(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】大腿ベースプレートTHA
(51)【国際特許分類】
A61F 2/46 20060101AFI20221104BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20221104BHJP
【FI】
A61F2/46
A61B34/20
(21)【出願番号】P 2021000149
(22)【出願日】2021-01-04
(62)【分割の表示】P 2018530683の分割
【原出願日】2016-12-15
【審査請求日】2021-01-19
(32)【優先日】2015-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516111166
【氏名又は名称】マフホウズ,モハメド ラシュワン
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】マフホウズ,モハメド アール
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-503326(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0174285(US,A1)
【文献】特表2009-530052(JP,A)
【文献】特表2003-529414(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0082606(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0275957(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/46
A61B 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿ベースプレート組立体であって、
大腿骨の外部の形状を近似するように構成された骨接触面を有するプレート
と、前記プレートに装着されたステムとを備え、前記プレートは、前記骨接触面に対して角度が付いており、それぞれの締結具を所定の角度配向に配向させるように構成された第1の複数の開口部を含み、前記プレートは第2の複数の開口部を含み、前記第2の複数の開口部のうちの少なくとも1つはねじ山を有し、前記開口部の各々は、前記骨接触面を貫き、前記骨接触面と反対側の上面を貫いて延び
、前記ステムは、前記プレートに対して離間した関係で前記ステムに装着された慣性測定ユニットを有する、大腿ベースプレート組立体。
【請求項2】
前記第1の複数の開口部のうちの少なくとも1つが、前記上面および前記骨接触面に対して陥凹した鍔部を含む、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項3】
前記第1の複数の開口部が各々、前記上面および前記骨接触面に対して陥凹した鍔部を含む、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項4】
前記第1の複数の開口部が三角構成で配向されている、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項5】
前記第1の複数の開口部が直線に沿って並んでいる、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項6】
各々の前記複数の第1の開口部の長手方向軸が互いに非平行である、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項7】
前記第2の複数の開口部のうちの少なくとも1つが実質的に一様な長手方向断面を含む、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項8】
前記第2の複数の開口部のうちの少なくとも1つが非一様な長手方向断面を含む、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項9】
前記第2の複数の開口部の各々が実質的に一様な長手方向断面を含む、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項10】
前記第2の複数の開口部が直線状に配置されている、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項11】
前記第2の複数の開口部が三角構成で配置されている、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項12】
各々の前記複数の第2の開口部の長手方向軸が互いに平行である、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項13】
各々の前記複数の第2の開口部の長手方向軸が互いに平行でない、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項14】
前記慣性測定ユニットと前記プレートとの間の特別な関係が一定のままである、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項15】
前記慣性測定ユニットと前記ステムとの間の特別な関係が一定のままである、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項16】
前記ステムが前記プレートに取り外し可能に結合されているため、前記慣性測定ユニットと前記プレートとの間の特別な関係が変化することができる、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項17】
前記ステムは、前記プレートに取り外し可能に装着され
