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特許7170214気密端子およびその気密端子を用いた接点装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】気密端子およびその気密端子を用いた接点装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/14 20060101AFI20221107BHJP
   H01H 50/02 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
H01H50/14 B
H01H50/02 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020047811
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021150124
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】300078431
【氏名又は名称】ショット日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(72)【発明者】
【氏名】間宮 興
(72)【発明者】
【氏名】伊東 督裕
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-164978(JP,A)
【文献】特開2017-069144(JP,A)
【文献】特開2015-130260(JP,A)
【文献】特開2016-201245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器と前記パイプリードとを封着する絶縁材と、前記パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台とを備え、前記パイプリードは、外力を緩衝する応力緩和部を有し、
前記応力緩和部は、主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性より低く、且つ、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低い、ことを特徴とする気密端子。
【請求項2】
前記パイプリードは、主部と前記主部より肉厚の薄い薄厚部からなる請求項1に記載の気密端子。
【請求項3】
前記パイプリードは、さらに段付き部を有する請求項1または請求項に記載の気密端子。
【請求項4】
前記端子台は、銅、アルミニウムまたは銅系合金、アルミニウム系合金からなる請求項1ないし請求項の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項5】
前記絶縁材は、ガラスまたはエポキシ樹脂からなる請求項1ないし請求項の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項6】
電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、通孔を有する金属容器と、前記通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器と前記パイプリードとを封着する絶縁
材と、前記パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台
と、前記金属容器の開口部周縁を覆って密閉する蓋体と、この蓋体を貫通したシャフトに
支持された可動接触子とを備え、前記パイプリードは、外力を緩衝する応力緩和部を有し、前記端子台は固定接点を有し、前記可動接触子は可動接点を有し、
前記応力緩和部は、主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性より低く、且つ、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低い、ことを特徴とする接点装置。
【請求項7】
前記パイプリードは、主部と前記主部より肉厚の薄い薄厚部とを有する請求項に記載の接点装置。
【請求項8】
前記パイプリードは、さらに段付き部を有する請求項6または請求項に記載の接点装置。
【請求項9】
前記端子台は、銅、アルミニウムまたは銅系合金、アルミニウム系合金からなる請求項ないし請求項の何れか1つに記載の接点装置。
【請求項10】
前記絶縁材は、ガラスまたはエポキシ樹脂からなる請求項ないし請求項の何れか1つに記載の接点装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高電気容量のリレー装置に搭載される気密端子を含む気密端子全般およびその気密端子を用いた接点装置を含む気密端子を有するリレー装置全般に関する。
【背景技術】
【0002】
国内外の自動車メーカは、地球温暖化などの環境問題への対策として、ハイブリッド車(以下、HEVと略記)を実用化し、現在、大型車やRV車などにも展開されている。さらに、電気自動車(以下、EVと略記)の開発も活発化している。HEVやEVは、大きなモータ出力を要し、搭載されるバッテリーも高容量のものとなる。このためHEVやEVを安定かつ効率的に駆動させるには、高性能な高容量リレーが不可欠である。車載用の高容量リレーは、限られたスペースに取り付けるため小型軽量化が要求される。またリレーの通電性能を向上させるため、通電部分に低抵抗金属を用いながらも連続通電時の温度上昇を極力抑制する必要がある。さらに車載部品のため、過酷な振動や温度負荷に耐える頑健性、信頼性も求められる。
【0003】
このようなリレーとして、例えば、特許文献1に記載される電磁継電器がある。この電磁継電器は、第1の励磁コイルと可動子と第1の固定子とを有し、第1の励磁コイルへの通電時に生じる磁束によって第1の固定子に可動子を吸引し、この可動子を第2の位置から第1の位置へ移動させる電磁石装置と、固定接点および可動接点を有し、可動子の移動に伴って可動接点が移動することにより、可動子が第1の位置にあるときに可動接点が固定接点に接触する閉状態となり、可動子が第2の位置にあるときおよび第3の位置にあるときに可動接点が固定接点から離れた開状態となる接点装置と、接点装置と直列に接続された第2の励磁コイルを有し、可動子が第1の位置にある状態で接点装置を通して流れる規定値以上の異常電流により第2の励磁コイルで生じる磁束によって、可動子を第3の位置へ移動させるトリップ装置とを備え、接点装置と電磁石装置とトリップ装置とは一方向に並べて配置されており、トリップ装置は、電磁石装置に対して接点装置とは反対側に配置されている。
