(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/90 20200101AFI20221104BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20221104BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20221104BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20221104BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20221104BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20221104BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A24F40/90
A24F40/465
A24F47/00
H05B6/36 E
H05B6/10 331
H02J50/10
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2020513625
(86)(22)【出願日】2018-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2018073616
(87)【国際公開番号】W WO2019048379
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-16
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】100169100
【氏名又は名称】辰川 肇
(72)【発明者】
【氏名】ジル,マーク
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/118553(WO,A1)
【文献】特表2019-510469(JP,A)
【文献】特開2014-038725(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0298922(US,A1)
【文献】特表2016-524777(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085242(WO,A1)
【文献】特表2016-524458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-40/95
A24F 47/00
H05B 6/00-6/80
H02J 50/10
H02J 7/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリであって、
充電式電源と、
電磁誘導コイルと
、
使用中にサセプタを加熱
し、また、使用中に外部ソースによって生成された電磁場を受信して前記
充電式電源を充電するように
前記電磁誘導コイルを選択的に制御するように構成され
た電磁誘導コントローラと、
を含む電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項2】
前記外部ソースによって生成された電磁場によって前記電磁誘導コイルに電磁誘導された高周波交流電流を、前記充電式電源を充電するのに適した形態に変更するように構成された整流器を更に含む、請求項1に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項3】
前記整流器は、前記電磁誘導コイルからの前記高周波交流電流を直流電流に変更するように構成される、請求項2に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項4】
前記
充電式電源からの直流電流を交流高周波電流に変更するように構成されたインバータ
を更に含み、
前記電磁誘導コントローラ
は、使用中、前記交流高周波電流を前記電磁誘導コイルに選択的に供給できるように、且つ、サセプタを前記電磁誘導コイルによって電磁誘導的に加熱できるように、且つ、使用中、外部ソースによって生成された電磁場の形態で前記電磁誘導コイル
によって電力が受け取られると、直流電流を前記
充電式電源に選択的に供給して前記
充電式電源を電磁誘導的に充電できるように、使用中に前記
充電式電源、前記電磁誘導コイル、前記整流器、及び前記インバータと電気的に接続するように構成され
る、請求項3に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項5】
前記電磁誘導コイルは実質的に円筒形の形状をしている、請求項1~4の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項6】
