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特許7170044寝具製品用の3次元ポリ乳酸繊維マトリクス層
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  • 特許-寝具製品用の3次元ポリ乳酸繊維マトリクス層 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】寝具製品用の3次元ポリ乳酸繊維マトリクス層
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20221104BHJP
   A47C 27/12 20060101ALI20221104BHJP
   D04H 3/011 20120101ALI20221104BHJP
【FI】
A47C27/15 A
A47C27/12 Z
D04H3/011
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020531562
(86)(22)【出願日】2018-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 US2018046834
(87)【国際公開番号】W WO2019036557
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】15/679,221
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520053795
【氏名又は名称】サータ シモンズ ベディング エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SERTA SIMMONS BEDDING,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】チラッカル、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】プレステラ、マッケンジー
(72)【発明者】
【氏名】マクガイア、シェリ
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0287708(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0157630(US,A1)
【文献】特表2012-502768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/15
A47C 27/12
D04H 3/011
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスであって、
1つ以上の3次元PLA繊維マトリクス層であって、隣接する繊維同士の間の接続点にて結合されているとともに前記層の単位領域あたりの自由体積を有する、ランダムに配向されたPLA繊維を含み、前記1つ以上の3次元PLA繊維マトリクス層は、プレコンディショニングされた前記3次元PLA繊維マトリクス層の機械特性を前記プレコンディショニングがされていない前記3次元PLA繊維マトリクス層に対して変化させるべく、前記接続点のうちの一部が分離し、かつ、前記ランダムに配向されたPLA繊維のうちの一部がフラグメントとなるように、プレコンディショニングされている、マットレス。
【請求項2】
前記1つ以上の3次元PLA繊維マトリクス層は、1つ以上の上部フォーム層と1つの下部基底層との間にある、請求項1に記載のマットレス。
【請求項3】
前記1つ以上の上部フォーム層は、粘弾性フォームを備える、請求項2に記載のマットレス。
【請求項4】
前記下部基底層は、ポリウレタンフォームまたはラテックスフォームを備える、請求項2に記載のマットレス。
【請求項5】
前記下部基底層は、フォームバケットアセンブリ内に配置されているコイルスプリングインナーコアを備える、請求項2に記載のマットレス。
【請求項6】
前記下部基底層および前記1つ以上の上部フォーム層は、前記3次元PLA繊維マトリクス層から形成されている、請求項2に記載のマットレス。
【請求項7】
押し出された前記3次元PLA繊維マトリクス層は、異なる密度、押込み力たわみ値、またはその両方を有する前記PLA繊維の複数の区域を備える、請求項1に記載のマットレス。
【請求項8】
