(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】自動車の製造のための方法及びそのために好適な器具
(51)【国際特許分類】
B29C 65/50 20060101AFI20221104BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20221104BHJP
B29C 63/16 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
B29C65/50
B29C63/02
B29C63/16
(21)【出願番号】P 2021525765
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2019086500
(87)【国際公開番号】W WO2020148070
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】102019200604.3
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520443365
【氏名又は名称】カール ウォルワグ ラック- ウント ファルベンファブリック ゲーエムベーハー アンド シーオー. ケージー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルタ, ヘルゲ
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105189138(CN,A)
【文献】特開2002-105692(JP,A)
【文献】特開平11-207911(JP,A)
【文献】特開平05-293896(JP,A)
【文献】特開2006-334912(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0352822(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の製造のための方法であって、前記方法が、
(a)自動車の車体を少なくとも一種の塗料で被覆する工程、
(b)少なくとも一種の塗料を乾燥及び/又は硬化する工程、
(c)少なくとも一種の塗料を被覆され、乾燥及び/又は硬化された自動車の車体の耐荷重性構成要素に取付部品(複数)を装着する工程、及び
(d)少なくとも一種の塗料を被覆され、乾燥及び/又は硬化された自動車の車体、又はそれに装着された取付部品(複数)のうちの一つの表面(170;172)に接着フィルム(160)を付与する工程、但し接着フィルム(160)は接着剤層を含む、
を含み、
接着フィルム(160)を付与するために、
(e)接着フィルム(160)は、自動システム(200)を使用して表面(170;172)と弾性膜(120;122)の間に配置され、
(f)弾性膜(120;122)は、少なくとも特定の領域(複数)において凸側及び凹側を有する湾曲状態に変形され、凸側を前面として表面(170;172)と接触され、その結果、接着フィルム(160)の接着剤層は、全表面積にわたって弾性膜(120;122)によって表面(170;172)の上に押し付けられる、
方法において、
接着フィルム(160)を押し付けるために、接着剤を与えられる表面(170;172)と弾性膜(120;122)の間の領域に負圧が付与されることを特徴とする方法。
【請求項2】
以下の追加の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法:
(a)弾性膜(120;122)が、自動システム(200)によって一つの工程で表面(170;172)までもたらされる工程、
(b)弾性膜(120;122)が、少なくとも特定の領域(複数)において凸側及び凹側を有する湾曲状態に変形される工程、及び
(c)接着フィルム(160)の接着剤層が弾性膜(120;122)の凸側によって全表面積にわたって表面(170;172)の上に押し付けられるまで、湾曲が強められる工程。
【請求項3】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法:
(a)接着フィルム(160)が、一方の側に接着剤層を有しかつ他方の側に塗料層を有するキャリアフィルムを含む、
(b)キャリアフィルムが、プラスチックフィルム、金属フィルム、又は金属/プラスチック複合フィルムである、
(c)キャリアフィルムが、10μm~120μmの範囲の厚さを有する、
(d)接着剤層が、10μm~80μmの範囲の厚さを有する、
(e)接着剤層が、均一な厚さを有する、
(f)接着剤層が、均質な接着物質からなる、
(g)接着剤層が、10cm
2~8m
2の範囲の表面積を有する、
(h)塗料層が、20μm~150μmの範囲の厚さを有する。
【請求項4】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の方法:
(a)負圧が、≦750mbarの値に設定される、
