(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】開き戸用レバーハンドル座
(51)【国際特許分類】
E05B 3/06 20060101AFI20221104BHJP
E05B 3/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
E05B3/06 B
E05B3/00 E
(21)【出願番号】P 2019080301
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】592166126
【氏名又は名称】株式会社中尾製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 義人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直洋
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/183056(WO,A1)
【文献】特開2008-101349(JP,A)
【文献】特開2008-208589(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0159392(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0211318(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉(20)の内側と外側に取り付けるインナー座(2)及びアウター座(3)と、扉の錠組み込み穴(21)に通されて前記インナー座(2)とアウター座(3)を切り離し可能に接続する2本の連結軸(4)を有し、
前記インナー座(2)とアウター座(3)の各々は、底部の開放したカップ状のケーシング(5)と、前記扉(20)の錠組み込み穴(21)の両端の開口部にそれぞれ取り付けられる前記ケーシング(5)の底カバー(6)と、前記ケーシング(5)に内蔵されてレバーハンドル(22)に復帰力を加えるトーションばね(7)と、前記レバーハンドル(22)を支持するセンター軸(8)を備え、
前記インナー座(2)とアウター座(3)の前記トーションばね(7)を除いた他の構成要素は、同一形状、同一仕様であり、
前記ケーシング(5)は、端壁(5b)の中心部に端壁(5b)の内面側に突出して設けられた円筒状ボス部(5c)と、前記端壁(5b)の内面に突出して設けられた2個の左右対称形状のばね係止部(5d)と、前記端壁(5b)と一体の外周壁(5a)の180°回転した位置の内面に設けられた2個の左右対称形状のストッパ部(5e)を有し、
前記底カバー(6)は、中心部に前記錠組み込み穴(21)に入り込ませる円筒状ボス部(6a)を有し、
前記センター軸(8)は、板状の本体(8a)と、その本体(8a)の外周の周方向等分点に設けられた計4個の、前記ストッパ部(5e)に受け止められる回転角規制用の径方向突出部(8b)と、前記本体(8a)の中心部に当該本体(8a)の両端面から軸方向に突出して設けられた、星形の軸穴(8e)を有する円筒状の軸部(8c)と、前記本体(8a)の片側の端面に軸方向に突出して設けられたばね受け部(8d)を有し、
前記トーションばね(7)が、一端を前記ケーシング(5)の片方のばね係止部(5d)に、他端を前記センター軸(8)の前記ばね受け部(8d)にそれぞれ係止させて前記ケーシング(5)の前記円筒状ボス部(5c)の外周に組み込まれ、
前記センター軸(8)の前記軸部(8c)が前記ケーシング(5)の前記円筒状ボス部(5c)と前記底カバー(6)の円筒状ボス部(6a)の内側にそれぞれ摺動隙間をもって嵌め込まれて前記センター軸(8)が前記ケーシング(5)と前記底カバー(6)に支持され、
前記センター軸(8)の前記軸穴(8e)に、レバーハンドル(22)で回転させるラッチボルト駆動用の角芯(23)が挿通されてその角芯(23)が前記センター軸(8)によって支持される開き戸用レバーハンドル座。
【請求項2】
前記ケーシング(5)の外側を覆う外カバー(11)が含まれた請求項1に記載の開き戸用レバーハンドル座。
【請求項3】
前記ケーシング(5)の端壁(5b)が、前記インナー座(2)の底カバー(6)に前記連結軸(4)を固定するねじ(12)の外部からの回転操作を可能にするドライバー挿入用の貫通穴(5f)を備えた請求項1又は2に記載の開き戸用レバーハンドル座。
【請求項4】
