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特許7169979補体関連腎症および肝線維症の候補治療剤の治療有効性を評価する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】補体関連腎症および肝線維症の候補治療剤の治療有効性を評価する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20221104BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20221104BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20221104BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221104BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20221104BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221104BHJP
   A01K 67/027 20060101ALN20221104BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20221104BHJP
   C12N 15/115 20100101ALN20221104BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20221104BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20221104BHJP
【FI】
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
C07K16/46
C07K16/28
C12Q1/686 Z
A61P13/12
A61P43/00 111
A61P43/00 105
A61P1/16
A61K45/00
A61K48/00
A61K38/02
A61K31/7088
A61K31/713
A61K31/7105
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A01K67/027 ZNA
C12N15/113 Z
C12N15/115 Z
C12N15/12
C12P21/08
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019546343
(86)(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 US2018019651
(87)【国際公開番号】W WO2018157027
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】62/464,262
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/529,916
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/583,780
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】デバララジャ-ナラシンハ、キショル
(72)【発明者】
【氏名】モートン、ロリ
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、イーファン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、コン
(72)【発明者】
【氏名】ミーガー、カロリーナ
(72)【発明者】
【氏名】カサノバ、サラ
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/171523(WO,A1)
【文献】B de Vries et al,Inhibition of complement factor C5 protects against renal ischemia-reperfusion injury: inhibition of late apotosis and inflammation,Transplantation,vol15,2003年12月31日,375-382
【文献】Chia-chao Wu et al,Experimental model of membranous nephropathy in mice: sequence of histological and biochemical events,Laboratory Animals,2008年01月01日,vol 42,350-359
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体関連腎症の治療に使用するための薬剤のインビボでの治療有効性を評価する方法であって、前記方法が、
(a)ゲノムがC3遺伝子のエクソンを含む齧歯類遺伝子配列の内因性齧歯類C3遺伝子座において、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列による置換を含むことで修飾C3遺伝子を形成している齧歯類に前記薬剤を投与することであって、
(i)前記ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、前記ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含み、かつ前記修飾C3遺伝子の発現が、前記内因性齧歯類C3遺伝子座で齧歯類調節エレメントの制御下にあるか、または
(ii)前記ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、前記ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含み、
前記齧歯類はマウスまたはラットであり、かつ前記腎症の一つまたは複数の症状を示す、投与することと、
(b)前記薬剤が投与されていない対照齧歯類と比較して、前記腎症の一つまたは複数の症状を阻害するかどうかを評価することと、を含む方法。
【請求項2】
前記齧歯類が、マウスC3タンパク質を発現する能力を有しないマウスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記齧歯類が、内因性マウスC5遺伝子によってコードされたマウスC5タンパク質を発現するマウスである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記薬剤が、小分子化学物質、ペプチド、および抗体からなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記薬剤が、抗体である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記薬剤が、モノクローナル抗体またはその機能的結合断片である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記薬剤が、阻害性核酸である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記阻害性核酸が、siRNA、shRNA、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記腎症の一つまたは複数の症状が自然死を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記腎症の一つまたは複数の症状が、体重減少、骨密度の減少、体脂肪の減少、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記腎症の一つまたは複数の症状が、糸球体腎炎、好塩基球細管、硬化糸球体、蛋白円柱を有する拡張細管、メサンギウム基質増加、糸球体肥大、および単核間質性炎症からなる群の一つまたは複数から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記腎症の一つまたは複数の症状が、腎臓におけるC3タンパク質沈着を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記腎症の一つまたは複数の症状が、腎臓におけるC5b-9膜侵襲複合体沈着を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記腎症の一つまたは複数の症状が、高血中尿素窒素(BUN)、血清リパーゼ、血清シスタチンC、または血清非高密度リポタンパク質のうちの一つまたは複数を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記腎症の一つまたは複数の症状が、尿アルブミンまたはC5aの増加を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記腎症の一つまたは複数の症状が、腎症シグネチャー遺伝子の一つまたは複数の発現を決定することに基づいて評価される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
肝線維症の治療に使用するための薬剤のインビボでの治療有効性を評価する方法であって、前記方法が、
(a)C3遺伝子のエクソンを含む齧歯類遺伝子配列の内因性齧歯類C3遺伝子座において、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列による置換を含むことで修飾C3遺伝子を形成している齧歯類に前記薬剤を投与することであって、
(i)前記ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、前記ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含み、かつ前記修飾C3遺伝子の発現が、前記内因性齧歯類C3遺伝子座で齧歯類調節エレメントの制御下にあるか、または
(ii)前記ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、前記ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含み、
前記齧歯類はマウスまたはラットであり、かつ肝線維症の一つまたは複数の症状を示す、投与することと、
(b)前記薬剤が投与されていない対照齧歯類と比較して、前記肝線維症の一つまたは複数の症状を阻害するかどうかを評価することと、を含む方法。
【請求項18】
前記齧歯類が、マウスC3タンパク質を発現する能力を有しないマウスである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記齧歯類が、内因性マウスC5遺伝子によってコードされたマウスC5タンパク質を発現するマウスである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記薬剤が、小分子化学物質、ペプチド、および抗体からなる群から選択される、請求項1719のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記薬剤が、抗体である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記薬剤が、モノクローナル抗体またはその機能的結合断片である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記薬剤が、阻害性核酸である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記阻害性核酸が、siRNA、shRNA、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記肝線維症の一つまたは複数の症状が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、またはアルカリホスファターゼ(ALP)のうちの一つまたは複数である、請求項1724のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記肝線維症の一つまたは複数の症状が、肝線維症シグネチャー遺伝子の一つまたは複数の発現を決定することに基づいて評価される、請求項1724のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ゲノムがC3遺伝子のエクソンを含む齧歯類遺伝子配列の内因性齧歯類C3遺伝子座において、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列による置換を含むことで修飾C3遺伝子を形成している齧歯類における補体関連腎症の症状を阻害する薬剤を特定するための方法であって、(i)前記ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、前記ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含み、かつ前記修飾C3遺伝子の発現が、前記内因性齧歯類C3遺伝子座で齧歯類調節エレメントの制御下にあるか、または(ii)前記ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、前記ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含み、前記齧歯類はマウスまたはラットであり、かつ補体関連腎症の一つまたは複数の症状を示し、前記方法が、(a)前記齧歯類に前記薬剤を投与することと、(b)前記薬剤が前記齧歯類における前記補体関連腎症の一つまたは複数の症状を阻害する場合、補体関連腎症の症状を阻害する薬剤として前記薬剤を特定することと、を含む方法。
【請求項28】
ゲノムがC3遺伝子のエクソンを含む齧歯類遺伝子配列の内因性齧歯類C3遺伝子座において、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列による置換を含むことで修飾C3遺伝子を形成している齧歯類における肝線維症を阻害する薬剤を特定するための方法であって、(i)前記ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、前記ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含み、かつ前記修飾C3遺伝子の発現が、前記内因性齧歯類C3遺伝子座で齧歯類調節エレメントの制御下にあるか、または(ii)前記ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、前記ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含み、前記齧歯類はマウスまたはラットであり、かつ肝線維症の一つまたは複数の症状を示し、前記方法が、(a)前記齧歯類に前記薬剤を投与することと、(b)前記薬剤が前記齧歯類中の前記肝線維症の一つまたは複数の症状を阻害する場合、肝線維症を阻害する薬剤として前記薬剤を特定することと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年2月27日出願の米国仮特許出願第62/464,262号、2017年7月7日出願の米国仮特許出願第62/529,916号、および2017年11月9日出願の米国仮特許出願第62/583,780号の利益を主張するものであり、これらの仮特許出願の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照による組み込み
2018年2月12日に作製され、EFS-Webを介して米国特許商標庁に提出された35469_10207US01_SequenceListing.txtという名称の6KBのASCIIテキストファイルの配列表が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本明細書では、特に、補体関連腎症および肝臓の線維症を治療するための候補治療剤または化合物をスクリーニングするために、全体的または部分的にヒトであるC3遺伝子を含む遺伝子組み換え非ヒト動物を使用する方法、ならびに補体関連腎症と診断されたかまたはこれを有すると考えられる個体を治療する方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
補体タンパク質C3は、様々なヒト疾患、障害、および状態の治療のための治療標的である。特定のC3コンバターゼによるC3のタンパク質切断は、補体経路活性化に大きな役割を果たす。C3コンバターゼはC3bの形態を生成し、これは次に新しいC3コンダクターゼ分子の可能性のある成分であり、それによって補体カスケードを刺激および増幅する。
【0005】
代替的な補体経路の不必要な活性化は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)などの腎症ならびにデンスデポジット病(DDD)およびC3糸球体腎炎(C3GN)を包含する膜性増殖性糸球体腎炎の形態であるC3糸球体症(C3G)の考えられる原因として提唱されてきた。進行すると、これらの疾患は腎機能を害し、劣化させる。糸球体膜には、補体経路活性化を阻害する可能性のある内因性補体調節膜タンパク質がないため、補体関連腎症を持つ個体のこの部位でC3の連続的かつ未制御の切断が起こり、補体活性化産物の沈着、糸球体基底膜のC3コンバターゼ媒介損傷、上皮細管および内皮細胞の損傷、細胞外マトリックスの沈着による膜の肥厚、補体系の成分の沈着(例えば、C3切断産物)ならびに最終的にはろ過不良(タンパク尿)および腎不全をもたらす。
【0006】
補体関連腎症の治療のためのヒトC3タンパク質を特異的に標的とする候補治療用分子の薬物動態学(PK)および薬力学(PD)の評価は、非ヒト動物、例えば、齧歯類、例えば、マウスまたはラットでルーチンに遂行されている。しかしながら、ある特定の非ヒト動物では、これらの治療用分子は内因性C3タンパク質または遺伝子を標的としないため、かかる治療用分子のPDを適正に判定することができない。
【0007】
従って、非ヒト動物のC3遺伝子が全体的または部分的にヒト化した、あるいはヒトまたはヒト化C3タンパク質をコードする配列を含むヒトC3遺伝子で(例えば、内因性非ヒト遺伝子座において)置換された非ヒト動物、例えば齧歯類、例えばネズミ科の動物、例えばマウスまたはラットに対するニーズがある。かかる動物は、腎臓の病理学的レベルのC3沈着による代替補体経路の過剰な活性化に関連するものなど、補体関連腎症の治療のための候補治療剤の有効性を評価するための理想的なモデルとして役立つ可能性があり、特に操作された非ヒト動物は、ヒト疾患で観察される症状に対応するこれらの症状を示す。
【0008】
本明細書全体を通して、様々な特許、特許出願、およびその他の種類の刊行物(例えば、ジャーナル物品、電子データベース入力、など)が参照されている。
本明細書に引用されるすべての特許、特許出願、およびその他の出版物の開示は、全ての目的に対してその全体が参照により本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0009】
本明細書では、特に、スクリーニングのために補体関連腎症および/または肝線維症を有するヒトで観察される症状に対応する一つまたは複数の症状を示す、または補体関連腎症および/または肝線維症の治療のための候補治療化合物または治療剤を特定する、全体または一部がヒトであるC3遺伝子を含む遺伝子組み換え非ヒト動物を使用する方法を提供する。また、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体における腎機能を改善する方法が本明細書に提供される。
【0010】
