(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】カートン
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
B65D5/42 Z
(21)【出願番号】P 2018222059
(22)【出願日】2018-11-28
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2017230111
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】新井 亜清
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宣人
(72)【発明者】
【氏名】内田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岡野 亮太
(72)【発明者】
【氏名】大砂 契
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-040444(JP,A)
【文献】特許第3092848(JP,B2)
【文献】特開2016-108054(JP,A)
【文献】実開昭63-057222(JP,U)
【文献】実公昭48-016575(JP,Y1)
【文献】特開2017-088251(JP,A)
【文献】米国特許第04821884(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42
B65D 5/66
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面板と、前記底面板の四方にそれぞれ連接され前記四方より立ち上がる4枚の側面板と、を有する箱形の本体と、
相対する二対の前記側面板の一方の対の前記側面板のそれぞれの上縁をヒンジ部として傾動可能に前記上縁に連接され自由端側において互いに重なり合って前記本体の開口部を覆う2枚の上面板を有する蓋体と、
を有する紙製のカートンにおいて、
前記2枚の上面板にそれぞれ形成され前記ヒンジ部に連接する上面フラップを有し、前記上面フラップを残して前記本体から前記上面板が切り離し可能であり、
前記ヒンジ部を跨いで、前記側面板の外側表面と前記上面フラップの外側表面とにラップフィルムの密着部を有することを特徴とするカートン。
【請求項2】
前記二対の前記側面板の他方の対の前記側面板のそれぞれの上縁に連接され前記上縁を側方折り部として内側に折り曲げられ前記開口部内に突出する2枚の側方フラップを有することを特徴とする請求項
1に記載のカートン。
【請求項3】
前記側方折り部を跨いで、前記側面板の外側表面と前記側方フラップの外側表面とに
ラップフィルムの密着部を有することを特徴とする請求項2に記載のカートン。
【請求項4】
前記2枚の上面板の少なくとも一方が、両側辺が前記ヒンジ部側から自由端側に向かうに従って互いに接近し、前記自由端側端部において前記自由端に沿って外側に突出し、前記本体の開口部を覆った際に、前記開口部より差し込まれて前記側方フラップの下方に重なる突出部を有することを特徴とする請求項
2又は3に記載のカートン。
【請求項5】
前記他方の対の前記側面板のそれぞれの上縁又は前記上縁近傍の前記2枚の側方フラップに、前記上縁に平行なスリットを有し、
前記2枚の上面板の一方の両側辺のそれぞれの自由端側端部に連接され、前記側辺を折り部として下方に折り曲げられ前記スリットに差し込まれる差し込み片を有することを特徴とする請求項
2又は3に記載のカートン。
【請求項6】
前記上面フラップが、前記ヒンジ部から所定の距離を介して前記ヒンジ部に平行に形成された不連続な切断部からなるフラップ形成線と、前記ヒンジ部との間の領域であることを特徴とする請求項
1乃至5のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項7】
前記上面フラップが前記ヒンジ部に両端を接する略コ字形のフラップ形成線によって囲まれ、
前記フラップ形成線が連続した或いは不連続な切断部で形成され、前記フラップ形成線の前記両端から前記ヒンジ部の両端までが不連続な切断部で形成されていることを特徴とする請求項
1乃至5のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項8】
前記上面フラップが、前記ヒンジ部の両端に両端を接する略コ字形のフラップ形成線によって囲まれ、
前記フラップ形成線が不連続な切断部で形成されていることを特徴とする請求項
1乃至5のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項9】
前記密着部の幅が10mm以上であることを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項10】
