(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】組箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/38 20060101AFI20221104BHJP
B65D 5/52 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
B65D5/38 C
B65D5/52 101Z
(21)【出願番号】P 2018214015
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2018177090
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392031859
【氏名又は名称】上六印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】三島 基司
(72)【発明者】
【氏名】横山 郁
(72)【発明者】
【氏名】藤井 直樹
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実公昭43-031103(JP,Y1)
【文献】特許第6211730(JP,B1)
【文献】特開2017-074987(JP,A)
【文献】米国特許第01859049(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/38
B65D 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角筒状で筒軸方向一面が閉塞され、他面が開口となった外箱(10、110、210)と、その外箱内に前記開口から前記筒軸方向出没可能に納めた上面開口の四角状の内箱(20、120、220)と、前記内箱内の底面に設けた起伏部材(40、140、240)と、前記内箱の後壁に設けた案内孔(52)と、前記起伏部材から前記案内孔(52)を介して外箱の後壁に固定された可撓性材(50)とを有し、
上記起伏部材に商品(A)が設けられて、上記内箱を外箱から引き出すと、上記可撓性材でもって起伏部材が起伏する組箱
において、
上記起伏部材(40)は四角箱体で、その前面壁(41)又は後面壁(46)の下縁(a)で上下方向に起伏自在に固定され、上記可撓性材(50)は上記外箱(10)の後壁に固定され、
上記内箱(20)を外箱(10)から引き出すと、上記可撓性材(50)でもって起伏部材(40)が引かれて上記下縁(a)を支点として起立し、その起立に伴って商品(A)が斜め上方に持ちあげられることを特徴とす
る組箱。
【請求項2】
上記商品(A)が棒状であり、上記起伏部材(40)は、その前面壁(41)でもって前記棒状商品(A)の後部をその軸心を不動に支持し、
上記内箱(20)内の前側に受け座(30)を設け、その受け座(30)は、上記棒状商品(A)の前部を接離自在に支持する請求項
1に記載の組箱。
【請求項3】
上記受け座(30)は、内箱(20)の底面に固定された基板(31)と、その基板前縁から斜め上方に立ち上がった支持板(32)と、その支持板(32)の上縁から内箱(20)の底面に至る支え板(33)とからなり、前記支持板(32)に棒状商品(A)の前部の受け孔(38)が形成されている請求項
2に記載の組箱。
【請求項4】
上記起伏部材(40)は、側面台形の四角箱体であって、その底板(42)の前縁が内箱(20)の内底面に固定されて、前面壁(41)に棒状商品(A)の後部の支持孔(41a)が形成されている請求項
1乃至3の何れか一つに記載の組箱。
【請求項5】
四角筒状で筒軸方向一面が閉塞され、他面が開口となった外箱(10、110、210)と、その外箱内に前記開口から前記筒軸方向出没可能に納めた上面開口の四角状の内箱(20、120、220)と、前記内箱内の底面に設けた起伏部材(40、140、240)と、前記内箱の後壁に設けた案内孔(52)と、前記起伏部材から前記案内孔(52)を介して外箱の後壁に固定された可撓性材(50)とを有し、
上記起伏部材に商品(A)が設けられて、上記内箱を外箱から引き出すと、上記可撓性材でもって起伏部材が起伏する組箱
において、
上記起伏部材(140)は、内箱(120)の底面前側固定点(a)で上下方向に起伏自在となっており、上記可撓性材(50)は、外箱(110)の固定点から、上記案内孔(52)を通って内箱(120)内に至り、前記起伏部材(140)の内箱(120)の底面前側固定点(a)より前側の
起伏部材の切欠き(155)から起伏部材(140)の前壁(196)に固定されている
ことを特徴とする組箱。
【請求項6】
四角筒状で筒軸方向一面が閉塞され、他面が開口となった外箱(10、110、210)と、その外箱内に前記開口から前記筒軸方向出没可能に納めた上面開口の四角状の内箱(20、120、220)と、前記内箱内の底面に設けた起伏部材(40、140、240)と、前記内箱の後壁に設けた案内孔(52)と、前記起伏部材から前記案内孔(52)を介して外箱の後壁に固定された可撓性材(50)とを有し、
上記起伏部材に商品(A)が設けられて、上記内箱を外箱から引き出すと、上記可撓性材でもって起伏部材が起伏する組箱
において、
上記起伏部材(240)は、昇降板(244)の両側端に起立片(242a、242b)が上記内箱(220)内底面に向かってそれぞれ設けられて、その両起立片(242a、242b)の先端は前記内箱(220)の内底面に固定されており、
