力部120、時計部121、バッテリー残量検出部122、無線通信部123、のそれぞれが接続されている。
【0034】
モータ駆動制御部102には、モータ駆動部131が接続されている。ステアリング駆動制御部103には、ステアリング駆動部132が接続されている。また、手動/自動運転モード切替制御部104には、手動操作検知部133が接続され、ブレーキ駆動制御部105には、ブレーキ駆動部134が接続されている。また、カーナビ機能部113には、カーナビ用データベース135が接続されている。また、音声入出力部120には、スピーカ136及びマイクロフォン137が接続されている。
【0035】
モータ駆動制御部102は、制御部101の制御の下に、この実施形態の電気自動車で構成される自動運転車1のモータ駆動部131への駆動信号の供給を制御して、自動運転車1の走行開始、走行速度制御(ブレーキ制御及びアクセル制御を含む)、走行停止などを制御するようにする。
【0036】
ステアリング駆動制御部103は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動運転車1のステアリング駆動部132への駆動制御信号の供給を制御して、自動運転車1の進路変更の制御をするようにする。
【0037】
手動/自動運転モード切替制御部104は、タッチパネル112を通じた運転モード選択操作入力に応じて、自動運転車1の運転モードを、手動運転モードと、自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う。
【0038】
なお、手動/自動運転モード切替制御部104が、自動運転車1の運転モードを、手動運転モードと、自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う契機となる入力としては、タッチパネル112を通じた選択操作入力に限らず、マイクロフォン137を通じた切り替え指示の音声入力であってもよい。音声入力の場合には、マイクロフォン137を通じた切り替え指示の音声入力が音声認識され、その認識結果が手動/自動運転モード切替制御部104に供給される。手動/自動運転モード切替制御部104は、受け取った音声認識結果に基づいて運転モードの切替を行うようにする。
【0039】
そして、手動操作検知部133は、運転者によるアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作さらにはステアリング操作の操作情報を受けて、その手動運転操作情報を手動/自動運転モード切替制御部104に供給する。手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転モードにおいて、運転者による手動運転操作が手動操作検知部124で検知された場合には、手動運転モードに切り替える制御を行う。
【0040】
手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転車1が手動運転モードのときには、手動操作検知部133からの手動運転操作情報を、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103に供給して、モータ駆動部131、ステアリング駆動部132を、運転者のペダル操作やシフトレバー操作、ステアリング操作(ハンドル操作)に応じて制御する。
【0041】
また、手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転車1が自動運転モードのときには、後述するようにして、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109の出力に基づいて制御部101で生成される自動運転操作情報を、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103に供給して、モータ駆動部131、ステアリング駆動部132を、自動運転操作情報により駆動制御し、自律走行を行うようにする。なお、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113において、運転者などにより設定された行先(目的地)に対する現在位置からの経路が探索され、その探索された経路に沿って走行するように制御される。
【0042】
そして、手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転モードにおいては、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作(ハンドル操作)等の所定の操作をすると、手動操作検知部133での手動運転操作の検知情報に基づいて、自動運転車1の運転モードを自動的に手動運転モードに戻すようにモード切替制御を行う。
【0043】
なお、完全自動運転車の場合は、自動運転モードしかないため、手動運転モードと自動運転モードの切替制御は必要なく、手動/自動運転モード切替制御部104も手動操作検知部133も存在しない。
【0044】
ブレーキ駆動制御部105は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動運転車1のブレーキ駆動部134への駆動制御信号の供給を制御して、自動運転車1の速度を低下させたり、停止させたりする制御をするようにする。
【0045】
レーダー群106は、自動運転車1の車両の周囲に存在する人や物との距離を測るためのもので、1~複数個のレーザー・レーダー(正式にはLIDAR(Light Detection and Ranging又はLaser Imaging Detection and Ranging;ライダー))やミリ波レーダーなどからなる。レーザー・レーダーは、例えば天井やバンパー付近に埋め込まれ、ミリ波レーダーは、例えば車両の前部及び後部に設けられている。レーザー・レーダーとミリ波レーダーの両方を備えてもよいし、一方のみであってもよい。また、マイクロ波レーダーなど、その他のレーダーを用いてもよい。さらに、レーダーと同様の目的でソナー(図示せず)を用いることができる。
【0046】
カメラ群107は、自動運転車1の車内を撮影する1~複数個のカメラと、自動運転車1の前方、側方、後方など、車外の周囲を撮影する1~複数個のカメラとを含む。車内を撮影するカメラは、例えば運転席と助手席の間に設置されたバックミラー(後写鏡、ルームミラー)やフロントウインドウの上部などに取り付けられ、運転席に座った人物(運転者)の所作を撮影するカメラの他、助手席や、後部座席に座った乗車者(同乗者)の所作を撮影するためのカメラを含む。また、自動運転車1の周囲を撮影するカメラは、例えばバックミラーの左側方及び右側方に取り付けられ、自動運転車1の左前方及び右前方を主として撮影する2台のカメラ(ステレオカメラ)や、自動運転車1の例えばドアミラー又はフェンダーミラーに取り付けられて左右の側方を撮影するカメラ、自動運転車1の後方を撮影するカメラなどを含む。
【0047】
センサ群108は、ドアの開閉や窓の開閉を検知する開閉検知センサ、シートベルト着用を検出するためのセンサ、運転席や助手席などの座席に乗車者が着座したことを検知する着座センサ(例えば重量センサ)、運転席のハンドルを人がタッチしたことを検知するタッチセンサ(例えば静電容量センサ)などの他、車外の近傍の人物を検知する人感センサ(例えば赤外線センサ)や自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサからなる。自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサとしては、例えば車両やタイヤの振動を検出するための振動センサ、タイヤの回転数を検出する回転数センサ、方位を検出するための地磁気センサ、加速度を検出するための加速度センサ、角度や角速度を検出するためのジャイロセンサ(ジャイロスコープ)、などが含まれる。また、この実施形態では、センサ群108には、右ウインカーや左ウインカー(方向指示器)やハザードランプ(非常点滅灯)の点灯を検知するセンサも含まれている。
【0048】
周囲移動体把握部109は、レーダー群106やセンサ群108、また、カメラ群107の撮像画像を用いて、自車の周囲の移動体(人物を含む)を把握するようにする。周囲移動体把握部109は、例えばベイズ理論やディープラーニングなどの機械学習に基づいた処理を行うことで、周囲の障害物や移動体を把握するようにする。
【0049】
現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波を受信して、自車の現在位置を検出する。現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波により検出された位置の精度は悪いので、GPS衛星からの電波の受信で検出された現在位置の情報のみではなく、センサ群108に含まれる1~複数個のセンサ及びレーダー群106、カメラ群107の撮像画像(ナビ機能を併用)などをも用いると共に、例えばベイズ理論やディープラーニングなどの機械学習に基づいた処理を行うことで、より精度の高い現在位置を検出確認するようにしている。
【0050】
自動運転車1は、自動運転モードにおいては、現在位置検出部110や周囲移動体把握部109において、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、GPS衛星からの電波の受信で取得した位置情報などの各種情報、つまり、人間の目や耳から得る情報に対応する情報をベイズ理論やディープラーニングなどの機械学習により処理し、これに基づき、制御部101は、自車の進路変更や障害物の回避など知的な情報処理(人工知能)及び制御(人工知能)を行って、自動運転操作情報を生成する。
【0051】
表示部111は、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる。タッチパネル112は、LCDからなる表示部111の表示画面の上に、指やタッチペン等によるタッチ入力が可能なタッチセンサが重畳されて配設されたものである。表示部111の表示画面には、制御部101の制御に基づき、ソフトウェアボタン(キーボードの文字入力用ボタンを含む)を含む表示画像が表示される。そして、タッチパネル112は、表示画面に表示されているソフトウェアボタン上の指やタッチペン等によるタッチを検出すると、そのタッチを制御部101に伝達する。これを受けた制御部101は、ソフトウェアボタンに対応する制御処理を実行するように構成されている。
【0052】
カーナビ機能部113に接続されているカーナビ用データベース135には、国内の地図及び経路案内データが、予め格納されている。カーナビ機能部113は、カーナビ用データベース135に記憶されている地図や、経路案内データに基づいて、自動運転車1が指定された目的地まで移動するのを補助するように案内するための機能部である。この実施形態では、カーナビ機能部113は、手動運転モードと、自動運転モードとで、若干異なる処理をするように構成されている。
【0053】
すなわち、手動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、表示部111の表示画面上において、目的地までの経路(ルート)を明示的に表示する地図上に、現在位置検出部110で検出確認されている自車位置を重畳表示した画像を表示すると共に、自車の移動に伴い、地図上の自車位置(現在位置)を移動させ、かつ、ルート上の交差点や分岐点など、経路案内が必要な箇所で音声案内をするようにする。これは、通常のカーナビ機能と同様である。
【0054】
一方、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、自車の現在位置が目的地までのルート上から離れているときには、その離間方向及び距離の情報を制御部101に通知すると共に、自車の現在位置が目的地までのルート上に在るときには、自車の移動に伴い、ルート上の交差点や分岐点などの手前で、ルートに沿った進路方向の変更指示情報を制御部101に通知するようにする。制御部101は、このカーナビ機能部113からの通知された情報と、現在位置検出部110の現在位置確認結果及び周囲移動体把握部109の把握結果とに基づいて、自車がルート上を指示された通りの進路をとって移動するように、モータ駆動制御部102を通じてモータ駆動部131を制御すると共に、ステアリング駆動制御部103を通じてステアリング駆動部132を制御するための自動運転操作情報を生成する。したがって、自動運転モードにおけるカーナビ機能部113及び制御部101による目的地までの経路案内により、乗車者が無人の状態においても、自動運転車1は、目的地まで移動することができる。
【0055】
利用者認証部114は、記憶部114Mに記憶された利用者の認証用情報と、その時の利用者から取得した認証用情報とを用いて、利用者認証を行う。ここで、利用者とは、運転者が主であるが、運転者以外の乗車者であってもよい。この実施形態の自動運転車1は、運転者が存在していなくても、自動運転モードにより自律走行が可能である。
【0056】
この実施形態では、例えば、直近の降車者の顔画像と、新たな利用者(乗車者)の顔画像との一致/不一致により利用者認証を行う。このため、この実施形態においては、この利用者認証部114は、画像認識手段を備える構成とされている。
【0057】
利用者認証部114の記憶部114Mには、この実施形態では、カメラ群107の内の所定のカメラで撮影された降車者の顔画像が記憶される。この実施形態では、この記憶部114Mには、カメラで撮影された直近の降車者の顔画像が、記憶されていた以前の降車者の顔画像に重ね書きされて更新記憶される。もちろん、重ね書きせずに、以前の降車者の顔画像を残しておいてもよい。なお、記憶部114Mには、予め、自動運転車1を利用する者として登録する利用者(例えば家族構成員やカーシェアにおける会員や知人・友人など)の顔画像の画像情報が登録されて記憶されていてもよい。
【0058】
なお、利用者の音声により利用者認証を行うこともでき、その場合には、自動運転車1は、降車者の音声をマイクロフォン137で収音して、記憶部114Mにその降車者の音声を記憶する。そして、利用者認証部114は、話者音声認識機能を備えるものとして構成されて、記憶されていた音声と、マイクロフォン137により収音された利用者の音声との一致/不一致を判定することで、利用者認証を行う。
【0059】
また、利用者の指紋により利用者認証を行うこともでき、その場合には、自動運転車1には、指紋読み取り装置が設けられると共に、記憶部114Mには、降車者の指紋が記憶され、利用者認証部114は、指紋認識機能を備えるものとして構成されて、記憶されていた指紋と、指紋読み取り装置により取得された新たな利用者の指紋との一致/不一致を判定することで、利用者認証が行われる。利用者認証には、静脈、虹彩、声紋、その他の生体情報を用いることでき、それらの場合も、同様の構成の変更により可能となる。もちろん、これらの顔画像、音声、指紋などの生体情報を組み合わせて記憶し、利用者認証に用いてもよい。
【0060】
さらには、利用者が自動運転車1の鍵を保持することにより利用者認証を行うこともできる。
【0061】
