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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】加工装置、加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 3/10 20060101AFI20221104BHJP
   B21D 22/30 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
B21D3/10 C
B21D22/30 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019014096
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020121322
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】596117625
【氏名又は名称】株式会社テクノステート
(74)【代理人】
【識別番号】100178331
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 宏二
(72)【発明者】
【氏名】大野 秀男
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-317565(JP,A)
【文献】特開昭59-225830(JP,A)
【文献】特公昭50-013982(JP,B1)
【文献】特開昭57-206547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 3/10
B21D 22/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状をなす円筒部の一端の外周に前記円筒部の周方向に延びる円環形状の鍔部が形成され前記鍔部の裏面側に位置する前記円筒部の他端が底壁で閉塞されている被加工物を加工する加工装置であって、
円柱形状をなし前記円筒部の内側に挿通され当該円筒部の軸方向で移動可能な第1加工手段と、
前記円筒部の軸方向で移動可能とされて前記円筒部の一端を押す第2加工手段と、
前記鍔部の裏面側に位置されかつ前記円筒部の外周直径と同等の内周径を有する円形の挿通孔を有し前記挿通孔内に前記円筒部が前記軸方向に挿通される第3加工手段と、
前記鍔部の裏面側に位置され前記挿通孔内に前記円筒部が挿通された前記被加工物の前記鍔部が接触される当接部を有する第4加工手段と、
円柱形状をなし前記挿通孔に挿通される前記円筒部の底壁を介して前記第1加工手段に対向して配置され前挿通孔内に挿通され前記軸方向で移動可能な第5加工手段と、を有し、
前記鍔部が前記円筒部の一端で前記円筒部の他端側に屈曲しており、
前記挿通孔に前記円筒部が挿通された前記被加工物の前記鍔部のうちその端部だけを前記第4加工手段の当接部に接触させた状態で前記円筒部の内側に挿通された前記第1加工手段が前記円筒部の底壁を前記軸方向に押すとともに前記第2加工手段が前記円筒部の一端を前記軸方向に押し、
前記第1加工手段が前記円筒部の底壁を押す力に対抗して前記第5加工手段が前記円筒部の底壁を前記第1加工手段側に向かって前記軸方向に押す加工装置。
【請求項2】
前記第5加工手段が前記底壁を押す力は、前記第1加工手段が前記底壁を押す力に応じた力になっていることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記第1加工手段が前記底壁を押す力の値、前記第5加工手段が前記底壁を押す力の値は、予め設定された範囲の値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工装置。
【請求項4】
円筒形状をなす円筒部の一端の外周に前記円筒部の周方向に延びる円環形状の鍔部が形成され当該鍔部が前記円筒部の一端で前記円筒部の他端側に屈曲し前記鍔部の裏面側に位置する前記円筒部の他端が底壁で閉塞されている被加工物を加工する加工方法であって、
前記円筒部の外周直径と同等の内周径を有する円形の挿通孔内に前記円筒部を挿通し、
前記挿通孔に前記円筒部が挿通された前記被加工物の前記鍔部のうちその端部だけを前記挿通孔の周壁に接触させ、
前記円筒部の内側に挿通した円柱形状をなす第1押圧手段で前記円筒部の底壁を前記円筒部の軸方向に押すとともに第2押圧手段で前記円筒部の一端を前記軸方向に押し、
