(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】スペクトル相関を使用した変調信号のスペクトル形状の無雑音測定
(51)【国際特許分類】
H04B 10/079 20130101AFI20221104BHJP
【FI】
H04B10/079
(21)【出願番号】P 2019547286
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(86)【国際出願番号】 IB2018052423
(87)【国際公開番号】W WO2018197975
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-25
(32)【優先日】2017-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511095757
【氏名又は名称】エクスフォ インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】EXFO INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シール,ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】ホー,ガン
(72)【発明者】
【氏名】ルシェ,ベルナール
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0164599(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02393223(EP,A1)
【文献】特開2015-106905(JP,A)
【文献】特開2011-257194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/079
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法であって、前記光信号が、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、雑音寄与とを含み、前記方法が、
前記データ伝送信号帯域幅内のスペクトル範囲にわたる前記光信号の光パワースペクトルを測定するステップであって、前記測定された光パワースペクトルが、前記光信号の前記データ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与と、前記光信号の前記雑音寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与とを含む、ステップと、
測定から、前記光信号の複数対のスペクトル成分のセットに対するスペクトル相関関数を決定するステップであって、各対の前記スペクトル成分が、前記シンボル周波数によって互いにスペクトル的に分離され、前記複数対のセットが、前記スペクトル範囲内の中心周波数範囲にわたる中心周波数の対応するセットのそれぞれを中心とし、前記測定されたスペクトル相関関数が、各対の前記スペクトル成分間の相関強度を前記中心周波数範囲にわたる前記対の前記中心周波数に関連させる、ステップと、
プロセッサを使用して、前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表
す解において前記シンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分に対して計算されたスペクトル相関関数が前記測定されたスペクトル相関関数と整合するように、前記光信号の前記測定された光パワースペクトルに基づいて前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す
前記解を得るステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す前記解を得るステップが、
前記雑音パワースペクトル寄与を表す解を決定するステップと、
前記雑音パワースペクトル寄与を表す前記解および前記測定された光パワースペクトルから前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す前記解を導出するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す前記解を得るステップが、
前記測定された光パワースペクトルおよび前記測定されたスペクトル相関関数を関連させる非線形回帰モデルを提供するステップと、
前記非線形回帰モデルを使用して、前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す前記解を決定するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記非線形回帰モデルが、調整可能パラメータのセットを含み、前記調整可能パラメータが、
前記雑音パワースペクトル寄与の正規化モデルを表すモデル関数、
前記データ伝送信号パワースペクトル寄与に対する前記雑音パワースペクトル寄与の相対振幅を表す雑音対信号パラメータ、ならびに、
前記光信号の色分散および偏光モード分散の少なくとも1つを示す情報を伝達する分散パラメータ
の少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記測定された光パワースペクトルおよび前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す前記解に基づいて光信号対雑音比(OSNR)を決定するステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記光信号の
複数の偏光状態にわたって、前記測定された光パワースペクトルおよび前記測定されたスペクトル相関関数を平均するステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
測定から、前記測定されたスペクトル相関関数を決定するステップは、前記光信号の前記シンボル周波数によってスペクトル的に分離された前記複数対のスペクトル成分のセットのそれぞれと関連付けられた複数対のビート成分のセットに対するビートノート振幅関数を測定するステップを含み、各対の前記ビート成分が、前記シンボル周波数より低いビートノート周波数によって互いにスペクトル的に分離され、前記ビートノート振幅関数が、前記測定されたスペクトル相関関数を表す、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ビートノート周波数に対する前記シンボル周波数の比率が、103~106の範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ビートノート振幅関数を測定するステップが、
前記光信号から、第1の
影像信号および第2の
影像信号を含む両側波帯信号を生成するステップであって、前記第1および第2の
影像信号が、前記光信号の側波帯
影像を表し、前記第1および第2の
影像信号が、前記シンボル周波数に前記ビートノート周波数を加えたものまたは前記シンボル周波数から前記ビートノート周波数を減じたものに等しいスペクトルシフトによって互いにスペクトル的に分離される、ステップと、
前記スペクトル範囲内の前記両側波帯信号を検出し、スペクトル的に分解するステップと、
前記検出された両側波帯信号から、前記複数対のビート成分のセットに対する前記ビートノート振幅関数を決定するステップであって、各対の一方のビート成分が、前記第1の
影像信号と関連付けられ、他方のビート成分が、前記第2の
影像信号と関連付けられる、ステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記両側波帯信号を検出し、スペクトル的に分解するステップが、
可変LO周波数を有する局部発振器(LO)信号を生成するステップと、
前記LO信号と前記両側波帯信号とを組み合わせて結合信号にするステップと、
前記スペクトル範囲内の前記可変LO周波数を掃引しながら、前記結合信号を検出するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ビートノート振幅関数を測定するステップが、
前記スペクトル範囲内の可変LO周波数を有する局部発振器(LO)信号を生成するステップと、
前記LO信号から、第1のLO
影像信号および第2のLO
影像信号を含む両側波帯LO信号を生成するステップであって、前記第1および第2のLO
影像信号が、前記LO信号の側波帯
影像を表し、前記第1および第2のLO
影像信号が、前記シンボル周波数にビートノート周波数を加えたものまたは前記シンボル周波数からビートノート周波数を減じたものに等しいスペクトルシフトによって互いにスペクトル的に分離され、前記ビートノート周波数が、前記シンボル周波数より低い、ステップと、
前記両側波帯LO信号と前記光信号とを組み合わせて結合信号にするステップと、
前記可変LO周波数を掃引しながら、前記スペクトル範囲内の前記結合信号を検出し、スペクトル的に分解するステップと、
前記検出された結合信号から、前記複数対のビート成分のセットに対する前記ビートノート振幅関数を決定するステップであって、各対の一方のビート成分が、前記第1のLO
影像信号と関連付けられ、他方のビート成分が、前記第2のLO
影像信号と関連付けられる、ステップとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記両側波帯LO信号の高調波を低減するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記測定された光パワースペクトルおよび前記測定されたスペクトル相関関数が、ヘテロダイン光スペクトルアナライザを使用して得られる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータ可読命令が格納された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読命令が、プロセッサによって実行されると、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法であって、前記光信号が、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、雑音寄与とを含み、前記方法が、
前記データ伝送信号帯域幅内のスペクトル範囲にわたる前記光信号の測定された光パワースペクトルを受信するステップであって、前記測定された光パワースペクトルが、前記光信号の前記データ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与と、前記光信号の前記雑音寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与とを含む、ステップと、
前記光信号の複数対のスペクトル成分のセットに対する測定されたスペクトル相関関数を受信するステップであって、各対の前記スペクトル成分が、前記シンボル周波数によって互いにスペクトル的に分離され、前記複数対のセットが、前記スペクトル範囲内の中心周波数範囲にわたる中心周波数の対応するセットのそれぞれを中心とし、前記測定されたスペクトル相関関数が、各対の前記スペクトル成分間の相関強度を前記中心周波数範囲にわたる前記対の前記中心周波数に関連させる、ステップと、
前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表
す解において前記シンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分に対して計算されたスペクトル相関関数が前記測定されたスペクトル相関関数と整合するように、前記光信号の前記測定された光パワースペクトルに基づいて前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す
前記解を得るステップと
を含む、方法を前記プロセッサに実行させる、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す前記解を得るステップが、
前記雑音パワースペクトル寄与を表す解を決定するステップと、
前記雑音パワースペクトル寄与を表す前記解および前記測定された光パワースペクトルから前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す前記解を導出するステップと
を含む、請求項14に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す前記解を得るステップが、
前記測定された光パワースペクトルおよび前記測定されたスペクトル相関関数を関連させる非線形回帰モデルを提供するステップと、
前記非線形回帰モデルを使用して、前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す前記解を決定するステップと
を含む、請求項14に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記非線形回帰モデルが、調整可能パラメータのセットを含み、前記調整可能パラメータが、
前記雑音パワースペクトル寄与の正規化モデルを表すモデル関数、
前記データ伝送信号パワースペクトル寄与に対する前記雑音パワースペクトル寄与の相対振幅を表す雑音対信号比パラメータ、ならびに、
前記光信号の色分散および偏光モード分散の少なくとも1つを示す情報を伝達する分散パラメータ
の少なくとも1つを含む、請求項
16に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記方法が、前記測定された光パワースペクトルおよび前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す前記解に基づいて光信号対雑音比(OSNR)を決定するステップをさらに含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムであって、前記光信号が、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、雑音寄与とを含み、前記システムが、
第1の取得モードで、前記光信号から両側波帯信号を生成するように構成されたスペクトルシフタであって、前記両側波帯信号が、前記シンボル周波数にビートノート周波数を加えたものまたは前記シンボル周波数からビートノート周波数を減じたものに等しいスペクトルシフトによって互いにスペクトル的に分離された第1の
影像信号および第2の
影像信号を含み、前記ビートノート周波数が、前記シンボル周波数より低い、スペクトルシフタと、
前記データ伝送信号帯域幅のスペクトル範囲内で動作可能なスペクトル分解検出器ユニットであって、前記第1の取得モードで前記両側波帯信号を検出し、第1の検出信号を出力するように、かつ、第2の取得モードで前記光信号を検出し、第2の検出信号を出力するように構成されたスペクトル分解検出器ユニットと、
前記スペクトル分解検出器ユニットに結合されたプロセッサであって、
前記第2の検出信号に基づいて前記光信号の測定された光パワースペクトルを決定または識別するステップであって、前記測定された光パワースペクトルが、前記光信号の前記データ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与と、前記光信号の前記雑音寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与とを含む、ステップと、
前記光信号の複数対のスペクトル成分内のスペクトル相関関数を決定するステップであって、各対の前記スペクトル成分が、前記シンボル周波数によって互いにスペクトル的に分離され、前記スペクトル相関関数が、前記第1の検出信号に基づいて、前記複数対のスペクトル成分のそれぞれと関連付けられた複数対のビート成分内のビートノート振幅関数を決定することによって決定され、各対の前記ビート成分が、前記ビートノート周波数によって互いにスペクトル的に分離され、一方が、前記第1の
影像信号と関連付けられ、
他方が、前記第2の
影像信号と関連付けられる、ステップと、
前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表
す解において前記シンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分に対して計算されたスペクトル相関関数が前記測定されたスペクトル相関関数と整合するように、前記光信号の前記測定された光パワースペクトルに基づいて前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す
前記解を得るステップと
を行うように構成されたプロセッサと
を含む、システム。
【請求項20】
前記スペクトル分解検出器ユニットが、
可変LO周波数を有するLO信号を生成する局部発振器(LO)源と、
前記第1の取得モードで、前記LO信号と前記両側波帯信号とを組み合わせて第1の結合信号にし、前記第2の取得モードで、前記LO信号と前記光信号とを組み合わせて第2の結合信号にするための光カプラと、
前記第1の取得モードで、前記第1の結合信号を受信し、そこから前記第1の検出信号を生成し、前記第2の取得モードで、前記第2の結合信号を受信し、そこから前記第2の検出信号を生成するためのヘテロダイン受信機と、
前記LO源に結合された掃引コントローラであって、前記第1および第2の取得モードで前記スペクトル範囲内の前記可変LO周波数を掃引するための掃引コントローラと
をさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記スペクトルシフタが、電気光学変調器である、請求項19または20に記載のシステム。
【請求項22】
前記スペクトル分解検出器ユニットの上流に配置された偏光アナライザであって、
時間の関数として前記光信号または前記両側波帯信号の偏光状態を変化させるように構成された偏光スクランブラと、
前記変化させた偏光状態の前記光信号または前記両側波帯信号の固定偏光成分を通過させるように構成された偏光子と
を含む、偏光アナライザをさらに含む、請求項19または20に記載のシステム。
【請求項23】
