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  • 特許-合成床版及びその施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】合成床版及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/12 20060101AFI20221104BHJP
   E01D 1/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
E01D19/12
E01D1/00 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019021455
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020128645
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】509338994
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 有希
(72)【発明者】
【氏名】木作 友亮
(72)【発明者】
【氏名】中村 善彦
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3144679(JP,U)
【文献】特開2003-166216(JP,A)
【文献】特開2005-002637(JP,A)
【文献】特開2000-054543(JP,A)
【文献】特開2008-240347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/12
E01D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底鋼板とコンクリートとをずれ止めで一体化した合成床版において、
前記コンクリートに埋設された主鉄筋と、
前記主鉄筋の下方に前記主鉄筋と交差する方向に配置された配力鉄筋と、を含み、
前記ずれ止めは、前記底鋼板上に溶接された雌ネジ又は雄ネジが切られた固定部と、前記固定部に接続可能な支柱と、を備え、前記支柱は、前記配力鉄筋の上部に接触可能な係止部を備えている、
ことを特徴とする合成床版。
【請求項2】
前記係止部は、前記支柱から一方向に延設された部分又は部品によって構成されている、請求項1に記載の合成床版。
【請求項3】
前記係止部は、前記支柱から対峙する二方向に延設された部分又は部品によって構成されている、請求項1に記載の合成床版。
【請求項4】
前記係止部は、前記支柱に一体に形成された水平部又はフック部によって構成されている、請求項1に記載の合成床版。
【請求項5】
前記係止部は、前記支柱の上部に高さ調節可能に配置される板部材によって構成されている、請求項1に記載の合成床版。
【請求項6】
前記ずれ止めは、前記固定部と前記支柱とを接続可能な連結部材を備える、請求項1に記載の合成床版。
【請求項7】
前記ずれ止めは、二つの前記固定部と二つの前記支柱と一つの前記係止部とにより構成されている、請求項1に記載の合成床版。
【請求項8】
前記ずれ止めは、前記主鉄筋の高さを超えないように構成されている、請求項1に記載の合成床版。
【請求項9】
底鋼板とコンクリートとをずれ止めで一体化した合成床版の施工方法において、
前記底鋼板上に雌ネジ又は雄ネジが切られた固定部を溶接する溶接工程と、
主鉄筋及び配力鉄筋を配設する鉄筋配設工程と、
前記固定部に支柱を接続する接続工程と、
前記支柱に形成又は配置された係止部を前記配力鉄筋の上部に接触させる接触工程と、
を含むことを特徴とする合成床版の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成床版及びその施工方法に関し、特に、底鋼板とコンクリートとをずれ止めで一体化した合成床版及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「床版」とは、一般に、自動車や人等の物体の荷重を受ける床部材を意味する。かかる床版は、荷重を受けたときに物体の走行性に支障を与えるような変形を起こさず、荷重を主桁等の支持構造物に伝達する役目を有している。また、「合成床版」とは、底鋼板とコンクリートとをずれ止めで一体化した床版を意味する。
【0003】
