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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
A63F5/04 620
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018244396
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020103520
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100135666
【弁理士】
【氏名又は名称】原 弘晃
(74)【代理人】
【識別番号】100131680
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 健一
(72)【発明者】
【氏名】古橋 直樹
【審査官】金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-106654(JP,A)
【文献】特開2017-217130(JP,A)
【文献】特開2016-193129(JP,A)
【文献】特開2016-101201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
特定小役、特定ボーナス、およびシフト役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
前記特定ボーナスを抽選対象とした内部抽選が行われる第1遊技状態と、前記特定ボーナスの入賞により移行する第2遊技状態とを設定可能とし、第2遊技状態において、前記シフト役を抽選対象とした内部抽選が行われ、前記シフト役が当選すると当該シフト役が入賞するまで当該シフト役が当選した状態が維持される役物非作動状態と、前記シフト役の入賞により移行する役物作動状態とを設定可能とし、第2遊技状態の終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物作動状態との間で遷移可能とする遊技状態移行制御手段と、
通常区間と有利区間とを設定可能とし、有利区間である場合に限って補助遊技を実行可能とする特典付与手段と、
前記補助遊技において前記特定小役の入賞を補助する入賞補助演出を実行する演出制御手段と、
を備え、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示された場合に役が入賞し、前記特定小役が入賞した場合に遊技価値が払い出される遊技機であって、
前記内部抽選手段が、
前記役物非作動状態では、複数種類の前記特定小役が互いに重複せずに当選する複数種類の第1当選態様が存在し、前記役物作動状態では、前記特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、前記役物作動状態において抽選結果が第2当選態様となる確率が、前記役物非作動状態において抽選結果が複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、
前記リール制御手段が、
前記役物非作動状態では、前記シフト役が当選すると、停止操作の態様に応じて当該シフト役の入賞回避が可能であって、当該シフト役が入賞するまでの遊技において前記第1当選態様を得た場合に当該役物非作動状態において当該シフト役が当選していない状況よりも前記特定小役の入賞率が上がるように回転中のリールを停止させる制御の変更を行い、
前記特典付与手段が、
前記有利区間において前記補助遊技を行う権利を付与するか否かを決定する特定処理を行い、前記役物作動状態では前記役物非作動状態よりも有利な条件で当該特定処理を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
特定小役、特定ボーナス、およびシフト役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
前記特定ボーナスを抽選対象とした内部抽選が行われる第1遊技状態と、前記特定ボーナスの入賞により移行する第2遊技状態とを設定可能とし、第2遊技状態において、前記シフト役を抽選対象とした内部抽選が行われ、前記シフト役が当選すると当該シフト役が入賞するまで当該シフト役が当選した状態が維持される役物非作動状態と、前記シフト役の入賞により移行する役物作動状態とを設定可能とし、第2遊技状態の終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物作動状態との間で遷移可能とする遊技状態移行制御手段と、
通常区間と有利区間とを設定可能とし、有利区間である場合に限って補助遊技を実行可能とする特典付与手段と、
前記補助遊技において前記特定小役の入賞を補助する入賞補助演出を実行する演出制御手段と、
を備え、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示された場合に役が入賞し、前記特定小役が入賞した場合に遊技価値が払い出される遊技機であって、
前記内部抽選手段が、
前記役物非作動状態では、複数種類の前記特定小役が互いに重複せずに当選する複数種類の第1当選態様が存在し、前記役物作動状態では、前記特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、前記役物作動状態において抽選結果が第2当選態様となる確率が、前記役物非作動状態において抽選結果が複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、
前記リール制御手段が、
前記役物非作動状態では、前記シフト役が当選すると、停止操作の態様に応じて当該シフト役の入賞回避が可能であって、当該シフト役が入賞するまでの遊技において前記第1当選態様を得た場合に当該役物非作動状態において当該シフト役が当選していない状況よりも前記特定小役の入賞率が上がるように回転中のリールを停止させる制御の変更を行い、
前記特典付与手段が、
前記有利区間において前記補助遊技を行う権利を付与するか否かを決定する特定処理を行い、前記第2遊技状態では前記役物作動状態に滞在している場合に限って当該特定処理を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第2遊技状態で前記補助遊技を行う場合に、前記役物非作動状態では前記役物作動状態よりも遊技価値の獲得性能が高いことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
特定小役、特定ボーナス、およびシフト役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
前記特定ボーナスを抽選対象とした内部抽選が行われる第1遊技状態と、前記特定ボーナスの入賞により移行する第2遊技状態とを設定可能とし、第2遊技状態において、前記シフト役を抽選対象とした内部抽選が行われ、前記シフト役が当選すると当該シフト役が入賞するまで当該シフト役が当選した状態が維持される役物非作動状態と、前記シフト役の入賞により移行する役物作動状態とを設定可能とし、第2遊技状態の終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物作動状態との間で遷移可能とする遊技状態移行制御手段と、
通常区間と有利区間とを設定可能とし、有利区間である場合に限って補助遊技を実行可能とする特典付与手段と、
前記補助遊技において前記特定小役の入賞を補助する入賞補助演出を実行する演出制御手段と、
を備え、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示された場合に役が入賞し、前記特定小役が入賞した場合に遊技価値が払い出される遊技機であって、
前記内部抽選手段が、
前記役物非作動状態では、複数種類の前記特定小役が互いに重複せずに当選する複数種類の第1当選態様が存在し、前記役物作動状態では、前記特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、前記役物作動状態において抽選結果が第2当選態様となる確率が、前記役物非作動状態において抽選結果が複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、
前記リール制御手段が、
前記役物非作動状態では、前記シフト役が当選すると、当該シフト役が入賞するまでの遊技において前記第1当選態様を得た場合に当該役物非作動状態において当該シフト役が当選していない状況よりも前記特定小役の入賞率が上がるように回転中のリールを停止させる制御の変更を行うことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
近年では、役の入賞を補助する入賞補助演出を所定条件下で実行することによって、役の入賞確率を変動させ、入賞補助演出が実行可能なAT状態などにおいてメダル等の遊技媒体を獲得しやすくする補助遊技を行うことができる遊技機が好評を博している(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-125565号公報
【文献】特開2011-156165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊技機を市場に提供するためには、遊技媒体の獲得性能に関する指標である出玉率(遊技媒体の投入数に対する遊技媒体の払出数の割合)が所定範囲内に収まるように設計することが必要となっており、補助遊技を行うことができる遊技機では、補助遊技ではない遊技における遊技媒体の消費性能と、補助遊技における遊技媒体の獲得性能とがトレードオフの関係となる。特に近年では出玉率の上限が引き下げられ、遊技媒体の獲得性能を好適に設計することができる技術が求められている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技媒体の獲得性能を好適に調整可能として補助遊技を行うことができる遊技機の設計自由度を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
特定小役、特定ボーナス、およびシフト役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて、役が入賞したと判定する入賞判定手段と、前記特定小役が入賞したことに基づいて、遊技媒体を払い出すための制御を行う払出制御手段と、前記特定ボーナスを抽選対象とした内部抽選が行われる第1遊技状態と、前記特定ボーナスの入賞により移行する第2遊技状態とを設定可能とし、第2遊技状態において、前記シフト役を抽選対象とした内部抽選が行われ、前記シフト役が当選すると当該シフト役が入賞するまで当該シフト役が当選した状態が維持される役物非作動状態と、前記シフト役の入賞により移行する役物作動状態とを設定可能とし、第2遊技状態の終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物作動状態との間で遷移可能とする遊技状態移行制御手段と、通常区間と有利区間とを設定可能とし、有利区間である場合に限って補助遊技を実行可能とする特典付与手段と、前記補助遊技において前記特定小役の入賞を補助する入賞補助演出を実行する演出制御手段と、を備えた遊技機であって、前記内部抽選手段が、前記役物非作動状態では、複数種類の前記特定小役が互いに重複せずに当選する複数種類の第1当選態様が存在し、前記役物作動状態では、前記特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、前記役物作動状態において抽選結果が第2当選態様となる確率が、前記役物非作動状態において抽選結果が複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、前記リール制御手段が、前記役物非作動状態では、前記シフト役が当選すると、停止操作の態様に応じて当該シフト役の入賞回避が可能であって、当該シフト役が入賞するまでの遊技において前記第1当選態様を得た場合に前記特定小役の入賞率が上がるように回転中のリールを停止させる制御を行い、前記特典付与手段が、前記有利区間において前記補助遊技を行う権利を付与するか否かを決定する特定処理を行い、前記役物作動状態では前記役物非作動状態よりも有利な条件で当該特定処理を行う遊技機に関するものである。
【0008】
本発明では、有利区間において補助遊技によって特定小役の入賞を補助することによって遊技媒体の獲得性能を上昇させる機能を有している。そして本発明では、特定ボーナスの入賞によって移行する第2遊技状態において、役物非作動状態と役物作動状態とを設定可能とし、役物非作動状態ではシフト役を抽選対象とした内部抽選を行って、シフト役が入賞すると役物作動状態に移行する。
【0009】
そして本発明では、役物非作動状態においてシフト役が当選してもシフト役が入賞せずにシフト役の当選した状態が持ち越される場合があり、複数種類の特定小役に関して互いに重複せずに当選する複数種類の第1当選態様が存在し、シフト役が当選してからシフト役が入賞するまでの遊技では第1当選態様を得た場合における停止制御の内容が変更されて特定小役の入賞率が上昇することによりシフト役の当選以前よりも遊技媒体の獲得性能が上昇する。
【0010】
一方、役物作動状態では、複数種類の特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、抽選結果が第2当選態様となる確率が役物非作動状態において抽選結果が複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように小役の抽選態様が変更されて特定小役の入賞機会が減少して、役物非作動状態でシフト役が当選している状態の遊技よりも遊技媒体の獲得性能が低くなる。
【0011】
すなわち本発明では、第2遊技状態において役物非作動状態でシフト役が当選すると、遊技媒体の獲得性能が上昇するが、シフト役を入賞させて役物作動状態に移行すると遊技媒体の獲得性能が低下してしまうようになっている。そして第2遊技状態では、終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物作動状態との間で遷移可能となっており、補助遊技ではないにも関わらずに役物非作動状態でシフト役が当選した状態で長期に亘って遊技が行われてしまうと、全ての遊技を通じての出玉率を底上げしてしまうことになり、補助遊技での遊技媒体の獲得性能を十分に上昇させることができなくなってしまう。
【0012】
そこで本発明では、有利区間において補助遊技を行う権利を付与するか否かを決定する特定処理について、役物作動状態では役物非作動状態よりも有利な条件で特定処理を行うようにすることで、役物非作動状態でシフト役に当選してもシフト役を入賞させる動機付けを与えることによって遊技媒体の獲得性能が低い役物作動状態での遊技が行われるように誘導することで、役物非作動状態でシフト役が当選した状況が長続きしないようにすることができる。
【0013】
このように本発明では、シフト役の当選を契機に遊技媒体の獲得性能を上昇させることと、シフト役の入賞後の遊技において遊技媒体の獲得性能を低下させることとを組み合わせることによって、遊技媒体の獲得性能を好適に調整可能として補助遊技を行うことができる遊技機の設計自由度を向上させることができる。
【0014】
