(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】電極構造体、その製造方法およびこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/66 20060101AFI20221104BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20221104BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20221104BHJP
H01M 4/72 20060101ALI20221104BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20221104BHJP
H01M 10/0561 20100101ALI20221104BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20221104BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20221104BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20221104BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M4/72 A
H01M10/052
H01M10/0561
H01M10/0565
H01M10/058
H01M50/543
(21)【出願番号】P 2019193628
(22)【出願日】2019-10-24
【審査請求日】2019-10-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0127779
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515351884
【氏名又は名称】ユニスト(ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
(73)【特許権者】
【識別番号】519381506
【氏名又は名称】コリア イースト-ウェスト パワー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519381517
【氏名又は名称】4 トゥ ワン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン チン
(72)【発明者】
【氏名】パク チョン ソン
(72)【発明者】
【氏名】チョン キョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン キ
(72)【発明者】
【氏名】キム ミョン チェ
【合議体】
【審判長】山田 正文
【審判官】畑中 博幸
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-510937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0268661(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0003813(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1894385(KR,B1)
【文献】特表2018-517252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/64-4/66,4/72
H01M10/04
H01M10/05-10/0587
H01M4/02,4/13
H01M2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極活物質および負極電解液を含む負極部、
電子伝導性
および液体吸水性のある
カーボンファブリック
系列の素材であり、
前記負極部よりも大きく、前記負極部を間に挟んで重なるように構成される
2つの正極集電体、および
前記
2つの正極集電体の縁に結合される正極電極を備え、
前記負極部は、
前記負極部を支持するボディー部、
前記ボディー部の一面と融着するラミネーター、
前記負極部の縁に融着されて前記負極部の縁をシーリングするシーリング部材、
下端部で前記負極活物質と接触し、上端部の一部が外部に露出して外部接続端子を形成する負極集電体
、および
前記ボディー部に設けられた開口内に配置された複数の固体電解質を含
