(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】水冷却熱中性子炉の燃料組成物
(51)【国際特許分類】
G21C 3/62 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
G21C3/62 700
(21)【出願番号】P 2018563099
(86)(22)【出願日】2017-12-25
(86)【国際出願番号】 RU2017000932
(87)【国際公開番号】W WO2019103642
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-12-25
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】518358907
【氏名又は名称】アクツィオネルノエ オブシチェストヴォ “ラディエヴィ インスティテュート イメニ ヴェーゲー フローピナ”
(73)【特許権者】
【識別番号】517423567
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“サイエンス アンド イノヴェーションズ”
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジルバーマン ボリス ヤコヴレヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ゴロツキー ニコライ ドミートリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】コバレフ ニキータ ウラジミロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】シニューヒン アンドレイ ボリソヴィチ
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-021890(JP,A)
【文献】特表平11-510258(JP,A)
【文献】国際公開第01/033575(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NPP水冷却熱中性子炉の使用済みウラン核燃料の再処理によって再生したプルトニウムの酸化物と濃縮ウランの混合物を含み、
前記濃縮ウランとして、濃縮天然ウランから新たに調製されたNPP燃料であって、かつプルトニウムを含まないNPP燃料のポテンシャルと同等のエネルギーポテンシャルによって決定される成分比率で濃縮天然ウランを含み、原子炉炉心の100%装填を確保し、
標準SNF燃焼度が47 GW*days/tで、SNF再装填間の燃料補給間隔が504日であるVVER-1000/1200原子炉に対して、
濃縮天然ウランの
235U含有量が3.5~2%で、
再生プルトニウムを5~12%含み、
235Uを4.6%含む新たに調製された標準的な燃料と同等のエネルギーポテンシャルを提供する
ことを特徴とす
る水冷却熱中性子炉用の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力技術の分野に関し、特に、熱中性子炉の燃料に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、主流の加圧水型原子炉(PWR、VVER)のうち原子力発電所(NPP: Nuclear Power Plant)用水冷却炉では、加圧下の原子炉には、235U同位体(30~50kgs/t of U)を3.5~5%含む二酸化ウランUO2,の燃料組成物が装填される。
このためには、燃焼度が最大で70 GW*days/t HMまで増加する傾向にある装填物中において、使用済み核燃料(SNF: Spent Nuclear Fuel)の平均燃焼度を30-50 GW*day/h HM(重金属+核分裂生成物(FF: Fission Fragments))にする必要がある。
【0003】
この高い燃焼度は、原子炉区域を通したSNFの効率的な輸送によって達成され、1~1.5年ごとの再装填回数は、1~1.5年間隔で燃料補給すると、燃焼度の上昇とともに増加する。
【0004】
現在、235Uの初期濃縮度が4.6%(46.0 kg/t)で燃焼度が47 GW*days/tのVVER-1000のSNFは、適度な中性子吸収材である6.2 kg/tの236Uと12.3 kg/tのPuとの存在下で、プルトニウムの奇数(核分裂性)同位体である239+241Puを8.4 kg/t含んで、11.9 kg/tの235Uを有している。