前記3次元PLA繊維マトリクス層は、2.54~15.24cm(1~6インチ)の高さ寸法を有する、請求項1に記載のマットレス。
【請求項9】
前記3次元PLA繊維マトリクス層は、22.24から111.2Nまで(5から25重量ポンドまで)の範囲の押込み力たわみを有する、請求項1に記載のマットレス。
【請求項10】
前記PLAは、ラセミPLLA(ポリ-L-乳酸)、規則性PLLA(ポリ-L-乳酸)、PDLA(ポリ-D-乳酸)、PDLLA(ポリ-DL-乳酸)、PLGA(乳酸-グリコール酸共重合体)、PCL(ポリカプロラクトン)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のマットレス。
【請求項11】
前記機械特性の前記変化は、プレコンディショニングされていない前記3次元PLA繊維マトリクス層に対するプレコンディショニングされた前記3次元PLA繊維マトリクス層の厚さの減少である、請求項1に記載のマットレス。
【請求項12】
前記機械特性の前記変化は、プレコンディショニングされていない前記3次元PLA繊維マトリクス層に対するプレコンディショニングされた前記3次元PLA繊維マトリクス層の押込み力たわみの減少である、請求項1に記載のマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、寝具製品および製造方法に関し、より詳細には、3次元ポリ乳酸(PLA)繊維マトリクス層を備える寝具製品に関する。
【背景技術】
【0002】
オールフォームマットレスアセンブリおよびハイブリッドフォームマットレス(例えば、1つまたは複数のフォーム層に加えて、スプリングコイル、流体を含む袋状部、およびそれらの様々な組合せを備えるフォームマットレス)に関する継続中の問題のうちの1つは、ユーザの快適さである。ユーザの快適さに対処するため、マットレスは、意図されるユーザのニーズに適するように、特に密度および硬度などの変化する特性を有する複数の層を有するように製造されることが多い。ユーザの快適さに関わる1つの特定の領域は、ある期間後にユーザが経験する蓄熱のレベルである。これに加えて、いくつかのマットレスは、高レベルの湿気を保持し、さらにユーザに対する不快を生じ、潜在的に不衛生に至り得る。
【0003】
残念なことに、現在のマットレスアセンブリに用いられる高密度のフォーム(特に、典型的には微細なセル構造を有し通気性が低い従来のメモリフォーム層を利用したもの)は、一般に、適切な換気を妨げる。結果として、フォーム材料は、ある期間後にユーザに対して不快なレベルの熱を示し得る。
【発明の概要】
【0004】
本明細書において開示されるものは、3次元ポリ乳酸(PLA)ポリマー繊維マトリクスを備える寝具製品である。
1つまたは複数の実施形態では、マットレス構造についての3次元ポリマー繊維マトリクス層は、隣接するPLA繊維同士の間の接続点にて結合されるとともにその層の単位領域あたりの自由体積を有する、複数のランダムに配向されたポリ乳酸(PLA)繊維を備える。
【0005】
1つまたは複数の実施形態では、マットレスは、隣接する繊維同士の間の接続点にて結合されるとともにその層の単位領域あたりの自由体積を有する、ランダムに配向されたPLA繊維を備える1つ以上の3次元PLA繊維マトリクス層を備える。
【0006】
本開示は、本開示の様々な特徴の以下の詳細な説明およびその詳細な説明に含まれる例を参照することによって、より容易に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】3次元ポリマー繊維マトリクス層を備えるフォーム繊維複合層の部分断面図を概略的に示す図。
図2】3次元ポリマー繊維マトリクス層をプレコンディショニングするための例示的なシステムを概略的に示す図。
図3】3次元ポリマー繊維マトリクス層をプレコンディショニングするための例示的なシステムを概略的に示す図。
図4】3次元ポリマー繊維マトリクス層を備えるマットレスの上面および断面図。
図5】3次元ポリマー繊維マトリクス層を備えるマットレスの上面および断面図。
