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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ポリアミドナノファイバー不織布
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/009 20120101AFI20221104BHJP
   D04H 3/016 20120101ALI20221104BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
D04H3/009
D04H3/016
B01D39/16 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021100930
(22)【出願日】2021-06-17
(62)【分割の表示】P 2019567556の分割
【原出願日】2018-06-08
(65)【公開番号】P2021155906
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】62/516,867
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/518,769
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509354042
【氏名又は名称】アセンド・パフォーマンス・マテリアルズ・オペレーションズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ASCEND PERFORMANCE MATERIALS OPERATIONS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ワイ-シン
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン,スコット
(72)【発明者】
【氏名】シュビアー,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ゴパール,ビクラム
(72)【発明者】
【氏名】オルテガ,アルバート
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特許第2797482(JP,B2)
【文献】特開2011-251249(JP,A)
【文献】特開平08-144166(JP,A)
【文献】特開2008-188082(JP,A)
【文献】特開2008-188791(JP,A)
【文献】特開2007-169866(JP,A)
【文献】特開平06-073652(JP,A)
【文献】特開2011-031362(JP,A)
【文献】国際公開第2011/052175(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0112625(US,A1)
【文献】国際公開第2009/051263(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0315464(US,A1)
【文献】特表2011-529779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00 - 39/20
D04H 1/00 - 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノファイバー不織布製品の層を一つ以上含むフィルター製品であって、ナノファイバー不織布製品はポリアミドナノファイバーを含み、前記ナノファイバーの前記ポリアミドが、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11、N12、又はこれらの組み合わせの少なくとも一つを含み、ここで「N」はナイロンを意味する、前記ポリアミドナノファイバーは4~330の相対粘度を有し、前記ナノファイバーは100~950ナノメートルの平均径を有する上記フィルター製品。
【請求項2】
前記ナノファイバー不織布製品の融点は225℃以上である、請求項1に記載のフィルター製品。
【請求項3】
前記ナノファイバーの20%以下は700ナノメートルより大きい直径を有する、請求項1に記載のフィルター製品。
【請求項4】
前記ナノファイバーの前記ポリアミドがナイロン66又はナイロン6/66を含む、請求項1に記載のフィルター製品。
【請求項5】
前記ナノファイバー不織布製品が600CFM/ft未満の通気度の値を有する、請求項1に記載のフィルター製品。
【請求項6】
前記ナノファイバー不織布製品が150GSM以下の目付を有する、請求項1に記載のフィルター製品。
【請求項7】
前記ナノファイバー不織布製品は少なくとも20ppmのTDI及び少なくとも1ppmのODIを有する、請求項1に記載のフィルター製品。
【請求項8】
前記ナノファイバー不織布製品が溶媒を含まない、請求項1に記載のフィルター製品。
【請求項9】
さらにスクリム層を含む、請求項1に記載のフィルター製品。
【請求項10】
前記スクリムがナイロンスパンボンドスクリムである、請求項9に記載のフィルター製品。
【請求項11】
前記フィルターが空気フィルター又は液体フィルターである、請求項1に記載のフィルター製品。
【請求項12】
前記ナノファイバー不織布製品が酸化亜鉛を含む、請求項1に記載のフィルター製品。
【請求項13】
スクリムと、前記スクリム上に配置された一つ以上のナノファイバー不織布製品の層と、を含む空気フィルター製品であって、
前記ナノファイバー不織布製品はポリアミドナノファイバーを含み、前記ナノファイバーは100~950ナノメートルの平均径を有し、前記ナノファイバー不織布製品は少なくとも20ppmのTDI及び少なくとも1ppmのODIを有する上記空気フィルター製品。
【請求項14】
前記ナノファイバーの前記ポリアミドが、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11、N12、又はこれらの組み合わせの少なくとも一つを含み、ここで「N」はナイロンを意味する、請求項13に記載の空気フィルター製品。
【請求項15】
前記ポリアミドナノファイバーは4~330の相対粘度を有する、請求項13に記載の空気フィルター製品。
【請求項16】
前記ナノファイバーは150~700ナノメートルの平均径を有する、請求項13に記載の空気フィルター製品。
【請求項17】
前記スクリムがナイロンスパンボンドスクリムである、請求項13に記載の空気フィルター製品。
【請求項18】
前記ナノファイバー不織布製品が溶媒を含まない、請求項13に記載の空気フィルター製品。
【請求項19】
前記ナノファイバー不織布製品が酸化亜鉛を含む、請求項13に記載の空気フィルター製品。
【請求項20】
前記ナノファイバー不織布製品が600CFM/ft未満の通気度の値を有する、請求項13に記載の空気フィルター製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2017年6月8日出願の米国仮特許出願第62/516,867号
、及び2017年6月13日出願の米国仮特許出願第62/518,769号(これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張する。
【0002】
[0002]本発明は、空気及び液体の濾過、衣服用の通気性布帛、音響材料、複合材料、及び包装、並びに他の用途のために有用であり得るポリアミドナノファイバー不織布に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ナノファイバー及びマイクロファイバー不織布などのポリマー膜は、当該技術において公知であり、濾過媒体及び衣服などに関連する種々の目的のために使用されている。微多孔質ポリマー構造を形成するための公知の技術としては、キセロゲル及びエアロゲル膜形成、電界紡糸、メルトブロー、及び回転紡糸口金を用いた遠心紡糸、及び噴射剤ガスを使用して細いチャネルを通す二相ポリマー押出が挙げられる。これらの技術は、高価であるか、又は許容しうる繊維径分布を有するナノファイバー、例えばポリアミドナノファイバーを形成しない。特に、電界紡糸は比較的高価なプロセスであり、現在のメルトブロー技術はより安価であるが、電界紡糸が達成し得るナノファイバーの寸法を達成することができない。
【0004】
[0004]一例として、米国公開2014/0097558-A1は、概して、例えば、人間の顔の形状であってよい凸型上にナノファイバーを形成するための電界紡糸プロセスを含む個人保護具マスク又はレスピレーターのような濾過媒体の製造方法に関する。米国公開2015/0145175-A1は、同様の開示を与える。
【0005】
[0005]WO-2014/074818-A2は、液体から標的化合物又は元素を選択的に濾過するために使用されるナノファイバーメッシュ及びキセロゲルを開示する。ナノファイバーメッシュ及びキセロゲルを形成するための方法、ナノファイバーメッシュ及びキセロゲルを使用して液体を処理する方法、並びにナノファイバーメッシュ及びキセロゲルを使用して標的化合物又は元素を分析する方法もまた記載されている。ナノファイバーは、ポリシロキサンから構成されている。
【0006】
[0006]WO-2015/003170-A2は、例えば通気性と共に所定の程度の防水性、又は通気性と共に防風性を有する物品において使用するための、超微細繊維、例えばナノスケール又はミクロンスケール範囲の直径を有する繊維のウエブから構成される不織布に関する。繊維は、ポリウレタン系材料又はポリテトラフルオロエチレンを含んでいてよい。
【0007】
[0007]WO-2015/153477-A1は、所定の長さの繊維を含む主繊維構造;主繊維の長さに沿って離隔している複数の比較的短いループを含む第2の繊維構造;を含む、断熱材又はパッドのための充填材料として使用するのに適した繊維構造体に関する。繊維構造体を形成するために列挙された技術の中には、電界紡糸、メルトブロー、溶融紡糸、及び遠心紡糸が含まれる。製品は、550~900の範囲のフィルパワーのグースダウンを再現していると報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国公開2014/0097558-A1
【文献】米国公開2015/0145175-A1
【文献】WO-2014/074818-A2
【文献】WO-2015/003170-A2
【文献】WO-2015/153477-A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0008]提案されている種々の技術及び材料にもかかわらず、従来の製品は、製造コスト、加工性、及び製品特性の点で不十分な点が多い。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0009]幾つかの態様においては、本発明は、ポリアミドナノファイバーを含むナノファイバー不織布製品であって、製品は2~330の相対粘度を有し、ナノファイバーは100~1000ナノメートルの平均径を有する上記ナノファイバー不織布製品に関する。製品の融点は225℃以上であり得る。幾つかの形態においては、ナノファイバーの20%以下は700ナノメートルより大きい直径を有する。ポリアミドは、ナイロン66又はナイロン6/66を含んでいてよい。幾つかの形態においては、ポリアミドは高温ナイロンである。幾つかの形態においては、ポリアミドは、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11、及び/又はN12を含み、ここで「N」はナイロンを意味する。本製品は、600CFM/ft未満の通気度の値を有し得る。本製品は、150GSM以下の目付を有し得る。本製品は、少なくとも20ppmのTDIを有し得る。本製品は、少なくとも1ppmのODIを有し得る。幾つかの形態においては、本製品は溶媒を含まない。他の形態においては、本製品は5000ppm未満の溶媒を含む。
【0011】
[0010]幾つかの態様においては、本発明は、100~1000ナノメートルの平均径を有するナノファイバーに紡糸され、不織布製品に成形されているポリアミドを含むナノファイバー不織布製品であって、ポリアミドは2~330の相対粘度を有する上記ナノファイバー不織布製品に関する。本製品の融点は225℃以上であり得る。幾つかの形態においては、ナノファイバーの20%以下は700ナノメートルより大きい直径を有する。ポリアミドは、ナイロン66又はナイロン6/66を含んでいてよい。幾つかの形態においては、ポリアミドは高温ナイロンである。幾つかの形態においては、ポリアミドは、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11、及び/又はN12を含み、「N」はナイロンを意味する。本製品は、600CFM/ft未満の通気度の値を有し得る。本製品は、150GSM以下の目付を有し得る。本製品は、150GSM以下の目付を有し得る。本製品は、少なくとも20ppmのTDIを有し得る。本製品は、少なくとも1ppmのODIを有し得る。幾つかの形態においては、本製品は溶媒を含まない。他の形態においては、本製品は5000ppm未満の溶媒を含む。
【0012】