なお、記憶部114Mには、マイクロフォンで収音された直近の降車者の音声が、記憶されていた以前の降車者の音声に重ね書きされて更新記憶されてもよいし、重ね書きせずに、以前の降車者の音声を残しておいてもよい。これは降車者の音声に限らず、指紋、静脈、虹彩、声紋、その他の生体情報でも同様の記憶の仕方が可能である。
【0062】
呼出者認証部115は、記憶部115Mに記憶された呼出者の認証用情報と、無線通信部123で呼び出しを受けた時に取得した呼出者から取得した認証用情報とを用いて、呼出者認証を行う。この実施形態では、直近の降車者の携帯電話端末の電話番号と、呼出者の携帯電話端末の電話番号との一致/不一致により呼出者認証を行う。
【0063】
呼出者認証部115の記憶部115Mには、この実施形態では、タッチパネル112を通じて入力された直近の降車者の携帯電話端末の電話番号が記憶される。この記憶部115Mに記憶される電話番号は、以前に記憶されていた電話番号に重ね書きされることで、直近の降車者のみの電話番号とされる。もちろん、重ね書きせずに、以前に記憶されていた電話番号を残しておいてもよい。なお、携帯電話端末の電話番号の代わりにメールアドレスが記憶されてもよいし、通信アプリのIDが記憶されてもよい。もちろん、これらが電話番号と組み合わせて記憶されていてもよい。この場合、メールアドレスや通信アプリのIDの重ね書きの有無も、電話番号の場合と同様である。さらに、呼出者に音声発話させ、話者認識を行うこともできる。
【0064】
呼出者認証部115は、無線通信部123への呼出者からの着信があった時に、その着信の電話番号を取得して、記憶部115Mに記憶された電話番号との一致/不一致を判定して、呼出者認証を行う構成とされている。
【0065】
なお、呼出者認証部115の構成に関しても、利用者認証部114の構成と同様に、認証用情報として使用する情報の違いに応じて構成が変更されるものである。
【0066】
降車後振る舞い設定受付部116は、この実施形態では、運転者や運転者以外の乗車者などの利用者の降車時における、当該利用者による自動運転車1がすべき降車後振る舞いの設定を受け付けて、受け付けた設定情報を内蔵する記憶部116Mに記憶する。また、この実施形態では、記憶部116Mには、予め利用者により降車後振る舞いのリストが登録されて記憶されている。降車後振る舞い設定受付部116は、記憶部116Mに記憶されている降車後振る舞いのリストを利用者に呈示し、そのリストの中から、利用者により選択設定された降車後振る舞いの情報の設定を受け付ける。なお、降車後振る舞い設定受付部116は、自動運転車1に設けられる以外に、自動運転車1と通信可能な利用者のスマートフォンなどの携帯電話端末に設けられるようにしてもよい。
【0067】
この場合に、図示は省略するが、降車後振る舞いリスト(後述の図4参照)の各降車後振る舞いの項目をアイコンボタンの構成として、利用者が、希望するそれぞれのアイコンボタンをタッチパネル112において操作指示することで、降車後振る舞いの情報の選択設定入力をすることができる。記憶部116Mに記憶されている降車後振る舞いの例及び降車後振る舞い設定受付部116の設定受付処理については後述する。
【0068】
なお、降車後振る舞い設定用の入力方法としては、音声による各降車後振る舞いの読み上げ入力とすることもできる。制御部101は、そのための音声認識機能を備えているものである。
【0069】
振る舞い制御管理部117は、自車の現在時点における状態(走行中か停止中かの状態)や、走行中の自車の走行モードを検知して管理すると共に、利用者の降車後の自車についての振る舞いを、降車後振る舞い設定受付部116で受け付けた降車後振る舞いに基づいて実行し、管理する。振る舞い制御管理部117は、利用者により、降車後振る舞い設定受付部116で受け付けられた降車後振る舞い、及び当該降車後振る舞いを実行するための認証用情報や、時間情報を記憶する記憶部117Mを備えている。
【0070】
そして、この実施形態では、振る舞い制御管理部117は、図2に示すように、記憶部117Mの他に、機能手段として、走行モード検知手段1171と、自車状態判別手段1172と、降車後振る舞い実行制御手段1173と、停止継続時間予測手段1174とを有する。
【0071】
走行モード検知手段1171は、自車が走行中であるときに、現在時点での走行モードが、自車が備える複数の走行モードの内のいずれであるかを検知するもので、この例では、手動運転モードと自動運転モードのいずれであるかを検知する。走行モード検知手段1171は、この例では、手動操作検知部133を通じた運転者による所定の操作と、タッチパネル112を通じた操作入力と、マイクロフォン137で収音した音声指示入力とから、現在時点での走行モードが、手動運転モードと自動運転モードのいずれであるかを検知する。
【0072】
自車状態判別手段1172は、自車が走行中であるか、停止中であるかを判別する。ここで、自車の停止中には、停車と駐車のいずれの停止中をも含むものである。そして、停止継続時間は、停止中の状態が終了するまでの継続時間である。自車状態判別手段1172は、この実施形態では、運転モードが、手動運転モードであるか自動運転モードであるかに関わらず、自車が走行中であるか、停止中であるかを判別する。
【0073】
自車状態判別手段1172は、例えば、図示は省略した自車の走行速度検出手段により、速度が零である状態が、所定時間以上、例えば信号待ちの時間以上、継続したときに、自車が停止中であると判別する。この場合には、自車状態判別手段1172は、速度検出手段の機能やカメラ群107の撮像画像からの信号機の画像認識機能(赤信号などの識別)も有する。また、自車状態判別手段1172は、自車から運転者や乗車者が降車したことを検出したとき、自車が停止中であると判別するようにしてもよい。そして、この実施形態では、振る舞い制御管理部117は、自車状態判別手段1172で自車が停止中であると判別したら、プログラム更新管理制御部119に、自車の停止状態を通知するようにする。振る舞い制御管理部117の自車状態判別手段1172は、プログラム更新管理制御部119からの問い合わせがあった時に、自車が停止中か、走行中かを通知するようにしてもよい。
【0074】
降車後振る舞い実行制御手段1173は、降車後振る舞い設定受付部116で受け付けた降車後振る舞いに基づいて降車後振る舞いを実行するように制御する。この降車後振る舞いとしては、後述するように、降車後、降車後振る舞い設定受付部116で受け付けられた目的地に向かって走行する状態と、乗車者が降車した場所での停止状態を継続するように状態を含むものである。
【0075】
停止継続時間予測手段1174は、自車状態判別手段1172で自車が停止中であると判別されたときに、停止継続時間を予測する機能を備えている。停止継続時間予測手段1174は、後述するように、この実施形態では、利用者により設定された降車後振る舞いから、停止継続時間を予測するようにする。この停止継続時間予測手段1174で予測された停止継続時間の情報は、この実施形態では、プログラム更新管理制御部119からの問い合わせがあったときに送られる。
【0076】
この場合に、停止継続時間予測手段1174は、自車状態判別手段1172で停止状態が判別されたときに、停止状態の終了時刻を予測しておく。そして、停止継続時間予測手段1174は、プログラム更新管理制御部119からの問い合わせがあったときには、その問い合わせの受付時点から、予測している終了時刻までの時間を、停止継続時間として算出し、プログラム更新管理制御部119に回答する。
【0077】
なお、停止継続時間予測手段1174は、自車状態判別手段1172で自車が停止中になったことが判別された時点で、停止状態の終了時刻を予測して、その予測した停止継続時間の情報を、プログラム更新管理制御部119に自動的に通知するようにしてもよい。その場合には、プログラム更新管理制御部119は、振る舞い制御管理部117から受け取った停止状態の終了時点の情報から、自身で停止継続時間を予測するようにすることができる。
【0078】
なお、この場合に、運転者が乗車しているときには、当該運転者による制御指示に従って自車の移動制御がなされるのが一般的であるという観点から、振る舞い制御管理部117は、この実施形態では、利用者が降車した後、自車内に運転者が存在しない場合にのみ、受け付けた降車後振る舞いに基づいた制御処理を実行及び管理をするようにする。この振る舞い制御管理部117による振る舞い制御及び管理の例については、後で詳述する。
【0079】
なお、停止継続時間については、降車者が降車時に、タッチパネル112からの入力、マイクロフォン137を通じての音声入力、あるいは、スマートフォンなどの携帯電話端末からの入力をすることができ、その場合は、その入力した時間が、停止継続時間予測手段1174における停止継続時間の予測に反映される。また、降車時でなくても、乗車時や乗車中に既に利用者が停止中の時間の長さが把握できているのであれば、当該利用者が、乗車時や乗車中に、停止継続時間(停止継続時刻)を、タッチパネル112を通じて入力したり、マイクロフォン137を通じて音声により入力したり、スマートフォンなどの携帯電話端末からの入力をすることできるようにしてもよい。
【0080】
走行以外用途機能部118は、AVエンタテインメント機能やゲーム機能など、自動運転車1の走行以外用途の機能を実行するための機能部である。タッチパネル112を通じた利用者による走行以外用途機能の選択及び開始指示により、その機能が実行開始され、利用者による終了指示(自動運転車1の駆動電源オフを含む)により、その機能の実行が終了される。AVエンタテインメント機能やゲーム機能など走行以外用途は、自車が停止状態である場合に限らず、自車の走行中(手動運転モードでの走行中及び自動運転モードでの走行中の両方)であっても利用可能である。
【0081】
プログラム更新管理制御部119は、無線通信部123によりインターネット2を通じて、後述するプログラム更新サーバ3(図6参照)と接続して、自動運転車1の各部のプログラムの更新処理を行う。この実施形態の自動運転車1では、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、ブレーキ駆動制御部105、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、降車後振る舞い設定受付部116、振る舞い制御管理部117、などが走行用途用の機能部とされて、それぞれ走行支援用プログラムにより動作するようにされている。また、利用者認証部114、呼出者認証部115及び走行以外用途機能部118は、走行以外用途についての機能部であるが、これらも、それぞれプログラムにより動作するようにされている。プログラム更新管理制御部119は、それらの全てのプログラムの更新を管理及び制御する。
【0082】
プログラム更新管理制御部119は、更新プログラムの情報の管理用として記憶部119Mを備えると共に、機能手段として、図3に示すように、更新通知監視手段1191と、更新問い合わせ手段1192と、更新プログラム取得手段1193と、更新プログラム・モード種別識別手段1194と、プログラム更新制御手段1195とを備える。このプログラム更新管理制御部119の各機能手段の詳細な処理機能内容及び動作については、後で詳述する。
【0083】
音声入出力部120は、マイクロフォン137で収音した音声を取り込んで、例えば音声認識処理のためにシステムバス100に送出するようにする。また、音声入出力部120は、図示は省略するが、外部に放音する音声メッセージデータを記憶するメモリを内蔵すると共に、そのメモリから読み出された音声メッセージデータを、アナログ音声信号に変換する音声合成器やD-A変換器を内蔵している。そして、音声入出力部120は、制御部101の制御により選択された音声メッセージを、スピーカ136に供給して、音声として外部に放音するようにする。
【0084】
記憶する音声メッセージとしては、後述するように、例えば「降車後振る舞い設定をしますか?」などの問い合わせメッセージや、「認証しました。」、「認証できませんでした。」などの通知メッセージ、降車後振る舞い設定入力を受け付ける際の対話型メッセージなどが用意されている。また、「プログラムの更新中のため、呼び出しに応じることはできません。」あるいは「プログラムの更新中のため、お待ち下さい。」などの通知メッセージも用意されている。
【0085】
時計部121は、カレンダー機能を備え、年、月、日、曜日及び現在日時を提供すると共に、制御部101の制御に基づいて、所定のタイミングからの時間計測やプログラムの更新を実行中における更新時間の残時間の計測を行うためのタイマー機能も備える。
【0086】
バッテリー残量検出部122には、バッテリー11が接続されている。バッテリー残量検出部122は、駆動源残量検出部を構成するもので、この実施形態では、駆動源としてのバッテリー11の残量を検出する。そして、この実施形態では、バッテリー残量検出部122は、走行用途の場合には、残量分でどのくらいの距離が走行可能か、あるいは、どのくらいの時間、走行可能かを検出する機能を備えると共に、走行以外用途の場合にも、バッテリー11の残量分でどのくらいの時間継続して利用可能かを検出する機能を備えている。さらに、この実施形態では、バッテリー11の残量分でプログラムの更新が可能かどうかの判定も行う機能を備えている。
【0087】
無線通信部123は、インターネットを通じて、プログラム更新サーバやナビゲーション用の周辺検索サーバなどに接続する機能を備えると共に、利用者からの呼び出しに応じたりする機能を備えるもので、この例では、高機能携帯電話(スマートフォン)と同様の機能部を備える。したがって、自動運転車1の無線通信部123のそれぞれは、独自の携帯電話番号やメールアドレスを備える。
【0088】
以上のように、自動運転車1の電子制御回路部10は構成される。なお、上述の説明では、図1に示した、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、利用者認証部114、呼出者認証部115、降車後振る舞い設定受付部116、振る舞い制御管理部117、走行以外用途機能部118は、各部がそれぞれプログラムの各処理機能は、それぞれの機能を実行するプログラムを制御部101がソフトウェア処理として実現することができる。なお、上記の各部の全てをプログラムによる処理機能とするのではなく、一部は、ハードウエアの構成部として構成してもよいことは言うまでもない。
【0089】
なお、この実施形態では、自動運転車1では、自車が停止状態であるときには、走行中にのみ動作させるべき各部への電源の供給が停止されるが、現在位置検出部110、利用者認証部114、呼出者認証部115、振る舞い制御管理部117、プログラム更新管理制御部119の各部は、スタンバイ状態とされ、制御部101により、必要なときに即座に起動することが可能とされている。制御部101が、全ての機能をプログラムにより実行する場合には、制御部101は、停止中においても、常にスタンバイ状態とされ、種々の起動トリガーに応じて起動可能であることは言うまでもない。
【0090】
[降車後振る舞い設定受付部116の記憶部116Mの記憶情報の例]
