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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】キナーゼを調節する化合物の製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/444 20060101AFI20221104BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A61K31/444
A61K9/16
A61K9/48
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/32
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020502185
(86)(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 US2018043433
(87)【国際公開番号】W WO2019023198
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】62/536,574
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505324881
【氏名又は名称】プレキシコン インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】PLEXXIKON INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】プラブハ・エヌ・イブラヒム
(72)【発明者】
【氏名】ハミド・レザエイ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・コナード・バイザー
(72)【発明者】
【氏名】加茂 倫有
(72)【発明者】
【氏名】山小瀬 浩
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/179415(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/188816(WO,A1)
【文献】特表2018-515490(JP,A)
【文献】国際公開第2013/065068(WO,A1)
【文献】特表2015-526509(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0022604(US,A1)
【文献】特表2010-510321(JP,A)
【文献】特表2014-516035(JP,A)
【文献】特表2015-510944(JP,A)
【文献】ポロクサマー (Poloxamer),改訂 医薬品添加物ハンドブック,2007年02月28日,p.910-914
【文献】D-マンニトール,医薬品添加物事典 2007,2007年07月25日,p.286
【文献】クロスポビドン,医薬品添加物事典 2007,2007年07月25日,p.93
【文献】ステアリン酸マグネシウム,医薬品添加物事典 2007,2007年07月25日,p.153
【文献】Structure-Guided Blockade of CSF1R Kinase in Tenosynovial Giant-Cell Tumor,The New England Journal of Medicine,2015年,Vol.373, No.5,p.428-437
【文献】Inhibition of CSF-1 receptor improves the antitumor efficacy of adoptive cell transfer immunotherapy,Cancer Research,2014年,Vol.74, No.1,p.153-161
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/444
A61K 9/16
A61K 9/48
A61K 47/10
A61K 47/12
A61K 47/26
A61K 47/32
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
40%~60%W/Wの以下の構造を有する化合物I
【化1】
化合物I
であって、Cu-Kα放射を使用する回折計で、7.3、23.3、及び28.2°2θでのピーク(±0.2°)を含むX線粉末回折図を特徴とする塩酸塩の結晶形態の化合物I;20%~35%W/Wのポロキサマー;10%~22%W/Wのマンニトール;1%~5%W/Wのクロスポビドン;及び0.5%~3%W/Wのステアリン酸マグネシウムを含む、薬学的組成物。
【請求項2】
ポロキサマーがポロキサマー407である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
化合物Iが45%~55%W/Wの範囲であり、ポロキサマー407が24%~32%W/Wの範囲であり、マンニトールが14%~20%W/Wの範囲であり、クロスポビドンが2%~4%W/Wの範囲であり、及びステアリン酸マグネシウムが1.0%~2.5%W/Wの範囲である、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
化合物Iが48%~53%W/Wの範囲であり、ポロキサマー407が26%~29%W/Wの範囲であり、マンニトールが15%~18%W/Wの範囲であり、クロスポビドンが2.5%~3.5%W/Wの範囲であり、及びステアリン酸マグネシウムが1.2%~1.8%W/Wの範囲である、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
51.2%W/Wの化合物I、27.6%W/Wのポロキサマー407、16.8%W/Wのマンニトール、3%W/Wのクロスポビドン、及び1.5%W/Wのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が経口投薬に好適なカプセル形態である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
カプセルが硬質ゼラチン又はヒプロメロースを含む、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
カプセルがヒプロメロースを含む、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の塩酸塩の結晶形態の化合物I及びポロキサマーを、対流ミキサー内で混合することを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の薬学的組成物を製造するための方法。
【請求項10】
対流ミキサーが垂直式高強度ミキサーである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
(1)請求項1に記載の塩酸塩の結晶形態の化合物I及びポロキサマーを混合し、混合物を得て、
(2)(1)で得られた混合物をローラー圧縮することにより、ローラー圧縮リボンを得て、
(3)(2)で得られたローラー圧縮リボンを粉砕することにより、顆粒を得て、
(4)(3)で得られた顆粒、マンニトール、及びクロスポビドンを混合し、並びに
(5)(4)で得られた混合物及びステアリン酸マグネシウムを混合することにより最終混合物を得ること
を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項12】
(1)の混合で対流ミキサーが用いられ、(2)のローラー圧縮で乾式造粒機が用いられてローラー圧縮リボンが提供され、(3)の粉砕でスクリーニングミル又はカッティングミルが用いられ、(4)の混合で拡散ミキサーが用いられ、及び(5)の混合で拡散ミキサーが用いられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
c-fms、c-kit、Flt3、若しくはそれらの組み合わせから選択されるタンパク質キナーゼ、及び/又はマクロファージ若しくはミクログリアを介する疾患又は病態の治療における使用のための請求項1~のいずれか1項に記載の組成物であって、疾患又は病態が骨粗鬆症、神経線維腫症、アルツハイマー病、てんかん、外傷性脳損傷、タウオパチー、非小細胞肺癌、前眼部疾患、後眼部疾患、リソソーム蓄積症、多発性硬化症、複合局所疼痛症候群、神経炎症、神経炎症性障害、HIV、ビンスワンガー型認知症、レビー小体型認知症、脳性麻痺、進行性核上性麻痺、緑内障、血管性認知症、多発梗塞性認知症、前頭側頭型認知症、仮性認知症、膀胱癌、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、乳癌、胆管細胞癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、神経膠腫、神経膠芽腫、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、白血病、肺癌、黒色腫、中皮腫、膵臓癌、腎臓癌、単球性白血病、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、叢状神経線維腫、唾液腺腫瘍、唾液腺の粘表皮癌、唾液腺の腺房細胞癌、消化管間質腫瘍(GIST)、巨細胞腫(GCT)、骨のGCT、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)、腱滑膜巨細胞腫(TGCT)、腱鞘のTGCT(TGCT-TS)、統合失調症、緊張病、慢性外傷性脳症、心臓炎症、網膜色素変性、脳石灰化症、及びFms、CSF1R、CSF1、若しくはIL-34、又は上記のいずれかの活性化変異若しくは転座を異常又は別様に発現する疾患若しくは病態から選択される、組成物。
【請求項14】
PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、IDO阻害剤、モノクローナル抗体、又はFLT3キナーゼ阻害剤と併用される、請求項13に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
疾患又は病態が腱滑膜巨細胞腫である、請求項13に記載の使用のための組成物。
【請求項16】
疾患又は病態がアルツハイマー病である、請求項13に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法119(e)条の下、2017年7月25日出願の米国仮特許出願第62/536,574号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
疾患の治療に有用な生物学的に活性な化合物の新たな組成物、及びそのような組成物の製造方法が開示される。
【背景技術】
【0003】
CSF1R阻害剤は、CSF1R(マクロファージコロニー刺激因子の受容体)を標的とする低分子受容体チロシンキナーゼ阻害剤である。本開示の化合物Iは、CSF1R、c-Kit、及びFLT3を阻害することが知られている。
【0004】
c-Kit及び/若しくはc-Fmsを介する疾患若しくは病態に罹患しているか、又はそのリスクがある対象の効果的な治療に対する必要性が存在する。そのような疾患及び病態の治療に好適な化合物には、米国特許第7,893,075号、米国公開第2014/0037617号、及び米国公開第2013/0274259号に開示されている本開示の化合物Iが含まれ、それら全ての開示の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、化合物Iの効果的な製剤は、ここで挙げられた刊行物には、特定の製剤としては記載されていなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の組成物は、CSF1R、c-Kit、及び/又はFLT3によって調節される疾患及び病態を治療するために、対象者へ経口投与することができる。特定の実施態様では、本開示の組成物は、改善された溶解プロファイルを有する。
【0006】
本開示は、以下の構造を有する化合物I
【化1】
化合物I、
又はその薬学的に許容される塩と、可溶化剤とを含む組成物に関する。
【0007】
本開示の組成物は、本開示に記載の化合物Iの結晶形Cを含む、化合物Iの結晶形の組成物を含む。
【0008】
別の実施態様では、本開示の組成物は、1つ以上の賦形剤と、崩壊剤と、滑沢剤とをさらに含む。
【0009】
本開示はまた、組成物の溶解プロファイルをさらに改善する、本開示の組成物を製造する方法にも関する。
【0010】
本開示はまた、本開示の方法によって製造される組成物にも関する。
【0011】
本開示はまた、CSF1R、c-Kit、及び/又はFLT3を介する疾患又は病態の対象者を治療する方法にも関し、この方法は、本開示の組成物のいずれかを対象者に投与することを含む。
【0012】
更なる態様及び実施態様は、以下の発明を実施するための態様及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】化合物I結晶形Cの粉末X線回折パターンである。
図2】化合物I結晶形Cの示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
図3】化合物I結晶形Cの熱重量分析(TGA)である。
図4】化合物I結晶形Cの動的水蒸気吸着(DVS)曲線である。
図5】AB製剤の5つのバッチ(AB-1、「AB-2」、「AB-3」、「AB-4」、及び「AB-5」)、並びにAD製剤の3つのバッチ(「AD-1」、「AD-2」、及び「AD-3」)の溶出プロファイル(in vitro)の比較である。
図6】200mgAE製剤の2つのバッチ(菱形は「AE-1」を表し、正方形は「AE-2」を表す)、並びにAF製剤(三角形は「AF」を表す)の溶出比較である。
図7】方法1によって製造される表12のAF製剤A、B、及びCの溶出プロファイルを示す。
図8】方法2によって製造される表13のAF製剤E、F、及びGの溶出プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、化合物I(その薬学的に許容される塩を含む)を含む組成物を提供する。化合物Iは、以下の構造を有する。
【化2】
化合物I
【0015】
化合物Iはまた、5-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イルメチル)-アミン、PLX3397、又はペキシダルチニブとも称される。本開示は、化合物Iの薬学的に許容される塩の結晶形を含む、化合物Iの結晶形を含む組成物をさらに提供する。本開示は、化合物Iの塩酸塩の結晶形を含む組成物をさらに提供する。本開示は、化合物Iの結晶形Cを含む組成物をさらに提供する。
【0016】
他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩と、可溶化剤とを含む。いくつかの実施態様では、化合物Iは、化合物Iの塩酸塩である。いくつかの実施態様では、化合物Iの塩酸塩は、結晶である。いくつかの実施態様では、化合物Iの塩酸塩の結晶は、結晶形Cである。
【0017】
他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩と、可溶化剤とを含む。
【0018】
他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩の結晶形と、可溶化剤とを含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの結晶形Cと、可溶化剤とを含む。
【0019】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約50%から約75%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、約25%から約50%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0020】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約50%から約75%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩と、約25%から約50%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0021】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約50%から約75%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩の結晶形と、約25%から約50%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0022】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約50%から約75%W/Wの範囲の化合物Iの結晶形Cと、約25%から約50%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0023】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約60%から約70%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、約30%から約40%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0024】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約60%から約70%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩と、約30%から約40%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0025】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約60%から約70%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩の結晶形と、約30%から約40%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0026】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約60%から約70%W/Wの範囲の化合物Iの結晶形Cと、約30%から約40%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0027】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約63%から約67%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、約33%から約37%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0028】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約63%から約67%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩と、約33%から約37%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0029】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約63%から約67%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩の結晶形と、約33%から約37%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0030】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約63%から約67%W/Wの範囲の化合物Iの結晶形Cと、約33%から約37%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0031】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約65%W/Wの化合物I又はその薬学的に許容される塩と、約35%W/Wの可溶化剤とを含む。