前記密着部が、ニスの塗膜であることを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のカートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用の紙製のカートンに関し、本体の開口部をラップフィルムで覆って密封し易いカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
調理済みの総菜等食品の販売用カートンとして、箱形の容器を備えた紙製のカートンが広く用いられている。このような紙製のカートンで販売された食品を、電子レンジで加熱する際や、冷蔵庫で保存する際には、容器の開口部をラップフィルムで覆うことが多いが、紙製の容器にはラップフィルムが密着しにくく、開口部をうまく密封できないという問題があった。
【0003】
特許文献1には、紙製の容器の開口部の側部にラップフィルムの密着層を設けることにより、開口部を覆ったラップフィルムを上記側部において容器に密着させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、開口部の側部に密着層を設けただけでは、十分にラップフィルムを密着させることができない場合があり、より容易に且つ確実に開口部をラップフィルムで密封しうる手段が望まれていた。
【0006】
本発明の課題は、紙製のカートンにおいて、開口部をラップフィルムで覆った際に、ラップフィルムの密着性が高く、該開口部を良好に密封しうるカートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のカートンは、底面板と、前記底面板の四方にそれぞれ連接され前記四方より立ち上がる4枚の側面板と、を有する箱形の本体と、
相対する二対の前記側面板の一方の対の前記側面板のそれぞれの上縁をヒンジ部として傾動可能に前記上縁に連接され自由端側において互いに重なり合って前記本体の開口部を覆う2枚の上面板を有する蓋体と、
を有する紙製のカートンにおいて、
前記2枚の上面板にそれぞれ形成され前記ヒンジ部に連接する上面フラップを有し、前記上面フラップを残して前記本体から前記上面板が切り離し可能であり、
前記ヒンジ部を跨いで、前記側面板の外側表面と前記上面フラップの外側表面とにラップフィルムの密着部を有することを特徴とする。
本発明においては、下記の構成(1)、さらには(2)を好ましい態様として含む。
(1)前記二対の前記側面板の他方の対の前記側面板のそれぞれの上縁に連接され前記上縁を側方折り部として内側に折り曲げられ前記開口部内に突出する2枚の側方フラップを有する。
(2)前記側方折り部を跨いで、前記側面板の外側表面と前記側方フラップの外側表面とにラップフィルムの密着部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、ラップフィルムの密着部がヒンジ部を跨いで側面板とフラップとに形成されているため、本体の開口部を覆うラップフィルムがヒンジ部を跨いで本体に密着するため、ラップフィルムの本体への密着性が高く、開口部を容易に密封することができる。
【0009】
また、側方折り部を跨ぐ密着部、及び、ヒンジ部を跨ぐ密着部、の両方を設けることにより、ラップフィルムの本体への密着性がより高くなり、さらに開口部の密封性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のカートンの一実施形態のブランクを示す上面図である。
【
図2】
図1のカートンの蓋体を開けた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1のカートンの蓋体を本体から切り離した状態の斜視図である。
【
図4】
図1のカートンの蓋体を閉じた状態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図である。
【
図5】本発明のカートンの他の実施形態のブランクの部分上面図であり、上面板と側面板とを示す。
【
図6】本発明のカートンの他の実施形態のブランクを示す底面図である。
【
図7】本発明のカートンの他の実施形態のブランクを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、本発明は下記実施形態に限定されない。また、以下に参照する図面において、同じ符号は同様の構成要素を示す。
【0012】
図1は、本発明のカートンの好ましい一実施形態のブランクの上面図であり、成形後に外側となる面を示している。また、
図2は、
図1のブランクを成形した後の、蓋体を開けた状態の斜視図であり、
図3は、蓋体を切り離した状態の斜視図であり、
図4(a)は、蓋体を閉じた状態の斜視図であり、
図4(b)は蓋体を閉じた状態の上面図である。尚、
図1中の一点鎖線で示す折り部は山折りであり、破線で示す折り部は谷折りである。
【0013】
図1~
図3に示すように、本発明のカートンは、紙製の本体1と蓋体2とを備えている。本体1は、底面板10と、底面板10の四方にそれぞれ連接され、該四方を下方折り部12として上方に折り曲げ、該四方から立ち上げた4枚の側面板20,20,30,30を有する箱形である。4枚の側面板のうち、側面板20,20が互いに対向し、側面板30,30が互いに対向している。また、蓋体2は、2枚の側面板30,30のそれぞれの上縁に連接された2枚の上面板50,50を備えており、該2枚の上面板50は、側面板30の上縁をヒンジ部32として傾動可能に連接され、本体1の開口部を覆った際には、自由端50b側が互いに重なり合う。