前述したように降車後振る舞い設定受付部116の記憶部116Mには、利用者が指定したい降車後振る舞いが予め記憶保持される。この降車後振る舞いとしては、自動運転車1に予め自動車会社などによりデフォルトとして登録されているものの中から選択することもできるし、利用者が設定して記憶させるようにすることもできる。また、インターネットのクラウド上に記憶したものを利用することもできる。
【0091】
図4は、この実施形態において、降車後振る舞い設定受付部116の記憶部116Mに記憶されている降車後振る舞いの例を示すものである。各降車後振る舞いの例について説明する。
【0092】
「既定の駐車場へ移動」は、利用者が降車した後、予め登録されている既定の駐車場へ自動運転車1が移動するようにするもので、駐車場への移動により降車後振る舞いは終了となる。ここで、既定の駐車場としては、複数の駐車場を登録することができ、「自宅の駐車場」、「会社の駐車場」、「契約駐車場」などを登録することができる。駐車場の登録は、その位置情報と、「自宅の駐車場」、「会社の駐車場」、「契約駐車場」などの駐車場の名称(種別)とを記憶することを意味している。利用者は、降車後振る舞いとしてこの「既定の駐車場へ移動」を選択設定するときには、既定の駐車場の名称も併せて選択設定するものである。
【0093】
この「既定の駐車場へ移動」が降車後振る舞いとして設定された場合には、利用者が降車した後、比較的長時間の間、例えば1時間以上、自動運転車1の利用は予定されていないと予測される。そこで、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能においては、この利用がされないと予測される時間を停止継続時間として予測する。
【0094】
「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」は、自動運転車1が利用者の降車位置近傍の駐車場を検索して、その駐車場で待機し、その後、利用者が、携帯電話端末で、自動運転車1の無線通信部123を通じて呼出の電話通信をすると、その呼出に応じて、自動運転車1は、利用者が降車した場所に戻るようにするものである。また、この実施形態では、利用者は、降車時に、呼出時の認証用情報と再乗車のための認証用情報を登録するようにする。振る舞い制御管理部117は、登録された認証用情報を、降車後振る舞いの設定情報と共に記憶部117Mに記憶保持する。なお、呼出時の認証用情報と再乗車のための認証用情報は、再乗車が完了した時点で、削除(抹消)するようにすることもできる。
【0095】
この場合に、呼出までの待機時間の入力が利用者に対して促され、図4に示すように、当該待機時間の入力欄に、利用者により待機時間が設定入力される。振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段1174においては、この設定入力された待機時間から停止継続時間を予測する。
【0096】
自動運転車1の振る舞い制御管理部117は、携帯電話端末を通じた利用者による呼出があった時に、登録されている呼出時の認証用情報を用いて呼出者の認証を行い、認証がOKであったときにのみ呼出に応じて、利用者が降車した場所に戻る移動制御を行う。この実施形態では、呼出時の認証用情報として、例えば呼出者の携帯電話端末の電話番号(加入者番号)が、降車時に登録され、呼出者からの着信を受けた時に、呼出者の電話番号が登録された電話番号であるか否かにより認証を行う。
【0097】
そして、自動運転車1の振る舞い制御管理部117は、利用者の再乗車を検知したときには、登録されている再乗車時の認証用情報を用いて再乗車者の認証を行い、認証がOKであったときにのみ再乗車者により自車の利用を許可するように制御する。この実施形態では、再乗車時の認証用情報として、例えば利用者の顔画像を降車時に登録しておき、利用者の再乗車時に、顔画像による顔認識により、利用者が登録された降車者であるか否かにより認証を行う。
【0098】
なお、呼出時の認証用情報としては、携帯電話端末の電話番号に限られるものではなく、メールアドレスでもよい。また、パスワードやIDなどを登録しておき、呼出者からの呼出の着信に基づく通信において、そのパスワードやIDなどを送ってもらって、両者の一致を確認することで認証を行うようにしてもよい。電話番号やメールアドレスと、それらパスワードやIDとの組み合わせを呼出時の認証用情報としてもよい。
【0099】
また、再乗車者の認証用情報としては、顔画像のみではなく、声(音声)や指紋、静脈、虹彩などの生体情報であってもよいし、さらには、パスワードやIDを用いるようにしてもよい。また、それらの組み合わせを認証用情報としてもよい。
【0100】
「ここで待機」は、自動運転車1は、利用者が降車した場所で、そのまま待機するものである。この場合に、待機時間の入力が利用者に対して促され、図4に示すように、当該待機時間の入力欄に、利用者により待機時間が設定入力される。振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段1174においては、この設定入力された待機時間から停止継続時間を予測する。
【0101】
更に、この実施形態では、降車時に利用者は、再乗車のための認証用情報を登録するようにする。この再乗車のための認証用情報は、前述した「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」において説明したものと同様とすることができ、この実施形態では利用者(例えば運転者)の顔画像とする。振る舞い制御管理部117は、登録された認証用情報を、降車後振る舞いの設定情報と共に記憶部117Mに記憶保持する。
【0102】
「地点Aに向かう」は、自動運転車1は、自律走行により利用者が指定した場所に向かう動作をするものである。地点Aは、利用者により降車時に指定される。この地点Aは、予め登録してある地点の中から設定してもよいし、例えば地図上において指定したり、住所を入力して指定したり、特定可能な建物名などを指定したりするようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)でしてもよい。さらに、地点Aが電話番号で特定できる場合は、電話番号を入力して指定してもよい。この場合には、継続して停止中となる時間を予測するのは困難であるので、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段1174においては、停止継続時間は例えば零と予測する。
【0103】
この「地点Aに向かう」の場合の再乗車者は、降車した利用者に限られるものではない。そこで、再乗車者の認証用情報として、この実施形態では、パスワードやIDが設定される。振る舞い制御管理部117は、登録された認証用情報を、降車後振る舞いの設定情報と共に記憶部117Mに記憶保持する。
【0104】
「呼出に応じて迎えに行く」は、利用者が降車した後は、自動運転車1は呼出があるまでは自由な動作(自律走行による走行も可能)を行うことができる。利用者が、携帯電話端末で、自動運転車1の無線通信部123を通じて呼出の電話通信をすると、その呼出に応じて、自動運転車1は、利用者が指定した場所に迎えに行くようにする。この場合に、迎えに行く場所の情報は、利用者が自動運転車1に呼出の電話通信をしたときに、その電話通信において自動運転車1に送られる。例えば利用者の携帯電話端末が備えるGPSによって測位された現在位置の情報が、迎えに行く場所の情報として、利用者の携帯電話端末から自動運転車1に送られる。更に、この場合にも、利用者は、降車時に、呼出時の認証用情報と、再乗車のための認証用情報を登録するようにする。呼出時の認証用情報及び再乗車のための認証用情報に関しては、「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」と同様の処理を行う。
【0105】
なお、この場合にも、継続して停止中となる時間を予測するのは困難であるので、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段1174においては、停止継続時間は例えば零と予測する。
【0106】
また、呼出は電話通信に限らず、メールでの呼出しでもよいし、通信アプリによる呼出でもよい。
【0107】
「地点Bで待機」は、自動運転車1は、利用者が指定した場所で待機して、利用者の再乗車を待つものである。地点Bは、利用者により降車時に指定される。この地点Bは、予め登録してある地点の中から設定してもよいし、例えば地図上において指定したり、住所を入力して指定したり、特定可能な建物名などを指定したりするようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)でしてもよい。さらに、地点Bが電話番号で特定できる場合は、電話番号を入力して指定してもよい。
【0108】
この場合に、待機時間の入力が利用者に対して促され、図4に示すように、当該待機時間の入力欄に、利用者により地点Bでの待機時間が設定入力される。振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段1174においては、この設定入力された待機時間から停止継続時間を予測する。
【0109】
そして、この場合の利用者の再乗車時の認証用情報としては、前述した「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」において説明したものと同様とすることができ、この実施形態では利用者(例えば運転者)の顔画像とする。振る舞い制御管理部117は、登録された認証用情報を、降車後振る舞いの設定情報と共に記憶部117Mに記憶保持する。
【0110】
「所定時間後に降車位置に戻る」は、利用者が降車後に所定の用事を行っている所定時間後、降車位置(現在位置)に戻る(移動せず居ることを含む)ことを前提とした降車後の振る舞いである。利用者は、降車時に、図4に示すように、「所定時間」の入力欄に所定時間を直接的に設定したり、「所定時間」を把握するための用事を、その入力欄に入力したりする。すなわち、この場合の「所定時間」の設定の仕方としては、
(a)時計部121に対するタイマー時間の設定、
(b)マイクロフォン137を通じての音声入力による設定、例えば「ちょっとだけ用事」、「トイレ」、「食事」、「コンサート」、「野球観戦」、「サッカー観戦」、「大相撲観戦」、「2,3分」、「1時間ほど」など、
(c)表示部111に表示された所定の用事のリストの中からの選択
等が挙げられる。
【0111】
自動運転車1の制御部101が、(b)及び(c)の所定時間を把握するための情報の入力からの所定時間の把握の仕方の例を以下に示す。なお、(b)の場合には、「」で囲んだ文言が音声入力され、音声認識された用事が、入力欄に表示される。また、(c)の場合には、「」で囲んだ文言がリストの中から選択され、その選択された用事が、入力欄に表示される。振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段1174においては、「所定時間」が設定されている場合には、その時間情報から、また、「用事」が選択入力された場合には、当該選択された「用事」から「所定時間」を把握し、把握した「所定時間」から停止継続時間を予測する。
【0112】
「用事」と所定時間との例を以下に示す。
・「トイレ」 短めに時間を見積もって、所定時間は例えば10分として把握する。
・「大相撲観戦」 本場所の場合は、ほぼ18時に終了するので、その終了時刻を目安に、現在時刻からの所定時間を把握する。
・「野球観戦」 プロ野球の場合、試合開始から約3時間、高校野球の場合、試合開始から約2時間が目安である。延長戦になると時間が加算される。例えばインターネットを通じて所定のサイトから試合開始時間が入手できると共に、インターネットを通じて所定のサイトから放送中継等を入手すれば、試合終了時刻が把握できる。
・「サッカー観戦」 前半45分 ハーフタイム15分 後半45分 ロスタイム少々を目安に所定時間を把握する。延長戦になると時間が加算される。例えばインターネットを通じて所定のサイトから試合開始時間が入手できると共に、インターネットを通じて所定のサイトから放送中継等を入手すれば、試合終了時刻が把握できる。
・「コンサート」 主催者側発表の終演時間が目安である。降車時に、利用者により、その終演時間が入力され、その時刻を目安に所定時間を把握する。
・「映画鑑賞」 終演時間は確定している。降車時に、利用者により、その終演時間が入力され、その時刻を目安に所定時間を把握する。
・「ショッピングセンター」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば2時間として把握する。
・「デパート」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば2時間として把握する。
・「量販店(家電・コンピュータ)」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば1時間として把握する。
・「本屋」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば30分として把握する。
・「花屋」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば15分として把握する。
・「小さい商店」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば15分として把握する。
・「コンビニ」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば15分として把握する。
・「郵便局」 待ち時間によるが、郵便を投函するだけなら例えば3分、郵便窓口なら例えば10分、ATMなら例えば5分、貯金や保険の窓口なら例えば20分として所定時間を把握する。
・「銀行」 待ち時間によるが、ATMなら例えば5分、窓口なら例えば20分として所定時間を把握する。ATMは、利用待ちのため並んで待っている利用予定者の人数が外から把握できる場合は、当該人数をカメラで撮影した画像を認識することで、例えばATM待ち1人あたり3分として、3分に当該人数を乗じ、所定時間に加算するようにしてもよい。
・「塾」 終了時間は確定している。降車時に、利用者により、その終了時間が入力され、その時刻を目安に所定時間、例えば2時間を所定時間として把握する。
・「レストラン」 例えば昼食30分、夕食2時間として、所定時間を把握する。
・「喫茶店」 例えば1時間として、所定時間を把握する。
・「釣堀」 例えば2時間として、所定時間を把握する。
・「神社・仏閣」 初詣など。例えば1時間として、所定時間を把握する。
・「テーマパーク・アミューズメントパーク・レジャーランド・遊園地」 たっぷり遊ぶということで、例えば8時間として、所定時間を把握する。閉園までいるということであれば、現在から閉園時間までが所定時間として計算できる。
・「博物館・美術館」 大英博物館やルーブル美術館のように大きな施設であれば、例えば5時間、あるいは閉館時間までとして所定時間を把握し、小さな施設であれば、例えば1時間として所定時間を把握する。
・「動物園・水族館」 例えば3時間として、所定時間を把握する。