前記インバータ及び前記整流器は、前記
充電式電源からの直流電流を交流高周波電流に選択的に変更し、且つ前記電磁誘導コイルからの交流高周波電流を直流電流に選択的に変更するように構成された、同じ部材である、請求項
4に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項7】
前記
電磁誘導加熱アセンブリは、その体積内に電磁場の外部ソースの少なくとも一部を収容するように構成される、請求項1~
4の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項8】
前記
電磁誘導加熱アセンブリの少なくとも一部は、使用中、電磁場の外部ソースの
体積中に挿入されるように構成される、請求項1~
4の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項9】
蒸気生成装置であって、
請求項1~8の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリと、
気化可能物質及び電磁誘導加熱可能サセプタを備える物体を収容するように構成される、加熱コンパートメントと、
前記加熱コンパートメントに空気を供給するように構成された吸気口と、
前記加熱コンパートメントと連通している排気口と、を含む、蒸気生成装置。
【請求項10】
前記加熱コンパートメントは、実質的に円筒形の気化可能物品を収容するように構成される、請求項9に記載の蒸気生成装置。
【請求項11】
蒸気生成装置充電システムであって、
請求項1~8の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリと、
電磁場を生成することにより前記電磁誘導加熱アセンブリの前記電磁誘導コイルに電流を電磁誘導するように構成された充電コイルを含む充電装置と、を含む、蒸気生成装置充電システム。
【請求項12】
前記充電装置は実質的に円筒形である、請求項11に記載の蒸気生成装置充電システム。
【請求項13】
蒸気生成装置を充電する方法であって、
前記蒸気生成装置の電磁誘導加熱アセンブリの近傍に充電装置を配置するステップであって、前記電磁誘導加熱アセンブリは充電式電源及び電磁誘導加熱コイルを含む、ステップと、
前記充電装置から電磁場の形態で前記
電磁誘導加熱アセンブリの前記電磁誘導加熱コイルに電力を伝達して、前記充電式電源に電荷を供給するステップと、を含む方法。
【請求項14】
前記充電装置の一部は、前記電磁誘導加熱アセンブリの体積中に少なくとも部分的に挿入される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電磁誘導加熱アセンブリの一部は、前記充電装置の体積中に少なくとも部分的に挿入される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリに関する。昨今、吸入用の蒸気を生成する物質を燃やすのではなく加熱する装置が、消費者に人気になってきている。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、幾つかの異なる方式のうちの1つを使用して、物質に熱を提供することができる。そのような方式の1つは、電磁誘導加熱システムを採用した蒸気生成装置である。そのような装置では、電磁誘導コイル(以降では、インダクタとも呼ばれる)が装置と共に設けられ、サセプタが蒸気生成物質と共に設けられる。ユーザが装置を作動させると電気エネルギーがインダクタに提供され、次いでこれにより、電磁場が発生する。サセプタがこの場と結合し、熱を生成し、この熱は物質に伝達され、物質が加熱されると蒸気が発生する。
【0003】
そのような方式は、加熱、ひいては蒸気の発生のより良い制御をもたらす可能性を有する。しかしながら、実際には、そのような方式は、多数の部品を備えた比較的にかさばる装置につながることがある。このことにより、装置を製造するのが高価になり、シンプルでコンパクトな装置を期待するユーザにとって不便になることがある。
【0004】
ユーザは、そのような装置が再充電可能であることを期待しているので、蒸気生成装置を再充電するための安全で信頼性の高いシステムが望ましい。しかしながら、充電式電源と共にそのような充電式システムを取り付けることは、より多数の部品の、かさばり重い装置につながることがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点のうちの少なくとも幾つかを緩和しようと務めるものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリが提供され、この加熱アセンブリは、充電式電源と、電磁誘導コイルと、を含み、電磁誘導コイルは、使用中にサセプタを加熱するように構成され、また、使用中に、外部ソースによって生成された電磁場を受け取って電源を充電するようにも構成される。