従って、一部の態様では、本明細書では、補体関連腎症の治療に使用するための薬剤のインビボでの治療有効性を評価する方法であって、(a)ゲノムがヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列とC3遺伝子のエクソンを含む齧歯類遺伝子配列の内因性齧歯類C3遺伝子座での置換を含む齧歯類に薬剤を投与して、修飾C3遺伝子を形成することと、ここで修飾C3遺伝子の発現は、内因性齧歯類C3遺伝子座での齧歯類調節エレメントの制御下にある、形成することと;および(b)薬剤を投与されていない対照齧歯類と比較して、腎症の一つまたは複数の症状を阻害する(例えば、防止、改善、または軽減する)かどうかを評価することと、を含む、方法を提供する。一部の実施形態では、当該齧歯類はマウスまたはラットである。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含む。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含む。一部の実施形態では、齧歯類は、マウスC3タンパク質を発現する能力を有しないマウスである。一部の実施形態では、齧歯類は、内因性マウスC5遺伝子によってコードされたマウスC5タンパク質を発現するマウスである。一部の実施形態では、薬剤は、小分子化学物質、ペプチド、および抗体からなる群から選択される。一部の実施形態では、薬剤は抗体である。一部の実施形態では、薬剤はモノクローナル抗体またはその機能的結合断片である。一部の実施形態では、薬剤は阻害性核酸である。一部の実施形態では、阻害性核酸は、siRNA、shRNA、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群から選択される。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状が自然死を含む。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状には、体重減少、骨密度の減少、体脂肪の減少、またはそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、糸球体腎炎、好塩基球細管、硬化糸球体、蛋白円柱を有する拡張細管、メサンギウム基質増加、糸球体肥大、および単核間質炎症からなる群の一つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、腎臓におけるC3タンパク質沈着を含む。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、腎臓におけるC5b-9膜侵襲複合体の形成を含む。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、高血中尿素窒素(BUN)、血清リパーゼ、血清シスタチンC、または血清非高密度リポタンパク質のうちの一つまたは複数を含む。一部の実施形態では、C3糸球体症の一つまたは複数の症状は、尿アルブミンまたは尿路C5aの増加を含む。一部の実施形態では、補体関連腎症の一つまたは複数の症状は、一つまたは複数の疾患シグネチャー遺伝子、すなわち補体関連腎症を伴わない野生型齧歯類と比較して、補体関連腎症を有する齧歯類において、相補的に発現する遺伝子の発現を決定することによって評価される。
【0011】
別の態様では、本明細書では、肝臓の線維症の治療に使用するための薬剤のインビボでの治療有効性を評価する方法であって、(a)ゲノムがヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列とC3遺伝子のエクソンを含む齧歯類遺伝子配列の内因性齧歯類C3遺伝子座での置換を含む齧歯類に薬剤を投与して、修飾C3遺伝子を形成することと、ここで修飾C3遺伝子の発現は、内因性齧歯類C3遺伝子座での齧歯類調節エレメントの制御下にある、形成することと;および(b)薬剤を投与されていない対照齧歯類と比較して、肝線維症の一つまたはそれ以上の症状を阻害する(例えば、防止、改善、または軽減する)かどうかを評価することと、を含む、方法を提供する。一部の実施形態では、当該齧歯類はマウスまたはラットである。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含む。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含む。一部の実施形態では、齧歯類は、マウスC3タンパク質を発現する能力を有しないマウスである。一部の実施形態では、齧歯類は、内因性マウスC5遺伝子によってコードされたマウスC5タンパク質を発現するマウスである。一部の実施形態では、薬剤は、小分子化学物質、ペプチド、および抗体からなる群から選択される。一部の実施形態では、薬剤は抗体である。一部の実施形態では、薬剤はモノクローナル抗体またはその機能的結合断片である。一部の実施形態では、薬剤は阻害性核酸である。一部の実施形態では、阻害性核酸は、siRNA、shRNA、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群から選択される。一部の実施形態では、肝線維症の一つまたは複数の症状が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、またはアルカリホスファターゼ(ALP)のうちの一つまたは複数を含む。一部の実施形態では、肝線維症の一つまたは複数の症状は、一つまたは複数の疾患シグネチャー遺伝子、すなわち肝線維症のない野生型齧歯類と比較して肝線維症を有する齧歯類で差次的に発現される遺伝子の発現を決定することにより評価される。
【0012】
さらなる態様では、本明細書では、ゲノムがヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列を有するC3遺伝子のエクソンを含む齧歯類遺伝子配列の内因性齧歯類C3遺伝子座での置換を含み、修飾C3遺伝子を形成する、齧歯類における補体関連腎症の症状を阻害する薬剤を特定するための方法であって、修飾C3遺伝子の発現が、内因性齧歯類C3遺伝子座で齧歯類調節エレメントの制御下にあり、(a)齧歯類に薬剤を投与することと、(b)薬剤が齧歯類における補体関連腎症の一つまたは複数の症状を阻害する場合、補体関連腎症の症状を阻害する薬剤としての薬剤を特定することと、を含む、方法を提供する。一部の実施形態では、当該齧歯類はマウスまたはラットである。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含む。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含む。一部の実施形態では、齧歯類は、マウスC3タンパク質を発現する能力を有しないマウスである。一部の実施形態では、齧歯類は、内因性マウスC5遺伝子によってコードされたマウスC5タンパク質を発現するマウスである。一部の実施形態では、薬剤は、小分子化学物質、ペプチド、および抗体からなる群から選択される。一部の実施形態では、薬剤は抗体である。一部の実施形態では、薬剤はモノクローナル抗体またはその機能的結合断片である。一部の実施形態では、薬剤は阻害性核酸である。一部の実施形態では、阻害性核酸は、siRNA、shRNA、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群から選択される。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状が自然死を含む。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状には、体重減少、骨密度の減少、体脂肪の減少、またはそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、糸球体腎炎、好塩基球細管、硬化糸球体、蛋白円柱を有する拡張細管、メサンギウム基質増加、糸球体肥大、および単核間質炎症からなる群の一つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、腎臓におけるC3タンパク質沈着を含む。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、腎臓におけるC5b-9膜侵襲複合体の形成を含む。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、高血中尿素窒素(BUN)、血清リパーゼ、血清シスタチンC、または血清非高密度リポタンパク質のうちの一つまたは複数を含む。一部の実施形態では、C3糸球体症の一つまたは複数の症状は、尿アルブミンまたは尿路C5aの増加を含む。一部の実施形態では、補体関連腎症の一つまたは複数の症状は、疾患シグネチャー遺伝子の一つまたは複数の発現を決定することによって評価される。
【0013】
さらなる他の態様では、本明細書では、齧歯類のゲノムが内因性C3遺伝子で修飾C3遺伝子を含み、修飾C3遺伝子は、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列を含み、修飾C3の発現は、内因性齧歯類C3遺伝子座での齧歯類調節エレメントの制御下にある、ヒト補体関連腎症の齧歯類モデルを提供する。一部の実施形態では、核酸配列は、齧歯類C3遺伝子座で内因性齧歯類C3プロモーターに動作可能に連結されている。一部の実施形態では、当該齧歯類はマウスまたはラットである。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含む。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含む。一部の実施形態では、齧歯類は、マウスC3タンパク質を発現する能力を有しないマウスである。一部の実施形態では、齧歯類は、内因性マウスC5遺伝子によってコードされたマウスC5タンパク質を発現するマウスである。一部の実施形態では、齧歯類は、自然死、体重の減少、骨密度の減少、体脂肪の減少、糸球体腎炎、好塩基球細管、硬化糸球体、蛋白円柱を有する拡張細管、メサンギウム基質増加、糸球体肥大、単核間質炎症、腎臓内C3タンパク質沈着、腎臓内C5b-9膜侵襲複合体の形成、高血中尿素窒素(BUN)、高血清リパーゼ、高血清シスタチンC、高血清非高密度リポタンパク質、尿アルブミンの増加、尿C5aの増加、および疾患遺伝子シグネチャーからなる群から選択されるヒト補体関連腎症の一つまたは複数の症状を示す。
【0014】
別の態様では、本明細書では、(a)ゲノムがヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列を有するC3遺伝子のエクソンを含む齧歯類遺伝子配列の内因性齧歯類C3遺伝子座での置換を含み、修飾C3遺伝子を形成する齧歯類であって、修飾C3遺伝子の発現が、内因性齧歯類C3遺伝子座で齧歯類調節エレメントの制御下にあり、齧歯類が補体関連腎症の一つまたは複数の症状を示す、齧歯類と、(b)一つまたは複数の候補治療剤とを含む、補体関連腎症の症状を阻害する候補治療剤の治療効果を評価するための齧歯類モデルを提供する。一部の実施形態では、当該齧歯類はマウスまたはラットである。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含む。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含む。一部の実施形態では、齧歯類は、マウスC3タンパク質を発現する能力を有しないマウスである。一部の実施形態では、齧歯類は、内因性マウスC5遺伝子によってコードされたマウスC5タンパク質を発現するマウスである。一部の実施形態では、薬剤は、小分子化学物質、ペプチド、および抗体からなる群から選択される。一部の実施形態では、薬剤は抗体である。一部の実施形態では、薬剤はモノクローナル抗体またはその機能的結合断片である。一部の実施形態では、薬剤は阻害性核酸である。一部の実施形態では、阻害性核酸は、siRNA、shRNA、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群から選択される。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状が自然死を含む。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状には、体重減少、骨密度の減少、体脂肪の減少、またはそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、糸球体腎炎、好塩基球細管、硬化糸球体、蛋白円柱を有する拡張細管、メサンギウム基質増加、糸球体肥大、および単核間質炎症からなる群の一つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、腎臓におけるC3タンパク質沈着を含む。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、腎臓におけるC5b-9膜侵襲複合体の形成を含む。一部の実施形態では、腎症の一つまたは複数の症状は、高血中尿素窒素(BUN)、血清リパーゼ、血清シスタチンC、または血清非高密度リポタンパク質のうちの一つまたは複数を含む。一部の実施形態では、C3糸球体症の一つまたは複数の症状は、尿アルブミンまたは尿路C5aの増加である。一部の実施形態では、補体関連腎症の一つまたは複数の症状は、疾患シグネチャー遺伝子の一つまたは複数の発現を決定することによって評価される。
【0015】
さらなる態様では、本明細書では、ゲノムがヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列を有するC3遺伝子のエクソンを含む齧歯類遺伝子配列の内因性齧歯類C3遺伝子座での置換を含み、修飾C3遺伝子を形成する、齧歯類における肝線維症を阻害する薬剤を特定するための方法であって、修飾C3遺伝子の発現が、内因性齧歯類C3遺伝子座で齧歯類調節エレメントの制御下にあり、(a)齧歯類に薬剤を投与することと、(b)薬剤が齧歯類中の肝線維症の一つまたは複数の症状を阻害する場合、肝線維症を阻害する薬剤としての薬剤を特定することと、を含む方法を提供する。一部の実施形態では、当該齧歯類はマウスまたはラットである。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含む。一部の実施形態では、ヒトC3タンパク質をコードするヒトC3遺伝子は、ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41までを含む。一部の実施形態では、齧歯類は、マウスC3タンパク質を発現する能力を有しないマウスである。本明細書に開示される実施形態のいずれかのうちの一部の実施形態では、齧歯類は、内因性マウスC5遺伝子によってコードされたマウスC5タンパク質を発現するマウスである。一部の実施形態では、薬剤は、小分子化学物質、ペプチド、および抗体からなる群から選択される。一部の実施形態では、薬剤は抗体である。一部の実施形態では、薬剤はモノクローナル抗体またはその機能的結合断片である。一部の実施形態では、薬剤は阻害性核酸である。一部の実施形態では、阻害性核酸は、siRNA、shRNA、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群から選択される。一部の実施形態では、肝線維症の一つまたは複数の症状が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、またはアルカリホスファターゼ(ALP)のうちの一つまたは複数である。一部の実施形態では、肝線維症の一つまたは複数の症状は、疾患シグネチャー遺伝子の一つまたは複数の発現を決定することによって評価される。
【0016】
別の態様では、本明細書では、齧歯類のゲノムが内因性C3遺伝子で修飾C3遺伝子を含み、修飾C3遺伝子は、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列を含み、修飾C3の発現は、内因性齧歯類C3遺伝子座での齧歯類調節エレメントの制御下にある、ヒト肝線維症の齧歯類モデルを提供する。一部の実施形態では、核酸配列は、齧歯類C3遺伝子座で内因性マウスC3プロモーターに動作可能に連結されている。一部の実施形態では、核酸配列は、齧歯類C3遺伝子座で内因性齧歯類C3プロモーターに動作可能に連結されている。一部の実施形態では、当該齧歯類はマウスまたはラットである。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含む。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含む。一部の実施形態では、齧歯類は、マウスC3タンパク質を発現する能力を有しないマウスである。一部の実施形態では、齧歯類は、内因性マウスC5遺伝子によってコードされたマウスC5タンパク質を発現するマウスである。一部の実施形態では、齧歯類は、高アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、高アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、および高アルカリホスファターゼ(ALP)からなる群から選択される肝線維症の一つまたは複数の症状を示す。一部の実施形態では、肝線維症の一つまたは複数の症状は、疾患シグネチャー遺伝子の一つまたは複数の発現を決定することによって評価される。
【0017】
さらなる態様では、本明細書では、(a)ゲノムがヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列を有するC3遺伝子のエクソンを含む齧歯類遺伝子配列の内因性齧歯類C3遺伝子座での置換を含み、修飾C3遺伝子を形成する齧歯類であって、修飾C3遺伝子の発現が、内因性齧歯類C3遺伝子座で齧歯類調節エレメントの制御下にあり、齧歯類が肝線維症の一つまたは複数の症状を示す、齧歯類と、(b)一つまたは複数の候補治療剤とを含む、肝線維症の症状を阻害する候補治療剤の治療効果を評価するための齧歯類モデルを提供する。一部の実施形態では、当該齧歯類はマウスまたはラットである。一部の実施形態では、ヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン1からエクソン41を含む。一部の実施形態では、ヒトC3タンパク質をコードするヒトC3遺伝子の少なくとも一つのエクソンを含む核酸配列は、ヒトC3遺伝子のエクソン2からエクソン41を含む。一部の実施形態では、齧歯類は、マウスC3タンパク質を発現する能力を有しないマウスである。一部の実施形態では、齧歯類は、内因性マウスC5遺伝子によってコードされたマウスC5タンパク質を発現するマウスである。一部の実施形態では、薬剤は、小分子化学物質、ペプチド、および抗体からなる群から選択される。一部の実施形態では、薬剤は抗体である。一部の実施形態では、薬剤はモノクローナル抗体またはその機能的結合断片である。一部の実施形態では、薬剤は阻害性核酸である。一部の実施形態では、阻害性核酸は、siRNA、shRNA、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群から選択される。一部の実施形態では、肝線維症の一つまたは複数の症状が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、またはアルカリホスファターゼ(ALP)のうちの一つまたは複数を含む。一部の実施形態では、肝線維症の一つまたは複数の症状は、疾患シグネチャー遺伝子の一つまたは複数の発現を決定することによって評価される。
【0018】
さらなる態様では、本明細書では、個体に対する臨床的に有効な量の治療剤の投与を含む、補体関連腎症、または肝線維症と診断されたか、またはこれを有すると考えられる個体を治療するための方法を提供する。個体への治療的投与は、例えば、C5の発現または活性を阻害する薬剤、C3の発現または活性を阻害する薬剤、およびC3(C3aまたはC3b)のタンパク質切断産物の活性を阻害する薬剤を含む。投与は、腎機能または肝臓機能を改善し、補体関連腎症または肝線維症の一つまたは複数の症状を改善する。
【0019】
一部の実施形態では、本明細書では、補体関連腎症と診断されたか、またはこれを有すると考えられる個体において、臨床的に有効な量の治療剤の投与を含む、腎機能を改善するための方法であって、投与が治療剤を投与されてこなかった補体関連腎症と診断された個体に対して腎機能を改善する方法が提供される。一部の実施形態では、改善された腎機能は、血中尿素窒素(BUN)濃度の減少、血清シスタチンC濃度の減少、および/または尿C5a濃度の減少のうちの一つまたは複数を含む。一部の実施形態では、C5の発現または活性を阻害する治療剤が投与され、BUNは個体で約10~50%減少する。一部の実施形態では、C5の発現または活性を阻害する治療剤が投与され、血清シスタチンC濃度は個体で約10~60%減少する。一部の実施形態では、C5の発現または活性を阻害する治療剤が投与され、尿C5a濃度は個体で約40~85%減少する。
【0020】
他の実施形態では、本明細書では、補体関連腎症と診断されたか、またはこれを有すると考えられる個体において、臨床的に有効な量の治療剤の投与を含む、糸球体膜侵襲複合体(MAC)形成を減少させるための方法であって、投与が治療剤を投与されてこなかった補体関連腎症と診断された個体に対して糸球体MAC形成を減少させる方法が提供される。一部の実施形態では、C5の発現または活性を阻害する治療剤が投与され、MAC形成は個体で約5~20%減少する。本明細書に開示される実施形態のいずれか一部の実施形態では、MAC形成は、個体の糸球体係蹄のC9沈着によって決定される。
【0021】
