(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20221104BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20221104BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
F24C3/12 E
F24C7/04 301A
F24C15/00 M
(21)【出願番号】P 2019066119
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 貴大
(72)【発明者】
【氏名】加藤 定基
(72)【発明者】
【氏名】小島 伸也
(72)【発明者】
【氏名】稲熊 富世
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040515(JP,A)
【文献】特開2001-254950(JP,A)
【文献】特開2015-183956(JP,A)
【文献】特開2013-186783(JP,A)
【文献】特開平06-341638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0204955(US,A1)
【文献】特開2017-152886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00-15/36
H05B 1/00-47/29
A47J 9/00-47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器であって、
被加熱物を加熱可能な加熱部と、
外部端末と通信可能な通信部と、
前記加熱部で加熱を開始するための第1の操作を受け付ける加熱操作部と、
前記通信部で通信を可能にするための第2の操作を受け付ける通信操作部と、
前記加熱部の動作を制御する加熱制御部と、
前記通信部の動作を制御する通信制御部と、
前記加熱制御部と前記通信制御部に電力を供給する電源と、
前記加熱制御部及び前記通信制御部と直列で前記電源に接続されると共に、前記加熱操作部が受け付ける前記第1の操作に連動してオンになる加熱用スイッチと、
前記通信制御部と直列で前記電源に接続される一方で前記加熱制御部と並列で前記電源に接続されると共に、前記通信操作部が受け付ける前記第2の操作に連動してオンになる通信用スイッチと、を備えており、
前記加熱操作部が前記第1の操作を受け付けると、前記加熱部で加熱が開始されると共に前記加熱用スイッチがオンになり、前記電源から前記加熱制御部に電力が供給されて前記加熱制御部が前記加熱部の動作を制御可能な状態になると共に前記電源から前記通信制御部に電力が供給されて前記通信制御部が前記通信部の動作を制御可能な状態になり、
前記加熱用スイッチがオフの状態で前記通信操作部が前記第2の操作を受け付けると、前記加熱部で加熱が開始されないと共に前記電源から前記加熱制御部に電力が供給されない状態で前記通信用スイッチがオンになり、前記電源から前記通信制御部に電力が供給されて前記通信制御部が前記通信部の動作を制御可能な状態になる、加熱調理器。
【請求項2】
前記加熱制御部は、第1記憶部を備えており、
前記通信制御部は、第2記憶部を備えており、
前記通信制御部は、前記加熱用スイッチがオフの状態で前記通信用スイッチがオンの状態であるときに前記通信部を介して前記外部端末から情報を受信した場合は、受信した前記情報を前記第2記憶部に記憶し、
前記加熱制御部は、前記加熱用スイッチがオンになると前記第2記憶部に記憶されている前記情報を取得して前記第1記憶部に記憶する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記電源が乾電池である、請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはガスコンロの制御装置が開示されている。特許文献1の制御装置は、マイコンと、マイコンに電力を供給する電源と、点火・消火スイッチと、調理選択スイッチとを備えている。特許文献1の制御装置では、点火・消火スイッチをオンにした場合も、調理選択スイッチをオンにした場合も、マイコンに電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、スマートフォン等の外部端末と通信可能な加熱調理器が開発されている。このような加熱調理器では、加熱調理器の電源スイッチをオンにすると加熱調理器の電源から制御部に電力が供給されることによって外部端末と通信可能な状態になる。
【0005】