【0014】
本発明においては、
図1~
図3に示すように、本体1と蓋体2とを備えたカートンにおいて、本体1の開口部の二対の相対する辺の少なくとも一方の対の辺に連接するフラップを設け、該辺を跨いで上記フラップと、該フラップに連接する2枚の側面板20と20、或いは、30と30、の外側表面に、ラップフィルムの密着部を設けることで、ラップフィルムの本体1への密着性を高めたことに特徴を有する。
【0015】
以下、上記フラップ及び密着部を、少なくとも側面板20,20側に設けた形態を第1の実施形態、側面板30,30側に設けた形態を第2の実施形態として説明する。
【0016】
〔第1の実施形態〕
本実施形態においては、相対する二対の側面板20,20と30,30のうち、一方の対の側面板20,20のそれぞれの上縁に連接され、該上縁を側方折り部22,22として内側に折り曲げられて本体1の開口部内に突出する2枚の側方フラップ21,21を有し、上記側方折り部22,22を跨いで側面板20,20と側方フラップ21,21のカートンの外側となる表面にラップフィルムの密着部23,23(図中の斜線のハッチングで示される領域)が形成されている。
【0017】
図1~
図3に示すように、側方フラップ21は、側方折り部22で折り曲げられて本体1の開口部内に突出し、該側方折り部22を跨いで形成された密着部23は、側方折り部22を構成する側面板20と側方フラップ21の二面にわたって、カートンの外側表面に形成されている。よって、本体1の開口部をラップフィルムで覆った際には、ラップフィルムが2箇所の側方折り部22,22を跨いでそれぞれで二面に密着するため、開口部を良好に密封することができる。
【0018】
尚、側方フラップ21は、密着部23を形成するための部材であると同時に、蓋体2を閉じた際に、上面板50に重なる部材でもあり、側方フラップ21を設けることで、本体1に収納した食品が外部にこぼれ出たり、外部から異物が侵入したりするのを抑止する作用を有する。
【0019】
さらに本実施形態においては、
図1に示すように、上面板50のヒンジ部32から所定の距離を介して、該ヒンジ部32に平行なフラップ形成線53が不連続な切断部によって形成されている。不連続な切断部としては、例えばミシン目や、ニック部と切断部が挙げられる。このようなフラップ形成線53で切断することで、上面板50のヒンジ部32側の領域を上面フラップ51として残して、自由端50b側の領域52を切り離すことができ、本体1の開口部をラップフィルムで覆う際に、邪魔な上面板50の大部分を除くことができる。
【0020】
また、本実施形態においては、ヒンジ部32を跨いで上面フラップ51と側面板30の、カートンの外側となる表面にラップフィルムの密着部33(図中の斜線のハッチングで示される領域)が形成されている。
【0021】
よって、本実施形態においては、フラップ形成線53で上面板50の自由端50b側の領域52を切り離し、上面フラップ51を内側に折り曲げて本体1の開口部内に突出させることで、
図3に示すように、フラップは21,21,51,51の4枚となり、ラップフィルムが密着する密着部は23,23,33,33の4箇所となり、より良好にラップフィルムで開口部を密封することができる。
【0022】
また、フラップ形成線53は、
図5(a)に示すように、ヒンジ部32に両端を接する略コ字形としてもよく、この場合のフラップ形成線53は、上記した不連続な切断部で形成しても、連続した切断部で形成しても良い。この場合、フラップ形成線53によって上面フラップ51を領域52から切り離すことで、蓋体2を切り離すことなく、上面フラップ51を形成することができ、フラップは21,21,51,51の4枚となり、より良好にラップフィルムで開口部を密封することができる。また、本実施形態においては、ヒンジ部32に接するフラップ形成線53の両端からヒンジ部32の両端まで、即ち、フラップ形成線53で囲まれたヒンジ部32の中央の領域32aを挟んだ両側の領域32b(便宜上、紙面右側の領域にのみ符号を付す)が不連続な切断部で形成されており、ヒンジ部32bにおいて上面板50の領域52を切り離すことができる。よって、フラップ形成線53とヒンジ部32bとを切断することで、フラップ形成線53とヒンジ部32aとで囲まれた領域を上面フラップ51として残して上面板50の残りの領域52を本体1から切り離すことができる。
【0023】
尚、
図5(a)の形態においても、フラップ形成線53で囲まれたヒンジ部32aを跨いで、上面フラップ51と側面板30の外側表面に、ラップフィルムの密着部33を形成することが好ましい。
【0024】
また、フラップ形成線53は、
図5(b)に示すように両端がヒンジ部32の両端に一致する略コ字形としても良い。
図5(b)の場合、フラップ形成線53は不連続な切断部で形成する。尚、上面板50の領域52を切り離す際の容易性としては、