(2)本発明は、外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、特定小役、特定ボーナス、およびシフト役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて、役が入賞したと判定する入賞判定手段と、前記特定小役が入賞したことに基づいて、遊技媒体を払い出すための制御を行う払出制御手段と、前記特定ボーナスを抽選対象とした内部抽選が行われる第1遊技状態と、前記特定ボーナスの入賞により移行する第2遊技状態とを設定可能とし、第2遊技状態において、前記シフト役を抽選対象とした内部抽選が行われ、前記シフト役が当選すると当該シフト役が入賞するまで当該シフト役が当選した状態が維持される役物非作動状態と、前記シフト役の入賞により移行する役物作動状態とを設定可能とし、第2遊技状態の終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物作動状態との間で遷移可能とする遊技状態移行制御手段と、通常区間と有利区間とを設定可能とし、有利区間である場合に限って補助遊技を実行可能とする特典付与手段と、前記補助遊技において前記特定小役の入賞を補助する入賞補助演出を実行する演出制御手段と、を備えた遊技機であって、前記内部抽選手段が、前記役物非作動状態では、複数種類の前記特定小役が互いに重複せずに当選する複数種類の第1当選態様が存在し、前記役物作動状態では、前記特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、前記役物作動状態において抽選結果が第2当選態様となる確率が、前記役物非作動状態において抽選結果が複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、前記リール制御手段が、前記役物非作動状態では、前記シフト役が当選すると、停止操作の態様に応じて当該シフト役の入賞回避が可能であって、当該シフト役が入賞するまでの遊技において前記第1当選態様を得た場合に前記特定小役の入賞率が上がるように回転中のリールを停止させる制御を行い、前記特典付与手段が、前記有利区間において前記補助遊技を行う権利を付与するか否かを決定する特定処理を行い、前記第2遊技状態では前記役物作動状態に滞在している場合に限って当該特定処理を行う遊技機に関するものである。
【0015】
本発明では、有利区間において補助遊技によって特定小役の入賞を補助することによって遊技媒体の獲得性能を上昇させる機能を有している。そして本発明では、特定ボーナスの入賞によって移行する第2遊技状態において、役物非作動状態と役物作動状態とを設定可能とし、役物非作動状態ではシフト役を抽選対象とした内部抽選を行って、シフト役が入賞すると役物作動状態に移行する。
【0016】
そして本発明では、役物非作動状態においてシフト役が当選してもシフト役が入賞せずにシフト役の当選した状態が持ち越される場合があり、複数種類の特定小役に関して互いに重複せずに当選する複数種類の第1当選態様が存在し、シフト役が当選してからシフト役が入賞するまでの遊技では第1当選態様を得た場合における停止制御の内容が変更されて特定小役の入賞率が上昇することによりシフト役の当選以前よりも遊技媒体の獲得性能が上昇する。
【0017】
一方、役物作動状態では、複数種類の特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、抽選結果が第2当選態様となる確率が役物非作動状態において抽選結果が複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように小役の抽選態様が変更されて特定小役の入賞機会が減少して、役物非作動状態でシフト役が当選している状態の遊技よりも遊技媒体の獲得性能が低くなる。
【0018】
すなわち本発明では、第2遊技状態において役物非作動状態でシフト役が当選すると、遊技媒体の獲得性能が上昇するが、シフト役を入賞させて役物作動状態に移行すると遊技媒体の獲得性能が低下してしまうようになっている。そして第2遊技状態では、終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物作動状態との間で遷移可能となっており、補助遊技ではないにも関わらずに役物非作動状態でシフト役が当選した状態で長期に亘って遊技が行われてしまうと、全ての遊技を通じての出玉率を底上げしてしまうことになり、補助遊技での遊技媒体の獲得性能を十分に上昇させることができなくなってしまう。
【0019】
そこで本発明では、有利区間において補助遊技を行う権利を付与するか否かを決定する特定処理について、第2遊技状態では役物作動状態に滞在している場合に限って特定処理を行うようにすることで、役物非作動状態でシフト役に当選してもシフト役を入賞させる動機付けを与えることによって遊技媒体の獲得性能が低い役物作動状態での遊技が行われるように誘導することで、役物非作動状態でシフト役が当選した状況が長続きしないようにすることができる。
【0020】
このように本発明では、シフト役の当選を契機に遊技媒体の獲得性能を上昇させることと、シフト役の入賞後の遊技において遊技媒体の獲得性能を低下させることとを組み合わせることによって、遊技媒体の獲得性能を好適に調整可能として補助遊技を行うことができる遊技機の設計自由度を向上させることができる。
【0021】
(3)本発明の遊技機では、前記第2遊技状態で前記補助遊技を行う場合に、前記役物非作動状態では前記役物作動状態よりも遊技媒体の獲得性能が高くなっていることが好ましい。
【0022】
このようにすれば、第2遊技状態において補助遊技を行っている状況であるか否かによって役物作動状態の役割が異なり、補助遊技ではない遊技を行っている状況では補助遊技を行う権利を得るためにシフト役を積極的に入賞させて役物作動状態へ移行して遊技媒体の獲得性能が低い遊技が行われることによって出玉率の上昇を防ぎ、補助遊技を行っている状況ではシフト役の入賞を回避することで遊技媒体の増加を目指すことができるようになる。
【0023】
(4)また本発明は、外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、特定小役、特定ボーナス、およびシフト役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて、役が入賞したと判定する入賞判定手段と、前記特定小役が入賞したことに基づいて、遊技媒体を払い出すための制御を行う払出制御手段と、前記特定ボーナスを抽選対象とした内部抽選が行われる第1遊技状態と、前記特定ボーナスの入賞により移行する第2遊技状態とを設定可能とし、第2遊技状態において、前記シフト役を抽選対象とした内部抽選が行われ、前記シフト役が当選すると当該シフト役が入賞するまで当該シフト役が当選した状態が維持される役物非作動状態と、前記シフト役の入賞により移行する役物作動状態とを設定可能とし、第2遊技状態の終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物作動状態との間で遷移可能とする遊技状態移行制御手段と、通常区間と有利区間とを設定可能とし、有利区間である場合に限って補助遊技を実行可能とする特典付与手段と、前記補助遊技において前記特定小役の入賞を補助する入賞補助演出を実行する演出制御手段と、を備えた遊技機であって、前記内部抽選手段が、前記役物非作動状態では、複数種類の前記特定小役が互いに重複せずに当選する複数種類の第1当選態様が存在し、前記役物作動状態では、前記特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、前記役物作動状態において抽選結果が第2当選態様となる確率が、前記役物非作動状態において抽選結果が複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、前記リール制御手段が、前記役物非作動状態では、前記シフト役が当選すると、当該シフト役が入賞するまでの遊技において前記第1当選態様を得た場合に前記特定小役の入賞率が上がるように回転中のリールを停止させる制御を行う遊技機に関するものである。
【0024】
本発明では、有利区間において補助遊技によって特定小役の入賞を補助することによって遊技媒体の獲得性能を上昇させる機能を有している。そして本発明では、特定ボーナスの入賞によって移行する第2遊技状態において、役物非作動状態と役物作動状態とを設定可能とし、役物非作動状態ではシフト役を抽選対象とした内部抽選を行って、シフト役が入賞すると役物作動状態に移行する。
【0025】
そして本発明では、役物非作動状態においてシフト役が当選してもシフト役が入賞せずにシフト役の当選した状態が持ち越される場合があり、複数種類の特定小役に関して互いに重複せずに当選する複数種類の第1当選態様が存在し、シフト役が当選してからシフト役が入賞するまでの遊技では第1当選態様を得た場合における停止制御の内容が変更されて特定小役の入賞率が上昇することによりシフト役の当選以前よりも遊技媒体の獲得性能が上昇する。
【0026】
一方、役物作動状態では、複数種類の特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、抽選結果が第2当選態様となる確率が役物非作動状態において抽選結果が複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように小役の抽選態様が変更されて特定小役の入賞機会が減少して、役物非作動状態でシフト役が当選している状態の遊技よりも遊技媒体の獲得性能が低くなる。
【0027】
すなわち本発明では、第2遊技状態に関して役物非作動状態でシフト役が当選した状況に限って遊技媒体の獲得性能を上昇させることによって、それ以外の状況における遊技媒体の獲得性能を低く設計することが可能となる。このように本発明では、遊技媒体の獲得性能を好適に調整可能として補助遊技を行うことができる遊技機の設計自由度を高めて補助遊技と補助遊技ではない遊技との間の遊技媒体の獲得性能の差を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態の遊技機の外観構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態の遊技機の筐体内部の構成を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
図4】本発明の実施形態の遊技機における内部抽選テーブルを説明する図である。
図5】本発明の実施形態の遊技機における内部抽選テーブルを説明する図である。
図6】本発明の実施形態の遊技機における小役の当選態様を説明する図である。
図7】本発明の実施形態の遊技機におけるリールの図柄配列を説明する図である。
図8】本発明の実施形態に係る遊技機におけるストップボタンの押下順序と入賞役との関係を説明する図である。
図9】本発明の実施形態の遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図10】本発明の実施形態の遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図11】本発明の実施形態の遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図12】本発明の実施形態の遊技機における遊技状態の遷移図である。
図13】本発明の実施形態の遊技機における演出状態の遷移図である。
図14】本発明の実施形態の遊技機における遊技区間の遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0030】
1.構成
図1は、本発明の実施形態に係る遊技機の外観構成を示す斜視図である。また図2は、本発明の実施形態に係る遊技機の内部構成(リールユニットを除く)を示す斜視図である。
【0031】
本実施形態の遊技機は、いわゆるスロットマシンあるいは回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0032】
本実施形態の遊技機は、収納箱BX、上部前面扉UD、および下部前面扉DDからなる箱形の筐体内に第1リールR1~第3リールR3(複数のリール)からなるリールユニットが収められている。また収納箱BX内のリールユニット収納スペースPSの下部には、電源装置を内蔵し、電源スイッチES、設定変更キーシリンダKS、設定変更ボタンBS等の各種スイッチが備えられた電源ユニットEUおよびメダルの払出装置としてのホッパーユニットHPが収められている。ホッパーユニットHPは、遊技に供するメダルを貯蔵するメダル貯蔵タンクMTと、ステッピングモータからなる払出モータ(図示省略)と払出モータに軸支された回転ディスク(図示省略)とを備えており、回転ディスクが払出モータによって回転駆動されて、1枚単位でメダルを払い出すことができるように構成されている。またホッパーユニットHPは、メダル貯蔵タンクMTにおけるメダルの貯蔵量が一定に達すると、余剰メダルがキャッシュボックスCBに送り出されるようになっている。また本実施形態の遊技機の筐体内には、例えば、リールユニット収納スペースPSの上方にメイン基板MAINが取り付けられているとともに、リールユニット収納スペースPSの側方にサブ基板SUBが取り付けられており、これらの制御基板(メイン基板MAIN、サブ基板SUB)には、CPU(演算手段の一例)、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM(一時記憶手段の一例)等を搭載して遊技機の動作を制御することができるようになっている。なお本実施の形態では、電源ユニットEUに設定変更キーシリンダKSや設定変更ボタンBSが設けられているが、メイン基板MAINの表面に設定変更キーシリンダKSや設定変更ボタンBSを設けるようにしてもよい。
【0033】
図1に示す第1リールR1~第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(各領域を「コマ」と称する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また第1リールR1~第3リールR3は、ステッピングモータ(リール駆動手段:図示省略)に軸支されており、それぞれステッピングモータの軸周りに回転駆動され、ステッピングモータの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによって、コマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。すなわち本実施形態の遊技機では、ステッピングモータが制御基板から供給された駆動パルスに応じて第1リールR1~第3リールR3を回転駆動し、制御基板から全相励磁の駆動パルスが供給されると、ステッピングモータの回転が停止することに伴って第1リールR1~第3リールR3が停止する。
【0034】
上部前面扉UDと下部前面扉DDとは個別に開閉可能に設けられており、上部前面扉UDには第1リールR1~第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1~第3リールR3の停止状態では、第1リールR1~第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)を遊技機の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
【0035】
また本実施形態の遊技機では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによって有効ラインが設定される。なお本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数が3枚に設定され、規定投入数に相当するメダルが投入されると、第1リールR1~第3リールR3のそれぞれの中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0036】
そして遊技結果は表示窓DW内の有効ラインに停止表示された図柄組合せによって判断され、有効ライン上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合には、その役が入賞したものとしてホッパーユニットHPからメダルの払い出し等が行われる。
【0037】
また上部前面扉UDには、遊技情報表示部DSおよび区間表示器SECが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、BB状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計等の各種遊技情報が表示される。また区間表示器SECは、内蔵されるLEDの消灯および点灯によって有利区間に滞在しているか否かを報知するものである。
【0038】
また上部前面扉UDには、遊技演出を行うための液晶ディスプレイLCDが設けられている。この液晶ディスプレイLCDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(または画像)が表示される。また本実施形態の遊技機では、上部前面扉UDや下部前面扉DDに対して、遊技演出を行うためのスピーカSPが複数設けられている。このスピーカSPからは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0039】
