(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】電気錠装置、認証キーの認証システム、方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20221107BHJP
G06F 21/33 20130101ALI20221107BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
E05B49/00 B
G06F21/33
H04Q9/00 301Z
(21)【出願番号】P 2020079695
(22)【出願日】2020-04-28
(62)【分割の表示】P 2018230687の分割
【原出願日】2018-12-10
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】511112272
【氏名又は名称】株式会社グラモ
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】後藤 功
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/040939(WO,A1)
【文献】特開2018-16995(JP,A)
【文献】特開2008-158815(JP,A)
【文献】特開2017-25584(JP,A)
【文献】特開2009-163389(JP,A)
【文献】特開2017-223092(JP,A)
【文献】特表平9-505957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00-49/04
77/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を施開錠する電気錠装置であって、
上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードを記憶する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記扉を施開錠する施開錠機構と、
上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、
上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付手段と、
上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第一の認証処理手段と、
上記認証コードの認証処理に失敗した場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理手段と、
上記同期を実行した後に、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第二の認証処理手段と、
上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御手段と、を有する、
電気錠装置。
【請求項2】
扉を施開錠する電気錠装置であって、
上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードを記憶する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記扉を施開錠する施開錠機構と、
上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、
上記管理サーバとの同期を指示する同期指示コードと、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付手段と、
上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第一の認証処理手段と、
上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理に失敗した場合に、上記入力を受け付けた認証キーに含まれる上記同期指示コードを判別する判別処理手段と、
上記入力を受け付けた認証キーに上記同期指示コードが含まれていた場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理手段と、
上記同期処理を実行した後に、上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する第二の認証処理手段と、
上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御手段と、を有する、
電気錠装置。
【請求項3】
上記認証コードには、所定の失効条件が設定されており、
上記認証コードの失効条件の具備を判断する判断処理手段と、
上記認証コードが失効条件を具備したと判断された場合に、上記認証コードを失効させる設定手段と、をさらに有する、
請求項1又は2記載の電気錠装置。
【請求項4】
バッテリーを内蔵し、無線通信により上記管理サーバと情報の送受信を実行する、
請求項1乃至3いずれかの項に記載の電気錠装置。
【請求項5】
上記無線通信は、LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークを介して実行される、
請求項4記載の電気錠装置。
【請求項6】
扉を施開錠する権限を認証する認証コードを記憶する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記扉を施開錠する施開錠機構と、
上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、を有する電気錠装置によって実行される方法であって、
上記電気錠装置が、
上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付処理と、
上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第一の認証処理と、
上記認証コードの認証処理に失敗した場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理と、
上記同期を実行した後に、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第二の認証処理と、
上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御処理と、を実行する、
認証コードの認証方法。
【請求項7】
扉を施開錠する権限を認証する認証コードを記憶する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記扉を施開錠する施開錠機構と、
上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、を有する電気錠装置において実行されるコンピュータプログラムであって、
上記電気錠装置に対し、
上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付処理と、
上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第一の認証処理と、
上記認証コードの認証処理に失敗した場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理と、
上記同期を実行した後に、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第二の認証処理と、
上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御処理と、を実行させる、