複数の離間した光チャネルのうちの選択されたものから前記光信号を選択するように構成された光チャネルセレクタをさらに含む、請求項19または20に記載のシステム。
【請求項24】
光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムであって、前記光信号が、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、雑音寄与とを含み、前記システムが、
前記データ伝送信号帯域幅のスペクトル範囲内で動作可能なスペクトル分解検出器ユニットであって、
可変LO周波数を有するLO信号を生成する局部発振器(LO)源と、
第1の取得モードで、前記LO信号から両側波帯LO信号を生成するように構成されたLOスペクトルシフタであって、前記両側波帯LO信号が、前記シンボル周波数にビートノート周波数を加えたものまたは前記シンボル周波数からビートノート周波数を減じたものに等しいスペクトルシフトによって互いにスペクトル的に分離された第1のLO
影像信号および第2のLO
影像信号を含み、前記ビートノート周波数が、前記シンボル周波数より低い、LOスペクトルシフタと、
前記第1の取得モードで、前記両側波帯LO信号と前記光信号とを組み合わせて第1の結合信号にし
、第2の取得モードで、前記LO信号と前記光信号とを組み合わせて第2の結合信号にするための光カプラと、
前記第1の取得モードで、前記第1の結合信号を受信し、そこから第1の検出信号を生成し、前記第2の取得モードで、前記第2の結合信号を受信し、そこから第2の検出信号を生成するためのヘテロダイン受信機と、
前記LO源に結合された掃引コントローラであって、前記第1および第2の取得モードで前記スペクトル範囲内の前記可変LO周波数を掃引するための掃引コントローラと
を含む、スペクトル分解検出器ユニットと、
前記スペクトル分解検出器ユニットに結合されたプロセッサであって、
前記第2の検出信号に基づいて前記光信号の測定された光パワースペクトルを決定または識別するステップであって、前記測定された光パワースペクトルが、前記光信号の前記データ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与と、前記光信号の前記雑音寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与とを含む、ステップと、
前記光信号の複数対のスペクトル成分内のスペクトル相関関数を決定するステップであって、各対の前記スペクトル成分が、前記シンボル周波数によって互いにスペクトル的に分離され、前記スペクトル相関関数が、前記第1の検出信号に基づいて、前記複数対のスペクトル成分のそれぞれと関連付けられた複数対のビート成分内のビートノート振幅関数を決定することによって決定され、各対の前記ビート成分が、前記ビートノート周波数によって互いにスペクトル的に分離され、一方が、前記第1のLO
影像信号と関連付けられ、他方が、前記第2のLO
影像信号と関連付けられる、ステップと、
前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表
す解において前記シンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分に対して計算されたスペクトル相関関数が前記測定されたスペクトル相関関数と整合するように、前記光信号の前記測定された光パワースペクトルに基づいて前記データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す
前記解を得るステップと
を行うように構成されたプロセッサと
を含む、システム。
【請求項25】
前記LOスペクトルシフタが、電気光学変調器である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記スペクトル分解検出器ユニットの上流に配置された偏光アナライザであって、
時間の関数として前記光信号の偏光状態を変化させるように構成された偏光スクランブラと、
前記変化させた偏光状態の前記光信号の固定偏光成分を通過させるように構成された偏光子と
を含む、偏光アナライザをさらに含む、請求項24または25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は、概して、遠距離通信応用における光信号の特徴付けに関し、より具体的には、例えば、データ伝送信号寄与を雑音寄与と区別するためおよび/または光信号対雑音比(OSNR)測定を実行するために、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長距離光ファイバ通信システムの性能は、光信号対雑音比(OSNR)に大いに依存している。OSNRは、光遠距離通信リンクによって伝送される信号の品質における従来の測定可能な特性である。光通信リンクの主雑音成分は、典型的には、無偏光の自然放射増幅光(ASE)雑音である。ASE雑音は、リンクにおいて光増幅器によって寄与されるスペクトル的に広帯域の雑音源である。従って、実際には、OSNRは、リンクのどこか(例えば、受信機側)で測定しなければならない。現在の最先端のシステムは、洗練された変調スキームと偏光多重方式(PM)の両方を使用して高いスペクトル効率を達成する。しかし、伝統的なOSNR測定技法は、高密度集約チャネルとPM信号の両方が組み合わされる場合に失敗する。すなわち、チャネルが密集し過ぎているため、ASE雑音スペクトルは、一般に、信号スペクトル帯域幅外で測定することはできない。その一方で、偏光無効化タイプの帯域内測定方法(信号は100%偏光される一方で、ASEは無偏光であるという事実に依存する)もまた欠点に悩まされるが、その理由は、全PM信号も無偏光であるためである。
【0003】
信号の取得された光スペクトルトレースを使用してPM信号の雑音レベルを測定する方法は、共同所有された米国特許第9,112,604B2号明細書で提案されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。この方法は、参照信号によって提供されるデータ伝送信号寄与のスペクトル形状の知識に基づく。この知識から、データ伝送信号寄与およびASE雑音寄与は、互いに数学的に区別することができる(そうでなければ、光スペクトルトレース上で一緒にマージされたものとして現れる)。信号寄与のスペクトル形状の知識は、事前に取得された参照信号から導出することができる。例えば、参照信号は、同じ光通信リンクに沿って異なるポイントで(一般的には上流の、OSNRが知られているかまたは信号にASE雑音がないと考えることができる所で)取得することができる。従って、参照信号は、テスト中の信号と同じ光送信機から生じる。米国特許第9,112,604B2号明細書で説明されている方法は、光信号帯域幅内では、信号のスペクトル形状が通信リンクに沿ってそれほど変化しないと想定する。従って、そのような参照信号の信号寄与は、テスト中の信号の信号寄与をスペクトル的に表すと考えられる。その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0328586A1号明細書および米国特許出願公開第2016/0127074A1号明細書は、例えば、非線形効果から生じるスペクトル形状変動の説明の提供を含む。
【0004】
光情報信号(例えば、PM信号)における帯域内OSNRおよび他の品質パラメータを決定するための方法は、米国特許出願公開第2016/0164599A1号明細書で開示されている。方法は、例えば、従来の光スペクトルアナライザによって、雑音のある信号の光パワースペクトルを測定し、その後、2つの光狭帯域振幅またはパワー検出器によって、信号の光振幅またはパワー/強度スペクトルにおける既定の対の離間した時間変動周波数成分間の相関関係を測定することを伴う。信号の帯域内雑音は、相関測定から決定することができる。信号パワーの測定は、決定された帯域内雑音に基づいてOSNRを決定するために使用することができる。この方法の欠点は、必要な装置の複雑性と高コストであり、とりわけ、2つのフルコヒーレント受信機に関与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、課題は、遠距離通信応用で使用される光信号において信号を雑音と区別するための技法の開発にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本説明は、概して、光通信リンク(例えば、光ファイバ)に沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための技法に関する。光信号は、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、ASE雑音を含む雑音寄与とを含み得る。本技法は、雑音寄与のスペクトル形状と区別されたデータ伝送信号寄与のスペクトル形状の帯域内決定を可能にするために、光信号のシンボル周波数に相当する数量の分だけスペクトル的に離間された複数対のスペクトル成分内に存在するスペクトル相関プロパティを活用する。リンクに沿った測定場所において信号の雑音のあるスペクトルと無雑音のスペクトルの両方の形状を得ることにより、OSNRまたは他の信号品質パラメータを決定することができる。本技法のいくつかの実施形態の特徴は、光信号のスペクトルにわたる大多数のそのような対の相関スペクトル成分の使用である。従って、完全なスペクトル相関からの逸脱は全信号スペクトルに影響を及ぼし得るが、一般に、その形状は保存される。そのような逸脱は、例えば、色分散(CD)および/または偏光モード分散(PMD)に起因し得る。本技法のいくつかの実施形態の別の特徴は、相対的なスペクトル形状の使用であり、それにより、絶対測定技法と比べて高精度測定の必要性を排除するかまたは少なくとも低減することができる。
【0007】
一態様によれば、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法であって、光信号が、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、雑音寄与とを含む、方法が提供される。方法は、
データ伝送信号帯域幅内のスペクトル範囲にわたる光信号の光パワースペクトルを測定するステップであって、測定された光パワースペクトルが、光信号のデータ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与と、光信号の雑音寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与とを含む、ステップと、
測定から、光信号の複数対のスペクトル成分のセットに対するスペクトル相関関数を決定するステップであって、各対のスペクトル成分が、シンボル周波数によって互いにスペクトル的に分離され、複数対のセットが、スペクトル範囲内の中心周波数範囲にわたる中心周波数の対応するセットのそれぞれを中心とし、測定されたスペクトル相関関数が、各対のスペクトル成分間の相関強度を中心周波数範囲にわたるその対の中心周波数に関連させる、ステップと、
プロセッサを使用して、データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解においてシンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分に対して計算されたスペクトル相関関数が測定されたスペクトル相関関数と整合するように、光信号の測定された光パワースペクトルに基づいてデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップと
を含む。
【0008】
いくつかの実装形態では、データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップは、
雑音パワースペクトル寄与を表す解を決定するステップと、
雑音パワースペクトル寄与を表す解および測定された光パワースペクトルからデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を導出するステップと
を含む。
【0009】
いくつかの実装形態では、データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップは、
測定された光パワースペクトルおよび測定されたスペクトル相関関数を関連させる非線形回帰モデルを提供するステップと、
非線形回帰モデルを使用して、データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を決定するステップと
を含む。
【0010】
いくつかの実装形態では、非線形回帰モデルは、調整可能パラメータのセットを含み、調整可能パラメータは、
雑音パワースペクトル寄与の正規化モデルを表すモデル関数、
データ伝送信号パワースペクトル寄与に対する雑音パワースペクトル寄与の相対振幅を表す雑音対信号パラメータ、ならびに、
光信号の色分散および偏光モード分散の少なくとも1つを示す情報を伝達する分散パラメータ
の少なくとも1つを含む。
【0011】
いくつかの実装形態では、方法は、測定された光パワースペクトルおよびデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解に基づいて光信号対雑音比(OSNR)を決定するステップをさらに含む。
【0012】
いくつかの実装形態では、方法は、光信号の多数の偏光状態にわたって、測定された光パワースペクトルおよび測定されたスペクトル相関関数を平均するステップをさらに含む。
【0013】
いくつかの実装形態では、測定から、測定されたスペクトル相関関数を決定するステップは、光信号のシンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分のセットのそれぞれと関連付けられた複数対のビート成分のセットに対するビートノート振幅関数を測定するステップを含み、各対のビート成分は、シンボル周波数より低いビートノート周波数によって互いにスペクトル的に分離され、ビートノート振幅関数は、測定されたスペクトル相関関数を表す。
【0014】
いくつかの実装形態では、ビートノート周波数に対するシンボル周波数の比率は、103~106、好ましくは、104~105の範囲である。
【0015】
いくつかの実装形態では、ビートノート振幅関数を測定するステップは、
光信号から、第1の画像信号および第2の画像信号を含む両側波帯信号を生成するステップであって、第1および第2の画像信号が、光信号の側波帯画像を表し、第1および第2の画像信号が、シンボル周波数にビートノート周波数を加えたものまたはシンボル周波数からビートノート周波数を減じたものに等しいスペクトルシフトによって互いにスペクトル的に分離される、ステップと、
スペクトル範囲内の両側波帯信号を検出し、スペクトル的に分解するステップと、
検出された両側波帯信号から、複数対のビート成分のセットに対するビートノート振幅関数を決定するステップであって、各対の一方のビート成分が、第1の画像信号と関連付けられ、他方のビート成分が、第2の画像信号と関連付けられる、ステップと
を含む。
【0016】
いくつかの実装形態では、両側波帯信号を検出し、スペクトル的に分解するステップは、
可変LO周波数を有する局部発振器(LO)信号を生成するステップと、
LO信号と両側波帯信号とを組み合わせて結合信号にするステップと、
スペクトル範囲内の可変LO周波数を掃引しながら、結合信号を検出するステップと
をさらに含む。
【0017】
いくつかの実装形態では、ビートノート振幅関数を測定するステップは、
スペクトル範囲内の可変LO周波数を有する局部発振器(LO)信号を生成するステップと、
LO信号から、第1のLO画像信号および第2のLO画像信号を含む両側波帯LO信号を生成するステップであって、第1および第2のLO画像信号が、LO信号の側波帯画像を表し、第1および第2のLO画像信号が、シンボル周波数にビートノート周波数を加えたものまたはシンボル周波数からビートノート周波数を減じたものに等しいスペクトルシフトによって互いにスペクトル的に分離され、ビートノート周波数が、シンボル周波数より低い、ステップと、
両側波帯LO信号と光信号とを組み合わせて結合信号にするステップと、
可変LO周波数を掃引しながら、スペクトル範囲内の結合信号を検出し、スペクトル的に分解するステップと、
検出された結合信号から、複数対のビート成分のセットに対するビートノート振幅関数を決定するステップであって、各対の一方のビート成分が、第1のLO画像信号と関連付けられ、他方のビート成分が、第2のLO画像信号と関連付けられる、ステップと
を含む。
【0018】
いくつかの実装形態では、方法は、両側波帯LO信号の高調波を低減するステップをさらに含む。
【0019】
いくつかの実装形態では、測定された光パワースペクトルおよび測定されたスペクトル相関関数は、ヘテロダイン光スペクトルアナライザを使用して得られる。
【0020】
上記で説明されるステップの前、同ステップの間または同ステップの後に、他の方法およびプロセスステップを実行できることに留意されたい。また、1つまたは複数のステップの順番も異なり得、適用に応じて、ステップのいくつかを省略すること、繰り返すことおよび/または組み合わせることができる。また、いくつかの方法ステップは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の組合せにおいて実装することができる様々な信号処理および演算技法を使用して実行できることにも留意されたい。
【0021】
別の態様によれば、コンピュータ可読命令が格納された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ可読命令が、プロセッサによって実行されると、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法であって、光信号が、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、雑音寄与とを含む、方法をプロセッサに実行させる、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。方法は、