上記可撓性材(50)は、外箱(210)の固定点から上記案内孔(52)を貫通した後、前記昇降板(244)又は起立片(242a、242b)に至って固定されており、
上記内箱(220)が外箱(210)から引き出されると、上記可撓性材(50)が外箱(210)側に引かれ、その引かれに伴って起伏部材(240)の両起立片(242a、242b)が起立し、上記昇降板(244)が両側端の起立片(242a、242b)の起立に伴い上昇することを特徴とす
る組箱。
【請求項7】
上記可撓性材がテープ状樹脂フィルム(50)からなる請求項1乃至
6の何れか一つに記載の組箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、四角筒状で筒軸方向一面が閉塞され、他面が開口となった外箱と、その外箱内に前記開口から出没可能に納めた上面開口の四角状の内箱と、からなり、外箱から内箱を引き出すと、内箱内の収納商品がせり上がる組箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
組箱には外箱内にさらに内箱を納め、その両箱に蓋を被せているものがあり、この組箱は高級感を醸し出し、化粧品等の詰め合わせ用包装箱等として使用されている。
この組箱において、展示時や蓋を開けた時(開放時)、内箱を斜めに持ち上げたり、そのまま持ち上げたりすると、その内箱に納めた商品が見やすく、高級感が増す。
このため、出願人は、蓋と内箱とをその動作に関連性を持たせて、蓋を開けた時の感動及び高級感を醸し出し得るようにした発明を提案した(特許文献1、2)。また、蓋の開放に伴い、テープを介して内箱がせり上がるようにした組箱も提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-26959号公報
【文献】特許第6211730号公報
【文献】仏国特許発明第0822978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2記載の組箱は、それなりに好評を得ているが、さらに商品価値を上げる別構成の組箱を要求された。さらに、何れの技術も、蓋の開放に伴って内箱をせり上げるものであり、外箱から内箱を引き出すことによって、内箱内の収納商品がせり上がるものではない。
この発明は、上記要求に応えるべく、外箱から内箱を引き出すことによって、内箱内の収納商品がせり上がるようにして、商品を見た時の感動及び高級感を醸し出し得る新規な組箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、この発明は、四角筒状で筒軸方向一面が閉塞され、他面が開口となった外箱と、その外箱内に前記開口から前記筒軸方向出没可能に納めた上面開口の四角状の内箱と、前記内箱内の底面に設けた起伏部材と、前記内箱の後壁に設けた案内孔と、前記起伏部材から前記案内孔を介して外箱の後壁に固定された可撓性材とを有し、前記起伏部材に商品が設けられて、内箱を外箱から引き出すと、可撓性材でもって起伏部材が起伏する構成の組箱を採用したのである。
【0006】
この構成において、上記起伏部材は四角箱体で、その前面壁又は後面壁の下縁で上下方向に起伏自在に固定され、上記可撓性材は上記外箱の後壁に固定され、内箱を外箱から引き出すと、可撓性材でもって起伏部材が引かれて前記下縁を支点として起立し、その起立に伴って商品が斜め上方に持ちあげられる構成とすることができる。
このように構成すると、起伏部材は、外箱側から引き出し方向に上向き傾斜した状態にせり上がり、それに伴って、起伏部材に設けた商品も、同様に、上向き傾斜した状態にせり上がる。
【0007】
また、この構成において、商品が棒状の場合、上記起伏部材は、その前面壁でもって棒状商品の後部をその軸心を不動に支持し、内箱内の前側に受け座を設け、その受け座は、棒状商品の前部を接離自在に支持する構成とすれば、さらに、ユニークな組箱となる。なお、前記「軸心を不動に支持する」とは、棒状商品が斜め上方に持ち上がる程度の不動の支持を言い、全く軸心が動かないように支持する意ではない。
このユニークな構成において、上記受け座は、内箱の底面に固定された基板と、その基板前縁から斜め上方に立ち上がった支持板と、その支持板の上縁から内箱の底面に至る支え板とからなり、前記支持板に棒状商品の前部の受け孔が形成されている構成を採用したり、
上記起伏部材は、側面台形の四角箱体であって、その底板の前縁が内箱の内底面に固定されて、前面壁に棒状商品の後部の支持孔が形成されている構成を採用したりすることができる。
【0008】
また、上記起伏部材は、内箱の底面前側固定点で上下方向に起伏自在となっており、上記可撓性材は、外箱の固定点から、上記案内孔を通って内箱内に至り、前記起伏部材の内箱底面前側固定点より前側の起伏部材の切欠きから起伏部材の前壁に固定されている構成とすることができる。
このように構成すると、起伏部材は、内箱から、反引き出し方向に(外箱に向かって)上向き傾斜した状態にせり上がり、それに伴って、起伏部材に設けた商品も、同様に、反引き出し方向に上向き傾斜した状態にせり上がる。
【0009】
さらに、上記起伏部材は、昇降板の両側端に起立片が上記内箱内底面に向かってそれぞれ設けられて、その両起立片の先端は前記内箱の内底面に固定されており、上記可撓性材は、外箱の固定点から、上記案内孔を貫通した後、前記昇降板又は起立片に至って固定されており、前記内箱が外箱から引き出されると、前記可撓性材が外箱側に引かれ、その引かれに伴って起伏部材の両起立片が起立し、前記昇降板が両側端の起立片の起立に伴い上昇する構成を採用することができる。
