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特許7169963需要家の電力取引に対する調整電力量を制御する電力取引制御装置、プログラム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】需要家の電力取引に対する調整電力量を制御する電力取引制御装置、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20221104BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20221104BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20221104BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20221104BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221104BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H02J3/32
G06Q50/06
H02J3/00 170
H02J3/00 180
H02J3/46
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019214791
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021087298
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】前島 治
(72)【発明者】
【氏名】吉原 貴仁
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-091106(JP,A)
【文献】特開2014-127107(JP,A)
【文献】特開2014-155262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
G06Q 50/06
H02J 13/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な蓄電池が接続する需要家の充放電設備装置と送配電事業者の送配電設備装置との間で、約定された電力取引に基づく実需給開始時点よりも一定時間前の推定時点に、他の需要家からの調整電力量を推定する電力取引制御装置であって、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)を記録した接続状態履歴データベースと、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、現単位時間よりも一定時間前の蓄電池の第1の接続状態から、現単位時間の蓄電池の第2の接続状態へ遷移する各状態遷移を記録する状態遷移履歴データベースと、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定期間の所定時間帯毎に、蓄電池の第2の接続状態が「接続」となる状態遷移確率毎に、充放電確実度として算出する充放電確実度算出手段と、
実需給開始時点で電力取引をするべく約定された需要家の充放電設備装置の全てについて、実需給開始時点の時間帯における充放電確実度が低いほど、調整電力量が多くなるように決定する調整電力量決定手段と
を有することを特徴とする電力取引制御装置。
【請求項2】
移動可能な蓄電池は、電気自動車である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力取引制御装置。
【請求項3】
蓄電池の第1の接続状態から、蓄電池の第2の接続状態へ遷移する組合せとして、
接続/切断から接続/切断への4組の状態遷移
となることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力取引制御装置。
【請求項4】
需要家の世帯に属する各ユーザに、携帯端末が所持されており、
需要家毎の各携帯端末について、所定単位時間毎に、ユーザの在宅状態(在宅/不在)を記録した在宅状態履歴データベースを更に有し、
状態遷移履歴データベースは、所定単位時間毎に、現単位時間から一定時間前の蓄電池の第1の接続状態及びユーザの第1の在宅状態から、現単位時間の蓄電池の第2の接続状態及びユーザの第2の在宅状態へ遷移する各状態遷移を記録する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力取引制御装置。
【請求項5】
蓄電池の第1の接続状態及びユーザの第1の在宅状態から、蓄電池の第2の接続状態及びユーザの第2の在宅状態へ遷移する組合せとして、
接続/切断及び在宅/不在から、接続/切断及び在宅/不在への16組の状態遷移
となることを特徴とする請求項4に記載の電力取引制御装置。
【請求項6】
在宅状態履歴データベースは、
需要家毎の携帯端末と、需要家の世帯のHEMS(Home Energy Management System)ゲートウェイとの疎通/不通を、在宅状態(在宅/不在)として記録するか、又は、
需要家毎の各携帯端末の位置情報が、需要家の世帯の位置情報の所定周辺範囲に含まれるか否かを、在宅状態(在宅/不在)として記録する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電力取引制御装置。
【請求項7】
需要家が複数の携帯端末を保有する際に、在宅を記録すべき携帯端末を選択する携帯端末選択手段を更に有し、
携帯端末選択手段は、
複数の携帯端末を保有する各需要家について、所定単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)と共に、各携帯端末の在宅状態(在宅/不在)を記録すると共に、
蓄電池の接続状態(接続/切断)と最も相関性の高い在宅状態(在宅/不在)となる携帯端末を選択する
ことを特徴とする請求項6に記載の電力取引制御装置。
【請求項8】
携帯端末選択手段は、所定期間毎に、携帯端末を選択し直す
ことを特徴とする請求項7に記載の電力取引制御装置。
【請求項9】
充放電確実度算出手段は、充放電確実度を、平日と休日とに、曜日毎に、月毎に又は季節毎に別々に区分する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電力取引制御装置。
【請求項10】
複数の需要家から、実需給開始時点の時間帯を指定した入札情報を受信し、注文を合致させて電力取引を約定させる約定処理手段と、
実需給開始時点の時間帯について、約定処理手段によって約定されなかった需要家の充放電設備装置を選択する調整需要家選択手段と、
調整電力量決定手段によって決定された調整電力量を、調整需要家選択手段によって選択された需要家の充放電設備装置から確保する調整電力量制御手段と
を更に有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電力取引制御装置。
【請求項11】
調整需要家選択手段は、約定されなかった需要家に対して調整電力量の提供の要求を送信し、提供可能の応答を受信した需要家の中から需要家の充放電設備装置を選択し、
調整電力量制御手段は、選択された需要家に対して調整電力量の確保の要求を送信する
ことを特徴とする請求項10に記載の電力取引制御装置。
【請求項12】