コンピュータプログラム。
【請求項8】
扉を施開錠する権限を認証する認証コードを記憶する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記扉を施開錠する施開錠機構と、
上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、を有する電気錠装置によって実行される方法であって、
上記電気錠装置が、
上記管理サーバとの同期を指示する同期指示コードと、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付処理と、
上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第一の認証処理と、
上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理に失敗した場合に、上記入力を受け付けた認証キーに含まれる上記同期指示コードを判別する判別処理と、
上記入力を受け付けた認証キーに上記同期指示コードが含まれていた場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理と、
上記同期処理を実行した後に、上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する第二の認証処理と、
上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御処理と、を実行する、
認証コードの認証方法。
【請求項9】
扉を施開錠する権限を認証する認証コードを記憶する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記扉を施開錠する施開錠機構と、
上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、を有する電気錠装置において実行されるコンピュータプログラムであって、
上記電気錠装置に対し、
上記管理サーバとの同期を指示する同期指示コードと、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付処理と、
上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第一の認証処理と、
上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理に失敗した場合に、上記入力を受け付けた認証キーに含まれる上記同期指示コードを判別する判別処理と、
上記入力を受け付けた認証キーに上記同期指示コードが含まれていた場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理と、
上記同期処理を実行した後に、上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する第二の認証処理と、
上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御処理と、を実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の扉に取り付けられる電気錠装置に関し、特に認証キーを発行、管理する管理サーバ管理サーバとの同期処理による駆動電源の消費を抑える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「スマートロック」とよばれるスマートフォン、タブレットなどの携帯端末で開錠可能な電気錠装置が大きな注目を集めている。
このような電気錠装置は、従来の金属製の鍵をデジタル化することによって、鍵の受け渡しが極めて容易にし、家族や友人、宅配業者等に日時、期間等を定めた一時的な鍵を渡すことができる。
【0003】
この点、特許文献1では、1又は複数の電子錠に対する遠隔からの管理方法であって、前記1又は複数の電子錠に対する開錠権限の指定を受け取るステップと、前記開錠権限に対応する開錠情報を生成するステップと、前記開錠情報をユーザー端末に送信するステップと、前記開錠情報に基づく開錠要求を受け取るステップと、前記開錠要求に応じて開錠信号を前記1又は複数の電子錠のうちの少なくとも1つに送信するステップとを含むことを特徴とする管理方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気錠装置はその性質上、認証キーを管理等する管理サーバと同期するめの通信が発生するが、設置場所の都合等でLANケーブルを敷設することが困難な場合があり、設置場所における設備インフラから独立設置可能な無線通信システムの導入、具体的には、及びローパワーワイドエリア(LPWA)などの導入が望まれる。
一方で、電気錠装置を他の設備から独立した装置とするためには、通信システムのみならず、駆動電源についても内蔵させるのが好適であるが、電気錠装置が管理サーバと頻繁に通信を行えば、駆動電源をすぐに消費し、すぐに駆動電源の取り換えを要することになるという不都合を生じる。
【0006】
そこで、本発明は、電気錠装置における認証キーの認証において、必要なタイミングでのみ管理サーバとの同期処理を実行し、電気錠装置の駆動電源の消費を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る電気錠装置は、扉を施開錠する電気錠装置であって、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードを発行する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記扉を施開錠する施開錠機構と、上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、上記管理サーバとの同期を指示する同期指示コードと、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付手段と、上記認証キーに含まれる上記同期指示コードを判別する判別処理手段と、上記認証キーに上記同期指示コードが含まれていた場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理手段と、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する認証処理手段と、上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御手段と、を有する。
【0008】
また、上記認証コードには、所定の失効条件が設定されており、上記認証コードの失効条件の具備を判断する判断処理手段と、上記認証コードが失効条件を具備したと判断された場合に、上記認証コードを失効させる設定手段と、をさらに有するものとしてもよい。
【0009】
また、上記入力受付手段はさらに、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードのみによって構成される上記認証キーの入力を受け付けるものとしてもよい。
【0010】
また、バッテリーを内蔵し、無線通信により上記管理サーバと情報の送受信を実行するものとしてもよい。
【0011】
また、上記無線通信は、LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークを介して実行されるものとしてもよい。
【0012】