かかる合成床版は、工場で底鋼板と呼ばれる鋼板に補鋼材を溶接して鋼製型枠を作製し、この鋼製型枠を現地に輸送して支持構造体(例えば、橋梁の主桁等)に掛け渡し、鉄筋を配置した後、コンクリートを打設して施工するのが一般的である。また、合成床版に大きな荷重が付加されると、コンクリートが底鋼板から剥離し、いわゆる「ずれ」が発生するおそれがある。かかる「ずれ」を抑制するために、ずれ止めとして多数の頭付きスタッドを工場で底鋼板に溶接することが一般に行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、鋼製型枠に溶接構造を用いることなく、現場でフレッシュコンクリートが打設された際にたわみの問題が生じることがない、疲労耐久性に優れかつ低コストの現場施工の合成床版およびその施工方法を提供することを目的として、配力鉄筋にU字ボルトを係止させて、U字ボルトの2つの脚部をナットで底鋼板に固定する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-166216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の頭付きスタッドは、底鋼板とコンクリートとの接合界面に発生する水平せん断力に抗力を発生させる部材であるが、底鋼板に垂直な方向への抗力(すなわち、剥離に対する抗力)が弱く、一つの合成床版に対して大量の本数が必要であった。
【0007】
また、特許文献1に記載された合成床版では、溶接を一切使用しないことから、補鋼材を配置することができず、合成床版の強度を保持することが難しい、U字ボルトの本数が増加してしまう、U字ボルトがナットで固定されることから現場での作業量が膨大になってしまう、合成床版の下面からナットを螺合させる必要があることから広大な足場が必要になってしまう等の問題を有している。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、せん断力及び剥離に対する抗力の向上を図り、ずれ止めの本数を低減することができる、合成床版及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、底鋼板とコンクリートとをずれ止めで一体化した合成床版において、前記コンクリートに埋設された主鉄筋と、前記主鉄筋の下方に前記主鉄筋と交差する方向に配置された配力鉄筋と、を含み、前記ずれ止めは、前記底鋼板上に溶接された雌ネジ又は雄ネジが切られた固定部と、前記固定部に接続可能な支柱と、を備え、前記支柱は、前記配力鉄筋の上部に接触可能な係止部を備えている、ことを特徴とする合成床版が提供される。
【0010】
前記係止部は、前記支柱から一方向に延設された部分又は部品によって構成されていてもよい。
【0011】
前記係止部は、前記支柱から対峙する二方向に延設された部分又は部品によって構成されていてもよい。
【0012】
前記係止部は、前記支柱に一体に形成された水平部又はフック部によって構成されていてもよい。
【0013】
前記係止部は、前記支柱の上部に高さ調節可能に配置される板部材によって構成されていてもよい。
【0014】
前記ずれ止めは、前記固定部と前記支柱とを接続可能な連結部材を備えていてもよい。
【0015】
前記ずれ止めは、二つの前記固定部と二つの前記支柱と一つの前記係止部とにより構成されていてもよい。
【0016】
前記ずれ止めは、前記主鉄筋の高さを超えないように構成されていてもよい。
【0017】
また、本発明によれば、底鋼板とコンクリートとをずれ止めで一体化した合成床版の施工方法において、前記底鋼板上に雌ネジ又は雄ネジが切られた固定部を溶接する溶接工程と、主鉄筋及び配力鉄筋を配設する鉄筋配設工程と、前記固定部に支柱を接続する接続工程と、前記支柱に形成又は配置された係止部を前記配力鉄筋の上部に接触させる接触工程と、を含むことを特徴とする合成床版の施工方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明に係る合成床版及びその施工方法によれば、ずれ止めを固定部と係止部を備えた支柱とにより構成することにより、支柱の固定部への接続時に支柱の高さを調節することができ、係止部を配力鉄筋に接触させることができる。また、支柱に対して係止部の高さを調節可能に配置した場合には、係止部の高さを容易に調節することができ、係止部を配力鉄筋に接触させることができる。
【0019】
かかる構成のずれ止めを用いることにより、水平せん断力に対する抗力を発生させつつ、係止部を配力鉄筋に接触させることができ、底鋼板に垂直な方向への抗力(すなわち、剥離に対する抗力)の向上を図ることができる。また、せん断力及び剥離に対する抗力の向上を図ることにより、従来の頭付きスタッドを使用したずれ止めと比較して、ずれ止めの本数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一実施形態に係る合成床版の一部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、である。