前記挿通孔に挿通される前記円筒部の底壁を介して前記第1押圧手段に対向して前挿通孔内に挿通し配置された円柱形状をなす第3押圧手段で前記第1押圧手段が前記円筒部の底壁を押す力に対抗して前記円筒部の底壁を前記第1押圧手段側に向かって前記軸方向に押す加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、円筒部材を加工する技術が多数存在する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭64-71527
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、被加工物において形成される角を所望の形状に制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、円筒形状をなす円筒部の一端の外周に前記円筒部の周方向に延びる円環形状の鍔部が形成され前記鍔部の裏面側に位置する前記円筒部の他端が底壁で閉塞されている被加工物を加工する加工装置であって、円柱形状をなし前記円筒部の内側に挿通され当該円筒部の軸方向で移動可能な第1加工手段と、前記円筒部の軸方向で移動可能とされて前記円筒部の一端を押す第2加工手段と、前記鍔部の裏面側に位置されかつ前記円筒部の外周直径と同等の内周径を有する円形の挿通孔を有し前記挿通孔内に前記円筒部が前記軸方向に挿通される第3加工手段と、前記鍔部の裏面側に位置され前記挿通孔内に前記円筒部が挿通された前記被加工物の前記鍔部が接触される当接部を有する第4加工手段と、円柱形状をなし前記挿通孔に挿通される前記円筒部の底壁を介して前記第1加工手段に対向して配置され前挿通孔内に挿通され前記軸方向で移動可能な第5加工手段と、を有し、前記鍔部が前記円筒部の一端で前記円筒部の他端側に屈曲しており、前記挿通孔に前記円筒部が挿通された前記被加工物の前記鍔部のうちその端部だけを前記第4加工手段の当接部に接触させた状態で前記円筒部の内側に挿通された前記第1加工手段が前記円筒部の底壁を前記軸方向に押すとともに前記第2加工手段が前記円筒部の一端を前記軸方向に押し、前記第1加工手段が前記円筒部の底壁を押す力に対抗して前記第5加工手段が前記円筒部の底壁を前記第1加工手段側に向かって前記軸方向に押す加工装置である。
【0007】
本発明の第の態様では、前記第5加工手段が前記底壁を押す力は、前記第1加工手段が前記底壁を押す力に応じた力になっていることが好ましい。
【0008】
本発明の第の態様では、前記第1加工手段が前記底壁を押す力の値、前記第5加工手段が前記底壁を押す力の値は、予め設定された範囲の値であることが好ましい。
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の第の態様は、円筒形状をなす円筒部の一端の外周に前記円筒部の周方向に延びる円環形状の鍔部が形成され当該鍔部が前記円筒部の一端で前記円筒部の他端側に屈曲し前記鍔部の裏面側に位置する前記円筒部の他端が底壁で閉塞されている被加工物を加工する加工方法であって、前記円筒部の外周直径と同等の内周径を有する円形の挿通孔内に前記円筒部を挿通し、前記挿通孔に前記円筒部が挿通された前記被加工物の前記鍔部のうちその端部だけを前記挿通孔の周壁に接触させ、前記円筒部の内側に挿通した円柱形状をなす第1押圧手段で前記円筒部の底壁を前記円筒部の軸方向に押すとともに第2押圧手段で前記円筒部の一端を前記軸方向に押し、前記挿通孔に挿通される前記円筒部の底壁を介して前記第1押圧手段に対向して前挿通孔内に挿通し配置された円柱形状をなす第3押圧手段で前記第1押圧手段が前記円筒部の底壁を押す力に対抗して前記円筒部の底壁を前記第1押圧手段側に向かって前記軸方向に押す加工方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の前記第1の態様によれば、加工装置は、挿通孔に円筒部が挿通された被加工物の鍔部を第4加工手段の当接部に接触させた状態で、円筒部の内側に挿通された第1加工手段が円筒部の底壁を軸方向に押すとともに第2加工手段が円筒部の一端を軸方向に押し、第1加工手段が円筒部の底壁を押す力に対抗して第5加工手段が円筒部の底壁を第1加工手段側に向かって軸方向に押すことで、被加工物において形成される角を所望の形状に制御できる。
【0011】
また、本発明の前記第の態様によれば、加工装置は、被加工物の鍔部が円筒部の一端で円筒部の他端側に屈曲していることで、被加工物において形成される角をより高い精度で所望の形状にできる。