また、本発明の別の観点に係る認証キーの認証システムは、扉を施開錠する施開錠機構と、扉を施開錠する権限を認証する認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、を有する電気錠装置と、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードを発行する管理サーバと、がネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにより、認証コードを発行する処理と、上記電気錠装置と上記管理サーバとの同期を指示する同期指示コードと、上記認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける受付処理と、上記認証キーに含まれる上記同期指示コードを判別する判別処理と、上記認証キーに上記同期指示コードが含まれていた場合に、上記電気錠装置と上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理と、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する認証処理と、上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御処理と、を実行する。
【0013】
また、本発明の別の観点に係る電気錠装置は、扉を施開錠する電気錠装置であって、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードを発行する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記扉を施開錠する施開錠機構と、上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、上記管理サーバによる認証を要求する同期要求コードと、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付手段と、上記認証キーに含まれる上記認証要求コードを判別する判別処理手段と、上記認証キーに上記認証要求コードが含まれていた場合に、上記管理サーバに対し、認証要求と共に上記認証キーを送信する認証要求送信手段と、上記管理サーバから、上記認証キーの認証結果を受信する認証結果受信手段と、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する認証処理手段と、上記認証処理手段による認証結果又は上記管理サーバから受信した認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御手段と、を有する。
【0014】
また、本発明の別の観点に係る認証キーの認証方法は、扉を施開錠する権限を認証する認証コードを発行する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記扉を施開錠する施開錠機構と、上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、を有する電気錠装置によって実行される方法であって、上記電気錠装置が、上記管理サーバとの同期を指示する同期指示コードと、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付処理と、上記認証キーに含まれる上記同期指示コードを判別する判別処理と、上記認証キーに上記同期指示コードが含まれていた場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理と、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する認証処理と、上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御処理と、を実行する。
【0015】
また、本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、扉を施開錠する権限を認証する認証コードを発行する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記扉を施開錠する施開錠機構と、上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、を有する電気錠装置において実行されるコンピュータプログラムであって、上記電気錠装置に対し、上記管理サーバとの同期を指示する同期指示コードと、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付処理と、上記認証キーに含まれる上記同期指示コードを判別する判別処理と、上記認証キーに上記同期指示コードが含まれていた場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理と、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する認証処理と、上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御処理と、を実行させる。
【0016】
また、本発明の別の観点に係る認証キーの認証方法は、扉を施開錠する権限を認証する認証コードを発行する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記扉を施開錠する施開錠機構と、上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、を有する電気錠装置によって実行される方法であって、上記電気錠装置が、上記管理サーバによる認証を要求する同期要求コードと、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付処理と、上記認証キーに含まれる上記認証要求コードを判別する判別処理と、上記認証キーに上記認証要求コードが含まれていた場合に、上記管理サーバに対し、認証要求と共に上記認証キーを送信する認証要求送信処理と、上記管理サーバから、上記認証キーの認証結果を受信する認証結果受信処理と、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する認証処理と、上記認証処理による認証結果又は上記管理サーバから受信した認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御処理と、を実行する。
【0017】
また、本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、扉を施開錠する権限を認証する認証コードを発行する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記扉を施開錠する施開錠機構と、上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、を有する電気錠装置において実行されるコンピュータプログラムであって、上記電気錠装置に対し、上記管理サーバによる認証を要求する同期要求コードと、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付処理と、上記認証キーに含まれる上記認証要求コードを判別する判別処理と、上記認証キーに上記認証要求コードが含まれていた場合に、上記管理サーバに対し、認証要求と共に上記認証キーを送信する認証要求送信処理と、上記管理サーバから、上記認証キーの認証結果を受信する認証結果受信処理と、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する認証処理と、上記認証処理による認証結果又は上記管理サーバから受信した認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電気錠装置における認証キーの認証において、必要なタイミングでのみ管理サーバとの同期処理が実行されるため、電気錠装置の駆動電源の消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る電気錠装置を示した外観斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る電気錠装置において、認証キーの発行と認証の流れの概略を示した図である。