【0005】
偶数同位体の補正分を控除すると、VVERおよびPWR-1300のSNFに対する核分裂性同位体のエネルギーポテンシャルは、初期のもので約30-35%であり、NPP SNF処理後にそのような材料を再使用することが基本的に可能になる。
しかしながら、再生核燃料の製造には原子炉設計と生物学的保護の双方に種々の制約がある。
【0006】
この場合、RBMK-1000およびVVER-1000原子炉では、ウランは部分的に使用され、輸送および研究炉SNFから再生され、予備的に濃縮度が増加する。VVER(PWR)SNFから再生された濃縮ウランからのRBMK原子炉用の燃料のパイロットロットの生産に関する情報がある。
【0007】
圧力下の原子炉中のウランプルトニウム混合再生燃料は、SNF処理中にウランとプルトニウムが分離され、フランスでだけ部分的に使用されている。
【0008】
所定の同位体組成またはこれに近い同位体組成のプルトニウムであって、燃料組成物中の含有量が60-90kg/tのプルトニウムは、劣化ウラン(1.5-2.5 kg/tの235U)の酸化物燃料(混合酸化物燃料(MOF: Mixed Oxide Fuel))の形で使用される。この酸化物燃料は旧式のPWR-900原子炉区域の30%に装填されており、これはフランスのNPP電力容量の40%に当り、NPPで生成された電力の約12%が再生プルトニウムを用いて発電されていることになる。
【0009】
この目的のために、PWR-900およびPWR-1300原子炉のSNF全量が、フランスのUP-2工場で処理されている。
【0010】
抽出された再生ウランは、2基の原子炉の炉心(AZ: Active Zone/core)に装填されて(容量の3%)、実験的に濃縮されつつあり、過去数年間に蓄積した再生燃料によって5年以内に容量が20~25%に増加する見通しである。
【0011】
再生材料からのSNFは連続的に処理されない。
【0012】
VVER-1000の炉心に部分的にのみMOF燃料を装填する可能性を証明する試算は、同様の図式を示しているため、この解決方法をロシアのNPPに適用する方法は見出されていない。
【0013】
再生材料を使用するプログラムを実施する際の深刻なもうひとつの複雑さは、プルトニウムの高い毒性と、核反応の副生成物として崩壊生成されたアクチニドの十分に強いガンマ線とによって、(再生ウランの濃縮も含めて)保護施設内で燃料を製造するしなければならない点にある。
【0014】
上記の欠点を克服するために、我々は、炉心の100%装填したSNFから抽出された再生ウランおよびプルトニウムを完全かつ同時に利用することができるREMIX-Bタイプの燃料組成物を提案した(特許文献1)。
【0015】
これは、再生プルトニウムに基づいて、濃縮天然ウランからの新たに調製されたNPP燃料を炉心に100%装填したときのポテンシャルと同等の、エネルギーポテンシャルから決定される組成比で、濃縮再生ウランまたは濃縮再生ウランと濃縮天然ウランとの混合物を酸化燃料組成物に添加することによって達成される。
【0016】
燃料組成物は、再生プルトニウムとウランとの混合物からなり、VVER SNFから再生されたバランスで、5.25%のPuと、235Uが3.45%、236Uが2.23%および232U が1.3×10 -6%の組成(残りは238U)の濃縮ウランとを含んでおり、エネルギー容量を正確に調整するために、少量の濃縮ウランが添加されている。特に、17%235Uまで濃縮された再生ウランは、輸送及び研究炉で高度に濃縮されたSNFを処理することによって抽出される。
【0017】
燃料はサイクルすることなく一度だけ使用される。
【0018】
この構成により、このような燃料は、NCF(核燃料サイクル)の原子炉プラントの総数の約20%に適用されており、残りの80%は濃縮天然ウランで稼働してSNFを生成する。生成したSNFは、REMIX-B燃料の製造に使用される。
【0019】
この方法を、我々はプロトタイプとする。
「等しいエネルギーポテンシャル」という用語は、中性子とその特性のバランスに応じて決定される原子炉のゾーン全体またはその一部に装填する際に、反応性(連鎖反応を維持する能力)の損失に対して、特定のタイプの原子炉で核燃料を生産することができるエネルギーの量(燃焼度、GW *days/ t HM)を意味する。
【0020】
これは、分裂核種(ウラニウムとプルトニウムの奇数同位体)の含有量であって、中性子を吸収することによって、これらの元素の偶数同位体が補償する含有量によって規定される。
【0021】