・「車両進入禁止エリア」 「ここから先、車はご遠慮ください」のような表示があるが、その先が見てみたい場合、車を降りて見てくる。例えば15分として、所定時間を把握する。
【0113】
上記「用事」から把握される所定時間は、利用者に依存する場合も大きいため、利用者ごとにカスタマイズされてもよいし、自動運転車1が利用者の利用履歴を学習して把握するようにしてもよい。
【0114】
なお、自動運転車1がTPO(状況、混雑度等)を判断し、所定時間を決定してもよい。また、利用者を降ろした場所での駐車スペースの有無も所定時間を判断する条件とするようにしても勿論よい。さらに、郵便局や銀行、レストランや喫茶店などで待ち時間が把握できるアプリケーションが提供されている場合、その待ち時間を所定時間の把握に用いることができる。この場合に、レストランや喫茶店などが備える待ち時間が把握できるアプリケーションが待ち時間の情報の提供機能を備えている場合には、自動運転車1は無線通信部123を通じて当該待ち時間の情報を受信して把握することができる。
【0115】
また、待ち時間がレストランや喫茶店などにおいて外部から見える場所に掲示されている場合には、カメラ群107で撮影した画像から画像認識することで、自動運転車1は、待ち時間の把握をすることができる。待ち時間を把握した利用者が、タッチパネル112を通じて、あるいは、マイクロフォン137を通じて音声により、その待ち時間を自動運転車1に対して入力するようにしてもよい。
【0116】
この例では、降車後振る舞いを「所定時間後に降車位置に戻る」としたが、「所定時刻に降車位置に戻る」とすることもできる。また、両方の降車後振る舞いを用意しておいてもよい。
【0117】
「所定時間後に地点Cに居る」も、利用者が降車後に所定の用事を行うことを前提とした降車後の振る舞いであり、かつ、所定時間後に再乗車する地点として、降車位置(現在位置)ではない別の地点Cに移動するものである。「所定時間後に降車位置に戻る」と同様に、利用者は、降車時に、「所定時間」を直接的に設定したり、「所定時間」を把握するための「用事」を入力したりすると共に、地点Cを設定する。振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段1174においては、「所定時間」が設定されている場合には、その時間情報から、また、「用事」が選択入力された場合には、当該選択された「用事」から「所定時間」を把握し、把握した「所定時間」から停止継続時間を予測する。
【0118】
地点Cは、予め登録してある地点の中から設定してもよいし、例えば地図上において指定したり、住所を入力して指定したり、特定可能な建物名などを指定したりするようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)でしてもよい。さらに、地点Cが電話番号で特定できる場合は、電話番号を入力して指定してもよい。
【0119】
地点Cが降車位置(現在位置)に近接している場合、「所定時間」の設定の仕方及び自動運転車1の制御部101における所定時間の把握の仕方は、「所定時間後に降車位置に戻る」と同様である。地点Cが降車位置(現在位置)から離れている場合(例えば1km以上)、降車位置(現在位置)から地点Cへの移動時間が、所定時間に大きく影響する。そのため、所定時間は、所定の用事にかかる時間だけでは不足しており、移動にかかる時間を加算して把握する必要がある。移動時間の計算(推定)には、少なくとも移動手段とその手段での移動距離または移動区間の情報の入力が必要となる。したがって、地点Cが降車位置(現在位置)から離れている場合は、利用者が、降車時に、「所定時間」を直接的に設定するのが好ましい。
【0120】
この場合でも、降車後振る舞いは「所定時間後に降車位置に戻る」と同様、「所定時間後に地点Cに居る」ではなく、「所定時刻に地点Cに居る」とすることができる。また、両方の降車後振る舞いを用意しておいてもよい。
【0121】
[実施形態の自動運転車1での利用者が降車時の処理動作の例]
次に、自動運転車1に乗車していた利用者、この例では、特に運転者が降車をしようとする際における自動運転車1の制御部101の処理動作の概要について説明する。
【0122】
この実施形態では、自動運転車1に乗車していた利用者、この例では、特に運転者が降車をしようとすると、自動運転車1は、降車後振る舞いを設定するかどうかを降車しようとする運転者に問い合わせをする。この問い合わせに対して、運転者が降車後振る舞いの設定入力をすると、自動運転車1は、当該運転者による降車後振る舞い設定入力を受け付け、運転者の降車後に受け付けた降車後振る舞いに応じた処理を行う。
【0123】
図5は、運転者が降車するときの自動運転車1の電子制御回路部10の制御部101が実行する処理動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。なお、この図5のフローチャートにおける各ステップの処理は、降車後振る舞い設定受付部116及び振る舞い制御管理部117の各処理機能を、制御部101がプログラムを実行することで行うソフトウェア処理として実現するようにした場合として説明する。
【0124】
制御部101は、運転者により、自車のモータ駆動部131の駆動が停止させられたか否か判別する(ステップS1)。このステップS1で、モータ駆動部131の駆動は停止させられてはいないと判別したときには、制御部101は、走行時に必要な制御を継続し(ステップS2)、その後、ステップS1に戻る。
【0125】
ステップS1で、モータ駆動部131の駆動は停止させられたと判別したときには、一般的には、運転者は降車すると予想されることから、制御部101は、降車後振る舞い設定をするかどうかの問い合わせのメッセージを表示部111に表示すると共に、スピーカ136を通じて音声として放音する(ステップS3)。
【0126】
制御部101は、ステップS3における降車後振る舞い設定をするかどうかの問い合わせに対する運転者からの回答を監視して判別し(ステップS4)、運転者が降車後振る舞い設定をしないと回答したと判別したときには、この図5の処理ルーチンを終了する。この場合、自動運転車1は、運転者が降車した位置で、モータ駆動部131を停止したまま、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとする。また、運転者が降車後振る舞い設定をしない場合における所定の振る舞いを予め設定し、それを実行するようにしてもよい。予め設定される所定の振る舞いは、スケジュール情報になっていてもよい。
【0127】
ステップS4で、運転者が降車後振る舞い設定をすると回答したと判別したときには、制御部101は、記憶部116Mに記憶されている降車後振る舞いを、図4に示すようなリストとして表示部111の表示画面に表示する(ステップS5)。
【0128】
そして、次に、制御部101は、タッチパネル112を通じた利用者の入力操作を監視して、表示画面に表示されているリストからの降車後振る舞いの選択操作の受け付けを待つ(ステップS6)。このステップS6で、リストからの降車後振る舞いの選択操作を受け付けたと判別したときには、制御部101は、その選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理を行う(ステップS7)。ステップS7の選択された降車後振る舞いの受付処理については、後で詳述する。
【0129】
次に、制御部101は、選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理を完了したか否か判別し(ステップS8)、選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理を完了したと判別したときには、利用者により選択された降車後振る舞いの選択情報及びそれに付随する情報を記憶する(ステップS9)。なお、選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理が、所定時間(例えば10分)以内に完了しない場合は、利用者が降車後振る舞い設定をしないと判断し、図5の処理ルーチンを終了してもよい。この場合、上述と同様に、自動運転車1は、運転者が降車した位置で、モータ駆動部131を停止したまま、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとする。また、運転者が降車後振る舞い設定をしない場合における所定の振る舞いを予め設定し、それを実行するようにしてもよい。予め設定される所定の振る舞いは、スケジュール情報になっていてもよい。
【0130】
次に、制御部101は、ドアセンサなどにより利用者の降車を確認すると共に、運転者の有無を判別する(ステップS10)。この運転者の有無は、運転席に設けられている重量センサや圧力センサなどからなる着座センサや、ハンドルやタッチパネル112に人がタッチしたか否かを判別するタッチセンサ、また、カメラ群107の内の運転席の運転者を撮影するためのカメラの撮像画像から判別する。あるいは、マイクロフォン137が収音した運転席の運転者の音声の有無から判別する。そして、運転者が存在しているときには、運転者が降車するのを待ち、ステップS10で運転者が降車して居なくなったことを判別すると、制御部101は、記憶した選択された降車後振る舞いを実行するようにする(ステップS11)。このステップS11において、自動運転車1が走行して移動する場合には、自動運転車1は、自動運転モードにより自律走行するものである。
【0131】
[プログラムの更新の概要]
この実施形態の自動運転車1は、図6に示すように、無線通信部123を用いて、インターネット2を通じてプログラム更新サーバ3に接続して、自車が備えるプログラムの更新を実行する。
【0132】
この場合に、プログラム更新サーバ3は、各自動運転車1(クライアント)の自動車識別情報(移動装置識別情報に対応)と対応して、各自動運転車1が搭載している1~複数個のプログラムを記憶して管理するクライアント情報記憶管理部31と、各自動運転車1への更新プログラムの情報の提供を管理及び制御する更新プログラム管理制御部32とを備えている。クライアント情報記憶管理部31には、各自動運転車とインターネットを通じて接続するための接続用情報(携帯電話番号やURL(Uniform Resource Locatorなど)も記憶されている。
【0133】
クライアント情報記憶管理部31の記憶情報は、各自動運転車1からインターネット2を通じてプログラム更新サーバ3に接続して、クライアントとして予め登録することにより、記憶される。また、予め、自動運転車1の販売会社や製造会社が、プログラム更新サーバ3のクライアント情報記憶管理部31に、各自動運転車1の自動車識別情報と対応して、搭載している1~複数個のプログラムの識別情報(プログラム識別情報)及び各自動運転車1と無線通信部123を通じて無線接続するための接続用情報を記憶しておくようにしてもよい。
【0134】
更新プログラム管理制御部32には、更新プログラムの情報が提供されて一時格納される。更新プログラム管理制御部32は、一時格納した更新プログラムの情報を、当該更新プログラムの情報によるプログラムの更新が必要なクライアントの自動運転車1に送信してプログラムの更新を実行させるようにする。自動運転車1からは、プログラムの更新が完了したときには、その更新完了通知がプログラム更新サーバ3に通知される。プログラム更新サーバ3は、この更新完了通知を受けて、更新プログラムの自動運転車毎の完了を把握し、必要な全ての自動運転車1への更新プログラムの提供が完了したら、当該更新プログラムを一時格納部から消去して、プログラムの更新が終了となる。
【0135】
この場合に、図6に示すように、プログラム更新サーバ3から各クライアントの自動運転車1への更新プログラムの情報の提供の仕方としては2つの方法がある。第1の方法は、図6の左側の自動運転車1とプログラム更新サーバ3との組み合わせとして示すように、プログラム更新サーバ3から各クライアントの自動運転車1に、更新プログラムが存在することを更新通知により報知し、応答のあった自動運転車1に対して更新プログラムの情報をダウンロードする方法である。
【0136】
第2の方法は、図6の右側の自動運転車1とプログラム更新サーバ3との組み合わせとして示すように、自動運転車1側から、更新プログラムが存在しているか否かの更新問い合わせをし、プログラム更新サーバ3が、この更新問い合わせに対して、当該時点で、更新問い合わせをしてきた自動運転車1に提供する更新プログラムがあるかどうかを判断し、更新プログラムがあると判断した場合には、更新問い合わせしてきた自動運転車1に更新プログラムの情報を提供する方法である。
【0137】
なお、この実施形態において、更新プログラムの情報には、いずれのソフトウェアプログラムの更新プログラムであるかを示すプログラム識別情報と、当該更新プログラムを用いたプログラムの更新に必要な時間の情報(更新時間の情報)と、更新プログラムの情報の種別を識別する更新プログラム・モード種別識別情報と、が含まれる。更新プログラム・モード種別識別情報は、更新プログラムの情報が、走行支援用プログラム用であるか、走行以外用途のプログラム用であるかの種別を識別すると共に、更新プログラムの情報が走行支援用プログラム用であるときには、複数の走行モード(移動モード)のいずれの走行モード用であるか、あるいは共用モード用であるかの種別を識別するための識別情報である。
【0138】
この実施形態では、更新プログラム・モード種別識別情報としては、走行以外用途のプログラムの更新プログラムの情報には、走行以外用途ID(Identification)が含められる。そして、走行支援用プログラム用の更新プログラムの情報の場合には、手動運転モード用のプログラムには手動運転モードIDが、自動運転モード用のプログラムには自動運転モードIDが、手動運転モードと自動運転モードとに共用のプログラムには共用モードIDが、それぞれ、更新プログラム・モード種別識別情報として含められる。
【0139】
プログラム更新サーバ3及び自動運転車1のプログラム更新管理制御部119では、この更新プログラム・モード種別識別情報を用いて、それぞれのソフトウェアプログラムの更新プログラムの情報を管理し、更新の制御処理を実行する。
【0140】
上記の第1の方法は、図3に示した自動運転車1のプログラム更新管理制御部119の機能手段の内の、更新通知監視手段1191と、更新プログラム取得手段1193と、更新プログラム・モード種別識別手段1194と、プログラム更新制御手段1195とにより、記憶部119Mが利用されると共に、振る舞い制御管理部117と協働しながら実行される。
【0141】
上記の第1の方法においては、この実施形態では、自動運転車1のプログラム更新管理制御部119の更新通知監視手段1191は、無線通信部123を通じたプログラム更新サーバ3から更新通知の受信を監視する。そして、更新通知監視手段1191は、プログラム更新サーバ3から更新通知を受け取ったと検知したときには、更新プログラム取得手段1193を起動させて、プログラム更新サーバ3からの更新プログラムの情報のダウンロードを受けて更新プログラムの情報を取得し、取得した更新プログラムの情報を記憶部119Mのバッファエリアに一時記憶する。
【0142】
