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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】アンモニア含有水の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/72 20060101AFI20221107BHJP
   B01J 21/16 20060101ALI20221107BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20221107BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20221107BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20221107BHJP
   C02F 1/58 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
C02F1/72 B
B01J21/16 M
B01J37/04 102
B01J37/08
B01J3/00 A
C02F1/58 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018184219
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020049472
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】三宅 彩香
(72)【発明者】
【氏名】柳谷 昌平
(72)【発明者】
【氏名】神谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 章
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-008974(JP,A)
【文献】特開2017-164671(JP,A)
【文献】特開平08-192191(JP,A)
【文献】特開2003-326283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/70- 1/78
C02F 1/58- 1/64
B01J 3/00
B01J21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
γ-アルミナ及びアルミノシリケートを含有し、活性成分を含まないアンモニア含有水処理材、過酸化水素及びアンモニア含有水を混合することを含む、アンモニア含有水の処理方法であって、前記アルミノシリケートは蛙目粘土を焼成して得られ、前記アンモニア含有水のアンモニアの濃度が10,000mg/L~100,000mg/Lである、処理方法
【請求項2】
前記アンモニア含有水を、圧力0.1MPa~8.6MPa、かつ温度100℃~300℃の条件下で処理することを含む、請求項1に記載のアンモニア含有水の処理方法。
【請求項3】
前記アンモニア含有水処理材は、γ-アルミナを与える化合物と蛙目粘土を混練し、焼成して得られる、請求項1又は2に記載のアンモニア含有水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア含有水の処理方法に関する。より具体的には、化学工場排水や半導体工場排水などのアンモニア含有水中のアンモニアを効率的に、かつ低コストで酸化分解する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、排水中に存在するアンモニアや有機化合物を除去する手法として、低濃度の場合では硝化脱窒法などの生物処理法、高濃度の場合では化学処理法が用いられている。
化学処理法の一つである触媒湿式酸化法は、高温高圧条件下で触媒と接触させることにより、連続的に大量の排水を処理することが可能であり、半導体洗浄工程で発生するアンモニア含有排水の処理などに用いられている(例えば、特許文献1、2)。
触媒湿式酸化法に用いられる触媒としては、ハニカム状や球状、ラッシヒリング状などに成型された触媒担体に活性成分(白金及びロジウム、パラジウム等の金属)を担持したものが用いられる。そのため、高温高圧条件下で、高濃度のアンモニア含有排水と連続的に接触するため、高い耐久性が要求される。
【0003】
しかしながら、上記触媒は、長期間連続して使用すると、担持された活性成分が脱落して流出し、処理能力が低下することがある。本発明者らは、このような問題を解決する手段として、γ-アルミナと、アルミノシリケート及び/又はカルシウムアルミノシリケートとを含み、前記γ-アルミナの含有量が10質量%~60質量%であることを特徴とする触媒担体を提供した(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-140864号公報
【文献】特開2003-13077号公報
【文献】特開2017-164671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、先行技術に使用される触媒湿式酸化法は、いずれも、ルテニウム、パラジウム、白金などの活性成分を触媒として使用している。このような、活性成分は長期間使用されていると触媒担体から脱落して流出し処理能力の低下が懸念される。
