(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】情報表示装置、情報表示方法および情報表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/36 20060101AFI20221104BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221104BHJP
G09G 5/24 20060101ALI20221104BHJP
G09G 5/28 20060101ALI20221104BHJP
G09G 5/26 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G09G5/36 520A
G09G5/00 520H
G09G5/24 620F
G09G5/28 610E
G09G5/26 G
(21)【出願番号】P 2018224594
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000243881
【氏名又は名称】名古屋電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100167254
【氏名又は名称】後藤 貴亨
(72)【発明者】
【氏名】内藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】大島 創
(72)【発明者】
【氏名】服部 泰夫
(72)【発明者】
【氏名】水上 美香
(72)【発明者】
【氏名】坪内 扇二
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-007093(JP,A)
【文献】特開2013-097129(JP,A)
【文献】特開平07-261737(JP,A)
【文献】特開平02-123469(JP,A)
【文献】米国特許第04908780(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/36
G09G 5/00
G09G 5/24
G09G 5/28
G09G 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められた点灯階調範囲で点灯制御が可能な複数の点灯画素を配列した表示板を備える情報表示装置であって、
少なくとも前記表示板に表示する表示オブジェクトを示す表示内容データを受信する表示内容データ受信部と、
前記表示内容データに基づいて、
処理対象の前記表示オブジェクトの表示を担当する前記複数の点灯画素の画素数である担当画素数を取得する担当画素数取得部と、
前記処理対象の前記表示オブジェクトのベクターデータを記録媒体から取得するベクターデータ取得部と、
前記ベクターデータを、前記点灯階調範囲の階調値を示す前記担当画素数の画素によって構成された点灯ビットマップデータに変換するラスタライズ部と、
前記点灯ビットマップデータに基づいて前記複数の点灯画素を点灯制御する点灯制御部と、
を備え
、
前記ラスタライズ部は、
前記ベクターデータを、0または1の二値の階調値で表示色を表し、画素数が前記担当画素数よりも多い画素によって構成された中間ビットマップデータに変換し、
前記点灯ビットマップデータの1画素に相当する前記中間ビットマップデータの画素ブロックのうち階調値が1の画素の占有率を前記点灯階調範囲で量子化した階調値を当該1画素の階調値として設定し、
前記表示色は複数あり、
前記ラスタライズ部は、前記中間ビットマップデータの前記画素ブロックにおける前記占有率が最大とならない前記表示色についての前記占有率を0に修正する、
情報表示装置。
【請求項2】
前記表示オブジェクトは、文字と図柄とを含む、
請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
予め決められた点灯階調範囲で点灯制御が可能な複数の点灯画素を配列した表示板を備える情報表示装置を制御する情報表示方法であって、
少なくとも前記表示板に表示する表示オブジェクトを示す表示内容データを受信する表示内容データ受信工程と、
前記表示内容データに基づいて、処理対象の前記表示オブジェクトの表示を担当する前記複数の点灯画素の画素数である担当画素数を取得する担当画素数取得工程と、
前記処理対象の前記表示オブジェクトのベクターデータを記録媒体から取得するベクターデータ取得工程と、
前記ベクターデータを、前記点灯階調範囲の階調値を示す前記担当画素数の画素によって構成された点灯ビットマップデータに変換するラスタライズ工程と、
前記点灯ビットマップデータに基づいて前記複数の点灯画素を点灯制御する点灯制御工程と、
を含み、
前記ラスタライズ工程では、
前記ベクターデータを、0または1の二値の階調値で表示色を表し、画素数が前記担当画素数よりも多い画素によって構成された中間ビットマップデータに変換し、
前記点灯ビットマップデータの1画素に相当する前記中間ビットマップデータの画素ブロックのうち階調値が1の画素の占有率を前記点灯階調範囲で量子化した階調値を当該1画素の階調値として設定し、
前記表示色は複数あり、
前記ラスタライズ工程では、前記中間ビットマップデータの前記画素ブロックにおける前記占有率が最大とならない前記表示色についての前記占有率を0に修正する、
情報表示方法。
【請求項4】
予め決められた点灯階調範囲で点灯制御が可能な複数の点灯画素を配列した表示板を備える情報表示装置を制御する情報表示プログラムであって、
コンピュータを、