[0011]幾つかの態様においては、本発明は、ナノファイバーに溶融紡糸され、不織布製品に成形されているナイロン66ポリアミドを含むナノファイバー不織布製品であって、製品は少なくとも20ppmのTDI及び少なくとも1ppmのODIを有する上記ナノファイバー不織布製品に関する。本製品は、600CFM/ft未満の通気度の値を有し得る。本製品は、150GSM以下の目付を有し得る。幾つかの形態においては、本製品は溶媒を含まない。他の形態においては、本製品は5000ppm未満の溶媒を含む。幾つかの形態においては、ナノファイバーの20%以下は700ナノメートルより大きい直径を有する。ナイロン66ポリアミドは、2~330のRVを有し得る。本製品は、2~330のRVを有し得る。
【0013】
[0012]幾つかの態様においては、本発明は、ナノファイバーに溶融紡糸され、不織布製品に成形されており、ナノファイバーの20%以下が700ナノメートルより大きい直径を有するナイロン66ポリアミドを含むナノファイバー不織布製品に関する。本製品は、600CFM/ft未満の通気度の値を有し得る。本製品は、150GSM以下の目付を有し得る。本製品は、150GSM以下の目付を有し得る。本製品は、少なくとも20ppmのTDIを有し得る。本製品は、少なくとも1ppmのODIを有し得る。幾つかの形態においては、本製品は溶媒を含まない。他の形態においては、本製品は5000ppm未満の溶媒を含む。ナイロン66ポリアミドは、2~330のRVを有し得る。本製品は、2~330のRVを有し得る。
【0014】
[0013]幾つかの態様においては、本発明は、ナノファイバー不織布製品の製造方法であって、(a)ポリアミド組成物を用意すること(ポリアミドは2~330の相対粘度を有する);(b)ポリアミド組成物を、100~1000ナノメートルの平均繊維径を有する複数のナノファイバーに紡糸すること;及び(c)ナノファイバーをナノファイバー不織布製品に成形すること(ポリアミドナノファイバー層は、100~1000ナノメートルの平均ナノファイバー径及び2~330の相対粘度を有する);を含む上記方法に関する。幾つかの形態においては、ポリアミド組成物を、ダイを通して高速気体流中にメルトブローすることによって溶融紡糸する。幾つかの形態においては、ポリアミド組成物を、加圧ガスを用いて液体形態のポリアミド組成物を繊維形成チャネルを通して押し出すことを含む2相噴射剤ガス紡糸によって溶融紡糸する。本製品は、移動ベルト上にナノファイバーを回収することによって形成することができる。ポリアミドナノファイバー層は、150GSM以下の目付を有し得る。幾つかの形態においては、ナノファイバー不織布製品中のポリアミドの相対粘度は、製品を紡糸及び成形する前のポリアミド組成物と比較して低下する。幾つかの形態においては、ナノファイバー不織布製品中のポリアミドの相対粘度は、製品を紡糸及び成形する前のポリアミド組成物と比較して同等であるか、又は増加する。
【0015】
[0014]以下において、図面を参照して本発明を詳細に記載する。図面において、同様の数字は同様の構成要素を示す:
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0015]図1は、本発明に関して有用な2相噴射剤ガス紡糸システムの概略図である。
図2図2は、本発明に関して有用な2相噴射剤ガス紡糸システムの概略図である。
図3】[0016]図3は、7.3のRVを有する不織布に溶融紡糸したナノファイバーナイロン66の50倍の倍率の顕微鏡写真である。
図4】[0017]図4は、7.3のRVを有する不織布に溶融紡糸したナイロン66の図3からのグレードのナノファイバーの8000倍の倍率の顕微鏡写真である。
図5】[0018]図5は、本発明の幾つかの態様に関連するメルトブロープロセスの概略図である。
図6】[0019]図6は、36のRVを有するナイロン66のナノファイバーの100倍の倍率の顕微鏡写真である。
図7】[0020]図7は、ナノファイバー試料についてのダイ温度の関数としての熱劣化指数と酸化劣化指数の値を比較するグラフである。
図8】[0021]図8は、ナノファイバー試料についての、紡糸ポンプ速度の関数としての熱劣化指数と酸化劣化指数の値を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概説:
[0022]本発明は、部分的には(前駆体)ポリアミド組成物から形成されるナノファイバー不織布製品に関する。本製品は、2~330、例えば2~300、2~275、2~250、2~225、2~200、2~100、2~60、2~50、2~40、10~40、又は15~40の相対粘度(RV)を有し得る(更なるRV範囲及び限界を本明細書中に与える)。ポリアミド組成物は、繊維、例えばナノファイバーに紡糸又はメルトブローすることができる。ポリアミドナノファイバーは、1000ナノメートル(1ミクロン)未満の平均径を有し得、不織布製品に成形することができる。従来の溶融紡糸/メルトブロー技術は、小さい平均径を有する繊維、例えばナノファイバーを形成することができなかった。通常の溶融紡糸/メルトブローン繊維の平均径は少なくとも1ミクロンであり、ナノファイバーが達成できる表面積/体積比を達成することができない。かかる増加した表面積/体積比は、多くの用途において有益である。
【0018】
[0023]本発明者らは、特定の(溶融)紡糸プロセスにおいて特定の特性を有する特定の前駆体ポリアミドを利用することによって、相乗的な特徴を有する不織ナノファイバーが形成されることを見出した。理論に束縛されるものではないが、330以下のRVを有するポリアミド組成物を用いると、従来の無溶媒プロセスによってはこれまで達成できなかった小さい直径を有する繊維がもたらされるという仮説が立てられる。更なる利点として、例えば生産速度が、電界紡糸及び溶液紡糸のようなプロセスよりもメートル当たりの基準で有利に向上する。かかる向上は、少なくとも5%、例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、又は少なくとも30%であり得る。
【0019】
[0024]また、本発明者らは、本発明の方法、技術、及び/又は前駆体は、他の前駆体から製造される不織布製品、及び他のプロセスによって製造される不織布製品と比較して、低減された酸化劣化及び熱劣化指数を有するナノファイバーを与えることを見出した。これらの改善によって、向上した耐久性を有する製品が有利にもたらされる。
【0020】
[0025]更に、本方法は溶媒の不在下で実施することができ、例えば、ギ酸及び本明細書に記載される他のものなどの溶媒を使用せず、これにより、溶液の調製中における溶媒の処分及び溶媒の取扱いに関連する環境上の懸念が低減する。かかる溶媒は溶液紡糸において使用され、従って、溶液紡糸プロセスは溶媒を処分するための追加の設備投資を必要とする。別個の溶媒室及びスクラバー領域に関する必要性のために、追加のコストがかかる場合がある。幾つかの溶媒に関連する健康上のリスクも存在する。従って、本ナノファイバー不織布製品は、例えば溶液紡糸製品中に必然的に存在する残留溶媒を含まなくすることができる。例えば、L. M. Guerrini, M. C. Branciforti, T Canova,及びR. E. S. Bretas, Materials Research, Vol.12, No.2, pp 181-190 (2009)に開示されているように、溶液紡糸プロセスにおいては、2.2~5重量%の残留溶媒が見られる場合がある。
【0021】
[0026]幾つかの形態においては、ナノファイバー不織布製品中に接着剤は含まれない。かかる接着剤は、しばしば、電界紡糸された繊維をスクリムに接着するために含められる。本明細書に記載されるナノファイバー不織布製品はスクリム上に吹き付けることができるが、かかる接着剤は必要ではない。
【0022】
[0027]幾つかの態様においては、ナノファイバー不織布製品は、(a)(紡糸可能な)ポリアミド組成物を用意すること(ここで、ポリアミド組成物は本明細書中で議論するRVを有する);(b)例えば、加圧ガスを用いて繊維形成チャネルを通して液体形態でポリアミド組成物を押し出すことを含む2相噴射剤ガス紡糸に関連するプロセスによって、ポリアミド組成物を1ミクロン未満の平均繊維径を有する複数のナノファイバーに紡糸すること;及び(c)ナノファイバーをナノファイバー不織布製品に成形すること;によって製造される。一般的なプロセスを図1及び図2に示す。
【0023】
[0028]特に好ましいポリアミドとしては、ナイロン66、並びにナイロン66とナイロン6とのコポリマー、ブレンド、及びアロイが挙げられる。他の態様としては、ナイロン66又はナイロン6を含むか又はそれらから製造されるナイロン誘導体、コポリマー、ターポリマー、ブレンド、及びアロイ、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N11、及びN12(ここで「N」はナイロンを意味する)など(しかしながらこれらに限定されない)の上記の繰り返し単位を有するコポリマー又はターポリマーが挙げられる。別の好ましい態様としては、高温ナイロン(HTN)、及びそれらを含むブレンド、誘導体、コポリマー、又はターポリマーが挙げられる。更に、別の好ましい態様としては、長鎖二酸を用いて製造される長鎖脂肪族ポリアミド、並びにそれらを含むブレンド、誘導体、又はコポリマーが挙げられる。
【0024】
[0029]図1は、ナノファイバーを製造するために2相推進剤ガス紡糸プロセスを使用することができる代表的な技術を示す。図2は、一般的なメルトブロー技術を示す。
[0030]特に、本発明においては、ナノファイバー不織布製品の製造方法であって、紡糸口金を通して高速気体流中にメルトブローすることによって不織布を溶融紡糸する上記方法が開示される。より詳しくは、一態様においては、加圧ガスを用いて繊維形成チャネルを通して液体形態のポリアミド組成物を押し出すことを含む2相噴射剤ガス紡糸によって、不織布を溶融紡糸する。
【0025】
定義及び試験方法:
[0031]本明細書で使用される用語は、以下に示す定義と一致するその通常の意味で与えられる。
【0026】
[0032]本明細書において用いる紡糸とは、ポリアミド組成物を溶融し、ポリアミド組成物を繊維に成形する工程を指す。紡糸の例としては、遠心紡糸、メルトブロー、紡糸口金(例えば、電荷(charge)を有しない紡糸口金)又はダイを通した紡糸、及び「海島」形状が挙げられる。
【0027】
[0033]GSMは、グラム/平方メートル(g/m)での目付を指し、RVは相対粘度を指す。
[0034]パーセント及び百万分の一部(ppm)は、他に示さない限り、それぞれの組成物の重量を基準とする重量%又は重量ppmを指す。
【0028】
[0035]幾つかの典型的な定義及び試験方法は、米国公開2015/0107457及び2015/0111019(参照により本明細書に組み込まれる)に更に示されている。「ナノファイバー不織布製品」という用語は、例えば、ナノファイバーの配列において裸眼によっては全体的な反復構造を識別することができない、実質的にランダムに配向されている多数のナノファイバーのウエブを指す。ウエブに強度及び一体性を与えるために、ナノファイバーを互いに結合及び/又は絡合させることができる。幾つかの場合においては、ナノファイバーは互いに結合させず、絡合させてもさせなくてもよい。ナノファイバーは、ステープルナノファイバー又は連続ナノファイバーであってよく、単一の材料、或いは異なるナノファイバーの組み合わせ、又はそれぞれが異なる材料を含む同様のナノファイバーの組み合わせのいずれかとしての複数の材料を含んでいてよい。ナノファイバー不織布製品は、主にナノファイバーから構成される。「主に」とは、ウエブ中の繊維の50%より多くがナノファイバーであることを意味する。「ナノファイバー」という用語は、1000nm(1ミクロン)未満の数平均径を有する繊維を指す。非円形断面のナノファイバーの場合には、本明細書で使用される「直径」という用語は最大断面寸法を指す。
【0029】
[0036]他に示さない限りにおいて、平均繊維径を求めるための試験方法は、他に示さな
い限りHassanら, J20 Membrane Sci., 427, 336-344, 2013に示されている通りである。
[0037]目付は、ASTM-D-3776によって求めることができ、GSM(g/m)で報告することができる。
【0030】
[0038]「実質的に構成される」とは、示された成分を指し、組成物又は物品の基本的な特徴及び新規な特徴を実質的に変化させる他の成分を除外する。他に示していない限りにおいて、又は容易に明らかでない限りにおいて、組成物又は物品は、組成物又は物品が90重量%以上の示されているか又はリストされている成分を含む場合に、示されているか又はリストされている成分から実質的に構成される。すなわち、この用語は、10%より多い示されていない成分を除外する。
【0031】
[0039]通気度は、Precision Instrument Company(Hagerstown, MD)から入手可能な通気度試験器を使用して測定する。通気度は、規定の圧力ヘッド下で材料のシートを通過する23±1℃の空気の流量として定義される。それは通常は、0.50インチ(12.7mm)の水圧における立方フィート/分/平方フィートとして、cm/秒/平方cmで、或いはシートの単位面積あたりの所定の体積に関する経過時間の単位で表される。上記の装置は、試験面積1平方フィートあたり0~約5000立方フィート/分の透過度を測定することができる。透過性を比較する目的のためには、5GSMの目付に正規化された値を表すことが好都合である。これは、試料の(通常は0.5インチ-HOにおける)通気度の値及び目付を測定し、次に実際の通気度の値に、実際の目付(GSM)の5に対する比を乗じることによって行われる。例えば、15GSMの目付の試料が10CFM/ftの値を有する場合、その正規化5GSM通気度の値は30CFM/ftである。
【0032】
ポリアミド:
[0040]本明細書で使用するポリアミド組成物及び同様の用語は、ポリアミドのコポリマー、ターポリマー、ポリマーブレンド、アロイ、及び誘導体などのポリアミドを含む組成物を指す。更に、本明細書中で使用する「ポリアミド」は、一成分として、1つの分子のアミノ基と別の分子のカルボン酸基との結合を有するポリマーを有するポリマーを指す。幾つかの形態においては、ポリアミドが最大量で存在する成分である。例えば、40重量%のナイロン6、30重量%のポリエチレン、及び30重量%のポリプロピレンを含むポリアミドは、ナイロン6成分が最大量で存在するので、本発明においてはポリアミドと呼ぶ。更に、20重量%のナイロン6、20重量%のナイロン66、30重量%のポリエチレン、及び30重量%のポリプロピレンを含むポリアミドも、ナイロン6及びナイロン66成分が合計で最大量で存在する成分であるので、本発明においてはポリアミドと呼ぶ。
【0033】
[0041]代表的なポリアミド及びポリアミド組成物は、Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, Vol.18, pp.328371 (Wiley 1982)(その開示は参照により組み込まれる)に記載されている。
【0034】
[0042]簡単に述べると、ポリアミドは、一般に、主ポリマー鎖の不可欠部分として繰り返しアミド基を含む化合物として知られている。線状ポリアミドは特に興味深く、二官能性モノマーの縮合によって形成することができる。ポリアミドは、しばしばナイロンと呼ばれる。それらは一般に縮合ポリマーと考えられるが、ポリアミドはまた付加重合によっても形成される。この製造方法は、モノマーが環状ラクタムである幾つかのポリマー、例えばナイロン6のために特に重要である。特定のポリマー及びコポリマー並びにそれらの製造は、以下の特許:米国特許4,760,129;5,504,185;5,543,495;5,698,658;6,011,134;6,136,947;6,169,162;7,138,482;7,381,788;及び8,759,475;において見られる。
【0035】
[0043]ポリアミド、特にナイロンを商業的用途において使用することには多くの利点がある。ナイロンは、一般に耐化学薬品性及び耐熱性であり、他の粒子よりも優れた性能をもたらす。それらはまた、他のポリマーと比較して、向上した強度、伸び、及び耐摩耗性を有することも知られている。ナイロンはまた、非常に用途が広く、種々の用途における使用が可能である。
【0036】
[0044]幾つかの用途のために特に好ましいポリアミドの種類としては、Glasscockら, High Performance Polyamides Fulfill Demanding Requirements for Automotive Thermal
Management Components, (DuPont), http://www2.dupont.com/Automotive/en_US/assets/downloads/knowledge%20center/HTN-whitepaper-R8.pdf(2016年6月10日にオン
ラインで入手可能)に記載されているような高温ナイロン(HTN)が挙げられる。かかるポリアミドは、通常は次:
【0037】
【化1】
【0038】
に見られる構造の1つ以上を含む。
[0045]ポリアミド中に含まれるポリマーの非限定的な例としては、ポリアミド、ポリプロピレン及びコポリマー、ポリエチレン及びコポリマー、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。熱可塑性ポリマー及び生分解性ポリマーもまた、本発明のナノファイバーにメルトブロー又は溶融紡糸するのに適している。本明細書中で議論されるように、ポリマーは溶融紡糸又はメルトブローすることができ、加圧ガスを用いて繊維形成チャネルを通して液体形態のポリアミド組成物を押し出す
ことを含む2相噴射剤ガス紡糸によって溶融紡糸又はメルトブローすることが好ましい。
【0039】
[0046]コポリマー及びターポリマーを含む本明細書に記載されるナイロンナノファイバー製品の融点は、223℃~390℃、例えば223~380℃、又は225℃~350℃の間であり得る。更に、融点は、添加する追加のポリマー材料に応じて、従来のナイロン66の融点のものよりも高くすることができる。
【0040】
[0047]本発明のポリアミドナノファイバー不織布において使用することができる他のポリマー材料としては、付加ポリマー及び縮合ポリマー材料の両方、例えばポリオレフィン、ポリアセタール、(上記で議論した)ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテル及びエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。これらの包括的なクラスに入る好ましい材料としては、ポリアミド、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート(及び他のアクリル樹脂)、ポリスチレン、及びそれらのコポリマー(ABA型ブロックコポリマーを含む)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、種々の加水分解度(87%~99.5%)の架橋及び非架橋形態のポリビニルアルコールが挙げられる。付加ポリマーは、ガラス状(室温より高いTg)になる傾向がある。これは、ポリ塩化ビニル及びポリメチルメタクリレート、ポリスチレンポリマー組成物又はアロイの場合、又はポリフッ化ビニリデン及びポリビニルアルコール材料に関しては結晶化度が低い場合にあてはまる。本発明において具現化されるナイロンコポリマーは、反応混合物中で種々のジアミン化合物、種々の二酸化合物、及び種々の環状ラクタム構造体を化合させ、次にポリアミド構造中にランダムに配置されたモノマー材料を有するナイロンを形成することによって製造することができる。例えば、ナイロン66-6,10材料は、ヘキサメチレンジアミン及び二酸のC及びC10ブレンドから製造されるナイロンである。ナイロン6-66-6,10は、ε-アミノカプロン酸、ヘキサメチレンジアミン、並びにC及びC10二酸材料のブレンドの共重合によって製造されるナイロンである。
【0041】
[0048]米国特許5,913,993に記載されているもののような幾つかの態様においては、少量のポリエチレンポリマーを使用されるナイロン化合物とブレンドして、所望の特性を有するナノファイバー不織布を形成することができる。ナイロンへポリエチレンを添加することによって、柔軟性のような特定の性質が高められる。また、ポリエチレンを使用することによって、製造コストが低下し、他の布帛又はそれ自体への結合などの更なる下流の加工が容易になる。改良された布帛は、ナノファイバーメルトブローン布帛の製造において使用されるナイロン供給材料に少量のポリエチレンを添加することによって製造することができる。より具体的には、ポリエチレンとナイロン66とのブレンドを形成し、ブレンドを複数の連続フィラメントの形態で押出し、フィラメントをダイに通してフィラメントをメルトブローし、フィラメントを回収面上に堆積させてウエブを形成することによって製造することができる。
【0042】
[0049]本発明のこの態様の方法において有用なポリエチレンは、好ましくは約5グラム/10分~約200グラム/10分の間、例えば約17グラム/10分~約150グラム/10分の間のメルトインデックスを有し得る。ポリエチレンは、好ましくは約0.85グラム/cc~約1.1グラム/ccの間、例えば約0.93グラム/cc~約0.95グラム/ccの間の密度を有する。最も好ましくは、ポリエチレンのメルトインデックスは約150であり、密度は約0.93である。
【0043】
[0050]本発明のこの態様の方法において使用されるポリエチレンは、約0.05%~約20%の濃度で添加することができる。好ましい態様においては、ポリエチレンの濃度は約0.1%~約1.2%の間である。最も好ましくは、ポリエチレンは約0.5%で存在
する。記載された方法に従って製造される布帛中のポリエチレンの濃度は、製造プロセス中に添加されたポリエチレンのパーセントにほぼ等しい。而して、本発明のこの態様の布帛中のポリエチレンのパーセントは、通常は約0.05%~約20%の範囲であり、好ましくは約0.5%である。したがって、布帛は、通常は約80~約99.95重量%の間のナイロンを含む。フィラメント押出工程は、約250℃~約325℃の間で実施することができる。好ましくは、温度範囲は約280℃~約315℃であるが、ナイロン6を使用する場合にはより低くてもよい。
【0044】
[0051]ポリエチレン及びナイロンのブレンド又はコポリマーは、任意の好適な方法で形成することができる。通常はナイロン化合物はナイロン66であるが、ナイロン類の他のポリアミドを使用することができる。また、複数のナイロンの混合物を使用することができる。1つの特定の例においては、ポリエチレンを、ナイロン6及びナイロン66の混合物とブレンドする。ポリエチレン及びナイロンのポリマーは、通常はペレット、チップ、フレークなどの形態で供給される。所望量のポリエチレンペレット又はチップを、ロータリードラムタンブラーなどの好適な混合装置中でナイロンペレット又はチップとブレンドすることができ、得られるブレンドを、通常の押出機の供給ホッパー又はメルトブローライン中に導入することができる。ブレンド又はコポリマーはまた、好適な混合物を連続重合紡糸システム中に導入することによって製造することもできる。
【0045】
[0052]更に、一般的なポリマー類の異なる種をブレンドすることができる。例えば、高分子量スチレン材料を、低分子量の高耐衝撃性ポリスチレンとブレンドすることができる。ナイロン-6材料を、ナイロン-6;66;6,10コポリマーのようなナイロンコポリマーとブレンドすることができる。更に、87%加水分解ポリビニルアルコールのような低い加水分解度を有するポリビニルアルコールを、98~99.9%の間及びそれ以上の加水分解度を有する完全又は超加水分解ポリビニルアルコールとブレンドすることができる。混合物中のこれらの材料は全て、好適な架橋機構を用いて架橋することができる。ナイロンは、アミド結合中の窒素原子と反応性である架橋剤を使用して架橋することができる。ポリビニルアルコール材料は、モノアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、尿素、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂及びその類縁体、ホウ酸及び他の無機化合物、ジアルデヒド、二酸、ウレタン類、エポキシ類、及び他の公知の架橋剤などのヒドロキシル反応性材料を使用して架橋することができる。架橋技術は、架橋剤が反応してポリマー鎖間に共有結合を形成し、分子量、耐化学薬品性、全体的な強度、及び機械的劣化に対する耐性を実質的に改善する、周知で理解されている現象である。
【0046】
[0053]1つの好ましい様式は、第1のポリマー及び第2の異なるポリマー(ポリマーのタイプ、分子量、又は物理的特性が異なる)を含み、昇温温度においてコンディショニング又は処理されたポリアミドである。ポリマーブレンドを反応させて単一の化学種に形成することができ、又はアニーリングプロセスによって物理的に組み合わせてブレンド組成物にすることができる。アニーリングは、結晶化度、応力緩和、又は配向のような物理的変化を伴う。好ましい材料は、示差走査熱量計(DSC)分析によって、高温、高湿度、及び困難な操作条件と接触した場合に、単一のポリマー材料が改善された安定性を生成することが明らかになるように、単一のポリマー種に化学的に反応される。ブレンドされたポリマー系において使用するのに好ましい材料としては、ナイロン6;ナイロン66;ナイロン6,10;ナイロン(6-66-6,10)コポリマー、及び他の線状の一般に脂肪族のナイロン組成物が挙げられる。
【0047】
[0054]好適なポリアミドは、例えば、20重量%のナイロン6、60重量%のナイロン66、及び20重量%のポリエステルを含み得る。ポリアミドは、混和性のポリマーの組み合わせ又は非混和性のポリマーの組み合わせを含んでもよい。
【0048】
[0055]幾つかの形態においては、ポリアミドはナイロン6を含み得る。下限に関しては、ポリアミドは、少なくとも0.1重量%、例えば少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%の量のナイロン6を含み得る。上限に関しては、ポリアミドは、99.9重量%以下、99重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、又は80重量%以下の量のナイロン6を含み得る。範囲に関しては、ポリアミドは、0.1~99.9重量%、例えば1~99重量%、5~95重量%、10~90重量%、15~85重量%、又は20~80重量%の量のナイロン6を含み得る。
【0049】
[0056]幾つか形態においては、ポリアミドはナイロン66を含み得る。下限に関しては、ポリアミドは、少なくとも0.1重量%、例えば少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%の量のナイロン66を含み得る。上限に関しては、ポリアミドは、99.9重量%以下、99重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、又は80重量%以下の量のナイロン66を含み得る。範囲に関しては、ポリアミドは、0.1~99.9重量%、例えば1~99重量%、5~95重量%、10~90重量%、15~85重量%、又は20~80重量%の量のナイロン66を含み得る。
【0050】
