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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20221107BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
F25D23/02 305Z
F25D23/00 302A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021179725
(22)【出願日】2021-11-02
(62)【分割の表示】P 2017240767の分割
【原出願日】2017-12-15
(65)【公開番号】P2022009949
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】岡部 裕一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】片桐 賢宏
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103185443(CN,A)
【文献】国際公開第2012/022627(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第101512265(CN,A)
【文献】特開平1-291088(JP,A)
【文献】特開平8-82472(JP,A)
【文献】特表2019-516943(JP,A)
【文献】実開昭58-116992(JP,U)
【文献】特開平9-189476(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0208013(KR,B1)
【文献】特開平8-233440(JP,A)
【文献】特開2009-52787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/04 - 17/08
F25D 23/00 - 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室を開閉する扉と、
前記扉が閉状態のときに前記扉と前記貯蔵室を密閉する扉パッキングと、を備え、
前記扉パッキングは、扉に形成された溝に取り付ける胴部と、前記扉との密閉を補助するひれ形状と、前記貯蔵室の内外を断熱する袋形状と、を備え、
前記扉パッキングの胴部の一部が切欠かれ、
前記扉を開状態にする際、前記扉パッキングが変形して、切欠きから前記貯蔵室内の空気が外気と連通する、冷蔵庫。
【請求項2】
貯蔵室と、
前記貯蔵室を開閉する扉と、
前記扉が閉状態のときに前記扉と前記貯蔵室を密閉する扉パッキングと、を備え、
前記扉パッキングは、扉に形成された溝に取り付ける胴部と、前記扉との密閉を補助するひれ形状と、前記貯蔵室の内外を断熱する袋形状と、を備え、
前記扉パッキングの胴部の一部が切り込みを入れられ、
前記扉を開状態にする際、前記扉パッキングが変形して、切り込みから前記貯蔵室内の空気が外気と連通する、冷蔵庫。
【請求項3】
前記切り込みの周囲は、厚みが増している、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記切り込の周囲の端部は、丸みを帯びている、請求項2または3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記扉パッキングは、磁石を取り付ける袋形状を備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫の扉に取り付けられた扉パッキングに関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫といった保温装置は、貯蔵室が、扉パッキングが取り付けられた扉により開閉するように構成される。貯蔵室が扉パッキングにより密閉された冷蔵庫では、庫内の空気が冷やされることにより収縮し、庫内に負圧が生じる。この負圧により貯蔵室と扉パッキングの密着が強くなり、開放するときに大きな力が必要となる。
【0003】
開放するための力を軽減するため、負圧を開放する構成が考えられている。例えば、特許文献1に開示されているように、扉に把手を設けた操作杆を取り付け、断熱扉に連通孔を開閉する弁を設け、把手が弁から離れると弁が開き、負圧を開放する冷蔵庫が知られている。また、特許文献2に開示されているように、ドアを閉鎖位置から前方へ押し出す駆動源により、ガスケットを弾性的に変形させ、貯蔵室内を開放することにより、貯蔵室内の負圧を軽減する冷蔵庫が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-233440号公報