少なくとも前記表示板に表示する表示オブジェクトを示す表示内容データを受信する表示内容データ受信部、
前記表示内容データに基づいて、処理対象の前記表示オブジェクトの表示を担当する前記複数の点灯画素の画素数である担当画素数を取得する担当画素数取得部、
前記処理対象の前記表示オブジェクトのベクターデータを記録媒体から取得するベクターデータ取得部、
前記ベクターデータを、前記点灯階調範囲の階調値を示す前記担当画素数の画素によって構成された点灯ビットマップデータに変換するラスタライズ部、
前記点灯ビットマップデータに基づいて前記複数の点灯画素を点灯制御する点灯制御部、
として機能させ、
前記ラスタライズ部は、
前記ベクターデータを、0または1の二値の階調値で表示色を表し、画素数が前記担当画素数よりも多い画素によって構成された中間ビットマップデータに変換し、
前記点灯ビットマップデータの1画素に相当する前記中間ビットマップデータの画素ブロックのうち階調値が1の画素の占有率を前記点灯階調範囲で量子化した階調値を当該1画素の階調値として設定し、
前記表示色は複数あり、
前記ラスタライズ部は、前記中間ビットマップデータの前記画素ブロックにおける前記占有率が最大とならない前記表示色についての前記占有率を0に修正する、
情報表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置、情報表示方法および情報表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サイズの異なるフォントを表示する道路情報表示装置が知られている(特許文献1、参照。)。特許文献1において、サイズの異なる1~n個のフォントデータがROMに記録され、当該ROMに記録されたフォントデータを読み出すことにより、サイズの異なるフォントを表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1において、異なるサイズのそれぞれについてフォントデータをROMに記録しなければならず、ROMの記憶容量を増大させなければならないという問題があった。また、異なるサイズのそれぞれについて個別にフォントデータを作成する作業が行われるため、異なるサイズ間でフォントの形状が微妙に異なるという問題があった。同様に、図柄を表示する場合にも、異なるサイズ間で図柄の形状が微妙に異なるという問題があった。また、道路情報表示装置を管理する道路管理者等がビットマップデータを個々に用意するため、同一の表示オブジェクトの形状が道路管理者に依存して微妙に変化するという問題があった。
このように、同一の表示オブジェクトの形状がサイズや道路管理者に依存して微妙に変化すると、視認者が見にくさや違和感を覚えるという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、表示オブジェクトを様々な大きさで見やすく表示できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明の情報表示装置は、予め決められた点灯階調範囲で点灯制御が可能な複数の点灯画素を配列した表示板を備える情報表示装置であって、少なくとも表示板に表示する表示オブジェクトを示す表示内容データを受信する表示内容データ受信部と、表示内容データに基づいて、表示オブジェクトの表示を担当する複数の点灯画素の画素数である担当画素数を取得する担当画素数取得部と、表示オブジェクトのベクターデータを記録媒体から取得するベクターデータ取得部と、ベクターデータを、点灯階調範囲の階調値を示す担当画素数の画素によって構成された点灯ビットマップデータに変換するラスタライズ部と、点灯ビットマップデータに基づいて複数の点灯画素を点灯制御する点灯制御部と、を備える。
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明の情報表示プログラムは、予め決められた点灯階調範囲で点灯制御が可能な複数の点灯画素を配列した表示板を備える情報表示装置を制御する情報表示プログラムであって、コンピュータを、少なくとも表示板に表示する表示オブジェクトを示す表示内容データを受信する表示内容データ受信部、表示内容データに基づいて、表示オブジェクトの表示を担当する複数の点灯画素の画素数である担当画素数を取得する担当画素数取得部、表示オブジェクトのベクターデータを記録媒体から取得するベクターデータ取得部、ベクターデータを、点灯階調範囲の階調値を示す担当画素数の画素によって構成された点灯ビットマップデータに変換するラスタライズ部、点灯ビットマップデータに基づいて複数の点灯画素を点灯制御する点灯制御部、として機能させる。
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の情報表示方法は、予め決められた点灯階調範囲で点灯制御が可能な複数の点灯画素を配列した表示板を備える情報表示装置を制御する情報表示方法であって、少なくとも表示板に表示する表示オブジェクトを示す表示内容データを受信する表示内容データ受信工程と、表示内容データに基づいて、表示オブジェクトの表示を担当する複数の点灯画素の画素数である担当画素数を取得する担当画素数取得工程と、表示オブジェクトのベクターデータを記録媒体から取得するベクターデータ取得工程と、ベクターデータを、点灯階調範囲の階調値を示す担当画素数の画素によって構成された点灯ビットマップデータに変換するラスタライズ工程と、点灯ビットマップデータに基づいて複数の点灯画素を点灯制御する点灯制御工程と、を含む。
【0008】