また下部前面扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うためのベットボタン(投入操作手段)B0、第1リールR1~第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる操作を行うためのスタートレバー(遊技開始操作手段)SL、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる操作を行うためのストップボタン(停止操作手段)B1~B3などが設けられている。
【0040】
本実施形態の遊技機では、遊技者がメダルをメダル投入口MIに投入するか、ベットボタンB0を押下する操作を行うことで、第1リールR1~第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLを押下すると、制御基板において第1リールR1~第3リールR3をステッピングモータの駆動により回転開始させるとともに、乱数値を用いた内部抽選が行われ、第1リールR1~第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇したことを条件に、ストップボタンB1~B3の押下操作が許可(有効化)される。
【0041】
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1~B3を押下していくと、ストップボタンB1~B3のそれぞれに内蔵されているストップスイッチ(停止信号出力手段:例えば、フォトセンサ、導通センサ、圧力センサなど)がオン動作を行い、制御基板に入力されるリール停止信号をオフ状態からオン状態へ変化させる。
【0042】
また遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1~B3を解放すると、ストップボタンB1~B3それぞれに対応するストップスイッチがオフ動作を行い、制御基板に入力されるリール停止信号をオン状態からオフ状態に変化させる。
【0043】
そして制御基板は、ストップボタンB1~B3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のオフ状態からオン状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1~第3リールR3を停止させる。
【0044】
また下部前面扉DDの下部には、メダル払い出し口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがホッパーユニットHPからメダル払い出し口MOを通じてメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。なお遊技の結果に応じてメダルが払い出される場合に、メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、払出数の一部あるいは全部に相当するメダルを、クレジット上限枚数(本実施形態では50枚)を限度としてクレジットし、メダルのクレジット数の変化に伴って遊技情報表示部DSの7セグメント表示器からなるクレジット表示器の表示値を変化させる動作を行う。
【0045】
図3は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。
【0046】
本実施形態の遊技機は、遊技制御手段(メイン基板MAINおよびサブ基板SUB)100によって制御される。遊技制御手段100は、電源スイッチESの作動により電源ユニットEUから電力が供給されて起動し、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更許可スイッチ250、設定変更スイッチ260等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニット(払出装置)HP、表示装置330、音響装置340等の出力手段の動作制御を行う。遊技制御手段100の機能は各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0047】
そして遊技制御手段100は、設定変更手段103、投入受付手段105、乱数発生手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、特典付与手段175、演出制御手段180、遊技情報記憶手段190a、演出情報記憶手段190bを含む。なお本実施形態では、設定変更手段103、投入受付手段105、乱数発生手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、および特典付与手段175は、メイン基板MAINのCPUが各種のプログラムを実行することによって実現され、演出制御手段180は、サブ基板SUBのCPUが各種のプログラムを実行することによって実現される。また遊技情報記憶手段190aは、メイン基板MAINに搭載されているメインROMおよびメインRAMによって構成され、演出情報記憶手段190bは、サブ基板SUBに搭載されているサブROMおよびサブRAMによって構成されている。またメイン基板MAINのCPUが実行する各種のプログラムは、遊技情報記憶手段190aのメインROMに記憶されており、サブ基板SUBのCPUが実行する各種のプログラムは、演出情報記憶手段190bのサブROMに記憶されている
設定変更手段103は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた設定値記憶領域1913に記憶されている設定値を変更する制御を行う。本実施形態では、電源投入時の設定変更許可スイッチ250の状態に応じて遊技モードで起動される場合と設定変更モードで起動される場合とが切り替えられるようになっており、設定変更キーシリンダKSに設定キーが挿入されて初期位置から時計回りに設定キーが回されると設定変更許可スイッチ250の信号状態がオン状態となり、この状態で電源スイッチESが作動することにより電源ユニットEUから電力が供給されると、設定変更手段103が、遊技機を設定変更モードで起動する。そして本実施形態では、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から設定値を選択することができるようになっており、設定1から順に設定6に向かって出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。なお本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
【0048】
また設定変更手段103は、設定変更モードにおいて設定変更ボタンBSを押下することにより設定変更スイッチ260が作動すると、設定変更スイッチ260からの入力信号を受け付ける毎に、設定値を設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバーSLの押下により作動するスタートスイッチ230からの遊技スタート信号に基づいて設定値を確定させて、確定された設定値を設定値記憶領域1913に記憶させる制御を行う。そして本実施形態では、設定変更キーシリンダKSに挿入された設定キーを初期位置に戻すことによって設定変更許可スイッチ250の信号状態をオフ状態に変更し設定変更モードから遊技モードへ移行させることができるようになっている。
【0049】
また本実施形態では、設定変更キーシリンダKSが初期位置にある状態で電源が投入されると、設定変更許可スイッチ260の信号状態がオフ状態であることに基づいて遊技モードで遊技機を起動する。そして本実施形態では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
【0050】
また設定変更手段103は、設定変更モードにおいて、遊技情報記憶手段190aのメインRAMの所定の記憶領域に記憶されている情報を初期化する初期化処理を行う。特に本実施の形態では、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに関して、抽選フラグ記憶領域1915、遊技状態記憶領域1916、演出状態記憶領域1919、AT終了判定カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923に記憶されている情報を設定変更モードにおける初期化処理によって初期化する。より詳細には、遊技情報記憶手段190aのメインRAMにおける抽選フラグ記憶領域1915、遊技状態記憶領域1916、演出状態記憶領域1919、AT終了判定カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923以外の記憶領域を情報保持領域として指定し、メインRAMの情報保持領域以外の記憶領域に記憶されている情報を初期化する。このため、メインRAMにおいて、設定値記憶領域1913およびクレジット情報記憶領域1914については情報保持領域として指定され、これらの記憶領域に記憶されている情報は、設定変更モードにおける初期化処理によっては初期化されずに保持されるようになっている。
【0051】
投入受付手段105は、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSL(遊技開始操作手段)に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。なお本実施形態の遊技機では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、第1リールR1~第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。
【0052】
また本実施形態の遊技機では、メダル投入口MIにメダルが投入されると、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、投入受付手段105が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また本実施形態の遊技機では、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられたクレジット情報記憶領域1914に最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、遊技機にメダルがクレジット記憶された状態で、ベットボタンB0が押下されると、ベットスイッチ220が作動することに伴って、投入受付手段105が、規定投入数を限度して、クレジット情報記憶領域1914にクレジット記憶されたメダルを投入状態に設定する。
【0053】
乱数発生手段110は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、0~65535までの65536個の乱数値を1周期中で重複することなく発生させる16ビット乱数回路によって発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0054】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対する遊技開始操作(有効化されたスタートレバーSLへの最初の押下操作)により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理などを行う。
【0055】
抽選テーブル選択処理では、遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられたメイン抽選テーブル記憶領域1910に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。本実施形態の遊技機では、メイン抽選テーブル記憶領域1910に、図4および図5に示すような6種類の内部抽選テーブル(内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル6)が記憶されている。そして各内部抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0~65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役、およびボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。なお本実施形態では、6段階の設定値に対して、設定値毎に6種類の内部抽選テーブルが用意されており、設定値に応じて内部抽選で一部の当選態様が得られる確率が異なっており、設定値が高くなるほど出玉率の期待値が高くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。
【0056】
なお本実施形態の遊技機では、小役として、小役1~小役14が用意されており、小役の当選態様として、図6に示すように、打順ベル1~打順ベル6、スイカ、チェリー、JAC1、およびJAC2が設定されており、打順ベル1~打順ベル6、スイカ、およびチェリーは後述にて説明する有利区間移行抽選の実行契機となっている。
【0057】
また本実施形態の遊技機では、リプレイが1種類のみ設定されており、リプレイは有利区間移行抽選の実行契機となっている。
【0058】
また本実施形態の遊技機では、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル3~内部抽選テーブル5において小役の当選確率が同一であって、内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル6においてリプレイの当選確率が同一となっている。また内部抽選テーブル2および内部抽選テーブル6は、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル3~内部抽選テーブル5とは小役の抽選態様が異なっているともに、一部の小役の当選確率が高くなっている。
【0059】
また本実施形態の遊技機では、ボーナスとして、シングルボーナス(SB)、ビッグボーナス(BB)、およびレギュラーボーナス(RB)が用意されており、シングルボーナス(SB)は、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2において抽選対象となっており、ビッグボーナス(BB)は、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2において抽選対象となっており、レギュラーボーナス(RB)は、内部抽選テーブル4において抽選対象となっている。
【0060】
また本実施形態の遊技機では、遊技状態として、通常状態、SB状態、BB成立状態、およびBB状態(役物非作動状態、役物作動状態)が設定可能とされ、抽選テーブル選択処理では、遊技状態に応じて内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル6のいずれか1つを内部抽選で使用する内部抽選テーブルとして選択する。
【0061】
そして本実施形態では、小役やリプレイの当選態様については、設定値によっては当選確率が変動しないようになっているが、ボーナスのうちレギュラーボーナス(RB)については設定値に応じて当選確率が変動し、設定値が高くなるほどレギュラーボーナス(RB)の当選確率が高くなり、シングルボーナス(SB)およびビッグボーナス(BB)については設定値によっては当選確率が変動しないようになっている。
【0062】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段110から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられたメイン抽選テーブル記憶領域1910に記憶されている内部抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0063】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。本実施形態の遊技機では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。なお抽選フラグの設定情報は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた抽選フラグ記憶領域1915に格納される。
【0064】