前記ケーシング(5)の前記円筒状ボス部(5c)とその円筒状ボス部(5c)の穴に挿入するレバーハンドル(22)の根元部との間に介在される着脱自在の樹脂ブッシュ(10)がさらに含まれた請求項1~3のいずれかに記載の開き戸用レバーハンドル座。
【請求項5】
前記センター軸(8)の前記軸穴(8e)が、前記角芯(23)のコーナが点当たりして入り込む前記角芯のコーナのコーナ角よりもコーナ角の小さなコーナ(C)を有する請求項1~4のいずれかに記載の開き戸用レバーハンドル座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開き戸用レバーハンドルの支持安定性とその支持安定性の持続効果を高め、なおかつ、インナー側とアウター側の座を構成する部品の共通化も図った開き戸用レバーハンドル座に関する。
【背景技術】
【0002】
蝶番を介して戸枠に取り付けられた開き戸の扉は、その扉に組み込んだラッチボルトを戸枠側に設けられたストライクに係合させて閉鎖状態を保持する。
【0003】
ラッチボルトは、扉に取り付けられたレバーハンドルを操作して扉の内部に引き込まれ、その引き込みによりストライクとの係合が解けて扉を開くことが可能になる。
【0004】
ストライクに対するラッチボルトの係合が解ける方向、即ち、扉を開く方向に操作されたレバーハンドルは、操作力を開放すると、リターンスプリングの力で元の状態に戻る。
【0005】
リターンスプリングは、ユニット化されたラッチ機構の内部に組み込まれたものが多いが、下記特許文献1,2などに示されるように、レバーハンドルを支持するハンドル座に内蔵させた錠もある。
【0006】
リターンスプリングをハンドル座に内蔵させた錠は、ユニット化されていない単純な構造のラッチ機構を使用でき、錠の簡素化や小型化が図れる利点がある。
【0007】
なお、特許文献1のレバーハンドル座は、扉に固定される本体と、この本体に嵌合させる座板(これは後述する本願のレバーハンドル座の底板に相当する)とでカム板を回動可能に支持し、スプリングによってレバーハンドルが復帰する方向に付勢された前記カム板でレバーハンドルの固定されたレバー軸(角軸)を支持するようにしている。
【0008】
また、特許文献2のドアハンドル装置は、ドア座金の裏面に円筒状の支持部を、ハンドルレバーに円筒状の遊嵌部を、それぞれ設け、前記遊嵌部を前記支持部の穴に挿入してハンドルレバーをドア座金によって直接支持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2008-101349号公報
【文献】特開2010-255207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2のドアハンドル装置は、円筒状の遊嵌部を備えた特殊形状のハンドルレバーを必要とし、ドア座金の形状も複雑になって好ましくない。
【0011】
これに対し、特許文献1のレバーハンドル座は、本体と座板でカム板を支持し、そのカム板でレバー軸を支持しているため、レバーハンドルに円筒状の支持部にガイドされる遊嵌部を設ける必要が無い。
【0012】
加えて、レバー軸を支えるカム板の大径部を本体の凹部の内周面でガイドし、さらに、前記カム板の小径軸部を前記座板に設けた受け穴でガイドしているため、レバーハンドルの支持安定性もある程度確保される。
【0013】
しかしながら、特許文献1のレバーハンドル座は、座板によるカム板の小径軸部のガイドを座板に開けた受け穴の穴面で行っているため、経時使用での摩擦による座板の受け穴の穴面やカム板の小径軸部の摩耗が避けられず、支持安定性の長期持続が難しい。
【0014】
また、座板の受け穴によるカム板の小径軸部の支持を無くし、カム板のガイドを本体の凹部の内周面のみで行って上記問題を回避しようとすると、前記凹部の内周面によるカム板の大径部の支持が円周方向の一部分のみで行われることから、カム板の支持が不安定になってレバー軸の振れが起こり易くなることが考えられる。
【0015】
これに加え、特許文献1のレバーハンドル座は、インナー側とアウター側の本体(扉の内側と外側にそれぞれ取り付ける本体)が左右非対称の形状をなしているため、そのインナー側とアウター側の本体の部品点数削減のための共通化が図れないと言う問題もある。
【0016】
この発明は、上記の現状技術に鑑みてなされたものであって、レバーハンドルの支持安定性とその支持安定性の持続効果を高め、なおかつ、インナー側とアウター側の座を構成する部品の共通化も図った開き戸用レバーハンドル座を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、この発明においては、開き戸用レバーハンドル座(以下では単にレバーハンドル座とも言う)を提供する。
