(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】超音波センサと補強要素を備えた制振要素とを有する自動車両用のアセンブリ、および装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/521 20060101AFI20221104BHJP
G01S 15/931 20200101ALI20221104BHJP
【FI】
G01S7/521 B
G01S15/931
(21)【出願番号】P 2020528096
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(86)【国際出願番号】 EP2018077927
(87)【国際公開番号】W WO2019101434
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-07-17
(31)【優先権主張番号】102017127587.8
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ、クプファーナーゲル
(72)【発明者】
【氏名】フェリクス、ヘーリング
(72)【発明者】
【氏名】マリアン、レーガー
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0185188(US,A1)
【文献】米国特許第05400296(US,A)
【文献】特開平04-050683(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0059697(US,A1)
【文献】国際公開第2015/093571(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014111947(DE,A1)
【文献】特表2014-527163(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0180725(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013211619(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52- 7/64
G01S 15/00-15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサ(5a)と制振要素(17)とを有する自動車両(1)用のアセンブリ(5)であって、
前記超音波センサ(5a)は、前記自動車両(1)の被覆部(15)に目立たずに設置されるように設計されるとともに、超音波信号(8)を送信および/または受信するように振動可能な膜(13)を備え、
超音波信号(8)は、前記膜(13)を介して前記被覆部(15)に伝達可能であり、
前記制振要素(17)は、前記膜(13)の長手方向軸線(L)を取り囲むとともに前記超音波センサ(5a)の周囲に配置され、
少なくとも前記膜(13)は、前記制振要素(17)の切り欠き(31)を通って延び、
前記被覆部(15)の振動が、設置状態にある前記制振要素(17)により減衰され得る、アセンブリ(5)において、
前記制振要素(17)は、補強要素(25)を備え、
前記制振要素(17)は、基礎材料を含み、
前記補強要素(25)は、前記基礎材料とは異なる材料から形成され、
前記補強要素(25)は、前記基礎材料に包含され
、
前記制振要素(17)は、前記膜(13)と軸方向に重なるように配置されていることを特徴とする、アセンブリ(5)。
【請求項2】
前記補強要素(25)は、前記制振要素(17)内で均一に分布していることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ(5)。
【請求項3】
前記制振要素(17)は、補強要素(25)として中空状の球体(26)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のアセンブリ(5)。
【請求項4】
前記制振要素(17)は、補強要素(25)として繊維(27)を含むことを特徴とする、請求項1乃至3の一項に記載のアセンブリ(5)。
【請求項5】
前記制振要素(17)は、補強要素(25)として、ガラス繊維、セラミック繊維、玄武岩繊維、鉱物繊維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム繊維および/またはプラスチック繊維を含むことを特徴とする、請求項4に記載のアセンブリ(5)。
