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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】刃物マガジンアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
B23Q3/157 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021017795
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120713
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】515207329
【氏名又は名称】聖杰國際股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sanjet International Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.288-1,Desheng Rd. Daya District Taichung City 428,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 慶三
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-179541(JP,A)
【文献】特開2014-210315(JP,A)
【文献】実開平01-170532(JP,U)
【文献】登録実用新案第3196675(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第111843578(CN,A)
【文献】中国実用新案第212444273(CN,U)
【文献】中国実用新案第211305648(CN,U)
【文献】台湾特許公告第000494190(TW,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面を有する本体と、レールと、チェーンと、複数のケースと、ケース保持装置と、刃物転倒装置と、を含み、
前記レールは、前記本体の前記取付面に連結され、行進部と刃物取り外し部とで構成された回路であり、前記刃物取り外し部は、等間隔で配置された第1の案内レールと第2の案内レールとを備え、前記第1の案内レールが第1の案内溝及び第1の拘束面を有し、前記第2の案内レールが第2の案内溝及び第2の拘束面を有し、前記第1の拘束面と前記第2の拘束面とが対向して配置され、前記刃物取り外し部の所定位置は、刃物転倒位置と定義され、
前記チェーンは、直列に連結された複数のチェーン節を含み、前記チェーン節のそれぞれが、第1の案内ローラと、第2の案内ローラと、前記第1の案内ローラ及び第2の案内ローラの両側にそれぞれ配置された拘束部材とを含み、前記チェーン節が前記刃物取り外し部を通過するとき、前記第1の案内ローラは前記第1の案内溝に位置し、前記第2の案内ローラは前記第2の案内溝に位置し、前記第1の案内ローラの両側に配置された拘束部材は前記第1の拘束面と接触し、前記第2の案内ローラの両側に配置された拘束部材は前記第2の拘束面と接触するように配置されており、
前記複数のケースは、対応のチェーン節にそれぞれ枢着されるとともに、前記枢着部位を支点として第一位置と第二位置との間で第1の回転方向または前記第1の回転方向と反対する第2の回転方向に沿って揺動可能に配置されており、前記複数のケースそれぞれにはフロント当接部材が設けられ、
前記ケース保持装置は、前記チェーンの前記第1の案内レールに結合されるフロントストッパを含み、前記フロントストッパは、前記刃物転倒位置に対応する位置に切欠部を有し、前記ケース保持装置は、前記チェーン節それぞれ上にリアストッパを有し、前記刃物取り外し部を通過する前記ケースの前記フロント当接部材は前記フロントストッパに当接し、前記フロントストッパは前記切欠部以外で前記ケースを第1の回転方向に沿って揺動できないように規制し、前記リアストッパは前記第一位置において前記ケースを第2の回転方向に沿って揺動できないように規制し、