み、
前記正極電極は、チタン、電子伝導性が付与されたポリマー、または金属が付着されたポリマーから選択される物質で構成される、電極構造体。
【請求項2】
前記正極電極は、中心が空いている枠フレームの形態で構成された、請求項1に記載の電極構造体。
【請求項3】
前記正極電極は、金属性の素材で構成された、請求項1に記載の電極構造体。
【請求項4】
前記正極電極は、メッシュ(mesh)形態で構成された、請求項1に記載の電極構造体。
【請求項5】
前記
2つの正極集電体と前記正極電極は、スポット(spot)溶接によって結合される、請求項1に記載の電極構造体。
【請求項6】
前記
2つの正極集電体と前記正極電極は、ボルトおよびナットの締結によって結合される、請求項1に記載の電極構造体。
【請求項7】
前記外部接続端子は、絶縁シーリングされる、請求項1に記載の電極構造体。
【請求項8】
前記外部接続端子は、シーリング素材が入っている容器に浸漬され、
浸漬された状態で前記シーリング素材は固まり、
前記固まったシーリング素材は、前記容器から分離される、請求項7に記載の電極構造体。
【請求項9】
負極活物質および負極電解液を含む負極部を形成するステップ、
電子伝導性
および液体吸水性のある
カーボンファブリック
系列の素材であり、
前記負極部よりも大きく、前記負極部を間に挟んで重なるように構成される
2つの正極集電体を形成するステップ、および
前記
2つの正極集電体の縁に結合される正極電極を形成するステップを備え、
前記負極部は、
前記負極部を支持するボディー部、
前記ボディー部の一面と融着するラミネーター、
前記負極部の縁に融着されて前記負極部の縁をシーリングするシーリング部材、
下端部で前記負極活物質と接触し、上端部の一部が外部に露出して外部接続端子を形成する負極集電体
、および
前記ボディー部に設けられた開口内に配置された複数の固体電解質を含
み、
前記正極電極は、チタン、電子伝導性が付与されたポリマー、または金属が付着されたポリマーから選択される物質で構成される、電極構造体の製造方法。
【請求項10】
前記正極電極を形成するステップは、
中心が空いている枠フレームの形態で正極電極を形成するステップ、および
前記正極電極を前記
2つの正極集電体の縁に結合させるステップを含む、請求項9に記載の電極構造体の製造方法。
【請求項11】
前記正極電極を形成するステップは、
メッシュ(mesh)形態で前記正極電極を形成するステップを含む、請求項9に記載の電極構造体の製造方法。
【請求項12】
前記負極部を形成するステップは、
上端部の一部が露出して外部接続端子を形成する負極集電体を形成するステップを含み、
前記正極電極を形成するステップ後に、
前記外部接続端子を絶縁シーリングするステップをさらに備える、請求項9に記載の電極構造体の製造方法。
【請求項13】
前記外部接続端子を絶縁シーリングするステップは、
前記外部接続端子をシーリング素材が入っている容器に浸漬させるステップ、
浸漬された状態で前記シーリング素材を固めるステップ、および
前記固まったシーリング素材を前記容器から分離するステップを含む、請求項12に記載の電極構造体の製造方法。
【請求項14】
多数の電極構造体を含み、
前記多数の電極構造体のそれぞれは、
負極活物質および負極電解液を含む負極部、
電子伝導性
および液体吸水性のある
カーボンファブリック
系列の素材であり、
前記負極部よりも大きく、前記負極部を間に挟んで重なるように構成される
2つの正極集電体、および
前記
2つの正極集電体の縁に結合される正極電極を備え、
前記負極部は、
前記負極部を支持するボディー部、
前記ボディー部の一面と融着するラミネーター、
前記負極部の縁に融着されて前記負極部の縁をシーリングするシーリング部材、
下端部で前記負極活物質と接触し、上端部の一部が外部に露出して外部接続端子を形成する負極集電体
、および
前記ボディー部に設けられた開口内に配置された複数の固体電解質を含
み、
前記正極電極は、チタン、電子伝導性が付与されたポリマー、または金属が付着されたポリマーから選択される物質で構成される、電極構造体スタック(stack)。
【請求項15】
前記負極部は、上端部の一部が外部に露出して外部接続端子を形成する負極集電体を含み、
前記多数の電極構造体の外部接続端子は、絶縁シーリングされる、請求項14に記載の電極構造体スタック。
【請求項16】
前記外部接続端子は、シーリング素材が入っている容器に浸漬され、
浸漬された状態で前記シーリング素材は固まり、
前記固まったシーリング素材は、前記容器から分離される、請求項15に記載の電極構造体スタック。