【文献】特開2009-052787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、弁を構成するための弁体と開放するばねを付加する必要があり、構成が複雑になり、さらに断熱性能が低下するという問題がある。また特許文献2では、駆動源を付加する必要があり、同様に構成が複雑になるという問題がある。このように複雑な構成を付加することは、コスト上昇の要因となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決し、複雑でない構成で、断熱性能が低下することなく、負圧を開放する冷蔵庫、すなわち、コストの上昇を抑えながら、利便性に優れた冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る冷蔵庫は、次のように構成したことを特徴とする。
【0008】
まず、本発明の冷蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室を開閉する扉と、前記扉の4辺を含む全周囲で取り付けられ、前記扉が閉状態のときに前記扉と前記貯蔵室を密閉する扉パッキングと、を備え、前記扉パッキングは、前記扉に形成された溝に取り付ける部分と、前記扉と密閉するひれ形状と、磁石を取り付ける袋形状と、を備え、4辺のうち少なくとも1辺の前記扉パッキングの前記扉に形成された溝に取り付ける部分が、切欠かれ、前記扉を開状態にする際、前記扉パッキングが変形して、切欠きから庫内の空気が外気と連通する、ことを特徴としている。
【0009】
扉パッキングの扉に取り付ける部分が切欠かれていることにより、扉を開放する際、扉パッキングが変形して、切欠きから庫内の空気と外気が連通し、庫内の負圧を開放する。
【0010】
また、本発明の冷蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室を開閉する扉と、前記扉の4辺を含む全周囲で取り付けられ、前記扉が閉状態のときに前記扉と前記貯蔵室を密閉する扉パッキングと、を備え、前記扉パッキングは、前記扉に形成された溝に取り付ける部分と、前記扉と密閉するひれ形状と、磁石を取り付ける袋形状と、を備え、4辺のうち少なくとも1辺の前記扉パッキングの前記扉に形成された溝に取り付ける部分の根元が、辺の方向に切り込みを入れられ、前記扉を開状態にする際、前記扉パッキングが変形して、切り込みから庫内の空気が外気と連通する、ことを特徴としている。
【0011】
扉パッキングの扉に取り付ける部分の根元に、切り込みが入れられていることにより、扉を開放する際、扉パッキングが変形して、切り込みから庫内の空気と外気が連通し、庫内の負圧を開放する。
【0012】
また、本発明は、前記切欠きまたは前記切り込みは、長さが100mm以下である、ことを特徴としている。
【0013】
上記切欠きまたは切り込みのパッキングの取り付け部に平行方向への長さは、長くすると、扉への取り付けが緩くなり、扉パッキングが外れてしまう虞がある。また、扉を閉めた状態での密閉度が落ちるため、100mm以下が好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記切欠きまたは前記切り込みは、1辺または各辺に複数ある、ことを特徴としている。
【0015】
上記切欠きまたは切り込みは、扉の4辺のうち、1辺に複数あることができ、各辺に複数あってもよい。その結果、庫内の空気と外気が連通しやすくなり、好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記扉は、回転式扉または引き出し式扉である、ことを特徴としている。
【0017】
本発明に係る扉は、扉に取り付けられた扉パッキングが貯蔵庫と密着するあらゆる扉に用いることができる。この場合、回転式扉、引き出し式扉であることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、扉パッキングを利用している冷蔵庫以外の機器である、温蔵庫、チェスト等にも採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫全体を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示す冷蔵庫の扉を外した状態を概略的に示す斜視図である。
図3図1に示す扉の扉パッキングが取り付けられた状態を概略的に示す斜視図である。
図4】(a)図1に示す扉の扉パッキングが取り外された状態を概略的に示す斜視図と、(b)図1に示す扉の扉パッキングを概略的に示す斜視図である。
図5図1のA-A断面を示す平面断面図である。
図6図5に示す扉パッキングの領域を拡大して示した図であって、扉に取り付けられた扉パッキングが貯蔵室を密閉している状態を示す断面図である。
図7】本発明の実施形態1に係る扉パッキングを示す図であって、(a)扉パッキングの扉に形成された溝に取り付ける部分の切欠きを示す断面図と、(b)扉パッキングの扉に形成された溝に取り付ける部分の切欠きを側面から見た図である。
図8】本発明の実施形態2に係る扉パッキングを示す図であって、(a)扉パッキングの扉に形成された溝に取り付ける部分の切り込みを示す断面図と、(b)扉パッキングの扉に形成された溝に取り付ける部分の切り込みを側面から見た図である。
図9】本発明の実施形態1に係る切欠きの部分で扉に取り付けられた扉パッキングが貯蔵室を密閉している状態を示す断面図である。