【0007】
電磁場の送受信両方のために電磁誘導コイルを使用することにより、蒸気生成装置の同じ部材から電磁誘導加熱及び電磁誘導充電を確実に提供することが可能になる。これにより、部品数が低減され、装置のサイズ、重量、製造コスト、及び安全性が向上する。
【0008】
サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、及びそれらの合金(例えば、ニッケルクロム)のうちの1つ又は複数を含むことがあるが、これらに限定はされない。サセプタの近傍に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされるのに起因して、サセプタが熱を生成することができる。
【0009】
好ましくは、電磁誘導加熱アセンブリは、電源からの直流電流を交流高周波電流に変更するように構成されたインバータと、電磁誘導コイルからの交流高周波電流を直流電流に変更するように構成された整流器と、電磁誘導コントローラであって、使用中、交流高周波電流を電磁誘導コイルに選択的に供給できるように、且つ、サセプタを電磁誘導コイルによって電磁誘導的に加熱できるように、且つ、使用中、外部ソースによって生成された電磁場の形態で電磁誘導コイルで電力が受け取られると、直流電流を電源に選択的に供給して電源を電磁誘導的に充電できるように、使用中に電源、電磁誘導コイル、整流器、及びインバータと電気的に接続するように構成された電磁誘導コントローラと、を更に備える。
【0010】
電磁誘導コントローラは、電流を電磁誘導コイル及び電源へ選択的に供給することにより、加熱アセンブリの電磁誘導機能を制御するための手段を提供する。これにより、装置のユーザが、電磁誘導コイルを介した加熱機能及び充電機能の両方の範囲を効率的に制御し、必要な場合にだけ電流を供給することが可能になる。単一の制御ユニットを使用して電磁誘導コイルを介したこの2つの機能を制御することにより、部品数が低減され、加熱アセンブリの安全性が改善される。インバータ及び整流器を含むことは、加熱アセンブリ内部の電流を交流電流と直流電流との間で切り替える必要がある状況では、有利である。
【0011】
アセンブリは、使用中、最高密度の地点において約0.5T~約2.0Tの間の磁束密度を有する変動電磁場を伴って動作するように構成されることがある。
【0012】
電源及び回路は、高周波で動作するように構成されることがある。通常、電源及び回路は、約80kHz~約500kHzの間、好ましくは約150kHz~約250kHzの間、より好ましくは200kHzの周波数で動作するように構成されることがある。
【0013】
電磁誘導コイルは任意の適切な材料を含むことがあるが、通常は、電磁誘導コイルはリッツ線又はリッツケーブルを含むことがある。
【0014】
加熱アセンブリは任意の形状及び形態を取ることができるが、加熱アセンブリは、過剰な材料の使用を低減するために、電磁誘導コイルの形態を実質的に取るように構成されることがある。好ましくは、電磁誘導コイルは実質的に円筒形の形状をしている。
【0015】
円筒形の電磁誘導コイルの円形の断面は、電磁誘導的に加熱されることになる物体を挿入し、その物体を均一に加熱するのに理想的であり、また、ユーザが握り易い加熱アセンブリの形状をもたらす。
【0016】
好ましくは、インバータ及び整流器は、電源からの直流電流を交流高周波電流に選択的に変更し、且つ電磁誘導コイルからの交流高周波電流を直流電流に選択的に変更するように構成された、同じ部材である。
【0017】
直流電流と交流電流との切り替えにおけるインバータ及び整流器の役割は、逆方向に行われる実質的に類似の機能であるので、単一の部材を用いて、一方向に直流電流をインバートし、もう一方の方向に交流電流を整流することが可能である。これにより、製造コスト及び加熱アセンブリ内の部品数を低減するための簡単で信頼性の高い解決策がもたらされ、結果として大幅によりコンパクトな軽量の装置が得られる。
【0018】
加熱アセンブリは、電磁場の外部ソースを電磁誘導コイルの近傍に配置することにより、充電することができる。通常は、外部ソースは電磁場を送受信するための外部電磁誘導コイルを含むことがある。外部ソースは電磁誘導コイルと任意の態様で相互作用することができるが、通常は、加熱アセンブリは、その体積内に電磁場の外部ソースの少なくとも一部を収容するように構成される。
【0019】