また、現行の加熱調理器の中には、加熱調理器の点火・消火スイッチが電源スイッチを兼ねているものが存在する。この構成では、点火・消火スイッチをオンにすると(すなわち、電源スイッチをオンにすると)、加熱調理器のコンロバーナが点火すると共に、加熱調理器の電源から制御部に電力が供給される。
【0006】
ここで、上記の2つ構成を合わせ持った加熱調理器(すなわち、外部端末と通信可能な加熱調理器であって、点火・消火スイッチが電源スイッチを兼ねている加熱調理器)では、外部端末と通信をするために、加熱調理器の点火・消火スイッチ(すなわち、電源スイッチ)をオンにする必要がある。点火・消火スイッチをオンにすると加熱調理器の電源から制御部に電力が供給されることによって加熱調理器が外部端末と通信可能な状態になる。しかしながら、このような加熱調理器では、点火・消火スイッチをオンにすることによって、加熱調理器が外部端末と通信可能な状態になるだけでなく、加熱調理器のコンロバーナも点火してしまう。外部端末と通信をすることが目的であってコンロバーナを点火することが目的でないにもかかわらず、点火・消火スイッチをオンにすることによってコンロバーナも点火してしまう。これによって問題が生じることもある。例えば、ユーザが調理を開始する予定でないにもかかわらずコンロバーナが点火してしまうことによって勝手に加熱が開始されてしまい、美味しくない料理が出来上がってしまう等の問題が生じる。
【0007】
本明細書では、加熱調理器において外部端末と通信することが目的であって被加熱物を加熱することが目的でない場合には、加熱が開始されないようにすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書によって開示される加熱調理器は、被加熱物を加熱可能な加熱部と、外部端末と通信可能な通信部と、前記加熱部で加熱を開始するための第1の操作を受け付ける加熱操作部と、前記通信部で通信を可能にするための第2の操作を受け付ける通信操作部と、前記加熱部の動作を制御する加熱制御部と、前記通信部の動作を制御する通信制御部と、前記加熱制御部と前記通信制御部に電力を供給する電源と、前記加熱制御部及び前記通信制御部と直列で前記電源に接続されると共に、前記加熱操作部が受け付ける前記第1の操作に連動してオンになる加熱用スイッチと、前記通信制御部と直列で前記電源に接続される一方で前記加熱制御部と並列で前記電源に接続されると共に、前記通信操作部が受け付ける前記第2の操作に連動してオンになる通信用スイッチと、を備えていてもよい。この加熱調理器では、前記加熱操作部が前記第1の操作を受け付けると、前記加熱部で加熱が開始されると共に前記加熱用スイッチがオンになり、前記電源から前記加熱制御部に電力が供給されて前記加熱制御部が前記加熱部の動作を制御可能な状態になると共に前記電源から前記通信制御部に電力が供給されて前記通信制御部が前記通信部の動作を制御可能な状態になってもよい。また、前記加熱用スイッチがオフの状態で前記通信操作部が前記第2の操作を受け付けると、前記加熱部で加熱が開始されないと共に前記電源から前記加熱制御部に電力が供給されない状態で前記通信用スイッチがオンになり、前記電源から前記通信制御部に電力が供給されて前記通信制御部が前記通信部の動作を制御可能な状態になってもよい。
【0009】
この構成によれば、加熱部で加熱を開始するための第1の操作を加熱操作部が受け付けると加熱部で加熱が開始される。また、加熱操作部が第1の操作を受け付けると、それに連動して加熱用スイッチがオンになり、加熱制御部に電源の電力が供給されて加熱制御部が加熱部の動作を制御可能な状態になる。そのため、例えば、自動調理のプログラム及びレシピ情報に基づいて加熱制御部が加熱部の加熱量や加熱時間を制御することができ、自動調理を実行することができる。また、加熱用スイッチがオンになると、通信制御部にも電源の電力が供給されて通信制御部が通信部の動作を制御可能な状態になる。そのため、加熱調理器が外部端末と通信をすることができ、例えば、外部端末から自動調理のレシピ情報を受信することができる。
【0010】
また、上記の構成によれば、加熱用スイッチがオフの状態で、通信部で通信を可能にするための第2の操作を通信操作部が受け付けると、それに連動して通信用スイッチがオンになり、通信制御部に電源の電力が供給されて通信制御部が通信部の動作を制御可能な状態になる。そのため、加熱調理器が外部端末と通信をすることができ、例えば、外部端末から自動調理のためのレシピ情報を受信することができる。その一方で、通信用スイッチがオンになったとしても、加熱用スイッチがオフの状態なので、加熱制御部に電源の電力が供給されない。また、加熱部で加熱が開始されることもない。
【0011】
以上より、上記の構成によれば、加熱調理器と外部端末との通信を可能にするための第2の操作を通信操作部が受け付けとしても加熱部で加熱が開始されることがない。したがって、加熱調理器において外部端末と通信することが目的であって被加熱物を加熱することが目的でない場合には、加熱が開始されないようにすることができる。
