(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】車両の移動体監視装置、およびこれを用いる車両制御システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20221104BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221104BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 H
G08G1/16 A
(21)【出願番号】P 2018181321
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 悟
(72)【発明者】
【氏名】宮川 治誉
(72)【発明者】
【氏名】崔 亨旭
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-005113(JP,A)
【文献】特開2006-185136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車との間で移動データの送受信ができる対応移動体と通信して、前記対応移動体から、自車との間で移動データの送受信ができない非対応移動体の移動に関する移動データを受信する
車両の移動体監視装置であって、
前記対応移動体から、前記対応移動体の前方を走行している、自車との間で移動データの送受信ができない
前記非対応移動体の移動データを
、受信して取得する取得部と、
前記取得部が取得した移動データを蓄積して記録するメモリと、
自車に設けられる自車センサを用いて、自車
の前を通過する他の移動
体を検出する検出部と、
自車の前を通過する他の移動体が前記非対応移動体であるか否かを前記対応移動体において判断させるために、前記検出部の検出による検出データを、前記対応移動体へ送信する送信部と、
前記メモリに記録されている非対応移動体の移動データを管理する非対応管理部と、
を有し、
前記非対応管理部は、
前
記対応移動体が、前記検出部の前記検出データに基づいて、
自車の前を通過する他の移動体が前記対応移動体の前方を走行している前記非対応移動体であると判断する場合に、前記非対応移動体の移動データを前記メモリから移動体ごとに無効化または削除する、
車両の移動体監視装置。
【請求項2】
前記対応移動体は、
前記検出部の前記検出データに含まれる他の移動体についての複数の特徴および属性を比較することにより、自車の前を通過する他の移動体が前記対応移動体の前方を走行している前記非対応移動体であると判断する、
請求項1記載の
、車両の移動体監視装置。
【請求項3】
他の移動体を表示する表示部、を有し、
前記表示部は、
通過が検出された非対応移動体についての表示を、通過検出の前後において切り替える、
請求項1または2記載の
、車両の移動体監視装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項記載の、車両の移動体監視装置と、
前記移動体監視装置による監視に基づいて、車両を制御する車両制御装置と、
を有する、車両の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の移動体監視装置、およびこれを用いる車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人が移動の際に乗車する自動車などの車両では、車両の走行や車両で用いる機器の操作を支援または自動制御することが考えられている。そして、移動などにおける車両のたとえば安全性、円滑性、移動コスト、快適性、環境性といった性能を向上させるためには、車両は、それぞれが単独で検出した情報のみに基づいて車両を制御するのではなく、広く自車以外の他の車両や他の歩行者といった他の移動体の移動に関する情報や走行環境についての情報を取得して収集し、それらの複合的な情報を用いて車両を制御することが望ましい。
このようなことに利用可能な交通システムには、現時点ではたとえばITS(Intelligent Transport System)、協調(Cooperative)ITS、UTMS(Universal Traffic Management Systems)、ART(Advanced Rapid Transit)、PTPS(Public Transportation Priority System)といったものなどがあり、これらの研究開発が推し進められている。また、協調ITSに関して、標準化規格TC204/WG18が策定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実際にこのような移動体などの情報が送受可能になる状況を考えると、その情報を収集して処理することになる自動車といった車両では、大量の情報についてのデータを取得して車両の制御に利用することが求められる。
しかしながら、これまでの自動車といった車両では、個別の移動体の移動データではなく、それをまとめて抽象化した渋滞データや経路案内用の部分的な地図データを、自車位置を含むエリアについてのみ受信して処理する程度であった。
これまでの自動車といった車両は、移動体についての情報が広く収集可能な環境になったとしても、その広く収集され得る大量の移動体についての移動データを適切に取得して、取得した移動データに基づいて車両の走行などを制御することができるようにはなっていない。
特許文献1は、研究開発的な技術として、複数の移動体をグループ化して管理する技術を開示する。これにより、複数の移動体を個別に監視するよりも、監視負荷が軽減されると考えられる。
しかしながら、複数の移動体をグループ化して管理する場合、それらの移動体は、そのグループ化の技術に対応したものであることが必要である。
これに対し、現実社会では、特許文献1のグループ化の技術に対応していない移動体も存在する。このような非対応移動体が存在する場合、現実社会において特許文献1のグループ化の技術が採用し得たとしても、非対応移動体についての監視や非対応移動体に応じた車両の走行などの制御も適切にできないと予想される。
【0005】
したがって、自動車といった車両では、複数の移動体についての移動データを交通システム1に対応していないものを含めて良好に取得することが望まれている。
【0006】
また、このような交通システムに対応しようとする自動車といった車両では、交通システムから大量の移動データを取得して車両の制御に利用することが求められる、と考えられる。
しかしながら、大量の移動データを取得して車両の制御に利用する場合、その大量のデータの処理に起因して、単にメモリが圧迫されるだけでなく、場合によっては、いつまでたっても車両が前へ進むことができなくなったり、または車両の移動が不要に過剰的に反応したものになったり、してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両の移動体監視装置は、自車との間で移動データの送受信ができる対応移動体と通信して、前記対応移動体から、自車との間で移動データの送受信ができない非対応移動体の移動に関する移動データを受信する車両の移動体監視装置であって、前記対応移動体から、前記対応移動体の前方を走行している、自車との間で移動データの送受信ができない前記非対応移動体の移動データを、受信して取得する取得部と、前記取得部が取得した移動データを蓄積して記録するメモリと、自車に設けられる自車センサを用いて、自車の前を通過する他の移動体を検出する検出部と、自車の前を通過する他の移動体が前記非対応移動体であるか否かを前記対応移動体において判断させるために、前記検出部の検出による検出データを、前記対応移動体へ送信する送信部と、前記メモリに記録されている非対応移動体の移動データを管理する非対応管理部と、を有し、前記非対応管理部は、前記対応移動体が、前記検出部の前記検出データに基づいて、自車の前を通過する他の移動体が前記対応移動体の前方を走行している前記非対応移動体であると判断する場合に、前記非対応移動体の移動データを前記メモリから移動体ごとに無効化または削除する。