【0012】
本発明の前記第の態様によれば、加工装置は、被加工物において形成される角をより高い精度で所望の形状にできる。
【0013】
本発明の前記第の態様によれば、加工装置は、被加工物において形成される角をより高い精度で所望の形状にできる。
【0014】
本発明の前記第の態様によれば、加工方法は、被加工物において形成される角を所望の形状に制御できる。
また、本発明の前記第4の態様によれば、加工方法は、被加工物の鍔部が円筒部の一端で円筒部の他端側に屈曲していることで、被加工物において形成される角をより高い精度で所望の形状にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、加工装置の構成例を示す断面図である。
図2図2は、被加工物の形状例を示す図である。
図3図3は、加工装置の前半の加工工程を説明する図である。
図4図4は、加工装置の中半の加工工程を説明する図である。
図5図5は、加工装置の後半の加工工程を説明する図である。
図6図6は、加工後の被加工物の形状の一例を示す図である。
図7図7は、被加工物の形状の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、加工装置を挙げている。
【0017】
(構成)
図1は、加工装置1の構成例を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、加工装置1は、ポンチ10、パッド20、ダイ30、及びエジェクタ40を有している。図1では、加工装置1に既に被加工物100が装着されている。
【0019】
図2は、被加工物100の形状例を示す図である。
【0020】
図2に示すように、被加工物100は、円筒部101及び鍔部102を有している。円筒部101は、端部が底壁101aにより閉塞されて有底の円筒形状をなしている。鍔部102は、円筒部101の開口されている側の端部の外周に略円盤形状をなすように形成されている。鍔部102は、円筒部101の他端側に向かって屈曲しかつ円筒部101の径方向に延びている。すなわち、鍔部102は、円筒部101の外周から当該円筒部101側に多少折り返された形状になっている。被加工物100は、前処理工程でこのような形状に成形されている。
【0021】
このような被加工物100を加工する加工装置1において、図1に示すように、ポンチ10は、円柱形状をなし、外径が、被加工物100の円筒部101の内径と略同じである。ポンチ10は、被加工物100の円筒部101の軸方向(以下、単に軸方向という。)で移動可能とされ、被加工物100の円筒部101の内側に挿通されて、最終的には、被加工物100の底壁101aを下方向に押すよう機能する。ここで、ポンチ10が円筒部101の底壁101aを押す力の値は、予め設定された範囲の値である。
【0022】
パッド20は、ポンチ10が挿通される挿通孔(以下、ポンチ挿通孔という。)21を有している。ポンチ挿通孔21の直径は、ポンチ10の外径、すなわち、被加工物100の円筒部101の内径と略同じである。パッド20は、軸方向で移動可能とされ、ポンチ10が挿通された円筒部101の一端部101bを軸方向で下方向に押せるようになっている。ここで、パッド20が円筒部101の一端部101bを押す力の値は、予め設定された範囲の値である。
【0023】
ダイ30は、パッド20と対向し被加工物100の鍔部102の裏面側に位置されている。ダイ30は、円筒部101が軸方向から挿通される挿通孔(以下、被加工物挿通孔という。)31を有している。被加工物挿通孔31の直径は、被加工物100の円筒部101の外径と略同じである。また、ダイ30において鍔部102に対向する周壁の上端面32は、平面に形成され、被加工物100が軸方向に移動してきたときに鍔部102が接触される当接部となる。ダイ30は固定設置されている。
【0024】
エジェクタ40は、円柱形状をなし被加工物挿通孔31内で軸方向に移動可能とされている。エジェクタ40は、円筒部101の底壁101aを介してポンチ10に対向して配置されている。エジェクタ40の外径は、被加工物挿通孔31の直径と略同じである。エジェクタ40は、軸方向で移動して被加工物100の円筒部101の底壁101aをポンチ10側に向かって軸方向で押せるようになっている。ここで、エジェクタ40が円筒部101の底壁101aを押す力の値は、予め設定された範囲の値である。さらには、エジェクタ40が円筒部101の底壁101aを押す力の値は、ポンチ10が円筒部101の底壁101aを押す力の値に応じた値になっている。