図6】プレコンディショニングされた3次元ポリマー繊維マトリクス層を備える例示的なマットレスを概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図4および図5は、本発明の一実施形態に係るマットレス200の上面図(上)および側面図(下)をそれぞれ示す。マットレス200は、マットレスコア202と、就寝面を提供するようにマットレスコア202上に配置されている1つ以上の3次元PLA繊維マトリクス層204とを備える。3次元PLAマトリクス層204の部分206および208は、異なって処理されてよい。例えば、3次元PLAマトリクス層204の部分208はプレコンディショニングされてよく、一方、部分206はプレコンディショニングされない。これによって、マットレスのある部分がより硬質またはより軟質であることが可能であって、ユーザの就寝姿勢に合うように仕立てられることが可能であるマットレスを得る。他の実施形態では、3次元PLAマトリクス層204の異なる部分が、異なる程度にプレコンディショニングされてよい。例えば、3次元PLAマトリクス層204の一区画は、特定の硬さを提供するように、ある量の圧縮(または伸張)が行われてよく、3次元ポリマーマトリクス層204の別の区画は、異なる硬さを提供するように、異なる量により圧縮または伸張されてよい。随意では、3次元PLAマトリクス層204は、3つ以上の部分においてプレコンディショニングされてよく、各部分は異なる硬さを提供するようにプレコンディショニングされてよい。
【0009】
図6は、下部の基底層302と、3次元ポリマー繊維マトリクス層304と、1つ以上の上部フォーム層306とを備えるマットレス300を概略的に示す。3次元PLA繊維マトリクス層304は、基底層302と上部フォーム層304との間にある。
【0010】
本開示は、マットレスに1つまたは複数の3次元ポリ乳酸繊維マトリクス層を提供することによって、先行技術において知られた問題を克服する。3次元繊維マトリクスを形成するポリ乳酸ポリマー(PLA)は、ポリ乳酸とも呼ばれる。PLAは、再生不能な石油資源に典型的には由来する従来のプラスチックとは対照的な、再生可能資源に由来する生分解性の熱可塑性脂肪族ポリエステルである。いくつかの様々な種類の適切なポリ乳酸ポリマーは、ラセミPLLA(ポリ-L-乳酸)、規則性PLLA(ポリ-L-乳酸)、PDLA(ポリ-D-乳酸)、PDLLA(ポリ-DL-乳酸)、PLGA(乳酸-グリコール酸共重合体)、PCL(ポリカプロラクトン)、およびそれらの組合せを含む。
【0011】
マットレス内の1つまたは複数の3次元PLA繊維マトリクス層の位置は、限定されるように意図されるものではない。1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の3次元PLA繊維マトリクス層は、マットレスの表面または底部に近接して配置されることが可能である。1つまたは複数の他の実施形態では、3次元PLA繊維マトリクス層は、オールフォームマットレス構造においては基底フォーム層と1つまたは複数のフォーム層(例えば、ポリウレタンフォーム層、ラテックスフォーム層、粘弾性フォーム層など)との間の、または基底層として袋状部、コイルスプリングなどをさらに備えることが可能なハイブリッドマットレス構造においてはインナーコアと1つまたは複数のフォーム層との間の遷移層として利用される。
【0012】
3次元PLA繊維マトリクス層は、一般に、3次元層に剛性を提供するように、繊維同士の間の様々な接触点が結合点として機能する3次元ランダム繊維配向を生じる、押出処理によって形成される。
【0013】
3次元PLA繊維マトリクス層は、それ自身、3次元ポリマー層を備えるマットレス上をユーザが一方から他方に転がる時に生じ得るような、剪断方向における疲労を受けやすい。結果として、使用に応じて3次元ポリマー繊維層の密集が生じ、これは硬さの変化および高さの減少として経時的に現れることがある。使用に応じた3次元PLA繊維マトリクス層に対する特性変化を最小化するように、3次元ポリマーマトリクス層は、3次元ポリマー繊維マトリクス層内の弱い結合および/または構造的に弱い繊維を壊すプレコンディショニング処理を受けやすくすることが可能である。
【0014】
ここで図1を参照すると、参照符号10により一般に示される3次元PLA繊維マトリクス層が示される。3次元PLA繊維マトリクス層10は、相当数の空隙14(すなわち、単位領域あたり比較的大きい量の自由空間)を形成するランダムに配向されたPLA繊維12を含む。自由空間は、PLA繊維によって占有されない領域として形成され、本明細書において空隙とも呼ばれる。3次元PLA繊維マトリクス層10は、ランダムに配向されたPLA繊維同士の間の交点に複数の結合点16を有する。
【0015】