なお他の実施形態では、本明細書では、補体関連腎症と診断されたか、またはこれを有すると考えられる個体において、臨床的に有効な量の治療剤の投与を含む、腎糸球体または腎間質への免疫細胞浸潤を減少させるための方法であって、投与が治療剤を投与されてこなかった補体関連腎症と診断された個体に対して腎臓の免疫細胞浸潤を減少させる方法が提供される。一部の実施形態では、免疫細胞は、糸球体に浸潤する好中球である。一部の実施形態では、C5の発現または活性を阻害する治療剤が投与されると、糸球体の好中球浸潤は約50~100%減少する。一部の実施形態では、免疫細胞は、間質を浸潤するマクロファージである。一部の実施形態では、C5の発現または活性を阻害する治療剤が投与されると、間質のマクロファージ浸潤は約30~70%減少する。
【0022】
一部の実施形態では、本明細書では、補体関連腎症と診断されたか、またはこれを有すると考えられる個体の腎臓において、臨床的に有効な量の治療剤の投与を含む、糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加を減少させるための方法であって、この投与が、治療剤を投与されてこなかった補体関連腎症と診断された個体に対して個体の腎臓における糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加を減少させる方法が提供される。一部の実施形態では、C5の発現または活性を阻害する治療剤が投与され、糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加が約15~30%減少する。
【0023】
本明細書に開示される実施形態のいずれか一部の実施形態では、補体関連腎症は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)またはC3糸球体症(C3G)である。一部の実施形態では、C3Gは、デンスデポジット病(DDD)またはC3糸球体腎炎(C3GN)を含む。
【0024】
本明細書に開示される実施形態のいずれか一部の実施形態では、治療剤(例えば、C5の発現もしくは活性を阻害する薬剤、C3の発現もしくは活性を阻害する薬剤、またはC3aもしくはC3bの活性を阻害する薬剤)は、抗体、阻害性核酸、抗体結合ポリペプチド、または小分子化学物質のうちの一つまたは複数である。一部の実施形態では、阻害性核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、マイクロRNA(miR)、またはリボザイムからなる群から選択される。一部の実施形態では、治療剤は、抗体またはその機能的断片である。一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化(camelised)抗体、キメラ抗体、CDR融合抗体、単鎖Fvs(scFv)、ジスルフィド結合型Fvs(sdFv)、Fab断片、およびF(ab’)断片からなる群から選択される。一部の実施形態では、個体は、約50mg/kgの抗体(例えば、抗C5抗体または抗C3b抗体)を投与される。一部の実施形態では、個体は週三回抗体を投与される。一部の実施形態では、個体は、抗体(例えば、抗C5抗体または抗C3b抗体)を約9週間投与される。
【0025】
さらなる態様では、補体関連腎症または肝線維症の治療における使用のための治療法が本明細書に開示されている。治療剤は、例えば、C5の発現または活性を阻害する薬剤、C3の発現または活性を阻害する薬剤、およびC3(C3aまたはC3b)のタンパク質切断産物の活性を阻害する薬剤を含む。一部の実施形態では、治療剤は抗C5抗体である。一部の実施形態では、治療剤は抗C3b抗体である。一部の実施形態では、治療における治療剤の使用は、治療剤を使用しない治療と比較して、腎機能(例えば、血中尿素窒素(BUN)濃度の減少、血清シスタチンC濃度の減少、および/または尿中C5a濃度の減少、またはそれらの組み合わせ)を改善する。一部の実施形態では、治療における治療剤の使用は、治療剤を使用しない治療と比較して、糸球体MAC形成を減少させる。一部の実施形態では、治療における治療剤の使用は、治療剤を使用しない治療と比較して、腎臓内の免疫細胞浸潤を減少させる。一部の実施形態では、治療における治療剤の使用は、治療剤を使用しない治療と比較して、腎臓内の糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加を減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
特許または出願の書類は、色付きで描かれた少なくとも一つの図面を含有する。色付きの図面(複数含む)を伴う本特許または特許出願公開の写しは、要求により、および必要な料金を支払うことにより当局から提供される。
図1図1Aは、マウス(mC3)およびヒト化(hC3)C3ゲノム遺伝子座のノンスケールの例示を提供する。5’調節エレメントおよびエクソン1からエクソン41までのコード領域にわたるマウスC3遺伝子は削除され、ヒトC3遺伝子の5’調節エレメントおよびエクソン1からエクソン41までのコード領域およびloxP部位によって置換され、それぞれ太線および矢印で示される。図1Bは、マウス(mC3)およびヒト化(hC3)C3ゲノム遺伝子座のノンスケールの例示を提供する。イントロン1の一部およびエクソン2からエクソン41までのコード領域にわたるマウスC3遺伝子は削除され、ヒトC3遺伝子のイントロン1の一部およびエクソン2からエクソン41までのコード領域およびloxP部位によって置換され、それぞれ太線および矢印で示される。
図2図2Aおよび図2Bは、マウスC3(図2A)またはマウスC3a(図2B)に対して実施されたMAID6156およびMAID6149ホモ接合性マウスに由来する、血清および血漿のELISA分析の結果を示すグラフである。丸は6149または6156野生型(WT)対照を表し、正方形はMAID6156およびMAID6149ホモ接合性マウス(HO)を表し、ひし形はC3ノックアウト(ヌル)動物を表し、および三角形は、正常なヒト血漿(NHP)または正常なヒト血清(NHS)を表す。ND=検出されず。
図3図3Aおよび図3Bは、ヒトC3(図3A)またはヒトC3a(図3B)に対して実施されたMAID6156およびMAID6149ホモ接合性マウスに由来する、血清および血漿のELISA分析の結果を示すグラフである。丸は6149または6156野生型(WT)対照を表し、正方形はMAID6156およびMAID6149ホモ接合性マウス(HO)を表し、ひし形はC3ノックアウト動物を表し、および三角形は、正常なヒト血漿(NHP)または正常なヒト血清(NHS)を表す。ND=検出されず。
図4図4は、マウス血清アミロイドAタンパク質(mSAA)に対して行われたMAID6156およびMAID6149ホモ接合性マウスに由来する血清および血漿のELISA分析の結果を示すグラフである。丸は6149または6156野生型(WT)対照を表し、正方形はMAID6156およびMAID6149ホモ接合性マウス(HO)を表し、ひし形はC3ノックアウト動物由来の血漿を表す。
図5図5は、MAID6149(図5A)およびMAID6156ホモ接合性マウス(図5B)由来の血清に対して実施されたウエスタンブロットを示す。本試験で使用される抗ヒトC3抗体は、マウスC3と交差反応性である。
図6図6は、MAID6149(左)およびMAID6156ホモ接合性マウス(右)のF2、F3、およびF4世代の生存曲線を経時的に示す。
図7図7は、MAID6149(左)およびMAID6156(右)ホモ接合性(HO)および野生型(WT)マウスの経時的な体重損失/獲得を表すグラフを示す。
図8図8Aおよび図8Bは、野生型(WT)、ならびにMAID6149(図8A)およびMAID6156(図8B)ホモ接合性(HO)マウスで実施された体脂肪分析の結果を表すグラフを示す。
図9図9Aおよび図9Bは、野生型(WT)、ならびにMAID6149(図9A)およびMAID6156(図9B)ホモ接合性(HO)マウスで実施された骨密度および骨塩量分析の結果を表すグラフを示す。
図10図10Aは、正常なマウスから得られた、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色された腎臓組織の断面を示す。図10Bは、MAID6156ホモ接合性(HO)マウスから得られたH&E染色腎組織を示す。
図11図11Aは、野生型(WT)およびホモ接合性ヒト化C3マウス(huC3)MAID6149マウスから得られた過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色腎組織の断面を示す。画像はその部分の平均的な病理を表す。矢印は硬化性糸球体の例を示す。図11Bは、野生型(C3wt)マウスと比較して、ヒト化C3マウス(huC3)マウスの腎臓におけるメサンギウム基質増加の数量化を表すグラフを示す。糸球体係蹄領域の増加は、糸球体肥大を示していた。糸球体内のPAS染色領域の増加は、メサンギウム基質増加を示していた。
図12-1】図12は、野生型(WT)とMAID6149およびMAID6156ホモ接合性(HO)マウスとの間のナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、グルコース、総タンパク質、クレアチニン、クレアチンキナーゼ、アルブミン、アミラーゼ、総ビリルビン、マグネシウム、無機リン酸、尿酸、リン、非エステル化脂肪酸、総コレステロール、トリグリセリド、高密度リポタンパク質(HDL)、および低密度リポタンパク質(LDL)レベルの血清化学パネル分析の結果を表すグラフを示す。
図12-2】同上。
図12-3】同上。
図13図13Aは、野生型(WT)とMAID6149とMAID6156ホモ接合性(HO)マウスとの間の血中尿素窒素、非高密度リポタンパク質(非HDL)、およびリパーゼレベルの血清化学パネル解析の結果を表すグラフを示す。図13Bは、野生型(WT)とMAID6149とMAID6156ホモ接合性(HO)マウスとの間のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ALT/AST比、およびアルカリホスファターゼ(ALP)レベルの肝臓酵素分析の結果を表すグラフを示す。
図14図14Aは、野生型(WT)およびヒト化C3(huC3)MAID6149マウスのアルブミンの尿パネル分析の結果を表すグラフを示す。図14Bは、野生型(WT)およびヒト化C3(huC3)マウスの血清BUNおよびシスタチンCの分析を示す。
図15-1】図15Aは、ヒトC3タンパク質染色した、野生型(WT)およびホモ接合性(HO)ヒト化C3 MAID6149マウスから得られた腎臓組織の断面を表す免疫蛍光顕微鏡写真を示す。図15Bは、C5b-9膜侵襲複合体(赤)染色した、野生型(WT)およびヒト化C3(huC3)マウスから得られた腎臓組織の断面を表す免疫蛍光顕微鏡写真を示す。DNAはDAPIで青に染色されている。
図15-2】図15Cは、野生型(WT)およびヒト化C3(huC3)MAID6149マウスから得られた尿C5aレベルを示す。
図16図16は、MAID6149およびMAID6156ホモ接合性(HO)マウスにおけるRNA発現の器官特異的大域変化を表す棒グラフを示す。
図17図17は、MAID6149およびMAID6156ホモ接合性(HO)マウスの肝臓対野生型(WT)マウスの肝臓におけるRNAシグネチャーの重複を示す遺伝子シグネチャーマップおよび表を示す。
図18図18は、MAID6149およびMAID6156ホモ接合性マウスの肝臓における上位濃縮遺伝子発現経路を表す表を示す。
図19-1】図19は、MAID6156ホモ接合性マウスの肝臓で上方制御(黄色で強調表示)または下方制御(青色で強調表示)された線維症遺伝子シグネチャーを表す表を示す。統計的有意性に達しなかった変化は、「-」で識別されている。
図19-2】同上。
図20図20は、MAID6149およびMAID6156ホモ接合性(HO)マウスの腎臓対野生型(WT)マウスの腎臓におけるRNAシグネチャーの重複を示す遺伝子シグネチャーマップおよび表を示す。
図21-1】図21Aは、野生型(WT)マウスと比較して、MAID6149ヒト化C3(huC3)マウスにおける腎臓特異的遺伝子発現の変化を表す棒グラフを示す。
図21-2】図21Bは、野生型(WT)マウスと比較して、ヒト化C3(huC3)マウスにおける腎毒性遺伝子発現の変化を示す。図21Cは、野生型(WT)マウスと比較して、ヒト化C3(huC3)マウスにおける細胞外基質遺伝子発現の変化を示す。図21Dは、野生型(WT)マウスと比較して、ヒト化C3(huC3)マウスにおけるサイトカイン遺伝子発現の変化を示す。図21Eは、野生型(WT)マウスと比較して、ヒト化C3(huC3)マウスにおけるケモカイン遺伝子発現の変化を示す。図21B図21Eは、黄色の強調表示の数値は、最新の発現を表し、青色の強調表示の数値は、下方制御された発現を表し、空白のままのセルは統計的有意性に達しなかった変化を表す。
図21-3】同上。
図21-4】同上。
図21-5】同上。
図22図22は、アイソタイプ対照で処置された野生型マウス(WT+Ctl Ab)、およびアイソタイプ対照で処置されたC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+Ctl Ab)または抗C5抗体M1M17628Nで処置されたC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+M1M17628N)の生存曲線を示す。
図23図23は、アイソタイプ対照で処置された野生型マウス(WT+Ctl Ab)、およびアイソタイプ対照で処置されたC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+Ctl Ab)または抗C5抗体M1M17628N(HumIn C3+M1M17628N)で処置されたC3ヒト化MAID6149マウスの体重のグラフを示す。
図24図24Aおよび図24Bは、アイソタイプ対照で処置された野生型マウス(WT+Ctl Ab)、およびアイソタイプ対照で処置されたC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+Ctl Ab)または抗C5抗体M1M17628N(HumIn C3+M1M17628N)で処置されたC3ヒト化MAID6149マウスの腎機能のマーカーのレベルを示す。図24Aは、血中尿素窒素(BUN)を、図24Bは、血清シスタチンC濃度を示す。
図25図25は、アイソタイプ対照で処置された野生型マウス(WT+Ctl Ab)、およびアイソタイプ対照で処置されたC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+Ctl Ab)または抗C5抗体M1M17628Nで処置されたC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+M1M17628N)の尿中C5aレベル(左)および正常化C5aレベル(右)を表すグラフを示す。
図26図26は、アイソタイプ対照で処置された野生型マウス(WT+Ctl Ab)、およびアイソタイプ対照で処置されたC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+Ctl Ab)または抗C5抗体M1M17628N(HumIn C3+M1M17628N)で処置されたC3ヒト化MAID6149マウスの糸球体膜侵襲複合体(MAC)含有量(C5b-9)の免疫蛍光染色を数量化したグラフを示す。
図27-1】図27Aは、アイソタイプ対照で処置した野生型マウス(WT+Ctl Ab)、およびアイソタイプ対照で処置したC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+Ctl Ab)または抗C5抗体M1M17628Nで処置したC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+M1M17628N)における糸球体Gr-1好中球浸潤を表すグラフ(上)、ならびにアイソタイプ対照で処置した野生型マウス(WT+Ctl Ab)、およびアイソタイプ対照で処置したC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+Ctl Ab)または抗C5抗体M1M17628Nで処置したC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+M1M17628N)由来の腎組織中のGr-1好中球の免疫組織化学染色(下)を示す。
図27-2】図27Bは、アイソタイプ対照で処置した野生型マウス(WT+Ctl Ab)、およびアイソタイプ対照で処置したC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+Ctl Ab)または抗C5抗体M1M17628Nで処置したC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+M1M17628N)における間質F4/80+マクロファージ浸潤を表すグラフ(上)、ならびにアイソタイプ対照で処置した野生型マウス(WT+Ctl Ab)、およびアイソタイプ対照で処置したC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+Ctl Ab)または抗C5抗体M1M17628Nで処置したC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+M1M17628N)由来の腎組織中のF4/80+マクロファージの免疫組織化学染色(下)を示す。
図28図28は、アイソタイプ対照で処置された野生型マウス(WT+CtlAb)、およびアイソタイプ対照で処置されたC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+Ctl Ab)または抗C5抗体M1M17628Nで処置されたC3ヒト化MAID6149マウス(HumIn C3+M1M17628N)の糸球体サイズ(左)およびメサンギウム基質増加(右、PASにより評価)の数量化を表すグラフを示す。
図29-1】図29A、29B、および29Cは、抗C5治療が、ヒト化C3マウス(MAID6149)の疾患遺伝子シグネチャーの深部の救済をもたらしたことを示している。図29Aは、ヒト化C3マウスにおいて、抗C5抗体治療が、疾患シグネチャー遺伝子を逆転したことを示す。図29Bは、救済された疾患シグネチャーは、免疫、細胞外基質、サイトカイン、補体、および代謝関連遺伝子が含まれることを示す。図29Cは、ヒト化C3マウスにおいて上方制御された免疫細胞型マーカーが、その後、抗C5抗体処置によって弱毒化されることが表されていることを示す。
図29-2】同上。
図29-3】同上。
図29-4】同上。
図30図30は、C5の連続的遮断が、ヒト化C3 MAID6149マウスの生存を延長することを示す。
図31-1】図31A~31Cは、C3bの遮断がまた、ヒト化C3 MAID6149マウスにおける保護も提供していることを示す。図31Aは、抗C3b遮断抗体がヒト化C3マウスの生存を改善することを示す。図31B~31Cは、抗C3b遮断抗体がヒト化C3マウスにおける体重も改善したことを示す。
図31-2】同上。
図31-3】同上。
【発明を実施するための形態】
【0027】
補体系は自然免疫系の必須成分であり、侵入する病原体に対する防御メカニズムとして重要な役割を果たし、適応免疫応答を刺激し、免疫複合体とアポトーシス細胞の除去を助ける。補体系は、多くの保護免疫機能において重要な役割を果たしているが、補体活性化は、補体関連腎症を含む多様な自己免疫性および炎症性疾患プロセスにおける組織損傷の重要なメディエータである。
【0028】
本開示は、特に、血清中でヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現する非ヒト動物を提供する。驚くべきことに、本発明者らは、ヒトまたはヒト化C3遺伝子に対してホモ接合性の齧歯類が高率で自然死する傾向があり、さらに腎臓における病理学的C3タンパク質蓄積、例えば、C3糸球体症などを特徴とする補体関連腎症によく似た生理学的、形態学的、および組織学的症状を示すことを発見した。従って、本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒトで観察される補体関連腎症の症状を再現できる最初のモデル生物を表すと考えられ、これらの障害の治療のための候補化合物または薬剤の治療効果を評価するために使用できる。さらに、発明者らは、これらの齧歯類が肝線維症と一致する症状を呈することも発見した。従って、本開示は、ヒトまたはヒト化C3タンパク質をコードする核酸配列を含む非ヒト動物を使用して、補体関連腎症および/または肝線維症の治療に使用する薬剤のインビボでの治療有効性を評価する方法を提供する。
【0029】
I.用語の定義
「補体関連腎症」または「補体関連ネフローゼ」という用語は、本明細書で使用する場合、これらに限定されないが、腎組織におけるC3および/またはC5b-9膜侵襲複合体、具体的にはネフロン、より具体的には糸球体などの望ましくない代替補体経路活性化および/または補体活性化産物の沈着に関連する疾患/障害を含む、腎臓の損傷、または疾患もしくは障害を指す。一部の実施形態では、補体関連腎症は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)および/またはC3糸球体症(C3G)、デンスデポジット病(DDD)およびC3糸球体炎(C3GN)を包含する膜性増殖性糸球体腎炎の形態として知られる一つまたは複数の状態を含む。
