(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】干渉相殺方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/525 20150101AFI20221104BHJP
H04B 1/10 20060101ALI20221104BHJP
H04B 10/80 20130101ALI20221104BHJP
【FI】
H04B1/525
H04B1/10 L
H04B10/80
(21)【出願番号】P 2018541659
(86)(22)【出願日】2017-07-14
(86)【国際出願番号】 US2017042142
(87)【国際公開番号】W WO2018017416
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-07-06
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518280572
【氏名又は名称】ゲンクスコム, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENXCOMM, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100199277
【氏名又は名称】西守 有人
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン, ハーディク
(72)【発明者】
【氏名】リン, チェ-チュン
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-526442(JP,A)
【文献】米国特許第08055235(US,B1)
【文献】特開2004-048200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0251031(US,A1)
【文献】特開2013-110510(JP,A)
【文献】特開2011-120120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/525
H04B 1/10
H04B 10/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ遅延制御信号およびベースバンド干渉相殺信号を生成するための、デジタル送信要素と受信要素との間に設けられたデジタル干渉相殺要素と、
RF受信信号経路における合成要素と、
RF送信信号経路とRF受信信号経路における前記合成要素との間に設けられたRF相殺フィルタと、を備え、
前記合成要素は、前記RF送信信号経路から受信された信号から前記RF相殺フィルタが生成したRF周波数信号を、第1入力において受信し、
前記合成要素は、前記合成要素の受信信号入力に供給される受信信号から、前記RF相殺フィルタによって生成される前記RF周波数信号を加える加算器であり、
前記相殺信号は受信干渉信号の推定の反転であり、
前記RF相殺フィルタは、
第1干渉信号コンポーネント生成チェーンであって、前記第1干渉信号コンポーネント生成チェーンの入力が入力される第1光-機械モジュレータと、前記第1光-機械モジュレータの出力が入力される第1設定可能遅延要素とを含む第1干渉信号コンポーネント生成チェーンと、
前記第1干渉信号コンポーネント生成チェーンの出力が入力され、前記第1干渉信号コンポーネントの電気バージョンを生成するための第1光学電気コンバータと、
第2干渉信号コンポーネント生成チェーンであって、前記第2干渉信号コンポーネント生成チェーンの入力が入力される第2光-機械モジュレータと、前記第2光-機械モジュレータの出力が入力される第2設定可能遅延要素とを含む第2干渉信号コンポーネント生成チェーンと、
前記第2干渉信号コンポーネント生成チェーンの出力が入力され、前記第2干渉信号コンポーネントの電気バージョンを生成するための第2光学電気コンバータと、を含み、
前記第1設定可能遅延要素は、前記デジタル干渉相殺要素から受信した遅延制御情報によって制御され、
前記第1干渉信号コンポーネントの電気バージョンと前記第2干渉信号コンポーネントの電気バージョンとを合成することで、合成RF干渉信号を生成するための干渉信号コンポーネント合成器をさらに含み、
前記合成RF干渉信号が、前記RF相殺フィルタによって生成される前記RF周波数信号であり、
前記第1光-機械モジュレータが、RF信号から音響信号への変換動作を行うためのピエゾ構造または光-機械構造を含み、前記光-機械構造のうちのひとつ以上が第1導波管を通過する光信号に影響を与えるために用いられ、該第1導波管が前記第1干渉信号コンポーネントを生成する際に前記第1干渉信号コンポーネント生成チェーンによって導入される信号遅延に影響を与える、装置。
【請求項2】
前記合成要素は、前記合成要素の受信信号入力に供給される受信信号から、前記RF相殺フィルタによって生成される前記RF周波数信号を減じる請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1光学電気コンバータと前記干渉信号コンポーネント合成器の第1入力との間に設けられた第1スイッチと、
前記第2光学電気コンバータと前記干渉信号コンポーネント合成器の第2入力との間に設けられた第2スイッチと、
前記デジタル干渉相殺要素から前記フィルタ遅延制御信号を受信し、受信したRF信号から減じられるべき前記RF周波数信号の生成の一部として、前記受信したRF信号に適用されるべき遅延量に基づいて前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御するためのコントローラと、をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1光-機械モジュレータが、RF信号から音響信号への変換動作を行うためのピエゾ構造または光-機械構造を含む
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1干渉信号コンポーネント生成チェーンがさらに第1導波管を含み、前記音響信号が前記第1導波管を通過する前記第1光学電気コンバータに到達する前の第1光学キャリアに影響を与える
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1導波管の幅が変化する
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1干渉信号コンポーネント生成チェーンはさらに前記第1導波管の異なる複数の部分に沿って設けられた複数のヒータを含み、
前記コントローラが、前記ヒータのうちのひとつ以上がオン状態にあるように制御し、前記ヒータのうちの前記ひとつ以上が、前記第1導波管の使用により導入される信号遅延に影響を与える前記オン状態にあるように制御される
請求項3に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
種々の実施の形態は通信方法および装置に関し、特に通信デバイスおよび/またはシステムにおける干渉相殺のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気信号または無線信号を用いて送信、例えば、伝送、および受信を同時に行おうとする無線デバイスおよび他の通信デバイスにとって、自己干渉は問題である。送信、例えばアップリンク、および受信、例えばダウンリンク、について異なる周波数帯域が用いられるかもしれないが、伝送される信号のいくらかがそのデバイスの受信器によって受信されることがあり、ひとつ以上の他のデバイスから受信される信号の受信と干渉しうる。送受信共用アンテナまたはケーブルの場合や移動体通信デバイスに設けられるアンテナについて多くの場合にそうであるような送信器と受信器との間で送信アンテナと受信アンテナとが非常に近い場合に特に、送信周波数帯域と受信周波数帯域とが異なる場合であっても、デバイスの送信器から受信器への干渉は干渉問題を引き起こしうる。
【0003】
無線周波数ドメインなどの送受信される信号の周波数範囲と同じ周波数範囲で動作する電子部品として実装されるひとつ以上の電子回路およびフィルタを用いることによって自己干渉を相殺する試みはあまり成功していない。
【0004】
例えば無線周波数ドメインにおけるフィルタ等の形の電子部品を用いて干渉相殺信号を生成することは、それに関連付けられたいくつかの問題を有する。一つ目として、干渉相殺信号を生成するために用いられる電子回路要素そのものが干渉を放射する可能性があることであり、これは特にRF周波数帯域の信号を扱う場合にそうである。電子回路として実装されるフィルタのワイヤおよび/または他のコンポーネントが信号送信器および受信器として動作するからである。例えばアンテナを用いて無線信号を送受信する、または例えば同軸ケーブルやイーサネットケーブルや他の非光学ケーブルなどの電気ケーブルインタフェースを用いて電気信号を送受信する通信デバイスにおいて、そのような追加的な自己干渉は実に望ましくないものでありうる。RF帯域で動作するフィルタの利用に伴う他の問題は、小さなデバイス内のそのようなフィルタによって生成される干渉の伝達を阻止するためにその小さなデバイス内にシールドを設けることが、所与の空間的な制限により実装困難でありうることである。
【0005】
干渉相殺フィルタを生成するために用いられてもよい電子フィルタ回路はまた、比較的かさばるものであるという不利な点を有する。これは、干渉相殺フィルタを生成するために用いられる電子フィルタに、数多くのフィルタタップおよび/または個別の遅延を実装することを困難にしている。このため、多くの場合、RF周波数ドメインで動作する電子部品を用いて干渉相殺信号を生成する試みは、非常に少ない数のタップおよび/または遅延を伴うフィルタを用いることに制限される。さらに、小さなスペースに多くのRF回路またはフィルタタップを詰め込む試みは、近接するコンポーネント間の意図しない無線周波数相互作用を介して他のコンポーネントへリークするあるコンポーネントからの干渉の問題をさらに複雑化する。例えば、あるコンポーネントが意図しないRF送信器として動作し、他のコンポーネントが意図しないRF受信器として動作することがある。
【0006】
電気信号を分けることに伴う電力問題もまた関心事であり、電子部品を用いて干渉相殺信号を生成するために用いられてもよい電子部品に伴う熱ノイズもまた関心事である。ひとつ以上の受信信号コンポーネントまたは周波数について弱い干渉信号が生成される場合、電子回路の熱ノイズは、意味のある干渉相殺信号の生成を妨げうる。干渉信号を生成するために用いられる電子回路の熱ノイズが相殺されるべき期待される干渉信号を超える場合があるからである。さらには、RFシステムにおけるカプラおよび/またはマイクロストリップに伴う挿入損失は高くなり得、また通常は、結果として得られる容量およびインダクタンスを心に留めつつ注意深くインピーダンスマッチングを行う必要があるので、より高いRF周波数についてそのようなコンポーネントを用いることはより困難となっている。
【0007】
RF範囲における電子回路としてフィルタを実装することに伴う他の問題は、所望のフィルタ特性を伴う電子回路を設計または実装することが困難でありうることである。フィルタの周波数範囲が、適切な干渉相殺信号を生成するために要求されうる所望の周波数範囲において一様ではない場合があるからである。
【0008】
デジタルRFドメインにおいて適切な干渉相殺信号を決定する試みがなされうるが、受信信号と合成される正確なアナログ干渉相殺信号を生成することは、非常に大きな周波数範囲および精度を伴うデジタルアナログコンバータを必要とし得、これは費用がかかりものであり、および/または実装困難でありうる。
【0009】
上記に照らし、無線周波数信号を用いて通信するデバイスにおいて自己干渉相殺のために用いることができる改善された方法および装置が必要とされていることは理解されるべきである。特に、無線周波数ドメインで動作する電子回路および/またはフィルタを用いて干渉相殺信号を生成することおよび/またはRFドメインで生成されるデジタル干渉相殺信号のアナログ干渉相殺信号への高精度電子デジタルアナログ信号コンバータを用いた変換を要求することに伴う上述の問題のうちのひとつ以上を解決、克服または軽減する方法および/または装置を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