【0032】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約65%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩と、約35%W/Wの範囲の可溶化剤とを含む。
【0033】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約65%W/Wの化合物Iの塩酸塩の結晶形と、約35%W/Wの可溶化剤とを含む。
【0034】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約65%W/Wの化合物Iの結晶形Cと、約35%W/Wの可溶化剤とを含む。
【0035】
本開示の組成物において、化合物Iの結晶形C(「化合物I結晶形C」又は「結晶形C」とも称される)は、Cu-Kα放射を使用する回折計において測定される際、7.3、23.3、及び28.2°2θのピーク(±0.2°)を含む粉末X線回折図を特徴とする。別の実施態様では、本開示の組成物において、化合物I結晶形Cは、16.6及び20.9°2θ±0.2°のピークをさらに含む。
【0036】
他の実施態様では、本開示の組成物において、化合物I結晶形Cは、
i)実質的に図1に示されるような回折図、
ii)約234℃での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
iii)実質的に図2に示されるようなDSCサーモグラム、
iv)実質的に図3に示されるようなサーモグラムを含む熱重量分析(TGA)、又は
v)実質的に図4に示されるような動的水蒸気吸着(DVS)曲線を特徴とする。
【0037】
化合物I結晶形Cは、WO2016/179415に記載されており、その内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
本開示の組成物中で使用することができる可溶化剤の非限定的な例には、ポロキサマーが含まれる。ポロキサマーは、様々なグレードで入手可能である。入手可能なグレードの例には、ポロキサマー(68、88、98、108、124、188、237、338、及び407)が含まれる。ポロキサマーは、市販されている。いくつかの実施態様では、可溶化剤は、ポロキサマーである。いくつかの実施態様では、ポロキサマーは、ポロキサマー407である。
【0039】
本開示の他の実施態様では、本明細書に開示される組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩と、ポロキサマー407とを含む。本開示の他の実施態様では、本明細書に開示される組成物は、化合物Iの塩酸塩と、ポロキサマー407とを含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩の結晶形と、ポロキサマー407とを含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの結晶形Cと、ポロキサマー407とを含む。ポロキサマー407は、市販されている。
【0040】
他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩を含み、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、結晶形Cであり、結晶形Cは、60%から約70%W/Wの範囲であり、可溶化剤は、ポロキサマー407であり、ポロキサマー407は、約30%から約40%W/Wの範囲である。
【0041】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約50%から約75%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、約25%から約50%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0042】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約50%から約75%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩と、約25%から約50%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0043】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約50%から約75%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩の結晶形と、約25%から約50%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0044】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約50%から約75%W/Wの範囲の化合物Iの結晶形Cと、約30%から約40%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0045】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約60%から約70%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、約30%から約40%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0046】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約60%から約70%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩と、約30%から約40%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0047】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約60%から約70%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩の結晶形と、約30%から約40%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0048】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約60%から約70%W/Wの範囲の化合物Iの結晶形Cと、約30%から約40%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0049】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約63%から約67%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、約33%から約37%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0050】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約63%から約67%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩と、約33%から約37%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0051】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約63%から約67%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩の結晶形と、約33%から約37%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0052】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約63%から約67%W/Wの範囲の化合物Iの結晶形Cと、約33%から約37%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0053】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約65%W/Wの化合物I又はその薬学的に許容される塩と、約35%W/Wのポロキサマー407とを含む。
【0054】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約65%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩と、約35%W/Wの範囲のポロキサマー407とを含む。
【0055】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約65%W/Wの化合物Iの塩酸塩の結晶形と、約35%W/Wのポロキサマー407とを含む。
【0056】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約65%W/Wの化合物Iの結晶形Cと、約35%W/Wのポロキサマー407とを含む。
【0057】
他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩と、可溶化剤、賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩、可溶化剤、賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩の結晶形、可溶化剤、賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの結晶形C、可溶化剤、賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。
【0058】
他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、可溶化剤、1つ以上の賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩、可溶化剤、1つ以上の賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩の結晶形、可溶化剤、1つ以上の賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの結晶形C、可溶化剤、1つ以上の賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。
【0059】
他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、可溶化剤、2つの賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩、可溶化剤、2つの賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩の結晶形、可溶化剤、2つの賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの結晶形C、可溶化剤、2つの賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む。
【0060】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約40%から約60%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩、約20%から約35%W/Wの範囲の可溶化剤、約10%から約22%W/Wの範囲の賦形剤、約1%から約5%W/Wの範囲の崩壊剤、及び約0.5%から約3%W/Wの範囲の滑沢剤を含む。
【0061】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約45%から約55%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩、約24%から約32%W/Wの範囲の可溶化剤、約14%から約20%W/Wの範囲の賦形剤、約2%から約4%W/Wの範囲の崩壊剤、及び約1.0%から約2.5%W/Wの範囲の滑沢剤を含む。
【0062】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約48%から約53%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩、約26%から約29%W/Wの範囲の可溶化剤、約15%から約18%W/Wの範囲の賦形剤、約2.5%から約3.5%W/Wの範囲の崩壊剤、及び約1.2%から約1.8%W/Wの範囲の滑沢剤を含む。
【0063】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約51.2%W/Wの化合物I又はその薬学的に許容される塩、約27.6%W/Wの可溶化剤、16.8%W/Wの賦形剤、3.0%W/Wの崩壊剤、及び1.5%W/Wの滑沢剤を含む。
【0064】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約40%から約60%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩、約20%から約35%W/Wの範囲の可溶化剤、約10%から約22%W/Wの範囲の賦形剤、約1%から約5%W/Wの範囲の崩壊剤、及び約0.5%から約3%W/Wの範囲の滑沢剤を含む。
【0065】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約45%から約55%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩の結晶形、約24%から約32%W/Wの範囲の可溶化剤、約14%から約20%W/Wの範囲の賦形剤、約2%から約4%W/Wの範囲の崩壊剤、及び約1.0%から約2.5%W/Wの範囲の滑沢剤を含む。
【0066】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約48%から約53%W/Wの範囲の化合物Iの結晶形C、約26%から約29%W/Wの範囲の可溶化剤、約15%から約18%W/Wの範囲の賦形剤、約2.5%から約3.5%W/Wの範囲の崩壊剤、及び約1.2%から約1.8%W/Wの範囲の滑沢剤を含む。
【0067】
本開示の組成物中で使用することができる賦形剤の非限定的な例には、微結晶セルロース、マンニトール、ソルビトール、マルトデキストリン、マルトース、デキストリン、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、二塩基性リン酸カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、及び三塩基性リン酸カルシウムなど、又はそれらの混合物が含まれる。特定の実施態様では、本開示の組成物は、賦形剤として微結晶セルロース及びマンニトールの両方を含有する。他の実施態様では、本開示の組成物は、賦形剤としてマンニトールを含有する。前述の全ての賦形剤は、市販されている。
【0068】
本開示の組成物中で使用することができる崩壊剤の非限定的な例には、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及びクロスポビドンなど、又はそれらの混合物が含まれる。他の実施態様では、本開示の組成物は、崩壊剤としてクロスポビドンを含有する。本開示の他の実施態様では、クロスポビドンは、Polyplasdone(登録商標)Ultra若しくはPolyplasdone(登録商標)Ultra-10、Polyplasdone(登録商標)XL、又はPolyplasdone(登録商標)XL-10である。本開示の他の実施態様では、クロスポビドンは、Polyplasdone(登録商標)Ultra又はPolyplasdone(登録商標)Ultra-10である。前述の全ての崩壊剤は、市販されている。
【0069】
本開示の組成物中で使用することができる滑沢剤の非限定的な例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、カルナウバロウ、硬化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、及びフマル酸ステアリルナトリウムなど、又はそれらの混合物が含まれる。一つの態様では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム又はフマル酸ステアリルナトリウムである。他の実施態様では、本開示の組成物は、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを含有する。前述の全ての滑沢剤は、市販されている。
【0070】
特定の賦形剤が、希釈剤、充填剤、又は崩壊剤として作用し得ることが理解されるであろう。
【0071】
いくつかの実施態様では、可溶化剤はポロキサマー、賦形剤はマンニトール、崩壊剤はクロスポビドン、及び滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。いくつかの実施態様では、可溶化剤はポロキサマー407、賦形剤はマンニトール、崩壊剤はクロスポビドン、及び滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0072】
他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、ポロキサマー407、微結晶セルロース、マンニトール、クロスポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩、ポロキサマー407、微結晶セルロース、マンニトール、クロスポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩の結晶形、ポロキサマー407、微結晶セルロース、マンニトール、クロスポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの結晶形C、ポロキサマー407、微結晶セルロース、マンニトール、クロスポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0073】