図5(a)のようにフラップ形成線53を形成しておくことが好ましい。
【0025】
フラップ形成線53は、上面板50に隙間を形成するため、カートン内部の蒸気抜きの作用も果たす。また、側方フラップ21,上面フラップ51は、それぞれ立ち上げて、本体1を持ち上げるための持ち手として利用することもできる。持ち手としての作用を高める上で、側方フラップ21や上面フラップ51を
図1~
図3に示した形状よりも大きく形成してもよく、側方フラップ21に、指を差し込む孔部を設けてもよい。
【0026】
また、本発明においては、フラップ形成線53を設けず、ヒンジ部32を不連続な切断部で形成し、該ヒンジ部32において、上面板50を全て本体1から切り離し可能な構成であっても良い。
【0027】
本発明においては、上面板50,50で本体1の開口部を覆った際に、輪ゴムやテープ等を利用して上面板50,50が開くのを防止することができるが、予め、上面板50,50が開くのを防止する構造を備えていることが好ましい。
【0028】
図1に示した実施形態においては、2枚の上面板50,50がそれぞれ、2枚の側方フラップ21,21に係止する構造を設けている。具体的には、2枚の上面板50,50のそれぞれが、両側辺50a,50aがヒンジ部32側から自由端50b側に向かうに従って互いに接近し、自由端50b側の端部において該自由端50bに沿って外側に突出する突出部52a,52aを有している。即ち、上面板50の幅(ヒンジ部32に平行な方向の長さ)はヒンジ部32側から自由端50b側に向かって一旦漸減し、自由端50b側の突出部52aにおいて増大している。上面板50の幅の最も狭い箇所においては、該幅は、該箇所が対応する位置の側方フラップ21の幅の2倍をヒンジ部32の長さから引いた長さ以下であり、突出部52aにおける上面板50の幅は、対応する位置の側方フラップ21の幅の2倍をヒンジ部32の長さから引いた長さより長く、且つ、ヒンジ部32の長さ以下である。尚、上面板50の平面形状は、ヒンジ部32の中央を通り、ヒンジ部32に直交する仮想線を中心に左右対称である。
【0029】
係る構成で2枚の上面板50,50で本体1の開口部を覆った場合には、
図4(a),(b)に示すように、上面板50,50の突出部52a,52aが開口部から差し込まれて側方フラップ21,21の下方に重なり、上面板50,50は本体1に係止されて開かなくなる。尚、本係止形態は、2枚の上面板50,50の一方のみに
図1に示す形状を持たせることで実施でき、その場合、係る形状を有する方が上になるように重ねれば良い。しかしながら、2枚の上面板50,50の両方が同じ形状である場合には、本体1に対して対象となるため、いずれの上面板を上にしても係止することができるため、包装時に取り扱いが容易であり、好ましい。
【0030】
尚、
図1の構成では、側方フラップ21の自由端21bの、側方折り部22に沿った方向における中央部に切り欠き部21aを設けることにより、切り欠き部21aにおける側方フラップ21の幅を狭くすると同時に、切り欠き部21a以外の側方フラップ21の幅を広げて、上面板50に重なる側方フラップ21の領域を広くしているが、本実施形態においては、上面板50の突出部52aを側方フラップ21の下方に重ねて係止することができれば、該切り欠き部21aはなくても構わない。
【0031】
さらに、上面板50,50が開くのを防止する他の構造を
図6に示す。
図6は、ブランクの底面図であり、カートンを成形した際に内側となる面を示している。
図1と同じ部材、部位には同じ符号を付している。図中、破線で示す折り部は谷折りである。
【0032】
図6に示すように、2枚の上面板50,50の一方の両側辺50a,50aのそれぞれの自由端50b側の端部に差し込み片54,54を連接し、2枚の側方フラップ21,21の側方折り部22,22(側面板20,20の上縁)の近傍に、側方折り部22,22に平行なスリット24,24を形成する。そして、上面板50で本体1の開口部を覆う際に、差し込み片54,54を上面板50の側辺50a,50aを折り部として下方に折り曲げてスリット24,24に差し込むことにより、該上面板50を本体1に係止することができる。尚、差し込み片54を有していない上面板50は、開口部を覆う際に、差し込み片54を有する上面板よりも先に開口部を覆っておく。尚、スリット24,24は側方折り部22,22を部分的に切断して形成しても良い。
【0033】
本体1の開口部を上面板50,50で覆った後、さらにテープ等で上面板50,50同士を留めても良い。
【0034】
また、本実施形態においては、本体1の開口部の形状が長方形であるが、正方形であっても良い。また、上面板50,50は、本体1の開口部の短辺側に連接されているが、長辺側に連接した構成であっても良い。
【0035】
さらに、
図1の実施形態では、側面板20と30との連結形態として、側面板20から側面板30に連接する連結片60a、60bを備えている。よって、連結片60a,60bを連結折り部61a,61b,61cで折り曲げて折り畳み、側面板30に重ねて接着することで箱形の本体1が形成される。また、係る構成では、成形時に本体1の底部に隙間が生じるおそれがなく、水分や油分の多い食品を収納した場合であっても、液漏れするおそれがなく、好ましい。尚、本発明は係る形態に限定されるものではなく、