加熱アセンブリの内部に外部ソースの一部を配置することにより(例によっては、加熱コンパートメントに物体/カプセルが配置されていない場合に、加熱コンパートメントに挿入することができる突起(外部ソースの一部を形成する)を設けることにより)、電磁場の外部ソースと加熱アセンブリの電磁誘導コイルとの間に安全でコンパクトな無線接続を確保することが可能になる。この構成により、電磁誘導加熱アセンブリの電源に電磁誘導充電する効率を高めるための、電磁誘導コイルと外部ソースとの間の強力な電磁結合が確保される。更に、この構成では、加熱アセンブリは、充電しながら電磁場に対するシールドとして機能する。
【0020】
或いは、アセンブリの少なくとも一部が、使用中、電磁場の外部ソースの体積中に挿入されるように構成される。外部ソースは、開口部及びその内部体積の一部を有することがあり、その中にアセンブリを挿入することができる。或いは、外部ソースは、その内部に貫通穴を有することがあり、その結果、アセンブリをその貫通穴の内側の周縁部を通して挿入することが可能になる。これにより、マウスピースが、蒸気生成装置に取り付けられたときに加熱コンパートメントを封入する例であっても、コンパクトな外部ソースと接続して動作しながら、マウスピースを露出させることが可能になる。
【0021】
アセンブリを外部装置と内側で又は外側で結合する場合、安定した物理的接続が必要とされる状況が生じることがある。装置には、電磁誘導加熱アセンブリに対して外部ソースの位置を固定するための手段が設けられることがある。好ましくは、スナップフィット機構などの、アセンブリの電磁誘導コイルに対して外部コイルの位置を固定するための手段が存在することがある。これにより、2つの装置を、電磁結合も維持され得るように、物理的に結合することが可能になる。
【0022】
後で詳述するように、電磁誘導加熱アセンブリの外側から充電のための電磁場を提供することが有利である状況が生じることがある。
【0023】
本発明によれば、蒸気生成装置も提供され、この蒸気生成装置は、本発明の第1の態様による電磁誘導加熱アセンブリと、気化可能物質及び電磁誘導加熱可能サセプタを備える物体を収容するように構成された加熱コンパートメントと、加熱コンパートメントに空気を供給するように構成された吸気口と、加熱コンパートメントと連通した排気口と、を含む。
【0024】
蒸気生成装置の加熱及び充電という複数の機能に対して最適化された加熱アセンブリを使用することにより、信頼性の高い、軽量でコンパクトな蒸気生成装置を提供することが可能になる。
【0025】
物体は、使用中、通気性シェルの内部に気化可能物質を含むカプセルであることがある。通気性材料は、電気絶縁性で非磁性の材料であり得る。この材料は、高い通気性を有し、高温に対する耐性を備えたこの材料を通して空気が流れるのを可能にすることができる。適切な通気性材料の例としては、セルロース繊維、紙、綿、及び絹が挙げられる。通気性材料は、フィルタとしても作用することがある。或いは、物体は、紙に包まれた気化可能物質であり得る。或いは、物体は、通気性ではないが、空気が流れるようにするための適切な穿孔又は開口部を備える材料の内側に保持された気化可能物質であり得る。或いは、物体は、気化可能物質そのものであり得る。物体は、実質的に棒状に形成されることがある。
【0026】
気化可能物質は、任意のタイプの固体又は半固体の材料であり得る。気化可能固体のタイプの例としては、粉末、顆粒、ペレット、断片、ストランド、多孔質材料又はシート、が挙げられる。物質は、植物由来の材料を含むことがあり、特に、物質はタバコを含むことがある。
【0027】
好ましくは、気化可能物質はエアロゾル形成物を含むことがある。エアロゾル形成物の例としては、グリセリン又はプロピレン・グリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。通常、気化可能物質は、乾燥重量ベースで約5%~約50%の間のエアロゾル形成物含有率を含むことがある。好ましくは、気化可能物質は、乾燥重量ベースで約15%のエアロゾル形成物含有率を含むことがある。
【0028】
気化可能物質は、エアロゾル形成物そのものであり得る。この場合、気化可能物質は液体であり得る。この場合、物体は液体保持物質(例えば、繊維の束、セラミックなどの多孔質材料、等)を有することがあり、この液体保持物質は、加熱器などの気化器によって気化されることになる液体を保持し、ユーザによる吸入のために、液体保持物質から排気口に向けて蒸気が形成され放出される(released or emitted)ようにする。
【0029】
加熱すると、気化可能物質は揮発性化合物を放出することがある。揮発性化合物は、ニコチン、又はタバコ香味料などの香味化合物を含むことがある。
【0030】
電磁誘導コイルは、サセプタを加熱するように動作するときに電磁場を生成するので、電磁誘導加熱可能サセプタを含む任意の部材は、動作中の装置の近傍に配置されると加熱される。そのため、加熱コンパートメントによって収容される物体の形状及び形態には、制限はない。加熱されることになる物体は、円筒形の形状であることが好ましく、そのため、加熱コンパートメントは実質的に円筒形の気化可能物品を収容するように構成される。