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、過去に電力取引を約定した約定電力量と、その電力取引を実施した実績電力量とを記録した充放電履歴データベースを更に有し、
充放電確実度算出手段は、需要家の充放電設備装置それぞれについて、約定した所定期間の所定時間帯毎に、実際に充放電された時間実績率を、充放電確実度に重み付ける
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電力取引制御装置。
【請求項13】
需要家の充放電設備装置は、電力網と、HEMSゲートウェイ及び/又はホームゲートウェイを介した通信網とに接続されており、
需要家のHEMSゲートウェイは、通信網を介して電力取引制御装置に対して入札情報を送信すると共に約定情報を受信し、約定情報に応じて、電力網を介して送配電設備装置との間で電力を送電又は受電することを充放電設備装置に指示する
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の電力取引制御装置。
【請求項14】
移動可能な蓄電池が接続する需要家の充放電設備装置と送配電事業者の送配電設備装置との間で、約定された電力取引に基づく実需給開始時点よりも一定時間前の推定時点に、他の需要家からの調整電力量を推定する電力取引制御装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)を記録した接続状態履歴データベースと、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、現単位時間よりも一定時間前の蓄電池の第1の接続状態から、現単位時間の蓄電池の第2の接続状態へ遷移する各状態遷移を記録する状態遷移履歴データベースと、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定期間の所定時間帯毎に、蓄電池の第2の接続状態が「接続」となる状態遷移確率毎に、充放電確実度として算出する充放電確実度算出手段と、
実需給開始時点で電力取引をするべく約定された需要家の充放電設備装置の全てについて、実需給開始時点の時間帯における充放電確実度が低いほど、調整電力量が多くなるように決定する調整電力量決定手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
移動可能な蓄電池が接続する需要家の充放電設備装置と送配電事業者の送配電設備装置との間で、約定された電力取引に基づく実需給開始時点よりも一定時間前の推定時点に、他の需要家からの調整電力量を推定する装置の電力取引制御方法であって、
装置は、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)を記録した接続状態履歴データベースと、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、現単位時間よりも一定時間前の蓄電池の第1の接続状態から、現単位時間の蓄電池の第2の接続状態へ遷移する各状態遷移を記録する状態遷移履歴データベースと
を有し、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定期間の所定時間帯毎に、蓄電池の第2の接続状態が「接続」となる状態遷移確率毎に、充放電確実度として算出する第1のステップと、
実需給開始時点で電力取引をするべく約定された需要家の充放電設備装置の全てについて、実需給開始時点の時間帯における充放電確実度が低いほど、調整電力量が多くなるように決定する第2のステップと
を実行することを特徴とする電力取引制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家の電力取引を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
小売電気事業者は、事前に計画した需要に応じた電力を、市場から調達する。小売電気事業者としては、発電事業者から調達した電力を、一般家庭のような需要家へ供給する。そのために、小売電気事業者は、多数の需要家における需要電力量を予測して、販売する電力の量(需要計画)とその電力の調達先(調達計画)とを計画する必要があった。
一方で、近年、一般家庭にも、太陽光発電設備が設置されてきている。この場合、一般家庭のような需要家も、電力市場からの買電だけでなく、売電にも参加できるようになってきている。
電力は、大量に蓄電できないために、「送電元及び受電先」と「時間帯」とを、予め計画しておく必要がある。電力を安定的に供給するためには、需給バランス(需要と供給)を常に一致させる必要がある。需要家内の電力設備装置から電力系統へ放電する場合も、その電力量や時間帯を、需要家と小売電気事業者との間で事前に計画しておく必要がある。
【0003】
従来、電力系統に含まれる複数の電力資源を、分散配置された複数の制御装置によって制御する技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、各電力資源の単独動作(自家利用)を許容しながら、通信や電力資源の動作の不確実度を考慮しつつ、電力資源の制御の信頼性を向上させる必要がある。ここで、電力資源とは、例えば水力発電、火力発電、原子力発電、蓄電池、太陽光発電、風力発電、地熱発電や、家、ビル、工場等の電力負荷や、プロシューマ(電源と負荷の両方の性質を有する電力資源)などがある。この技術によれば、電力資源を、中央装置から制御する動作指令対象群と、制御しない予備群とに分けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-125907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
小売電気事業者としては、需給バランスを一致させるべく、送電元及び受電先と時間帯とに基づく計画通りに、電力系統を介した送電及び受電がなされることを期待する。そのために、小売電気事業者は、事前の計画と実際の需要実績との差分(インバランス)ができる限り小さくなるように、需要家の責任ある電力売買の下で約定させる必要がある。
【0006】
近年、需要家宅内に配置される蓄電池として、電気自動車に搭載された蓄電池を利用することが期待されている。
しかしながら、電気自動車は移動可能なものであるために、予め計画された放電又は充電の時間に、電気自動車が需要家宅の充放電設備装置に接続されていない場合もあり得る。このように、需要家の宅内に配置された蓄電池の「不接続」によって、予め約定された電力取引を実行できないという問題がある。
勿論、蓄電池の電力の自家利用によって蓄電池残量が減少し、予め計画された電力量を電力系統へ放電できない場合もある。
【0007】
このように、小売電気事業者からみた需要家の電力取引は、需要家が計画通りに充放電しないことによって、電力系統の需給バランスに影響を与えてしまう。需給バランスが崩れると、周波数が乱れ、最悪の場合には大停電につながりかねない。
そのために、小売電気事業者は、約定された電力取引が実行されない不確実度を予め想定し、その分のインバランスに備えた調整電力量を、他の需要家から調達できるようにしておく必要がある。
【0008】
従来、調整電力量の調達先としては、他者に依存するものであった。例えば、自事業者が提供するその他の電力サービス(VPP(Virtual Power Plant)サービス等)の加入者や、送配電事業者、外部事業者等の他事業者がある。