[0057]幾つかの形態においては、ポリアミドはナイロン6Iを含み得る。下限に関しては、ポリアミドは、少なくとも0.1重量%、例えば少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも7.5重量%、又は少なくとも10重量%の量のナイロン6Iを含み得る。上限に関しては、ポリアミドは、50重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、又は20重量%以下の量のナイロン6Iを含み得る。範囲に関しては、ポリアミドは、0.1~50重量%、例えば0.5~40重量%、1~35重量%、5~30重量%、7.5~25重量%、又は10~20重量%の量のナイロン6Iを含み得る。
【0051】
[0058]幾つかの形態においては、ポリアミドはナイロン6Tを含み得る。下限に関しては、ポリアミドは、少なくとも0.1重量%、例えば少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%の量のナイロン6Tを含み得る。上限に関しては、ポリアミドは、50重量%以下、47.5重量%以下、45重量%以下、42.5重量%以下、40重量%以下、又は37.5重量%以下の量のナイロン6Tを含み得る。範囲に関しては、ポリアミドは、0.1~50重量%、例えば1~47.5重量%、5~45重量%、10~42.5重量%、15~40重量%、又は20~37.5重量%の量のナイロン6Tを含み得る。
【0052】
[0059]ブロックコポリマーもまた、本発明の方法において有用である。かかるコポリマーを用いる場合には、溶媒膨潤剤の選択が重要である。選択される溶媒は、両方のブロックが溶媒中に可溶であるようなものである。一例は、塩化メチレン溶媒中のABA(スチ
レン-EP-スチレン)又はAB(スチレン-EP)ポリマーである。1つの成分が溶媒
中に可溶でない場合には、それはゲルを形成する。そのようなブロックコポリマーの例は、Kraton(登録商標)タイプのスチレン-b-ブタジエン及びスチレン-b-水素化ブタジエン(エチレンプロピレン)、Pebax(登録商標)タイプのe-カプロラクタム-b-
エチレンオキシド、Sympatex(登録商標)ポリエステル-b-エチレンオキシド、並びにエチレンオキシド及びイソシアネートのポリウレタンである。
【0053】
[0060]ポリフッ化ビニリデン、シンジオタクチックポリスチレン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ(アクリロニトリル)並びにアクリル酸及びメタクリレートとのそのコポリマーのようなアモルファス付加ポリマー、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)及びその種々のコポリ
マー、ポリ(メタクリル酸メチル)及びその種々のコポリマーのような付加ポリマーは、低い圧力及び温度において可溶であるので、比較的容易に溶液紡糸されることが知られている。これらは、ナノファイバーを製造する1つの方法として、本発明に従って溶融紡糸することができると考えられる。
【0054】
[0061]ポリマー混合物、アロイ形態、又は架橋された化学結合構造で2種類以上のポリマー材料を含むポリマー組成物を形成することには相当な利点がある。本発明者らは、かかるポリマー組成物は、ポリマー鎖の柔軟性又は鎖の移動性を改善すること、全体的な分子量を増加させること、及びポリマー材料のネットワークの形成によって強化を与えることのようにポリマーの特性を変化させることによって物理的特性を改善すると考える。
【0055】
[0062]この概念の一態様においては、有益な特性のために、2種類の関連するポリマー材料をブレンドすることができる。例えば、高分子量ポリ塩化ビニルを低分子量ポリ塩化ビニルとブレンドすることができる。同様に、高分子量ナイロン材料を低分子量ナイロン材料とブレンドすることができる。
【0056】
ポリアミド及びナノファイバー不織布製品のRV:
[0063]ポリアミド(及び得られる製品)のRVは、一般に、毛管粘度計において25℃で測定される溶液又は溶媒の粘度の比である(ASTM-D789(2015))。本発明の目的のためには、溶媒は、10重量%の水及び90重量%のギ酸を含むギ酸である。溶液は、溶媒中に溶解した8.4重量%のポリマーである。
【0057】
[0064]本発明のポリマー及び製品に関して使用されるRV(η)は、ギ酸の絶対粘度に対するポリマー溶液の絶対粘度の比である:
η=(η/η)=(f×d×t)/η
式中、d=25℃におけるギ酸-ポリマー溶液の密度;
=ギ酸-ポリマー溶液に関する平均流出時間;
η=ギ酸の絶対粘度、kPa×秒(E+6cP);及び
=粘度計管係数、mm/秒 (cSt)/秒=η/t
【0058】
[0065]50RVの試料に関する代表的な計算:
η=(f×d×t)/η
式中、f=粘度計管係数、通常は0.485675cSt/秒;
=ポリマー-ギ酸溶液の密度、通常は1.1900g/mL;
=ポリマー-ギ酸溶液に関する平均流出時間、通常は135.00秒;
η=ギ酸の絶対粘度、通常は1.56cPであり、
η=(0.485675cSt/秒×1.1900g/mL×135.00秒)/1.56cP=50.0のRVが与えられる。tの項は、ASTM-D789(2015)において求められているギ酸の絶対粘度の測定に使用されるS-3較正オイルの流出時間である。
【0059】
[0066]幾つかの態様においては、(前駆体)ポリアミドのRVは、少なくとも2、例えば少なくとも3、少なくとも4、又は少なくとも5の下限を有する。上限に関しては、ポリアミドは、330以下、300以下、275以下、250以下、225以下、200以下、150以下、100以下、又は60以下のRVを有する。範囲に関しては、ポリアミドは、2~330、例えば2~300、2~275、2~250、2~225、2~200、2~100、2~60、2~50、2~40、10~40、又は15~40、及びその間の任意の値のRVを有し得る。
【0060】
[0067]幾つかの態様においては、ナノファイバー不織布製品のRVは、少なくとも2、
例えば少なくとも3、少なくとも4、又は少なくとも5の下限を有する。上限に関しては、ナノファイバー不織布製品は、330以下、300以下、275以下、250以下、225以下、200以下、150以下、100以下、又は60以下のRVを有する。範囲に関しては、ナノファイバー不織布製品は、2~330、例えば2~300、2~275、2~250、2~225、2~200、2~100、2~60、2~50、2~40、10~40、又は15~40、及びその間の任意の値のRVを有し得る。
【0061】
[0068](前駆体)ポリアミド組成物のRVとナノファイバー不織布製品のRVとの間の関係は変化し得る。幾つかの形態においては、ナノファイバー不織布製品のRVはポリアミド組成物のRVより低くてよい。RVを低下させることは、ナイロン66を紡糸する場合には従来は望ましくない操作であった。しかしながら、本発明者らは、ナノファイバーの製造においてはそれは利点であることを見出した。溶融紡糸プロセスにおいてより低いRVのポリアミドナイロン、例えばより低いRVのナイロン66を使用すると、驚くべきことに、予想外に小さいフィラメント径を有するナノファイバーフィラメントが生成することが見出された。
【0062】
[0069]RVを低下させる方法は、広範に変化し得る。幾つかの場合においては、プロセス温度を上昇させてRVを低下させることができる。しかしながら幾つかの態様においては、温度は反応速度に影響を及ぼすが、反応平衡定数には影響を及ぼさないので、温度上昇はRVをわずかに低下させるだけである可能性がある。本発明者らは、有益なことに、水分を添加してポリマーを解重合することによって、ポリアミド、例えばナイロン66のRVを低下させることができることを見出した。ポリアミドが加水分解し始める前に、5%以下、例えば4%以下、3%以下、2%以下、又は1%以下の水分を含ませることができる。この技術は、(RVを低下させるために)ポリアミドに他のポリマー、例えばポリプロピレンを添加する従来の方法を超える驚くべき利点を与える。
【0063】
[0070]幾つかの態様においては、RVは、例えば温度を低下させることによって、及び/又は水分を減少させることによって上昇させることができる。この場合も、温度は、水分含量と比較して、RVの調節に対して比較的控えめな影響を及ぼす。水分含量は、1ppm以上、例えば5ppm以上、10ppm以上、100ppm以上、500ppm以上、1000ppm以上、又は2500ppm以上程度の低い値まで低下させることができる。水分含量の減少はまた、本明細書中で更に議論されるように、TDI及びODIの値を低下させるためにも有利である。触媒を含ませることは、速度に影響を及ぼす可能性があるが、実際のK値には影響を及ぼさない。
【0064】
[0071]幾つかの形態においては、ナノファイバー不織布製品のRVは、紡糸前のポリアミドのRVより少なくとも20%低く、例えば少なくとも25%低く、少なくとも30%低く、少なくとも35%低く、少なくとも40%低く、少なくとも45%低く、又は少なくとも90%低い。
【0065】
[0072]他の形態においては、ナノファイバー不織布製品のRVは、紡糸前のポリアミドのRVより少なくとも5%高く、例えば少なくとも10%高く、少なくとも15%高く、少なくとも20%高く、少なくとも25%高く、少なくとも30%高く、又は少なくとも35%高い。
【0066】
[0073]更なる形態においては、ポリアミドのRV及びナノファイバー不織布製品のRVは実質的に同等、例えば互いの5%以内であり得る。
[0074]本発明の更なる態様は、1ミクロン未満の平均繊維径を有し、2~330のRVを有するポリアミドナノファイバーを含むフィルター媒体の層を製造することを包含する。この別の態様においては、好ましいRV範囲としては、2~330、例えば2~300
、2~275、2~250、2~225、2~200、2~100、2~60、2~50、2~40、10~40、又は15~40が挙げられる。ナノファイバーは、その後、不織ウエブに加工される。RVが約20~30を超えて増加するにつれて、操作温度は考慮すべきより大きなパラメータになる。約20~30の範囲より高いRVにおいては、ポリマーが加工目的のために溶融するように温度を注意深く制御しなければならない。溶融技術の方法又は例、並びに繊維製造装置の温度を独立して制御するために装置において使用することができる加熱源及び冷却源が、米国特許8,777,599(本明細書中に参考として援用される)に記載されている。非限定的な例としては、抵抗ヒーター、輻射ヒーター、低温ガス又は加熱ガス(空気又は窒素)、或いは伝導、対流、又は輻射熱伝達機構が挙げられる。
【0067】
繊維の寸法と分布:
[0075]本明細書に開示される繊維は、ナノファイバー、例えば1000nm未満の平均繊維径を有する繊維である。
【0068】
[0076]2より高く330未満のRVを有するポリアミドの場合においては、不織布の繊維層中のナノファイバーの平均繊維径は、1ミクロン未満、例えば950ナノメートル未満、925ナノメートル未満、900ナノメートル未満、800ナノメートル未満、700ナノメートル未満、600ナノメートル未満、又は500ナノメートル未満であり得る。下限に関しては、不織布の繊維層中のナノファイバーの平均繊維径は、少なくとも100ナノメートル、少なくとも110ナノメートル、少なくとも115ナノメートル、少なくとも120ナノメートル、少なくとも125ナノメートル、少なくとも130ナノメートル、又は少なくとも150ナノメートルの平均繊維径を有し得る。範囲に関しては、不織布の繊維層中のナノファイバーの平均繊維径は、100~1000ナノメートル、例えば110~950ナノメートル、115~925ナノメートル、120~900ナノメートル、125~800ナノメートル、125~700ナノメートル、130~600ナノメートル、又は150~500ナノメートルであり得る。かかる平均繊維径により、本明細書に開示される紡糸プロセスによって形成されるナノファイバーが、電界紡糸プロセスによって形成されるナノファイバーと区別される。電界紡糸プロセスは、通常は100ナノメートル未満、例えば50ナノメートル乃至100ナノメートル未満の平均繊維径を有する。理論に束縛されるものではないが、かかる小さいナノファイバー径は、低下した繊維の強度、及び増大したナノファイバーの取扱いの困難性をもたらす可能性があると考えられる。
【0069】
[0077]本発明の方法及び前駆体を使用することにより、繊維径の特定の有益な分布がもたらされる。例えば、ナノファイバーの20%未満、例えば17.5%未満、15%未満、12.5%未満、又は10%未満は、700ナノメートルより大きい繊維径を有し得る。下限に関しては、ナノファイバーの少なくとも1%、例えば少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5%は、700ナノメートルより大きい繊維径を有する。範囲に関しては、ナノファイバーの1~20%、例えば2~17.5%、3~15%、4~12.5%、又は5~10%は、700ナノメートルより大きい繊維径を有する。かかる分布によって、本明細書に記載されるナノファイバー不織布製品が、電界紡糸によって形成されるもの(より小さい平均径(50~100ナノメートル)及び遙かに狭い分布を有する)、及び非ナノファイバー溶融紡糸によって形成されるもの(遙かに大きい分布を有する)と区別される。例えば、非ナノファイバー遠心紡糸不織布は、WO-2017/214085に開示されており、2.08~4.4ミクロンの繊維径が報告されているが、WO-2017/214085の図10Aに報告されている非常に広い分布を有する。