他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、ポロキサマー407、マンニトール、クロスポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩、ポロキサマー407、マンニトール、クロスポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩の結晶形、ポロキサマー407、マンニトール、クロスポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの結晶形C、ポロキサマー407、マンニトール、クロスポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0074】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約40%から約60%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩、約20%から約35%W/Wの範囲のポロキサマー407、約10%から約22%W/Wの範囲のマンニトール、約1%から約5%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約0.5%から約3%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0075】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約40%から約60%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩、約20%から約35%W/Wの範囲のポロキサマー407、約10%から約22%W/Wの範囲のマンニトール、約1%から約5%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約0.5%から約3%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0076】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約40%から約60%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩の結晶、約20%から約35%W/Wの範囲のポロキサマー407、約10%から約22%W/Wの範囲のマンニトール、約1%から約5%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約0.5%から約3%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0077】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約40%から約60%W/Wの範囲の化合物I結晶形C、約20%から約35%W/Wの範囲のポロキサマー407、約10%から約22%W/Wの範囲のマンニトール、約1%から約5%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約0.5%から約3%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0078】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約45%から約55%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩、約24%から約32%W/Wの範囲のポロキサマー407、約14%から約20%W/Wの範囲のマンニトール、約2%から約4%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約1.0%から約2.5%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0079】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約45%から約55%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩、約24%から約32%W/Wの範囲のポロキサマー407、約14%から約20%W/Wの範囲のマンニトール、約2%から約4%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約1.0%から約2.5%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0080】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約45%から約55%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩の結晶形、約24%から約32%W/Wの範囲のポロキサマー407、約14%から約20%W/Wの範囲のマンニトール、約2%から約4%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約1.0%から約2.5%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0081】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約45%から約55%W/Wの範囲の化合物I結晶形C、約24%から約32%W/Wの範囲のポロキサマー407、約14%から約20%W/Wの範囲のマンニトール、約2%から約4%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約1.0%から約2.5%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0082】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約48%から約53%W/Wの範囲の化合物I又はその薬学的に許容される塩、約26%から約29%W/Wの範囲のポロキサマー407、約15%から約18%W/Wの範囲のマンニトール、約2.5%から約3.5%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約1.2%から約1.8%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0083】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約48%から約53%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩、約26%から約29%W/Wの範囲のポロキサマー407、約15%から約18%W/Wの範囲のマンニトール、約2.5%から約3.5%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約1.2%から約1.8%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0084】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約48%から約53%W/Wの範囲の化合物Iの塩酸塩の結晶形、約26%から約29%W/Wの範囲のポロキサマー407、約15%から約18%W/Wの範囲のマンニトール、約2.5%から約3.5%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約1.2%から約1.8%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0085】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約48%から約53%W/Wの範囲の化合物Iの結晶形C、約26%から約29%W/Wの範囲のポロキサマー407、約15%から約18%W/Wの範囲のマンニトール、約2.5%から約3.5%W/Wの範囲のクロスポビドン、及び約1.2%から約1.8%W/Wの範囲のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0086】
他の実施態様では、本開示の組成物は、約51.2%W/Wの化合物I又はその薬学的に許容される塩、約27.6%W/Wのポロキサマー407、16.8%W/Wのマンニトール、3%W/Wのクロスポビドン、及び1.5%W/Wのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0087】
別の実施態様では、本開示の組成物は、約51.2%W/Wの化合物Iの塩酸塩、約27.6%W/Wのポロキサマー407、16.8%W/Wのマンニトール、3%W/Wのクロスポビドン、及び1.5%W/Wのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0088】
別の実施態様では、本開示の組成物は、約51.2%W/Wの化合物Iの塩酸塩の結晶形、約27.6%W/Wのポロキサマー407、16.8%W/Wのマンニトール、3%W/Wのクロスポビドン、及び1.5%W/Wのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0089】
別の実施態様では、本開示の組成物は、約51.2%W/Wの化合物Iの結晶形C、約27.6%W/Wのポロキサマー407、16.8%W/Wのマンニトール、3%W/Wのクロスポビドン、及び1.5%W/Wのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0090】
本開示の他の実施態様では、本明細書に記載の組成物のいずれかにおけるクロスポビドンは、Polyplasdone(登録商標)Ultra、Polyplasdone(登録商標)Ultra-10、Polyplasdone(登録商標)XL、又はPolyplasdone(登録商標)XL-10である。本開示の他の実施態様では、本明細書に記載の組成物のいずれかにおけるクロスポビドンは、Polyplasdone(登録商標)Ultra又はPolyplasdone(登録商標)Ultra-10である。本開示の他の実施態様では、本明細書に記載の組成物のいずれかにおけるクロスポビドンは、Polyplasdone(登録商標)Ultraである。本開示の他の実施態様では、本明細書に記載の組成物のいずれかにおけるクロスポビドンは、Polyplasdone(登録商標)Ultra-10である。
【0091】
組成物の調製方法
本開示の他の実施態様は、本開示の組成物を調製する方法に関する。
【0092】
化合物I又はその薬学的に許容される塩と、可溶化剤とを含む組成物を調製するための方法。
一つの実施態様では、本開示の組成物を調製する方法は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び可溶化剤を混合することを含む。本開示の組成物を調製する上で使用することができる混合機器の非限定的な例には、拡散ミキサー(例えば、Vブレンダー若しくはビンブレンダー)又は対流ミキサー(例えば、垂直式高強度ミキサー)が含まれる。本開示の別の実施態様は、この方法によって調製される組成物に関する。
【0093】
別の実施態様では、本開示の組成物を調製する方法は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び可溶化剤を、拡散ミキサー内で混合することを含む。別の実施態様では、本開示の組成物を調製する方法は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び可溶化剤を、従来のミキサー内で混合することを含む。別の実施態様では、本開示の組成物を調製する方法は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び可溶化剤を、垂直式高強度ミキサー内で混合することを含む。別の実施態様では、本開示の組成物を調製する方法は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び可溶化剤を、Vブレンダー内で混合することを含む。別の実施態様では、本開示の組成物を調製する方法は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び可溶化剤を、ビンブレンダー内で混合することを含む。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの塩酸塩である。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの塩酸塩の結晶形である。この方法のまたさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの結晶形Cである。本開示の別の実施態様は、この方法によって調製される組成物に関する。
【0094】
化合物I又はその薬学的に許容される塩、可溶化剤、賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む組成物を調製するための方法。
別の実施態様では、本開示の組成物を調製する方法は、(1)化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び可溶化剤を混合し、混合物を提供すること、(2)(1)で得られた混合物をローラー圧縮し、ローラー圧縮リボンを提供すること、(3)ローラー圧縮リボンを粉砕し、顆粒を提供すること、(4)(3)の顆粒、賦形剤、及び崩壊剤を混合すること、(5)(4)の混合物及び滑沢剤を混合して、最終混合物を提供することを含む。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの塩酸塩である。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの塩酸塩の結晶形である。この方法のまたさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの結晶形Cである。本開示の別の実施態様は、この方法によって調製される組成物に関する。
【0095】
本開示の組成物を調製する上で使用することができる混合機器の非限定的な例には、拡散ミキサー(例えば、Vブレンダー若しくはビンブレンダー)又は対流ミキサー(例えば、垂直式高強度ミキサー)が含まれる。本開示の組成物を調製する上で使用することができるローラー圧縮機器の非限定的な例には、乾式造粒機(例えば、ローラーコンパクター)が含まれる。本開示の組成物を調製する上で使用することができる整粒機器の非限定的な例には、スクリーニングミル及びカッティングミルが含まれる。本開示の組成物を調製する際に使用することができる混合機器の非限定的な例には、拡散ミキサー(例えば、Vブレンダー又はビンブレンダー)が含まれる。
【0096】
別の実施態様では、本開示の組成物を調製する方法は、(1)化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び可溶化剤を、拡散ミキサー内で混合して、混合物を提供すること、(2)(1)で得られた混合物を、乾式造粒機内でローラー圧縮し、ローラー圧縮リボンを提供すること、(3)ローラー圧縮リボンをカッティングミルで粉砕し、顆粒を提供すること、(4)(3)で得られた顆粒、賦形剤、及び崩壊剤を拡散ミキサーで混合すること、(5)(4)で得られた混合物及び滑沢剤を、拡散ミキサーで混合し、最終混合物を提供することを含む。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの塩酸塩である。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの塩酸塩の結晶形である。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの結晶形Cである。この方法のさらなる実施態様では、拡散ミキサーは、Vブレンダーである。この方法のまたさらなる実施態様では、拡散ミキサーは、ビンブレンダーである。この方法のさらなる実施態様では、ローラー圧縮機器は、乾式造粒機である。この方法のまたさらなる実施態様では、粉砕機器は、カッティングミルである。この方法のまたさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの結晶形Cであり、拡散ミキサーは、ビンブレンダーであり、ローラー圧縮機器は、乾式造粒機であり、粉砕機器は、カッティングミルである。本開示の別の実施態様は、この方法によって調製される組成物に関する。
【0097】
別の実施態様では、本開示の組成物を調製する方法は、(1)化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び可溶化剤を、対流ミキサー内で混合し、混合物を提供すること、(2)(1)で得られた混合物を、乾式造粒機内でローラー圧縮し、ローラー圧縮リボンを提供すること、(3)ローラー圧縮リボンを、スクリーニングミル又はカッティングミルで粉砕し、顆粒を提供すること、(4)(3)で得られた顆粒、賦形剤、及び崩壊剤を、拡散ミキサーで混合すること、並びに(5)(4)で得られた混合物及び滑沢剤を、拡散ミキサーで混合し、最終混合物を提供することを含む。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの塩酸塩である。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの塩酸塩の結晶形である。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの結晶形Cである。この方法のさらなる実施態様では、対流ミキサーは、垂直式高強度ミキサーである。この方法のさらなる実施態様では、ローラー圧縮機器は、乾式造粒機(ローラー圧縮)である。この方法のさらなる実施態様では、粉砕機器は、カッティングミル又はスクリーニングミルである。この方法の別の実施態様では、(1)の混合は、拡散ミキサーを用い、(2)のローラー圧縮は、乾燥造粒機を用いて、ローラー圧縮リボンを提供し、(3)の粉砕は、スクリーニングミル又はカッティングミルを用い、(4)の混合は、拡散ミキサーを用い、及び(5)の混合は、拡散ミキサーを用いる。この方法の別の実施態様では、(1)の混合は、対流ミキサーを用い、(2)のローラー圧縮は、乾燥造粒機を用いて、ローラー圧縮リボンを提供し、(3)の粉砕は、スクリーニングミル又はカッティングミルを用い、(4)の混合は、拡散ミキサーを用い、及び(5)の混合は、拡散ミキサーを用いる。この方法のさらなる実施態様では、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物Iの結晶形Cであり、対流ミキサーは、垂直式高強度ミキサーであり、ローラー圧縮機器は、乾式造粒機(ローラー圧縮)であり、及び粉砕機器は、カッティングミル又はスクリーニングミルである。本開示の別の実施態様は、この方法によって調製される組成物に関する。
【0098】