自己干渉相殺動作の一部として、光フィルタなどのひとつ以上の光回路を用いて、受信アナログ信号と合成されうるアナログ干渉相殺信号を生成することを含む方法および装置が説明される。方法および装置は、RF周波数帯域で通信する広範囲の通信デバイスにおける使用に適している。本願では、RF周波数帯域は0Hzから500GHzまでの周波数を含むものである。光周波数は500GHz周波数を超える。
【0011】
あるひとつではあるが必ずしも全てではない実施の形態では、干渉相殺を行うための装置は、フィルタ遅延制御信号およびベースバンド干渉相殺信号を生成するための、デジタル送信要素と受信要素との間に設けられたデジタル干渉相殺要素と、RF受信信号経路における合成要素と、RF送信信号経路とRF受信信号経路における合成要素との間に設けられたRF相殺フィルタと、を含み、合成要素は、RF信号送信経路から受信された信号からRF相殺フィルタが生成したRF周波数信号を、第1入力において受信し、RF信号送信経路から受信された信号がデジタル干渉相殺要素から受信された遅延制御情報にしたがい遅延される。
【0012】
ある実施の形態では、無線周波数(RF)干渉相殺装置は、RF信号を運ぶ音響信号を生成するために振動するトランスデューサであって、RF信号が前記トランスデューサへの入力として供給される、トランスデューサと、RF信号を運ぶ音響信号の、光信号へのフォノン-光子変換を制御するために用いられる制御信号を受信する制御入力であって、光信号は導波管を通じて伝達される、制御入力と、導波管を出る光信号を電気的干渉相殺信号に変換する光-電気コンバータと、前記電気的干渉相殺信号と干渉を含む受信RF信号とを合成する合成器と、を含む。
【0013】
あるいくつかではあるが必ずしも全てではない実施の形態では、無線周波数(RF)干渉相殺を行う方法は、RF信号を運ぶ音響信号を生成するために振動するトランスデューサにRF信号を供給することと、制御入力において制御信号を受信することと、制御信号を用いることで、RF信号を運ぶ音響信号の、光信号へのフォノン-光子変換を制御することであって、光信号は導波管を通じて伝達される、制御することと、導波管を出る光信号に対して光-電気変換を行うことで、電気的干渉相殺信号を生成することと、干渉を含む受信RF信号に対してなされる干渉相殺動作において前記電気的干渉相殺信号を用いることと、を含む。
【0014】
上述のサマリにおいて種々の実施の形態が説明されたが、全ての実施の形態が同じフィーチャを含むかというと必ずしもそうではないこと、上述のフィーチャのうちのいくつかは不要であるがある実施の形態では望ましいものでありうること、は理解されるべきである。以下の詳細な説明において、数多くの追加的なフィーチャ、実施の形態および種々の実施の形態の利点を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】例示的な実施の形態に係る、自己干渉相殺能力を含む例示的な通信デバイスの図である。
【0016】
【
図2A】例示的な実施の形態に係る、
図1の通信デバイスに含まれてもよい例示的なトランシーバ回路の図である。
【0017】
【
図2B】例示的な実施の形態に係る、トランシーバ回路の送信チェーンを送信アンテナに結合させると共にトランシーバ回路の受信チェーンを送信アンテナに結合させる通信インタフェースを含む例示的なトランシーバ回路の図である。
【0018】
【
図2C】例示的な実施の形態に係る、トランシーバ回路の送信チェーンおよびトランシーバ回路の受信チェーンを単一のアンテナに、インタフェースに含まれるサーキュレータを介して、結合させる通信インタフェースを含む例示的なトランシーバ回路の図である。
【0019】
【
図2D】例示的な第1のデュアルチェーンなどのマルチチェーン無線デバイスを示す図である。
【0020】
【
図2E】例示的な第2のデュアルチェーンなどのマルチチェーン無線デバイスを示す図である。
【0021】
【
図3A】環境内の無線デバイスの図であり、個別の受信アンテナおよび送信アンテナを介して同時送受信可能な
図2Bに示されるデバイスなどのデバイスを伴うワイヤレス無線システムにおける自己干渉の問題の理解を助けることを意図したものである。
【0022】
【
図3B】環境内の無線デバイスの図であり、共有送受信アンテナを介して同時送受信可能な
図2Cに示されるデバイスなどのデバイスを伴うワイヤレス無線システムにおける自己干渉の問題の理解を助けることを意図したものである。
【0023】
【
図4】自己干渉相殺のための例示的なアップコンバージョンおよび相殺フィルタの図であり、これは本願の
図2Bおよび
図2Cならびに種々の他の図面に示されるトランシーバ回路のRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路として利用可能なものである。
【0024】
【
図5】同時送受信動作の三つのシナリオを示す図を含み、そこでは本発明に係る自己干渉相殺が無線デバイスの動作を改善しうる。
【0025】
【
図6A】
図2Bおよび
図2Cならびに
図4に示されるものなどのRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路で用いられ得る第1信号再構成バンクを示し、それは種々の信号遅延および利得制御機能を行いうる。
【0026】
【
図6B】
図6Aに示されるタイプではあるが例えば異なる遅延および/または利得を伴う複数の信号再構成バンクを用いて実装される例示的なRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路を示す。
【0027】
【
図7A】本発明のある実施の形態に係る、光-機械信号変調、信号遅延および/または利得制御を行うために使用されうる第1デバイスを示す。
【0028】
【
図7B】本発明のある実施の形態に係る、光-機械信号変調、信号遅延および/または利得制御を行うために使用されうる第2デバイスを示す。
【0029】
【
図7C】本発明のある実施の形態に係る、光-機械信号変調、信号遅延および/または利得制御を行うために使用されうる第3デバイスを示す。
【0030】
【
図7D】本発明のある実施の形態に係る、光-機械信号変調、信号遅延および/または利得制御を行うために使用されうる第4デバイスを示す。
【0031】
【
図8】例示的な実施の形態に係る、無線周波数(RF)干渉相殺を行う例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
無線周波数信号または他の信号に対して自己干渉相殺を行うための方法および装置が説明される。少なくともいくつかの実施の形態では送受信される信号は無線周波数信号であるが、ある実施の形態では、無線周波数から光周波数への変換および光信号処理を用いることで無線周波数信号干渉相殺信号の生成を促進することができる。少なくともいくつかではあるが必ずしも全てではない実施の形態では、干渉相殺信号の生成の一部として光フィルタを用いることで、広範囲の周波数をサポートすることができる。そこでは、干渉相殺信号のデジタルRFバージョンを生成する必要なしに、光信号がアナログRF信号へと変換される。
【0033】
完全二重無線ラジオにおいて同時送受信を可能とするためには、送信チェーンと受信チェーンとを分離することで大電力送信信号が受信器における小電力信号と干渉する(漏洩や反射を介して)ことを防ぐことが重要でありうる。効率的な完全二重トランシーバにとって、受信信号から自己干渉を相殺できる能力は重要であり得る。現行の単信トランシーバで見出されるのと同じ信号対ノイズ比について、この自己干渉の大きさは、ワイドエリアネットワークへのアプリケーションについて110dB程度となることが必要であり得る。原則的には、トランシーバにおける送信信号の知識は、相殺スキームが受信器のノイズフロアを実質的に上昇させることなく自己干渉の時間変化に適合することができる前提で、自己干渉の相殺および受信信号の再構成を可能とする。ここでの困難性は、受信自己干渉信号を、それを受信信号から減じることができるように、正確に再構成することである。
【0034】
図1は、例示的な実施の形態に係る、自己干渉相殺能力を含む例示的な通信デバイス100の図である。例示的な通信デバイス100は、トランシーバ回路102と、CPUなどのプロセッサ109と、メモリ106と、回路などのハードウエアモジュールのアセンブリなどのモジュールのアセンブリ118と、を含む。それらはバス108を介して互いに接続され、種々の要素102、109、106、118はそのバス108を介してデータおよび情報を通信してもよい。メモリ106は、トランシーバ回路102の動作を制御することを含む通信デバイス100の通信動作を制御するよう構成された通信ルーチン110と、制御ルーチン111と、ソフトウエアモジュールのアセンブリなどのモジュールのアセンブリ113と、データ/情報114と、を含む。データ/情報114は、光フィルタコンポーネント情報およびアンテナ情報などを含むインタフェース情報などを含むデバイス情報119と、通信データ/情報120と、を含む。通信データ/情報120は、例えば、RF周波数情報と、チャネルタイプ情報と、チャネル状態と、決定されたフィルタ係数と、受信信号情報と、送信信号情報と、生成された無線周波数干渉相殺信号情報と、を含む。ある実施の形態では、メモリ106に保持されるいくらかの情報はまたトランシーバ回路102内のローカルメモリに保持される。ある実施の形態では、CPUなどのプロセッサ109は、メモリ106に含まれるソフトウエアモジュールを含むルーチンを実行することで、通信デバイス100を制御し、本発明に係る方法を実行する。例えば、トランシーバ回路102を制御することで、光フィルタアセンブリの利用を含む無線周波数干渉相殺方法を実行する。ある実施の形態では、代替的に、例示的な方法のステップのうちのひとつ以上は、モジュールのアセンブリ118に含まれる回路などのひとつ以上のハードウエアモジュールによって実装される。
【0035】
トランシーバ回路102は、バスインタフェース107と通信インタフェース113とを含む。バスインタフェース107はトランシーバ回路をバス108に繋ぐ。通信インタフェース113はトランシーバ回路102を、アンテナアセンブリ101、導波管115およびワイヤ/ケーブル117のうちのひとつ以上または全てに繋ぐ。ある実施の形態では、アンテナアセンブリ101は通信デバイス100の一部として含まれる。アンテナアセンブリ101はひとつ以上のアンテナ(103、…、106)を含む。ある実施の形態では、アンテナアセンブリ101は、トランシーバ回路102の送信器および受信器の両方によって用いられる単一のアンテナ103を含む。ある実施の形態では、アンテナアセンブリ101は送信アンテナ103と受信アンテナ106とを含む。ある実施の形態では、アンテナアセンブリ101は複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとを含む。そのようないくつかの実施の形態では、アンテナアセンブリ101およびトランシーバ回路102はMIMO動作をサポートする。
【0036】
図2Aは、例示的な実施の形態に係る、例示的なトランシーバ回路102'を示す。トランシーバ回路102'は、バスインタフェース107と通信インタフェース113'とを含む。ある実施の形態では、トランシーバ回路102'は
図1のトランシーバ回路102であり、通信インタフェース113'は
図1の通信インタフェース113である。
【0037】
図2Bおよび
図2Cは、ひとつの送信チェーンおよびひとつの受信チェーンを含む無線トランシーバアーキテクチャの二つの例示的な変形例を示す。
図2Bの
図200に示される実現は、送信チェーンおよび受信チェーンがそれぞれ別個のアンテナ229、231を用いる2アンテナアプローチを示す。送受信間の結合は、アンテナ間の距離、アンテナタイプおよびアンテナのサイズにより駆動される。