前記刃物転倒装置は、前記本体に結合され、前記ケースを第一位置と第二位置との間に揺動させるための押し引き部材を有し、前記押し引き部材は、前記フロント当接部材が前記切欠部を通る時、前記ケースを前記第一位置から前記第二位置へと揺動させる刃物マガジンアセンブリ。
【請求項2】
前記チェーン節毎に基線が定義され、前記第1の案内ローラ及び前記第2の案内ローラは、前記基線の両側に位置しており、前記ケース毎に軸線が定義され、前記ケースが前記第一位置に位置するとき、前記軸線と前記基線とが重なる
請求項1に記載の刃物マガジンアセンブリ。
【請求項3】
各前記ケースの外壁には案内溝を有する刃物転倒用鈑が連結され、前記刃物転倒装置の前記押し引き部材の一端には刃物転倒用プーリーが連結され、前記刃物転倒用プーリーが前記刃物転倒位置に位置するケースに配置された刃物転倒用鈑の案内溝に合わせており、前記押し引き部材が移動する時に前記案内溝に入るように配置されている
請求項2に記載の刃物マガジンアセンブリ。
【請求項4】
前記刃物転倒用プーリーは前記押し引き部材の動作経路からずれる側に位置し、前記刃物転倒用鈑の前記案内溝は、前記軸線と角度をなす傾斜溝である
請求項3に記載の刃物マガジンアセンブリ。
【請求項5】
前記刃物転倒装置は、台座、シリンダ及び案内杆を含み、前記台座が前記本体の前記取付面に結合され、前記シリンダが前記台座に配置され、前記押し引き部材の一端が前記シリンダの内部に位置し、他端が前記台座を貫通して前記刃物転倒用プーリーに連結され、前記シリンダの内圧を制御することで前記押し引き部材を直線往復変位させるように駆動可能であり、前記案内杆は前記台座を貫通して前記押し引き部材とともに移動するように配置される
請求項3に記載の刃物マガジンアセンブリ。
【請求項6】
前記ケース保持装置の前記フロントストッパは前記第1の案内レールに連結され、少なくとも一つの邪魔板を有し、前記邪魔板は前記刃物転倒位置に対応し切欠部を有し、前記リアストッパは、取付板と、前記取付板に連結された二つの枢着耳部とをそれぞれ有し、前記取付板は、対応の前記チェーン節に連結され、
前記ケースは、後端が前記二つの枢着耳部の間に枢着され、外壁に径方向に配置されたフロント当接部材と、前記後端に配置されたリア当接部材とを有し、前記チェーン節が前記刃物取り外し部を通過するとき、前記フロント当接部材は前記邪魔板に当接し、
一つの前記チェーン節が前記刃物転倒位置に移動すると、前記刃物転倒装置の前記押し引き部材は前記刃物転倒位置に対応する前記ケースを揺動させるように駆動するとともに、前記フロント当接部材は前記切欠部を通過し、
前記リア当接部材が前記取付板に当接すると、前記ケースは前記第一位置に保持されるように配置される
請求項1に記載の刃物マガジンアセンブリ。
【請求項7】
前記ケース保持装置は、前記本体に配置された当接部を有し、
前記刃物転倒装置の前記押し引き部材は、前記刃物転倒位置に位置する前記ケースを前記第二位置に揺動させるように駆動すると、前記ケースは前記当接部に当接するように配置される
請求項1に記載の刃物マガジンアセンブリ。
【請求項8】
刃物の自動交換装置を更に含み、
前記刃物の自動交換装置は、前記本体の、前記取付面と反対側の面に結合され、且つ前記当接部に当接する前記ケース内の刃物棒をつかむための刃物交換アームを有する
請求項7に記載の刃物マガジンアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動化加工装置に関し、特に自動化加工過程において必要な刃物収容及び刃物交換の需要を提供できる刃物マガジンアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、刃物を収容し、刃物交換の需要を提供するための刃物マガジンシステムは、刃物マガジンの容量、外観および刃物取り外し方法に基づき、円盤式刃物マガジン、笠式刃物マガジン及びチェーン式刃物マガジンに大別される。それらはいずれも複数の刃物を支持して搬送することができる。既存の刃物マガジンシステムの発展は非常に成熟したが、刃物マガジンにおいて、刃物棒を挿入するためのケースの数、及びケースの刃物棒(刃物棒に刃物が連結される)と結合後の荷重は、ケースの作動するときの滑らかさに与える影響の改善及び改良は、依然として本分野の技術者が注目している課題である。