【0012】
前記加熱制御部は、第1記憶部を備えていてもよい。前記通信制御部は、第2記憶部を備えていてもよい。前記通信制御部は、前記加熱用スイッチがオフの状態で前記通信用スイッチがオンの状態であるときに前記通信部を介して前記外部端末から情報を受信した場合は、受信した前記情報を前記第2記憶部に記憶してもよい。前記加熱制御部は、前記加熱用スイッチがオンになると前記第2記憶部に記憶されている前記情報を取得して前記第1記憶部に記憶してもよい。
【0013】
上記の構成によれば、加熱制御部に電源の電力が供給されていないとき(加熱部で加熱が開始されないとき)に通信制御部が外部端末から受信した情報を一端第2記憶部に記憶しておくことができる。その後、加熱用スイッチがオンになり、加熱制御部に電源の電力が供給されると、外部端末から受信した情報を第2記憶部から第1記憶部に移動させることができる。そのため、外部端末から確実に情報を取得することができる。
【0014】
前記電源が乾電池であってもよい。加熱調理器の加熱制御部と通信制御部に電力を供給する電源が乾電池である場合には、乾電池の電力が限られているので余分な電力を消費しないことが望ましい。加熱調理器において外部端末と通信することが目的であって被加熱物を加熱することが目的でない場合には、加熱制御部に乾電池の電力が供給されないので、余分な電力を消費することを抑制できる。電源が乾電池である場合に有効な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施例に係る加熱調理器システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施例に係る加熱調理器システムのブロック図である。
【
図5】本実施例に係る加熱調理器システムで実行される通信制御側処理のフローチャートである。
【
図6】本実施例に係る加熱調理器システムで実行される加熱制御側処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例に係る加熱調理器システム1について図面を参照して説明する。
図1に示すように、加熱調理器システム1は、加熱調理器10と、外部端末100と、を備えている。
【0017】
加熱調理器10と外部端末100は、両者の間でBluetooth(登録商標)方式に従った無線通信を実行可能である。即ち、加熱調理器10と外部端末100との距離が所定距離以下まで近接する場合、加熱調理器10と外部端末100との間でBluetooth無線接続が確立され、相互に無線通信が可能になる。以下では、Bluetoothのことを単に「BT」と呼ぶ場合がある。また、BT方式に従った無線通信のことを「BT通信」と呼ぶ場合がある。なお、他の例では、加熱調理器10と外部端末100とは、BT方式に限られず、他の方式(例えば、Wi-Fi(登録商標)方式、他の近距離無線通信方式、等)に従って無線通信を実行可能であってもよい。
【0018】
(加熱調理器10の構成;
図1、
図2)
加熱調理器10は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。加熱調理器10は、本体10aと、3個のコンロバーナ12a、12b、12cと、1個のグリルバーナ12dと、を備えている。また、加熱調理器10は、3個のコンロ加熱量操作部61a、61b、61cと、1個のグリル加熱量操作部61dと、3個のコンロパネル操作部62a、62b、62cと、1個のグリルパネル操作部62dと、を備えている。また、加熱調理器10は、コンロ表示部14aと、グリル表示部14bと、通信ボタン30と、を備えている。以下では、主に1個のコンロバーナ12aに着目して説明する。他の2個のコンロバーナ12b、12cと、1個のグリルバーナ12dについても同様の技術を適用することができる。
【0019】
本体10aは、加熱調理器10の電源としての乾電池34が収容される電池収容部32を備えている。本体10aの前面に通信ボタン30が配置されている。本体10aの上部にコンロバーナ12aが配置されている。
【0020】
通信ボタン30は、加熱調理器10と外部端末100との間でBT通信を可能にするためのボタンである。通信ボタン30は、オン操作とオフ操作を受け付ける。オン操作は、加熱調理器10と外部端末100との間でBT通信を可能にするための操作である。オフ操作は、BT通信を遮断するための操作である。
【0021】