【
図3】本実施形態に係る電気錠装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る電気錠装置において、認証情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【
図5】本実施形態において、ユーザ端末と管理サーバによって実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図6】本実施形態において、電気錠装置と管理サーバによって実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図7】本実施形態において、管理サーバによって実行される処理の流れを示した処理フロー図である。
【
図8】本発明の第二の実施形態に係る電気錠装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図9】本実施形態に係る電気錠装置において、認証情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【
図10】本発明の第三の実施形態に係る電気錠装置によって実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図11】本発明の第四の実施形態に係る電気錠装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図12】本発明の第四の実施形態に係る電気錠装置によって実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図13】本発明の第五の実施形態に係る電気錠装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図14】本実施形態において、電気錠装置と管理サーバによって実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態に係る電気錠装置について、図を参照して説明する。
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る電気錠装置1は建物の扉に取り付けられ、扉を施開錠する装置である。
この電気錠装置1は、タッチパネル等の情報入力手段により入力可能な英数字等、デジタルデータとして処理可能な認証キーに基づいて扉の施開錠を可能とする装置であり、必ずしも物理的な鍵を必要としないものである。
【0021】
また、本実施形態においては、通常使用する認証キー(以下、通常使用される認証キーを「マスターキー」と称することがある)とは別に、一時的に使用可能な認証キー(以下、「一時的に使用される認証キーを「ワンタイムキー」と称することがある」)を発行することが想定されている。
具体的な場面の一例について、
図2を参照して説明する。住居の扉のマスターキーを持つ居住者等のユーザAは、一時的に住居に入室するユーザBに対してワンタイムキーを付与すべく、管理サーバ2にワンタイムキーの発行を要求する。これに応じて管理サーバ2はワンタイムキーを発行し、ユーザAにワンタイムキーを通知する。ワンタイムキーを受け取ったユーザAはこれをユーザBに通知し、これによりユーザBは、ワンタイムキーを用いて扉を施開錠する。
【実施例1】
【0022】
<機能構成>
本発明の第一の実施形態に係る電気錠装置1について詳述する。
図2に示されるように、電気錠装置1は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置により、認証情報記憶部11、判別処理部12、同期処理部13、認証処理部14、入出力制御部15、施開錠制御部16、及び通信処理部17からなる機能部を構成する。また、物理的な機構として、入出力部1A、施開錠機構1B、及び駆動電源1Cを備える。
【0023】
また、電気錠装置1は、ネットワークNWを介して管理サーバ2と通信可能に構成されている。
ここで、電気錠装置1が管理サーバ2と通信を行うネットワークNWは、無線局を基地局とするLPWA(Low Power Wide Area)通信方式のネットワークNWである。
【0024】
認証情報記憶部11は、認証キーを構成する認証コードを記憶する記憶部であり、この認証情報記憶部11に記憶されている認証コードを備えた認証キーが、電気錠装置1を施開錠するのに正当な権限を有する認証キーと認められる。
ここで、認証コードは施開錠の正当権限を認証するための情報であり、後述の通り、認証コードが認証キーそのものである場合(「マスターキー」の場合)もあれば、認証コードが認証キーの一部を構成する場合(「ワンタイムキー」の場合)もあるが、認証情報記憶部11に記憶される認証コードは必ずしも一つではなく、状況に応じて複数、記憶される。
【0025】
また、認証キーは上述の通り、マスターキーとワンタイムキーがあるが、マスターキーは、扉を施開錠する権限を認証する認証コードのみによって構成され、この認証コードが認証情報記憶部11に記憶される。
一方、ワンタイムキーは、認証コードと、電気錠装置1に対して管理サーバ2との同期を指示する同期指示コードとによって構成されている。このワンタイムキーについては、同期指示コードを除いた認証コードが認証情報記憶部11に記憶される。
なお、マスターキーの認証コードと、ワンタイムキーの認証コードは通常、互いに異なるものである。
【0026】
判別処理部12は、電気錠装置1に認証キーが入力された際、当該認証キーに同期指示コードが含まれるか否かを判別する。この処理では、同期指示コードを別途、参照用テーブルに保持し、これを参照することにより、認証キーに同期指示コードが含まれるか否かを判別することができる。
【0027】
同期処理部13は、判別処理部12による判別処理の結果、認証キーに同期指示コードが含まれていた場合に、管理サーバ2との同期を実行し、管理サーバ2側の認証情報記憶部21の情報に基づき、認証情報記憶部11に記憶されている認証コードを更新する処理を実行する。これにより、ワンタイムキーに含まれる認証コードが、管理サーバ2に登録されている最新の認証コードに基づいて認証されることになる。
なお、同期処理においては、ワンタイムキーの認証コードのみを更新させるようにすることもできるし、電気錠装置1の認証情報記憶部11に記憶されている認証コードを全て更新させるようにすることもできる。また、同期指示コードを含むワンタイムキーが入力された場合に限らず、同期指示コードの単独入力や、別途設けた同期指示手段により、認証情報記憶部11の同期を図ることができるようになっていてもよい。
【0028】
認証処理部14は、認証情報記憶部11を参照して、認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する。
上述の通り、マスターキーは認証コードそのものであるため、認証キーがマスターキーである場合には、マスターキーたる認証コードが認証情報記憶部11に記憶されている認証コードと一致するか否かが判別される。
一方、ワンタイムキーは同期指示コードと認証コードとによって構成されるため、認証キーがワンタイムキーである場合には、同期処理部13による同期処理の実行後、ワンタイムキーのうちの認証コードの部分が認証情報記憶部11に記憶されている認証コードと一致するか否かが判別される。
【0029】
入出力制御部15は、入出力部1Aを制御して、各種のデータの入力や出力を実行させる。具体的には、入出力部1Aを制御して、認証キーの入力を受け付けたり、認証の結果を出力したりする。