図2Cの
図200'に示される実現の場合、送信チェーンおよび受信チェーンは単一のアンテナ230を用いる。アンテナ230はサーキュレータ225を用いて送信チェーンと受信チェーンとを繋いでおり、サーキュレータは送信信号227と受信信号233との間のある程度の分離を提供する。受信チェーンで見られる大電力自己干渉は、サーキュレータ225によって提供される分離および受信チェーンへと漏れ入るアンテナ230からの反射によって駆動される。
【0038】
図2Bの
図200は、例示的な実施の形態に係る、例示的なトランシーバ回路102''を示す。トランシーバ回路102''は例えば
図1のトランシーバ回路102および/または
図2のトランシーバ回路102'である。トランシーバ回路102''は、通信インタフェース113''と、バスインタフェース107と、送信(TX)デジタルベースバンド(BB)回路206と、TXデジタルBBツーアナログBB回路204と、TXアナログBBツー無線周波数(RF)回路202と、カプラデバイス226と、信号コンバイナ/カプラデバイス209と、RXRFツーアナログBB回路210と、RXアナログBBツーデジタルBB回路212と、RXデジタルBB回路214と、RFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222と、チャネル推定器、デジタルフィルタなどのフィルタおよびフィルタ制御回路216と、を含み、それらは
図2Bに示されるように接続されている。信号コンバイナ209は、受信無線周波数信号233と無線周波数干渉相殺信号224とを合成することで、回復された無線周波数信号235を生成するよう構成される。種々の実施の形態では、信号コンバイナ209は、受信無線周波数信号233に無線周波数干渉相殺信号234を加えることで、回復された無線周波数信号235を生成するよう構成される。
【0039】
図2Bのトランシーバ回路102''の上位概念的概要をこれから説明する。トランシーバ回路102''は、送信チェーンと受信チェーンとを備える。送信チェーンにおいて、送信デジタルベースバンド回路206はバスインタフェース107を介して、ビットの形態で送信されるべき入力データ207を受信し、そのビットをデジタルベースバンド波形205に変換し、それはTXデジタルBBツーアナログBB回路204に出力される。TXデジタルベースバンド回路206は受信入力データ207の符号化および変調を行う。TXデジタルベースバンド回路206により行われる符号化および変調は、例えば、直交周波数分割多重やCDMAや他の符号化および変調スキームを用いる。フィルタおよびデジタルアナログコンバータ(DAC)アセンブリなどのTXデジタルBBツーアナログBB回路204は、デジタル信号205をアナログベースバンド信号203に変換し、それはTXアナログBBツーRF回路202に出力される。
【0040】
アナログベースバンド信号203はTXアナログBBツーRF回路202によって受信され、続いて回路202に含まれる直接変換または中間周波数コンバータを用いて動作RF周波数へとアップコンバートされる。アップコンバートされたRF信号201は回路202に含まれる電力増幅器の出力である。アップコンバートされたRF信号201はデバイス226を用いて結合または分割される。そこでは、パススルー信号227は通信インタフェース113''に行き、タップされた信号223はRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222に入力される。
【0041】
通信インタフェース113''内のRF信号227は、この実現の場合、アンテナ229へと通過していく。受信アンテナ231は無線RF信号を受信し、受信信号233を受信チェーンに向けてインタフェース113''へと出力する。トランシーバ回路102''の受信側において、通信インタフェース113''からの受信信号233は3ポートデバイスであるカプラまたはコンバイナ209に入力される。カプラまたはコンバイナ209は、RFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222の出力である入力信号224と、受信アンテナ231を介して受信された信号である入力信号233と、を合成し、出力RF信号235を生成するものである。出力RF信号235はRFダウンコンバータであるRXRFツーアナログBB回路210に入力され、該回路210はRF信号235をベースバンドアナログ信号211へとダウンコンバートする。このベースバンドアナログ信号211は、RXアナログBBツーデジタルBB回路212によって受信され、フィルタされ、サンプリングされる。該回路212はサンプリングされた出力信号213を生成して出力する。サンプリングされた出力信号213は復調および復号を担当するデジタル受信プロセッサを含むRXデジタルBB回路214に入力される。
【0042】
RF信号223は送信信号201の複製であり、RFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222に入力される。RFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222は、受信信号233のコンポーネントとして受信された干渉信号の負の複製またはほぼ負の複製である信号224を生成する。前記干渉信号は信号227の送信の影響である。コンバイナ/カプラデバイス209を用いて負の複製224と受信信号233とを合成することにより、トランシーバ回路102''の送信器によって引き起こされるトランシーバ回路102''の受信器における干渉を相殺することができる。
【0043】
チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216は、送信デジタルベースバンド回路206のデジタル処理ブロックとのインタフェースとなっており、また、受信デジタルベースバンド回路214のデジタル処理ブロックとのインタフェースとなっている。チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216は、RXデジタルベースバンド回路214内のサンプリングされた信号220で観測される残存干渉信号の再構成を行うものである。チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216は、回路216に含まれるデジタルフィルタおよび回路222に含まれるRF相殺フィルタの測定および訓練を行うものである。チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216は、入力信号219と、デジタル送信信号の複製と、受信されサンプリングされた信号220と、を用いることで、トランシーバ回路102''およびアンテナ(229、231)の影響を判定し、干渉を引き起こしているチャネルを決定し、回路222に含まれるRF干渉相殺フィルタにプログラムすべき適切な係数を決定する。決定された適切な係数は、チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216からRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222へと、信号217内で伝送される。チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216はまた、干渉信号の負の複製221を再生成し、受信信号213から減じられるべきものとしてRXデジタルBB回路214に送信する。RXデジタルBB回路214は干渉信号の再生成された負の複製221を受信し、その処理の一部として、受信信号213から干渉信号の再生成された負の複製221を減じる。回路214はさらにデジタルデータアウト信号215を生成し、インタフェース107を介してデジタルデータアウト信号を出力する。
図2Cの
図200'は、通信インタフェース113'''が3ポートサーキュレータデバイス225を含むトランシーバアーキテクチャを実装する例示的なトランシーバ回路102'''を示す。サーキュレータ225は、ポート間の一方向分離の生成を行うものである。この生成される分離は、送信RF信号227が受信RF信号233へと漏れることを防止する。サーキュレータベースの設計は、単一のアンテナ230を用いた同時送受信を容易にする。
【0044】
図2Cの
図200'は、例示的な実施の形態に係る、例示的なトランシーバ回路102'''を示す。トランシーバ回路102'''は例えば
図1のトランシーバ回路102および/または
図2のトランシーバ回路102'である。トランシーバ回路102'''は、サーキュレータ225を含む通信インタフェース113'''と、バスインタフェース107と、送信(TX)デジタルベースバンド(BB)回路206と、TXデジタルBBツーアナログBB回路204と、TXアナログBBツー無線周波数(RF)回路202と、カプラデバイス226と、コンバイナ/カプラデバイス209と、RXRFツーアナログBB回路210と、RXアナログBBツーデジタルBB回路212と、RXデジタルBB回路214と、RFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222と、チャネル推定器、デジタルフィルタなどのフィルタおよびフィルタ制御回路216と、を含み、それらは
図2Cに示されるように接続されている。信号コンバイナ209は、受信無線周波数信号233と無線周波数干渉相殺信号224とを合成することで、回復された無線周波数信号235を生成するものである。種々の実施の形態では、信号コンバイナ209は、受信無線周波数信号233に無線周波数干渉相殺信号224を加えることで、回復された無線周波数信号235を生成するよう構成される。
【0045】
図2Cのトランシーバ回路102'''の上位概念的概要をこれから説明する。トランシーバ回路102'''は、送信チェーンと受信チェーンとを備える。送信チェーンにおいて、送信デジタルベースバンド回路206はバスインタフェース107を介して、ビットの形態で送信されるべき入力データ207を受信し、そのビットをデジタルベースバンド波形205に変換し、それはTXデジタルBBツーアナログBB回路204に出力される。TXデジタルベースバンド回路206は受信入力データ207の符号化および変調を行う。TXデジタルベースバンド回路206により行われる符号化および変調は、例えば、直交周波数分割多重やCDMAや他の符号化および変調スキームを用いる。フィルタおよびデジタルアナログコンバータ(DAC)などのTXデジタルBBツーアナログBB回路204は、デジタル信号205をアナログベースバンド信号203に変換し、それは送信アナログベースバンドツーRF(TXアナログBBツーRF)回路202に出力される。アナログベースバンド信号203はTXアナログBBツーRF回路202によって受信され、続いて回路202に含まれる直接変換または中間周波数コンバータを用いて動作RF周波数へとアップコンバートされる。
【0046】
アップコンバートされたRF信号201は回路202に含まれる電力増幅器の出力である。アップコンバートされたRF信号201はデバイス226を用いて結合または分割される。そこでは、パススルー信号227は通信インタフェース113'''に行き、タップされた信号223はRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222に入力される。通信インタフェース113'''内のRF信号227は、この実現の場合、サーキュレータ225を通過してアンテナ230へと至る。
【0047】