、前記ステムは、前記第2の複数の開口部のうちの少なくとも1つの内部に受容されるように構成された少なくとも1つの突起を含む、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項18】
前記ステムは、前記プレートに取り外し可能に装着され
、前記ステムは、前記第2の複数の開口部内に受容されるように構成された複数の突起を含む、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【請求項19】
前記ステムは、前記プレートに取り外し可能に装着され
、前記ステムは、前記第2の複数の開口部のうちの少なくとも1つの内部に受容されるように構成された突起を含み、前記ステムは、前記プレートの突起を受容するように構成された開口部を含む、請求項1に記載の大腿ベースプレート組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月15日に出願された、「FEMORAL BASE PLATE THA」と題する、米国仮特許出願第62/267,370号の利益を主張する。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれる。
【0002】
本発明の概論
本開示は、慣性測定ユニットを含む手術ナビゲーションシステムを用いた完全股関節形成術のための後方アプローチとともに用いられ得る大腿ベースプレートの取り付けのための形状、配置、およびねじロケーションの最適化に関する。以下においてより詳細に説明されるように、大腿ベースプレートの形状は、規定のベースプレート取り付け部位における大腿骨の統計アトラスの平均表面曲率から得られる。このベースプレート取り付け部位はねじの長さおよびロケーションに依存し得、そのため、正しく配置されると、取り付けねじは本提案のラスプおよびステム構成要素に衝突しない。
【背景技術】
【0003】
2014年12月9日に出願された国際出願PCT/US14/69411号が本明細書において参照により組み込まれることに留意されたい。上述の出願の部分が付録Aとして本文書に添付されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートを作製する方法であって、(i)統計アトラスの複数の骨モデルにわたる解剖学的ランドマークを確立することと、(ii)統計アトラスの複数の骨モデルにわたる器具ランドマークを確立することと、(iii)統計アトラスの複数の骨モデルにわたる基準面算出のための規定を確立することであって、ここで基準面は補綴インプラントの境界を表すものであり、(iv)解剖学的ランドマーク、器具ランドマーク、および基準面を用いて、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートのための取り付け部位を確立することと、(v)大腿骨に取り付けられるように構成されたマスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートを製作することであって、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートの取り付け部位は、インプラントされた時に補綴インプラントとの衝突を回避するようにあらかじめ決められる、製作することと、を含む、方法を提供することである。
【0006】
第1の態様のより詳細な実施形態では、解剖学的ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について大腿骨小転子点の先端を計算することを含む。さらに別のより詳細な実施形態では、解剖学的ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、大腿骨骨幹部と接する、小転子の縁部を標示する平面を計算することを含む。さらに詳細な実施形態では、解剖学的ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について大腿骨全体解剖軸を計算することを含む。なおさらに詳細な実施形態では、解剖学的ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について大腿骨全体解剖軸上における小転子点の投影を計算することを含む。より詳細な実施形態では、解剖学的ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、小転子の縁部を標示する平面上における小転子点の投影を計算することを含む。より詳細な実施形態では、解剖学的ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について大腿骨全体解剖軸上における小転子点の投影と大腿骨小転子点との間のベクトルとして内側-外側方向を計算することを含む。別のより詳細な実施形態では、解剖学的ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について大腿骨全体解剖軸と内側-外側方向との外積として前方-後方方向を計算することを含む。さらに別のより詳細な実施形態では、解剖学的ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について大腿骨全体解剖軸方向として上方-下方方向を計算することを含む。なお別のより詳細な実施形態では、器具ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、小転子の縁部を標示する平面上における小転子点の投影が内側-外側方向に1ミリメートル変位した際の変位小転子点を計算することを含む。
【0007】