更新プログラム取得手段1193により更新プログラムの情報が取得されると、更新プログラム・モード種別識別手段1194が起動し、更新プログラムの情報に含まれている更新プログラム・モード種別識別情報を参照して、取得した更新プログラムの情報が、走行以外用途用プログラム用か、走行支援用プログラム用かを検知する。そして、取得した更新プログラムの情報が、走行支援用プログラム用であると検知したときには、更に、手動運転モード用か、自動運転モード用か、あるいは共用モード用か、を検知する。そして、その検知結果を、プログラム更新制御手段1195に渡す。
【0143】
プログラム更新制御手段1195は、更新プログラム・モード種別識別手段1194から受け取った検知結果から、取得した更新プログラムの情報が走行以外用途用プログラム用であると判別したときには、そのまま、取得した更新プログラムの情報による更新を実行する。走行以外用途用プログラムであれば、停止中に限らず、走行中であってもプログラムの更新をしても危険が生じないからである。
【0144】
次に、プログラム更新制御手段1195は、更新プログラム・モード種別識別手段1194から受け取った検知結果が、取得した更新プログラムの情報が走行支援用プログラム用であると判別したときには、振る舞い制御管理部117の自車状態判別手段1172に問い合わせて、自車が停止中か、走行中かを識別する。
【0145】
そして、プログラム更新制御手段1195は、自車が停止中であると判別したときには、取得した更新プログラムの情報に含まれる更新時間の情報により更新時間を認識すると共に、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段1174に問い合わせて、予測される停止継続時間を取得し、停止継続時間の間にプログラムの更新が可能であるか否か判別し、可能であれば、取得した更新プログラムによる更新を実行する。自車が停止中であれば、いずれの走行モード用であっても、走行支援用プログラムの更新をしても危険は生じないからである。
【0146】
なお、プログラム更新制御手段1195は、停止継続時間の間では走行支援用プログラムの更新が不可であると判別したときには、取得した更新プログラムの情報を記憶部119Mに記憶保持しておき、後の更新可能な状態であるときに、その更新を実行するようにする。
【0147】
次に、プログラム更新制御手段1195は、自車が停止中ではなく、走行中であると判別したときには、振る舞い制御管理部117の走行モード検知手段1171に問い合わせて、当該時点(更新プログラムの情報の取得時点)における走行モードが、手動運転モードと自動運転モードのいずれであるかを検知する。
【0148】
そして、プログラム更新制御手段1195は、更新プログラム・モード種別識別手段1194でのモード種別の識別結果と、振る舞い制御管理部117の走行モード検知手段1171の検知結果とに基づいて、取得した更新プログラムの情報を用いた該当するプログラムの更新が可能かどうかを判断して、可能であると判断したときに、プログラムの更新を実行するようにする。
【0149】
すなわち、プログラム更新制御手段1195は、走行モード検知手段1171の検知結果と、更新プログラム・モード種別識別手段1194での更新プログラム・モード種別識別情報の識別結果とに基づいて、更新プログラム取得手段1193で取得された更新プログラムの情報が、走行モード検知手段1171で検知された走行モード用であると判別したときには、当該更新対象の走行支援用プログラムが実行中であるか否かに関係なく、その更新をしないように制御する。現時点の走行モード用の走行支援用プログラムの更新を行うのは危険を伴うからである。当該更新対象の走行支援用プログラムが実行中であるか否かに関係なく更新をしないとしたのは、現時点で実行中でなくても、当該走行モードにおいては起動されることが予想されるからであると共に、個々の走行支援用プログラムが稼働中か否かを監視する必要をなくすようにするためである。
【0150】
また、プログラム更新制御手段1195は、更新プログラム取得手段1193で取得された更新プログラムの情報が、走行モード検知手段1171で検知された走行モード用ではないと判別したときには、当該取得した更新プログラムの情報を用いて走行支援用プログラムの更新を実行するように制御する。実行中、あるいは、実行が予定される走行支援用プログラムの更新をすることは安全な走行を維持することが困難になる恐れがあるからである。
【0151】
具体的には、更新プログラムの情報を取得した時点の自車の走行モードが手動運転モードであったときには、プログラム更新制御手段1195は、手動運転モード用の走行支援用プログラムの更新は禁止して、自動運転モード用の走行支援用プログラムの更新は実行するように制御する。また、更新プログラムの情報を取得した時点の自車の走行モードが自動運転モードであったときには、プログラム更新制御手段1195は、自動運転モード用の走行支援用プログラムの更新は禁止して、手動運転モード用の走行支援用プログラムの更新は実行するように制御する。
【0152】
そして、更新プログラムの情報が、共用モード用であるときには、当該更新プログラムの情報の取得時点の自車の走行モードが手動運転モードであっても、自動運転モードであっても、現在の走行モード用であると判別されるので、その更新プログラムの情報を用いた更新は禁止される。したがって、この実施形態の場合には、更新プログラムの情報が、共用モード用であるときには、当該更新プログラムの情報の取得時点の自車の状態が停止中であるときにのみ、更新が可能となる。
【0153】
なお、プログラム更新制御手段1195は、走行中に走行支援用プログラムの更新が不可であると判別したときには、取得した更新プログラムの情報を記憶部119Mに記憶保持しておき、後の更新可能な状態であるときに、その更新を実行するようにする。
【0154】
次に、第2の方法は、図3に示した自動運転車1のプログラム更新管理制御部119の機能手段の内の、更新問い合わせ手段1192と、更新プログラム取得手段1193と、更新プログラム・モード種別識別手段1194と、プログラム更新制御手段1195とにより、記憶部119Mが利用されると共に、振る舞い制御管理部117と協働しながら実行される。すなわち、この第2の方法においては、第1の方法とは、更新通知監視手段1191に代えて、更新問い合わせ手段1192が用いられる点が異なる。
【0155】
第2の方法においては、自動運転車1のプログラム更新管理制御部119の更新問い合わせ手段1192は、更新通知監視手段1191でプログラム更新サーバ3からの更新通知を受信しておらず、且つ、その他のタスクを実行していないときに、更新プログラムが存在しているか否かの問い合わせを、無線通信部123を通じてプログラム更新サーバ3に送る。
【0156】
プログラム更新サーバ3は、この更新問い合わせを受け取ると、更新問い合わせをしてきたクライアントの自動運転車1を、その識別情報から認定し、クライアント情報記憶管理部31及び更新プログラム管理制御部32において、当該クライアントの自動運転車1に対して提供すべき更新プログラムがあるか否か判断する。そして、更新プログラムがあると判断したときには、更新プログラム管理制御部32は、その更新問い合わせをしてきた自動運転車1に対して、更新プログラムの情報を送信して提供する。
【0157】
プログラム更新管理制御部119の更新プログラム取得手段1193は、このプログラム更新サーバから送られてくる更新プログラムの情報を取得する。そして、プログラム更新制御手段1195は、取得した更新プログラムの情報について、更新可能であるかどうかを判断して、更新可能であれば、更新を実行し、更新が不可であれば、取得した更新プログラムの情報を、記憶部119Mに記憶しておき、後の更新可能な状態であるときに、その更新を実行するようにする。
【0158】
この場合に、この第2の方法においては、更新問い合わせの際には、プログラムの種別の制限をつけることなく、全てのプログラムについての更新問い合わせをして、サーバ3から更新プログラムの情報を取得し、その取得した更新プログラムの情報について上述した第1の方法の場合と同様の処理をすることで、更新の可否を判定し、更新の実行あるいは当該時点では更新が不可である更新プログラムの情報の記憶しておくようにすることができる。
【0159】
しかし、この実施形態における第2の方法においては、特に、自動運転車1からサーバ3に対して更新問い合わせする際には、当該時点で自動運転車1において更新可能な更新プログラムの情報のみを要求するようにする。すなわち、更新問い合わせするプログラムの種別を制限して、更新することができるプログラム用の更新プログラムの情報だけ取得するようにしている。
【0160】
この実施形態における第2の方法においては、更新問い合わせする際の自車の状態が停止状態か走行中かを判別し、停止状態であれば、更新プログラム・モード種別識別情報に関係なく、全てのプログラムの更新プログラムの情報の有無の問い合わせをする。そして、更新問い合わせする際の自車の状態が走行中であれば、走行モードを識別し、その識別した走行モード以外の走行モード用の更新プログラムの情報のみの問い合わせをするようにする。
【0161】
[プログラムの更新処理の流れの例]
以下、上述したプログラムの更新処理の具体的な流れの例について、フローチャートを参照しながら説明する。なお、以下のフローチャートの説明においては、制御部101が、図1に示した電子制御回路部10の振る舞い制御管理部117及びプログラム更新管理制御部119の各機能手段を含む各機能部を、プログラムによるソフトウェアとして実行する場合として、各ステップにおける動作を説明する。
【0162】
図7は、この実施形態におけるプログラムの更新処理のメインルーチンの流れを説明するためのフローチャートを示す図である。
【0163】
制御部101は、まず、プログラム更新サーバ3からの更新通知を受信したか否か判別する(ステップS21)。このステップS21で、更新通知を受信したと判別したときには、制御部101は、上述した第1の方法の処理である更新通知受信処理を実行し(ステップS22)、その処理を終了したらステップS21に処理を戻す。
【0164】
ステップS21で、更新通知を受信してはいないと判別したときには、制御部101は、プログラム更新サーバ3への更新プログラムの有無の問い合わせである更新問い合わせを送信するタイミングとなったか否か判別する(ステップS23)。このステップS23で、更新問い合わせを送信するタイミングとなったと判別したときには、制御部101は、上述した第2の方法の処理である更新問い合わせ処理を実行し(ステップS24)、その処理を終了したらステップS21に処理を戻す。
【0165】
ステップS23で、更新問い合わせを送信するタイミングとなってはいないと判別したときには、プログラム更新サーバ3から取得した更新プログラムの情報を記憶しているか否か判別する(ステップS25)。このステップS25で、更新プログラムの情報を記憶していると判別したときには、制御部101は、当該記憶している更新プログラムの情報についての処理を実行し(ステップS26)、その処理を終了したらステップS21に処理を戻す。
【0166】
ステップS25で、更新プログラムの情報を記憶してはいないと判別したときには、制御部101は、その他の処理を実行し(ステップS27)、その処理を終了したらステップS21に処理を戻す。
【0167】
次に、図7のステップS22、ステップS24、ステップS26の詳細な処理動作の流れについて、図8以降のフローチャートを参照しながら説明する。
【0168】
<ステップS22の更新通知受信処理(第1の方法の場合に相当)>
図8図10は、ステップS22の更新通知受信処理の流れを説明するためのフローチャートを示すもので、図7に示したように、制御部101は、無線通信部123においてプログラム更新サーバ3(以下、サーバ3と略称する)からのプログラムの更新通知を受信したときに、図8図10に示す処理を開始する。
【0169】
制御部101は、サーバ3からのプログラムの更新通知を受信したことに基づいて、当該更新通知に対する応答をサーバ3に返す(ステップS101)。すると、サーバ3からは、プログラムの識別情報と、更新プログラム・モード種別識別情報と、更新時間の情報とを含む更新プログラムの情報がダウンロードされてくるので、制御部101は、当該更新プログラムの情報を無線通信部123を通じて受信して取得する(ステップS102)。
【0170】
そして、制御部101は、取得した更新プログラムの情報に含まれる更新プログラム・モード種別識別情報から、当該更新プログラムは走行支援用か否か判別する(ステップS103)。このステップS103で走行支援用ではなく、走行以外用途用であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、対応する走行以外用途用プログラムの更新を実行する(ステップS104)。
【0171】
そして、制御部101は、プログラムの更新の完了を待ち(ステップS105)、プログラムの更新の完了を判別したときには、当該プログラムの更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS106)。このプログラムの更新完了通知には、自動運転車1の識別情報と、更新が完了したプログラムの識別情報が含まれている。サーバ3は、この更新完了通知を受けて、いずれの自動運転車1の、いずれのプログラムの更新が完了したかを認定し、その認定結果をクライアント情報記憶管理部31の更新履歴の情報を反映する。サーバ3は、更新完了通知を受けるごとに、更新履歴の情報の書き込みの処理を行う。
【0172】
このステップS106の次には、制御部101は、この更新通知受信処理を終了して、図7のメインルーチンに処理を戻す。
【0173】
また、ステップS103で、取得した更新プログラムの情報は、走行支援用であると判別したときには、制御部101は、自車は停止状態であるか否か判別する(ステップS107)。このステップS107で、自車は停止状態であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報に含まれる更新時間の情報から、更新時間を把握する(ステップS108)。次に、制御部101は、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段1174の機能で予測した停止継続時間の情報を取得して、現時点からの停止継続時間を予測する(図9のステップS111)。
【0174】
そして、制御部101は、更新時間の情報と、予測された現時点からの停止継続時間の情報とから、予測された現時点からの停止継続時間内に走行支援用プログラムの更新が可能か否か判別する(ステップS112)。このステップS112で、予測された現時点からの停止継続時間内に走行支援用プログラムの更新が可能であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、対応する走行支援用プログラムの更新を実行する(ステップS113)。
【0175】