しかしながら、調整電力量が膨大となるほど、他者に依存した調整電力量の確保は、高コストとなる。
これに対し、本願の発明者らは、自事業者が提供する需要家間電力取引のサービスに加入する他の需要家、即ち、需要家同士の間で、調整電力量を調達することができないか、と考えた。
【0009】
そこで、本発明は、小売電気事業者からみて、電力の需給バランスにできる限り影響を与えないように、需要家の電力取引に対する調整電力量を制御する電力取引制御装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、移動可能な蓄電池が接続する需要家の充放電設備装置と送配電事業者の送配電設備装置との間で、約定された電力取引に基づく実需給開始時点よりも一定時間前の推定時点に、他の需要家からの調整電力量を推定する電力取引制御装置であって、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)を記録した接続状態履歴データベースと、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、現単位時間よりも一定時間前の蓄電池の第1の接続状態から、現単位時間の蓄電池の第2の接続状態へ遷移する各状態遷移を記録する状態遷移履歴データベースと、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定期間の所定時間帯毎に、蓄電池の第2の接続状態が「接続」となる状態遷移確率毎に、充放電確実度として算出する充放電確実度算出手段と、
実需給開始時点で電力取引をするべく約定された需要家の充放電設備装置の全てについて、実需給開始時点の時間帯における充放電確実度が低いほど、調整電力量が多くなるように決定する調整電力量決定手段と
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
移動可能な蓄電池は、電気自動車である
ことも好ましい。
【0012】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
蓄電池の第1の接続状態から、蓄電池の第2の接続状態へ遷移する組合せとして、
接続/切断から接続/切断への4組の状態遷移
となることも好ましい。
【0013】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
需要家の世帯に属する各ユーザに、携帯端末が所持されており、
需要家毎の各携帯端末について、所定単位時間毎に、ユーザの在宅状態(在宅/不在)を記録した在宅状態履歴データベースを更に有し、
状態遷移履歴データベースは、所定単位時間毎に、現単位時間から一定時間前の蓄電池の第1の接続状態及びユーザの第1の在宅状態から、現単位時間の蓄電池の第2の接続状態及びユーザの第2の在宅状態へ遷移する各状態遷移を記録する
ことも好ましい。
【0014】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
蓄電池の第1の接続状態及びユーザの第1の在宅状態から、蓄電池の第2の接続状態及びユーザの第2の在宅状態へ遷移する組合せとして、
接続/切断及び在宅/不在から、接続/切断及び在宅/不在への16組の状態遷移
となることも好ましい。
【0015】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
在宅状態履歴データベースは、
需要家毎の携帯端末と、需要家の世帯のHEMS(Home Energy Management System)ゲートウェイとの疎通/不通を、在宅状態(在宅/不在)として記録するか、又は、
需要家毎の各携帯端末の位置情報が、需要家の世帯の位置情報の所定周辺範囲に含まれるか否かを、在宅状態(在宅/不在)として記録する
ことも好ましい。
【0016】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
需要家が複数の携帯端末を保有する際に、在宅を記録すべき携帯端末を選択する携帯端末選択手段を更に有し、
携帯端末選択手段は、
複数の携帯端末を保有する各需要家について、所定単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)と共に、各携帯端末の在宅状態(在宅/不在)を記録すると共に、
蓄電池の接続状態(接続/切断)と最も相関性の高い在宅状態(在宅/不在)となる携帯端末を選択する
ことも好ましい。
【0017】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
携帯端末選択手段は、所定期間毎に、携帯端末を選択し直すことも好ましい。
【0018】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
充放電確実度算出手段は、充放電確実度を、平日と休日とに、曜日毎に、月毎に又は季節毎に別々に区分する
ことも好ましい。
【0019】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
複数の需要家から、実需給開始時点の時間帯を指定した入札情報を受信し、注文を合致させて電力取引を約定させる約定処理手段と、
実需給開始時点の時間帯について、約定処理手段によって約定されなかった需要家の充放電設備装置を選択する調整需要家選択手段と、
調整電力量決定手段によって決定された調整電力量を、調整需要家選択手段によって選択された需要家の充放電設備装置から確保する調整電力量制御手段と
を更に有することも好ましい。
【0020】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
調整需要家選択手段は、約定されなかった需要家に対して調整電力量の提供の要求を送信し、提供可能の応答を受信した需要家の中から需要家の充放電設備装置を選択し、
調整電力量制御手段は、選択された需要家に対して調整電力量の確保の要求を送信する
ことも好ましい。
【0021】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、過去に電力取引を約定した約定電力量と、その電力取引を実施した実績電力量とを記録した充放電履歴データベースを更に有し、
充放電確実度算出手段は、需要家の充放電設備装置それぞれについて、約定した所定期間の所定時間帯毎に、実際に充放電された時間実績率を、充放電確実度に重み付ける
ことも好ましい。
【0022】
本発明の電力取引制御装置における他の実施形態によれば、
需要家の充放電設備装置は、電力網と、HEMSゲートウェイ及び/又はホームゲートウェイを介した通信網とに接続されており、
需要家のHEMSゲートウェイは、通信網を介して電力取引制御装置に対して入札情報を送信すると共に約定情報を受信し、約定情報に応じて、電力網を介して送配電設備装置との間で電力を送電又は受電することを充放電設備装置に指示する
ことも好ましい。
【0023】
本発明によれば、移動可能な蓄電池が接続する需要家の充放電設備装置と送配電事業者の送配電設備装置との間で、約定された電力取引に基づく実需給開始時点よりも一定時間前の推定時点に、他の需要家からの調整電力量を推定する電力取引制御装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)を記録した接続状態履歴データベースと、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、現単位時間よりも一定時間前の蓄電池の第1の接続状態から、現単位時間の蓄電池の第2の接続状態へ遷移する各状態遷移を記録する状態遷移履歴データベースと、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定期間の所定時間帯毎に、蓄電池の第2の接続状態が「接続」となる状態遷移確率毎に、充放電確実度として算出する充放電確実度算出手段と、