さらに、これらの活性成分は高価であるため、アンモニア含有水の処理費用を削減するためにもこれらの活性成分の使用量を抑えることも重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、さらに研究を進めた結果、γ-アルミナ又はθ-アルミナから選択されるアルミナ及びアルミノシリケートを含有する組成物がアンモニア分解能を有することを見出し、さらに、これと過酸化水素を組み合わせて使用することで、効率よくアンモニア排水中のアンモニアを処理することを見出した。本発明はこのような知見に基づく。
【0007】
具体的に本発明は以下の通りである。
(1)γ-アルミナ及びアルミノシリケートを含有し、活性成分を含まないアンモニア含有水処理材、過酸化水素及びアンモニア含有水を混合することを含む、アンモニア含有水の処理方法であって、前記アルミノシリケートは蛙目粘土を焼成して得られ、前記アンモニア含有水のアンモニアの濃度が10,000mg/L~100,000mg/Lである、処理方法、
)前記アンモニア含有水を、圧力0.1MPa~8.6MPa、かつ温度100℃~300℃の条件下で処理することを含む、(1)のアンモニア含有水の処理方法、及び、
)前記アンモニア含有水処理材は、γ-アルミナを与える化合物と蛙目粘土を混練し、焼成して得られる、(1)又は(2)のアンモニア含有水の処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、活性成分として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金等の金属をアンモニア分解のための使用する必要がなく、アンモニア排水を処理するためのコストを低減することができる。また、本発明では、処理するアンモニア含有水のpH調整を行う必要がないため、作業性もよい。さらに、高濃度のアンモニアを含有する排水を処理することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で使用するアンモニア含有水処理材は、γ-アルミナ又はθ-アルミナから選択されるアルミナ及びアルミノシリケートを含む。
【0010】
γ-アルミナ又はθ-アルミナから選択されるアルミナは、本発明で使用されるアンモニア含有水処理材の比表面積を高めるのに必要な成分である。γ-アルミナは、スピネル型の結晶構造を有しており、θ-アルミナ単斜晶系の結晶構造を有している。本発明で使用されるアンモニア含有水処理材の高い比表面積を確保できるため、また、高いアンモニア分解能が得られることから、γ-アルミナを使用することが好ましい。
【0011】
前記アンモニア含有水処理材の前記アルミナの含有量が少なすぎると、当該処理材の比表面積を十分に高めることができない。一方、当該処理剤中の前記アルミナの含有量が多すぎると、当該処理剤の強度が低下する。これらの理由から、本発明のアンモニア含有水処理材におけるアルミナの含有量は、30質量%~70質量%、好ましくは、35質量%~65質量%、より好ましくは40質量%~60質量%である。
【0012】
アルミノシリケートは、Al(アルミナ)とSiO(シリカ)とからなる複合酸化物(二元酸化物)である。アルミノシリケートとしては、特に限定されないが、例えば、Al・2SiO、Al・4SiOなどが挙げられる。本発明で使用されるアンモニア含有水処理材に含有されるアルミノシリケートは、単一の種類であっても、2種以上の混合物であってもよい。これらは、γ-アルミナの焼結促進及びアンモニア水による水和抑制に必要な成分である
【0013】
本発明で使用するアンモニア含有水処理材は、さらにシリカを含み得る。シリカは、二酸化ケイ素(SiO)であり、原料であるケイ酸塩水和物中に含まれている石英、焼成により生成するクリストバライトやシリカとアルカリ成分と反応したガラス状のシリカなどが挙げられる。これらのシリカは、アンモニア含有水処理材中に1種以上に含有される。
【0014】
本発明で使用するアンモニア含有水処理材におけるアルミノシリケートの含有量は、特に限定されず、アルミナの量に応じて適宜調整すればよい。例えば、アンモニア含有水処理材中のアルミナの含有量を30質量%~70質量%にする場合、アンモニア含有水処理材中のアルミノシリケートの含有量(シリカを含む場合はシリカとの合計量)を70質量%~30質量%にすればよい。
【0015】
本発明で使用するアンモニア含有水処理材は、当該技術分野において公知の様々な形状とすることができる。本発明で使用するアンモニア含有水処理材の形状としては、特に限定されないが、球状、ペレット状、円柱状、直方体状、筒状、破砕片状、ハニカム状、粉末状などが挙げられる。
【0016】
本発明で使用する過酸化水素としては、市販の過酸化水素水を利用することができる。
例えば、市販の過酸化水素水は過酸化水素として30%~35.5%含むものを使用する。
その使用量は、例えば、34.5%の過酸化水素を含む過酸化水素水を本発明で使用する場合、本発明のアンモニア含有水処理材1.0gに対して、通常、0.1g~5.0gで使用することができ、好ましくは、0.5g~2.0gで使用する。
【0017】
