(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】RF装置の推奨触媒を提案する装置、方法、プログラム、非一時的コンピュータ可読記録媒体
(51)【国際特許分類】
G16Z 99/00 20190101AFI20221104BHJP
C10G 35/24 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G16Z99/00
C10G35/24
(21)【出願番号】P 2018062617
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000105567
【氏名又は名称】コスモ石油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千代田 範人
(72)【発明者】
【氏名】新名 哲
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大樹
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-303076(JP,A)
【文献】特開2002-329187(JP,A)
【文献】特開2003-058206(JP,A)
【文献】特開2003-170062(JP,A)
【文献】特開2002-372507(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103045296(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16Z 99/00
G06Q 10/00-99/00
C10G 35/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの端末とネットワークを介して接続され、原料油から接触改質(Reforming)により生成油を得る接触改質装置(以降、RF装置)のベンチプラントにおける、触媒の種類と、運転日数と、最終到達温度と、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の組成と、を含む基準実績情報の各項目の関係を表す基準運転関数を使って、ユーザのRF装置における推奨触媒を提案する装置であって、
前記装置は、プロセッサと、コンピュータ可読命令を記憶する記憶部と、を備え、
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサで実行されると、前記装置は、
前記端末から、前記ユーザのRF装置における、触媒の種類と、運転日数と、最終到達温度と、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の組成と、を含む、ユーザ実績情報を取得し、
前記基準実績情報と前記ユーザ実績情報とを比較して、前記基準運転関数を補正してユーザ運転関数を算出し、
前記端末から、ユーザが予定している運転条件である、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の目標オクタン価の少なくとも一つ以上と、予定運転日数と最終到達温度のいずれか一方と、を予定条件として取得し、
前記予定条件として前記予定運転日数を取得したときに前記ユーザのRF装置の上限温度を制約条件として取得し、前記予定条件として前記最終到達温度を取得したときに前記ユーザのRF装置の規定運転日数を制約条件として取得し、
運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の目標オクタン価のうち前記予定条件として入力されなかった項目を前記ユーザ実績情報の各々の項目で代用した流用条件と、前記予定条件と、前記ユーザ運転関数に基づき、複数の触媒の種類について、前記予定条件と前記流用条件で前記ユーザのRF装置を運転した場合における、前記予定運転日数と前記最終到達温度のいずれか他方を算出し、
算出された前記予定運転日数と前記最終到達温度のいずれか他方が前記制約条件を満たす触媒の種類の少なくとも一つを推奨触媒として前記端末に出力するように構成された、RF装置の推奨触媒を提案する装置。
【請求項2】
算出された前記予定運転日数と前記最終到達温度のいずれか他方が前記制約条件を満たす触媒の種類を、算出された前記予定運転日数と前記最終到達温度のいずれか他方の前記制約条件に対する近似度で評価し、
前記近似度とともに、前記制約条件を満たす触媒の種類を前記推奨触媒として前記端末に出力するように構成された、請求項1に記載のRF装置の推奨触媒を提案する装置。
【請求項3】
前記流用条件と、前記予定条件と、前記ユーザ運転関数に基づき、前記制約条件を満たす触媒の種類ごとに、得られる生成物の性状を算出し、
前記生成物の改質ガソリンとミックスキシレンと水素のうちのいずれかの収率、および、前記生成物の経済的価値から消費する前記触媒のコストを減じた経済的指標、の少なくとも一つを含む評価パラメータで、前記制約条件を満たす触媒で得られる前記生成物をそれぞれ評価し、