コンロバーナ12aは、被加熱物(例えば鍋)を加熱可能なバーナである。コンロ加熱量操作部61aは、コンロバーナ12aの点火及び消火とコンロバーナ12aの加熱量の調整を行うための操作部である。ユーザによってコンロ加熱量操作部61aを消火位置から点火位置に移動させるための操作(以下では、「点火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ12aが点火される。ユーザによってコンロ加熱量操作部61aを点火位置から消火位置に移動させるための操作(以下では、「消火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ12aが消火される。点火位置とは、コンロ加熱量操作部61aの前面が本体10aの前面よりも前方に突出している位置であり、消火位置とは、コンロ加熱量操作部61aが本体10a内に収容されている位置である。また、ユーザは、コンロ加熱量操作部61aが点火位置に位置している状態において、コンロ加熱量操作部61aを時計方向又は反時計方向に操作することで、コンロバーナ12aの加熱量を調整することができる。コンロパネル操作部62aは、コンロバーナ12aを利用した自動調理の設定等を受け付け可能な操作部である。
【0022】
コンロ表示部14aは、3個のコンロバーナ12a、12b、12cのそれぞれの動作状態や実行中の機能に関する情報(例えば、自動調理のレシピ情報、調理モード等)を表示するためのディスプレイである。グリル表示部14bは、グリルバーナ12dの動作状態や実行中の機能に関する情報を表示するためのディスプレイである。
【0023】
図3に示すように、加熱調理器10は、3個のコンロガス供給路40a、40b、40cと、1個のグリルガス供給路40dと、を備えている。また、加熱調理器10は、3個のコンロ安全弁42a、42b、42cと、1個のグリル安全弁42dと、3個のコンロ流量調整弁44a、44b、44cと、1個のグリル流量調整弁44dと、を備えている。また、加熱調理器10は、3個のコンロ点火プラグ18a、18b、18cと、1個のグリル点火プラグ18dと、を備えている。
【0024】
コンロガス供給路40aは、ガス供給源(図示省略)からコンロバーナ12aにガスを供給する。コンロガス供給路40aにコンロ安全弁42aとコンロ流量調整弁44aが設けられている。コンロ安全弁42aは、コンロガス供給路40aを開閉する。コンロ安全弁42aが開弁すると、コンロバーナ12aにガスが供給され、コンロ安全弁42aが閉弁すると、コンロバーナ12aにガスが供給されなくなる。コンロ安全弁42aは、上述したコンロ加熱量操作部61aに連動して動作する。コンロ加熱量操作部61aが点火操作されると、コンロ安全弁42aが開弁し、コンロ加熱量操作部61aが消火操作されると、コンロ安全弁42aが閉弁する。
【0025】
コンロ流量調整弁44aは、コンロガス供給路40aを流れるガスの流量を調整する。コンロ流量調整弁44aは、ステッピングモータ(図示省略)の回転動作によって開度調整される。コンロ流量調整弁44aは、上述したコンロ加熱量操作部61aに連動して動作する。例えば、コンロ加熱量操作部61aが時計方向に回転操作されると、コンロ流量調整弁44aの開度が大きくなり、コンロバーナ12aに供給されるガスの流量が大きくなる。また、コンロ加熱量操作部61aが反時計方向に回転操作されると、コンロ流量調整弁44aの開度が小さくなり、コンロバーナ12aに供給されるガスの流量が小さくなる。
【0026】
コンロ点火プラグ18aは、スパークすることによって、コンロバーナ12aに供給されたガスに着火する装置である。コンロ点火プラグ18aは、後述する加熱用スイッチ90がオンになるとスパークする。後述する加熱用スイッチ90は、コンロ加熱量操作部61aが点火操作されるとオンになる。
【0027】
図2に示すように、加熱調理器10は、加熱制御用基板70と、通信制御用基板80と、を更に備えている。加熱制御用基板70と通信制御用基板80は、本体10aの内部において互いに分離された状態で配置されている。なお、加熱制御用基板70と通信制御用基板80は、それぞれに電力を供給するための回路が別であれば同一の基板に配置されていてもよい。
【0028】
加熱制御用基板70は、CPUを含む加熱制御部72を備えている。加熱制御部72は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される第1メモリ74を備えている。加熱制御部72は、上述したコンロバーナ12a、コンロ加熱量操作部61a、コンロパネル操作部62a、コンロ表示部14aと電気的に接続されており、これらの各要素の動作を制御することができる。
【0029】
通信制御用基板80は、BTインターフェース86と、CPUを含む通信制御部82と、を備えている。以下ではインターフェースのことを単に「I/F」と記載する。BTI/F86は、外部端末100との間でBT通信を可能にするためのI/Fである。即ち、加熱調理器10と外部端末100とが所定距離まで近接すると、加熱調理器10と外部端末100との間で、BTI/F86及びBTI/F126(後述)を介してBT接続(