本開示の組成物を調製する方法の別の実施態様では、粉砕は、ローラー圧縮リボンをスクリーニングミル及び回転インペラに通して、顆粒を提供することを含む。本開示の組成物を調製する方法の別の実施態様では、粉砕は、ローラー圧縮リボンをカッティングミルに通して、顆粒を提供することを含む。
【0099】
製剤
他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、錠剤(錠剤製剤)又はカプセル(カプセル製剤)などの経口投与に好適な固形製剤である。他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、カプセルの固形製剤である。他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、硬質ゼラチン又はヒプロメロース(HPMC)を含むカプセルの形態である。他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、硬質ゼラチンを含むカプセルの形態の製剤である。他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、ヒプロメロースを含むカプセルの形態の製剤である。他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは眼への投与に好適な製剤であり、点眼剤を含むが、これに限定されない。
【0100】
他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、経口投薬に好適なカプセル形態である。他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、硬質ゼラチン又はヒプロメロースを含むカプセルの形態であり、カプセルは、該組成物中に合計約100mgから約200mgの成分を含有する。他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、硬質ゼラチンを含むカプセルの形態であり、カプセルは、該組成物中に合計約100mgから約200mgの成分を含有する。他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、ヒプロメロースを含むカプセルの形態であり、カプセルは、該組成物中に合計約100mgから約200mgの成分を含有する。
【0101】
他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、硬質ゼラチン又はヒプロメロースを含むカプセルの形態であり、カプセルは、該組成物中に合計約100mgの成分を含有する。他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、硬質ゼラチンを含むカプセルの形態であり、カプセルは、該組成物中に合計約100mgの成分を含有する。他の実施態様では、本開示の組成物のいずれかは、ヒプロメロースを含むカプセルの形態であり、カプセルは、該組成物中に合計約100mgの成分を含有する。
【0102】
崩壊剤がPolyplasdone(登録商標)Ultra又はPolyplasdone(登録商標)Ultra-10である本開示の組成物を含むカプセルは、Polyplasdone(登録商標)XL又はPolyplasdone(登録商標)XL-10よりも良好な安定性を有した。
【0103】
他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び担体を含む。他の実施態様では、本開示の組成物は、化合物Iの塩酸塩、及び担体を含む。本明細書で使用される「担体」は、マイクロスフェア、リポソーム、ミセル、及びナノ粒子(天然のナノ粒子、例えば、エキソソーム)などを含む。エキソソームは高度に効果的な薬物担体であり得ることが知られており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるJ Control Release.2015December10;219:396-405に記載の技術を含む、薬物をエキソソーム中に充填することができる様々な方法が存在する。
【0104】
治療方法
いくつかの実施態様では、本開示は、治療有効量の本明細書に記載の組成物のいずれかを対象に投与することによって、それを必要とする対象における疾患又は病態を治療するための方法を提供する。
【0105】
以下に、Fms(CSF-1R又はCSF1R)、Flt-3、及びKitのうちの1つ以上を阻害することができる化合物の様々な有用性について記載する。したがって、Fms(CSF-1R又はCSF1R)、Flt-3、及びKitを阻害する化合物Iを使用して、以下の疾患又は病態を治療することができることが企図される。
【0106】
神経線維腫症及び骨粗鬆症
化合物I(PLX3397)は、インビボで破骨細胞分化及び骨吸収活性を低下させることによって、神経線維腫症の影響に罹患したマウスにおける骨量減少を予防した(Yongzheng He et al.,c-Fms Signaling Mediates Neurofibromatosis Type-1 Osteoclast Gain-In-Functions,PLOS ONE,November 2012,Volume 7,Issue11,e46900)。したがって、化合物Iは、神経線維腫症1型(NF1)に関連する骨粗鬆症及び骨減少症を治療するための潜在的な治療剤となり得ることが企図される。
【0107】
アルツハイマー病
CSF1Rは、ミクログリアの増殖を阻害し、アルツハイマー病様病理の進行を予防することが見出された(Adrian Olmos-Alonso et al.,Pharmacological targeting of CSF1R inhibits microglial proliferation and prevents the progression of Alzheimer’s-like pathology,Brain.,2016:139;891-907)。
【0108】
加えて、アルツハイマー病のモデルにおけるCSF1R阻害の有効性が実証され、これにより、ミクログリアの活性化及びアルツハイマー病の進行に取り組む有望なアプローチとして、CSF1R活性化の修飾を目的とした治療戦略の適用が検証された(Adrian Olmos-Alonso et al.,Pharmacological Targeting of CSF1R Inhibits Microglial Proliferation and Prevents the Progression of Alzheimer’s-like Pathology,Brain,March 2016,139(3):891-907)。
【0109】
進行性核上性麻痺(PSP)及びアルツハイマー病(AD)
PSP及びAD疾患の重症度は、各疾患に特徴的な神経病理学的変化と最も密接に関連する領域内の神経炎症と相関することが報告されており、データは、以前の遺伝的及び疫学的証拠とともに、免疫療法戦略がAD及びPSPなどの神経変性障害の進行を遅延させる上で有用であり得ることを示唆している(L. Passamonti et al.,[11C]PK11195PET in Alzheimer’s disease and progressive supranuclear palsy:The NIMROD Study,Poster Session,June 28,2017)。神経炎症の治療に有用なCSF1R阻害剤については、本明細書に記載のHanらもまた参照されたい。
【0110】
てんかん
CSF1R遮断は、CSF1Rの低分子阻害剤を使用するてんかんの2つの前臨床モデルで検証され、これは、CSF1R遮断が、てんかんの新規の治療戦略になり得ることを実証した(Prashant K Srivastava et al.,A systems-level framework for drug discovery identifies CSF1R as a novel anti-epileptic drug target,May 22,2017,http://dx.doi.org/10.1101/140087.)。
【0111】
脳外傷
化合物I(PLX3397)によるCSF1R阻害は、ミクログリアを効果的に枯渇させ、ミクログリアの枯渇は、脳出血後も持続した。化合物Iによるコロニー刺激因子1受容体阻害の利益は脳内の白血球浸潤の低下に関連しており、これが脳出血後の保護を付与することがさらに報告された(Minshu Li et el.,Colony stimulating factor 1 receptor inhibition eliminates microglia and attenuates brain injury after intracerebral hemorrhage,Journal of Cerebral Blood Flow& Metabolism,2017,Vol.37(7)2383-2395)。
【0112】
タウオパチー
タウ伝播におけるミクログリアの重要性は、化合物I(PLX3397)によって達成され得るCSF1R阻害によるミクログリアの枯渇によるタウ伝播の著しい低下によって強調されることが報告された(Hirohide Asai et al.,Depletion of microglia and inhibition of exosome synthesis halt tau propagation,Nature Neuroscience,November 2015,Vol.18,11)。
【0113】
非小細胞肺癌/肺癌
CSF-1Rは、Wntファミリーメンバー3a(Wnt3a)の活性を調節し、上皮間葉転換(EMT)、移動、浸潤、及び転移を加速させることによって、非小細胞癌(NSCLC)における腫瘍プロモーターとして機能する。したがって、CSF-1Rタンパク質は、腫瘍進行及び播種を解決するための有望な治療標的を構成する(Yan Xia Yu et al.,CSF-1R regulates non-small cell lung cancer cells dissemination through Wnt3a signaling,Am J Cancer Res.,2017,7(11):2144-2156)。
【0114】
眼部疾患(前眼部及び後眼部)
ミクログリアが、炎症を低下させるためにCSF1R阻害剤によって一時的に除去され得、網膜の変性障害又は炎症性障害の治療的介入として有用であり得ることが報告された(Wai T.Wong,Science Daily,March 21,2018,https://www.sciencedaily.com/releases/2018/03/180321141403.htm)。
【0115】
リソソーム蓄積症
リソソーム蓄積症における神経炎症は典型的には、CNS損傷、感染、又は疾患後の保護応答として誘発され、そのような炎症は、神経細胞に有害な影響を及ぼし得る。ミクログリアが、CNS実質細胞内の主要な神経炎症細胞であることがさらに報告された(Megan E.Bosch et al.,Neuroinflammatory paradigms in lysosomal storage diseases,Frontiers in Neuroscience,October 30 2015,doi:10.3389/fnins.2015.00417(2頁))。
【0116】
多発性硬化症
CSF1Rの遮断は、免疫細胞が多発性硬化症に関連する炎症を促進するのを予防することができる(Andrea Morandi et al.,The Colony-Stimulating Factor-1(CSF-1)Receptor Sustains ERK1/2 Activation and Proliferation in Breast Cancer Cell Lines,Multiple Sclerosis News Today,October 27,2017,https://multiplesclerosisnewstoday.com/2017/10/27/msparis2017-study-shows-that-inhibiting-protein-in-brain-cells-can-rejuvenate-myelin/)。
【0117】
神経炎症及び神経炎症性疾患
定義された段階でのミクログリアの枯渇及びその後の再増殖は、神経炎症を解決し、回復を促進するための戦略を設計する見込みがあり、ミクログリアの包括的な枯渇及びそれに続く再増殖は、CSF1R阻害剤で達成することができる(Han et al.,An updated assessment of microglia depletion:current concepts and future directions,Molecular Brain,(2017)10:25(要約及び3頁を参照されたい))。
【0118】
複合局所疼痛症候群
神経原性神経炎症は、複合局所疼痛症候群の多因子病理発生に寄与し得ることが報告された(Littlejohn G.,Neurogenic neuroinflammation in fibromyalgia and complex regional pain syndrome,Nat Rev Rheumatol,2015 Nov;11(11):639-48)。神経炎症の治療に有用なCSF1R阻害剤については、本明細書に記載のHanらもまた参照されたい。
【0119】
認知症
神経炎症は認知症における病理学的機構としてますます関係していることもまた報告されており、それが認知又は機能の低下を加速させる重要な事象であるという実証は、新規の治療アプローチを知らせている(Stefaniak J et al.,Imaging of neuroinflammation in dementia,J Neurol Neurosurg Psychiatry,2016 Jan;87(1):21-8))。神経炎症の治療に有用なCSF1R阻害剤については、上記のHanらもまた参照されたい。
【0120】
HIV
慢性ミクログリア活性化及び関連する神経炎症は、HIV関連神経認知障害を含む神経変性疾患における重要な因子である(Audrey C Knight et al.,Increased Microglial CSF1R Expression in the SIV/Macaque Model of HIV CNS Disease,08 January 2018,Journal of Neuropathology & Experimental Neurology,Volume 77,Issue3,1 March 2018,Pages 199-206,(要約を参照されたい)。ミクログリアの枯渇に有用なCSF1R阻害剤については、本明細書に記載のHanらもまた参照されたい。
【0121】
脳性麻痺
ミクログリアの過剰な活性化を含む未熟児の障害のリスクの増加を媒介する上での、グリアの中心的役割を強調する証拠が存在することが報告されている(Carina Mallard et al.,Astrocytes and microglia in acute cerebral injury underlying cerebral palsy associated with preterm birth,Pediatric Research,2014,Vol.75,1(要約を参照されたい))。ミクログリアの枯渇に有用なCSF1R阻害剤については、本明細書に記載のHanらもまた参照されたい。
【0122】
緑内障
緑内障及び神経炎症における神経炎症の臨床的証拠が存在しており、神経炎症はミクログリア緑内障などの細胞型による免疫関連応答として定義される(Pete A Williams et al.,Neuroinflammation in glaucoma:A new opportunity,Exp Eye Res.2017 April,157:20-27(要約を参照されたい))。ミクログリアの枯渇に有用なCSF1R阻害剤については、上記のHanらもまた参照されたい。
【0123】
膀胱癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、及び結腸直腸癌
CSF-1/CSF-1Rは、膀胱癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌、及び膵臓癌などのヒト腫瘍組織内で高度に発現されることが示されている(Li Huang et al.,The possible mechanisms of tumor progression via, CSF-1/CSF-1R pathway activation,Rom J Morphol Embryol,2014,55(2 Suppl):501-506(502頁を参照されたい))。
【0124】
急性骨髄性白血病(AML)及び他の白血病
FLT3の発現は、正常な造血組織内で高く、白血病では、FLT3がAML及び急性リンパ球性白血病で特異的に上方制御されることが示されており、これは、FLT3の高い発現が白血病の進行に寄与し得ることを示す(Jie Cheng et al.,High expression of FLT3 is a risk factor in leukemia,Molecular Medicine Reports,2018,17:2885-2892(考察及び図1を参照されたい)。
【0125】
乳癌
乳癌細胞サブタイプにわたるCSF-1/CSF-1R対の広範な発現は、乳癌療法におけるCSF-1/CSF-1R標的化を支持することが報告された(Andrea Morandi et al.,The Colony-Stimulating Factor-1(CSF-1)Receptor Sustains ERK1/2 Activation and Proliferation in Breast Cancer Cell Lines,PLOS ONE,November 2011,Vol.6,11,e27450(要約を参照されたい))。
【0126】
胆管細胞癌
c-kit発現は胆道癌(胆管細胞癌)において検出可能であることが示されており、c-kit陽性ヒト胆道癌細胞を注射したキメラマウスをc-kit阻害剤メシル酸イマチニブで治療し、これは腫瘍体積及び腫瘍量の有意な低下をもたらした(Thomas Kamenzet al.,Expression of c-kit receptor in human cholangiocarcinoma and in vivo treatment with imatinib mesilate in chimeric mice,World J Gastroenterol.,2006 March 14;12(10):1583-1590(1583頁を参照されたい))。
【0127】
子宮内膜癌
臨床的に侵襲性のヒト子宮内膜腺癌では、fms癌原遺伝子mRNAの高レベルの発現が存在することが報告された(Barry M. Kacinski et al.,High level expression of fms proto-oncogene mRNA is observed in clinically aggressive human endometrial adenocarcinomas,International Journal of Radiation Oncology *Biology *Physics,November 2011,Vol.6,11,e27450)。
【0128】
食道癌
食道癌の小細胞癌構成要素には、KITの発現が存在することが示された(Tadashi Terada et al.,Esophageal combined carcinomas:Immunohoistochemical and molecular genetic studies,World J Gastroenterol.,2012 April 7,18(13):1545-1551(1549頁の最後の文を参照されたい)。