このように構成すれば、昇降板全体が持ち上がるため、商品を見やすい利点がある。このとき、両側の起立片の長さ(高さ)を調整することによって、昇降板の傾斜角度が異なる。すなわち、同じ長さであれば、昇降板は内箱底面に平行に持ち上がり、両起立片の長さが異なれば、その短い方の起立片側下向きに傾いた持ち上がりとなる。
【0010】
上記可撓性材は、引っ張られることによって、起伏部材を起立させるものであれば、何れでも良いが、例えば、樹脂等からなる紐やフィルム等が考えられる。このとき、テープ状とすることが好ましく、テープ状であると、引っ張り力がテープの長さ方向に確実に働くため、その引き動作が円滑に行われて起伏部材の起伏が円滑に行われる。紐の場合においても、並行な二本以上の紐であれば、同様な作用を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、以上のように構成したので、外箱から内箱を引き出すことによって、内箱内の商品がせり上がるため、従来になかった安価で斬新な組箱となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図15】同実施形態の外箱と内箱等を分離した斜視図
【
図19】同起立部材の各部品のブランクの平面図を示し、(a)は同底板、(c)は同支持片、(c)は同区画片、(d)は同区画片、(e)はカバー
【
図20】同実施形態の組箱の切断図であり、(a)は
図14のa-a線断面、(b)は同b-b線の部分断面
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態1]
この発明に係わる組箱の一実施形態
(第1実施形態)を
図1~
図13に示し、この組箱P1は、四角筒状の外箱10と、その外箱10内に筒軸方向出没可能に納まる四角状の内箱20と、その内箱20内の前側に設けた受け座30と、内箱20内の後側に固定した四角箱状起伏部材40と、前記内箱20の後壁に設けた案内孔52と、起伏部材40から前記案内孔52を介して外箱10の後壁に固定された可撓性材50とを有する。
【0014】
外箱10は、
図3に示すボール紙製ブランク10’から形成し、底板11の一側縁に糊片12を、同他側縁に側板13、上板14、側板15をそれぞれ折り目線rを介して連接している(連続して設けている)。各板11、13、14、15の両端縁にはフラップ片16、17、18、19をそれぞれ折り目線rを介して連接している。底板11、側板13、15の一方(
図3において上側)のフラップ片16、17、19にはスリット51をそれぞれ形成している。底板11の一方のフラップ片16の先端縁には舌片16aを折り目線rを介して連接している。
【0015】
この構成のブランク10’は、まず各板11、13、14、15の他方(
図3において下側)のフラップ片16、17、18、19を内側に折り曲げて各板11、13、14、15の内面(
図3の表面)に貼着して補強を行う。貼着は接着剤(糊)や両面テープで行う(以下、同様)。
この状態で、底板11に対して各折り目線rを介して側板13、上板14、側板15を順々に谷折りし、糊片12を側板15の表面に貼着して底板11、側板13、上板14、側板15からなる四角筒状体とする(
図4参照)。この後、両側板13、15の一方の端のフラップ片17、19を内側に折り曲げ、その上に底板11の同フラップ片16を内側に折り曲げて舌片16aを上板14の内側に挿入し、さらに、上板14の同フラップ片18を重ねる(
図2参照)。各フラップ片16、17、18、19の間は適宜に貼着して相互に一体とする。このとき、フラップ片16、17、19のスリット51は同一位置にあって可撓性材50が挿通して移動自在となる(
図2参照)。
【0016】
内箱20は、
図5に示すボール紙製ブランク20’から形成し、底板21の両長辺側縁に、外側板22、22、同内側板23、23、舌片24、24をそれぞれ折り目線rを介して連接している。底板21の短辺側には、外側端板25、25及び内側端板26、26をそれぞれ折り目線rを介して連接し、内側板23の短辺側には、フラップ片27をそれぞれ折り目線rを介してそれぞれ連接している。外側板22の短辺側と底板21の外側端板25の側縁の間は折り目線rを介して襠片28を設けている。各端板25、26にはスリット52、54をそれぞれ形成している。内側端板26の先端縁には舌片26aを折り目線rを介して連接している。なお、図中の破線を有する折り目線rはその破線部分が切り目となって折り目状態が確実かつ容易に維持されるものである(以下、同様)。
【0017】
この構成のブランク20’は、まず、底板21に対して各折り目線rを介して側板22、22、23、23、舌片24、24を順々に谷折り又は山折りして四角箱状とし、続いて、両端のフラップ片27、27を噛み合わせる(
図6(a)参照)。つぎに、襠片28を中程の折り目線rを介して折り曲げつつ外側端板25、25を立ち上げ(谷折りし)、さらに内側端板26を内側に折り曲げて、上面開口の四角状箱を形成する。舌片24、26a等は底板21に適宜に貼着する。このとき、端板25、26のスリッ52は同一位置にあって可撓性材50が挿通して移動自在となり(
図6(b)参照)、外箱10に内箱20を差し込んだ際、このスリット52と外箱10のスリット51は同一軸上に位置する。
【0018】
受け座30は