【0011】
好適には、前記対応移動体は、前記検出部の前記検出データに含まれる他の移動体についての複数の特徴および属性を比較することにより、自車の前を通過する他の移動体が前記対応移動体の前方を走行している前記非対応移動体であると判断する、とよい。
【0013】
好適には、他の移動体を表示する表示部、を有し、前記表示部は、通過が検出された非対応移動体についての表示を、通過検出の前後において切り替える、とよい。
【0014】
本発明に係る車両制御システムは、上述したいずれかに記載の、車両の移動体監視装置と、前記移動体監視装置による監視に基づいて、車両を制御する車両制御装置と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明において、非対応移動体の移動データを受信する移動体監視装置は、自車との間で移動データの送受信ができない非対応移動体の移動データを、自車との間で移動データの送受信ができる対応移動体から取得し、メモリに蓄積して記録する。そして、前記非対応管理部は、前記検出データに基づいて前記メモリに記録されている非対応移動体が通過したと判断される場合に、非対応移動体の移動データを前記メモリから移動体ごとに無効化または削除する。
よって、本発明では、移動データの送受信に対応していない非対応移動体についても、対応移動体と同様に、その移動に関する移動データを取得してメモリに蓄積して記録し、車両の制御に用いることができる。
また、本発明では、検出部により、自車から他の移動体の通過を検出し、検出データに基づいて前記メモリに記録されている非対応移動体が通過したと判断される場合に、非対応移動体の移動データを前記メモリから移動体ごとに無効化または削除する。
このように、本発明では、収集され得る複数の移動体についての移動データを、対応移動体のものだけでなく非対応移動体のものについても良好に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る交通システムの一例の概略説明図である。
【
図2】
図2は、複数の移動体としての車両および歩行者の移動状態の一例の説明図である。
【
図3】
図3は、複数の移動体の移動に関する移動データの生成状況とメモリに蓄積されるデータ量との対応関係の説明図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る車両用の通信装置を備える車両制御システムの一例の説明図である。
【
図5】
図5は、
図4の受信制御部の処理の一例の説明図である。
【
図6】
図6は、
図4の移動体監視部の処理の一例の説明図である。
【
図7】
図7は、
図4の車両制御装置としての走行制御部の処理の一例の説明図である。
【
図8】
図8は、
図4の非対応管理部による非対応車両の検出処理の一例の説明図である。
【
図9】
図9は、
図4の送信制御部の処理の一例の説明図である。
【
図10】
図10は、本発明の第一実施形態における、
図4の非対応管理部による非対応車両の移動データの受信処理の一例の説明図である。
【
図11】
図11は、本発明の第二実施形態における、
図4の非対応管理部による非対応車両の移動データの受信処理の一例の説明図である。
【
図12】
図12は、
図11の検出データに対応する、他の車両の非対応管理部による一致判定処理の一例の説明図である。
【
図13】
図13は、本発明の第三実施形態における、他の車両の非対応管理部による一致判定処理の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
[第一実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る交通システム1の一例の概略説明図である。
図1には、複数の移動体としての複数の車両2と、低速移動体としての複数の歩行者3と、が図示されている。人が移動の際に乗車する自動車などの車両2では、車両2の走行や車両2で用いる機器の操作を支援または自動制御するようになってきている。車両2には、たとえば、複数の人が乗車可能な自動車または電気自動車の他にも、モータサイクル、パーソナルモビリティ、カート、電動車椅子、が含まれてよい。
図1の交通システム1は、自動車などの車両2のそれぞれに設けられる複数の車両用の通信装置、歩行者3などの低速移動体によりそれぞれ所持される複数の歩行者用の通信装置、基地局4、ビーコン装置5、サーバ装置6、を有する。
図1において、車両用の通信装置は車両2により、歩行者用の通信装置は歩行者3により代理して図示されている。交通システム1は、商用無線通信の基地局、高速道路の路肩に設置される通信装置を、基地局4として使用してよい。
【0020】
図1の交通システム1において、車両2および歩行者3の各通信装置は、自身の移動体としての移動に関する移動データを、基地局4またはビーコン装置5を通じて、サーバ装置6へ送信する。サーバ装置6は、複数の移動体の移動に関する移動データを収集し、必要に応じて収集した移動データに基づいて交通情報などについてのデータを生成し、その移動データおよび交通情報のデータを通信装置へ送信する。サーバ装置6は、車両用の通信装置との間で移動体の移動に関する移動データを送受する。
また、
図1の交通システム1において、車両2および歩行者3の各通信装置は、自身の移動体としての移動に関する移動データを、近くにいる他の通信装置へ送信する。
そして、各通信装置は、サーバ装置6または他の移動体の通信装置から移動データなどを受信すると、それを蓄積し、自身の移動の制御に利用する。
【0021】
たとえば、
図1において、右側の車両2は、左方向へ直進する。
図1の左側の車両2は、右方向へ直進する。
図1の右側の車両2と左側の車両2とは、たとえば双方向の道路においてすれ違う。
図1の右下の歩行者3は、上方向へ直進する。しかしながら、右下の歩行者3の移動速度が遅いため、
図1の右側の車両2と左側の車両2とは、右下の歩行者3がそれらの進路と交差する位置に到達する前に、該交差位置を通過している。
これに対し、
図1の左上の歩行者3は、下方向へ直進する。このため、
図1の右側の車両2は、左上の歩行者3が交差位置に到達するタイミングと前後して、該交差位置に到達する可能性がある。
この場合、
図1の右側の車両2に搭載される車両用の通信装置は、予め受信した左上の歩行者3の移動に関する移動データに基づいて交差位置を同時に通過しないように、自車の移動速度を加減速する。
このように、交通システム1が、複数の移動体の移動に関する移動データを複数の移動体の間で送受することにより、複数の移動体は安全に移動できるようになると期待される。
たとえば、車両2は、それ自身で検出した情報のみに基づいて車両2を制御するのではなく、広く自車以外の他の車両や他の歩行者3といった他の移動体の移動に関する情報や走行環境についての情報を取得して収集し、それらの複合的な情報を用いて車両2を制御することができる。
【0022】
このように交通システム1を用いて複数の移動体の間でそれらの移動データを互いに送受することにより、移動体の移動についての安全性、円滑性、移動コスト、快適性、環境性などが向上し得る。
このようなことに利用可能な交通システム1には、たとえばITS(Intelligent Transport System)、協調(Cooperative)ITS、UTMS(Universal Traffic Management Systems)、ART(Advanced Rapid Transit)、PTPS(Public Transportation Priority System)といったものなどがある。協調ITSは、標準化規格TC204/WG18により標準化されている。