【0129】
神経膠芽腫、神経膠腫
CSF-1R阻害が悪性化を遮断し、確立された神経膠腫を退行させ、神経膠芽腫のヒト異種移植片の生着を増強することが示された(Stephanie M. Pyonteck et al.,CSF-1R inhibition alters macrophage polarization and blocks glioma progression,Nat.Med.,October 2013,19(10):1264-1272)。
【0130】
巨細胞腫
CSF1R阻害剤RG7155の患者への投与は、びまん型巨細胞腫患者において客観的臨床応答に変換されることが報告された。(Carola H. Ries et al.,Targeting Tumor-Associated Macrophages with Anti-CSF-1R Antibody Reveals a Strategy for Cancer Therapy,Cancer Cell,June 16,2014,25:846-859)。
【0131】
肝細胞癌(HCC)
HCC患者の研究は、腫瘍周囲CSF-1Rが肝切除後の肝内転移、腫瘍再発、及び患者の生存に関連しており、CSF-1Rが術後のアジュバント治療の潜在的な治療標的となり得ることを見出した(Jin-Bin Jia et al.,High Expression of Macrophage Colony-Stimulating Factor-1 Receptor in Peritumoral Liver Tissue Is Associated with Poor Outcome in Hepatocellular Carcinoma After Curative Resection,The Oncologist 2010;15:000-000)。
【0132】
ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫に罹患した複数の前治療歴を有する患者コホートへの化合物I(PLX3397)の投与が、管理可能な安全性プロファイルをもって、及び併用療法治験におけるさらなる試験保証する標的阻害の証拠をもって、中程度の有効性をもたらすことが報告された(Alastair J. King et al.,CSF1R Inhibition by PLX3397 in Patients with Relapsed or Refractory Hodgkin Lymphoma:Results From a Phase 2 Single Agent Clinical Trial,Blood,2012 120:1638(2頁の考察を参照されたい)。
【0133】
黒色腫
腫瘍特異的CD8 T細胞によるマウス黒色腫モデルの化合物I(PLX3397)治療は、腫瘍成長の制御を強く促進することが報告された(Sluijter M et al.,Inhibition of CSF-1R Supports T-Cell Mediated Melanoma Therapy,PLOS ONE,2014,9(8)(1頁を参照されたい))。
【0134】
中皮腫
CSF-1Rシグナル伝達が中皮腫において重要な病原性の役割を有し得ること、したがって治療的介入の有望な標的になり得ることを示唆するデータが報告された(M Cioce et al.,Autocrine CSF-1R signaling drives mesothelioma chemoresistance via AKT activation,Cell Death and Disease(2014)5,e1167;doi:10.1038/cddis.2014.136(1頁を参照されたい))。
【0135】
腎細胞癌(RCC)
CSF-1/CSF-1Rシグナル伝達の標的化は、RCCにおいて治療的に有効であり得ることが報告された。(Julia Menke et al.,Autocrine CSF-1 and CSF-1 Receptor Coexpression Promotes Renal Cell Carcinoma Growth,Cell Death and Disease(2014)5,e1167;doi:10.1038/cddis.2014.136(1頁を参照されたい))。
【0136】
悪性末梢神経鞘腫(MPNST)及び叢状神経線維腫
化合物I(PLX3397)によるMPNST異種移植片試料の治療は、c-Kit、c-Fms、及びPDGFRβの持続した遮断をもたらし、これが腫瘍成長の有意な抑制をもたらし、そのデータは、PLX3397がMPNSTの治療においてイマチニブよりも優れていることを強く示唆した(Parag P. Patwardhan et al.,Sustained inhibition of receptor tyrosine kinases and macrophage depletion by PLX3397 and rapamycin as a potential new approach for the treatment of MPNSTs,Clin Cancer Res.2014 June 15;20(12):3146-3158(1頁を参照されたい))。さらに、叢状神経線維腫は、MPNSTの既知の前駆体領域である(McCarron KF et al.,Plexiform neurofibroma with and without associated malignant peripheral nerve sheath tumor:a clinicopathologic and immunohistochemical analysis of 54 cases,Mod Pathol.1998 Jul;11(7):612-7(要約を参照されたい))。
【0137】
唾液腺腫瘍
4つの異なる唾液腺新生物における免疫化学染色を通してc-kit発現が観察され、唾液腺新生物の良性及び悪性の両方の形態においてc-kit発現が見出された(Salehinejad J et al.,Evaluation of c-kit protein(CD117)expression in common salivary gland neoplasms,J Oral Maxillofac Pathol.,2014 May;18(2):177-82(要約を参照されたい))。
【0138】
消化管間質腫瘍
c-kitが消化管間質腫瘍(GIST)の腫瘍形成における重要なステップであり、c-kit阻害剤イマチニブがc-kitの活性化受容体チロシンキナーゼ活性を遮断して、進行GIST患者に客観的応答をもたらすことが報告された(Siehl J et al.,C-kit,GIST,and imatinib,Recent Results Cancer Res.2007;176:145-51(要約を参照されたい))。
【0139】
色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)及び腱滑膜巨細胞腫((TGCT)
化合物Iが、TGCTの治療のための第III相臨床治験においてその主要エンドポイントを満たす(主要エンドポイントは、腫瘍サイズの低下によって測定される腫瘍応答である)ことが報告された。TGCTは、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)及び腱鞘の巨細胞腫(GCT-TS)を含む癌の群である(Mark Terry,Daiichi Sankyo’s Tumor Drug Meets Primary Endpoint in Late-Stage Study,Oct 31,2017,https://www.biospace.com/article/daiichi-sankyos-tumor-drug-meets-primary-endpoint-in-late-stage-study/)。
【0140】
緊張病、統合失調症
Janovaらは、CSF1R阻害剤の投与が、表現型が決定された統合失調症試料のマウスにおいて緊張病の症状を緩和することを実証した(Janova et al.,Microglia ablation alleviates myelin-associated catatonic signs in mice, Clin Invest.2018;128(2):734-745(要約を参照されたい))。
【0141】
脳石灰化症
Daidaらは、CSF1R変異及び脳石灰化症を有する患者がCTスキャンで検出されることを報告した。(Daida et al.,CSF1R Mutation p.G589R and the Distribution Pattern of Brain Calcification,Intern Med,56:2507-2512,2017)。
【0142】
網膜色素変性
Blankらは、ミクログリア活性化を阻害が、網膜色素変性における網膜変性を予防するための有用なアプローチを提供し得ると述べた(Blank et al.,Early Microglia Activation Precedes Photoreceptor Degeneration in a Mouse Model of CNGB1-Linked Retinitis Pigmentosa,Front.Immunol.,05 January 2018(9頁の結論を参照されたい)。
【0143】
網膜ミクログリアの恒常性
Zhangらは、研究のうちの1つにおいて、CSF1R阻害剤を使用するミクログリアアブレーション後の網膜でミクログリア組織化の完全な恒常性回復が存在することを見出した(Zhang et al.,Repopulating retinal microglia restore endogenous organization and function under CX3CL1-CX3CR1 regulation,Science Advances,21 Mar 2018)。
【0144】
慢性外傷性脳症(CTE)
CTEは、脳震盪及び外傷性脳損傷を繰り返し受けた人々の脳を苦しめる進行性変性疾患として定義されており、ミクログリアは、CTEの潜行性発症に関連する継続的な低レベルの炎症を促進する(Donal et al.,Microglial Activation in Traumatic Brain Injury, Frontiers in Ageing Neuroscience,June 2017,Volume 9,Article 208 Frontiers in Ageing Neuroscience)。上記のMinshu Liらは、CSF1R阻害がミクログリアを除去し、脳損傷を軽減することを報告した。
【0145】
治療有効量の本明細書に記載の組成物を対象に投与することにより、c-fms、c-kit、Flt3、若しくはそれらの組み合わせから選択されるタンパク質キナーゼ、及び/又はマクロファージ若しくはミクログリアが介在する疾患若しくは病態に罹患しているか、又はそのリスクがある対象者を治療するための方法が提供される。
【0146】
いくつかの実施態様では、本開示の組成物のいずれかで治療可能な疾患は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、及び移植片拒絶を含むがこれらに限定されない、免疫障害;幹細胞移植のための幹細胞アブレーション及び骨髄調製(myelopreparation);変形性関節症、炎症性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、川崎病、血球貪食症候群(マクロファージ活性化症候群)、多中心性細網組織球症、及びアテローム動脈硬化症を含むがこれらに限定されない、炎症性疾患;I型糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖、肥満、及び脂肪分解を含むがこれらに限定されない、代謝障害;骨粗鬆症、骨折のリスクの増加、パジェット病、高カルシウム血症、感染媒介骨溶解症(例えば、骨髄炎)、人工関節周囲又は摩耗・細片媒介骨溶解、及び骨への癌転移を含むがこれらに限定されない、骨構造、石灰化、並びに骨形成及び再吸収の障害;子宮内膜症、腎炎(例えば、糸球体腎炎、間質性腎炎、ループス腎炎)、尿細管壊死、糖尿病関連腎合併症(例えば、糖尿病性腎症)、及び腎肥大を含むがこれらに限定されない、腎臓及び泌尿生殖器疾患;多発性硬化症、脳卒中、アルツハイマー病、及びパーキンソン病を含むがこれらに限定されない、中枢神経系の障害;骨痛を含むがこれに限定されない、炎症性及び慢性疼痛;並びに多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、単球性白血病、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、黒色腫、多形神経膠芽腫、タウオパチー、他の組織への腫瘍の転移、及び他の慢性骨髄増殖性疾患(骨髄線維症など)を含むがこれらに限定されない癌からなる群から選択されるc-Fmsを介在する疾患である。いくつかの実施態様では、AMLは、内部縦列重複(ITD)変異であるFms様チロシンキナーゼ3(Flt3)変異に関連している。いくつかの実施態様では、c-Fmsを介する疾患には、Fms、CSF1R、CSF1、若しくはIL-34を異常若しくは別様に発現する腫瘍、又は上記のいずれかの活性化変異もしく転座が含まれる。
【0147】
他の実施態様では、c-Fms及びc-Kitに介在される疾患又は病態は、マスト細胞腫瘍、小細胞肺癌、精巣癌、消化管間質腫瘍、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経芽細胞腫、女性生殖器の癌腫、神経外胚葉起源の肉腫、結腸直腸癌、上皮内癌、シュワン細胞新生物、悪性末梢神経細胞腫瘍、悪性末梢神経鞘腫瘍、皮膚褐色細胞腫及び叢状神経線維腫、神経線維腫症、神経線維腫症-1(NF1)、平滑筋腺腫様腫瘍、平滑筋肉腫、急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、肥満細胞症、黒色腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、イヌのマスト細胞腫瘍、骨又は他の組織への癌転移、慢性骨髄増殖性疾患(骨髄線維症など)、腎肥大、喘息、関節リウマチ、アレルギー性鼻炎、多発性硬化症、変形性関節症、炎症性腸症候群、移植片拒絶、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、川崎病、血球貪食症候群(マクロファージ活性化症候群)、多中心性細網組織球症、アテローム動脈硬化症、I型糖尿病、II糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖、肥満、脂肪分解、過好酸球増加症、骨粗鬆症、骨折のリスクの増加、パジェット病、高カルシウム血症、感染媒介骨溶解症(例えば、骨髄炎)、人工関節周囲又は摩耗・細片媒介骨溶解、子宮内膜症、糸球体腎炎、間質性腎炎、ループス腎炎、尿細管壊死、糖尿病性腎症、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、炎症性疼痛、慢性疼痛、並びに骨痛からなる群から選択される。
【0148】
いくつかの実施態様では、本開示の組成物のいずれかで治療可能な(c-fms、c-kit、Flt3、若しくはそれらの組み合わせから選択されるタンパク質キナーゼ、及び/又はマクロファージ若しくはミクログリアに介在される)疾患又は病態は、脱毛症、禿頭症、創傷治癒、男性型脱毛症(AGA)、てんかん、外傷性脳損傷、タウオパチー、エルドハイム・チェスター病、ランゲルハンス細胞組織球症、有毛細胞白血病、非小細胞肺癌、強皮症、前眼部疾患、後眼部疾患、リソソーム蓄積症、幹細胞移植のための幹細胞アブレーション及び骨髄調製、原発性進行性多発性硬化症、複合局所疼痛症候群、反射性交感神経性ジストロフィー、筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、カウザルギー、神経炎症、神経炎症性障害、良性健忘症、HIV、ビンスワー型認知症、レビー小体型認知症、前脳症(prosencephaly)、小脳症(microencepahy)、脳性麻痺、先天性水頭症、腹部水腫、進行性核上性麻痺、緑内障、依存障害、依存症、アルコール依存症、振戦、ウィルソン病、血管性認知症、多発脳梗塞性認知症、前頭側頭葉型認知症、仮性認知症、膀胱癌、尿管癌、尿道癌、尿管癌、基底細胞癌、胆管細胞癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胃癌、神経膠腫、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、黒色腫、中皮腫、膵臓癌、直腸癌、腎癌、扁平上皮癌、t細胞リンパ腫、甲状腺癌、単球性白血病、褐色細胞腫、悪性末梢神経細胞腫瘍、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、皮膚及び叢状神経線維腫、平滑筋腺腫様腫瘍、筋腫、子宮筋腫、平滑筋肉腫、乳頭様甲状腺癌、組織非形成性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、濾胞性甲状腺癌、ハースル細胞癌、甲状腺癌、血管肉腫、脂肪肉腫、腹水症、悪性腹水症、中皮腫、唾液腺腫瘍、唾液腺の粘表皮癌、唾液腺の腺房細胞癌、消化管間質腫瘍(第一選択、第二選択、及びネオアジュバントGISTを含むがこれらに限定されない、GIST)、体内の潜在的な空間に貯留を引き起こす腫瘍、胸水貯留、心膜液貯留、腹膜貯留(腹水症としても知られる)、巨細胞腫(GCT)、骨のGCT、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)、腱滑膜巨細胞腫(TGCT)、腱鞘のTCGT(TGCT-TS)、他の肉腫;並びに腫瘍血管新生及びパラ分泌腫瘍成長;並びにFms、CSF1R、CSF1、若しくはIL-34、又は上記のいずれかの活性化変異若しくは転座を異常又は別様に発現する腫瘍から選択される。
【0149】
いくつかの実施態様では、本開示の組成物のいずれかで治療可能な(c-fms、c-kit、Flt3、若しくはそれらの組み合わせから選択されるタンパク質キナーゼ、及び/又はマクロファージ若しくはミクログリアに介在される)疾患又は病態は、脱毛症、禿頭症、創傷治癒、男性型脱毛症(AGA)、てんかん、外傷性脳損傷、タウオパチー、アルツハイマー病、統合失調症、緊張病、慢性外傷性脳症、心臓炎症、網膜色素変性、脳石灰化症、エルドハイム・チェスター病、ランゲルハンス細胞組織球症、有毛細胞白血病、非小細胞肺癌、強皮症、前眼部疾患、後眼部疾患、リソソーム蓄積症、幹細胞移植のための幹細胞アブレーション及び骨髄調製、原発性進行性多発性硬化症、複合局所疼痛症候群、反射性交感神経性ジストロフィー、筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、カウザルギー、神経炎症、神経炎症性障害、良性健忘症、HIV、ビンスワー型認知症、レビー小体型認知症、前脳症、小脳症、脳性麻痺、先天性水頭症、腹部水腫、進行性核上性麻痺、緑内障、依存障害、依存症、アルコール依存症、振戦、ウィルソン病、血管性認知症、多発脳梗塞性認知症、前頭側頭葉型認知症、仮性認知症、膀胱癌、尿管癌、尿道癌、尿管癌、基底細胞癌、胆管細胞癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胃癌、神経膠腫、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、黒色腫、中皮腫、膵臓癌、直腸癌、腎癌、扁平上皮癌、t細胞リンパ腫、甲状腺癌、単球性白血病、褐色細胞腫、悪性末梢神経細胞腫瘍、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、皮膚及び叢状神経線維腫、平滑筋腺腫様腫瘍、筋腫、子宮筋腫、平滑筋肉腫、乳頭様甲状腺癌、組織非形成性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、濾胞性甲状腺癌、ハースル細胞癌、甲状腺癌、血管肉腫、脂肪肉腫、腹水症、悪性腹水症、中皮腫、唾液腺腫瘍、唾液腺の粘表皮癌、唾液腺の腺房細胞癌、消化管間質腫瘍(GIST)、体内の潜在的な空間に貯留を引き起こす腫瘍、胸水貯留、心膜液貯留、腹膜貯留(腹水症としても知られる)、巨細胞腫(GCT)、骨のGCT、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)、腱滑膜巨細胞腫(TGCT)、腱鞘のTCGT(TGCT-TS)、腫瘍血管新生、パラ分泌腫瘍成長、又はFms、CSF1R、CSF1、若しくはIL-34、或いは上記のいずれかの活性化変異若しくは転座を異常又は別様に発現する腫瘍から選択される。