【請求項6】
前記補強要素(25)は、1000N/mm2より大きい弾性率を呈することを特徴とする、請求項1乃至5の一項に記載のアセンブリ(5)。
【請求項7】
前記制振要素(17)は、カバー層(28)を備えることを特徴とする、請求項1乃至6の一項に記載のアセンブリ(5)。
【請求項8】
前記制振要素(17)の基礎材料は、ブチルゴムから形成されることを特徴とする、請求項1乃至7の一項に記載のアセンブリ(5)。
【請求項9】
前記制振要素(17)および前記補強要素(25)は、-30℃から+90℃までの温度領域に亘って、少なくとも-250dbの減衰を呈することを特徴とする、請求項1乃至8の一項に記載のアセンブリ(5)。
【請求項10】
前記制振要素(17)における少なくとも前記補強要素(25)の形状および/または前記補強要素(25)の位置が、前記超音波センサ(5a)の共振周波数に適合したものとされることを特徴とする、請求項1乃至9の一項に記載のアセンブリ(5)。
【請求項11】
前記制振要素(17)の前記切り欠き(31)は、環状の設計を有することを特徴とする、請求項1乃至10の一項に記載のアセンブリ(5)。
【請求項12】
前記アセンブリ(5)は、前記超音波センサ(5a)を目立たない態様で前記被覆部(15)に設置可能とする少なくとも1つの保持要素(19)を備えることを特徴とする、請求項1乃至11の一項に記載のアセンブリ(5)。
【請求項13】
請求項1乃至12の一項に記載のアセンブリ(5)と、自動車両(1)用の被覆部(15)とを備える装置であって、
前記超音波センサ(5a)は、目立たない態様で前記被覆部(15)に配置され、
前記超音波センサ(5a)は、超音波信号(8)を前記被覆部(15)を介して送信する、および/またはエコー信号(9)を前記被覆部(15)を介して受信するように配置される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両の被覆部に目立たずに設置されるように設計された自動車両用の超音波センサを有するアセンブリに関する。超音波センサは、超音波信号を送信および/または受信するように振動可能な膜を備える。超音波信号は、膜を介して被覆部に伝達され得る。超音波センサは、膜の長手方向軸線を取り囲むように配置された制振要素を備える。これにより、設置状態にある被覆部の振動が減衰され得る。更に、本発明は、アセンブリを有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目立たないように設置された超音波センサの機能を振動時間および減衰時間の点で向上させ得るには、超音波センサにより周囲の車両構造に導入される振動エネルギーを、全動作温度領域に亘って、可能な限り効果的に減衰させる必要がある。この点に関して、全く異なるタイプの制振材料または制振概念が既に知られている。例えば、一般的な材料には、ビチューメン、重金属箔、高分子材料、またはブチルゴムが含まれる。上述の材料の場合、良好な減衰は、温度および周波数の点において、より狭い動作範囲に関連することが見出されている。例えば、ブチルゴムは、超音波領域において広い温度領域に亘って非常に高い制振効果を発揮する。しかしながら、ブチルゴムは、室温(およそ21℃)を超える温度において、ますます柔らかくなり不利である。このため、振動エネルギーは、制振材料の深さ全体に浸透することができず、車体部品の境界となる層においてしか有効でない。
【0003】
US2017/0059697A1は、目立たないようにされた超音波センサを有する超音波センサアセンブリを開示している。超音波センサ、特に膜と、被覆部の内面との間に、結合要素が配置されている。結合要素は、充填材で補強されたマトリクス材料を含み得る。超音波センサアセンブリは、被覆部の内面に配置される制振要素を更に備えている。制振要素は、膜の周囲に配置されるとともに1つの材料から形成されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、広い温度領域に亘って良好に振動を減衰することができるアセンブリおよび装置を提供することである。
【0005】
この目的は、独立請求項に記載のアセンブリおよび装置により達成される。
【0006】