(b)弾性膜(120;122)が、負圧によって又は負圧を使用して湾曲状態に変形される。
【請求項5】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法:
(a)第一工程において、弾性膜(120;122)が、自動システム(200)によって表面(170;172)までもたらされる、
(b)第二工程において、負圧が、接着剤を与えられる表面(170;172)と弾性膜(120;122)の間の領域に付与される、
(c)第三工程において、弾性膜(120;122)が、付与される負圧を使用して凸側及び凹側を有する湾曲状態に変形される、
(d)接着フィルム(160)の接着剤層が弾性膜(120;122)の凸側によって全表面積にわたって表面(170;172)の上に押し付けられるまで、湾曲が負圧を使用して強められる。
【請求項6】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の方法:
(a)使用される弾性膜(120;122)が、弾性ポリマー材料からなる、
(b)使用される弾性膜(120;122)が、均一な厚さを有する、
(c)使用される弾性膜(122)が、湾曲状態の幾何学形状に目的とした影響を与えるための弱化及び/又は強化領域(124)を有する。
【請求項7】
以下の追加の工程の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法:
(a)弾性膜(120;122)が、正圧によって又は正圧を使用して湾曲状態に変形される、
(b)弾性膜(120;122)が、接着フィルム(160)が押し付けられる前に加熱又は冷却される。
【請求項8】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項4~7のいずれかに記載の方法:
(a)接着剤を与えられる表面(170;172)に対して接着フィルム(160)を介して弾性膜(120;122)が及ぼす圧力に依存して負圧が変化される、
(b)もし接着剤を与えられる表面(170;172)に対して弾性膜(120;122)によって及ぼされる圧力が増加するなら、負圧が増加される。
【請求項9】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の方法:
(a)接着フィルム(160)が、装着フィルム(150)を使用して表面(170;172)と弾性膜(120;122)の間に配置され、装着フィルム(150)に対して接着フィルム(160)が、接着剤層と反対の側で接着する、
(b)接着フィルム(160)を配置するために、装着フィルム(150)がフレーム(130)の上又は中に固定される、
(c)接着フィルム(160)が表面(170;172)の上に押し付けられた後、装着フィルム(150)が接着フィルム(160)から離れるように引っ張られる。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の方法において、少なくとも一種の塗料を被覆され、乾燥及び/又は硬化された自動車の車体、又はそれに装着された取付部品の表面(170;172)に接着フィルム(160)を付与するための器具であって、以下の特徴を含むことを特徴とする器具:
(a)器具が、弾性膜(120;122)を含む、
(b)器具が、弾性膜(120;122)に対して平行に整列して接着フィルム(160)を固定するための手段を含む、
(c)器具が、接着剤を与えられる表面(170;172)及び弾性膜(120;122)とともに、負圧室(141)を形成するように設計されるフレームを含み、負圧室(141)には接着フィルム(160)が配置され、負圧室(141)が負圧を受けるときに弾性膜(120;122)が負圧室(141)中へと湾曲することができる。
【請求項11】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項10に記載の器具:
(a)フレームが、矩形を有する、
(b)フレームが、第一開口を有し、第一開口が、弾性膜(120;122)によって閉じられている、
(c)フレームが、表面(170;172)に対して封止態様で配置されることができる少なくとも一つの弾性封止要素(144)を含む、
(d)フレームが、第二開口を含み、第二開口の縁に少なくとも一つの弾性封止要素(122)が固定されている、
(e)フレームが、負圧源のための少なくとも一つの接続部(148)を含み、接続部(148)を介して負圧室(141)が負圧を受けることができる、
(f)フレームが、接着フィルム(160)を固定するための手段として少なくとも一つの取付部を含む。
【請求項12】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の器具:
(a)フレームが、二つ以上のサブフレーム(130;140)から構成される、
(b)フレームが、矩形を有し、二つ以上の矩形のサブフレーム(130;140)から構成される、