【0031】
加熱されることになる実質的に円筒形の部材を収容する加熱コンパートメントの能力は有利である、というのも、しばしば、気化可能物質及び特にタバコ製品は、円筒形の形態で包装され販売されているからである。
【0032】
また、本発明によれば、蒸気生成装置充電システムが提供され、このシステムは、本発明の第1の態様による電磁誘導加熱アセンブリと、電磁場を生成することにより電磁誘導加熱アセンブリの電磁誘導コイルに電流を電磁誘導するように構成された充電コイルを含む充電装置と、を含む。
【0033】
充電装置に電磁場を生成させて電磁誘導加熱アセンブリの電磁誘導コイルに電流を電磁誘導して電源を充電することにより、蒸気生成装置への安全で効率的な無線充電を提供することが可能になる。
【0034】
充電装置は任意の形状及び形態を取ることができるが、充電装置は実質的に円筒形であることが好ましい。
【0035】
本発明の別の態様によれば、蒸気生成装置を充電する方法が提供され、この方法は、蒸気生成装置の電磁誘導加熱アセンブリの近傍に充電装置を配置するステップであって、電磁誘導加熱アセンブリは充電式電源及び電磁誘導加熱コイルを含む、ステップと、加熱アセンブリの電磁誘導加熱コイルに電磁場の形態で充電装置から電力を伝達して充電式電源に電荷を供給するステップと、を含む。
【0036】
蒸気生成装置の電磁誘導加熱コイルを使用して装置の電源に電磁誘導充電を提供することにより、充電のための別個の第2の電磁誘導構成を必要とすることなく、装置に無線充電を提供することが可能になる。
【0037】
充電装置は、任意の態様で電磁誘導コイルと相互作用するように構成することができるが、充電装置の一部が、電磁誘導加熱アセンブリの体積中に少なくとも部分的に挿入されることが好ましい。これにより、充電装置と電磁誘導加熱コイルとの間で適切な接続を維持して、電源を充電するための安全で信頼性の高い結合をもたらすことが確実になる。
【0038】
或いは、電磁誘導加熱アセンブリの少なくとも一部が、充電装置の体積中に少なくとも部分的に挿入されることがある。
【0039】
電磁誘導加熱アセンブリの外側から充電のための電磁場を提供することが有利である状況が生じることがある。例えば、電磁誘導加熱アセンブリの加熱機能と充電機能の両方を同時に動作させるか、又は、外部装置が結合されている間に加熱を動作させるか、且つ/又は加熱コンパートメントの内部空間に物体/カプセルがある間に充電を動作させることが望ましいことがあり、この場合、電磁誘導加熱アセンブリをぐるりと巻く電磁場の外部ソースが有利である。加熱アセンブリを外部充電装置に挿入するように構成することにより、アセンブリの内部空間(例えば、加熱コンパートメントの内部空間)を、加熱されるべき物質(例えば、物体/カプセル)が占有するように空けておくことが可能になる。内部空間は、電磁誘導コイルの半径方向内側に画定されることがあり、例えば、上述したような気化可能な物質及び電磁誘導加熱可能な1つ又は複数のサセプタを備える物体を収容するように構成されることがある。
【0040】
更に、加熱及び充電が同時に必要とされる場合については、電磁誘導加熱アセンブリは2つのコイルを含むことがあり、一方は充電用で他方は加熱用で、同じトラックに並んでいることが好ましい。
【0041】
全ての場合(即ち、外部充電装置の一部が蒸気生成装置の体積(例えば、加熱コンパートメント)中に挿入されるかどうか、又は、蒸気生成装置の一部が外部充電装置の体積中に挿入される場合(例えば、外部充電装置の一部を蒸気生成装置の上にスリーブでつなぐことによる))において、外部充電装置が、一次充電コイル(蒸気生成装置の電磁誘導コイルに電流を電磁誘導するように動作可能である)を含み得ることが好ましく、この一次充電コイルは、蒸気生成装置の電磁誘導コイルと、これらのコイルが充電構成で互いに結合されたときに、実質的に同軸であり、実質的に重なるように構成されることがある。
【0042】
ここで、本発明について、添付の図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の一例による、電磁誘導加熱アセンブリを概略的に示す。
【
図2A】外部サセプタを加熱するように動作する場合の、
図1の電磁誘導加熱アセンブリを流れる電流の流れを概略的に示す。
【
図2B】充電式電源を充電するように動作する場合の、
図1の電磁誘導加熱アセンブリを流れる電流の流れを概略的に示す。
【
図3】
図1、
図2A、及び
図2Bの電磁誘導加熱アセンブリが電磁場の外部ソースと相互作用し得る方法を概略的に示す。
【
図4】本発明の一例による、蒸気生成装置の分解図を概略的に示す。
【
図5】使用中の
図4の蒸気生成装置を概略的に示す。
【
図6】
図1、