【0023】
図2は、複数の移動体としての車両2および歩行者3の移動状態の一例の説明図である。
図2には、上下方向へ延在する幹線道路7と、幹線道路7から左方向へ延びる路地8と、が図示されている。自動車といった車両2は、幹線道路7および路地8の中央部を移動する。歩行者3は、幹線道路7および路地8の側部を移動する。また、歩行者3は、赤信号の横断歩道9の手前で止まり、信号が青になると横断歩道9において幹線道路7を横断する。
図2には、多数の歩行者3および多数の車両2が図示されている。
上述した交通システム1の目的を達するためには、このような走行環境においてたとえば
図2の下から上へ幹線道路7を走行する車両2は、同一の幹線道路7を走行する対向車などの他の車両2だけでなく、車両2の近くの路側帯を歩行する多数の歩行者3、路地8から出てくる歩行者3および車両2に対して注意し、これらと衝突などの接触を起こさないように進路を微調整して走行することになる。
したがって、車両2は、その周囲に存在している多数の他の移動体の位置および速度といった情報を有する移動データを即時的に取得する必要がある。これにより、車両2は、他の移動体の近くを通過する際に接触しないように進行を調整することができる。
各移動体は、自身の周囲に存在する多数の他の移動体の最新の移動データを常に取得する必要がある。たとえば、路地8の先頭に位置する車両2は、図中の丸破線のエリアに含まれる多数の他の移動体の最新の移動データを常に取得する必要がある。
また、各移動体は、自身の周囲に存在する他の移動体の数を自ら制限することはできない。
【0024】
図3は、複数の移動体の移動に関する移動データの生成状況とメモリに蓄積されるデータ量との対応関係の説明図である。
図3(A)は、歩行者Aの複数の移動データである。
図3(B)は、車両Aの複数の移動データである。
図3(C)は、歩行者Bの複数の移動データである。
図3(D)は、車両Bの複数の移動データである。
図3(A)から
図3(D)において、複数の移動データは、左から右へ向かって順番に生成される。
図3(E)は、
図3(A)から
図3(D)による移動データの合計データ量の時間変化グラフである。
図3(E)のグラフに示すように、時間が経過することに応じて移動データの合計データ量は、比例的に増加する。また、合計データ量の増加割合は、移動体の数量が多くなるほど大きくなる。
【0025】
上述した交通システム1の目的を達するために、各移動体は、
図3(A)から
図3(D)に示すように、それぞれの最新の位置および速度といった情報を有する移動データを、可能な限りの微小時間間隔により繰り返し送信する。
その結果、
図3(E)に示すように、複数の移動体の間で送受される移動データの合計データ量は、収集対象の移動体の数および収集を開始してからの経過時間に応じて飛躍的に増加してゆく。各移動体が、他の移動体の移動を監視するためにメモリに蓄積するデータ量についても、同傾向で増加してゆく。
このように、車両2などに設けられて、移動データを取得して収集する各移動体の通信装置は、上述した交通システム1の目的を達しようとする場合には、このように大量の移動データを適切に取得してそれぞれの移動の制御などに利用することが求められる。
このような大量のデータは、自動車などの車両2がこれまでに経験したことがないデータ量である。
【0026】
しかしながら、これまでの自動車といった車両2では、自車で検出したデータを処理したり、個別の移動体の移動をまとめて抽象化した静的な渋滞データや経路案内用の部分的な地図データについて、自車位置を含むエリアについてのみ受信して処理したりする程度のデータ処理能力しか備えていない。
すなわち、現在の自動車では、移動体についての情報が広く収集可能な環境になったとしても、その広く収集され得る大量の移動体についての動的な移動データを適切に取得して、取得した大量の動的な移動データを処理して自動車の走行などを制御することはできない。
したがって、自動車などの移動体では、今後の対応として、交通システム1に対応することが求められる。
逆に言えば、少なくとも現在において如何なる交通システム1を採用し得たとしても、実際の現場には、交通システム1の技術に対応していない移動体が存在することになる。
このように交通システム1は、その交通システム1に対応していない非対応の車両などの移動体についても対応できるものでなければ、実際の現場において利用することが困難である。
【0027】
また、このような交通システム1に対応しようとする自動車といった車両2では、交通システム1から大量の移動データを取得して車両の制御に利用することが求められる、と考えられる。
しかしながら、大量の移動データを取得して車両2の制御に利用する場合、その大量のデータの処理に起因して、単にメモリが圧迫されるだけでなく、場合によっては、いつまでたっても車両2が前へ進むことができなくなったり、または車両2の移動が不要に過剰的に反応したものになったり、してしまう可能性がある。
【0028】
以下、本実施形態での対策について説明する。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る車両用の通信装置を備える車両制御システム10の一例の説明図である。
図4の車両制御システム10は、移動体としての車両2に設けられ、車両2の走行などを制御するものである。
図4の車両制御システム10は、無線通信部11、撮像デバイス12、スキャンデバイス13、GPS受信機14、走行センサ15、環境センサ16、操作部材17、表示部材23、メモリ18、タイマ19、ECU(Electronic Control Unit)20、および、これらを接続する車載ネットワーク21、を有する。なお、メモリ18、タイマ19などは、ECU20とともに、1チップマイクロコンピュータに形成され、この1チップマイクロコンピュータが車載ネットワーク21に接続されてよい。
図4において、車両用の通信装置22は、たとえば無線通信部11、メモリ18、タイマ19、ECU20、で構成されてよい。
【0030】
車載ネットワーク21は、自動車といった車両2において、車両2の各部に設けられる機器同士を接続するネットワークである。車載ネットワーク21は、たとえばCAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、Ethernetでよい。また、車載ネットワーク21は、中継装置と、中継装置に接続される複数の通信ケーブルを有してもよい。この場合、車両2の各部に設けられる機器は、複数の通信ケーブルに分散して接続してよい。車両2の各部に設けられる機器は、車載ネットワーク21を通じて、他の機器との間でデータを送受する。
【0031】
撮像デバイス12は、車両2の内部または周囲を撮像する。交通システム1に対応する車両2は、少なくとも車両2の前方を撮像する撮像デバイス12を備えるとよい。この場合、車両2は、車両2の前方を走行する他の車両などを撮像した画像を得ることができる。
【0032】
スキャンデバイス13は、車両2の周囲に存在する他の移動体や固定設置物をレーダなどによりスキャンする。これにより、車両2は、車両2の周囲に存在する他の移動体や固定設置物までの距離などを検出できる。
【0033】
GPS受信機14は、GPS衛星からの電波を受信して、車両2の現在の位置情報を生成する。GPS受信機14は、地上に固定設置されている基地局4や電波塔からの電波を受信して、車両2の現在の位置情報を生成したり補正したりしてよい。なお、車両2は、GPS受信機14とは別のたとえば無線通信部11が受信する基地局4からの電波に基づいて、または車両2の走行についての検出に基づいて、車両2の現在の位置情報を生成してもよい。
【0034】
走行センサ15は、車両2の実走行に関連する情報を検出する。車両2の実走行に関連する情報には、たとえば車両2の速度、移動方向、がある。車両2の実走行に関連する情報は、この他にもたとえば車両2の駆動源の作動状態、トランスミッションの作動状態、制動装置の作動状態、操舵状態、などを含んでよい。