データ伝送信号帯域幅内のスペクトル範囲にわたる光信号の測定された光パワースペクトルを受信するステップであって、測定された光パワースペクトルが、光信号のデータ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与と、光信号の雑音寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与とを含む、ステップと、
光信号の複数対のスペクトル成分のセットに対する測定されたスペクトル相関関数を受信するステップであって、各対のスペクトル成分が、シンボル周波数によって互いにスペクトル的に分離され、複数対のセットが、スペクトル範囲内の中心周波数範囲にわたる中心周波数の対応するセットのそれぞれを中心とし、測定されたスペクトル相関関数が、各対のスペクトル成分間の相関強度を中心周波数範囲にわたるその対の中心周波数に関連させる、ステップと、
データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解においてシンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分に対して計算されたスペクトル相関関数が測定されたスペクトル相関関数と整合するように、光信号の測定された光パワースペクトルに基づいてデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップと
を含む。
【0022】
いくつかの実装形態では、データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップは、
雑音パワースペクトル寄与を表す解を決定するステップと、
雑音パワースペクトル寄与を表す解および測定された光パワースペクトルからデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を導出するステップと
を含む。
【0023】
いくつかの実装形態では、データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップは、
測定された光パワースペクトルおよび測定されたスペクトル相関関数を関連させる非線形回帰モデルを提供するステップと、
非線形回帰モデルを使用して、データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を決定するステップと
を含む。
【0024】
いくつかの実装形態では、非線形回帰モデルは、調整可能パラメータのセットを含み、調整可能パラメータは、
雑音パワースペクトル寄与の正規化モデルを表すモデル関数、
データ伝送信号パワースペクトル寄与に対する雑音パワースペクトル寄与の相対振幅を表す雑音対信号比パラメータ、ならびに、
光信号の色分散および偏光モード分散の少なくとも1つを示す情報を伝達する分散パラメータ
の少なくとも1つを含む。
【0025】
いくつかの実装形態では、方法は、測定された光パワースペクトルおよびデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解に基づいて光信号対雑音比(OSNR)を決定するステップをさらに含む。
【0026】
別の態様によれば、上記の方法の1つまたは複数のステップの実装が可能なシステムまたは装置が提供される。
【0027】
いくつかの実装形態では、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムであって、光信号が、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、雑音寄与とを含む、システムが提供される。システムは、
第1の取得モードで、光信号から両側波帯信号を生成するように構成されたスペクトルシフタであって、両側波帯信号が、シンボル周波数にビートノート周波数を加えたものまたはシンボル周波数からビートノート周波数を減じたものに等しいスペクトルシフトによって互いにスペクトル的に分離された第1の画像信号および第2の画像信号を含み、ビートノート周波数が、シンボル周波数より低い、スペクトルシフタと、
データ伝送信号帯域幅のスペクトル範囲内で動作可能なスペクトル分解検出器ユニットであって、第1の取得モードで両側波帯信号を検出し、第1の検出信号を出力するように、かつ、第2の取得モードで光信号を検出し、第2の検出信号を出力するように構成されたスペクトル分解検出器ユニットと、
スペクトル分解検出器ユニットに結合されたプロセッサであって、
第2の検出信号に基づいて光信号の測定された光パワースペクトルを決定または識別するステップであって、測定された光パワースペクトルが、光信号のデータ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与と、光信号の雑音寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与とを含む、ステップと、
光信号の複数対のスペクトル成分内のスペクトル相関関数を決定するステップであって、各対のスペクトル成分が、シンボル周波数によって互いにスペクトル的に分離され、スペクトル相関関数が、第1の検出信号に基づいて、複数対のスペクトル成分のそれぞれと関連付けられた複数対のビート成分内のビートノート振幅関数を決定することによって決定され、各対のビート成分が、ビートノート周波数によって互いにスペクトル的に分離され、一方が、第1の画像信号と関連付けられ、他方が、第2の画像信号と関連付けられる、ステップと、
データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解においてシンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分に対して計算されたスペクトル相関関数が測定されたスペクトル相関関数と整合するように、光信号の測定された光パワースペクトルに基づいてデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップと
を行うように構成されたプロセッサと
を含む。
【0028】
いくつかの実装形態では、スペクトル分解検出器ユニットは、
可変LO周波数を有するLO信号を生成する局部発振器(LO)源と、
第1の取得モードで、LO信号と両側波帯信号とを組み合わせて第1の結合信号にし、第2の取得モードで、LO信号と光信号とを組み合わせて第2の結合信号にするための光カプラと、
第1の取得モードで、第1の結合信号を受信し、そこから第1の検出信号を生成し、第2の取得モードで、第2の結合信号を受信し、そこから第2の検出信号を生成するためのヘテロダイン受信機と、
LO源に結合された掃引コントローラであって、第1および第2の取得モードでスペクトル範囲内の可変LO周波数を掃引するための掃引コントローラと
をさらに含む。
【0029】
いくつかの実装形態では、スペクトルシフタは、電気光学変調器である。
いくつかの実装形態では、システムは、スペクトル分解検出器ユニットの上流に配置された偏光アナライザをさらに含み、偏光アナライザは、
時間の関数として光信号または両側波帯信号の偏光状態を変化させるように構成された偏光スクランブラと、
変化させた偏光状態の光信号または両側波帯信号の固定偏光成分を通過させるように構成された偏光子と
を含む。
【0030】
いくつかの実装形態では、システムは、多数の離間した光チャネルのうちの選択されたものから光信号を選択するように構成された光チャネルセレクタをさらに含む。
【0031】
いくつかの実装形態では、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムであって、光信号が、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、雑音寄与とを含む、システムが提供される。システムは、
データ伝送信号帯域幅のスペクトル範囲内で動作可能なスペクトル分解検出器ユニットであって、
可変LO周波数を有するLO信号を生成する局部発振器(LO)源と、
第1の取得モードで、LO信号から両側波帯LO信号を生成するように構成されたLOスペクトルシフタであって、両側波帯LO信号が、シンボル周波数にビートノート周波数を加えたものまたはシンボル周波数からビートノート周波数を減じたものに等しいスペクトルシフトによって互いにスペクトル的に分離された第1のLO画像信号および第2のLO画像信号を含み、ビートノート周波数が、シンボル周波数より低い、LOスペクトルシフタと、
第1の取得モードで、両側波帯LO信号と光信号とを組み合わせて第1の結合信号にし、第2の取得モードで、LO信号と光信号とを組み合わせて第2の結合信号にするための光カプラと、
第1の取得モードで、第1の結合信号を受信し、そこから第1の検出信号を生成し、第2の取得モードで、第2の結合信号を受信し、そこから第2の検出信号を生成するためのヘテロダイン受信機と、
LO源に結合された掃引コントローラであって、第1および第2の取得モードでスペクトル範囲内の可変LO周波数を掃引するための掃引コントローラと
を含む、スペクトル分解検出器ユニットと、
スペクトル分解検出器ユニットに結合されたプロセッサであって、
第2の検出信号に基づいて光信号の測定された光パワースペクトルを決定または識別するステップであって、測定された光パワースペクトルが、光信号のデータ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与と、光信号の雑音寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与とを含む、ステップと、
光信号の複数対のスペクトル成分内のスペクトル相関関数を決定するステップであって、各対のスペクトル成分が、シンボル周波数によって互いにスペクトル的に分離され、スペクトル相関関数が、第1の検出信号に基づいて、複数対のスペクトル成分のそれぞれと関連付けられた複数対のビート成分内のビートノート振幅関数を決定することによって決定され、各対のビート成分が、ビートノート周波数によって互いにスペクトル的に分離され、一方が、第1のLO画像信号と関連付けられ、他方が、第2のLO画像信号と関連付けられる、ステップと、
データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解においてシンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分に対して計算されたスペクトル相関関数が測定されたスペクトル相関関数と整合するように、光信号の測定された光パワースペクトルに基づいてデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップと
を行うように構成されたプロセッサと
を含む。
【0032】
いくつかの実装形態では、LOスペクトルシフタは、電気光学変調器である。
いくつかの実装形態では、システムは、スペクトル分解検出器ユニットの上流に配置された偏光アナライザをさらに含み、偏光アナライザは、
時間の関数として光信号の偏光状態を変化させるように構成された偏光スクランブラと、
変化させた偏光状態を有する光信号の固定偏光成分を通過させるように構成された偏光子と
を含む。
【0033】
本説明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、単なる例示として与えられる以下のその特定の実施形態の非限定的な説明を読み進めることでより明らかになるであろう。上記の概要および以下の詳細な説明で説明される特定の特徴は特定の実施形態または態様に関して説明することができるが、別段の言明がない限り、これらの特定の特徴を互いに組み合わせることができることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】可能な実施形態による、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法のフローチャートである。
【
図2A】本明細書で説明されるいくつかの実施形態において使用される測定されたスペクトルパラメータおよび他の関連数量の例を示すグラフである。
【
図2B】本明細書で説明されるいくつかの実施形態において使用される測定されたスペクトルパラメータおよび他の関連数量の例を示すグラフである。
【
図3】別の可能な実施形態による、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法のフローチャートである。
【
図4】可能な実施形態による、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムの概略ブロック図である。
【
図5】別の可能な実施形態による、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムの動作原理および情報フローを示す概略表現である。
【
図6】
図5のシステムのものなどの2-νシフタの入力および出力信号の概略表現である。
図6では、入力信号は、周波数ν
iの狭いトーンであり、出力信号は、周波数ν
i±δ
⇔の2つの狭いトーンからなり、2つの出力トーンは、狭い入力トーンのスペクトル的にシフトされた側波帯画像である。
【
図7A】別の可能な実施形態による、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムの概略ブロック図である。
【
図7B】
図7Aの実施形態の動作原理および情報フローを示す概略表現である。
【
図8】光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムの実施形態において使用するための2-νスペクトルシフタの可能な実装形態の構成の概略表現である。
図8では、2-νスペクトルシフタは、振幅変調器として設定される二重駆動Mach-Zehnder(DDMZ)電気光学干渉計によって具体化される。
【
図9A】
図8のものなどのDDMZ電気光学変調器によって印加された変調電圧によって誘発された位相変動Δφの関数としてプロットされた、q=1(太い実線)、q=3(破線)およびq=5(細い実線)に対する振幅c
q(
図9A)および相対振幅r
q(
図9B、9C)のグラフである。
【
図9B】
図8のものなどのDDMZ電気光学変調器によって印加された変調電圧によって誘発された位相変動Δφの関数としてプロットされた、q=1(太い実線)、q=3(破線)およびq=5(細い実線)に対する振幅c
q(
図9A)および相対振幅r
q(
図9B、9C)のグラフである。
【
図9C】
図8のものなどのDDMZ電気光学変調器によって印加された変調電圧によって誘発された位相変動Δφの関数としてプロットされた、q=1(太い実線)、q=3(破線)およびq=5(細い実線)に対する振幅c
q(
図9A)および相対振幅r
q(
図9B、9C)のグラフである。
【
図10】別の可能な実施形態による、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムの概略ブロック図である。
【
図11】別の可能な実施形態による、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムの概略ブロック図である。
【
図12】本技法のいくつかの実施形態において使用することができる高調波制御の概念を示すブロック図の概略表現である。
【
図13】別の可能な実施形態による、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムの概略表現であり、システムは、高調波制御能力を含む。
【
図14】別の可能な実施形態による、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムの概略表現であり、システムは、高調波フィルタリングのための可変光フィルタを含む。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本説明では、図面の同様の特徴には、一般に、同様の参照番号が与えられている。特定の図の混乱を避けるため、先行図において既に識別されている場合は、いくつかの要素は示されていない場合がある。また、本実施形態の要素および構造を明確に示すことが重視されるため、図面の要素は必ずしも原寸に比例するとは限らないことも理解すべきである。その上、本明細書では、説明を容易に且つ明確にするため、ある要素の別の要素に対する場所および/または向きを示す位置記述子が使用される。別段の指示がない限り、これらの位置記述子は、図の文脈において取り入れるべきであり、制限するものと考えるべきではない。より具体的には、そのような空間的に相対する用語は、図で例示されている向きに加えて、本実施形態の使用または動作における異なる向きを包含することを意図することが理解されよう。
【0036】
別段の言明がない限り、「接続される」および「結合される」という用語ならびにそれらの派生語および変形語は、本明細書では、2つ以上の要素間の直接または間接的ないかなる接続または結合も指す。例えば、要素間の接続または結合は、機械的、光学的、電気的、磁気的、論理的またはそれらの組合せであり得る。
【0037】
本説明では、数量またはパラメータを参照する際の「測定される」という用語は、数量またはパラメータを直接または間接的に測定できることを意味することを意図する。間接的な測定の事例では、数量またはパラメータは、直接測定されたデータから導出、回収、推論または別の方法で決定することができる。
【0038】
「a」、「an」および「1つの(one)」という用語は、本明細書では、「少なくとも1つの」を意味するように定義され、すなわち、これらの用語は、別段の言明がない限り、多数の要素を除外しない。また、例示的な実施形態の特徴の値、条件または特性を修飾する「実質的に」、「一般に」および「約」などの用語は、値、条件または特性が、その意図する適用に対するこの例示的な実施形態の正しい動作にふさわしい許容範囲内で定義されることを意味することを理解すべきであることにも留意すべきである。
【0039】
「光」および「光学」という用語は、本明細書では、電磁スペクトルの適切ないかなる領域における放射線も指すために使用される。より具体的には、これらの用語は、可視光線に限定されず、電磁スペクトルの不可視領域(制限なく、テラヘルツ(THz)、赤外線(IR)および紫外線(UV)スペクトルバンドを含む)も含み得る。例えば、非限定的な実施形態では、本技法を実装することができる撮像システムは、約1250nm~約1650nmの範囲のどこかに位置する波長帯域を有する光に対する感度が高いものであり得る。しかし、当業者であれば、この波長範囲は単なる例示を目的として提供され、本技法はこの範囲を超えて動作できることが理解されよう。