また本実施形態の遊技機では、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、ビッグボーナス(BB)、およびレギュラーボーナス(RB)があり、シングルボーナス(SB)、小役、およびリプレイは後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、例えば、内部抽選でビッグボーナス(BB)に当選すると、ビッグボーナス(BB)の抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナス(BB)が入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき内部抽選手段120は、ビッグボーナス(BB)の抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、ビッグボーナス(BB)またはレギュラーボーナス(RB)の抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナス(BB)またはレギュラーボーナス(RB)の抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0065】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへの遊技開始操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、ステッピングモータにより第1リールR1~第3リールR3の回転駆動を開始し、第1リールR1~第3リールR3が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)で定常回転しているリールに対応するストップボタンB1~B3(停止操作手段)を押下することによる停止操作を有効化する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させる制御を行う。
【0066】
そしてリール制御手段130は、ストップボタンB1~B3に対する停止操作が有効化された状態において、遊技者がストップボタンB1~B3を押下することによりストップスイッチ240が作動すると、ストップスイッチ240からのリール停止信号に基づいて、リールユニット310のステッピングモータへ全相励磁の駆動パルスを供給することにより、第1リールR1~第3リールR3の各リールを停止させる制御を行う。
【0067】
すなわちリール制御手段130は、ストップボタンB1~B3の各ボタンが押下される毎に、第1リールR1~第3リールR3のうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。なお本実施形態の遊技機では、ストップボタンB1を押下することが第1リールR1を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB2を押下することが第2リールR2を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB3を押下することが第3リールR3を停止させるための操作に対応する。すなわち本実施形態の遊技機では、ストップボタンB1~B3の押下順序が変化すると、第1リールR1~第3リールR3の停止順序が変化する。
【0068】
また本実施形態の遊技機では、第1リールR1~第3リールR3について、ストップボタンB1~B3が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールが停止するようになっている。そしてストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合には、回転している各リールの停止位置は、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに要するコマ数が0コマ~4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で決定される。そして、リール制御手段130は、ストップボタンB1~B3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールの外周面上において、内部抽選で当選した役に対応する図柄が、ストップボタンに対する押下操作が行われた時点で有効ライン上の表示位置に対して0コマ~4コマの範囲内に位置する場合に、抽選フラグが当選状態に設定されている役に対応する図柄が有効ライン上の表示位置に表示されるように、押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御を行っている。
【0069】
そして本実施形態では、図7に示すように、リールユニット310を構成する第1リールR1~第3リールR3の外周面に対して、赤7図柄「赤7」、白バー図柄「白BAR」、黒バー図柄「黒BAR」、特殊図柄1「SP1」、特殊図柄2「SP2」、リプレイ図柄「RP」、ベル図柄「BL」、スイカ図柄「WM」、およびチェリー図柄「CH」が配列されており、押下検出位置から4コマ以内に存在する図柄を有効ライン上に引き込む場合には、各リールの外周面において4コマ以内の間隔で配列されている図柄について、ストップスイッチ240の作動時点(ストップボタンの押下が検出された時点)のリールの位置である押下検出位置に関わらずに、有効ライン上に表示させることができるようになっている。
【0070】
なお本実施形態の遊技機では、リールユニット310がフォトセンサからなるリールインデックス315を備えており、リール制御手段130は、リールが1回転する毎にリールインデックス315で検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックス315によって検出されるコマ)からの回転角度(ステッピングモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわちリール制御手段130は、ストップスイッチ240の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0071】
またリール制御手段130は、優先度により回転中のリールの停止位置を求める処理(ロジック演算)と、遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられた停止制御テーブル記憶領域1911に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定する処理(テーブル参照処理)とを行っている。
【0072】
まずロジック演算では、役毎に定められた優先順位データに従って押下検出位置から0コマ~4コマの範囲内に存在する5コマ分の停止位置の候補に対して優先度を求める。そして各停止位置の候補の優先度のうち最も優先度の高い停止位置の候補を実際の停止位置として決定する。ただしロジック演算処理では、内部抽選の結果や押下検出位置などに応じて複数の停止位置の候補に対して同一の優先度が求まる場合があり、最も優先度の高い停止位置の候補が複数となった場合には、後述するテーブル参照処理によって実際の停止位置を決定する。
【0073】
特に本実施形態の遊技機では、「リプレイ>ボーナス」かつ「小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められており、ロジック演算では、2種類以上の役に関する抽選フラグが当選状態に設定されている場合には、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補について優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補よりも優先度が高くなるように優先度を求める。
【0074】
なお本実施形態の遊技機では、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先度は、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数に応じて優先度を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める場合とが存在し、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が多くなる停止位置ほど優先度が高くなるように各停止位置の候補についての優先度を求め、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先度を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先度はそれぞれ同一のものとして扱われ、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合に、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が同数となる停止位置の候補についての優先度はそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0075】
そして本実施形態では、打順ベルが当選した場合に、ストップボタンB1~B3の押下順序に応じたロジック演算が行われる。具体的には、打順ベル1~打順ベル12のそれぞれに対して正解打順が設定されており、正解打順とは異なる押下順序が不正解打順として扱われる。そして、いずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、メダルの払出数が最も多くなる停止位置の候補の優先度が最も高くなるように優先度が求められる。また、いずれかの打順ベルが当選した場合に、不正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、各リールを停止させる段階で最も多くの入賞形態を構成する図柄組合せを表示させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるように優先度が求められる。
【0076】
そして本実施形態では、いずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、15枚小役(配当が15枚の小役)を入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われ、不正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、1枚小役(配当が1枚の小役)を入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われる。なお本実施形態では、打順ベルの種類に応じて異なる15枚小役が設定されており、打順ベル1の当選時には小役1が入賞し、打順ベル2の当選時には小役2が入賞し、打順ベル3の当選時には小役3が入賞し、打順ベル4の当選時には小役4が入賞し、打順ベル5の当選時には小役5が入賞し、打順ベル6の当選時には小役6が入賞するようになっている。
【0077】
なお本実施形態では、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が当選している状況で打順ベルが当選した場合には、ボーナスよりも小役の入賞が優先されるため、打順ベルが当選して正解打順および不正解打順のいずれに沿って停止操作が行われても打順ベルに含まれる小役の入賞形態を構成する図柄を有効ライン上に表示する停止位置の候補の優先度が高くなる関係でビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)の入賞が回避されるように優先度が求められる。
【0078】
また本実施形態では、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が当選している状況で打順ベルが当選すると、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が当選していない状況で打順ベルが当選した場合とは正解打順が一部異なり、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が当選していない状況では、6種類の打順のうち1種類が正解打順となるのに対して、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が当選している状況では、6種類の打順のうち6種類の打順のうち2種類が正解打順となり、正解打順となる2種類の打順については最初に押下するストップボタンが共通するようになっている。
【0079】
またロジック演算では、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールの停止位置の候補を求める処理として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるようにリールの停止位置の候補についての優先度を求める処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役を入賞させることができないようにリールの停止位置の候補についての優先度を求める処理である。このようにリール制御手段130は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないようにリールの停止位置の候補を求めるロジック演算を行っている。
【0080】
テーブル参照処理では、ロジック演算を行った結果、最も優先度の高い停止位置の候補が複数得られた場合に、いずれの位置を停止位置とするかを、遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられた停止制御テーブル記憶領域1911に記憶されている停止制御テーブルを参照して決定する。
【0081】
ここで停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、ストップスイッチ240の作動時点(ストップボタンの押下が検出された時点)におけるリールの位置である押下検出位置と実際の停止位置との対応関係が設定されている。なお停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、押下検出位置と、押下検出位置から実際の停止位置までの回転量を示す滑りコマ数との対応関係が設定されていてもよい。
【0082】
そして内部抽選で打順ベル1~打順ベル6のいずれかが当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、図8(A)および図8(B)に示すように、それぞれの打順ベルに対して正解打順が設定されており、正解打順と異なる押下順序は不正解打順として扱われる。なお図8(A)は、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が当選していない状況での打順ベルの当選時における打順と入賞役との関係を示すものであり、図8(B)は、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が当選している状況での打順ベルの当選時における打順と入賞役との関係を示すものである。
【0083】
そして本実施形態では、図8(A)および図8(B)に示すように、打順ベル1~打順ベル6のいずれかが当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、15枚小役(小役1:打順ベル1当選時、小役2:打順ベル2当選時、小役3:打順ベル3当選時、小役4:打順ベル4当選時、小役5:打順ベル5当選時、小役6:打順ベル6当選時)が入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されており、不正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、1枚小役が入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0084】
なおビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が当選している状況で打順ベルが当選した場合に参照される停止制御テーブルでも、本実施形態ではボーナスよりも小役の入賞を優先しているため、正解打順および不正解打順のいずれでも打順ベルに含まれる小役の入賞を優先するように押下検出位置に対する停止位置が設定され、いずれかの小役の入賞形態を構成する図柄を有効ライン上に表示させるようにすることでビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)の入賞が必ず回避されるようになっているため、打順ベルが当選した遊技においてビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が入賞することはない。