以上説明した本発明の構成において、ラスタライズ部は、ベクターデータを、表示サイズに対応する担当画素数の画素によって構成された点灯ビットマップデータに変換する。すなわち、ラスタライズ部は、ベクターデータに基づいて種々の表示サイズに応じた大きさの点灯ビットマップデータを生成するため、種々の表示サイズ間で表示オブジェクトの形状を維持することができる。つまり、ある表示サイズの表示オブジェクトと、別の表示サイズの表示オブジェクトとが相似関係となるように表示板に表示オブジェクトを表示することができる。
【0009】
従って、表示サイズが異なっても表示オブジェクトの同一性を容易に認識でき、表示オブジェクトを様々な大きさで見やすく表示できる。また、種々の表示サイズごとに表示オブジェクトのビットマップデータを記録しなくても済むため、記録媒体の容量を低減できる。さらに、表示サイズごとに有限数のビットマップデータを用意しなくてもよいため、表示オブジェクトの表示サイズを連続的に変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)情報表示装置の構成:
(2)情報表示処理:
(3)他の実施形態:
【0012】
(1)情報表示装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる情報表示装置10の構成を示すブロック図である。情報表示装置10は、制御サーバ100と有線回線(光通信回線等)を利用した通信が可能となっている。制御サーバ100は、種々の道路状況に応じて道路上を走行する車両の運転者に伝達すべき道路情報を取得し、表示内容データを生成する。表示内容データは、道路情報を示す画像を構成する表示オブジェクトを示すデータである。表示オブジェクトは、文字と図柄とを含む。
【0013】
情報表示装置10は、制御部20と記録媒体30と表示板40と通信回路50とを備えている。制御部20は、CPUとRAMとROM等を備えたコンピュータであり、記録媒体30等に記録された情報表示プログラム21を実行する。通信回路50は、制御サーバ100と通信を行うための通信回路である。
【0014】
記録媒体30は、表示オブジェクトデータベース(DB)30aを記録している。表示オブジェクトDB30aは、表示板40に表示する種々の表示オブジェクトを示すベクターデータを格納したデータベースである。表示オブジェクトDB30aには、各種文字のベクターデータと、各種図柄のベクターデータとが含まれる。ベクターデータは、表示オブジェクトを構成する幾何学要素(点,円,円弧,曲線,ポリゴン等)の位置と方向とを示す。
【0015】
表示オブジェクトとしての図柄を示すベクターデータにおいては、各幾何学要素に表示色が対応付けられている。すなわち、表示オブジェクトとしての図柄を示すベクターデータにおいては、各幾何学要素が表す表示色(赤、青、緑、緑、黄、オレンジ等)が対応付けられている。一方、表示オブジェクトとしての文字を示すベクターデータにおいては、各幾何学要素に表示色が対応付けられていない。文字の表示色は、表示内容データによって任意に指定可能である。
【0016】
情報表示装置10は、予め決められた点灯階調範囲で点灯制御が可能な複数の点灯画素Pを配列した表示板40を備える。
図2Aは、表示板40の正面図である。表示板40は、複数の点灯画素Pを行列状に配列した矩形状の板である。表示板40は、道路上を走行する車両の運転者が視認可能に設置される。すなわち、表示板40は、路面の上方において、表示面がほぼ鉛直方向となり、かつ、車両の進行方向に垂直となるように設置される。本実施形態において、複数の点灯画素Pはそれぞれ赤、緑、青の3色(RGBチャネル)のLEDによって構成される。むろん、表示板40は、車両の進行方向に垂直となるように設置されなくてもよく、車両の進行方向と平行な壁面やトンネルの天井において車両の進行方向と平行となるように設置されてもよい。さらに、情報表示装置10は、固定式でなくてもよく、例えば車両に搭載される等により可搬式となってもよい。
【0017】
図1に示すように表示板40は、ドライバ回路Dを備えている。ドライバ回路Dは複数の点灯画素Pの配列と同一の画素配列を有するRGBの画像データである最終ビットマップデータを制御部20から入力する。最終ビットマップデータの各画素は、RGBチャネルについて0~7(8階調:3bit)である点灯階調範囲の階調値を示す。ドライバ回路Dは、階調値の大きさに応じたデューティ比でRGBチャネルの各LEDを点灯させる。従って、8段階の明るさでRGBチャネルの各LEDのそれぞれを点灯させることができ、各点灯画素Pにおいて256色の色を再現することが可能となっている。なお、最終ビットマップデータの生成手順については後述する。
【0018】
次に、情報表示装置10のソフトウェア構成を説明する。情報表示プログラム21は、表示内容データ受信モジュール21aと担当画素数取得モジュール21bとベクターデータ取得モジュール21cとラスタライズモジュール21dと点灯制御モジュール21eとを含む。表示内容データ受信モジュール21aと担当画素数取得モジュール21bとベクターデータ取得モジュール21cとラスタライズモジュール21dと点灯制御モジュール21eとは、それぞれコンピュータとしての制御部20を表示内容データ受信部と担当画素数取得部とベクターデータ取得部とラスタライズ部と点灯制御部として機能させるプログラムモジュールである。
【0019】