受信アンテナ230は無線RF信号を受信し、受信信号233を受信チェーンに向けて送信するインタフェース113'''のサーキュレータ225に受信信号を出力する。トランシーバ回路102'''の受信側において、通信インタフェース113'''からの受信信号233は3ポートデバイスであるカプラまたはコンバイナ209に入力される。カプラまたはコンバイナ209は、RFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222の出力である入力信号224と、アンテナ230を介して受信された信号である入力信号233と、を合成し、出力RF信号235を生成するものである。出力RF信号235はRFダウンコンバータであるRXRFツーアナログBB回路210に入力され、該回路210はRF信号235をベースバンドアナログ信号211へとダウンコンバートする。このベースバンドアナログ信号211は、RXアナログBBツーデジタルBB回路212によって受信され、フィルタされ、サンプリングされる。該回路212はサンプリングされた出力信号213を生成して出力する。サンプリングされた出力信号213は復調および復号を担当するデジタル受信プロセッサを含むRXデジタルBB回路214に入力される。
【0048】
RF信号223は送信信号201の複製であり、RFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222に入力される。RFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222は、受信信号233のコンポーネントとして受信された干渉信号の負の複製またはほぼ負の複製である信号224を生成する。前記干渉信号は信号227の送信の影響である。コンバイナ/カプラデバイス209を用いて負の複製224と受信信号233とを合成することにより、トランシーバ回路102'''の送信器によって引き起こされるトランシーバ回路102'''の受信器における干渉を相殺することができる。
【0049】
チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216は、送信デジタルベースバンド回路206のデジタル処理ブロックとのインタフェースとなっており、また、受信デジタルベースバンド回路214のデジタル処理ブロックとのインタフェースとなっている。チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216は、RXデジタルベースバンド回路214内のサンプリングされた信号220で観測される残存干渉信号の再構成を行うものである。チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216は、回路216に含まれるデジタルフィルタおよび回路222に含まれるRF相殺フィルタの測定および訓練を行うものである。チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216は、入力信号219と、デジタル送信信号の複製と、受信されサンプリングされた信号220と、を用いることで、トランシーバ回路102'''およびアンテナ230の影響を判定し、干渉を引き起こしているチャネルを決定し、回路222に含まれるRF干渉相殺フィルタにプログラムすべき適切な係数を決定する。決定された適切な係数は、チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216からRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222へと、信号217内で伝送される。チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216はまた、干渉信号の負の複製221を再生成し、受信信号213から減じられるべきものとしてRXデジタルBB回路214に送信する。RXデジタルBB回路214は干渉信号の再生成された負の複製221を受信し、その処理の一部として、受信信号214から干渉信号の再生成された負の複製221を減じる。回路214はさらにデジタルデータアウト信号215を生成し、インタフェース107を介してデジタルデータアウト信号を出力する。
【0050】
図2Cの
図200'は、通信インタフェース113'''が3ポートサーキュレータデバイス225を含むトランシーバアーキテクチャを実装する例示的なトランシーバ回路102'''を示す。サーキュレータ225は、ポート間の一方向分離の生成を行うものである。この生成される分離は、送信RF信号227が受信RF信号233へと漏れることを防止する。サーキュレータベースの設計は、単一のアンテナ230を用いた同時送受信を容易にする。
【0051】
図2Dおよび
図2Eの
図200''および200'''は、例示的なデュアル/マルチチェーン無線を示す。102''''の上位概念的概要を以下に説明する。
図2Dの
図200'''は通信インタフェース113''および113''''に接続された二つの送信チェーンおよび二つの受信チェーンを示す。送信アンテナ229は周波数Aの信号227を放射し、受信アンテナ231は周波数Bの信号233を受信する。通信インタフェース113'''では、送信アンテナ229'は周波数Bの信号227'を放射し、受信アンテナ231'は周波数Aの信号233'を受信する。この構成では、アンテナ229からの信号227はアンテナ231'で干渉を引き起こし、アンテナ229'から放射される信号227'は受信器231で干渉する。ここで示される構成は一緒に動作する二つの周波数分割二重動作可能無線の場合として理解可能である。ここでは、一方の無線が周波数Aで送信すると共に周波数Bで受信し、他方の無線が周波数Bで送信すると共に周波数Aで受信する。アンテナ229に行く送信信号227の複製信号223はRFアップコンバータおよび干渉相殺回路222に入力され、該回路222は受信アンテナ231'で見られる干渉信号特性を反映するよう信号を処理、整形し、信号233'とする。干渉相殺信号などの再構成された信号224'は干渉信号のおおまかな負の複製であり、209'において受信信号233'に加えられる。チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216はTXデジタルベースバンド回路206とのインタフェースとなり、デジタル送信信号218をTXデジタルベースバンド回路206に送信すると共にTXデジタルBB回路206から信号219を受信する。チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216はまた、TXデジタルベースバンド回路214'とのインタフェースとなり、デジタル信号220'をRXデジタルBB回路214'から受信すると共に信号221'をRXデジタルBB回路214'へ送信する。フィルタ制御回路216はRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222に係数217を提供する。送信アンテナ229'に行く送信信号227'の複製信号223'はRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222'に入力され、該回路222'は再構成信号224を生成するよう信号223'を処理する。RFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ222'からの出力信号224は干渉を含む受信信号233に加えられる。
図2Eの
図200'''は、
図2Dの102'''のそれと同様な102''''の種々のブロックの構成を示すが、ひとつの違いは、通信インタフェースが送信チェーンおよび受信チェーンを各側の単一のアンテナに接続することである。
【0052】
図2B-2Cに示されるように、ブロック222および216は干渉再構成の二つのステージなどの要素であり、これら二つの構成の主な機能は、送信信号223の複製を遅延させ/バッファし、それをフィルタすることで、その出力224が自己干渉信号233の正確な再構成を表すようにすることであり、自己干渉信号233は209を用いて受信チェーンの受信信号233と合成可能なものである。各フィルタ216、222は、干渉の異なる部分を相殺するために用いられる受信信号の異なる部分を生成してもよい。異なる部分は、信号遅延の異なる量に対応する自己干渉に対応してもよい。環境内のオブジェクトからの反射に起因する受信複製の多くまたは全てに対応する信号を正確に遅延させる能力は、干渉相殺を行う際に役に立ちうる。本発明のある態様によると、RFや表面音響波や光子的なものやフォノン-光子やスローライトやRF MEMSベーススイッチにおける種々のアプローチが新規な構成およびユニークな態様で用いられ、これらの技術のうちのひとつ以上の組み合わせを用いて完全二重動作にとって望ましい自己干渉相殺の度合いを達成することができるユニークなアーキテクチャが提供される。表面音響波および光子技術を利用して信号の遅延バージョンを生成することは、そうでなければサポートが困難な長さの遅延をサポートするために役に立ちうる。
【0053】
RF光子的ソリューション
【0054】
種々のフィーチャが、信号の遅延バージョンを生成するためにRFフォトニクスを用いる。RFフォトニクスは、光ドメインでRF信号を処理することを含むハイブリッドアプローチを含んでもよく、多くの場合、含む。少なくともいくつかのRFフォトニクスシステムでは、アナログRF信号は光キャリア波のエンベロープを規定し、これは多くの場合200THz程度である。したがって、マルチGHz超広帯域信号であっても10-5より小さい部分的帯域幅を占める。同様に、ミリ波ベースバンド周波数は光コンポーネントの典型的な帯域幅よりもはるかに低い。したがって、広帯域モジュレータが用いられる場合、RFフォトニクスはRFベースバンド周波数に対して透明な強力なアプローチである。光ファイバの形の空間的光遅延ラインをセンチメートルループのコイルにすることができ、複数の遅延ラインを垂直方向に積み重ねることができ、12タップ相殺フィルタのマイクロ波遅延ラインよりも4倍から5倍小さいフットプリントへと詰め込むことができる。マイクロ波フィルタとは異なり、RFフォトニックフィルタにおいてタップ数を12から64へと増加させてもシステムの高さが増大するのみであり、システムフットプリントを増大させることなくより良好なアナログ相殺を実現することができる。RFフォトニックリンクの他の重要なフィーチャは、それが本質的に一方向性であるところである。すなわち、信号経路は、光モジュレータ(RFツー光)から光ディテクタ(光ツーRF)に向かう向きに固定される。いずれのデバイスも可逆的に動作するものではないからである。これらの技術的な利点を措いても、RF-フォトニックアプローチはまた、性能向上およびコスト低減の点で、通信産業による長期間の投資による多大な進歩から経済的な恩恵を受けている。完全二重トランシーバに直接関する困難性を解決することを措いても、RFフォトニクスシステムはまた、そのハイブリッドアーキテクチャに独特ないくつかの追加的な利点を享受している。まず、大電力において、レーザ源はRF移送機能に対する全体的な利得を提供し、該利得は必要に応じて調整可能である。次に、コヒーレントなRFフォトニックシステムを用いることで、光位相を調整することで完全複素数値フィルタ係数を実現することができる。これは、サブミクロンの変位のみを要求し、1マイクロ秒より小さい時定数で実現可能である。最近では、光-機械効果(光機械的効果とも称されることがある)を介してオンチップ光信号処理が実現された。ミリメートルスケールのチップが、以前であれば100メートルの光ファイバを必要とした処理パワーと同じ処理パワーを提供することができる。
【0055】
本発明および提案されるアプローチのメトリクスおよびフィーチャは以下を含む:
遅延帯域幅:光帯域幅に亘ってある遅延が達成可能なときのその光帯域幅;
最大遅延:達成可能な最大の遅延値;
部分遅延:絶対遅延値をパルス幅またはビット時間で除したもの;これは遅延/保持容量にとって重要である;
遅延範囲:遅延が達成可能な調整範囲(最小値から達成可能な最大値まで);
遅延精度:増分遅延調整ステップの最小値;
遅延確度:実際の遅延の精度と所望の遅延値の精度との百分率;
遅延再構成時間:遅延をある状態から他の定常状態へと切り替えるのにかかる時間の量;
遅延に亘る損失:単位遅延ごとに課せられる損失量単位遅延ごとの損失がより低いことが望ましい。
【0056】