【請求項17】
前記多数の電極構造体のそれぞれは、同じ位置に少なくとも一つのホール(hole)を含み、
前記多数の電極構造体は、前記少なくとも一つのホールのそれぞれに共通して一つのボルトが嵌合され、前記多数の電極構造体のそれぞれに対してナットが締結されることによって結合される、請求項14に記載の電極構造体スタック。
【請求項18】
負極活物質および負極電解液を含む負極部、
電子伝導性
および液体吸水性のある
カーボンファブリック
系列の素材であり、
前記負極部よりも大きく、前記負極部を間に挟んで重なるように構成される
2つの正極集電体、および
前記
2つの正極集電体の縁に結合される正極電極を含む電極構造体を備え、
前記電極構造体は、前記負極活物質に含まれた金属イオンと同じ金属イオンを含むイオン含有溶液に浸漬され、
前記イオン含有溶液は海水を含み、
前記負極部は、
前記負極部を支持するボディー部、
前記ボディー部の一面と融着するラミネーター、
前記負極部の縁に融着されて前記負極部の縁をシーリングするシーリング部材、
下端部で前記負極活物質と接触し、上端部の一部が外部に露出して外部接続端子を形成する負極集電体
、および
前記ボディー部に設けられた開口内に配置された複数の固体電解質を含
み、
前記正極電極は、チタン、電子伝導性が付与されたポリマー、または金属が付着されたポリマーから選択される物質で構成される、二次電池。
【請求項19】
前記負極部は、上端部の一部が外部に露出して外部接続端子を形成する負極集電体を含み、
前記外部接続端子は、絶縁シーリングされる、請求項18に記載の二次電池。
【請求項20】
前記外部接続端子は、シーリング素材が入っている容器に浸漬され、
浸漬された状態で前記シーリング素材は固まり、
前記固まったシーリング素材は、前記容器から分離される、請求項19に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電極構造体、その製造方法およびこれを含む二次電池に関し、さらに詳細には正極集電体の縁に結合される正極電極を含む電極構造体、その製造方法およびこれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池とは、一般的に正極と負極に電気化学反応が可能な物質を使うことによって、化学エネルギーと電気エネルギー間の切り替えを通じて充電および放電が起きる電池を意味する。二次電池は主に、車両や船舶などの大容量の電力の貯蔵が要求される所に使用される。
【0003】
二次電池の代表的な例としては、正極および負極で金属(例えば、リチウムまたはナトリウムなど)イオンがインターカレーション/デインターカレーションされる時の化学電位変化によって電気エネルギーを生成するリチウムイオン電池がある(特許文献1)。
【0004】
しかし、リチウムイオン電池は爆発の危険性が高く、正極活物質として使われるリチウム金属酸化物(例えば、LiCoO2、LiMn2O4等)の価格が高いため、大規模の貯蔵システム(Energy Strage System;ESS)を実現するためには高価な費用が必要であり、廃電池の処理において環境問題を誘発し得る問題点がある。
【0005】
したがって、爆発の危険が少なく、環境に優しいだけでなく地球上に豊富に存在して安価な材料を選択する必要があるが、これまでこれに対する研究結果は不十分であるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前述した問題点を解決するために創出されたものであって、電極構造体およびその製造方法を提供することをその目的とする。
【0008】
また、本発明は電極構造体を含む二次電池を提供することをその目的とする。
【0009】
本発明の目的は以上で言及した目的に制限されず、言及されていないさらに他の目的は下記の記載から明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した目的を達成するために、本発明の一実施例に係る電極構造体は、負極部、ファブリック(fabric)素材であり、前記負極部の外面を囲む正極集電体、および前記正極集電体の縁に結合される正極電極、を含むことができる。
【0011】
実施例において、前記正極電極は、中心が空いている枠フレームの形態で構成され得る。
【0012】
実施例において、前記正極電極は、金属性の素材で構成され得る。
【0013】
実施例において、前記正極電極は、メッシュ(mesh)形態で構成され得る。
【0014】
実施例において、前記正極集電体と前記正極電極は、スポット(spot)溶接によって結合され得る。
【0015】