そのレバーハンドル座は、扉の内側と外側に取り付けるインナー座及びアウター座と、扉の錠組み込み穴に通されて前記インナー座とアウター座を切り離し可能に接続する2本の連結軸を有し、
前記インナー座とアウター座の各々は、底部の開放したカップ状のケーシングと、前記錠組み込み穴の開口部に取り付ける前記ケーシングの底カバーと、前記ケーシングに内蔵されてレバーハンドルに復帰力を加えるトーションばねと、前記レバーハンドルを支持するセンター軸を備え、
前記ケーシングは、端壁の中心部に端壁の内面側に突出して設けられた円筒状ボス部と、前記端壁の内面に突出して設けられた2個の左右対称形状のばね係止部と、前記端壁と一体の外周壁の180°回転した位置の内面を膨出させて作られた2個の左右対称形状のストッパ部を有し、
前記底カバーは、中心部に前記錠組み込み穴に入り込ませる内鍔の付いた円筒状ボス部を有し、
前記センター軸は、板状の本体と、その本体の外周の周方向等分点に設けられた、計4個の、前記ストッパ部に当接する回転角規制用の径方向突出部と、前記本体の中心部に当該本体の両端面から軸方向に突出して設けられた、星形の軸穴を有する円筒状の軸部と、前記本体の片側の端面に軸方向に突出して設けられたばね受け部を有し、
前記トーションばねが、一端を前記ケーシングの片方のばね係止部に、他端を前記センター軸の前記ばね受け部にそれぞれ係止させてケーシングの前記円筒状ボス部の外周に組み込まれ、
前記センター軸の前記軸部が前記ケーシングの前記円筒状ボス部と前記底カバーの円筒状ボス部の内側にそれぞれ摺動隙間をもって嵌め込まれて前記センター軸が前記ケーシングと前記底カバーに支持され、
前記センター軸の前記軸穴に、前記レバーハンドルで回転させるラッチボルト駆動用の角芯が挿通されてその角芯が前記センター軸によって支持されるものである。
インナー座とアウター座の前記トーションばねを除いた他の構成要素は、同一形状、同一仕様となっている。
【0018】
この開き戸用レバーハンドル座の好ましい形態を以下に列挙する。
1)前記ケーシングの外側を覆う外カバーを含ませる。
2)前記インナー座とアウター座の接続が、一端がアウター座の底カバーに固定された前記連結軸の他端をインナー座の底カバーにねじで着脱自在に固定して行われる構造にし、前記ケーシングの端壁に、前記ねじの外部からの回転操作を可能にするドライバー挿入用の貫通穴を設ける。
3)前記ケーシングの前記円筒状ボス部とその円筒状ボス部の穴に挿入するレバーハンドルの根元部との間に着脱自在の樹脂ブッシュを介在する。
4)前記センター軸の前記星形の軸穴を、前記角芯のコーナが点当たりして入り込む前記角芯のコーナのコーナ角よりもコーナ角の小さなコーナを有する穴にする。
【発明の効果】
【0019】
この発明の開き戸用レバーハンドル座は、レバーハンドルが固定されるラッチボルト駆動用の角芯がセンター軸によって支持され、前記センター軸が、両端の軸部をケーシングの円筒状ボス部と底カバーの円筒状ボス部の内側に摺動隙間をもって嵌め込まれて支持される。
【0020】
このように、センター軸の支持が軸の両端においてなされ、しかも、ケーシングと底カバーの円筒状ボス部によるセンター軸の両端の支持が両端の軸部の全周にわたってなされるため、支持安定性に優れ、センター軸の振れが生じ難い。
【0021】
また、センター軸の前記軸部及びケーシングと底カバーの円筒状ボス部の内径面の摩耗、傷つきも生じ難く、支持安定性が長期にわたって持続される。
【0022】
さらに、前記ケーシング、底カバー、センター軸及び必要に応じて設ける外カバーは、インナー用とアウター用が同一仕様、同一形状になっており、そのために、インナー座とアウター座を構成するこれらの部品の共通化が図られ、生産性の向上とコスト低減も可能になる。
【0023】
なお、前記外カバーを含ませたレバーハンドル座は、その外カバーによってケーシングが覆い隠されるため、見栄えがよい。
【0024】
また、前記ケーシングの端壁に、前記ドライバー挿入用の貫通穴を設けたレバーハンドル座は、インナー座とアウター座を予め組み立てておいて連結軸を介して接続することが可能であり、扉に対する装着が容易に行える。
【0025】