【0030】
施開錠制御部16は、認証キーに基づく認証結果に応じて、施開錠機構1Bを制御して扉を施開錠させる。
【0031】
通信処理部17は、管理サーバ2とネットワークNWを介した通信を実行するための処理部である。
【0032】
入出力部1Aは、入出力制御部15からの制御信号に基づき、各種のデータの入力を受け付けたり、出力させたりするタッチパネル式ディスプレイ等によって実現される。
なお、
図1に示す本実施形態では、入出力部1Aをタッチパネル式ディスプレイによって実現した例を示したが、これに限らず、テンキーなどの入力処理部と液晶ディスプレイなどの出力処理部とによって実現することもできる。
【0033】
施開錠機構1Bは、施開錠制御部16からの制御信号に基づき、扉を施開錠する機構であり、モータやソレノイドなどの駆動装置とデッドボルトなどの錠前などによって構成される。
【0034】
駆動電源1Cは、各機能部や機構を駆動させる電源であり、ボタン電池や乾電池など、電気錠装置1に組み込んで使用される電池によって構成される。
【0035】
なお、電気錠装置1は、上述した各機能部や機構のほか、既知の電気錠装置1が備える機能や機構を適宜に備える。
【0036】
管理サーバ2は、扉を施開錠する権限を認証する認証コードを発行、管理する装置であり、ネットワークNWを介して、電気錠装置1やユーザ端末3と通信可能に構成されている。
この管理サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ(HDD)などの記憶装置により、認証情報記憶部21、発行処理部22、設定処理部23、判断処理部24、及び通信処理部25からなる機能部を構成する。
【0037】
認証情報記憶部21は、認証キーを構成する認証コードを記憶する記憶部である。
この認証情報記憶部21には
図4に示されるように、電気錠装置1を識別する識別情報毎に、各電気錠装置1に対して発行された認証コード、各認証コードに設定されている失効条件が相互に関連付けて記憶されている。
この認証情報記憶部11には、各電気錠装置1を施開錠するのに正当な認証コードが全て記憶されており、電気錠装置1からの要求によって同期される際には、この認証情報記憶部11に記憶されている認証コードが全て、認証情報記憶部11に反映される。
【0038】
失効条件は、認証コードを失効させる条件に係るものであり、この失効条件を具備すると認証コードは失効する。逆に、失効条件を具備しない限りは、認証コードは有効な状態にある。
この失効条件には例えば、有効期限や有効回数などがあり、失効条件が設定された認証コードは当該失効条件に則り、一定の期間を過ぎたり、一定の使用回数に達したりすると失効させられる。
【0039】
なお、電気錠装置1の認証情報記憶部11において言及したのと同様、認証キーはマスターキーとワンタイムキーがあるが、マスターキーの場合には、マスターキーそのものである認証コードが認証情報記憶部21に記憶される。一方、ワンタイムキーの場合には、同期指示コードを除いた認証コードが認証情報記憶部21に記憶される。
【0040】
発行処理部22は、認証キーを構成する認証コードを発行すると共に、当該認証コードと同期指示コードによって構成される認証キーを発行する処理を実行する。
【0041】
設定処理部23は、認証コードに対して所定の失効条件を設定したり、設定した失効条件の具備を判断し、失効条件を具備した認証コードを失効させたりする。
なお、失効条件は例えば、ユーザからワンタイムキーの発行要求と共に受け付け、発行処理部22が発行したワンタイムキーを構成する認証コードに当該失効条件を設定する。
また、失効条件が使用回数である場合には、電気錠装置1からワンタイムキーの使用に係る情報を受信する都度、あるいは同期を受け付ける都度、使用回数をカウントし、所定の使用回数に達した時に、認証コードを失効させる。
また、認証コードの失効は、認証情報記憶部21から失効した認証コードを削除するものであってもよいし、失効した認証コードに失効の情報を関連付け、認証に用いることができないようにするものであってもよい。
【0042】
判断処理部24は、認証コードに設定された失効条件を参照して、失効条件の具備を判断する。失効条件の具備の判断は、随時実行されるものであってもよいし、電気錠装置1から同期を要求されたタイミングで実行されるものであってもよい。
【0043】
通信処理部25は、電気錠装置1やユーザ端末3との間で、ネットワークNWを介したデータの送受信を可能とする処理部である。
これにより、電気錠装置1との同期を実行したり、ユーザ端末3との間でワンタイムキーの発行要求を受け付けたり、発行したワンタイムキーを通知したりすることができる。
【0044】
ユーザ端末3は、認証キーを使用すると共に、管理サーバ2にワンタイムキーの発行を要求するユーザが使用する端末である。このユーザ端末3は例えば、データの送受信が可能な携帯型電話機等の可搬型端末のほか、タブレット端末や所謂パーソナルコンピュータ等によって実現される。
【0045】
ユーザ端末3が管理サーバ2と通信を行うネットワークNWは例えば、インターネット等である。
ユーザはこのユーザ端末3により、管理サーバ2にワンタイムキーの発行を要求したり、管理サーバ2からワンタイムキーを受信したりする。
【0046】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係る電気錠装置1、管理サーバ2、及びユーザ端末3によって構成されたシステムにおいて実行される一連の処理の流れについて説明する。
まず、
図5により、ワンタイムキーが発行される際の流れについて説明する。
ユーザは、ユーザ端末3により管理サーバ2にアクセスし、所定の電気錠装置1に使用するワンタイムキーの発行を要求する(S101)。
ワンタイムキーの発行要求においては、電気錠装置1を特定するための識別情報のほか、ワンタイムキーに任意に設定される失効条件を通知する。
【0047】
これに応じて管理サーバ2は、発行処理部22により認証コードを発行し(S102)、当該発行した認証コードを認証情報記憶部21に登録する(S103)。なお、このとき、ユーザから失効条件の設定要求があった場合には、設定処理部23により当該発行された認証コードに失効条件を設定し、認証情報記憶部21に登録する。
【0048】
発行された認証コードには同期指示コードが付与され、ワンタイムキーとして、管理サーバ2からユーザ端末3に通知される(S104)。
【0049】
なお、本例では、ユーザ端末3から管理サーバ2に対してワンタイムキーの発行を要求するものとしたが、これに限らず、電気錠装置1から管理サーバ2に対してワンタイムキーの発行を要求するようにすることもできる。
この場合には、電気錠装置1の入出力部1Aからワンタイムキーの発行要求や失効条件が入力されると、これが電気錠装置1の識別情報と共に管理サーバ2に送信され、管理サーバ2において発行されたワンタイムキーが電気錠装置1に通知される。
【0050】
また、本例にかからず、ワンタイムキーの発行要求時に、ユーザがワンタイムキーの受取人として別のユーザのユーザ端末3を指定し、当該別のユーザのユーザ端末3にワンタイムキーを通知するようにすることもできる。
図2の例であれば、ユーザAが管理サーバ2に対し、ワンタイムキーの発行要求時にワンタイムキーの受取人としてユーザBの情報を送り、管理サーバ2から直接、ユーザBへワンタイムキーを通知するようにすることもできる。
【0051】
なお、本実施形態においては、管理サーバ2の発行処理部22が認証コードを発行すると共に、認証コードに同期指示コードを結合させてワンタイムキーを生成し、これをユーザに通知するものとした。他方で、別の実施例においては、管理サーバ2からユーザ端末3に対しては認証コードのみを通知するものとし、管理サーバ2からワンタイムキー用の認証コードの通知を受けたユーザが自ら、当該認証コードに同期指示コードを結合させてワンタイムキーを作るものとしてもよい。