ある実施の形態では、モジュレータに珪素硝酸塩を用いる。そのモジュレータは、ピエゾ構造を用いてRF信号を変換することで、RF信号を光ドメインに変換することができる。このモジュレータは、光導波管へとフォノンを吸収する音響レセプタの波長/受信エリア/ヒータの変化に基づいて、信号を遅延させることができるであろう。
【0057】
RFドメインにおける自己干渉相殺
【0058】
図4は、自己干渉相殺のためのブロック122、すなわちアップコンバージョンおよび相殺フィルタ、の上位概念アーキテクチャを説明する。ブロック181、182および183は、本発明にしたがい実装される例示的なフィルタバンクである。バンク183は直接経路を再構成し、バンク182はアンテナ経路を再構成し、バンク181は散乱経路を再構成する。
【0059】
いくつかではあるが必ずしも全てではない実施の形態では、RF信号のアップコンバージョンまたはダウンコンバージョン用の信号処理装置例は、以下のフィーチャのひとつ以上を有するおよび/または以下の例示的な態様を行うよう構成される:
モジュレータを用いて信号をアップコンバートし、そのモジュレータがレーザ/LEDなどの光源からの入力を受け得る;
直接的に変調されるレーザを用いる;
RF信号を音響信号に変換するピエゾ構造にRF信号を供給し、このピエゾ構造が光源によって入力される光キャリアにRF信号を移す。
【0060】
装置は、フォトニクス信号を遅延させる要素を含んでもよい。要素は音響波の速さを用いて信号を遅延させる光子-フォノンハイブリッドデバイスを含んでもよく、ある実施の形態では実際含む。これらの要素は提供する遅延量について調整可能であってもなくてもよく、装置はこれらの遅延要素のn次元アレイを有してもよく、アレイは遅延要素をオンオフすることによって、またはもし可能であれば所望値についてのトータル遅延を達成するよう各遅延要素を設定することによって、要求される遅延を提供するよう構成されうる。
【0061】
ある実施の形態では、装置は以下のうちのひとつ以上を行うよう構成される:
波長分割多重レーザと動作し、各波長が独自に遅延要素のアレイに入力される;
遅延した光信号は光コンバイナを用いてディテクタの前で合成され、またはアレイ内の遅延した信号のそれぞれは光ディテクタを通じて入力され、そこでは各ブランチからのRF信号が伝送線を用いて合成される。
相殺遅延要素の二つ、三つまたはそれ以上のステージへの分割;
ミリメートルサイズアーキテクチャを用いたマイクロ秒遅延のサポート;
スローライトアーキテクチャのサポート;
RF MEMSベーススイッチの使用可能;
スイッチベースのバンク;
RFフォトニクスおよびMEMSスイッチへのフィードバック(フローチャート図)
ある実施の形態では較正アルゴリズムがサポートされる
デジタル相殺およびデジタル相殺とのインタフェースがサポートされうる。
【0062】
干渉相殺の要求されるレベルは異なる無線展開アプリケーションによって変わる。送信電力が3dBm程度で典型的なノイズフロアが-95dBm程度であるブルートゥース的な伝送の場合、同時送受信動作のために約98dBの干渉相殺が要求される。これらのシステムで用いられるタイプのアナログデジタルコンバータのダイナミックレンジの制限により、そのような場合のデジタル相殺の限界は約42dBである。他の三つのシナリオは、移動体伝送、スモールセル伝送および基地局伝送であり、それぞれ典型的な送信電力は23dBm、24dBm、46dBmである。これらの場合でも、デジタル相殺は使用されるアナログデジタルコンバータのダイナミックレンジによって制限される。したがって、残る干渉を、アナログ/RFドメインにおいて相殺する必要がある。
【0063】
図2Dは、同時送受信可能な複数アンテナ無線の動作を説明する。それは、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間の干渉相殺を可能とするフィルタ222および216を伴う自己干渉相殺アーキテクチャの適用可能性を示す。そのような無線は、複数の送信アンテナおよび複数の受信アンテナによって引き起こされる干渉を再構成して相殺するために、フィルタ222および216の複数の複製(instantiation)を必要とする。これらの複数の複製は、複数の送信無線から複数の受信無線への入力を伴うひとつの複製として最適化されて一緒にパッケージされてもよく、ある実施の形態では実際そのようにされる。この図は、二つの送信アンテナおよび二つの受信アンテナを示す。しかしながら、原理は複数の送信および受信アンテナに適用可能である。
【0064】
図3Aは、環境内の無線デバイスの図であり、個別の受信および送信アンテナ229、231をそれぞれ介して受信および送信可能な
図2Bに示されるトランシーバなどのトランシーバを用いた同時送受信が可能なワイヤレス無線システムにおける自己干渉の問題の理解を助けることを意図したものである。単一アンテナおよびデュアルアンテナアーキテクチャの場合、我々は送信器により引き起こされる受信器への自己干渉を、受信器における干渉の到着時刻に基づいて、三つのカテゴリに分類する。
【0065】
図3Aにおいて301で示されるのは直接経路であり、そこでは伝送信号が、伝送線に亘る放射により回路基板上で、または、単一アンテナアーキテクチャの場合に示されるようなサーキュレータを通じて、受信器と結合する。この直接経路信号は、送信アンテナから放射される送信電力よりも約15dB-25dBほど低い。この経路はまた、送信チェーンから受信チェーンへの干渉の最短経路であり、その経路に伴う遅延は229と231との間のものであって、無線のアーキテクチャにもよるが数十ピコ秒から数百ピコ秒のオーダーであることが期待される。この直接経路は時間変動周波数選択的チャネルであり、そこではこれらの特性が動作のPVT特性に依存する。(圧力、体積(伝送線のドーピングおよびサイズ)、温度)。
【0066】
干渉の第2の経路はアンテナ経路であり、これは送信アンテナと受信アンテナとの間の最短経路であって、そのアンテナ経路によって送信信号が信号を受信するために用いられるアンテナに到達する。
図3Aに示されるようなデュアルアンテナシステムの場合、この干渉経路は、通常、送信アンテナ229と受信アンテナ231との間の距離に対応する経路301であろう。
図3Bに示されるもののような単一アンテナシステムについて、アンテナ経路は経路302'であり、これは反射の後、アンテナの近接場において送信信号によってとられる。アンテナからの反射は、インピーダンスのミスマッチによるものでありうる。アンテナ経路は時間変動し、周波数選択的である。この経路から受信された信号は信号の送信電力よりも20dB-45dB程度低く、その経路の遅延は、無線およびアンテナ設計に基づくと400ピコ秒から1.5ナノ秒の範囲内にある。
【0067】
三つ目の主な自己干渉の主要経路は散乱経路である。この経路の送信信号303は送信アンテナ229から環境305へと進み、信号散乱として動作する環境オブジェクト305からの反射304として跳ね返ってくる。この経路もまた時間変動し、三つの経路のなかで最も周波数選択的である。無線の周りの環境に依存して全体的な経路遅延は広範であり、数十ナノ秒から5マイクロ秒の間程度であろう。動作周波数および環境の経路損失に依存して、この経路からの信号は送信電力よりも50dBかそれよりも低い電力で受信される。
【0068】
上述の特徴付けに基づき、本明細書で説明されるRF自己干渉相殺アーキテクチャは、直接経路、アンテナ経路および散乱経路の特性を追跡し、それを信号223の複製に適用することによって自己干渉を再構成し、それによって干渉相殺信号224を生成してその干渉相殺信号224を209において受信信号に加えるよう設計される。
【0069】
図4の図は、干渉信号を再構成するために要求される遅延量に基づいて、これら三つの経路の自己干渉の再構成を181、182および183として分類することを示す。ブロック181、182および183は、電圧/電流制御インタフェースバス191を通じてコントローラから調整可能な遅延要素を有する。ブロック181は、バス191を通じて通信するコントローラ401からの制御信号(421、422、…、423)を介してそれぞれ調整可能な遅延要素(402、403、…、405)を含む。ブロック182は、バス191を通じて通信するコントローラ401からの制御信号424を介して調整可能な遅延要素406を含む。ブロック183は、バス191を通じて通信するコントローラ401からの制御信号425を介して調整可能な遅延要素407を含む。遅延要素(402、403、…、405、406、407)の入力はそれぞれ信号(426、427、…、428、429、430)であり、遅延要素(402、403、…、405、406、407)の出力はそれぞれ信号(436、437、…、438、439、440)である。
図4はまた減衰/増幅デバイス(408、409、…、410、411、412)を示し、それらのデバイスはそれぞれ入力信号(436、437、…、438、439、440)を処理し、出力信号(450、451、…、452、453、454)を生成する。減衰/増幅デバイス(408、409、…、410、411、412)はまた、電圧/電流制御インタフェースバス192を通じてコントローラ401によって、制御信号(431、432、…、433、434、435)を介して制御される。種々の実施の形態では、信号(431、432、…、433、434、435)で伝達される係数はまた、減衰/増幅を制御することに加えて、RF信号の位相を反転する能力と共に来る。要素184、185、186、187、188、189は、同じRF信号223を入力から複数の出力(426、427、428、429、430)にルーティングする要素である。これらの要素(184、185、186、187、188、189)は、RF電力分割器やバラン回路(平衡-非平衡)やルーティング能力を伴う他のRF要素であってもよいし、ある実施の形態ではそうである。この図における要素190は、複数のRF信号(450、451、452、453、454)を合成して信号224を生成する要素である。要素190は、マルチポートRF電力コンバイナまたは信号を足し合わせるRFコンバイナのアレイであってもよいし、ある実施の形態ではそうである。
【0070】
図5は
図501、502および503を含み、それらは同時送受信動作の三つのシナリオを示しており、そこでは、自己干渉相殺が無線デバイスの動作、すなわち
図501において510および511によって示される帯域内動作、
図502において512および513によって示される重複帯域動作および
図503において514および515によって示される隣接帯域動作、を改善することができる。上述の場合において、送信から生じる干渉を相殺することができる能力は、無線が、意図する受信信号を復調して復号するのに適切なダイナミックレンジで動作することを可能とする。
【0071】
図6Aは、光モジュレータ、信号遅延および信号利得ブロック652の例示的な新規アーキテクチャを示し、これは
図4の信号再構成バンク181、182または183として利用可能な他、本願に示される種々の他の実施の形態において利用可能である。再構成バンクは、信号遅延を生じさせるのに用いられる遅延を含む入力に対する動作、および信号利得を制御するのに用いられる乗算を担当し、したがって、信号遅延の出力と利得制御ブロック652とを合成することによって生成される合成出力全体に対して、ブロック652によって生成される遅延信号がどれほどのインパクトを与えるかを制御する。
【0072】
光モジュレータ、信号遅延および信号利得ブロック652は、光-機械モジュール611と、遅延要素X 613と、遅延要素Y11 615と、遅延要素Y1N 616と、光導波管618と、利得要素A1 619と、を含む。遅延制御信号DC_X1 683は遅延要素X 613を制御する。遅延制御信号DC_Y11 685は遅延要素Y11 615を制御する。遅延制御信号Y1N 686は遅延要素Y1N 616を制御する。入力レーザ光信号688は光導波管618によって受信される。利得制御(GC)信号689は利得要素A1 619を制御する。
【0073】
図6Bは、例示的なRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222を示し、これは
図2Bや