一般に3次元PLAマトリクス層10は、複数の繊維を形成するようにPLAを最初に押し出すことによって形成される。PLAの乾燥グラニュール、ペレット、チップなど(含水率250ppm未満)は、PLAの溶融温度(すなわち、約150℃~約170℃)よりも大きい上昇した温度および圧力の押出装置(すなわち、押出機)に供給される。次いでPLAは、溶融形態において、一般に定められた直径の複数の離間した開口部を含むプレートであるダイを通じて押し出される。開口部の配置、密度および直径は、プレートを通じて同一であることも異なることも可能である。異なるときには、3次元PLA繊維層は、密度の異なる区域(例えば、断面領域が単位領域あたり異なる量の自由体積を有することが可能である)を有するように作られることが可能である。例えば、3次元PLA繊維マトリクス層はフレーム状構造を含むことが可能であり、外周部が内部よりも高密度を有するか、3次元PLA繊維マトリクス層が格子状パターンを有し、格子の各正方形は隣接する正方形とは異なる密度を有するか、3次元PLA繊維マトリクス層が様々な予想されるユーザの重量負荷に対応する異なる密度部分を有する。3次元PLA繊維マトリクス層の様々な構造は、限定されることが意図されるものではなく、任意の所望の用途についてカスタマイズされることが可能である。このようにして、3次元PLA繊維マトリクス層の硬さ(すなわち、押込み力たわみ)および/または密度は、ダイ形状およびコンベア速度に応じて一様であるか異なることが可能である。
【0016】
PLA原材料は冷却槽へと押し出され、それによってもつれを生じ、もつれによってPLA繊維の結合を得る。同時に、連続的に押し出され、冷却されたポリマーマトリクスはコンベア上へと引かれる。運搬のレートおよび冷却槽の温度は3次元ポリマー繊維層の厚さと密度とをさらに変化させるように、個々に変化することが可能である。一般に、3次元PLA繊維マトリクス層の厚さは、それ自体、約2.54cmから約15.24cmまで(約1から約6インチまで)の範囲の厚さの全幅マットレス材料として押し出されることが可能であり、またトッパーの大きさにまたはロール形態内に製造されることが可能である。しかしながら、所望される場合には、より薄いかより厚い厚さが、より広い幅とともに用いられることも可能である。3次元PLA繊維マトリクス層は、1.27cmから14.99cmまで(0.5から5.9インチまで)の範囲の厚さを有することが可能である。
【0017】
適切な押出機は、例えば、ニュージャージー州07446ラムジーのシンシナティ-ミラクロン(Cincinnati-Millicron)のクルップヴェルナーウントプライデラー社(Krupp Werner&Pfleiderer Corp.)、ニュージャージー州08876サマービル、ノースカロライナ州シャーロットのベルストルフ(Berstorff)社、およびコネチカット州06379パーカタックのクロンプトンアンドノーズル社のデービススタンダード部門(Davis-Standard Div. Crompton&Knowles Corp.)を含む様々な製造業者から入手可能な産業用溶融可塑化押出機などの連続処理高剪断ミキサを含むが、これらに限定されない。ニーダーは、イリノイ州ブルーミントンのブス・アメリカ(Buss America)社から入手可能であり、これに代えて、ジェリマット(Gelimat)(商標)として知られる高剪断ミキサが、ドイツ国マンハイム・ヴァルトホーフの有限会社ドレイスウェルケ(Draiswerke)から入手可能であり、ファレル連続式ミキサ(Farrel Continuous Mixers)はコネチカット州アンソニアのファレル(Farrel)社から入手可能である。混合、加熱、圧縮および混練動作に用いられるスクリューコンポーネントは、ニューヨーク(1986)ハンサー出版(Hanser Publisher)ポリマー押出、ラウウェンダール(Rauwendaal)の8章および458~476頁、メイヤー(Meijer)らの”The Modeling of Continuous Mixers.Part1:The Corotating Twin-Screw Extruder”、ポリマー工学および科学vol.28,No.5の282~284頁(1998年3月)、およびギボンズ(Gibbons)らの「押出機(Extrusion)」現代プラスチック百科事典(Modern Plastics Encyclopedia)(1986~1987)に示され記載されている。押出機バレル要素の選択と押出機スクリューの組立に必要な知識は、様々な押出機供給者から容易に取得可能であり、流動性ポリマー過疎化の分野の当業者に周知である。