表示内容データ受信モジュール21aの機能により制御部20は、少なくとも表示板40に表示する表示オブジェクトを示す表示内容データLを受信する。具体的に、表示内容データ受信モジュール21aの機能により制御部20は、制御サーバ100から通信を介して表示内容データLを受信する。表示内容データLは、表示オブジェクトDB30aにベクターデータが記録されている表示オブジェクトのうち、表示板40に表示する対象の表示オブジェクトを指定するデータである。制御サーバ100は、表示内容データLを送信する装置であればよく、無線通信を行ってもよい。
【0020】
ここで、表示内容データLは、文字のみを指定する場合もあるし、図柄のみを指定する場合もあるし、文字と図柄の組み合わせを指定する場合もある。むろん、表示内容データLは、単一の表示オブジェクトを指定する場合もあるし、複数の表示オブジェクトを指定する場合もある。また、文字列を表示する場合、表示内容データLは、各文字に対応する表示オブジェクトの表示順序も指定することとなる。さらに、表示内容データLは、各文字の表示色も指定する。
【0021】
担当画素数取得モジュール21bの機能により制御部20は、表示内容データLに基づいて、表示オブジェクトの表示を担当する複数の点灯画素Pの画素数である担当画素数を取得する。担当画素数取得モジュール21bの機能により制御部20は、表示板40に表示する対象の表示オブジェクトを取得すると、表示板40上における単数または複数の表示オブジェクトのレイアウトを決定する。レイアウトの手法は種々考えられ、特に限定されない。
【0022】
例えば、制御部20は、表示する対象のすべての表示オブジェクトが互いに干渉しない範囲でできるだけ大きく表示されるように表示オブジェクトのレイアウトを決定してもよい。さらに、制御部20は、表示オブジェクトの縦横比を調整してもよい。例えば、制御部20は、横方向にできるだけ多くの文字を配列するために、文字が縦長になるようにレイアウトを決定してもよい。後述するように、本発明では、ベクターデータからビットマップデータをラスタライズするため、表示オブジェクトの縦横比を任意に設定することができる。制御部20は、表示オブジェクトのレイアウトを決定するとともに、表示板40において表示オブジェクトの表示を担当する点灯画素Pである担当画素を決定する。
【0023】
図2Aにおいては、表示オブジェクトFが表示板40上にレイアウトされている様子を模式的に示す。担当画素数取得モジュール21bの機能により制御部20は、表示オブジェクトFの表示を担当する垂直方向の担当画素数Vと水平方向の担当画素数Hとを取得する。表示オブジェクトFの表示を担当する全担当画素の個数はV×H個となる。例えば、制御部20は、表示オブジェクトFの左上隅をレイアウトする点灯画素Pの座標(x,y)とともに、担当画素数V,Hを取得する。以下、図柄を示す表示オブジェクトFを表示するための処理を順に説明する。
【0024】
ベクターデータ取得モジュール21cの機能により制御部20は、表示オブジェクトFのベクターデータを記録媒体30から取得する。すなわち、制御部20は、表示内容データLによって指定された表示オブジェクトFに対応するベクターデータを表示オブジェクトDB30aから取得する。
【0025】
ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、ベクターデータを、0または1の二値の階調値で表示色を表し、画素数が担当画素数よりも多い画素によって構成された中間ビットマップデータTに変換する。具体的に、制御部20は、ベクターデータを、表示オブジェクトFの表示を担当する担当画素の垂直方向の担当画素数Vと水平方向の担当画素数Hをそれぞれm倍した画素数の中間ビットマップデータTへと変換する。ここで、mは自然数であり、本実施形態においては10であることとする。
【0026】
制御部20は、ベクトル演算を行うことにより、ベクターデータを構成する各幾何学要素を中間ビットマップデータTの画素平面に展開し、各画素に幾何学要素(点,円,円弧,曲線,ポリゴン等)が存在するか否かを判定する。そして、制御部20は、幾何学要素が存在する中間ビットマップデータTの画素に対して表示色の階調値として1を付与する。一方、制御部20は、中間ビットマップデータTにおいて幾何学要素が存在しない画素に対して表示色の階調値として0を付与する。
【0027】
図柄のベクターデータにおいては、各幾何学要素に表示色が対応付けられているため、制御部20は、各幾何学要素に対応する表示色のチャネルの階調値として1を付与する。図柄のベクターデータにおいては、各幾何学要素に対して互いに異なる表示色が対応付けられ得る。そのため、中間ビットマップデータTは、複数の表示色に対応する複数チャネルの画像データとなり得る。一方、文字のベクターデータにおいては、各幾何学要素に表示色が対応付けられていないため、制御部20は、表示内容データLによって指定された表示色の階調値として1を付与する。
【0028】
図2Cは、中間ビットマップデータTを示す。
図2Cの中間ビットマップデータT(表示オブジェクトF)は車両に注意喚起を行う図柄を示す。
図2Bは、
図2Cに示す中間ビットマップデータTの各色の定義を示す。中間ビットマップデータTは、各画素が赤、緑、オレンジの3色のRGOチャネルの二値の階調値を示す画像データである。中間ビットマップデータTは、変換元のベクターデータを構成する幾何学要素の表示色の数分のチャネルを有する画像データとなる。
【0029】
図2Cに示すように、中間ビットマップデータTにおいて黒色の部分がRGOチャネルのいずれの階調値も0となる部分であり、点灯画素Pの表示色が黒色(非点灯)となる部分である。中間ビットマップデータTにおいてドットハッチングの部分がGチャネルの階調値が1となる部分であり、点灯画素Pの表示色が緑色となる部分である。中間ビットマップデータTにおいて濃いグレーの部分がRチャネルの階調値が1となる部分であり、点灯画素Pの表示色が赤色となる部分である。中間ビットマップデータTにおいて薄いグレーの部分がOチャネルの階調値が1となる部分であり、点灯画素Pの表示色がオレンジ色となる部分である。