第1の態様のさらに別のより詳細な実施形態では、器具ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、前方-後方方向に沿った向きを有し、変位小転子点を通過する線の交点として、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートのための締結具のロケーションを計算することを含む。さらに別のより詳細な実施形態では、器具ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートのための2つの締結具の間の中間点を計算し、内側-外側方向に0~10ミリメートル変位した第3の締結具のロケーションを確立することを含む。さらに詳細な実施形態では、器具ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、変位小転子点までの大腿骨モデル上の最近点であるマスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートのための締結具のためのロケーションを計算することを含む。なおさらに詳細な実施形態では、器具ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、解剖軸の方向に遠位側へ変位したマスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートのための締結具のロケーションを計算することを含む。より詳細な実施形態では、器具ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートのための少なくとも1つの締結具ロケーションを包含する平面として大腿プレート平面を計算することを含む。より詳細な実施形態では、器具ランドマークを確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートのための締結具の方向を計算することを含む。別のより詳細な実施形態では、方向は大腿プレート平面と垂直に取られる。さらに別のより詳細な実施形態では、大腿プレート平面は、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートのための複数の締結具のロケーションを接続する軸の周りに10~30度内側に回転させられる。なお別のより詳細な実施形態では、規定を確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、近位解剖軸および頸部軸と垂直であり、解剖軸点を通過する基準面を規定することを含む。
【0008】
第1の態様のより詳細な実施形態では、規定を確立することは、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、0~10度回転させられ、0~15ミリメートル平行移動させられた平面として基準面を計算することを含む。さらに別のより詳細な実施形態では、規定を確立することは、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートのための複数の締結具の各々の終端部の間の距離を計算することを含む。さらに詳細な実施形態では、本方法は、統計アトラスの複数の骨モデルの各々について、複数の締結具のうち、基準面を通過するものはいずれも、衝突を有するものとして識別されると留意することをさらに含む。なおさらに詳細な実施形態では、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートの骨接触面が、大腿骨上の意図された取り付け部位における大腿骨の形状を近似するように構成されている。より詳細な実施形態では、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートは、それぞれの締結具を受容するようにサイズ設定された複数の開口部を含む。より詳細な実施形態では、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートは、それぞれのダボを受容するようにサイズ設定された複数の開口部を含む。別のより詳細な実施形態では、マスカスタマイズされた大腿骨ベースプレートは複数のダボを含む。
【0009】
第1の態様のより詳細な実施形態では、複数の開口部のうちの少なくとも1つはねじ山を有する。さらに別のより詳細な実施形態では、複数の開口部のうちの少なくとも1つは、それぞれの締結具のうちの少なくとも1つのための所定の角度経路を確立するために角度が付いている。
【0010】
本発明の第2の態様は、大腿ベースプレート組立体であって、大腿骨の外部の地形を近似するように構成された骨接触面を有するプレートを備え、このプレートは、骨接触面に対して角度が付いており、それぞれの締結具を所定の角度配向に配向させるように構成された第1の複数の開口部を含み、プレートは第2の複数の開口部を含み、この第2の複数の開口部のうちの少なくとも1つはねじ山を有し、開口部の各々は、骨接触面を貫き、骨接触面と反対側の上面を貫いて延びる、大腿ベースプレート組立体を提供することである。
【0011】
第2の態様のより詳細な実施形態では、第1の複数の開口部のうちの少なくとも1つは、上面および骨接触面に対して陥凹した鍔部を含む。さらに別のより詳細な実施形態では、第1の複数の開口部は各々、上面および骨接触面に対して陥凹した鍔部を含む。さらに詳細な実施形態では、第1の複数の開口部は三角構成で配向されている。なおさらに詳細な実施形態では、第1の複数の開口部は直線に沿って並んでいる。より詳細な実施形態では、各々の複数の第1の開口部の長手方向軸は互いに非平行である。より詳細な実施形態では、第2の複数の開口部のうちの少なくとも1つは実質的に一様な長手方向断面を含む。別のより詳細な実施形態では、第2の複数の開口部のうちの少なくとも1つは非一様な長手方向断面を含む。さらに別のより詳細な実施形態では、第2の複数の開口部の各々は実質的に一様な長手方向断面を含む。なお別のより詳細な実施形態では、第2の複数の開口部は直線状に配置である。
【0012】