実施例において、前記正極集電体と前記正極電極は、ボルトおよびナットの締結によって結合され得る。
【0016】
実施例において、前記負極部は、上端部の一部が外部に露出して外部接続端子を形成する負極集電体を含み、前記外部接続端子は絶縁シーリングされ得る。
【0017】
実施例において、前記外部接続端子は、シーリング素材が入っている容器に浸漬され、浸漬された状態で前記シーリング素材は固まり、前記固まったシーリング素材は、前記容器から分離され得る。
【0018】
実施例において、電極構造体の製造方法は負極部を形成する段階、ファブリック(fabric)素材であり、前記負極部の外面を囲む正極集電体を形成する段階、および前記正極集電体の縁に結合される正極電極を形成する段階、を含むことができる。
【0019】
実施例において、前記正極電極を形成する段階は、中心が空いている枠フレームの形態で正極電極を形成する段階、および前記正極電極を前記正極集電体の縁に結合させる段階、を含むことができる。
【0020】
実施例において、前記正極電極を形成する段階は、メッシュ(mesh)形態で前記正極電極を形成する段階、を含むことができる。
【0021】
実施例において、前記負極部を形成する段階は、上端部の一部が露出して外部接続端子を形成する負極集電体を形成する段階、を含み、前記正極電極を形成する段階後に、前記外部接続端子を絶縁シーリングする段階、をさらに含むことができる。
【0022】
実施例において、前記外部接続端子を絶縁シーリングする段階は、前記外部接続端子をシーリング素材が入っている容器に浸漬させる段階、浸漬された状態で前記シーリング素材を固める段階、および前記固まったシーリング素材を前記容器から分離する段階、を含むことができる。
【0023】
実施例において、電極構造体スタック(stack)は多数の電極構造体、を含み、前記多数の電極構造体のそれぞれは、負極部、ファブリック(fabric)素材であり、前記負極部の外面を囲む正極集電体、および前記正極集電体の縁に結合される正極電極、を含むことができる。
【0024】
実施例において、前記負極部は、上端部の一部が外部に露出して外部接続端子を形成する負極集電体を含み、前記多数の電極構造体の外部接続端子は、絶縁シーリングされ得る。
【0025】
実施例において、前記外部接続端子は、シーリング素材が入っている容器に浸漬され、浸漬された状態で前記シーリング素材は固まり、前記固まったシーリング素材は、前記容器から分離され得る。
【0026】
実施例において、前記多数の電極構造体のそれぞれは、同じ位置に少なくとも一つのホールを含み、前記多数の電極構造体は、前記少なくとも一つのホールのそれぞれに共通して一つのボルトが嵌合され、前記多数の電極構造体のそれぞれに対してナットが締結されることによって結合され得る。
【0027】
実施例において、二次電池は複数の固体電解質、負極活物質および負極電解液を含む負極部、ファブリック(fabric)素材であり、前記負極部の外面を囲む正極集電体、および前記正極集電体の縁に結合される正極電極、を含み、前記電極構造体は、前記負極活物質に含まれた金属イオンと同じ金属イオンを含むイオン含有溶液に浸漬され得る。
【0028】
実施例において、前記負極部は、上端部の一部が外部に露出して外部接続端子を形成する負極集電体を含み、前記外部接続端子は、絶縁シーリングされ得る。
【0029】
実施例において、前記外部接続端子は、シーリング素材が入っている容器に浸漬され、浸漬された状態で前記シーリング素材は固まり、前記固まったシーリング素材は、前記容器から分離され得る。
【0030】
前記した目的を達成するための具体的な事項は、添付された図面と共に詳細に後述される実施例を参照すれば明確となるはずである。
【0031】
しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で構成され得、本発明の開示を完全なものとし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者(以下、「通常の技術者」)に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施例によると、正極電極はメッシュ(mesh)形態で構成され得、このようなメッシュ形態によって正極電極と結合された正極集電体は外部のイオン含有溶液を円滑に吸収することができる。
【0033】
また、本発明の一実施例によると、正極電極は中心が空いている枠フレームの形態で構成されて正極集電体の縁と結合されることによって、正極電極は全体的な電極構造体を支持することができる。