【0025】
(動作、作用等)
次に、加工装置1の動作、及びその作用等の一例について説明する。ここで、図1図3乃至図5を用いて説明する。図3乃至図5は、加工装置1による加工工程を示す図である。
【0026】
先ず被加工物100が加工装置1に装着される。図1に示すように、装着状態では、パッド20のポンチ挿通孔21に挿通されたポンチ10の下端10aが被加工物100の円筒部101内に位置される。例えば、図1に示すように、ポンチ10の下端11が被加工物100の円筒部101内に高さ方向で略中間部位に位置される。また、エジェクタ40が被加工物100の円筒部101の一端部101bに接触している。一方、被加工物100の円筒部101の下端部がダイ30の被加工物挿通孔31内に位置され、エジェクタ40の上端部40aが、被加工物挿通孔31内に位置される被加工物100の円筒部101の底壁101aに接触している。
【0027】
このように装着された後、図3に示すように、同図中に示す矢印の方向に、加工装置1は、ポンチ10、パッド20、及びエジェクタ40を軸方向で下方向に同期して移動させる。図4に示すように、加工装置1は、被加工物100の鍔部102の外周端部102aがダイ30の上端面32に接触するまで、ポンチ10、パッド20、及びエジェクタ40を同期して移動させる。
【0028】
そして、図5に示すように、加工装置1は、被加工物100の鍔部102の外周端部102aがダイ30の上端面32に接触したタイミングで又は接触する直前で、ポンチ10を軸方向で下方向に移動させて被加工物100の円筒部101の底壁101aに接触させ、同図中に示す矢印の方向に、ポンチ10及びパッド20によって被加工物100を軸方向で下方向に押し下げる。すなわち、ポンチ10が円筒部101の底壁101aを、パッド20が円筒部101の上端部(一端部101b)をそれぞれ軸方向で下方向に押し下げる。
【0029】
一方、加工装置1は、これらポンチ10及びパッド20の動きに連動させて、同図中に示す矢印の方向に、円筒部101の底壁101aを軸方向で上方向に、すなわちポンチ10及びパッド20側に向かって、エジェクタ40が円筒部101の底壁101aを押し上げる。このとき、エジェクタ40は、ポンチ10が円筒部101の底壁101aを押す力に対抗するように押し上げる。
【0030】
ここで、エジェクタ40が円筒部101の底壁101aを押す力は、ポンチ10が円筒部101の底壁を押す力に応じた力になっている。また、エジェクタ40が円筒部101の底壁101aを押す力の値、ポンチ10が円筒部101の底壁を押す力の値は、予め設定された範囲の値である。
【0031】
加工装置1は、以上のようにして被加工物100を成形加工し、その後、被加工物100を排出する。具体的には、加工装置1は、ポンチ10及びパッド20を軸方向で十分な高さまで移動させた後、円筒部101が被加工物挿通孔31内に収容されている被加工物100を、エジェクタ40を軸方向で上方向に移動させてダイ30から排出する。
【0032】
図6は、加工後の被加工物100の形状の一例を示す図である。
【0033】
図6に示すように、加工後の被加工物100は、円筒部101の下端側に向かって多少折れ曲がっていた鍔部102が径方向に向かうように成形される。
【0034】
(本実施形態における効果)
(1)加工装置1は、被加工物挿通孔31に円筒部101が挿通された被加工物100の鍔部102をダイ30の上端面32に接触させた状態で、円筒部101の内側に挿通されたポンチ10が円筒部101の底壁101aを軸方向に押すとともにパッド20が円筒部101の一端部101bを軸方向に押し、その一方で、エジェクタ40が、ポンチ10が円筒部101の底壁101aを押す力に対抗して円筒部101の底壁101aをポンチ10側に向かって軸方向に押している。
【0035】
これにより、被加工物100は、ポンチ10、パッド20、及びエジェクタ40によって円筒部101を形成する周壁が軸方向で圧縮される結果、図6中に示す破線部内の円筒部101の内側面の上端の角101c、及び円筒部101の外側面の下端の角101dのRが小さくなる。このように、加工装置1は、被加工物100において形成される角101c,101dを所望の形状に制御できる。
【0036】
これにより、被加工物100は、鍔部102の上側面102bの面積及び底壁101aの下側面101eの面積を広く確保できる。これによって、被加工物100は、例えば、鍔部102の上側面102bの全面や底壁101aの下側面101eの全面に対して他の部品が接触して取り付けられる場合に、そのような他の部品との接触面積を増やせる。