【0040】
本説明は、光通信リンク(例えば、光ファイバ)に沿って伝播する光信号の帯域内(すなわち、信号帯域幅内)のスペクトル特徴付けのための技法の様々な実装形態を開示する。
【0041】
本技法は、遠距離通信応用において光信号のスペクトルプロパティを測定することが望まれるかまたは必要とされる様々な適用において有益であり得る。例えば、本技法のいくつかは、制限なく、28Gb/sおよびそれより高いレートのQPSKまたはM-QAM(Mは、例えば、16、32、64、128もしくは256であり得る)などのITUグリッドの信号変調スキームを使用した典型的なメトロおよび長距離システムを含む異なるタイプの光通信ネットワークに適用するかまたは実装することができる。信号は、パルス形状のものでも、そうではないものでもよく、偏光されたものでも、偏光多重化されたものでもよい。本技法は、光ネットワークが信頼できるものであり、許容可能な産業仕様内で動作することを保証するかまたはその保証に役立てるために使用することができる。本技法は、現場に配置されたネットワーク、ネットワーク機器用の製造施設、研究開発所、データセンタおよび同様のものを含む様々な環境および設定において実装することができる。その上、本技法は、特徴付け、誤差診断、トラブルシューティングおよび/またはモニタリングの実行のために光通信ネットワークのインストール、起動および/または動作段階の間に採用することができる。
【0042】
いくつかの実装形態では、測定場所におけるASE雑音背景と区別されたPM信号(ASEなし)のスペクトル形状の決定を可能にする帯域内測定方法が提供される。測定場所における信号の信号+ASEのスペクトル形状と、ASEなしのスペクトル形状の両方を得ることにより、任意の規格またはカスタム定義に従って、OSNRを演算することができる。しかし、本技法は、単一のOSNR値だけではなく、ASE雑音の有無の両方における大きなスペクトル範囲にわたるスペクトルの決定に関与するため、OSNR測定に限定されず、より大きな適用範囲を有する。このデータからOSNRを演算することは、他の様々な可能な適用のうちの1つの特定の適用と見なすことができる。
【0043】
本技法のいくつかの実装形態は、光通信リンクに沿って測定場所またはポイントにおいて「原位置」で測定された参照信号スペクトルを提供するために、光信号の固有のまたは自然なスペクトル相関プロパティを活用する。次いで、この参照信号スペクトルは、共同所有された米国特許第9,112,604B2号明細書で説明されているものなどのOSNR測定方法において使用することができる。しかし、その完全な一般性において、本技法は、異なるシステムおよび装置でこの測定データを得ることができる状況の物理学に基づいて、測定データの数理解析を提供することができる。例えば、本明細書で開示されるいくつかの実施形態の理論、原理および特定のアルゴリズムは、実際の装置の実装形態にかかわらず、測定された物理的数量の定義に基づく。
【0044】
本技法のいくつかの実装形態は、米国特許出願公開第2016/0164599A1号明細書で開示されている方法の欠点または制限を克服または低減することができる。そのような欠点および制限は、既定の対の周波数成分間の完全なスペクトル相関の想定からおよび測定の絶対的性質から生じる高精度測定要件や、この方法の実装形態が必要とする高精度測定ならびに微調整および較正がもたらすロバスト性の潜在的欠如を含み得る。
【0045】
方法の実装形態
ここでは、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法の様々な態様について説明する。光信号は、一般に、2つの寄与、すなわち、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、ASE雑音を典型的に含む雑音寄与とを含むものとして説明することができる。
【0046】
図1を参照すると、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法100の可能な実施形態のフローチャートが提供されている。広範に述べると、以下でさらに詳細に説明されるように、方法100は、データ伝送信号帯域幅内のスペクトル範囲にわたる光信号の光パワースペクトルを測定するステップ102を含み得る。測定された光パワースペクトルは、一般に、光信号のデータ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与と、光信号の雑音(例えば、ASE雑音)寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与とを含む。
【0047】
また、方法100は、測定から、テスト中の光信号の複数対のスペクトル成分のセットに対するスペクトル相関関数を決定するステップ104も含む。各対では、スペクトル成分は、シンボル周波数によって互いにスペクトル的に分離され、スペクトル範囲内の中心周波数範囲における中心周波数値のセットのそれぞれを中心とする。測定されたスペクトル相関関数は、中心周波数の関数としての複数対のスペクトル成分内の相関強度の変動を表す。以下でさらに詳細に説明されるように、いくつかの実装形態では、スペクトル相関関数を決定するステップ104は、複数対のスペクトル成分のセットのそれぞれと関連付けられた複数対のビート成分のセットに対するビートノート振幅関数を測定するステップと、測定されたビートノート振幅関数を決定予定のスペクトル相関関数として識別するステップとを含み得る。そのような事例では、各対のビート成分は、ビートノート周波数によって互いにスペクトル的に分離され、ビートノート周波数は、すべての対に対して同じであり、シンボル周波数より実質的に低い。ビートノート振幅関数は、関連対のスペクトル成分の中心周波数の関数としての各対のビート成分間のビートノート振幅の変動を表す。
【0048】
方法100は、プロセッサを使用して、測定された光パワースペクトルのデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップ106をさらに含み得る。測定された光パワースペクトルを入力として使用する解は、解においてシンボル周波数によって分離された複数対のスペクトル成分に対して計算されたスペクトル相関関数が測定されたスペクトル相関関数と整合するようなものである。本説明では、「整合する」、「整合」および「整合させた」という用語は、測定されたスペクトル相関関数と計算されたスペクトル相関関数とが「正確に」または「全く同じように」整合するばかりでなく、測定されたスペクトル相関関数と計算されたスペクトル相関関数とが「実質的に」、「ほぼ」または「主観的に」整合することや、多数の整合の可能性の中でより高いまたは最良の整合を提供することも包含することが意図される。従って、「整合する」、「整合」および「整合させた」という用語は、本明細書では、2つの要素が同じであるかまたは互いの何らかの既定の許容範囲内であるという条件を指すことを意図する。その上、「表す」という用語は、この文脈では、方法100によって見出された解と光パワースペクトルの実際に測定された値のデータ伝送信号パワースペクトル寄与との間の整合が絶対的または相対的であることを示すために使用される。例えば、いくつかの実装形態では、解は、光パワースペクトルの測定値のデータ伝送信号パワースペクトル寄与に比例する正規化スペクトルであり得る。
【0049】
いくつかの実装形態では、データ伝送信号パワースペクトル寄与に対する解を得るステップ106は、非線形回帰モデルに基づいて非線形回帰分析を実行するステップを含み得る。非線形回帰モデルは、調整可能パラメータのセットを使用して、中心周波数範囲にわたって測定された光パワースペクトルおよび測定されたスペクトル相関数を関連させることができる。いくつかの実装形態では、調整可能パラメータは、制限なく、雑音パワースペクトル寄与の正規化モデルを表すモデル関数(1つまたは複数の調整可能パラメータによってそれ自体を定義することができる)、データ伝送信号パワースペクトル寄与に対する雑音パワースペクトル寄与の相対振幅を表す雑音対信号比パラメータ、ならびに、光通信リンクに沿って光信号の色分散および/または偏光モード分散を示す情報を伝達する分散パラメータを含み得る。測定データは、逐次近似法を使用して適合させることができ、逐次近似法では、モデルと測定データとの間の適切な整合が得られるまで、パラメータ値の初期のセットは反復して改良される。
【0050】
いくつかの実装形態では、方法100は、測定された光パワースペクトルおよびデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解に基づいて光信号対雑音比(OSNR)を決定するステップを含み得る。例えば、いくつかの事例では、方法100は、データ伝送信号パワースペクトル寄与、雑音パワースペクトル寄与および雑音対信号比に対する正規化解を生み出すことができ、これらの3つのパラメータは、OSNRを決定するために使用することができる。
【0051】
本技法によるこれらのおよび他の可能な方法ステップおよび変形形態は、以下でさらに詳細に説明する。
固有のスペクトル相関プロパティ
変調信号は、個々のシンボルが相互に独立したランダム変数である場合でさえ、「隠れ」周期性を有する。これは、正確にf
sbによって分離されたスペクトル成分間の理論的な100%の相関関係として周波数領域(フーリエ変換、スペクトル)において反映され、f
sbは、シンボル周波数(ボーレート)である。より正確には、シンボルの任意のランダムシーケンスに対し、そのようなすべての対の2つのスペクトル成分は、同じ位相差を有する。離散信号(サンプリングされた)を考慮すると、これは、送信機側で、
定義: C(f・)≡|〈Ε(f
+)・Ε*(f
-)〉sb| (1)
値: C(f・)≡〈[P(f
+)・P(f
-)]
1/2〉
sbδ(f
+-f
-)=f
sb、式中f・=1/2(f
++f
-)およびP(f
±)=|Ε(f
±)|
2、 (2)
として表現することができ、式中、Ε(f)は、時間変動光場Ε(t)(2成分複素フェーザ)の離散フーリエ変換(DFT)を表すジョーンズベクトルであり、すなわち、偏光状態(SOP)を有する変調光搬送波であり、〈...〉
sbは、すべての可能なシンボルシーケンス(sb)にわたる平均を表し、C(f・)は、2つのスペクトル成分f
±=(f・±1/2f
sb)間の相関関係であり、f・は、中心周波数である。言い換えれば、方程式(1)は、これらの成分間の相関関係が、それらのパワーの積の平方根に等しく、(f
+-f
-)≠f
sbの場合はゼロであることを示す。この信号プロパティは、本明細書で説明される実施形態において利用される。実際に、ASE雑音および他の雑音寄与は一般にこのプロパティ(C=0)を有さないため、C(f・)の知識により、方程式(2)に従って、周波数f
+およびf
-における信号のパワーまたはより正確には2つのパワーの積の平方根が得られ、それは、実際には、小さな周波数範囲上で積分される[有限分解能、窓w(f)、例えば、
図2A、2Bおよび以下の方程式(4a)を参照]。
【0052】
スペクトル数量の定義
図2Aおよび2Bを参照すると、本明細書で説明されるいくつかの実施形態に対する測定データおよび他の関連数量の定義が提供されている。
図2Aおよび2Bのグラフは、次の仕様、すなわち、変調フォーマットがf
sb=25GHzのシンボルレートで100Gb/s PM-NRZ-QPSKであること、送信機側の信号スペクトル密度がβ=0.3のロールオフでルートレイズドコサインであること、リンクに沿って光増幅器によって生成されたASE雑音がフラットスペクトルを有することを伴う簡単な例を通じて、これらの数量の重要性を示す。測定場所では、信号とASE雑音は両方とも、共通の光フィルタを通過した後であり、その形状はFWMH=35GHzで四次スーパーガウスであり、色分散(CD)および偏光モード分散(PMD)による伝播効果を有さない。窓w(f)は、B
w=100MHzの等価雑音帯域幅を有するガウスである。f=0(伝統的な定義)におけるOSNRは、10dBである(そのような低いOSNR値は、グラフ上で物事をより明らかにするために使用される)。
図2Aおよび2Bのグラフは、シミュレーション結果である。
【0053】
測定データの定義
いくつかの実装形態では、測定データを構成する数量は、それらのデータを測定するために使用される装置にかかわらず、以下の通りである。これらの数量は、
図2Aおよび2Bにおいて太い実線として示されている。
【0054】
P
sη(f)は、特徴付ける予定の光信号の光パワースペクトル(すなわち「信号+ASE」スペクトル)である。
P
sη(f)=P
s(f)+P
η(f) (3)
f
+およびf
-におけるP
sη(f)の値は、
図2Aでは、黒丸で示されている。
【0055】
本明細書では、
【0056】
【0057】
は、相関項であり、「スペクトル相関関数」と呼ばれ、相関(1)を表すパワーに相当する。それは、すべての一般性において、
【0058】
【0059】
と記載することができる。
w(f)=δ(f)(ディラックのデルタ関数)のように近似するようにw(f)を十分に狭くした際は、方程式(4a)は、
【0060】
【0061】
に簡約される。
他の定義
P(f) 一般に、例えば、光スペクトルアナライザ(OSA)によって測定されるような、スペクトル密度とw2(f)との畳み込みに相当するパワースペクトル。
【0062】
w(f) 窓またはフィルタ伝達関数。何らかの有限幅の窓w
2(f)との畳み込みに相当する光パワースペクトルおよびスペクトル相関関数などの測定数量[方程式(4a)を参照]。
図2Aのw(f)に相当する2つのピークは、細い実線によって示されている。
【0063】
Bw w2(f)の等価雑音帯域幅(ENB)。
【0064】
【0065】
P
s(f) P
sη(f)のデータ伝送信号成分に相当するASEなしの信号スペクトル。本説明では、データ伝送信号に関する変数は、一般に、「s」の添え字によって識別される。P
s(f)は、
図2Aでは、細い破線で示されている。
【0066】
P
η(f) P
sη(f)の雑音寄与に相当するASE雑音スペクトル。本説明では、雑音に関する変数は、一般に、「η」の添え字によって識別される。P
η(f)は、
図2Aでは、細い点線によって示されている。
【0067】
P
±(f・)
P
±(f・)=P
s(f
±) (5)
となるようなf=f
±における信号パワー。f
+およびf
-におけるP
s(f)の値は、
図2Aでは、黒四角として示されている。
【0068】
P:(f・)
P:(f・)=1/2[Psη(f+)+Psη(f-)] (6)
となるようなf・における平均「信号+ASE」パワー。この数量は、本明細書では、「DC項」とも呼ばれ、いくつかの実装形態では、
【0069】
【0070】
と共に測定することができる。P
:(f・)は、
図2Bでは、細い実線として示されている。
【0071】
光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法の例示的な実施形態の段階的説明
図3を参照すると、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法300の例示的な実施形態のフローチャートが提供されている。特徴付ける予定の光信号は、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数f
sbで変調されたデータ伝送信号寄与と、雑音寄与とを含む。以下では、この例示的な実施形態の段階的説明を提供する。
【0072】
ステップ0:生データ取得
図3の方法300を実装するために使用される装置にかかわらず、方程式(3)、(4a)および(4b)によって定義される光パワースペクトルP
sη(f)およびスペクトル相関関数
【0073】
【0074】
からなるデータは、Psη(f)の場合は周波数fの範囲にわたっておよび
【0075】
【0076】
の場合は中心周波数f・の範囲にわたって、測定されるかまたはその測定から決定されると想定される。周波数fの範囲は、
図2Aに示されるように、チャネルスロット(例えば、典型的には、50GHz)を実質的に包含する。この想定の下では、方法300の実施形態は、
図3のフローチャートに示されるように進む。
【0077】
より具体的には、
図3のステップ0は、特徴付ける予定の信号の光信号帯域幅内のスペクトル範囲にわたる光パワースペクトルP
sη(f)を測定するステップを含み得る。光パワースペクトルP
sη(f)は、概念的には、P
sη(f)=P
s(f)+P
η(f)のように2つの項の和として記載することができ、式中、P
s(f)の項は、光信号のデータ伝送信号寄与と関連付けられたスペクトル成分であり、P
η(f)の項は、光信号の雑音寄与と関連付けられたP
sη(f)のスペクトル成分である。
【0078】
また、ステップ0は、測定から、テスト中の光信号のシンボル周波数fsbによってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分のセット内のスペクトル相関関数
【0079】
【0080】
を決定するステップも含み得る。複数対のスペクトル成分のセットは、中心周波数範囲にわたる中心周波数の対応するセットのそれぞれを中心とする。上記で言及されるように、関数
【0081】
【0082】
は、各対内のスペクトル成分間の相関関係がその対の中心周波数の関数としてどのように変化するかを説明する。
【0083】
いくつかの実装形態では、方法300のステップ0は、測定から、P:(f・)というDC項の値を決定するステップをさらに含み得る。P:(f・)というDC項の決定は、光パワースペクトルPsη(f)を測定するために使用されたものとは異なる測定プロセスを使用して行うことができる。この異なる測定プロセスは、スペクトル相関関数
【0084】
【0085】
を決定するために使用されたものと同じであり得る。
モジュラス(絶対値)の二乗:方程式(4a)ではモジュラス演算子|...|が平均演算子〈...〉sbの中にあるという点で、
【0086】
【0087】
に対して方程式(1)と方程式(4a)の定義との間には違いが存在することに留意すべきである。この違いの結果は、(4b)と比べて