【0150】
いくつかの実施態様では、本開示の組成物のいずれかで治療可能な、c-fms、c-kit、Flt3、若しくはそれらの組み合わせから選択されるタンパク質キナーゼ、及び/又はマクロファージ若しくはミクログリアに介在される疾患又は病態は、骨粗鬆症、神経線維腫症、アルツハイマー病、てんかん、外傷性脳損傷、タウオパチー、非小細胞肺癌、前眼部疾患、後眼部疾患、リソソーム蓄積症、多発性硬化症、複合局所疼痛症候群、神経炎症、神経炎症性障害、HIV、ビンスワー型認知症、レビー小体型認知症、脳性麻痺、進行性核上性麻痺、緑内障、血管性認知症、多発脳梗塞性認知症、前頭側頭葉型認知症、仮性認知症、膀胱癌、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、乳癌、胆管細胞癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、神経膠腫、神経膠芽腫、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、白血病、肺癌、黒色腫、中皮腫、膵臓癌、腎癌、単球性白血病、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、叢状神経線維腫、唾液腺腫瘍、唾液腺の粘表皮癌、唾液腺の腺房細胞癌、消化管間質腫瘍(GIST)、巨細胞腫(GCT)、骨のGCT、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)、腱滑膜巨細胞腫(TGCT)、腱鞘のTCGT(TGCT-TS)、統合失調症、緊張病、慢性外傷性脳症、心臓炎症、網膜色素変性、又は脳石灰化症、或いはFms、CSF1R、CSF1、若しくはIL-34、又は上記のいずれかの活性化変異若しくは転座を異常又は別様に発現する疾患又は病態から選択される。
【0151】
いくつかの実施態様では、本開示の組成物のいずれかで治療可能な疾患又は病態は、黒色腫、原発性進行性多発性硬化症、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、叢状神経線維腫、中皮腫、多発脳梗塞性認知症、前頭側頭葉型認知症、唾液腺の粘表皮癌、消化管間質腫瘍(第一選択、第二選択、及びネオアジュバントGISTを含む、GIST)、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)、又は腱滑膜巨細胞腫(TGCT)から選択される。
【0152】
いくつかの実施態様では、本開示は、腱滑膜巨細胞腫(TGCT)に罹患しているか、又はそのリスクがある対象を治療するための方法を提供し、この方法は、治療有効量の本開示の組成物のいずれかを対象に投与することを含む。いくつかの実施態様では、本開示は、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)に罹患しているか、又はそのリスクがある対象を治療するための方法を提供し、この方法は、治療有効量の本開示の組成物のいずれかを対象に投与することを含む。いくつかの実施態様では、本開示は、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)に罹患しているか、又はそのリスクがある対象を治療するための方法を提供し、この方法は、治療有効量の本開示の組成物のいずれかを対象に投与することを含む。いくつかの実施態様では、本開示は、叢状神経線維腫に罹患しているか、又はそのリスクがある対象を治療するための方法を提供し、この方法は、治療有効量の本開示の組成物のいずれかを対象に投与することを含む。いくつかの実施態様では、本開示は、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)に罹患しているか、又はそのリスクがある対象を治療するための方法を提供し、この方法は、治療有効量の本開示の組成物のいずれかを対象に投与することを含む。
【0153】
他の実施態様では、本開示は、それを必要とする対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物、他の霊長類、競技用動物、ウシなどの商業的価値のある動物、ウマなどの家畜、又はイヌ及びネコなどのペット)におけるFms介在性の疾患又は病態、例えば、異常なFms活性(例えば、キナーゼ活性)を特徴とする疾患又は病態を治療するための方法を提供する。いくつかの実施態様では、この方法は、治療有効量の本開示の組成物のいずれかを、Fms介在性の疾患若しくは病態に罹患しているか、又はそのリスクがある対象者に投与することを伴い得る。一つの実施態様として、Fms介在性の疾患は、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、皮膚炎、強直性脊椎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性強皮症、若年性特発性関節炎、リウマチ性多発筋痛、シェーグレン病、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、スチル病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス(SLE)、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、自己移植のための骨髄調製、移植片拒絶、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、川崎病、血球貪食症候群(マクロファージ活性化症候群)、多中心性細網組織球症、及びアテローム動脈硬化症を含むがこれらに限定されない、炎症性及び自己免疫適応症;I型糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖、肥満、及び脂肪分解を含むがこれらに限定されない、代謝障害;骨粗鬆症、骨異栄養症、骨折のリスクの増加、パジェット病、高カルシウム血症、感染媒介骨溶解(例えば、骨髄炎)、及び人工関節周囲又は摩耗・細片媒介骨溶解を含むがこれらに限定されない、骨構造、石灰化、並びに骨形成及び再吸収の障害;子宮内膜症、腎炎(例えば、糸球体腎炎、間質性腎炎、ループス腎炎)、尿細管壊死、糖尿病関連腎合併症(例えば、糖尿病性腎症)、及び腎肥大を含むがこれらに限定されない、腎臓及び泌尿生殖器疾患;脱髄障害(例えば、多発性硬化症、シャルコー・マリー・トゥース症候群)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、重症筋無力症、慢性脱髄性多発ニューロパチー、他の脱髄障害、脳卒中、アルツハイマー病、及びパーキンソン病を含むがこれらに限定されない、神経系障害;慢性疼痛、急性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、骨痛を含むがこれらに限定されない、疼痛;多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、神経芽細胞腫、肉腫、骨肉腫、巨細胞腫(例えば、骨の巨細胞腫、腱鞘の巨細胞腫(TGCT))、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)、腫瘍血管新生、黒色腫、多形神経膠芽腫、神経膠芽腫のサブセット、神経膠芽腫の前神経サブセット、神経膠腫、中枢神経系の他の腫瘍、他の組織への腫瘍転移、溶骨性骨転移、及び他の慢性骨髄増殖性疾患(骨髄線維症など)を含むがこれらに限定されない、悪性腫瘍;膠原病性脈管疾患、結節性多発動脈炎、ベーチェット病、サルコイドーシス、家族性地中海熱、チャーグ・ストラウス血管炎、側頭動脈炎、巨細胞動脈炎、高安動脈炎を含むがこれらに限定されない、血管炎;ぶどう膜炎、強膜炎、網膜炎、加齢黄斑変性、脈絡膜血管新生、糖尿病性網膜症を含むがこれらに限定されない、眼科適応症;ケルビズム、神経線維腫症を含むがこれらに限定されない、遺伝性障害;ヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスに関連する感染症、ヒト顆粒球アナプラズマ症を含むがこれらに限定されない、感染性疾患の適応症;ゴーシェ病、CLN-6バッテン病、ファブリー病、ニーマン・ピック病を含むがこれらに限定されない、リソソーム蓄積症;肝硬変を含むがこれらに限定されない、消化管の適応症;肺線維症、急性肺損傷(例えば、人工呼吸器誘発肺損傷、煙又は毒素誘発肺損傷)を含むがこれらに限定されない、肺の適応症;(心肺)バイパス手術、血管手術、及び血管移植を含むがこれらに限定されない、外科的適応症;並びにFms、CSF1R、CSF1、若しくはIL-34、又は上記のいずれかの活性化変異若しくは転座を異常又は別様に発現する腫瘍からなる群から選択される。
【0154】
本開示の別の実施態様では、本開示の組成物のいずれかによって治療することができるCSF1R(Fms)介在性の疾患は、てんかんである。
【0155】
本開示の別の実施態様では、本開示の組成物のいずれかによって治療することができるCSF1R(Fms)介在性の疾患は、外傷性脳損傷である。
【0156】
本開示の別の実施態様では、ドビチニブ又はバタラニブと併用して、本開示の組成物のいずれかによって治療することができるCSF1R(Fms)介在性の疾患は、神経膠芽腫(GBM)である。
【0157】
本開示の別の実施態様では、本開示の組成物のいずれかによって治療することができるCSF1R(Fms)介在性の疾患には、タウオパチーが含まれる。
【0158】
本開示の別の実施態様では、本開示の組成物のいずれかによって治療することができるCSF1R(Fms)介在性の疾患には、患者におけるウイルス蓄積を減少させることが含まれる。
【0159】
本開示の別の実施態様では、本開示の組成物のいずれかによって治療することができるCSF1R(Fms)介在性の疾患には、エルドハイム・チェスター病/ランゲルハンス細胞組織球症、有毛細胞白血病、及び非小細胞肺癌(NSCLC)が含まれる。
【0160】
本開示の別の実施態様では、本開示の組成物のいずれかによって治療することができる疾患は、強皮症である。この実施態様では、本開示の組成物は局所投与され、非限定的な例として、ゲル、クリーム、又はスプレーなどの局所製剤で投与することができる。
【0161】
本開示の別の実施態様では、本開示の組成物のいずれかによって治療することができるCSF1R(Fms)介在性の疾患は、前眼部疾患又は後眼部疾患である。これらの眼部疾患の例には、角膜、結膜、強膜、及び涙腺の疾患が含まれる。いくつかの実施態様では、本開示の組成物は、点眼剤を含むがこれに限定されない、眼への投与に好適な製剤である。
【0162】
本開示の組成物のいずれかによる疾患又は病態の治療に関与する態様及び実施態様では、本開示は、それを必要とする対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物、他の霊長類、競技用動物、ウシなどの商業的価値のある動物、ウマなどの家畜、又はイヌ及びネコなどのペット)におけるFms及びKitによって介在される疾患又は病態、例えば、異常なFms活性及びKit活性(例えば、キナーゼ活性)を治療するための方法を提供する。
【0163】
いくつかの実施態様では、これらの方法は、有効量の本明細書に記載の1つ以上の組成物(複数可)を、Fms及びKitに介在される疾患若しくは病態に罹患しているか、又はそのリスクがある対象に投与することを伴い得る。一実施態様では、Fms及びKitに介在される病態は、関節リウマチ、変形性関節炎、乾癬性関節炎、乾癬、皮膚炎、アレルギー、アナフィラキシー、喘息、アレルギー性鼻炎、強直性脊椎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性強皮症、特発性関節炎、リウマチ性多発筋痛、シェーグレン病、ランゲルハンス細胞組織球症、スチル病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス、免疫性血小板減少性紫斑病、自己移植のための骨髄調製、移植片拒絶、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、川崎病、血球貪食症候群、多中心性細網組織球症、過好酸球増加症、及びじんま疹、I型糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖、肥満、及び脂肪分解、骨粗鬆症、骨ジストロフィー、骨折のリスクの増加、パジェット病、高カルシウム血症、感染媒介骨溶解、及び人工関節周囲又は摩耗・細片媒介骨溶解、子宮内膜症、腎炎、尿細管壊死、糖尿病関連腎合併症、及び腎肥大、多発性硬化症、シャルコー・マリー・トゥース症候群、筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症、慢性脱髄性多発ニューロパチー、他の脱髄障害、脳卒中、アルツハイマー病、及びパーキンソン病、急性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛、片頭痛、多発性骨髄腫、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、マスト細胞腫瘍、イヌのマスト細胞腫瘍、肺癌、精巣癌、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、メルケル細胞癌、女性生殖器の癌腫、結腸直腸癌、上皮内癌、消化管間質腫瘍、腫瘍血管新生、星状細胞腫、神経芽細胞腫、肉腫、骨肉腫、神経外胚葉起源の肉腫、骨の巨細胞腫、腱鞘の巨細胞腫、色素性絨毛結節性滑膜炎、黒色腫、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、神経膠腫、中枢神経系の他の腫瘍、神経線維腫症(神経線維腫症に関連するシュワン細胞新生物を含む)、肥満細胞症、他の組織への腫瘍転移、溶骨性骨転移、及び他の慢性骨髄増殖性疾患(骨髄線維症など)、膠原病性脈管疾患、結節性多発動脈炎、ベーチェット病、サルコイドーシス、家族性地中海熱、チャーグ・ストラウス血管炎、側頭動脈炎、巨細胞動脈炎、及び高安動脈炎、ぶどう膜炎、強膜炎、網膜炎、加齢黄斑変性、脈絡膜血管新生、糖尿病性網膜症、ケルビズム、神経線維腫症、ヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスに関連する感染症、ヒト顆粒球性アナプラズマ症、ゴーシェ病、ファブリー病、ニーマン・ピック病、肝硬変、胃食道逆流症、食道炎、及び消化管潰瘍、肺線維症、急性肺損傷、バイパス手術、血管手術、血管移植、アテローム動脈硬化症、心筋症、心不全、及び肺動脈性肺高血圧症からなる群から選択される。
【0164】
併用
いくつかの実施態様では、本開示は、本開示に記載の疾患又は病態に罹患している対象を治療する方法を提供し、該方法は、i)PD-L1阻害剤(デュルバルマブ、ニボルマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、及び90Yイブリツモマブチウキセタンなど)、ii)PD-1阻害剤(ペムブロリズマブなど)、iii)IDO阻害剤(インドキシモドなど)、iv)モノクローナル抗体(ラニビズマブ若しくはベバシズマブなど)、又はv)FLT3阻害剤(キザルチニブなど)を含むがこれに限定されない、キナーゼ阻害剤などの免疫療法と併用して、有効量の本開示の組成物のいずれかを対象に投与することを含む。いくつかの実施態様では、本開示に記載の疾患又は病態に罹患している対象を治療する方法は、治療有効量のIDO阻害剤(インドキシモドなど)と併用して、有効量の本開示の組成物のいずれかを対象に投与して、感染性疾患を治療することを含む。感染性疾患の非限定的な例には、インフルエンザ、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ポリオウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、コクサッキーウイルス、及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのウイルス感染が含まれる。いくつかの実施態様では、本開示に記載の疾患又は病態に罹患している対象を治療する方法は、治療有効量のPD-L1阻害剤(デュルバルマブ、ニボルマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、及び90Yイブリツモマブチウキセタンなど)と併用して、有効量の本開示の組成物のいずれかを対象に投与して、本開示に記載のc-Kit又はc-Fms関連疾患を治療することを含む。本開示の別の実施態様は、本開示に記載の疾患又は病態に罹患している対象を治療する方法を提供し、該方法は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、IDO阻害剤、モノクローナル抗体、又はFLT3キナーゼ阻害剤を対象に投与することをさらに含む。
【0165】
化合物Iは、ミクログリアを枯渇させることができ、これにより、タウ伝播を阻害することができる。エキソソーム阻害剤は、タウ伝播を停止させる。いくつかの実施態様では、本開示に記載の疾患又は病態に罹患している対象を治療する方法は、治療有効量のエキソソーム阻害剤と併用して、治療有効量の本開示の組成物のいずれかを対象に投与して、感染性疾患を治療することを含み、疾患又は病態は、タウ伝播によって調節されるものである。タウ伝播によって調節される疾患又は病態の非限定的な例には、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び認知症が含まれる。
【0166】