第2の態様のさらに別のより詳細な実施形態では、第2の複数の開口部は三角構成で配置されている。さらに別のより詳細な実施形態では、各々の複数の第2の開口部の長手方向軸は互いに平行である。さらに詳細な実施形態では、各々の複数の第2の開口部の長手方向軸は互いに平行でない。なおさらに詳細な実施形態では、組立体は、プレートに装着されたステムをさらに含み、このステムは、プレートに対して離間した関係でステムに装着された慣性測定ユニットを有し、慣性測定ユニットとプレートとの間の特別な関係は一定のままである。より詳細な実施形態では、組立体は、プレートに装着されたステムをさらに含み、このステムは、プレートに対して離間した関係でステムに装着された慣性測定ユニットを有し、慣性測定ユニットとステムとの間の特別な関係は一定のままである。より詳細な実施形態では、組立体は、プレートに装着されたステムをさらに含み、このステムは、プレートに対して離間した関係でステムに装着された慣性測定ユニットを有し、ステムがプレートに取り外し可能に結合されているため、慣性測定ユニットとプレートとの間の特別な関係は変化することができる。別のより詳細な実施形態では、組立体は、プレートに取り外し可能に装着されたステムをさらに含み、このステムは、プレートに対して離間した関係でステムに装着された慣性測定ユニットを有し、ステムは、第2の複数の開口部のうちの少なくとも1つの内部に受容されるように構成された少なくとも1つの突起を含む。さらに別のより詳細な実施形態では、組立体は、プレートに取り外し可能に装着されたステムをさらに含み、このステムは、プレートに対して離間した関係でステムに装着された慣性測定ユニットを有し、ステムは、第2の複数の開口部内に受容されるように構成された複数の突起を含む。なお別のより詳細な実施形態では、組立体は、プレートに取り外し可能に装着されたステムをさらに含み、このステムは、プレートに対して離間した関係でステムに装着された慣性測定ユニットを有し、ステムは、第2の複数の開口部のうちの少なくとも1つの内部に受容されるように構成された突起を含み、ステムは、プレートの突起を受容するように構成された開口部を含む。
【0013】
正確な手術ナビゲーションは長年にわたり究極の目標であった。本出願人は、手術ナビゲーションシステムの一部としての慣性測定ユニット(inertial measurement unit、IMU)の利用を開発した。IMUは、磁気異常の主な原因となる手術用機器およびインプラントに対する解剖学的構造の位置および向きの変化に関する詳細な情報を提供する。IMUを用いることの一部として本出願人が直面した課題のうちの1つは、2つの条件を満たす完全股関節形成術手術という観点からの基準IMUの装着である。第1に、基準IMUは、緩い締結具またはその他の遊びに起因する大腿骨とFMUとの間の多大な運動を生じさせない仕方で大腿骨に装着されなければならない。なぜなら、遊びは、基準FMUの動きが、IMUが装着された骨の動きを必ずしも指示しないことを意味するためである。第2に、基準IMUは、外科医が接近可能であるが、それにもかかわらず、手術中における基準IMUの再位置付けを回避するよう、外科医の手術区域(骨が取り除かれるか、もしくは表面を作り替えられるエリア、および髄内管が広げられるエリアを含む)から外れたロケーション内で大腿骨に装着されるべきである。低侵襲外科手術が流行しており、基準FMUを提供するための空間は必然的に著しく狭くなるが、それでもなお、外科医の手術区域に接近しないことを前提とすると、これは極めて困難になり得る。
【0014】
これらの課題に対処するために、本出願人は、人工膝関節全置換手術の間に大腿骨の前側および後側のうちの少なくとも一方に装着することができる大腿ベースプレート(および新規の大腿ベースプレート)のための取り付け区域を識別するために利用される方法を開発した。添付の方法は、統計アトラスを利用し、良好な固定をもたらすが、同時に、外科医の手術区域と過度に干渉しない、または基準IMUが手術中に再位置付けされることを必要としない、大腿ベースプレートを装着可能な大腿骨上の1つまたは複数の部位を識別する。例として、添付の方法は、統計アトラス内の骨モデル母集団にわたって同様の算出を行い、装着解決策を見出すために骨モデルと比較される固定ロケーション、深さ、および向きを確立することによって、大腿ベースプレートのための特定の取り付けロケーションまたは区域が好ましいものになるかどうかを識別する。好ましい意味において、この装着解決策は、より長い固定デバイス(手術用ねじなど)が利用されることを可能にするが、外科医の手術区域(髄内管、および大腿骨に対して骨の切断が行われる場所を含む)との接触または衝突を回避する仕方でそれを可能にする解決策である。統計アトラスにわたってこれらの算出を遂行することによって、本出願人は、患者特定的な解決策を必要とすることなく、大きな母集団の大部分のために固定が適切となる好ましい前方エリアおよび後方エリアを識別した。同時に、本出願人は、大腿骨に装着され、装着ロケーションにおける大腿骨の地形を近似する骨接触面を含む、マスカスタマイズされたベースプレートを開発した。表面地形のこの近似は大腿骨とベースプレートとの間の接続の剛性を増大させる。得られた大腿ベースプレートを大腿骨に装着する前または後に、ベースプレートをステムおよびIMUに装着することができ、かくして、IMUの動きが大腿骨の動きを指示すること(および基準IMUの機能性をもたらすこと)が可能になり、その一方で、同時に、外科医の手術区域外にあり、そのため、基準IMUの再位置付を必要とすることなく全関節形成術を実行することができる仕方で、ステムが切開部を通して延びることが可能になる。この解決策は、手術において過度に干渉すること、ならびに基準IMUの再位置付け、および基準IMUが手術中に再位置付けされた場合には、さもなければ必要となるであろう再校正を必要とすることなく、手術ナビゲーションの一部として外科医が必要とする情報を外科医に与えることによって、明白に時間を節約し、解剖外傷を減少させ、外科医のストレスを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】大腿骨球、および本開示に係る骨ベースプレートのための提案される取り付け部位を含む大腿骨の近位部分を示す図である。