【0035】
環境センサ16は、車両2が存在する位置での実環境を検出する。実環境の情報としては、たとえば、日照の状態、降雨の状態、路面の種類、気温、湿度、がある。
【0036】
操作部材17は、車両2に乗った乗員が、車両2の走行などを操作するための部材である。操作部材17には、たとえばハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ワイパスイッチ、ウィンカレバー、スタートボタン、運転モード切替ボタン、がある。操作部材17は、乗員による操作部材17の操作があると、その操作の情報を生成して出力する。
【0037】
表示部材23は、車両2に乗った乗員に対して情報を画像により表示する部材である。表示部材23は、たとえば液晶モニタ、HUD(ヘッドアップディスプレイ)、でよい。表示部材23は、操作部材17と協調して動作することにより、ユーザインタフェースを構成してよい。
表示部材23は、表示データが更新されると、更新された表示データを表示する画面を表示する。
【0038】
タイマ19は、時間または時刻を計測して出力する。
【0039】
無線通信部11は、交通システム1の通信データを送受できるものであれはよい。無線通信部11は、交通システム1で用いるたとえば基地局4およびビーコン装置5と通信したり、他の移動体で用いられている通信装置とV2V(Vehicle-to-Vehicle)、V2Xの通信をしたりする。無線通信部11は、交通システム1により指定されたゾーンについて通信する1つの基地局4またはビーコン装置5と通信してよい。この場合、車両2がゾーンを超えて移動すると、交通システム1は新たなゾーンに対応する1つの基地局4またはビーコン装置5を、データの無線通信先として指定する。これにより、無線通信部11は、移動体が移動している場合でも、交通システム1のサーバ装置6との間で移動データなどを送受することができる。
【0040】
ここで、移動データは、たとえば、移動体の識別情報、属性情報、位置情報、位置検出時刻情報、速度情報、進行方向情報、を有する。移動データは、この他にもたとえば、移動データの生成タイミングに対応する時刻情報、などを有してよい。
移動体の識別情報は、その移動体を他の移動体から識別するための情報でよい。移動体の識別情報は、たとえば移動体に固有の識別番号でよい。移動体の識別番号には、たとえば、車両2に付された車体番号、製造番号、無線通信部11に割り当てられたMACアドレス、IPアドレス、などが使用できる。
移動体の属性情報は、移動体の種類を示す情報である。移動体の種類には、たとえば自動車、車両2、歩行者3、自転車、犬、子供、老人がある。移動体が車両2である場合、属性情報は、たとえば、車体のメーカ、車種、型番、色の番号、外形状の画像、外装されるオプション装備、タイヤの種類、ホイールの種類、車体ナンバ、などの情報を含んでよい。
移動体の位置情報は、たとえばGPS受信機14にて生成された位置情報でよい。
移動体の位置検出時刻情報は、たとえばGPS受信機14がGPS電波を受信したタイミングにおけるタイマ19の計測時刻、位置情報を生成したタイミングにおけるタイマ19の計測時刻、でよい。
移動体の速度情報は、たとえば走行センサ15により検出される移動体の実速度、でよい。
移動体の進行方向情報は、たとえば走行センサ15により検出される移動体の実移動方向、でよい。
なお、移動データは、これらの一部の情報のみを有するものでもよい。交通システム1における複数の移動体は、異なる情報を含む移動データを送受してよい。
【0041】
メモリ18は、車両2で利用する各種のプログラムおよびプログラムの実行中に使用する各種のデータを記録する。メモリ18に記録されるデータには、上述した車両2の各部において取得したデータが含まれる。たとえば無線通信部11が受信した移動データは、メモリ18に蓄積して記録される。
【0042】
ECU20は、メモリ18に記録されているプログラムを読み込んで実行する。これにより、車両2の制御部が実現される。車両2の制御部は、車両2の上述した各部を制御する。
図4には、ECU20に実現される車両2の制御部の機能として、受信制御部32、非対応管理部33、移動体監視部34、送信制御部35、走行制御部36、経路生成部37、が図示されている。
【0043】
受信制御部32は、無線通信部11から他の移動体の受信データを取得して処理する。受信データがたとえば他の移動体の移動データである場合、受信制御部32は、取得した他の移動体の移動データをメモリ18に記録する。これにより、メモリ18には、取得された複数の移動データが蓄積して記録される。
【0044】
非対応管理部33は、メモリ18に蓄積して記録されている複数の他の移動体に、交通システム1に非対応の車両2が含まれる場合、非対応の車両2の移動データを管理する。
たとえば、非対応管理部33は、自車の前を走行している他の車両2を撮像デバイス12などを用いて撮像し、メモリ18の移動データを用いて、交通システム1に非対応の車両2であるか否かを判断する。そして、交通システム1に非対応の車両である場合、非対応管理部33は、自車の前を走行している非対応の車両2の移動データを、生成し、メモリ18に保存する。メモリ18に保存された非対応の車両2の移動データは、送信制御部35により、他の移動データとともに、他の移動体へ送信される。
また、非対応の車両2の移動データを受信した場合、非対応管理部33は、受信後にメモリ18に蓄積されている非対応の車両2の通過を、撮像デバイス12などを用いて自車から検出して、非対応の車両2の移動データをメモリ18から非対応の車両2ごとに削除または無効化する。
また、非対応管理部33は、他の移動体からの非対応の車両2の一致判断要求を受信した場合、その一致を判断し、判断結果を応答送信する、ようにしてもよい。
【0045】
移動体監視部34は、メモリ18に蓄積して記録されている複数の他の移動体の情報に基づいて、複数の他の移動体の移動を監視する。移動体監視部34は、たとえば他の移動体の移動による自車の進路(走行)への影響を監視する。
移動体監視部34は、たとえば、自車および進路を含む監視エリアに存在する他の移動体の進路を予想し、自車の進路との交差判断により他の移動体ごとの監視レベルを設定する。
他の移動体ごとの監視レベルは、たとえば、他の移動体の進路が交差する場合の高レベル、他の移動体の進路が近接する場合の中レベル、他の移動体の進路が離れている場合の低レベル、で分類されてよい。
【0046】
送信制御部35は、メモリ18に蓄積して記録されている複数の移動体の移動データの全部または一部を、無線通信部11から送信させる。
【0047】
経路生成部37は、移動体が目的地まで移動する移動経路を生成し、生成した移動経路の情報をメモリ18に記録する。
【0048】
走行制御部36は、自動運転または運転支援により、車両2の走行を制御する。走行制御部36は、たとえば乗員による操作部材17の操作、メモリ18に記録されている移動経路、メモリ18に記録されている複数の他の移動体の移動データ、移動体監視部34による監視結果、などに応じて、車両2の進路を調整して走行を制御する。
たとえば、走行制御部36は、操作部材17の操作量や移動経路に基づいて短期的な進路を決定し、その短期的な進路が他の移動体の進路と交差したり接近したりしないように車両2の進路を調整する。また、走行制御部36は、生成した進路に沿って車両2が移動するように、車両2の走行を制御する。
【0049】
図5は、
図4の受信制御部32の処理の一例の説明図である。
受信制御部32は、たとえば新たな移動データが受信された場合、または周期的なタイミングで、
図5の受信処理を繰り返し実施してよい。
【0050】
図5の受信処理のステップST1において、受信制御部32は、無線通信部11が移動データを受信したか否かを判断する。