そして、制御部101は、走行支援用プログラムの更新が完了したか否か判別し(ステップS114)、プログラムの更新が完了してはいないと判別したときには、運転者や乗車者による走行開始要求が発生したか否か判別し(ステップS116)、運転者や乗車者による走行開始要求が発生したと判別したときには、例えば、「プログラム更新中のため走行開始不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS117)。そして、制御部101は、このステップS117の次には、ステップS114に処理を戻し、このステップS114以降の処理を繰り返す。
【0176】
ステップS116で、運転者による走行開始要求が発生してはいないと判別したときには、制御部101は、呼出要求を受信したか否かを判別し(ステップS118)、呼出要求を受信したと判別したときには、例えば、「プログラム更新中のため呼出に応じた走行開始不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS119)。そして、制御部101は、このステップS119の次には、ステップS114に処理を戻し、このステップS114以降の処理を繰り返す。また、ステップS118で呼出要求を受信していないと判別したときには、制御部101は、ステップS114に処理を戻し、このステップS114以降の処理を繰り返す。
【0177】
そして、ステップS114で、走行支援用プログラムの更新が完了したと判別したときには、制御部101は、当該プログラムの更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS115)。そして、制御部101は、この更新通知受信処理を終了して、図7のメインルーチンに処理を戻す。
【0178】
また、ステップS112で、予測された現時点からの停止継続時間内に走行支援用プログラムの更新が可能ではないと判別したときには、制御部101は、サーバ3からダウンロードして取得した更新プログラムの情報を記憶部117Mに記憶し(ステップS120)、その後、この更新通知受信処理を終了して、図7のメインルーチンに処理を戻す。
【0179】
そして、図8のステップS107で、自車は停止状態ではなく、走行中であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報に含まれている更新プログラム・モード種別識別情報から更新プログラムがいずれの走行モード用であるかを識別する(図10のステップS131)。そして、制御部101は、ステップS131での識別結果から、更新プログラムは、共用モード用であるか否か判別し(ステップS132)、共用モード用であると判別したときには、制御部101は、サーバ3からダウンロードして取得した更新プログラムの情報を記憶部117Mに記憶し(ステップS133)、その後、この更新通知受信処理を終了して、図7のメインルーチンに処理を戻す。
【0180】
ステップS132で、共用モード用ではないと判別したときには、制御部101は、振る舞い制御管理部117の走行モード検知手段1171の機能により現在の走行モードを検知する(ステップS134)。そして、制御部101は、ステップS131での更新プログラムがいずれの走行モード用であるかの識別結果とステップS134での検知結果とに基づいて、取得した更新プログラムの情報は、実行中の走行モード用であるか否か判別する(ステップS135)。
【0181】
このステップS135で、取得した更新プログラムの情報は、実行中の走行モード用であると判別したときには、制御部101は、サーバ3からダウンロードして取得した更新プログラムの情報を記憶部117Mに記憶し(ステップS136)、その後、この更新通知受信処理を終了して、図7のメインルーチンに処理を戻す。
【0182】
また、ステップS135で、取得した更新プログラムの情報は、実行中の走行モード用ではないと判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、更新対象の走行支援用プログラムの更新を実行する(ステップS137)。
【0183】
そして、制御部101は、走行支援用プログラムの更新が完了したか否か判別し(ステップS138)、プログラムの更新が完了してはいないと判別したときには、運転者や乗車者による走行モードの切り替え指示を受けたか否か判別し(ステップS140)、運転者や乗車者による走行モードの切り替え指示を受けたと判別したときには、例えば、「プログラム更新中のため走行モードの切替不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS141)。そして、制御部101は、このステップS141の次には、ステップS138に処理を戻し、このステップS138以降の処理を繰り返す。また、ステップS140で運転者や乗車者による走行モードの切り替え指示を受けていないと判別したときには、ステップS138に処理を戻し、このステップS138以降の処理を繰り返す。
【0184】
そして、ステップS138で、走行支援用プログラムの更新が完了したと判別したときには、制御部101は、当該プログラムの更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS139)。そして、制御部101は、この更新通知受信処理を終了して、図7のメインルーチンに処理を戻す。
【0185】
なお、この実施形態の自動運転車1では、走行モードは、手動運転モードと自動運転モードとの2種しかないので、ステップS140及びステップS141では、走行モードの切替指示があった時には、切り替え後の走行モードを識別することになく、プログラム更新中のため走行モードの切替不可を通知するようにした。しかし、走行モードが3種以上存在する場合には、切り替え後の走行モードがどれであるかを識別し、その識別した切り替え後の走行モードが、更新プログラムの情報の走行モード用である場合には、プログラム更新中のため走行モードの切替不可を通知し、更新プログラムの情報の走行モード用ではない場合には、切り替えを許可するようにしてもよい。
【0186】
<ステップS24の更新問い合わせ処理(第2の方法の場合に相当)>
図11図13は、ステップS24の更新問い合わせ処理の流れを説明するためのフローチャートを示すもので、図7に示したように、制御部101は、プログラム更新サーバ3への更新問い合わせを送信するタイミングとなったと判別したときに、図11図13に示す処理を開始する。
【0187】
制御部101は、先ず、現在の自車の状態は、停止状態か、走行状態かを把握する(ステップS151)。そして、制御部101は、把握した状態は、停止状態であるか否か判別する(ステップS152)。
【0188】
ステップS152で、自車が停止状態であると判別したときには、制御部101は、停止状態では、全てのプログラムについての更新が可能であるので、サーバ3に対して、無線通信部123を通じて、全てのプログラムについての更新問い合わせを送信する(ステップS153)。この更新問い合わせには、自車の識別情報と、全てのプログラムについての更新問い合わせである旨の情報を含む。
【0189】
この更新問い合わせに対しては、サーバ3では、当該更新問い合わせをしてきたクライアントの自動運転車1についての未完了の更新プログラムの情報があるか否か判別し、更新プログラムの情報が無い場合には、更新プログラム無し通知を、更新問い合わせをしてきた自動運転車1に送信し、更新プログラムの情報がある場合には、更新プログラムの情報が存在する旨の通知と共に、更新プログラムの情報を、問い合わせてきた自動運転車1に対してダウンロードする。
【0190】
そこで、更新問い合わせを送信した制御部101は、サーバ3から更新プログラム無し通知を受信したか否か判別し(ステップS154)、更新プログラム無し通知を受信したと判別したときには、制御部101は、この更新問い合わせ処理を終了して、図7のメインルーチンに処理を戻す。
【0191】
ステップS154で、更新プログラム無し通知ではなく、更新プログラムが存在する旨の通知を受信したと判別したときには、制御部101は、サーバ3からの更新プログラムの情報のダウンロードを受けて、更新プログラムの情報を取得する(ステップS155)。次に、制御部101は、取得した更新プログラムの情報は走行支援用プログラムであるか否か判別し(ステップS156)、走行支援用プログラムであると判別したときには、取得した更新プログラムの情報から更新時間を把握する(ステップS157)。
【0192】
そして、制御部101は、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能により、停止継続時間を予測し(ステップS158)、予測された停止継続時間の情報と、ステップS156で取得した更新時間の情報とから、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新が可能か否か判別する(ステップS159)。このステップS159で、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新が可能であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、対応するプログラムの更新を実行する(図12のステップS161)。
【0193】
また、ステップS156で、取得した更新プログラムの情報は走行支援用プログラムではないと判別したときにも、制御部101は、図12のステップS161に進んで、取得した更新プログラムの情報を用いて、対応するプログラムの更新を実行する。
【0194】
そして、制御部101は、ステップS161の次には、プログラムの更新が完了したか否か判別し(ステップS162)、プログラムの更新が完了してはいないと判別したときには、更新中のプログラムは走行支援用プログラムであるか否か判別し(ステップS163)、走行支援用プログラムではなく、走行以外用途用プログラムであると判別したときには、処理をステップS162に戻して、このステップS162以降の処理を繰り返す。
【0195】
ステップS163で、更新中のプログラムは走行支援用プログラムであると判別したときには、制御部101は、運転者による走行開始要求が発生したか否か判別し(ステップS164)、運転者による走行開始要求が発生したと判別したときには、例えば、「プログラム更新中のため走行開始不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS165)。そして、制御部101は、このステップS165の次には、ステップS162に処理を戻し、このステップS162以降の処理を繰り返す。
【0196】
ステップS164で、運転者による走行開始要求が発生してはいないと判別したときには、制御部101は、呼出要求を受信したか否かを判別し(ステップS166)、呼出要求を受信したと判別したときには、例えば、「プログラム更新中のため呼出に応じた走行開始不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS167)。そして、制御部101は、このステップS167の次には、ステップS162に処理を戻し、このステップS162以降の処理を繰り返す。また、ステップS166で呼出要求を受信していないと判別したときには、制御部101は、ステップS162に処理を戻し、このステップS162以降の処理を繰り返す。
【0197】
そして、ステップS162で、プログラムの更新が完了したと判別したときには、制御部101は、当該プログラムの更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS168)。そして、制御部101は、サーバ3に対して、更なる未完了の更新プログラムが存在するかどうかの問い合わせを行う(ステップS169)。
【0198】
制御部101は、このステップS169での問い合わせに対するサーバ3からの回答を取得して、更なる未完了の更新プログラムがあるか否か判別する(ステップS170)。そして、このステップS170で、更なる更新プログラムは存在しないとの回答を受けたと判別したときには、制御部101は、この更新問い合わせ処理を終了して、図7のメインルーチンに処理を戻す。
【0199】
また、ステップS170で、更なる更新プログラムが存在するとの回答を受けたと判別したときには、制御部101は、処理を図11のステップS155に戻して、このステップS155以降の処理を繰り返す。
【0200】
また、図11のステップS159で、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新は可能ではないと判別したときには、制御部101は、ステップS157で取得した更新プログラムの情報を記憶保持する(ステップS160)。そして、制御部101は、処理を図12のステップS169に移行して、このステップS169以降の処理を繰り返す。
【0201】
また、図11のステップS152で、自車が停止状態ではなく、走行中であると判別したときには、制御部101は、振る舞い制御管理部117の走行モード検知手段1171の機能により現在の走行モードを検知する(図13のステップS171)。検知した走行モード用及び共用モード用のプログラムの更新は、現在の走行モードにおいては不可である。
【0202】
制御部101は、検知した現在の走行モードでの走行中に、更新が可能であるプログラムの更新問い合わせをサーバ3に無線通信部123を通じて送信する(ステップS172)。この場合に、この更新問い合わせには、自車の識別情報と、更新が可能であるプログラムを識別するための情報を含める。
【0203】
ここで、更新が可能であるプログラムを識別するための情報としては、例えば、更新が可能であるプログラムの更新プログラムの情報の更新プログラム・モード種別識別情報を用いる。例えば、現在の走行モードが手動運転モードである場合には、自動運転モード用と、走行以外用途用のプログラムの更新が可能であるので、それらの更新プログラムの情報の更新プログラム・モード種別識別情報が、更新問い合わせに含められる。また、現在の走行モードが自動運転モードである場合には、手動運転モード用と、走行以外用途用のプログラムの更新が可能であるので、それらの更新プログラムの情報の更新プログラム・モード種別識別情報が、更新問い合わせに含められる。共用モード用のプログラムは、いずれの走行モードにおいても更新不可であるので、更新問い合わせの更新可能なプログラムとしては、含められない。
【0204】
なお、ステップS172では、更新が不可であるプログラムの更新プログラムの情報の更新プログラム・モード種別識別情報を通知して、それ以外の更新プログラム・モード種別識別情報を有する更新プログラムの情報を問い合わせであることを自動運転車1からサーバ3に通知してもよい。
【0205】
このステップS172での更新問い合わせに対しては、サーバ3では、当該時点で更新可能であるとされているプログラムついての更新プログラムの情報の有無を判別し、当該更新プログラムの情報が無い場合には、更新プログラム無し通知を、更新問い合わせをしてきた自動運転車1に送信し、更新プログラムの情報がある場合には、更新プログラムの情報が存在する旨の通知と共に、更新プログラムの情報を、問い合わせてきた自動運転車1に対してダウンロードする。
【0206】
そこで、更新問い合わせを送信した制御部101は、サーバ3から更新プログラム無し通知を受信したか否か判別し(ステップS173)、更新プログラム無し通知を受信したと判別したときには、制御部101は、この更新問い合わせ処理を終了して、図7のメインルーチンに処理を戻す。
