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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】構造物の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/342 20060101AFI20221104BHJP
   E04B 1/18 20060101ALI20221104BHJP
   E04B 1/35 20060101ALI20221104BHJP
   E04B 1/34 20060101ALI20221104BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
E04B1/342 B
E04B1/18 A
E04B1/35 H
E04B1/34 Z
E04G21/14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018081820
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019190073
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一樹
(72)【発明者】
【氏名】西谷 治道
(72)【発明者】
【氏名】森田 敦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 芳明
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-144892(JP,A)
【文献】特開平02-136445(JP,A)
【文献】特開平10-159344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/18,1/34-1/342,1/35
E04G 21/14-21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定階の大梁と、当該大梁の上に構築される梁上構造体と、を備える構造物の構築方法であって、
前記大梁を中央部が上方に湾曲した状態で構築する工程と、
前記大梁上の柱継手部の近傍の束柱上にジャッキを設置し、前記柱継手部に対向して前記梁上構造体の柱を配置するとともに、当該ジャッキで前記梁上構造体の柱の側面から外側に向かって延びるブラケットを支持することで、前記ジャッキに支持させて前記梁上構造体の柱および梁を構築する工程と、
前記大梁上の床スラブおよび前記梁上構造体の下から2層分の床スラブを構築する工程と、
前記ジャッキにより前記大梁および前記大梁上の床スラブに反力をとって前記2層分の床スラブが構築された梁上構造体をジャッキアップする工程と、
前記大梁上の柱継手部と前記梁上構造体の柱の下端面との間に鋼管を挿入し、前記鋼管の下端を前記柱継手部に溶接するとともに、前記鋼管の上端を前記柱の下端面に溶接し、その後、前記ジャッキをジャッキダウンする工程と、
前記梁上構造体の残りの階層分の床スラブを構築する工程と、を含むことを特徴とする構造物の構築方法。
【請求項2】
前記ジャッキにより前記2層分の床スラブが構築された梁上構造体をジャッキアップする工程の後で前記大梁の柱継手部と前記梁上構造体の柱の下端面との間に鋼管を挿入して溶接する工程の前に、前記梁上構造体の上に新たな梁上構造体を構築し、前記ジャッキにより、前記所定階の大梁および床スラブに反力をとって、当該ジャッキより上側の全ての梁上構造体をジャッキアップすることを繰り返す工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の構造物の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大梁およびこの大梁の上に構築される梁上構造体を備える構造物の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、吹抜けを覆う大スパンの大梁の上に梁上構造体を構築する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1には、吹き抜けを覆う大スパンの大梁を架設し、大梁上に立設される上部架構の柱と大梁との間にジャッキを設置し、柱をジャッキに支持させた状態で、大梁上に1層以上の架構の全体を構築して柱をジャッキアップする、あるいは架構の一部を構築する毎に柱をジャッキアップする作業を繰り返す、上部架構の構築方法が示されている。
【0003】
特許文献2には、屋根を地組みした後、壁躯体を複数に分割して、分割した区画毎に壁躯体の上にジャッキを設けて、これらジャッキの上に屋根に取り付ける工程と、1つ置きのジャッキを駆動して屋根を上昇させ、作動させなかったジャッキの下方にさらに壁躯体を構築する工程と、を備える、大スパンの屋根架構を押し上げて構築する方法が示されている。
【0004】
特許文献3には、下部躯体の上方に主要空間を置いて上向きに湾曲した大スパン大梁を架設し、この大スパン大梁により上部躯体を支持する施工方法が示されている。具体的には、大スパン大梁の柱位置から、下部躯体の上部柱位置にPC鋼線を垂設するとともに、この上部柱位置に油圧ジャッキを設け、この油圧ジャッキによりPC鋼線を緊張して大スパン大梁に下向きの鉛直荷重を与える。上部躯体の施工段階に応じて、油圧ジャッキによりその鉛直荷重の調整を行う。