【0034】
また、本発明の一実施例によると、正極電極は金属性の素材で製作されて正極集電体と接触することによって、正極集電体の低い電子伝導性を補完することができる。
【0035】
また、本発明の一実施例によると、電極構造体スタック構造によって最小化された体積のスタック構造を形成することができ、適用されるアプリケーションの必要電力またはエネルギーに応じて対応するホールごとに共通して一つのボルトに電極構造体が追加的に結合され得る。
【0036】
また、本発明の一実施例によると、外部に露出した負極集電体の上端部の一部、すなわち、外部接続端子を絶縁シーリングすることで、電極構造体がイオン含有溶液に完全に浸漬される場合、正極部と負極部のショートを防止することができる。
【0037】
本発明の効果は前述した効果に制限されず、本発明の技術的特徴によって期待される暫定的な効果は下記の記載から明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施例に係る電極構造体の機能的構成を図示した図面である。
【
図2】本発明の一実施例に係る負極部の例を図示した図面である。
【
図3】本発明の一実施例に係る正極集電体の例を図示した図面である。
【
図4a】本発明の一実施例に係る正極電極を図示した図面である。
【
図4b】本発明の一実施例に係る正極電極を図示した図面である。
【
図5】本発明の一実施例に係る電極構造体の結合構造を図示した図面である。
【
図6a】本発明の一実施例に係る電極構造体の結合方式を図示した図面である。
【
図6b】本発明の一実施例に係る電極構造体の結合方式を図示した図面である。
【
図7a】本発明の一実施例に係る電極構造体スタック(stack)構造を図示した図面である。
【
図7b】本発明の一実施例に係る電極構造体間の距離調節の例を図示した図面である。
【
図8】本発明の一実施例に係る負極部のシーリング(sealing)を図示した図面である。
【
図9】本発明の一実施例に係る電極構造体の製造方法を図示した図面である。
【
図10】本発明の一実施例に係る負極部のシーリング方法を図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示してこれを詳細に説明する。
【0040】
特許請求の範囲に開示された発明の多様な特徴は、図面および詳細な説明を参照すればさらによく理解できるはずである。明細書に開示された装置、方法、製法および多様な実施例は、例示のために提供されるものである。開示された構造および機能上の特徴は、通常の技術者が多様な実施例を具体的に実施できるようにするためのものであって、発明の範囲を制限するためのものではない。開示された用語および文章は開示された発明の多様な特徴を理解しやすく説明するためのものであって、発明の範囲を制限するためのものではない。
【0041】
本発明の説明において、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にさせる恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0042】
以下、本発明の一実施例に係る電極構造体、その製造方法およびこれを含む二次電池を説明する。
【0043】
本明細書で言及される二次電池は、本発明の一実施例に係る電極構造体を含み、イオン含有溶液を正極電解液として含む二次電池を意味する。この場合、電極構造体は、負極部の負極活物質に含まれた金属イオンと同じ金属イオンを含むイオン含有溶液に浸漬され得る。非制限的なイオン含有溶液の例示としては、ソジウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオンおよびこれらの組み合わせを含む海水(seawater)が挙げられる。
【0044】
図1は、本発明の一実施例に係る電極構造体100の機能的構成を図示した図面である。
図2は、本発明の一実施例に係る負極部110の例を図示した図面である。
図3は、本発明の一実施例に係る正極集電体122の例を図示した図面である。
図4aおよび
図4bは、本発明の一実施例に係る正極電極124を図示した図面である。
【0045】
図1を参照すると、電極構造体100は負極部110および正極部120を含むことができる。一実施例において、電極構造体100は単位セル(unit cell)、フルセル(full cell)またはこれと同等な技術的意味を有する他の名称で呼称され得る。
【0046】