【
図2】3つの手術用ねじの配置、ならびに大腿骨の髄内管に対する軌跡および位置、ならびに髄内管内に位置付けられた整形外科インプラントの大腿ステムの境界を示す、部分切除された大腿骨モデルを示す図である。
【
図3】大腿骨の髄内管、および髄内管内に位置付けられた整形外科インプラントの大腿ステムの境界を示す、部分切除された大腿骨モデルを示す図である。
【
図4】基準面が所定位置にある状態で示される
図3の部分切除された大腿骨モデルである。
【
図5】本開示に係る、モデル化および計算を用いた、基準面に対するそれぞれのねじ遠位端部の平均、標準偏差、最小、および最大距離を示す表である。
【
図6】第1のねじが基準面を貫通した13個の衝突状況、および第1のねじが、貫通してからどれほど基準面を越えて延びたかを示すチャートである。
【
図7】第2のねじが基準面を貫通した10個の衝突状況、および第2のねじが、貫通してからどれほど基準面を越えて延びたかを示すチャートである。
【
図8】第3のねじが基準面を貫通した2つの衝突状況、および第3のねじが、貫通してからどれほど基準面を越えて延びたかを示すチャートである。
【
図9】大腿骨の前方部分上における(IMUを有しない)第1の例示的な骨基準組立体の配置を示す図である。
【
図10】大腿骨の前方部分上における第1の例示的な骨基準組立体の配置を示す図である。
【
図11】本開示に係る例示的な大腿骨ベースプレートの上面正立斜視図である。
【
図12】
図11の例示的な大腿ベースプレートの下面倒立斜視図である。
【
図13】
図11の例示的な大腿ベースプレートの上面図である。
【
図14】本開示に係る例示的なステムの右側面図である。
【
図20】第1の例示的な骨基準組立体の単一の要素として組み立てる前の、締結具、大腿ベースプレート、およびステムの一部分を示す部分分解組立図である。
【
図21】組立後における
図20の構成要素の左側および右側正立斜視図である。
【
図22】大腿骨の後方部分上における(IMUを有しない)第2の例示的な骨基準組立体の配置を示す図である。
【
図23】大腿骨の後方部分上における第2の例示的な骨基準組立体の配置を示す図である。
【
図24】本開示に係る第2の例示的な大腿骨ベースプレートの上面正立斜視図である。
【
図25】
図24の例示的な大腿ベースプレートの下面倒立斜視図である。
【
図26】
図24の例示的な大腿ベースプレートの上面図である。
【
図27】本開示に係る第2の例示的なステムの右側面図である。
【
図30】第2の例示的な骨基準組立体の構成要素の左側正立斜視図である。
【
図31】第2の例示的な骨基準組立体の構成要素の右側正立斜視図である。
【
図32】
図27の第2の例示的なステムの一部分の下面図である。
【
図33】第2の例示的な骨基準組立体の単一の要素として組み立てる前の、締結具、大腿ベースプレート、およびステムの一部分を示す部分分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の例示的な実施形態は、以下において、手術ナビゲーション支援装置、手術ナビゲーション、および手術ナビゲーションと併用するためのマスカスタマイズされた器具を含む整形法の様々な態様を包含するように説明され、図示されている。無論、後述される実施形態は本質的に例示的なものであり、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく再構成され得ることが当業者には明らかであろう。しかし、明確且つ正確にするために、後述される例示的な実施形態は、当業者が、本発明の範囲内に含まれるための必須条件でないと認識するべきである任意選択的なステップ、方法、および特徴を含み得る。
【0017】
図1に示されるように、統計アトラスの一部としての複数の大腿骨モデル100(150個を超えるモデルであり得るが、無論、もっと少なくてもよい)(骨モデルは髄内管110のモデルを含む)が、骨モデルの幾何構成を用いて大腿骨ベースプレートのための一般的取り付け部位102を識別する(すなわち、ランドマーク設定する)ために利用される。換言すれば、大腿骨ベースプレートのためのこの取り付け部位102は、アトラスの各大腿骨モデル100上において、アトラスの骨モデルのうちの2つ以上にわたって概ね同じ骨モデルエリア内に描かれる。このロケーション伝搬に基づいて、アトラスは、大腿骨ベースプレート取り付け部位102が重なるか、またはさもなければ境界を接する各骨モデルの表面の寸法(表面プロファイルを含む)に関する局所幾何構成データを含む。このように、大腿骨ベースプレートの骨接触面は、統計アトラスにわたって取り付け部位を伝搬した後に、取り付け部位102のロケーションにおける骨モデルの寸法を平均するか、または別の仕方でこれらを用いることによって確立され得る。
【0018】
以下の一連のステップは本質的に例示的なものであり、利用される統計アトラスの骨モデル100にわたって解剖学的ランドマークおよび基準を確立するという観点から例示的な大腿骨ベースプレート取り付け部位102(ランドマーク設定)の方法論を詳述する。要求されるわけではないが、以下のステップが、統計アトラスの一部として利用される骨モデル100の各々に対して遂行され得る。例示的な仕方では、統計アトラスの一部として利用される各骨モデル100を評価し、以下のことを行う。(1)大腿骨小転子点の先端(LT)を計算する、(2)大腿骨骨幹部と接する、小転子の縁部を標示する平面(LTEP)を計算する、(3)大腿骨全体解剖軸(AA)を計算する、(4)大腿骨全体解剖軸上における小転子点の投影(PLTPAA)を計算する、(5)小転子の縁部を標示する平面上における小転子点の投影(PLTPLTEP)を計算する、(6)PLTPAAとLTとの間のベクトルとして内側-外側方向を計算する、(7)大腿骨全体解剖軸と内側-外側方向との外積として前方-後方方向を計算する、および(8)大腿骨全体解剖軸方向として上方-下方方向を計算する。