(c)フレームが、第一矩形サブフレーム(140)を含み、第一矩形サブフレーム(140)の上に少なくとも一つの弾性封止要素(144)が固定され、第一矩形サブフレーム(140)が、負圧源のための少なくとも一つの接続部(148)を含む、
(d)フレームが、第二矩形サブフレーム(130)を含み、第二矩形サブフレーム(130)が、接着フィルム(160)のための少なくとも一つの取付部を含む。
【請求項13】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載の器具:
(a)器具が
、弾性膜(120;122)によって画定される圧力均等室(112)を含む、
(b)器具が、圧力均等室(112)中に導く圧力源又は負圧源のための接続部を含む、
(c)器具が、弁(114)を含み、弁(114)によって圧力均等室(112)が通気されることができる。
【請求項14】
以下の追加の特徴を含むことを特徴とする請求項10~13のいずれかに記載の器具:
(a)器具が、自動システム(200)の上に固定される。
【請求項15】
自動車の製造のための製造ラインに配置されることを特徴とする請求項10~14のいずれかに記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される本発明は、自動車の製造のための方法に関し、そこでは接着フィルムが自動車の車体の表面に付与される。本発明はまた、この目的のために好適な器具に関する。
【背景技術】
【0002】
接着フィルムは、自動車の連続製造に増々使用されている。それらは、装飾的には、例えば車体表面に色パターンを転写するため、そして機能的には、例えば石キズに対する塗料表面のための保護として、又は刻印、型式番号などを付与するために使用されることができる。
【0003】
接着フィルムによって色パターンを付与するときに伴なう苦労は、一般に多段階の塗装プロセスにおいてかかるパターンを作るときより有意に小さい。しかしながら、連続製造における接着フィルムの付与は、決して取るに足らないものではない。接着フィルムが大きいほど、接着剤を与えられる表面に正確にそれを配置し、エアポケットやひだの形成なしでそれを接着結合することは難しくなる。これらのプロセスの自動化は、今までうまくいかなかった。むしろ、自動車の連続製造における接着フィルムの付与は、これまで手で実施されてきた。
【0004】
US6197397B1は、接着剤層内に微小構造通路を含む接着フィルムを開示する。これらの通路は、接着フィルムが付与されるときにエアポケットを避けるために空気を逃がすこと、及び手で再加工して余分な空気を除去することを意図される。しかしながら、一方では、かかる接着フィルムは、極めて高価である。他方、微小構造の接着剤層のため、それらは、高品質表面の形成のためにはあまり適さない。接着フィルムは、一般にキャリアフィルムを含み、その一方の側は、接着剤層でカバーされ、その他方の側は、任意選択的に多層の塗料層でカバーされる。極めて薄いキャリアフィルムを使用するとき、微小構造は、接着結合された後であっても目に見える痕跡をまだ残す。特に厚い接着フィルムの使用は、基本的に望まれない。問題は、実際には厚いフィルムを使用することによって解決されることができる。しかしながら、厚いフィルムは、基体の上に重く横たわる。もしクリア塗料がその上に被覆されないのなら、この結果もまた、満足なものにならない。
【発明の概要】
【0005】
以下に記載される本発明は、これらの問題に対する解決策を提供する目的に基づく。特に、その目的は、接着フィルムを付与し、それらを自動車の連続製造、特にこの目的のために与えられた製造ラインに一体化するための自動化された方法及び器具を開発することである。
【0006】
この問題を解決するために、本発明は、請求項1に記載の特徴を有する自動車の製造のための方法、及び請求項11に記載の特徴を有する器具を提案する。従属請求項は、本発明の発展例に関する。
【0007】
本発明による自動車の製造のための方法は、常に以下の工程を含む:
(a)自動車の車体を少なくとも一種の塗料で被覆する工程、
(b)少なくとも一種の塗料を乾燥及び/又は硬化する工程、
(c)少なくとも一種の塗料を被覆され、乾燥及び/又は硬化された自動車の車体の耐荷重性構成要素に取付部品(複数)を装着する工程、及び
(d)少なくとも一種の塗料を被覆され、乾燥及び/又は硬化された自動車の車体、又はそれに装着された取付部品(複数)のうちの一つの表面に接着フィルムを付与する工程、但し接着フィルムは接着剤層を含む、
【0008】
クリア塗料の付与は、本発明による接着フィルムの付与の後には与えられない。
【0009】
前記方法は、接着フィルムを付与するために、
(e)接着フィルムは、自動システムを使用して表面と弾性膜の間に配置され、
(f)弾性膜は、少なくとも特定の領域(複数)において凸側及び凹側を有する湾曲状態に変形され、凸側を前面として表面と接触され、その結果、接着フィルムの接着剤層は、全表面積にわたって弾性膜によって表面の上に押し付けられる、
ことを特徴とする。
【0010】