前記評価パラメータの評価とともに、前記制約条件を満たす触媒の種類を前記推奨触媒として前記端末に出力するように構成された、請求項1または2に記載のRF装置の推奨触媒を提案する装置。
【請求項4】
前記流用条件と、前記予定条件と、前記ユーザ運転関数に基づき、前記制約条件を満たす触媒の種類ごとに、得られる生成物の性状を算出し、
前記生成物の性状とともに、前記制約条件を満たす触媒の種類の少なくとも一つを前記推奨触媒として前記端末に出力するように構成された、請求項1から3のいずれか一項に記載のRF装置の推奨触媒を提案する装置。
【請求項5】
原料油から接触改質(Reforming)により生成油を得る接触改質装置(以降、RF装置)のベンチプラントにおける、触媒の種類と、運転日数と、最終到達温度と、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の組成と、を含む基準実績情報の各項目の関係を表す基準運転関数を使って、ユーザのRF装置における推奨触媒を提案する方法であって、
前記方法は、ユーザの端末とネットワークを介して接続され、プロセッサとコンピュータ可読命令を記憶する記憶部を備えた装置によって実行され、
前記ネットワークを介して
前記ユーザの
前記端末から、前記ユーザのRF装置における、触媒の種類と、運転日数と、最終到達温度と、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の組成と、を含む、ユーザ実績情報を取得するステップと、
前記基準実績情報と前記ユーザ実績情報とを比較して、前記基準運転関数を補正してユーザ運転関数を算出するステップと、
前記端末から、ユーザが予定している運転条件である、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の目標オクタン価の少なくとも一つ以上と、予定運転日数と最終到達温度のいずれか一方と、を予定条件として取得するステップと、
前記予定条件として前記予定運転日数を取得したときに前記ユーザのRF装置の上限温度を制約条件として取得し、前記予定条件として前記最終到達温度を取得したときに前記ユーザのRF装置の規定運転日数を制約条件として取得するステップと、
運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の目標オクタン価のうち前記予定条件として入力されなかった項目を前記ユーザ実績情報の各々の項目で代用した流用条件と、前記予定条件と、前記ユーザ運転関数に基づき、複数の触媒の種類について、前記予定条件と前記流用条件で前記ユーザのRF装置を運転した場合における、前記予定運転日数と前記最終到達温度のいずれか他方を算出するステップと、
算出された前記予定運転日数と前記最終到達温度のいずれか他方が前記制約条件を満たす触媒の種類の少なくとも一つを推奨触媒として前記端末に出力するステップを有する、RF装置の推奨触媒を提案する方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記録した非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF装置の推奨触媒を提案する装置、方法、プログラム、非一時的コンピュータ可読記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
原料油から触媒による接触改質(Reforming)により所望の成分の生成物を得る接触改質装置(以降、RF装置と呼ぶ)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などにより、化学企業(ユーザ)が運転する反応器内で進行する触媒反応に関する情報を、通信網を通じて触媒供給企業に送信し、触媒供給企業は、触媒反応に関する情報に基づき、シミュレータ装置を用いて、反応器に対する操作情報を生成し、この操作情報を、通信網を通じて化学企業に返信するように構成された触媒利用支援方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、例えば予測エンジンとしては触媒反応速度式を用いたダイナミックモデルが採用されることとされているが、このようなシミュレーションは、反応器の形状や各成分の反応モデルなどを緻密にシミュレートするので、膨大な入力データや計算量が必要となる。このため、ダイレクトシミュレーションを用いて各成分の流量を予測することは現実的ではない。また、ダイレクトシミュレーションでは、様々な触媒の中からユーザに適した触媒を提案することも現実的ではない。
【0006】
そこで本発明は、ダイレクトシミュレーションによらず、RF装置の推奨触媒を提案する装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によれば以下が提供される。
ユーザの端末とネットワークを介して接続され、原料油から接触改質(Reforming)により生成油を得る接触改質装置(以降、RF装置)のベンチプラントにおける、触媒の種類と、運転日数と、最終到達温度と、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の組成と、を含む基準実績情報の各項目の関係を表す基準運転関数を使って、ユーザのRF装置における推奨触媒を提案する装置であって、