本発明では、任意の濃度のアンモニア含有水のアンモニアを分解することができるが、特に、高濃度のアンモニア、例えば、10,000mg/L(1%)~100,000mg/L(10%)、好ましくは、10,000mg/L(1%)~70,000mg/L(7%)、更に好ましくは、15,000mg/L(1.5%)~50,000mg/L(5%)のアンモニア濃度を有するアンモニア含有水を処理することができる。
従来のアンモニア含有水の処理条件は、アンモニア含有水のpHが中性付近(若干のアルカリ性側でも可)、濃度10mg/L~5,000mg/Lであり、この点からも本発明は有用であると言える。
【0018】
本発明では、例えば、濃度2.8%のアンモニア水30gを処理する場合、本発明で使用するアンモニア含有水処理材を通常、0.1g~15g使用し、好ましくは、0.5g~15g使用し、より好ましくは、0.5g~7.5gで使用できる。0.1g未満であると、アンモニアを十分に分解することができず、一方、16g以上であると、その添加量に見合う効果を期待することができない。
【0019】
本発明で使用するアンモニア含有水処理材は、γ-アルミナ又はθアルミナを与える化合物と、ケイ酸塩水和物を混練して混練物を得る工程と、前記混練物を成形した後、該成形物を900℃~1200℃の温度で焼成する工程を含む製造方法により製造される。
【0020】
本明細書において「γ-アルミナを与える化合物」とは、γ-アルミナ、又は焼成によってγ-アルミナを生成する化合物のことを意味する。焼成によってγ-アルミナを生成する化合物としては、特に限定されないが、ギブサイト、ダイアスポア、ベーマイトなどの水酸化物、硝酸アルミニウムなどの硝酸塩、塩化アルミニウムなどの塩化物などが挙げられる。γ-アルミナを与える化合物は、単一又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、「θ-アルミナを与える化合物」とは、θ-アルミナ、又は焼成によってθ-アルミナを生成する化合物のことを意味する。焼成によってθ-アルミナを生成する化合物としては、特に限定されないが、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0021】
本発明のアンモニア含有水処理材を製造するための材料として、ケイ酸塩水和物を使用する。このケイ酸塩水和物が焼成されて、本発明のアンモニア含有水処理材にアルミノシリケートを提供する。ケイ酸塩水和物としては、特に限定されないが、カオリン(カオリナイト)、ハロイサイト、パイロフィライト、イモゴライト、アロフェンなどが挙げられる。なお、これらのケイ酸塩水和物を含有する蛙目粘土、木節粘土、信楽土などの陶土を原料として用いてもよい。これらは、単一又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、高いアンモニア分解能を示すことから、蛙目粘土を用いることが好ましい。
【0022】
上記の原料を混練して混練物を得る場合、混練性及びその後の成形性を確保する観点から、水、1,3-ブタンジオールなどの溶剤を混練物に配合してもよい。混練方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の混練機などを用いて行なえばよい。
【0023】
原料の配合割合としては、アンモニア含有水処理材中のγ-アルミナの含有量を30質量%~70質量%、好ましくは、35質量%~65質量%、より好ましくは40質量%~60質量%とするために、混練物の固形分中のγ-アルミナ又はθ-アルミナを与える化合物の含有量を30質量%~70質量%、好ましくは、35質量%~65質量%、より好ましくは40質量%~60質量%に設定する。
【0024】
一方、混練物の固形分中のケイ酸塩水和物の含有量は、一般に30質量%~70質量%、好ましくは35質量%~65質量%、より好ましくは、40質量%~60質量%である。なお、ケイ酸塩水和物が、蛙目粘土などの陶土を用いる場合も、混練物の固形分中の含有量は上記規定と同様である。
【0025】
混練物の成形方法としては、特に限定されず、作製するアンモニア含有水処理材の形状に応じて適切な方法を選択すればよい。例えば、混練物を球状の成形体に成形する場合、造粒機などを用いて成形すればよい。また、混練物を円柱状、直方体状、筒状、ハニカム状などの成形体に成形する場合、押出成形機などを用いて成形すればよい。
【0026】
混練物を成形した後、成形体を直ぐに焼成してもよいが、クラックなどの発生を防止する観点から、必要に応じて焼成前に乾燥を行ってもよい。
【0027】
成形物の焼成は、900℃~1200℃の温度で行う。このような温度範囲で焼成を行うことにより、強度を高めつつ、γ-アルミナ又はθ-アルミナの比表面積を維持したアンモニア含有水処理材を得ることが可能になる。焼成温度が900℃未満であると、アンモニア含有水処理材の強度が低下し、形状が崩れ易い。一方、焼成温度が1200℃を超えると、γ-アルミナが相転移してコランダム構造のα-アルミナとなり、アルミナの焼結が進行するため、アンモニア含有水処理材の比表面積が低下してしまう。
焼成方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の焼成装置を用いて行うことができる。焼成装置としては、バッチ炉、トンネル窯、ロータリーキルンなどを用いることができる。
【0028】
上記の製造方法で得られたアンモニア含有水処理材と過酸化水素をアンモニア含有水と混合することでアンモニア含有水中のアンモニアを酸化分解する。