【0030】
本明細書において使用される場合、「齧歯類」という用語は、分類学的に齧歯目の任意のメンバーを指す。齧歯類の例としては、限定されないが、マウス、ラット、リスル、プレーリードッグ、ヤマアラシ、ビーバー、モルモット、およびハムスターが挙げられる。一実施形態では、齧歯類はラットである。別の実施形態では、齧歯類はマウスである。
【0031】
「個体」または「対象」は、脊椎動物、哺乳動物、またはヒトであり得る。哺乳類としては、限定されないが、家畜(ウシなど)、スポーツ動物、ペット、霊長類、マウスおよびラットが挙げられる。個体はまた、これに限定されないが、イヌおよびネコを含むコンパニオンアニマルも含む。一態様では、個体はヒトである。
【0032】
「有効量」は、所望の治療的または予防的な結果を生成するために有効である、単回投与または一連の投与の一部として個体に投与される補体関連腎症の治療などの治療化合物の量を指す。
【0033】
「治療有効量」または「臨床的に有効な量」は、特定の障害の測定可能な改善を示すために必要な、少なくとも最低濃度である。本明細書の治療有効量は、患者の病状、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する治療剤の能力などの要因によって異なり得る。治療有効量はまた、治療の毒作用または有害効果が、治療の有益効果を上回る量である可能性がある。補体関連腎症の場合、治療有効量は、全体的な腎機能を増加または改善し、腎細胞死を防止し、または腎細胞、糸球体、もしくはそれに関連する成分に対する損傷を改善または防止し得る。
【0034】
II.補体関連腎症
A.C3および補体系
免疫系の必須成分である補体は、三つのリンクされた生化学的カスケード、古典的経路、レクチン経路および代替経路に関与する、30を超える循環性タンパク質および細胞タンパク質からなる。補体は、免疫系を補助して、侵入した微生物を破壊し、組織のホメオスタシスを維持するために機能する。ヒトにおけるC3欠損症は、細菌感染症の感受性の増加と関連する。しかしながら、補体の過剰または未制御の活性化は、組織損傷に寄与し、異常な補体活性化によって特徴付けられる様々なヒトの疾患、障害、および状態に関連付けられる。
【0035】
C3遺伝子は、血清補体タンパク質C3をコードし、これは古典的、レクチン、および代替補体活性化経路の活性化において中心的な役割を果たす。ヒトC3遺伝子は、染色体19上で19p13.3-p13.2に位置する。ヒトC3遺伝子は、41個のエクソンを有し、22個のアミノ酸シグナルペプチド、645固のアミノ酸β鎖および992個のアミノ酸α鎖を含む、1663個のアミノ酸の前駆体ポリペプチドをコードする。補体活性化の間、α鎖は切断され、それによって77個のアミノ酸C3aタンパク質を含む9種類のペプチドを生成し、これは強力な炎症誘発性アナフィラトキシンである。
【0036】
C3遺伝子は、例えば、チンパンジー、アカゲザルなどの霊長類、例えば、イヌ、ウシなどの他の哺乳類、例えば、マウスなどの齧歯類、ニワトリ、ゼブラフィッシュおよびカエルを含む、いくつかの種間で保存される。マウスC3遺伝子は、染色体17上で17 29.72 cM19に位置する。マウスC3遺伝子は、41個のエクソンを有し、24個のアミノ酸シグナルペプチド、642固のアミノ酸β鎖および993個のアミノ酸α鎖を含む、1663個のアミノ酸の前駆体ポリペプチドをコードする。ヒトと同様に、マウスの補体活性化は、α鎖の切断をもたらし、それにより強力な炎症誘発性アナフィラトキシンである78個のアミノ酸C3aを含む9種類のペプチドを生成する。C3ノックアウトマウスは、当該技術分野で公知の標準的な手順に従って生成された(参照、例えば、Drouinら(2001)Cutting edge:the absence of 3 demonstrates a role for complement in Th2 effector functions in a murine model of pulmonary allergyJ Immunology 167:4141-4144)。
【0037】
B.腎特異的、C3媒介性、補体関連疾患
いくつかの補体関連腎症は、腎臓、特にネフロンの糸球体に異常に高いレベルのC3沈着を伴うことが知られている。
【0038】
1.非典型HUS
溶血性尿毒症症候群(またはhaemolytic-uraemic syndrome)は、HUSと短縮され、溶血性貧血(赤血球の破壊によって生じる貧血)、急性腎不全(尿症)、および低血小板数(血小板減少)によって特徴付けられる疾患である。それは主に子どもたちに影響するが、子どもたちに限らない。ほとんどの症例の前には、食中毒として、または大腸菌O157:H7、その他の非O157:H7大腸菌血清型、赤痢菌、およびカンピロバクターによって引き起こされる汚染された給水から生じる感染性の、時には出血を伴う下痢が発症する。
【0039】
患者の推定33~40%は、支持療法の使用にもかかわらず、死亡またはaHUSの最初の臨床症状を伴う末期腎疾患(ESRD)になり、患者の65%は、血漿交換または血漿注入(PE/PI)療法にもかかわらず、診断後一年以内に死亡、透析を要する、または持続性腎臓損傷を有する。aHUSの現在の兆候と症状を生き延びた患者は、慢性的な血栓および炎症状態に耐え、突然の血液凝固、腎不全、および早死を含むその他の重篤な合併症の高リスクに生涯にわたってさらされる。
【0040】
2.DDD、C3糸球体腎炎、およびC3糸球体症
デンスデポジット病(DDD)は、腎糸球体中の大量のC3の蓄積によって特徴付けられる希少な障害である。この状態は、透過電子顕微鏡を使用して、糸球体基底膜(GBM)中に過剰に蓄積された非常に高密度の沈着物にちなんで命名された。2013年には、コンセンサス会議の結果として、科学者らは新しい表題「C3糸球体症」の下でDDDをサブグループ化することを推奨している(C3G;Pickeringら。Kidney Intl.、2013、84:1079-89)。この新しい用語は、DDDを思わせる腎生検で糸球体疾患を示す患者の別のグループがあるという認識によってもたらされた。これらの個体では、C3沈着は、電子顕微鏡を使用して見ると、より薄い色であり、より広範囲にある。しかしながら、免疫蛍光評価では、DDD患者と同様に、腎糸球体に大量のC3が存在する。従って、これらの患者は、「C3糸球体腎炎」または「C3GN」と診断されている。それらの症候性類似性を認識すると、DDDおよびC3GNの両方が、C3Gのサブタイプとして分類される。
【0041】
III.ヒト化C3非ヒト動物の生成
本明細書に開示される方法で使用されるヒト化C3動物は、当該技術分野で公知の方法論を使用して生成することができる(一般に、“Gene Targeting:A Practical Approach”、Joyner、ed.、Oxford University Press、Inc.(2000)を参照のこと)。一実施形態では、マウスの生成は、マウスC3遺伝子の破壊、およびヒトまたはヒト化C3をコードする遺伝子のマウスゲノムへの導入を任意に含み得る。一実施形態では、ヒトまたはヒト化C3をコードする遺伝子の導入は、内因性マウスC3遺伝子と同じ位置にある。
【0042】
本明細書に開示される方法で使用される遺伝子組み換え非ヒト動物(ヒト化C3動物)は、導入遺伝子を動物の生殖細胞系統に導入することによって生成することができる。様々な発達段階における胚性標的細胞を使用して導入遺伝子を導入することができる。胚性標的細胞の発達段階に応じて、異なる方法が使用される。本方法で使用される任意の動物の特定の系統は、一般的に良好な健康状態、良好な胚収量、胚における良好な前核視認性、および良好な生殖適合性のために選択される。遺伝子組み換えマウスを作製する場合、C57BL/6またはC57BL/6×DBA/2 F1またはFVB系統などの系統がよく使用される(Charles River Labs社、Boston、Mass、The Jackson Laboratory、Bar Harbor、Me.、またはTaconic Labsから市販されている)。
【0043】
導入遺伝子の胚の導入は、例えば、マイクロ注射、エレクトロポレーション、またはリポフェクションなど、当技術分野で公知の任意の手段によって達成することができる。例えば、導入遺伝子は、受精した哺乳動物の卵の前核に構築物をマイクロインジェクションすることにより哺乳動物に導入し、構築物の一つまたは複数のコピーを発達中の哺乳動物の細胞に保持させることができる。受精卵への導入遺伝子構築物の導入に続いて、卵をさまざまな時間インビトロ でインキュベートするか、代理宿主に再移植するか、またはその両方を行うことができる。インビトロでの成熟までのインキュベーションは、本開示の範囲内である。ある一般的な方法は、種に応じて約1~7日間、インビトロで、胚をインキュベートしてから、代理宿主に再移植することである。
【0044】
再移植は、標準的な方法を使用して達成される。通常、代理宿主は麻酔され、胚は卵管に挿入される。特定の宿主に移植された胚の数は、種によって異なるが、通常、種が自然に生産する子孫の数に匹敵する。
【0045】
レトロウイルス感染は、導入遺伝子を非ヒト動物に導入するためにも使用され得る。発達中の非ヒト胚をインビトロで胚盤胞期まで培養することができる。この間、卵割球はレトロウイルス感染の標的となり得る(Jaenich、R.(1976)PNAS 73:1260-1264)。卵割球の効率的な感染は、透明帯を除去する酵素処置によって得られる(Manipulating the Mouse Embryo、Hogan eds.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor、1986)。導入遺伝子の導入に使用されるウイルスベクターシステムは、通常、導入遺伝子を運ぶ複製欠損レトロウイルスである(Jahnerら。(1985)。PNAS 82:6927~6931;Van der Puttenら。(1985)PNAS 82:6148-6152)。
【0046】
導入遺伝子導入のための第三のタイプの標的細胞は、胚性幹(ES)細胞である。導入遺伝子は、DNAトランスフェクションによって、またはレトロウイルス媒介性形質導入によって、ES細胞に効率的に導入することができる。そのような形質転換されたES細胞を、その後、非ヒト動物から胚盤胞と組み合わせることができる。ES細胞はその後、胚をコロニー形成し、得られたキメラ動物の生殖系列に貢献する。
【0047】
ヒト化C3を含む遺伝子組み換え動物は、他の動物と交配することができる。調製の方法は、一連の哺乳動物を生成することであり、それぞれが所望の構築物または導入遺伝子の一つを含む。このような哺乳動物は、一連の交配、戻し交配、および選択によって一緒に交配され、最終的には、すべての所望の構築物および/または導入遺伝子を含む単一の哺乳類を生成し、それ以外の場合、哺乳動物は、所望の構築物および/または導入遺伝子の存在を除いて、野生型に類遺伝子性(遺伝的に同一)である。一実施形態では、ヒトまたはヒト化C3遺伝子を含むマウスはこの方法で生成される。
【0048】
典型的には、交配および戻し交配は、育成経過の各特定の工程の目的に応じて、兄弟または親株を子孫に交配することによって達成される。特定の場合、適切な染色体位置に各ノックアウト構築物および/または導入遺伝子を含む、単一の子孫を生成するために、多数の子孫を生成することが必要であり得る。さらに、最終的に望ましい遺伝子型を得るために、数世代にわたって交配または戻し交配が必要になる場合がある。
【0049】
一態様では、ヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現する例えば、マウスまたはラットなどの遺伝子組み換え齧歯類が提供され、ヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現する齧歯類は、正常な補体系を含む。すなわち、ヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現する齧歯類の血液、血漿または血清中の補体タンパク質のレベルは、機能的な内因性C3タンパク質を発現する齧歯類の血液、血漿または血清中の補体タンパク質のレベルに類似している。一実施形態では、齧歯類はマウスである。一実施形態では、齧歯類はラットである。
【0050】
一態様では、本明細書に記載されるような遺伝子組み換えを含む、多能性または全能性の非ヒト動物、例えば、齧歯類、例えば、マウスまたはラットなどの細胞が提供される。一実施形態では、細胞は齧歯類細胞である。一実施形態では、細胞はマウス細胞である。一実施形態では、細胞は齧歯類ES細胞である。一実施形態では、細胞はマウスES細胞である。
【0051】
一態様では、非ヒト動物、例えば、齧歯類、例えば、マウスまたはラットなどの卵子が提供され、非ヒト動物の卵子は異所性非ヒト動物染色体を含み、異所性非ヒト動物染色体は本明細書に記載されるような遺伝子組み換えを含む。一実施形態では、非ヒト動物は齧歯類である。一実施形態では、齧歯類はマウスである。一実施形態では、齧歯類はラットである。
【0052】
一態様では、ヒトC3遺伝子を含むように遺伝子組み換えされたマウスの胚、卵子、または細胞は、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BU6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、およびC57BL/Olaから選択されるC57BL系統のマウスのものである。別の実施形態では、マウスは129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/Svlm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、129T2の系統からなる群から選択される129系統である(参照、例えば、Festingら。(1999)Revised nomenclature for strain 129 mice、Mammalian Genome 10:836、Aubalachら(2000)Establishment and Chimera Analysis of 129/SvEv- and C57BL/6-Derived Mouse Embryonic Stem Cell Linesも参照のこと)。特定の実施形態では、遺伝子組み換えマウスは、前述の129系統と前述のC57BL/6系統との混合である。別の特定の実施形態では、マウスは前述の129系統の混合、または前述のBL/6系統の混合である。特定の実施形態では、上記混合の129系統は129S6(129/SvEvTac)系統である。別の実施形態では、マウスはBALB系統、例えばBALB/c系統、である。さらに別の実施形態では、マウスはBALB系統と別の前述の系統との混合である。一実施形態では、マウスはスイスマウスまたはスイスウェブスターマウスである。
【0053】
ヒト化C3齧歯類および同じ作製方法に関するさらなる情報は、米国特許出願公開第20150313194号に見出すことができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
このように、本明細書では、ヒト化C3遺伝子からC3タンパク質を発現する遺伝子組み換え齧歯類、例えば、マウスまたはラットが提供され、齧歯類はその血清中にヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現する。一実施形態では、齧歯類はマウスである。一実施形態では、齧歯類はラットである。ヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現する齧歯類の血清は、機能性内因性C3タンパク質を発現する齧歯類、例えば、野生型のマウスまたはラットとほぼ同じレベルのC3タンパク質を有することができる。一実施形態では、マウスは血清中にヒトまたはヒト化C3タンパク質(hC3)を、機能性内因性C3タンパク質を発現するが内因性マウスC3遺伝子座における内因性C3遺伝子のヒトC3遺伝子またはその断片による置換を含まない同齢のマウスの血清中に存在するC3タンパク質のレベルの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%または200%の濃度で発現する。
【0055】
一実施形態では、齧歯類は血清中にヒトC3タンパク質を、機能性内因性C3タンパク質を発現するが内因性マウスC3遺伝子座における内因性C3遺伝子のヒトC3遺伝子またはその断片による置換を含まない同齢のマウスの血清中に存在するマウスC3タンパク質のレベルの約1%~約5%、約3%~約7%、約5%~約15%、約10%~約20%、約10%~約200%、約20%~約150%、または約30%~約100%の濃度で発現する。
【0056】
一実施形態では、齧歯類は血清中にヒトまたはヒト化C3タンパク質を、約1μg/ml~約5μg/ml、約3μg/ml~約7μg/ml、約5μg/ml~約15μg/ml、約10μg/ml~約20μg/ml、約15μg/ml~約30μg/ml、約20μg/ml~約40μg/ml、約30μg/ml~約60μg/ml、約50μg/ml~約100μg/ml、約75μg/ml~約125μg/ml、約100μg/ml~約1500μg/ml、約100μg/ml~約1500μg/ml、約200μg/ml~約1250μg/ml、または約300μg/ml~約1000μg/mlの濃度で発現する。別の実施形態では、マウスは血清中にヒトまたはヒト化C3タンパク質を、少なくとも約1μg/ml、2μg/ml、3μg/ml、4μg/ml、5μg/ml、6μg/ml、7μg/ml、8μg/ml、9μg/ml、10μg/ml、11μg/ml、12μg/ml、13μg/ml、14μg/ml、15μg/ml、16μg/ml、17μg/ml、18μg/ml、19μg/ml、20μg/ml、30μg/ml、40μg/ml、50μg/ml、60μg/ml、70μg/ml、80μg/ml、90μg/ml、100μg/ml、200μg/ml、300μg/ml、400μg/ml、500μg/ml、600μg/ml、700μg/ml、800μg/ml、900μg/ml、1000μg/ml、1250μg/ml、または1500μg/ml、これらの濃度の間に入る値と範囲を含めた濃度で発現する。
【0057】
IV.補体関連腎症を治療することができる薬剤の治療有効性をインビボで特定または評価するためのヒト化C3非ヒト動物の使用
A.補体関連腎症または肝線維症を改善する薬剤の特定
一部の態様では、1)候補薬剤を特定する方法(すなわち、化合物または治療剤分子)または2)補体関連腎症、例えば、これらに限定されないが、aHUS、DDD、C3糸球体腎炎、および/またはC3糸球体症などの治療における使用のための候補薬剤の治療有効性をインビボで評価する方法が本明細書に提供される。本方法は、本明細書に開示されるヒト化C3非ヒト動物(例えば、マウスまたはラット)のいずれかを利用する。一部の実施形態では、候補化合物は、補体関連腎症の症状を示す非ヒト動物に直接投与され、薬剤または化合物が補体関連腎症および/または肝線維症の一つまたは複数の症状を軽減できるかどうかを決定する。その他の実施形態では、候補化合物は、これら非ヒト動物から得られた血清と接触し、補体活性は、一般的に使用されるいかなるインビトロでの評価技術(CH50アッセイなどがあるがこれに限定されない)を用いて評価される。
【0058】
一部の実施形態では、候補化合物または薬剤は、本明細書に記載されるヒト化C3非ヒト動物(例えば、齧歯類、例えばマウスまたはラット)の腎臓または肝臓における、補体活性化(例えば、代替経路補体活性化および/またはC3介在性補体経路活性化などがあるがこれらに限定されない)またはC3タンパク質の切断および/または沈着を、縮小、減少、または阻害することによって、補体活性化を調節することができる。化合物または薬剤は、本明細書に開示される非ヒト動物のいずれかにおける補体活性化またはC3タンパク質切断および/または沈着を、候補化合物または薬剤で処置しない対照非ヒト動物と比較して、約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%縮小することができる。
【0059】
別の実施形態では、候補化合物は、本明細書に記載されるヒト化C3非ヒト動物(例えば、齧歯類、例えばマウスまたはラット)のいずれかの腎臓または肝臓における、補体活性化(例えば、代替経路補体活性化またはC3介在性補体経路活性化などがあるがこれらに限定されない)またはC3タンパク質の切断および/または沈着を、最大1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、54時間、60時間、66時間、72時間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、または三週間(これらの値の間のいかなる期間も含む)縮小、減少、または阻害することができる。
【0060】