【0037】
(2)加工装置1は、円筒部101の一端側に形成されている鍔部102が当該円筒部101の他端側に屈曲している結果、被加工物100の円筒部101を軸方向でより効果的に圧縮できる。この結果、被加工物100は、円筒部101の内側面の上端の角101c、及び円筒部101の外側面の下端の角101dのRがより小さくなる。このように、加工装置1は、被加工物100において形成される角をより高い精度で所望の形状にできる。
【0038】
(3)加工装置1は、エジェクタ40が円筒部101の底壁101aを押す力を、ポンチ10が円筒部101の底壁101aを押す力に応じた力にすることで、被加工物100の円筒部101を軸方向で適切な力で圧縮できる。これにより、加工装置1は、被加工物100において形成される角をより高い精度で所望の形状にできる。
【0039】
(4)加工装置1は、ポンチ10が円筒部101の底壁101aを押す力の値、エジェクタ40が円筒部101の底壁101aを押す力の値を予め設定された範囲にすることで、被加工物100の円筒部101を軸方向で適切な力で圧縮できる。これにより、加工装置1は、被加工物100において形成される角をより高い精度で所望の形状に制御できる。
【0040】
なお、前述の実施形態では、ポンチ10は、例えば、第1加工手段を構成する。また、パッド20は、例えば、第2加工手段を構成する。また、ダイ30は、例えば、第3加工手段及び第4加工手段を構成する。また、エジェクタ40は、例えば、第5加工手段を構成する。
【0041】
(本実施形態の変形例等)
本実施形態の変形例として、被加工物100は、他の形状とされることもできる。図7は、加工装置1で加工される前の被加工物100の形状の他の例を示す図である。図7に示すように、被加工物100は、鍔部102が円筒部101の下端側に屈曲することなく径方向に向かう形状になっている。この場合、図4に示す工程では、加工装置1は、被加工物100の鍔部102の裏面102cがダイ30の上端面32に接触したタイミングで又は接触する直前で、ポンチ10を軸方向で下方向に移動させて被加工物100の円筒部101の底壁101aに接触させ、ポンチ10及びパッド20によって被加工物100を軸方向で下方向に押し下げる。その後の加工工程は前記の説明と同じである。
【0042】
被加工物100をこのような形状にした場合でも、被加工物100は、ポンチ10、パッド20、及びエジェクタ40によって円筒部101が軸方向で圧縮される結果、円筒部101の内側面の上端の角101c、及び円筒部101の外側面の下端の角101dのRがより小さくなる。
【0043】
また、本実施形態の変形例として、鍔部102に対向して鍔部102と接触する上端面32は、ダイ30と異なる部材において構成されることもできる。
【0044】
また、本実施形態では、円筒形状をなす円筒部の一端の外周に前記円筒部の周方向に延びる円環形状の鍔部が形成され前記鍔部の裏面側に位置する前記円筒部の他端が底壁で閉塞されている被加工物を加工する加工方法であって、前記円筒部の外周直径と同等の内周径を有する円形の挿通孔内に前記円筒部を挿通し、前記挿通孔に前記円筒部が挿通された前記被加工物の前記鍔部を前記挿通孔の周壁に接触させ、前記円筒部の内側に挿通した円柱形状をなす第1押圧手段で前記円筒部の底壁を前記円筒部の軸方向に押し、第2押圧手段で前記円筒部の一端を前記軸方向に押し、前記挿通孔に挿通される前記円筒部の底壁を介して前記第1押圧手段に対向して前挿通孔内に挿通し配置された円柱形状をなす第3押圧手段で前記第1押圧手段が前記円筒部の底壁を押す力に対抗して前記円筒部の底壁を前記第1押圧手段側に向かって前記軸方向に押す加工方法を実現している。
【0045】
ここで、ポンチ10が、例えば、第1押圧手段を構成する。また、パッド20が、例えば、第2押圧手段を構成する。また、エジェクタ40が、例えば、第3押圧手段を構成する。
【0046】
また、本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0047】
1 加工装置、10 ポンチ、20 パッド、21 ポンチ挿通孔、30 ダイ、31 被加工物挿通孔、32 上端面、40 エジェクタ、100 被加工物、101 円筒部、101a 底壁、101b 一端部(上端部)、102 鍔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7