【0070】
[0078]一態様においては、所望の特性のために異なるRV値を有する2つの関連するポ
リマー(両方とも330未満であり、1ミクロン未満の平均繊維径を有する)をブレンドする利点が考えられる。例えば、ポリアミドの融点を上昇させるか、RVを調節するか、又は他の特性を調節することができる。
【0071】
[0079]幾つかの態様においては、得られるナノファイバーは、存在したとしても少量の溶媒を含む。したがって、幾つかの形態においては、得られるナノファイバーは溶媒を含まない。溶融紡糸プロセスを用いると、溶媒の必要性が有利に低減又は排除されると考えられる。この低減・排除によって、環境適合性及びコスト削減などの有益な効果がもたらされる。本明細書に記載される溶融紡糸プロセスとは全く異なる溶液紡糸プロセスによって形成される繊維は、かかる溶媒を必要とする。幾つかの態様においては、ナノファイバーは、1重量%未満、5000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、100ppm未満、又は溶媒の検出可能量未満の溶媒を含む。溶媒は、ポリアミドの成分に応じて変化し得るが、ギ酸、硫酸、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、キシレン/クロロヘキサノン、デカリン、パラフィン油、オルトジクロロベンゼン、及び他の公知の溶媒を挙げることができる。範囲に関しては、少量の溶媒が含まれる場合には、得られるナノファイバーは、少なくとも1ppm、少なくとも5ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、又は少なくとも20ppmの溶媒を有し得る。幾つかの形態においては、ギ酸などの非揮発性溶媒が製品中に残留する場合があり、追加の抽出工程を必要とする場合がある。かかる追加の抽出工程は、製造コストを増加させる可能性がある。
【0072】
[0080]幾つかの場合においては、ナノファイバーは、場合によって添加剤を含むポリアミド材料から製造することができる。好適な添加剤の例としては、オイル(例えば、仕上げ油、例えばシリコーン油)、ワックス、溶剤(本明細書に記載のギ酸を含む)、潤滑剤(例えば、パラフィン油、アミドワックス、及びステアレート)、安定剤(例えば、光安定剤、UV安定剤など)、艶消し剤、酸化防止剤、着色剤、顔料、及び染料が挙げられる。添加剤は、ナノファイバー不織布製品の49重量%以下、例えば40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、3重量%以下、又は1重量%以下の合計量で存在させることができる。下限に関しては、添加剤は、少なくとも0.01重量%、例えば少なくとも0.05重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.25重量%、又は少なくとも0.5重量%の量でナノファイバー製品中に存在させることができる。範囲に関しては、添加剤は、0.01~49重量%、例えば0.05~40重量%、0.1~30重量%、0.25~20重量%、0.5~10重量%、0.5~5重量%、又は0.5~1重量%の量でナノファイバー製品中に存在させることができる。幾つかの形態においては、モノマー及び/又はポリマーを添加剤として含ませることができる。例えば、ナイロン6I及び/又はナイロン6Tを添加剤として添加することができる。
【0073】
[0081]本明細書に記載されるナノファイバー不織布製品と共に使用するのに適した酸化防止剤としては、幾つかの態様においては、アントシアニン、アスコルビン酸、グルタチオン、リポ酸、尿酸、レスベラトロール、フラボノイド、カロテン(例えば、β-カロテン)、カロテノイド、トコフェロール(例えば、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、及びδ-トコフェロール)、トコトリエノール、ユビキノール、没食子酸、メラトニン、第2芳香族アミン、ベンゾフラノン、ヒンダードフェノール、ポリフェノール、ヒンダードアミン、有機リン化合物、チオエステル、ベンゾエート、ラクトン、ヒドロキシルアミンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの態様においては、酸化防止剤は、ステアリル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-
ブチルフェニル)ホスファイト、ビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテル、9,10-ジヒドロキシ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0074】
[0082]本明細書に記載されるナノファイバー不織布製品と組み合わせて使用するのに適した着色剤、顔料、及び染料としては、幾つかの態様においては、植物染料、植物性染料、二酸化チタン(これはまた、艶消し剤としても作用し得る)、カーボンブラック、活性炭、二酸化ケイ素、タルトラジン、E102、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド、ジオキサジン、ペリノンジスアゾ顔料、アントラキノン顔料、金属粉末、金属酸化物、ウルトラマリン、ニッケルチタネート、ベンズイミダゾロンオレンジgl、ソルベントオレンジ60、オレンジ染料、炭酸カルシウム、カオリンクレー、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、液体及び/又は顆粒形態のCARTASOL(登録商標)染料(カチオン染料、Clariant Servicesから入手できる)(例えば、CARTASOLブリリアントイエローK-6G液、CARTASOLイエローK-4GL液、CARTASOLイエローK-GL液、CARTASOLオレンジK-3GL液、CARTASOL
スカーレットK-2GL液、CARTASOLレッドK-3BN液、CARTASOLブルーK-5R液、CARTASOLブルーK-RL液、CARTASOLターコイズK-RL液/顆粒、CARTASOLブラウンK-BL液)、Fastusol(登録商標)染料(助色団、BASFから入手できる)(例えば、イエロー3GL、Fastusol Cブルー74L)など、これらの任意の誘導体、及びこれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの態様においては、溶剤染料を使用することができる。
【0075】
ナノファイバーの形成方法:
[0083]本明細書に記載されるように、ナノファイバー不織布製品は、紡糸して紡糸製品を形成することによって成形される。「海島」とは、複合紡糸とも呼ばれる、1つの紡糸ダイから少なくとも2つのポリマー成分を押し出すことによって形成される繊維を指す。本発明において使用される紡糸は、溶液紡糸及び電界紡糸を明確に除外する。
【0076】
[0084]幾つかの態様においては、ポリアミドナノファイバーをメルトブローする。メルトブローは、電界紡糸よりも有利に安価である。メルトブローは、ナノファイバー及び不織ウエブの形成のために開発されたタイプのプロセスであり;複数の小さな孔を通して溶融した熱可塑性ポリマー材料又はポリアミドを押し出すことによって、ナノファイバーを形成する。得られる溶融糸又はフィラメントを収束する高速気体流中に投入して、それによって溶融したポリアミドのフィラメントを細くするか又は延伸して、それらの直径を減少させる。その後、メルトブローされたナノファイバーを、高速気体流によって運び、回収面又は成形ワイヤ上に堆積させて、ランダムに分配されたメルトブローンナノファイバーの不織ウエブを形成する。メルトブローによるナノファイバー及び不織ウエブの形成は、当該技術において周知である。例として、米国特許第3,016,599号;第3,704,198号;第3,755,527号;第3,849,241号;第3,978,185号;第4,100,324号;第4,118,531号;及び第4,663,220号を参照。
【0077】
[0085]周知のように、電界紡糸は、特定の材料の紡糸を制限し得る多くの製造パラメータを有する。これらのパラメータとしては、紡糸材料及び紡糸材料溶液の電荷;溶液の送達(しばしば、シリンジから射出される材料の流れ);ジェットにおける電荷;コレクターにおける繊維膜の放電;紡糸ジェット上の電場からの外力;放出されるジェットの密度;及び電極の(高)電圧並びにコレクターの形状;が挙げられる。対照的に、上述のナノファイバー及び製品は、電界紡糸プロセスにおいて必要とされるように主排出力として印加電場を使用することなく有利に形成される。従って、ポリアミドは電荷を帯びておらず、紡糸プロセスの構成部品も電荷を帯びていない。重要なことに、電界紡糸プロセスにお
いて必要な危険な高電圧は、本発明のプロセス/製品に関しては必要でない。幾つかの態様においては、本方法は非電界紡糸プロセスであり、得られる製品は非電界紡糸プロセスによって製造される非電界紡糸生成物である。
【0078】
[0086]本発明のナノファイバー不織布を製造する一態様は、米国特許第8,668,854号に概して記載されているように、紡糸チャネルを通る噴射剤ガスを用いる2相紡糸又はメルトブローによるものである。このプロセスは、ポリマー又はポリマー溶液の2相流と、細く、好ましくは収束するチャネルへの加圧された噴射剤ガス(通常は空気)を含む。チャネルは、通常は、そして好ましくは環状の構造である。ポリマーは、細く、好ましくは収束するチャネル内の気体流によって剪断され、チャネルの両側にポリマーフィルム層を生成すると考えられる。これらのポリマーフィルム層は、噴射剤ガス流によってナノファイバーに更に剪断される。ここでも、移動コレクタベルトを使用することができ、ナノファイバー不織布の目付は、ベルトの速度を調節することによって制御される。また、コレクターの距離を用いてナノファイバー不織布の繊度を制御することもできる。このプロセスは、図1を参照してより良く理解される。
【0079】
[0087]有利には、溶融紡糸プロセスにおいて上述のポリアミド前駆体を使用することは、生産速度において大きな利益、例えば、少なくとも5%大きく、少なくとも10%大きく、少なくとも20%大きく、少なくとも30%大きく、少なくとも40%大きい利益を与える。この改良は、従来のプロセス、例えば電界紡糸プロセス、又は本明細書に記載の特徴を使用しないプロセスに対して時間当たりの面積の向上として観察することができる。幾つかの場合においては、安定した時間にわたる生産の増加が向上する。例えば、所与の製造時間、例えば1時間にわたって、本発明のプロセスは、従来のプロセス又は電界紡糸プロセスよりも少なくとも5%多く、例えば少なくとも10%多く、少なくとも20%多く、少なくとも30%多く、又は少なくとも40%多い製品を生産する。
【0080】
[0088]図1は、ポリアミド供給アセンブリ110、空気供給部1210、紡糸シリンダ130、コレクタベルト140、及び巻き取りリール150を含む、ナノファイバ不織布を紡糸するためのシステムの操作を概略的に示す。操作中は、ポリアミド溶融体又は溶液を紡糸シリンダー130に供給し、そこでそれを高圧空気によってシリンダー内の細いチャネルを通して流して、ポリアミドをナノファイバーに剪断する。詳細は、上述の米国特許第8,668,854号に与えられている。生産速度及び目付は、ベルトの速度によって制御される。場合によっては、活性炭、銅などのような機能性添加剤を、所望に応じて空気供給と共に添加することができる。
【0081】
[0089]図1のシステムにおいて使用される紡糸口金の別の構造においては、米国特許第8,808,594号に見られるように、粒状材料を別の入口によって添加することができる。
【0082】
[0090]使用することができる更に別の方法は、本明細書に開示されるポリアミドナノファイバーウエブをメルトブローすることである(図2)。メルトブローは、ポリアミドを比較的高速の通常は高温の気体流中に押し出すことを含む。好適なナノファイバーを製造するためには、Hassanら, J Membrane Sci., 427, 336-344, 2013、及びEllisonら、Polymer, 48 (11), 3306-3316, 2007、及びInternational Nonwoven Journal, 2003年夏号, pg 21-28に見られるように、オリフィス及び毛管形状並びに温度の慎重な選択が必要であ
る。
【0083】
[0091]米国特許第7,300,272号は、溶融した材料を押出してナノファイバーのアレイを形成するための繊維押出パックを開示しており、この繊維押出パックはそれぞれの分割分配プレートが繊維押出パック内に層を形成するように積層して配置されている多
数の分割分配プレートを含み、分割分配プレート上の造作によって、溶融した材料を繊維押出パック内のオリフィスに送る分配ネットワークが形成される。分割分配プレートのそれぞれは、隣接するプレートセグメント間に配置されたギャップを有する1組のプレート
セグメントを含む。プレートセグメントの隣接する縁部は、ギャップに沿ってリザーバを形成するように成形され、シールプラグがリザーバ内に配置されて、溶融した材料がギャップから漏出するのを防止する。シールプラグは、ギャップ中に漏出してリザーバ内に集まって固化する溶融材料によって、又はパックアセンブリにおいてリザーバ内に閉塞材料を配置することによって形成することができる。このパックは、上述の特許に記載されているメルトブローシステムを用いてナノファイバーを製造するために使用することができる。
【0084】
更なる製品特性:
[0092]本明細書に記載の紡糸プロセスは、比較的低い酸化劣化指数(ODI)の値を有するポリアミドナノファイバー不織布製品を形成することができる。より低いODIは、製造中の酸化劣化がより厳しくないことを示す。幾つかの形態においては、ODIは10~150ppmの範囲であり得る。ODIは、蛍光検出器を用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。装置は、キニーネ外部標準物質で較正する。0.1gのナイロンを、10mLの90%ギ酸中に溶解する。次に、この溶液を蛍光検出器を用いるGPCによって分析する。ODIについての検出器波長は、励起については340nmであり、発光については415nmである。上限に関しては、ポリアミドナノファイバー不織布のODIは、200ppm以下、例えば180ppm以下、150ppm以下、125ppm以下、100ppm以下、75ppm以下、60ppm以下、又は50ppm以下であり得る。下限に関しては、ポリアミドナノファイバー不織布のODIは、1ppm以上、5ppm以上、10ppm以上、15ppm以上、20ppm以上、又は25ppm以上であり得る。範囲に関しては、ポリアミドナノファイバー不織布のODIは、1~200ppm、1~180ppm、1~150ppm、5~125ppm、10~100ppm、1~75ppm、5~60ppm、又は5~50ppmであり得る。
【0085】
[0093]更に、本明細書に記載の紡糸プロセスは、比較的低い熱劣化指数(TDI)をもたらすことができる。より低いTDIは、製造中のポリアミドの熱履歴がより厳しくないことを示す。TDIは、TDIのための検出器波長が、励起については300nm、発光については338nmであることを除いて、ODIと同じように測定される。上限に関しては、ポリアミドナノファイバー不織布のTDIは、4000ppm以下、例えば3500ppm以下、3100ppm以下、2500ppm以下、2000ppm以下、1000ppm以下、750ppm以下、又は700ppm以下であり得る。下限に関しては、ポリアミドナノファイバー不織布のTDIは、20ppm以上、100ppm以上、125ppm以上、150ppm以上、175ppm以上、200ppm以上、又は210ppm以上であり得る。範囲に関しては、ポリアミドナノファイバー不織布のTDIは、20~400ppm、100~4000ppm、125~3500ppm、150~3100ppm、175~2500ppm、200~2000ppm、210~1000ppm、200~750ppm、又は200~700ppmであり得る。
【0086】
[0094]TDI及びODIの試験方法はまた、米国特許第5,411,710号にも開示されている。より低いTDI及び/又はODI値は、ナノファイバー不織布製品がより高いTDI及び/又はODIを有する製品よりも耐久性があることを示すので有益である。上記で説明したように、TDI及びODIは劣化の尺度であり、より大きな劣化を有する製品はうまく機能しない。例えば、かかる製品は、減少した染料取り込み量、より低い熱安定性、繊維が熱、圧力、酸素、又はこれらの任意の組み合わせに曝露される濾過用途においてより短い寿命、及び工業用繊維用途におけるより低いテナシティーを有する可能性
がある。
【0087】
[0095]より低いTDI及び/又はODIを有するナノファイバー不織布製品の形成において使用することができる1つの可能な方法は、本明細書に記載の添加剤、特に酸化防止剤を含ませることである。かかる酸化防止剤は、従来の方法では必要ではないが、劣化を抑制するために使用することができる。有用な酸化防止剤の例としては、ハロゲン化銅、及びClariantから入手できるNylostab(登録商標)S-EED(登録商標)が挙げられる。
【0088】
[0096]本明細書に記載される紡糸方法はまた、600CFM/ft未満、例えば590CFM/ft未満、580CFM/ft未満、570CFM/ft未満、560CFM/ft未満、又は550CFM/ft未満の通気度の値を有するナノファイバー不織布を与えることができる。下限に関しては、ナノファイバー不織布製品は、少なくとも50CFM/ft、少なくとも75CFM/ft、少なくとも100CFM/ft、少なくとも125CFM/ft、少なくとも150CFM/ft、又は少なくとも200CFM/ftの通気度の値を有し得る。範囲に関しては、ナノファイバー不織布は、50~600CFM/ft、75~590CFM/ft、100~580CFM/ft、125~570CFM/ft、150~560CFM/ft、又は200~550CFM/ftの通気度の値を有し得る。
【0089】
[0097]本明細書に記載される紡糸方法はまた、TSI-3160自動フィルターテスターによって測定して1~99.999%、例えば1~95%、1~90%、1.5~85%、又は2~80%の濾過効率を有するナノファイバー不織布製品を与えることができる。TSI-3160自動フィルターテスターは、フィルター材料の効率を試験するために使用される。粒子透過率及び圧力降下が、この装置を用いて測定される2つの重要なパラメータである。効率は100%-透過率である。既知の粒径を有するチャレンジ溶液を使用する。TSI-3160は、Hepaフィルタを測定するために使用され、DOP溶液を使用する。それは、静電分級機を二重凝縮粒子計数器(CPC)と組み合わせて、単分散粒子を用いて15~800nmの最も透過する粒径(MPPS)を測定する。そして、99.999999%までの効率を試験することができる。
【0090】
用途:
[0098]本発明のナノファイバー不織布は、それらの高い耐熱性、バリア性、透過性、及び加工性のために種々の用途において有用である。本製品は、多くの場合において積層体などの多層構造において使用することができる。
【0091】
[0099]したがって、本製品は、次の分野:輸送、工業、商業、及び住宅;における空気濾過又は液体濾過において使用される。
[0100]本製品は更に、通気性布帛、外科用不織布、ベビーケア用品、成人ケア用品、衣料、複合材料、建築材、及び音響材におけるバリア用途のために適している。本組成物は、最良の性能のために異なる繊維寸法の複合体を必要とすることがある自動車、電子装置、及び航空機用途における音響減衰のために有用である。より高い目付においては、本製品は、飲料、食品包装、輸送、化学処理、及び創傷ドレッシング又は医療用インプラントなどの医療用途に関して使用される。
【0092】
[0101]本発明の不織布の独特の特徴は、従来の製品においては見られない機能及び利点を提供し、例えば、本発明の不織布は燻製肉の包装材として使用することができる。
実施態様:
[0102]態様1:ポリアミドナノファイバーを含むナノファイバー不織布製品であって、前記製品は2~330の相対粘度を有し、前記ナノファイバーは100~1000ナノメートルの平均径を有する、上記ナノファイバー不織布製品。
【0093】
[0103]態様2:前記製品の融点が225℃以上である、態様1によるナノファイバー不織布製品。
[0104]態様3:前記ナノファイバーの20%以下が700ナノメートルより大きい直径を有する、態様1又は2によるナノファイバー不織布製品。
【0094】
[0105]態様4:前記ポリアミドがナイロン66又はナイロン6/66を含む、態様1~3のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0106]態様5:前記ポリアミドが高温ナイロンである、態様1~4のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0095】
[0107]態様6:前記ポリアミドが、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11、及び/又はN12を含み、「N」はナイロンを意味する、態様1~5のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0096】
[0108]態様7:前記製品が600CFM/ft未満の通気度の値を有する、態様1~6のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0109]態様8:前記製品が150GSM以下の目付を有する、態様1~7のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0097】
[0110]態様9:前記製品が少なくとも20ppmのTDIを有する、態様1~8のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0111]態様10:前記製品が少なくとも1ppmのODIを有する、態様1~9のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0098】
[0112]態様11:前記製品が溶媒を含まない、態様1~10のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0113]態様12:前記製品が5000ppm未満の溶媒を含む、態様1~10のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0099】
[0114]態様13:前記ナノファイバーの少なくとも1%が少なくとも700nmの直径を有する、態様1~12のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0115]態様14:前記ポリアミドの前駆体が少なくとも5ppmの水分含量を有する、態様1~13のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0100】
[0116]態様15:前記ポリアミドの前駆体が3重量%以下の水分含量を有する、態様1~14のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0117]態様16:前記ポリアミドの前駆体が2~330のRVを有する、態様1~14のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0101】
[0118]態様17:前記ナノファイバー不織布製品のRVが、前記ポリアミドの前駆体のRVと比較して低下している、態様16によるナノファイバー不織布製品。
[0119]態様18:前記ナノファイバー不織布製品のRVが、前記ポリアミドの前駆体のRVと同等に維持されているか、又はそれと比較して増加している、態様16によるナノファイバー不織布製品。
【0102】
[0120]態様19:100~1000ナノメートルの平均径を有するナノファイバーに紡糸され、不織布製品に成形されているポリアミドを含むナノファイバー不織布製品であって、前記ポリアミドが2~330の相対粘度を有する、上記ナノファイバー不織布製品。
【0103】
[0121]態様20:前記製品の融点が225℃以上である、態様19によるナノファイバー不織布製品。
[0122]態様21:前記ナノファイバーの20%以下が700ナノメートルより大きい直径を有する、態様19又は20によるナノファイバー不織布製品。
【0104】
[0123]態様22:前記ポリアミドがナイロン66又はナイロン6/66を含む、態様19~21のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0124]態様23:前記ポリアミドが高温ナイロンである、態様19~22のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0105】
[0125]態様24:前記ポリアミドが、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11、及び/又はN12を含み、「N」はナイロンを意味する、態様19~23によるナノファイバー不織布製品。
【0106】
[0126]態様25:前記製品が600CFM/ft未満の通気度の値を有する、態様19~24のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0127]態様26:前記製品が150GSM以下の目付を有する、態様19~25のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0107】
[0128]態様27:前記製品が少なくとも20ppmのTDIを有する、態様19~26のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0129]態様28:前記製品が1~200ppmのODIを有する、態様19~27のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0108】
[0130]態様29:前記製品が溶媒を含まない、態様19~28のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0131]態様30:前記製品が5000ppm未満の溶媒を含む、態様19~29のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0109】
[0132]態様31:前記ナノファイバーの少なくとも1%が少なくとも700nmの直径を有する、態様10~30のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0133]態様32:前記ポリアミドが少なくとも5ppmの水分含量を有する、態様19~31のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0110】