候補化合物は、さらに、本明細書に記載されるヒト化C3非ヒト動物(例えば、齧歯類、例えばマウスまたはラット)のいずれかの腎臓または肝臓における、補体活性化(例えば、代替経路補体活性化またはC3介在性補体経路活性化などがあるがこれらに限定されない)を、増加、増幅、または活性化することによって、他の実施形態において補体活性化を調節することができる。化合物は、本明細書に開示されるいずれかの齧歯類における補体活性化を、候補化合物または薬剤で処置しない対照非ヒト動物と比較して、約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%増加させることができる。
【0061】
別の実施形態では、候補化合物は、本明細書に記載されるヒト化C3非ヒト動物(例えば、齧歯類、例えばマウスまたはラット)のいずれかの腎臓または肝臓における、補体活性(例えば、代替経路補体活性またはC3介在性補体経路活性などがあるがこれらに限定されない)を、最大1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、54時間、60時間、66時間、72時間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、または三週間(これらの値の間のいかなる期間も含む)増加、増幅、または活性化することができる。
【0062】
その他の実施形態では、候補薬剤または化合物は、候補薬剤または化合物を投与されていない対照非ヒト動物と比較して、非ヒト動物(例えば、齧歯類、例えばマウスまたはラット)における補体関連腎症または肝線維症の一つまたは複数の症状を改善または治療する。「改善する」または「治療する」という用語は、別段の指定がない限り、補体関連腎症(aHUS、DDD、C3糸球体腎炎、および/またはC3糸球体症などがあるがこれらに限定されない)または肝線維症に関連する一つまたは複数の症状を、除去する、発症を遅延する、または罹患率、頻度、もしくは重症度を低減することを意味する。
【0063】
一部の実施形態では、補体関連腎症(例えば、aHUS、DDD、C3糸球体腎炎、および/またはC3糸球体症などがあるがこれらに限定されない)の一つまたは複数の症状は、自然死である。よって、候補化合物または薬剤は、本明細書に記載されるヒト化C3非ヒト動物(例えば、齧歯類、例えばマウスまたはラット)のいずれかにおける自然死の発生を、候補化合物または薬剤で処置しない対照非ヒト動物と比較して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%改善することができる。
【0064】
下記の実施例2に示すように、本明細書に記載のホモ接合性ヒト化C3齧歯類は、ヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現しない野生型同腹子または齧歯類と比較して、体重の減少(すなわち、正常に体重を増やすことができない)、骨密度および/またはミネラル含有量の減少、および/または体脂肪の減少を示す。従って、一部の実施形態では、候補薬剤または化合物によって改善された補体関連腎症(例えば、aHUS、DDD、C3糸球体腎炎、および/またはC3糸球体症などがあるがこれらに限定されない)の一つまたは複数の症状は、体重減少、骨密度減少、または体脂肪減少の一つまたは複数である。よって、候補化合物または薬剤は、本明細書に記載のヒト化C3非ヒト動物(マウスまたはラットなど)のいずれかにおける、低体重、骨密度またはミネラル含有量の減少、および/または体脂肪の減少のうちの一つまたは複数を、候補化合物または薬剤で処置されない対照非ヒト動物と比較して、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%改善することができる。体重減少または増加、骨密度またはミネラル含有量、および体脂肪の決定は、ルーチンであり、当技術分野で周知の方法に従って達成できる。
【0065】
さらに、以下の実施例4に記載されるように、本明細書に記載のホモ接合性ヒト化C3齧歯類は、ヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現しない野生型同腹子または齧歯類と比較して、腎臓内、特にネフロン内(例えば、糸球体)で高レベルのC3タンパク質沈着を示す。従って、一部の実施形態では、候補薬剤または化合物によって改善された補体関連腎症(例えば、aHUS、DDD、C3糸球体腎炎、および/またはC3糸球体症などがあるがこれらに限定されない)の一つまたは複数の症状は、腎臓内のC3タンパク質沈着である。よって、候補化合物または薬剤は、本明細書に記載のヒト化C3非ヒト動物(マウスまたはラットなど)のいずれかにおける腎臓C3タンパク質沈着を、候補化合物または薬剤で処置されない対照非ヒト動物と比較して、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%改善することができる。腎臓C3タンパク質沈着の決定は、免疫組織化学、免疫蛍光法、および電子顕微鏡(免疫電子顕微鏡を含む)を含むがこれに限定されない、当技術分野で公知の任意の数の手段によって解析することができる。
【0066】
実施例4はまた、活性化された補体経路を示す、ヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現しない野生型同腹子または齧歯類に対するヒト化C3齧歯類の腎糸球体における増加したC5b-9膜侵襲複合体の沈着も示した。従って、一部の実施形態では、候補薬剤または化合物によって改善された補体関連腎症(例えば、aHUS、DDD、C3糸球体腎炎、および/またはC3糸球体症などがあるがこれらに限定されない)の一つまたは複数の症状は、C5b-9膜侵襲複合体形成の増加である。よって、候補化合物または薬剤は、本明細書に記載のヒト化C3非ヒト動物(マウスまたはラットなど)のいずれかにおけるC5b-9膜侵襲複合体形成を、候補化合物または薬剤で処置されない対照非ヒト動物と比較して、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%改善することができる。C5b-9膜侵襲複合体形成は、免疫組織化学、免疫蛍光法(免疫蛍光標識抗C9抗体など)、および電子顕微鏡(免疫電子顕微鏡を含む)を含むがこれに限定されない、当技術分野で公知の任意の数の手段によって決定され得る。
【0067】
実施例3に示すように、本明細書に記載のホモ接合性ヒト化C3齧歯類は、ヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現しない野生型同腹子または齧歯類と比較して、血中尿素窒素(BUN)、リパーゼ、シスタチン、および非高密度リポタンパク質の血清および/または血漿レベルの上昇を示す。従って、一部の実施形態では、候補薬剤または化合物によって改善された補体関連腎症(例えば、aHUS、DDD、C3糸球体腎炎、および/またはC3糸球体症などがあるがこれらに限定されない)の一つまたは複数の症状は、BUN、リパーゼ、シスタチン、および非高密度リポタンパク質の血清および/または血漿レベルの上昇である。よって、候補化合物または薬剤は、本明細書に記載のヒト化C3非ヒト動物(マウスまたはラットなど)のいずれかにおけるBUN、リパーゼ、シスタチン、および非高密度リポタンパク質の血清および/または血漿レベルの上昇を、候補化合物または薬剤で処置されない対照非ヒト動物と比較して、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%改善することができる。BUN、リパーゼ、シスタチン、および非高密度リポタンパク質の血清および/または血漿レベルを評価することは、当技術分野で周知の任意の数の方法を使用して達成できる。
【0068】
実施例3は、本明細書に記載されるホモ接合性ヒト化C3齧歯類が、ヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現しない野生型同腹子または齧歯類と比較して、尿アルブミン濃度の上昇を示すことをさらに示す。実施例4は、本明細書に記載されるホモ接合性ヒト化C3齧歯類が、ヒトまたはヒト化C3タンパク質を発現しない野生型同腹子または齧歯類と比較して、尿中C5aレベルの上昇を示すことを示す。従って、一部の実施形態では、候補薬剤または化合物によって改善された補体関連腎症(例えば、aHUS、DDD、C3糸球体腎炎、および/またはC3糸球体症などがあるがこれらに限定されない)の一つまたは複数の症状は、尿アルブミンおよび/またはC5aの増加である。よって、候補化合物または薬剤は、本明細書に記載のヒト化C3非ヒト動物(マウスまたはラットなど)のいずれかにおける尿アルブミンおよび/またはC5aのレベルの上昇を、候補化合物または薬剤で処置されない対照非ヒト動物と比較して、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%改善することができる。尿アルブミンレベルの評価は、当技術分野で周知の任意の数の方法を使用して達成することができる。
【0069】
本明細書に記載されるホモ接合性ヒト化C3齧歯類は、肝損傷または線維症と一致する症状をさらに呈する。線維症は、修復または反応プロセスの器官または組織における過剰な繊維結合組織の形成である。生理学的に、線維症は結合組織を沈着する働きをし、結合組織は基礎となる器官または組織の構造および機能を消滅させる可能性がある。細胞外基質(ECM)タンパク質の病理学的蓄積によって定義される線維症は、患部組織の瘢痕化および肥厚をもたらし、本質的に正常臓器機能を妨害する誇張された創傷治癒反応である。肝臓の線維症は多くの場合、肝硬変と呼ばれ、アルコール肝疾患(ALD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性C型肝炎、慢性B型肝炎、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、遺伝性ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、α1アンチトリプシン欠損症、ガラクトース血症、糖原病IV型、嚢胞性繊維症、または肝毒性の薬物または毒素への暴露など、他にも多数あるが、これら多くの症状を引き起こし得る。
【0070】
実施例3は、本明細書に記載されるホモ接合性ヒト化C3齧歯類が、肝臓酵素アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、またはアルカリホスファターゼ(ALP)のレベルの上昇を示すことをさらに示す。従って、一部の実施形態では、候補薬剤または化合物によって改善された肝線維症の一つまたは複数の症状は、ALT、AST、またはALPのレベルの上昇である。よって、候補化合物または薬剤は、本明細書に記載のヒト化C3非ヒト動物(マウスまたはラットなど)のいずれかにおけるALT、AST、および/またはALPのレベルの上昇を、候補化合物または薬剤で処置されない対照非ヒト動物と比較して、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%改善することができる。ALT、AST、またはALP肝酵素レベルの評価は、当技術分野で周知の任意の数の方法を使用して達成することができる。
【0071】
一部の実施形態では、補体関連腎症または肝線維症の一つまたは複数の症状は、疾患遺伝子シグネチャー、すなわち、疾患の遺伝子シグネチャー特性、すなわち、補体関連腎症または肝線維症によって反映される。疾患遺伝子シグネチャーは、疾患のない野生型対照対象と比較して、疾患を有する対象(例えば、齧歯類)では差次的に発現する遺伝子のセットを含む。「差次的に発現する」とは、シグネチャー遺伝子の発現が、疾患を伴わない野生型対照のシグネチャー遺伝子の発現と比較して、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれ以上増加もしくは減少することを意味する。一部の実施形態では、補体関連肝線維症の遺伝子シグネチャーは、図17に列挙された遺伝子の一つもしくは複数、または図19の差次的に発現する遺伝子の一つもしくは複数を含む。一部の実施形態では、補体関連腎症の遺伝子シグネチャーは、図21Bに列挙された腎毒性遺伝子の一つもしくは複数、図21Cに列挙された細胞外基質(ECM)遺伝子の一つもしくは複数、図21Dに列挙されたサイトカイン遺伝子の一つもしくは複数、図21Eに列挙されたケモカイン遺伝子の一つもしくは複数、またはそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、補体関連腎症および肝線維症の遺伝子シグネチャーは、例えば、Timp1、Spp1、Col13a1、Mmp14、Tgfbi、Mmp2、Col1a1、およびTncからなる群から選択される一つまたは複数のECM遺伝子、Ccl22、Ccr1、Tnfsf8、Il1f6、Ccl5、Il1rn、Tlr1、Itgb2、Ccr2、C3ar1、およびFosからなる群から選択される一つまたは複数のサイトカイン遺伝子および受容体遺伝子、Btla、Cd86、Cd3e、Icos、H2-Ab1、Cd14、Cd28、H2-Eb1、Tyrobp、Tlr8、Cd200r1、Itgam、Cd2、Cd84、Klrk1、C1qc、H2-Oa、およびH2-Aaからなる群から選択される一つまたは複数の免疫シグナル伝達分子、Cd4、Cd3g、Lcp2、H2-Oa、H2-Aa、Cd247、Ptprc、およびLckからなる群から選択される一つまたは複数のT細胞関連遺伝子、C5ar1、Cfi、C3ar1、C6、C1qc、C7、C1qa、C1qb、Serpine1、F13a1、およびCfhからなる群から選択される一つまたは複数の補体および凝固遺伝子、Cyp7b1、Akr1c188、Agps、およびLplからなる群から選択される一つまたは複数の脂質代謝遺伝子などの図29Cに列挙された一つまたは複数の遺伝子を含む。一部の実施形態では、補体関連腎症および肝線維症の遺伝子シグネチャーは、例えば、Ms4a1、Cd79a、Cd79b、Cd19、Cd3d、Cd3e、Cd3g、Cd8a、Cd8b1、Cd4、Foxp3、Prf1、Gzma、Kird1、Kirk1、Ncr1、Ccl22、Clec9a、Cd207、Adam23、Marco、Msr1、C1qb、Ms4a7、Cxcr2、Csf3r、Robo4、Tek、Tie1、Cdh5、Kdr、Esam、Tagln、Acta2、Fap、およびTncからなる群から選択されるマーカーなどの図29Bに列挙される一つまたは複数の免疫細胞型マーカーを含む。
【0072】
一部の実施形態では、補体関連腎症または肝線維症の一つまたは複数の症状は、疾患シグネチャー遺伝子の一つまたは複数、例えば、複数または集団の発現を決定することによって評価される。候補化合物は、実施例7に示すように、疾患シグネチャー遺伝子の発現の上昇または低下を改善する、すなわち完全にまたは部分的に逆転させる能力において評価することができる。例えば、候補化合物または薬剤は、本明細書に記載のヒト化C3非ヒト動物(マウスまたはラットなど)のいずれかにおける疾患遺伝子シグネチャーのセットにおける一つまたは複数の遺伝子の発現レベルの上昇または低下を、候補化合物または薬剤で処置されない対照非ヒト動物と比較して、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%改善することができる。
【0073】
B.候補薬剤または化合物
候補治療剤または化合物は、限定されないが、小分子化学物質、抗体、タンパク質、阻害性核酸、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0074】
1.抗体
一部の態様では、候補薬剤または化合物は、補体タンパク質(C5、C3、またはそのタンパク質分解産物(例えば、C3aまたはC3b)など)および抗体に結合(例えば、優先的に結合)する。「抗体(antibody)」および「抗体(antibodies)」という用語は、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化(camelised)抗体、キメラ抗体、CDR融合抗体、単鎖Fvs(scFv)、ジスルフィド結合型Fvs(sdFv)、Fab断片、F(ab′)断片、および前述のいずれかの抗原結合断片を指す。特に、抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の抗原結合活性断片、すなわち抗原結合部位を含有する分子を含む。こうした断片は、それに限定されないが、Fc領域またはその断片を含む別の免疫グロブリンドメインに融合されてもよく、または融合されなくてもよい。当業者であれば、scFv-Fc融合物、可変領域(例えばVLおよびVH)-Fc融合物、およびscFv-scFv-Fc融合物を含むがこれらに限定されない、その他の融合生成物が生成され得ることを理解するであろう。免疫グロブリン分子は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgYを含む任意のタイプ、ならびにIgG、IgG、IgG、IgG、IgAおよびIgAを含む任意のクラス、または任意のサブクラスであり得る。一部の実施形態では、抗体はC5および/またはC3拮抗薬であり、補体活性化(例えば、腎臓または肝臓における代替的補体経路活性化など)を減少させ得る。その他の実施形態では、抗体はC5および/またはC3作動薬であり、補体活性化を増加させ得る。
【0075】
抗体の変異体は、抗体の活性に実質的に影響を与えることなく、当技術分野で知られている情報に基づいても作製され得る。例えば、抗体変異体は、異なる残基によって置換された抗体分子において少なくとも一つのアミノ酸残基を有することができる。抗体の場合、置換変異誘発に最も関心のある部位には一般的に超可変領域が含まれるが、フレームワーク領域(FR)の変更も考えられる。
【0076】
抗体の場合、置換変異体の一つのタイプは、親抗体の一つまたは複数の超可変領域残基を置換することを含む(例えばヒト化またはヒト抗体)。一般的に、さらなる開発のために選択された結果として得られる変異体は、それらが生成される親抗体と比較して改善された生物学的特性を有する。このような置換変異体を生成するための都合の良い方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟を伴う。簡潔に述べると、いくつかの超可変領域部位(例えば6~7部位)を変異させて、各部位での可能性のあるすべてのアミノ酸置換を生成する。こうして生成された抗体は、各粒子内に包装されたM13の遺伝子産物への融合物として繊維状ファージ粒子から表示される。次に、ファージディスプレイされた変異体は、本明細書に開示されるように、それらの生物学的活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補超可変領域部位を識別するために、アラニンスキャニング変異誘発を実行して、抗原結合に著しく寄与する超可変領域残基を識別することができる。
【0077】
抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当該技術分野で公知の様々な方法によって調製され得る。これらの方法には、天然源からの単離(天然発生アミノ酸配列変異体の場合)またはオリゴヌクレオチド媒介性(または部位特異的)変異誘発による調製、PCR変異誘発、および以前に調製された抗体の変異体または非変異体バージョンのカセット変異誘発が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
免疫グロブリンポリペプチドのFc領域に一つまたは複数のアミノ酸修飾を導入することによって、Fc領域変異体を生成することが望ましい場合がある。Fc領域変異体は、ヒンジシステインのアミノ酸位置を含む一つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば置換)を含む、ヒトFc領域配列(例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0079】
修飾(改善または縮小)Clq結合および/または補体依存性細胞障害(CDC)を伴うFc領域変異体は、国際特許出願公開番号WO99/51642(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。かかる変異体は、Fc領域の一つまたは複数のアミノ酸位置におけるアミノ酸置換を含み得る。Fc領域変異体に関しては、Duncan & Winter、Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、および国際特許出願公開番号WO94/29351も参照のこと。それぞれの開示は本明細書に参照により組み込まれる。
【0080】
2.非抗体結合ポリペプチド
一部の態様では、候補化合物は、補体タンパク質(C5、C3、またはそのタンパク質分解産物(例えば、C3aまたはC3b)など)に結合(例えば、優先的に結合)し、非抗体結合ポリペプチドである。一部の実施形態では、非抗体結合ポリペプチドは、C5および/またはC3拮抗薬であり、補体活性化(例えば、腎臓または肝臓における代替的補体経路活性化など)を減少させ得る。その他の実施形態では、非抗体結合ポリペプチドは、C5および/またはC3作動薬であり、補体活性化を増加させ得る。