【0030】
図2D~
図2Fは、RGOチャネルの中間ビットマップデータTを個別に示す。
図2D~
図2Fにおいて、
図2Aの点灯画素P1,P2に対応する中間ビットマップデータTの画素ブロックB1,B2を下段に拡大して示している。画素ブロックB1,B2の画素数は、m×m(10×10)個である。
【0031】
ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、点灯ビットマップデータの1画素P1,P2に相当する中間ビットマップデータTの画素ブロックB1,B2のうち階調値が1の画素の占有率を点灯階調範囲で量子化した階調値を当該1画素P1,P2の階調値として設定する。具体的に、制御部20は、画素ブロックB1,B2において階調値が1となっている画素の個数を、画素ブロックB1,B2内の全画素数で除算することにより占有率Qを算出する。
【0032】
まず、
図2DのRチャネルに注目すると、画素ブロックB1,B2においてRチャネルの階調値が1となっている画素の占有率Q
Rはそれぞれ77%,0%となる。
図2EのGチャネルに注目すると、画素ブロックB1,B2においてGチャネルの階調値が1となっている画素の占有率Q
Gはそれぞれ0%,0%となる。さらに、
図2FのOチャネルに注目すると、画素ブロックB1,B2においてOチャネルの階調値が1となっている画素の占有率Q
Oはそれぞれ23%,60%となる。画素ブロックB1に対応する点灯画素P1についての占有率(Q
R,Q
G,Q
O)は(77%,0%,23%)となり、画素ブロックB2に対応する点灯画素P2についての占有率(Q
R,Q
G,Q
O)は(0%,0%,60%)となる。ここで、占有率Qは、点灯画素P1,P2が点灯すべき表示色の輝度を意味する。
【0033】
ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、中間ビットマップデータTの画素ブロックB1,B2における占有率(QR,QG,QO)が最大とならない表示色(QG,QO)についての占有率Qを0に修正する。具体的に、制御部20は、点灯画素P1,P2の各表示色の占有率(QR,QG,QO)のうち最大値以外の値を0%へと修正する処理(第2色除去)を行う。
【0034】
図3A,
図3Bは、点灯画素P1,P2について点灯階調範囲の階調値を得るための処理の流れを示す模式図である。
図3Aに示すように、第2色除去によって、点灯画素P1についての占有率(Q
R,Q
G,Q
O)は(77%,0%,23%)から(77%,0%,0%)へと修正される。つまり、点灯画素P1については、最大の占有率Q
R以外の占有率Q
G,Q
Oは0%へと修正される。
図3Bに示すように、点灯画素P2については、最大の占有率Q
o以外の占有率Q
R,Q
Gがもともと0%であるため、占有率(Q
R,Q
G,Q
O)は(0%,0%,60%)のままとなる。
【0035】
次に、制御部20は、RGOチャネルのそれぞれの占有率(QR,QG,QO)を点灯画素Pが点灯可能なRGBチャネルのそれぞれの輝度値(ER,EG,EB)に色変換する。色変換とは、同色関係を維持したままRGOチャネルのそれぞれの占有率(QR,QG,QO)をRGBチャネルのそれぞれの輝度値(ER,EG,EB)に変換する処理であり、色変換の変換規則は予め記録媒体30に記録されている。本実施形態では、Oチャネルの占有率QOが輝度値(ER=QO,EG=0.65×QO,EB=0)へと変換される。一方、Rチャネルの占有率QRが輝度値(ER=QR,EG=0,EB=0)へと変換され、Gチャネルの占有率QGが輝度値(ER=0,EG=QG,EB=0)へと変換される。
【0036】
図3Aに示すように、制御部20は、点灯画素P1についてのRGOチャネルのそれぞれの占有率(Q
R,Q
G,Q
O)=(77%,0%,0%)を、RGBチャネルの輝度値(E
R,E
G,E
B)=(77%,0%,0%)へと色変換する。
図3Bに示すように、制御部20は、点灯画素P2についてのRGOチャネルのそれぞれの占有率(Q
R,Q
G,Q
O)=(0%,0%,60%)を、RGBチャネルのそれぞれの輝度値(E
R,E
G,E
B)=(60%,39%,0%)へと色変換する。
【0037】
以上のようにして、RGBチャネルのそれぞれの輝度値(E
R,E
G,E
B)が得られると、制御部20は、当該輝度値(E
R,E
G,E
B)を点灯階調範囲である0~7の階調値(F
R,F
G,F
B)へと量子化する。
図3Cは、RGBチャネルのそれぞれの輝度値(E
R,E
G,E
B)の区間と量子化後の階調値(F
R,F
G,F
B)との対応関係を示す。量子化の結果、
図3Aに示すように、制御部20は、点灯画素P1について点灯階調範囲のRGBチャネルのそれぞれの階調値(F
R,F
G,F
B)として(6,0,0)を得る。同様に、
図3Bに示すように、制御部20は、点灯画素P2について点灯階調範囲のRGBチャネルのそれぞれの階調値(F
R,F
G,F
B)として(4,3,0)を得る。
【0038】