【0004】
このような車載用の高電気容量のリレーを構成する接点装置には、従来から、接点オフ時に発生するアークを迅速に消弧するために、固定接点および可動接点が配置された空間を構成し、前記空間内に消弧性ガス(絶縁性ガス)を充填した接点装置が使用されている。例えば、特許文献2に記載の接点装置は、ハウジング、連結体、プレート、プランジャキャップを接合して、固定接点および可動接点を収容する空間を形成している。すなわち、接点装置は、ハウジング、連結体、プレート、プランジャキャップで囲まれる空間を気密空間とし、この気密空間には水素を主成分とする消弧性ガスが密封されている。
【0005】
接点装置には、特許文献3に記載されるような気密端子を有する金属容器に収容されたものがあり、その接点装置は、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器であって、通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器とパイプリードとを封着する絶縁ガラスと、パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台と、前記端子台に支持された固定接点と、金属容器の開口部周縁を覆って密閉する蓋体と、この蓋体を貫通したシャフトに支持された可動接触子と、可動接触子に設けられた可動接点から構成されている。この接点装置に含まれる気密端子は、通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器とパイプリードとを封着する絶縁ガラスと、パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-046377号公報
【文献】特開2015-049939号公報
【文献】特開2017-069144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の接点装置を形成する気密端子には、銅製端子台の熱膨張を吸収するためにパイプリードが設けられている。ところが端子台とパイプリードとの間隙が不充分なときには、端子台の膨張/収縮を吸収しきれずにパイプリード自体が変形することがあった。従来のパイプリードは、上記変形が金属容器とパイプリードとを絶縁封止する絶縁材や、端子台とパイプリードとの接合部まで伝播し悪影響を及ぼす恐れがあった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解消するため提案するものであり、高電気容量のリレー(高電気容量の電磁継電器)に用いられる接点装置において、より気密性の高い接点装置を実現する気密端子および前記気密端子を適用した接点装置を実現し、併せて従来構成に起因する絶縁材の頑健性を向上することにある。また、これと同時に気密信頼性に係る問題も解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器と前記パイプリードとを封着する絶縁材と、前記パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台とを備え、前記パイプリードは、外力を緩衝する応力緩和部を有する気密端子が提供される。前記気密端子のパイプリードに応力緩和部を設けることにより、パイプリードが端子台の熱膨張によって変形した場合において、パイプリードにかかる応力等の外力を応力緩和部で受け止めて、パイプリードと端子台との接続部やパイプリードと金属容器とを絶縁封止する絶縁材まで変形の影響が波及しないようにする。本発明の気密端子は、パイプリードに応力緩和部を設けることによって、応力等の影響を所望の範囲に限定または画定させ上述の接続部や封止部分に波及するのを防止して重要部分を保護する。
【0010】
本発明によれば、通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器と前記パイプリードとを封着する絶縁材と、前記パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台とを備え、前記パイプリードは、外力を緩衝する応力緩和部を有し、前記応力緩和部は、主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性より低い、もしくは、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低い気密端子が提供される。前記気密端子のパイプリードに外力を緩衝する応力緩和部を設け、前記応力緩和部は、主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性よりも低くすることにより、もしくは、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低くすることにより、パイプリードが端子台の熱膨張によって変形した場合において、パイプリードの変形を剛性もしくは耐力の低い脆弱部で受け止めて、パイプリードと端子台との接続部やパイプリードと金属容器とを絶縁封止する絶縁材まで変形の影響が波及しないようにする。本発明の気密端子は、パイプリードにあえて変形し易い剛性もしくは耐力の低い弱点部を設けることによって、変形部位を所望の範囲に限定または画定させ上述の接続部や封止部分に波及するのを防止して重要部分を保護する。
【0011】
本発明によれば、 通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器と前記パイプリードとを封着する絶縁材と、前記パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台とを備え、前記パイプリードは、外力を緩衝する応力緩和部を有し、前記応力緩和部は、主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性より低く、且つ、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低い気密端子が提供される。前記気密端子のパイプリードに外力を緩衝する応力緩和部を設け、前記応力緩和部は、主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性よりも低く、且つ、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低くすることにより、パイプリードが端子台の熱膨張によって変形した場合において、パイプリードの変形を剛性、且つ、耐力の低い脆弱部に生じさせ、パイプリードと端子台との接続部やパイプリードと金属容器とを絶縁封止する絶縁材まで変形の影響が波及しないようにする。本発明の気密端子は、パイプリードにあえて変形し易い剛性、且つ、耐力の低い弱点部を設けることによって、変形部位を所望の範囲に限定または画定させ上述の接続部や封止部分に波及するのを防止して重要部分を保護しつつ、保護に必要な変形部位を剛性と耐力の両方で調整する事で材料選定、もしくは、形状選定がしやすくなる。