図2A、及び
図2Bの電磁誘導加熱アセンブリが電磁場の例示的な外部ソースと相互作用し得る方法の別の例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明の一例による、電磁誘導加熱アセンブリ10を概略的に示す。この例では、加熱アセンブリ10は電磁誘導コイル12及び充電式電源13を含む。電源13及び電磁誘導コイル12は、これら2つの部品間で電力を選択的に伝送することができるように、電気的に接続して配置される。電磁誘導コイル12は、電源13から電力を受け取り電磁場を生成することにより、外部サセプタを加熱するように構成される。電磁誘導コイル12は、外部で生成された電磁場を受け取って電流を選択的に電磁誘導し、充電式電源13を充電するように、更に構成される。この例では、電磁誘導コイル12は実質的に円筒形であり、その結果、電磁誘導加熱アセンブリ10の形態もまた実質的に円筒形である。
【0045】
外部サセプタを加熱するように動作する場合、電源13によって供給された直流電流から変更された交流電流が電磁誘導コイル12を通って流れて、コイル12の付近の領域に制御された電磁場を生成する。生成された電磁場は、外部サセプタが電磁エネルギーを吸収して熱に変換するためのソースを提供し、それによって電磁誘導加熱が達成される。
【0046】
図1の電磁誘導加熱アセンブリ10は、電磁場の外部ソースが電磁誘導コイル12の近くに配置されたときに電源13を電磁誘導的に充電するように動作することもできる。充電式電源13を充電するように動作する場合、電磁誘導コイル12は外部の場と相互作用して電磁エネルギーを吸収し、交流電流を電磁誘導し、この交流電流は直流電流に変更されて電源13に伝達され、電磁誘導充電がもたらされる。このようにして、電磁誘導コイル12は、電磁誘導加熱アセンブリ10の加熱機能と充電機能の両方のための手段を提供する。
【0047】
例によっては、電磁誘導加熱アセンブリ10は、
図2A及び
図2Bに示すように、電磁誘導コントローラ14を更に含む。この例では、電磁誘導コントローラ14は、使用中に、電源13及び電磁誘導コイル12と電気的に接続して、加熱又は充電の範囲を調節できるように電源13と電磁誘導コイル12との間を流れる電流を選択的に制御するように構成される。電磁誘導コントローラ14は、ユーザが加熱設定を選択するように手動で操作できるか、又は所定のパラメータに従って電磁誘導コイル12を流れる電流を自動的に調節するようにプログラムされることができる。
【0048】
電磁誘導加熱アセンブリ10は、電源13からの直流電流を、電磁誘導コイル12を駆動するための交流高周波電流に変更するように構成されたインバータと、電磁誘導コイル12からの交流高周波電流を、電源13を充電するための直流電流に変更するように構成された整流器と、を更に備える。
【0049】
図2Aは、外部サセプタを加熱するように動作する場合の、電磁誘導加熱アセンブリ10を流れる電流の流れを示す。インバータによって高周波交流電流に変換された電源13からの電流は、電磁誘導コントローラ14によって電磁誘導コイル12に選択的に供給される。電磁誘導コイル12の交流電流は、コイル12の領域内に動的電磁場を生成し、この電磁場は外部サセプタによって吸収されて、電磁誘導加熱が達成され得る。
【0050】
図2Bは、充電式電源13を充電するように動作する場合の、電磁誘導加熱アセンブリ10を流れる電流の流れを示す。電力は、外部ソースによって生成される動的電磁場の形態で電磁誘導コイル12で受け取られる。電磁場は、電磁誘導コイル12内に起電力を生成して高周波交流電流を生成する。整流器によって直流電流に変換された電磁誘導コイル12からの交流電流は、電磁誘導コントローラ14によって充電式電源13に選択的に供給される。このようにして、充電式電源13は、電磁誘導コイル12を受信サセプタとして(言い換えると、電磁誘導充電の当該技術分野で周知の変圧器装置の二次巻線として)使用して、電磁場の外部ソースによって、電磁誘導的に且つ無線的に充電することができる。
【0051】
明確にするために、インバータ及び整流器は別個の部品として説明したが、これらの部品は、電源13からの直流電流を高周波交流電流に選択的に変更し、電磁誘導コイル12からの高周波交流電流を直流電流に選択的に変更するために、逆に動作するように構成された同じ部材とすることができる。
【0052】
図3は、
図1、
図2A、及び
図2Bの電磁誘導加熱アセンブリ10が電磁場の外部ソースと相互作用し得る方法の2つの例を概略的に示す。
図3に示すように、電磁誘導加熱アセンブリ10及び電磁場の外部ソース17の1つの可能な構成では、電磁誘導加熱アセンブリ10の少なくとも一部が電磁場の外部ソース17の体積中に挿入される。この構成では、電磁誘導加熱アセンブリ10は、加熱アセンブリ10の電磁誘導コイル12が外部ソース17の電磁場の生成領域と実質的に重なるように、外部ソース17に挿入される。この例では、外部電磁場は、外部ソース17中の生成コイルによって生成されるが、この場は、任意の他の適切な手段、例えば点源により生成されてもよい。