【0018】
PLA繊維は、中実または中空であることが可能であり、また円形もしくは三角形、または他の断面形状(例えば、三葉形、チャネルが形成されている(channeled)など)である断面を有することが可能である。別の種類のPLA繊維は、もつれたスプリング状構造を有する。製造中、PLA繊維構造は、より弾性的な構造を提供するように、繊維同士を互いに連結させるための押出によって加熱される。繊維は、所望される特性に応じて、ランダムに配向されるか指向的に配向されてよい。そうした処理は、調整可能スプリングマットレスおよび該マットレスを製造する方法(Tunable Spring Mattress and Method for Making the Same)と題される米国特許第8813286号明細書において説明され、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
PLA繊維およびそのPLA繊維の特性は、所望の調整特性を提供するように選択される。クッションについての「感触」の1つの測定は、押込み力たわみ、すなわちIFDである。押込み力たわみは、メモリフォームなどのフォームのサンプルの「硬さ」を評価するための、柔軟フォーム製造業界において用いられている測定基準である。IFD試験を実施するため、323平方センチメートル(50平方インチ-直径にて20.32cm(8インチ))の面積を有する円形の平面圧子が、通常100mmの厚さと500mm×500mmの領域を有するフォームサンプルに対して押下される(ASTM標準D3574)。フォームサンプルは、空気の通過を可能とするように孔により貫通した平坦な台上にまず置かれる。次いで、75%の「ひずみ」に2回圧縮されることによってフォームサンプルのセルが開かれ、次いで6分間回復する。力は、押出機により25%の押出を成し遂げた後に60秒測定される。より小さい硬さには低いスコア、より大きい硬さには高いスコアが対応する。このように試験される、マットレスに用いられるために構成された3次元PLA繊維マトリクス層のIFDは、22.24~111.21N(5~25重量ポンド)の範囲のIFDを有する。3次元PLA繊維マトリクス層の密度は、24.03~96.11kg/m(1.5~6ポンド/立方フィート)の範囲である。プレコンディショニングに続いて、適用可能であれば、3次元PLA繊維マトリクス層は、25.6~112.1kg/m(1.6~7ポンド/立方フィート)の密度および17.8~110.8N(4~24.9重量ポンド)のIFDを有することが可能である。
【0020】
上述した通り、いくつかの実施形態では、3次元PLA繊維マトリクス層は予めコンディショニングされることが可能である。図2は、3次元ポリマー繊維マトリクス層52の表面54にわたって、またマットレスの層として使用可能な耐用期間に、より一貫した一様な硬さまたは硬度を提供するように、3次元PLA繊維マトリクス層52のプレコンディショニングを可能としたシステム50の1つの実施形態を示す。特に、図2は、マットレスコア54の上部に備え付けられた3次元PLA繊維マトリクス層52により作られたマットレスを示す。マットレスコア54は、可動プラテン62の上方の台60上に着座する。プラテン62は、矢印65により示されるようにマットレスの脚部からマットレスの頭部まで前後に可動であり、また同時に、機械アーム64は、矢印66により示されるように上下に動く。機械アーム64は、機械的な力を与えるように、3次元PLA繊維マトリクス層52を周期的に処理することが可能である。与えられる機械的な力の量は、3次元PLA繊維マトリクス層52のIFDなどの機械特性を調節するように選択される。機械アーム64上にて搬送されるプラテン62は、マットレスの表面全体にわたって動くことによって、ほぼマットレスの全長および全幅にわたってマットレスを処理することが可能である。これは、マットレスの全長および全幅にわたって、より一貫した硬さを提供する。他の実施形態では、3次元PLA繊維マトリクス層52は、マットレスコア54なしで最初に個々に処理され、次いでコンディショニングされたマットレスアセンブリを提供するようにマットレスコア上に配置される。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、プラテン64は、マットレスの就寝領域および/または3次元PLA繊維マトリクス層52にほぼ類似するように寸法決定されることが可能である。