図10】本発明の実施形態1に係る切欠きの部分で扉に取り付けられた扉パッキングが貯蔵室を解放する直前の状態を示す側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための様々な実施形態を説明する。各図面中、同一の機能を有する対応する部材には、同一符号を付している。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。実施形態2以降では、実施形態1と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとに逐次言及しないものとする。
【0021】
(冷蔵庫の全体構成について)
図1は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫全体を概略的に示す斜視図である。図1のように、本発明の1つの実施形態の冷蔵庫11は、その内部に食品等の貯蔵ができる冷蔵庫本体13を備える。冷蔵庫本体13は、その前方の開口を開閉する扉15を備える。
【0022】
図2は、図1に示す冷蔵庫の扉を外した状態を概略的に示す斜視図である。図2を参照しながら、冷蔵庫を構成する部品を説明する。
【0023】
冷蔵庫本体13は、前側の開口を除き、断熱材が配置された冷蔵庫本体13の上面部、下面部、背面部、両方の側面部で囲まれている。扉15の閉鎖時に、これら上面部、下面部及び両側面部の開口側の面部21aから21dにおいて、扉パッキングと密着する。
【0024】
貯蔵室23には、複数の棚25aから25eを備え、多数の食品等を貯蔵でき、貯蔵室のスペースを有効に活用できる。ここでは、1ドアの冷蔵庫で、貯蔵室は1つであり、温度は各棚において概略一定である。
【0025】
(扉パッキングの説明)
図3は、図1に示す扉の扉パッキングが取り付けられた状態を概略的に示す斜視図である。図4(a)は、図1に示す扉の扉パッキングが取り外された状態を概略的に示す斜視図であり、図4(b)は、図1に示す扉の扉パッキングを概略的に示す斜視図である。図5は、図1のA-A断面を示す平面断面図である。図3乃至5を参照しながら、冷蔵庫の扉を構成する扉パッキングの説明を行う。
【0026】
図3を用いて、扉15の形状および機能について説明する。扉15は、貯蔵室の前側の開口側の面部にあわせて、略長方形状をしている。扉15の内面は、貯蔵機能を有する棚を備えることができる。扉15は一定の厚みを有して断熱性を備え、後述するように、扉パッキングにより外気を遮断することで冷蔵庫は保温性を備える。扉15の外面は、図1に示されるよう平面とされるが、表示装置等を取り付けて、庫内の状態をモニタしてもよい。
【0027】
図4を用いて、扉15に対する扉パッキングの配置及び着脱について説明する。扉15は、図4(a)に示す扉外形部材31と図4(b)に示す扉パッキング33とに分離できる。扉外形部材は扉の外形と機能の大半を占めるものであり、以後、区別せず扉と称呼する。
【0028】
冷蔵庫本体13の開口側の面部21aから21dは、塗装鋼板で形成されており、扉15の内面の外周と密着するための吸着部を備える。扉パッキング33は、この吸着部に対応する位置に配置される。そのため、扉31のこの4辺の吸着部に対応する全周囲にわたって扉パッキング33が設けられる。扉31にはその全周囲にわたって、溝が切ってあり、扉パッキング33は、扉に取り付ける部分を溝に差し込むことで取り付けられる。
【0029】
図5を用いて、扉に扉パッキングが取り付けられた状態について説明する。図5は、冷蔵庫本体13が扉31に閉じられた閉状態の断面図である。この閉状態で、扉パッキング33は、扉31の左右両側に、扉31と冷蔵庫本体13の間に配置されている。
【0030】
冷蔵庫本体13と扉31は、閉じた空間である貯蔵室23を形成する。扉パッキング33が、冷蔵庫本体13の庫内の空気と扉31の外の空気を遮断することで内部が密閉される。内部が密閉されることで、庫内の空気が外気と分離して冷却され、温度が下がる。庫内の温度が下がり、密閉されていることで、庫内の空気が収縮し、庫内に負圧を生じる。さらに、扉を開放する時には扉パッキングの磁石による磁力が解除できるまで扉パッキングが伸び、より庫内が負圧になる。
【0031】
また、貯蔵室の数に対応して1つの扉としたが、本発明はこれに限定されず、貯蔵室が複数であれば複数の扉を備えることができる。
【0032】
次に図6は、図5に示す扉パッキングの領域を拡大して示した図であって、扉に取り付けられた扉パッキングが貯蔵室を密閉している状態を示す断面図である。図6を用いて本発明の扉パッキングについて、更に詳細に説明する。
【0033】
扉パッキング33は、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、などのゴム、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニルなどを用いることができる。これらの材質は、耐候性、耐薬品性などを考えて選択すればよい。
【0034】