図2】本発明の第二実施形態に係る合成床版の一部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、である。
図3】本発明の他の実施形態に係る合成床版の一部を示す図であり、(a)は第三実施形態、(b)は第四実施形態、(c)は第五実施形態、を示している。
図4】本発明の他の実施形態に係る合成床版の一部を示す図であり、(a)は第六実施形態、(b)は第七実施形態、(c)は第八実施形態、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図1(a)~図4(c)を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係る合成床版の一部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、である。なお、図1(a)の平面図では、説明の便宜上、コンクリートの図を省略してある。また、図1(b)の断面図は、ずれ止めの周辺部分のみを図示したものである。
【0022】
本発明の第一実施形態に係る合成床版1は、図1(a)及び図1(b)に示したように、底鋼板2とコンクリート3とをずれ止め4で一体化した床版であって、コンクリート3に埋設された主鉄筋5と、主鉄筋5の下方に主鉄筋5と交差する方向に配置された配力鉄筋6と、底鋼板2上に溶接された補鋼材7と、を含み、ずれ止め4は、底鋼板2上に溶接された雌ネジが切られた固定部41と、固定部41に接続可能な支柱42と、を備え、支柱42は、配力鉄筋6の上部に接触可能な係止部43を備えている。
【0023】
合成床版1は、例えば、橋梁の車道を形成する床版である。複数の合成床版1を主桁等の支持構造体上に配置することによって車道が形成される。図1(a)に示した合成床版1は、その一枚の床版の一部を図示したものである。
【0024】
また、本実施形態において、説明の便宜上、図1(a)に示したように、配力鉄筋6の延在方向にX軸を設定し、主鉄筋5の延在方向にY軸を設定し、底鋼板2の垂線方向にZ軸を設定するものとする。
【0025】
一般に、橋幅方向(Y軸方向)に配設された鉄筋を主鉄筋と称し、橋長方向(X軸方向)に配設された鉄筋を配力鉄筋と称する。ただし、本実施形態では、上下に交差する方向に配設された鉄筋のうち、上側に配設された鉄筋を主鉄筋5と称し、下側に配設された鉄筋を配力鉄筋6と称している。
【0026】
底鋼板2は、例えば、矩形の平板形状を有しており、その上面にはY軸方向に延在するチャンネル(溝形鋼)形状の補鋼材7が溶接されている。補鋼材7は、底鋼板2の強度を確保するための部品であり、X軸方向に所定間隔で複数配置される。補鋼材7のウェブには、コンクリートを流通させる開口部が形成されていてもよい。
【0027】
また、底鋼板2の上面には、ナット形状の固定部41が溶接されている。固定部41を溶接する位置は、合成床版1の施工時に支柱42を配置したい位置に合わせて設計される。また、固定部41には雌ネジが形成されており、そのネジの深さは、支柱42を接続可能かつ高さ調節可能に設定される。
【0028】
支柱42は、例えば、下端部に雄ネジが切られた金属棒である。支柱42の下端部を固定部41に螺合させることにより、支柱42は固定部41に接続される。また、支柱42の上端部は、水平方向に屈折し、一方向に延設した部分を有している。すなわち、支柱42は、L字形状を有している。本実施形態では、この一方向に延設した部分、すなわち、支柱42に一体に形成された水平部により係止部43が構成されている。なお、図示しないが、固定部41に雄ネジを形成し、支柱42の下端部に雌ネジを形成するようにしてもよい。
【0029】
支柱42は、現場又は工場で固定部41に接続され、係止部43が配力鉄筋6の上面に接触するまで螺合される。このとき、図1(b)に示したように、ずれ止め4の高さHsは、主鉄筋5の高さHrを超えないように構成されている。このように、ずれ止め4の高さHsが、主鉄筋5の高さHrを超えないように構成することにより、コンクリート3のかぶり量を必要最小限に設定することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、支柱42の固定部41への接続時に係止部43が回転することから、ずれ止め4を配置する位置は、支柱42の接続時に係止部43が主鉄筋5や補鋼材7と干渉しない位置に設計される。