図1、2の破線矢印参照)が確立する。BT接続が確立すると、加熱調理器10と外部端末100は、BT接続を介したBT通信を相互に実行することができる。
【0030】
通信制御部82は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される第2メモリ84を備えている。通信制御部82は、BTI/F86と電気的に接続されており、BTI/F86の動作を制御することができる。
【0031】
図4に示すように、加熱制御用基板70と通信制御用基板80は、乾電池34に電気的に接続されている。加熱制御用基板70と通信制御用基板80は、加熱用スイッチ90を介して直列で乾電池34に接続されている。また、通信制御用基板80は、通信用スイッチ92を介して乾電池34に接続されている。通信用スイッチ92は、加熱制御用基板70及び加熱用スイッチ90と並列で乾電池34に接続されている。
【0032】
加熱用スイッチ90は、上述したコンロ加熱量操作部61aに機械的に接続されている。加熱用スイッチ90は、コンロ加熱量操作部61aが受け付ける操作に連動してオン/オフが切り替わる。コンロ加熱量操作部61aが点火操作を受け付けると、加熱用スイッチ90がオンになる。コンロ加熱量操作部61aが消火操作を受け付けると、加熱用スイッチ90がオフになる。加熱用スイッチ90がオンになると、加熱制御用基板70に設けられている加熱制御部72に乾電池34の電力が供給される(
図2参照)。また、通信制御用基板80に設けられている通信制御部82に乾電池34の電力が供給される(
図2参照)。加熱制御部72は、乾電池34から電力が供給されることによって、上述したコンロバーナ12a、コンロ表示部14a等の動作を制御可能な状態になる。通信制御部82は、乾電池34から電力が供給されることによって、上述したBTI/F86の動作を制御可能な状態になる。
【0033】
通信用スイッチ92は、上述した通信ボタン30に機械的に接続されている。通信用スイッチ92は、通信ボタン30が受け付ける操作に連動してオン/オフが切り替わる。通信ボタン30がオン操作を受け付けると、通信用スイッチ92がオンになる。通信ボタン30がオフ操作を受け付けると、通信用スイッチ92がオフになる。通信用スイッチ92がオンになると、通信制御用基板80に設けられている通信制御部82に乾電池34の電力が供給される(
図2参照)。通信用スイッチ92がオンになると、加熱用スイッチ90がオフの状態であっても、通信制御部82に乾電池34の電力が供給される。通信制御部82は、乾電池34から電力が供給されることによって、上述したBTI/F86の動作を制御可能な状態になる。また、通信制御部82は、所定の場合に通信用スイッチ92をオフにすることができる(後述する
図5のS24)。また、通信制御部82は、加熱用スイッチ90がオン状態であるかオフ状態であるかを判別することができる。一方、加熱用スイッチ90がオフの状態では、通信用スイッチ92がオンになったとしても、加熱制御部72には乾電池34の電力が供給されない。
【0034】
(外部端末100の構成;
図1、
図2)
外部端末100は、例えば、スマートフォンである。他の例では、外部端末100は、タブレット端末、デスクトップPC、ノートPC等であってもよい。
図1に示すように、外部端末100は、表示操作部102を備えている。表示操作部102は、タッチパネルとして機能する。表示操作部102は、様々な情報を表示することができる。また、表示操作部102は、様々な操作を受け付けることができる。
【0035】
図2に示すように、外部端末100は、端末制御用基板120を備えている。端末制御用基板120は、BTI/F126と、CPUを含む端末制御部122と、を備えている。
【0036】
BTI/F126は、加熱調理器10との間でBT通信を可能にするためのI/Fである。上述した通り、加熱調理器10と外部端末100とが所定距離まで近接すると、BT接続(
図1、2の破線矢印参照)が確立する。BT接続が確立すると、加熱調理器10と外部端末100は、BT接続を介したBT通信を相互に実行することができる。
【0037】
端末制御部122は、BTI/F126と電気的に接続されており、BTI/F126の動作を制御することができる。端末制御部122は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される端末メモリ124を備えている。端末メモリ124には、自動調理のレシピ情報が記憶されている。
【0038】
(通信制御側処理;
図5)
次に、上記の加熱調理器システム1で実行される通信制御側処理について説明する。