【0081】
結合ポリペプチドは、公知のポリペプチド合成方法を用いて化学的に合成されてもよく、または組み換え型技術を用いて調製および精製されてもよい。結合ポリペプチドは、通常、少なくとも約5アミノ酸長、別の方法として、少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100アミノ酸長もしくはそれ以上であり、かかる結合ポリペプチドは、本明細書に記載する任意の補体タンパク質(例えばC5、C3、C3a、またはC3bなど)などの標的に結合することができる。
【0082】
結合ポリペプチドは、公知の技術を使用して過度の実験なしに特定され得る。これに関して、ポリペプチド標的に結合することができるポリペプチドを結合するためのポリペプチドライブラリーのスクリーニング技術は、当技術分野で公知であることに留意されたい(例えば、米国特許第5,556,762号、第5,750,373号、第4,708,871号、第4,833,092号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,571.689号、第5,663,143号;PCT出願公開WO84/03506およびWO84/03564、Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.米国、81:3998-4002(1984);Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.米国、82:178-182(1985);Geysenら。J.Immunol.Meth、102:259-274(1987);Clackson、T.ら、(1991)Nature、352:624;Kang、A.S.ら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.米国、88:8363、およびSmith、G.P.(1991)Current Opin.Biotechnol、2:668を参照のこと)。それぞれの開示は本明細書に組み込まれる。
【0083】
ペプチドライブラリーを生成し、これらライブラリーをスクリーニングする方法については、米国特許第5,723,286号、第5,432,018号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,498,530号、第5,770,434号、第5,734,018号、第5,698,426号、第5,763,192号、および第5,723,323号に開示されており、それぞれの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
結合ポリペプチドは、阻害性および/または治療効果(例えば、親和性の向上、半減期、安定性、およびクリアランス率などの薬物動態特性の改善、毒性の低下など)を高めるために修飾され得る。このような修飾には、グリコシル化、ペグ化、非天然であるが機能的に同等なアミノ酸による置換、連結基などが含まれるがこれらに限定されない。
【0085】
3.小分子化学物質
一部の態様では、候補化合物は、補体タンパク質(C5、C3、またはそのタンパク質分解産物(例えば、C3aまたはC3b)など)に結合(例えば、優先的に結合)し、小分子である。一部の実施形態では、小分子はC5および/またはC3であり、補体活性化(例えば、腎臓または肝臓における代替的補体経路活性化など)を減少させ得る。その他の実施形態では、小分子はC5および/またはC3作動薬であり、補体活性化を増加させ得る。
【0086】
小分子は、本明細書に定義される結合ポリペプチドまたは抗体以外の有機分子であることが好ましい。有機小分子は、公知の方法を使用して特定および化学的に合成され得る(例えば、PCT出願公開WO00/00823およびWO00/39585を参照のこと)。有機小分子は、通常、サイズが約2000ダルトン未満であり、代替的に約1500、750、500、250または200ダルトン未満のサイズであり、本明細書に記載されるポリペプチドに結合することができる有機小分子は、公知の技術を使用して過度の実験なしに特定され得る。これに関して、ポリペプチド標的に結合することができる分子用の有機小分子ライブラリーをスクリーニングするための技術は、当該技術分野で公知であることに留意されたい(例えば、PCT出願公開WO00/00823およびWO00/39585を参照のこと)。
【0087】
有機小分子は、例えば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、一級アミン、二級アミン、三級アミン、N置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバミン酸、炭酸塩、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、ハロゲン化アリール、アリールスルホン酸、ハロゲン化アルキル、スルホン酸アルキル、芳香族化合物、複素環化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアン酸、塩化スルホニル、ジアゾ化合物、酸塩化物などであり得る。
【0088】
一部の態様では、小分子化学物質は、コンビナトリアル化学ライブラリーの成分である。コンビナトリアル化学ライブラリーは、より小さなサブユニットまたはモノマーからなる複数種の化学物質の集合である。コンビナトリアルライブラリーには、数百から数十万種類の化学物質の範囲の様々なサイズがある。また、炭水化物、オリゴヌクレオチド、および有機小分子などの化合物からなるオリゴマーおよびポリマーライブラリーを含む、様々なライブラリータイプもある。こうしたライブラリーは、化学物質の固定化およびクロマトグラフィー分離、ならびに標的分子(例えば、C5、C3、C3aまたはC3b)を結合することができるリガンドを特定および特徴付けるための使用、または対象の生物学的活性(例えば、補体活性の阻害または活性化などがあるがこれらに限定されない)を媒介するための使用など、様々な用途を持つ。
【0089】
固相サポート上で化合物のライブラリーを合成するための様々な技術が当技術分野で公知である。固相サポートは、通常、表面がサブユニットまたはモノマーと結合してライブラリーの化合物を形成するように機能化された表面を持つ高分子体である。一つのライブラリーの合成は一般に、多数の固相サポートを伴う。コンビナトリアルライブラリーを作るには、固相サポートを、注意深く制御された所定の化学反応の配列で、化合物の一つまたは複数のサブユニットおよび一つまたは複数の試薬と反応させる。言い換えれば、ライブラリーサブユニットは、固相サポート上で「成長」する。ライブラリーが大きいほど、必要とされる反応数が大きくなり、ライブラリーを構成する化合物の複数種の化学組成を追跡する作業を複雑にする。一部の実施形態では、小分子は、サイズが約2000ダルトン未満であり、代替的に約1500、750、500、250または200ダルトン未満のサイズである。
【0090】
本明細書のいずれかの態様に記載された小分子剤は、固相サポート上で実施できる任意のタイプの化学反応から誘導され得る。こうした化学反応には、ブタジエンの捕捉を含む2+2環化付加、イソキサゾリン、フランおよび修飾ペプチドの合成を含む[2+3]環化付加、ジオール、アルデヒドおよびケトンの固定化を含むアセタール形成、アルデヒドの誘導体化、プロパンジオールの合成を含むアルドール凝縮、アルデヒドの誘導体化を含むベンゾイン縮合、ベンゾジアゼピンおよびヒダントイン、チアゾリジン、ターンミメティクス、ポルフィリン、フタロシアニンを含む環化縮合、ジエステルの環化を含むディークマン環化、アクリル酸の誘導体化を含むデス・アルダー(Des-Alder)反応、アルコールのアルケンへの添加を含む求電子付加、アルデヒドの誘導体化を含むグリニヤール反応、二置換アルケンの合成を含むヘック反応、in situでのニトリル酸化物の合成を含むヘンリー反応(2+3環化付加を参照)、フェロモンおよびペプチドの合成を含む触媒水素化(アルケンの水素化)、スルファニルケトン、ビシクロ[2.2.2]オクタンの合成を含むマイケル反応、アリールエーテル、ペプチジルホスホナート、およびチオエーテルの合成を含むミツノブ反応、キノロンの合成を含む核性芳香族置換、アルデヒドおよびケトンの合成を含む酸化、ペンティノールを用いたノルボルエナジンの環化を含む、Pausen-Khand 環化付加、ヘリセンの合成を含む光化学環化、アルデヒドおよび塩化アシルの誘導体化を含む有機金属化合物との反応、カルボニル、カルボン酸、エステルおよびニトロ基の減少を含む複雑な水素化合物および錫化合物を用いた減少、カルボキシル基の減少を含むSoai反応、ビフェニル誘導体の合成を含むStille反応、置換シクロヘキサノンの合成を含むStork反応、キノロンの合成を含む還元的アミノ化、フェニル酢酸誘導体の合成を含むスズキ反応、アルデヒド、フェロモンおよびスルファニルケトンの反応を含む、ウイット・ホーナー(Wittig-Horner)反応が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
化学ライブラリーの合成およびそれらのライブラリーの個々の化合物の個々の固相サポートへの逆重畳積分を開示する参考文献は、米国特許出願番号第2009/0032592号、Needelsら、(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.米国90:10700~10704、およびPCT出願公開WO97/15390に見出すことができ、その開示は本明細書に参照により組み込まれる。
【0092】
4.阻害性核酸
本開示の一態様では、候補補体調節化合物は、補体系の成分(mRNAなど)を標的とする一つまたは複数のオリゴヌクレオチドである。阻害性核酸は、限定されないが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、小型の抑制性RNA(siRNA)、またはリボザイムとすることができる。
【0093】
本開示のオリゴヌクレオチドは、補体系のタンパク質成分をコードするmRNAであってもよい。オリゴヌクレオチドは、それらの破壊を媒介することによって、またはタンパク質への翻訳を防止することによって、mRNAに結合し、それらの機能に干渉する。絶対的な相補性は好ましいが、必須ではない。本明細書で言及されるRNAの一部に「相補的」なオリゴヌクレオチド配列は、RNAとハイブリダイズして安定な二重鎖を形成できる十分な相補性を有する配列を意味する。ハイブリダイズする能力は、オリゴヌクレオチドの相補性および長さの両方に依存する。一般的に、ハイブリダイズする核酸が長ければ長いほど、それが含むRNAとの塩基ミスマッチが多くなり、それでも安定した二重鎖を形成する。当業者であれば、ハイブリダイズされた複合体の融点を決定する標準的手順を使用することによって、許容可能な程度の不一致を確認することができる。
【0094】
一般的に、補体系のタンパク質のmRNAとハイブリダイズするように製造された相補的オリゴヌクレオチドは、mRNAの5つの非翻訳領域、AUG開始コドンの補体、または3’非翻訳領域を含む、mRNAの任意の領域に対して標的化される。
【0095】
オリゴヌクレオチドは、限定されないが、ホスホロチオエート(Magら、Nucleic Acids Res.19:1437-1441、1991;および米国特許第5,644,048号)、ペプチド核酸またはPNA(Egholm、Nature、3685:566-568、1993;および米国特許第6,656,687号)、ホスホラミド(Beaucage、Methods Mol.Biol.20:33-61,1993)、ジオチリン酸(Capaldiら、Nucleic Acids Res.、28:E40、2000)などのヌクレオシド間の結合を交互に有することができる。その他のオリゴヌクレオチド類似体には、限定されないが、モルホリノ(Summerton、Biochim.Biophys.Acta.、1489:141-158、1999)、ロックされたオリゴヌクレオチド(Wahlestedtら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、97:5633-5638、2000)、ペプチド核酸追加またはPNA(Nielsenら、1993、HyrupおよびNielsen、1996)または2-o-(2-メトキシル)エチル修飾5′および3′末端オリゴヌクレオチド(Mckayら、J.Biol.Chem.、274:1715-1722,1999)が含まれる。これらの参考文献のすべては、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。核酸は、デオキシリボおよびリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、およびウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサタニンヒポキサタニン(xathanine hypoxathanine)、イソシトシン、イソグアニンなどを含む塩基の任意の組み合わせを含み得る。
【0096】
本開示による相補的オリゴヌクレオチドは、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシン、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルケオシン、5′-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、偽性ウラシル(pseudouracil)、ケオシン(queosine)、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオルウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリンを含むが、これらに限定されない群から選択される少なくとも一つの修飾塩基部分を含んでもよい。
【0097】
相補的オリゴヌクレオチドはまた、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソースを含むがこれに限定されない群から選択される少なくとも一つの修飾糖部分も含み得る。
【0098】
相補的オリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド長でなければならず、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50ヌクレオチド長などの10~約50ヌクレオチド長の範囲であってもよい。
【0099】
V.補体関連腎症の治療
さらに、本明細書には、一つまたは複数の補体関連神経障害(例えば、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)またはC3糸球体症(デンスデポジット病(DDD)またはC3糸球体腎炎(C3GN)などのC3Gなど)を治療するための方法が提供される。実施例6~7に示されるように、C5の発現または活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤による補体関連腎症の一つまたは複数の症状を示すヒト化C3マウスの治療は、生存率および腎機能の改善、腎臓の組織学的徴候および補体関連神経障害に関連する糸球体損傷の減少、および疾患シグネチャー遺伝子発現の完全または部分的な逆転をもたらし得る。さらに、実施例9に示すように、C3の活性の発現、またはそのタンパク質切断産物(C3aまたはC3b)の活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤を伴う補体関連神経障害の一つまたは複数の症状を示すヒト化C3マウスの治療は、生存率の改善にもつながり得る。
【0100】
本明細書で使用される場合、「C5の発現または活性を阻害する治療剤」は、補体因子5(C5)の生物学的機能または活性を阻害する能力を有する任意の薬剤を指す。これには、補体経路で通常行われるようにC5タンパク質が機能するのを防ぐ、C5遺伝子の発現を防ぐ、C5 pre-RNAの成熟mRNAへのプロセシングを防ぐ、C5 mRNAのC5ポリペプチドへの翻訳を防ぐ、その正常な生理学的機能に必要なC5ポリペプチドの翻訳後修飾またはプロセシングを防ぐ、および/またはC5タンパク質の活性をブロックまたは妨害する薬剤、物質、または化合物が含まれる。
【0101】
本明細書で使用される場合、「C3の発現または活性を阻害する治療剤」は、補体因子3(C3)の生物学的機能または活性を阻害する能力を有する任意の薬剤を指す。これには、補体経路で通常行われるようにC3タンパク質が機能するのを防ぐ、C3遺伝子の発現を防ぐ、C3 pre-RNAの成熟mRNAへのプロセシングを防ぐ、C3 mRNAのC3ポリペプチドへの翻訳を防ぐ、その正常な生理学的機能に必要なC3ポリペプチドの翻訳後修飾またはプロセシングを防ぐ、および/またはC3タンパク質の活性をブロックまたは妨害する薬剤、物質、または化合物が含まれる。
【0102】
「C3aまたはC3bの活性を阻害する治療剤」は、C3aまたはC3bの生物学的機能または活性を阻害する能力を有する任意の薬剤を指す。
一部の実施形態では、治療剤は、本明細書で議論される、抗体、阻害性核酸(アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、マイクロRNA(miR)、またはリボザイムなどがあるがこれらに限定されない)、もしくは非抗体結合ポリペプチドなどの阻害性核酸、非抗体結合ポリペプチド、または小分子化学物質のうちの一つまたは複数である。
【0103】
その他の実施形態では、治療剤は、抗体またはその機能的断片(例えば、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化(camelised)抗体、キメラ抗体、CDR融合抗体、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fab断片、またはF(ab’)断片)である。抗体は個体に、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、週に一回、または二週間に一回投与することができる。一部の例では、抗体の約40mg/kg~約60mg/kgを、補体関連腎症と診断された、または補体関連腎症を有すると考えられる個体に(約40mg/kg、41mg/kg、42mg/kg、43mg/kg、44mg/kg、45mg/kg、46mg/kg、47mg/kg、48mg/kg、49mg/kg、50mg/kg、51mg/kg、52mg/kg、53mg/kg、54mg/kg、55mg/kg、56mg/kg、57mg/kg、58mg/kg、59mg/kg、60mg/kg、またはそれ以上のいずれかなど)投与することができる。抗体投与は、限定されないが、注射、動脈送達、ガス注入、摂取、または坐薬を介して、当該技術分野で公知の任意の手段を介して行うことができる。抗C5抗体療法は、8~56週間(約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、または56週間)、1~5年間または無期限に継続することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される治療方法のいずれかにおける使用に適した抗C5抗体は、例えば、米国特許出願第15/621,689号に記載されるように、公知の方法を用いて作製することができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、本明細書に開示される治療方法のいずれかにおける使用に適した抗C3、抗C3a、または抗C3b抗体は、公知の方法を使用して作製することができる。
【0104】
補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体における腎機能を改善する方法が本明細書に提供される。方法は、上述の治療剤のいずれかなど、臨床的に有効な量の治療剤を投与することを含む。治療剤の投与は、治療剤を投与されていない補体関連腎症と診断された個体と比較して、腎機能改善をもたらす。一部の実施形態では、腎機能の改善は、血中尿素窒素(BUN)レベルの減少によって示されることがある。具体的には、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体に、C5の発現または活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤を投与することにより、C5の発現または活性を阻害する治療剤を投与しなかった補体関連腎症と診断された個体のBUNレベルと比較して、約10%~50%のBUNレベルが減少した(約10%、11%、12%、13%、15%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%のいずれかのBUNレベル減少など)。BUNの測定は、当技術分野ではルーチンであり、公知の手段によって実施され得る。