以上によって、点灯画素P1,P2を点灯可能な階調値が得られたこととなる。制御部20は、表示オブジェクトFの表示を担当するすべての点灯画素Pについて中間ビットマップデータTから点灯階調範囲の階調値を得る処理を行うことにより、点灯ビットマップデータCを得る。すなわち、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、ベクターデータを、点灯階調範囲の階調値を示すV×H個の担当画素によって構成された点灯ビットマップデータCに変換する。
【0039】
さらに、制御部20は、各表示オブジェクトFについて生成した点灯ビットマップデータCを表示板40が備えるすべての点灯画素Pに対応する画素で構成されたビットマップデータに配置することにより、最終ビットマップデータを生成する。最終ビットマップデータの各画素は、点灯階調範囲のRGBチャネルのそれぞれの階調値(FR,FG,FB)を示す。なお、いずれの表示オブジェクトFも配置されない点灯画素Pについての階調値(FR,FG,FB)は(0,0,0)となる。
【0040】
点灯制御モジュール21eの機能により制御部20は、点灯ビットマップデータCに基づいて複数の点灯画素を点灯制御する。すなわち、点灯制御モジュール21eの機能により制御部20は、点灯ビットマップデータCをレイアウトした最終ビットマップデータを表示板40のドライバ回路Dに出力する。これにより、表示板40の各点灯画素PのRGBのLEDは階調値に応じたデューティ比で点灯することとなる。
【0041】
図3D,
図3Eは、点灯画素P1,P2の点灯タイミングを示すタイミングチャートである。
図3Dに示すように、点灯画素P1においては、RのLEDが点灯することにより、表示色として77%の輝度の赤色が再現される。
図3Eに示すように、点灯画素P2においては、RとGのLEDが点灯することにより、表示色として60%の輝度のオレンジが再現される。
【0042】
以上説明した本発明の構成において、制御部20は、ベクターデータに基づいて種々の表示サイズに応じた大きさの点灯ビットマップデータCを生成するため、種々の表示サイズ間で表示オブジェクトFの形状を維持することができる。つまり、ある表示サイズの表示オブジェクトFと、別の表示サイズの表示オブジェクトFとが相似関係となるように表示板に表示オブジェクトFを表示することができる。
【0043】
従って、表示サイズが異なっても表示オブジェクトFの同一性を容易に認識でき、表示オブジェクトFを様々な大きさで見やすく表示できる。また、種々の表示サイズごとに表示オブジェクトFのデータを記録しなくても済むため、記録媒体30の容量を低減できる。さらに、表示サイズごとに有限数のビットマップデータを用意しなくてもよいため、表示オブジェクトFの表示サイズを連続的に変化させることができる。
【0044】
図4A~
図4Cは、表示板40の表示例を示す。
図4A~
図4Cに示すように、本実施形態においては、ベクターデータから点灯ビットマップデータCを生成するため、表示オブジェクトFとしての図柄や文字を種々の表示サイズで表示することができる。従って、表示内容データLが示す表示オブジェクトFの量(情報)に応じて、柔軟に各表示オブジェクトFを表示することができる。すなわち、
図4A~
図4Cに示すように、表示内容データLが示す情報量が多くなるのに応じて連続的に表示オブジェクトF(図柄、文字)を小さく表示することができる。また、異なる表示サイズ間で表示オブジェクトFの形状を維持できるため、表示サイズに拘わらず表示オブジェクトFを認識しやすくすることができる。
【0045】
制御部20は、点灯ビットマップデータの1画素P1,P2に相当する中間ビットマップデータTの画素ブロックB1,B2のうち階調値が1の画素の占有率を点灯階調範囲で量子化した階調値を当該1画素P1,P2の階調値として設定する。これにより、もともと二値の階調値で表されていた表示オブジェクトFを、3階調以上の点灯階調範囲の階調値(FR,FG,FB)で表現することが可能となる。
【0046】
図5は、表示オブジェクトFのうち、オレンジ色の表示色となっている領域のエッジに存在する9個の点灯画素Pを拡大した図である。もともとのベクターデータでは、オレンジ色の幾何学要素が存在するか否かしか特定できない。しかし、一旦、点灯ビットマップデータCよりも画素数の多い中間ビットマップデータTを生成しておくことにより、3階調以上の点灯階調範囲の階調値(F
R,F
G,F
B)を得ることができる。その結果、
図5に示すように、ある表示色で表される領域のエッジを滑らかに表現でき、ジャギー感を和らげることができる。
【0047】
また、制御部20は、中間ビットマップデータTの画素ブロックB1,B2における占有率(QR,QG,QO)が最大とならない表示色についての占有率(QG,QO)を0%に修正した。これにより、点灯ビットマップデータCの1画素が示す表示色を1色に限ることができ、もとのベクターデータにおいて存在しない色が混色によって再現されることにより、違和感を生じさせる可能性を低減できる。
【0048】
図2A,
図2Cの点灯画素P1において、占有率Q
Oを0%に修正しないとすると、占有率(Q
R,Q
G,Q
O)として(77%,0%,23%)がそのまま色変換されることとなる。その結果、点灯画素P1は、ややオレンジがかった赤色を再現することとなり、本来、赤と緑とオレンジのみで構成された表示オブジェクトFに他の色が点在することとなり、違和感を生じさせることとなる。これに対して、占有率Q
Oを0%に修正しておくことにより、本来、赤と緑とオレンジのみで表示オブジェクトFを再現できる。
【0049】
(2)情報表示処理:
図6は、情報表示処理のフローチャートである。まず、表示内容データ受信モジュール21aの機能により制御部20は、表示内容データLを受信する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、表示オブジェクトFを指定する表示内容データLを制御サーバ100から受信する。