また、この特許文献3では、大スパン大梁上に鉄骨柱および鉄骨梁からなる複数階の柱梁架構を建て込み、順次、上層階側に向かって柱梁架構を建て込んで、ジャッキアップを繰り返し行うことで、上部躯体を構築する。その際、上部躯体の床スラブを打設すると、床スラブの重量により大スパン大梁に鉛直荷重が作用する。よって、床スラブの床面積が大きくなる程、大きな鉛直荷重が大スパン大梁に作用する、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-144892号公報
【文献】特開平3-197736号公報
【文献】特開平4-44569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、大梁の上に梁上構造体を構築する際、この梁上構造体に捩れや変形が局所的に発生するのを防止できる構造物の構築方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、大梁上に梁上構造体を構築する方法として、大梁単体ではなく、大梁に連続する床スラブを現場で打設して床スラブ付き大梁とし、その床スラブ付き大梁上にジャッキを設置し、このジャッキに支持させて複数階に亘って床スラブが打設された床スラブ付き柱梁架構を構築し、この床スラブ付き柱梁架構のジャッキアップを行うことで、梁上構造体に捩れや局所的な変形を発生させることなく、構造物を構築できることを見出した。
第1の発明の構造物の構築方法は、所定階(例えば、後述の3階)の大梁(例えば、後述の大梁12)と、当該大梁の上に構築される梁上構造体(例えば、後述の梁上構造体22)と、を備える構造物(例えば、後述の建物1)の構築方法であって、前記大梁の中央部を上方に湾曲させた状態で構築する工程(例えば、後述のステップS1)と、前記大梁の上にジャッキ(例えば、後述のジャッキ50)を設置し、当該ジャッキに支持させて前記梁上構造体を構築する工程(例えば、後述のステップS2)と、前記所定階の床スラブを構築する工程(例えば、後述のステップS3)と、前記ジャッキにより前記所定階の大梁および床スラブに反力をとって前記梁上構造体をジャッキアップする工程(例えば、後述のステップS4)と、を含むことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、大梁の中央部を上方に湾曲させた状態で構築し、剛性を高めておく。さらに、この大梁にスラブを接合してスラブ付き大梁とし、さらに剛性を高める。この高剛性のスラブ付き大梁に反力をとって、ジャッキにより梁上構造体をジャッキアップしたので、大梁単体に反力をとってジャッキアップする場合に比べて、ジャッキの反力を大きく確保できる。よって、梁上構造体を構成する床スラブの床面積が大きくても、大梁上の梁上構造体に捩れや局所的な変形を生じさせることなく高精度で構築できる。
また、スラブ付き大梁に反力をとって梁上構造体をジャッキアップしたので、梁上構造体の荷重を大梁単体ではなく、床スラブ付きの大梁断面で負担させることができ、大梁自体の断面サイズを小さくできる。
【0009】
第2の発明の構造物の構築方法は、前記梁上構造体を構築する工程では、当該梁上構造体を構成する柱および梁を架設するとともに、当該梁上構造体を構成する複数階の床スラブも構築することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、梁上構造体を構成する柱および梁に加えて床スラブを構築し、この状態で、大梁上に設置したジャッキにより梁上構造体をジャッキアップしたので、梁上構造体の実際の荷重をジャッキに負担させることができる。
また、柱および梁だけでなく床スラブまで構築した梁上構造体をジャッキアップしたので、ジャッキアップ時に梁上構造体に捩れ等がほとんど生じることなく、高精度でジャッキアップを行うことができる。
【0011】
第3の発明の構造物の構築方法は、前記ジャッキにより前記梁上構造体をジャッキアップする工程の後に、前記梁上構造体の上に新たな梁上構造体(例えば、後述の梁上構造体22A)を構築し、前記ジャッキにより、前記所定階の大梁および床スラブに反力をとって、当該ジャッキより上側の全ての梁上構造体をジャッキアップすることを繰り返す工程をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、大梁上に構築した梁上構造体をジャッキアップした後、この梁上構造体の上に新たに梁上構造体を構築してジャッキアップすることで、大梁上の梁上構造体を高層化できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、大梁の上に梁上構造体を構築する際、この梁上構造体に捩れや局所的な変形が生じるのを防止できる構造物の構築方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る構造物の構築方法により構築される建物の縦断面図である。
図2図1に示す建物のA-A平断面図である。
図3】本発明の構造物の構築方法の施工フローチャートである。