前記装置は、プロセッサと、コンピュータ可読命令を記憶する記憶部と、を備え、
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサで実行されると、前記装置は、
前記端末から、前記ユーザのRF装置における、触媒の種類と、運転日数と、最終到達温度と、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の組成と、を含む、ユーザ実績情報を取得し、
前記基準実績情報と前記ユーザ実績情報とを比較して、前記基準運転関数を補正してユーザ運転関数を算出し、
前記端末から、ユーザが予定している運転条件である、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の目標オクタン価の少なくとも一つ以上と、予定運転日数と最終到達温度のいずれか一方と、を予定条件として取得し、
前記予定条件として前記予定運転日数を取得したときに前記ユーザのRF装置の上限温度を制約条件として取得し、前記予定条件として前記最終到達温度を取得したときに前記ユーザのRF装置の規定運転日数を制約条件として取得し、
運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の目標オクタン価のうち前記予定条件として入力されなかった項目を前記ユーザ実績情報の各々の項目で代用した流用条件と、前記予定条件と、前記ユーザ運転関数に基づき、複数の触媒の種類について、前記予定条件と前記流用条件で前記ユーザのRF装置を運転した場合における、前記予定運転日数と前記最終到達温度のいずれか他方を算出し、
算出された前記予定運転日数と前記最終到達温度のいずれか他方が前記制約条件を満たす触媒の種類の少なくとも一つを推奨触媒として前記端末に出力するように構成された、RF装置の推奨触媒を提案する装置。
【0008】
また上記目的を達成するために、本発明によれば以下が提供される。
原料油から接触改質(Reforming)により生成油を得る接触改質装置(以降、RF装置)のベンチプラントにおける、触媒の種類と、運転日数と、最終到達温度と、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の組成と、を含む基準実績情報の各項目の関係を表す基準運転関数を使って、ユーザのRF装置における推奨触媒を提案する方法であって、
ネットワークを介してユーザの端末から、前記ユーザのRF装置における、触媒の種類と、運転日数と、最終到達温度と、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の組成と、を含む、ユーザ実績情報を取得するステップと、
前記基準実績情報と前記ユーザ実績情報とを比較して、前記基準運転関数を補正してユーザ運転関数を算出するステップと、
前記端末から、ユーザが予定している運転条件である、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の目標オクタン価の少なくとも一つ以上と、予定運転日数と最終到達温度のいずれか一方と、を予定条件として取得するステップと、
前記予定条件として前記予定運転日数を取得したときに前記ユーザのRF装置の上限温度を制約条件として取得し、前記予定条件として前記最終到達温度を取得したときに前記ユーザのRF装置の規定運転日数を制約条件として取得するステップと、
運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の目標オクタン価のうち前記予定条件として入力されなかった項目を前記ユーザ実績情報の各々の項目で代用した流用条件と、前記予定条件と、前記ユーザ運転関数に基づき、複数の触媒の種類について、前記予定条件と前記流用条件で前記ユーザのRF装置を運転した場合における、前記予定運転日数と前記最終到達温度のいずれか他方を算出するステップと、
算出された前記予定運転日数と前記最終到達温度のいずれか他方が前記制約条件を満たす触媒の種類の少なくとも一つを推奨触媒として前記端末に出力するステップを有する、RF装置の推奨触媒を提案する方法。
【0009】
また、本発明によれば、
上記方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム、および、
上記プログラムを記録した非一時的コンピュータ可読記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ダイレクトシミュレーションによらず、RF装置の推奨触媒を提案する装置、方法、プログラムおよび非一時的コンピュータ可読記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る方法を実施するためのシステム構成図である。
【
図2】本実施形態に係る方法のフローチャートである
【