したがって、再生材料から得られる燃料は、核分裂性の同位体によって更に濃縮され、濃縮天然ウランから得られるNPPの初期燃料よりも濃縮度が高くなる。
濃縮天然ウランから得られる核燃料は、ある程度の量の減速剤を添加剤として含んでいることが多い。そのような減速剤は、例えば、燃料補給間隔の開始時の過剰な中性子の吸収剤であり、VVER-1000原子炉でのそのような添加剤はガドリニウムである。
【0022】
ウランとプルトニウムの偶数同位体は、再生材料から得られる燃料において減速剤の役割を果たす。
【0023】
必要に応じて、少量の濃縮天然ウランを導入すれば、混合組成を微調整することができる。
【0024】
なお、古典的なMOF燃料は、濃縮天然ウランから得られた燃料と等電位ではないことに留意すべきである。なぜなら、これは、プルトニウムの含有量を増やした特殊な配合のもとで、等しい最終燃焼度を規定して、運転されるからである。
さらに、過剰反応性を有する第2世代の原子炉ゾーン(上記したフランスのPWR-900)の30~40%のみがそのような燃料を装填され得る。
【0025】
特定の原子炉ゾーンに関する等電位燃料組成の計算は、IAEAの標準コード(例えば、非特許文献1)を使用して行われる。
【0026】
プロトタイプのREMIX-B混合燃料の欠点は、主に、再生ウランからのその組成物を生産するプロセスにおける放射線モニタリング特性によるものであり、燃料それ自体と同様に、ウラン232の崩壊生成核種の蓄積に関連しており、当該崩壊生成核種は、ウラン235の照射中にVVER(PWR)原子炉内で発生し、従って、燃料に含まれている。
【0027】
制限要因は、短命なγ線放出型のアルファ崩壊による生産物の連鎖を伴う崩壊生成トリウム-228の蓄積および分解である。
【0028】
ウラン232を12-15ppbレベルまで濃縮する場合、厳重な保護なしにグローブ装置内の材料を手動で扱うことができる時間は約10日間に制限される。すなわち、専用列車で輸送するたびに、そのようなウラン製品の完全な再処理が必要になる。、
このため、そのような材料からの燃料の生産は、プルトニウム含有燃料が保護装置内で製造されるプラントへの輸送や、調製したエネルギー二酸化プルトニウムの濃縮プラントへの輸送といった、安全性の点で望ましくない輸送をすることなく、ウラン同位体の濃縮場所において最も単純な技術によって組織する方が良い。
【0029】
また、VVER(PWR)原子炉の100%装填用の混合燃料の生産が依然として求められている。
【0030】
REMIX-B組成物のもう1つの欠点は、再生ウランの不均衡に起因して約5-5.5%を超えてプルトニウム濃度を増加させることができないことであり、その過剰は燃料としての原子炉で廃棄されるべき第二の組成物を出現させる。
【0031】
なお、これらの欠点は、熱中性子炉における特定の核燃料サイクル(NFC: Nuclear Fuel Cycle)との関連からこの供給を考慮すれば、再生中のウランの含有量を減らしながら、増加した番号の235Uを供給してプルトニウム含有量の多い組成を増加させることによって、この問題に対する従来技術を発展させることによって部分的に克服できる(非特許文献2、3)。
【0032】
この種の組成は、PWR-1300の炉心への混合燃料の装填が少なくとも不完全であることを(我々の計算によって)保証するためにフランスの専門家が提案したものだが、MIX燃料と呼ばれている。
【0033】
これらの従来技術を、我々はアナログ技術として受け入れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【文献】ロシア特許第2537013号明細書、2014年6月20日、第17号公報
【非特許文献】
【0035】
【文献】LA-UR-03-1987、MCNP-A General Monte Car-Lo Code、Version 5
【文献】Pavlovichev A. M., Pavlov V. I., Semchenkov Y. M., Fedorov Y.S., Bibichev B. A., Zilberman B. Y. Neutron-physical characteristics of the VVER-1000 reactor core at 100% loading by fuel from a mixture of regenerated uranium, plutonium and enriched uranium. Nuclear energy, 2008, vol. 104, No. 4, pp. 196-198.