受信制御部32は、交通システム1に対応している移動体の移動データの受信だけでなく、交通システム1に対応していない移動体の移動データの受信についても、受信したとする。
無線通信部11が移動データを受信していない場合、受信制御部32は、
図5の受信処理を終了する。
無線通信部11が移動データを受信している場合、受信制御部32は、ステップST2において移動データを取得してメモリ18に保存する。その後、受信制御部32は、
図5の受信処理を終了する。
以上の処理が繰り返されることにより、メモリ18には、受信制御部32により取得された複数の他の移動体のそれぞれについての、異なる時刻の複数の移動データが蓄積して保存される。
受信制御部32は、無線通信部11から、たとえば交通システム1に対応する車両2の移動データとともに、その車両2の前方を走行する非対応車両2の移動データを取得して、メモリ18に保存する。
【0051】
なお、受信制御部32は、メモリ18に新たな移動データを保存する際に、古くなって不要になった移動データをメモリ18から削除してもよい。これにより、メモリ18に蓄積されるデータ量が、時間の経過とともに増加し続けてしまうことを防ぐことができる。有限な記憶容量のメモリ18を用いて、複数の他の移動体の移動データを好適に蓄積することができる。
【0052】
図6は、
図4の移動体監視部34の処理の一例の説明図である。
移動体監視部34は、たとえば走行制御部36による1回の一連の移動制御が完了した場合、新たな自車の移動データがメモリ18に記録された場合、または周期的なタイミングで、
図6の監視処理を繰り返し実施してよい。
【0053】
図6の監視処理のステップST11において、移動体監視部34は、メモリ18に記録されている複数の移動データを、移動体毎に取得する。移動体監視部34は、各移動体について時刻が異なる複数の移動データがメモリ18に蓄積されている場合、その複数の移動データを取得する。
ステップST12において、移動体監視部34は、取得した移動データを用いて、その移動データに対応している他の移動体の移動についての自車の移動に対する影響の有無および程度を予測判断し、その予測判断に応じた監視レベルを判定する。
たとえば、グループの移動データを取得している場合、移動体監視部34は、副次曲線の位置を、グループに属する複数の低速移動体についての車線方向への最大の移動速度により移動させる。そして、移動体監視部34は、自車の進路と交差または近接する可能性があるか否かを判断する。
この他にもたとえば、他の移動体についての個別の移動データを取得している場合、移動体監視部34は、移動データから他の移動体の進路を予測し、自車の進路と交差または近接する可能性があるか否かを判断する。また、移動体監視部34は、その交差位置または近接位置への他の移動体の到達時間および自車の到達時間を演算し、時間差を含めて自車の進路と交差または近接する可能性があるか否かを判断してよい。
移動体監視部34は、メモリ18に蓄積されているすべての移動データを使用することにより、他の移動体の動きを精度よく判断することができる。
【0054】
ステップST13において、移動体監視部34は、他の移動体の移動についての自車の移動に対する影響の有無および程度に基づいて、他の移動体に対して監視レベルを付与する。
他の移動体に付与される監視レベルは、たとえば、他の移動体の進路が交差する場合の高レベル、他の移動体の進路が近接する場合の中レベル、他の移動体の進路が交差も近接もしない場合の低レベル、でよい。
以上の処理を繰り返すことにより、移動体監視部34は、刻々と変化する他の移動体の移動状況に応じて該他の移動体を監視し続けることができる。また、移動体監視部34は、複数の他の移動体を、監視レベルで分類することができる。
【0055】
図7は、
図4の車両制御装置としての走行制御部36の処理の一例の説明図である。
走行制御部36は、たとえば自身による前回の一連の移動制御が完了した場合、新たな自車の移動データがメモリ18に記録された場合、または周期的なタイミングで、
図7の走行処理を繰り返し実施してよい。
【0056】
図7の走行処理のステップST21において、走行制御部36は、車両2に設けられている各種の自車センサの検出データなどを取得する。
ステップST22において、走行制御部36は、自車センサの検出データに基づいて、自車の走行状態が緊急な状態にあるか否かを判断する。走行制御部36は、たとえば撮像デバイス12による車両2前方の画像において車道への歩行者3または他の車両の飛び出しを検出した場合、自車の走行状態が緊急な状態にあると判断する。
自車の走行状態が緊急な状態にある場合、走行制御部36は、処理をステップST27へ進める。ステップST27において、走行制御部36は、緊急な状況に対応する車両2の走行制御および乗員保護制御を実行する。走行制御部36は、たとえば、即座に車両2を制動して急停車させる回避制御を実行する。また、急停車の制御を開始した後に走行センサ15が大きな加速度を検出した場合、走行制御部36は、シートベルトおよびエアバッグを用いた乗員保護制御を実行する。なお、この緊急な走行制御の際に、走行制御部36は、緊急を告げる自車の移動データを、無線通信部11から他の移動体へ送信してよい。これにより、他の移動体は、自車に追従して必要な緊急な走行制御を開始できる。なお、自車の走行制御部36も、無線通信部11が他の移動体から緊急を告げる移動データを受信していることをステップST22で判断し、受信している場合には処理をステップST27へ進めてよい。
その後、走行制御部36は、処理をステップST26へ進める。
【0057】
自車の走行状態が緊急な状態にない場合、走行制御部36は、処理をステップST23へ進める。ステップST23において、走行制御部36は、移動体監視部34による監視結果を取得する。
ステップST24において、走行制御部36は、移動体監視部34による複数の移動体の移動についての監視結果に応じて、車両2の進路を生成または調整し、進路を更新する。
走行制御部36は、たとえば、経路生成部37により生成された移動経路に基づいて、今回の車両2の移動制御期間での進路を生成する。走行制御部36は、直進する場合にはたとえば現状の車線のそのまま走行する進路を生成し、右左折する場合には右左折用の車線へ変更して走行する進路を生成する。
また、走行制御部36は、監視結果に基づいて、今回の車両2の移動制御に用いる進路に対して、今回の車両2の移動制御期間で交差または近接する可能性がある他の移動体の有無を判断する。走行制御部36は、高レベルおよび中レベルの監視結果を有する移動体についての、今回の車両2の移動制御期間での移動速度および移動方向を予測し、自車の進路との交差または近接を判断する。
今回の車両2の移動制御期間において自車の進路と交差または近接する他の移動体がない場合、走行制御部36は、移動経路に基づいて生成した進路を、今回の制御に使用する進路として、進路を更新する。
今回の車両2の移動制御期間において自車の進路と交差または近接する他の移動体がある場合、走行制御部36は、移動経路に基づいて生成した進路が該他の移動体の進路から離れるように、進路を更新する。または、走行制御部36は、交差位置または近接位置の手前で停止できるように、移動経路に基づいて生成した進路の速度情報を更新する。
ステップST25において、走行制御部36は、更新した新たな進路にしたがって、車両2が安全な走行し得る範囲での制御により、自車の走行を制御する。この間に乗員による操作部材17の操作がある場合、更新した新たな進路に近づくように、操作量に対する制御量を増減して調整してよい。
ステップST26において、走行制御部36は、制御後の自車の新たな位置情報および時刻情報を含む自車の移動データを生成し、メモリ18に保存して蓄積する。
以上の処理を繰り返すことにより、走行制御部36は、刻々と変化する他の移動体の移動状況に応じて自車の移動を制御し続けることができる。