【0031】
本実施形態に係る合成床版1の施工方法は、底鋼板2上に固定部41及び補鋼材7を溶接する溶接工程と、主鉄筋5及び配力鉄筋6を配設する鉄筋配設工程と、固定部41に支柱42を接続する接続工程と、支柱42に形成された係止部43を配力鉄筋6の上部に接触させる接触工程と、を含んでいる。なお、接続工程と接触工程とは、実質的に一つの工程であってもよい。また、各工程は、現場で行ってもよいし、工場で行ってもよいし、溶接工程のみを工場で行い、残りの工程を現場で行うようにしてもよい。
【0032】
かかる施工方法によれば、主鉄筋5及び配力鉄筋6を配設した後、固定部41に支柱42を接続するだけで、係止部43を配力鉄筋6の上部に接触させることができる。したがって、底鋼板2の下面からナットを螺合させる必要がなく、広大な足場を敷設する必要がなく、施工作業の簡略化又は省力化を図ることができる。
【0033】
また、上述した本実施形態に係る合成床版1によれば、支柱42の固定部41への接続時に支柱42の高さを調節することができ、係止部43を配力鉄筋6に接触させることができる。したがって、上述したずれ止め4を用いることにより、水平せん断力に対する抗力を発生させつつ、底鋼板2に垂直な方向への抗力(すなわち、剥離に対する抗力)の向上を図ることができる。このように、せん断力及び剥離に対する抗力の向上を図ることにより、従来の頭付きスタッドを使用したずれ止めと比較して、ずれ止めの本数を低減することができる。
【0034】
次に、本発明の第二実施形態に係る合成床版1について、図2(a)及び図2(b)を参照しつつ説明する。ここで、図2は、本発明の第二実施形態に係る合成床版の一部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、である。なお、上述した第一実施形態に係る合成床版1と同一の構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0035】
第二実施形態に係る合成床版1は、図2(a)及び図2(b)に示したように、係止部43を支柱42の上部に高さ調節可能に配置される板部材43pによって構成したものである。支柱42は、例えば、直線形状の金属棒により構成されており、両端部に雄ネジが切られている。係止部43は、例えば、支柱42に挿通される板部材43pと、板部材43pの位置決めを行う一対のナット43nによって構成される。
【0036】
かかる構成のずれ止め4を用いることにより、支柱42を固定部41に接続した後で係止部43を支柱42に固定することができることから、支柱42の螺合時に係止部43が回転することがなく、係止部43の固定時に板部材43pを回転させる必要もない。したがって、ずれ止め4の施工時に係止部43が主鉄筋5や補鋼材7に干渉する範囲を小さくすることができ、ずれ止め4の配置の設計自由度を向上させることができる。
【0037】
また、図2(b)に示したように、板部材43pは、支柱42から一方向に延設された部品であり、配力鉄筋6の上部に接触するように支柱42に固定される。また、本実施形態においても、ずれ止め4の高さHsは、主鉄筋5の高さHrを超えないように構成されている。
【0038】
次に、本発明の他の実施形態に係る合成床版1について、図3(a)~図4(c)を参照しつつ説明する。ここで、図3(a)は第三実施形態、図3(b)は第四実施形態、図3(c)は第五実施形態、図4(a)は第六実施形態、図4(b)は第七実施形態、図4(c)は第八実施形態、を示している。なお、各図において、上述した第一実施形態に係る合成床版1と同一の構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。また、各図において、左図は部分断面図、右図は部分平面図、を示している。
【0039】
図3(a)に示した第三実施形態に係る合成床版1は、支柱42及び係止部43を一体に形成されたT字形状の金属材によって構成したものである。本実施形態における係止部43は、支柱42から対峙する二方向に延設された部分によって構成されている。かかる構成により、支柱42を360°回転させる間に係止部43を配力鉄筋6の上方を二回通過させることができ、係止部43の高さ位置を容易に調節することができる。
【0040】
図3(b)に示した第四実施形態に係る合成床版1は、係止部43を支柱42に接続可能なネジ孔付金属板43hによって構成したものである。すなわち、本実施形態における係止部43は、支柱42から対峙する二方向に延設された部品(ネジ孔付金属板43h)によって構成されている。