【文献】Youinou G., Delpech M., Guillet J.L., Puil A., Aniel S. Plutonium Management and Multirecycling in LWRs Using an Enriched Uranium Support. Proc. Int. Conf. Global"99, (USA, 1999).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
ここで、上記アナログ技術による燃料には再生ウランが含まれており、これらの燃料を循環させるとウランの偶数同位体の濃度が上昇するため、上記アナログ技術はウラン232の有害な影響を制限するという課題を解決していないことに注意すべきである。
【0037】
本発明の目的は、MIX-Bという暫定名称の下、上述の問題を生じることなく、NFから抽出された再生プルトニウムおよびウランの並行利用を可能にする燃料組成物を開発することである。
【0038】
同時に、それはプロトタイプとアナログ技術の両方の肯定的な側面を結合する必要があります。
【0039】
また、本発明の主題は、従来使用されていなかった燃料組成成分の組み合わせであることも強調すべきである。
【0040】
なぜならば、その正確な組成は、それが装填される原子炉のタイプおよびモードに依存しているからであり、また、当該組成は、義務付けられている原子炉テストと、核燃料を生産する際に各社で利用可能な運転計算コードのいくらかの改良を可能にする運転実績と、の結果から程度修正されるからである。
【課題を解決するための手段】
【0041】
技術的な成果は、NPP水冷却熱中性子炉から得られたウラン使用済み核燃料の処理においてプルトニウムを再生した際に、酸化プルトニウムと濃縮ウランとの混合物を含む燃料組成物をNPP水冷却熱中性子炉に使用することによって達成される。
【0042】
そして、この組成物は、炉心に100%装填する際に、再生プルトニウムに対して一定の割合で濃縮天然ウランを含んでおり、濃縮天然ウランから新たに調製した燃料と同等のエネルギーポテンシャルを提供する一方、濃縮再生ウランが組成物に含まれており、NPPで使用され、プルトニウムを含んでおらず、濃縮天然ウランから新たに調製した燃料と同等のエネルギーポテンシャルを提供し、特定の組成物中の両方の再生材料の無制限なクロスサイクリングを可能にする。
【0043】
NPP水冷却熱中性子炉の燃料組成物は、原子炉への燃料補給間隔後に照射された特許請求された組成物から抽出された再生ウランを前記再生ウランの一般的組成の一部とする一方、照射された再生ウランの組成物から抽出されたプルトニウムもまた特許請求された組成物の一部とする。
【0044】
標準SNF燃焼度が47 GW*days/tで、SNF再装填の燃料補給間隔が504日であるVVER-1000/1200原子炉に対して、混合燃料の組成物は、天然由来の3.5~2%の235Uから得られた濃縮ウランの含有量が5~12%の再生プルトニウムであって、VVER-1000/1200原子炉の核燃料サイクルで採取された、235Uを4.6%その他に濃縮した天然ウラン由来の新規燃料と同等のエネルギーポテンシャルを提供する。
【0045】
NPP水冷却炉に用いる燃料組成物は、濃縮されていない天然ウランと、NPP燃料として組成された形態で濃縮したウランと、異なる回数だけ再生されたプルトニウムと同様に、異なるタイプの原子炉および/またはロットのSNFから再生されたプルトニウムを含み、必要なエネルギーポテンシャルを達成するために天然ウランおよび濃縮天然ウランの任意の組み合わせでの計算に従って混合されている。
【0046】
本発明の組成物は、その最適な組成では、長期間にわたる燃料補給間隔で補給され、その後の処理せずに廃棄するRCS(Reactor Control System)をより多く有する原子炉に装填することを意図している。
【0047】
その使用は、濃縮再生ウランを含有する組成物の使用に時間的に拘束されない。
【0048】
このようなNPP水冷却炉用の燃料組成物は、再生プルトニウムと天然由来のウランを少なくとも5%含んでおり、成分比で235U が3-1.3%まで濃縮されており、エネルギーポテンシャルが濃縮天然ウラン由来の新たに調製されたNPP燃料のポテンシャルと同等になるように決定され、そのような燃料を用いるVVER(PWR)型の炉心の熱中性子炉の100%の装填が想定されている。
【0049】