実需給開始時点で電力取引をするべく約定された需要家の充放電設備装置の全てについて、実需給開始時点の時間帯における充放電確実度が低いほど、調整電力量が多くなるように決定する調整電力量決定手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、移動可能な蓄電池が接続する需要家の充放電設備装置と送配電事業者の送配電設備装置との間で、約定された電力取引に基づく実需給開始時点よりも一定時間前の推定時点に、他の需要家からの調整電力量を推定する装置の電力取引制御方法であって、
装置は、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)を記録した接続状態履歴データベースと、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、現単位時間よりも一定時間前の蓄電池の第1の接続状態から、現単位時間の蓄電池の第2の接続状態へ遷移する各状態遷移を記録する状態遷移履歴データベースと
を有し、
需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定期間の所定時間帯毎に、蓄電池の第2の接続状態が「接続」となる状態遷移確率毎に、充放電確実度として算出する第1のステップと、
実需給開始時点で電力取引をするべく約定された需要家の充放電設備装置の全てについて、実需給開始時点の時間帯における充放電確実度が低いほど、調整電力量が多くなるように決定する第2のステップと
を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の電力取引制御装置、プログラム及び方法によれば、小売電気事業者からみて、電力の需給バランスにできる限り影響を与えないように、需要家の電力取引に対する調整電力量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】電力取引に基づくシステム構成図である。
図2】需要家宅内における機器構成図である。
図3】電力取引の約定時点、実需給開始時点及び推定時点を表す説明図である。
図4】本発明における電力取引制御装置の機能構成図である。
図5】電力取引制御装置と需要家設備装置との間のシーケンス図である。
図6】接続状態履歴データベースの説明図である。
図7図6の接続状態履歴データベースに対する状態遷移履歴データベースの説明図である。
図8図7の状態遷移履歴データベースに対する充放電確実度算出部の説明図である。
図9】在宅状態履歴データベースの説明図である。
図10】携帯端末選択部の説明図である。
図11】電気自動車の接続とユーザの在宅との相関性を表す説明図である。
図12図6の接続状態履歴データベース及び図9の在宅状態履歴データベースに対する状態遷移履歴データベースの説明図である。
図13図12の状態遷移履歴データベースに対する充放電確実度算出部の説明図である。
図14】充放電履歴データベースの説明図である。
図15】充放電履歴データベースから充放電確実度へ重み付ける説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、電力取引に基づくシステム構成図である。
【0028】
図1によれば、各需要家の宅内に配置された需要家設備装置2は、電力網と通信網とに接続されている。
需要家設備装置2は、予め、通信網を介して電力取引制御装置1に対して、他の需要家に対する電力売買について入札する。また、需要家設備装置2は、約定された電力取引時に、送配電設備装置3によって管理される電力網を介して、他の需要家設備装置との間で電力を送電又は受電する。
【0029】
電力取引制御装置1は、通信網を介して需要家設備装置2から入札された電力取引を約定し、その情報を、小売電気事業者システムを介して送配電設備装置3へ送信する。
送配電設備装置3は、約定された電力取引情報に応じて、需要家同士の間の電力系統を制御する。
【0030】
図2は、需要家宅内における機器構成図である。
【0031】
需要家設備装置2は、各需要家宅内に配置されている。図2によれば、需要家設備装置2は、充放電設備装置21と、HEMS(Home Energy Management System)ゲートウェイ22と、ホームゲートウェイ23とから構成されている。
【0032】
[充放電設備装置21]
充放電設備装置21は、電力網に接続され、送配電設備装置3の電力系統の制御に応じて電力を送電又は受電する。これは、電力網における交流の電気と、需要家宅内に接続さされた蓄電池における直流の電気とを変換する機能を有し、一般に「パワーコンディショナー」と称される。
充放電設備装置21は、HEMSゲートウェイ22からの指示によって蓄電池を充放電させ、電力網を介して送配電設備装置3との間で電力を送電又は受電する。
【0033】
また、充放電設備装置21は、需要家宅内に配置された蓄電池に接続する。宅内に配置された移動可能な蓄電池として、自宅に駐車された電気自動車25を想定する。充放電設備装置21は、電気自動車25に対して充放電スタンドとして機能する。
【0034】
[HEMSゲートウェイ22]
HEMSゲートウェイ22は、売電の場合、放電時刻(放電時間帯)と放電電力量とを含む「入札情報」を、ホームゲートウェイ23及び通信網を介して電力取引制御装置1へ送信する。
一方で、HEMSゲートウェイ22は、買電の場合、充電時刻(充電時間帯)と充電電力量とを含む「入札情報」を、ホームゲートウェイ23及び通信網を介して電力取引制御装置1へ送信する。このとき、入札情報に基づく電力取引時刻に宅内で消費されると予想される電力量を、買電の充電電力量としてもよい。
そして、HEMSゲートウェイ22は、通信網及びホームゲートウェイ23を介して電力取引制御装置1から、約定情報を受信する。その約定情報に基づいて充放電設備装置21へ指示する。
【0035】
また、HEMSゲートウェイ22は、電気自動車25における充放電設備装置21への接続有無は、充放電設備装置21との間のECHONET Liteによる通信で収集することができる。蓄電池の接続有無のような蓄電池状態情報は、電力取引制御装置1へ送信される。ここで、蓄電池状態情報としては、蓄電池動作(充電/放電)や、蓄電池残量、放電電力や充電電力の実績量などの情報を含む。
尚、HEMSゲートウェイ22は、ホームゲートウェイ23を介して携帯端末24と通信する。HEMSゲートウェイ22は、携帯端末24から、需要家のユーザからの入札情報を受信すると共に、約定情報を携帯端末24へ送信する。
【0036】
[ホームゲートウェイ23]
ホームゲートウェイ23は、通信網に接続する装置であって、これを経由してユーザが所持する携帯端末24やHEMSゲートウェイ22は、電力取引制御装置1と通信する。
【0037】
[携帯端末24]
携帯端末24は、需要家のユーザによって所持されたスマートフォンであって、ホームゲートウェイ23を介してHEMSゲートウェイ22と通信する。勿論、携帯端末24は、ホームゲートウェイ23を介して、通信網に接続(又は直接的に通信網に接続)する。