図2Cのシステムにおいて利用可能であり、また、コントローラ654およびレーザ655などの種々の他のコンポーネントと共に、
図6Aに示されるタイプの複数の変調、遅延および利得制御ブロック、例えばN個のそのようなブロック、を用いて実装可能である。コントローラ654は、チャネル推定器、フィルタおよびフィルタ制御回路216から信号217を受信し、決定された係数値などを含む信号217で伝送される情報を利用する。ある実施の形態では、RFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222は複数のレーザ、例えばレーザ光信号688を生成するレーザ655とレーザ光信号688'を生成するレーザn655'と、を含む。そのようなある実施の形態では、レーザ光信号688または688'のうちのひとつは、ある特定の時刻における光導波管618などの光導波管への入力として用いられる。コンポーネントブロック652は光機械モジュール611を含み、該モジュール611の出力612は直列に配置された遅延x1 613、Y11 615からY1N 616に接続され、ここでNは1より大きな整数値を表すものとして用いられる。
図6Aの実施の形態では遅延は制御可能であるが、それらの遅延のうちのひとつ以上が固定値のものであってもよいことは理解されるべきである。第1遅延要素613は遅延制御(DC)信号DC_X1 683によって制御される。第2遅延要素615は遅延制御(DC)信号DC_Y11 685によって制御される。第N遅延要素616は遅延制御(DC)信号DC_Y1N 686によって制御される。直列遅延要素の出力は、機械波から光キャリアへの変換のための光導波管618に提供される。光導波管618は、乗算器A1 619によって行われる利得制御動作に供せられる前に、レーザ光信号LL 688を入力として受ける。要素619によって行われる利得動作は利得制御信号GC 689によって制御される。
図6Bに関して、遅延要素制御信号(683、683'、683''、…、683'''、685、685'、685''、…、685'''、…、686、686'、686''、…、686''')および利得制御信号(689、689'、689''、…、689''')はそれぞれ遅延および利得を制御するのに用いられ、かつ、コントローラ654によって提供される。利得制御信号(GC1 689、GC2 689'、GC3 689''、…、GCN 689''')は利得制御バス672を介してコントローラ654から伝達され、かつ、それぞれが利得制御要素(A1 619、A2 619'、A3 619''、…、AN 619''')を制御するために用いられる。
【0074】
図6Bに示される例示的なRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222では、ブロック652がN個実装されており、第1ブロック652の要素が説明のために箱で囲まれている。要素の第2列に対応するブロック652'、コメントの第3列に対応するブロック652''およびコンポーネントの第N列に対応するブロック652'''からは、スペースと説明目的の都合上、箱は省略されている。
【0075】
図6Bは、
図2Bから2EのRFアップコンバータおよび干渉相殺フィルタ回路222のデバイス設計を説明する。
図6Bに提示されるデザインアーキテクチャのメインアイデアは、要素611、613、615、616、618、619、620、660を用いて生成可能な新規RF信号処理回路を実現することである。デバイス222は、デバイス222の要素186に接続する入力RF信号223を有する。要素186は、信号を二つ以上のアームに分けることが可能な電力分割器/スプリッタ/平衡-非平衡回路であってもよく、各アームは、潜在的に可変の振幅強度を伴う入力信号の複製を含む。要素186の出力は要素185から要素187などの他の要素に行ってもよく、それらは要素186と機能的に類似する。要素185の第1出力は要素184に行き、要素185の第2出力、信号610'、は光-機械モジュレータ611'の入力である。要素185の出力は出力信号610であり、これは光-機械モジュレータ611の入力信号である。要素187の第1出力は要素188に行き、要素187の第2出力は信号610''であって光-機械モジュレータ611''への入力である。要素188の出力は出力信号610'''であり、これは光-機械モジュレータ611の入力信号である。
【0076】
要素184の出力信号610はデバイス652に行き、デバイス652は光-機械モジュレータ611を介して入力信号610を機械波612に変換し、それは最終的には機械波の光キャリアへの変換を可能とする光導波管である要素618を通じて光信号に変換され、要素618は次いでRF信号610をレーザ655からの光キャリアへと移す。RF入力信号610を含む機械信号612は遅延要素(613、615、…、616)を用いて遅延されてもよいし、ある実施の形態では遅延される。遅延は、コントローラ654からの遅延制御(DC)信号(683、685、…、686)を用いて設定されてもよいし、ある実施の形態では設定される。光導波管618からの光信号の振幅は、要素619によって調整されてもよい。要素619からの出力光信号は要素620において光電気変換される。
【0077】
要素185の出力信号610'はデバイス652'に行き、デバイス652'は光-機械モジュレータ611'を介して入力信号610'を機械波612'に変換し、それは最終的には機械波の光キャリアへの変換を可能とする光導波管である要素618'を通じて光信号に変換され、要素618'は次いでRF信号610'をレーザ655からの光キャリアへと移す。RF入力信号610'を含む機械信号612'は遅延要素(613'、615'、…、616')を用いて遅延されてもよいし、ある実施の形態では遅延される。遅延は、コントローラ654からの遅延制御(DC)信号(683'、685'、…、686')を用いて設定されてもよいし、ある実施の形態では設定される。光導波管618'からの光信号の振幅は、要素619'によって調整されてもよい。要素619'からの出力光信号は要素620'において光電気変換される。
【0078】
要素187の出力信号610''はデバイス652''に行き、デバイス652''は光-機械モジュレータ611''を介して入力信号610''を機械波612''に変換し、それは最終的には機械波の光キャリアへの変換を可能とする光導波管である要素618''を通じて光信号に変換され、要素618''は次いでRF信号610''をレーザ655からの光キャリアへと移す。RF入力信号610''を含む機械信号612''は遅延要素(613''、615''、…、616'')を用いて遅延されてもよいし、ある実施の形態では遅延される。遅延は、コントローラ654からの遅延制御(DC)信号(683''、685''、…、686'')を用いて設定されてもよいし、ある実施の形態では設定される。光導波管618''からの光信号の振幅は、要素619''によって調整されてもよい。要素619''からの出力光信号は要素620''において光電気変換される。
【0079】
要素188の出力信号610'''はデバイス652'''に行き、デバイス652'''は光-機械モジュレータ611'''を介して入力信号610'''を機械波612'''に変換し、それは最終的には機械波の光キャリアへの変換を可能とする光導波管である要素618'''を通じて光信号に変換され、要素618'''は次いでRF信号610'''をレーザ655からの光キャリアへと移す。RF入力信号610'''を含む機械信号612'''は遅延要素(613'''、615'''、…、616''')を用いて遅延されてもよいし、ある実施の形態では遅延される。遅延は、コントローラ654からの遅延制御(DC)信号(683'''、685'''、…、686''')を用いて設定されてもよいし、ある実施の形態では設定される。光導波管618'''からの光信号の振幅は、要素619'''によって調整されてもよい。要素619'''からの出力光信号は要素620'''において光電気変換される。
【0080】
図6Bのデバイス222は積層検出器およびMEMSスイッチコンポーネント656を含む。コンポーネント656は光電気変換デバイス(O/E 620、O/E 620'、O/E 620''、…、O/E 620''')を含み、それらはそれぞれ制御可能MEMSスイッチ(MEMSスイッチ1 660、MEMSスイッチ2 661、MEMSスイッチ3 662、…、MEMSスイッチN 663)に接続される。MEMSスイッチ(MEMSスイッチ1 660、MEMSスイッチ2 661、MEMSスイッチ3 662、…、MEMSスイッチN 663)はそれぞれ、スイッチ制御バス671を介してコントローラ654から伝送されるスイッチ制御信号(SC1 691、SC2 691'、SC3 691''、…、SCN 691''')を介して制御される。
【0081】
コンポーネントはさらに、所与の時間に閉じられるよう制御されているスイッチを通過してくる、ひとつ以上のO/E(620、620'、620''、…、620''')の出力からのRF出力出力信号を受信し、RF出力信号224を生成するコンバイナ要素190を含む。
【0082】
図6A、6B、7A、7B、7Cおよび7Dのうちのひとつ以上に示されるデバイスデザインは信号遅延および/または信号遅延の程度の制御が達成可能であるという事実を利用し、それはさらに、音波がRF電磁波よりも105倍ほど遅く進むという事実を利用しうる。アームのうちのひとつ、例えば光モジュレータ、遅延および利得ブロック652の動作原理を、
図7A-7Dを参照して説明する。これらは、光機械変調、信号遅延および/または利得制御を行う種々の例示的なデバイスを示し、ある実施の形態ではこれらは制御されてもよく、多くの場合制御される。
図7Aから7Dに示される異なる実施の形態は、ブロック652などの信号処理ブロックによって実装される機能のうちのひとつ以上に対する異なるアプローチを用いてもよい。
【0083】
図7Aは、
図6Aのブロック652として用いられ得るデバイス700を示す。デバイス700の上位概念的機能は、ピエゾ構造または光-機械構造702を用いて入力RF信号610をアナログRF信号から音響信号701に変換し、次いでフォノン-光子変換の現象を用いてRF信号610を音響信号701から、導波管709を進行している光キャリア705または706へと移すことである。信号701の向きは、信号が導波管709のどこに到達するか、および信号が導波管に到達したときの角度に影響を与えるであろう。音響信号の向きを変えることで、変換の位置および角度を変えることにより遅延および利得を制御することができる。構造702は、制御705からの入力信号に基づいて図で説明されるような変換の角度を調整することができるアレイとして作用する。コンポーネント703および704はモードコンバータであり、異なるモードの入力光信号705および706の多重化と、異なるモードに基づく出力信号707および708の分波を可能とする。モードコンバータベース多重化のこの能力は、フォノン-光子変換を用いた単一側波帯電気光変換を可能とする。種々の実施の形態では、所与の時刻において、入力信号705、706のうちのひとつが用いられ、出力信号707、708のうちのひとつが用いられる。
【0084】
ある実施の形態では、
図7Aの構造702は
図6Bの光-機械モジュレータ611であり、
図7Aの導波管709は図の導波管618であり、入力光信号705は
図6Bのレーザ655からの光キャリア688であり、入力光信号706は
図6Bのレーザn655'からの光キャリア688'であり、制御信号795はコントローラ654からの制御信号である。コントローラ654は例えば構造702を動かしたりまたはその向きを変えたりすることで変換の角度を制御し、また、制御信号(683、685、…、686)を伴う遅延要素(613、615、…、616)を用いることや制御信号GGC 689を伴う利得要素619を用いることと同様の態様で遅延および/または利得を変える。制御信号795は制御入力711において受信され、ヒータ715を制御するために用いられる。いくつかではあるが全てではない実施の形態では、デバイス704は制御可能利得要素A1 619を含む。出力光信号708はO/Eコンバータ620によってRF出力信号659へと変換される。ある実施の形態では、光コンバイナ190が含まれる。これは、RF出力信号659を、RF出力信号659'などのひとつ以上のRF出力信号と合成し、RF出力信号224を生成してもよく、ある場合には生成する。他の実施の形態では、光コンバイナ190は含まれず、RF出力信号190はRF出力信号224と同じである。RF出力信号224は干渉相殺信号である。コンバイナは、受信信号233と干渉相殺信号224とを合成し、RF信号235を生成する。