【0012】
例えば、通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器とパイプリードとを封着する絶縁材と、パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台とを備え、前記パイプリードは、主部と前記主部より肉厚の薄い薄厚部からなる気密端子が提供される。前記気密端子のパイプリードに主部と前記主部より肉厚の薄い薄厚部とを設けることにより、パイプリードが端子台の熱膨張によって変形した場合において、パイプリードの変形を薄厚部で受け止めて、パイプリードと端子台との接続部やパイプリードと金属容器とを絶縁封止する絶縁材まで変形の影響が波及しないようにしている。すなわち、上記気密端子は、パイプリードにあえて変形し易い弱点部を設けることによって、変形部位を所望の範囲に限定または画定させ上述の接続部や封止部分に波及するのを防止して重要部分を保護する機能を有する。なお、前記端子台は、接点部材と一体に形成してあっても良い。
【0013】
本発明に係る気密端子において、前記パイプリードは、さらに段付き部を有してもよい。
【0014】
本発明に係る前記端子台は、銅、アルミニウムまたは銅系合金、アルミニウム系合金 から構成されてもよい。
【0015】
本発明に係る前記絶縁材は、ガラスまたはエポキシ樹脂 であってもよい。
【0016】
さらに、本発明によれば、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、その接点装置に外力を緩衝する応力緩和部を有する前記気密端子を用いた接点装置が提供される。すなわち、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、通孔を有する金属容器と、前記通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器と前記パイプリードとを封着する絶縁材と、前記パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台と、前記金属容器の開口部周縁を覆って密閉する蓋体と、この蓋体を貫通したシャフトに支持された可動接触子とを備え、前記パイプリードは、外力を緩衝する応力緩和部を有し、前記固定端子台は固定接点を有し、前記可動接触子は可動接点を有する接点装置が提供される。前記接点装置のパイプリードに応力緩和部を設けることにより、パイプリードにかかる応力等の外力を応力緩和部で受け止めて、パイプリードと端子台との接続部やパイプリードと金属容器とを絶縁封止する絶縁材まで変形の影響が波及しないようにする。本発明の接点装置は、パイプリードに応力緩和部を設けることによって、応力等の影響を所望の範囲に限定または画定させ上述の接続部や封止部分に波及するのを防止して重要部分を保護する機能を有する。なお、前記固定接点は、前記端子台と一体で形成してあっても良く、また、前記可動接点は、前記可動接触子と一体で形成してあっても良い。
【0017】
例えば、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、その接点装置のパイプリードに主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性より低い、もしくは、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低いことを特徴とする 応力緩和部を有する前記気密端子を用いた接点装置が提供される。すなわち、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、通孔を有する金属容器と、前記通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器と前記パイプリードとを封着する絶縁材と、前記パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台と、前記金属容器の開口部周縁を覆って密閉する蓋体と、この蓋体を貫通したシャフトに支持された可動接触子とを備え、前記パイプリードは、外力を緩衝する応力緩和部を有し、前記応力緩和部は、主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性より低い、もしくは、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低いことを特徴と し、前記固定端子台は固定接点を有し、前記可動接触子は可動接点を有する接点装置が提供される。
前記接点装置のパイプリードに外力を緩衝する応力緩和部を設け、前記応力緩和部は、主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性よりも低くすることにより、もしくは、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低くすることにより、パイプリードが端子台の熱膨張によって変形した場合において、パイプリードの変形を剛性もしくは耐力の低い脆弱部で受け止めて、パイプリードと端子台との接続部やパイプリードと金属容器とを絶縁封止する絶縁材まで変形の影響が波及しないようにする。本発明の接点装置は、パイプリードにあえて変形し易い剛性もしくは耐力の低い弱点部を設けることによって、変形部位を所望の範囲に限定または画定させ上述の接続部や封止部分に波及するのを防止して重要部分を保護する機能を有する。なお、前記固定接点は、前記端子台と一体で形成してあっても良く、また、前記可動接点は、前記可動接触子と一体で形成してあっても良い。
【0018】