【0058】
次に、複数の車両2といった移動体の非対応管理部33による、協調による非対応車両に関する処理ついて説明する。
図8は、
図4の非対応管理部33による非対応車両の検出処理の一例の説明図である。
非対応管理部33は、たとえば一定時間ごとの周期で、
図8の処理を繰り返し実行する。
【0059】
図8のステップST31において、非対応管理部33は、自車の前を走行している他の車両2を、自車に設けられている撮像デバイス12などを用いて直接に撮像し、自車の前に他の車両2が存在しているか否かを判断する。
自車の前に他の車両2が存在していない場合、非対応管理部33は、
図8の非対応車両の検出処理を終了する。
自車の前に他の車両2が存在している場合、非対応管理部33は、ステップST32において、自車の前を走行している他の車両2が、交通システム1に非対応の車両2であるか否かを判断する。自車の前に存在する他の車両2が交通システム1に対応している場合、自車は、他の車両2との間で移動データを送受している可能性が高い。このため、非対応管理部33は、メモリ18の移動データを検索し、自車の前を走行している他の車両2の移動データが存在するか否かを判断する。そして、自車の前を走行している他の車両2の移動データがメモリ18に存在していない場合、非対応管理部33は、自車の前を走行している他の車両2が、交通システム1に非対応の車両2であると判断する。自車の前を走行している他の車両2の移動データがメモリ18に存在している場合、非対応管理部33は、自車の前を走行している他の車両2が、交通システム1に非対応の車両2でないと判断する。
自車の前を走行している他の車両2が対応車両である場合、非対応管理部33は、
図8の非対応車両の検出処理を終了する。
自車の前を走行している他の車両2が非対応車両である場合、非対応管理部33は、処理をステップST33へ進める。
【0060】
ステップST33において、非対応管理部33は、自車の前を走行している非対応車両についての移動データを生成してメモリ18に保存する。
非対応管理部33は、自車の前に存在する車両2についての自車のセンサの検出データに基づいて、非対応車両の識別情報、属性情報、位置情報、位置検出時刻情報、速度情報、進行方向情報、非対応車両までの自車からの距離または位置、などを生成し、移動データを生成する。
たとえば、非対応管理部33は、非対応車両の識別情報として、非対応車両を示す識別情報を生成する。
また、非対応管理部33は、非対応車両の属性情報として、自車の前に存在する車両2のサイズ、色、車種、ナンバ、非対応車両までの自車からの距離または位置の情報、を生成する。
【0061】
図9は、
図4の送信制御部35の処理の一例の説明図である。
送信制御部35は、たとえば新たな自車または非対応車両の移動データがメモリ18に記録された場合、または周期的なタイミングで、
図9の送信処理を繰り返し実施してよい。
【0062】
図9の送信処理のステップST41において、送信制御部35は、メモリ18に記録されている移動データに、送信するデータが含まれているか否かを判断する。
メモリ18に記録されている移動データに送信データが含まれていない場合、送信制御部35は、
図9の送信処理を終了する。
メモリ18に記録されている移動データに送信データが含まれている場合、送信制御部35は、ステップST42において、メモリ18から送信する移動データを取得して無線通信部11へ出力して送信する。その後、送信制御部35は、
図9の送信処理を終了する。
以上の処理により、メモリ18に蓄積される移動データは、適宜、他の移動体の通信装置または車両制御システム10へ送信される。他の移動体の通信装置または車両制御システム10は、自車から送信された移動データをメモリ18に保存して蓄積し、それぞれの移動の制御に利用する。なお、メモリ18に自車の移動データが記録されている場合、送信制御部35は、自車の移動データを、他の移動体の移動データとともに、他の移動体の通信装置または車両制御システム10へ送信してよい。
【0063】
図10は、本発明の第一実施形態における、
図4の非対応管理部33による非対応車両の移動データの受信処理の一例の説明図である。
非対応管理部33は、たとえば無線通信部11が移動データを新たに受信した場合、または周期的なタイミングに、
図10の処理を繰り返し実行する。
【0064】
図10のステップST51において、非対応管理部33は、非対応車両の移動データを受信したか否かを判断する。
非対応管理部33は、メモリ18に新たに保存された移動データを読み込んで、非対応車両の識別情報が含まれているか否かを判断する。
非対応車両の識別情報が含まれていない場合、すなわち、非対応車両の移動データを受信していない場合、非対応管理部33は、
図10の移動データの受信処理を終了する。
【0065】
非対応車両の移動データを受信している場合、非対応管理部33は、ステップST52において、自車の前を通過する他の車両2を検出する。
非対応管理部33は、自車に設けられている撮像デバイス12などを用いて自車の前方を撮像し、撮像した画像を横切る他の車両2を検出する。
非対応管理部33は、自車から、自車の前を通過する他の車両2までの距離または位置を検出する。
【0066】
ステップST53において、非対応管理部33は、自ら検出した他の車両2の検出データと、メモリ18に移動データが蓄積されている非対応車両との一致を判断する。
たとえば、非対応管理部33は、自ら検出した他の車両2の特徴と、メモリ18に蓄積されている非対応車両の移動データの属性情報に含まれる非対応車両の特徴との一致を判断する。
また、非対応管理部33は、検出データに含まれる車両2についての、サイズ、色、車種、ナンバなどの複数の特徴および属性を比較して、一致を判断してよい。
たとえば、非対応管理部33は、検出した自車から通過車両までの距離または位置と、メモリ18に登録されている非対応車両についての距離または位置と、を比較して、一致を判断してよい。
ステップST54において、非対応管理部33は、自ら検出した他の車両2と、メモリ18に蓄積されている非対応車両と一致したか否かを判断する。
自ら検出した他の車両2がメモリ18に蓄積されている非対応車両と一致しない場合、非対応管理部33は、処理をステップST52へ戻す。非対応管理部33は、一致が判断できるまで、ステップST52からステップST54の一致判断を繰り返す。
自ら検出した他の車両2がメモリ18に蓄積されている非対応車両と一致する場合、非対応管理部33は、処理をステップST55へ進める。
ステップST55において、非対応管理部33は、一致判断に係る移動データを、メモリ18から削除する。
ステップST56において、非対応管理部33は、表示部材23における非対応車両2の表示を切り替える。
たとえば通過検出前において、表示部材23が、非対応車両2の位置にロックオンマークを表示している場合、非対応管理部33は、そのロックオンマークの表示を薄くしたり、消したり、点表示に切り替えたりする。これにより、通過が検出された非対応車両2についての表示は、通過検出の前後において切り替わる。特に、完全に消去するのではなく、目立たなくなるように薄くしたり点表示に切り替えたりすることにより、乗員は、表示部材23の表示により非対応車両2の通過を容易に把握し易い。突然表示か消えてしまう場合のような、違和感が生じ難くなる。
【0067】
以上の処理により、非対応管理部33は、自らの検出データに基づいてメモリ18に記録されている非対応車両2が通過したと判断される場合に、非対応車両の移動データをメモリ18から移動体ごとに無効化または削除することができる。
【0068】
以上のように、本実施形態において、自車との間で移動データの送受信ができない非対応車両2の移動データを、自車との間で移動データの送受信ができる対応車両2から取得し、メモリ18に蓄積して記録する。そして、非対応管理部33は、検出データに基づいてメモリ18に記録されている非対応車両2が通過したと判断される場合に、非対応車両2の移動データをメモリ18から移動体ごとに無効化または削除する。