いくつかの実施態様では、本開示は、本開示に記載の疾患又は病態に罹患している対象を治療するための方法を提供し、該方法は、c-Kitタンパク質キナーゼ阻害剤又は変異c-Kitタンパク質キナーゼ阻害剤と併用して、治療有効量の本開示の化合物のいずれかを対象に投与することを含む。別の実施態様では、変異c-Kitタンパク質キナーゼ阻害剤は、(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-(3-ピリジル)メタノール、(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-(3-ピリジル)メタノン、N-(3-カルバモイルフェニル)-2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボキサミド、2-フェニル-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボキサミド、4-ブロモ-N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド、エチル3-[(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)カルバモイルアミノ]プロパノエート、3,4-ジメチル-N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド、4-メチル-3-フェニル-N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド、3-シクロプロピル-N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド、5-フルオロ-N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド、N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド、3-フルオロ-N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-カルボキサミド、3,5-ジメチル-N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)イソオキサゾール-4-カルボキサミド、N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピリダジン-3-カルボキサミド、N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-2H-トリアゾール-4-カルボキサミド、3-メチル-N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-カルボキサミド、4,5-ジメチル-N-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド又はN-(2-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1H-ピラゾール-4-スルホンアミドから選択される。
【0167】
別の実施態様では、化合物I結晶形Cは、第一選択、第二選択、及びネオアジュバントGISTを非限定的に含むGISTを治療するために、本開示に記載の変異c-Kit変異体阻害剤のいずれかと組み合わされる。
【0168】
別の実施態様では、本開示は、癌を治療する上で有効な1つ以上の他の療法又は医学的手技と併用して、有効量の本開示の組成物を対象に投与することによって、それを必要とする対象における癌を治療する方法を提供する。他の療法又は医学的手技には、好適な抗癌療法(例えば、薬物療法、ワクチン療法、遺伝子療法、光線力学療法)、又は医学的手技(例えば、外科手術、放射線治療、温熱療法、骨髄若しくは幹細胞移植)が含まれる。一つの実施態様では、1つ以上の好適な抗癌療法又は医学的手技は、化学療法剤(例えば、化学療法薬)による治療、放射線治療(例えば、X線、γ線、又は電子、陽子、中性子、若しくはα粒子線)、温熱療法(例えば、マイクロ波、超音波、高周波アブレーション)、ワクチン療法(例えば、AFP遺伝子肝細胞癌ワクチン、AFPアデノウイルスベクターワクチン、AG-858、同種GM-CSF分泌乳癌ワクチン、樹状細胞ペプチドワクチン)、遺伝子療法(例えば、Ad5CMV-p53ベクター、MDA7をコードするアデノベクター、アデノウイルス5-腫瘍壊死因子アルファ)、光線力学療法(例えば、アミノレブリン酸、モテキサフィンルテチウム)、腫瘍溶解性ウイルス療法又は細菌療法、外科手術、或いは骨髄及び幹細胞移植から選択される。特定の実施態様では、本開示は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象に投与することと、別々又は同時に本明細書に記載の放射線治療を適用することとによって、それを必要とする対象における癌を治療する方法を提供する。一つの実施態様では、本開示は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象に投与し、それに続いて放射線治療(例えば、X線、γ線、又は電子、陽子、中性子、若しくはα粒子線)することによって、それを必要とする対象における癌を治療するための方法を提供する。別の実施態様では、本開示は、放射線治療(例えば、X線、γ線、又は電子、陽子、中性子、若しくはα粒子線)を対象に適用し、それに続いて有効量の本明細書に記載の組成物を対象に投与することによって、それを必要とする対象における癌を治療するための方法を提供する。さらに別の実施態様では、本開示は、本明細書に記載の組成物及び放射線療法法(例えば、X線、γ線、又は電子、陽子、中性子、若しくはα粒子線)を同時に対象に投与することによって、それを必要とする対象における癌を治療するための方法を提供する。
【0169】
いくつかの実施態様では、本開示は、対象におけるKIT変異を有する黒色腫又は転移性黒色腫を治療するための方法を提供し、この方法は、治療有効量の本開示の組成物のいずれかを対象に投与することを含む。
【0170】
いくつかの実施態様では、本開示の組成物のいずれかによって、黒色腫に罹患しているか、又はそのリスクがある対象を治療する方法は、治療有効量のペンブロリズマブを対象に投与することをさらに含む。
【0171】
キナーゼ活性アッセイ
キナーゼ活性のいくつかの異なるアッセイを利用して、活性モジュレーターをアッセイすること、及び/又はその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2014/0037617号に記載のものなどの特定のキナーゼ若しくはキナーゼの群に対するモジュレーターの特異性を判定することができる。当業者であれば、利用することができる他のアッセイを容易に特定することができ、特定の用途のためにアッセイを修正することができる。例えば、キナーゼに関する多数の論文が、使用することができるアッセイを記載している。
【0172】
追加の代替的なアッセイは、結合判定を用い得る。例えば、この種類のアッセイは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)形式であるか、又はストレプトアビジン若しくはホスホ特異的抗体に結合するドナー試薬及び受容体試薬を変化させることによるAlphaScreen(増幅発光近接均一性アッセイ)形式を使用する。
【0173】
定義
本明細書で使用される場合、別段明確に示されない限り、以下の定義が適用される。
【0174】
提供される構造内、又はその構造に関連する変数の定義内のいずれかに関わらず、本明細書に記載の式中で指定される全ての原子は、反対であることが明確に示されない限り、その任意の同位体を含むことが意図される。任意の所与の原子について、同位体は、本質的にそれらの天然の存在に応じた比率で存在し得るか、又は当業者に既知の合成方法を使用して1つ以上の特定の原子が1つ以上の同位体に対して増強されている場合があることが理解される。したがって、水素には例えば、H、H、Hが含まれ、炭素には例えば、11C、12C、13C、14Cが含まれ、酸素には例えば、16O、17O、18Oが含まれ、窒素には例えば、13N、14N、15Nが含まれ、硫黄には例えば、32S、33S、34S、35S、36S、37S、38Sが含まれ、フッ素には例えば、17F、18F、19Fが含まれ、塩素には例えば、35Cl、36Cl、37Cl、38Cl、39Clが含まれるなどである。
【0175】
「結晶形」という用語は、多形だけでなく、溶媒和化合物、水和物なども指す。「多形」という用語は、X線回折及び融点などの特定の物理的特性を有する特定の結晶構造を指す。「結晶形」とは、組成物中に存在する化合物の50%超、又は55%超、又は60%超、又は65%超、70%超、75%超、又は80%超、又は85%超、又は90%超、又は95%超が結晶形であることを意味する。
【0176】
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」、「療法(単数)」、「療法(複数)」という用語、及び同様の用語は、物質、例えば、有効量の本明細書に記載の任意の1つ以上の化合物(複数可)を投与して、ある疾患若しくは病態の1つ以上の症状(すなわち、適応症)を予防、緩和、若しくは軽減すること、及び/又は治療されている対象の生存を延長することを指す。
【0177】
化合物I(PLX3397又はペキシダルチニブとしても知られる)は、Fms、Kit、及びFlt3タンパク質キナーゼの阻害剤である。これらの標的に対するIC50値を測定することができるキナーゼアッセイは、米国公開第US2007/0032519号、同第US2009/0076046号、及び同第US2011/0112127号に記載されている。化合物Iは、これら3つのキナーゼ標的の各々に対して0.05μM未満のIC50値を有する。
【0178】
本明細書で使用される「Fms及び/又はKit及び/又はFlt3タンパク質キナーゼを介する疾患又は病態」という用語は、Fmsタンパク質キナーゼ(その任意の変異体を含む)、Kitタンパク質キナーゼ(その任意の変異体を含む)、Flt3タンパク質キナーゼ(その任意の変異体を含む)、若しくはFms及びKitタンパク質キナーゼの両方(それらの任意の変異体を含む)の生物学的機能が、疾患若しくは病態の発症、経過、及び/又は症状に影響を及ぼし、並びに/或いはFms及び/又はKit及び/又はFlt3タンパク質キナーゼの調節が、疾患若しくは病態の発症、経過、及び/又は症状を改変する、疾患又は病態を指す。Fms及び/又はKit及び/又はFlt3タンパク質キナーゼを介する疾患又は病態には、調節が治療的利益をもたらす、例えば、任意で本明細書に記載の別の治療剤又は療法と併用して、Fms及び/又はKit及び/又はFlt3タンパク質キナーゼ阻害剤(複数可)(本開示に記載の組成物のいずれかを含む)での治療が、その疾患若しくは病態に罹患しているか、又はそのリスクがある対象に治療的利益を提供する、疾患又は病態が含まれる。
【0179】
本明細書で使用される「Fmsタンパク質キナーゼを介する疾患又は病態」、「c-Fmsを介する疾患又は病態」及び同種の用語は、Fmsタンパク質キナーゼ(その任意の変異体を含む)の生物学的機能が、疾患又は病態の発症、経過、及び/若しくは症状に影響を及ぼし、並びに/或いはFmsタンパク質キナーゼの調節が、疾患又は病態の発症、経過、及び/又は症状を改変する、疾患或いは病態を指す。Fmsタンパク質キナーゼを介する疾患又は病態には、Fms阻害が治療的利益を提供する、例えば、任意で本明細書に記載の別の治療剤又は療法と併用して、本開示の組成物のいずれかを含むFms阻害剤(複数可)での治療が、その疾患又は病態に罹患しているか、又はそのリスクがある対象者に治療的利益を提供する、疾患或いは病態が含まれる。
【0180】
本明細書で使用される「Kitタンパク質キナーゼを介する疾患又は病態」、「c-Kitを介する疾患又は病態」及び同種の用語は、Kitタンパク質キナーゼ(その任意の変異体を含む)の生物学的機能が、疾患又は病態の発症、経過、及び/若しくは症状に影響を及ぼし、並びに/或いはKitタンパク質キナーゼの調節が、疾患又は病態の発症、経過、及び/若しくは症状を改変する、疾患或いは病態を指す。Kitタンパク質キナーゼを介する疾患又は病態には、Kit阻害が治療的利益を提供する、例えば、任意で本明細書に記載の別の治療剤又は療法と併用して、Kit阻害剤(複数可)(本開示の組成物のいずれかを含む)での治療が、その疾患若しくは病態に罹患しているか、又はそのリスクがある対象に治療的利益を提供する、疾患又は病態が含まれる。
【0181】
本明細書で使用される「組成物」(本明細書で医薬組成物とも称される)という用語は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物(その任意の固体形態を含む)を含有する、治療目的での意図される対象への投与に好適な薬学的調製物を指す。組成物は、好適な可溶化剤又は賦形剤などの、化合物の製剤化の改善を提供するための少なくとも1つの薬学的に許容される構成成分を含み得る。
【0182】
本明細書で使用される「カプセル製剤」という用語は、本開示における組成物のいずれかのカプセル剤を指す。カプセル製剤の非限定的な例には、本開示に記載の製剤AA、製剤AB、製剤AC、製剤AD、製剤AE、及び製剤AFが含まれる。
【0183】
本明細書で使用される「錠剤製剤」という用語は、本開示の組成物のいずれかの錠剤を指す。カプセル製剤の非限定的な例には、本開示に記載の製剤AA、製剤AB、製剤AC、製剤AD、製剤AE、及び製剤AFが含まれる。
【0184】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、本明細書に記載の化合物で治療される生物を指し、ヒトなどの任意の哺乳動物、他の霊長類、競技用動物、ウシなどの商業的価値のある動物、ウマなどの家畜、又はイヌ及びネコなどのペットを含むがこれらに限定されない。
【0185】
本明細書で使用される、定量的測定の文脈において使用される「約」という用語は、示される量±10%を意味する。例えば、「約2:8」は1.8から2.2:7.2から8.8を意味するであろう。いくつかの実施態様では、「約」という用語は、±5%、±4%、±3%、±2%、又は±1%を指す。
【0186】
薬学的又は生物学的に活性な化合物(例えば、化合物I)の文脈において本明細書で使用される「安定した」という用語は、化合物がある一定の特定の条件下でその活性を保持するか、又は特定の物理的若しくは化学的特性を保持する能力を指す。いくつかの実施態様では、特定の期間の終了時点での活性が、特定の期間の開始時点での化合物の活性の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%である場合、活性化合物は、「安定」している。いくつかの実施態様では、化合物の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%が、特定の期間の終了時点で結晶形のままである場合、結晶形の化合物は、安定している。さらなる実施態様では、結晶性化合物が、示される期間中にXRPDプロファイルにおける検出可能な結晶ピークを形成する場合、それは、安定している。
【0187】
本明細書で使用される「実質的に図に示されるような」という語句は、DSCサーモグラムの場合、±3摂氏℃の変動を含むことが意図され、熱重量分析(TGA)に適用される場合、重量減少の±2%の変動を含むことが意図される。
【0188】
本明細書で使用されるXRPDパターンにおけるフレーズ「主要ピーク」という語句は、観察されるピーク一覧全体のサブセットを指す。主要ピークは、強い強度を有する、好ましくは重複しない低角度のピークを特定することによって、観測されるピークから選択される。
【0189】
モジュレーターであるか、又はモジュレーターであり得る化合物の使用、試験、又はスクリーニングの文脈において、「接触すること」という用語は、化合物(複数可)が、その化合物と他の特定の物質との間の潜在的な結合相互作用及び/又は化学反応が起こり得る特定の分子、複合体、細胞、組織、生物、又は他の特定の物質に十分に近接するようになっていることを意味する。
【0190】
本明細書で使用される「実質的に結晶性の」物質という用語は、約80%超の結晶化度を有する物質を包含する。別の実施態様では、実質的に結晶性の物質は、約90%超の結晶化度を有する物質を包含する。別の実施態様では、実質的に結晶性は、約98%超の結晶化度を有する物質を包含する。
【0191】
「薬学的に許容される」という用語は、示される物質が、治療される疾患又は病態及びそれぞれの投与経路を考慮して、合理的に慎重な医療従事者に患者への物質の投与を回避させるような特性を有しないことを示す。例えば、注射剤用のそのような物質は、本質的に無菌であることが一般的に必要とされる。
【0192】
本文脈において、「治療的に有効な」又は「有効量」という用語は、物質又は物質の量が、疾患若しくは医学的病態の1つ以上の症状を予防、緩和、若しくは軽減するのに、及び/又は治療されている対象の生存を延長するのに有効であることを示す。特定の実施態様では、「治療有効量」の化合物Iは、CSF1R及びc-Kitを阻害するのに必要な期間の投薬量及び/又は投与を指す。さらに、治療有効量は、全体的な治療的に有益な効果が毒性又は望ましくない副作用を上回るような量であり得る。治療有効量の化合物Iは、治療される対象の病状、年齢、及び体重に応じて変動し得る。したがって、投薬量は、典型的には、特定の各症例において個々の要件に合わせて調整され、かつ当業者の技術範囲内である。特定の実施態様では、化合物Iの成人への投与のための適切な1日用量は、約100mgから約3200mg又は約250mgから約2000mgであり得るが、指示される場合には上限を超えてもよい。化合物Iの1日投薬量は、単回用量として、分割用量で投与されても、又は非経口投与の場合、それは皮下注射として投与されてもよい。
【0193】
本文脈において、「相乗的に有効な」又は「相乗効果」という用語は、治療的に有効な2つ以上の化合物が、併用して使用した場合に、単独で使用される各化合物の効果に基づいて期待される相加効果よりも大きい、改善された治療効果を提供することを示す。
【0194】
本明細書で使用される場合、「調節すること」又は「調節する」という用語は、生物学的活性、特にタンパク質キナーゼなどの特定の生体分子に関連する生物学的活性を改変する効果を指す。例えば、特定の生体分子のアゴニスト又はアンタゴニストは、酵素などの生体分子の活性を増加させること(例えば、アゴニスト、活性化剤)、又は減少させること(例えば、アンタゴニスト、阻害剤)のいずれかによって、その生体分子、例えば、酵素の活性を調節する。そのような活性は、典型的には、例えば、酵素に対する、阻害剤又は活性化剤の、化合物の阻害濃度(IC50)又は刺激濃度(EC50)の観点でそれぞれ示される。
【0195】
本明細書で使用される「混ぜる」又は「混合する」という用語は、互換的であり、2つ又は物質を組み合わせることを意味する。
【0196】
本明細書で使用される略語は、以下のそれぞれの意味を有する。
【実施例
【0197】
本開示に関連する実施例を、以下に記載する。ほとんどの場合、代替的な技術を使用してもよい。実施例は、例示的であり、本開示の範囲の限定も、それへの拘束もされないことが意図される。
【0198】
実施例1:化合物I
化合物Iを、以下の合成手順に従って合成した。
【化3】
【0199】
ステップ1:化合物2eから化合物2fへの変換
市販のジ-tert-ブチル (5-ホルミルピリジン-2-イル)イミドジカーボネート(化合物2e)、市販の5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン)(化合物6)、(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン)、重硫酸テトラブチルアンモニウム、及び無水イソプロピルアルコールを、窒素で覆われた乾燥反応器に添加した。反応混合物を、撹拌しながら約3時間、又は固体が溶解するまで10から20℃の温度に冷却した。内部温度を10から20℃に維持しながら、カリウムtert-ペントキシド(トルエン中25%)を添加した。反応混合物を20から25℃で最低20時間撹拌した。HPLCにより反応混合物を分析することによって、反応の進行を確認した。化合物2fが80.0%以上となった時、反応混合物を最低2時間、-5から5℃の内部温度に冷却する。固体を濾過によって分離し、冷却したイソプロピルアルコールで洗浄し、その後、残留イソプロピルアルコールレベルが12%w/w以下になるまで、最低12時間、真空下で乾燥させた。