図7に示すボール紙製ブランク30’から形成し、基板31の前縁(同図において下側)に折り目線rを介して支持板32、立板33、底板34をそれぞれ連接し、底板34の側縁に補強板35を折り目線rを介して連接している。補強板35の一縁(
図7において上側)には二つ折りされる摘み片36を設けている。支持板32の両側にはフラップ片37を連接している。支持板32には立板33との連接線から下方に開口するほぼ半円形の支持孔38を切り起こしによって形成している。
【0019】
この構成のブランク30’は、まず、掴み片36を折り曲げて二重とし、その後、補強板35を折り込んで底板34に添わせて貼着する(
図8鎖線から実線参照)。このとき、摘み片36は立片33のほぼ四角状切欠き33aに対応する(切欠き33aに摘み片36が嵌って通り抜け自在となる)。
つぎに、基板31に対して折り目線rを介して支持板32を斜めに立ち上げ、立板33を下方に山折りし、さらに、底板34を谷折りして基板31に沿わせる。このとき、摘み片36は立板33の切欠き33aから突出した状態となる(
図8実線状態)。底板34は基板31に貼着することができる。
【0020】
起伏部材(駒)40は
図9に示すボール紙製ブランク40’から形成し、四角状支持板41の下縁(同図右側)に揺動板(底板)42、上縁に上板43を折り目線rを介して連接している。支持板41には化粧品等の棒状商品Aの支持孔41aを形成し、揺動板42にはほぼ四角状の切り起こし固定片42aを形成している。この固定片42aは後述のように内箱20の底面に貼着等によって固定する。
支持板41の両側縁(
図9において上下縁)には台形状側板44を折り目線rを介して連接し、その側板44の側縁に折り目線rを介してそれぞれフラップ片45を連接している。揺動板42及び上板43に舌片43aを設け、上板43にはスリット53を形成する。
一方の側板44の側縁(
図9において上側縁)に、後板46、連接板47、副支持板48を折り目線rを介してそれぞれ連接している。副支持板48には副支持孔48aを形成する。後板46、副支持板48の縁にはそれぞれ折り目線rを介してフラップ片46b、48bをそれぞれ設けている。
【0021】
この構成のブランク40’は、まず、後板46に対し連接板47を谷折りして立ち上げ、さらに副支持板48を谷折りしてそのフラップ片48bの一部(
図9において上側フラップ片48b)を側板44の内面に貼着して後板46に平行とする。それと共に、副支持板48の他のフラップ片48bを立ち上げる(谷折りする)。
つぎに、支持板41に対し側板44、44を立ち上げ(谷折りし)、そのフラップ片45、45、45、45を内側に折り曲げ、副支持板48を後板46と支持板41の間の後板46側に両板41、46とほぼ並行状態とする(
図10(a)参照)。
続いて、支持板41に対し揺動板42、上板43を谷折りしその舌片43a、43aを後板46の上縁の切り目46aに差し込むとともに揺動板42、上板43をフラップ片45、45、45、45に貼着して、
図10(b)に示す側面台形の起伏部材40を形成する。この組み立て時、可撓性材であるテープ状フィルム50の一端をスリット53から上板43の裏面(
図9の鎖線で囲まれた部分s)に貼着した後、その上板43をフラップ片45に貼着する。このとき、フィルム50はスリット53から出た後、上板43表面に貼着することもできる。
【0022】
この実施形態の組箱P1は以上の構成であり、まず、
図6(a)に示す状態から同図(b)に示す、内側端板26を内側に折り曲げて上面開口の四角状内箱20を組み上げ、その内箱20内の前部に受け座30を嵌めてその基板31を内箱20の底内面に貼着する(
図11、
図12参照)。このとき、
図1、
図2に示すように、支持板32は内箱20の前壁(外側端板)25に向かって斜め上方に傾いて立板33がその前壁に沿うようにするとともに、摘み片36を内箱20の前壁スリット54から突出させる。また、基板31及び底板34の側縁の係止片31aを内箱20の舌片24の折り目線上の切り目24aに嵌め込む。
【0023】
つぎに、
図10(b)に示す、組み立てた起伏部材40の上面から引き出された可撓性材(テープ状樹脂フィルム)50の他端を内箱20の後壁(内外側端板25、26で構成される)のスリット(案内孔)52に通す(
図12参照)。その後、起伏部材40を内箱20の後側内に嵌め込み、揺動板42から切り起こしされた固定片42aを受け座30の基板31表面に貼着等によって固定する(
図2参照)。この固定によって、起伏部材40は支持板41の下縁(揺動板42の前縁)aを支点として上下に揺動自在(上下方向に起伏自在(回動自在))に内箱20内に位置される(
図2矢印参照)。
【0024】
可撓性材50が引き出された内箱20を、
図4に示す外箱10に差し入れると共に、前記可撓性材50の他端を外箱10のフラップ片17、19、18からなる後壁のスリット51に挿し通し、その他端を外箱10の後壁の表面(フラップ片16の表面、
図3のs部分)に貼着する(固定する)。この後、外箱10の上板14のフラップ片18を前記可撓性材16を貼着したフラップ片16の上に被せて貼着する(
図2参照)。このとき、後述の内箱20の外箱10からの引き出しに伴って起伏部材40が所要の角度、例えば、θ=19度(
図13参照)、傾くように、内箱20の後壁と外箱10の後壁の間に可撓性材50の弛みが生じるように、実験などによって可撓性材50の長さを適宜に設定する。
【0025】