【0052】
続いて、本実施形態に係る電気錠装置1において、認証キーが認証され、扉の施開錠がなされる際に実行される一連の処理の流れについて、
図6を参照して説明する。
電気錠装置1は、入出力部1Aにより、ユーザから扉の施開錠要求と共に認証キーの入力を受け付る(S201)。
【0053】
判別処理部12は、認証キーに同期指示コードが含まれているか否かを判別する(S202)。
この結果、同期指示コードが含まれていた場合には、同期処理部13により、管理サーバ2との同期が実行される(S203)。同期の実行においては、電気錠装置1から管理サーバ2に対し、電気錠装置1の識別情報と共に同期要求が送信され、これを受信した管理サーバ2は、認証情報記憶部21を参照して、対応する識別情報によって識別される電気錠装置1に関連付けられた認証コードを電気錠装置1に対して送信する(S204)。これにより、管理サーバ2から電気錠装置1に対して送信された認証コードに基づき、認証情報記憶部11の認証コードが更新される(S205)。
【0054】
認証コードが同期によって更新された後、あるいは、S202の処理において認証キーに同期指示コードが含まれていないと判別された場合には、認証処理部14により認証コードの認証処理が実行される(S206)。即ち、入力された認証キーを構成する認証コードが、認証情報記憶部11に登録されている認証コードと一致し、正当な施開錠の権限を証するものであるかが判別される。
【0055】
認証の結果、認証に失敗した場合には、施開錠操作を行うことなく、エラー情報を入出力部1Aによって表示させるなどして処理を終了する(S207)。
一方、認証に成功した場合には、施開錠制御部16により施開錠機構1Bを制御して、ユーザによって要求された扉の施開錠を行う(S208)。
【0056】
続いて、本実施形態において、認証コードの失効条件の具備が判断される際の処理の流れについて、
図7を参照して説明する。
判断処理部24は、記認証コードに設定された失効条件を参照して、失効条件の具備を判断する(S301)。失効条件の具備の判断は、随時実行されるものであってもよいし、電気錠装置1から同期を要求されたタイミングで実行されるものであってもよい。
【0057】
その結果、認証コードが失効条件を具備していると判断された場合には、設定処理部23は、失効条件を具備した認証コードを失効させる(S302)。
認証コードの失効により、失効した認証コードに基づいた施開錠の要求があった場合には、これを正当でないものとして、施開錠を行わないようにすることができる。
【0058】
以上の本実施形態に係る電気錠装置1によれば、電気錠装置1における認証キーの認証において、同期指示コードを備えたワンタイムキーによる認証要求があったときにのみ管理サーバ2との同期処理が実行されるため、電気錠装置1の駆動電源1Cの消費を抑えることができる。
【0059】
なお、本実施形態においては、認証情報記憶部11、21には認証コードを記憶するものとしたが、これに限らず、認証キーを記憶させるようにしてもよい。即ち、ワンタイムキーについては、同期指示コードと認証コードを結合させたものを認証情報記憶部11、21に記憶するようにしてもよく、この場合、認証処理部14はワンタイムキーの認証において、同期指示コードと認証コードが結合した状態の認証キーを認証する。
また、このような各種のパターンの設定は例えば、予め設定させる、同期指示コードの種類によって指定させる、最初の同期時に管理サーバ2から次に入力された場合の動作を電気錠装置1側に登録させる、といった方法がある。
【実施例2】
【0060】
続いて、本発明の第二の実施形態に係る電気錠装置4について説明する。
本例では、電気錠装置4側で、ワンタイムキーを構成する認証コードに設定された失効条件の具備を判断する。
このような例に係る電気錠装置4は
図8に示されるように、第一の実施形態に係る電気錠装置1と同様に、認証情報記憶部11、判別処理部12、同期処理部13、認証処理部14、入出力制御部15、施開錠制御部16、及び通信処理部17からなる機能部と、入出力部1A、施開錠機構1B、及び駆動電源1Cからなる機構を備えるほか、設定処理部18と判断処理部19を備える。
【0061】
本実施形態における設定処理部18は、認証コードに対して設定されている失効条件の具備を判断し、失効条件を具備した認証コードを失効させる。
なお、失効条件が使用回数である場合には、ワンタイムキーが使用される都度、使用回数をカウントし、所定の使用回数に達した時に認証コードを失効させる。
また、認証コードの失効は、認証情報記憶部11から、失効した認証コードを削除するものであってもよいし、失効した認証コードに失効の情報を関連付け、認証に用いることができないようにするものであってもよい。
【0062】
判断処理部19は、認証コードに設定された失効条件を参照して、失効条件の具備を判断する。失効条件の具備の判断は、随時実行されるものであってもよいし、ユーザから施開錠を要求されたタイミングで実行されるものであってもよい。
【0063】
なお、本実施形態において、電気錠装置1が備える認証情報記憶部11には
図9に示されるように、電気錠装置1に対して発行された認証コードと当該認証コードに設定されている失効条件が相互に関連付けて記憶されている。
【0064】
このような構成からなる本実施形態に係る電気錠装置1では、失効条件が電気錠装置1側で判断されるため、ワンタイムキーを用いた施開錠については、初回のみ同期が実行されれば、その後のワンタイムキーの管理は電気錠装置1で行われる。そのため、二回目の認証要求以降においては、必ずしも同期してから認証を行う必要がない。これにより、認証処理部14による認証においては、二回目の認証要求以降、同期指示コードを除いた認証コードのみによる認証を受け付け、認証情報記憶部11に記憶されている認証コードと認証するようにしてもよく、これによれば、同期処理の負担が軽減され、駆動電源1Cの消費をさらに抑えることができる。
【実施例3】
【0065】
次に、本発明の第三の実施形態に係る電気錠装置5について説明する。
本例では、ワンタイムキーが入力された場合、認証情報記憶部11を参照して、ワンタイムキーから同期指示コードを除いた認証コードが登録されており、且つ有効な状態であるか否かを判別し、有効な状態で登録されていた場合には、同期することなく、施開錠を行うようにする。他方、有効な状態で登録されていなかった場合には、通常通り同期処理を実行した上で、認証処理部14による認証処理を実行する。これにより、ワンタイムキーによる認証要求について、同期が必要なのときにのみ同期を実行するものとすることができる。
なお、本例については、上述した第二の実施形態に係る電気錠装置4の変形例として説明するものとし、特段の言及がない限り、本実施形態に係る電気錠装置5は、第二の実施形態に係る電気錠装置4と同様の機能部を備える。
【0066】
本例の電気錠装置5において、認証処理部14は認証キーの入力が受け付けられた際、認証キーがマスターキーであるかワンタイムキーであるかを問わず、認証情報記憶部11を参照して、認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する。即ち、本例では、入力を受け付けた認証キーが、同期指示コードを含むワンタイムキーであった場合でも、まずは認証コードに基づいて認証が行われる。
【0067】