【0003】
チェーン式刃物マガジンを例として、そのケースを外に押すことで刃物の自動交換装置の刃物交換アームがケースに挿入された刃物棒をつかむように設計しても、または元の位置で揺動するのみによって刃物交換アームが刃物棒をスムーズにつかむように設計しても、前記ケースはいずれもチェーン式刃物マガジンの回転可能なチェーンの外側(即ち、回転中心からずれる側)に結合される。例えば、台湾特許第I494190号の「刃物マガジンのチェーンフレームのガイド装置」及び台湾実用新案第M457602号の「工作機械用チェーン式刃物マガジン」に開示されたように、ケースがチェーンの外側に位置し、隣接するケースが行進される過程において不適切に係止することを回避するため、チェーンの行進経路において折り返し部を設けることができない。即ち、チェーンは一方向に運行しかできない。このような設計は、刃物マガジンの搬送可能なケースの数を制限する。
【0004】
また、従来のチェーン式刃物マガジンは、チェーンが運転するときの安定性を向上させるように、チェーンの両側にチェーンの行進経路に沿ってパレットを配置することがある。しかしながら、ケースとパレットとの間は面接触であるため、ケースの数が多いほど、発生する接触摩擦力は大きくなる。これによって、駆動装置(例えば、モータ)の負荷が大きくなり、ケースとパレットとが長時間接触すると、摩耗や騒音の発生する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本発明は、チェーンが搬送するケースの数を増加できるとともに、チェーンをスムーズに運転させる刃物マガジンアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明提供一種刃物マガジンアセンブリは、取付面を有する本体と、レールと、チェーンと、複数のケースと、ケース保持装置と、刃物転倒装置と、を含み、レールは、本体の取付面に連結され、行進部と刃物取り外し部とで構成された回路であり、前記刃物取り外し部は、等間隔で配置された第1の案内レールと第2の案内レールとを備え、前記第1の案内レールが第1の案内溝及び第1の拘束面を有し、前記第2の案内レールが第2の案内溝及び第2の拘束面を有し、前記第1の拘束面と前記第2の拘束面とが対向して配置され、前記刃物取り外し部の所定位置は、刃物転倒位置と定義され、チェーンは、直列に連結された複数のチェーン節を含み、チェーン節のそれぞれが、第1の案内ローラと、第2の案内ローラと、第1の案内ローラ及び第2の案内ローラの両側にそれぞれ配置された拘束部材とを含み、前記チェーン節が前記刃物取り外し部を通過するとき、第1の案内ローラは第1の案内溝に位置し、第2の案内ローラは前記第2の案内溝に位置し、前記第1の案内ローラの両側に配置された拘束部材は前記第1の拘束面と接触し、前記第2の案内ローラの両側に配置された拘束部材は前記第2の拘束面と接触するように配置されており、
前記複数のケースは、対応のチェーン節にそれぞれ枢着されるとともに、前記枢着部位を支点として第一位置と第二位置との間で第1の回転方向または前記第1の回転方向と反対する第2の回転方向に沿って揺動可能に配置されており、ケース保持装置は、前記レールの前記刃物取り外し部に対応する位置に形成したフロントストッパと、前記チェーン節毎に形成したリアストッパとを有し、前記フロントストッパは前記ケースを第1の回転方向に沿って揺動できないように規制し、前記リアストッパは前記ケースを第2の回転方向に沿って揺動できないように規制し、前記刃物転倒装置は、前記本体に結合され、押し引き部材を有し、前記押し引き部材が前記刃物転倒位置に位置する前記ケースを前記第一位置と前記第二位置との間で揺動させるように制御される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、チェーンの回転方向をより柔軟な方法で設計することができ、ケースの数の増加に有利であり、かつ案内レールとチェーンに配置された案内ローラとの配置関係は、チェーンが運転するときの安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の好ましい実施形態に係わる刃物マガジンアセンブリの斜視図である。