【0085】
また内部抽選でJAC1が当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、停止操作の態様に関わらずに15枚小役のいずれかが入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定され、内部抽選でJAC2が当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、停止操作の態様に関わらずに1枚小役のいずれかが入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定され、内部抽選でリプレイが当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、停止操作の態様に関わらずにリプレイが入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。なおJAC1の当選時においては、打順1によって小役1が入賞し、打順2によって小役2が入賞し、打順3によって小役3が入賞し、打順4によって小役4が入賞し、打順5によって小役5が入賞し、打順6によって小役6が入賞するようになっている。
【0086】
入賞判定手段140は、第1リールR1~第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられた入賞判定テーブル記憶領域1912に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1~第3リールR3の全てが停止した時点で有効ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かなどを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ライン上に表示された図柄組合せによって、図9図11に示すように、ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)、シングルボーナス(SB)、リプレイ、および小役1~小役14の入賞の有無が判定できるように入賞判定テーブルが用意されている。
【0087】
そして本実施形態の遊技機では、入賞判定手段140の判定結果に基づいて、役が入賞した場合に入賞時処理が実行される。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150によってメダルの払出制御処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160によってリプレイ処理が行われ、ボーナスが入賞した場合には遊技状態移行制御手段170によって遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0088】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニットHP(払出装置)に払い出させる制御を行う。
【0089】
ホッパーユニットHPは、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニットHPには、メダルを1枚払い出す毎に作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられており、払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいてホッパーユニットHPから実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。
【0090】
なおメダルのクレジット記憶(貯留記憶)が許可されている場合には、ホッパーユニットHPによって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられたクレジット情報記憶領域1914に記憶されているクレジット数(クレジット記憶されたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0091】
リプレイ処理手段160は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち本実施形態の遊技機では、リプレイが入賞した場合には、次回の遊技を行わせるために必要な規定投入数に相当する枚数のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、規定投入数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバーSLに対する遊技開始操作を待機する。
【0092】
遊技状態移行制御手段170は、図12(A)および図12(B)に示すように、通常状態、SB状態、BB成立状態、およびBB状態(役物非作動状態、役物作動状態)の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。本実施形態では、滞在している遊技状態を示す情報は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた遊技状態記憶領域1916に格納される。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0093】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはSB状態およびBB成立状態への移行が可能となっている。具体的には、通常状態において、シングルボーナス(SB)が入賞した場合にSB状態へ移行し、ビッグボーナス(BB)が当選した場合にBB成立状態へ移行する。また通常状態では、図4および図5に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル6のうち、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定され、かつシングルボーナス(SB)およびビッグボーナス(BB)が抽選対象として設定されている内部抽選テーブル1を参照して内部抽選が行われる。
【0094】
SB状態は、シングルボーナス(SB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態であり、通常状態での遊技とは小役の抽選態様が異なるシングルボーナス遊技を行うことができる。SB状態は、1回のシングルボーナス遊技を行うことで終了し、遊技状態移行制御手段170は、SB状態が終了した場合に、シングルボーナス遊技でビッグボーナス(BB)が当選していなければ遊技状態を通常状態に復帰させ、シングルボーナス遊技でビッグボーナス(BB)が当選していた場合にはBB成立状態に移行させる制御を行う。またSB状態では、図4および図5に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル6のうち、内部抽選テーブル1とはリプレイの当選確率が同一であるが小役の抽選態様が異なり、かつシングルボーナス(SB)およびビッグボーナス(BB)が抽選対象として設定されている内部抽選テーブル2を参照して内部抽選が行われる。
【0095】
BB成立状態は、内部抽選でビッグボーナス(BB)に当選したことを契機として移行する遊技状態で、図4および図5に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル6のうち、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定され、かつシングルボーナス(SB)およびビッグボーナス(BB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブル3を参照した内部抽選が行われる。
【0096】
またBB成立状態では、ビッグボーナス(BB)が入賞するまでビッグボーナス(BB)に対応する抽選フラグが当選状態に維持され、ビッグボーナス(BB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態移行制御手段170は、遊技状態をBB成立状態からBB状態へ移行させる。
【0097】
BB状態(特定ボーナス状態の一例)は、ビッグボーナス(BB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態であり、図12(B)に示すように、BB状態の終了条件が成立するまで、役物非作動状態(非内部中、RB内部中)、および役物作動状態の間で遊技状態が移行するようになっている。BB状態では、図4および図5に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル6のうち、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定された内部抽選テーブル4~内部抽選テーブル6のいずれかを参照した内部抽選が行われる。
【0098】
役物非作動状態は、ビッグボーナス(BB)の入賞によってBB状態が開始される際に設定される遊技状態で、役物非作動状態では、BB状態で使用される内部抽選テーブル4~内部抽選テーブル6のうち内部抽選テーブル4または内部抽選テーブル5のいずれかを参照した内部抽選が行われる。
【0099】
具体的には、BB状態の開始当初において遊技状態が役物非作動状態の非内部中に設定され、役物非作動状態の非内部中では、レギュラーボーナス(RB)の抽選フラグが非当選状態であって、レギュラーボーナス(RB)が抽選対象となっており、小役およびリプレイの当選確率が内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル3と同一に設定された内部抽選テーブル4を参照した内部抽選が行われる。
【0100】
そして役物非作動状態の非内部中においてレギュラーボーナス(RB)が当選すると、役物非作動状態のRB内部中となり、役物非作動状態のRB内部中では、レギュラーボーナス(RB)が入賞するまでレギュラーボーナス(RB)の抽選フラグの当選状態を維持しつつ、レギュラーボーナス(RB)が抽選対象から除外され、小役およびリプレイの当選確率が内部抽選テーブル4と同一に設定された内部抽選テーブル5を参照した内部抽選が行われる。
【0101】
また役物非作動状態からは、役物作動状態へ移行することができ、役物非作動状態においてレギュラーボーナス(RB)が入賞すると役物作動状態に移行する。なお本実施形態では、役物作動状態が終了した場合にもBB状態の終了条件が成立していなければ役物非作動状態の非内部中に移行する。
【0102】
役物作動状態は、レギュラーボーナス(RB)が入賞したことによって移行する遊技状態で、役物作動状態では、BB状態で使用される内部抽選テーブル4~内部抽選テーブル6のうち小役の当選態様が内部抽選テーブル4および内部抽選テーブル5とは異なる内部抽選テーブル6を参照した内部抽選が行われる。
【0103】
また役物作動状態では、小役の入賞回数と遊技回数とによって終了条件が成立したか否かが判断され、本実施形態では、小役の入賞回数が8回に達するか、遊技回数が12回に達すると役物作動状態の終了条件が成立し、遊技状態移行制御手段170は、役物作動状態の終了条件が成立した際にBB状態の終了条件が成立していなければ役物作動状態を終了させて役物非作動状態の非内部中へ復帰させる制御を行う。
【0104】
またBB状態では、BB状態での遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、予め定められた所定枚数(例えば、210枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技状態移行制御手段170は、BB状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる制御を行う。なお本実施形態では、BB状態における払出数についてのカウント情報は遊技状態記憶領域1916に記憶される。また本実施形態では、BB状態の終了時においてレギュラーボーナス(RB)の抽選フラグが当選状態に設定されていても、BB状態の終了に伴ってレギュラーボーナス(RB)の抽選フラグは非当選状態にリセットされる。
【0105】
特典付与手段175は、図13に示すように、非AT状態、AT低確状態、AT高確状態、およびAT状態を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を変化させており、所定条件下で演出状態をAT状態(アシストタイム状態)に設定し、AT終了判定カウンタ1921の値に基づいてAT状態の終了条件の成否を判定して、AT状態の終了条件の成立に伴いAT状態を終了させる制御を行う。本実施形態では、滞在している演出状態を示す情報は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた演出状態記憶領域1919に格納される。また本実施形態では、AT状態に滞在している場合に、特典付与手段175によって、打順ベルの当選時において遊技情報表示部DSに設けられた7セグメント表示器からなるメイン表示器300に正解打順に対応する情報を表示することにより15枚小役(小役1~小役6)の入賞を補助する正解打順報知が行われるとともに、演出制御手段180によって、打順ベルの当選時において液晶ディスプレイLCDに正解打順に対応する画像を表示することにより15枚小役(小役1~小役6)の入賞を補助する入賞補助演出が行われ、非AT状態に滞在している遊技よりもメダルが獲得しやすいアシストタイム遊技(補助遊技の一例)を行うことができるようになっている。
【0106】
また特典付与手段175は、図14に示すように、通常区間および有利区間を設定可能とし、通常区間では演出状態を初期状態である非AT状態に固定して有利区間移行抽選を行い、有利区間移行抽選に当選したことによって有利区間を開始して有利区間であることを条件に演出状態をAT状態に設定可能としている。そして特典付与手段175は、通常区間の遊技において、内部抽選でリプレイ、打順ベル1~打順ベル6、スイカ、チェリー、シングルボーナス(SB)、またはビッグボーナス(BB)が当選したことに基づいて有利区間移行抽選を行う。
【0107】
有利区間移行抽選では、内部抽選のために取得した乱数値をメイン抽選テーブル記憶領域1910に記憶されている有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に応じて有利区間移行抽選に当選(有利区間当選)したか否かを判定する。有利区間移行抽選テーブルでは、リプレイ、打順ベル1~打順ベル6、スイカ、チェリー、シングルボーナス(SB)、またはビッグボーナス(BB)に対応づけられた内部抽選用の乱数値に対して、当選またはハズレが割り当てられており、内部抽選のために取得した乱数値がリプレイ、打順ベル1~打順ベル6、スイカ、チェリー、シングルボーナス(SB)、またはビッグボーナス(BB)に対応づけられており、かつ有利区間移行抽選テーブルにおいて当選に対応づけられている場合に、有利区間移行抽選に当選したと判定される。なお本実施形態では、ビッグボーナス(BB)の当選に基づく有利区間移行抽選では必ず当選するようになっており、通常状態およびSB状態のいずれにおいてビッグボーナス(BB)が当選しても有利区間移行抽選は行われるようになっている。
【0108】
そして特典付与手段175は、通常区間において有利区間移行抽選に当選すると、有利区間抽選に当選したことに基づいて有利区間移行処理を行い、有利区間移行抽選に当選した遊技の次回の遊技から有利区間を開始させる。本実施形態では、有利区間移行処理において演出状態をAT低確状態に移行させる。なお有利区間移行処理において演出状態をAT低確状態またはAT高確状態のいずれに移行させるかを決定するようにしてもよく、AT低確状態またはAT高確状態への移行先の振り分けは、有利区間移行抽選の抽選契機となった内部抽選用の乱数値によって決定されるようにしてもよい。
【0109】