湾曲された膜の使用は、前記方法にとって極めて重要である。接触が表面でなされるとき、湾曲は、初期の点状の接触領域の生成をもたらし、そこでは接着フィルムの接着剤層は、表面の上に押し付けられる。なぜなら湾曲の最も高い点は、接着フィルムをまず表面の上に押すからである。接触圧力の増加の結果として膜が表面のより近くにもたらされるか、又は湾曲が強められるとき、接触領域は、接着剤層が全表面積にわたって表面と接触するまで放射方向に広がる。
【0011】
用語「取付部品」は、本発明の文脈において広く解釈されるべきである。これは、一方では、窓又はヘッドライトのような非塗装部品を含むが、他方では、エンジンフード、ドア、フェンダー、及びルーフ要素又は着色プラスチック部品のような塗装部品を含む。もし適切なら、自動車の車体と別個にこれらの取付部品に塗料が付与され、乾燥及び/又は硬化される。
【0012】
前記方法では、膜及び接着フィルムは、初期接触領域が接着剤を与えられる表面及び接着フィルムの中央領域に形成され、従って接触領域がそこから接着フィルムの縁の方向に広がるような方法で、接着剤を与えられる表面の上に配置されることが好ましい。これは、エアポケットの危険を最小にする。
【0013】
かかる手順は、接着フィルムの手での付与の場合には実質的に不可能である。なぜなら表面上の接着フィルムの正確な配置を確保するため、接着フィルムの縁が、手で常に整列され、最初に押されるからである。
【0014】
少なくとも一種の塗料は、従来の多層自動車塗料であることが好ましい。自動車の車体及び車体部品は、一般にプライマー処理され、ベース塗料で塗装され、次いでクリア塗料の被覆を与えられる。このために要求される加工工程及び中間工程は、知られている。本発明にとって重要なことは、接着剤を与えられる基体の上の少なくとも一種の塗料が乾燥され、硬化されること、即ち耐圧性表面を与え、もはやいかなる溶剤も含有しないことだけである。
【0015】
本発明による方法の第一の特に好ましい実施形態(変形例A)は、すぐ下の追加の工程(a)及び(b)によって特徴づけられる:
(a)弾性膜が、少なくとも特定の領域(複数)において凸側及び凹側を有する湾曲状態に変形される工程、及び
(b)自動システムが、接着フィルムの接着剤層が全表面積にわたって弾性膜によって表面の上に押し付けられるまで、弾性膜をその凸側を前面として表面までもたらす工程。
【0016】
原則として、この実施形態では、二つの工程(a)及び(b)の完全な一時的な重なりは可能である。しかしながら、工程(a)が工程(b)の前に完了されることが好ましく、工程(a)が完了した後にのみ工程(b)が実施されることがさらに好ましい。
【0017】
本発明による方法の第二の特に好ましい実施形態(変形例B)は、すぐ下の追加の工程(a)~(c)によって特徴づけられる:
(a)弾性膜が、自動システムによって一つの工程で表面までもたらされる工程、
(b)弾性膜が、少なくとも特定の領域(複数)において凸側及び凹側を有する湾曲状態に変形される工程、及び
(c)接着フィルムの接着剤層が弾性膜の凸側によって全表面積にわたって表面の上に押し付けられるまで、湾曲が強められる工程。
【0018】
原則として、この実施形態では、三つの工程(a)~(c)の完全な一時的な重なりは可能である。しかしながら、工程(a)が工程(b)の前に完了されることが好ましく、工程(a)が完了した後にのみ工程(b)及び(c)が実施されることがさらに好ましい。
【0019】
本発明の好ましい発展例では、前記方法に使用されることができる接着フィルムは、すぐ下の特徴(a)~(h)の少なくとも一つによって特徴づけられる:
(a)接着フィルムが、一方の側に接着剤層を有しかつ他方の側に塗料層を有するキャリアフィルムを含む、
(b)キャリアフィルムが、プラスチックフィルム、金属フィルム、又は金属/プラスチック複合フィルムである、
(c)キャリアフィルムが、10μm~120μmの範囲の厚さを有する、
(d)接着剤層が、10μm~80μm、好ましくは30μm~60μmの範囲の厚さを有する、
(e)接着剤層が、均一な厚さを有する、
(f)接着剤層が、均質な接着物質からなる、
(g)接着剤層が、10cm2~8m2の範囲の表面積を有する、
(h)塗料層が、20μm~150μm、好ましくは30μm~90μm、特に好ましくは40μm~60μmの範囲の厚さを有する。
【0020】
少なくともすぐ上の特徴(a)及び(b)及び(g)が互いに組み合わせて実現されることが特に好ましい。好ましい発展例では、特徴(a)~(d)及び(g)及び(h)、特に(a)~(e)及び(g)及び(h)、特に好ましい実施形態では全ての特徴(a)~(h)が互いに組み合わせて実現される。
【0021】
特徴(e)は、特徴(f)と組み合わせて実現されることが特に好ましい。本発明によれば、均一な厚さは、接着剤層が空気を放出するための微小構造通路又は他の微小構造によって局所的に弱化されないことを意味するものとして理解されるべきである。前記接着剤層は、ドクターブレードによって均質な接着物質を付着することによって形成されることが好ましく、対応して実質的に平坦で均一な表面を有する。「均質な」は、ここでは接着物質がいかなる粒状物も含まないことを意味するものとして理解されるべきである。