【0088】
【0089】
に加えられるオフセットδ||(f・)であり、すなわち、
【0090】
【0091】
式中δ||(f・)~Psη(f+)Psη(f-)÷[1+Beq・Δt]および
【0092】
【0093】
であり、式中、Δtは、信号Ε(t)の有限時間であり、そこからDFT Ε(t)が得られ、Beqは、w(f)の等価幅である(すなわち、幅Beqの長方形窓は同じものを与える)。
【0094】
一見すると不便なオフセットδ||は、Beq・Δt≫1の場合は無視してもよいほどになり、それは、実際には容易に成り立つことが見込まれることに留意されたい。例えば、ENBのガウス窓の事例では、Bw=100MHzであり、Beq=141MHzに相当し、10ミリ秒(ms)ほどの短い取得時間Δtでさえ既にBeq・Δt=1.4×106を与える。結果的に、Ε(f)は有限時間シーケンスのDFTである(有限分解能(ビン)df=1/Δtであることを含意する)一方で、相関はdfよりはるかに大きな幅Beq上で積分されるため、他では有利なモジュラスの二乗の平均を使用することができる。何らかのΔtを考慮すると、これは、Bwに下限を課すかまたはその逆も同様である。しかし、この下限は、一般に、予期される限度ではない。モジュラスの二乗の平均を取る利点は、CDおよびPMDに対する感度が一般的に低く、それにより、CDおよびPMDを測定するためにいくつかの既存のシステムに存在する要件を取り除くことができる。
ステップ1:Psη(f)の正規化
方法300は、測定された光パワースペクトルPsη(f)に対する正規化値
【0095】
【0096】
を演算するステップ1を含み得る。ステップ1は、
【0097】
【0098】
で
【0099】
【0100】
のように、測定された光パワースペクトルPsη(f)の各データポイントを、テスト中の光信号のデータ伝送信号帯域幅の中心(すなわち、f=0)で測定されたPsη(f)の値で除することを伴い得る。
【0101】
本説明では、シンボル
【0102】
【0103】
によって表されるすべての正規化スペクトルは、同じ定義を有する、すなわち、
【0104】
【0105】
であることに留意されたい。
ステップ2:
【0106】
【0107】
およびP
:(f・)のスケーリング
上記で言及されるように、いくつかの実装形態では、
図3の方法300は、スペクトル相関関数
【0108】
【0109】
と共に、方程式(6)によって定義され且つ
図2BにプロットされたP
:(f・)というDC項に相当する数量を測定するステップ2を含み得る。これは、例えば、以下で説明されるものなどの低周波数ビートノート手法を使用したシステムおよび装置で方法300が実装される際の事例であり得る。そのような事例では、P
:(f・)および
【0110】
【0111】
は、検出信号のDC成分およびビート成分をそれぞれ表す。
適用に応じて、ステップ2を省略することができるが、非線形回帰によって見出されたパラメータαの定量的物理的解釈を提供するために役立てることができることに留意されたい(例えば、以下のステップ4を参照)。また、実際には、
【0112】
【0113】
およびP:(f・)を得るための測定プロセスは、Psη(f)を得るための測定プロセスとは異なり得、その結果、P:(f・)に対する生の決定値は、Psη(f)の測定値を使用する方程式(6)から得られるものとは異なり得ることにも留意されたい。そのような事例では、スケーリングステップ2は、P:(f・)というDC項とスペクトル相関項
【0114】
【0115】
の両方に共通の倍率αNを乗じることを伴い得る。倍率αNは、P:(f・)がαNでスケーリングされる際に
【0116】
【0117】
という関係が成り立つように選ばれ、式中、右側は、測定された正規化スペクトル
【0118】
【0119】
から演算される。一般に、スケーリングステップ2が実行されない際は、パラメータP:(f・)の測定または決定を省略できることに留意すべきである。
【0120】
ステップ3:推測値
依然として
図3を参照すると、方法300は、
【0121】
【0122】
および任意選択によりP:(f・)からデータ伝送信号パワースペクトル寄与Ps(f)またはその正規化値
【0123】
【0124】
を決定するために非線形回帰分析を実行するステップを含み得る。非線形回帰分析を実行することは、一般に、ある特定のスペクトル範囲にわたって測定された光パワースペクトルおよび測定されたスペクトル相関を関連させる非線形回帰モデルにおいて使用される調整可能パラメータのセットに対する初期値または推定を提供することを伴う。非線形回帰分析の初期の推定を決定するための様々な技法が存在し、初期の推定の選択は、アルゴリズムの収束に影響を及ぼし得る。
【0125】
本実施形態では、調整可能パラメータのセットは、Vで示されるベクトルとして表すことができる。ベクトルVは、以下で紹介されるパラメータ(ρ α)と、ベクトルVηに分類され、モデル関数
【0126】
【0127】
の調整可能パラメータを表すNη個の追加のパラメータのセットとを含み得る。これは、
V=(ρ α Vη) (9)
と記載することができる。
【0128】
定義:いくつかの実施形態では、モデル関数
【0129】
【0130】
は、方程式(8)に従って正規化されたfの関数として定義され、すなわち、
【0131】
【0132】
であり、式中、Vηは、Nη個の要素がNη個の調整可能パラメータを表すベクトルである。Vηの異なる値は、fの関数としての曲線
【0133】
【0134】
の異なる形状に相当する。適用に応じて、VηのNη個の要素は、スカラ、ベクトル、行列または他の任意の適切な数学的エンティティであり得る。
【0135】
条件:いくつかの実装形態では、
【0136】
【0137】
に関する必要且つ十分な条件は、
【0138】
【0139】
が実際の正規化されたASE雑音スペクトル
【0140】
【0141】
に実質的に等しくなるようなVηの値の存在である。一般に、
【0142】
【0143】
の形態、パラメータの数Nηまたはパラメータの性質(スカラ、ベクトル、行列など)に関する事前の既定は存在しない。いくつかの事例では、少数のスカラのパラメータを有する
【0144】
【0145】
の簡単な形態で十分であり得るが、他の事例では、より多くのパラメータを有するより複雑な関数が必要とされ得る。簡単な定数、直線または放物線など、現在では依然として一般的なチャネルスロットの幅にわたる
【0146】
【0147】
の簡単な形状は、システムアーキテクチャの発展と共に変化し得ることは予測できる。
【0148】
【0149】
に対する特定の形態が十分一般的であるかどうかの判断は、その適用(とりわけ、回帰分析の必要なまたは所望の正確度)に依存することになる。
【0150】
【0151】
に対して使用することができるモデル
【0152】
【0153】
の非限定的な例は、以下の表Iに提供される。
【0154】
【0155】
上記で言及されるように、非線形回帰における推測値を確立するために様々な技法を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ρとαは両方とも、V=(ρ α Vη)において、最初はゼロに設定し、回帰の進展と共に反復して改良することができる。
ステップ4:非線形最小二乗回帰
本実施形態では、測定データは、光パワースペクトルPsη(f)、スペクトル相関関数
【0156】
【0157】
および任意選択によりP:(f・)というDC項を含む。これは、より具体的には、測定された光パワースペクトルPsη(f)のデータ伝送信号パワースペクトル寄与Ps(f)および雑音パワースペクトル寄与Pη(f)が方法300の開始の際に事前に知られていないことを意味する。
【0158】
図3の方法300は、プロセッサを使用して、データ伝送信号パワースペクトル寄与P
s(f)に対するかまたはデータ伝送信号パワースペクトル寄与P
s(f)を表す解を得るステップを含み得る。P
s(f)に対する解は、P
s(f)に対する解と関連付けられるかまたはP
s(f)に対する解から得られる計算されたスペクトル相関関数が、
【0159】
【0160】
を包含する中心周波数の範囲にわたって測定されたスペクトル相関関数
【0161】
【0162】
と整合するようなものである。いくつかの実装形態では、このステップは、最初に、ASE雑音パワースペクトルPη(f)を表す解、例えば、
【0163】
【0164】
を決定し、次いで、Ps(f)に対する解を生み出すために、測定されたスペクトルPsη(f)からPη(f)に対する解を減じるかまたは除去することを含み得る。
【0165】
いくつかの実装形態では、非線形最小二乗回帰分析は、f・の範囲全体にわたって、方程式(4b)が満たされるように未知のASE雑音スペクトルPη(f)を見出すため、または、言い換えれば、以下の差がゼロであるようにもしくは適切な程度まで最小化されるようにPη(f)を見出すために使用することができる。
【0166】
【0167】
式中、未知のPs(f)は、
Ps(f)=Psη(f)-Pη(f) (11)
として記載することができる。
【0168】
Ps(f)に対する方程式(11)を方程式(10)に代入すると、
【0169】
【0170】
が得られ、唯一の未知数は、Pη(f)である。
【0171】
【0172】
を最小化することによってPη(f)が見出された時点で、本方法300に従って得られる信号スペクトルPs(f)を方程式(11)から見出すことができる。
【0173】
いくつかの実装形態では、方程式(10)~(12)は、それらの使用を容易にするために異なる形で表現することができる。例えば、方程式(8)に従って以下の正規化スペクトルを定義すると、
【0174】
【0175】
が得られ、そこから、方程式(11)を以下の通り正規化することができる。
【0176】
【0177】
次いで、方程式(14)を使用して、正規化スペクトルの観点から方程式(10)を表現すると、
【0178】
【0179】
が得られ、式中、
【0180】
【0181】
である。方程式(15)では、
【0182】
【0183】
および
【0184】
【0185】
は、実験データであり、(ρ α)および
【0186】
【0187】
は、未知数である。
非線形回帰分析を実行するために、方程式(15)の
【0188】
【0189】
は、モデル関数
【0190】
【0191】
と置き換えることができ、ベクトルVηは、モデル関数
【0192】
【0193】
のNη個の調整可能パラメータを表す。回帰の調整可能パラメータは、V=(ρ α Vη)である。実験データ
【0194】
【0195】
および
【0196】
【0197】
は、逐次近似を使用して適合させることができる。そのような事例では、ベクトルVに対するパラメータ値の初期のセットは、モデルと測定データとの間で適切な整合が得られるまで、すなわち、回帰によって見出されたパラメータV=(ρ α Vη)で演算された方程式(15)のΔ(f・)が指定の許容範囲内でゼロまたは既定の値に近付くまで、反復して改良される。
【0198】
また、回帰を反復して実行することも本技法の範囲内である。この事例では、第1の回帰は、
【0199】
【0200】
の第1の形態を使用して実行され、次いで、結果として得られた差Δ0(f・)がゼロからまたは別の収束基準からかなり逸脱する場合は、第1の回帰の結果Δ0(f・)に基づいて選択された
【0201】
【0202】
の一般的により複雑な異なる形態を用いて第2の回帰が実行され、次いで、第2の回帰の結果Δ1(f・)に基づいて第3の回帰が実行されるなど、必要に応じて、(q-1)番目の回帰(q番目の反復)の結果Δq(f・)が指定基準または実質的な「ゼロ性」と整合するかまたは満たすまで行われる。
【0203】
ρの意味:ρは、f=0における雑音対信号パラメータであり、ASE比率rη=1/OSNRに比例する(さらなる詳細については、以下のステップ5を参照)。
【0204】
αの意味:αは、光通信リンクに沿ってテスト中の光信号に影響を及ぼす伝播効果(CDおよび/またはPMDのものなど)を示す情報を伝達することができる
【0205】
【0206】
に対する倍率である。CDおよびPMDなどの伝播効果がない場合は、ステップ2が実行されるか否かに応じて、αが(1+ρ)またはαN・(1+ρ)に実質的に等しくなることがシミュレーション結果から分かっている。結果的に、CDおよびPMDを無視することができ、且つ、ステップ2が実行される場合は、原理上、αは、方程式(15)の独立調整可能パラメータとして省略することができ、(1+ρ)と置き換えることができる。しかし、実際には、CDおよびPMDは、めったに省略することはできず、その結果、一般に、αを省略することはできない。CDおよびPMDの効果は、実際にはf・から実質的に独立しているグローバル相対相関係数Cr(本明細書では「相対相関」と呼ばれる)によって、方程式(4a)および(4b)によって得られる値に対して、相関項
【0207】
【0208】
の値を低減することである。係数Crは、調整可能パラメータαを通じて説明することができる。一方では、Crがf・から実質的に独立しているという事実と、他方では、回帰におけるパラメータαの導入は、方法300のいくつかの実装形態において有利であり得る。このように、CDとPMDは両方とも、単一の調整可能パラメータαを用いて、測定する必要なく、補償することができる。
【0209】
正規化データ伝送信号スペクトル
【0210】
【0211】
は、回帰によって得られた
【0212】
【0213】
に対する結果から次の通り決定することができる。
【0214】
【0215】
いくつかの実装形態では、モデル関数と実際の正規化されたASE雑音スペクトルとの間の差
【0216】
【0217】
の関数としての
【0218】
【0219】
の誤差
【0220】
【0221】
は、
【0222】
【0223】
によって近似させることができる。
本技法を使用して得られた正規化されたデータ伝送信号パワースペクトル寄与
【0224】
【0225】
が米国特許第9,112,604B2号明細書で定義される参照信号スペクトルとして使用される場合は、方程式(17)は、最悪の場合でも、測定されたASE雑音比率の相対誤差が相対差
【0226】
【0227】
の何らかの平均に等しくなることを含意するということに留意されたい。
ステップ5:OSNRの演算
依然として
図3の実施形態を参照すると、方法300は、データ伝送信号パワースペクトル寄与に対する正規化解
【0228】
【0229】
と、雑音パワースペクトルに対する正規化解
【0230】
【0231】
と、調整可能パラメータρとからOSNRを決定するステップ5をさらに含み得る。実際に、
【0232】
【0233】
およびρの知識により、様々な規格定義に従ってOSNRを演算することができる。例えば、本説明において使用される語彙から、OSNRの伝統的な定義は、
【0234】
【0235】
として記載することができる。
方程式(18)では、Ss(f)およびSη(f)はそれぞれ、データ伝送信号およびASE雑音のスペクトル密度であり、Bchは、チャネルスロットの幅であり、fr=1/2Bνであり、Bνは、標準参照帯域幅である。いくつかの適用では、標準参照帯域幅は、波長間隔Bλ=0.1nmとして指定される。そのような事例では、Bνは、Bν=Bλ・(c/λ2
i)によってBλの関数として得られ、式中、λiは、i番目のチャネルの中心波長であり、cは、光の速度である。この定義によれば、ASE雑音比率およびOSNRは、測定された正規化スペクトルから以下の通り演算することができる。
【0236】
【0237】
式中、OSNRdBは、dBの単位で表現されるOSNRであり、すなわち、OSNRdB=10log(OSNR)である。方程式(19)は、
【0238】
【0239】
の意味で、窓w(f)が十分に狭いと想定するということに留意されたい。
式中、
【0240】
【0241】
および
【0242】
【0243】
はそれぞれ、信号およびASE雑音の正規化スペクトル密度である。典型的には狭いw(f)が使用されるため(例えば、50~500MHz)、方程式(20)の2つの近似等式は、一般に、実際には正確である。
【0244】
システムの実装形態
別の態様によれば、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステムまたは装置が提供され、システムまたは装置は、本明細書で説明される方法の実装が可能である。以下でさらに詳細に説明されるように、本明細書で説明されるいくつかのシステムおよび装置の実装形態は、本明細書で「低周波数ビートノート」(LFB)手法と呼ばれるものを使用することができる。LFB手法では、テスト中の光信号のシンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分内のスペクトル相関関数は、LFB振幅関数から決定され、LFB振幅関数の測定は、各対のスペクトル成分を共にスペクトル的により近付け、それらのスペクトル成分間の低周波数ビートノートを測定することを伴い得る。
【0245】
図4を参照すると、光通信リンク404(例えば、光ファイバ)に沿って伝播する光信号402をスペクトル的に特徴付けるためのシステム400の例示的な実施形態の概略ブロック図が提供されている。光信号402は、データ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数で変調されたデータ伝送信号寄与と、雑音寄与とを含む。
【0246】
システム400は、第1の取得モードで、光信号から両側波帯信号408を生成するように構成されたスペクトルシフタ406を含む。両側波帯信号408は、第1の画像信号410aおよび第2の画像信号410bを含む。第1および第2の画像信号410a、410bは、シンボル周波数f
sbにビートノート周波数f
bを加えたものまたはシンボル周波数f
sbからビートノート周波数f
bを減じたものに等しいスペクトルシフト2δ
⇔によって互いに分離された光信号402の側波帯画像を表し、
図4では、2δ
⇔=(f
sb+f
b)の事例が表されている。ビートノート周波数f
bは、例えば、いくつかの実装形態では、10
3~10
6、より具体的には、10
4~10
5の範囲の比率だけシンボル周波数f
sbより低い。スペクトルシフタ406は、第2の取得モードで光信号402を迂回させるかまたは動作不能になる。前者のシナリオでは、システム400は、光スイッチ446を含み得、光スイッチ446は、第1の取得モードで、スペクトルシフタ406を含む第1のパス448aに沿って光信号402を誘導し、第2の取得モードで、スペクトルシフタ