そして特典付与手段175は、有利区間において演出状態がAT低確状態である場合に、内部抽選でスイカまたはチェリーが当選したことに基づいてAT抽選を行い、有利区間において演出状態がAT高確状態である場合に、内部抽選でJAC1またはJAC2が当選したことに基づいてAT抽選を行う。AT抽選では、内部抽選のために取得した乱数値をメイン抽選テーブル記憶領域1910に記憶されているAT抽選テーブルと比較して、比較結果に応じてAT抽選に当選したか否かを判定する。AT抽選テーブルでは、AT抽選の実行契機となる当選態様に対応づけられた内部抽選用の乱数値に対して、当選またはハズレが割り当てられており、内部抽選のために取得した乱数値が、スイカ(AT低確状態)、チェリー(AT低確状態)、JAC1(AT高確状態)、またはJAC2(AT高確状態)のいずれかに対応づけられており、かつAT抽選テーブルにおいて当選に対応づけられている場合に、AT抽選に当選したと判定される。なお本実施形態では、AT低確状態とAT高確状態とでは、AT抽選の当選確率が異なっており、AT高確状態ではAT低確状態よりもAT抽選の当選確率が高く設定されている。また本実施形態では、図14に示すように、通常区間である場合にはAT抽選の実行が禁止されており、有利区間に滞在している状況に限ってAT抽選が実行されるようになっている。
【0110】
また本実施形態では、特典付与手段175が、演出状態がAT低確状態である場合に、BB状態においてレギュラーボーナス(RB)が入賞して役物作動状態へ移行することに基づいて、演出状態をAT低確状態からAT高確状態へ移行させ、演出状態がAT高確状態である場合に、役物作動状態が終了すること(BB状態の終了に伴い役物作動状態が終了する場合を含む)に基づいて、演出状態をAT高確状態からAT低確状態へ移行させる制御を行う。
【0111】
そして特典付与手段175は、AT抽選に当選すると、AT抽選に当選したことに基づいて、AT終了判定カウンタ1921に100回分の遊技回数に相当する値「100」を設定しつつ演出状態をAT状態に移行させて、演出状態がAT状態であることに基づいてアシストタイム遊技を行わせ、アシストタイム遊技が行われる毎にAT終了判定カウンタ1921の値から遊技1回分に相当する「1」を減算する。そして本実施形態では、AT状態において、打順ベル1~打順ベル6のいずれかが当選すると正解打順を報知する正解打順報知および入賞補助演出が行われる。
【0112】
また本実施形態では、特典付与手段175が、正解打順報知を行う場合に、メイン表示器300に正解打順に対応する情報が表示されるが、具体的には、正解打順毎に打順番号が設定されており、図8(A)および図8(B)に示す打順1~打順6が打順番号に対応し、メイン表示器300には7セグメント表示によって「01」(打順1)、「02」(打順2)、「03」(打順3)、「04」(打順4)、「05」(打順5)、「06」(打順6)、「12」(打順1および打順2)、「34」(打順3および打順4)、または「56」(打順5および打順6)のいずれかの打順番号が表示されるようになっている。
【0113】
また特典付与手段175は、AT状態において、スイカおよびチェリーの当選時において上乗せ抽選を行い、上乗せ抽選に当選したことに基づいてAT終了判定カウンタ1921の値に所与の加算値を上乗せする上乗せ処理を行う。
【0114】
上乗せ抽選では、内部抽選のために取得した乱数値をメイン抽選テーブル記憶領域1910に記憶されている上乗せ抽選テーブルと比較して、比較結果に応じて上乗せ抽選に当選したか否かを判定する。上乗せ抽選テーブルでは、スイカおよびチェリーに対応づけられた内部抽選用の乱数値に対して、当選(10回当選、30回当選、50回当選、100回当選)またはハズレが割り当てられており、内部抽選のために取得した乱数値が通常状態におけるスイカまたはチェリーに対応づけられており、かつ上乗せ抽選テーブルにおいて当選に対応づけられている場合に、上乗せ抽選に当選したと判定される。そして上乗せ抽選に当選した場合には、当選した遊技回数(10回、30回、50回、または100回)に相当する加算値(「10」、「30」、「50」、または「100」)がAT終了判定カウンタ1921の値に上乗せされる。
【0115】
そして特典付与手段175は、アシストタイム遊技が行われる毎に一定値ずつ減算されるAT終了判定カウンタ1921の値が初期値「0」に達すると、AT状態の終了条件が成立したと判断し、演出状態をAT低確状態に設定する。
【0116】
また本実施形態では、特典付与手段175が、有利区間移行処理において遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた第1クリアカウンタ1922の値を所定値「1」に設定して、有利区間では、1回の遊技が行われる毎に第1クリアカウンタ1922の値に1回分の遊技に相当する一定値(例えば、1)を加算するインクリメント更新を行い、第1クリアカウンタ1922の値がしきい値(例えば、1500)を超えた場合(第1クリアカウンタ1922の値が「1501」に達した場合)において有利区間の終了条件が成立したと判断する。本実施形態において第1クリアカウンタ1922の更新は各遊技における回転中のリールが全て停止した後に行われるようになっているが、各遊技において予め定まっていれば、いずれの契機で第1クリアカウンタ1922の更新を行うようにしてもよく、例えば、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を更新契機とするようにしてもよい。
【0117】
また本実施形態では、特典付与手段175が、有利区間移行処理において遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた第2クリアカウンタ1923の値を初期値「0」に設定して、有利区間では、第2クリアカウンタ1923の値を各遊技でのメダルの差枚数によって更新し、メダルの払出数に相当する値(例えば、15枚のメダルの払い出しがあった場合には「15」とし、いずれの役も入賞せずに払い出しがなかった場合には「0」とする)から遊技に使用されたメダルの投入数(3枚)に相当する値「3」を減算して当該遊技における差枚数の演算結果を求めて、この演算結果を第2クリアカウンタ1923の値に加算する更新処理を行い、第2クリアカウンタ1923の値がしきい値(例えば、2400)を超えた場合にも有利区間の終了条件が成立したと判断する。なお第2クリアカウンタ1923の値は初期値「0」を下回らないように制御され、例えば、遊技開始時における第2クリアカウンタ1923の値が「2」であり、遊技を行った結果、いずれの役も入賞せずにメダルの払い出しがなかった場合には、その遊技における差枚数の演算結果が「-3」となり、第2クリアカウンタ1923の値に差枚数の演算結果を加算すると初期値「0」を下回ってしまうが、更新後の第2クリアカウンタ1923の値は初期値「0」を下限値としてカウントストップされるようになっている。また遊技においてリプレイの入賞があった場合には、リプレイの入賞した遊技で当該遊技の規定投入数に相当するメダルの払い出しがあったものとして取り扱って差枚数を求め、リプレイの入賞によって無償で提供される次回の遊技については実際のメダルの投入は行われていなくても当該遊技の規定投入数に相当するメダルの投入が行われたものとして取り扱って差枚数を求めるようになっている。
【0118】
また有利区間においては、有利区間の終了条件に該当しない限りは、遊技状態または演出状態の移行が発生しても第1クリアカウンタ1922および第2クリアカウンタ1923の更新が行われる。
【0119】
また特典付与手段175は、有利区間の終了に基づいて遊技情報記憶手段190aのメインRAMの所定の記憶領域に記憶されている情報を初期化する初期化処理を行う。特に本実施形態では遊技情報記憶手段190のメインRAMに関して、演出状態記憶領域1919、AT終了判定カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923に記憶されている情報を有利区間の終了に伴う初期化処理によって初期化する。より詳細には、遊技情報記憶手段190aのメインRAMにおける演出状態記憶領域1919、AT終了判定カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923以外の記憶領域を情報保持領域として指定し、メインRAMの情報保持領域以外の記憶領域に記憶されている情報を初期化する。このため有利区間の終了に伴う初期化処理が行われる場合においては、設定変更モードにおける初期化処理が行われる場合とは異なり、設定値記憶領域1913およびクレジット情報記憶領域1914に加えて、抽選フラグ記憶領域1915および遊技状態記憶領域1916についても情報保持領域として指定され、これらの記憶領域に記憶されている情報は、有利区間の終了に伴う初期化処理によっては初期化されずに保持されるようになっている。そして有利区間の終了に伴う初期化処理が行われると、演出状態が非AT状態に初期化されるとともに、AT終了判定カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923の値が初期値(例えば、0)に初期化されて通常区間に復帰するようになっている。
【0120】
そして本実施形態では、有利区間の終了に伴って初期化処理が実行されて通常区間に復帰するため、AT状態に滞在している状況において第1クリアカウンタ1922または第2クリアカウンタ1923の値がしきい値を超えた場合には、有利区間の終了に伴う初期化処理によってAT状態が強制終了して演出状態が非AT状態に初期化されるとともに、AT終了判定カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923の値が初期値(例えば、0)に初期化される。またその他の演出状態に滞在している状況において第1クリアカウンタ1922または第2クリアカウンタ1923の値がしきい値を超えた場合にも、有利区間の終了に伴う初期化処理によって現在滞在している演出状態が強制終了して演出状態が非AT状態に初期化されるとともに、AT終了判定カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923の値が初期値(例えば、0)に初期化される。なお本実施形態では、電源のオン/オフによって演出状態が初期化されることないが、設定変更モードで起動された場合に、設定変更モードにおいて初期化処理が行われた場合にも、演出状態が非AT状態に初期化されるとともに、AT終了判定カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923の値が初期値(例えば、0)に初期化される。
【0121】
なお、有利区間においてビッグボーナス(BB)が当選してもビッグボーナス(BB)が入賞する前に有利区間の終了条件が成立して、有利区間の終了に伴う初期化処理が行われた場合には、そのビッグボーナス(BB)の入賞によって移行するBB状態は通常区間に設定され、有利区間においてBB状態に移行しても、BB状態の終了条件が成立する前に有利区間の終了条件が成立して、有利区間の終了に伴う初期化処理が行われた場合には、初期化処理後は遊技状態をBB状態としつつ通常区間に切り替わることになる。
【0122】
また本実施形態では、第1クリアカウンタ1922または第2クリアカウンタ1923の値がしきい値を超えた状況においてBB成立状態に滞在している場合でも有利区間が終了して、有利区間の終了に伴う初期化処理が行われるが、この場合には有利区間終了後の通常区間の遊技において既に当選していたビッグボーナス(BB)を入賞させても、そのビッグボーナス(BB)の入賞自体は有利区間への移行を伴うものではないので通常区間が維持される。
【0123】
また本実施形態では、第1クリアカウンタ1922または第2クリアカウンタ1923の値がしきい値を超えた状況においてBB状態に滞在している場合においてもBB状態の終了条件が成立しているか否かに関わらずに有利区間を終了させて、有利区間の終了に伴う初期化処理が行われて通常区間に移行するが、通常区間においてBB状態でもリプレイ、打順ベル1~打順ベル6、スイカ、およびチェリーの当選時に有利区間移行抽選が行われるようになっている。このため、BB状態に滞在している状況において有利区間が終了して、有利区間の終了に伴う初期化処理が行われた場合には初期化処理後の演出状態は必ず非AT状態となるが、そのBB状態において有利区間移行抽選に当選すれば有利区間への移行に伴い演出状態がAT低確状態に設定される場合がある。なお有利区間の終了に伴う初期化処理によっては遊技状態の初期化は行われないため、BB状態に滞在している状況において有利区間の終了に伴う初期化処理が行われた場合に初期化処理が行われるまでに消化したBB状態の遊技での払出数等の情報は、遊技状態記憶領域1916が情報保持領域として指定されている関係で有利区間の終了に伴う初期化処理によっては初期化されることはない。
【0124】
また本実施形態では、通常区間での有利区間移行抽選の当選により有利区間が開始されて有利区間内において所定条件下で演出状態をAT状態に設定してアシストタイム遊技を行うようになっているが、AT状態が終了しても有利区間の終了条件が成立していない限りは有利区間が維持されるようになっている。すなわち本実施形態では、AT状態の終了後も有利区間が継続するため、演出状態がAT状態からAT状態とは異なる演出状態に移行しても有利区間に滞在している場合が存在する。
【0125】
また特典付与手段175は、有利区間が開始されたことに基づいて区間表示器SECに内蔵されているLEDを点灯して有利区間に滞在していることを報知し、有利区間の終了に基づいて区間表示器SECに内蔵されているLEDを消灯する制御を行っている。そして本実施形態では通常区間および内部中待機区間では区間表示器SECに内蔵されているLEDは消灯されているようになっているため、区間表示器SECの点灯状態を確認することで有利区間に滞在しているか否かを判断できるようになっている。
【0126】
そして本実施形態では、特典付与手段175が、第1クリアカウンタ1922の値に基づいて有利区間に滞在していることの報知である有利区間報知を開始または終了させるようになっている。例えば、有利区間に移行することに伴って第1クリアカウンタ1922に所定値「1」が設定された場合に、第1クリアカウンタ1922の値が初期値「0」より大きくなったこと(第1クリアカウンタ1922の値が初期値「0」ではないこと)に基づいて有利区間報知を開始させ、有利区間が終了して通常区間に移行することに伴って第1クリアカウンタ1922の値が初期値「0」に初期化された場合に、第1クリアカウンタ1922の値が初期値「0」となったことに基づいて有利区間報知を終了させる。
【0127】
なお区間表示器SECは、本実施形態のように専用に設ける必要はなく、メイン表示器300と兼用するようにしてもよい。例えば、7セグメント表示器の小数点等を表示するドット表示部の点灯・消灯を切り替えるによって有利区間に滞在しているか否かを示し、通常区間ではドット表示部を消灯し、有利区間ではドット表示部を点灯することで有利区間報知とするようにしてもよい。また有利区間が開始されると区間表示器SECに内蔵されているLEDが点灯して即座に有利区間に滞在していることが報知されるようになっているが、有利区間の開始から所定の遊技回数が消化されるまでは有利区間であることを報知しない非報知区間としたり、有利区間における最初の正解打順報知が実行されるまでは有利区間であることを報知しない非報知区間としたりするようにしてもよい。
【0128】
演出制御手段180は、演出情報記憶手段190bのサブROMに設けられた演出データ記憶領域1925に記憶されている演出データに基づいて、表示装置330(演出装置の一例)を用いて行う表示演出や音響装置340(演出装置の一例)を用いて行う音響演出に関する制御を行う。例えば、メダルの投入やベットボタンB0、スタートレバーSL、ストップボタンB1~B3に対する操作、遊技状態の変動などの遊技イベントの発生に応じてランプやLEDを点灯あるいは点滅させたり、液晶ディスプレイLCDの表示内容を変化させたり、スピーカSPから音を出力させたりすることにより、遊技の進行状況に応じて、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。遊技において実行される演出の内容は、演出情報記憶手段190bのサブROMに設けられたサブ抽選テーブル記憶領域1926に記憶されている演出抽選テーブルを、遊技状態、演出状態、内部抽選の結果等に応じて参照して決定される。なお本実施形態では、サブROMの演出データ記憶領域1925から遊技の進行状況等に応じた画像データをサブRAMに設けられたイメージバッファ1927に読み込んで、イメージバッファ1927に読み込まれた画像データに基づく画像が液晶ディスプレイLCDに出力され、サブROMの演出データ記憶領域1925から遊技の進行状況等に応じたサウンドデータをサブRAMに設けられたサウンドバッファ1928に読み込んで、サウンドバッファ1928に読み込まれたサウンドデータに基づく音がスピーカSPから出力されるようになっている。