さらに、前記ケーシングの円筒状ボス部とレバーハンドルの根元部との間に前記樹脂ブッシュを介在したレバーハンドル座は、傷んだ樹脂ブッシュを交換して樹脂ブッシュの傷みに起因したレバーハンドルの支持安定性の低下を防止することができる。
【0026】
また、前記センター軸の星形の軸穴を、前記角芯のコーナが点当たりして入り込む形状にしたものは、前記軸穴と前記角芯の形状、寸法にずれが生じて軸穴に対する角芯の挿入ができないときの対応が容易である。軸穴の穴面の角芯が点当たりする僅かな部位を削る
だけで、角芯の挿入が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明のレバーハンドル座のインナー座を組み立てた状態にして示す断面図である。
【
図2】(a)はインナー座の構成部品を分解して外カバーの外面が現れる方向から見て示す斜視図、(a)はインナー座の構成部品を分解して外カバーの内面が現れる方向から見て示す斜視図である。
【
図3】連結軸が固定されたアウター座の底カバーの斜視図である。
【
図4】インナー座とアウター座のケーシングを示す底面図である。
【
図5】インナー座とアウター座のセンター軸の軸部に形成された星型の軸穴を示す端面図である。
【
図6】センター軸が元位置にあるときのセンター軸とケーシングの位置関係を示す底面図である。
【
図7】センター軸が元位置から回転規制を受ける位置まで回転したときのセンター軸とケーシングの位置関係を示す底面図である。
【
図8】レバーハンドルを固定した角芯とアウター座と扉の錠組み込み穴の位置関係を示す分解斜視図である。
【
図9】外カバーを外したレバーハンドル座を扉に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】レバーハンドルと外カバーを装着したレバーハンドル座を扉に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】レバーハンドルの扉に対する取り付け状態を示す側面図である。
【
図13】扉に対するレバーハンドルの取り付け状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の開き戸用レバーハンドル座の実施の形態を、添付図面の
図1~
図13に基づいて説明する。
【0029】
例示の開き戸用レバーハンドル座の構成要素を
図1~
図8に、そのレバーハンドル座の扉に対する取り付け状態を
図9~
図13にそれぞれ示す。
【0030】
図12に示すように、例示のレバーハンドル座1は、扉20の内側に取り付けるインナー座2と、扉20の外側に取り付けるアウター座3と、扉20に設けられた錠組み込み穴21に通されてインナー座2とアウター座3を切り離し可能に接続する2本の連結軸4を組み合わせて構成されている。
【0031】
それぞれの座を構成する部品は、
図1、
図2に示したように、底部が開放したカップ状のケーシング5、そのケーシング5の底カバー6、トーションばね7、センター軸8、小ねじ9、樹脂ブッシュ10及び外カバー11の7つである。
インナー座2とアウター座3は、トーションばね7を除いた他の構成要素が、同一形状、同一仕様となっている。トーションばね7は右巻きのばねと左巻きのばねが対をなす。
【0032】
図1は、インナー座2の構成部品を組み立てた状態を示している。アウター座3は、
図1に連結軸4を追加したものとなる。
【0033】
ケーシング5は、
図8と
図12に示した錠組み込み穴21のインナー側とアウター側の開口部にそれぞれ取り付けるものである。そのケーシング5は、
図1、
図2、
図4に示した外周壁5a、端壁5b、円筒状ボス部5c、
図2(b)と
図4に示したばね係止部5d、
図2、
図4、
図6、
図7に示した2個のストッパ部5e、
図2、
図4に示した2個の貫通穴5fを有し、底部が開放されたものになっている。
【0034】
外周壁5aは、円筒状であり、その外周壁5aの一端に端壁5bが連なっている。円筒状ボス部5cは、端壁5bの中心部に端壁5bの内面側に突出して設けられている(
図1、
図2参照)。
【0035】
ばね係止部5dは、
図4に示すように、2個が端壁5bの内面に突出して設けられている。2個のばね係止部5dは、左右対称形状であり、右、左の勝手違いが存在しない。
【0036】
ストッパ部5eは、
図2(b)、
図4、
図6、
図7に示すように、外周壁5aの180°回転した位置の内面を膨出させて作られている。このストッパ部5eも左右対称(端壁5bを2等分する中心線を基準にして左右対称)形状である。このストッパ部5eには、
図2(a)に示したねじ孔5gが加工されている。