図4図1に示す建物において、破線Bで囲まれた大梁と梁上構造体との接合部分の部分拡大図である。
図5】実施例の各ステップにおけるR通りの4階梁を対象とする鉛直変位の実測値の推移図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る構造物の構築方法の施工フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、大梁単体ではなく、床スラブ付き大梁上に、順次、上層階側に向って複数階に亘って床スラブ付き柱梁架構を構築し、その床スラブ付き柱梁架構のジャッキアップを繰り返し行うことで、大梁上に構造物を構築する方法である。第1実施形態は、大梁上に5層を有する梁上構造体を構築する場合であり、第2実施形態は、大梁上に6層以上の階数を備えた梁上構造体を構築する場合である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る構造物の構築方法により構築される鉄骨造の構造物としての建物1の縦断面図である。図2は、図1に示す建物1のA-A平断面図である。
建物1の構造体は、7階建てであり、下部構造体10と、下部構造体10の上に設けられた上部構造体20と、を備える。下部構造体10は、基礎30、柱31、梁32、図示しない床スラブを含んで構成される。上部構造体20は、柱41、梁42、図示しない床スラブを含んで構成される。ここで、下部構造体10および上部構造体20を構成する各柱31、41は、矩形筒状の鋼管の内部にコンクリートが充填されたCFT柱である。
【0016】
下部構造体10は、複数層ここでは2層の下部一般構造体11と、下部一般構造体11の上端に支持されたトラス構造の大梁12と、を備える。具体的には、大梁12は、3階床レベルに設けられており、この大梁12の直下は吹き抜けとなっている。
上部構造体20は、下部一般構造体11の上に架設された複数層ここでは5層の上部一般構造体21と、大梁12の上に構築された複数層ここでは5層の梁上構造体22と、を備える。ここで、上部構造体20の柱41のうち梁上構造体22に設けられたものを柱41Aとすると、梁上構造体22は、これら柱41Aを介して大梁12に支持されている。
【0017】
以上の建物1を構築する手順について、図3に示す構造物の構築方法の施工フローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、下部構造体10の鉄骨建方を行う。具体的には、下部構造体10の基礎30を構築し、柱31、梁32、および大梁12の鉄骨建方を行う。このとき、大梁12の中央部を上方に湾曲させた状態つまりむくりを付けて構築する。
ステップS2では、上部構造体20の鉄骨建方を行う。具体的には、大梁12上にジャッキ50を設置する。その後、上部構造体20の柱41および梁42の鉄骨建方を行う。梁上構造体22の鉄骨建方を行う際、梁上構造体22の柱41Aをジャッキ50に支持させる。このとき、ジャッキ50は、平面視で、建物外周部のP通りの3本の柱41Aと、このP通りの1スパン内側のQ通りの3本の柱41Aと、に一対ずつ設置される(図2参照)。
【0018】
図4は、図1に示す建物1の破線Bで囲まれた大梁12と梁上構造体22との接合部分の部分拡大図である。
柱41の下端部の互いに背中合わせの側面には、外側に向かって延びる一対のブラケット43が形成されている。また、大梁12の上面には、柱41Aの下端面に対向する位置に柱継手部33が形成されるとともに、一対のブラケット43に対向する位置に、一対の束柱34が形成されている。一対のジャッキ50は、束柱34とブラケット43との間に設置されている。
以上のように、一対のジャッキ50は、柱41Aに偏心荷重が作用しないように、平面視で柱41Aの中心を挟んだ両側に設置されている。
【0019】
ステップS3では、上部構造体20の下層および下部構造体10の最上層の床スラブを構築する。
具体的には、上部構造体20の4階床スラブおよび5階床スラブを構築し、その後、下部構造体10の3階床スラブを構築する。これにより、大梁12に連続する床スラブ(3階床スラブ)が構築される。つまり、本実施形態では、上部構造体の下層を、上部構造体を構成する最下層とその直上階の2層とし、具体的には4階および5階と定義した。
ステップS4では、ジャッキ50により、大梁12および3階床スラブに反力をとって、上部構造体20の梁上構造体22をジャッキアップして、上方に移動させる(図4中白抜き矢印で示す)。このとき、ジャッキアップ作業は、P通りおよびQ通りについて通り毎に行う。
【0020】
ステップS5では、大梁12と梁上構造体22とを接合する。具体的には、梁上構造体22をジャッキアップした後、柱継手部33と柱41Aの下端面との間に、図示しない角形鋼管を挿入し、この角形鋼管の下端を柱継手部33に溶接するとともに、角形鋼管の上端を柱41Aの下端に溶接する。その後、ジャッキ50をジャッキダウンして、導入した荷重を解除する。
ステップS6では、上部構造体20の残りの床スラブを構築する。具体的には、上部構造体20の6階床スラブおよび7階床スラブを構築するとともに、屋上階の屋根を構築し、外壁を取り付ける。
【0021】