扉パッキング33は、弾性変形性を有する。すなわち、扉パッキング33は、扉31を閉めたときは、冷蔵庫本体13の密着部に対応して容易に圧縮変形し、扉31を開き扉パッキング33が冷蔵庫本体13から離れたときは、復元する。これにより、貯蔵室内部を密閉することができる。また、この弾性変形性により、扉パッキング33は、扉31に圧縮して嵌めこんだ後、復元して、取り付けることができる。
【0035】
扉パッキング33は、扉に形成された溝に取り付ける部分37を備える。扉31の全周囲にわたって断面円形状の溝35が切られており、扉パッキング33は、溝35に密接して嵌まる胴部の先に、矢印の断面を有するストッパを有する、溝に取り付ける部分37を備える。これを、この溝に取り付ける部分37を溝35に嵌めこむことで扉パッキングを扉31に取り付ける。
【0036】
溝に取り付ける部分37は、溝35に密接して嵌まる胴部により、扉31と扉パッキング33の間から空気が連通することを防ぐことができる。また、上述の矢印の断面を有するストッパにより、扉31を開放する際に、冷蔵庫本体13と扉パッキング33の密着力が扉パッキング33と扉31の接続力に打ち勝って扉パッキングが外れてしまうことがない。
【0037】
また、扉パッキング33は、ひれ形状39を備える。扉パッキング33は、扉31が閉状態において、このひれ形状39が弾性変形し、溝35の周囲近辺の平坦な部分と密着することで、扉31と扉パッキングをさらに密閉する。
【0038】
また、扉パッキング33は、磁石を取り付ける袋形状41を備える。この磁石の磁力は冷蔵庫本体13と密着するための力となり、扉パッキング33と一体であるため扉31と冷蔵庫本体13を引きつけることができる。扉パッキング33は、扉31が閉状態において、この磁石を取り付ける袋形状41によって、冷蔵庫本体13の吸着部と密着する。
【0039】
(実施形態1)
図7は、本発明の実施形態1に係る扉パッキングを示す図であって、(a)扉パッキングの扉に形成された溝に取り付ける部分の切欠きを示す断面図と、(b)扉パッキングの扉に形成された溝に取り付ける部分の切欠きを側面から見た図である。図7を用いて、本発明の実施形態1を説明する。
【0040】
図7(a)を参照すると、扉パッキングは、扉に形成された溝に取り付ける部分が切欠かれた部分143を備える。溝に取り付ける部分が根元から、磁石を取り付ける袋形状41とひれ形状39を残すように切欠かれ、このようにすることで扉が閉状態では、密閉を維持し、この部分で扉が開放される際、庫内の空気と外気が連通する。
【0041】
図7(a)では、切欠かれてなくなっている部分を、白抜きの点線で表す。したがって、この部分では溝と嵌合しない。また、ひれ形状39と磁石42が入った磁石を取り付ける袋形状41は、連続して成形されている。これを矢視B-Bの方向から確認した側面図が、図7(b)である。扉パッキングの一部が、扉パッキングを取り付ける長さ方向にわたって切欠かれていることがわかる。この部分は、取り付けができないため、切欠きの左右にある取り付ける部分37に連係して、ひれ形状39と磁石を取り付ける袋形状41が取り付けられている。
【0042】
切欠きの形状は、ここでは一例として、角を丸めた長方形をなしている。取り付け部分の強度を維持しつつ、外気と庫内の空気が連通したときの開口の大きくできることを考慮するとこのような長方形がよい。
【0043】
この長方形の切欠かれた部分143の取り付ける長さ方向への長さは、長くすると、扉への取り付けが緩くなり、扉を開放する際、力がかかったときに扉パッキングが外れてしまう虞がある。また、扉を閉めた状態での密閉度が落ちるため、100mm以下が好ましい。さらに好ましくは10mm以上80mm以下であることが好ましい。
【0044】
角は、補強されるよう厚みが増していてもよい。角を丸めることで、パッキングの耐用強度を上げることができ、厚みを増すことでさらに耐用強度を上げることができる。
【0045】
切欠かれた部分の形状に限定はなく、三角形、逆三角形、平行四辺形、台形、長方形の角を取った六角形、正方形、楕円形等でもよい。扉が閉状態のときに密閉を維持でき、扉が開状態になる際に、変形したときに庫内の空気と外気が連通する開口が開けばよい。
【0046】
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2に係る扉パッキングを示す図であって、(a)扉パッキングの扉に形成された溝に取り付ける部分の切り込みを示す断面図と、(b)扉パッキングの扉に形成された溝に取り付ける部分の切り込みを側面から見た図である。図8を用いて、本発明の実施形態2を説明する。
【0047】
図8(a)を参照すると、扉パッキングは、扉に形成された溝に取り付ける部分37に切り込みを入れられた部分243を備える。切り込み243は、扉に形成された溝に取り付ける部分の根元、すなわち、扉パッキングのひれ形状39の下部であって、溝に取り付ける部分37の上にある。切り込み243の形状は、直線形状をしている。このようにすることで扉が閉状態では、密閉を維持し、扉が開放される際、この部分が変形し、開口して庫内の空気と外気が連通する。
【0048】