406を迂回する第2のパス448bに沿って光信号402を誘導するためのものである。いくつかの実装形態では、光スイッチ446の代わりに、スペクトルシフタ
406のスペクトルシフト能力は、第1および第2の取得モードのそれぞれにおいてオンおよびオフを選択的に調整することができる。
【0247】
また、システム400は、データ伝送信号帯域幅のスペクトル範囲内で動作可能なスペクトル分解検出器ユニット412も含む。スペクトル分解検出器ユニット412は、第1の取得モードで両側波帯信号408を検出およびスペクトル的に分解して第1の検出信号414を出力し、第2の取得モードで光信号402を検出およびスペクトル的に分解して第2の検出信号416を出力するように構成される。光スイッチ446が提供されているため、示される実施形態の光信号402および両側波帯信号408は、一度に1つずつ、互いに独立して検出される。しかし、他の実施形態では、例えば、スペクトル分解検出器ユニットが複数の検出器および/または遅延線を含む場合は、光信号402および両側波帯信号408が少なくとも部分的に同時に検出されることを構想することができる。
【0248】
本説明では、「スペクトル分解検出器ユニット」という用語は、広義に、入力信号のスペクトル依存反応(例えば、ある特定のスペクトル範囲にわたる周波数または波長の関数として)の測定が可能ないかなる光検出器もしくは受信機または光検出器の組合せも指す。スペクトル分解検出器ユニット412の光検出器または各光検出器は、一般に、光電気受信機として動作し、光電気受信機は、入力信号を受信し、受信した入力信号を表す電気信号を出力するように構成される。電気信号は、サンプリングし、検出した入力信号を表すスペクトルデータとしてデジタル化することができる。スペクトル分解検出器ユニット412は、異なるタイプのスペクトル高感度検出器によって具体化することも、異なるタイプのスペクトル高感度検出器の一部であることも可能であり、スペクトル高感度検出器は、光スペクトルアナライザ(OSA)、掃引波長システムまたは他の任意のタイプのスペクトル測定デバイスを含む。いくつかの実装形態では、スペクトル分解検出器ユニット412は、高分解能OSAであり得、その非限定的な例は、ヘテロダインOSA、コヒーレントOSA、ブリルアンOSAおよびコヒーレント受信機を含み得る。
【0249】
システム400は、スペクトル分解検出器ユニット412に結合されたプロセッサ418をさらに含む。プロセッサ418は、アナログ/デジタル変換後に、第1および第2の検出信号414、416を受信し、そこから両側波帯信号408および光信号402のそれぞれについてのスペクトル情報を導出するように構成される。
【0250】
本説明では、「プロセッサ」という用語は、システム400の動作を少なくとも部分的に制御および実行するエンティティを指す。プロセッサ418は、1つもしくは複数の汎用コンピュータ内および/または他の任意の専用コンピューティングデバイス内で提供することができる。「プロセッサ」という用語は、単一のプロセッサに限定されるものと解釈すべきではなく、それに従って、任意の公知のプロセッサアーキテクチャを使用できることに留意すべきである。プロセッサ418は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の組合せにおいて実装することができ、適切な通信リンクおよびポートを介してシステム400の様々なコンポーネントに接続することができる。プロセッサ418は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、プログラマブル論理デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)、または、他の任意のタイプの処理リソースもしくはプロセッサとして集合的に動作するように構成されたそのような処理リソースの任意の組合せによって具体化することができる。プロセッサ418は、プロセッサ418によって回収されるコンピュータプログラムおよび他のデータの格納が可能な1つまたは複数のメモリ要素420を含むことも、1つまたは複数のメモリ要素420に結合することも可能である。また、各メモリ要素420は、「コンピュータ可読記憶媒体」と呼ぶこともできる。適用に応じて、プロセッサ418は、システム400の光学ハードウェア(これらに限定されないが、スペクトルシフタ406およびスペクトル分解検出器ユニット412を含む)と統合しても、部分的に統合しても、物理的に分離してもよい。
【0251】
図4では、プロセッサ418は、第2の検出信号416を受信し、第2の検出信号416を光信号402の光パワースペクトルP
sη(f)として識別するかまたは第2の検出信号416から光信号402の光パワースペクトルP
sη(f)を決定するように構成される。上記で言及されるように、光パワースペクトルP
sη(f)は、データ伝送信号パワースペクトル寄与P
s(f)および雑音パワースペクトル寄与P
η(f)を含み、それらは互いに区別されていない。
【0252】
また、プロセッサ418は、光信号402の複数対のスペクトル成分のセットに対するスペクトル相関関数
【0253】
【0254】
を決定するようにも構成され、複数対のセットは、スペクトル範囲内の中心周波数範囲にわたる中心周波数f・の対応するセットのそれぞれを中心とする。各対のスペクトル成分は、シンボル周波数f
sbによって互いにスペクトル的に分離される。
図4の実施形態では、スペクトル相関関数
【0255】
【0256】
は、第1の検出信号414に基づいて、複数対のビート成分のセットに対するビートノート振幅関数を決定することによって得られる。複数対のビート成分はそれぞれ、光信号402の複数対のスペクトル成分と関連付けられる。各対のビート成分は、ビートノート周波数fbによって互いにスペクトル的に分離され、一方のビート成分は、両側波帯信号408の第1の画像信号410aと関連付けられ、他方は、第2の画像信号410bと関連付けられる。ビートノート振幅関数は、スペクトル範囲内で、その関連付けた対のスペクトル成分の中心周波数の関数として各対のビート成分間のビートノート振幅を関連させる。
【0257】
光パワースペクトルPsη(f)およびスペクトル相関関数
【0258】
【0259】
が測定データとして決定された時点で、プロセッサ418は、解に基づいておよび測定された光パワースペクトルPsη(f)を考慮して演算された計算されたスペクトル相関が測定されたスペクトル相関関数
【0260】
【0261】
と整合するように、データ伝送信号パワースペクトル寄与Ps(f)を表す解を得るように構成することができる。このステップは、説明されるように、例えば、非線形回帰分析を使用することによって実行することができる。
【0262】
いくつかの実装形態では、上記で説明される処理ステップは、必須ではないが、同じ物理的なプロセッサによって実行できることに留意されたい。例えば、スペクトル分解検出器ユニット412に含まれるプロセッサを使用して、第1および第2の検出信号414、416のそれぞれに基づいてスペクトル相関関数
【0263】
【0264】
および光パワースペクトルPsη(f)を決定することや、システム400の光学ハードウェアから分離された別のプロセッサでデータ伝送信号パワースペクトル寄与Ps(f)を表す解を得ることを構想することができる。
【0265】
本技法によるシステムのこれらのおよび他の可能なコンポーネントおよび特徴の構造、構成および動作に関するさらなる詳細は、以下でさらに詳細に説明する。
【0266】
図5を参照すると、光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるためのシステム500の別の例示的な実施形態の動作原理および情報フローの概略表現が提供されている。
図5のシステム500は、一般に、光チャネルλセレクタ522、2-νシフタ506、光スペクトルアナライザ(OSA)512およびプロセッサ518を含む。システム500の動作の一般原理をそのように説明する前に、チャネルλセレクタ522、2-νシフタ506およびOSA 512の機能を提示する。
【0267】
チャネルλセレクタ522は、N
i個の(i=0..(N
i-1),N
i=1..∞)の波長(λ)多重化チャネルを典型的に含む光通信システム(図示せず)から光波524を受信する(
図5のポイント「IN」において)ように構成される。例えば、いくつかの例示的な実施形態では、N
iは、10~100程度のものであり得る。光周波数ν
iは、チャネルiの搬送波周波数(ν
i=c/λ
i)である。
図5では、光、電気およびデジタル信号はそれぞれ、太い実線、細い実線および破線で示されている。
【0268】
チャネルλセレクタ522の機能は、スペクトルINおよび[1]によって示されるように、所定のチャネルiを他のすべてのチャネルからフィルタ除去することである。いくつかの実装形態では、測定は、チャネルごとに順番に実行される。すなわち、第1のチャネルiの信号スペクトルを測定し、次いで、第2のチャネルを選択してその信号スペクトルを測定し、次いで、第3のチャネルを選択するなど、以下同様である。適用に応じて、チャネルλセレクタ522は、可変フィルタ、光スイッチを有する固定フィルタのアレイ、波長分割多重化(WDM)デマルチプレクサ、または、上記で説明される機能を実行することができるかもしくは実行するように構成することができる他の任意の一般的に利用可能なデバイスによって具体化することができる。
【0269】
本明細書で使用される専門用語に関し、Ni個の光チャネルの各々は、スペクトル的に特徴付ける予定の光信号502を含んでいると言えることに留意されたい。従って、光チャネルセレクタ522は、多数の離間したNi個の光チャネルのうちの選択されたものから、現在特徴付けられている光信号502を選択するように構成される。従って、選択されたチャネルの光信号502は、2つの寄与、すなわち、選択されたチャネルのスペクトル幅に相当するデータ伝送信号帯域幅内のシンボル周波数fsbで変調されたデータ伝送信号寄与と、ASE雑音を典型的に含む雑音寄与とを含むものとして説明することができる。また、選択されたチャネルの光信号502は、データ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与Ps(f)と、雑音寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与Pη(f)とを含む光パワースペクトルPsη(f)も有する。
【0270】
上記で紹介されたLFB手法は、
図4の実施形態のスペクトルシフタ406に相当する2-νシフタ506によって提供される機能に基づいて実装することができる。
図5では、2-νシフタ506の機能は、スペクトル[1]の2つの画像510a、510bを生成することであり、2つの画像510a、510bはそれぞれ、オリジナルから±δ
⇔だけシフトさせたものであり、δ
⇔=1/2(f
sb+f
b)または1/2(f
sb-f
b)であり、f
bは、さらなるポイントで観察されたビートノートの周波数である(グラフ[3]、[4])。
図5では、δ
⇔=1/2(f
sb+f
b)の事例が示されている。
図6を簡単に参照すると、2-νシフタの入力は、周波数ν
iにおけるレーザからの狭いトーンであり得る。次いで、2-νシフタの機能は、ν
iにおけるオリジナルのトーンを実質的に抑制して、周波数(ν
i+δ
⇔)および(ν
i-δ
⇔)で、この単一のトーンから2つのトーンを生成することである。
図5に戻ると、2-νシフタ506の入力が任意のスペクトル(例えば、スペクトル成分の和)を有する際は、各スペクトル成分は、2つの対称的にシフトされたスペクトル成分として同様に撮像される。これは線形変換であるため、出力508は、入力スペクトルの2つの画像510a、510bからなり、2つの画像510a、510bは、形状が入力画像と同一であるが、
図5のグラフ[2]によって示されるように、振幅が低減され、+δ
⇔および-δ
⇔だけスペクトル的にシフトされている。好ましくは、ν
iにおけるオリジナルのスペクトルおよび(ν
i±2δ
⇔)における可能な意図しない画像は、実質的に抑制される。例えば、この抑制は、適切に設定された電気光学変調器または同様のものによって達成することができる。
【0271】
また、
図5のシステム500は、OSA 512も含み、OSA 512は、
図4のスペクトル分解検出器ユニット412の可能な実施形態である。OSAは、その動作原理が一般に当技術分野でよく知られている一般的なデバイスであり、本明細書では詳細にカバーする必要がないことに留意されたい。
図5の実施形態では、OSA 512の機能の1つは、可変狭周波数帯域光フィルタとして動作し、その後、光検出器(その出力は、入射光波のパワーに実質的に比例する)として動作することである。光検出器の出力は、一般に、電気信号(例えば、光電流または対応する電圧)であるが、サンプリングし、後続のステップにおいてデジタルデータに変換することができるいかなる物理的な数量でもよい。
図5のOSA 512は、上記で定義される概念上の窓w(f)の物理的な実装形態を提供できることに留意されたい。従って、w(f)に関して本明細書で論じられるいかなる特徴も、原理上、
図5のOSA 512に適用することができる。本説明では、「可変OSA」という用語は、窓w(f=ν-ν
i)の中心となる光周波数νが、測定中にチャネルiに割り当てられたスペクトルスロットを実質的に包含する範囲内で多数の値を取ることができることを意味する。その上、「狭周波数帯域OSA」という用語は、一般的に分解能帯域幅(RBW)と呼ばれるパラメータの幅を指し、本明細書では、上記で定義されるw
2(f)の等価雑音帯域幅B
wに相当する。従って、RBWの要件は、存在すれば、一般にB
wの要件である。実際には、B
w≪f
sbが好ましい場合が多く、B
wは、数十~数百MHzの範囲に位置することが予期される(以下を参照)。
【0272】
LFB手法の原理は、2-νシフタもチャネルλセレクタも存在しないという代替の観点から最初に提示される場合は、より容易に理解することができる。代わりに、
図5のINにおける入射光波524は、(ν
i+1/2f
sb)および(ν
i-1/2f
sb)のそれぞれを中心とするB
w≪f
sbの窓w(f)を有する第1および第2の狭周波数帯域光フィルタにそれぞれ送信される第1および第2の光波に分割されることになる。第1および第2の光フィルタの出力光波は、再結合され、結果として得られる光波は、高速光検出器に送信されることになる。第1および第2のフィルタによってそれぞれ選択される様々なスペクトル成分(f
sbによって分離された複数対の相関スペクトル成分である)が存在するため、光検出器出力i(t)において、そのような相関関係が存在しない場合に見られるであろう広帯域雑音の代わりに、次のもの、すなわち、(a)時間領域では、i(t)が適切にバンドパスフィルタリングされる場合は、低雑音正弦波、および、(b)周波数領域では、比較的極小振幅の広帯域雑音背景にわたる周波数±1/2f
sbにおける大きなトーン(幅は大体B
w)が観察される。言い換えれば、周波数f
sbのコヒーレントビートノートが観察されることになる。本明細書で説明されるいくつかの実施形態に対する重要な事実は、このビートノートの振幅が、方程式(4a)および(4b)によって得られるスペクトル相関項
【0273】
【0274】
を生み出すことである。
対照的に、
図5の実施形態において描写されるLFB手法では、そのようなすべての対の2つの相関スペクトル成分(f
+ f
-)は、最初に、2つの画像信号510a、510bの重ね合わせから生じる両側波帯信号508を形成するために、2-νシフタ506の動作によって、周波数領域において互いにかなり近付けられる。ポイント[2]におけるスペクトルでは、そのような対の各々の相関スペクトル成分は、今や、f
sbの代わりにf
bによってスペクトル的に離間されている。f
bがB
wよりはるかに小さく設定される場合は、OSA 512の出力は、ビートノート周波数が今やf
sbの代わりにf
bであることを除いて、以前の段落で説明されるようなビートノートと同等であり、従って、「低周波数」という用語を用いてこのビートノートを指定する。また、このビートノートの振幅は、本明細書で説明される実施形態では、方程式(4a)および(4b)によって定義されるスペクトル相関関数
【0275】
【0276】
と同等であり、測定予定のまたは測定から決定する予定のパラメータである。
現在の光ファイバシステムでは、シンボル周波数fsbは、最大で25GHzおよびそれ以上であり得る。他方では、Bwは、数十~数百MHzの範囲に位置すると予期することができ、従ってまさに、Bw≪fsbが一般的に満たされる。それに従って、数百kHz~約2MHzの値は、一般に、ビート周波数fbに対して十分に大きく且つ賢明な設定であるはずであり、その結果、不等式fb≪Bw≪fsbが満たされる。従って、fsb=25GHzおよびfb=1MHzにおける典型的な事例は何かを考慮すると、fsbと比べてfbはまさに非常に低い周波数であるということである。
【0277】
光検出器の出力のさらなるデジタル処理に対し、ビートノートP(t,f\f・)がサンプリングされ、デジタルデータに変換される。この目的のため、
図5のシステム500は、アナログ/デジタル(A/D)の変換器526を含み得る。LFB手法ではビート周波数f
bは低いため、一般に、高速A/D変換器の必要性はない。良いサンプリングの実践では、レートf
eでサンプリングする前に、遮断周波数f
c≦f
eを有するローパスフィルタをアナログ信号に適用することができる。次いで、原理上、サンプリングレートの最小条件は、f
e≧f
bであるか、または、アンダーサンプリング手法が使用される場合は、それより低い。しかし、ビートノートの可能な位相および/または振幅変動に対して周波数領域に余地を持たせるため、この最小条件によって規定されるよりもf
eを多少大きくすることを考慮することができる。実際には、制限なく、f
e≒2f
bの値は、支障なく十分に大きく且つサンプリングレートの賢明な一般設定であると予期することができる。
【0278】
依然として