また、本例における判別処理部12は、認証処理部14による認証コードの認証の結果、認証に失敗した場合に、認証キーに同期指示コードが含まれるか否かを判別する。この結果、認証コードの認証に失敗した認証キーに同期指示コードが含まれていると判別された場合には一旦、同期処理部13によって同期が実行された後、改めて認証処理部14による認証処理が実行される。一方、認証コードの認証に失敗した認証キーに同期指示コードが含まれていないものと判別された場合には、入力された認証キーは施開錠のための正当な権限を有しないものとして、施開錠が行われることなく、処理が終了する。
【0068】
続いて、本実施形態に係る電気錠装置5において、認証キーが認証され、扉の施開錠がなされる際に実行される一連の処理の流れについて、
図10を参照して説明する。
電気錠装置1は、入出力部1Aにより、ユーザから扉の施開錠要求と共に認証キーの入力を受け付る(S401)。
【0069】
これに応じて認証処理部14は、認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する(S402)。このとき、入力を受け付けた認証キーが、同期指示コードを含むワンタイムキーであった場合でも、まずは認証コードに基づいて認証が行われることになる。
この結果、認証に成功した場合には、施開錠制御部16が施開錠機構1Bを制御して、ユーザによって要求された扉の施開錠を行う(S410)。
【0070】
S402における認証処理の結果、認証に失敗した場合には、判別処理部12により、認証キーに同期指示コードが含まれているか否かが判別される(S403)。
この結果、同期指示コードが含まれていなかった場合には、S402において示された認証失敗という認証結果に基づき、施開錠操作を行うことなく、エラー情報を入出力部1Aによって表示させるなどして処理を終了する(S404)。
【0071】
一方、同期指示コードが含まれていた場合には、同期処理部13により、管理サーバ2との同期が実行される(S405)。同期の実行においては、電気錠装置5から管理サーバ2に対し、電気錠装置5の識別情報と共に同期要求が送信され、これを受信した管理サーバ2は、認証情報記憶部21を参照して、対応する識別情報によって識別される電気錠装置5に関連付けられた認証コードを電気錠装置5に対して送信する(S406)。これにより、管理サーバ2から電気錠装置5に対して送信された認証コードに基づき、認証情報記憶部11の認証コードが更新される(S407)。
【0072】
認証コードが同期処理によって更新されると、改めて認証処理部14により、認証キーに含まれる認証コードに基づいた認証処理が実行される(S408)。
認証の結果、認証に失敗した場合には、施開錠操作を行うことなく、エラー情報を入出力部1Aによって表示させるなどして処理を終了する(S409)。
一方、認証に成功した場合には、施開錠制御部16が施開錠機構1Bを制御して、ユーザによって要求された扉の施開錠を行う(S410)。
【0073】
本実施形態に係る電気錠装置5によれば、同期指示コードを含むワンタイムキーの入力を受け付けた場合でも、同期が必要な場合にのみ同期が実行されるため、同期処理の負担が軽減され、駆動電源1Cの消費をさらに抑えることができる。
【0074】
<付記1>
扉を施開錠する電気錠装置であって、
上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードを発行する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記扉を施開錠する施開錠機構と、
上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、
上記管理サーバとの同期を指示する同期指示コードと、上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードとによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付手段と、
上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第一の認証処理手段と、
上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理に失敗した場合に、上記入力を受け付けた認証キーに含まれる上記同期指示コードを判別する判別処理手段と、
上記入力を受け付けた認証キーに上記同期指示コードが含まれていた場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理手段と、
上記同期処理を実行した後に、上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーに含まれる認証コードの認証処理を実行する第二の認証処理手段と、
上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御手段と、を有する、
電気錠装置。
【実施例4】
【0075】
次に、本発明の第四の実施形態に係る電気錠装置6について説明する。
本例では、マスターキー及びワンタイムキーのいずれについても認証コードのみから構成され、認証キーに同期指示コードが含まれない。したがって、上述した実施形態とは異なり、ワンタイムキーは同期指示コードを備えておらず、管理サーバ2が発行される認証キーは全て、認証コードのみによって構成される。そして、同期については、電気錠装置6が所定の条件に基づいて行う。
【0076】
本実施形態に係る電気錠装置6は
図11に示されるように、第二の実施形態に係る電気錠装置4と同様に、認証情報記憶部11、同期処理部13、認証処理部14、入出力制御部15、施開錠制御部16、通信処理部17、設定処理部18、及び判断処理部19からなる機能部と、入出力部1A、施開錠機構1B、及び駆動電源1Cからなる機構を備えるが、電気錠装置1が備えた判別処理部12は備えていない。
なお、各機能部については、特段の言及がない限り、第二の実施形態に係る電気錠装置4の各機能部と同様の機能を奏する。
【0077】
本実施形態において、同期処理部13は、入力を受け付けられた認証キーについて認証が行われた結果、認証に失敗した場合に、管理サーバ2との同期処理を実行する。
即ち、本例では、同期する前に一旦、認証を行い、失敗した場合には同期によって認証情報記憶部11を更新して改めて認証を行うことにより、認証キーが入力される都度、同期処理を行わないで済むようにしている。
【0078】
続いて、本実施形態に係る電気錠装置6において、認証キーが認証され、扉の施開錠がなされる際に実行される一連の処理の流れについて、
図12を参照して説明する。
電気錠装置6は、入出力部1Aにより、ユーザから扉の施開錠要求と共に認証キーの入力を受け付る(S501)。
【0079】
これに応じて認証処理部14は、認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する(S502)。
この結果、認証に成功した場合には、施開錠制御部16が施開錠機構1Bを制御して、ユーザによって要求された扉の施開錠を行う(S508)。
【0080】
S502における認証処理の結果、認証に失敗した場合には、同期処理部13により、管理サーバ2との同期が実行される(S503)。同期の実行においては、電気錠装置6から管理サーバ2に対し、電気錠装置6の識別情報と共に同期要求が送信され、これを受信した管理サーバ2は、認証情報記憶部21を参照して、対応する識別情報によって識別される電気錠装置6に関連付けられた認証コードを電気錠装置6に対して送信する(S504)。これにより、管理サーバ2から電気錠装置6に対して送信された認証コードに基づき、認証情報記憶部11の認証コードが更新される(S505)。
【0081】
認証コードが同期処理によって更新されると、改めて認証処理部14により、認証キーを構成する認証コードに基づいた認証処理が実行される(S506)。
認証の結果、認証に失敗した場合には、施開錠操作を行うことなく、エラー情報を入出力部1Aによって表示させるなどして処理を終了する(S507)。