例えば、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、その接点装置のパイプリードに主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性より低く、且つ、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低い、ことを特徴とする 応力緩和部を有する前記気密端子を用いた接点装置が提供される。すなわち、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、通孔を有する金属容器と、前記通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器と前記パイプリードとを封着する絶縁材と、前記パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台と、前記金属容器の開口部周縁を覆って密閉する蓋体と、この蓋体を貫通したシャフトに支持された可動接触子とを備え、前記パイプリードは、外力を緩衝する応力緩和部を有し、前記応力緩和部は、主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性より低く、且つ、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低い、ことを特徴とし、前記固定端子台は固定接点を有し、前記可動接触子は可動接点を有する接点装置が提供される。前記接点装置のパイプリードに外力を緩衝する応力緩和部を設け、前記応力緩和部は、主部と脆弱部を含み、前記脆弱部の剛性は、前記主部の剛性よりも低くすることにより、もしくは、前記脆弱部の耐力は、前記主部の耐力よりも低くすることにより、パイプリードが端子台の熱膨張によって変形した場合において、パイプリードの変形を剛性もしくは耐力の低い脆弱部で受け止めて、パイプリードと端子台との接続部やパイプリードと金属容器とを絶縁封止する絶縁材まで変形の影響が波及しないようにする。本発明の接点装置は、パイプリードにあえて変形し易い剛性もしくは耐力の低い弱点部を設けることによって、変形部位を所望の範囲に限定または画定させ上述の接続部や封止部分に波及するのを防止して重要部分を保護する機能を有する。なお、前記固定接点は、前記端子台と一体で形成してあっても良く、また、前記可動接点は、前記可動接触子と一体で形成してあっても良い。
【0019】
例えば、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、その接点装置に主部と前記主部より肉厚の薄い薄厚部とを有する前記気密端子を用いた接点装置が提供される。すなわち、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器とパイプリードとを封着する絶縁材と、パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台と、金属容器の開口部周縁を覆って密閉する蓋体と、この蓋体を貫通したシャフトに支持された可動接触子を備え、前記パイプリードは、主部と前記主部より肉厚の薄い薄厚部とを有し、前記端子台は固定接点を有し、前記可動接触子は可動接点を有する接点装置が提供される。前記接点装置のパイプリードに主部と前記主部より肉厚の薄い薄厚部とを設けることにより、パイプリードが端子台の熱膨張によって変形した場合において、パイプリードの変形を薄厚部で受け止めて、パイプリードと端子台との接続部やパイプリードと金属容器とを絶縁封止する絶縁材まで変形の影響が波及しないようにしている。すなわち、上記接点装置は、パイプリードにあえて変形し易い薄厚部を設けることによって、変形部位を所望の範囲に限定または画定させ上述の接続部や封止部分に波及するのを防止して重要部分を保護する機能を有する。なお、前記固定接点は、前記端子台と一体で形成してあっても良く、また、前記可動接点は、前記可動接触子と一体で形成してあっても良い。
【0020】
本発明に係る接点装置において、さらに前記パイプリードは、さらに段付き部を有し てもよい。
【0021】
本発明に係る接点装置において、さらに前記端子台は、銅、アルミニウムまたは銅系合金、アルミニウム系合金から 構成されてもよい。
【0022】
本発明に係る接点装置において、さらに前記絶縁体は、ガラスまたはエポキシ樹脂 であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態によれば、気密端子および接点装置の頑健性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る気密端子10を示し、(a)は平面図を、(b)は正面図および(a)のD-D線に沿って切断した部分断面図を、(c)は下面図を示す。なお、前記端子台は、前記固定接点と一体で形成してあっても良い。
図2】本発明に係る気密端子20を示し、(a)は平面図を、(b)は正面図および(a)のD-D線に沿って切断した部分断面図を、(c)は下面図を示す。なお、前記端子台は、前記固定接点と一体で形成してあっても良い。
図3】本発明に係る気密端子30を示し、(a)は平面図を、(b)は正面図および(a)のD-D線に沿って切断した部分断面図を、(c)は下面図を示す。なお、前記端子台は、前記固定接点と一体で形成してあっても良い。
図4】本発明に係る気密端子40を示し、(a)は平面図を、(b)は正面図および(a)のD-D線に沿って切断した部分断面図を、(c)は下面図を示す。なお、前記端子台は、前記固定接点と一体で形成してあっても良い。
図5】発明に係る接点装置50を示し、(a)は閉状態の正面断面図を示し、(b)は開状態の正面断面図を示す。なお、前記固定接点は、前記端子台と一体で形成してあっても良く、また、前記可動接点は、前記可動接触子と一体で形成してあっても良い。
図6】発明に係る接点装置60を示し、(a)は閉状態の正面断面図を示し、(b)は開状態の正面断面図を示す。なお、前記固定接点は、前記端子台と一体で形成してあっても良く、また、前記可動接点は、前記可動接触子と一体で形成してあっても良い。
図7】発明に係る接点装置70を示し、(a)は閉状態の正面断面図を示し、(b)は開状態の正面断面図を示す。なお、前記固定接点は、前記端子台と一体で形成してあっても良く、また、前記可動接点は、前記可動接触子と一体で形成してあっても良い。