よって、本実施形態では、移動データの送受信に対応していない非対応車両2についても、対応車両2と同様に、その移動に関する移動データを取得してメモリ18に蓄積して記録し、車両2の走行などの制御に用いることができる。
また、本実施形態では、自車から他の移動体の通過を検出し、検出データに基づいてメモリ18に記録されている非対応車両2が通過したと判断される場合に、非対応車両2の移動データをメモリ18から移動体ごとに無効化または削除する。
このように、本実施形態では、収集され得る複数の移動体についての移動データを、対応している移動体のものだけでなく非対応の移動体のものについても良好に取得して、取得した移動データに基づいて車両2の走行などを良好に制御できる。
また、交通システム1から大量の移動データを取得して車両2の制御に利用する状況であったとしても、メモリ18からデータを適宜削除でき、メモリ18が圧迫され難くなる。したがって、本実施形態では、いつまでたっても車両2が前へ進むことができなくなったり、または車両2の移動が不要に過剰的に反応したものになったり、してしまう可能性を効果的に削減できる。
【0069】
本実施形態では、第一の車両2は、自車の前を走行している、移動データの送受信ができない非対応車両2の移動データを送信する。この移動データを受信した第二の車両2は、自車の前を走行している他の移動体の通過を検出し、受信した移動データと検出データとを比較して、通過が検出された他の移動体が非対応車両2であるか否かを判断する。この際、本実施形態では、移動体のサイズ、色、車種、ナンバ、距離または位置などといった複数の特徴および属性を比較し、一致を判断する。よって、本実施形態では、比較判断に係る車両を、高い確からしさで判断することができる。
【0070】
本実施形態では、他の移動体を表示する表示部材23は、通過が検出された非対応車両2についての表示を、通過検出の前後において切り替える。よって、乗員は、移動体に付されたマークが変化することにより、表示部材23の表示において非対応車両2の通過を把握することができる。
【0071】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る交通システム1について説明する。本実施形態では、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を使用して図示および説明を省略する。以下の説明では、主に上述した実施形態との相違点について説明する。
【0072】
図11は、本発明の第二実施形態における、
図4の非対応管理部33による非対応車両の移動データの受信処理の一例の説明図である。
非対応管理部33は、たとえば無線通信部11が移動データを新たに受信した場合、または周期的なタイミングに、
図11の処理を繰り返し実行する。
図11のステップST51からST56の処理は、上述した実施形態の
図10のステップと同様である。
【0073】
図11のステップST51において非対応車両の移動データの受信を判断すると、非対応管理部33は、ステップST52において、自車の前を通過する他の車両2を検出する。
ステップST61において、非対応管理部33は、検出データを、無線通信部11から、他の移動体へ送信する。
受信制御部32は、対応車両2から、対応車両2の移動データとともに、その前方を走行する非対応車両2の移動データを取得する。
よって、受信制御部32は、非対応車両2の移動データの送信元である対応車両2を、受信データにおいて容易に判断し得る。受信制御部32は、非対応車両2の移動データに、この送信元の情報を付加して、メモリ18に保存する。
これにより、非対応管理部33は、検出データの送信先を、メモリ18に記録されている非対応車両2の移動データに基づいて、容易に把握することができる。
非対応管理部33は、非対応車両2の移動データの送信元の他の移動体を送信先に指定して、検出データを送信する。
【0074】
図12は、
図11の検出データに対応する、他の車両の非対応管理部33による一致判定処理の一例の説明図である。
非対応管理部33は、たとえば非対応車両2の移動データを送信した後、または無線通信部11が検出データを新たに受信した場合、
図12の処理を繰り返し実行する。
【0075】
図12のステップST71において、非対応管理部33は、無線通信部11により、非対応車両2の移動データを受信したか否かを判断する。
非対応車両2の移動データを受信していない場合、非対応管理部33は、
図12の移動データの受信処理を終了する。
【0076】
非対応車両2の移動データを受信している場合、非対応管理部33は、ステップST72において、撮像デバイス12などを用いて、自車の前を通過する他の車両2を検出する。
ステップST73において、非対応管理部33は、他の車両2で検出されて受信した検出データの車両2が、自車の前に存在する非対応車両と一致するか否かを判断する。この際の一致判断は、第一実施形態と同様でよい。
ステップST74において、非対応管理部33は、一致と判断したか否かを判断する。
一致と判断した場合、非対応管理部33は、ステップST75において、一致の判断結果を、無線通信部11から送信する。
非対応管理部33は、検出データを送信してきた車両2を送信先に指定して、一致の判断結果を送信する。
一致と判断していない場合、非対応管理部33は、ステップST76において、不一致の判断結果を、無線通信部11から送信する。
非対応管理部33は、検出データを送信してきた車両2を送信先に指定して、不一致の判断結果を送信する。
【0077】
説明を
図11へ戻す。
ステップST61において検出データを送信した後、非対応管理部33は、ステップST62において、判断結果の受信を待つ。
判断結果を受信すると、非対応管理部33は、ステップST54において、判断結果において一致と判断されたか否かを確認する。
自ら検出した他の車両2がメモリ18に蓄積されている非対応車両と一致しない場合、非対応管理部33は、処理をステップST52へ戻す。非対応管理部33は、一致が判断できるまで、ステップST52からステップST54の一致判断を繰り返す。
自ら検出した他の車両2がメモリ18に蓄積されている非対応車両と一致する場合、非対応管理部33は、処理をステップST55へ進める。その後、非対応管理部33は、ステップST55において一致判断に係る移動データをメモリ18から削除し、ステップST56において表示部材23における非対応車両2の表示を切り替える。
【0078】
以上の処理により、非対応管理部33は、検出データに基づいて対応車両2においてメモリ18に記録されている非対応車両2が通過したと判断される場合に、非対応車両2の移動データをメモリ18から移動体ごとに無効化または削除する。
【0079】
以上のように、本実施形態では、自車の前を通過する非対応車両2を検出した検出データを対応車両2へ送信し、対応車両2においてメモリ18に記録されている非対応車両2が通過したと判断される場合に、非対応車両2の移動データをメモリ18から移動体ごとに無効化または削除する。
よって、本実施形態では、非対応車両2の移動データを送信した他の移動体において、通過が判断される。送信元の他の移動体において通過を判断することにより、本実施形態では、通過が検出されている車両2が非対応車両2であるか否かを適切に判断することができる。
すなわち、本実施形態では、たとえば、第一の車両2は、自車の前を走行している、移動データの送受信ができない非対応車両2の移動データを送信する。この移動データを受信した第二の車両2は、移動体の通過を検出して検出データを第一の車両2へ送信する。第一の車両2では、自車の前を走行している非対応車両2を検出し、受信した検出データと比較し、通過が検出された移動体が非対応車両2であるか否かを判断する。また、第一の車両2は、判断結果を送信し、第二の車両2は、受信した判断結果に基づいて、非対応車両2の移動データを削除する。