図2を参照すると、負極部110は電極構造体100の負極をなす構成であって、ボディー部111、ラミネーター112、シーリング部材113、負極集電体114および固体電解質115を含むことができる。一実施例において、負極部110は負極活物質(active material)および負極電解液(electrolyte)を含むことができる。
【0047】
ボディー部111は負極部110を支持して負極部110が曲がったり外力によって変形されることを防止することができる。ボディー部111は複数の開口を含むことができる。それぞれの複数の開口内に、固体電解質115が位置することができる。
【0048】
ラミネーター112はその一表面がボディー部111の一面と融着され得る。ラミネーター112によって、外部の水蒸気および大気中の気体が負極部110の内部に流入することが遮断され得る。ラミネーター112の材質はアルミニウムラミネーターフィルムであり得る。一方、ラミネーター112は複数の開口を含むことができる。複数の開口のそれぞれの大きさは固体電解質115の大きさより小さくてもよい。したがって、複数の開口のそれぞれの縁は固体電解質115の縁と融着され得る。
【0049】
シーリング部材113は負極部110の縁に融着されて負極部110の縁をシーリングすることができる。より具体的には、負極部110の縁はラミネーター112の縁であって、シーリング部材113はラミネーター112の縁をシーリングすることができる。シーリング部材113はラミネーター112の切断部が外部に露出することを防止することができる。
【0050】
負極集電体114の下端部の一表面は、負極活物質層と接触され得る。また、負極集電体114の上端部の一部が外部に露出して、外部接続端子を形成することができる。
【0051】
固体電解質115はリチウムイオン、ソジウムイオンなどの金属イオンを選択的に透過させることができる電解質であって、複数個が用意され得る。例えば、固体電解質115の材質は、ナシコン(NASICON)、リシコン(LISICON)、非晶質イオン伝導性物質、セラミックイオン伝導性物質およびポリマー基盤の物質であり得る。
【0052】
正極部120は電極構造体100の正極をなす構成であって、正極集電体122および正極電極124を含むことができる。
【0053】
図3を参照すると、正極集電体122は、ファブリック(fabric)素材で構成され得る。この場合、正極集電体122は電子伝導性があり、イオン含有溶液(例:海水)に安定した素材で製作され得る。例えば、正極集電体122は、液体吸水性を有するカーボンファブリック系列の物質で構成される。このようなカーボンファブリック系列の物質の例示としては、カーボンフェルト(carbon felt)、カーボンクロス(carbon cloth)等が挙げられる。
【0054】
正極集電体122は外部のイオン含有溶液を吸収し、正極集電体122に吸収されたイオン含有溶液は負極部110に含まれた固体電解質115と接触され得る。したがって、二次電池の充放電により、固体電解質115を通じて、イオン含有溶液と負極電解液間に金属イオン(例えば、Li+またはNa+)が交換され得る。
【0055】
図4aを参照すると、正極電極124はメッシュ(mesh)形態で構成され得、このようなメッシュ形態によって正極電極124と結合された正極集電体122は外部のイオン含有溶液を円滑に吸収することができる。一実施例において、
図4bを参照すると、正極集電体122が外部のイオン含有溶液を吸収できないことによって二次電池の性能を低下させない限度内で、正極電極124をメッシュ形態ではなくプレートの形態で構成してもよい。
【0056】
また、正極電極124は中心が空いている四角形の枠フレームの形態で構成され、正極集電体122の縁と結合され得る。すなわち、正極電極124は正極集電体122の縁を支持することができる。この場合、正極集電体122の大きさは負極部110の大きさより大きいため、ファブリック素材の正極集電体122だけでは全体的な電極構造体100の形態を支持することができない。したがって、固定された形態、すなわち、中心が空いている四角形の枠フレームの形態を有する正極電極124が正極集電体122に結合されることによって、正極集電体122に代って全体的な電極構造体100の形態を維持する支持体として機能することができる。
【0057】
正極電極124は金属性の素材で製作されて正極集電体122と接触されることによって、正極集電体122の低い電子伝導性を補完することができる。すなわち、正極電極124は金属性の素材で製作されて正極集電体122の高い抵抗を補完して、電子がより円滑に移動できるようにする経路として機能することができる。正極電極124はイオン含有溶液(例:海水)に安定的に全体的な電極構造体100を支持することができ、電子伝導性のある素材が適用され得る。例えば、正極電極124はチタン、電子伝導性が付与されたポリマーまたは金属が付着されたポリマーで構成され得る。