この実施形態の組箱P1は、以上のように組み立てられ、内箱20を外箱10から引き出した状態で、化粧品等の棒状商品Aの後端を起伏部材の支持孔41a及び副支持孔48aに差し込むとともに、前端を受け座30の支持孔38の上に位置させる。この商品Aの収納(包装)状態は、商品Aの後部が起伏部材40の両支持孔41a、48aに嵌ってその軸心を不動に支持して、内箱20内に商品Aがしっかり収納されたものとなる。
この状態で、内箱20を外箱10内に押し込めば(没入すれば)、
図1、
図2、
図12に示すように、商品Aがその自重によって倒伏してその前部が受け座30の支持孔38に嵌り、受け座30(支持孔38)と起伏部材40(支持板41、副支持板48)とでその両端で水平に支持された状態となる(包装された状態となる)。
【0026】
この組箱P1は、その包装された状態から、
図12から
図13に示すように、摘み片36でもって内箱20を外箱10から引き出すと、その内箱20の引き出しにつれて可撓性材50が引かれ、起伏部材40がその前面下縁aを支点として下向きに揺動(倒伏)する。この倒伏に伴って商品Aは上向き傾斜状態となる。
すなわち、
図11に示すように、内箱20に収納された商品Aは上向き傾斜状態となって、内箱20を引き出した者に迫ってくるため、その驚きとともに、その商品Aの高級感を醸し出す。
【0027】
なお、この実施形態では、可撓性材50を外箱10の後壁となるフラップ片16に貼着(固定)したが、内箱20の差し入れに支障が無い限りにおいて、外箱10と内箱20の後側の間隙内であれば、可撓性材50は内箱20の引き出しに伴って起伏部材40を起伏するため、可撓性材50を外箱10の後壁に貼着する位置は、そのような場合も含むものとする。この点は、以下の実施形態も同様とする。
また、起伏部材40は、後壁46の下縁が浮いた側面台形の四角箱体であるが、前壁41の下縁が浮いた側面台形とし、後壁46の下縁が内箱10の底面に固定されてその下縁で起伏する構成とすることもできる。
さらに、この実施形態において、摘み片36に代えてリボン状の紐とすることができ、内箱20の前壁側面を摘んで内箱を引き出し得れば、摘み片36や紐は省略し得る。
【0028】
[実施形態2]
他の実施形態(第2実施形態)の組箱P2を
図14~
図23に示し、この組箱P2は、扁平四角筒状の外箱110と、その外箱110内に筒軸方向出没可能に納まる四角状の内箱120と、その内箱120内の前側に設けた起伏部材140と、内箱120の後壁に設けた案内孔52と、起伏部材140から前記案内孔52を介して外箱110の後壁に固定された可撓性材50とを有する。
【0029】
外箱110は、
図16に示すボール紙製ブランク110’から形成し、底板111の一側縁(
図16において下側縁)に糊片112を、同他側縁に側板113、上板114、側板115をそれぞれ折り目線rを介して連接している。各板111、113、114、115の端縁にはフラップ片116、117、118、119をそれぞれ折り目線rを介して連接している。底板111の一方(
図16において右側)のフラップ片116にはスリット51を形成し、折り目線rを介して舌片116aを連接している。図中、60は上板114に形成した商品Aの確認用(視認用)透孔である。
【0030】
この構成のブランク110’は、底板111及び上板114の他方(
図16において左側)のフラップ片116、118を内側に折り曲げて各板111、114の内面(
図16の裏面)に適宜に貼着して補強を行う。
この状態で、底板
111に対して各折り目線rを介して側板113、上板114、側板115を順々に山折りし、糊片112を側板115の裏面に貼着して底板111、側板113、上板114、側板115からなる四角筒状体とする(
図14、
図15参照)。この後、両側板113、115のフラップ片117、119を内側に折り曲げ、その上に底板111の同フラップ片116を内側に折り曲げて舌片116aを上板114の内側に挿入し、さらに、上板114の同フラップ片118を重ねる(
図20(a)参照)。各フラップ片116、117、118、119の間は適宜に貼着して相互に一体とする。
【0031】
内箱120は、
図17に示すボール紙製ブランク120’から形成し、底板121の両長辺側縁に、外側板122、122、上板
122a、122a、内側板123、
123、舌片124、124をそれぞれ折り目線rを介して連接している。
内側板123には、切り込みによって透孔124aが形成されている。底板121の短辺側には、外側端板125、125、上側端板126a、126a及び内側端板126、126をそれぞれ折り目線rを介して連接し、内側板123の短辺側には、フラップ片127を折り目線rを介してそれぞれ連接している。外側板122の短辺側と底板121の外側端板125の側縁の間は折り目線rを介して襠片128を設けている。各端板125、126には折り目線rに沿うスリット(案内孔)52をそれぞれ形成している。外側端板126の先端縁には舌片126bを折り目線rを介して連接している。
【0032】
この構成のブランク120’は、まず、底板121に対して各折り目線rを介して側板122、122、123、123、舌片124、124を順々に谷折り又は山折りして四角箱状とし、続いて、両端のフラップ片127、127を内側に折り、その一方のフラップ片127は噛み合わせる(
図6(a)参照)。
つぎに、襠片128を中程の折り目線rを介して重ね折りしつつ外側端板125、125を立ち上げ(谷折りし)、さらに上側端板126a、内側端板126を内側に折り曲げて、上面開口の四角状の内箱120を形成する。舌片124、126b等は底板121に適宜に貼着する。このとき、端板125、126のスリット(案内孔)52は同一位置にあって可撓性材50が挿通して移動自在となり、外箱110に内箱120を差し込んだ際、このスリット52と外箱10のスリット51は対向する(