図8】発明に係る接点装置80を示し、(a)は閉状態の正面断面図を示し、(b)は開状態の正面断面図を示す。なお、前記固定接点は、前記端子台と一体で形成してあっても良く、また、前記可動接点は、前記可動接触子と一体で形成してあっても良い。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の気密端子および、前記気密端子を用いた接点装置について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
本発明に係る気密端子10は、図1に示すように、通孔11を有する金属容器12と、この通孔11に挿通したパイプリード13と、金属容器12とパイプリード13とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材14と、パイプリード13を貫通しパイプリード13に固着した銀、銅、アルミニウムまたは銀系合金、銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台15とを備え、パイプリード13は、外力を緩衝する応力緩和部17を有する。パイプリード13に、応力緩和部17を設けることにより、パイプリード13が端子台15の熱膨張によって変形しても、パイプリード13にかかる応力等の外力を応力緩和部17で受け止めて、パイプリード13と端子台15との接続部18や、パイプリード13と金属容器12とを絶縁封止する絶縁材14まで応力等の影響が伝播するのを防ぐ。パイプリード13は、例えば、鉄または鉄系合金からなる主部16と、主部16より外力によって変形し易い剛性もしくは耐力またはその両方が低い材質、例えば、主部16と異なる銅、アルミ、錫、銀などの軟金属材またはそれらを含む軟合金から構成しても良い。またはパイプリード13は、金属材の主部16と、これを高周波焼鈍などで弱体化させた同一材からなる応力緩和部17とで構成しても良い。または、パイプリード13が軟金属材からなる場合は、上記焼鈍に替えて主部16を鍛造などで応力緩和部17より強化しても良い。
【0027】
本発明に係る気密端子20は、図2に示すように、通孔21を有する金属容器22と、この通孔21に挿通したパイプリード23と、金属容器22とパイプリード23とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材24と、パイプリード23を貫通しパイプリード23に固着した銀、銅、アルミニウムまたは銀系合金、銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台25とを備え、パイプリード23は、外力による変形に抗堪する主部26と前記主部よりも外力によって変形し易い剛性もしくは耐力またはその両方が低い脆弱部27とを有する。パイプリード13に、脆弱部27を設けることにより、パイプリード23が端子台25の熱膨張によって変形しても、パイプリード23にかかる応力等の外力を脆弱部27が変形することで応力緩和ながら受け止めることができ、パイプリード23と端子台25との接続部28や、パイプリード23と金属容器22とを絶縁封止する絶縁材24まで応力等の影響が伝播するのを防ぐ。
【0028】
上述の気密端子20は、図3に示す気密端子30のように変形できる。すなわち、通孔31を有する金属容器32と、この通孔31に挿通したパイプリード33と、金属容器32とパイプリード33とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材34と、パイプリード33を貫通しパイプリード33に固着した銀、銅、アルミニウムまたは銀系合金、銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台35とを備え、パイプリード33は、少なくとも主部36と前記主部より肉厚の薄い薄厚部37とを有する。パイプリード33に、主部36と前記主部より肉厚の薄い薄厚部37とを設けることにより、パイプリード33が端子台35の熱膨張によって変形しても、パイプリード33の変形を薄厚部37で受け止めて、パイプリード33と端子台35との接続部38や、パイプリード33と金属容器32とを絶縁封止する絶縁材34まで変形が伝播するのを防ぐ。
【0029】
また、気密端子20は、図4に示す気密端子40にも変形が可能である。すなわち、通孔41を有する金属容器42と、通孔41に挿通したパイプリード43と、金属容器42とパイプリード43とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材44と、パイプリード43を貫通しパイプリード43に固着した銀、銅、アルミニウムまたは銀系合金、銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台45とを備え、パイプリード43は、少なくとも主部46と前記主部より肉厚の薄い薄厚部47とを有する。パイプリード43に、主部46と前記主部より肉厚の薄い薄厚部47とを設けることにより、パイプリード43が端子台45の熱膨張によって変形しても、パイプリード43の変形を薄厚部47で受け止めて、パイプリード43と端子台45との接続部48や、パイプリード43と金属容器42とを絶縁封止する絶縁材44まで変形が伝播するのを防ぐ。気密端子40は、パイプリード43の薄厚部47の口径を主部46の口径より縮径して設けてあり、これにより、図4のように接続部48の接合面積をさらに広く取ることや、図8のように端子台85の側壁面のみと接合させたり、または図2のように端子台25のフランジ面のみと接合させたり、端子台の接合部位を状況に応じて選択することができる。
【0030】
本発明に係る気密端子のパイプリードは、図2に示す気密端子20および図3に示す気密端子30のように主部26,36と薄厚部27,37とを画定する段付き部29,39を設けてもよい。段付き部29,39により主部26,36と画定される薄厚部27,37によってパイプリード23,33に部分的に弱い個所を設ける。薄厚部27,37が変形することで熱膨張係数の大きい低抵抗金属の端子台25,35から受ける応力を開放させる。
【0031】