【0022】
微小構造を含まない接着剤層の使用は、本発明の方法に使用される極めて薄いキャリアを有する接着フィルムを可能にし、それでもなお高い反射性の「クラスA表面」をこの方法で得ることができる。上で特定される10μm~120μmの範囲内では、少なくとも接着剤層が上述の微小構造を含まないなら、10μm~60μm、好ましくは10μm~40μmの厚さを有するキャリアフィルムがさらに好ましい。
【0023】
本発明の一部の特に好ましい発展例では、クレームされた方法は、すぐ下の工程(a)~(c)の少なくとも一つによって特徴づけられる:
(a)接着フィルムを押し付けるために、接着剤を与えられる表面と弾性膜の間の領域に負圧が付与される、
(b)負圧が、≦750mbarの値、好ましくは0.5mbar~750mbarの範囲の圧力に設定される、
(c)弾性膜が、負圧によって又は負圧を使用して湾曲状態に変形される。
【0024】
少なくともすぐ上の工程(a)及び(b)が互いに組み合わせて、もし必要なら全ての工程(a)~(c)が実現されることが特に好ましい。
【0025】
この発展例は、特に本発明による方法の上記の変形例Bに関する。
【0026】
特に接着フィルムが構造的に弱い車体構成要素の表面に、例えば接着フィルムが表面の上に押し付けられるときに押されることができる極めて薄い金属シートから構成された構成要素に接着結合されるときにいつでも負圧の付与が有利である。負圧は、接触圧とは反対に向けられ、従って接着剤を与えられる表面を安定化する。代わりに、接触圧は、再び増加されることができる。
【0027】
本発明による方法の第三の特に好ましい実施形態(変形例C)は、すぐ下の追加の工程(a)~(d)によって特徴づけられる:
(a)第一工程において、弾性膜が、自動システムによって表面までもたらされる、
(b)第二工程において、負圧が、接着剤を与えられる表面と弾性膜の間の領域に付与される、
(c)第三工程において、弾性膜が、付与される負圧を使用して凸側及び凹側を有する湾曲状態に変形される、
(d)接着フィルムの接着剤層が弾性膜の凸側によって全表面積にわたって表面の上に押し付けられるまで、湾曲が負圧を使用して強められる。
【0028】
原則として、この実施形態では、工程(a)と工程の残りの一時的な重なりは可能でない。工程(b)及び(c)は、基本的に重なりうる。しかしながら、工程(b)は、工程(c)の前に完了されることが好ましい。それゆえ、負圧が最初に付与され、次いで膜が湾曲状態に変形されることが好ましい。
【0029】
本発明による方法の変形例A,B及びCにおける上記の特徴(a)及び/又は(b)の文脈において、用語「までもたらす(「bringing up to」及び「brought up to」)」は、本発明によれば極めて広く解釈されるべきできある。膜を表面までもたらすために、最も簡単な場合では、もちろん膜は、表面に向かって移動されてもよいが、逆に表面自体もまた、膜に向かって移動されてもよい。表面と膜の間の距離だけが、もたらす操作中、重要である。距離を減少する目的のため、膜又は表面又はそれらの両方が移動するかどうかは重要でない。
【0030】
本発明のさらに好ましい発展例では、前記方法に使用される膜は、すぐ下の特徴(a)~(c)の少なくとも一つによって特徴づけられる:
(a)使用される弾性膜が、弾性ポリマー材料、特に天然ゴム又はシリコーンからなる、
(b)使用される弾性膜が、均一な厚さを有する、
(c)使用される弾性膜が、湾曲状態の幾何学形状に目的とした影響を与えるための弱化及び/又は強化領域を有する。
【0031】
すぐ上の特徴(a)及び(c)又は(b)及び(c)のいずれかが互いに組み合わせて実現されることが特に好ましい。
【0032】
上述の点状接触領域を形成するためには膜の湾曲状態の幾何学形状に影響を与えることが必要でありうる。もし例えば接着剤を与えられる表面にくぼみがあるなら、点状接触領域は、理想的にはくぼみの最も深い点で作られなければならない。いかなる場合にも円形接触領域は、避けられるべきである。なぜなら、円形接触領域を使用すると、エアポケットを防止することがほとんど不可能だからである。
【0033】
もし例えば膜が一つの領域において別の領域より薄く形成されるなら、それは、圧力又は負圧が付与されるときにこの領域において領域の残りより容易にかつ顕著に湾曲するだろう。膜の強化の場合には逆のことが当てはまる。
【0034】
膜への弱化及び/又は強化領域の導入はさらに、接触領域の拡張に影響するためにさらに好都合でありうる。これは、特に湾曲された表面、特にくぼみを有する表面に接着フィルムを接着結合するときに有利でありうる。
【0035】
本発明の特に好ましい発展例では、クレームされた方法は、すぐ下の工程(a)及び(b)の少なくとも一つによって特徴づけられる:
(a)弾性膜が、正圧によって又は正圧を使用して湾曲状態に変形される、
(b)弾性膜が、接着フィルムが押し付けられる前に加熱又は冷却される。
【0036】