【0129】
そして演出制御手段180は、演出状態がAT状態である場合において、打順ベルの当選時に正解打順を報知して15枚小役(小役1~小役6)の入賞を補助する入賞補助演出を表示装置330や音響装置340に実行させる制御を行う。
【0130】
また演出制御手段180は、AT状態でアシストタイム遊技を行っている際には、AT状態が終了するまでの遊技回数の残数を液晶ディスプレイLCD等の表示装置330に表示させる残数表示演出を実行させる制御を行う。残数表示演出ではアシストタイム遊技を行うことによってAT終了判定カウンタ1921の値が減算されると、その減算分を反映するように遊技回数の残数も減っていくように表示内容が変更され、上乗せ抽選の当選によりAT終了判定カウンタ1921の値が増加すると、その増加分を反映するように遊技回数の残数が増えるように表示内容が変更される。
【0131】
また演出制御手段180は、有利区間においてBB状態に滞在している場合に、役物非作動状態でレギュラーボーナス(RB)が当選すると、レギュラーボーナス(RB)の入賞を促すために、赤7図柄「赤7」を狙って停止操作を行うべきことを報知する演出画像を液晶ディスプレイLCDに表示させるとともに、スピーカSPから「7を狙え!」とのメッセージを出力する演出を実行する制御を行う。かかる演出についてはレギュラーボーナス(RB)が当選した遊技のみならず、役物非作動状態のRB内部中において内部抽選の結果がハズレである遊技、すなわちレギュラーボーナス(RB)を入賞させることが可能な遊技において実行される。
【0132】
なお本実施形態の機能ブロック構成は、コンピュータシステム(ゲームシステムを含む)に関しても適用することができる。これらのシステムでは、本実施形態の遊技制御手段100としてコンピュータを機能させるプログラムを、CD、DVD等の情報記憶媒体あるいはインターネット上のWebサーバからネットワークを介してダウンロードすることによって、その機能を実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240等は、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネル、あるいはコントローラなどの操作手段に対してそれらの機能を仮想的に割り当てることにより実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、リールユニット310、ホッパーユニットHPなどは必須の構成要件ではなく、これらの装置ユニットは、ディスプレイ(表示装置330)に表示出力される画像の制御によってそれらの機能を仮想的に実現することができる。
【0133】
2.本実施形態の手法
本実施の形態では、BB状態において役物非作動状態と役物作動状態との間で遊技状態を移行させ、役物非作動状態の非内部中においてレギュラーボーナス(RB)が当選すると役物非作動状態のRB内部中となり、役物非作動状態のRB内部中では打順ベルの当選時において15枚小役が入賞しやすくなるように停止制御の内容が変更されて役物非作動状態の非内部中よりも出玉率の期待値が高い遊技を行うことができるようになっている。
【0134】
具体的に説明すると、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が当選していない状況で打順ベルが当選した場合(非内部中)と、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)が当選している状況で打順ベルが当選した場合(内部中)とにおいて正解打順の設定が異なっており、非内部中では、図8(A)に示すように、打順ベルに対して1種類の正解打順が設定されているのに対して、内部中では、図8(B)に示すように、打順ベルに対して最初に押下すべきストップボタンの種類が共通する2種類の正解打順が設定されている。すなわち内部中では、非内部中よりも15枚小役の入賞率が高くなるようになっている。このため、BB状態において役物非作動状態のRB内部中では、役物非作動状態の非内部中よりも出玉率の期待値が高くなる。
【0135】
また本実施の形態では、15枚小役の入賞機会を役物非作動状態よりも減らすことによって、役物作動状態では役物非作動状態のRB内部中よりも出玉率の期待値が低い遊技を行わせることができるようになっている。
【0136】
具体的に説明すると、役物非作動状態では15枚小役である小役1~小役6が互いに重複して当選することがないように打順ベル1~打順ベル6に振り分けて抽選されているのに対して、役物作動状態ではJAC1によって小役1~小役6が重複して当選するように抽選されるようになっており、打順ベル1~打順ベル6に割り当てられる乱数値の総量に対してJAC1に割り当てられる乱数値の総量を1/6に抑えている。このため、役物非作動状態と役物作動状態とでは小役1~小役6のそれぞれの当選確率は変わらないが、役物作動状態では、役物非作動状態よりも15枚小役の入賞機会が減少する。また1枚小役である小役7~小役12については、JAC1に含まれるだけではなく、JAC2にも含まれており、小役の当選に割り当てられる乱数値の総量が役物非作動状態と役物作動状態とにおいて同一となっていることから、役物作動状態では役物非作動状態よりも小役7~小役12の当選確率は上昇し、小役の当選確率を上昇させる役物としての機能を担保している。このように本実施の形態では、役物作動状態において1枚小役の当選確率を上昇させつつ15枚小役の入賞機会を減少させることで、役物作動状態の出玉率の期待値を役物非作動状態のRB内部中の出玉率の期待値よりも低くすることができるようになっている。
【0137】
すなわち本実施の形態では、ビッグボーナス(BB)の入賞によって移行するBB状態では、役物作動状態のRB内部中で遊技を行うことがメダルの獲得に関して最も有利な状況となっている。
【0138】
しかしながら、本実施の形態のようなアシストタイム遊技を主要なメダルの獲得性能とする遊技機では、アシストタイム遊技を行う権利を得ていない状況において、できる限りメダルの獲得性能を低くすることによってアシストタイム遊技でのメダルの獲得性能を向上させることが求められる。
【0139】
そこで本実施の形態では、有利区間において、BB状態の役物作動状態に滞在している状況では、BB状態の役物非作動状態に滞在している状況よりも有利な条件でアシストタイム遊技の権利を付与するか否かを決定するようになっている。
【0140】
具体的に説明すると、有利区間において、アシストタイム遊技の権利を獲得可能な演出状態として、AT低確状態と、AT高確状態とが存在しており、AT低確状態からAT高確状態へ移行するためにはBB状態においてレギュラーボーナス(RB)が入賞して役物作動状態へ移行する必要がある。すなわち有利区間においてアシストタイム遊技を行う権利を得ていない場合に、役物作動状態に滞在している状況において演出状態がAT高確状態となり、役物非作動状態に滞在している状況において演出状態がAT低確状態となる。そしてAT高確状態ではAT低確状態よりも当選確率が高いAT抽選が行われ、役物作動状態においてJAC1またはJAC2の当選を得る確率は、役物非作動状態においてスイカまたはチェリーの当選を得る確率よりも高くなるように内部抽選が行われる。このため有利区間において役物作動状態に滞在している状況では、有利区間において役物非作動状態に滞在している状況よりも有利な条件でアシストタイム遊技の権利を付与するか否かを決定することができる。
【0141】
このように本実施の形態では、BB状態の遊技において、役物非作動状態でレギュラーボーナス(RB)が当選すると、出玉率の期待値が高い遊技を行うことができるが、アシストタイム遊技の権利を獲得していない状況では、役物作動状態で遊技を行った方がAT状態への移行期態度が高い遊技を行うことができるようになっている。このため、有利区間において演出状態がAT状態ではない場合には、BB状態の役物非作動状態のRB内部中ではレギュラーボーナス(RB)を入賞させる動機付けを与えることができるため、役物非作動状態のRB内部中への滞在が短期間で済むようになる。
【0142】
一方、有利区間においてAT状態に滞在している状況では、役物非作動状態では打順ベルの当選時に15枚小役の入賞補助があるため、出玉率の期待値が大幅に上昇するが、役物作動状態ではアシストタイム遊技の恩恵を受けることができないため、役物非作動状態でレギュラーボーナス(RB)が当選しても、入賞させずに役物非作動状態のRB内部中を維持した方がメダルの獲得に関して有利に遊技を進めることができる。特に本実施の形態では、役物非作動状態のRB内部中では打順ベルの当選時の正解打順が増加し、最初に押下するストップボタンの種類さえ適切であれば15枚小役を入賞させることができるため、アシストタイム遊技における遊技者の操作負担を軽減して遊技の消化をスムーズにすることができる。なお本実施の形態では、レギュラーボーナス(RB)は1種類であったが複数種類のレギュラーボーナス(RB)を設けるようにしてもよい。
【0143】
また本実施の形態では、シングルボーナス(SB)の入賞によって移行するSB状態を設定可能とし、SB状態においても小役に関してBB状態の役物作動状態と同様の抽選態様を用いて出玉率の期待値が低い遊技を行わせるようになっている。
【0144】
具体的には、通常状態においては打順ベル1~打順ベル6によって6種類の15枚小役(小役1~小役6)が互いに重複せずに当選するようになっているが、SB状態においてはJAC1によって15枚小役が重複して当選し、打順ベル1~打順ベル6の当選に割り当てられる乱数値の総量に対してJAC1の当選に割り当てられる乱数値の総量を1/6とすることで、通常状態とSB状態とにおいて各15枚小役の当選確率は変えずにSB状態では通常状態よりも15枚小役の入賞機会が少なくなるように内部抽選を行っている。
【0145】
そして有利区間において演出状態がAT状態である場合には、通常状態では打順ベルの当選時に15枚小役の入賞補助があるため、出玉率の期待値が大幅に上昇するが、SB状態ではアシストタイム遊技の恩恵を受けることができないため、AT状態では通常状態においてシングルボーナス(SB)が当選しても入賞しない態様で停止操作を行うようにすれば、シングルボーナス(SB)の抽選フラグは次回以降の遊技には持ち越されないため、出玉率の期待値が低い遊技を避けることができる。
【0146】
一方、有利区間においてアシストタイム遊技ではない遊技を行っている場合には、JAC1やJAC2の当選によってAT抽選を受けることができるため、通常状態の遊技を行っている場合よりもAT抽選の機会が多くなる。このため、有利区間であるがアシストタイム遊技の権利を得ていない状況では、通常状態においてシングルボーナス(SB)が当選した場合に積極的にシングルボーナス(SB)を入賞させる動機付けを遊技者に与えることができる。すると有利区間でアシストタイム遊技を行っていない状況では出玉率の期待値が低い遊技を遊技者に積極的に行わせることができるようになるため、その分だけアシストタイム遊技におけるメダルの獲得性能を向上させるような設計が可能となる。
【0147】
なお本実施の形態では、シングルボーナス(SB)が1種類であるため、通常区間の遊技においてはシングルボーナス(SB)を意識的に避けるような遊技手順が存在してしまう。そこでシングルボーナス(SB)を複数種類設けて、これらを同時に入賞を回避するような停止操作の態様が存在しないように各シングルボーナス(SB)の入賞形態を構成する図柄組合せを設定することで、通常区間の遊技においてもシングルボーナス(SB)の入賞を自然的に発生させ、出玉率の期待値が低い遊技を通常区間においても行わせるようにしてアシストタイム遊技におけるメダルの獲得性能の向上を図ることもできる。
【0148】
また本実施の形態では、BB成立状態においても通常状態とは打順ベルの当選時の停止制御の内容が異なり、通常状態では、各打順ベルに対して1種類の正解打順が割り当てられている一方で、BB成立状態では、各打順ベルに対して最初に押下するストップボタンの種類が共通する2種類の正解打順が割り当てられており、BB成立状態の方が通常状態よりも15枚小役が入賞しやすくなっている。このためBB成立状態では通常状態よりも出玉率の期待値が高い遊技を行うことができるが、本実施の形態では、通常区間においてビッグボーナス(BB)に当選すると、有利区間移行抽選には必ず当選することにより有利区間に移行するため、BB成立状態の遊技を長引かせると、演出状態がAT低確状態での遊技を消化することになるばかりではなく、遊技が行われる毎に第1クリアカウンタ1922が更新されることにより有利区間の滞在可能な遊技回数を消費してしまう。そしてBB状態では、役物非作動状態において比較的高確率でレギュラーボーナス(RB)が当選し、レギュラーボーナス(RB)を入賞させて役物作動状態に移行させれば、演出状態をAT高確状態に移行させることができる。このように本実施の形態では、通常区間においてビッグボーナス(BB)が当選した場合には、速やかにビッグボーナス(BB)を入賞させてBB状態に移行させた方がアシストタイム遊技の権利を獲得しやすい状況が形成されるようになっているため、ビッグボーナス(BB)を入賞させるための積極的な動機付けを与えることによってアシストタイム遊技ではない状況においてBB成立状態で長期に亘って遊技が行われることを防ぐことができる。
【0149】
また本実施の形態では、有利区間においてAT状態かつBB成立状態に滞在している状況では、ビッグボーナス(BB)を入賞させても有利度合いに変化がなく、またBB成立状態では出玉率の期待値が低いSB状態の移行契機となるシングルボーナス(SB)が抽選対象から外れるため、BB成立状態を維持するようにしてアシストタイム遊技を行う方がメダルの獲得に関して有利となる。
【0150】
以上の述べた本実施の形態では、有利区間においてアシストタイム遊技によって15枚小役(小役1~小役6)の入賞を補助することによってメダルの獲得性能を上昇させる機能を有している。そして本実施の形態では、ビッグボーナス(BB)の入賞によって移行するBB状態において、役物非作動状態と役物作動状態とを設定可能とし、役物非作動状態ではレギュラーボーナス(RB)を抽選対象とした内部抽選を行って、レギュラーボーナス(RB)が入賞すると役物作動状態に移行する。
【0151】
そして本実施の形態では、役物非作動状態においてレギュラーボーナス(RB)が当選してもレギュラーボーナス(RB)が入賞せずにレギュラーボーナス(RB)の当選した状態が持ち越される場合があり、6種類の15枚小役(小役1~小役6)に関して互いに重複せずに当選する打順ベル1~打順ベル6が存在し、レギュラーボーナス(RB)が当選してから入賞するまでの遊技では打順ベルが当選した場合における停止制御の内容が変更されて正解打順が増加し、これによって15枚小役(小役1~小役6)の入賞率が上昇することによりレギュラーボーナス(RB)の当選以前よりもメダルの獲得性能が上昇する。
【0152】
一方、役物作動状態では、複数種類の15枚小役(小役1~小役6)が重複して当選するJAC1が存在し、JAC1の当選確率が役物非作動状態において打順ベル1~打順ベル6のいずれかの当選となる確率よりも低くなるように小役の抽選態様が変更されて15枚小役(小役1~小役6)の入賞機会が減少して、役物非作動状態でレギュラーボーナス(RB)が当選している状態の遊技よりもメダルの獲得性能が低くなる。
【0153】
すなわち本実施の形態では、BB状態において役物非作動状態でレギュラーボーナス(RB)が当選すると、メダルの獲得性能が上昇するが、レギュラーボーナス(RB)を入賞させて役物作動状態に移行するとメダルの獲得性能が低下してしまうようになっている。そしてBB状態では、終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物作動状態との間で遷移可能となっており、アシストタイム遊技ではないにも関わらずに役物非作動状態でレギュラーボーナス(RB)が当選した状態で長期に亘って遊技が行われてしまうと、全ての遊技を通じての出玉率を底上げしてしまうことになり、アシストタイム遊技でのメダルの獲得性能を十分に上昇させることができなくなってしまう。
【0154】
そこで本実施の形態では、有利区間においてアシストタイム遊技を行う権利を付与するか否かを決定するAT抽選について、役物作動状態では役物非作動状態よりも有利な条件でAT抽選を行うようにすることで、役物非作動状態でレギュラーボーナス(RB)に当選してもレギュラーボーナス(RB)を入賞させる動機付けを与えることによってメダルの獲得性能が低い役物作動状態での遊技が行われるように誘導することで、役物非作動状態でレギュラーボーナス(RB)が当選した状況が長続きしないようにすることができる。