【0038】
携帯端末24は、売電の場合、ユーザ操作によって、放電時刻(放電時間帯)と放電電力量とを含む「入札情報」を、HEMSゲートウェイ22へ送信する。
携帯端末24は、買電の場合、ユーザ操作によって、充電時刻(充電時間帯)と充電電力量とを含む「入札情報」を、HEMSゲートウェイ22へ送信する。
また、携帯端末24は、HEMSゲートウェイ22から受信した電力取引の約定情報や蓄電池状態情報を受信し、需要家のユーザへ明示する。
【0039】
また、携帯端末24は、GPSのような測位機能を有し、自らの位置を測位することができる。これによって、携帯端末24を所持した需要家のユーザが、在宅しているか否かを判定することもできる。
【0040】
図3は、電力取引の約定時点、実需給開始時点及び推定時点を表す説明図である。
【0041】
電力取引制御装置1は、移動可能な蓄電池が接続する需要家の充放電設備装置21と、送配電事業者の送配電設備装置3との間で、入札処理及び約定処理を実行する。ここで、電力取引制御装置1は、図3のような時間経過の中で、処理を実行する。
<約定時>2019年6月29日15:00
約定された電力取引:
取引時刻:2019年7月1日18:00~18:30
売手:需要家A
買手:需要家C
電力量:1kWh
価格:20.5円
【0042】
<推定時点>2019年7月1日17:00
推定時点とは、約定された電力取引に基づく実需給開始時点よりも一定時間前の時点をいう。ここでは、実需給開始時点よりも1時間前を、推定時点とする。
推定時点で、電力取引制御装置1は、取引時刻:2019年7月1日18:00~18:30における全ての需給バランスを考慮し、調整電力量を決定する。電力取引の需要家全てについて電力取引が不実施となるであろう確率が高いほど、調整電力量も多く決定する。
また、電力取引制御装置1は、決定された調整電力量に基づいて売買可能な他の調整需要家を選択する。
ここで、本発明によれば、電力取引が不実施となるであろう条件として、電力取引が約定された需要家について、実需給開始時点に、移動可能な蓄電池(例えば電気自動車)の切断となっているか否かを推定する。一方で、調整需要家は、実需給開始時点に、電力取引が約定しなかったが、移動可能な蓄電池が接続されている確率が高い需要家が選択される。
【0043】
<実需給開始時点>2019年7月1日18:00
需給開始時点には、約定された需要家の電力取引を実行すると共に、推定時点に決定された他の調整需要家の電力取引も実行する。これによって、この需給開始時点における全ての需給バランスを維持することができる。
【0044】
図4は、本発明における電力取引制御装置の機能構成図である。
図5は、電力取引制御装置と需要家設備装置との間のシーケンス図である。
【0045】
電力取引制御装置1は、需要家の充放電設備装置21と、送配電事業者の送配電設備装置3との間における電力取引を制御する。
図4によれば、電力取引制御装置1は、接続状態履歴データベース101と、在宅状態履歴データベース102と、状態遷移履歴データベース103と、充放電履歴データベース104とを有する。また、電力取引制御装置1は、充放電確実度算出部11と、調整電力量決定部12と、調整需要家選択部13と、調整電力量制御部14と、約定処理部15と、携帯端末選択部16とを有する。これら機能構成部は、装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能処理部の処理の流れは、装置の電力取引制御方法としても理解できる。
【0046】
[約定処理部15]
約定処理部15は、複数の需要家から、実需給開始時点の時間帯を指定した入札情報を受信し、注文を合致させて電力取引を約定させる。
入札情報は、需要家設備装置2のHEMSゲートウェイ22から、ホームゲートウェイ23及び通信網を介して受信する。入札情報には、例えば以下の情報が含まれる。
需要家ID: 需要家(世帯)毎の識別子
蓄電池ID: 需要家が保有する移動可能な蓄電池(電気自動車)毎の識別子
(世帯毎に複数の蓄電池も識別)
取引種別: 売電/買電
日付時間帯(30分単位): 電力取引の対象とする日付時間帯
電力量: 例えば2kWh
入札価格: 例えば20.0円
【0047】
約定処理部15は、売電入札と買電入札とを約定させるために、ザラ場寄せ方式の気配値板を用いてもよい。これは、売り気配電力量と、売買価格及び/又は売買条件と、買い気配電力量とを並べたものである。また、コールオークションなどを適用してよい。
【0048】
約定処理部15は、約定した需要家のHEMSゲートウェイ22へ、落札した旨の約定成立情報を送信する。その約定情報に基づいて充放電設備装置21へ指示する。
【0049】
また、約定処理部15は、約定しなかった需要家のHEMSゲートウェイ22へ、落札しなかった旨の約定不成立情報を送信する。約定不成立情報には、当該需要家へ、入札情報の電力取引日時に、調整電力量として売電/買電が可能かどうかを問い合わせる。
これに対し、約定処理部15は、需要家のHEMSゲートウェイ22から、自動的に又はユーザ操作に応じて、調整電力量としての売電/買電の可否を受信する。約定処理部15は、当該需要家の蓄電池(電気自動車)について「調整電力可能」を受信した場合、その需要家の蓄電池を、調整電力供給の候補リストに登録する。
【0050】
[接続状態履歴データベース101]
接続状態履歴データベース101は、需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)を記録したものである。
【0051】
図6は、接続状態履歴データベースの説明図である。
【0052】
図6によれば、以下の情報が記録されている。
需要家ID: 需要家(世帯)毎の識別子
蓄電池ID: 需要家が保有する移動可能な蓄電池(電気自動車)毎の識別子
(世帯毎の複数の蓄電池も識別)
単位時間: 蓄電池の接続切断を評価する時間
(例えばJEPX運営の既存の電力市場における取引単位(30分))
蓄電池接続切断: 充放電設備装置に対する蓄電池の接続/切断の状態
接続されているか否かは、HEMSゲートウェイと充放電設備
装置との間のECHONET Liteによる通信で検知可能
【0053】
ここで、電気自動車の接続実績と、蓄電池の充放電実績とに正の相関があるものとする。少なくとも、電気自動車が接続されていなければ、充電も放電もできない。また、電気自動車の切断(自宅からの移動)は、その需要家が約定した電力取引を、最も簡易にキャンセルする行為となる。
【0054】
[状態遷移履歴データベース103]
状態遷移履歴データベース103は、需要家の充放電設備装置それぞれについて、所定単位時間毎に、現単位時間よりも一定時間前の蓄電池の第1の接続状態から、現単位時間の蓄電池の第2の接続状態へ遷移する各状態遷移を記録する。
【0055】
図7は、図6の接続状態履歴データベースに対する状態遷移履歴データベースの説明図である。
【0056】
図7によれば、以下の情報が記録されている。但し、需要家ID及び蓄電池IDは、図6の接続状態履歴データベースと同様のものである。
日付 :1日単位であって、単位時間30分の48コマで表現
状態遷移:現単位時間よりも1時間前の蓄電池の第1の接続状態から、
現単位時間の蓄電池の第2の接続状態へ遷移した状態遷移
蓄電池の第1の接続状態から、蓄電池の第2の接続状態へ遷移する組合せとして、以下の4組の状態遷移がある。
S11:接続から接続への状態遷移
S12:接続から切断への状態遷移
S21:切断から接続への状態遷移