処理の際に、再生ウランはSNFから別のチェーンへ除去され、このチェーンにおいては、VVER型原子炉において236Uの補償に使用される標準値まで、再生ウランが濃縮される。この燃料は一度使用され、任意のウランSNFからのプルトニウムは、使用済再生ウランから抽出された二次再生プルトニウムを含み、製造用MIX-B燃料の元となる。この目的のために、それは濃縮天然ウランと混合され、サイクリングせずに使用され、或いは1回だけリサイクルしたほうが残留エネルギーポテンシャルの使用の点で有利である場合には1回だけリサイクルして使用される。
【0050】
提案された燃料組成物の照射は、この目的のために特に選択され、再装填回数が多い一連の原子炉において、最大燃焼度モードで導入するのに適しているので、そのようなSNFからのウランは、235U同位体の量によっては、短期的な閉鎖系核燃料サイクル(CNCF: Closed Nuclear Fuel Cycle)におけるサイクリングの観点からもはや重要ではない。
【0051】
再生ウランは、236Uの核特性の補償と232Uの存在によるその放射線モニタリング特性とを考慮に入れて、別のチェーンで濃縮され酸化物燃料に変換される。
【0052】
これは、使用済み燃料MIX-Bから抽出された二次再生ウランに完全に適用される。
【0053】
今度は、二次再生プルトニウムが、SNFから抽出され、濃縮再生ウランに基づいて、MIX-Bに組成に無制限に含有される。
【発明の効果】
【0054】
この混合燃料組成物の主な利点は、組成および物流がより簡単な点にある。濃縮再生ウランの使用に関するバランスにも、濃縮再生ウランによる処理に関するタイミングの制限の欠如にも関連していないため、当該混合燃料組成物の利用が、ロシアでは工業的規模で習得されており、REMIX-Bよりも早くロシアで実施できる。
【0055】
均衡の取れたCNCFでは、プルトニウム原子炉の数が、プロトタイプよりも少なくなるが、再生ウランの開発時間に合わせて原子炉の数を任意に増やすことができる。
【0056】
これは、プロトタイプと比較して、保護バージョンでの燃料装填に伴う原子炉の数の増加に起因する欠点を超える。
【0057】
第2の利点は、再生ウランとプルトニウムの流れを別々のチェーンに分割することによって、燃料組成物の処理および製造の単純化した図式にある。
【0058】
このPWR(VVER)原子炉のSNF量は、その燃焼度に応じて、初期SNFと比較して3~7倍減少する。
【0059】
同時に、混合燃料中のプルトニウムの含有量が高いため、NFCのバランスは、プルトニウムの貯蔵庫からの追加量を含めることを可能にする。
【0060】
原子炉(VVER-1200またはEPR-1600)の制御および保護システムの数が増えるにつれて、そのようなプルトニウム含有再生燃料の量は7.5~8回減少し、燃焼度の上昇に伴う燃料補給の間隔において、この目的専用の原子炉内に照射される。すると、貯蔵庫に蓄積されたプルトニウムが過剰なため、その処理が実用的でなくなる。
【発明を実施するための形態】
【0061】
上記を実施例によって説明する。
[実施例1]
燃料組成物MIX-Bは、燃焼度が47 GW*days/t HMで、5年間暴露された、3.87 t HM(負荷におけるアクチノイド量の初期結果の合計)のVVER-1000 SNFから抽出された、再生二酸化プルトニウムからなり、235Uを2.9%含む濃縮天然ウラン(残りは238U)と混合されたPu(3.4%239 + 241Pu)を5.0質量%含む。
【0062】
組成物(1t HM)は、235U 4.6%を含有する標準の新規燃料と等しいエネルギーポテンシャルを有し、原子炉が504有効日(1.5年)の再負荷間隔で、再負荷を2回行うときに(FA毎に合計5年)、VVER-1000炉心を100%充填するのに適している。
【0063】
同時に、235Uを1.27%、236Uを0.65%、および232U を3ppb含む組成(残りは238U)の再生ウランが、そのようなSNFの量から3.82トンHM抽出される。
【0064】
これにより、再生ウラン燃料が0.83t HM生産される。
【0065】
MIX-Bの使用済燃料は、235Uを1.4%、236Uを0.33%、および232Uを3ppb含む組成(残りは238U)のウランと混合されたPu(2.4%239+241Pu)を4.1質量%含む。
【0066】
処理後、再生ウランは、別のチェーンのVVER-1000レギュラーSNFからのウランと一緒に濃縮されるので、引き続く生産時に、再生ウランから0.25t HMの等電位燃料を供給する。