【0019】
図2に関して、以下の一連のステップは本質的に例示的なものであり、利用される統計アトラスの骨モデル100にわたって器具ランドマークおよび方向を確立するという観点から例示的な大腿骨ベースプレート取り付け部位102(ランドマーク設定)の方法論を詳述する。例として、大腿骨ベースプレートを大腿骨に固定するためのねじのロケーション、およびねじ104~108が骨に対して取ることになる方向が、適切な解剖学的ランドマークに対する一連の配置ステップから導出される。このように、ねじのロケーションおよび方向は統計アトラスの骨モデル100ごとに繰り返し可能であり、したがって、利用される統計アトラス母集団にわたる共通の分析を可能にする。要求されるわけではないが、以下のステップが、統計アトラスの一部として利用される骨モデルの各々に対して遂行され得る。例示的な仕方では、統計アトラスの一部として利用される各骨モデル100を評価し、以下のことを行う。(1)PLTPLTEPが内側-外側方向に1ミリメートル変位した際の変位小転子点(Shifted_PLTPLTEP)を計算する、(2)前方-後方方向に沿った向きを有し、Shifted_PLTPLTEPを通過する線と大腿骨モデルとの交点としてロケーションねじ#1(S1)106を計算する、(3)ねじ#1(S1)106のロケーションが内側-外側方向に5ミリメートル変位した際のねじ#2 104とねじ#3 108との間の中間点(MP_S2_S3)を計算する、(4)解剖軸の方向に近位側へ1ミリメートル変位したMP_S2_S3点までの大腿骨モデル上の最近点としてねじ#2(S2)108のロケーションを計算する、(5)解剖軸の方向に遠位側へ1ミリメートル変位したMP_S2_S3点までの大腿骨モデル上の最近点としてねじ#3(S3)104の点を計算する、(6)全ての3つのねじ(ねじ#1(S1)106、ねじ#2(S2)108、ねじ#3(S3)104)のためのねじロケーションを包含する平面として大腿プレート平面を計算する、(7)大腿プレート平面と垂直な方向としてねじ#1(S1)106の方向を計算する、および(8)大腿プレート平面を、ねじ#2(S2)108のロケーションとねじ#3(S3)104のロケーションとを接続する軸の周りに内側に20度回転させた後に、大腿プレート平面プレート平面と垂直になるべき、ねじ#2(S2)108およびねじ#3(S3)104の方向を計算する。
【0020】
図3および
図4に関して、以下の一連のステップは本質的に例示的なものであり、利用される統計アトラスの骨モデルにわたる基準面112の算出のための規定を確立するという観点から例示的な大腿骨ベースプレート取り付け部位(ランドマーク設定)の方法論を詳述する。基準面112は、大腿骨などの、問題の骨に対するインプラントされた構成要素の有意境界を表す平面である。例示的な形態では、基準面112は、骨に対する整形外科インプラント構成要素の外体積境界の控えめな推定を提供するために、基準面112が、期待される構成要素配置(大腿骨インプラントステム)に加えて配置誤差の有意な余裕を表すように規定される。説明および評価の目的のために、固定ねじ104~108はいずれも、ねじの配置のゆえに、ねじのいずれかの部分が、基準面112によって描かれた境界を通過することになるであろうという場合には、潜在的な衝突を有するものとして識別される。要求されるわけではないが、以下のステップが、統計アトラスの一部として利用される骨モデル100の各々に対して遂行され得る。例示的な仕方では、統計アトラスの一部として利用される各骨モデル100を評価し、以下のことを行う。(1)近位解剖軸および頸部軸と垂直であり、解剖軸点を通過する基準面112(ref_temp_plane)を規定する、(2)5度(システムの誤差境界)回転させられ、7ミリメートル(平均ラスプ幅の5ミリメートルの測定値、および作り込みの2ミリメートルの緩衝もしくは安全区域を用いることによって決定される)平行移動させられた平面として基準面112を計算する、(3)3つのねじ(S1、S2、S3)104~108の各々の終端部と基準面112との間の距離を計算し、また、基準面を通過するねじはいずれも、衝突を有するものと識別されると留意する。上述したことの目的のために、ねじ長は13ミリメートルに設定され、設置/固定後に骨モデルの外表面と面一になると仮定された。さらに、
図3および
図4は、髄内管110内に部分的に位置付けられた大腿ステム補綴物116を示す。
【0021】
図5~
図8を参照すると、統計アトラスの一部として利用される骨モデル100の全てにわたる計算および決定の評価が実行された。
図5に示されるように、チャートが、それぞれのねじ104~108の終端部から基準面までの距離についての平均、標準偏差、最小、および最大寸法をミリメートル単位で提供している。上述の分析は150個のアトラス骨モデルについて遂行された。計算および決定の一部として、150個の骨モデルのうちの116個は3つのねじのうちのいずれかと基準面との間の衝突の事例を有しなかった。残りの34個の例においては、15個の例が基準面112に対するねじ104~108の衝突を有した。基準面112は、場合によっては、セグメント化された髄内管モデルの境界と相互関係がないことがあり得る、大腿骨幾何構成ランドマークに基づいて規定されることは注目に値する。
【0022】
統計アトラスの一部として利用される骨モデル100の全てにわたる計算および決定の結果、様々にあるインプラントサイズのための広範な患者大腿骨サイズにわたって適合するようにマスカスタマイズされた、骨表面に隣接するように構成された大腿骨ベースプレート表面の取り付け部位102および形状が得られた。
【0023】