【0050】
次に、担当画素数取得モジュール21bの機能により制御部20は、表示オブジェクトFを選択する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、表示内容データLが表示対象として指定する表示オブジェクトFの中から、点灯ビットマップデータCを生成する対象とする表示オブジェクトFを1個選択する。
【0051】
次に、担当画素数取得モジュール21bの機能により制御部20は、表示オブジェクトFの表示を担当する複数の点灯画素Pの画素数である担当画素数を取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、表示板40が備える点灯画素Pのうち処理対象の表示オブジェクトFを表示させる担当画素を取得し、当該担当画素の画素数を取得する。具体的に、制御部20は、表示オブジェクトFの表示を担当する垂直方向の担当画素数Vと水平方向の担当画素数Hとを取得する。
【0052】
次に、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、中間ビットマップデータの画素数を設定する(ステップS115)。制御部20は、垂直方向において表示オブジェクトFの担当画素数Vのm倍の画素数を設定し、水平方向において表示オブジェクトFの担当画素数Hのm倍の画素数を設定する。本実施形態において、m=10である。
【0053】
次に、ベクターデータ取得モジュール21cの機能により制御部20は、表示オブジェクトFのベクターデータを取得する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、処理対象の表示オブジェクトFに対応するベクターデータを表示オブジェクトDB30aから取得する。
【0054】
次に、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、ベクターデータを中間ビットマップデータTへとラスタライズする(ステップS125)。すなわち、制御部20は、ステップS115にて設定した画素数の画素平面において、ベクターデータが示す幾何学要素をベクトル展開することにより、中間ビットマップデータTを生成する。中間ビットマップデータTは、各表示色のチャネルに対応する画像データであり、各画素が二値の階調値を示すビットマップデータである。
【0055】
次に、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、点灯画素P(画素ブロックB)を選択する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、RGBチャネルのそれぞれの階調値(FR,FG,FB)を決定する対象の点灯画素Pを、表示オブジェクトFがレイアウトされる領域に存在する点灯画素Pの中から1個選択する。
【0056】
次に、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、階調値が1の画素の占有率(Q
R,Q
G,Q
O)をRGOチャネルのそれぞれについて算出する(ステップS135)。
図2D~
図2Eに示すように、制御部20は、対象の点灯画素Pに対応する画素ブロックBを中間ビットマップデータTから取得し、当該画素ブロックBを構成する画素のうち階調値が1となっている画素の占有率(Q
R,Q
G,Q
O)をRGOチャネルのそれぞれについて算出する。
【0057】
次に、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、第2色除去を行う(ステップS140)。
図3Aに示すように、制御部20は、点灯画素Pの各表示色の占有率(Q
R,Q
G,Q
O)のうち最大値以外の値を0%へと修正する。
【0058】
次に、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、色変換と点灯階調範囲への量子化を行う(ステップS145)。
図3A,
図3Bに示すように、制御部20は、点灯画素Pの各表示色であるRGOチャネルのそれぞれの占有率(Q
R,Q
G,Q
O)を、点灯画素Pが点灯可能な点灯色であるRGBチャネルのそれぞれの輝度値(E
R,E
G,E
B)へと色変換する。さらに、
図3A,
図3B,
図3Cに示すように、制御部20は、点灯画素PについてのRGBチャネルのそれぞれの輝度値(E
R,E
G,E
B)を、点灯階調範囲である0~7の階調値(F
R,F
G,F
B)へと量子化する。以上の処理によって、ステップS130において選択した点灯画素PについてRGBの点灯階調範囲の階調値(F
R,F
G,F
B)が得られたこととなる。
【0059】
次に、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、全点灯画素Pについての処理が終了したか否かを判定する(ステップS150)。すなわち、制御部20は、表示オブジェクトFがレイアウトされる領域に存在するすべての点灯画素PについてRGBの点灯階調範囲の階調値(FR,FG,FB)を得る処理が完了したか否かを判定する。
【0060】