図5を参照すると、A/D変換器526によるデジタルデータ出力は、プロセッサ518によって受信される。デジタルデータがプロセッサ518によって受信された時点で、後続のデータ処理は、2-νシフタ506をオンにするか(第1の取得モード)またはオフにするか(第2の取得モード)に依存する。2-νシフタ506のオンとオフの交互の切り替えは、原理を描写するための簡単で便利な方法である。それは文字どおりそのようなものであり得るが、より一般的な用語では、「シフタオフ」という用語は、ポイント[1]における光信号502が、いかなるスペクトルシフトまたは他の特別な変換もなく、OSA 512(ポイント[2])の入力に送信されることを意味する。この目的を達成するための適切ないかなる手段も使用することができ、2-νシフタ506の機能をオフにすることは、簡単な方法の1つである。例えば、いくつかの実施形態は、2-νシフタ506を完全に迂回させるための光スイッチを含み得、従って、
図4のように、ポイント[1]における信号をポイント[2]に直接送信する。その結果、OSA 512は、一般に第1の取得時間に相当する第1の取得モードで両側波帯信号508を受信し、一般に第2の取得時間に相当する第2の取得モードで変換なしの光信号502を受信する。従って、光信号502および両側波帯信号508は、互いに独立して検出し、スペクトル的に分解することができる。
【0279】
シフタオフ:2-νシフタ506をオフにするかまたは迂回する(第2の取得モード)際、取得時間ΔtにわたるP(t,f)の平均値は、光信号502の光パワースペクトルPsη(f)の測定値を構成する。この事例では、特別な処理は必要ない。すなわち、プロセッサ518は、検出された光信号502に相当するスペクトルデータ516を受信し、このスペクトルデータ516がPsη(f)を表すと単に識別するかまたは決定することができる。いくつかの実装形態では、Psη(f)は、プロセッサ518によって、取得数Kにわたって平均することができる。
【0280】
シフタオン:2-νシフタ506をオンにする(第1の取得モード)際、サンプリングされたビートノート514 P(t)のDFTのモジュラスの二乗は、
S(f)=|DFT[P(t)]|2 (21)
として演算することができる。
【0281】
一般に、S(f)は、
図5のグラフ[4]によって概略的に描写されるような比較的小さな広帯域背景にわたって3つの大きな狭いピークまたはトーンを呈し、実際、S
1/2(f)=|DFT[P(t)]|がプロットされている。相関項の測定値
【0282】
【0283】
は、f=±fbにおける大きな狭いピークの値によって得られ、P:2(f・)というDC項の測定値は、f=0における大きなピークの値によって得られる。数学用語では、これは、以下の通り表現することができる。
【0284】
【0285】
いくつかの実装形態では、上記の手順は、2-νシフタ506がオン(f・)またはオフ(f)の際に、fまたはf・の同じ値を保持しながら、K回行うことができる。例えば、2-νシフタ506がオンの際は、方程式(22)に従って得られた測定値
【0286】
【0287】
は、各反復k(k=0..(K-1))時にメモリに格納され、平均結果は、
【0288】
【0289】
として演算される。あるいは、平均化は、累積和を通じて実行することができ、すなわち、第1の値
【0290】
【0291】
が測定され、第1の和Σ(0)としてメモリに格納され、次いで、第2の値
【0292】
【0293】
が測定され、第2の和
【0294】
【0295】
を得るために第1の和に加えられ、次いで、第3の値
【0296】
【0297】
が測定され、第3の和
【0298】
【0299】
を得るために第2の和に加えられるなど、以下同様であり、各反復kにおける和が
【0300】
【0301】
として演算され、平均結果は、
【0302】
【0303】
として得られる。さらなる別の代替の形態は、単一の値
【0304】
【0305】
の代わりに全曲線Sk(f)を平均することであり、その手順は、単に
【0306】
【0307】
をSk(f)と置き換えるだけで、上記で説明されるものと同じである。次いで、方程式(22)に従って、平均したS(f)から
【0308】
【0309】
が演算される。この最後の代替の形態の利点は、付加雑音(エレクトロニクス)の最終的に無視できない背景を決定し、より優れた正確度で減じることができることである。いくつかの実施形態では、P:2もまた、上記の代替の形態のいずれかに相当し得る手順を使用して、
【0310】
【0311】
と共に平均することができ、2-νシフタ506がオフの際は、Psη(f)に対しても同様に行うことができる。
【0312】
ステップ0および方程式(7)に関する上記の論考のように、S(f)が演算される対象となるサンプリングされたビートノートの時間Δtは、B
eq・Δt≫1となるように選択することができる。上記で説明されるように平均化が実行されると、方程式(7)に挿入する予定の関連Δtは、総取得時間K・Δtというよりむしろ、個々の反復の取得時間になる。従って、他の実用的な理由でもない限り(例えば、以下の
図7Aおよび7Bの例示的な実施形態を参照)、個々の取得時間δtでK回の取得にわたって平均するというよりむしろ、取得時間Δt=K・δtで、単一の取得(反復k=0)を実行することが好ましい場合が多い。
【0313】
ここでは
図7Aおよび7Bを参照する。
図7Aは、光通信リンク704に沿って伝播する光信号702をスペクトル的に特徴付けるためのシステム700の別の例示的な実施形態の概略ブロック図である。
図7Bは、
図7Aの実施形態の動作原理および情報フローの概略表現である。
図7Aおよび7Bの実施形態は、
図4および5の実施形態といくつかの特徴を共有し、可能な違いや変形形態を強調する目的以外は、再び詳細に説明することはしない。しかし、偏光アナライザ728を含むという点で、それは主に異なり、偏光アナライザ728の目的および動作については以下で説明する。
【0314】
図4および5の実施形態を参照して上記で説明されるものなど、
【0315】
【0316】
の測定が厳密に実行された場合は、回帰の調整可能パラメータαが補償することを目標とする相対相関C
r(上記で論じられる
図3の方法300のステップ4を参照)は、光通信リンク704に沿ったPMDが特定の値PMD
sbより
も大きくなるいくつかの例では、非実用的に小さくなり得ることに留意されたい。PMD≧PMD
sbの際は、スペクトル相関関数
【0317】
【0318】
は、場合により、小さ過ぎて付加雑音で失われる場合がある。また、シンボル周波数fsbによって分離された2つのスペクトル成分(PMDの欠如では、同じ偏光状態を有し、相関性がある)は、相互に垂直に偏光されたものになり得、それらのスペクトル相関が消滅するかまたはあるPMDレベルを超えてかなり低減される。その上、2つのシンボルシーケンス間の同期にたまたま1/2Tsb=1/(2fsb)のオフセットが設けられるPMシステムの場合、PMDの欠如では、2つのパワーが等しければ、観察される相関項は完全に消滅する。すなわち、
【0319】
【0320】
および
【0321】
【0322】
の偏光状態を有する信号からそれぞれ生じる2つのビートノートは、位相がずれており、従って、それらの振幅が等しい場合は互いに相殺し合う。
図7Aおよび7Bにおける偏光アナライザ728の提供は、これらの潜在的な問題を排除するかまたは少なくとも低減することを目標とする。
【0323】
本実施形態では、偏光アナライザ728は、
図7Aおよび7Bの2-νスペクトルシフタ706の前に位置しているが、例えば、2-νスペクトルシフタ706の後など、原理上、スペクトル分解検出器ユニット712の上流のいかなるポイントにも位置することができる。偏光アナライザ728は、偏光スクランブラ730と、それに続く偏光子732とを含み得る。偏光スクランブラ730は、一般に周期的におよびランダムに、時間と共に光信号702の偏光状態を変更するように構成される。偏光状態のこの時間変動は、一般に、光信号702の帯域幅内の周波数から実質的に独立した方法で実行される。そのような事例では、偏光スクランブラ730は、光信号702の個々のスペクトル成分の相対的ではなく絶対的な偏光状態を変化させる。偏光子732は、偏光スクランブラ730によって生成された時間変動する偏光スクランブル済みの光信号の固定偏光成分を受信して通過させ、その固定偏光成分を渡すように構成される。偏光スクランブラ730と偏光子732の機能を組み合わせることにより、
図7Aおよび7Bの偏光アナライザ728は、光パワースペクトルP
sη(f)およびスペクトル相関関数
【0324】
【0325】
の決定や、光信号702の多数の偏光状態にわたるそれらの平均化や、PMDの潜在的な悪影響の制御または軽減を可能にする。
【0326】
偏光アナライザ728によって選択される時間変動偏光状態は、三次元正規化ストークスベクトル
【0327】
【0328】
によって表すことができ、ポアンカレ球として知られている単位球の表面上のポイントの位置と見なすことができる。いくつかの実装形態では、偏光スクランブラ730によって実行される偏光スクランブリングは、好ましくは均一に(例えば、均一ランダムスクランブリング)、測定期間にわたってその全表面をほぼカバーできるように、ベクトル
【0329】
【0330】
がポアンカレ球の表面上のいかなるポイントにも到達できるようなものであることが望ましいかまたは必要であり得る。しかし、多くの事例では、一般に、十分な
【0331】
【0332】
がポアンカレ球の8つの八分円の各々の少なくとも1つのポイントに到達できるため、均一性条件は容易に満たされることが分かっている。また、より具体的には、一般に、
【0333】
【0334】
のすべての可能な値を球上の単に1つまたは2つのポイントの周りに集中させることは避けた方が良い。
【0335】
いくつかの実施形態では、
【0336】
【0337】
のK回のランダム設定に相当するK回のランダムな偏光状態設定にわたって平均することによって有意な平均値を得るために偏光スクランブラ730の軸
【0338】
【0339】
をランダム化するため、取得時間Δt.Kで単一の取得を実行する代わりに、取得時間ΔtでK回の取得から平均化を実行することが好ましい場合が多く、その結果、
【0340】
【0341】
は、各反復間で変化する。このように、全測定時間を増加することなく、
【0342】
【0343】
の望ましいランダムスクランブリングを実行することができる。当然ながら、いくつかの実施形態は、本技法の範囲から逸脱することなく、異なる取得スキームを使用することができる。いくつかの実装形態では、Crの値の消滅を避けるために、
【0344】
【0345】
の異なる設定はたった少数で十分であることや、物理的解釈の目的のために、K=10で既に有意な平均値を得られることが分かっている。その上、いくつかの適用では、K=100の値が妥当なおよび適切なデフォルト値であり得ることも分かっている。
【0346】
ここで
図8を参照すると、本明細書で説明され、図に示されるシステムの実施形態において使用することができる2-νスペクトルシフタ806の例の構成の概略表現が提供されている。
図8では、2-νスペクトルシフタ806は、電気光学変調器によって、より具体的には、振幅変調器として設定される二重駆動Mach-Zehnder(DDMZ)電気光学干渉計によって具体化されている。市販のDDMZ電気光学変調器の非限定的な例は、Thorlabsによって製造されたLN05S-FC強度変調器である。いくつかの実施形態では、DDMZ振幅変調器の使用は、コストおよび複雑性を減少することができる。当然ながら、他の実施形態では、2-νスペクトルシフタは、他のタイプのMach-Zehnderもしくは電気光学変調器または他の適切なタイプもしくは変調器および光学デバイスによって具体化することができる。
【0347】
図8では、DDMZスペクトルシフタ806の入力834の光信号802は、DDMZスペクトルシフタ806の第1のアーム836aと第2のアーム836bとの間で均等に分割され、2つの側波帯画像信号810a、810bで構成される両側波帯信号808として出力838において再結合される。第1および第2のアーム836a、836bはそれぞれ、第1および第2の電極840a、840bへの電圧の印加を通じた位相シフトφ
1およびφ
2を誘発する。供給源によって第1および第2のRF入力842a、842bを介して第1および第2のアーム836a、836bに印加される電圧v
m(t)は、周波数f
mの正弦波変調電圧であり得る。変調周波数f
mは、f
m=1/2(f
sb+f
b)または1/2(f
sb-f
b)となるように、上記で論じられるシフトδ
⇔と同等である。バイアス入力844は、動作ポイント(すなわち、RF入力842a、842bが両方ともゼロである際の位相差(φ
2-φ
1))を微調整するために2つの電極840a、840bのうちの1つに印加される定電圧である。
図8では、RF入力が両方ともゼロである際に出力光波808の振幅がゼロであるように、動作ポイントは、(φ
2-φ
1)=πに設定されている。π位相シフトを含む電圧としてv
πを定義すると、変調電圧は、
Δφ=asin(ΔA)およびω
m=2πf
mで、v
m(t)=(Δφ/π)・v
πcos(ω
mt) (24)
として記載することができる。式中、ΔAは、振幅の変調深度である。この構成では、位相変動Δφ=π/2に相当する100%の変調深度(ΔA=1)を達成することができるが、出力光波808のフーリエ変換において、±f
mにおける2つの所望の画像810a、810bのみの代わりに、±3f
mにおける無視できない奇数次高調波が生成される。次いで、f
mにおける基本波の振幅c
1に対する第三高調波の振幅c
3は、r
3=c
3/c
1=0.122である。いくつかの事例では、説明されない場合は、スプリアス画像の相対振幅r
3のそのような値は、無視できない測定誤差をもたらし得る。いくつかの実施形態では、第三高調波の影響を克服するかまたは少なくとも軽減するために、2つの解決法、すなわち、a)変調深度ΔAを低減し、ひいては、r
3を相応に低減すること(マイナス面は、まるで入力光波のパワーがより小さいかのような等価総合パワー損失である)、および、b)上記で説明される非線形回帰分析において無視できない第三高調波(および必要な場合は他の高調波)を考慮することを組み合わせることができる。
【0348】
いくつかの実装形態では、問題の高調波|q|=2..q+の相対振幅rqが合理的によく知られているという条件で、そのようなスプリアス画像に対処することを構想することができる。方程式(15)の代わりに、最小化予定の差Δ(f・)のやや複雑な式を使用することができ、相関項へのスプリアス高調波の寄与
【0349】
【0350】
を考慮することになるが、分析全体は本質的に同じままである。完全を期すため、相関項へのスプリアス高調波の寄与は、
【0351】
【0352】
として記載することができる。
図9A~9Cでは、
図8のものなどのDDMZ電気光学変調器によって印加された変調電圧によって誘発された位相変動Δφの関数としてプロットされた、q=1(太い実線)、q=3(破線)およびq=5(細い実線)に対する振幅c
q(
図9A)および相対振幅r
q(
図9B、9C)のグラフが提供されている。
【0353】
図7Aに戻ると、いくつかの実装形態では、スペクトル分解検出器ユニット712は、光ヘテロダインOSAによって具体化することができる。光ヘテロダイン検出の根底にある一般原理は、当技術分野で知られており、本明細書では詳細にカバーする必要はないことに留意されたい。これに関しては、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,256,103B1号明細書および米国特許第6,515,276B2号明細書を参照すること。市販の光ヘテロダインOSAの非限定的な例は、Finisarによって製造されたWaveAnalyzer(商標)1500S光スペクトルアナライザである。
【0354】
示される実施形態では、光ヘテロダインOSA 712は、一般に、局部発振器(LO)源750、光カプラ752、ヘテロダイン受信機754および掃引コントローラ756を含み得る。LO源750(例えば、レーザ源)は、可変LO周波数νを有するLO信号758を生成し、それを光カプラ752(例えば、PMファイバ(PMF)カプラ)に送信する。第1の取得モード(スペクトルシフタ706はオン)では、光カプラ752は、LO信号758と両側波帯信号708とを組み合わせて第1の結合信号760にし、第2の取得モード(スペクトルシフタ706はオフ)では、光カプラ752は、LO信号758と光信号702とを組み合わせて第2の結合信号762にする。
【0355】
ヘテロダイン受信機754は、第1の取得モードで、第1の結合信号760を受信し、そこから第1の検出信号714を生成し、第2の取得モードで、第2の結合信号762を受信し、そこから第2の検出信号716を生成するように構成される。ヘテロダイン受信機754は、検出された光信号を電気信号に変換するための光検出器764のセット(例えば、平衡検出スキームにおける)と、電気信号を検出信号714、716として出力する前に電気信号をさらに処理するための電子回路766とを含み得る。例えば、電子回路766は、バンドパス電子フィルタ768と、それに続く二乗検波器またはパワー検出器770(ローパスフィルタ772を含む)とを含み得る。
【0356】
掃引コントローラ756は、第1の取得モードと第2の取得モードの両方において、対象のスペクトル範囲内のLO信号758の可変LO周波数νを掃引するために、LO源750に結合される。
【0357】
上記で説明されるように、検出信号714、716は、測定されたスペクトル相関関数
【0358】
【0359】
および光パワースペクトルPsη(f)を決定または識別し、そこからPsη(f)のデータ伝送信号パワースペクトル寄与Ps(f)を表す解を得るために、プロセッサ718に送信することができる。
【0360】
本実施形態では、その機能が入力信号(取得モードに応じて、光信号702または両側波帯信号708)をLO信号758と混合することであるヘテロダインOSA 712の光学セクションには、偏光ダイバーシティを提供する必要がないことに留意すべきである。この理由は、入力信号702、708の偏光(偏光アナライザ728の偏光子732によって決定される)が固定されており、知られているためである。従って、偏光アナライザ728とヘテロダインOSA 712の光カプラ752との間の光路がPMファイバからなる場合は、偏光アナライザ728の出力における入力信号702、708の既知の偏光状態は、一般に、光カプラ752の入力において保存されることになる。この特徴により、ヘテロダインOSA 712の光学セクションを簡素化することができる。