S22:切断から切断への状態遷移
【0057】
例えば時間経過に応じて、以下のように蓄電池の接続/切断が推移したとする。
2019年6月24日23:00~23:30 [接続]
2019年6月24日23:30~24:00 [接続]
2019年6月25日00:00~00:30 [接続]
2019年6月25日00:30~01:00 [接続]
2019年6月25日01:00~01:30 [切断]
2019年6月25日01:30~02:00 [切断]
2019年6月25日02:00~02:30 [切断]
2019年6月25日02:30~03:00 [切断]
・・・・・
現単位時間2019年6月25日00:00~00:30[接続]から遡って、一時間前の2019年6月24日23:00~23:30[接続]であるので、状態遷移S11[接続->接続]となる。
現単位時間2019年6月25日00:30~01:00[接続]から遡って、一時間前の2019年6月24日23:30~24:00[接続]であるので、状態遷移S11[接続->接続]となる。
現単位時間2019年6月25日01:00~01:30[切断]から遡って、一時間前の2019年6月25日00:00~00:30[接続]であるので、状態遷移S12[接続->切断]となる。
現単位時間2019年6月25日01:30~02:00[切断]から遡って、一時間前の2019年6月25日00:30~01:00[接続]であるので、状態遷移S12[接続->切断]となる。
現単位時間2019年6月25日02:00~02:30[切断]から遡って、一時間前の2019年6月25日01:00~01:30[切断]であるので、状態遷移S22[切断->切断]となる。
現単位時間2019年6月25日02:30~03:00[切断]から遡って、一時間前の2019年6月25日01:30~02:00[切断]であるので、状態遷移S22[切断->切断]となる。
・・・・・
【0058】
[充放電確実度算出部11]
充放電確実度算出部11は、需要家の充放電設備装置21それぞれについて、所定期間(1日)の所定時間帯(30分)毎に、蓄電池の第2の接続状態が「接続」となる状態遷移確率毎に、充放電確実度として算出する。
充放電確実度とは、電力取引の実需給開始時点に対応する所定時間帯に、当該充放電設備装置21に移動可能な蓄電池(電気自動車)が接続されており、電力取引が実施されるであろう確率をいう。
蓄電池が、その時間帯に「接続」となっている確率が低い(「切断」となっている確率が高い)ということは、実需給開始時点で、電力取引が実施されない可能性が高いことを意味する。
【0059】
図8は、図7の状態遷移履歴データベースに対する充放電確実度算出部の説明図である。
【0060】
図8によれば、以下の情報が記録されている。但し、需要家ID及び蓄電池IDは、図6の接続状態履歴データベースと同様のものである。
期間種別:1日単位であって、単位時間30分の48コマで表現
ここで、平日/休日、曜日毎に、月毎に又は季節毎に、種別で区分する
例えば1ヶ月間(又は直近過去N日)について、平日(22日)と休日(8日)とに区分する。勿論、平日と休日に限らず、曜日毎に、月毎に又は季節毎であってもよい。
【0061】
図8によれば、期間種別毎の各時間帯(30分)の48個のコマそれぞれには、充放電確実度として、図7の4種の状態遷移S11~S22のうち、第2の接続状態が「接続」となる状態遷移(S11、S12の2種)の出現確率(P11、P12の2種)が表されている。
充放電確実度は、需要家の移動可能な蓄電池(電気自動車)が、その時間帯に「接続」されているであろう確率を意味する。
充放電確実度={出現確率P11,出現確率P21}
【0062】
充放電確実度の算出方法としては、以下のような他の実施形態を適用することができる。
(1)充放電確実度を、時間帯毎に、過去の接続時間率の平均値を算出する。
接続時間率=接続時間/時間帯時間
(2)充放電確実度を目的変数として、接続時間率、時間帯、曜日、蓄電池残量割合、宅内消費電力量などを説明変数とした過去の教師データとして、機械学習により、未来の時間帯毎の充放電確実度を予測するモデルを構築する。電力取引対象の時間帯から一定時間前の時点における過去のデータを当該予測モデルに入力し、電力取引対象の時間帯における充放電確実度の予測値を出力する。
【0063】
[在宅状態履歴データベース102]
在宅状態履歴データベース102は、需要家毎の各携帯端末について、所定単位時間毎に、ユーザの在宅状態(在宅/不在)を記録したものである。
【0064】
図9は、在宅状態履歴データベースの説明図である。
【0065】
図9によれば、以下の情報が記録されている。
需要家ID: 需要家(世帯)毎の識別子
端末ID: 需要家のユーザが所持する携帯端末毎の識別子
単位時間: 蓄電池の接続切断を評価する時間であり、図6と同様の時間
(例えばJEPX運営の既存の電力市場における取引単位(30分))
在宅情報:当該携帯端末を所持するユーザにおける需要家宅での在宅/不在
【0066】
在宅不在情報は、以下のいずれかの情報から記録される。
(在宅不在情報1)需要家毎の携帯端末24と、需要家の世帯のHEMSゲートウェイ22との疎通/不通を、在宅状態(在宅/不在)として記録する。
携帯端末24は、需要家間の電力取引用アプリケーションソフトウェアを予めインストールしている。このアプリケーションは、定期的に、需要家宅内のホームゲートウェイ23を介してHEMSゲートウェイ22との間で通信する。具体的には、携帯端末24は、HEMSゲートウェイ22との間で、例えばkeep aliveメッセージを送受信することによって、疎通/不通を確認する。そして、HEMSゲートウェイ22又は携帯端末24は、その疎通有無の情報を、電力取引制御装置1へ送信する。
電力取引制御装置1は、在宅状態履歴データベース102に、受信した疎通有無の情報を、在宅/不在(疎通->在宅、不通->不在)として記録する。
尚、需要家宅内に複数のユーザが同居している場合、携帯端末24毎に、在宅/不在を記録する。
【0067】
(在宅不在情報2)需要家毎の各携帯端末24の位置情報が、需要家の世帯の位置情報の所定周辺範囲に含まれるか否かを、在宅状態(在宅/不在)として記録する
携帯端末24は、予めインストールされた電力取引用アプリケーションによって、定期的に、自ら測位した位置情報を、電力取引制御装置1へ送信する。これに対し、電力取引制御装置1は、需要家宅の位置情報を予め登録しておき、携帯端末24から受信した位置情報が、需要者宅の所定周辺範囲に含まれるか否かを判定する。
電力取引制御装置1は、在宅状態履歴データベース102に、所定周辺範囲の判定情報を、在宅/不在(所定周辺範囲に含まれる->在宅、所定周辺範囲に含まれない->不在)として記録する。
【0068】
図9によれば、所定単位時間毎に、在宅/不在のみが記録されている。例えば所定単位時間内で、複数回の在宅/不在が判定されるとすると、所定回数以上「在宅」と判定された場合にのみ、「在宅」と記録するものであってもよい。また、例えば所定単位時間内で、「在宅」と判定された在宅割合が、所定閾値以上の場合にのみ、「在宅」と判定するものであってもよい。
【0069】
[携帯端末選択部16]
需要家の1つの世帯内で、複数のユーザがそれぞれ、自らの携帯端末を所持する場合も多い。即ち、需要家に1台の電気自動車しかない場合、いずれのユーザが所持する携帯端末が、その電気自動車と帯同しているかは不明となっている。その場合、時間帯に応じて、電気自動車と帯同している携帯端末を特定することができれば、その携帯端末の在宅状態によって、電気自動車の接続状態の推定確率を高めることができる。