【0105】
他の実施形態では、腎機能の改善は、血清シスタチンC濃度の減少によって示され得る。例えば、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体に、C5の発現または活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤を投与することにより、C5の発現または活性を阻害する治療剤を投与しなかった補体関連腎症と診断された個体の血清シスタチンC濃度と比較して、約10%~60%の血清シスタチンC濃度が減少した(約10%、11%、12%、13%、15%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%のいずれかの血清シスタチンC濃度の減少など)。血清シスタチンC濃度の測定は、当技術分野ではルーチンであり、公知の手段によって実施され得る。
【0106】
さらなる実施形態では、腎機能の改善は、尿C5a濃度の減少によって示され得る。具体的には、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体に、C5の発現または活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤を投与することにより、C5の発現または活性を阻害する治療剤を投与しなかった補体関連腎症と診断された個体の尿C5a濃度と比較して、約40%~85%の尿C5a濃度が減少した(約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、56%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、または85%のいずれかの尿C5a濃度の減少など)。尿C5a濃度の測定は、当技術分野ではルーチンであり、公知の手段によって実施され得る。
【0107】
また、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体における糸球体膜侵襲複合体(MAC)形成の減少方法も本明細書に提供される。方法は、上述の治療剤のいずれかなど、臨床的に有効な量の治療剤を投与することを含む。治療剤の投与は、治療剤を投与されていない補体関連腎症と診断された個体における糸球体MAC形成と比較して、糸球体MAC形成の減少をもたらす。例えば、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体に、C5の発現または活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤を投与することにより、C5の発現または活性を阻害する治療剤を投与しなかった補体関連腎症と診断された個体のMAC形成と比較して、約5%~20%のMAC形成が減少した(約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、15%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%のいずれかのMAC形成の減少など)。MAC形成の測定は、当技術分野ではルーチンであり、任意の公知の手段(例えば、個体から腎臓組織における糸球体係蹄のMACのC9成分の免疫組織化学染色などがあるが、これに限定されない)によって実施され得る。
【0108】
さらに、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体の腎臓の糸球体または間質の中への免疫細胞浸潤を減少するための方法が提供されている。方法は、上述の治療剤のいずれかなど、臨床的に有効な量の治療剤を投与することを必要とする。治療の投与は、治療剤を投与されていない補体関連腎症と診断された個体の腎臓における免疫細胞浸潤と比較して、個体の腎臓における免疫細胞浸潤の減少につながる。一部の実施形態では、免疫細胞は、糸球体に浸潤する好中球である。免疫細胞はまた、間質を浸潤するマクロファージであってもよい。例えば、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体に、C5の発現または活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤を投与することにより、C5の発現または活性を阻害する治療剤を投与しなかった補体関連腎症と診断された個体の腎臓における糸球体好中球浸潤と比較して、約50%~100%の糸球体好中球浸潤が減少した(約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、56%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%のいずれかの糸球体好中球浸潤の減少など)。別の例として、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体に、C5の発現または活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤を投与することにより、C5の発現または活性を阻害する治療剤を投与しなかった補体関連腎症と診断された個体の腎臓における間質マクロファージ浸潤と比較して、約30%~70%の間質マクロファージ浸潤が減少した(約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、56%、66%、67%、68%、69%、または70%のいずれかの間質マクロファージ浸潤の減少など)。免疫細胞浸潤の測定は、当該技術分野で一般的に知られており、任意の公知の手段(例えば、限定されないが、好中球の表面上のGr-1の免疫組織化学的染色またはマクロファージの表面上のF4/80の染色)によって実施されてもよい。
【0109】
さらに、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体の腎臓における、糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加を減少させる方法が本明細書に提供される。方法は、上述の治療剤のいずれかなど、臨床的に有効な量の治療剤を投与することを含む。治療剤の投与により、治療剤を投与されていない補体関連腎症と診断された個体の腎臓における糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加と比較して、糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加の減少につながる。具体的には、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体に、C5の発現または活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤を投与することにより、C5の発現または活性を阻害する治療剤を投与しなかった補体関連腎症と診断された個体の糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加と比較して、約15%~30%の糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加が減少した(約15%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%のいずれかの糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加の減少など)。糸球体サイズおよび/またはメサンギウム基質増加の測定は、当技術分野ではルーチンであり、任意の公知の手段(個体に由来する腎臓組織の染色および光顕微鏡的評価によるなど)によって実施され得る。
【0110】
また、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個人における平均余命を改善する方法が本明細書に提供される。方法は、上述の治療剤のいずれかなど、臨床的に有効な量の治療剤を投与することを含む。治療剤の投与は、治療剤を投与されていない補体関連腎症と診断された個体の平均余命と比較して、平均余命の増加をもたらす。具体的には、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体に、C5の発現または活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤を投与することにより、C5の発現または活性を阻害する治療剤を投与しなかった補体関連腎症と診断された個体の平均余命と比較して、約10%~70%の平均余命が増加した(約10%、11%、12%、13%、15%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、56%、66%、67%、68%、69%、または70%のいずれかの平均余命の増加など)。
【0111】
補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体における体重損失を減少する方法が本明細書にさらに提供される。方法は、上述の治療剤のいずれかなど、臨床的に有効な量の治療剤を投与することを含む。治療剤の投与は、治療剤を投与されていない補体関連腎症と診断された個体と比較して、体重損失の減少をもたらす。具体的には、補体関連腎症と診断されたか、または補体関連腎症を有すると考えられる個体に、C5の発現または活性を阻害する臨床的に有効な量の治療剤を投与することにより、C5の発現または活性を阻害する治療剤を投与しなかった補体関連腎症と診断された個体の体重損失と比較して、約10%~70%の体重損失が減少した(約10%、11%、12%、13%、15%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、56%、66%、67%、68%、69%、または70%のいずれかの体重損失の減少など)。
【0112】
本明細書に開示される方法は、例示のために提供される以下の実施例を参照することによってさらに理解することができ、これは限定することを意味するものではない。
【実施例
【0113】
実施例1:ヒトC3遺伝子による内因性マウスC3遺伝子の置換
(I)MAID6149 HOおよびMAID6156 HOマウスの作製
MAID6149マウス-ヒトC3プロモーターおよびコーディングエクソン1~41を用いた置換:5’調節エレメントおよびヒトC3遺伝子のコーディングエクソン1~41のすべてを含むヒトC3遺伝子は、5’調節エレメントおよびコーディングエクソン1~41のすべてにわたるマウスC3遺伝子座を置換した(図1A)。
【0114】
予備的に、25kbのマウスC3遺伝子の標的化欠失は、ポリアデニル化部位へ900bp 3’を含むコーディングエクソン2~41を、フロックス化(floxed)されたネオカセットで置換することによって、マウスES細胞で生じた。結果として得られるマウスES細胞、12132ES細胞は、ヘテロ接合性C3ノックアウトである。12132細胞を使用して、当該技術分野で公知の手順に従ってC3ノックアウトマウスを生成した。
【0115】
コーディングエクソン1からコーディングエクソン41の上流の5′調節エレメントから延びるヒトC3配列に隣接するマウスC3上流および下流相同アーム、および3’非翻訳領域、およびフロックス化されたhygro選択カセットを含む標的化構築物が生成され、12132ES細胞に電気穿孔された。適正に標的化されたES細胞(MAID6148)を、薬剤選択カセットを除去するために一過性Cre発現ベクターを用いてさらに電気穿孔した。薬剤カセット(MAID6149)を有しない標的化されたES細胞クローンを、8細胞期のマウス胚に導入した。ヒト化C3遺伝子を有するドナーES細胞に完全に由来するF0マウスを、対立遺伝子アッセイの修飾を用いてマウス対立遺伝子の消失およびヒト対立遺伝子の獲得について遺伝子型を決定することによって同定した(Valenzuelaら(2003))。MAID6149マウスは、ヒトC3エクソン1の上流約9kb、約42.8kbのヒトC3遺伝子全体、およびポリAシグナルの下流のヒト配列約1.5kbを含む、約53.4kbのヒト配列を含有し、この53.4kbのヒト配列は、マウスC3エクソン1の上流の約6.5kbのマウス配列を含む約30.6kbのマウス配列、およびエクソン1の開始から終止コドンまでの約24.1kbのマウスC3遺伝子を置換した。
【0116】
フロックス化されたネオカセットがC3ノックアウト12132ES細胞内の欠失マウスC3遺伝子配列を置換したことを確認することは、以下のプライマープローブセット(5’から3’に記載される)を含むTaqMan(商標)qPCRアッセイによって確認された:12132TU、マウスC3 イントロン1:フォワードプライマー、GGCCTGATTA CATGGACCTG TC(配列番号1);リバースプライマー、CCCAGGCTTG GCTGGAATG(配列番号2);プローブ、FAM-TGTCCACTCT GGAAGCCCAG GC-BHQ(配列番号3);12132 TD、マウスC3エクソン41の3’:フォワードプライマー、GCCAGGAGAG GAAGCTGGAG(配列番号4);リバースプライマー、TGGCTCAGCA GTAAAGAACA C(配列番号5);プローブ、FAM-ACAGATTGCT GTGAGCTGCC CAAA-BHQ(配列番号6);ネオカセット:フォワードプライマー、GGTGGAGAGG CTATTCGGC(配列番号7);リバースプライマー、GAACACGGCG GCATCAG(配列番号8);プローブ、FAM-TGGGCACAAC AGACAATCGG CTG-BHQ(配列番号9)。
【0117】
ヒトC3遺伝子配列が、ヒト化対立遺伝子内の欠失マウスC3遺伝子配列を置換したことを確認することは、以下のプライマープローブセット(5’から3’に記載される)を含むTaqMan(商標)qPCRアッセイによって確認された:mC3-1、マウスC3プロモーター:フォワードプライマー、GCCAGCCTTACCCTTTCA(配列番号10);リバースプライマー、GCCACCCATC CCAGTTCT(配列番号11);プローブ、FAM-CAGCCCAGGC CCTTTAGATT GCA-BHQ(配列番号12);mC3-2、マウス C3 3’非翻訳領域、フォワードプライマー、TACGGTGTTA GGTTCACTAT TGGT(配列番号13);リバースプライマー、GTCGCCAGCA GTCTCATACA G(配列番号14);、CAL Orange-AGTGGGCATC CCTTGCCAGG C-BHQ(配列番号26);hygro カセット:フォワードプライマー、TGCGGCCGAT CTTAGCC(配列番号15);リバースプライマー、TTGACCGATT CCTTGCGG(配列番号16);プローブ、FAM-ACGAGCGGGT TCGGCCCATT C-BHQ(配列番号27);hC3-1、ヒトC3プロモーター:フォワードプライマー、GGGCCTCCTA AGTTTGTTGA GTATC(配列番号17);リバースプライマー、CAGGGCTGGT TCCCTAGAAA TC(配列番号18);プローブ、FAM-TACAATAGCA GGCACAGCAC CCA-BHQ(配列番号19);hC3-2、ヒトC3 イントロン1:フォワードプライマー、GGCTGAGAGT GGGAGTCATG(配列番号20);リバースプライマー、GCACTTGCCA ATGCCATTAT C(配列番号21);プローブ、FAM-CTGCTGTCCT GCCCATGTGG TTG-BHQ(配列番号22);hC3-3、ヒトC3 エクソン41:フォワードプライマー、CGAATGCCAA GACGAAGAGA AC(配列番号23);リバースプライマー、GGGCACCCAA AGACAACCAT(配列番号24);プローブ、CAL Orange-CAGAAACAAT GCCAGGACCT CGGC-BHQ(配列番号25)。
【0118】
標的化されたES細胞に由来するマウスについて、尾部の生検から精製されたDNAをアッセイして、それらのC3遺伝子型を決定し、ヒト化C3対立遺伝子が生殖系列を通じて伝達されたことを確認するために、同一のLONAアッセイを使用する。置換についてヘテロ接合性の二匹の子を交配して、ヒトC3遺伝子による内因性マウスC3遺伝子の置換についてホモ接合性であるマウスを生じさせる。表現型決定のために、置換についてホモ接合性である子を使用する。
【0119】
米国特許出願公開第20150313194号に記載されるように、マウスC3遺伝子座の接合部の配列とヒトC3遺伝子を含む配列、ヒトC3遺伝子とフロックス化されたhygro選択カセットを含む配列の接合部、およびフロックス化されたhygro選択カセットとマウスC3遺伝子座の配列の接合部が決定され、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
MAID6156マウス-ヒトC3コーディングエクソン2~41を用いた置換:ヒトC3遺伝子のコーディングエクソン2~41を含むヒトC3遺伝子は、コーディングエクソン2~41にわたるマウスC3遺伝子座を置換した。上述の方法は、マウスC3遺伝子配列をヒトC3遺伝子配列と置換するために基本的に使用された(図1B)。
【0121】
予備的に、25kbのマウスC3遺伝子の標的化欠失は、ポリアデニル化部位へ900bp 3’を含むコーディングエクソン2~41を、フロックス化(floxed)されたネオカセットで置換することによって、マウスES細胞で生じた。結果として得られるマウスES細胞、12132ES細胞は、ヘテロ接合性C3ノックアウトである。
【0122】
コーディングエクソン2からコーディングエクソン41の上流から延びるヒトC3配列に隣接するマウスC3上流および下流相同アーム、および3’非翻訳領域、およびフロックス化されたhygro選択カセットを含む標的化構築物が生成され、12132ES細胞に電気穿孔された。適正に標的化されたES細胞(MAID6155)を、薬剤選択カセットを除去するために一過性Cre発現ベクターを用いてさらに電気穿孔した。薬剤カセット(MAID6156)を有しない標的化されたES細胞クローンを、8細胞期のマウス胚に導入した。ヒト化C3遺伝子を有するドナーES細胞に完全に由来するF0マウスを、マウス対立遺伝子の消失およびヒト対立遺伝子の獲得について遺伝子型を決定することによって上記のように同定した。
【0123】
フロックス化されたネオカセットが、C3ノックアウト12132ES細胞内の欠失マウスC3遺伝子配列を置換したこと、およびヒトC3遺伝子配列が、ヒト化対立遺伝子内の欠失マウスC3遺伝子を置換したことを確認することは、MAID6149マウスについて上述したとおり、同じプライマープローブセット(5’から3’に記載される)を含むTaqMan(商標)qPCRアッセイによって確認された。
【0124】
標的化されたES細胞に由来するマウスについて、尾部の生検から精製されたDNAをアッセイして、それらのC3遺伝子型を決定し、ヒト化C3対立遺伝子が生殖系列を通じて伝達されたことを確認するために、同一のLONAアッセイを使用する。置換についてヘテロ接合性の二匹の子を交配して、ヒトC3遺伝子による内因性マウスC3遺伝子の置換についてホモ接合性であるマウスを生じさせる。表現型決定のために、置換についてホモ接合性である子を使用する。
【0125】
マウスC3遺伝子座とヒトC3遺伝子を含有する配列との接合部、ヒトC3遺伝子を含む配列とフロックス化されたhygro選択カセットとの接合部、およびフロックス化されたhygro選択カセットの配列とマウスC3遺伝子座との接合部の配列が上述のように決定される。
【0126】
(II)C3血清濃度のアッセイ。
ELISAおよびウエスタンブロットを使用して、血清C3濃度をMAID6149マウスおよびMAID6156マウスに分析した。簡潔に述べると、ウエスタンブロット分析を以下のように行った:マウスまたは正常なヒト血清(NHS)をPBS中で希釈した。精製ヒトC3bタンパク質(Calbiochem)を陽性対照として使用した。マウスC3欠損血清を陰性対照として使用した。血清または精製されたhC3タンパク質を、メルカプトエタノールおよびSDSを含む電気泳動サンプルロード緩衝液に加え、還元/変性条件下でポリアクリルアミドゲル上で処理し、次いでニトロセルロース膜上に移した。ブロットをブロックし、ポリクローナルヤギ抗マウスC3一次抗体(Abnova)またはヒトC3(Quidel)に対するポリクローナルヤギ抗血清のいずれかでプローブし、その後、抗ヤギIgG HRP(Santa Cruz)を検出した。ThermoScientific Super Signal West Pico Chemiluminescent Substrateを使用してブロットを展開した。イメージングには、GE Image Quant LAS4000を使用した。血清C3濃度は、製造業者の指示に従って、補体C3ヒトELISAキットおよび補体C3マウスELISAキット(Abcam)で決定された。以下のように、ELISAによりタンパク質レベルをアッセイした:マウスおよびヒトC3は、それぞれ製造業者の指示に従って、補体C3マウスELISAキット(Abcam)および補体C3 ヒトELISAキット(Abcam)で測定された。ヒトC3aを、BD OptEIA(商標)ヒトC3a ELISAキット(BD Biosciences)で測定した。マウスC3aは、BD Biosciencesの以下の試薬で測定した。製造業者の指示に従って、精製ラット抗マウスC3a抗体、ビオチンラット抗マウスC3a抗体、および精製マウスC3aタンパク質(未変性)。