本発明に係る気密端子の金属容器は、金属製であればよく、特に限定されないが、例えば、鉄、ニッケル、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金製の金属容器が好適である。本発明に係る気密端子のパイプリードは、応力緩和部を構成できれば何れの材料を使用しても良く、金属、プラスチックまたはこれらを組み合わせた複合材を利用しても良い。あるいは、パイプリードの応力緩和部に金属またはプラスチックを用いて、これにさらに主部として、ガラス、セラミックスを組み合わせて複合材としても良い。なお、パイプリードの主部と応力緩和部は共に同一材料で構成しても良いし、主部と応力緩和部を異なる材料で構成しても良い。例えば、主部は鉄または鉄系合金からなり、応力緩和部は前記主部より外力によって変形し易い剛性もしくは耐力またはその両方が低い材質、例えば、主部と異なる銅、アルミ、錫、銀などの軟金属材またはそれらを含む軟合金から構成しても良い。またはパイプリードは、金属材の主部と、これを高周波焼鈍などで弱体化させた同一材からなる応力緩和部とで構成しても良い。または、パイプリードが軟金属材からなる場合は、主部を鍛造などで応力緩和部より強化しても良い。
【0032】
本発明に係る接点装置50は、図5に示すように、上述の気密端子10を利用した接点装置であって、電磁石装置500によって接点装置を開閉する電磁継電器において、少なくとも、通孔51を設けた金属容器52と、通孔51に挿通したパイプリード53と、パイプリード53と金属容器52とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材54と、パイプリード53を貫通しパイプリード53に固着した銀、銅、アルミニウムまたは銀系合金、銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台55と、金属容器52の開口部周縁を覆って密閉する蓋体520と、蓋体520を貫通したシャフト530に支持された可動接触子540とを備え、パイプリード53は、外力を緩衝する応力緩和部57を有し、端子台55は固定接点510を有し、可動接触子540は可動接点550を有する。接点装置50のパイプリード53に応力緩和部57を設けることにより、パイプリード53が端子台55の熱膨張によって変形しても、パイプリード53にかかる応力等の外力を応力緩和部57で受け止めて、パイプリード53と端子台55との接続部58や、パイプリード53と金属容器52とを絶縁封止する絶縁材54まで応力等の影響が伝播するのを防ぐ。
【0033】
本発明に係る接点装置60は、図6に示すように、上述の気密端子20を利用した接点装置であって、電磁石装置600によって接点装置を開閉する電磁継電器において、少なくとも、通孔61を設けた金属容器62と、通孔61に挿通したパイプリード63と、パイプリード63と金属容器62とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材64と、パイプリード63を貫通しパイプリード63に固着した銀、銅、アルミニウムまたは銀系合金、銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台65と、金属容器62の開口部周縁を覆って密閉する蓋体620と、蓋体620を貫通したシャフト630に支持された可動接触子640とを備え、パイプリード63は、外力による変形に抗堪する主部66と主部66よりも外力によって変形し易い剛性もしくは耐力またはその両方が低い脆弱部67とを有し、端子台65は固定接点610を有し、可動接触子640は可動接点650を有する。パイプリード63に、脆弱部67を設けることにより、パイプリード63が端子台65の熱膨張によって変形しても、パイプリード63にかかる応力等の外力を脆弱部67が変形することで応力緩和ながら受け止めることができ、パイプリード63と端子台65との接続部68や、パイプリード63と金属容器62とを絶縁封止する絶縁材64まで応力等の影響が伝播するのを防ぐ。
【0034】
上述の接点装置60は、図7に示す接点装置70のように変形できる。すなわち、電磁石装置700によって接点装置を開閉する電磁継電器において、少なくとも、通孔71を設けた金属容器72と、通孔71に挿通したパイプリード73と、パイプリード73と金属容器72とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材74と、パイプリード73を貫通しパイプリード73に固着した銀、銅、アルミニウムまたは銀系合金、銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台75と、金属容器72の開口部周縁を覆って密閉する蓋体720と、蓋体720を貫通したシャフト730に支持された可動接触子740とを備え、パイプリード73は、外力による変形に抗堪する主部76と主部76よりも外力によって変形し易い剛性もしくは耐力またはその両方が低い脆弱部77とを有し、端子台75は固定接点710を有し、可動接触子740は可動接点750を有する。接点装置70のパイプリード73に主部76と該当主部より肉厚の薄い薄厚部77とを設けることにより、パイプリード73が端子台75の熱膨張によって変形しても、パイプリード73の変形を薄厚部77で受け止めて、パイプリード73と端子台75との接続部78や、パイプリード73と金属容器72とを絶縁封止する絶縁材74まで変形が伝播するのを防ぐ。
【0035】
また、接点装置60は、図8に示す接点装置80のように変形できる。すなわち、電磁石装置800によって接点装置を開閉する電磁継電器において、少なくとも、通孔81を設けた金属容器82と、通孔81に挿通したパイプリード83と、パイプリード83と金属容器82とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材84と、パイプリード83を貫通しパイプリード83に固着した銀、銅、アルミニウムまたは銀系合金、銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台85と、金属容器82の開口部周縁を覆って密閉する蓋体820と、蓋体820を貫通したシャフト830に支持された可動接触子840とを備え、パイプリード83は、外力による変形に抗堪する主部86と主部86よりも外力によって変形し易い剛性もしくは耐力またはその両方が低い脆弱部87とを有し、端子台85は固定接点810を有し、可動接触子840は可動接点850を有する。接点装置80のパイプリード83に主部86と該当主部より肉厚の薄い薄厚部87とを設けることにより、パイプリード83が端子台85の熱膨張によって変形しても、パイプリード83の変形を薄厚部87で受け止めて、パイプリード83と端子台85との接続部88や、パイプリード83と金属容器82とを絶縁封止する絶縁材84まで変形が伝播するのを防ぐ。接点装置80は、パイプリード83の脆弱部87の口径を主部86の口径より縮径してあり、これにより、図4のように接続部48の接合面積をさらに広く取ることや、図8のように端子台85の側壁面のみと接合させたり、または図2のように端子台25のフランジ面のみと接合させたり、端子台の接合部位を状況に応じて選択することができる。