【0058】
図5は、本発明の一実施例に係る電極構造体100の結合構造を図示した図面である。
図6aおよび
図6bは、本発明の一実施例に係る電極構造体100の結合方式を図示した図面である。
【0059】
図5を参照すると、電極構造体100は負極部110、第1正極集電体122-1、第2正極集電体122-2、第1正極電極124-1および第2正極電極124-2を含むことができる。
【0060】
負極部110の一面は第1正極集電体122-1の一面と密着し、第1正極集電体122-1の他面は第1正極電極124-1と密着している。また、負極部110の他面は第2正極集電体122-2の一面と密着し、第2正極集電体122-2の他面は第2正極電極124-2と密着している。この場合、第1正極集電体122-1と第2正極集電体122-2の大きさは負極部110の大きさより大きいため、負極部110の外面は正極集電体、すなわち、第1正極集電体122-1と第2正極集電体122-2により囲まれている。一実施例において、第1正極集電体122-1と第2正極集電体122-2は、負極部110の外面と密着し、負極部110の外面の少なくとも一部と融着または接着剤によって接着され得る。これを通じて、電極構造体100は電解質が両面でイオン含有溶液と接触するため、反応面積が最大化され得る。この時、負極部110の負極集電体の上端部の一部が外部に露出して外部接続端子を形成することができる。
【0061】
一実施例において、
図6aを参照すると、第1正極電極124-1、第1正極集電体122-1、負極部110、第2正極集電体122-2および第2正極電極124-2は順に重なって電極構造体100を構成することができる。この場合、第1正極電極124-1、第1正極集電体122-1、第2正極集電体122-2および第2正極電極124-2は被溶接剤であって溶接部602にスポット(spot)溶接が遂行されることによって結合され得、溶接部602の他にボルト/ナットを締結して他の電極構造体と結合するためのスタック用ホール(hole)604を含むことができる。
【0062】
他の実施例において、
図6bを参照すると、第1正極電極124-1、第1正極集電体122-1、負極部110、第2正極集電体122-2および第2正極電極124-2は順に重なって電極構造体100を構成することができる。この場合、第1正極電極124-1、第1正極集電体122-1、第2正極集電体122-2および第2正極電極124-2はホール606にボルト/ナットが締結されることによって結合され得、ホール606の他にボルト/ナットを締結して他の電極構造体と結合するためのスタック用ホール(hole)608を含むことができる。
【0063】
図7aは、本発明の一実施例に係る電極構造体スタック(stack)構造を図示した図面である。
図7bは、本発明の一実施例に係る電極構造体間の距離調節の例を図示した図面である。
【0064】
図7aを参照すると、電極構造体スタック700は多数の電極構造体710-1~710-5を含むことができる。この場合、多数の電極構造体710-1~710-5はボルト702とナット704の締結によって結合され得る。
【0065】
具体的には、多数の電極構造体710-1~710-5のそれぞれは同じ位置に少なくとも一つのホールを含んでいるため、各ホールに共通して一つのボルト702が嵌合され、多数の電極構造体710-1~710-5のそれぞれに対してナット704がそれぞれ締結されることによって最小化された体積のスタック構造を形成することができ、適用されるアプリケーションの必要電力またはエネルギーに応じて対応するホールごとに共通して一つのボルト702に電極構造体が追加的に結合され得る。
【0066】
図7bを参照すると、多数の電極構造体710-1~710-5間の距離は、イオン含有溶液の流速により決定され得る。具体的には、イオン含有溶液の流速が大きいほど多数の電極構造体710-1~710-5間にイオン含有溶液がより円滑に注入され得るため、多数の電極構造体710-1~710-5間の距離がより狭く決定され、これを通じて電極構造体スタック700の体積を減少させることができる。
【0067】
前記決定された距離に対応して少なくとも一つの環部材706が、多数の電極構造体710-1~710-5間に位置するようにボルト702に嵌合されることによって、多数の電極構造体710-1~710-5間の距離が調節され得る。具体的には、一つの環部材706の厚さを考慮して、前記決定された距離の調節に必要な環部材706の個数だけ多数の電極構造体710-1~710-5間に位置するように環部材706がボルト702に嵌合されることによって、多数の電極構造体710-1~710-5間の距離が調節され得る。