【0207】
ステップS173で、更新プログラム無し通知ではなく、更新プログラムが存在する旨の通知を受信したと判別したときには、制御部101は、サーバ3からの更新プログラムの情報のダウンロードを受けて、更新プログラムの情報を取得する(ステップS174)。そして、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、更新対象のプログラムの更新を実行する(ステップS175)。
【0208】
そして、制御部101は、走行支援用プログラムの更新が完了したか否か判別し(ステップS176)、プログラムの更新が完了してはいないと判別したときには、更新中のプログラムは、走行支援用プログラムであるか否か判別し(ステップS178)、走行支援用プログラムではなく走行以外用途用プログラムであると判別したときには、処理をステップS176に戻し、このステップS176以降の処理を繰り返す。
【0209】
ステップS178で、更新中のプログラムは走行支援用プログラムであると判別したときには、制御部101は、運転者や乗車者による走行モードの切り替え指示を受けたか否か判別し(ステップS179)、切り替え指示を受けてはいないと判別したときには、処理をステップS176に戻し、このステップS176以降の処理を繰り返す。
【0210】
そして、ステップS179で、運転者や乗車者による走行モードの切り替え指示を受けたと判別したときには、制御部101は、例えば、「プログラム更新中のため走行モードの切替不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS180)。そして、制御部101は、このステップS180の次には、ステップS176に処理を戻し、このステップS176以降の処理を繰り返す。
【0211】
そして、ステップS176で、走行支援用プログラムの更新が完了したと判別したときには、制御部101は、当該プログラムの更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS177)。そして、制御部101は、処理を図12のステップS169に移行し、このステップS169以降の処理を実行する。
【0212】
<ステップS26の記憶している更新プログラムについての処理>
図14図16は、ステップS26の記憶している更新プログラムについての処理の流れを説明するためのフローチャートを示すもので、図7に示したように、制御部101は、サーバ3から更新通知を受信しておらず、かつ、プログラム更新サーバ3への更新問い合わせをしていない所定のタイミングとなったと判別したときに、図14図16に示す処理を開始する。この場合に、この実施形態では、走行以外用途用プログラムは、制限されずに更新処理がなされて、記憶部119Mには、記憶されておらず、以下の説明においては、走行支援用プログラムの更新プログラムの情報のみの処理となる。なお、以下の説明の例では、記憶部119Mには、複数の更新プログラムの情報が記憶されている場合を考慮して、記憶されている更新プログラムの情報は、旧いもの順に処理がなされるものとしている。
【0213】
制御部101は、先ず、記憶部119Mから、最も旧い更新プログラムの情報を最初に読み出す(ステップS181)。そして、その読み出した更新プログラムの情報の更新プログラム・モード種別識別情報を把握して、更新プログラムの情報は、手動運転モード用か、自動運転モード用か、あるいは共用モード用であるかを判別する(ステップS182)。
【0214】
そして、制御部101は、読み出した更新プログラムの情報は共用モード用であるか否か判別する(ステップS183)。このステップS183で、読み出した更新プログラムの情報は共用モード用であると判別したときには、制御部101は、自車は停止状態であるか否か判別する(ステップS184)。
【0215】
このステップS184で、自車は停止状態ではなく走行中であると判別したときには、共通モード用のプログラムの更新は不可であるので、制御部101は、記憶部119Mに記憶されている更新プログラムの情報の全ての処理が終了したか否か判別し(ステップS185)、全ての処理が終了したと判別したときには、この記憶されている更新プログラムの情報の処理を終了して、図7のメインルーチンに処理を戻す。
【0216】
ステップS185で、記憶部119Mに記憶されている更新プログラムの情報の全ての処理は終了しておらず、未処理のものがあると判別したときには、制御部101は、記憶部119Mから次に旧い更新プログラムの情報を読み出す(ステップS186)。そして、制御部101は、このステップS186の次には、処理をステップS182に戻して、このステップS182以降の処理を行う。
【0217】
ステップS184で、自車は停止状態であると判別したときには、読み出した更新プログラムの情報から更新時間を把握する(ステップS187)。そして、制御部101は、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能により、停止継続時間を予測し(ステップS188)、予測された停止継続時間の情報と、ステップS187で取得した更新時間の情報とから、予測された現時点からの停止継続時間内に、更新対象の走行支援用プログラムの更新が可能か否か判別する(ステップS189)。
【0218】
このステップS189で、予測された現時点からの停止継続時間内に、更新対象の走行支援用プログラムの更新が可能ではないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS185に移行し、このステップS185以降の処理を実行する。また、ステップS189で、予測された現時点からの停止継続時間内に、更新対象の走行支援用プログラムの更新が可能であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、更新対象の走行支援用プログラムの更新を実行する(ステップS190)。
【0219】
そして、制御部101は、走行支援用プログラムの更新が完了したか否か判別し(図15のステップS191)、走行支援用プログラムの更新が完了してはいないと判別したときには、運転者や乗車者による走行開始要求が発生したか否か判別し(ステップS192)、運転者や乗車者による走行開始要求が発生したと判別したときには、例えば、「プログラム更新中のため走行開始不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS193)。そして、制御部101は、このステップS193の次には、ステップS191に処理を戻し、このステップS191以降の処理を繰り返す。
【0220】
ステップS192で、運転者による走行開始要求が発生してはいないと判別したときには、制御部101は、呼出要求を受信したか否かを判別し(ステップS194)、呼出要求を受信したと判別したときには、例えば、「プログラム更新中のため呼出に応じた走行開始不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS195)。そして、制御部101は、このステップS195の次には、ステップS191に処理を戻し、このステップS191以降の処理を繰り返す。また、ステップS194で呼出要求を受信していないと判別したときには、制御部101は、ステップS191に処理を戻し、このステップS191以降の処理を繰り返す。
【0221】
そして、ステップS191で、走行支援用プログラムの更新が完了したと判別したときには、制御部101は、当該走行支援用プログラムの更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS196)。そして、制御部101は、記憶部119Mから、更新完了した走行支援用プログラムの更新プログラムの情報を消去する(ステップS197)。そして、その後、制御部101は、処理を図14のステップS185に移行し、このステップS185以降の処理を行う。
【0222】
次に、図14のステップS183で、読み出した更新プログラムの情報は共用モード用ではないと判別したときには、制御部101は、自車は停止状態であるか否か判別する(図16のステップS201)。このステップS201で、自車は停止状態であると判別したときには、走行モードに関係なく更新が可能であるので、制御部101は、処理を図14のステップS187に移行して、このステップS187以降の処理を実行するようにする。
【0223】
ステップS201で、自車は停止状態ではなく走行中であると判別したときには、制御部101は、その時の走行モードを検知する(ステップS202)。そして、制御部101は、記憶部119Mから読み出した更新プログラムの情報は、検知した走行モード用であるか否か判別する(ステップS203)。
【0224】
ステップS203で、記憶部119Mから読み出した更新プログラムの情報は、検知した走行モード用であると判別したときには、制御部101は、更新を実行することは危険であるとして更新を実行せずに、処理を図14のステップS185に移行し、このステップS185以降の処理を実行する。
【0225】
また、ステップS203で、記憶部119Mから読み出した更新プログラムの情報は、検知した走行モード用ではないと判別したときには、制御部101は、その更新プログラムの情報を用いた走行支援用プログラムの更新を実行する(ステップS204)。
【0226】
そして、制御部101は、走行支援用プログラムの更新が完了したか否か判別し(ステップS205)、プログラムの更新が完了してはいないと判別したときには、運転者や乗車者による走行モードの切り替え指示を受けたか否か判別し(ステップS206)、運転者や乗車者による走行モードの切り替え指示を受けたと判別したときには、例えば、「プログラム更新中のため走行モードの切替不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS207)。そして、制御部101は、このステップS207の次には、ステップS205に処理を戻し、このステップS205以降の処理を繰り返す。また、ステップS206で運転者や乗車者による走行モードの切り替え指示を受けていないと判別したときには、ステップS205に処理を戻し、このステップS205以降の処理を繰り返す。
【0227】
そして、ステップS205で、走行支援用プログラムの更新が完了したと判別したときには、制御部101は、当該プログラムの更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS208)。そして、制御部101は、記憶部119Mから、更新完了した走行支援用プログラムの更新プログラムの情報を消去する(ステップS209)。そして、その後、制御部101は、処理を図14のステップS185に移行し、このステップS185以降の処理を行う。
【0228】
なお、この実施形態の自動運転車1では、走行モードは、手動運転モードと自動運転モードとの2種しかないので、ステップS206及びステップS207では、走行モードの切替指示があった時には、切り替え後の走行モードを識別することになく、プログラム更新中のため走行モードの切替不可を通知するようにした。しかし、走行モードが3種以上存在する場合には、切り替え後の走行モードがどれであるかを識別し、その識別した切り替え後の走行モードが、更新プログラムの情報の走行モード用である場合には、プログラム更新中のため走行モードの切替不可を通知し、更新プログラムの情報の走行モード用ではない場合には、切り替えを許可するようにしてもよい。
【0229】
以上説明したように、上述の実施形態の自動運転車1では、複数の走行モードを備えており、自車が停止状態であるときだけでなく、走行中であっても、実行中の走行モードを識別し、当該実行中の走行モード以外の走行モード用のプログラムの更新は実行するようにしている。
【0230】
このため、この実施形態の自動運転車1によれば、走行支援用プログラムが実行されているとき、また、実行されるおそれがあるときに、当該走行支援用プログラムの更新がされることはなく、自車の走行時の安全が確保される。
【0231】
そして、この実施形態の自動運転車1によれば、プログラムの更新の管理においては、自車の走行モードを管理するだけで良く、個々のプログラムの稼働状況を判定する必要はないという利点がある。また、停止状態のみではなく、走行中においても更新が可能であるので、更新機会が増加して、迅速なプログラム更新ができて便利である。
【0232】
さらに、走行支援用プログラムの更新は、当該走行支援用プログラムが利用されない走行モードにおいて実行されるので、利用者の当該走行モード用プログラムの利用が阻害されることはなく便利である。
【0233】
したがって、この実施形態の自動運転車1によれば、利用者の利用を最優先しながら、適切な時期に走行支援用プログラムの更新ができるという顕著な効果を奏する。
【0234】
[実施形態の変形例]
上述した実施形態の自動運転車1では、停止継続時間は、自動運転車1の利用者によって設定された降車後振る舞いに基づいて予測するようにした。しかし、停止継続時間は、利用者により設定された降車後振る舞いに基づいてのみ、予測されるものではない。例えば、停止継続時間を、自動運転車1の過去の走行履歴や停止履歴に基づいて予測するようにしてもよい。
【0235】
この場合の自動運転車1の電子制御回路部10には、用途ナビ機能部と、履歴メモリと、履歴解析部とが設けられる。
【0236】
用途ナビ機能部は、制御部101により、センサ群108のドアセンサでドアの開閉が検出されると共にカメラ群107のカメラによって、乗車者の乗車が検知されたときに起動される。用途ナビ機能部は、乗車者の乗車を検知したときに、自動運転車1を起動する前に、乗車者に、自動運転車1の利用用途を問い合わせ、乗車者からの利用用途の回答を受けて、利用用途を確定するようにする。
【0237】
利用用途としては、走行以外用途と走行用途に種別が分けられ、走行用途の場合には、自動運転モードによる走行か、手動運転モードによる走行かの区別も付けられる。
【0238】
そして、利用用途が走行用途の場合には、この実施形態では、「特定の目的地が定まっている(目的地既知用途)」と、「特定の目的地が未定である用途(目的地未定用途)」との2種が定められている。用途ナビ機能部は、乗車者に対して、そのいずれを選択するかを問い合わせると共に、選択した走行用途を、自動運転モードで利用するか、手動運転モードで利用するかの問い合わせをするようにする。
【0239】
そして、目的地既知用途が選択されたときには、用途ナビ機能部は、乗車者からの目的地の設定を受け付けるようにする。また、用途ナビ機能部は、「利用する走行時間のみの指定をする」が選択されたときには、利用する走行時間を乗車者に指定してもらって、受け付けるようにする。なお、走行時間を指定する代わりに、現時点から走行を開始したときの走行終了時刻を設定するようにしてもよい。
【0240】
この例の場合には、自車の利用者が予め登録されており、利用者画像情報記憶部に、登録された利用者の識別用の画像(例えば顔画像)が利用者識別情報(利用者ID)に対応付けられて記憶されて登録されている。利用者の乗車時には、この利用者画像情報記憶部に記憶されている識別用の画像(例えば顔画像)が用いられて、乗車した利用者が画像認識され、利用者IDが特定される。