図5に示す通信制御側処理は、加熱調理器10の通信ボタン30がオン操作を受け付けると(加熱調理器10のユーザが通信ボタン30のオン操作を実行すると)開始される。
【0039】
通信ボタン30がオン操作を受け付けると、それに連動して通信用スイッチ92がオンになる(S10)。加熱用スイッチ90がオフの状態で通信用スイッチ92がオンになると、通信制御部82への給電が開始される。乾電池34の電力が通信制御部82に供給される(
図2、4参照)。これによって、通信制御部82がBTI/F86の動作を制御可能な状態になる。なお、加熱用スイッチ90が既にオンになっている場合は、通信制御部82に乾電池34の電力が既に供給されている。
【0040】
加熱用スイッチ90がオフの状態では、乾電池34の電力が加熱制御部72に供給されていない(
図2、4参照)。また、加熱用スイッチ90がオフである場合は、コンロ加熱量操作部61aが点火操作を受け付けていない場合である。そのため、コンロバーナ12aで加熱が開始されていない。
【0041】
S10に続くS12では、通信制御部82が、通信用スイッチ92をオフにするタイミングを計測するためのタイマーをセットする。タイマーセットされる所定時間は例えば3分である。
【0042】
続くS14では、通信制御部82が、BTI/F86を介して外部端末100からレシピ情報を受信したか否かを判断する。レシピ情報を受信した場合は、通信制御部82がYESと判断してS16に進む。そうでない場合は、通信制御部82がNOと判断してS22に進む。
【0043】
続くS16では、通信制御部82が、加熱用スイッチ90がオンの状態であるか否かを判断する。加熱用スイッチ90がオンである場合は、通信制御部82がYESと判断してS20に進む。そうでない場合は、通信制御部82がNOと判断してS18に進む。
【0044】
S16でYESの後のS20では、通信制御部82が、上記のS14で受信したレシピ情報を、加熱制御用基板70に設けられている第1メモリ74に記憶する(
図2参照)。すなわち、通信制御部82は、加熱制御部72に乾電池34の電力が供給されている場合には、受信したレシピ情報を第1メモリ74に記憶する。一方、S16でNOの後のS18では、通信制御部82が、上記のS14で受信したレシピ情報を、通信制御用基板80に設けられている第2メモリ84に記憶する(
図2参照)。すなわち、通信制御部82は、加熱制御部72に乾電池34の電力が供給されておらず、通信制御部82のみに乾電池34の電力が供給されている場合には、受信したレシピ情報を第2メモリ84に記憶する。
【0045】
続くS22では、通信制御部82が、上記のS12でタイマーセットした所定時間(例えば3分)が経過したか否かを判断する。所定時間が経過した場合は、通信制御部82がYESと判断してS24に進む。そうでない場合は、通信制御部82がNOと判断してS14に戻る。所定時間が経過するまで通信制御部82が通信用スイッチ92をオンに維持する。
【0046】
続くS24では、通信制御部82が、通信用スイッチ92をオフにする。通信用スイッチ92がオフになると、乾電池34の電力が通信制御部82に供給されなくなる。以上より、通信制御側処理が終了する。
【0047】
(加熱制御側処理;
図6)
次に、上記の加熱調理器システム1で実行される加熱制御側処理について説明する。
図6に示す加熱制御側処理は、コンロ加熱量操作部61aが点火操作を受け付けると(加熱調理器10のユーザがコンロ加熱量操作部61aの点火操作を実行すると)開始される。
【0048】
コンロ加熱量操作部61aが点火操作を受け付けると、コンロバーナ12aが点火する。これによって、コンロバーナ12aで被加熱物の加熱が開始される。また、コンロ加熱量操作部61aが点火操作を受け付けると、それに連動して加熱用スイッチ90がオンになる(S30)。加熱用スイッチ90がオンになると、加熱制御部72と通信制御部82への給電が開始される。乾電池34の電力が加熱制御部72と通信制御部82に供給される(
図2、4参照)。これによって、加熱制御部72がコンロバーナ12aの動作を制御可能な状態になる。また、通信制御部82がBTI/F86の動作を制御可能な状態になる。なお、通信用スイッチ92が既にオンになっている場合は、通信制御部82に乾電池34の電力が既に供給されている。
【0049】
S30に続くS32では、加熱制御部72が、通信制御用基板80に設けられている第2メモリ84にレシピ情報が記憶されているか否かを判断する。上記のS18(
図5参照)で通信制御部82がレシピ情報を第2メモリ84に記憶した場合は、第2メモリ84にレシピ情報が記憶されている。第2メモリ84にレシピ情報が記憶されている場合は、加熱制御部72がYESと判断してS34に進む。そうでない場合は、加熱制御部72がNOと判断してS36に進む。
【0050】