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例では、トラス梁のむくりを10mmとした。また、図1に示す上部構造体20は、1節分の高さである。つまり、上部構造体20は、鉄骨製作工場において、上部構造体20の5層分の高さの鉄骨柱を製作し、建設現場にてその鉄骨柱を建て込んで、鉄骨梁を接合した鉄骨柱梁架構である。
また、P通りの柱については、1200kNまで導入できるロックナット付き油圧ジャッキを、1本の柱につき2台ずつ配置した。また、Q通りの柱については、800kNまで導入できるロックナット付き油圧ジャッキを、1本の柱につき2台ずつ配置した。
【0022】
実施例では、梁上構造体(4階梁)の鉛直変位が制御目標値に達するまで荷重を導入した。図5は、各ステップにおけるR通りの4階梁を対象とする鉛直変位の実測値の推移図である。
図5に示すように、最終的な梁上構造体の鉛直変位が、ジャッキにより荷重を導入しなかった場合の鉛直変位の約25%~50%に収まるように、鉛直変位を制御した。つまり、最終的な梁上構造体の鉛直変位が、ジャッキにより荷重を導入しなかった場合の鉛直変位よりも約10mm~15mm低減するように、鉛直変位を制御した。具体的には、P通りのR通りでは、建物使用時における鉛直変位が15.5mm低減し、Q通りのR通りでは、建物使用時における鉛直変位が10.0mm低減した。
【0023】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)大梁12の中央部を上方に湾曲させた状態で構築し、剛性を高めておく。さらに、この大梁12に3階床スラブを接合してスラブ付き大梁とし、さらに剛性を高める。この高剛性のスラブ付き大梁12に反力をとって、ジャッキ50により梁上構造体22をジャッキアップしたので、大梁単体に反力をとってジャッキアップする場合に比べて、ジャッキ50の反力を大きく確保できるから、大梁12上の梁上構造体22に捩れや局所的な変形を生じさせることなく高精度で構築できる。
また、スラブ付き大梁12に反力をとって梁上構造体22をジャッキアップしたので、梁上構造体22の荷重を大梁12だけでなく3階床スラブにも負担させることができ、大梁12の断面サイズを小さくできる。
【0024】
(2)梁上構造体22を構成する柱41Aおよび梁42に加えて4階床スラブおよび5階床スラブを構築し、この状態で、大梁12上に設置したジャッキ50により梁上構造体22をジャッキアップしたので、梁上構造体22の実際の荷重をジャッキ50に負担させることができる。
また、柱41Aおよび梁42だけでなく床スラブまで構築した梁上構造体22をジャッキアップしたので、ジャッキアップ時に梁上構造体22に捩れ等がほとんど生じることなく、高精度でジャッキアップを行うことができる。
【0025】
〔第2実施形態〕
本実施形態では、図1中破線で示すように、梁上構造体22の上にさらに梁上構造体22Aが構築されている点が、第1実施形態と異なる。
よって、本実施形態では、梁上構造体22をジャッキアップした後に、梁上構造体22の上に新たな梁上構造体22Aを構築し、再度、梁上構造体22、22Aをジャッキアップする。
【0026】
以下、本実施形態に係る建物1を構築する手順について、図6に示す構造物の構築方法の施工フローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1Aは、第1実施形態のステップS1と同様である。
ステップS2Aでは、上部構造体20の所定階分の鉄骨建方を行う。例えば、上部構造体20を5層分、つまり、上部一般構造体21および梁上構造体22の鉄骨建方を行う。
ステップS3A、S4Aは、第1実施形態のステップS3、S4と同様である。
ステップS5Aでは、上部構造体20が完成したか否かを判定する。この判定がYesである場合、ステップS6Aに移る。一方、この判定がNoである場合、ステップS2Aに戻る。ステップS2Aでは、さらに上部構造体20の所定階分の鉄骨建方を行う。具体的には、残る梁上構造体22Aの鉄骨建方を行う。
ステップS6A、S7Aは、第1実施形態のステップS5、S6と同様である。
【0027】
このようにすれば、上述の(1)、(2)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(3)大梁12上に構築した梁上構造体22をジャッキアップした後、この梁上構造体22の上に新たに梁上構造体22Aを構築してジャッキアップすることで、大梁12上の梁上構造体を高層化できる。
【0028】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の第1、第2実施形態では、ステップS3、S3Aにおいて、上部構造体の下層として2層分の床スラブを構築したが、これに限らず、1層分の床スラブを構築してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…建物(構造物) 10…下部構造体 11…下部一般構造体 12…大梁
20…上部構造体 21…上部一般構造体 22、22A…梁上構造体
30…基礎 31…下部構造体の柱 32…下部構造体の梁
33…柱継手部 34…束柱
41…上部構造体の柱 41A…梁上構造体の柱 42…上部構造体の梁
43…ブラケット 50…ジャッキ
図1
図2
図3
図4
図5
図6