【0085】
図7Aに示されるフォノン-光子変換現象は、
図7Bのデバイス700'に、ある差違と共に示される。そこに示される導波管709'の幅が変化する。変化する導波管の幅は光分散の変化を可能とし、これは、位相マッチング条件を満たす光波長の変化を可能とする。この場合、光音響変換が生じる709'のアクティブセグメントを、光波長が設定する。これにより、基本的に、変換点の距離が増えるにつれて遅延が大きくなるという一般的な現象で、光キャリア波長を用いた遅延の制御が可能となる。導波管709'は、左から右へ減少していく幅を有する導波管を示す。しかしながら、現実の隠喩のために、種々の増減する導波管の幅の組み合わせを伴ういくつかの実施の形態が可能である。
【0086】
図7Cはブロック652として利用可能なデバイス700''のアーキテクチャを示し、それは641、642、643およびそれ以上の形での複数のRF信号入力を可能とし、また、複数の構造(702、702'、702'')は、複数のRF信号を、異なる遅延を伴う光キャリアへと移送構成することを可能とする。(702、702'、702'')で制御される変換の角度は、入力RF信号641、642および643の変換における遅延の粗い調整および細かい調整を可能とする。入力信号641、642および643は、641、642、643または異なる信号へと分けられた信号と同じものと見なされてもよい。ある例示的な実施の形態では、信号(641、642、643)はそれぞれ信号(610、610'、610'')である。構造702は、入力RF信号641を、アナログRF信号から音響信号701へと変換する。構造702は、制御信号795からの入力に基づいて変換の角度を調整することができるアレイとして作用する。構造702は、入力RF信号642を、アナログRF信号から音響信号701'へと変換する。構造702'は、制御信号795'からの入力に基づいて変換の角度を調整することができるアレイとして作用する。構造702''は、入力RF信号643を、アナログRF信号から音響信号701へと変換する。構造702''は、制御信号795''からの入力信号に基づいて変換の角度を調整することができるアレイとして作用する。ある実施の形態では、構造(702、702'、702'')のそれぞれの変換の角度を制御するために単一の制御信号795が使用される。ここで定義される構造700''を用いて、RF信号に対する一般的なアナログ信号処理を、変化する遅延および振幅能力を用いて行うことができる。
【0087】
図7Dは、ブロック652の代替的なデザインであるデバイス700'''を示す図である。そこでは、721で示される加熱要素を用いてフォノン-光子変換の現象を制御することができる。ある実施の形態では、加熱要素721は複数の別個の個別に制御可能なヒータを含む。制御されたヒータ721に沿って一様な幅を伴う、
図7Dに示される導波管709'''は、フォノン-光子変換のターゲットエリアの変更を可能とする。ヒータ721は、電圧/電流制御され、コントローラ654などのコントローラからのひとつ以上のヒータ制御入力信号722である。この実施の形態は、
図7Cに示されるような複数のRF入力信号を伴うアーキテクチャにも適用可能である。
【0088】
図6Bの652や
図7Aの700や
図7Bの700'や
図7Cの700''や
図7Dの700'''などのブロック652の図示構造は、シングルポート/マルチポート音響-光モジュレータを用いて構築可能である。このモジュレータは、酸化物/サファイア上の窒化アルミニウムなどを用いて実現可能である。あるいはまた、酸化物/サファイア上のGaNなどの他の同様の物質は、RF信号を音響信号に変換し、さらにフォノン-光子変換をする同様の能力を提供する。これは、そのようなアーキテクチャを生成するための誘導ブリルアン散乱(SBS)の現象を用いることに基づいて構築可能であるが、それに限定されない。
【0089】
図8は、例示的な実施の形態に係る、無線周波数(RF)干渉相殺を行う例示的な方法800のフローチャートである。動作はステップ802で開始され、ステップ804に進む。ステップ804において、RF信号を運ぶ音響信号(710)を生成するために振動するトランスデューサ(702)にRF信号(610)を供給する。動作はステップ804からステップ806へと進む。ステップ806では、制御入力(711)が制御信号(705)を受信する。動作はステップ806からステップ808へと進む。
【0090】
ステップ808では、制御信号(705)を用いることで、RF信号(610)を運ぶ音響信号(701)の、光信号(705または706)へのフォノン-光子変換を制御し、ここで光信号(705または706)は導波管(709)を通じて伝達される。ある実施の形態では、ステップ808はステップ810およびステップ812の一方または両方を含む。ステップ810では、i)音響信号が媒体(713)を通って導波管(709)に至るときのその媒体(713)の性質またはii)トランスデューサの指向性のうちの少なくともひとつを変更する。媒体713は、導波管709をサポートする物質であってもよいしときにはそうであり、および/または導波管709または他の図面に示される導波管を囲んでもよいしときには囲む。ある実施の形態では、前記変更することは、前記フォノン-光子変換の利得を変える。ある実施の形態では、前記変更することは、前記フォノン-光子変換の位置を変えることで信号遅延の量を制御する。ある実施の形態では、前記変更することは、音響信号が導波管に向けて進行するときの角度を変更する。ある実施の形態では、ステップ810はステップ814を含み、ステップ814では、音響信号が媒体(713)を通って導波管に至るときのその媒体(713)の性質が変更され、前記変更することは、例えばヒータ715を介して媒体のひとつ以上の部分を熱することを含む。ステップ812では、複数の異なる向きのトランスデューサ(702、702'、702'')のうちのどれがRF信号を運ぶ音響信号の光信号へのフォノン-光子変換の最大利得を有するかを制御する。動作はステップ808から816へと進む。ステップ816では、導波管(709)を出る光信号(707または708)に対して、例えばO/Eデバイス620により光-電気変換を行うことで、電気的干渉相殺信号を生成する。動作はステップ816からステップ818へと進む。ステップ818では、干渉を含む受信RF信号に対してなされる干渉相殺動作において電気的干渉相殺信号を用いる。ステップ818はステップ820を含む。ステップ820では、受信RF信号と電気的干渉相殺信号とを合成する。
【0091】
種々の例示的な番号付けされた装置および方法の実施の形態が次に議論される。
【0092】
装置の実施の形態1は、フィルタ遅延制御信号(217)およびベースバンド干渉相殺信号221を生成するための、デジタル送信要素(206)と受信要素(214)との間に設けられたデジタル干渉相殺要素(216)と、RF受信信号経路における合成要素(209)と、RF送信信号経路とRF受信信号経路における合成要素(209)との間に設けられたRF相殺フィルタ(222)と、を備える装置を指向し、合成要素は、RF信号送信経路から受信された信号からRF相殺フィルタ(222)が生成したRF周波数信号を、第1入力において受信し、RF信号送信経路から受信された信号がデジタル干渉相殺要素(216)から受信された遅延制御情報にしたがい遅延される。
【0093】
装置の実施の形態2は、前記合成要素が、コンバイナ(209)の受信信号入力に供給される受信信号から、前記RF相殺フィルタ(222)によって生成される前記RF周波数信号を減じる実施の形態1の装置を含む。
【0094】
装置の実施の形態3は、前記合成要素が、コンバイナ(209)の受信信号入力に供給される受信信号から、前記RF相殺フィルタ(222)によって生成される前記RF周波数信号を加える加算器である実施の形態1の装置を含み、前記相殺信号が受信干渉信号の推定の反転である。
【0095】
装置の実施の形態4は、前記RF相殺フィルタ(222)がさらに以下を含む実施の形態1の装置を含む。第1光-機械モジュレータ(611)および第1設定可能遅延要素(613)を含む第1干渉信号コンポーネント生成チェーン(652)と、前記第1干渉信号コンポーネントの電気バージョンを生成するための第1光学電気(O/E)コンバータ(620)。
【0096】
装置の実施の形態5は、前記RF相殺フィルタ(222)がさらに:第2光-機械モジュレータ(611')および第2設定可能遅延要素(613')を含む第2干渉信号コンポーネント生成チェーン(652')と、前記第1干渉信号コンポーネントの電気バージョンを生成するための第2光学電気(O/E)コンバータ(620')と、を含む実施の形態4の装置を含む。
【0097】
実施の形態5の装置を含む装置の実施の形態6は、さらに、前記第1干渉信号コンポーネントの電気バージョンと前記第2干渉信号コンポーネントの電気バージョンとを合成することで、合成RF干渉信号(224)を生成するための干渉コンポーネント信号合成器(190)を備え、前記合成RF干渉信号が、前記RF相殺フィルタ(222)によって生成される前記RF周波数信号である。
【0098】
実施の形態6の装置を含む装置の実施の形態5は、さらに、前記第1O/Eコンバータ(620)と前記干渉信号コンポーネント合成器(190)の第1入力との間に設けられた第1スイッチ(660)と、前記第2O/Eコンバータ(620')と前記干渉信号コンポーネント合成器(190)の第2入力との間に設けられた第2スイッチ(661)と、前記デジタル干渉相殺要素(216)から前記フィルタ遅延制御信号(217)を受信し、前記受信RF信号から減じられるべき前記RF周波数信号の生成の一部として、前記受信RF信号に適用されるべき遅延量に基づいて前記第1スイッチ(660)および前記第2スイッチ(661)を制御するためのコントローラ(654)と、を備える。
【0099】
実施の形態6の装置を含む装置の実施の形態5であって、第1光-機械モジュール(611)が、RF信号から音響信号への変換動作を行うためのピエゾ構造または光-機械構造(702)を含む。
【0100】
実施の形態8の装置を含む装置の実施の形態9であって、前記第1干渉信号コンポーネント生成チェーンがさらに第1導波管(709、709'、709''、709''または709''')を含み、前記音響信号が前記第1導波管(709、709'、709''、709'''または709''')を通過する前記第1O/Eコンバータ(620)に到達する前の第1光学キャリア(705)または(706)に影響を与える。
【0101】
実施の形態9の装置を含む装置の実施の形態10であって、前記第1導波管(709')の幅が変化する。
【0102】
実施の形態6の装置を含む装置の実施の形態11は、前記第1光-機械モジュールが、RF信号から音響信号への変換動作を行うための複数のピエゾ構造または光-機械構造(702、702'、702'')を含み、前記光-機械構造(702)のうちのひとつ以上が第1導波管(709')を通過する光信号に影響を与えるために用いられ、該第1導波管(709')が前記第1干渉信号コンポーネントを生成する際に前記第1干渉信号コンポーネント生成チェーン(652)によって導入される。
【0103】
実施の形態9の装置を含む装置の実施の形態12であって、第1干渉信号コンポーネント生成チェーン(652)がさらに、前記第1導波管(709''')の異なる複数の部分に沿って設けられた複数のヒータ(721)と、前記ヒータ(721)のうちのひとつ以上がオン状態にあるように制御する前記コントローラ(654)と、を含み、前記ヒータ(721)のうちの前記ひとつ以上が、前記第1導波管(709')の使用により導入される信号遅延に影響を与える前記オン状態にあるように制御される。