【0036】
本発明に係る接点装置のパイプリードは、図5に示す接点装置50および図6に示す接点装置60のように主部56,66と薄厚部57,67とを画定する段付き部59,69を設けてもよい。段付き部59,69により主部56,66と画定される薄厚部57,67によってパイプリード53,63に部分的に弱い個所を設ける。薄厚部57,67が変形することで熱膨張係数の大きい低抵抗金属の端子台55,65から受ける応力を開放させる。
【0037】
本発明に係る接点装置の金属容器は、金属製であればよく、特に限定されないが、例えば、鉄、ニッケル、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金製の金属容器が好適である。本発明に係る接点装置のパイプリードは、応力緩和部を構成できれば何れの材料を使用しても良く、金属、プラスチックまたはこれらを組み合わせた複合材を利用しても良い。あるいは、パイプリードの応力緩和部に金属またはプラスチックを用いて、これにさらに主部として、ガラス、セラミックスを組み合わせて複合材としても良い。なお、パイプリードの主部と応力緩和部は共に同一材料で構成しても良いし、主部と応力緩和部を異なる材料で構成しても良い。例えば、主部は鉄または鉄系合金からなり、応力緩和部は前記主部より外力によって変形し易い剛性もしくは耐力またはその両方が低い材質、例えば、主部と異なる銅、アルミ、錫、銀などの軟金属材またはそれらを含む軟合金から構成しても良い。またはパイプリードは、金属材の主部と、これを高周波焼鈍などで弱体化させた同一材からなる応力緩和部とで構成しても良い。または、パイプリードが軟金属材からなる場合は、主部を鍛造などで応力緩和部より強化しても良い。本発明に係る接点装置の蓋体は、前記金属容器の底部開口端を密閉できればよく、特に限定されないが、例えば、金属、プラスチック、ガラス、セラミックスまたはこれらを組み合わせた複合材を利用しても良い。
【0038】
本発明に係る接点装置は、さらに必要に応じて金属容器および蓋体の内壁面に、耐熱性や絶縁性を強化する目的で耐熱絶縁材を装着または耐熱絶縁材のライニングを設けてもよい。
【実施例
【0039】
本発明に係る実施例1の気密端子10は、図1に示すように、通孔11を有する鉄製の金属容器12と、通孔11に挿通したFe-Ni合金からなるパイプリード13と、金属容器12とパイプリード13とを気密に封着するソーダバリウムガラスの絶縁材14と、パイプリード13を貫通しパイプリード13に気密に固着した銅合金からなる端子台15とを備え、パイプリード13は、筒状に形成されており、パイプリード13の脆弱部17は、主部16よりも剛性の低い材料で一体となっている。
【0040】
気密端子10の主部16および脆弱部17は、別々の材料で構成し所望の工程で固着させて一体としても良く、この場合は、絶縁材14との接合条件(例えばガラス封着温度など)の影響を考慮すること無くパイプリード13の構成を選択することができ、材料選定の自由度が増加する。また、脆弱部17は、主部16と同一部材で形成し、熱処理(例えば焼鈍など)によって形成するか、あるいは主部16を鍛造などによって脆弱部17より強化して形成しても良く、その場合は、主部16および脆弱部17は、同一部材で形成できるため、部品点数の低減ができ管理の手間が省ける。パイプリード13に、主部16と主部16よりも剛性の低い材料からなる脆弱部17とを設けることにより、パイプリード13が端子台15の熱膨張によって変形しても、パイプリード13の変形を脆弱部17で受け止めて、パイプリード13と金属容器12とを絶縁封止する絶縁材14まで変形が伝播するのを防ぐ。
【0041】
本発明に係る実施例2の気密端子20は、図2に示すように、通孔21を有する42アロイ(42%Ni-Fe合金)製の金属容器22と、通孔21に挿通したコバール合金(29%Ni-17%Co-Fe合金)からなるパイプリード23と、金属容器22とパイプリード23とを気密に封着するホウ珪酸ガラスの絶縁材24と、パイプリード23を貫通しパイプリード23に気密に固着した銅合金からなる端子台25とを備え、パイプリード23は、外端部を薄厚に設けあり、主部26と、前記主部より肉厚の薄い薄厚部27と、主部26と薄厚部27とを画定する段付き部29とを有する。薄厚部27は、主部26よりも剛性の低い脆弱部を構成する。
【0042】
気密端子20は、絶縁材24との接合条件に影響されること無くパイプリード23を構成することができ、材料選定の自由度が増加する。また、脆弱部を薄厚部27で構成することで、肉厚形状によって剛性が調節できるため、材料選定の自由度は増す。薄厚部27は、主部26と同一部材で形成し、機械加工によって主部26よりも薄肉になるように形成しても良く、部品点数の低減ができ管理の手間が省ける。
【0043】
実施例2は、図3に示す実施例3の気密端子30のように変形することができる。すなわち、通孔31を有する鉄製の金属容器32と、通孔31に挿通したFe-Ni合金からなるパイプリード33と、金属容器32とパイプリード33とを気密に封着するソーダバリウムガラスの絶縁材34と、パイプリード33を貫通し、パイプリード33に気密に固着した銅合金からなる端子台35とを備え、パイプリード33は、主部36と、前記主部より肉厚の薄い薄厚部37と、主部36と薄厚部37とを画定する2つの段付き部39とを有する。実施例3の気密端子30のパイプリード33は、さらにパイプリード33の上端にも段付き部39を設けることにより、接続部38が幅広く取れ接続の信頼性が増す。
【0044】
また、実施例2は、図4に示す実施例4の気密端子40のように変形することができる。すなわち、通孔41を有する42アロイ製の金属容器42と、通孔41に挿通したコバール合金からなるパイプリード43と、金属容器42とパイプリード43とを気密に封着するホウ珪酸ガラスの絶縁材44と、パイプリード43を貫通し、パイプリード43に気密に固着した銅合金からなる端子台45とを備え、パイプリード43は、主部46と、前記主部より肉厚の薄い薄厚部47とを有する。気密端子40は、パイプリード43の薄厚部47の口径を主部46の口径より縮径して設けてあり、これにより、接続部48の接合面積を端子台45の側壁面と頭部のフランジ面とに接合させて、接合面積をさらに広く取ることができる。
【0045】
図1ないし図4に示した実施例1から4の気密端子は、それぞれ図5ないし図8に示す接点装置の気密端子に利用できる。