図4】予定条件、流用条件および制約条件の一例を示す図である。
【
図7】
図4とは異なる予定条件、流用条件および制約条件の一例を示す図である。
【
図8】
図7の運転条件で算出される運転日数と運転温度の関係を示す図である。
【
図9】
図7の運転条件で算出される触媒の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて、より詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るRF装置の推奨触媒を提案する方法を実施するためのシステム構成図である。本実施形態に係るRF装置の推奨触媒を提案する方法は、ユーザのRF装置の実績や予定している運転条件などを取得し、予定している運転条件に適した触媒を推奨触媒として端末へ提供する。
【0013】
図1に示すように、システムは、メインサーバ20(装置)とデータサーバ30を有している。メインサーバ20とデータサーバ30は通信可能に接続されている。メインサーバ20とデータサーバ30は一体の構成としてもよいし、別体の構成としてもよい。
【0014】
メインサーバ20は、ネットワーク40を介してユーザの操作する端末10と接続されている。端末10とメインサーバ20は専用回線で接続されていてもよいし、インターネット回線で接続されていてもよい。端末10は、表示装置を一体又は別体に有している。端末は、ユーザが所有するコンピュータ、タブレット端末、携帯電話などの情報処理機器である。また、端末は、ユーザが所有しない情報処理機器であってもよい。例えばユーザがログインした情報処理機器であってもよい。情報処理機器は、プロセッサと、コンピュータ可読命令を記憶する記憶部と、表示装置を有する。
【0015】
メインサーバ20は単一のサーバで構成してもよいし、複数台のサーバで構成してもよい。メインサーバ20は、プロセッサ21と、コンピュータ可読命令を記憶する記憶部22で構成されている。プロセッサ21は、記憶部22に記憶されたコンピュータ可読命令を読み出し、以下に詳述するRF装置の推奨触媒を提案する方法を実行する。
【0016】
データサーバ30は、ハードディスクなどの記録装置で構成されている。データサーバ30は、ベンチプラントデータベース(以降、ベンチプラントDBと呼ぶ)31と、ユーザデータベース(以降、ユーザDBと呼ぶ)32とを有している。ベンチプラントDB31は、基準実績情報を有している。ユーザDB32は、ユーザが登録したユーザIDとパスワードと、ユーザ実績情報など有している。ユーザDB32やベンチプラントDB31に記録される各々の情報は追って説明する。
【0017】
図2は、本実施形態にかかる方法のフローチャートである。
図2に示すように、メインサーバ20は、ユーザのログイン処理を実行する(ステップS01)。メインサーバ20は、端末10にユーザIDとパスワードの入力を促す画面を表示させる。端末10は、ユーザが入力したユーザIDとパスワードをメインサーバ20へ送信する。メインサーバ20は、このユーザIDとパスワードを取得する。メインサーバ20は、取得したユーザIDとパスワードが、ユーザDB32に登録されているユーザIDおよびパスワードと一致しているか否かを判定する。両者が一致している場合、メインサーバ20は特定のユーザがログインしているものと判断して以降の処理を進める。
【0018】
ログイン処理が終了したら、メインサーバ20はユーザDB32にユーザ実績情報があるか否かを判定する(ステップS02)。メインサーバ20は、ユーザDB32にログインしているユーザのユーザ実績情報があるか否かを照会する。
【0019】
事前にユーザがユーザ実績情報をユーザDB32に登録している場合、あるいは、既に本方法を利用したことがあるユーザがメインサーバ20にログインしている場合には、ユーザ実績情報がユーザDB32に記録されている。メインサーバ20がユーザDB32にユーザ実績情報があるか否かを照会し、メインサーバ20がユーザDB32にユーザ実績情報があると判定すると(ステップS02:Yes)、メインサーバ20はユーザDB32から該ユーザのユーザ実績情報を読み出す(ステップS03)。
【0020】
一方で、新規のユーザの場合など、ユーザDB32にユーザ実績情報がない場合もありうる。メインサーバ20がユーザDB32にユーザ実績情報がないと判定すると(ステップS02:No)、メインサーバ20は、端末10にユーザ実績情報の入力を促す画面を表示させる。端末10は、ユーザが入力したユーザ実績情報をメインサーバ20へ送信する。メインサーバ20は、送信されたユーザ実績情報を取得し(ステップS04)、ユーザDB32に書き込む。
【0021】
続いてメインサーバ20は、ベンチプラントDB31から基準実績情報を読み出す(ステップS05)。メインサーバ20は、基準実績情報とユーザ実績情報との比較に基づいて、基準運転関数を補正してユーザ運転関数を算出する(ステップS06)。
【0022】