上記の負圧に対する代替策として正圧で作業を実施することができる。これは、特に前記方法の変形例Aで好都合である。前述の湾曲が作られることがこの方法にとって不可欠であり、湾曲がどのようにして形成されるかが次に重要なことであり、そこでは接着剤を与えられる表面の前述の安定化は、もちろん正圧の使用だけでは起こらず、正圧と負圧の組み合わせ使用で起こり、それもまた可能である。
【0037】
膜は、負圧及び正圧の使用から完全に独立して加熱されることができる。膜を加熱又は冷却することによって、例えば収縮又は伸張効果が打ち消されることができる。
【0038】
接着剤を与えられる表面と膜の間に付与される負圧は、上で既に示したように、好ましい実施形態では接触圧を補償するために変化されることができる。対応して、クレームされた方法は、好ましい実施形態では、すぐ下の工程(a)及び(b)の少なくとも一つによって、好ましくはすぐ下の工程(a)及び(b)の組み合わせによって特徴づけられる:
(a)接着剤を与えられる表面に対して接着フィルムを介して弾性膜が及ぼす圧力に依存して負圧が変化される、
(b)もし接着剤を与えられる表面に対して弾性膜によって及ぼされる圧力が増加するなら、負圧が増加される。
【0039】
この目的のため、自動制御及び調整機構が与えられることができ、それは、接触圧に依存して負圧を自動的に適応する。好ましい実施形態では、この場合には、圧力は、センサーによって検出されることができる。
【0040】
本発明の特に好ましい発展例では、クレームされた方法は、すぐ下の工程(a)~(c)の少なくとも一つによって特徴づけられる:
(a)接着フィルムが、装着フィルムを使用して表面と弾性膜の間に配置され、装着フィルムに対して接着フィルムが、接着剤層と反対の側で接着する、
(b)接着フィルムを配置するために、装着フィルムがフレームの上又は中に固定される、
(c)接着フィルムが表面の上に押し付けられた後、装着フィルムが接着フィルムから離れるように引っ張られる。
【0041】
少なくともすぐ上の工程(a)及び(c)が互いに組み合わせて、特に好ましくは全ての工程(a)~(c)が実現されることが特に好ましい。
【0042】
接着フィルムは、その縁を含めて、接着剤を与えられる表面の上に押し付けられることになるので、装着フィルムは、前記接着フィルムの配置を容易にする。接着フィルムが押し付けられた後、装着フィルムは、接着フィルムから離れるように引っ張られることが好ましい。
【0043】
装着フィルムは、フレームの上に固定されるように設計されることが好ましい。この目的のため、それは、フレームの上の固定を容易にする配置及び固定手段を持つことができる。
【0044】
接着フィルムは、例えば接着剤を与えられる表面に付与される装飾、刻印又は単一文字である。
【0045】
例えばもし複数の文字又は言葉を含む刻印が表面に転写されるなら、接着剤を与えられる表面に対して装着フィルムに接着する複数の接着フィルムを同時に転写することが可能である。この場合において、接着剤を与えられる表面の上に膜及び接着フィルムを配置し、初期接触領域が複数の接着フィルムから形成された刻印の中央領域に形成されるようにすることが好ましい。
【0046】
本発明による器具は、上記の接着フィルムを、自動車の車体又はその上に装着された取付部品の塗装表面(その塗装表面は上記と同様のものである)に付与するために使用される。前記器具は、特に前記方法を実施するために好適である。それは、常に以下の特徴によって特徴づけられる:
(a)器具が、上記の弾性膜の実施形態を含む、
(b)器具が、弾性膜に対して平行に整列して接着フィルムを固定するための手段を含む、
(c)器具が、接着剤を与えられる表面及び弾性膜とともに、負圧室を形成するように設計されるフレームを含み、負圧室には接着フィルムが配置され、負圧室が負圧を受けるときに弾性膜が負圧室中へと湾曲することができる。
【0047】
既に記載したように、接着剤を与えられる表面と膜の間の領域に負圧を付与するように接着フィルムを付与することが特に有利である。フレームは、このために与えられる。
【0048】
膜は、温度制御目的のために二層形態を持ち、例えば水のような温度制御媒体に対する接続部を持つことができる。
【0049】
一部の特に好ましい実施形態では、膜は、上記の弱化及び/又は強化領域を有する。
【0050】
接着フィルムは、上記の装着フィルムに接着することが好ましいので、接着フィルムを固定するための手段は、対応して装着フィルムを固定するための手段であることが好ましい。
【0051】
接着フィルム又は装着フィルムを固定するための手段は、例えば接着フィルム又は装着フィルムにおける穴に対応するピンであることができる。
【0052】
本発明の好ましい発展例では、器具は、すぐ下の特徴(a)~(f)の少なくとも一つによって特徴づけられる:
(a)フレームが、矩形を有する、
(b)フレームが、第一開口を有し、第一開口が、弾性膜によって閉じられている、
(c)フレームが、表面に対して封止態様で配置されることができる少なくとも一つの弾性封止要素を含む、
(d)フレームが、第二開口を含み、第二開口の縁に少なくとも一つの弾性封止要素が固定されている、