【0241】
履歴メモリには、利用者画像情報記憶部に記憶されて登録されている利用者による自動運転車1の過去の利用用途の情報が、利用者IDに対応付けられて蓄積されている。
【0242】
図17に、履歴メモリの格納情報の例を示す。この図17に示すように、予め登録されている利用者について、その利用者IDに対応付けられて、利用者名及び利用履歴の情報が格納されている。この例では、利用履歴の情報としては、利用年月日及び曜日と、上述した、用途種別、用途内容、用途詳細、利用時間などの項目からなるものとされている。
【0243】
利用履歴の用途種別としては、前述した走行用途と、走行以外用途の2種のいずれかが履歴メモリに格納される。この場合に、用途種別が走行用途の場合には、自動運転モードでの走行か、手動運転モードでの走行かの情報に合わせて格納される。図17の例は、「走行:自動」は、自動運転モードでの走行、「走行:手動」は手動運転モードでの走行を示している。なお、この例では、自動運転モードでの走行か、手動運転モードでの走行かは、走行開始時における運転モードとされる。途中で運転モードが切り替えられたときには、その切り替えについても履歴として残すようにしてもよいことは勿論である。
【0244】
そして、この実施形態では、用途種別が走行用途の場合には、用途内容としては、「特定の目的地が定まっている(目的地既知)用途」と、「特定の目的地が未定である(目的地未定)用途」とのいずれかが格納される。そして、用途内容が目的地既知の用途の場合には、その用途詳細には、図17に示すように、例えば「自宅-○○駅」のように出発地(現在地)と目的地とが格納される。出発地(現在地)は、現在位置検出部110で検出された走行開始時の現在位置が記録される。用途内容が目的地未定の用途の場合には、その用途詳細には、図17に示すように、例えば「30分で戻る」のような利用時間や「15時までに戻る」のような利用終了時刻、例えば「近くの海へ」のような目的地の属性などが格納される。
【0245】
また、用途種別が走行以外用途の場合には、用途内容としては、走行以外用途機能部118に含まれる、例えばAVエンタテインメント機能部又はゲーム機能部を用いる「AV/ゲーム関連」か、マッサージ機構駆動部を用いるマッサージ用途か、その他の用途かである「マッサージ他」のいずれかが格納される。そして、用途内容が「AV/ゲーム関連」である場合には、用途詳細には、図17に示すように、例えば「音楽再生」や「ゲーム」のように、AVエンタテインメント機能部のいずれのAVエンタテインメント機能か、ゲーム機能部のゲーム機能が格納される。用途内容が「マッサージ他」の場合には、用途詳細には、図17に示すように、例えば「マッサージ」や「その他」が格納される。
【0246】
なお、履歴メモリには、利用者IDが割り当てられていない乗車者についても、個々の乗車者を区別することなく、「その他の利用者」の履歴情報として、上記の各項目の情報を蓄積しておくようにしてもよい。
【0247】
履歴メモリに蓄積された情報は、利用者や乗車者が一部又は全部を消去できるようにしてもよい。ただし、利用者や乗車者自身以外の情報は消去できないよう、利用者や乗車者の生体情報やID、パスワード等を用いてセキュリティーを確保しておく。
【0248】
履歴解析部は、履歴メモリに格納されている利用者毎(利用者ID毎)の履歴情報を解析し、習慣的に利用されている用途(以下、習慣性利用用途という)があれば、それを検出する。また、履歴解析部は、一人の利用者毎だけではなく、類似の利用態様をする複数の利用者の利用用途や、全利用者が共通するような利用用途についても解析を行うようにする。さらには、利用頻度も検出してもよい。この場合、習慣性利用用途は、優先的に問い合わせすることで告知するようにしてもよい。また、利用頻度の高い用途ほど、提示順位を上位(高順位)にするなどにより、優先表示をするようにしてもよい。ここで、この例では、習慣性利用用途は、履歴メモリの格納情報においては、「用途詳細」の項目が対象とされる。
【0249】
そして、この実施形態では、履歴解析部は、一人の利用者毎、あるいは複数の利用者について、1週間の内の特定の曜日に習慣的に繰り返し利用している用途(用途詳細)や、1日の内の特定の時間に習慣的に繰り返し利用している用途(用途詳細)を、習慣性利用用途として検出する。習慣性利用用途の検出は、これに限られるものではなく、例えば、正月、旧正月(春節)、イースター、盆などのような1年の内の特定の期間、また、誕生日、バレンタインデー、ハロウィン、クリスマスイブ、クリスマス、創立記念日、命日などのような1年の内の特定の月の特定の日付に習慣的に繰り返し利用している用途(用途詳細)を、習慣的利用用途として検出するようにしてもよいし、1日~複数日置きに、周期性を持って、繰り返し利用する用途(用途詳細)を、習慣性利用用途として検出するようにしてもよい。もちろん、月給の場合の毎月の給与日に特定のお店で食事をするなどのように、毎月特定の日に習慣的に繰り返し利用している用途(用途詳細)を、習慣的利用用途として検出するようにしてもよい。
【0250】
そして、この実施形態では、履歴解析部では、利用者毎の履歴において、走行用途の利用時間の終了時刻から、次の走行用途の開始時刻までを停止継続時間として把握することができる。したがって、利用者毎の履歴から、曜日や時間帯に対応して、習慣的に、停止を継続する時間を把握することもできる。このため、履歴メモリの履歴情報から、プログラムの更新の要求が発生したときに、その発生時点の曜日、時間帯を把握して、停止継続時間を予測することが可能となる。
【0251】
以上のように、この例では、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段1174は、履歴メモリの履歴情報を履歴解析部で解析した結果に基づいて、停止継続時間を予測するようにする。また、プログラム更新管理制御部119では、自車の利用中の用途を確認すると共に、過去の履歴に基づいて予測される停止継続時間を用いて、停止状態におけるプログラムの更新の可否を判断するようにする。その他の構成は、上述した実施形態と同様である。
【0252】
[実施形態のその他の変形例]
なお、上述の実施形態では、取得した更新プログラムの情報を用いた走行支援用プログラムの更新ができないと判別したときには、サーバ3からの更新プログラムの情報を記憶しておき、後の停止継続時間において、記憶している更新プログラムの情報を用いて走行支援用プログラムの更新を実行するようにした。しかし、走行支援用プログラムの更新ができないと判別したときには、サーバ3にその旨を通知して更新を拒否し、後の時間において、サーバ3からの更新通知に基づき、又は、サーバ3への問い合わせにより、走行支援用プログラムの更新を行うように構成してもよい。
【0253】
その場合には、サーバ3は、未実行の走行支援用プログラムの更新プログラムを、自動運転車の識別情報に対応付けて記憶しておき、次の更新通知の際に、その未実行の更新プログラムの更新通知を送ったり、クライアントの自動運転車からの問い合わせに応じて、当該未実行の更新プログラムの情報を提供するようにする。
【0254】
なお、上述の実施形態の説明では、プログラム更新管理制御部119では、プログラムの更新においては、自動運転車1のバッテリー11の残量は考慮しなかった。しかし、更新プログラムの情報に含まれる更新時間の情報と、バッテリー残量とを考慮してプログラムの更新が可能であるか否かを判別するようにしてもよい。すなわち、バッテリー残量が更新時間に対応することができないと判別したときには、更新を実行せずに、更新プログラムの情報を記憶部119Mに記憶しておき、後の時点において、バッテリーの残量に余裕がある状態において、上述の図14図16に示したようにして、その更新を実行するようにする。
【0255】
また、上述の実施形態では、走行支援用プログラムの更新中であるときに、利用者により走行開始指示があった時には、走行開始不可を通知するようにしたが、その通知を受けた利用者により、走行支援用プログラムの更新の強制停止の指示が可能に構成することもできる。すなわち、この場合には、走行支援用プログラムの更新の強制停止の指示を受けたときには、当該走行支援用プログラムの更新を中断すると共に、更新プログラムの情報は、記憶保持しておく。そして、後の停止継続時間において、中断した走行支援用プログラムの更新を、最初から実行し直すようにする。
【0256】
同様に、走行支援用プログラムの更新中であるため呼出不可であることの通知を受けた利用者から、走行支援用プログラムの更新の強制停止の指示を受けることができるように構成してもよい。この場合にも、走行支援用プログラムの更新の強制停止の指示を受けたときには、当該走行支援用プログラムの更新を中断すると共に、更新プログラムの情報は、記憶保持しておく。そして、後の停止継続時間において、中断した走行支援用プログラムの更新を、最初から実行し直すようにする。
【0257】
上述の実施形態では、利用者により設定された降車後振る舞いから、降車時に、停止継続時間を予測し、走行支援用プログラムの更新が可能かどうかを判別する形態を中心に説明したが、降車時でなくても、乗車時や乗車中に既に利用者が走行を停止している時間帯が把握できるのであれば、利用者の乗車時や乗車中に、利用者による走行を停止している時間帯の入力に基づいて、停止継続時間(停止している時間帯)を予測し、走行支援用プログラムの更新が可能かどうかを判別するようにしてもよい。
【0258】
[この発明のその他の実施形態または変形例]
上述の実施形態では、移動装置が自動車の場合であったが、オートバイなどの自動二輪やオート三輪でもこの発明を適用することができる。
【0259】
また、この発明の移動装置としては、自動車、自動二輪、オート三輪等を含め、陸上用途のみに限らず、水陸両用車、空陸両用車(空飛ぶ車両)、水空両用車、さらには、水空陸兼用車であってもよい。
【0260】
例えば図18に示すような、陸上移動と水上移動または水中移動とが可能な水陸両用車1WLの場合、陸上移動中であれば、陸上移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新は実行しないが、水上または水中の移動を支援する水上移動支援用プログラムまたは水中移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新を実行し、逆に、水上移動中または水中移動中であれば、水上または水中の移動を支援する水上移動支援用プログラム及び水中移動支援用プログラムの更新プログラムを実行しないが、陸上移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新は実行する。
【0261】
また、例えば図19に示すような、陸上移動と飛行(航空。空中移動とホバーリングを含む)とが可能な空陸両用車(空飛ぶ車両)1ALの場合、陸上移動中であれば、陸上移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新は実行しないが、飛行(航空)を支援する飛行(航空)支援用プログラムの更新プログラムによる更新を実行し、逆に、飛行中であれば、飛行(航空)を支援する飛行(航空)支援用プログラムの更新プログラムによる更新を実行しないが、陸上移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新は実行する。
【0262】
そして、図示は省略するが、陸上移動と水上移動または水中移動と飛行とが可能な水空陸兼用車の場合、飛行中であれば、飛行(航空)を支援する飛行(航空)支援用プログラムの更新プログラムによる更新を実行しないが、水上または水中の移動を支援する水上移動支援用プログラムまたは水中移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新と、陸上移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新とは実行する。
【0263】
また、水空陸兼用車の場合、水上移動中または水中移動中であれば、水上または水中の移動を支援する水上移動支援用プログラム及び水中移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新を実行しないが、陸上移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新とと、飛行(航空)を支援する飛行(航空)支援用プログラムの更新プログラムによる更新とは実行する。
【0264】
さらに、水空陸兼用車の場合、陸上移動中であれば、陸上の移動を支援する陸上移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新は実行しないが、水上または水中の移動を支援する水上移動支援用プログラムまたは水中移動支援用プログラムの更新プログラムによる更新と、飛行(航空)を支援する飛行(航空)支援用プログラムの更新プログラムによる更新とは実行する。
【0265】
なお、上述の実施形態の移動装置は、移動モードとして、手動運転モードと自動運転モードの2つのモードしか有さない自動運転車の場合であったので、共用モード識別情報は、単に2つのモードに共用であることを識別する情報とした。しかし、移動装置が、上記の水空陸兼用車のような3種以上の移動モードを備えている場合には、3種以上の移動モードの全てで共用の場合のみではなく、3種以上の移動モードの内の2種以上の複数種の移動モードにのみ共用される場合もある。そのような場合には、共用モード識別情報としては、その共用される移動モードにユニークに対応する識別情報を用いてもよいし、その共用される移動モードの全ての移動モード識別情報のそれぞれを含めたものを用いるようにしてもよい。
【0266】
そのような場合には、共用モードであっても、更新プログラムの情報の取得時の移動装置の移動モードが、当該共用モードに含まれていない場合には、当該更新プログラムを用いた更新が可能となる。
【0267】
なお、水陸両用車、空陸両用車(空飛ぶ車両)、水空両用車、水空陸兼用車において、水上または水中の移動を支援する水上移動支援用プログラムまたは水中移動支援用プログラムや飛行(航空)を支援する飛行(航空)支援用プログラムでも、陸上移動支援用プログラムと同様、それぞれ手動運転モードと自動運転モードを有することができる。そして、自動運転モードは、自動運転モード用の水上移動支援用プログラムまたは水中移動支援用プログラムを用いて水上または水中の自律移動を支援することができ、また、自動運転モード用の飛行(航空)支援用プログラムを用いて自律飛行(航空)を支援することができる。
【符号の説明】
【0268】
1…自動運転車、3…プログラム更新サーバ、10…電子制御回路部、101…制御部、116…降車後振る舞い設定受付部、117…振る舞い制御管理部、119…プログラム更新管理制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図18
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