例示的な大腿骨ベースプレート表面の形状、および取り付け部位が確立されると、大腿骨ベースプレート200を製作し、この大腿骨ベースプレートを、完全股関節形成手術の一部として、1つまたは複数の慣性測定ユニット202を手術ナビゲーションの努力の一部として患者の大腿骨204に対して位置合わせするために用いることができる。以下においてより詳細に説明されるように、例示的な大腿骨ベースプレート200は1つまたは複数の慣性測定ユニット202およびステム206と協働し、骨基準組立体210を構成する。このように、慣性測定ユニット(IMU)202は固定位置において骨204(例示的な形態では、大腿骨)に締結され、基準IMUとして機能する。この固定位置は外科手術(大腿骨の髄内管内における最終的なインプラント配置を含み得る)全体を通じて保持される。本明細書に含まれる付録Aを参照する。付録Aは、骨、インプラント、および手術具の相対位置に関する情報を、これらの物体のうちの1つまたは複数への直接の視線が存在し得ない時に提供するために、手術ナビゲーションの一部として手術具または手術インプラントに装着された基準IMUと第2のIMUとの間の相互作用についてより詳細に記載している。
【0024】
図10に示されるように、大腿骨204のための例示的な骨基準組立体210は、慣性測定ユニット202、ステム206、および骨ベースプレート200(例示的な形態では、大腿骨ベースプレート)を備える。大腿骨の前部領域上の取り付け部位上における適用に必ずしも限定されるわけではないが、上述の例示的な実施形態は、例示的な前部骨基準組立体210と呼ばれてもよい。
【0025】
図11~
図13により詳細に示されるように、例示的な大腿骨ベースプレート200および固定ロケーションの形状は数学的に確立され、統計アトラスからの骨モデル100を用いて確認される。例示的な大腿骨ベースプレート200は、完全股関節形成手術の一部として露出させられた大腿骨の前方部分の地形に概ね一致し、それと嵌合する地形を有する遠位の骨接触面214を含む。骨接触面214の反対側は、例示的な形態では平面状である、ステム結合面216である。一連の孔220~224が大腿骨ベースプレート200を貫いて骨接触面214からステム結合面216まで延びる。この例示的な実施形態では、大腿骨ベースプレート200は、ベースプレート200を大腿骨204に装着するためのねじ締結具(図示されていない)を受容するように構成された3つの孔220を含む。例示的な仕方では、各孔220は、ステム結合面216における孔が、骨接触面214における孔よりも大きい直径を有するよう、各孔の円筒直径を変更するように機能する陥凹鍔部226を含む。ステム206に関連付けられた位置合わせスタッドを受容する2つの追加の孔222が設けられている。また、大腿骨ベースプレートをステム206と係合した状態に保持するために締結具を受容するように構成された螺旋ねじ山を含み得る、締結具孔224が設けられている。
【0026】
図14~
図19を参照すると、例示的なステム206は遠位アダプタ230を含み、遠位アダプタ230は、大腿骨ベースプレート200のそれぞれの孔222内に受容されるように構成された、遠位アダプタ230から延びる1対の位置合わせスタッド232を有する。例示的な形態では、各位置合わせスタッド232は、それぞれの孔222の円筒穴内に受容される直線円筒形状を備える。同時に、遠位アダプタ230は、遠位アダプタを大腿骨ベースプレート200に装着するための締結具250(ねじ山を有し得る(252)、
図18の止めねじなど)を受容するように構成された、遠位アダプタ230自身の貫通孔234を含む。この例示的な実施形態では、遠位アダプタ230は、大腿骨ベースプレート200の孔220を塞がない一連の相互接続された弓形の切り落とし部236を含む。遠位アダプタ230から近位側へ延びるのは、IMU202と係合するように構成された近位結合器242において終端する細長いネック240である。ステム206は、大腿骨の外旋前、およびその後にステム206が典型的な前部THA切開部を通して延びることができるよう、3次元的に角度が付いている。ステム206は、IMU202を受け入れるための2つの構成を有する。ステム206の第1の構成は、IMU202のロック構造を受け入れるための結合器242を特徴とする。ステム206の第2の構成は、IMU202が装着されるスライドを特徴とする。
【0027】
図20および
図21を参照すると、大腿骨ベースプレート200へのステム206の取り付けは、ステムのスタッド232をベースプレートのそれぞれの孔222と位置合わせすることを含む。例として、スタッド232は、ステム206とベースプレート200との間の有意の遊びを回避するために、孔222の境界に対してぴったりと嵌合するように設計されている。スタッド232が孔222内に受容された後に、アダプタ230の貫通孔234はベースプレート200の孔224と位置合わせされているはずであり、そのため、締結具250は滑らかな穿孔234を貫いて延びることができ、締結具250のねじ山252は孔224の突出したねじ山と係合することができる。このように、締結具250が時計回りに回転させられると、締結具の頭部は、アダプタ230をベースプレート200との間に挟み込むように機能する。締結具250に適切にトルクを加えると、ステム206およびベースプレート200は互いに対して固定して装着される。互いに対して装着された後に、ベースプレートの孔222は、IMU202がステム206に装着されることを前提として、組立体210を大腿骨204に装着するべく、ドリルによって、およびその後、ねじによってアクセスされるために利用可能になる。
【0028】
組立体210を大腿骨に装着する際、組立体は、前部完全股関節形成術の間に、近位大腿骨の前部上に、転子間線に沿って、および大腿骨頸部軸と垂直に配置される。組立体は、3つの3.5ミリメートルx20ミリメートル海綿骨ねじ(図示されていない)を用いて前大腿骨に固定されてもよい。このように、基準IMU202は患者の大腿骨にしっかりと固定される。