(e)フレームが、負圧源のための少なくとも一つの接続部を含み、その接続部を介して負圧室が負圧を受けることができる、
(f)フレームが、接着フィルムを固定するための手段として少なくとも一つの取付部を含む。
【0053】
少なくともすぐ上の特徴(a)~(e)が互いに組み合わせて、特に好ましくは全ての特徴(a)~(f)が実現されることが好ましい。
【0054】
少なくとも一つの封止要素は、負圧室を封止するように作用する。それらは、弾性ポリマー材料、例えば既に述べた天然ゴムからなることが好ましい。負圧源のための少なくとも一つの接続部は、負圧室中に負圧を発生するために使用される。
【0055】
本発明のさらに好ましい発展例では、器具は、すぐ下の特徴(a)~(d)の少なくとも一つによって特徴づけられる:
(a)フレームが、二つ以上のサブフレームから構成される、
(b)フレームが、矩形を有し、二つ以上の矩形のサブフレームから構成される、
(c)フレームが、第一矩形サブフレームを含み、第一矩形サブフレームの上に少なくとも一つの弾性封止要素が固定され、第一矩形サブフレームが、負圧源のための少なくとも一つの接続部を含む、
(d)フレームが、第二矩形サブフレームを含み、第二矩形サブフレームが、接着フィルムのための少なくとも一つの取付部を含む。
【0056】
少なくともすぐ上の特徴(a)~(c)が互いに組み合わせて、特に好ましくは全ての特徴(a)~(d)が実現されることが好ましい。
【0057】
二つ以上のサブフレームを使用するとき、負圧室の気密性を確保するためにサブフレームの接続表面にさらなる封止要素を与えることが必要でありうる。
【0058】
負圧の上記の制御の目的のため、器具は、好適な制御及び調整装置を持つことができる。
【0059】
本発明のさらに好ましい発展例では、器具は、すぐ下の特徴(a)~(c)の少なくとも一つ、好ましくはすぐ下の特徴(a)及び(b)、又は(a)及び(c)の組み合わせによって特徴づけられる:
(a)器具が、特に弾性膜によって画定される圧力均等室を含む、
(b)器具が、圧力均等室中に導く圧力源又は負圧源のための接続部を含む、
(c)器具が、弁を含み、弁によって圧力均等室が通気されることができる。
【0060】
この圧力均等室は、もし適切なら、膜の前記湾曲を作成又は強化するために要求される。もし負圧が負圧室に付与されるなら、膜の必要な湾曲をもたらすため又はそれを強化するために弁によって圧力均等室を通気することがこの目的のために十分でありうる。
【0061】
器具は、自動システム、例えばロボットのアームに固定されることが特に好ましい。器具は、好ましくは自動システムを含み、自動車の製造のための製造ラインに配置されることが好ましい。
【0062】
原則として、上記手順及び上記器具は、もちろん自動車の製造に使用するために好適なだけではない。本発明によれば、他の連続製造品(例えば自転車)もまた、接着フィルムを与えられることができる。
【0063】
上記の発明のさらなる特徴及び利点は、以下に記載される図面から明らかであり、そこでは本発明による器具の好ましい実施形態は、本発明による方法の異なる段階で示される。示されかつ記載された実施形態は、本発明を説明し、より良く理解するためにのみ役立ち、決して制限するものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
図1は、本発明による器具の下側の計画図を示す。
【
図3】
図3は、装着フィルムが接着フィルムとともに固定される、
図1に示された器具を示す。
【
図5】
図5は、自動システムのアームに固定される本発明の器具の一つの実施形態の断面を示す。
【
図6】
図6は、改変された膜を有する本発明による器具の一つの実施形態の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1及び2は、自動車の塗装表面170に接着フィルム160を付与するために好適な本発明による器具100を示す。
【0066】
本ケースでは、言葉「test」を一緒に生成する四文字の形の四つの別個の接着フィルム160が装着フィルム150に接着している。接着フィルムの各々は、キャリアフィルム並びに塗料層及び接着剤層を含む。
図1では、接着剤層は、前方に面し、文字は、装着フィルム150に塗料層とともに接着している。接着フィルム160は、表面170に転写されることを意図される。
【0067】
器具は、矩形フレームを含み、それは、矩形サブフレーム130及び矩形サブフレーム140から構成される。サブフレーム130及び140は、封止142によって気密態様で接続される。装着フィルム150は、複数のピン152によってサブフレーム130に固定され、それに対応する穴を持ち、その穴にピン152が挿入される。
【0068】
天然ゴムから構成される弾性膜120は、装着フィルム150と平行に配置される。前記弾性膜は、ベースプレート110とサブフレーム130の間で気密態様でクランプされる。弾性膜は、サブフレーム130によって画定されるフレームの開口を閉じる。
【0069】