図8(a)では、溝に取り付ける部分37の根元に切り込みが入れられているため、この部分では取り付ける力がないが、扉の溝に、部分37が嵌めこまれる。この扉パッキングを矢視C-Cの方向から確認した側面図が、図8(b)である。扉パッキングの一部が、扉パッキングを取り付ける長さ方向にわたって切り込みが入れられていることがわかる。ひれ形状39と磁石42が入った磁石を取り付ける袋形状41、扉に形成された溝に取り付ける部分37は、パッキングの配置に平行して連続して形成され、扉に取り付けられる。
【0049】
切り込みの形状は、ここでは一例として、パッキングの溝に取り付ける部分に沿って平行な直線をなしている。変形したときに大きく開口が開きやすいため、外気と庫内の空気を連通するには直線が好ましい。
【0050】
この切り込みが入れられた部分243の長さは、長くすると、扉への取り付けが緩くなり、扉を開放して、力がかかったときに扉パッキングが外れてしまう虞がある。また、扉を閉めた状態での密閉度が落ちるため、100mm以下が好ましい。さらに好ましくは10mm以上80mm以下であることが好ましい。
【0051】
切り込みの周囲は、補強するように厚みが増していてもよい。また、その端部は、丸みを帯びて、応力を分散するようにしていてもよい。このようにすることで切り込みの耐用強度を上げることができる。
【0052】
切り込みは、穴が空けられたようにくりぬかれていても、閉じていてもよい。また、その端部が角を取ったように丸められていてもよい。さらに、形状がパッキングに平行でなく、斜めになっていてもよく、ジグザグ形状であってもよい。扉が閉状態のときに密閉を維持でき、扉が開状態になる際に、変形したときに庫内の空気と外気が連通する開口が開けばよい。
【実施例1】
【0053】
実施の形態1に係る切欠きの部分で扉に取り付けられた冷蔵庫の実施例を示す。
【0054】
図9は、本発明の実施形態1に係る切欠きの部分で扉に取り付けられた扉パッキングが貯蔵室を密閉している状態を示す断面図である。図10は、本発明の実施形態1に係る切欠きの部分で扉に取り付けられた扉パッキングが貯蔵室を解放する直前の状態を示す側面の断面図である。図9を用いて、扉パッキングが扉を密閉している状態を説明する。
【0055】
図9に示す通り、既存の冷蔵庫を用いているため、従来と同様に溝35が形成されている。しかしながら、扉パッキング33はその取り付け部分143が切欠かれているので、この部分は空隙になっている。この切欠かれて空隙になっている部分は、取り付け強度と弾性変形性を考慮して、長さ50mmで扉の左右1箇所ずつ、計2箇所に開けられている。
【0056】
扉31は、磁石によって冷蔵庫本体13と密着されている。また、ひれ形状39が弾性変形することによって、扉31の平坦な部分と密着し、密閉が保たれている。
【0057】
図10に示す通り、扉が開状態になる際、扉に引っ張られて、扉パッキング33が変形する。扉パッキング33が変形して生じた連通孔151により、庫内の空気と外気が連通する。これにより、庫内の負圧が解消されて、扉31が、小さな力で開放される。
【0058】
本発明を適用した冷蔵庫は、従来の冷蔵庫に比べて、扉の開放力が約2.5kgfから約2.0kgfへ2割程度減少した。
【0059】
ここでは、切欠きが、扉の4辺のうち2辺の左右1箇所ずつある場合を示したが、扉の4辺のうち1辺に複数あってもよく、各辺に1つまたは複数あってもよい。その結果、庫内の空気と外気が連通しやすくなり、好ましい。
【0060】
また、実施形態2のような切り込みも同様に、扉が開状態になる際に、扉に引っ張られて変形してまたは変形せずに、連通孔が生じ、庫内の空気と外気が連通する。これにより、庫内の負圧が解消されて、扉が小さな力で開放される。
【0061】
このような切り込みの場合も、扉の4辺のうち1箇所ある場合のみならず、扉の4辺のうち、1辺に複数あることができ、各辺に複数あってもよい。その結果、庫内の空気と外気が連通しやすくなり、好ましい。
【0062】
本発明に係る扉は、扉に取り付けられた扉パッキングが貯蔵庫と密着するあらゆる扉に用いることができる。本実施例では、回転式扉、引き出し式扉に適用できる。
【0063】
本実施例は、冷蔵庫によるものを示したが、本発明は、扉パッキングを利用している冷蔵庫以外の機器である、温蔵庫、チェスト等にも採用できる。
【0064】
本発明により、冷蔵庫が扉の開放時に扉パッキングが変形するという性質を利用して、負圧を開放することができる。すなわち、コストの上昇を抑えながら、利便性に優れた冷蔵庫を提供することができる。
【符号の説明】
【0065】
13 冷蔵庫本体
15 扉
21a~21d 冷蔵庫本体の開口側の面部
23 貯蔵室
25a~25e 棚
31 扉
33 扉パッキング
35 溝
37 溝に取り付ける部分
39 ひれ形状
41 磁石を取り付ける袋形状
42 磁石(フェライトゴム)
143 溝に取り付ける部分が切欠かれた部分
151 連通孔
243 溝に取り付ける部分に切り込みを入れられた部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10