実績情報とは、あるRF装置をある運転条件下で運転したときにある組成の生成物が得られたかといった情報である。ユーザのRF装置における実績情報をユーザ実績情報と呼び、ベンチプラントにおける実績情報を基準実績情報と呼ぶ。ベンチプラントとは、各種の触媒を評価又は運転した実績のあるRF装置であり、例えば研究用の評価用プラントが挙げられる。このベンチプラントを様々な運転条件のもとで運転したときに得られた各種の情報が、基準実績情報である。
【0023】
図3に、ユーザ実績情報の一例を示す。
図3に示すように、実績情報は少なくとも、運転条件と、該運転条件下で得られた生成物の組成に関する情報を含む。実績情報は少なくとも、触媒の種類、運転日数、運転を開始した初日の運転温度(開始温度)、運転の末日の運転温度(最終到達温度)、運転圧力、水素オイル比、原料油の液空間速度、といった運転条件を含む。また、実績情報は、該運転条件下で得られた生成物の組成、密度、蒸留性状といった原料油の性状を含む。
【0024】
(運転関数)
ベンチプラントにより得られた膨大な実績情報に基づき、特定の運転条件(触媒の種類、運転温度、運転日数、運転圧力、水素オイル比、液空間速度)における、特定の組成を有する生成物に関する情報を統計的に把握することができる。このようなベンチプラントの運転条件と生成物の組成との関係から、基準運転関数を導出することができる。換言すれば、基準運転関数とは、運転条件と、該運転条件下でベンチプラントのRF装置を運転した場合に得られる生成物の組成との関係を表す関数である。
【0025】
例えば、ある組成αの原料油をある触媒、運転温度、運転日数、運転圧力、水素オイル比、液空間速度でベンチプラントのRF装置へ供給したときに、ある組成Aの生成物が得られたとする。また、ある組成βの原料油をある触媒、運転温度、運転日数、運転圧力、水素オイル比、液空間速度でベンチプラントのRF装置へ供給したときに、ある組成Bの生成物が得られたとする。このような触媒の種類、運転温度、運転日数、運転圧力、水素オイル比、液空間速度、原料油の性状といった運転条件と、生成物の組成との関係が、基準運転関数である。このような触媒の種類、運転温度、運転日数、運転圧力、水素オイル比、液空間速度、原料油の性状に応じた、生成物の各組成の関係について、膨大なデータがベンチプラントDB31に蓄積されている。
そこで、触媒の種類、運転温度、運転日数、運転圧力、水素オイル比、液空間速度、原料油の性状を入力すれば、基準運転関数を使って、ベンチプラントで得られる生成物の組成を簡単に予測することができる。
【0026】
ところが、ユーザのRF装置は、その大きさ、形状、配管の長さなどがベンチプラントとは異なっているため、ベンチプラントで得られた基準運転関数をそのまま用いても、ユーザのRF装置で得られる生成物の組成を正確に予測することができない。しかしながら、ユーザのRF装置における触媒の種類、運転温度、運転日数、運転圧力、水素オイル比、液空間速度、原料油の性状といった運転条件と生成物の組成との関係は、ベンチプラントにおけるそれらと一定程度の相関がある。
【0027】
そこで本発明者は、ベンチプラントから得られた基準運転関数を、ユーザのRF装置用に補正してユーザ運転関数を算出し、このユーザ運転関数を用いることで、ユーザのRF装置で得られる生成物の組成を簡単に予測できることを見出した。
【0028】
また、運転関数を用いることにより、所定の触媒の種類、運転圧力、水素オイル比、液空間速度、原料油の性状といった運転条件から、所望の組成の生成物を得るために触媒に所望の化学反応を促進させる運転温度を算出することができる。また運転日数が経過するにつれて触媒の劣化が進行するので、劣化した触媒に所望の化学反応を促進させるためには運転温度を高く設定しながら運転を継続する必要がある。この触媒の劣化度合いは運転温度や触媒の種類などに応じて変化するが、運転関数を用いることにより、この劣化度合いも算出することができる。
【0029】
また、運転日毎に運転温度、所定の触媒の種類、運転圧力、水素オイル比、液空間速度、原料油の性状といった運転条件から得られる生成物の性状を算出し、これを所定の運転日数分繰り返すと、所定の運転日数におけるトータルの生成物の性状を算出することができる。
図6などに示す生成物性状は、この所定の運転日数におけるトータルの生成物の性状を言うものである。
【0030】
また、運転日数を経るに従って、劣化した触媒の活性を補うように運転温度を高く設定していく必要がある。運転関数を用いると、運転の末日に到達する運転温度(最終到達温度)を推測することができる。また、運転温度がRF装置に設定された上限温度を超えるようになると、実質的にRF装置を運転することができない。そこでこのような状況を、本明細書では触媒の寿命が尽きたと表現する。運転関数を用いると、ユーザのRF装置に設定された上限温度に到達するまでの運転日数(触媒の寿命)を推測することができる。
【0031】
このように、運転関数を用いることにより運転温度、運転日数、寿命、生成物の性状などといったパラメータを少ない計算負荷で評価することができる。このため例えば、複数の触媒でRF装置を運転したときの各種パラメータを算出することが容易にできる。そこで、複数の触媒について各種パラメータを算出し、ユーザの設定する予定条件下で最も寿命の長い触媒はどれか、あるいは、ユーザの設定する予定条件下で最も経済的価値の高い生成物が得られる触媒はどれか、などといったことを評価することができる。