この目的のため、複数のねじ132がサブフレーム130を通ってベースプレート110に螺入される。
【0070】
ベースプレート110は、圧力均等室112を膜120で包囲する。空気は、弁114によって圧力均等室112中に入ることができる。
【0071】
サブ構造180が、ベースプレート110の一つの側に取り付けられ、持ち上げ器具又はロボットへの器具100の接続のための受器182を持つ。
【0072】
サブフレーム130及び140からなるフレームは、接着剤を与えられる表面170及び膜120とともに負圧室141を形成するように設計され、負圧室141には、接着フィルム160を含む装着フィルム150が配置され、負圧室141が負圧を受けるときに膜120が負圧室141中へと湾曲することができる。この目的のため、負圧フレーム140は、表面170の幾何学形状に適応され、その結果、表面170と負圧フレーム140の間のぴったり合った接触が確保される。
【0073】
図2は、サブフレーム140が表面170に対してどのように存在するかを示す。弾性封止要素144は、サブフレーム140によって画定されるフレームの開口の縁に固定される。フレームは、前記弾性封止要素によって表面170に封止態様で接続される。負圧室141は、接続部148及び通路146によって排気されることができ、接続部148は、負圧源に結合され、通路146は、サブフレーム140を通って案内される。
【0074】
膜は、
図1及び2では湾曲されていない。それは、同じ圧力が圧力均等室112及び負圧室141において支配するということを意味する。
【0075】
本発明による方法の原理及び器具100の操作の方式は、
図3及び4を参照して説明される。前記図では、膜120は、湾曲され、その凸側が装着フィルム150、特にそれに接着する接着フィルム160を表面170に対して押すことができる。負圧室141が(
図3に示されるように)閉じられていないとき、湾曲は、室112内の正圧によってもたらされることができるにすぎない。負圧室141が(
図4に示されるように)閉じられるとき、負圧は、膜120を室中に引っ張ることができる。弁114は、このために開放されなければならない。
【0076】
膜120の湾曲の結果として、装着フィルム150は、接着フィルム160とともに表面170の上に押し付けられる。第一接触領域162は、一般に接着フィルム160と表面170の間に形成され、膜120の湾曲が強くなるにつれて放射状に広がる。従って、接着フィルム160と表面170の間におそらくまだ存在する残留空気は、常に最も短い経路で外側に逃げることができる。文字の形の四つの別個の接着フィルム160の本発明における使用では、第一接触領域はまた、装着フィルム150と表面170の間に存在してもよい。接着フィルム160と表面170の間の接触は、この場合には、膜120の湾曲が強くなるにつれて接触領域の放射状の広がりで確立されるにすぎない。
【0077】
負圧室141に存在する負圧は、表面170が安定化されるという利点を有し、膜120によって及ぼされる圧力(その圧力の力は、負圧とは反対方向に向けられる)に耐えることができる。これは、特に薄い層厚さを有する構成要素に対して接着剤を与えるとき、又は大きな表面積の場合には大きな利点である。
【0078】
表面170の上への接着フィルム160の押し付けが完了した後、負圧室141と圧力均等室112が通気されることができる。膜120は、次いで再び初期状態に戻ることができる。この場合において、装着フィルム150は、一般に接着フィルム160から離れるように引っ張られる。接着フィルム160は、表面170の上に残る。
【0079】
図5は、器具100がサブ構造180によって自動システム200のアーム230に結合される実施形態を示す。自動システム200は、旋回可能な上部220を有するベース210を持つ。上部220は、回転軸2のまわりを自由に回転することができる。ロボットアーム230は、旋回軸4のまわりで旋回されることができる。これは、器具100の高さを調整することを可能にする。
【0080】
ロボットアーム230と器具100の間に油圧シリンダー240が配置される。油圧シリンダー240は、変位方向8に直線的に伸長されることができる。さらに、油圧シリンダー240は、回転軸6のまわりに回転されることができる。従って、器具100と表面170の間の正確な距離及び整合が設定されることができる。
【0081】
図6は、改変された膜122が使用される器具100の代替実施形態を示す。他の点では、器具の構造は、
図1~4に示された器具のそれに対応する。改変された膜122は、局所的な補強124を含み、その結果として膜122は、中央領域においてその縁と比べてより大きく最初に湾曲する。これは、膜122のより鋭い湾曲、従ってより小さい第一接触領域164をもたらす。結果として、くぼみ174を有する表面172が接着フィルム160によって接着剤を与えられることも可能である。より鋭い湾曲は、第一接触領域164が表面172のくぼみ174の最も深い点で画定されることを可能にする。これは、接着フィルム160がくぼみ174の縁176で最初に表面172と接触することを防止する。