具体的に、一実施態様において、加熱手段及び加圧手段を備えるアンモニア含有水処理槽を含む装置を用いて、当該アンモニア水処理槽にアンモニア含有水を導入し、アンモニア含有水処理材及び過酸化水素を添加し、適宜、加熱及び加圧して、アンモニアを酸化分解する。
また、別の実施態様において、カラムに本発明で使用するアンモニア含有水処理材を充填し、これに、過酸化水素を添加したアンモニア含有水を、必要に応じて、加熱及び加圧条件下で通過させることにより、アンモニアを酸化分解する。
【0029】
本発明のアンモニア含有水を加圧条件下で処理する場合、その圧力は、通常、0.1MPa~8.6MPa、好ましくは0.1MPa~4MPa、更に好ましくは、0.2MPa~1.6MPaである。この圧力は、従来のアンモニア含有水のアンモニアを酸化分解する圧力よりも低い圧力である。
本発明のアンモニア含有水を加熱条件下で処理する場合、その温度は、通常、100℃~300℃、好ましくは100℃~250℃、更に好ましくは、120℃~200℃である。この温度は、従来のアンモニア含有水のアンモニアを酸化分解する温度よりも低い温度である。
【実施例
【0030】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
【0031】
〈試験1〉
以下の実施例及び比較例では、次の原料を用いた。
(1)原料
・アルミナ:γ-アルミナ C20(日本軽金属株式会社製)
・ケイ酸塩水和物:蛙目粘土(河鈴窯業合資会社製)
・アンモニア水:2.8%アンモニア水(28%アンモニア水(特級)を10倍希釈したもの)(関東化学株式会社製)
・過酸化水素水:34.5%過酸化水素水(和光純薬工業株式会社製)
【0032】
原料として用いた蛙目粘土の化学組成を表1に示す。化学組成はRIGAKU社製 走査型蛍光X線分析装置により酸化物換算で測定し後、「JIS R 5202:セメントの化学分析方法」に準じて測定した強熱減量により補正した。
【0033】
【表1】
【0034】
(2)製造方法
アルミナ(アルミナは粉砕品を使用)及びケイ酸塩水和物を表2の配合表に示す所定量計量して、乳鉢中で混合したものに、水を加えて混練し、ラッシヒリング状(高さ8.7mm、直径8.9mm)に成型した。これを150℃で12時間乾燥し、1000℃で10時間焼成を行ってアンモニア含有水処理材を得た。アンモニア含有水処理材の形状をラッシヒリング状とする。
ラッシヒリング状のアンモニア含有水処理材を乳鉢で粉砕したものを、アンモニア含有水処理材の形状を粉砕品とする。
【0035】
【表2】
【0036】
(3)評価
アンモニア分解試験を以下のように行った。
三愛科学株式会社製の高圧分解反応容器100mL中で、アンモニア含有水処理材(乳鉢で粉砕したもの又はラッシヒリング状)0~15g、2.8%アンモニア水30g及び過酸化水素水0.5~2gを混合して密閉した後、150℃に設定した乾燥機に投入して、アンモニア分解試験を行った。アンモニア分解条件は0.5MPa、150℃で1時間とし、アンモニア分解試験終了後、反応容器を乾燥機から取り出して20℃になるまで放冷した。冷却後、反応容器から反応液とアンモニア含有水処理材を取り出した。
反応液はアンモニア濃度を測定して、アンモニア分解率を評価した。アンモニア分解率は、(アンモニア分解試験前濃度-アンモニア分解試験後濃度)/アンモニア分解試験前濃度×100(%)で算出した。また、アンモニア分解試験後の試料については、105℃で乾燥後、鉱物組成の測定を行った。
【0037】
上記で行ったアンモニア分解試験についてアンモニア分解率を評価した。
アンモニア濃度は、イオンメーター測定範囲であるpH4~7.5に調整して、Vernier社製 LABQEST2にアンモニアイオン選択電極を接続した装置を用いて測定した。
試験後のアルミナの種類について、リガク社製 Ultima III X線回折装置を用いて測定した。
【0038】
【表3】
【0039】
アルミナ50質量%及びケイ酸塩水和物50質量%、アルミナ60質量%及びケイ酸塩水和物40質量%を所定量計量して、同様にアンモニア含有水処理材を製造し、評価を行った。
アルミナ50質量%及びケイ酸塩水和物50質量%により得られたアンモニア含有水処理材(No.13)、アルミナ60質量%及びケイ酸塩水和物40質量%により得られたアンモニア含有水処理材(No.14)の結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
アルミナとケイ酸塩水和物含有粘土である蛙目粘土を焼成して得られたアルミナとアルミノシリケートを含むアンモニア含有水処理材と過酸化水素水を添加した処理(No.3~10、13、14)は、過酸化水素水のみ(No.1)、アンモニア含有水処理材のみ(No.2)に比べて、アンモニア分解率が高く、効率の高いアンモニア処理方法であることがわかった。
アルミナのみのアンモニア含有水処理材(No.11)は、アンモニア分解率が51%と本発明の処理方法と同等の分解率であった。しかし、アンモニア分解試験により、アルミナが水和して、ベーマイトとなり、アンモニア含有水処理材として繰り返し使用することはできないことがわかった。
アルミノシリケートのみのアンモニア含有水処理材(No.12)のアンモニア分解率は、本発明例より41%と低く、十分なアンモニア分解率が得られなかった。