本発明の一態様は、超音波センサを有する自動車両用のアセンブリに関する。超音波センサは、自動車両の被覆部に目立たずに設置されるように設計される。超音波センサは、超音波信号を送信および/または受信するように振動可能な膜を備える。超音波信号は、膜を介して被覆部に伝達可能である。アセンブリは、膜の長手方向軸線を取り囲むとともに、超音波センサの周囲に配置された制振要素を備える。少なくとも膜は、制振要素の切り欠きを通って延びる。被覆部の振動が、設置状態にある制振要素により減衰され得る。
【0007】
制振要素は、補強要素を備える。例えば制振要素の材料の温度が上昇することで材料の剛性が低下する場合、制振要素の深くに位置する領域が同様に励起され得る。補強要素の剛性が高いほど、振動エネルギーを早期に制振要素全体に導入することができる。特に、これにより超音波センサの不感時間を短縮させ得ると同時に、振動を広い温度領域に亘って良好に減衰させることができる。
【0008】
特に、制振要素は基礎材料を含み、補強要素は基礎材料とは異なる材料から形成される。補強要素は、特に基礎材料に包含される。更に、特に設置状態において、被覆部の不要な振動が減衰され得ることが提供される。換言すれば、超音波センサにより、超音波センサから送信される超音波信号が、被覆部を介して空気中に効率的に伝達される一方で、特に超音波センサの送信プロセスに続く被覆部の不要な振動が、より良好に制振される。これにより、被覆部、したがって超音波センサ、具体的には膜が落ち着くまでの時間を短縮することができるため、超音波センサの不感時間も短縮され得る。超音波センサの不感時間とは、特に送信プロセス後に超音波センサが受信可能となるのに必要な時間を指す。
【0009】
好適には、超音波センサは制振要素とは別個の結合要素を備える。結合要素により、超音波信号は膜から被覆部により良好に伝達され得る。結合要素は、特に膜と被覆部との間に配置される。結合要素と制振要素とは、アセンブリの別々の部品であり、特にアセンブリ内でのそれらの設置位置ならびにそれらが機能する態様の両方において互いに異なる。特に、制振要素は、膜と軸方向に重なるように配置される。制振要素が、長手方向軸線を中心として所定距離において、膜の外周を包囲するように配置されることが提供され得る。結合要素は、プレートまたはディスクの形態で設計され、特にその面において膜に対して配置される。特に、結合要素は切り欠きを備えず、膜と軸方向に重ならない。
【0010】
有利な一実施形態によれば、補強要素は、制振要素内で均一に分布し得る。これにより、振動エネルギーを制振要素全体により良好に導入することができ、制振要素の深くに位置する領域により良好に到達させることができる。これにより、振動を良好に減衰することができる。
【0011】
更に、制振要素が補強要素として中空状の球体を備えることが有利であると見出されている。中空状の球体は、制振要素よりも高い剛性を呈するため、振動をより良好に吸収することができる。これにより、特に、超音波センサを広い温度領域に亘って使用できる可能性が開ける。なぜならば、振動エネルギー、特に不要な振動がより良好に中空状の球体に伝わり得るため、制振要素はこのような振動をより良好に抑制することができるからである。
【0012】
制振要素が補強要素として繊維を含むことも有利である。特に、繊維を導入することにより、振動エネルギーを制振要素全体により良好に分散させることができる。これにより、振動エネルギーは繊維に伝達されるため、制振要素の深くに位置する領域に到達させることができる。更に、繊維を制振要素に導入するプロセスは、制振要素の製造中に繊維を考慮することができるため、非常に単純である。
【0013】
更に、制振要素が、補強要素として、ガラス繊維、セラミック繊維、玄武岩繊維、鉱物繊維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム繊維および/またはプラスチック繊維を含むことが有利であると見出されている。特に、上記の繊維は、広い温度領域に亘って高い弾性係数を呈する。これは、これらの材料が高い剛性を呈するということを意味する。これにより、振動エネルギーを、制振要素の深くに位置する領域にまでより良好に案内できるため、広い温度領域に亘る振動減衰が実現される。
【0014】
また、補強要素が1000N/mm2より大きい弾性率を呈することも有利である。これにより、補強要素は制振要素よりも高い剛性を呈するため、振動がより良く減衰され得る。
【0015】
実施形態の別の有利な形態によれば、制振要素の基礎材料は、ブチルゴムから形成され得る。特に、ブチルゴムは、超音波領域において広い温度領域に亘って非常に高い制振効果を有する。ブチルゴムからなる制振要素の実施形態により、高温の領域において振動を良好に減衰することが可能である。