【0067】
このような使用済燃料からの再生プルトニウムは、MIX燃料の生産に戻される。
【0068】
再生ウランから合計1.08トンの燃料が生産される。
【0069】
二次再生プルトニウムからは、Uを3.0%235まで濃縮した天然ウランの混合物中に100%Pu/tを含む、0.39t HMのMIX-B2二次混合燃料が生産される。
【0070】
それから再生されることによって、ウランも0.12トンの燃料を追加生産する濃縮チェーンへ送られる。
【0071】
同位体の組み合わせによって、分離されたプルトニウムは、エネルギーポテンシャル(5kgのPuに相当する1kgの235U)がまだ少しあるものの、WWER原子炉に使用しても採算がとれず、貯蔵庫へ送られた後、高速中性子炉の出発燃料の生産に供される。
【0072】
残留235Uよりも二重に優勢な236Uを含む二次再生ウランは廃棄施設へ送られる。
【0073】
このようなリサイクルは、異なる燃料によって原子炉の負荷比率にひずみを生じることなく、必要なだけ長く定常状態で実行することができる。
【0074】
したがって、熱中性子炉の総数の36%に再生プルトニウム燃料を負荷することができ、VVER原子炉の総数の約34%に濃縮再生ウラン燃料を負荷することができる。
【0075】
VVER原子炉の総数の53%には新鮮なウラン燃料が負荷されており、47%に再生燃料が負荷されたときに、NFCが均衡する。また、47%の内訳は、タイプMIX-BおよびMIX-B2のプルトニウム含有燃料を負荷された25%の原子炉と、再生ウラン燃料を負荷された22%である。
[実施例2]
燃料組成物MIX-Bは、燃焼度が47 GW*days/t HMで、5年間暴露された、7.0 t HM(負荷におけるアクチノイド量の初期結果の合計)のVVER-1000 SNFから抽出された、再生二酸化プルトニウムからなり、235Uを1.36%含む濃縮天然ウラン(残りは238U)と混合されたPu(6.1%239 + 241Pu)を9.0質量%含む。
【0076】
組成物(1t HM)は、235U 4.6%を含有する標準の新規燃料と等しいエネルギーポテンシャルを有し、原子炉が315有効日(1年)の再負荷間隔で、燃焼度60 GW*days/t HMで再負荷を5回行うときに(FA毎に合計6年)、VVER-1000炉心を100%充填するのに適している。
【0077】
VVER原子炉の総数の14%にこのような燃料が負荷されており、これはVVER原子炉の総数におけるVVER-1200原子炉の総数を超えない。
【0078】
MIX-B燃料のエネルギープルトニウム含有量の増加は、VVER-1000型原子炉と比較して、VVER-1200型原子炉におけるRCSの数が倍増したことにより達成されている。
【0079】
同時に6.9t HMの再生ウランは、1,27%の235U、0.66%の236Uおよび3 ppbの232Uの組成(残りは238U)を有し、かかる量のSNFから抽出される。
【0080】
かかる量から、1.5HMの再生ウラン燃料が生産され、これはVVER原子炉(好ましくは、VVER-1000)の総数の20%に負荷される。
【0081】
使用済燃料には、0.68%の235U、0.16%の236Uおよび4ppbの232Uを含有するウランの混合物(残りは238U)中に、6.4質量%のPu(3.6%の239 + 241Pu)が含まれている。
【0082】
抽出されたプルトニウムのエネルギーポテンシャルは10.4kgの235Uに相当し、すなわち、6kgのPu当たり1kgの235Uは、実施例1と同様に、さらにサイクルを経済的に非実用的するので、サイクルから除去され、実施例1と同様に使用される。
【0083】
処理後、二次再生ウランは別のチェーンでの濃縮に送ることができ、その結果、0.1t HMの等電位燃料を生産することができるが、これは経済的に不適切であるとも考えられるので、濃縮の代わりに、廃棄されるべきである。
【0084】
このように、貯蔵庫に余剰のプルトニウムがある場合、すべての二次SNFは、長期間の保管後、処理することなく廃棄するために送ることができるが、それの代わりに、過去数年の活動からの余剰プルトニウムを、核物質倉庫から持ち出して、NFCに投入してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る組成物は、水冷却熱中性子炉の燃料として有用である。