【0070】
携帯端末選択部16は、需要家が複数の携帯端末を保有する際に、在宅を記録すべき携帯端末を選択する。携帯端末選択部16は、以下の2つの機能を有する。
(1)複数の携帯端末を保有する各需要家について、所定単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)と共に、各携帯端末の在宅状態(在宅/不在)を記録する。
(2)蓄電池の接続状態(接続/切断)と最も相関性の高い在宅状態(在宅/不在)となる携帯端末を選択する。
【0071】
図10は、携帯端末選択部の説明図である。
【0072】
図10によれば、需要家ID及び蓄電池ID毎について、30分の単位時間毎に、蓄電池の接続状態(接続/切断)と共に、各携帯端末IDの在宅状態(在宅/不在)が記録されている。
ここで、蓄電池「接続」のときに「在宅」となり、蓄電池「切断」のときに「不在」となる相関性が最も高い携帯端末を選択する。例えば蓄電池が電気自動車である場合、その携帯端末を所持するユーザは、その電気自動車と最も帯同している可能性が高い。即ち、電気自動車内に持ち込まれる可能性が最も高い携帯端末を推定する。
そのユーザが在宅であれば、その電気自動車は充放電設備装置に接続されている可能性が高いために、調整電力量の充放電先の対象となり得る。
一方で、そのユーザが不在であれば、その電気自動車は充放電設備装置から切断されている可能性が高いために、調整電力量の充放電先の対象とならない。
【0073】
図11は、電気自動車の接続とユーザの在宅との相関性を表す説明図である。
図11(a)によれば、電気自動車の接続とユーザの在宅とに相関性が有る場合を表す。
図11(b)によれば、電気自動車の接続とユーザの在宅とに相関性が無い場合を表す。
【0074】
具体的には、ユーザの携帯端末が電気自動車と帯同しているか否かは、電気自動車が走行を開始(自宅出発)してから終了(帰宅)するまでの外出期間に、以下の条件A~Cを全て満たす場合に、「相関性有り」と推定する。
(条件A)電気自動車の接続から切断へ切り替わった時刻t11と、ユーザの在宅(携帯端末の疎通)から不在(携帯端末の不通)へ切り替わった時刻t21との時間差が、所定時間内である。
(条件B)電気自動車の切断から接続へ切り替わった時刻t12と、ユーザの不在(携帯端末の不通)から在宅(携帯端末の疎通)へ切り替わった時刻t22との時間差が、所定時間内である。
(条件C)電気自動車は時刻t11~t12の間で継続して切断であるとともに、ユーザは時刻t21~t22の間で継続して不在(携帯端末の不通)である
尚、需要家宅内の各ユーザによって所持される携帯端末それぞれについて、3つの条件A~Cが成立する場合、過去の時系列データについて、これら条件に合致する回数が最も多いユーザを、電気自動車と専ら帯同するユーザとみなす。
【0075】
他の実施形態として、携帯端末選択部16は、所定期間毎に、携帯端末を選択し直すことも好ましい。所定期間としては、時間帯毎(例えば午前/午後/夜間など)、平日又は休日毎、曜日毎に、電気自動車と専ら帯同するユーザを改めて選択することも好ましい。例えば、平日にはユーザa(例えば妻)が選択され、休日にユーザb(例えば夫)が選択されてもよい。
【0076】
図12は、図6の接続状態履歴データベース及び図9の在宅状態履歴データベースに対する状態遷移履歴データベースの説明図である。
【0077】
状態遷移履歴データベース103は、所定単位時間毎に、現単位時間から一定時間前の蓄電池の第1の接続状態及びユーザの第1の在宅状態から、現単位時間の蓄電池の第2の接続状態及びユーザの第2の在宅状態へ遷移する各状態遷移を記録する。
【0078】
図12によれば、以下の情報が記録されている。但し、需要家ID、蓄電池ID、状態遷移は、図7の状態遷移履歴データベースと同様のものである。
蓄電池の第1の接続状態及びユーザの第1の在宅状態から、蓄電池の第2の接続状態及びユーザの第2の在宅状態へ遷移する組合せとして、以下の16組の状態遷移がある。
S11:接続及び在宅から、接続及び在宅への状態遷移
S12:接続及び在宅から、切断及び在宅への状態遷移
S13:接続及び在宅から、接続及び不在への状態遷移
S14:接続及び在宅から、切断及び不在への状態遷移
S21:切断及び在宅から、接続及び在宅への状態遷移
S22:切断及び在宅から、切断及び在宅への状態遷移
S23:切断及び在宅から、接続及び不在への状態遷移
S24:切断及び在宅から、切断及び不在への状態遷移
S31:接続及び不在から、接続及び在宅への状態遷移
S32:接続及び不在から、切断及び在宅への状態遷移
S33:接続及び不在から、接続及び不在への状態遷移
S34:接続及び不在から、切断及び不在への状態遷移
S41:切断及び不在から、接続及び在宅への状態遷移
S42:切断及び不在から、切断及び在宅への状態遷移
S43:切断及び不在から、接続及び不在への状態遷移
S44:切断及び不在から、切断及び不在への状態遷移
【0079】
例えば時間経過に応じて、以下のように蓄電池の接続/切断が推移したとする。
2019年6月24日23:00~23:30 [接続・在宅]
2019年6月24日23:30~24:00 [接続・在宅]
2019年6月25日00:00~00:30 [接続・在宅]
2019年6月25日00:30~01:00 [接続・不在]
2019年6月25日01:00~01:30 [切断・不在]
2019年6月25日01:30~02:00 [切断・不在]
2019年6月25日02:00~02:30 [切断・不在]
2019年6月25日02:30~03:00 [接続・在宅]
・・・・・
現単位時間2019年6月25日00:00~00:30[接続・在宅]から遡って、一時間前の2019年6月24日23:00~23:30[接続・在宅]であるので、状態遷移S11[接続・在宅->接続・在宅]となる。
現単位時間2019年6月25日00:30~01:00[接続・不在]から遡って、一時間前の2019年6月24日23:30~24:00[接続・在宅]であるので、状態遷移S13[接続・在宅->接続・不在]となる。
現単位時間2019年6月25日01:00~01:30[切断・不在]から遡って、一時間前の2019年6月25日00:00~00:30[接続・在宅]であるので、状態遷移S14[接続・在宅->切断・不在]となる。
現単位時間2019年6月25日01:30~02:00[切断・不在]から遡って、一時間前の2019年6月25日00:30~01:00[接続・不在]であるので、状態遷移S34[接続・不在
->切断・不在]となる。
現単位時間2019年6月25日02:00~02:30[切断・不在]から遡って、一時間前の2019年6月25日01:00~01:30[切断・不在]であるので、状態遷移S44[切断・不在->切断・不在]となる。
現単位時間2019年6月25日02:30~03:00[接続・在宅]から遡って、一時間前の2019年6月25日01:30~02:00[切断・不在]であるので、状態遷移S41[切断・不在->接続・在宅]となる。
・・・・・
【0080】
図13は、図12の状態遷移履歴データベースに対する充放電確実度算出部の説明図である。
【0081】
図13によれば、以下の情報が記録されている。但し、需要家ID、蓄電池ID、期間種別は、図8の充放電確実度と同様のものである。