【0200】
ステップ2:化合物2fから化合物2hへの変換
窒素下の化合物2f及びアセトニトリルを、窒素で覆われた乾燥反応器に充填し、混合物を撹拌しながら0から10℃に冷却した。内部温度を0から10℃に維持しながら、トリエチルシラン及びトリフルオロ酢酸を連続的に添加し、反応混合物を55から65℃まで緩徐に加熱し、この温度で約20時間維持した。HPLCにより反応混合物を分析することによって、反応の進行を確認した。濃縮した後、精製水を添加し、再度濃縮することによって、生成物を析出させる。懸濁液を45から60℃で1から3時間撹拌した後、0から10℃まで冷却し、濾過した後、得られた固体を精製水で洗浄した。固体をn-ヘプタンで洗浄し、真空下で約12時間乾燥させ、化合物2hを得た。
【0201】
ステップ3:化合物2hから化合物Iへの変換
化合物2h、市販の化合物F、及びアセトニトリルを窒素で覆われた乾燥反応器に充填し、得られた混合物を約30℃の温度で撹拌した。温度を30℃以下に維持しながら、トリフルオロ酢酸及びトリエチルシランを連続的に添加し、反応混合物を加熱還流し、この温度で約24時間維持した。HPLCにより反応混合物を分析することによって、反応の進行を確認した。反応混合物を濃縮し、精製水を添加した後、再度濃縮した。酢酸エチルを添加し、それに続いて25%の水酸化ナトリウム溶液を添加し、混合物のpHを8から10に上昇させた。下部の水層を廃棄し、上部の有機層を精製水で洗浄した。濃縮し、n-ヘプタンを添加することによって生成物を析出させ、得られた固体を濾過し、n-ヘプタンで洗浄した。酢酸エチル及び精製水を固体に添加し、混合物を完全に溶解するまで加熱しながら撹拌した。濃縮し、n-ヘプタンを添加することによって、化合物Iを結晶化させた。固形物を濾過し、n-ヘプタンで洗浄し、重量減少が1%以下になるまで最低12時間、真空下で乾燥させる。
【0202】
ステップ4:化合物I(遊離塩基)から化合物I(塩酸塩)への変換
化合物I(遊離塩基)及びメタノールを窒素で覆われた乾燥反応器に充填し、得られた混合物を撹拌した。温度を30℃未満に維持しながら濃塩酸を添加し、透明な溶液が観察されるまで混合物を20から30℃で撹拌した。溶液をインラインフィルターで濾過し、それに続いてメタノールで濯いだ。温度を28から32℃に維持しながら、精製水を溶液に添加した。種結晶を添加し、混合物を28から32℃で1から3時間撹拌した。25から32℃の温度を維持しながら、得られた懸濁液に精製水を添加した。その後、混合物を約2時間、0から7℃に冷却した。得られた固体を濾過によって分離し、冷却したメタノール及びメチルtert-ブチルエーテルの混合物で洗浄し、それに続いて冷却したメチルtert-ブチルエーテルで濯いだ。その後、固体をメチルtert-ブチルエーテル及び精製水の混合物中に再懸濁し、約6時間撹拌しながら加熱還流し、濾過によって固体を分離し、メチルtert-ブチルエーテルで洗浄し、最低12時間、真空下で乾燥させた。その後、乾燥した固体をスクリーニングミルを使用して篩にかけ、大きな塊を破壊して、所望の生成物(化合物Iの塩酸塩)を得た。
【0203】
実施例2:結晶多形C
化合物Iの塩酸塩について、4つの結晶多形、つまり結晶形A(非溶媒和)、結晶形B(水和混合物)、結晶形C(非溶媒和)、及び結晶形D(メタノール溶媒和化合物)が特定された。これらの結晶形のうち、結晶形Cが最も頻繁に観察され、最も物理的に安定した結晶形であった。結晶形Cは、実質的に結晶形である。
【0204】
アセトン、1,4-ジオキサン、エタノール、メタノール、並びにイソプロパノール及び水の混合物から選択される溶媒から、化合物I結晶形Aを再結晶化することによって、化合物Iの結晶形Cを調製した。別の実施態様では、化合物I結晶形Cは、エタノールから化合物I結晶形Aを再結晶化することによって調製される。化合物I結晶形Aは、メタノール及び水の混合物から化合物Iの塩酸塩を再結晶化することによって調製される。
【0205】
化合物I結晶形Cは、Cu-Kα放射を使用する回折計において判定される際、7.3、23.3、及び28.2°2θでのピーク(±0.2°)を含むX線粉末回折図を特徴とする。回折図は、16.6及び20.9°2θでの追加のピーク(±0.2°)を含む。結晶形Cはまた、実質的に図1に示されるようなその完全なX線粉末回折図も特徴とする。XRPDパターンにおける主要ピークを、以下の表1に示す。一つの実施態様では、本開示は、Cu-Kα放射を使用する回折計において判定される際、以下の表1に列挙される2つ以上のピーク(±0.2°)を含む化合物I結晶形Cを提供する。
【0206】
XRPDデータは、PANalytical X’Pert Pro Diffractometerを使用して収集された。Optixの長微小焦点源を使用して生成されたCu放射線を使用して、試料は分析された。楕円傾斜多層膜鏡を使用して、線源のCu Kα X線を試料に通し、検出器に集束させた。試料を厚さ3ミクロンのフィルム間に挟み、透過配置で分析し、回転させて、配向統計を最適化した。ビームストップを使用して、空気散乱によって生成されるバックグラウンドを最小化した。入射ビーム及び回折ビームにソラースリットを使用して、軸方向の発散を最小化した。試料から240mmに位置する走査位置検出器(X’Celerator)を使用して、回折パターンを収集した。分析の前に、シリコン試料(NIST SRM640c)を分析して、シリコン111ピークの位置を検証した。
【表1】
【0207】
いくつかの実施態様では、結晶形Cはまた、約227℃の開始温度で約234℃で最大となるシグナルを含む吸熱を含む、その示差走査熱量測定(DSC)曲線も特徴とする。別の実施態様では、DSC曲線は、実質的に図2に示される通りである。
【0208】
いくつかの実施態様では、結晶形Cはまた、実質的に図3に示されるようなサーモグラムを含む熱重量分析(TGA)も特徴とする。
【0209】
いくつかの実施態様では、結晶形Cはまた、実質的に図4に示されるような動的蒸気吸着(DVS)曲線も特徴とする。
【0210】
結晶形C以外(結晶形A、B、及びD)の化合物Iの塩酸塩の結晶形もまた、本開示の組成物及び製剤に企図される。そのような結晶形は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2016/179415に記載されている。
【0211】
実施例3:カプセル製剤AAからAF
(表2)に示されるように、いくつかのカプセル製剤が製造された。最初に、カプセル剤皮の色のみが異なる2つの100mgカプセル製剤(製剤AA及びAB)が開発された。その後、より高い用量を提供するために、予備的な200mg製剤(製剤AC)が開発された。100mg(製剤AA及びAB)並びに200mg(製剤AC)の両方の初期製剤は、同じ配合組成に基づいた。
【0212】
その後、2つのより単純な200mgカプセル製剤、硬質ゼラチンカプセル剤皮の製剤AD、及びヒプロメロースカプセル剤皮の製剤AEが、臨床試験用に製造された。これらの製剤は、100mg製剤(製剤AA及びAB)と同じ主要配合組成(化合物I塩酸塩及びポロキサマー407)に基づくが、追加の賦形剤は含まなかった。
【0213】
最適化された200mgカプセル製剤(製剤AF)が開発された。AA製剤及びAB製剤とは対照的に、微結晶セルロースは配合されていない。製剤AFは、製剤AEよりも驚くほど良好な溶解性を示す。このAF製剤の開発はまた、用量200mgのカプセル製剤の製造性を改善するためにも必要であった。
【表2】
【0214】
実施例4:製剤AA、AB、及びACの製造方法
1.化合物I結晶形C及びポロキサマー407をブレンダーに添加し、混合した。
2.混合した材料をローラー圧縮し、混合して、所望のリボンを得た。スクリュー速度、スクリューアンプ、ローラー速度、ローラーアンプ、ローラー圧力、及び厚さ[mm]を記録した。
3.スクリーンを使用して、ローラー圧縮リボンを微粒子から分離した。微粒子は、必要に応じてローラー圧縮工程を通して処理した。
4.リボンを適切なスクリーンを備えた粉砕機に通した。
5.粉砕した材料を混合機に充填し、混合した。
6.混合した材料は、必要に応じて、適切にラベル付けした(例えば、顆粒材料)二重ポリエチレン袋容器に保管した。
7.製剤(AA)及び(AB)100mgカプセル:
a.顆粒材料を混合機に添加した。
b.微結晶セルロース、マンニトール、及びクロスポビドンを、個々にスクリーニングし、混合機に充填した。
c.残りの顆粒材料を混合機に充填し、混合した。
d.ステアリン酸マグネシウムをスクリーニングし、混合機に充填し、混合した。
8.製剤(AC)200mgカプセル:
a.ステップ7(a)から7(d)に従ったが、200mgカプセルには2倍の量の出発材料を使用した。
9.混合均一性の測定のために、試料を得た。
10.混合均一性の平均値に基づいて、カプセル充填重量を判定した。
11.ドセーター(Dosator)型カプセル化装置を使用して、カプセルを充填した。
12.カプセルの粉塵を取り除き、金属混入について確認した(このステップは、カプセル化中又はカプセル化後に実行することができる)。
13.全ての許容可能なカプセルを、自動重量選別機で処理した。
【0215】
化合物I結晶形Cのカプセル製剤の製造に使用される代表的な機器の一覧を、表3に示す。スケールアップ及び承認後の変更(SUPAC)に従って、同じ動作原理のあらゆる同等の機器を使用することができる。https://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm346049.pdf
他の全ての機器は、標準的な薬学的設計のものである(例えば、ステンレス鋼容器、サイズスケールなど)。
【表3】
【0216】
工程管理-製剤AA、AB、及びAC
工程管理を、表4に要約する。
【表4】
【0217】
実施例5:製剤AD及びAEの製造方法
1.化合物I結晶形C及びポロキサマー407を混合機に充填し、混合した。
2.混合した材料をローラー圧縮し、必要に応じて調整して、リボン用稠度を得た。スクリュー速度、スクリューアンプ、ローラー速度、ローラーアンプ、ローラー圧力、及び厚さ(mm)を記録した。
3.スクリーンを使用して、ローラー圧縮リボンを微粒子から分離した。微粒子は、必要に応じてローラー圧縮工程を通して処理した。
4.リボンを適切なスクリーンを備えた粉砕機に通した。
5.粉砕した顆粒を混合機に充填し、混合した。
6.混合した顆粒は、必要に応じて、適切にラベル付けした(例えば、顆粒材料)二重ポリエチレン袋容器に保管した。
7.造粒した顆粒を混合機に充填し、混合した。
8.混合均一性を測定するために、試料を得た。
9.混合均一性の平均値に基づいて、目標カプセル充填重量を判定した。
10.ドセーター(Dosator)型カプセル化装置を使用して、カプセルを充填した。
11.カプセルの粉塵を取り除き、金属混入について確認した(このステップは、カプセル化中又はカプセル化後に実行することができる)。
12.全ての許容可能なカプセルを、自動重量選別機で処理した。
【0218】
製剤AD及びAEの製造に使用される機器は、方法1の製剤AFに使用される機器と同一である(表6)。SUPACに従って、同じ動作原理のあらゆる同等の機器を使用することができる。他の全ての機器は、標準的な医薬品設計のものである(例えば、ステンレス鋼容器、サイズスケールなど)。
【0219】
工程管理-製剤AE
製剤AEの製造のための工程管理を、表5に要約する。
【表5】
【0220】
実施例6:製剤AFの製造方法
製剤AFの製造方法1
製剤AFには、2つの製造方法(方法1又は方法2)が適用されている。これらは、最初の混合工程における化合物I塩酸塩及びポロキサマー407の混合方法が異なる。これらの製造方法の詳細は、次のとおりである。
1.混合工程:化合物I結晶形C及びポロキサマー407を、拡散ミキサーを使用して混合した。
2.ローラー圧縮工程:混合した粉末を乾式造粒機(ローラーコンパクター)を使用して圧縮し、リボンを得た。
3.整粒工程:ローラー圧縮リボンを、適切なスクリーンを有するカッティングミルに通して、適切なサイズの顆粒を得た。
4.混合工程-I:整粒した顆粒、マンニトール、及びクロスポビドンを、拡散ミキサーを使用して混合した。
5.混合工程-II:混合工程-Iで得られた混合物を、拡散ミキサーを使用してステアリン酸マグネシウムと混合した。
6.カプセル化工程:最終混合物を、カプセル化装置を使用して、ヒプロメロースカプセルに充填した。
7.ポリッシング工程:カプセルをポリッシャーに通した。重量選別工程:カプセルを自動重量選別機に通した。
8.包装工程:カプセルを任意で、ねじ蓋付きのポリプロピレン製小児用安全キャップ及び熱活性化誘導シールを有する高密度ポリエチレンボトルに包装してもよい。
【0221】
製剤AFの製造方法2
1.混合工程:化合物I結晶形C及びポロキサマー407を、対流ミキサー(垂直式高強度ミキサー)を使用して混合した。
2.篩過工程:スクリーンを使用して、混合物をスクリーニングした(この工程は、任意で実行した)。
3.ローラー圧縮工程-混合した粉末を乾式造粒機(ローラーコンパクター)を使用して圧縮し、リボンを得た。
4.整粒工程:ローラー圧縮リボンを、適切なスクリーン及び回転インペラを有するスクリーニングミルに通して、適切なサイズの顆粒を得た。
5.混合工程-I:粉砕した顆粒、マンニトール、及びクロスポビドンを、拡散ミキサーを使用して混合した。
6.混合工程-II:混合工程-Iで得られた混合物を、拡散ミキサーを使用してステアリン酸マグネシウムと混合した。
7.カプセル化工程:最終混合物を、カプセル化装置を使用して充填した。
8.ポリッシング工程:カプセルをポリッシャーに通した(この工程は、任意で実行した)。
9.重量選別工程:カプセルを自動重量選別機に通してもよい。
10.包装工程:カプセルを任意で、ねじ蓋付きのポリプロピレン製小児用安全キャップ及び熱活性化誘導シールを有する高密度ポリエチレンボトルに包装してもよい。
【0222】
方法1及び2について、化合物I結晶形Cカプセル、製剤AFの製造に使用される代表的な機器の一覧を、表6に示す。同じ動作原理のあらゆる同等の機器を使用することができる。他の全ての機器は、標準的な医薬品設計のものである(例えば、ステンレス鋼容器、サイズスケールなど)。
【表6】
【0223】
工程管理-製剤AF
化合物I結晶形Cカプセル、製剤AFの製造のための工程管理を、表7及び8に要約する。
【0224】
AFカプセルの製造工程は、方法2で最適化された。方法2及び方法1の違いは、(i)混合工程の機器クラス、(ii)整粒工程、及び(iii)混合工程後の任意の篩過工程の追加である。これらの変更により、溶出プロファイルに於いて観察されるロット間の変動が低下する。
【表7】
【表8】
【0225】
製剤AAからAFの溶出プロファイル例
溶出試験を、表9に示される条件下で実行した。
【0226】
以下の製剤AAからAFの溶出プロファイルは、方法1により製造した製剤AFが、製剤AA、AB、AC、AD、又はAEよりも、予想外に良好な溶出プロファイルを有すること、及び方法2により製造された製剤AFが、方法1により製造された製剤AFよりも、良好な溶出プロファイルを有することを示している。
【0227】
実施例7:製剤AB(100mg用量)及び製剤AD(200mg用量)の溶出プロファイルの比較
AB製剤(100mg)の5つのバッチ及びAD製剤(200mg)の3つのバッチのインビトロの溶出プロファイルの比較により、これら2つの製剤が同等の溶出特性(20分以内に80%超が溶出)を有することが実証された。これらの溶出プロファイルを、図5に示す。
【0228】
実施例8:製剤AD及びAEの溶出プロファイル比較
硬質ゼラチンカプセル中の化合物I結晶形C(製剤AD)と、HPMCカプセル中の化合物I結晶形C(製剤AE)とを比較する溶出評価を実行した。製剤AD及びAEの組成物を、硬質ゼラチン及びHPMCカプセルに手作業で充填した。溶出試験条件を、表9に要約する。この溶出評価では、標準的な丸底型ベッセルを使用した。結果を表10に要約する。結果は、硬質ゼラチン及びHPMCカプセルの溶出プロファイルが類似していることを示している。HPMCプロファイルの初期遅延(10及び20分)は予想通りであり、HPMCカプセル製造業者であるCapsugelによって報告されるプロファイルシフトと一致している。
【表9】
【表10】
【0229】
実施例9:製剤AA、AB、AC、AD、及びAEの溶出プロファイルと比較した、方法1によって製造した製剤AFの溶出プロファイル。
方法1によって製造された製剤AFの溶出プロファイルを、製剤AEの溶出プロファイルと比較した。AE製剤の2つのバッチ及びAF製剤の1つのバッチのインビトロの溶出プロファイルの比較を、表11及び図6に示す。製剤AFと製剤AEとを比較する、10から30分のデータを使用するf値は、それぞれ42及び34であった。したがって、製剤AFは、製剤AEよりも驚くほど良好な溶出プロファイルを有する。
【表11】
【0230】
製剤AA、AB、AC、及びADは、本明細書に述べた理由により、製剤AEとほぼ同じ溶出プロファイルを有し、それらを以下に再度示す。
1.製剤AEは、ADとほぼ同じ溶出プロファイルを有する(実施例8及び表10を参照されたい)。
2.製剤ADは、製剤ABとほぼ同じ溶出プロファイルを有する(実施例7及び図5を参照されたい)。
3.製剤AB、AA、及びACは、様々な硬質ゼラチンカプセル中の組成と同じ組成を有する。これらの3つの製剤間では組成には違いがないが、(1)AA製剤(オレンジ)とAB製剤(青)との間のカプセルの色、並びに(2)製剤AC(200mg)並びに製剤AA及びAB(100mg)の組成物の量には違いがある(実施例3及び表2を参照されたい)。
【0231】
実施例10:方法2により製造された製剤AFの溶出プロファイルと比較した、方法1により製造された製剤AFの溶出プロファイル
表12及び図7に示されるように、方法1により製造された製剤AFの溶出プロファイルに於いて、ロット間の変動が認められた。
【表12】
【0232】
方法2により製造された製剤AFは、表13及び図8に示されるように、混合スケールから独立した一定の溶出プロファイルを示した。
【表13】
【0233】
これらの結果は、拡散ミキサーよりも、対流ミキサーが化合物I塩酸塩及びポロキサマー407の混合にとってより適切な機器であることを示している。
【0234】
本明細書で引用した全ての特許及び他の参考文献は、本開示が関連する当業者の技術レベルを示し、各参考文献の全体が個々に参照により組み込まれているのと同程度に、あらゆる表及び図を含むそれら全体が参照により組み込まれる。
【0235】
当業者であれば、本開示が言及される目的及び利益、並びにそれに固有のものを得るためによく適合していることを容易に認識するであろう。好ましい実施態様の現行の代表例として本明細書に記載の方法、変形、及び組成物は例示的であり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。その中の変更及び他の用途は当業者に想到されるであろうが、それらは本開示の趣旨の範囲内に包含され、特許請求の範囲によって定義される。
【0236】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群及び代替案の他の群分けの観点で説明されている場合、当業者は、本開示がそれによりマーカッシュ群又は他の群の任意の個々のメンバー又はメンバーの部分群の観点でも説明されていることを認識するであろう。
【0237】
したがって、追加の実施態様は本開示の範囲内かつ以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8