そうした実施形態では、システム50は、マットレスの大部分をプレコンディショニングするように用いられてよい。さらに、そうした実施形態では、システム50は、マットレス表面の頭部、胴部および脚部を同時にプレコンディショニングするように用いられてよい。さらに他の実施形態では、システム50は、プレコンディショニングの性質に応じて、所望されるように構成されてよい。例えば、プラテン62は、マットレスおよび/または3次元PLA繊維マトリクス層52の中間部分か端部分かまたはその両方を選択的にプレコンディショニングするように寸法決定および形状決定されてよい。別の例では、システム50は、類似または異なる負荷を与えることによってマットレスの異なる部分をプレコンディショニングするために複数のプラテン63により構成されてよい。ある実施形態では、プラテン62は、プラテン62がマットレスおよび/または3次元PLA繊維マトリクス層52を次第に圧縮するべくマットレスの表面に沿って転がり得るように、マットレスの長さまたは幅に沿って可動であってよく、円筒ローラが備えられてよい。一般に、他の実施形態および実施において、図2に示されるデバイスは、3次元PLA繊維マトリクス層52の選択された部分および領域の処理しか行わないことが可能である。ある実施形態では、マットレスは、マットレスが異なる硬さの複数の区域により構成され得るように姿勢を取ってよい。そうした実施形態では、マットレスは、下部の背中および膝の下に余分な支持部を追加することによって人の脊柱のS字曲線の自然な位置整合を促進するように、または同一のマットレスにて就寝するものの異なる硬さを所望するパートナのために異なる硬さの区域を提供するように、他の区域とは異なる硬さを有する選択された区域を有するように姿勢を取られてよい。3次元PLA繊維マトリクス層52において処理された領域が用途に応じ、所望に応じて変化可能であることが、当業者には明らかとなる。ある実施形態では、追加の3次元PLA繊維マトリクス層(図示せず)が、複数の層を提供するように、マットレスにさらに配置されてよい。1つまたは複数の実施形態では、マットレスの各々および全ての層が、3次元PLA繊維マトリクス層から形成されることが可能である。随意では、これらの追加の3次元PLA繊維マトリクス層52の1つまたは複数は、本願に記載される通り、プレコンディショニングされたフォームの複数の層を有するマットレスを提供するように、ひずむこと、圧縮および/または伸張によってプレコンディショニングされてもよい。またさらに、マットレスは、フォーム、コイルスプリングなどの追加の層を備えることが可能であることが明らかである。
【0022】
図3は、3次元PLA繊維マトリクス層52を処理するための代替システム100を示す。示される実施形態では、逆方向に回転する一対のローラ102,104は、3次元ポリマー繊維マトリクス層52の全長および全幅にわたって力を加える。ローラは、随意では、押出ライン、切断ライン、マットレス組立ライン、またはアセンブリ発送ラインへと配置されることが可能であり、その結果、新たに製造される3次元PLA繊維マトリクス層52は、工場において調製されつつ処理される。本開示の3次元PLA繊維マトリクス層をプレコンディショニングするための、これらのおよび他の適切なシステムは、米国特許7690096号明細書にさらに開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態に係るマットレス200の上面図(上)および側面図(下)を示す。マットレス200は、マットレスコア202と、就寝面を提供するようにマットレスコア202上に配置されている1つ以上の3次元PLA繊維マトリクス層204とを備える。3次元PLAマトリクス層204の部分206および208は、異なって処理されてよい。例えば、3次元PLAマトリクス層204の部分208はプレコンディショニングされてよく、一方、部分206はプレコンディショニングされない。これによって、マットレスのある部分がより硬質またはより軟質であることが可能であって、ユーザの就寝姿勢に合うように仕立てられることが可能であるマットレスを得る。他の実施形態では、3次元PLAマトリクス層204の異なる部分が、異なる程度にプレコンディショニングされてよい。例えば、3次元PLAマトリクス層204の一区画は、特定の硬さを提供するように、ある量の圧縮(または伸張)が行われてよく、3次元ポリマーマトリクス層204の別の区画は、異なる硬さを提供するように、異なる量により圧縮または伸張されてよい。随意では、3次元PLAマトリクス層204は、3つ以上の部分においてプレコンディショニングされてよく、各部分は異なる硬さを提供するようにプレコンディショニングされてよい。