【0127】
図2に示されるように、ELISAアッセイにより、マウスC3(図2A)とマウスC3a(図2B)の両方が、野生型対照と比較して、6週齢と10週齢の6156ホモ接合性マウスと6149ホモ接合性マウスに由来する血清と血漿から検出不能であったことが明らかになった。対照的に、図3は、ヒトC3(図3A)およびヒトC3a(図3B)が、正常なヒト血漿または血清中のこれらのタンパク質について観察されたものよりも低濃度であるが、6156のホモ接合性マウスおよび6149ホモ接合性マウスからに由来する血漿および血清で検出されたことを示す。マウス血清アミロイドAタンパク質(mSAA)の存在についてアッセイした対照実験では、C3ヒト化ホモ接合性マウスで発現する匹敵するレベルが、対応する野生型と比較して見つかった。MAID6149およびMAID6156ホモ接合性動物の両方から由来の血清で実施されたウエスタンブロットは、ヒトC3タンパク質を発現するが、マウスC3タンパク質は発現しないことを示した。これらの実験で使用される抗hC3抗体は、マウスC3タンパク質と相互反応している(図5Aおよび図5B)。
【0128】
まとめると、本実施例は、ヒト化C3マウスの作成を示す。MAID6156ホモ接合性マウスおよびMAID6149ホモ接合性マウスの両方が、ヒトC3タンパク質を発現し、マウスC3タンパク質を発現しない。
【0129】
実施例2:C3ヒト化マウスの寿命と肉眼形態
(I)C3ヒト化マウス対野生型の平均死亡年齢および体重。
これらの実験については、死亡率および死亡年齢を動物施設の記録から取得した。さらに、MAID6156ホモ接合性マウスおよびMAID6149ホモ接合性マウスの体重は、マウスのコホートでモニターされた。最後に、除脂肪組織体積、全身脂肪体積、および脂肪体積%は、以下のように決定された:マウスをインビボQuantum μCTシステム(PerkinElmer)を用いてスキャンした。X線源は、電流160μA、電圧90kVpに設定された。マウスをイソフルランで麻酔し、頭部を除いた全身を60mm×120mmの視野でスキャンした。スキャンは34秒かかり、ボクセルサイズは240μmであった。結像を解析ソフトウェア(Mayo Clinic)により解析した。骨、脂肪、および除脂肪組織を灰色の値で区分し、組織体積、脂肪体積画分、骨ミネラル密度(BMD)および骨ミネラル含有量を計算した。
【0130】
MAID6156ホモ接合性マウスおよびMAID6149ホモ接合性マウスの両方が、特にF2世代において高い自然死の発生率を示した。ただし、生存率は後続世代で増加することが観察された(F3およびF4、図6)。
【0131】
さらに、マウスの両方の系統は、同年齢の野生型マウスと比較して体重の減少を示した(図7)。特に、MAID6149マウスは20週目頃に体重が減少し始めた。同様に、マウスの両方の系統は、野生型と比較して、除脂肪組織体積、全身脂肪体積、および体脂肪率の減少を示した(図8Aおよび図8B)。図9に示されるように、MAID6149(図9A)およびMAID6156(図9B)ホモ接合性マウスの両方は、野生型と比較して、骨密度の低下と骨ミネラル含有量の減少の両方を示した。
【0132】
まとめると、この実施例は、ヒト化C3マウスが、野生型と比較して、高い自然死発生率、体重減少、体脂肪率、骨密度および骨ミネラル含有量の減少を示すことを実証する。
(II)C3ヒト化マウス対野生型の肉眼形態
MAID6156ホモ接合性C3ヒト化マウスにおいて肉眼形態を評価したのち、有資格獣医師により自然死が判断された。死後検査により、ホモ接合性マウスは脆い骨(肋骨、頭蓋骨およびその他すべての骨)を呈し、野生型と比較して皮下脂肪の顕著な欠如が明らかになった。
【0133】
実施例3:C3ヒト化マウスにおける腎臓および肝臓の損傷の特徴付け
(I)腎病理組織学
簡潔に述べると、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色には、ヘマトキシリンでの染色、酸アルコールでの分化、それに続くエオシンでの染色が含まれる。腎臓切片の過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色は、商業ベンダー(Histoserv Inc.)を使用して実施した。簡潔に述べると、5ミクロンの薄い切片を、腎臓のすべての解剖学的領域を含むように、矢状面に沿ってホルマリン固定、パラフィン包埋されたマウス腎臓組織から作製した。切片を脱パラフィンし、PASで染色して、組織中の糖タンパク質、糖脂質、およびムチンを検出した。PAS染色切片におけるメサンギウム基質増加の定量決定を以下のように行った。簡潔に述べると、PAS染色された切片を、40倍の対物レンズのAperio AT2スライドスキャナーで撮像した。メサンギウム細胞基質増加の測定については、切片あたり少なくとも25個の糸球体をPAS陽性領域の測定に供した。Indica Labs Area Quantificationアルゴリズムの修飾を使用して、各糸球体係蹄に光学密度ベースの閾値が適用し、シッフ陽性基質(明るい紫)から核染色(暗い青色)および背景(薄いピンク)を分離した。基質および総係蹄の面積を測定し、係蹄面積の割合としてのメサンギウム細胞基質とともに報告した。
【0134】
通常の腎臓(図10A)とMAID6156ホモ接合性マウス(図10B)の腎臓との間の組織学的比較により、単核間質炎症と関連付けられた、好塩基球細管、硬化糸球体、および蛋白円柱を有する拡張細管を含む糸球体腎炎の証拠が明らかになった。自発性腎症は、観察したマウスの6/7に存在した。これらのマウスのうち3匹は、糸球体腎炎が有意であり、マウスの若い年齢を考えると、この状態の早期発症と考えられた。さらに、ホモ接合性マウスは、脾臓およびパイエル板でリンパ球数の減少が観察され、免疫抑制の証拠を示した。さらに、図11Aに示し、図11Bに定量化するように、ヒト化C3マウス由来の過ヨウ素酸-シッフ(PAS)染色腎臓は、野生型マウスと比較してメサンギウム基質増加を示した。図11Bに示す定量に関して、増加した糸球体係蹄領域は糸球体肥大を示していた。糸球体内のPAS染色領域の増加は、メサンギウム基質増加を示していた。
【0135】
(II)血清、肝臓、および尿の化学
ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、グルコース、BUN、リパーゼ、総タンパク質、クレアチニン、クレアチンキナーゼ、アルブミン、アミラーゼ、ビリルビン、マグネシウム、リン酸、尿酸、亜リン酸、遊離脂肪酸、コレステロール、トリグリセリド、HDL、非HDL、およびLDLの血清レベルが以下のように決定された。簡潔に述べると、製造業者の指示に従って、ADVIA Chemistry Systemで血清を試験した。同様に、製造業者の指示に従って、ADVIA Chemistry Systemで血清肝酵素を試験した。
【0136】
尿アルブミン、尿クレアチニン(Exocell Inc.)、BUN(BioAssay Systems)および血清シスタチンC(BioVendor)をメーカーの指示に従って測定した。
【0137】
野生型とヒト化C3マウスの間で、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、グルコース、総タンパク質、クレアチニン、クレアチンキナーゼ、アルブミン、アミラーゼ、総ビリルビン、マグネシウム、無機リン酸、尿酸、リン、非エステル化脂肪酸、総コレステロール、トリグリセリド、HDL、およびLDLの血清化学パネル解析に差異は見出されなかった(図12)。しかしながら、野生型と比較して、ヒト化C3マウスから得られた血清では、血中尿素窒素(BUN)の上昇ならびにリパーゼおよび非HDLのレベルの上昇が観察された(図13A)。これらの結果は、腎機能障害を示しており、うっ血性心不全または最近の心筋梗塞などの心血管状態にも関連している。さらに、肝臓酵素パネルの結果は、肝臓損傷を示す、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびアルカリホスファターゼレベルの上昇を示した(図13B)。尿解析は、野生型と比較して、ヒト化C3マウスでアルブミンが上昇したことを示し、腎機能障害を示唆した(図14A)。さらなる経時的な血清分析によって、腎不全を示すヒト化C3マウスで、血清BUNおよびシスタチンCが増加したことが明らかになった(図14B)。
【0138】
結論として、ヒト化C3マウスの血清、肝臓酵素、および尿解析の結果は、腎機能障害および/または不全、ならびに線維症と一致する肝障害を示す。
実施例4:C3ヒト化マウスにおける腎臓内の異常な補体沈着
MAID6149ホモ接合性および野生型のマウスからの腎臓組織の断面を、以下のプロトコルに従い、C3沈着およびC5b-9膜侵襲複合体の存在について免疫蛍光性で評価した。簡潔に述べると、矢状切片は、凍結OCT組み込み腎臓から作製され、ラット-抗マウスC3モノクローナル抗体(Abcam)またはウサギポリクローナルC5b-9抗体(Abcam)のどちらかで染色された。Cy3ロバ抗ラット(Jackson ImmunOresearch)またはCy3ロバ抗ウサギ二次抗体(Jackson ImmunOresearch)を使用して、染色をそれぞれ可視化した。蛍光画像はそれぞれ、Leica DM5500またはDM6000顕微鏡を使用して撮影された。
【0139】
蛍光染色により、ヒト化C3マウスの腎臓におけるC3沈着の大きなポケットが見られた(図15A)。追加染色は、huC3マウスの腎糸球体におけるC3b-9膜侵襲複合体沈着の増加を示し、これは活性化された補体経路を示す(図15B)。これらの所見によって示唆された代替的な補体経路の異常な調節、ならびに糸球体C3断片の沈着、および前述のメサンギウム基質および電子密度沈着物の増加は、C3糸球体症などの腎症と相関する。尿C5aレベルは、メーカーのプロトコルに従い、Mouse Complement Component C5a DuoSet(R&D systems)を使用してhuC3マウスで測定された。尿C5aレベルは、WTマウスと比較して、huC3マウスで高度に上昇する(図15C)。
【0140】
尿C5aレベルの上昇に加えて腎臓内のC5b-9染色の増加は、huC3マウスの腎臓における補体経路の局所活性化を示唆する。
実施例5:C3ヒト化マウスのRNA配列シグネチャー
MAID6149とMAID6156の両方のホモ接合性マウスを互いに比較するとともに、野生型と比較する発現RNA配列シグネチャーの決定を以下のように行った。
【0141】
トランスクリプトームシーケンシングデータ生成およびマッピングの読み取り:総RNAを、MagMAXキット(Life tech、Carlsbad、CA)を用いてマウスの組織試料から抽出した。mRNAをDynabeads(登録商標)mRNA精製キット(Invitrogen、Waltham、MA)を使用して、4μgの総RNAから精製した。鎖特異的RNA-seqライブラリーは、ScriptSeq(商標)mRNA-Seqライブラリー調製キット(Epicentre)を使用して調製し、その後12回のPCR増幅サイクルを行った。シークエンシングを、33サイクルで多重化された単一読み取り実行により、Illumina HiSeq(登録商標)2000(Illumina)で実施した。Illumina Hiseq2000イメージファイル(BCLファイル)のシーケンス読み取りは、Illumina Casava 1.8.2を介してFASTQ形式に変換した。読み取りはバーコードに基づいてデコードされ、個々のサンプルごとにマージされた。サンプルごとの全体的な読み取り品質をFastQCで評価し、十分な品質を持つサンプルのみを保持した。続いて、市販のソフトウェアCLCBioを使用して、一つのミスマッチを含むマウスゲノム(ビルドmm10)に読み取りをマッピングした。
【0142】
差次的に発現する遺伝子の統計解析:各遺伝子について、遺伝子のセンス鎖エクソンにマッピングされたリードを特定し、カウントした。検出可能な遺伝子は、遺伝子レベルで要約された総エクソンセンス鎖読み取りカウントに基づいてフラグが付けられる。10の経験的最小エクソン読み取りカウントを適用して、各サンプルの遺伝子の有無を判定した。サンプルの二つのグループ間の比較のために、遺伝子は、高発現グループのすべてのサンプルに存在するものとしてフラグが付けられていない場合、排除された。次に、比較に関連付けられた倍数変化およびp値は、DESeqパッケージ[Genome Biology 2010、11:R106]を使用して計算された。有意に攪乱した遺伝子シグネチャーとして、両方向の倍率変化(すなわち、比率)が≧1.5で、p値が<0.01の遺伝子を選択した。
【0143】
図16に示すように、RNA発現の器官特異的解析では、野生型と比較して、ヒト化C3マウスでは、肝臓で最も多くの、また数は少ないが腎臓でも遺伝子発現の変化があったことを示す。また分析は、MAID6156マウスで観察されたものと比較して、MAID6149マウスの方が、心臓での遺伝子発現の変化が多いことも示した。
【0144】
MAID6149とMAID6156マウスとの間の肝臓遺伝子発現シグネチャーの比較は、二つのマウス系統の間で上方制御または下方制御される遺伝子数で顕著な重複を示した(図17)。二つの系統の間で最も攪乱している遺伝子発現経路は、細胞外基質の産生、創傷に対する応答、および小分子の膜透過輸送に関連するものである(図18)。特に、肝臓の線維症に関連する遺伝子発現パターンは、MAID6156ホモ接合性マウスにおいて特に高いことが示された(図19)。
【0145】
腎臓に対して実施された類似の比較は、限定的な遺伝子シグネチャー重複を示したが、全体的にMAID6149およびMAID6156マウスは、RNA発現の攪乱傾向/パターンの一貫性を共有した(図20)。特に、腎臓損傷に関連する遺伝子は、ヒト化C3系統の両方で濃縮された。
【0146】
全体的に、RNA発現の分析は、肝臓遺伝子が、MAID6149およびMAID6156ホモ接合性マウス系統の両方で最も攪乱していることを示す。MAID6156系統に関しては、細胞サイクルおよび線維症、ならびに炎症に関連する遺伝子が、最も有意なシグネチャーを有していた。炎症およびステロイド代謝遺伝子シグネチャーを、MAID6149ホモ接合性マウスで濃縮した。特に、Tnfsf14遺伝子は、ヒト化C3マウスの両系統の肝臓で高度に上方制御された。このTnfsf14遺伝子は、TNFスーパーファミリーの分泌タンパク質である、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)としても知られるLIGHTタンパク質をコードする。しかしながら、この遺伝子は、マウスゲノムのC3の3’近傍にあるため、その過剰発現はアーチファクトである可能性がある。血管新生および発達に関連するタンパク質をコードする遺伝子であるProk1は、これはホモ接合性マウス系統間の上方下方制御された遺伝子であった。
【0147】
進行腎症(これらのマウスのBUNレベルは、WTマウスの20~35mg/dlと比較して、60~120mg/dlである)を有するhuC3マウスの腎臓における遺伝子発現のさらなる特徴付けは、RNASeqによって実施された。huC3マウスは、いくつかの上方制御または下方制御された遺伝子発現の変化を示した(図21A)。データのさらなる分析により、いくつかの腎毒性遺伝子(図21B)、ECM遺伝子(図21C)、サイトカイン(図21D)およびケモカイン(図21E)の上方制御された発現が明らかになった。
【0148】
全体的に、進行腎症を有するhuC3マウスの腎臓の遺伝子発現データは、継続的な傷害および炎症を示す。
実施例6:補体関連腎症の治療における抗C5抗体の有効性
上述のように、C3にヒト化されたマウスは、自然死、正常から低い溶血活性、低循環C3(正常なマウスで見られる1000ug/mLに対して約40ug/mL)、ならびに腎臓炎症および腎臓内のC3沈着の存在を含む多臓器病理を有することが見いだされた。
【0149】
この実施例では、8週齢のC3ヒト化マウスを、50mg/kgの抗C5抗体M1M17628Nまたはアイソタイプ対照で、週三回、9週間、皮下処置した。上述のように、死亡率、血中尿素窒素、血清シスタチンC、尿アルブミンおよびC5aレベルが試験された。C3およびC5b-9は、上述のように病理組織学的染色によって試験された。
【0150】
抗C5抗体での治療により、ヒト化C3マウスにおける生存率が著しく改善され、抗C5抗体で処置したマウスは、アイソタイプ対照で処置したマウスの81%の死亡率と比較して、たったの20%の死亡率しか示さなかった(図22)。抗C5抗体での治療は、ヒト化C3マウスにおける体重を改善し(図23)、BUN(図24A)および血清シスタチンC(図24B)などの腎機能のマーカーを改善した。尿アルブミンには効果は見られなかった(データ非表示)が、抗C5抗体を用いた治療において、尿C5aレベルは減少した(図25)。
【0151】
病理組織学的染色は、抗C5抗体で処置したC3ヒト化マウスおよびアイソタイプ対照で処置した野生型マウスと比較して、アイソタイプ対照で処置したC3ヒト化マウスにおける糸球体膜侵襲複合体(MAC)含有量(C5b-9)の増加を示した(図26)。抗C5抗体を用いた処置は、ヒト化C3動物の腎臓への糸球体好中球(図27A)および間質マクロファージ浸潤(図27B)を有意に減少させた。さらに、抗C5抗体で処置したC3ヒト化マウスおよびアイソタイプ対照で処置した野生型マウスと比較して、アイソタイプ対照で処置したC3ヒト化マウスは、糸球体サイズの増加とメサンギウム基質増加を示した(図28)。
【0152】
結論として、結果は、抗C5療法が死亡率および腎機能を著しく改善でき、補体関連腎症の症状を呈する齧歯類の腎臓における損傷の組織学的兆候を減少させ得ることを示す。
実施例7:抗C5治療が、ヒト化C3マウス(MAID6149)の疾患遺伝子シグネチャーの深部の救済をもたらした。
【0153】
ヒト化C3マウス(MAID6149)を、マウス抗マウスC5抗体、またはアイソタイプ対照抗体(n=16)のいずれかで処置し、8週齢から開始した。野生型マウスをアイソタイプ対照(n=5)で処置した。抗体を50mg/kgで、週三回、皮下投与した。治療は17週齢まで続けた。試験終了時に生存したマウスの腎臓における次世代シークエンシング(NGS)によって遺伝子発現を調べた。
【0154】
図29Aに示されるように、ヒト化C3 MAID6149マウスにおいて、抗C5抗体治療が、疾患シグネチャー遺伝子を逆転した。救済された疾患シグネチャーには、免疫、細胞外基質、サイトカイン、補体、および代謝関連遺伝子が含まれる(図29B)。ヒト化C3マウスにおいて上方制御された免疫細胞型マーカーが、その後、抗C5抗体処置によって弱毒化されることが示された(図29C)。
【0155】
実施例8:C5の連続的遮断は、ヒト化C3マウスの生存を延長するために必要とされ得る(MAID6149)。
ヒト化C3マウスを、マウス抗マウスC5抗体、またはアイソタイプ対照抗体(n=15)のいずれかで処置し、8週齢から開始した。抗体を50mg/kgで、週三回、皮下投与した。治療は24週齢で停止した。
【0156】
16週間の治療期間中(8~24週齢)、15匹のマウスのうち2匹のみが抗C5抗体で死亡した。同時期に、アイソタイプ対照群の16匹中13匹が死亡した(図30)。治療中止後四週間以内に、抗C5抗体治療中の数匹のマウスが死亡した(残り13匹中12匹)。このデータは、C5の連続的遮断は、ヒト化C3MAID6149マウスの生存を延長するために必要とされ得ることを示唆する。
【0157】
実施例9:C3bの遮断はまた、ヒト化C3マウスにおける保護も提供している。
ヒト化C3マウス(MAID6149)を、抗C3b結合/遮断抗体(n=14)またはアイソタイプ対照抗体(n=14)のいずれかで処置し、8週齢から開始した。抗体を50mg/kgで、週三回、皮下投与した。治療は、18週齢まで続く(合計10週間の治療期間)。
【0158】
10週間の試験期間中、アイソタイプ対照を用いて14匹中11匹のマウスが死亡した(図31A)。同時期に抗3b抗体を用いて14匹中1匹のみが死亡したことから、C3b遮断がヒト化C3MAID6149マウスにおいて有意な生存率を提供したことを示唆する。抗C3b遮断抗体は、ヒト化C3マウスの体重も改善し、健康状態の改善を示唆した(図31Bおよび図31C)。全体的に、これらのデータは、C5の上流のC3bの阻害を示し、ヒト化C3マウスにおける保護も提供する。
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