【0016】
更に、特に超音波周波数領域において-30℃乃至+90℃の温度領域に亘って、固体中を伝搬する音波に対して、補強要素を有する制振要素が少なくとも-250dBの減衰を提供することが有利であると見出されている。超音波センサは特に自動車両用に設計されており、特に自動車両はこのような温度領域にさらされるため、制振要素および補強要素がこのような温度領域において高い減衰を呈することが有利である。特に、本例における減衰は、少なくとも-250dBであるため、被覆部の振動、特に不要な振動をより良好に低減させ得る。したがって、超音波センサを、-30℃乃至+90℃の温度領域に亘ってより良好に動作させることができるため、超音波センサの不感時間を減少させつつ、超音波センサの超音波信号の分解能を向上させ得る。
【0017】
別の有利な例示的実施形態によれば、制振要素における少なくとも補強要素の形状および/または補強要素の位置が、超音波センサの共振周波数に適合したものとされる。制振要素における補強要素の形状および/または補強要素の位置、ならびに補強要素の個数は、超音波センサの共振周波数において最大の減衰が生じるように特に設計される。特に、超音波センサ、特に送信された超音波信号、および被覆部が共振周波数に適合したものとされるため、制振要素における補強要素の形状および/または補強要素の位置も同様に共振周波数に適合したものとされることが特に有利である。これにより、特に共振周波数領域において不要な振動が良好に減衰され得るため、このような振動を所定の温度領域に亘って減衰させることができる。
【0018】
更に、制振要素の切り欠きが環状であることが有利である。これにより、制振要素を特に膜の周囲に配置することができるため、不要な振動が膜に対してより良好に減衰され得る。このため、送信プロセス後から受信プロセスまで、および受信プロセス後から送信プロセスまでの膜の不感時間がより短縮され得る。したがって、不要な振動が、特に膜に対して減衰され得る。
【0019】
更に、超音波センサが、超音波センサを被覆部に目立たない態様で設置可能とする少なくとも1つの保持要素を備えることが有利であると見出されている。これにより、超音波センサを被覆部に配置しつつ被覆部の振動から切り離すことができる。したがって、不要な振動は被覆部から制振要素に伝達され、これにより超音波センサ、特に膜はこのような振動から切り離される。こうして、良好な動作が実現され得る。
【0020】
本発明の更なる態様は、自動車両用の装置に関する。装置は、上述の態様のうちの1つによるアセンブリと、自動車両用の被覆部と、少なくとも1つの超音波センサと、を備える。超音波センサは、目立たない態様で被覆部に配置される。超音波センサは、超音波信号を被覆部を介して送信する、および/またはエコー信号を被覆部を介して受信するように配置される。
【0021】
本発明の更に別の態様は、装置を有する自動車両に関する。自動車両は、特に乗用車として具現化される。
【0022】
アセンブリの有利な実施形態は、装置および自動車両の有利な実施形態としてみなされるべきである。
【0023】
本発明の更なる特徴は、特許請求の範囲、図面、および図面の説明から明らかになる。上記の特徴および特徴の組み合わせ、並びに以下の図面の説明に記載される、および/または図面にのみ示される特徴および特徴の組み合わせは、本発明の範囲から逸脱することなく、提示された組み合わせだけでなく他の組み合わせにおいて、またはそれ自体で利用可能である。したがって、図面に明瞭に記載および説明されていないが、自己完結型の特徴の組み合わせにより、説明された実施形態から明らかになるとともに実施可能となる本発明の実施形態も、同様に含まれ且つ開示されているとみなされることが意図されている。したがって、当初の独立請求項の全ての特徴を持たない実施形態および特徴の組み合わせも、開示されているとみなされることが意図されている。以下の請求項に記載の特徴の組み合わせを超える、または異なる実施形態および特徴の組み合わせが、特に上述の実施形態により更に開示されていると考えられるべきである。
【0024】
以下、本発明を好適な例示的実施形態に基づいて、添付図面を参照しつつより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、アセンブリの一実施形態を有する自動車両の概略平面図である。
【
図2】
図2は、超音波センサの実施形態の概略側面図である。
【
図3】
図3は、アセンブリの実施形態の別の概略図である。
【
図4】