[0134]態様33:前記ポリアミドが3重量%以下の水分含量を有する、態様19~32のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0135]態様34:前記製品が2~330のRVを有する、態様19~33のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0111】
[0136]態様35:前記ナノファイバー不織布製品のRVが、前記ポリアミドの前駆体のRVと比較して低下している、態様34によるナノファイバー不織布製品。
[0137]態様36:前記ナノファイバー不織布製品のRVが、前記ポリアミドの前駆体のRVと同等に維持されているか、又はそれと比較して増加している、態様34によるナノファイバー不織布製品。
【0112】
[0138]態様37:ナノファイバー不織布製品の製造方法であって、(a)ポリアミドが2~330の相対粘度を有するポリアミド組成物を用意すること;(b)前記ポリアミド組成物を紡糸して100~1000ナノメートルの平均繊維径を有する複数のナノファイバーにすること;及び(c)前記ナノファイバーを前記ナノファイバー不織布製品に成形すること;を含み、前記ポリアミドナノファイバーの層が100~1000ナノメートル
の平均ナノファイバー径及び2~330の相対粘度を有する上記方法。
【0113】
[0139]態様38:前記ポリアミド組成物を、ダイを通して高速気体流中にメルトブローすることによって溶融紡糸する、態様37によるナノファイバー不織布製品の製造方法。
[0140]態様39:加圧ガスを用いて繊維形成チャネルを通して液体形態の前記ポリアミド組成物を押し出すことを含む2相噴射剤ガス紡糸によって前記ポリアミド組成物を溶融紡糸する、態様37又は38によるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0114】
[0141]態様40:前記ナノファイバー不織布製品を、移動ベルト上に前記ナノファイバーを回収することによって形成する、態様37~39のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0115】
[0142]態様41:前記ポリアミドナノファイバー層が150GSM以下の目付を有する、態様37~40のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
[0143]態様42:前記ナノファイバー不織布製品中の前記ポリアミドの相対粘度が、前記製品を紡糸及び成形する前の前記ポリアミド組成物と比較して低下している、態様37~41のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0116】
[0144]態様43:前記ナノファイバー不織布製品中の前記ポリアミドの相対粘度が、前記製品を紡糸及び成形する前の前記ポリアミド組成物と比較して同等であるか又は増加している、態様37~41のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0117】
[0145]態様44:工程(a)~(c)の方法の生産速度が電界紡糸又は溶液紡糸生産速度よりも少なくとも5%速い、態様37~43のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0118】
[0146]態様45:前記製品の融点が225℃以上である、態様37~44のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
[0147]態様46:前記ナノファイバーの20%以下が700ナノメートルより大きい直径を有する、態様37~45のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0119】
[0148]態様47:前記ポリアミドがナイロン66又はナイロン6/66を含む、態様37~46のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
[0149]態様48:前記ポリアミドが高温ナイロンである、態様37~47のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0120】
[0150]態様49:前記ポリアミドが、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11、及び/又はN12を含み、「N」はナイロンを意味する、態様37~48のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造法。
【0121】
[0151]態様50:前記製品が600CFM/ft未満の通気度の値を有する、態様37~49のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造法。
[0152]態様51:前記製品が150GSM以下の目付を有する、態様37~50のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0122】
[0153]態様52:前記製品が少なくとも20ppmのTDIを有する、態様37~51のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
[0154]態様53:前記製品が少なくとも1ppmのODIを有する、態様37~52のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0123】
[0155]態様54:前記製品が溶媒を含まない、態様37~53のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
[0156]態様55:前記製品が5000ppm未満の溶媒を含む、態様37~54のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0124】
[0157]態様56:前記ナノファイバーの少なくとも1%が少なくとも700nmの直径を有する、態様37~55のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
[0158]態様57:前記ポリアミドの前駆体が少なくとも5ppmの水分含量を有する、態様37~56のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0125】
[0159]態様58:前記ポリアミドの前駆体が3重量%以下の水分含量を有する、態様37~57のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
[0160]態様59:前記ポリアミドの前駆体が10ppm~5重量%の水分含量を有する、態様37~57のいずれかによるナノファイバー不織布製品の製造方法。
【0126】
[0161]態様60:不織布製品に成形されているポリアミド組成物を含むナノファイバー不織布製品であって、前記製品は、次:(i)20~4000ppmのTDI、(ii)1~200ppmのODI、(iii)100~1000ナノメートルの平均ナノファイバー径、(iv)ナイロン6,6を含むポリアミド;及び(v)2~330のポリアミド組成物のRV;少なくとも1つを有する、上記ナノファイバー不織布製品。
【0127】
[0162]態様61:ナノファイバーに溶融紡糸され、不織布製品に成形されているナイロン66ポリアミドを含むナノファイバー不織布製品であって、前記製品は少なくとも20ppmのTDI及び少なくとも1ppmのODIを有する、上記ナノファイバー不織布製品。
【0128】
[0163]態様62:ナノファイバーに溶融紡糸され、不織布製品に成形されているナイロン66ポリアミドを含むナノファイバー不織布製品であって、前記ナノファイバーの20%以下が700ナノメートルより大きい直径を有する、上記ナノファイバー不織布製品。
【0129】
[0164]態様63:前記製品の融点が225℃以上である、態様60~62のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0165]態様64:前記ナノファイバーの20%以下が700ナノメートルより大きい直径を有する、態様60~61及び63のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0130】
[0166]態様65:前記製品が600CFM/ft未満の通気度の値を有する、態様60~64のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0167]態様66:前記製品が150GSM以下の目付を有する、態様60~65のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0131】
[0168]態様67:前記製品が少なくとも20ppmのTDIを有する、態様62~66のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0169]態様68:前記製品が少なくとも1ppmのODIを有する、態様62~67のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0132】
[0170]態様69:前記製品が溶媒を含まない、態様60~68のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0171]態様70:前記製品が5000ppm未満の溶媒を含む、態様60~68のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0133】
[0172]態様71:前記ポリアミドが少なくとも5ppmの水分含量を有する、態様60~70のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0173]態様72:前記ポリアミドが3重量%以下の水分含量を有する、態様60~71のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
【0134】
[0174]態様73:前記製品が2~330のRVを有する、態様60~72のいずれかによるナノファイバー不織布製品。
[0175]態様74:前記ナノファイバー不織布製品のRVが、前記ポリアミドの前駆体のRVと比較して低下している、態様73によるナノファイバー不織布製品。
【0135】
[0176]態様75:前記ナノファイバー不織布製品のRVが、前記ポリアミドの前駆体のRVと同等に維持されているか、又はそれと比較して増加している、態様73によるナノファイバー不織布製品。
【実施例
【0136】
[0177]本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に理解される。
実施例1:
[0178]米国特許第8,668,854号(図1に概略的に示す)に記載されている(溶融)紡糸手順及び装置を利用して、ナイロン66ポリアミドを移動ドラム上に紡糸して不織ウエブを製造した。この方法は、20rpmで運転する高圧縮スクリューを有し、245℃、255℃、265℃、及び265℃の温度プロファイルを有する押出機を使用した。(前駆体)ポリアミドの温度は252℃であり、ガスとして窒素を使用した。それぞれが異なる目付を有する2つの不織ウエブを製造した(試料1及び2)。より高い目付を有する試料2は、同じプロセスによって製造したが、ナノファイバーをスクリム上に紡糸した。この場合には、スクリムは単に、本発明のナノファイバーウエブに一体性を付加するために使用した。ポリアミドは、7.3のRVを有していた(紡糸前)。低RVポリアミドの一定の粘度を実質的に一定に維持することを確実にするために、ポリアミドは、過剰の約5%アジピン酸を使用して調製した。
【0137】
[0179]不織ウエブを、上記のHassanらの論文に従って、平均繊維径、目付、通気度について特性分析した。また、ASTM-E96、手順B(2016)に従って水蒸気透過速度も測定した(g/m/24時間)。
【0138】
[0180]結果を表1に示し、不織マットを図3及び4の顕微鏡写真に示す。不織マットのナノファイバーは、470nm~680nmの範囲(平均575nm)の平均繊維径を有していた。
【0139】
【表1】
【0140】
[0181]表1に示されるように、本明細書に開示されるプロセスを使用すると、7.3の
RVについて平均570の繊維径を有する溶融紡糸ナノファイバー不織ウエブが与えられた。通気度は約182.8CFM/ftであり、一方、水蒸気透過速度は平均で約1100g/平方メートル/24時間であった。かかる繊維径及び性能特性は、従来のポリアミド前駆体及び/又はプロセスを用いては達成されていない。理論に束縛されるものではないが、低RVのポリアミド組成物(及び/又は窒素)を使用したことが、TDI及びODIの結果が非常に低かった主な理由であったと考えられる。
【0141】
実施例2:
[0182](米国特許第7,300,272号に記載され、図5に示される溶融紡糸パックを利用して)36のRVを有するナイロン66ポリアミドを溶融紡糸して、メルトブローダイにポンプ輸送して、不織ナノファイバーウエブを製造した。種々の試料において、ナイロン66の水分レベルは、(表2に示すように)約0.2%~約1.0%の範囲であった。3つのゾーンを有する押出機を使用し、押出機を233℃~310℃の範囲の温度で運転した。ダイ温度は286℃~318℃の範囲であった。加熱空気をガスとして使用した。ナノファイバーを、Cerex Advanced Fabrics, Inc.からPBN-II(登録商標)の商標で商業的に入手できる10gsmのサーマルボンドナイロンスパンボンドスクリム上に堆積させた。もちろん、他のスパンボンド布、例えばポリエステルスパンボンド布、ポリプロピレンスパンボンド布、ナイロンメルトブロー布、又は他の織布、ニット布、ニードルパンチ布、又は他の不織布を使用することができる。溶融紡糸又は堆積プロセスの間は、溶剤又は接着剤は使用せず、ポリアミド又は得られた製品のいずれも溶剤を含んでいなかった。