図13によれば、期間種別毎の各時間帯(30分)の48個のコマそれぞれには、充放電確実度として、図12の16種の状態遷移S11~S44のうち、第1の状態(4種)毎に分けて、第2の接続状態が「接続」となる状態遷移の出現確率が表されている。
充放電確実度は、需要家の移動可能な蓄電池(電気自動車)が、その時間帯に「接続」されているであろう確率を意味する。
充放電確実度={出現確率P11+出現確率P13,
出現確率P21+出現確率P23,
出現確率P31+出現確率P33,
出現確率P41+出現確率P43}
【0082】
図13によれば、充放電確実度を、移動可能な電気自動車(蓄電池)の接続状態(接続/切断)に加えて、その電気自動車が接続する需要者宅におけるユーザの在宅状態(在宅/不在)も用いることによって、推定精度を向上させる。
【0083】
[充放電履歴データベース104]
充放電履歴データベース104は、需要家の充放電設備装置21それぞれについて、所定単位時間(例えば30分)毎に、過去に電力取引を約定した「約定電力量」と、その電力取引を実施した「実績電力量」とを記録したものである。
【0084】
図14は、充放電履歴データベースの説明図である。
【0085】
図14によれば、充放電履歴データベース104には、以下の情報が記録されている。需要家ID、蓄電池ID及び単位時間は、図7と同様のものである。
蓄電池動作: 放電/充電/待機のいずれかの状態
蓄電池残量割合: 当該単位時間の動作を経た終了時における蓄電池残量を用いて
以下の式によって算出される。
蓄電池残量割合(%)=蓄電池残量/蓄電池容量
約定量: 約定された電力取引の電力量
実績量: 実際に充放電された電力量
時間実績率: 約定量に対する実績量の割合
自家利用実績量: 自家利用によって充放電した実績量
【0086】
蓄電池の充放電実績と、電気自動車の接続実績とは、正の相関がある。少なくとも、電気自動車が接続されていなければ、充電も放電もできない。また、電気自動車の切断(自宅からの移動)は、その需要家が約定した電力取引を、最も簡易にキャンセルする行為となる。
【0087】
図15は、充放電履歴データベースから充放電確実度へ重み付ける説明図である。
【0088】
充放電履歴データベース104は、約定した需要家の蓄電池毎に、過去の実需給における時間実績率を集計したものである。この充放電履歴データベース104を用いて、図13の充放電確実度算出部11と同様に、期間種別と、所定期間(1日)の所定時間帯(30分)毎の時間実績率に総計したものである。
そして、充放電確実度算出部11は、需要家の充放電設備装置それぞれについて、約定した所定期間の所定時間帯毎に、実際に充放電された時間実績率を、充放電確実度に重み付ける。
これによって、充放電確実度は、以下のような意味合いを持つ。
(1)所定時間帯毎に、蓄電池が接続されている確率が高く、且つ、過去に約定した電力取引の充放電成功の実績が高いほど、充放電確実度は高くなる。
(2)所定時間帯毎に、蓄電池が接続されている確率が低い(切断されている確率が高い)か、又は、過去に約定した電力取引の充放電成功の実績が低いほど、充放電確実度は低くなる。
【0089】
[調整電力量決定部12]
調整電力量決定部12は、実需給開始時点で電力取引をするべく約定された需要家の充放電設備装置の全てについて、実需給開始時点の時間帯における充放電確実度が低いほど、調整電力量が多くなるように決定する。逆に、充放電確実度が高いほど、調整電力量が少なくなるように決定する。
調整電力量=Σi=1 N(Bi×(1-Pi))
N:約定した需要家の移動可能な蓄電池の数(i=1~N)
B:所定時間帯に約定された電力量
P:所定時間帯の充放電確実度(0≦Pi≦1)
【0090】
[調整需要家選択部13]
調整需要家選択部13は、実需給開始時点の時間帯について、約定処理部15によって約定されなかった需要家の充放電設備装置を選択する。そして、選択された需要家の充放電設備装置は、調整電力量の充放電先として保持される。
調整需要家選択部13は、入札に基づく約定後、不足又は過剰な電力量を調整するために、調整電力量の充放電を許諾する需要家の蓄電池を選択する。
【0091】
電力取引制御装置1の約定処理部15は、入札時に、約定されなかった需要家設備装置2へ、以下の情報を提示するものであってもよい。
約定されなかった旨の通知
調整電力量としての充電又は放電の可否の問合せ
充電又は放電可能な調整電力量の問合せ
調整電力量としての価格の提示
実需給時に調整電力量を充電又は放電できなかった場合のペナルティ条件
【0092】
需要家設備装置2のHEMSゲートウェイ22は、ユーザ操作によって予め登録された調整電力量の許諾条件と照合し、電力取引制御装置1の約定処理部15へ自動的に、許諾又は拒否を応答するものであってもよい。
また、HEMSゲートウェイ22が、携帯端末24へ調整電力量の許諾条件を送信し、携帯端末24に対するユーザ操作に基づいて、電力取引制御装置1の約定処理部15へ、許諾又は拒否を応答するものであってもよい。
更に、需要家設備装置2へ調整電力量の充放電の可否を問い合わせる代わり、需要家からの入札時に、入札情報として調整電力量の充放電の許諾有無を送信しておくものであってもよい。
電力取引制御装置1の調整需要家選択部13は、約定されず、かつ調整電力量の充放電を許諾した需要家の蓄電池(電気自動車)を、リストに登録しておくことができる。そのリストに登録された需要家の蓄電池の中で、充放電確実度が最も高い蓄電池から順に選択される。
【0093】
前述した図5によれば、具体的に、調整需要家選択部13は、約定されなかった需要家に対して調整電力量の提供の要求を送信する。
そして、提供可能の応答を受信した需要家の中から、実需給の時間帯で、充放電確実度が最も高い蓄電池(電気自動車)から順に、調整電力量を満たすまで選択される。即ち、選択された蓄電池を調整力として、その電力量を加算していく。必要な調整電力量になるまで、約定しなかった需要家の蓄電池の選択を繰り返す。
【0094】
[調整電力量制御部14]
調整電力量制御部14は、調整電力量決定部12によって決定された調整電力量を、調整需要家選択部13によって選択された需要家の充放電設備装置21から確保する。
調整電力量制御部14は、実需給開始後の約定した需要家宅の蓄電池の接続状況に応じて、調整電力量の供出の指示を、調整需要家選択部13によって選択された需要家の充放電設備装置21へ送信する。
【0095】
以上、詳細に説明したように、本発明の電力取引制御装置、プログラム及び方法によれば、小売電気事業者からみて、電力の需給バランスにできる限り影響を与えないように、需要家の電力取引に対する調整電力量を制御することができる。
特に、需要家間の電力取引のうち、電気自動車搭載の蓄電池の充放電による電力を取引対象とする場合に、需要家が約定通り充放電しないことに起因するインバランスの電力量を調整することができる。
【0096】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0097】
1 電力取引制御装置
101 接続状態履歴データベース
102 在宅状態履歴データベース
103 状態遷移履歴データベース
104 充放電履歴データベース
11 充放電確実度算出部
12 調整電力量決定部
13 調整需要家選択部
14 調整電力量制御部
15 約定処理部
16 携帯端末選択部
2 需要家設備装置
21 充放電設備装置
22 HEMSゲートウェイ
23 ホームゲートウェイ
24 携帯端末
25 電気自動車
3 送配電設備装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15