【0029】
図22および
図23を参照すると、大腿骨304のための例示的な骨基準組立体310の代替的な例示的な実施形態は、慣性測定ユニット302、ステム306、および骨ベースプレート300(例示的な形態では、大腿骨ベースプレート)を備える。大腿骨の後部領域上の取り付け部位上における適用に必ずしも限定されるわけではないが、上述の例示的な実施形態は、例示的な後部骨基準組立体310と呼ばれてもよい。
【0030】
図24~
図26により詳細に示されるように、例示的な大腿骨ベースプレート300および固定ロケーションの形状は数学的に確立され、統計アトラスからの骨モデル100を用いて確認される。例示的な大腿骨ベースプレート300は、完全股関節形成手術の一部として露出させられた大腿骨の後方部分の地形に概ね一致し、それと嵌合する地形を有する遠位の骨接触面314を含む。骨接触面314の反対側は、例示的な形態では平面状である、ステム結合面316である。一連の孔320~324が大腿骨ベースプレート300を貫いて骨接触面314からステム結合面316まで延びる。この例示的な実施形態では、大腿骨ベースプレート300は、ベースプレート300を大腿骨304に装着するためのねじ締結具(図示されていない)を受容するように構成された3つの孔320を含む。例示的な仕方では、各孔320は、ステム結合面316における孔が、骨接触面314における孔よりも大きい直径を有するよう、各孔の円筒直径を変更するように機能する陥凹鍔部326を含む。ステム306に関連付けられた位置合わせスタッドを受容する2つの追加の孔322が設けられている。また、大腿骨ベースプレートをステム306と係合した状態に保持するために締結具を受容するように構成された螺旋ねじ山を含み得る、締結具孔324が設けられている。
【0031】
図27および
図28を参照すると、例示的なステム306は遠位アダプタ330を含み、遠位アダプタ330は、大腿骨ベースプレート300のそれぞれの孔322内に受容されるように構成された、遠位アダプタ330から延びる1対の位置合わせスタッド332を有する。例示的な形態では、各位置合わせスタッド332は、それぞれの孔322の円筒穴内に受容される直線円筒形状を備える。同時に、遠位アダプタ330は、遠位アダプタを大腿骨ベースプレート300に装着するための締結具350(ねじ山を有し得る(352)、
図29の止めねじなど)を受容するように構成された、遠位アダプタ330自身の貫通孔334を含む。この例示的な実施形態では、遠位アダプタ330は、大腿骨ベースプレート300の孔320を塞がない1対の弓形の切り落とし部336を含む。遠位アダプタ330から近位側へ延びるのは、IMU302と係合するように構成された近位結合器342において終端する細長いネック340である。ステム306は、大腿骨の外旋前、およびその後にステム306が典型的な後部THA切開部を通して延びることができるよう、3次元的に角度が付いている。ステム306は、IMU302を受け入れるための2つの構成を有する。ステム306の第1の構成は、IMU302のロック構造を受け入れるための結合器342を特徴とする。ステム306の第2の構成は、IMU302が装着されるスライドを特徴とする。
【0032】
図30~
図33を参照すると、大腿骨ベースプレート300へのステム306の取り付けは、ステムのスタッド332をベースプレートのそれぞれの孔322と位置合わせすることを含む。例として、スタッド332は、ステム306とベースプレート300との間の有意の遊びを回避するために、孔322の境界に対してぴったりと嵌合するように設計されている。332が孔322内に受容された後に、アダプタ330の貫通孔334はベースプレート300の孔324と位置合わせされているはずであり、そのため、締結具350は滑らかな穿孔334を貫いて延びることができ、締結具350のねじ山352は孔324の突出したねじ山と係合することができる。このように、締結具350が時計回りに回転させられると、締結具の頭部は、アダプタ330をベースプレート300との間に挟み込むように機能する。締結具350に適切にトルクを加えると、ステム306およびベースプレート300は互いに対して固定して装着される。互いに対して装着された後に、ベースプレートの孔322は、IMU302がステム306に装着されることを前提として、組立体310を大腿骨304に装着するべく、ドリルによって、およびその後、ねじによってアクセスされるために利用可能になる。
【0033】
組立体310を大腿骨に装着する際、組立体は、後部完全股関節形成術の間に、近位大腿骨の後部上に、転子間線に沿って、および大腿骨頸部軸と垂直に配置される。組立体は、3つの3.5ミリメートルx20ミリメートル海綿骨ねじ(図示されていない)を用いて後大腿骨に固定されてもよい。このように、基準IMU302は患者の大腿骨にしっかりと固定される。
【0034】
上述の説明から続き、本明細書において説明された方法および装置は本開示の例示的な実施形態を構成するが、本発明はこれらの正確な実施形態に限定されず、請求項によって定義されるとおりの本発明の範囲から逸脱することなく、このような実施形態に変更が行われ得ることが当業者に明らかであるはずである。追加的に、本発明は請求項によって定義されることが理解されるべきであり、本明細書において記載されている例示的な実施形態を説明する限定または要素はいずれも、このような限定または要素が明示的に陳述されていない限り、いずれのクレーム要素の解釈にも組み込まれることを意図されていない。同様に、本発明は請求項によって定義されるがゆえに、ならびに本発明の固有の、および/または予見しない利点が、たとえ、それらが本明細書において明示的に説明されていなくても、存在し得るがゆえに、いずれかの請求項の範囲に含まれるために、本明細書において開示されている本発明の特定された利点または目的のうちのいずれかまたは全てを満たす必要はないことが理解されるべきである。