図2】本発明の好ましい実施形態に係わる刃物マガジンアセンブリの斜視図である。
図3】本発明の上述の好ましい実施形態に係わる刃物マガジンアセンブリを簡単に説明する正面図である。
図4】本発明の上述の好ましい実施形態に係わる刃物マガジンアセンブリの部分斜視図である。
図5】ケースが第一位置に位置する状態を示す図4の側面図である。
図6図4の正面図である。
図7】本発明の上述の好ましい実施形態に係わる刃物マガジンアセンブリの部分斜視図である。
図8図7に示す部材におけるケースの側面図である。
図9】ケースが第二位置に位置する状態を示す側面図である。
図10図3の10-10方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明をより明確に説明するために、好ましい実施形態を図面を参照して以下に詳細に説明する。図1図3を参照すると、本発明の好ましい実施形態に係わる刃物マガジンアセンブリ100は、一例としては複数の刃物を収容可能なチェーン式刃物マガジンであって、本体10と、レール20と、チェーン30と、複数のケース40と、ケース保持装置50と、刃物転倒装置60と、刃物の自動交換装置70とを含む。前記本体10は、取付面10aを有する丈夫な構造であり、前記レール20及び刃物転倒装置60は、前記取付面10aに結合される。前記刃物の自動交換装置70は前記本体10の、前記取付面10aと反対側の面に結合される。
【0010】
レール20は、複数の長尺状の構造体で構成され、行進部と刃物取り外し部とを含む回路であり、転向部分には案内鈑22が追加的に配置される。ここで、レール20の、刃物転倒装置60に対応して水平方向に沿って設けられた部分は刃物取り外し部Lと定義され、レール20の刃物取り外し部L以外の部分は行進部と定義される。図4を参照すると、レール20の刃物取り外し部Lは、等間隔で配置された第1の案内レール24及び第2の案内レール26で構成され、レール20の行進部は、単一の案内レール28で構成される。本実施形態では、前記案内レール(24、26、28)は、いずれも二つの長尺状の構造体である軌条で平行に構成される。さらに、図5及び図6を参照すると、第1の案内レール24は、隣接する軌条241同士の間に第1の案内溝24aがそれぞれ形成され、軌条241の底面は第1の拘束面24bと定義される。同様に、第2の案内レール26の隣接する軌条261同士の間に第2の案内溝26aがそれぞれ形成され、軌条261の底面は第2の拘束面26bと定義され、第1の拘束面24bと第2の拘束面26aとが対向して配置される。図10を参照すると、前記行進部を構成する案内レール28は第1の案内レール24に連結され、第1の案内レール24の構成と同様に、前記案内レール28は、二つの軌条281で構成され、隣接する軌条281同士の間で案内溝28aが形成される。更に、前記刃物取り外し部Lの中央部は刃物転倒位置と定義される。
【0011】
前記チェーン30は、直列に連結された複数のチェーン節32を含み、前記チェーン節32が直列に連結された位置を支点として揺動可能である。図7を参照すると、チェーン節32毎に対向する両側にそれぞれ第1の案内ローラ34及び第2の案内ローラ36が配置され、第1の案内ローラ34及び第2の案内ローラ36の両側に、一つまたは複数の拘束部材(例えば、ローラー38)がそれぞれ配置される。前記案内ローラ及びローラのそれぞれは、一つの中心線を中心として回動可能であり、かつ第1の案内ローラ34及び第2の案内ローラ36を通過する中心線と、ローラ38を通過する中心線とは投影面に直交する。また、ローラ38を通過する中心線と平行するとともチェーン節32を通過する基線L1が定義されると、第1の案内ローラ34及び第2の案内ローラ36は前記基線L1の両側に等距離で対称的に位置する。チェーン節32は、基線L1の周りに複数のボルト孔32a及びピン孔32bを有する。
【0012】