よって、移動体の通過を検出する第二の車両2において、非対応車両2の通過を判断する場合よりも、より確からしく非対応車両2の通過を判断することができる。
【0080】
本実施形態では、対応車両2から、対応車両2の移動データとともに、対応車両2の前を走行する非対応車両2の移動データを取得する。
よって、非対応車両2の移動データを受信する車両2では、その送信元である、対応車両2を容易に判別することができる。
【0081】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る交通システム1について説明する。本実施形態では、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を使用して図示および説明を省略する。以下の説明では、主に上述した実施形態との相違点について説明する。
【0082】
図13は、本発明の第三実施形態における、他の車両の非対応管理部33による一致判定処理の一例の説明図である。
非対応管理部33は、たとえば非対応車両2の移動データを送信した後、または無線通信部11が検出データを新たに受信した場合、
図13の処理を繰り返し実行する。
図13のステップST71からST76の処理は、上述した実施形態の
図12のステップと同様である。
【0083】
図13のステップST71において非対応車両2の検出データを受信したと判断した後、非対応管理部33は、ステップST81において、すでに該非対応車両2についての通過判断がなされているか否か判断する。
非対応車両2についての通過判断が既になされていた場合、非対応管理部33は、処理をステップST75へ進める。
非対応車両2についての通過判断がなされていない場合、非対応管理部33は、処理をステップST72へ進め、ステップST72からステップST74において新たに受信した検出データに基づく通過一致判断を行う。
ステップST74において、不一致と判断した場合、非対応管理部33は、ステップST76において、不一致の判断結果を送信する。その後、非対応管理部33は、
図13の処理を終了する。
ステップST74において、一致と判断した場合、非対応管理部33は、処理をステップST75へ進める。
ステップST75において、非対応管理部33は、一致の判断結果を、無線通信部11から送信する。
その後、ステップST82において、非対応管理部33は、一致の判断結果を、メモリ18に保存し、
図13の処理を終了する。
このように、メモリ18に一致の通過判断結果が保存されることにより、非対応管理部33は、ステップST81において、すでに該非対応車両2についての通過判断がなされているか否か判断することができる。
なお、ステップST82においてメモリ18に保存した一致の通過判断結果は、たとえば自車がその判断地点を通過する際に、メモリ18から削除または無効化すればよい。
【0084】
以上のように、本実施形態では、通過についての一致判断結果をメモリ18に記憶して保持し、その後の一致判断要求に対して、メモリに記憶されている判断結果を送信する。
よって、本実施形態では、非対応車両2についての通過がすでに判断されている場合には、新たに通過判断を実施するとなく即座に、通過についての一致判断結果を送信することができる。
なお、通過判断結果は、サーバ装置6などのインフラで保持してもよい。
また、通過についての一致判断結果を送信する車両2では、送信制御部35が、通過についての一致判断後に、メモリ18に保持されている判断結果を、非対応車両2についての移動データとして自発的に送信してもよい。
これにより、非対応車両2についての通過を検出する車両2において、通過する非対応車両2を捉えることが難しい場合でも、他の車両2の検出に基づく一致判断結果を取得し、通過した非対応車両2の移動データをメモリ18から削除または無効化できる。
【0085】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0086】
たとえば、上記実施形態では、移動体に設けられる車両制御システム10および通信装置は、メモリ18に蓄積した移動データに基づいて車両2の移動を制御するために、移動体監視部34と走行制御部36とを用いている。
この他にもたとえば、移動体に設けられる車両制御システム10および通信装置は、走行制御部36の処理において移動体監視部34と同様の処理を実施し、移動体監視部34のみを用いてもよい。この場合、移動体監視部34は、たとえば
図7のステップST23において、移動体監視部34と同様の処理を実施すればよい。また、このように走行制御部36に移動体監視部34を統合している場合、走行制御部36は、監視レベルを付与することなく、監視判断結果をそのまま用いて進路を調整するように更新してよい。
【0087】
上記実施形態では、移動体に設けられる車両制御システム10および通信装置は、受信制御部32は、メモリに記録する移動データを管理している。
この他にもたとえば、移動体に設けられる車両制御システム10および通信装置は、受信制御部32とは別に、メモリ管理部を備えてよい。
【0088】
上記実施形態では、移動体に設けられる車両制御システム10および通信装置は、走行制御部36とともに送信制御部35を有する。
この他にもたとえば、移動体に設けられる車両制御システム10および通信装置は、送信制御部35を走行制御部36に統合し、移動データの送信処理を走行制御部36に実施させてもよい。この場合、走行制御部36は、たとえば
図7のステップST26の処理の後に、保存した自車の移動データを無線通信部11により送信してよい。
【0089】
上記実施形態では、車両2に設けられる車両制御システム10は、
図4に示す各部を備えている。この他にもたとえば、車両制御システム10は、
図4の一部の機能のみを備えてもよい。また、車両制御システム10は、独自に備える
図4の一部の機能に対して、たとえば携帯端末などにより
図4の残部の機能が追加されることにより、
図4のすべての機能を備えてもよい。
また、車両制御システム10は、
図4の一部の機能を備え、その状態において上述した各種の処理を実施してもよい。車両用の通信装置22は、たとえば車両2に搭載される自車センサとして
図4の一部のみを備えるものでもよい。特に、車両制御システム10は、車両2において走行以外の制御を実施する場合、
図4のすべての自車センサ、操作部材17、ECU20の経路生成部37、を備えなくてもよい。この場合であっても、車両制御システム10に備えられる車両用の通信装置22は、サーバ装置6との間で移動データなど送受する交通システム1を構成する。
【0090】
上記実施形態では、車両用の通信装置22は、車両制御システム10の一部として説明している。歩行者3、自転車などの低速移動体用の制御システムにおいても、上述した車両用の通信装置22と同様の機能を備えてよい。また、車両2以外の電車などの他の種類の車両2においても、上述した車両制御システム10および車両用の通信装置22を適用してよい。
【符号の説明】
【0091】
1…交通システム、2…車両(車両用の移動体監視装置)、3…歩行者(歩行者用の移動体監視装置)、4…基地局、5…ビーコン装置、6…サーバ装置、7…幹線道路、8…路地、9…横断歩道、10…車両制御システム(車両用の移動体監視装置)、11…無線通信部、12…撮像デバイス、13…スキャンデバイス、14…GPS受信機、15…走行センサ、16…環境センサ、17…操作部材、18…メモリ、19…タイマ、20…ECU、21…車載ネットワーク、22…通信装置(車両用の移動体監視装置)、23…表示部材、32…受信制御部、33…非対応管理部、34…移動体監視部、35…送信制御部、36…走行制御部(車両制御装置)、37…経路生成部