【0037】
貫通穴5fは、ねじの回転操作を行うドライバーを挿入するための穴であって、2個の穴が中心対称位置に設けられている。その2個の貫通穴5fは、2本の連結軸4に対応させた位置にある。
【0038】
底カバー6は、中心部に円筒状ボス部6aを有する(
図1~
図3参照)。その円筒状ボス部6aは、
図12に示すように、扉20の錠組み込み穴21に入り込ませて扉20を挟むように扉20のインナー側とアウター側に取り付けられる。
【0039】
アウター座3の底カバー6には、
図3に示すように、連結軸4の一端がかしめ加工して固定されている。その連結軸4を介して底カバー6の扉20に対する取り付けが行われる。連結軸4は、他端がインナー座2の底カバー6に着脱自在に固定される。
【0040】
その連結軸4は、
図12に示すように、錠組み込み穴21に通され、その連結軸4の他端がインナー座2の底カバー6に接続されてインナー座2とアウター座3の底カバー6が互に連結される。
【0041】
この底カバー6は、外周に中心対称形状の突片6b(
図2、
図3参照)を有しており、その突片6bがケーシング5の外周壁5aの自由端に適合して設けられた切欠き部5h(
図2、
図4参照)に嵌め込まれてケーシング5と底カバー6の相対回転が阻止されるようになっている。
【0042】
底カバー6には、2本の連結軸4に対応させた2個の軸取り付け穴6c(
図2参照)が設けられ、その軸取り付け穴6cから円周方向に90°回転した位置に2個の座穴6dがさらに設けられている。
【0043】
連結軸4の一端は、
図3に示すように、アウター座3の底カバー6の軸取り付け穴6cに固定されている。インナー座2の底カバー6の軸取り付け穴6cには、ねじ12が通され、そのねじ12が連結軸4の他端にねじ込まれて連結軸4によるインナー座2とアウター座3の連結(底カバー6の接続)が行われる。
【0044】
座穴6dは、ケーシング5のストッパ部5eに対応した位置にあり、その座穴6dに小ねじ9が通され、その小ねじ9が
図2、
図4に示したストッパ部5eのねじ孔5gにねじ込まれてケーシング5に底カバー6が固定される。
【0045】
トーションばね7は、ケーシング5の円筒状ボス部5cに外嵌されてケーシング5に内蔵されており、そのトーションばね7がセンター軸8経由でレバーハンドル22(
図8~
図13参照)に復帰力を加える。
【0046】
センター軸8は、
図1、
図2に示すように、本体8aと、その本体8aの外周に設けられた、計4個の径方向突出部8b(
図2参照)と、円筒状の軸部8cと、ばね受け部8d(これも
図2参照)を有する。
【0047】
本体8aは板状であり、その本体8aの外周の周方向等分点に計4個の径方向突出部8bが設けられている。
【0048】
径方向突出部8bは、センター軸8の回転角α(
図6参照。これは即ち、レバーハンドル22の回転角)を規制するものであって、センター軸8が元位置(
図6の位置)から所定角度回転した位置(
図7の位置)で径方向突出部8bがケーシング5のストッパ部5eに当接し、センター軸8の回転が規制される。
【0049】
ばね受け部8dは、
図2(b)に示すように、本体8aの片側(ケーシング5の端壁5bに対面させる側)の端面に軸方向に突出して設けられている。
【0050】
このばね受け部8dにトーションばね7の曲げ戻された一端を、トーションばね7の前記一端とは反対向きに曲げ戻された他端をケーシング5の端壁5bの内面の2個のばね係止部5dの片方にそれぞれ係止させる。
【0051】
これにより、レバーハンドル22を解錠方向に回転させたときに、トーションばね7が巻き締められてそのばねの反発力が高まり、その力がセンター軸8を介してレバーハンドル22に伝わることで、レバーハンドル22が元位置に復帰する。
【0052】
センター軸8は、戻り方向に回転したときにも径方向突出部8bがケーシング5のストッパ部5eに当接し、その位置(ここが元位置)で戻り回転が停止する。
【0053】
センター軸8の円筒状の軸部8cは、
図1、
図2に示すように、本体8aの中心部にあって本体8aの両端面から軸方向に突出している。また、軸部8cは、星形の軸穴8eを有している。
【0054】
図5に示すように、軸穴8eは、円周方向の等分点に計8箇所のコーナCを有する。そのコーナCの数は、軸穴8eに挿通されてセンター軸8に支持されるラッチボルト駆動用の角芯23(図のそれは断面正方形)のコーナ数の2倍になっている。角芯23の両端にはレバーハンドル22が固定される。
【0055】