【0142】
[0183]ナノファイバーのウエブを用いて種々の布帛を製造した。幾つかの特定の試料の特性及び性能特性を表2に要約する。
【0143】
【表2】
【0144】
[0184]表2に示されるように、本発明方法は、驚くべきことに、複数の特徴の相乗的な組み合わせを有するナノファイバー及び不織マットを与える。上述のプロセスを使用して、種々の目付で広範囲の特性を有するナノファイバー不織マットが成功裏に製造された。表2に示すように、用途のために必要とされる種々の特性を有するナノファイバー布を与えるようにプロセス設定を調節することができる。
【0145】
実施例3:
[0185]34~37の範囲のRVを有するナイロン66ポリアミド組成物を、米国特許第7,300,272号に記載されているパックと共に使用して、約16.8のRVを有す
るナノファイバーを製造した。これは、約17.2~20.2RV単位のポリアミド組成物から布帛へのRVの減少である。ポリアミド組成物は約1重量%の水分を含んでおり、233~310℃の温度範囲の3つのゾーンを有する小型押出機において操作した。約308℃のダイ温度を使用した。溶融紡糸又は堆積プロセスの間、溶剤又は接着剤は使用せず、ポリアミド又は得られた製品のいずれも溶剤又は接着剤を含んでいなかった。
【0146】
実施例4:
[0186]34~37の範囲のRVを有するナイロン66ポリアミド組成物を、米国特許第7,300,272号に記載されているパックと共に使用して、約19.7のRVを有するナノファイバーを製造した。これは、約14.3~17.3RV単位のポリアミド組成物から布帛へのRVの減少である。ポリアミド組成物は1重量%の水分を含んでおり、233~310℃の温度範囲の3つのゾーンを有する小型押出機において操作した。約277℃のダイ温度を使用した。溶融紡糸又は堆積プロセスの間、溶剤又は接着剤は使用せず、ポリアミド又は得られた製品のいずれも溶剤又は接着剤を含んでいなかった。
【0147】
実施例5:
[0187]2%ナイロン6をその中にブレンドした34~37の範囲のRVを有するナイロン66ポリアミド組成物を使用した。米国特許第7,300,272号に記載されているパックを使用して、約17.1のRVを有するナノファイバーを製造した。これは、約16.9~19.9RV単位のポリアミド組成物から布帛へのRVの減少である。ポリアミド組成物は1重量%の水分を含んでおり、233~310℃の温度範囲の3つのゾーンを有する小型押出機において操作した。約308℃のダイ温度を使用した。溶融紡糸又は堆積プロセスの間、溶剤又は接着剤は使用せず、ポリアミド又は得られた製品のいずれも溶剤又は接着剤を含んでいなかった。
【0148】
実施例6:
[0188]下記の表3に示す種々のRVを有する7つのポリアミド組成物を用意した。米国特許第7,300,272号に記載されているパックを使用して、下記に報告するRV値を有するナノファイバーを製造した。試料は、小型押出機上で長い滞留時間を用いて製造した。まず、試料10及び11は、押出機の供給ホッパーに過剰のチップを供給することによって製造した。部材間の移行時間を短縮するために、押出機及びダイ(又はパック)は、試料11の後にポリアミド組成物を欠乏させた。この実施例は、広範囲のナイロンコポリマーを使用して、0.53~0.68ミクロンの範囲の繊維径を有するナイロンナノファイバーを製造することができることを示す。繊維径は、プロセスパラメータ、ポリマーの配合、又はポリマーのタイプ(コポリマー)を変化させることによって変化させることができる。試料を製造した方法に基づいて試料10及び11以外のこれらの布帛の劣化指数に関する結論を引き出すことは困難である。試料10及び11は、ナイロン6を添加すると最終ナノファイバー布の熱劣化が減少したことを示す。また、これらの試料を試料16と比較すると、ナイロン6の添加によって繊維径が減少することも示される。試料13は、RVが303.1から33.3に減少したことを示す。これは、269.8単位の減少、すなわちRVの89%の減少である。
【0149】
【表3】
【0150】
実施例7:
[0189]一連の実施例を実施して、ナノファイバー試料をダイ温度の関数としてのTDI及びODIについて試験した。実施例3で使用した34~37の範囲のRVを有する同じナイロン66ポリアミド組成物を、これらの試料のそれぞれにおいて操作した。これらの試料は、試料16を製造するために使用されたものと同じポリアミドの組成を用いて、表3におけるものよりもはるかに短い滞留時間で、わずかに大きい押出機及び遙かに大きいダイ(パック)上で製造した。ダイ温度、目付、及びフレーク水分を変化させた。下記の表4に条件及び結果を示す。結果は図7及び図8のグラフにおいても示す。下記の表4に示すように、プロセス変数を変化させてもODIは劇的には変化せず、これは酸化劣化に
対して強固なプロセスを示している。図8に示すように、紡糸ポンプ速度が減少するにつれて、ODI及びTDIは概して増加し、TDIはODIよりも高い割合で増加した。表3における試料16と比較すると、これらの試料は、ナノファイバー不織布を操作するために使用されたこの装置がより短い滞留時間のために設計されたのでODI及びTDIが低下したことを示す。
【0151】
【表4】
【0152】
実施例8:
[0190](米国特許第7,300,272号に記載され、図5に示される溶融紡糸パックを使用して)36のRVを有するナイロン66ポリアミドを溶融紡糸して、メルトブローダイにポンプ輸送して、不織ナノファイバーウエブを製造した。ナイロン66の水分レベルは約0.22%であった。3つのゾーンを有する押出機を使用し、押出機を233℃~310℃の範囲の温度で操作した。ダイ温度は295℃であった。加熱空気をガスとして使用した。ナノファイバーを、Cerex Advanced Fabrics, Inc.からPBN-II(登録商標)の商標で商業的に入手できる10gsmのサーマルボンドナイロンスパンボンドスクリム上に堆積させた。もちろん、他のスパンボンド布、例えばポリエステルスパンボンド布、ポリプロピレンスパンボンド布、ナイロンメルトブロー布、又は他の織布、ニット布、ニードルパンチ布、又は他の不織布を使用することができる。溶融紡糸又は堆積プロセスの間は、溶剤又は接着剤は使用せず、ポリアミド又は得られた製品のいずれも溶剤又は接着剤を含んでいなかった。目付82gsmのナイロン6,6ナノファイバー層を有する布帛を製造するようにコレクターベルト速度を設定した。この布帛は、上記で議論したTSI 3160を用いて測定して、97.9%の効率、166.9パスカルの圧力降下、及び2.1%の透過度を有していた。この布帛は、3.2~8ミクロンの範囲であり、平均で5.8ミクロンの平均流動細孔径を有していた。この布帛の通気度は8.17cfm/平方フィートであった。ナノファイバー層の厚さは625ミクロンであった。
【0153】
実施例9(比較例):
[0191]溶融体を回転紡糸口金に通して紡糸することによってポリマー繊維を形成する遠心紡糸プロセスを使用して、ナイロン66ポリアミドを不織布試料29及び30に溶融紡糸した。遠心紡糸プロセスの説明は、米国特許第8,658,067号;WO-2012/109251;Marshallらの米国特許第8,747,723号、及び米国特許第8,277号に見られる。このプロセスによって、非常に高いTDI及びODI指数を有するナイロンナノファイバーが製造された。これらの結果は、本明細書に記載のメルトブロープロセスで製造した実施例7の試料よりもはるかに高い。
【0154】
【表5】
【0155】
[0192]本発明を詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲内の修正は当業者には容易に明らかであろう。かかる修正もまた、本発明の一部としてみなされるべきである。上記の議論、当技術分野における関連知識、及び背景に関連して上記で議論した参照文献(これらの開示事項はすべて参照により本明細書に組み込まれる)を考慮すると、更なる説明は不要であると考えられる。更に、発明の複数の形態及び種々の態様の複数の部分を全体的に又は部分的に組み合わせることができ、又は交換することができることが、上記の議論から理解されるべきである。更に、当業者であれば、前述の説明は単に例示の目的であり、本発明を限定することを意図しないことを認識するであろう。最後に、本明細書において参照される全ての特許、刊行物、及び出願は、それらの全体が参照により組み込まれる。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)ポリアミドナノファイバーを含むナノファイバー不織布製品であって、前記製品は2~330の相対粘度を有し、前記ナノファイバーは100~1000ナノメートルの平均径を有する上記ナノファイバー不織布製品。
(2)前記ポリアミドがナイロン66又はナイロン6/66である、(1)に記載のナノファイバー不織布製品。
(3)前記ポリアミドが高温ナイロンである、(1)に記載のナノファイバー不織布製品。
(4)前記ポリアミドが、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11、及び/又はN12を含み、ここで「N」はナイロンを意味する、(1)に記載のナノファイバー不織布製品。
(5)前記ナノファイバー不織布製品が600CFM/ft 未満の通気度の値を有する、(1)~(4)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(6)前記不織布製品が150GSM以下の目付を有する、(1)~(5)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(7)前記製品が20~4000ppmのTDIを有する、(1)~(6)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(8)前記ナノファイバーの1%~20%が700ナノメートルより大きな直径を有する、(1)~(7)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(9)前記製品が5000ppm未満の溶媒を含む、(1)~(8)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(10)前記製品が溶媒を含まない、(1)~(9)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(11)ナノファイバーに溶融紡糸され、不織布製品に成形されているナイロン66ポリアミドを含むナノファイバー不織布製品であって、前記製品は少なくとも20ppmのTDI及び少なくとも1ppmのODIを有する、上記ナノファイバー不織布製品。
(12)ナノファイバーに溶融紡糸され、不織布製品に成形されているナイロン66ポリアミドを含むナノファイバー不織布製品であって、前記ナノファイバーの20%以下が700ナノメートルより大きい直径を有する、上記ナノファイバー不織布製品。
(13)(1)~(12)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法であって、
(a)ポリアミド組成物を用意すること;
(b)前記ポリアミド組成物を、100~1000ナノメートルの平均繊維径を有する複数のナノファイバーに溶融紡糸すること;
(c)前記ナノファイバーを前記ナノファイバー不織布製品に成形すること、ここで前記ナノファイバー不織布製品は1000ナノメートル未満の平均ナノファイバー径を有する;
を含む上記方法。
(14)前記ポリアミドポリマー組成物を、ダイを通して高速気体流中にメルトブローすることによって溶融紡糸する、(13)に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(15)加圧ガスを用いて繊維形成チャネルを通して液体形態の前記ポリアミド組成物を押し出すことを含む2相噴射剤ガス紡糸によって前記ポリアミド組成物を溶融紡糸する、(13)~(14)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(16)前記ナノファイバー不織布製品を、移動ベルト上に前記ナノファイバーを回収することによって形成する、(13)~(15)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(17)前記ナノファイバー不織布製品のRVが前記ポリアミド組成物のRV未満である、(13)~(16)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(18)前記ナノファイバー不織布製品のRVが前記ポリアミド組成物のRVと同等か又はそれより大きい、(13)~(16)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(19)前記ナノファイバー不織布製品を、フィルター媒体、通気性布帛、衣類、履物、防音層、医療用包帯、及び/又は医療用インプラントにおいて使用する、(1)~(12)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の使用。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8