図4は、制振要素の実施形態の概略斜視図である。
【
図5】
図5は、超音波センサの一実施形態の温度―減衰グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面において、同一であるとともに同じ機能を有する要素には同じ参照符号が付される。
【0027】
図1は、自動車両1を示している。自動車両1は、本例示的実施形態において、乗用車として設計されている。自動車両1は、ドライバー支援システム2を備えている。例えば、ドライバー支援システム2により、自動車両1の周囲4に位置する物体3が捉えられ得る。特に、自動車両1と物体3との間の距離が、ドライバー支援システム2によって測定され得る。
【0028】
ドライバー支援システム2は、少なくとも1つのアセンブリ5を備えている。アセンブリ5は、少なくとも1つの超音波センサ5aを備えている。また、アセンブリ5は、別の超音波センサ5aを備えることも可能である。超音波センサ5aは、送信装置6を備えている。送信装置6により、少なくとも1つの超音波信号8、特に複数の超音波信号8が送信され得る。アセンブリ5は、本例において、自動車両1の前方領域に配置されている。アセンブリ5は、自動車両1の別の領域、例えば、後方領域または側方領域にも配置され得る。したがって、以下の例は、決定的なものとみなされるべきではなく、単なる例示としてのものである。
【0029】
超音波信号8は、送信装置6により、所定の捕捉領域Eすなわち所定の角度領域内において、膜13(
図3)を介して送信され得る。
【0030】
アセンブリ5は、受信装置7を更に備えている。反射した超音波信号は、物体3から反射したエコー信号9として、特に膜13を経由して受信装置7に受信され得る。このようにして、物体3から反射したエコー信号9は、受信信号として受信装置7に受信され得る。アセンブリ5は、例えばマイクロコントローラおよび/またはデジタル信号プロセッサにより形成され得る制御装置10を更に備え得る。ドライバー支援システム2は、例えば自動車両1の電子制御ユニット(ECU)により形成され得る制御装置11を更に備えている。制御装置11は、データ伝達のためにアセンブリ5に接続されている。データ伝達は、例えば自動車両1のデータバスを経由して実施することができる。
【0031】
図2は、被覆部15(
図3)に目立たないように設置されることに適した超音波センサ5aの側面図である。超音波センサ5aは、被覆部15に接触配置される結合要素12を備えている。超音波信号8は、結合要素12を介して送信され得る、および/または超音波センサ5aの膜13に受信され得る。超音波信号8は、膜13および結合要素12を介して被覆部15に伝達され得る。本例において、結合要素12は、特に膜13の長手方向軸線Lを囲む方向に形成されている。ラッチ要素Rを更に
図2に示す。ラッチ要素Rにより、超音波センサ5aを特に被覆部15に保持することができる。ラッチ要素Rは、特に超音波センサ5aの外面23に作られている。
【0032】
図3は、設置された超音波センサ5aの一例を、少なくとも一部の部品で示す概略側面図である。超音波センサ5aは、被覆部15の後面16に配置されている。被覆部15は、特に自動車両1のバンパーとして設計され得る。特に環状形状を有する制振要素17が、膜13に隣接して、超音波センサ5aの周囲に円の態様で配置される。特に、制振要素17は後面16に配置されている。特に、制振要素17は、膜13の長手方向軸線Lを取り囲むとともに超音波センサ5aの周囲に配置されている。膜13は、制振要素17の切り欠き31を通って延びている。本例において、切り欠き31は、特に環状であり得る。これにより、超音波センサ5aのエネルギー、特に音響エネルギーの伝達が、被覆部15の他の領域において減衰され得る。制振要素17により、被覆部15から超音波センサ5aへの振動が更に減衰され得る。
【0033】
結合要素12は、特に膜13と被覆部15との間に配置されている。結合要素12と制振要素17とは、アセンブリ5の別々の部品であり、特にアセンブリ5内でのそれらの設置位置ならびにそれらが機能する態様の両方において互いに異なっている。特に、制振要素17は、膜13と軸方向に重なるように配置されている。制振要素17が、長手方向軸線を中心として所定距離Aにおいて、膜13の外周を包囲するように配置されることが提供され得る。結合要素12は、特にプレートまたはディスクの形態で設計され、特にその面において膜13に対して配置されている。特に、結合要素12は切り欠き31を備えず、膜13と軸方向に重なっていない。