図20(a)参照)。
【0033】
起伏部材140を
図18に示し、
図19に示すブランクからなり、底板150、支持板160、両区画片170、180及びカバー190を有している。
底板150はボール紙製で、
図19(a)に示すように、内箱120内に嵌る幅tを有する四角状の基板151と、その両縁に折り目線rを介して側板152を連接したものであり、その一側部に五角形状の透孔(嵌合孔)153が左右(同図において上下)に形成されている。この底板150は、その側板152を折り目線rを介して谷折りして立ち上げ、折り目線r上の突片154を内箱120の内側板123の透孔124aに差し込むことによって内箱120内にセットする。
【0034】
支持板160はボール紙製で、
図19(b)に示すように、四角状の基板161と、その縁に折り目線rを介して連接された起立片162とからなる。起立片162は中程幅方向に折り目線rが形成されて、基板161から折り目線rを介して起立され、さらにその先端部が折り目線rを介して山折りされて、基板161に対し断面L字状に起立する(
図15参照)。基板161には、側部と中央部にそれぞれ四角状等の透孔163、164、
164aが形成さ
れ、起立片162にも同様な透孔165が形成されている。
【0035】
一方の区画片170はボール紙製で、
図19(c)に示すように、幅広部171と幅狭部172を交互に折り目線rを介して連接したものである。幅狭部172を折り目線rを介して下向きコ字状に起立させ、その起立した区画壁を支持板160の透孔164にその裏面から嵌めるとともに、係止片173を隣接する区画壁の側面に沿った透孔164aに嵌める。基板161の裏面に沿う幅広部172は基板161に適宜に貼着する。
他方の区画片180は透明プラスチック板製で、
図19(d)に示すように、基板181の両側縁に起立片182を折り目線rを介して連接しており、基板181に対し折り目線rを介して起立させる。その起立させた起立片182を支持板160の基板161の透孔163にその裏面から差し込むとともに、起立片182の係止片183を支持板160の起立片162の透孔165に差し込んで、この区画片180を支持板160に取り付ける。
【0036】
カバー190は透明プラスチック板製で、
図19(e)に示すように、基板191の側縁に側板192、蓋板193、側板194、糊片195を折り目線rを介して連接している。蓋板193の下縁(同図において左側)には端板196、フラップ片197を折り目線rを介して連接している。基板191、側板192、194の下縁にもフラップ片198、199を折り目線rを介して連接している。
このカバー190は、基板191に対して側板192、蓋板193、側板194を折り目線rを介して谷折りして扁平四角箱状とするとともに(
図15参照)、糊片195を基板191の側縁裏面に貼着する(その貼着部分は鎖線で囲まれた部分s)。
【0037】
この実施形態の組箱P2は以上の構成であり、まず、
図15に示すように、外箱110、内箱120、起伏部材140の底板150、同支持板160、同区画片170、180、同カバー190をそれぞれ組み立てる。そのカバー190に、起立片170、180を嵌めた支持板160を嵌め込んで適宜に貼着して一体とする(その貼着部分は
図19(b)の鎖線で囲まれた部分s等)。
つぎに、その支持板160が一体となったカバー190を、底板150にフラップ片198を透孔153に差し込んでそのフラップ片198を底板150の裏面に貼着する(その貼着部分は
図19(e)の鎖線で囲まれた部分s)。このフラップ片198の底板150への貼着により、フラップ片198の折り目線rを介して、底板150に対しカバー190が上下方向に起伏する。すなわち、底板150、支持板160、両区画片170、180及びカバー190からなる起伏部材140が組み立てられ、その起伏部材140は支点a(
図20(a)参照)でもって起伏する。
【0038】
この起伏部材140の底板150下面に沿って可撓性フィルム50の一端がその先端まで導かれ、その一端をカバー190の端板196先端の透孔196aを介してその内面に貼着する。一方、その貼着した可撓性フィルム50は底板150の縁の切欠き155からその裏面に導く。
この状態で、起伏部材140を内箱120内に装填し、その底板150を内箱底面に貼着(固定)するとともに、底板150の裏面のフィルム50の他端を内箱120の後壁(
端板125、126)の案内孔52に通して内箱120から突出させる。この状態でさらに内箱120を外箱110のその前面開口から差し込むとともに、前記フィルム50の他端を外箱110の舌片116a等から成る後壁の透孔(スリット)51に通して外箱110の舌片116a、フラップ片116、118の間に導いてそれらからなる後壁に貼着固定する(
図20(a)参照)。
このとき、後述の内箱120の外箱110からの引き出しに伴って起伏部材140が所要の角度、例えば、θ=45度、傾くように、内箱120の後壁と外箱110の後壁の間に可撓性材50の弛みが生じるように、実験などによって可撓性材50の長さを適宜に設定する(
図22、
図23参照)。
【0039】
この実施形態の組箱P2は、以上のように組み立てられ、内箱120を外箱110から引き出した状態で、化粧品等の商品Aを起伏部材140の支持板160に区画片170、180を介して載置する(設ける)。