【0053】
別の例では、電磁誘導加熱アセンブリ10は、加熱アセンブリ10の体積の内部に電磁場の外部ソース17の一部を収容するように構成される。この例では、外部ソース17は、外部ソース17の場生成部品が電磁誘導コイル12の内側の中に実質的に包含されるように、電磁誘導加熱アセンブリ10に挿入される。この構成により、電磁誘導加熱アセンブリを、コンパクトな形態を維持しながら、安全且つ確実に充電することが可能になる。
【0054】
電磁誘導加熱アセンブリ10は、上記の構成のいずれかで電源13を充電するように動作することができ、この構成は、ユーザ要求のニーズに見合うように選択される。例えば、電磁誘導加熱アセンブリ10の加熱機能及び充電機能の両方を同時に動作させることが望ましいことがあり、その場合、電磁誘導加熱アセンブリ10をぐるりと巻いた電磁場の外部ソース17が望ましい。
【0055】
図4は、本発明の一例による、蒸気生成装置20の分解図を概略的に示す。この例では、蒸気生成装置は、電磁誘導加熱アセンブリ10を備え、更に、気化可能物質23及び電磁誘導加熱可能サセプタ24を備える物体22を収容するように構成された加熱コンパートメント21を備える。加熱コンパートメント21は、少なくとも部分的に、電磁誘導コイル12に隣接するか又は電磁誘導コイル12の体積中に含まれる。加熱コンパートメント21に隣接して配置される吸気口25は、周囲環境から加熱コンパートメント21に空気を供給する。排気口26は、加熱コンパートメント21と連通しており、加熱コンパートメント21内部で生成された蒸気を抽出する能力を提供する。
図4に示した部品のうちの全部又は一部は着脱可能に構成され、
図5は、
図4に示した蒸気生成装置20の様々な部品が使用中にどのように一緒に組み立てられるかを示す。
【0056】
加熱コンパートメント21は、気化可能物質23及び電磁誘導加熱可能サセプタ24を備える物体22を収容するように構成される。好ましくは、物体22は気化可能物質を包含するための層又は膜を有し、この層又は膜は通気性である。例えば、物体21は、タバコ及び少なくとも1つの電磁誘導加熱可能サセプタ素子を包含する使い捨てカプセルであり得る。サセプタ24は、気化可能物質23と直接的に又は間接的に接触していることがあり、その結果、サセプタ24が電磁誘導加熱アセンブリ10の電磁誘導コイル12によって電磁誘導的に加熱されると、熱がサセプタ24から気化可能物質23に伝達され、気化可能物質23を加熱して蒸気が発生する。気化可能物質23の気化は、吸気口25を通じて周囲環境から空気を加えることによって促進される。その後、気化可能物質23を加熱することによって発生した蒸気は、排気口26を通じて加熱コンパートメント21を出てゆき、例えば装置のユーザによって吸入されることができる。加熱コンパートメント21を通る空気の流れ、即ち、吸気口25からコンパートメント21を通って排気口26から出る空気の流れは、ユーザが装置20の排気口26側から空気を吸引することによって生成される負圧によって助けられることがある。
【0057】
装置20が、吸入されることになる蒸気を生成するために使用される場合、マウスピース27を、排気口26と連通させて、装置に取り付けることもできる。マウスピース27は、ユーザが装置20から生成された蒸気を容易に吸い込む能力を提供する。
【0058】
図6は、
図4及び
図5の蒸気生成装置20が、充電式電源13を充電するように且つサセプタ24を電磁誘導的に加熱するように動作し得る方法を概略的に示す。外部コイル32を備えた外部電磁誘導装置30が、電磁誘導加熱アセンブリ10の周縁部を取り囲み、その結果、加熱コイル12及び外部コイル32の中心軸が実質的に重なり合う。この例では、外部電磁誘導装置30は2つの開放端部を有し、これを通して電磁誘導加熱アセンブリ10を挿入することができる。スナップフィット機構などの、電磁誘導コイル12に対して外部コイル32の位置を固定するための手段が存在することがある。これにより、蒸気生成装置20がサセプタ24を加熱し、同時に充電式電源13を充電するように動作することが可能になる。
【0059】
上記から理解されるように、本発明は、加熱用の1つの電磁誘導システムと、充電用の別の別個の電磁誘導システムとを必要とすることを回避することにより、安価でコンパクトで携帯手持ち式の用途に適した蒸気生成装置の提供を可能にする。安全で効率的な充電機構を備え、サイズ、重量、及び製造コストを低減するために部品数がより少ない電子蒸気生成装置が、本発明により達成され、そのような蒸気生成装置の加熱機能及び充電機能の両方を更に可能にする。