前記複数のケース40は、対応のチェーン節32にそれぞれ揺動可能に枢着される。ケース40は、略円筒形であり、対向する前端40aと後端40bと、前端40aから後端40bに凹んだ収容孔40cとを有する。刃物棒Tは、前記収容孔40cの軸線L2に沿って収容孔40cに対して出入りする。刃物棒Tを収容孔40cに安定に収容させるために、収容孔40cの底部にはロック装置(図示せず)が隠設される。図7及び図8を参照すると、ケース40毎に、外壁には突起部材42が一体的に形成される。突起部材42には着脱可能な刃物転倒用鈑44がロックされる。刃物転倒用鈑44は、斜め切断により一端に開口が形成された案内溝44aを有する。ガイド溝44aの切断方向は、前記軸線L2と所定の角度を保持する。それぞれのケース40の外壁には、径方向に位置するフロント当接部材46が更に配置される。本実施形態のフロント当接部材46はローラで構成され、刃物転倒用鈑44との間に隙間を保持する。ケース40の後端40bにはリア当接部材48を有する。本実施形態のリア当接部材48はケース40の後端40bから外向きに突出して一体的に形成される部材である。もちろん、突起部材をケース40の後端40bにロックすることで前記リア当接部材を構成してもよい。
【0013】
図4図8を参照すると、ケース保持装置50は、前記レール20の前記刃物取り外し部Lに対応する位置に形成したフロントストッパ51と、前記チェーン節32毎に形成したリアストッパ52とを有する。前記フロントストッパ51は二つのL字型邪魔板51aで構成される。前記二つのL字型邪魔板51aは、前記第1の案内レール24の、前記本体10から離れる軌条241にロックされる。前記二つのL字型邪魔板51aの間は所定の離間距離があり、前記離間距離は切欠部Gを形成する。前記切欠部Gが前記刃物取り外し部Lの中間部位の刃物転倒位置にちょうど対応する。他の実施形態では、フロントストッパは、単一のL字型邪魔板で構成されてもよく、刃物転倒位置に対応し当該切欠部を用意すればよい。ケース保持装置50のリアストッパ52は、取付板521と、前記取付板521に連結された二つの枢着耳部522とをそれぞれ有するコの字状の折り畳みプレートである。リアストッパ52は、ボルト53を取付板521の孔521aに貫通させてチェーン節32のボルト孔32aにロックさせるとともに、ピン56を取付板521の孔521aを貫通させてチェーン節32のピン孔32bに挿入させることでチェーン節32に固定連結される。ケース40は、軸杆部54を枢着耳部522の孔522a及びケース40の枢着孔40dに貫通させることでチェーン節32に枢着される。上述の説明において、ケース40は、リアストッパ52を介してチェーン節32に間接に枢着される。実際に、ケースをチェーン節に直接に枢着させるように、チェーン節は一体的に形成された枢着耳部を有する構造であってもよい。また、ケース保持装置50は、当接部55を更に含み(図4を参照)、前記当接部55は、前記本体10に配置され、前記レール20の第2の案内レール26の下に位置するとともに、前記刃物取り外し部Lの中間部位の刃物転倒位置に対応する。前記当接部55は凹状部55aを有する。
【0014】
前記刃物転倒装置60は、台座61と、シリンダ62と、押し引き部材63と、刃物転倒用プーリー64と、案内杆65とを含む。前記台座61は、前記本体10の前記取付面10aに結合される。前記シリンダ62と前記押し引き部材63とは、シリンダ62の内圧を制御することで押し引き部材63を移動させるように駆動可能である圧力シリンダ装置を構成し、シリンダ62は前記台座61に配置され、押し引き部材63はピストンロッドであり、一端が前記シリンダ62の内部に位置し、他端が前記台座61を貫通して固定鈑66に連結される。固定鈑66の下にはコの字状の輪座67が固定連結され、前記刃物転倒用プーリー64は前記輪座67に枢着され、前記案内杆65は前記押し引き部材63と平行するようにに前記台座61を貫通し、一端が前記固定鈑66に連結される。前記押し引き部材63は、直線往復変位するとき、案内杆65を同期に移動させるように駆動できる。案内杆65により押し引き部材63が移動する時の安定性が向上される。前記刃物転倒用プーリー64は、前記刃物転倒位置に位置しているケース40の刃物転倒用鈑44の案内溝44aに入り、押し引き部材63の上下移動に従ってケース40を押し下げるかまたは引き上げることで、前記刃物転倒位置に位置しているケース40が前記軸杆部54を支点として図5に示された第一位置P1と図9に示された第二位置P2との間で揺動可能になる。前記ケース40が前記第一位置P1に位置するとき、前記軸線L2と前記基線L1とが重なる。