本実施形態の装置および方法は、このように触媒を評価することにより、ユーザの予定条件に適した触媒を提案しようというものである。
【0032】
(運転関数の補正の手法)
例えば、同一の運転条件において、ユーザのRF装置で得られる生成物のオクタン価がベンチプラントのRF装置で得られる生成物のオクタン価の8割であることがある。この場合、該運転条件においてユーザのRF装置で得られる生成物のオクタン価がベンチプラントのRF装置で得られる生成物のオクタン価の8割となるように、基準運転関数を補正してユーザ運転関数を得る。
あるいは、ベンチプラントのRF装置で得られる生成物の組成が、他の運転条件は同じでベンチプラントのRF装置に設定した運転圧力よりも1割高く設定された運転圧力でユーザのRF装置を運転したときに得られる生成物の組成と近似している場合がある。この場合、ユーザが入力した運転圧力の1.1倍が運転圧力として計算に用いられるように基準運転関数を補正してユーザ運転関数を得る。
もっとも、ここでは単純化したモデルを説明しているのであって、実際には、ユーザのRF装置の運転条件と生成物の組成に応じて様々に補正を行う。
【0033】
メインサーバ20は、上記のようにユーザ運転関数を算出したら、算出した該ユーザ運転関数をユーザDB32に保存する。
【0034】
次にメインサーバ20は、端末10から予定条件と制約条件を取得する(ステップS07)。
図4にユーザが入力する予定条件および制約条件を示している。予定条件とは、ユーザが自身のRF装置を運転する際に設定しようとする各種条件である。また、制約条件とは、ユーザが自身のRF装置を運転する際に設定されている、RF装置上の制約条件である。
本実施形態において、予定運転日数と最終到達温度のいずれか一方が予定条件となる。また、予定条件として予定運転日数を取得したときにユーザのRF装置の上限温度を制約条件として取得し、予定条件として最終到達温度を取得したときにユーザのRF装置の規定運転日数を制約条件として取得する。
【0035】
ユーザが複数の触媒を評価したいと考えたときには、二通りのアプローチの仕方がある。
一つ目のアプローチは、まず、RF装置に定められている規定運転日数まで特定の触媒を充填したRF装置を運転した場合に到達する運転温度(最終到達温度)がどのくらいになるかを算出する手法である。最終到達温度がRF装置に定められている上限温度よりも低ければ、該触媒を採用できると考えられる。
二つ目のアプローチは、まず、特定の触媒を充填したRF装置の運転温度が上限温度になるまでの運転日数(寿命)がどのくらいになるかを算出する手法である。寿命が、RF装置に定められている規定運転日数よりも長ければ、該触媒を採用できると考えられる。
このような考えに基づき、本実施形態に係る装置および方法においては、予定運転日数と最終到達温度のいずれか一方を予定条件として設定し、また、予定条件として予定運転日数を取得したときにユーザのRF装置の上限温度を制約条件として設定し、予定条件として最終到達温度を取得したときにユーザのRF装置の規定運転日数を制約条件として設定する。例えば一つ目のアプローチにおいては、予定条件として規定運転日数を設定し、制約条件として上限温度を設定する。二つ目のアプローチにおいては、予定条件として最終到達温度を設定し、制約条件として規定運転日数を設定する。
【0036】
RF装置において、定期的に触媒に再生処理を施して触媒の活性を回復させて、再度使用することが行われている。この再生のタイミングはユーザのRF装置毎に設定されている。この再生のタイミングには、RF装置は運転を停止する必要がある。つまり、RF装置の運転継続可能日数は限度がある。このような理由で、ユーザは、運転日数をこの運転継続可能日数以内に設定している。このユーザが設定する運転日数を規定運転日数と呼ぶ。
【0037】
なお一般的には、過去の運転条件から一部を変更した条件でRF装置を運転しようとすることが多い。例えば運転圧力だけを変更し、その他の条件は過去の運転条件(実績情報で入力した運転条件)のままとすることが多い。そこで本実施形態では、ユーザが変更する運転条件を予定条件と呼び、実績情報で入力した運転条件を流用する運転条件を流用条件と呼ぶ。
【0038】
図2および
図4から
図6を用いて、一つ目のアプローチに基づいてユーザが触媒を評価する場合を説明する。
図4は、ユーザが入力する予定条件、制約条件、流用条件を示したものである。
図2に示したように、メインサーバ20は、予定条件と流用条件と制約条件を、端末10またはデータサーバ30から取得する(ステップS07)。
【0039】
図4に示す事例において、メインサーバ20は、予定条件として予定運転日数と運転圧力を取得する。また、メインサーバ20は、制約条件として上限温度を取得する。さらにメインサーバ20は、目標オクタン価、水素オイル比、液空間速度、原料油性状を、ユーザデータベース32に登録されているユーザ実績情報から流用して取得する。またメインサーバ20は、ユーザが比較したい触媒の種類A,B,Cを取得する。