この状態で、内箱120を外箱110内に押し込めば(没入すれば)、
図14、
図20に示すように、商品Aがその自重又は人手によって起伏部材140と共に倒伏して内箱120内に納まる(包装された状態となる)。
【0040】
この組箱P2は、その包装された
図14の状態から、外箱側板113、115の端縁切欠き113a
、115aから露出した内箱120側面を掴んで、内箱120を外箱110から引き出すと、その内箱120の引き出しにつれて可撓性材50が引かれ、起伏部材140がその底板150の基板151の前縁(カバー190のフラップ片197の折り曲げ縁)を支点aとして上向きに揺動(起立)する。この起立に伴って商品Aは上向き傾斜状態となる。
すなわち、
図21、
図22に示すように、内箱120に収納された商品Aは上向き傾斜状態となって、内箱120を引き出した者に迫ってくるため、その驚きとともに、その商品Aの高級感を醸し出す。
また、この実施形態の組箱P2は、起伏部材140を起立させた状態においても、内箱120が外箱110から少し出るように可撓性材50の長さが設定されているため、
図23に示すように、外箱110を内箱120に対して折り返して重ねることができる。このため、この状態においても展示が可能である。
【0041】
[実施形態3]
この発明に係わる組箱のさらに他の実施形態(
第3実施形態)を
図24~
図32に示し、この組箱P3は、上記と同様に、扁平四角筒状の外箱210と、その外箱210内に筒軸方向出没可能に納まる四角状の内箱220と、内箱
220内の後側に固定した四角箱状起伏部材240と、内箱220の後壁に設けた案内孔52と、前記起伏部材240から外箱210の後壁に固定された可撓性材50とを有する。
【0042】
外箱210は、
図26に示すボール紙製ブランク210’から形成し、底板211の一側縁(
図26において下側縁)に糊片212を、同他側縁に側板213、上板214、側板215をそれぞれ折り目線rを介して連接している。各板211、213、214、215の端縁にはフラップ片216、217、218、219をそれぞれ折り目線rを介して連接している。底板211の一方(
図26において右側)のフラップ片216にはスリット(透孔)51を形成
し、そのフラップ片216の先端縁に舌片216aを連接している。
【0043】
この構成のブランク210’は、まず底板211及び上板214の他方(
図26において左側)のフラップ片216、218を内側に折り曲げて各板211、214の内面(
図26の裏面)に貼着して補強を行う。
この状態で、底板211に対して各折り目線rを介して側板213、上板214、側板215を順々に山折りし、糊片212を側板215の裏面に貼着して底板211、側板213、上板214、側板215からなる四角筒状体とする(
図25参照)。この後、両側板213、215のフラップ片217、219を内側に折り曲げ、その上に底板211のフラップ片216を内側に折り曲げ
て重ね、さらに舌片216aを
内側に折り曲げて上板214の内側に挿入
し、さらに、上板214のフラップ片218を
前記フラップ片216に重ねる(
図29参照)。各フラップ片216、217、218、219の間は適宜に貼着して相互に一体とする(
図26の鎖線部分sが貼着部分)。
【0044】
内箱220は、
図27に示すボール紙製ブランク220’から形成し、底板221の両長辺側縁に、外側板222、222、上側端板223a、223a、内側板223、223、舌片224、224をそれぞれ折り目線rを介して連接している。
内側板223には、切り込みによって透孔224aが形成されている。底板221の短辺側には、外側端板225、225、上側端板226a、226a及び内側端板226、226をそれぞれ折り目線rを介して連接し、内側板223の短辺側には、フラップ片227をそれぞれ折り目線rを介してそれぞれ連接している。底板221の
外側板222の短辺側と同外側端板225の側縁の間は折り目線rを介して襠片228を設けている。各端板225、226及びフラップ片227にはスリット(案内孔)52をそれぞれ形成している。内側端板226の先端縁には舌片226bを折り目線rを介して連接している。
【0045】
この構成のブランク220’は、まず、底板221に対して各折り目線rを介して側板222、222、223、223、舌片224、224を順々に谷折り又は山折りして四角箱状とし、続いて、両端のフラップ片227、227を噛み合わせる(
図6(a)参照)。つぎに、襠片228を中程の折り目線rを介して重ね折りしつつ外側端板
225、225を立ち上げ(谷折りし)、さらに内側端板226を内側に折り曲げて、上面開口の四角状箱を形成する(
図25参照)。舌片224、226b等は底板221に適宜に貼着する。このとき、端板226及びフラップ片227のスリッ52は同一位置にあって可撓性材50が挿通して移動自在となる(
図29参照)。
【0046】
起伏部材240は
図28に示すボール紙製ブランク240’から形成し、底板241の両側端(同図において上下側縁)に起立片242a、242bが折り目線rを介して連接され、その一方の起立片242aの上端に透孔(スリット)53を設けた折り目線rを介して舌片243が連接され、他方の起立片242bの下縁に折り目線rを介して昇降板244が連接されている。
この起伏部材240は、同図のブランク240’から、底板241に対して起立片242b、昇降板244、起立片242a、舌片243を順々に谷折りして四角状とし、舌片243は昇降板244の裏面に貼着(固定)する。