前記ケース40が前記第二位置P2に位置するとき、ケース40が前記当接部55の凹状部55aに当接する。ここで、ケース40が水平配置の第1の位置P1から垂直配置の第2の位置P2へ回転する方向を第1の回転方向と定義し、ケース40が垂直配置の第2の位置P2から水平配置の第1の位置P1へ回転する方向を第2の回転方向と定義し、即ち、前記第1の回転方向は、前記第2の回転方向と反対する。尚、上述の刃物転倒用プーリー64は、前記押し引き部材63の上下動作の経路からずれる側に位置することが好ましい。図5に示すように、刃物転倒用鈑44に合わせる案内溝44aを斜め配置させることで、ケース40をスムーズにガイドすることができる。
【0015】
図2を参照すると、刃物の自動交換装置70は、カム室72と、モータ74と、刃物交換アーム76とを含む。前記カム室72は前記本体10に結合され、モータ74及び刃物交換アーム76は、カム室72の両側にそれぞれ配置され、モータ74は刃物交換アーム76に刃物交換動作をさせるための電力を提供し、刃物を交換するために、刃物交換アーム76は前記刃物転倒位置に停止し第二位置P2に位置するケースの刃物棒Tをつかむ。刃物の自動交換装置70は周知技術であるため、ここでは繰り返し説明しない。
【0016】
以上は、本発明の上述の好ましい実施形態に係わる刃物マガジンアセンブリ100の構造を説明したが、以下、それが搬送するケースの数を効果的に増加させること、及びチェーンが運転するときの安定性を向上させることを説明する。
【0017】
図5図7を参照すると、本実施形態のケース40は、チェーン節32の片側に枢動可能に取り付けられる。第一位置P1に位置とき、ケース40が水平になり、この場合、ケース40の中心を通過する軸線L2がチェーン節32の基線L1と重なる。上述の構造によれば、チェーン30の移動に従ってケース40の位置が変更すると、チェーン30の行進経路の折り返しUターン部にケース同士の不適切な係止を回避することができる。上述の台湾特許第I494190号の「刃物マガジンのチェーンフレームのガイド装置」及び台湾実用新案第M457602号の「工作機械用チェーン式刃物マガジン」などに開示されたように、ケースがチェーンの外側(即ち、回転中心からずれる側)に位置するため、チェーンが折り返して行進経路を変更することができず、一方向に回転しかできないという欠点が改善される。従って、レールを搭載するための本体10の面積が限られでも、本発明の刃物マガジンアセンブリによれば、レール20及チェーン30は行進の方向を任意に変更でき、即ち、折り返しを複数に行うように設計することができるため、チェーン30の長さが増加されて、チェーン30がより多くのケース40を搭載することができる。
【0018】
駆動モータ80が駆動輪82によってチェーン30を前記レール20に沿って行進させる場合、前記レール20の刃物取り外し部Lを経過するチェーン節32は、図5を参照すると、第1の案内ローラ34は第1の案内レール24の第1の案内溝24aに入るとともに、第2の案内ローラ36は第2の案内レール26の第2の案内溝26aに入り、第1の案内ローラ34の両側にそれぞれ配置されたローラ38(拘束部材)は、軌条241の底面の第1の拘束面24bに接触され、第2の案内ローラ36の両側にそれぞれ配置されたローラ38(拘束部材)は、軌条261の頂面の第2の拘束面26bに接触される。これによって、チェーン節32が上、下、左、および右方向の規制を受けるため、前記刃物取り外し部Lを安定に移動することができる。チェーン節32が刃物転倒位置に到着しても、同様に、片側のみ力を受けることはなく、全方向に規制される。同時に、ケース40に配置されたフロント当接部材46は前記フロントストッパ51のL字型邪魔板51aに当接し、これによって、ケース40が自重のため下向きへ回転しない。言い換えれば、ケース保持装置50のフロントストッパ51は、ケース40を第1の回転方向に沿って揺動させないように規制する。尚、図5に示された状態で前記第1の回転方向は反時計回り方向であるが、ケース40が異なる位置に位置する場合、第1の回転方向は必ずしも反時計回り方向であるとは限らない。例えば、図3及び図10に示されたレール20の上の水平部に位置するケース40は、フロント当接部材46が軸杆部54の下に位置するため、この状態で、第1の回転方向は時計回り方向である。