【0104】
方法の実施の形態13は、無線周波数(RF)干渉相殺を行う方法を指向し、該方法は、RF信号を運ぶ音響信号を生成するために振動するトランスデューサ(702)にRF信号を供給することと、制御入力(711)において制御信号(705)を受信することと、制御信号(705)を用いることで、RF信号を運ぶ音響信号の、光信号(705または706)へのフォノン-光子変換を制御することであって、光信号(705または706)は導波管(709)を通じて伝達される、制御することと、導波管(709)を出る光信号(707または708)に対して光-電気変換を行うことで、電気的干渉相殺信号(708)を生成することと、干渉を含む受信RF信号に対してなされる干渉相殺動作において前記電気的干渉相殺信号を用いることと、を含む。
【0105】
方法の実施の形態13を指向する方法の実施の形態14であって、干渉相殺動作において前記電気的干渉信号を用いることは以下を含む。前記受信RF信号(233)と前記電気的干渉相殺信号((224または659))とを合成すること。
【0106】
方法の実施の形態14を指向する方法の実施の形態15であって、前記制御信号(705)を用いることで、前記RF信号を運ぶ前記音響信号の、光信号(705または706)へのフォノン-光子変換を制御することであって、前記光信号(705または706)は導波管(709、709'または709'')を通じて伝達される、制御することは、以下を含む。i)前記音響信号が媒体(713)を通って前記導波管(709、709'または709'')に至るときのその媒体(713)の性質またはii)前記導波管(709、709'または709'')の性質またはiii)前記トランスデューサ(702)の指向性のうちの少なくともひとつを変更すること。
【0107】
方法の実施の形態14を指向する方法の実施の形態16であって、前記制御信号(705)を用いることで、前記RF信号を運ぶ前記音響信号の、光信号(705または706)へのフォノン-光子変換を制御することであって、前記光信号(705または706)は導波管(709)を通じて伝達される、制御することは、前記音響信号が媒体(713)を通って前記導波管(709)に至るときのその媒体(713)の性質または前記導波管(709、709'または709'')の性質を変更することを含み、前記変更することは、媒体(713)または導波管(709、709'または709'')のひとつ以上の部分を熱すること(例えば、ひとつ以上の加熱要素715を用いて)を含む。これにより、トランスデューサ702の向きが変更可能となり、および/または音響信号701がトランスデューサ702から導波管に向けて進むときの角度が変更可能となり、したがって、変換の位置および/または強度が変更可能となる。
【0108】
方法の実施の形態15を指向する方法の実施の形態17であって、前記変更することは、前記フォノン-光子変換の利得を変える。
【0109】
方法の実施の形態16を指向する方法の実施の形態18であって、前記変更することは、前記フォノン-光子変換の位置を変えることで信号遅延の量を制御する。
【0110】
方法の実施の形態14を指向する方法の実施の形態19であって、前記制御信号(705)を用いることで、前記RF信号を運ぶ前記音響信号の、光信号(705または706)へのフォノン-光子変換を制御することは、複数の異なる向きのトランスデューサ(702、702'、702'')のうちのどれが前記RF信号を運ぶ前記音響信号の光信号へのフォノン-光子変換の最大利得を有するかを制御することを含む。
【0111】
装置の実施の形態20は、無線周波数(RF)干渉相殺装置を指向し、該装置は、RF信号を運ぶ音響信号を生成するために振動するトランスデューサ(702)であって、RF信号が前記トランスデューサ(702)への入力として供給される、トランスデューサ(702)と、RF信号を運ぶ音響信号の、光信号(705または706)へのフォノン-光子変換を制御するために用いられる制御信号(705)を受信する制御入力(711)であって、光信号(705または706)は導波管(709)を通じて伝達される、制御入力(711)と、導波管(709)を出る光信号(707または708)を電気的干渉相殺信号に変換する光-電気コンバータ(620)と、前記電気的干渉相殺信号と干渉を含む受信RF信号とを合成する合成器(190)と、を含む。
【0112】
実施の形態20の装置を含む装置の実施の形態21は、さらに、前記制御信号(705)によって制御される前記導波管またはトランスデューサ(702)の一部に沿って設けられた少なくともひとつの加熱要素(715または721)を備える。
【0113】
実施の形態21の装置を含む装置の実施の形態22であって、前記第1トランスデューサ(702)が複数の異なる向きのトランスデューサ(702、702'、202'')のうちのひとつである。
【0114】
種々の実施の形態では、干渉相殺信号が生成され、次いでそれが受信信号と合成されることで、例えば受信信号のさらなる処理の前に干渉を低減することができる。種々の実施の形態では、干渉相殺信号は受信干渉の推定であり、干渉信号と同じ形を有する。そのような場合、合成動作は減算動作を含み、そこでは、コンバイナが受信信号から干渉相殺信号を減じる。他の実施の形態では、生成される干渉相殺信号は受信干渉信号の反転の形態を有する。そのような場合、干渉を相殺するための合成は、受信信号に干渉相殺信号を加えることを含み、その反転形式のため、合成することは結局受信信号から干渉の推定を減じることとなる。したがって、合成は加算または減算のいずれであってもよく、生成される干渉信号の形態に依存して依然として所望の干渉相殺を達成できることは理解されるべきである。
【0115】
種々の実施の形態の技術は、ソフトウエア、ハードウエアおよび/またはソフトウエアとハードウエアとの組み合わせを用いて実装可能である。種々の実施の形態は、携帯無線端末や基地局および/または通信システムなどのノードなどの通信デバイスなどの装置に向けられている。種々の実施の形態はまた、無線端末や基地局および/または通信システムなどの通信デバイスを制御するおよび/または動作させる方法などの方法に向けられている。種々の実施の形態はまた、方法のひとつ以上のステップを実行するよう機械を制御するための機械可読インストラクションを含む、ROM、RAM、CD、ハードディスクなどの可読媒体やコンピュータなどの非一時的機械に向けられている。
【0116】
開示のプロセスにおけるステップの特定の順番やヒエラルキは例示的なアプローチの一例であることは理解される。設計上の好みに基づいて、本開示の範囲内に留まりつつ、プロセスにおけるステップの特定の順番やヒエラルキを再構成できることは理解される。添付の方法の請求項は種々のステップの要素をサンプル的な順番で提示しており、そのように提示されている特定の順番やヒエラルキに限定されるものではない。
【0117】
種々の実施の形態では、本明細書で説明されるデバイスは、例えば信号生成ステップや処理ステップや送受信ステップなどのひとつ以上の方法に対応するステップを行うためのひとつ以上のモジュールを用いて実現される。したがって、ある実施の形態では、種々のフィーチャはモジュールを用いて実現される。そのようなモジュールは、ソフトウエア、ハードウエアまたはソフトウエアとハードウエアとの組み合わせを用いて実装可能である。ある実施の形態では、モジュールは完全にハードウエアとして、例えば個別の回路として、実現される。上述の方法または方法ステップの多くは、ひとつ以上のノードなどにおいて上述の方法の全てまたは一部を実行するよう機械(例えば、追加的ハードウエアを伴うか伴わない汎用コンピュータ)を制御するソフトウエアなどの機械実行可能インストラクションであって、RAMやフロッピーディスクなどのメモリデバイスなどの機械可読媒体に含まれるインストラクションを用いて実現可能である。したがって、とりわけ、種々の実施の形態は、プロセッサおよび関連ハードウエアなどの機械に、上述の方法のステップのうちのひとつ以上を、実行させるための機械実行可能インストラクションを含む、非一時的コンピュータ可読媒体などの機械可読媒体に向けられている。ある実施の形態は、本発明のひとつ以上の方法のうちのひとつ、複数、または全てのステップを実行するよう構成されたプロセッサを含む通信ノードなどのデバイスに向けられている。
【0118】
ある実施の形態では、無線端末(UE)および/またはアクセスノードなどの通信デバイスなどのひとつ以上のデバイスの、CPUなどのプロセッサまたは複数のプロセッサは、通信ノードによって実行されるものとして説明された方法のステップを実行するよう構成される。プロセッサの構成は、ソフトウエアモジュールなどのひとつ以上のモジュールを用いてプロセッサ設定を制御することにより、および/または記述されたステップを実行するおよび/またはプロセッサ設定を制御するハードウエアモジュールなどのハードウエアをプロセッサに含めることにより、達成可能である。したがって、いくつかではあるが全てではない実施の形態は、プロセッサがデバイスに含まれる際のそのデバイスによって行われる種々の上述の方法のステップのそれぞれに対応するモジュールを含むプロセッサを伴う、ユーザ装置などの通信デバイスを指向する。いくつかではあるが全てではない実施の形態では、通信デイバスは、プロセッサがデバイスに含まれる際のそのデバイスによって行われる種々の上述の方法のステップのそれぞれに対応するモジュールを含む。モジュールは純粋にハードウエアで(例えば、回路として)実装可能であり、またはソフトウエアおよび/またはハードウエアまたはソフトウエアとハードウエアとの組み合わせを用いて実装可能である。
【0119】
ある実施の形態は、コンピュータや複数のコンピュータに、上述のひとつ以上のステップなどの種々の機能、ステップ、動作および/または行為を実行させるためのコードを含むコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品を指向する。実施の形態に依存して、コンピュータプログラム製品は実行される各ステップについて別個のコードを含んでもよく、ときには含む。したがって、コンピュータプログラム製品は、無線端末やノードなどの通信デバイスを動作させる方法などの方法の各個別のステップ用のコードを含んでもよく、ときには含む。コードは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)または他のタイプのストレージデバイスなどのコンピュータ可読媒体に保持される機械(例えば、コンピュータ)実行可能インストラクションの形態を取りうる。コンピュータプログラム製品を指向することに加えて、ある実施の形態は、上述のひとつ以上の方法の種々の機能、ステップ、動作および/または行為のうちのひとつ以上を実行するよう構成されたプロセッサを指向する。したがって、ある実施の形態は、本明細書に記載の方法のいくつかまたは全てのステップを実行するよう構成されたCPUなどのプロセッサに向けられている。プロセッサは、通信デバイスや本願に記載の他のデバイスで用いられるためのものであってもよい。
【0120】
種々の実施の形態の方法および装置は、多くのセルラおよび/または非セルラシステムを含む広範囲の通信システムに適用可能である。
【0121】
上述の種々の実施の形態の方法および装置に対する数多くの追加的な変形は、上記に照らし当業者には自明であろう。そのような変形例は範囲内のものであると考えられるべきである。方法および装置は、CDMAや直交周波数分割多重(OFDM)および/またはアクセスノードと移動体ノードとの間の無線通信リンクを提供するために用いられうる種々の他のタイプの通信技術と共に使用されてもよいし、種々の実施の形態では使用される。ある実施の形態では、アクセスノードは、OFDMおよび/またはCDMAを用いて移動体ノードとの通信リンクを確立する基地局として実現される。種々の実施の形態では、移動体ノードは、ノートブックコンピュータやパーソナルデータアシスタント(PDA)や、送受信回路および論理および/またはルーチンを方法の実行のために含む他の可搬デバイスとして実現される。