【0046】
本発明に係る実施例5の接点装置50は、図5に示すように、電磁石装置500によって接点装置を開閉する電磁継電器において、通孔51を設けた炭素鋼の金属容器52と、通孔51に挿通したFe-Ni合金からなるパイプリード53と、パイプリード53と金属容器52とを気密に封着するソーダバリウムガラスの絶縁材54と、パイプリード53を貫通しパイプリード53に気密に固着した銅合金からなる端子台55と、端子台55に支持された固定接点510と、金属容器52の開口部周縁を覆って密閉するFe-Ni合金製の蓋体520と、蓋体320を貫通しかつバネによる弾発力が発揮できるように取付けられたシャフト530に支持された可動接触子540と、可動接触子540に設けられた可動接点550を備え、パイプリード53は、外力に抗堪する主部56と、前記主部の端子台55側の端部を高周波加熱により焼鈍させて設けた前記主部より脆弱な応力緩和部57とを有する。接点装置50のパイプリード53に、主部56と前記主部よりより脆弱な応力緩和部57とを設けることにより、パイプリード53が端子台55の熱膨張によって変形しても、パイプリード53の変形を応力緩和部57で受け止めて、パイプリード53と金属容器52とを絶縁封止する絶縁材54まで変形が伝播するのを防ぐ。
【0047】
本発明に係る実施例6の接点装置60は、図6に示すように、電磁石装置600によって接点装置を開閉する電磁継電器において、通孔61を設けた42アロイ製の金属容器62と、通孔61に挿通したコバール合金からなるパイプリード63と、パイプリード63と金属容器62とを気密に封着するホウ珪酸ガラスの絶縁材64と、パイプリード63を貫通しパイプリード63に気密に固着した銅合金からなる端子台65と、端子台65に支持された固定接点610と、金属容器62の開口部周縁を覆って密閉する炭素鋼製の蓋体620と、蓋体620を貫通しかつバネによる弾発力が発揮できるように取付けられたシャフト630に支持された可動接触子640と、可動接触子640に設けられた可動接点650を備え、パイプリード63は、主部66と、前記主部より肉厚の薄い薄厚部67と、主部66と薄厚部67とを画定する段付き部69とを有する。接点装置60のパイプリード63に主部66と前記主部より肉厚の薄い薄厚部67とを設けることにより、パイプリード63が端子台65の熱膨張によって変形しても、パイプリード63の変形を薄厚部67で受け止めて、パイプリード63と金属容器62とを絶縁封止する絶縁材64まで変形が伝播するのを防ぐ。
【0048】
実施例6は、図7に示す実施例7の接点装置70に変形できる。すなわち、通孔71を有する鉄製の金属容器72と、通孔71に挿通したFe-Ni合金からなるパイプリード73と、金属容器72とパイプリード73とを気密に封着するソーダバリウムガラスの絶縁材74と、パイプリード73を貫通し、パイプリード73に気密に固着した銅合金からなる端子台75と、端子台75に支持された固定接点710と、金属容器72の開口部周縁を覆って密閉する炭素鋼製の蓋体720と、蓋体720を貫通しかつバネによる弾発力が発揮できるように取付けられたシャフト730に支持された可動接触子740と、可動接触子740に設けられた可動接点750を備え、パイプリード73は、主部76と、前記主部より肉厚の薄い薄厚部77と、主部76と薄厚部77とを画定する2つの段付き部79とを有する。実施例7のパイプリード73は、さらにパイプリード73の上端にも段付き部79を設けることにより、接続部78が幅広く取れ接続の信頼性が増す。
【0049】
また、実施例6は、図8に示す実施例8の接点装置80に変形できる。すなわち、通孔81を有する42アロイ製の金属容器82と、通孔81に挿通したコバール合金からなるパイプリード83と、金属容器82とパイプリード83とを気密に封着するホウ珪酸ガラスの絶縁材84と、パイプリード83を貫通し、パイプリード83に気密に固着した銅合金からなる端子台85と、端子台85に支持された固定接点810と、金属容器82の開口部周縁を覆って密閉する42アロイ製の蓋体820と、蓋体820を貫通しかつバネによる弾発力が発揮できるように取付けられたシャフト830に支持された可動接触子840と、可動接触子840に設けられた可動接点850を備え、パイプリード83は、主部86と、前記主部より肉厚の薄い薄厚部87とを有する。実施例6の接点装置80は、パイプリード83の薄厚部87の口径を主部86の口径より縮径して設けてあり、これにより、接続部88を端子台85の側壁面のみに接合させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、HEVやEV等の車載用システムメインリレー装置に搭載される気密端子を含む気密端子全般およびHEVやEV等に搭載されるシステムメインリレーを含むリレー装置全般に利用できる。
【符号の説明】
【0051】
気密端子10、通孔11、金属容器12、パイプリード13、絶縁材14、端子台15、主部16、応力緩和部17、接続部18、気密端子20、通孔21、金属容器22、パイプリード23、絶縁材24、端子台25、主部26、脆弱部27、接続部28、段付き部29、気密端子30、通孔31、金属容器32、パイプリード33、絶縁材34、端子台35、主部36、薄厚部37、接続部38、段付き部39、気密端子40、通孔41、金属容器42、パイプリード43、絶縁材44、端子台45、主部46、薄厚部47、接続部48、接点装置50、通孔51、金属容器52、パイプリード53、絶縁材54、端子台55、主部56、応力緩和部57、接続部58、電磁石装置500、固定接点510、蓋体520、シャフト530、可動接触子540、可動接点550、接点装置60、通孔61、金属容器62、パイプリード63、絶縁材64、端子台65、主部66、脆弱部(薄厚部)67、接続部68、段付き部69、電磁石装置600、固定接点610、蓋体620、シャフト630、可動接触子640、可動接点650、接点装置70、通孔71、金属容器72、パイプリード73、絶縁材74、端子台75、主部76、脆弱部(薄厚部)77、接続部78、段付き部79、電磁石装置700、固定接点710、蓋体720、シャフト730、可動接触子740、可動接点750、接点装置80、通孔81、金属容器82、パイプリード83、絶縁材84、端子台85、主部86、脆弱部(薄厚部)87、薄厚部87、接続部88、電磁石装置800、固定接点810、蓋体820、シャフト830、可動接触子840、可動接点850。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8