樹脂ブッシュ10は、ケーシング5の外部から円筒状ボス部5cの穴に挿入され、円筒状ボス部5cとその円筒状ボス部5cの穴に差し込まれるレバーハンドル22の根元部との間に介在される。この樹脂ブッシュ10は、傷んだときにケーシング5から抜き取って交換することができる。これにより、樹脂ブッシュ10の傷みに起因した角芯23の振れを抑制できる。
【0056】
角芯23は、レバーハンドル22の操作によって所定角度回転する。その回転により角芯23に取り付けた駆動リング24(
図12参照)が作動し、その駆動リング24に駆動されてラッチボルト25(
図13参照)が戸枠に固定されているストライク(図示せず)から抜け出し、扉20を開くことが可能になる。
【0057】
軸穴8eの各コーナCのコーナ角は、角芯23のコーナのコーナ角(例示の角芯は90°)よりも小さく、角芯23のコーナが点当たりして軸穴8eのコーナCに入り込む。
【0058】
このように構成されているため、角芯23の精度が悪くてその角芯23が軸穴8eに嵌らないときにも、軸穴8eの僅かな部位の穴面を削ることで軸穴8eに対する角芯23の挿入を可能にすることができる。
【0059】
このように構成されたレバーハンドル座1は、センター軸8の軸部8cがケーシング5の円筒状ボス部5cと底カバー6の円筒状ボス部6aの内側にそれぞれ摺動隙間をもって嵌め込まれ、センター軸8がケーシング5と底カバー6によって支持される。
【0060】
例示のレバーハンドル座1は、インナー座2と、アウター座3は、ケーシング5にトーションばね7とセンター軸8を組み込み、底カバー6を小ねじ9でケーシング5に固定して予め組み立てておき、これを扉20の外側と内側に取り付ける。
【0061】
ケーシング5に樹脂ブッシュ10を取り付け、さらに、外カバー11を被せたアウター座3を扉20の錠組み込み穴21の外側の開口部にセットし、そのアウター座3に、アウター側のレバーハンドル22が予め固定されている角芯23を挿入する。
【0062】
そして、その角芯23を駆動リング24に通し、その後さらに、錠組み込み穴21の内側の開口部にセットされたインナー座2に通す。そしてインナー座2のケーシング5を貫通した角芯23にインナー座2の樹脂ブッシュ10を嵌める(この樹脂ブッシュ10は、角芯23を通す前にインナー座2のケーシング5に取り付けておいてもよい)。
【0063】
次いで、アウター座3の底カバー6に固定されて錠組み込み穴21に挿入されている連結軸4にねじ12を使用してインナー座2の底カバー6を固定する。その作業は、インナー座2のケーシング5に設けられている貫通穴5fからドライバーをケーシング5の内部に差し込んで行う。
【0064】
ねじ12の締め込みにより、インナー座2とアウター座3が連結軸4を介して互いに連結されて扉20に固定される。そこで、インナー座2のケーシング5に外カバー11を被せ、さらに、インナー側のレバーハンドル22を角芯23に固定して錠の組み付けを完了する。
【0065】
例示のレバーハンドル座1は、センター軸8の支持が、軸部8cの両端をケーシング5の円筒状ボス部5cと底カバー6の円筒状ボス部6aに嵌め込んでなされる。
【0066】
この構造によると、軸部8cが、全周にわたって径方向の動き代が生じない状態に円筒状ボス部5c、6aの内径面にガイドされる。そのため、センター軸8の支持安定性に優れ、そのセンター軸8に支持された角芯23の振れとガタツキが生じ難い。
【0067】
また、センター軸8の両端の支持が、円筒状ボス部5c、6aの内径面に軸部8cが広く面接触してなされるため、軸部8cや円筒状ボス部5c、6aの内径面の摩耗、傷つきも生じ難く、支持安定性が長期にわたって持続される。
【0068】
さらに、インナー座2とアウター座3を構成する部品の共通化が図られ、生産性の向上とコスト低減も可能になる。
【符号の説明】
【0069】
1 レバーハンドル座
2 インナー座
3 アウター座
4 連結軸
5 ケーシング
5a 外周壁
5b 端壁
5c 円筒状ボス部
5d ばね係止部
5e ストッパ部
5f 貫通穴
5g ねじ孔
5h 切欠き部
6 底カバー
6a 円筒状ボス部
6b 突片
6c 軸取り付け穴
6d 座穴
7 トーションばね
8 センター軸
8a 本体
8b 径方向突出部
8c 軸部
8d ばね受け部
8e 軸穴
C コーナ
9 小ねじ
10 樹脂ブッシュ
11 外カバー
12 ねじ
20 扉
21 錠組み込み穴
22 レバーハンドル
23 角芯
24 駆動リング
25 ラッチボルト
α センター軸の回転角