【0155】
このように本実施の形態では、レギュラーボーナス(RB)の当選を契機にメダルの獲得性能を上昇させることと、レギュラーボーナス(RB)の入賞後の遊技においてメダルの獲得性能を低下させることとを組み合わせることによって、メダルの獲得性能を好適に調整可能としてアシストタイム遊技を行うことができる遊技機の設計自由度を向上させることができる。特に本実施の形態では、BB状態の役物作動状態における出玉率の低減効果によってAT抽選の当選確率を高めに設定することもできるようになり、遊技者に有利な状況を体験させやすい遊技仕様を実現することができるようになる。
【0156】
なおBB状態の全体を通じての遊技媒体の獲得性能は、通常状態よりも高くなっており、かつBB状態においてアシストタイム遊技を行っていない状況であってもBB状態の全体を通じて遊技者の手持ちのメダルが増加する程度(出玉率が100%以上)となっていることが好ましい。
【0157】
また本実施の形態では、BB状態でアシストタイム遊技を行う場合に、役物非作動状態では役物作動状態よりもメダルの獲得性能が高くなっている。このため本実施の形態によれば、BB状態においてアシストタイム遊技を行っている状況であるか否かによって役物作動状態の役割が異なり、アシストタイム遊技ではない遊技を行っている状況ではアシストタイム遊技を行う権利を得るためにレギュラーボーナス(RB)を積極的に入賞させて役物作動状態へ移行してメダルの獲得性能が低い遊技が行われることによって出玉率の上昇を防ぎ、アシストタイム遊技を行っている状況ではレギュラーボーナス(RB)の入賞を回避することでメダルの増加を目指すことができるようになる。
【0158】
また本実施の形態では、通常区間におけるビッグボーナス(BB)の当選によって有利区間への移行が確定し、有利区間ではBB状態の役物作動状態に滞在している状況において演出状態がAT高確状態となってアシストタイム遊技の権利を獲得しやすくなることから、ビッグボーナス(BB)の当選後は速やかにBB状態への移行が達成されることが望ましく、その一方で、ビッグボーナス(BB)の入賞のみでは即座に有利な状況となるわけではないことから、遊技者が意識せずにBB状態へ移行することが商品性の観点から好ましいといえる。
【0159】
そこで本実施の形態では、ビッグボーナス(BB)の入賞形態を示す図柄組合せを「黒BAR・RP・RP」によって構成し、第1リールR1を停止させる際に限って適切なタイミングで停止操作を行えば第2リールR2および第3リールR3については遊技者の停止操作の態様に関わらずにビッグボーナス(BB)が入賞するようにしている。特に本実施の形態では、通常状態において小役を取りこぼさないように遊技を行うためには、チェリーの当選時に小役14の入賞を狙って停止操作を行っている必要がある。そして図7に示すように、第1リールR1においてチェリー図柄「CH」は黒バー図柄「黒BAR」と隣接して配列されているため、小役14の取りこぼしを防ぐように黒バー図柄「黒BAR」を狙って停止操作を行っていれば、その停止操作によってビッグボーナス(BB)の入賞も同時に狙うことができるようになっている。すなわち本実施の形態によれば、入賞自体が遊技者にとって特段の利益とはならないが、その後の遊技の展開を考慮すると、速やかに入賞させることが望ましいビッグボーナス(BB)について、遊技者がその当選および入賞を意識せずに自然な形でBB状態の遊技に進ませることができるようになる点で遊技者の操作負担を軽減することができる。
【0160】
なお本実施の形態では、有利区間においてBB状態に滞在している場合に、役物非作動状態および役物作動状態のいずれにおいてもAT抽選を実行可能として、役物作動状態の方が役物非作動状態よりも有利な条件でAT抽選を行うようにしたが、BB状態では役物作動状態に滞在している場合に限ってAT抽選を行うようにしてもよい。このようにしても、BB状態においてレギュラーボーナス(RB)を入賞させる動機付けを与えることによってメダルの獲得性能が低い役物作動状態での遊技が行われるように誘導することで、役物非作動状態でレギュラーボーナス(RB)が当選した状況が長続きしないようにすることができる。例えば、AT抽選の実行契機となる当選態様をJAC1およびJAC2に限定すれば、有利区間では、SB状態またはBB状態の役物作動状態でのみAT抽選が行われるようにすることができる。この場合には、JAC1の当選時においてはJAC2の当選時よりもAT抽選に当選しやすくすることで有利度合いに差を設けてもよい。
【0161】
また本実施の形態では、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)の当選によって打順ベルに対する正解打順が2種類に増加するようになっていたが、正解打順が3種類以上に増加するようにしてメダルの獲得性能が上昇するようになっていてもよい。なおビッグボーナス(BB)の当選している状況とレギュラーボーナス(RB)が当選している状況とでは停止制御の内容が異なっていてもよく、例えば、ビッグボーナス(BB)が当選している状況では打順ベルに対する正解打順が2種類に増加するが、レギュラーボーナス(RB)が当選している状況では打順ベルに対する正解打順が4種類に増加するなどとしてもよい。
【0162】
また役物作動状態での内部抽選の抽選態様については本実施の形態で述べたものに限られず、例えば、役物作動状態においてリプレイを抽選対象としたり、ハズレが存在していてもよい。また役物非作動状態ではリプレイを抽選対象から除外してもよいが、アシストタイム遊技を行っている場合において通常状態と役物非作動状態とにおいてメダルの獲得性能が異なってしまうことになるため、通常状態と役物非作動状態とではリプレイの当選確率は同一または略同一であることが好ましい。
【0163】
また役物作動状態と役物非作動状態とでは、有利区間において演出状態が同一であっても内部抽選で得られた当選態様に応じてAT抽選の当選確率が異なることで役物作動状態では役物非作動状態よりもAT状態の移行期態度が高くなるようにしてもよく、例えば、スイカやチェリーの当選時よりもJAC1の当選時の方がAT抽選に当選しやすくなっていてもよい。
【0164】
また本実施の形態のような遊技機を市場に提供するためには、上記した出玉率のみならず役物比率や連続役物比率と呼ばれる指標についても所定の基準を超えないように設計する必要があり、本実施の形態では、SB状態において払い出されるメダルの数と、BB状態における役物作動状態において払い出されるメダルの数とが役物比率に係る役物作動中に払い出されたメダルとして計数され、BB状態における役物作動状態において払い出されるメダルの数が連続役物比率に係る役物作動中に払い出されたメダルとして計数される。この場合に、設計上の役物比率は当選した小役を必ず入賞させたものとして算出されるため、15枚のメダルの払い出しを可能とする当選態様であるJAC1と、1枚のメダルしか払い出されない当選態様であるJAC2とを役物作動状態において抽選対象とすることで、SB状態や役物作動状態における小役の当選態様としてJAC1のみを抽選対象とした場合に比べて設計上の役物比率や連続役物比率を低く抑えることができるようになる。
【0165】
また本実施の形態では、通常状態、BB成立状態、およびBB状態の役物非作動状態において内部抽選で得られる小役の当選態様として打順ベル1~打順ベル6を設けている。ここで打順ベル1~打順ベル6では、当選態様に応じた適切な押下順序で停止操作が行われなければ、15枚のメダルを獲得することができないが、設計上の役物比率の算出においては、内部抽選で得られた小役については取りこぼすことなく最大枚数のメダルを獲得できるように小役を入賞させたものとしてメダルの払出数が計数されるため、打順ベル1~打順ベル6の当選確率を高めるほど、役物作動中ではない遊技(通常状態、BB成立状態、およびBB状態の役物非作動状態での遊技)におけるメダルの払出数を高くすることができ、結果として設計上の役物比率や連続役物比率を低く抑えることができるようになる。また本実施の形態のようなアシストタイム遊技を行うことができる遊技機に関しては、アシストタイム遊技と役物作動中の遊技とによって払い出されたメダルの割合を示す指標である指示込み役物比率についても所定の基準を下回る必要があるが、BB成立状態とBB状態における役物非作動状態のRB内部中とにおいて打順ベル1~打順ベル6の当選時に正解打順を増加させて15枚のメダルの払い出しを受けやすく構成していることで、役物作動中ではない遊技におけるメダルの払出数の割合を高める効果を期待することができ、その結果、指示込み役物比率を低く抑えることができるようになる。
【0166】
そして本実施の形態では、打順ベル1~打順ベル6の当選確率を高めに設定するほど設計上の出玉率を上昇させてしまうが、打順ベル1~打順ベル6に含まれる15枚小役(小役1~小役6)を重複して当選させるJAC1を抽選対象とするSB状態およびBB状態の役物作動状態によって設計上の出玉率を低くすることができ、上記したようにSB状態での遊技におけるメダルの払出数は、連続役物比率には算入されない一方で、役物比率には算入され、また連続役物比率は60%以下に抑える必要がある一方で、役物比率については70%以下に抑えればよいため、役物比率の基準を満たすように、通常状態での打順ベル1~打順ベル6およびシングルボーナス(SB)の当選確率ならびにSB状態でのJAC1の当選確率を設計することで、設計上の出玉率、役物比率、および連続役物比率を適切なものとしつつ、市場での実際の遊技では出玉率を低下させる要因となるシングルボーナス(SB)の入賞やレギュラーボーナス(RB)の入賞が回避可能であることによりアシストタイム遊技でのメダルの獲得性能を高くすることができる。
【0167】
また上記のようにアシストタイム遊技でのメダルの獲得性能を高くすることによって通常状態かつAT状態に滞在している状況での出玉率を高くすることができるので、従来のアシストタイム機能を備えた遊技機のように通常状態においてリプレイの当選確率を上昇させることなく、アシストタイム遊技のみでメダルの獲得性能を好適に調整することができるようになる。特に出玉率に関する適合を判定する試験において、リプレイについてはメダルの投入数および払出数に算入されないため、リプレイの当選確率を上昇させることによってメダルの獲得性能を調整しようとすると試験に適合しないリスクが高くなりやすくなるが、本実施の形態の手法によれば、通常状態におけるメダルの獲得性能をリプレイの当選確率に依存せずに小役の入賞確率によって好適に調整することができる。特に本実施の形態では、BB成立状態およびBB状態における役物非作動状態のRB内部中において、打順ベル1~打順ベル6の当選時に正解打順を増加させて15枚のメダルの払い出しを受けやすくする手法を採用することによって、出玉率の下限規制を満たすことを担保しつつ通常状態およびBB状態における役物非作動状態の非内部中のメダルの獲得性能を低めに設計することが可能となり、アシストタイム遊技とアシストタイム遊技ではない遊技との間のメダルの獲得性能の差を大きくすることができるようになる。
【0168】
また本実施の形態では、シングルボーナス(SB)の当選確率は設定値によっては変動しないものとしていたが、シングルボーナス(SB)の当選確率が設定値に応じて変動し、設定値が高くなるほどシングルボーナス(SB)の当選確率が低くなるようにしてもよい。このようにすれば、設定値が高いほど出玉率の低いSB状態に滞在しにくくなるため、設定値が高くなるほど設計上の出玉率が向上する効果を得ることができる。
【0169】
また遊技情報記憶手段190aのメインRAMに第1クリアカウンタ1922および第2クリアカウンタ1923とは異なる有利区間における出玉状況を確認するためのカウンタを別途設けて、有利区間における出玉率やメダルの増加速度(1遊技当たりのメダルの増加量)などを監視できるようにしてもよい。この場合に、所定回数分のアシストタイム遊技を行った後で、AT終了判定カウンタ1921の値に基づき残りアシストタイム遊技を行うことが決定されている際に、有利区間の出玉率やメダルの増加速度を確認してメダルが急激に増加していると判断される場合には、有利区間を維持したまま、残りのアシストタイム遊技の開始を保留し、出玉率やメダルの増加速度等の指標が予め定められた基準を下回ってから残りのアシストタイム遊技を行わせるように構成してもよい。このようにしても第2クリアカウンタ1923の値に基づく有利区間の終了であれば2400枚のメダルの増加は可能であり、アシストタイム遊技によるメダルの獲得性能を従来の遊技機より大幅に高めても出玉率やメダルの増加速度を好適に調整することができる。
【0170】
また本実施の形態において、BB状態でアシストタイム遊技を行っている場合には、役物非作動状態よりも役物作動状態の方がメダルの獲得性能が低くなることから、BB状態においてアシストタイム遊技を行っている場合に、役物作動状態を出玉率の急激な増加を抑えるインターバル区間として活用するようにしてもよい。例えば、所定回数分のアシストタイム遊技を行った後で、AT終了判定カウンタ1921の値に基づき残りアシストタイム遊技を行うことが決定されている際に、有利区間を維持したまま、残りのアシストタイム遊技の開始を保留して役物作動状態への移行を促し、役物作動状態が終了した後に保留されているアシストタイム遊技を行わせるような構成とすることができる。
【0171】
また本実施の形態では、有利区間において演出状態がAT状態である場合に正解打順報知や入賞補助演出が行われる場合について説明をしたが、例えば、有利区間において演出状態がAT高確状態である場合についても正解打順報知や入賞補助演出が行われるようにしてもよい。すなわち有利区間においてAT状態でのアシストタイム遊技以外の遊技についても正解打順報知および入賞補助演出が行われる遊技については補助遊技に含めることができる。上記以外の例としては、有利区間においてCZ状態へ移行させるか否かを抽選等により決定し、CZ状態へ移行すると正解打順報知および入賞補助演出を実行可能とし、CZ状態では他の演出状態よりも有利な条件でAT状態へ移行する権利を付与するか否かを決定するような場合である。この場合に、有利区間においてBB状態の役物作動状態ではBB状態の役物非作動状態よりも有利な条件でCZ状態へ移行する権利を付与するか否かを決定することができる。
【符号の説明】
【0172】
BX 収納箱、UD 前面上扉、DD 前面下扉、DW 表示窓、
L1 有効ライン、DS 遊技情報表示部、LCD 液晶ディスプレイ、
BS 設定変更ボタン、KS 設定変更キーシリンダ、SEC 区間表示器、
EU 電源ユニット、ES 電源スイッチ、SP スピーカ、
PS リールユニット収納スペース、MAIN メイン基板、SUB サブ基板、
HP ホッパーユニット、MT メダル貯蔵タンク、CB キャッシュボックス、
R1 第1リール、R2 第2リール、R3 第3リール、
B0 ベットボタン、SL スタートレバー、B1~B3 ストップボタン、
MI メダル投入口、MO メダル払い出し口、MP メダル受け皿、
100 遊技制御手段、
103 設定変更手段、105 投入受付手段、110 乱数発生手段、
120 内部抽選手段、130 リール制御手段、140 入賞判定手段、
150 払出制御手段、160 リプレイ処理手段、
170 遊技状態移行制御手段、175 特典付与手段、
180 演出制御手段、
190a 遊技情報記憶手段、1910 メイン抽選テーブル記憶領域、
1911 停止制御テーブル記憶領域、1912 入賞判定テーブル記憶領域、
1913 設定値記憶領域、1914 クレジット情報記憶領域、
1915 抽選フラグ記憶領域、1916 遊技状態記憶領域、
1919 演出状態記憶領域、1921 AT終了判定カウンタ、
1922 第1クリアカウンタ、1923 第2クリアカウンタ、
190b 演出情報記憶手段、1925 演出データ記憶領域、
1926 サブ抽選テーブル記憶領域、
1927 イメージバッファ、1928 サウンドバッファ、
210 メダル投入スイッチ、220 ベットスイッチ、230 スタートスイッチ、
240 ストップスイッチ、250 設定変更許可スイッチ、
260 設定変更スイッチ、300 メイン表示器、
310 リールユニット、315 リールインデックス、
325 払出メダル検出スイッチ、330 表示装置、340 音響装置、
図1
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