図6に示すように、側面板20の両側辺に連結片60c,60cを設け、該連結片60c,60cを連結折り部61a,61aで折り曲げてそれぞれ側面板30,30に接着することで箱形の本体1としても良い。
【0036】
本発明において、ラップフィルムの密着部23,33は、カートン用のニスの塗膜で形成することができる。係るニスとしては、架橋性硬化ニスや、天然ゴムラテックスを主成分とするエマルジョン、アクリル樹脂を主成分とする水性塗料が挙げられる。架橋性硬化ニスとしては、紫外線(UV)硬化型ニスが好ましく、その種類は特に制限が無く、ラジカル重合体、付加重合体、カチオン重合体のいずれでも好ましく用いることができる。これらのニスは、印刷塗工によって所望の領域に容易に付与することができる。
【0037】
上記エマルジョンや水性塗料を用いた場合には、グラビア輪転印刷、平グラビア印刷、フレキソ印刷などにした後に熱風乾燥して乾燥塗膜を得る方法が挙げられる。また、上記紫外線硬化型ニスを用いた場合には、オフセット印刷やフレキソ印刷で塗工し、紫外線を照射して硬化膜を得ることができる。また、天然ゴムラテックスを主成分とするエマルジョンを用いる場合には、紫外線などによる劣化を防止するための添加剤を加えることが望ましい。また、粘着性の高い樹脂材料を用いた場合には、ブロッキングを防止するために、ニス中の固形分に対して10質量%~20質量%程度の無機充填材又は有機充填材を添加することが好ましく、係る充填材は平均粒径が20μm以下のものが好ましい。
【0038】
また、密着部23,33の、それぞれ側方折り部22、ヒンジ部32に直交する方向の長さ、即ち幅は、それぞれ側方折り部22、ヒンジ部32を跨いで10mmあればラップフィルムを密着させるに十分であり、好ましい。また、密着部23,33の面積が広くなるほど、カートンの価格が上昇するため、ラップフィルムの密着性が得られる範囲で、密着部23,33は狭い方が好ましい。よって、密着部23,33はそれぞれ側方折り部22、ヒンジ部32を跨いで形成されていれば、側方折り部22、ヒンジ部32に沿った方向全体に形成されている必要はなく、破線状であっても、中央部と両端部のみであっても構わない。また、所望の領域にドット状に上記塗膜を形成しても良い。尚、密着部23,33はそれぞれ、側方折り部22、ヒンジ部32の両側に均等な幅で形成されていることが望ましい。
【0039】
また、本発明のカートンは、内側に耐油ニスを塗布しておくことにより、収納する食品に油分が含まれる場合であっても、該油分がカートンにしみ込むのを防止することができる。耐油ニスとしては、一般にカートンに用いられているニスが好ましく用いられる。
【0040】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態は、基本的に、上記第1の実施形態において説明した、密着部23,23を持たず、且つ、上面フラップ51,51及びフラップ形成線53,53、密着部33,33を備えたカートンであり、係る構成上の違い以外の構成、及び、構成の詳細については、第1の実施形態での説明と同様である。よって、上面フラップ51としては、
図1~
図3に示した形態の他、
図5に示した形態も好ましく用いられる。
【0041】
本実施形態においても、本体1の開口部をラップフィルムで覆った際には、ラップフィルムがヒンジ部32,32を跨いでそれぞれで二面に密着するため、開口部を良好に密封することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、側方フラップ21,21を設けなくても構わないが、その場合には、
図7に示すように、蓋体2が開口部を全て覆う形状とする必要がある。また、側方フラップ21,21を設けることで、蓋体2を閉じた際に、該側方フラップ21,21が上面板50,50と重なり、本体1に収納した食品が外部にこぼれ出たり、外部から異物が侵入したりするのを抑止できることや、本体1を持ち上げるための持ち手として利用できることから、側方フラップ21,21を設けることが好ましい。持ち手としての作用を高める上で、側方フラップ21,21や上面フラップ51,51の形状を大きくしてもよく、側方フラップ21に指を差し込む孔部を設けてもよい。また、
図1、
図6に示したように、上面板50,50を側方フラップ21,21に係止する形状とすることで、蓋体2を本体1に固定する手段が不要となり、包装効率が向上する。
【符号の説明】
【0043】
1:本体、2:蓋体、10:底面板、12:下方折り部、20,30:側面板、21:側方フラップ、21a:切り欠き部、21b:側方フラップの自由端、22:側方折り部、23:すべり止め部、24:スリット、32,32a、32b:ヒンジ部、33:すべり止め部、50,52:上面板、50a:上面板の側辺、50b:上面板の自由端、51:上面フラップ、52a:突出部、53:フラップ形成線、54:差し込み片、60a,60b:連結片、61a,61b,61c:連結折り部