【0034】
超音波センサ5aは、特に少なくとも1つの保持要素により被覆部15に構造的に接合されている。例えば、保持要素は、ラッチ要素Rに接合され得る。更に、保持要素は、超音波センサ5aに接合されている端部に更なる制振要素を有することが可能である。特に、更なる制振要素が設けられ得ることにより、超音波センサ5aの振動の被覆部15への伝達が低減され、または被覆部15の振動が超音波センサ5aにおいて抑制される。特に、超音波センサ5aが厚壁領域21と薄壁領域22とを備えることが更に提供され得る。薄壁領域22において、膜13は、電気的に駆動可能な圧電素子24を特に備え得る。そして、膜13は、圧電素子24の電気的駆動を介して振動することができる。超音波信号8は、特にこれにより生成され得る。更に、エコー信号9は、膜13および圧電素子24を経由して受信され得るとともに、電気信号に変換され得る。
【0035】
制振要素17が補強要素25を備えることが提供される。特に、制振要素17は基礎材料から作られ、補強要素25は基礎材料とは異なる材料から形成される。本例において、補強要素25は、特に基礎材料に包含されている。制振要素17の基礎材料は、例えばブチルゴムから形成され得る。補強要素25は、特に1000N/mm2より大きい弾性率を呈し得る。以下の実施形態における補強要素25は、中空状の球体26として設計されている。このような実施形態により、特に送信プロセス後の被覆部15の振動エネルギーをより良好に減衰させることができる。なぜならば、補強要素25は制振要素17の剛性を高めることにより、被覆部15の振動を制振要素17のより深い領域に案内するからである。これにより、特に広い温度領域に亘る良好な減衰が可能になる。超音波センサ5aの不感時間はこうして短縮され得るため、広い温度領域に亘る超音波センサ5aの良好な動作が可能となる。
【0036】
装置は、好適にはアセンブリ5を備えている。装置は、特に自動車両1用の被覆部15を有するように形成される。超音波センサ5aは、目立たない態様で被覆部15に配置されている。超音波センサ5aは、超音波信号8を被覆部15を介して送信する、および/またはエコー信号9を被覆部15を介して受信するように配置されている。
【0037】
図4は、制振要素17の実施形態の概略斜視図である。本実施形態の補強要素25は、制振要素17内で特に均一に分布している。本例示的実施形態において、制振要素17は、補強要素25として繊維27を含んでいる。制振要素17は、補強要素25としての繊維27として、例えばガラス繊維、セラミック繊維、玄武岩繊維、鉱物繊維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム繊維および/またはプラスチック繊維を含み得る。本例における制振要素17は、特に周囲環境の影響から制振要素17をより良好に保護し得るカバー層28を特に備えている。
【0038】
特に、制振要素17における少なくとも補強要素25の形状および/または補強要素25の位置が、超音波センサ5aの共振周波数に適合したものとされることが提供される。特に、制振要素17および補強要素25は、超音波センサ5aの共振周波数において最大の減衰が生じるように設計されている。
【0039】
図5は、制振要素17の例示的実施形態の温度―減衰グラフである。温度、具体的には周囲温度が横軸Aに℃として与えられ、減衰は縦座標Oにdbとして与えられている。ここで、ライン29は、補強要素25を有さない制振要素の減衰曲線を特に示す。ライン30は、温度領域に亘る、補強要素25を有する制振要素17の減衰曲線を示す。
図5に示すグラフは、単なる例示としてのものであり、決定的なものとして考えるべきではない。本図は、本発明による思想を説明するためだけのものである。特に、以下のグラフにおいて、補強要素25を有する制振要素17を表すライン30が、特に+15℃乃至+50℃の領域において非常に高い減衰を呈することが理解される。特にライン29と比較して、減衰が良好であることが理解される。
図5に示すように、特に周囲温度が+15℃乃至+50℃において、被覆部15の減衰が良好であることが観察できる。減衰は特に補強要素25に依存しており、補強要素25を有さない制振要素と単純に比較して、-30℃から+90℃までの温度領域において、補強要素25を有する制振要素17の減衰が全体として良好であることも観察することができる。
【0040】
特に、制振要素17および補強要素25は、-30℃から+90℃までの温度領域に亘って、-250dbの減衰を呈することが提供される。