【0040】
メインサーバ20は、流用条件と予定条件とユーザ運転関数に基づき、複数の触媒の種類について、予定条件と流用条件でユーザのRF装置を運転した場合における、予定運転日数と最終到達温度のいずれか他方を算出する(ステップS08)。
本事例においては、メインサーバ20は、流用条件と予定条件とユーザ運転関数に基づき、触媒A,B,Cについて、予定条件と流用条件でユーザのRF装置を運転した場合における、最終到達温度を算出する。
図5は、ユーザ運転関数から得られる運転日数と運転温度の関係を示すグラフである。
【0041】
前述したように、運転関数を用いることにより、所定の触媒の種類、運転圧力、水素オイル比、液空間速度、原料油の性状といった運転条件から、所望の組成の生成物を得るために触媒に所望の化学反応を促進させる運転温度を算出することができる。運転初日の、劣化していない触媒に所望の化学反応を促進させる運転温度を、開始温度と呼ぶ。この開始温度は、
図5におけるY切片である。
また、運転関数を用いることにより、運転温度や触媒の種類などからこの触媒の劣化度合いを算出することができる。この劣化度合いは
図5においてグラフの傾きとして表れている。
【0042】
つまり、取得した予定条件および流用条件とユーザ運転関数から、
図5におけるY切片と傾きを算出することができ、これから直線A,B,Cを算出することができる。なおこの直線A,B,C自体はそれぞれ、予定条件でかつ触媒A,B,Cを用いてユーザのRF装置を運転する際の運転日に応じた運転温度の変遷を示している。つまり直線A,B,Cはそれぞれ、触媒A,B,Cを用いて予定条件および流用条件として設定された運転条件において目標のオクタン価を有する生成物を得ようとする際に設定すべき、運転日に応じた運転温度を示している。また、直線A,B,Cと、規定運転日数との交点の運転温度が、それぞれの触媒A,B,Cを用いた際の最終到達温度となる。
なお、
図5に示したグラフは説明の便宜のために示したのであって、メインサーバ20が端末10に表示させるように構成してもよいし、表示させないように構成してもよい。
【0043】
次にメインサーバ20は、算出された最終到達温度が制約条件を満たす触媒の少なくとも一つを端末10に出力する(ステップS09)。
図6は、メインサーバ20が端末10の画面に表示させる評価結果の一例を示している。
【0044】
図5において、触媒Aの最終到達温度は、制約条件である上限温度を下回っている。触媒Bの最終到達温度は、制約条件である上限温度を下回っている。触媒Cの最終到達温度は、制約条件である上限温度を上回っている。つまり、触媒A,Bは制約条件を満たしており、触媒Cは制約条件を満たしていない。このため、メインサーバ20は、少なくとも触媒A,Bが制約条件を満たす推奨触媒であることを、端末10に出力する。したがって、
図6とは異なり、メインサーバ20が端末10の表示部に、触媒A,Bが推奨触媒であることのみを表示させるように構成してもよい。
【0045】
もっとも、運転関数を用いた計算により、装置1は様々な有益な情報をユーザの端末10に提供することができる。そこで
図6を用いて、推奨触媒とともに端末10に出力することが好ましい項目を説明する。
【0046】
図6においては、メインサーバ20は、評価した触媒毎に最終到達温度を表示している。ユーザは最終到達温度を知ることにより、ユーザのRF装置の上限温度に対する最終温度のマージンを知ることができる。
【0047】
図6において、触媒A,Bの最終到達温度は上限温度を下回っているので、触媒A,BはユーザのRF装置に適していると判断され、寿命の欄に○が付されている。触媒Cの最終到達温度は上限温度を上回っているので、触媒CはユーザのRF装置に適していないと判断され、寿命に×が付されている。このように、制約条件を満たしているか否かで○と×を付して表示することにより、ユーザが一目で見てわかりやすい。
【0048】
図6において、メインサーバ20は寿命ランクを表示している。この寿命ランクは、上限温度から最終到達温度を引いた温度の大きい順にランクを定めたものである。ユーザが上限温度に対する最終到達温度で触媒を評価したい場合には、この寿命ランクによって一目で評価できる。つまりメインサーバ20は、最終到達温度と上限温度とを比較し、最終到達温度と上限温度との差で両者の近似度を表している。この近似度とともに触媒を表示してもよい。なお、近似度は、両者の差の他に、両者の比で表現してもよい。
【0049】
図6において、メインサーバ20は各々の触媒を用いた時に得られる生成物の組成を表示している。特定の成分に注目しているユーザにとっては、生成物の組成が表示されていることが好ましい。また、生成物の組成と触媒の寿命とを総合的に判断して、ユーザが触媒を吟味することができる。前述したように、ユーザ運転関数を用いて、運転日毎に、運転温度、所定の触媒の種類、運転圧力、水素オイル比、液空間速度、原料油の性状といった運転条件から得られる生成物の性状を算出することができる。メインサーバ20は、所定の運転日数分、生成物の性状の算出を繰り返し、
図6に示す所定の運転日数におけるトータルの生成物の性状を算出する。