【0024】
図5は、下部の基底層302と、3次元ポリマー繊維マトリクス層304と、1つ以上の上部フォーム層306とを備えるマットレス300を概略的に示す。3次元PLA繊維マトリクス層304は、基底層302と上部フォーム層304との間にある。
【0025】
一般に、下部の基底層302の厚さは、10.16~25.4cm(4インチ~10インチ)の範囲内にあり、他の実施形態では約15.24~20.32cm(6インチ~8インチ)の厚さの範囲、さらに他の実施形態では約15.24~16.51cm(6~6.5インチ)の範囲を有する。下部の基底層は、限定されないが、粘弾性フォーム、非粘弾性フォーム、ラテックスフォーム、ポリウレタンフォームなどを含む、連続または独立気泡フォームから形成されることが可能である。
【0026】
下部の基底層302は、16.02キログラム毎立方メートル(1ポンド毎立方フィート)~96.11kg/m(6ポンド/立方フィート)の密度を有することが可能である。他の実施形態では、密度は16.02kg/m~80.1kg/m(1~5ポンド/立方フィート)、また、さらに他の実施形態では、24.03kg/mから64.07kg/m(1.5~4ポンド/立方フィート)である。例として、密度は約24.03kg/m(1.5ポンド/立方フィート)であることが可能である。押込み力たわみ(IFD)は、88.96~177.93N(20~40重量ポンド)の範囲内であり、硬度はASTM標準D3574に従って測定される。
【0027】
これに代えて、下部の基底層302は、バケットアセンブリによって形成されたキャビティ内に配置されるコイルスプリングインナーコアであることが可能であり、バケットアセンブリは、平坦基底層とその平坦基底層の周縁部の周りに配置されたサイドレールとを備える。
【0028】
1つ以上の上部フォーム層306は3次元PLAマトリクス繊維層304の上にあるカバーパネルを形成する。カバーパネルは、意図された用途に応じて、1つまたは複数の粘弾性フォームおよび/または非粘弾性フォーム層から形成されることが可能である。フォーム自身は、限定されないが、ラテックスフォーム、天然ラテックスフォーム、ポリウレタンフォーム、それらの組合せなどを含む任意の連続または独立気泡フォーム材料であることが可能である。カバーパネルは、平坦な頂面および底面を有する。カバーパネルの厚さは、一般に、いくつかの実施形態では約1.27~5.08cm(0.5~2インチ)の範囲内であり、他の実施形態では、下部にあるフォーム層104からの分離した運動と気流の増加との利点を提供するように2.54cm(1インチ)未満である。1つ以上の上部フォーム層306の密度は、いくつかの実施形態では16.02~80.1kg/m(1~5ポンド/立方フィート)、他の実施形態では32.03~64.07kg/m(2~4ポンド/立方フィート)の範囲内である。硬度は、いくつかの実施形態では約44.48~88.96N(10~20重量ポンド)の範囲内、他の実施形態では66.72N(15重量ポンド)未満である。1つの実施形態では、カバーパネルは、1.27cm(0.5インチ)の厚さ、54.46kg/m(3.4ポンド/立方フィート)の密度、および62.28N(14重量ポンド)の硬度である。
【0029】
1つまたは複数の実施形態では、様々な複数の積載されたマットレス層302,304および306の各々が、3次元PLA繊維マトリクスから形成されることが可能である。
様々な複数の積載されたマットレス層302,304および306は、異なる用途について所望され得るように、接着剤を用いて互いに接合されてよく、もしくは互いに熱的に結合されてよく、または、互いに機械的に固定されてよい。
【0030】
この記載された説明は、最良の様式を含む本発明を開示するように、また任意の当業者が本発明を行うとともに用いることができるように、例を用いている。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定められ、当業者により想到される他の例を含んでよい。そうした他の例は、その例が特許請求の範囲の文字通りの言葉とは異ならない構造的要素を有する場合、またはその例が特許請求の範囲の文字通りの言葉とは非実質的な差異を有する均等な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6