【0041】
ネジ孔付金属板43hは、例えば、主鉄筋5の延設方向に長く形成された矩形形状を有しており、中央部に雌ネジが切られた孔が形成されている。なお、支柱42は、例えば、直線形状の金属棒により構成されており、両端部に雄ネジが切られている。
【0042】
かかる構成により、支柱42の下端を固定部41に接続した後、ネジ孔付金属板43hを支柱42の上端に螺合させるだけで、ずれ止め4を施工することができる。なお、ネジ孔付金属板43hの形状は、図示した形状に限定されるものではなく、正方形や円形であってもよい。また、ネジ孔付金属板43hのネジ孔は、金属板の長手方向の端部に形成されていてもよい。
【0043】
図3(c)に示した第五実施形態に係る合成床版1は、係止部43を支柱42に接続可能なナット付金属板43sによって構成したものである。すなわち、本実施形態における係止部43は、支柱42から対峙する二方向に延設された部品(ナット付金属板43s)によって構成されている。
【0044】
ナット付金属板43sは、例えば、主鉄筋5の延設方向に長く形成された矩形形状の金属板とその下面中央部に配置されたナット(雌ネジ部)とにより構成されている。なお、支柱42は、例えば、直線形状の金属棒により構成されており、両端部に雄ネジが切られている。
【0045】
かかる構成により、支柱42の下端を固定部41に接続した後、ナット付金属板43sを支柱42の上端に螺合させるだけで、ずれ止め4を施工することができる。なお、ナット付金属板43sの金属板の形状は、図示した形状に限定されるものではなく、正方形や円形であってもよい。また、ナット付金属板43sのナットは、金属板の長手方向の端部に配置されていてもよい。
【0046】
図4(a)に示した第六実施形態に係る合成床版1は、ずれ止め4が固定部41と支柱42とを接続可能な連結部材44を備えたものである。具体的には、ずれ止め4は、固定部41と支柱42とボルト付金属板43bと連結部材44とにより構成される。
【0047】
支柱42は、例えば、直線形状の金属棒により構成されており、両端部に雄ネジが切られている。また、ボルト付金属板43bは、係止部43を構成する部品であり、主鉄筋5の延設方向に長く形成された矩形形状の金属板とその下面中央部に配置されたボルト(雄ネジ部)とにより構成される。連結部材44は、いわゆるジョイントナット(高ナット又は長ナット)である。連結部材44は、一端に支柱42が接続され、他端にボルト付金属板43bが接続される。
【0048】
かかる構成により、連結部材44により係止部43の高さを微調節することができる。なお、ボルト付金属板43bの金属板の形状は、図示した形状に限定されるものではなく、正方形や円形であってもよい。また、ボルト付金属板43bのボルトは、金属板の長手方向の端部に配置されていてもよい。
【0049】
図4(b)に示した第七実施形態に係る合成床版1は、連結部材44をいわゆるターンバックルにより構成したものである。固定部41は、雄ネジが切られたスタッドボルトにより構成されている。また、係止部43は、支柱42に一体に形成されたフック部によって構成されている。かかる構成により、連結部材44(ターンバックル)を回転させるだけで係止部43の高さを容易に調節することができる。
【0050】
図4(c)に示した第八実施形態に係る合成床版1は、ずれ止め4を二つの固定部41と二つの支柱42と一つの係止部43とにより門型に構成したものである。例えば、固定部41及び支柱42は、配力鉄筋6を挟む位置に配置されており、二つの支柱42に板部材43pによって構成される係止部43が掛け渡されてナット43nで固定される。かかる構成により、底鋼板2に垂直な方向への抗力(すなわち、剥離に対する抗力)をより向上させることができる。
【0051】
上述した第二実施形態~第八実施形態に係る合成床版1によれば、施工時に支柱42及び係止部43の高さを調節することができ、係止部43を配力鉄筋6に容易に接触させることができる。したがって、これらの実施形態によっても、せん断力及び剥離に対する抗力の向上を図ることができ、従来の頭付きスタッドを使用したずれ止めと比較して、ずれ止め4の本数を低減することができる。
【0052】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
1 合成床版
2 底鋼板
3 コンクリート
4 ずれ止め
5 主鉄筋
6 配力鉄筋
7 補鋼材
41 固定部
42 支柱
43 係止部
43n ナット
43p 板部材
43h ネジ孔付金属板
43s ナット付金属板
43b ボルト付金属板
44 連結部材

図1
図2
図3
図4