【0050】
図6において、メインサーバ20は経済的ランクを表示している。運転関数を用いることにより、各々の触媒を使った時に得られる生成物の組成を算出することができる。そこで、各々の成分の生成量と、各々の成分の経済的価値とを掛け合わせ、それらを足し合わせると、生成物の経済的価値が算出できる。また、このときに消費する触媒の費用を生成物の経済的価値から差し引くと、トータルメリットを算出できる。メインサーバ20は、トータルメリットの大きい順に経済的ランクを付すように構成してもよい。ユーザが経済的な観点で触媒を評価したい場合には、この経済的ランクによって一目で触媒を評価できる。
なお、改質ガソリンとミックスキシレンと水素のうちのいずれの収率から生成物の経済的価値を算出してもよい。生成物の成分の内で、これら三つが特に有用な成分である。
【0051】
次に、ユーザが前述の二つ目のアプローチで触媒を評価する場合を説明する。すなわち、ユーザのRF装置の運転温度が上限温度になるまでの運転日数(寿命)がどのくらいになるかを算出する手法である。
【0052】
図2および
図7から
図9を用いて、二つ目のアプローチに基づいてユーザが触媒を評価する場合を説明する。
図7は、ユーザが入力する予定条件、制約条件、流用条件を示したものである。
図2に示したように、メインサーバ20は、予定条件と流用条件と制約条件を、端末10またはデータサーバ30から取得する(ステップS07)。
【0053】
図7に示す事例において、メインサーバ20は、予定条件として最終到達温度と運転圧力を取得する。また、メインサーバ20は、制約条件として規定運転日数を取得する。さらにメインサーバ20は、目標オクタン価、水素オイル比、液空間速度、原料油性状を、ユーザデータベース32に登録されているユーザ実績情報から流用して取得する。またメインサーバ20は、ユーザが比較したい触媒の種類D,E,Fを取得する。
【0054】
メインサーバ20は、流用条件と予定条件とユーザ運転関数に基づき、触媒D,E,Fについて、予定条件と流用条件でユーザのRF装置を運転した場合における、予定運転日数を算出する(ステップS08)。
図8は、ユーザ運転関数から得られる運転日数と運転温度の関係を示すグラフである。
【0055】
図8に示すように、触媒D,Eを用いた場合、予定条件として設定した最終到達温度に達するまでの予定運転日数は規定運転日数よりも大きくなった。触媒Fを用いた場合、予定条件として設定した最終到達温度に達するまでの予定運転日数は規定運転日数よりも小さくなった。つまり、予定運転日数が制約条件を満たす触媒は、触媒D,Eであることがわかる。
【0056】
図9に、メインサーバ20が端末10に表示させる評価結果の一例を示す。
図9に示すように、メインサーバ20は、少なくとも触媒D,Eが制約条件を満たす推奨触媒であることを、端末10に出力する。
図9においても、
図6に示した評価項目と同じ項目で触媒D,E,Fを評価し、その結果を表示している。
【0057】
なお、上述した一つ目および二つ目の事例では、メインサーバ20が予定条件として予定運転日数と最終到達温度のいずれか以外に、運転圧力を取得した例を説明した。しかし本発明はこれに限られない。
本実施形態の装置が触媒を評価する際には、予定条件または流用条件として、運転日数と最終到達温度のいずれか一方と、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の目標オクタン価を取得するように構成すれば、算出することができる。つまり、運転圧力と、水素オイル比と、液空間速度と、原料油の性状と、生成物の目標オクタン価の全てを予定条件として設定してもよいし、これらの項目の内の少なくとも一つを予定条件として設定してもよい。
【0058】
ダイレクトシミュレーションを用いる場合には、触媒の種類を変更する度、あるいは、運転圧力を変更する度に、その都度ダイレクトシミュレーションを実行する必要があり、複数種類の触媒を評価すること、特に任意の運転条件における複数種類の触媒を評価することが現実的ではなかった。
本実施形態に係る装置および方法によれば、ダイレクトシミュレーションをする場合に比べて、処理負荷が小さくかつ正確に運転温度や運転日数、および、生成物の組成を予測することができる。このため、複数の触媒でこれらを評価しやすく、この評価をもとにユーザの予定条件に適した触媒を提案することができる。
【0059】
なお、上述した実施形態においては、メインサーバ20が予定条件を取得する際に比較したい触媒の種類を取得するように構成したが、本発明はこれに限られない。メインサーバ20は、データサーバ30に登録されている全ての触媒を評価するように構成してもよい。あるいは、ユーザが指定する触媒に近い複数種類の触媒を選択し、選択した触媒を評価するように構成してもよい。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0061】
1 装置
10 端末
20 メインサーバ
21 プロセッサ
22 記憶部
30 データサーバ
31 ベンチプラントデータベース
32 ユーザデータベース
40 ネットワーク