【0019】
一つの前記チェーン節32が前記刃物転倒位置に到着すると、前記チェーン節32に枢着されたケース40の刃物転倒用鈑44の案内溝44aが刃物転倒装置60の刃物転倒用プーリー64に対向し、押し引き部材63が下へ移動するように制御されると、前記刃物転倒用プーリー64がこの勢いに乗ずってケース40を第1の回転方向へ揺動させるように押し、ケース40のフロント当接部材46は前記切欠部Gをちょうど通過可能であり、前記ケース40が前記当接部55の凹状部55aに当接して第二位置P2に停止する。これによって、刃物交換アーム76がケース40内の刃物棒Tをスムーズにつかむことができる。
【0020】
なお、前記レール20の行進部を通過するチェーン節32に対して、主に第1の案内ローラ34を案内レール28の案内溝28aに入ることで位置が規制される。しかも、レール20の転向部分にはいずれも案内鈑22が追加的に配置されるため、チェーン30が安定に運転することができる。チェーン30は主に長尺状の構造体の案内レールによって位置規制が達成されるため、チェーン30の両側で行進経路に沿ってパレットを追加的に配置する必要はない。従って、既存のチェーン式刃物マガジンのケースがパレットに接触しやすいことによる過度の摩擦力が発生するという欠点を改善することができ、騒音の発生を効果的に低減することができる。本実施形態のレール20にはパレットが配置されず、レール20の上の水平部のケース40が自重のため下向きに回転する傾向があるが、ケース40の後端40bのリア当接部材48が前記リアストッパ52の取付板521に当接するため、ケース40の不適切に下向きに回転することが回避され、第1の位置P1の水平配置を保持することができる。言い換えれば、この状態のリアストッパ52は、第2の回転方向に沿って揺動できないようにケース40を規制する。
【0021】
以上に述べたように、本発明の刃物マガジンアセンブリによれば、チェーンの回転方向はケースの位置に制限されないため、より柔軟な方法で設計することができる。これによって、ケースの数を容易に増加することができる。また、レールは、主に長尺状の構造体の案内レールとチェーンの案内ローラとを配置することで、チェーンが運転するときの安定性を向上することができる。上述したものは本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の明細書及び特許請求の範囲の均等な変化はすべて、本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0022】
[本発明]
100:刃物マガジンアセンブリ
10:本体
10a:取付面
20:レール
22:案内鈑
24:第1の案内レール
241:軌条
24a:第1の案内溝
24b:第1の拘束面
26:第2の案内レール
261:軌条
26a:第2の案内溝
26b:第2の拘束面
28:案内レール
281:軌条
28a:案内溝
30:チェーン
32:チェーン節
32a:ボルト孔
32b:ピン孔
34:第1の案内ローラ
36:第2の案内ローラ
38:ローラ
40:ケース
40a:前端
40b:後端
40c:収容孔
40d:枢着孔
42:突起部材
44:刃物転倒用鈑
44a:案内溝
46:フロント当接部材
48:リア当接部材
50:ケース保持装置
51:フロントストッパ
51a:L字型邪魔板
52:リアストッパ
521:取付板
521a:孔
522:枢着耳部
522a:孔
53:ボルト
54:軸杆部
55:当接部
55a:凹状部
56:ピン
60:刃物転倒装置
61:台座
62:シリンダ
63:押し引き部材
64:刃物転倒用プーリー
65:案内杆
66:固定鈑
67:輪座
70:刃物の自動交換装置
72:カム室
74:モータ
76:刃物交換アーム
80:駆動モータ
82:駆動輪
L:刃物取り外し部
L1:基線
L2:軸線
G:切欠部
P1:第一位置
P2:第二位置
T:刃物棒
図1
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図3
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図10