続くS34では、加熱制御部72が、第2メモリ84に記憶されているレシピ情報を取得して第1メモリ74に記憶する。加熱制御部72は、第2メモリ84から第1メモリ74にレシピ情報を移動する。加熱制御部72は、第1メモリ74に記憶したレシピ情報に基づいて自動調理を実行することができる。加熱制御部72は、レシピ情報を第1メモリ74に移動した後に、第2メモリ84からレシピ情報を消去する。その後、コンロ加熱量操作部61aが消火操作を受け付けると、加熱用スイッチ90がオフになる(S36)。また、コンロバーナ12aが消火される。以上より、加熱制御側処理が終了する。
【0051】
以上、実施例に係る加熱調理器システム1及び加熱調理器10について説明した。上記の構成によれば、加熱調理器10において外部端末100と通信することが目的であって被加熱物(例えば鍋)を加熱することが目的でない場合には、加熱が開始されないようにすることができる。また、このような構成をグリルバーナ12dに用いれば、加熱用スイッチ90がオフの状態で、加熱調理器10と外部端末100との通信を可能にするためのオン操作を通信ボタン30が受け付けたとしても、グリルバーナ12dで加熱が開始されないので、加熱調理器10のユーザが意図しない加熱が開始されないようにすることができる。加熱調理器10と外部端末100との通信を可能にすることを意図しているにもかかわらず、グリルバーナ12dで加熱が開始されてしまうと、例えば美味しい料理が出来上がらないといった問題が生じるが、上記の構成によれば、意図しない加熱が開始されないので、このような問題を抑制することができる。
【0052】
また、上記の加熱調理器10では、加熱用スイッチ90がオフの状態で通信用スイッチ92がオンの状態であるときに、通信制御部82がBTI/F86を介して外部端末100からレシピ情報を受信した場合は、受信したレシピ情報を第2メモリ84に記憶する。また、加熱用スイッチ90がオンになると、加熱制御部72が第2メモリ84に記憶されているレシピ情報を取得して第1メモリ74に記憶する。この構成によれば、加熱制御部72に乾電池34の電力が供給されていないときに通信制御部82が外部端末100から受信したレシピ情報を一端第2メモリ84に記憶しておくことができる。その後、加熱用スイッチ90がオンになり、加熱制御部72に乾電池34の電力が供給されると、外部端末100から受信したレシピ情報を第2メモリ84から第1メモリ74に移動させることができる。そのため、レシピ情報を外部端末100から確実に取得することができる。
【0053】
また、上記の加熱調理器10では、電源として乾電池34を用いるので余分な電力を消費しないことが望ましい。上記の加熱調理器10では、外部端末100と通信することが目的であって被加熱物を加熱することが目的でない場合には、通信ボタン30だけをオン操作することによって、加熱制御部72に乾電池34の電力が供給されない状態で外部端末100と通信することができる。そのため、余分な電力を消費することを抑制できる。電源として乾電池34を用いる場合には特に有効である。
【0054】
(対応関係)
上述したコンロバーナ12aが「加熱部」の一例である。BTI/F86が「通信部」の一例である。コンロ加熱量操作部61aが「加熱操作部」の一例である。通信ボタン30が「通信操作部」の一例である。乾電池34が「電源」の一例である。コンロ加熱量操作部61aでの点火操作が「第1の操作」の一例である。通信ボタン30でのオン操作が「第2の操作」の一例である。第1メモリ74が「第1記憶部」の一例である。第2メモリ84が「第2記憶部」の一例である。
【0055】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0056】
上記の実施例では、「電源」が乾電池34であったが、他の実施例では、「電源」が家庭用のAC電源であってもよい。
【0057】
他の実施例では、加熱調理器10は、IH式のビルトインコンロ等であってもよい。
【0058】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0059】
1:加熱調理器システム、10:加熱調理器、10a:本体、12a:コンロバーナ、14a:コンロ表示部、18a:コンロ点火プラグ、30:通信ボタン、32:電池収容部、34:乾電池、40a:コンロガス供給路、42a:コンロ安全弁、44a:コンロ流量調整弁、61a:コンロ加熱量操作部、62a:コンロパネル操作部、70:加熱制御用基板、72:加熱制御部、74:第1メモリ、80:通信制御用基板、82:通信制御部、84:第2メモリ、86:BTインターフェース、90:加熱用スイッチ、92:通信用スイッチ、100:外部端末、102:表示操作部、120:端末制御用基板、122:端末制御部、124:端末メモリ、126:BTインターフェース