【0361】
また、その機能がスペクトルを表示することである走査OSAは、光検出器764の出力側に電子またはデジタルローパスフィルタ772を含み、その帯域幅は、典型的には、ほんの数十kHzであるか、または、低速もしくは低分解能走査が受け入れ可能である場合はそれよりはるかに低いことにも留意すべきである。本実施形態では、第1の取得モードで二乗検波器またはパワー検出器770の出力として観察されるものは、ビートノート振幅関数であり、そこから、スペクトル相関関数
【0362】
【0363】
が決定される。従って、このローパスフィルタ772の遮断周波数fcは、好ましくは、選択されたビート周波数fbより高く、ビート周波数fbは、以前に言及されるように、約1MHz(例えば、数百kHz~2MHzの範囲)であると予期することができる。
【0364】
ここで
図10を参照すると、光通信リンク1004に沿って伝播する光信号1002をスペクトル的に特徴付けるためのシステム1000の別の例示的な実施形態の概略ブロック図が示されている。
図7Aおよび7Bの実施形態に関し、
図10の実施形態のスペクトル分解検出器ユニット1012はヘテロダインOSAであるが、主に、第1の取得モードにおいて、両側波帯LO信号1076に変換されるのは、光信号1002の代わりにLO信号1058であるという点で異なる。この実施形態に関するさらなる詳細は、以下で提供する。
【0365】
図10のヘテロダインOSA 1012は、可変LO周波数νを有するLO信号1058を生成するLO源1050(例えば、レーザ源)、LOスペクトルシフタ1078、光カプラ1052、ヘテロダイン受信機1054および掃引コントローラ1056を含む。LOスペクトルシフタ1078は、第1の取得モードで、LO信号1058から両側波帯LO信号1076を生成するように構成され、両側波帯LO信号は、シンボル周波数f
sbにビートノート周波数f
bを加えたものまたはシンボル周波数f
sbからビートノート周波数f
bを減じたものに等しいスペクトルシフトによって互いにスペクトル的に分離された第1のLO画像信号および第2のLO画像信号を含む。上記で言及されるように、ビートノート周波数f
bは、シンボル周波数f
sbより低い。上記で説明されるスペクトルシフタに関し、LOスペクトルシフタ1078は、例えば、DDMZ振幅変調器によって具体化することができる。また、適用に応じて、第2の取得モードでは、LOスペクトルシフタ1078は、LO信号1058を迂回させるか(例えば、光スイッチ1046を介して)、または、LO信号1058が通過する間、そのスペクトルシフト能力をオフにすることができる。
【0366】
光カプラ1052は、第1の取得モード(LOスペクトルシフタ1078はオン)では、両側波帯LO信号1076と光信号1002とを組み合わせて第1の結合信号1060にし、第2の取得モード(LOスペクトルシフタ1078はオフ)では、LO信号1058と光信号1002とを組み合わせて第2の結合信号1062にするように構成される。
図7Aのように、光カプラは、PMFカプラであり得る。ヘテロダイン受信機1054は、第1の取得モードで、第1の結合信号1060を受信し、そこから第1の検出信号1014を生成し、第2の取得モードで、第2の結合信号1062を受信し、そこから第2の検出信号1016を生成するように構成される。ヘテロダイン受信機1054の構成は、
図7Aのものに相当し、再び説明することはしない。掃引コントローラ1056は、第1の取得モードと第2の取得モードの両方において、対象のスペクトル範囲内のLO信号1058の可変LO周波数νを掃引するために、LO源1050に結合される。
【0367】
上記で説明されるように、検出信号1014、1016は、測定されたスペクトル相関関数
【0368】
【0369】
および光パワースペクトルPsη(f)を決定または識別し、そこからPsη(f)のデータ伝送信号パワースペクトル寄与Ps(f)を表す解を得るために、プロセッサ1018に送信することができる。
【0370】
図7Aの実施形態と比べると、
図10の偏光子アナライザ1028は、OSAヘテロダイン1012の中に組み込まれており、それにより、偏光子アナライザ1028と光カプラ1052との間の光路の長さを低減できるということに留意されたい。
図11に示される変形形態では、光カプラ1152はPMFカプラではなく、偏光スクランブラ1130の後に偏光子は提供されない。
図11のオプションとして、両側波帯LO信号1176の偏光状態が、LO源1150の出力におけるその実際の偏光状態およびLOスペクトルシフタ1178によって誘発される偏光状態変換(存在する場合)にかかわらず、安定したままであり、知られていることを保証するかまたはその保証に役立てるために、LOスペクトルシフタ1178と光カプラ1152との間に偏光子1132を挿入することができる。
【0371】
いくつかの実装形態では、両側波帯スペクトルシフトを光信号というよりむしろLO信号に適用することにより、いくつかの利点を得ることができる。第1に、原理上、チャネルλセレクタの使用を回避することができ、結果的に、チャネルごとに順番に生データを取得する必要がないため、fおよびf・の走査は、1つの取得においてすべてのチャネルを包含することができる。第2に、
図8のものなどのMach-Zehnder変調器が使用される場合は、LOスペクトルシフタの出力を使用して、フィードバックループを通じて動作ポイントを能動的にロックすることができる。より一般的な用語では、両側波帯スペクトルシフトをLO信号に適用することにより、例えば、望ましくない高調波の低減と安定化の両方を行うために、LOスペクトルシフタの任意の調整可能パラメータを能動的に設定することによって、高調波の制御を達成することができる。
【0372】
図10などの実施形態では、両側波帯LO信号1076はアクセス可能であるため、少なくとも原理上は、フィードバックループを通じてLOスペクトルシフタ1078の動作パラメータを能動的にロックすることが可能であり得る。上記で言及されるように、両側波帯LO信号1076は、第1の取得モードにおいて、ヘテロダイン検出技法においてテスト中の信号と混合するLO信号である。従って、観察されたスペクトルに基づいて、望ましくない高調波の低減と安定化の両方を行うために、動作パラメータを能動的に調整することができる。一般概念は
図12に示されており、
図12は、両側波帯LO信号1276の一部分1280が抽出され、高調波制御ユニット1282に送信され、それにより、フィードバックループ1284を通じてLOスペクトルシフタ1278の動作を次々と動的に調整できることを示す。LOスペクトルシフタ1278の具体的な実装形態に応じて、高調波制御ユニット1282の実際の動作パラメータならびに高調波の性質および数(どの程度までにするか)を制御できることが理解されよう。
【0373】
ここで
図13を参照すると、高調波制御能力を含むシステム1300の実施形態の例が示されている。この実施形態では、LOスペクトルシフタ1378は、DDMZ変調器によって具体化される。
図8に関連する説明において言及されるように、両側波帯LO信号1376のスペクトルにおける奇数次高調波の存在は、そのような実装形態では回避することは難しい可能性がある。しかし、対照的に、上記で論じられるように、DDMZ LOスペクトルシフタ1378の動作パラメータが適切に設定されている場合は、偶数次高調波(q=0、2、…)を抑制するかまたは少なくとも著しく低減することができる。いくつかの実装形態では、これらの動作パラメータは、(i)干渉計の入力分割および出力結合の混合率、(ii)振幅比、(iii)第1および第2のRF入力1342a、1342b(RF
1およびRF
2)に印加された正弦波電圧の位相差、ならびに、(iv)バイアス入力1344におけるバイアス電圧である。次いで、以下の条件が満たされる場合は、偶数次高調波は抑制されるかまたは少なくとも十分な程度まで減衰される。
【0374】
1.DDMZ LOスペクトルシフタ1378の出力1338において結合される2つの光波(第1のアームから来る第1の光波および第2のアームから来る第2の光波)が同じ振幅を有する。(アームは
図13には示されていない。例えば、
図8を参照)。
【0375】
2.第1および第2のアームによって誘発された正弦波位相変調が等しい位相変動を有する。この条件は、第1および第2のRF入力1342a、1342bに印加された正弦波電圧のパワー比を調整することによって設定することができる。
【0376】
3.第1および第2のアームによって誘発された正弦波位相変調の位相がずれている(すなわち、位相差=π)。この条件は、第1および第2のRF入力1342a、1342bに印加された正弦波電圧間の位相差を調整することによって設定することができる。
【0377】
4.RF入力1342a、1342bが両方ともゼロである際に、第1および第2のアームによって誘発された位相シフト間の差(φ2-φ1)が(φ2-φ1)=πであるように、バイアス入力1344におけるバイアス電圧が設定される(この状況では、出力光波の振幅はゼロであるため)。
【0378】
いくつかの実装形態では、DDMZ LOスペクトルシフタ1378の慎重な製造から条件1が満たされているという想定の下では、残りの条件は、2-νシフトされた光波のスペクトルの高調波q=2のパワーに基づいて、条件2~4で言及されているパラメータを微設定することによって満たすことができる。
【0379】
依然として
図13を参照し、高調波制御ユニット1382の可能な実装形態の例を説明する。f=q・f
mを中心とするバンドパスフィルタ1386は、高調波qを選択し、そのパワーP
qは、パワー検出器1388によって測定される。q=2を用いると、パワー検出器1388に接続される処理ユニット1390は、P
qに対する指定条件を最小化するかまたは別の方法で最適化する値のセットが見つかるまで、セットv
hc=(v
bias v
δφ v
att)のパラメータv
bias、v
δφ、v
attの値を検索するように構成され、v
biasは、バイアス電圧であり、v
δφおよびv
attはそれぞれ、DDMZ LOスペクトルシフタ1378と関連付けられたRF位相シフタ1392(δφ)および減衰器1394(Att)の制御電圧である。適用に応じて、この最適化手順は、最適化手順の時間的安定性に応じて、製造の間、または、システム1300の動作段階の間に時折もしくは定期的に(例えば、機器の電源を入れるたびにもしくは毎回測定前に)実行することができる。
【0380】
いくつかの実装形態では、2-νシフトされたレーザ光波のスペクトルにおける望ましくない高調波は、可変2-ν光フィルタを使用してそれらをフィルタ除去することによって抑制するかまたは少なくとも著しく低減することができ、可変2-ν光フィルタは、ν
±=(ν±f
m)を中心とする2つの狭い(すなわち、≪f
m)パスバンドを有する可変光フィルタであり得、νは、可変レーザの光周波数である。
図14を参照すると、そのような実装形態の例が描写されており、可変2-ν光フィルタ1496は、両側波帯LO信号1476を受信し、テスト中の光信号1402と混合する前に両側波帯LO信号1476から望ましくない高調波をフィルタ除去する。動作の際、可変2-ν光フィルタ1496の2つのパスバンド周波数ν
±=(ν±f
m)は、スペクトル走査のために可変LO源1450の光周波数νを変更するにつれてその光周波数νに従うように継続的に変化させるか、または、何らかの方法でロックすることができる。いくつかの実装形態では、能動的なロックを実行することができ、その事例では、
図14で描写されるように、LO信号1458のサンプル1498(すなわち、LOスペクトルシフタ1478の前)を2-ν可変光フィルタ1496の制御ボックスに提供する上で役立てることができる。
【0381】
別の態様によれば、コンピュータ可読命令が格納された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ可読命令が、プロセッサによって実行されると、本明細書で開示されるものなどの光通信リンクに沿って伝播する光信号をスペクトル的に特徴付けるための方法をプロセッサに実行させる、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0382】
本説明では、「コンピュータ可読記憶媒体」および「コンピュータ可読メモリ」という用語は、本明細書で開示される方法の様々なステップの実装に対する実行可能命令の格納および伝達が可能な非一時的な有形のコンピュータ製品を指すことを意図する。コンピュータ可読メモリは、いかなるコンピュータデータ記憶装置またはそのようなデバイスのアセンブリでもあり得、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM、読み取り専用メモリ(ROM)、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フロッピーディスク、磁気テープなど)、光学記憶装置(コンパクトディスク(CDもしくはCDROM)、デジタルビデオディスク(DVD)、Blu-Ray(商標)ディスクなど)、フラッシュドライブメモリおよび/または他の非一時的なメモリ技術を含む。当業者によって理解できるように、多数のそのような記憶装置を提供することができる。コンピュータ可読メモリは、コンピュータ可読メモリに格納され且つコンピュータと関連付けられた様々な機能に関連するコンピュータプログラムに含まれる命令を実行するように構成されたコンピュータもしくはプロセッサと関連付けること、コンピュータもしくはプロセッサに結合すること、または、コンピュータもしくはプロセッサに含めることができる。
【0383】
いくつかの実装形態では、コンピュータ可読記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムは、次のステップ、すなわち、データ伝送信号帯域幅内のスペクトル範囲にわたる光信号の測定された光パワースペクトルを受信するステップであって、測定された光パワースペクトルが、光信号のデータ伝送信号寄与と関連付けられたデータ伝送信号パワースペクトル寄与と、光信号の雑音寄与と関連付けられた雑音パワースペクトル寄与とを含む、ステップと、光信号の複数対のスペクトル成分のセットに対する測定されたスペクトル相関関数を受信するステップであって、各対のスペクトル成分が、シンボル周波数によって互いにスペクトル的に分離され、複数対のセットが、スペクトル範囲内の中心周波数範囲にわたる中心周波数の対応するセットのそれぞれを中心とし、測定されたスペクトル相関関数が、各対のスペクトル成分間の相関強度を中心周波数範囲にわたるその対の中心周波数に関連させる、ステップと、データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解においてシンボル周波数によってスペクトル的に分離された複数対のスペクトル成分に対して計算されたスペクトル相関関数が測定されたスペクトル相関関数と整合するように、光信号の測定された光パワースペクトルに基づいてデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップとを実行するようにプロセッサに指示することができる。
【0384】
いくつかの実装形態では、データ伝送信号パワースペクトル寄与を得るステップは、雑音パワースペクトル寄与を表す解を決定するステップと、雑音パワースペクトル寄与を表す解および測定された光パワースペクトルからデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を導出するステップとを含み得る。
【0385】
いくつかの実装形態では、データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を得るステップは、測定された光パワースペクトルおよび測定されたスペクトル相関関数を関連させる非線形回帰モデルを提供するステップと、非線形回帰モデルを使用して、データ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解を決定するステップとを含み得る。いくつかの実装形態では、非線形回帰モデルは、雑音パワースペクトル寄与の正規化モデルを表すモデル関数、データ伝送信号パワースペクトル寄与に対する雑音パワースペクトル寄与の相対振幅を表す雑音対信号比パラメータ、ならびに、光信号の色分散および/または偏光モード分散を示す情報を伝達する分散パラメータなどの調整可能パラメータのセットを含み得る。
【0386】
いくつかの実装形態には、方法は、測定された光パワースペクトルおよびデータ伝送信号パワースペクトル寄与を表す解に基づいて光信号対雑音比(OSNR)を決定するステップをさらに含み得る。
【0387】
本明細書で説明される方法およびシステムは、保守、モニタリングおよび/またはトラブルシューティングにおける適用を見出すことができることが理解されよう。
【0388】
上記の説明はポータブルテスト機器(ポータブルOSAなど)を参照しているが、本明細書で説明されるいくつかの信号特徴付け方法は、固定(ポータブルとは対照的に)テスト機器を採用するモニタリングにおける適用に対して使用できることも言及すべきである。
【0389】
周波数の関数として本明細書で提供されるすべての方程式は、波長、波数または同様のものの関数として表現されるように適応させることができることに留意すべきである。それに従って、本明細書で与えられるすべての方程式は、波長または波数の関数としてそれらの均等物を見出すように容易に適応させることができる。
【0390】
上記で説明される方法は、特有の信号搬送波波長を有する光信号の特徴付けに限定されないことを理解すべきである。テスト中の光信号は、例えば、光信号帯域幅の少なくとも一部分にわたってテスト中のそのような光信号の信号部分の変動がASE雑音変動よりかなり大きいという条件で、デュアル搬送波PM-16-QAM(現在は400G伝送のために配備されている)などのナイキスト波長分割多重化(N-WDM)(科学文献では「スーパーチャネル」とも呼ばれる)または全光直交周波数分割多重化(OFDM)を使用して多重化された多数のデータ伝送信号寄与を含み得る。
【0391】
当然ながら、上記で説明される実施形態には、添付の請求項の範囲から逸脱することなく、多くの変更を行うことができる。