全点灯画素Pが終了したと判定しなかった場合(ステップS150:N)、制御部20は、ステップS130に戻り、次の点灯画素PについてRGBチャネルのそれぞれの階調値(FR,FG,FB)を取得する処理を開始する。一方、全点灯画素Pについての処理が終了したと判定した場合(ステップS150:Y)、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、点灯ビットマップデータCを生成する(ステップS155)。すなわち、表示オブジェクトFがレイアウトされる領域に存在するすべての点灯画素Pについて階調値(FR,FG,FB)が得られた段階で、制御部20は、各点灯画素Pの階調値(FR,FG,FB)を示す画素によって構成された点灯ビットマップデータCを生成する。
【0061】
点灯ビットマップデータCを生成すると、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、点灯ビットマップデータCをレイアウトする(ステップS160)。すなわち、制御部20は、表示オブジェクトFについて生成した点灯ビットマップデータCを、表示板40が備えるすべての点灯画素Pに対応する画素で構成されたビットマップデータに配置する。なお、点灯ビットマップデータCが配置されていない画素のRGBチャネルのそれぞれの階調値は背景色を示す階調値である。
図4A~
図4Cの場合、背景色は黒であり、階調値(F
R,F
G,F
B)は(0,0,0)である。
【0062】
次に、ラスタライズモジュール21dの機能により制御部20は、全表示オブジェクトFについての処理が終了したか否かを判定する(ステップS165)。すなわち、表示内容データLによって指定されたすべての表示オブジェクトFについて点灯ビットマップデータCを生成する処理が終了したか否かを判定する。
【0063】
全表示オブジェクトFについての処理が終了したと判定しなかった場合(ステップS165:N)、制御部20は、ステップS105に戻り、次の全表示オブジェクトFについて点灯ビットマップデータCを生成する処理を開始する。例えば、
図4A~
図4Cの例において、図柄を示す表示オブジェクトFについてのみ点灯ビットマップデータCの生成が終了した場合、次に文字(いずれか1文字)の示す表示オブジェクトFについて点灯ビットマップデータCを生成する処理が開始されることとなる。点灯ビットマップデータCを生成する処理は、すべての文字について順に行われることとなる。
【0064】
全表示オブジェクトFが終了したと判定した場合(ステップS165:Y)、点灯制御モジュール21eの機能により制御部20は、最終ビットマップデータをドライバ回路Dに出力する。すなわち、制御部20は、すべての表示オブジェクトFについての点灯ビットマップデータCを配置した最終ビットマップデータを表示板40のドライバ回路Dに出力する。これにより、表示板40の各点灯画素PのRGBチャネルのLEDは階調値(FR,FG,FB)に応じたデューティ比で点灯することとなる。
【0065】
(3)他の実施形態:
前記実施形態では、カラー表示が可能な表示板40を例示したが、単一色かつ多階調の点灯が可能な表示板40においても本発明を実現することができる。従って、ベクターデータは、単一色のビットマップデータが再現可能なベクターデータであってもよい。情報表示装置10において制御部20と表示板40とが一対一となっていなくてもよく、単一の制御部20によって複数の表示板40が制御されてもよい。点灯画素Pが点灯可能な点灯階調範囲は少なくとも3階調以上であればよく、8階調でなくてもよい。点灯画素Pは、必ずしもLEDでなくてもよく、多階調の輝度で点灯可能ないかなる点灯素子によっても構成できる。
【0066】
また、本発明の情報表示処理は、
図6に示す処理に限定されない。例えば、中間ビットマップデータTは、必ずしも表示オブジェクトFごとに生成されなくてもよく、制御部20は、最初から各表示オブジェクトFをレイアウトした状態の中間ビットマップデータTを生成してもよい。また、制御部20は、必ずしも表示内容データLに基づいて表示オブジェクトFをレイアウトしなくてもよく、最初からレイアウトが指定された表示内容データLに基づいて表示オブジェクトFの担当画素数を取得してもよい。むろん、情報表示処理において、明るさ補正やガンマ補正等の各種画像処理が行われてもよい。
【0067】
さらに、中間ビットマップデータTは、必ずしも0または1の二値の階調値で表示色を表すものでなくてもよく、多階調の階調値で表示色を表すものであってもよい。この場合、制御部20は、階調値が1の画素の占有率Qではなく、画素ブロックBにおける各画素の階調値の合計値に基づいて点灯画素Pの階調値を決定すればよい。
【0068】
さらに、点灯ビットマップデータCに対する中間ビットマップデータTの画素数の倍率mは10倍に限定されない。少なくとも、画素ブロックBに含まれる画素数が点灯階調範囲の階調数よりも多くなるように中間ビットマップデータTを生成すれば、点灯階調範囲の全階調を利用して表示オブジェクトFを表示することが可能となる。
【0069】
さらに、本発明のように、ベクターデータを変換したビットマップデータに基づいて表示板の点灯制御を行う手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0070】
10…情報表示装置、20…制御部、21…情報表示プログラム、21a…表示内容データ受信モジュール、21b…担当画素数取得モジュール、21c…ベクターデータ取得モジュール、21d…ラスタライズモジュール、21e…点灯制御モジュール、30…記録媒体、30a…表示オブジェクトDB、40…表示板、50…通信回路、100…制御サーバ、B…画素ブロック、C…点灯ビットマップデータ、D…ドライバ回路、F…表示オブジェクト、L…表示内容データ、P…点灯画素、Q…占有率、T…中間ビットマップデータ