【0068】
図8は、本発明の一実施例に係る負極部のシーリング(sealing)を図示した図面である。
【0069】
図8を参照すると、電極構造体スタック800に含まれた各電極構造体の負極部の外面は正極集電体によって囲まれている。この場合、負極部の負極集電体の上端部の一部が外部に露出して外部接続端子811を形成することができる。
【0070】
この時、電極構造体スタック800がイオン含有溶液に完全に浸漬される場合、正極部と負極部のショートを防止するために、外部に露出した負極集電体の上端部の一部、すなわち、外部接続端子811は絶縁シーリングされ得る。一実施例において、外部接続端子811は絶縁シーリング素材が入っている容器に浸漬された後、浸漬された状態で絶縁シーリング素材を固め、固まった絶縁シーリング素材813を容器から分離することによって外部接続端子811は絶縁シーリングされ得る。
【0071】
この場合、絶縁シーリング素材813は、電子伝導性がなく、外部接続端子811との付着性が良く、イオン含有溶液(例:海水)に安定した素材であり得る。例えば、絶縁シーリング素材はエポキシ、シリコン、ホットメルト、ゴム、ポリマーおよびプラスチックを含むことができる。
【0072】
図9は、本発明の一実施例に係る電極構造体の製造方法を図示する。
【0073】
図9を参照すると、S
901段階は負極部を形成する段階である。一実施例において、上端部の一部が露出して外部接続端子を形成する負極集電体が形成され得る。
【0074】
S903段階は負極部の外面を囲む正極集電体を形成する段階である。一実施例において、液体吸水性を有するファブリック系列の物質で前記正極集電体が形成され得る。
【0075】
S905段階は正極集電体の縁に正極電極を結合する段階である。一実施例において、正極電極は中心が空いている枠フレームの形態で形成され、正極電極は正極集電体の縁に結合され得る。一実施例において、正極電極は金属性の素材を利用して形成され得る。一実施例において、正極電極はメッシュ形態で形成され得る。一実施例において、正極集電体と正極電極はボルトおよびナットの締結によって結合され得る。他の一実施例において、正極集電体と正極電極はスポット溶接によって結合され得る。一実施例において、正極電極を形成する段階後に、外部接続端子が絶縁シーリングされ得る。
【0076】
図10は、本発明の一実施例に係る電極構造体の負極部のシーリング方法を図示する。
【0077】
図10を参照すると、S1001段階は電極構造体の負極部の外部接続端子をシーリング素材が入っている容器に浸漬させる段階である。一実施例において、シーリング素材は、電子伝導性がなく、外部接続端子との付着性が良く、イオン含有溶液(例:海水)に安定した素材であり得る。
【0078】
S1003段階はシーリング素材を固める段階である。S1005段階は固まったシーリング素材を容器から分離する段階である。これを通じて電極構造体がイオン含有溶液に完全に浸漬される場合、電極構造体の正極部と負極部のショートを防止することができる。
【0079】
以上の説明は本発明の技術的思想を例示的に説明したものに過ぎず、通常の技術者であれば本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で多様な変更および修正が可能であろう。
【0080】
したがって、本明細書に開示された実施例は本発明の技術的思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、このような実施例によって本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0081】
本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0082】
100:電極構造体
110:負極部
111:ボディー部
112:ラミネーター
113:シーリング部材
114:負極集電体
115:固体電解質
120:正極部
122:正極集電体
124:正極電極
602:溶接部
604:スタック用ホール
606:ホール
608:スタック用ホール
700:電極構造体スタック
702:ボルト
704:ナット
706:環部材
710-1~710-5:複数の電極構造体
800:電極構造体スタック
811:負極集電体
813:絶縁シーリング素材