一方、認証に成功した場合には、施開錠制御部16が施開錠機構1Bを制御して、ユーザによって要求された扉の施開錠を行う(S508)。
【0082】
以上の本実施形態に係る電気錠装置6によれば、認証に失敗したときのみ、管理サーバ2と同期して最新の認証キーを確認するようにするため、やはり同期処理の負担が軽減され、駆動電源1Cの消費を抑えることができる。また、ワンタイムキーに同期指示コードが含まれないため、ワンタイムキーの発行において、管理サーバ2に認証コードのみを発行させ、これにユーザが同期指示コードを付け加えさせる場合のような煩雑さがなく、便利である。
【0083】
<付記2>
扉を施開錠する電気錠装置であって、
上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードを発行する管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記扉を施開錠する施開錠機構と、
上記認証コードを記憶する認証情報記憶手段と、
上記扉を施開錠する権限を認証する認証コードによって構成された認証キーの入力を受け付ける入力受付手段と、
上記認証情報記憶手段を参照して、上記入力を受け付けた認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第一の認証処理手段と、
上記認証コードの認証処理に失敗した場合に、上記管理サーバとの同期を実行し、上記認証情報記憶手段に記憶されている認証コードを更新する同期処理手段と、
上記同期を実行した後に、上記認証情報記憶手段を参照して、上記認証キーを構成する認証コードの認証処理を実行する第二の認証処理手段と、
上記認証コードに基づく認証結果に応じて、上記施開錠機構を制御し、上記扉を施開錠させる施開錠制御手段と、を有する、
電気錠装置。
【実施例5】
【0084】
次に、本発明の第五の実施形態に係る電気錠装置7について説明する。
本例では、管理サーバ8側で、ワンタイムキーの認証処理が実行される。
このような例に係る電気錠装置7は
図10に示されるように、第一の実施形態に係る電気錠装置1と同様に、認証情報記憶部11、判別処理部12、認証処理部14、入出力制御部15、施開錠制御部16、及び通信処理部17からなる機能部と、入出力部1A、施開錠機構1B、及び駆動電源1Cからなる機構を備えるが、電気錠装置1が備えた同期処理部13は備えていない。
一方、管理サーバ8は、第一の実施形態における管理サーバ2と同様に、認証情報記憶部21、発行処理部22、設定処理部23、判断処理部24、通信処理部25を備えるほか、認証処理部26を備える。
【0085】
認証処理部26は、電気錠装置1から認証要求と共に受信したワンタイムキー、あるいはワンタイムキーに含まれる認証コードに基づき、認証情報記憶部21を参照して認証処理を実行する。
なお、第一及び第二の実施形態においては、ワンタイムキーは同期指示コードと認証コードから構成されたが、本実施形態では、同期指示コードに代えて、管理サーバ2による認証を要求する認証要求コードが認証コードと共にワンタイムキーを構成する。このようなワンタイムキーの構成により、施開錠要求と共にワンタイムキーの入力を受け付けた電気錠装置7は、ワンタイムキーによる認証を管理サーバ8に要求する。
【0086】
なお、本例における判別処理部12は、電気錠装置1に認証キーが入力された際、当該認証キーに認証要求コードが含まれるか否かを判別する。この処理では、認証要求コードを別途、参照用テーブルに保持し、これを参照することにより、認証キーに認証要求コードが含まれるか否かを判別することができる。
【0087】
続いて、本実施形態に係る電気錠装置7と管理サーバ8により、認証キーが認証される際の一連の処理の流れについて、
図14を参照して説明する。
電気錠装置7は、入出力部1Aにより、ユーザから扉の施開錠要求と共に認証キーの入力を受け付る(S601)。
【0088】
判別処理部12は、認証キーに認証要求コードが含まれているか否かを判別する(S602)。
この結果、認証要求コードが含まれていた場合には、通信処理部17により、管理サーバ8に対し、認証要求と共に認証キーを送信する(S603)。
これに応じて、管理サーバ8は、認証処理部26により認証情報記憶部21を参照して、認証キーの認証処理を実行し(S604)、その結果を電気錠装置7に対して送信する(S605)。
【0089】
管理サーバ8から認証結果を受信した電気錠装置7は、認証結果に応じた処理を実行する(S606)。即ち、認証結果が認証成功を示すものであれば、施開錠制御部16により施開錠機構1Bを制御して、ユーザによって要求された扉の施開錠を行う(S607)。一方、認証結果が認証失敗を示すものであれば、施開錠操作を行うことなく、エラー情報を入出力部1Aによって表示させるなどする(S609)。
【0090】
また、S602において、認証要求コードの有無を判別した結果、認証要求コードがないものと判別された場合には、認証処理部14により、認証情報記憶部11を参照して、入力された認証キーの認証処理が実行される(S608)。
認証の結果、認証に失敗した場合には、施開錠操作を行うことなく、エラー情報を入出力部1Aによって表示させるなどして処理を終了する(S609)。
一方、認証に成功した場合には、施開錠制御部16により施開錠機構1Bを制御して、ユーザによって要求された扉の施開錠を行う(S607)。
【0091】
以上の本実施形態に係る電気錠装置7によれば、管理サーバ8側で認証処理を実行しつつ、認証要求コードを備えたワンタイムキーによる認証要求があったときにのみ管理サーバ8との同期処理が実行されるため、やはり電気錠装置7の駆動電源1Cの消費を抑えることができる。
【0092】
なお、以上の本発明の実施形態においては、認証キーの入力について、タッチパネル等の情報入力手段によるものとしたが、これに限らず、第一乃至第五のいずれの実施形態についても、認証キーをICカード等に記録させ、これを電気錠装置1に読み取らせて認証させるようにすることもできる。
【0093】
また、以上の本発明の実施形態については例えば、設定により、第一乃至第五のいずれの実施形態にも変更できるようにすることもできる。また、設定はユーザの指示に応じて変更するようにしてもよいし、管理サーバ2、8が所定の条件の合致に応じて変更するようにしてもよい。
また、各実施形態における機能や構成は処理に矛盾を生じない限り、適宜の設計により、その一部あるいは全てを他の実施形態に適用することが可能である。
【0094】
なお、以上の本発明の実施形態においては、電気錠装置1、4、5、6、7あるいは管理サーバ8に認証機能や失効条件を判断する機能などをもたせたが、施開錠機構1Bなど、扉の施開錠に必要な物理的機構を除き、本発明の実施に必要な処理を実行するソフトウェア資源は、複数の装置等に分散して保持させたり、別途設けた所定の装置に集約させたりすることもできる。例えば、扉には施開錠機構1Bなどの物理的機構のみを備えさせ、このような物理的機構とは別に設けた外部装置(管理サーバとは異なり、扉等に施開錠機構1Bとは別に取り付けるもの。)に認証機能やその他の処理機能を備えさせることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 電気錠装置
11 認証情報記憶部
12 判別処理部
13 同期処理部
14 認証処理部
15 入出力制御部
16 施開錠制御部
17 通信処理部
18 判断処理部
19 設定処理部
1A 入出力部
1B 施開錠機構
1C 駆動電源
2 管理サーバ
21 認証情報記憶部
22 発行処理部
23 設定処理部
24 判断処理部
25 通信処理部
26 認証処理部
3 ユーザ端末
4 電気錠装置
5 電気錠装置
6 電気錠装置
7 電気錠装置
8 管理サーバ
NW ネットワーク