この貼着した四角筒状の起伏部材240は、昇降板244の両側端に起立片242a、242bが起伏自在に設けられた態様となる。起立片242a、242bの長さ(
図28の上下方向)及び前記貼着を昇降板244の長さ方向(同上下方向)の適宜な位置に選択することによって、昇降板244の傾きが決定される。この実施形態においては、起立片242a、242bが起立して、昇降板244、起立片242a、242b及び底板241が重なり合うように、舌片243が昇降板244の裏面位置に貼着されている。
【0047】
この実施形態の組箱P3は以上の構成であり、まず、
図25に示すように、外箱210、内箱220、起伏部材240を組み立てる。
つぎに、起伏部材240の舌片243の裏面に透孔53を介して可撓性フィルム50の一端を導いて貼着(固定)する(その貼着位置を
図28の鎖線部分sで示す)。このフィルム50の貼着は起立片242a、242b又は昇降板244でも良い。
このフィルム50付の起伏部材240を内箱220内に嵌める。このとき、フィルム50の他端は内箱220の後壁(内側端板226及びフラップ片227)の両案内孔52、52に通すとともに、同外側端板225の案内孔52に通す。また、起伏部材240の底板241の突片241aを内箱220の内側板223の透孔224aに差し込むことによって内箱120内に装填(セット)する。
そのセットと共に、内箱220から突出した可撓性フィルム50の他端を外箱210の透孔51に通して外部に突出させる。
【0048】
この状態で、さらに内箱220を外箱210のその前面開口から差し込むとともに、透孔51から突出したフィルム50の他端を外箱
210のフラップ片216、218の間に導いて貼着固定する(
図29参照)。
このとき、後述の内箱
220の外箱
210からの引き出しに伴って起伏部材
240の昇降板244が所要の角度、例えば、θ=2~3度、傾き、内箱
220の後壁と外箱
220の後壁の間に可撓性材50の弛みが生じるように、実験などによって可撓性材50の長さを適宜に設定する。この実施形態においては、内箱220の後壁内(内側端板226、フラップ片227と外側端板225の間)にその弛みの多くを形成している。
【0049】
この実施形態の組箱P3は、以上のように組み立てられ、内箱220を外箱
210から引き出した状態(
図30参照)で、化粧品等の棒状商品Aを起伏部材240の昇降板244に、
図15記載の支持板160等などでもって商品Aを載置する(設ける)。この実施形態においては、支持板160の起立片162等を削除した基板161としている。
この状態で、内箱220を外箱210内に押し込めば(没入すれば)、
図24、
図29に示すように、商品Aがその自重又は人手によって起伏部材240と共に倒伏して内箱220内に納まる(包装された状態となる)。
【0050】
この組箱P3は、その包装された
図24、
図29の状態から、外箱側板213、215の端縁切欠き213a、215aから露出した内箱220側面を掴んで、内箱220を外箱210から引き出すと、その内箱220の引き出しにつれて可撓性材50が引かれ、起伏部材240の起立片242a、242bが起立して昇降板244がせり上がる。
すなわち、
図31に示すように、内箱220に収納された商品Aは上向き傾斜状態又は水平状態で持ち上がって、内箱220を引き出した者に迫ってくるため、その驚きとともに、その商品Aの高級感を醸し出す。
【0051】
また、この実施形態の組箱P3は、起伏部材240を起立させた状態においても、内箱220が外箱210から少し出るように可撓性材50の長さが設定されているため、
図32(a)に示すように、外箱
210を内箱
220に対して折り返して重ねることができる。このため、この状態においても展示が可能であり、さらに、同図(b)に示すように、外箱210、内箱220を重ねた状態において立てて展示することもできる。
さらに、この実施形態は、
図32(c)に示すように、内箱220から商品Aを突出したせり出す状態とし得る。このとき、昇降板244(商品A)は上向き傾斜状態(傾斜角度θ)となり、可撓性材50の長さをそのようになるように設定することは勿論である。
【0052】
以上の通り、この発明に係る組箱P1~P3は、内箱20、120、220に収納された商品Aが内箱の引き出しに伴って上向き傾斜状態等となって、内箱を引き出した者に迫ってくるため、その驚きとともに、その商品Aの高級感を醸し出す。このため、商品Aが、口紅やスプレー式香水等の高級感を醸し出す必要があるものにおいて有効な展示方法となる。例えば、ヒト幹細胞培養液(例えば、商品名:プロケアリバーサーセラム)等の高価な化粧品に有効である。
【0053】
なお、この発明に係る組箱P1、P2、P3の材料は、ボール紙に限らず、プラスチック板、ダンボール紙等の種々のものを採用できることは勿論である。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
10、110、210 外箱
11、111、211 外箱の底板
20、120、220 内箱
30 受け座
40、140、240 起伏部材
41、196 起伏部材の前面壁(前壁)
50 可撓性材(テープ状樹脂フィルム)
51、52、53 可撓性材の貫通スリット(案内孔)
155 起伏部材の切欠き
244 起伏部材の昇降板
242a、242b 同起立片
A 商品
P1、P2、P3 組箱
a 起伏部材の起伏支点(下縁)
r 折り目線(切り目線)