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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】シートパッドの製造方法および成形型
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20221107BHJP
   B68G 5/02 20060101ALI20221107BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20221107BHJP
   B29C 33/12 20060101ALI20221107BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20221107BHJP
   B68G 7/02 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
A47C27/15 A
B68G5/02
B29C39/26
B29C33/12
B29C44/00 A
B68G7/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019008775
(22)【出願日】2019-01-22
(65)【公開番号】P2020116054
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】松本 真人
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-150223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/15
B68G 5/02
B29C 39/26
B29C 33/12
B29C 44/00
B68G 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーズ発泡体からなる補助材における上下の面および外周面に開口するように上下に亘って形成された取付スリットを、成形型の型面から延出するように設けられた板状の取付片に嵌め合わせて、該取付片の先端が前記取付スリットから突き出るように、前記補助材を前記成形型にセットし、
前記成形型に画成されたキャビティにおいて発泡体原料を発泡成形することで、前記補助材と異なる発泡体からなるパッド本体を、該補助材と一体的に形成する
ことを特徴とするシートパッドの製造方法。
【請求項2】
前記補助材を、複数の前記取付片によって前記成形型にセットする請求項1記載のシートパッドの製造方法。
【請求項3】
前記補助材を、複数の前記取付片によって該補助材の両側から挟んで前記成形型にセットする請求項1または2記載のシートパッドの製造方法。
【請求項4】
前記取付片に設けた抜け止め部によって、前記取付スリットを該取付片に嵌めた前記補助材における前記型面から離れる方向の移動を規制する請求項1~3の何れか一項に記載のシートパッドの製造方法。
【請求項5】
ビーズ発泡体からなる補助材を第1型部または第2型部にセットした状態で、該第1型部および該第2型部により画成されるキャビティで前記補助材と異なる発泡体からなるパッド本体を成形する成形型であって、
前記第1型部および前記第2型部のうちの前記補助材をセットするものに、その型面から延出するように設けられ、前記補助材における上下の面および外周面に開口するように上下に亘って形成された取付スリットが嵌まる板状の取付片を備え、
前記取付片は、前記型面からの延出寸法が、前記取付スリットの上下寸法よりも長く設定されている
ことを特徴とする成形型。
【請求項6】
前記型面には、1つの前記補助材に対応して、該補助材を保持する複数の前記取付片が設けられている請求項5記載の成形型。
【請求項7】
前記型面には、複数の前記取付片が、前記補助材を両側から挟むように設けられている請求項5または6記載の成形型。
【請求項8】
前記取付片は、前記取付スリットに差し込んだ際に、前記型面から離れる方向の前記補助材の移動を規制する抜け止め部を備えている請求項5~7の何れか一項に記載の成形型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビーズ発泡体と他の発泡体とを一体化して形成されるシートパッドの製造方法および成形型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の座席などの芯材として用いられるシートパッドとしては、座面側の上層をポリウレタン発泡体で形成すると共に、下層をポリスチロール発泡体で形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のように、シートパッドの一部を、ポリスチロール発泡体などの発泡ビーズ成形により得られるビーズ発泡体で構成することで、シートパッドの軽量化を図ることができる利点がある。
【0003】
特許文献1のようなシートパッドは、別に成形して得られるポリスチロール発泡体を取り付けた上型と下型との間に画成されるキャビティで、ポリウレタン発泡体を発泡成形することで、上下の層を接合している。この際に、凹凸のある外形のポリスチロール発泡体を、該ポリスチロール発泡体の外形に合わせて凹凸する上型の型面に嵌め合わせることで、ポリスチロール発泡体を上型に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-70330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したポリスチロール発泡体などのビーズ発泡体は、発泡体であるが故に、寸法のばらつきが発生し、また季節によっても寸法精度に変化がある。このため、上型とビーズ発泡体との凹凸の嵌め合いによって、ビーズ発泡体を上型に取り付ける方法であると、所定寸法よりも小さいビーズ発泡体は、上型から脱落してしまう。そして、ビーズ発泡体が上型から脱落しないようにするために、調整する手間(労力や時間)がかかっている。
【0006】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、効率よくシートパッドを得ることができるシートパッドの製造方法および成形型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係るシートパッドの製造方法は、
ビーズ発泡体からなる補助材における上下の面および外周面に開口するように上下に亘って形成された取付スリットを、成形型の型面から延出するように設けられた板状の取付片に嵌め合わせて、該取付片の先端が前記取付スリットから突き出るように、前記補助材を前記成形型にセットし、
前記成形型に画成されたキャビティにおいて発泡体原料を発泡成形することで、前記補助材と異なる発泡体からなるパッド本体を、該補助材と一体的に形成することを要旨とする。
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る成形型は、
ビーズ発泡体からなる補助材を第1型部または第2型部にセットした状態で、該第1型部および該第2型部により画成されるキャビティで前記補助材と異なる発泡体からなるパッド本体を成形する成形型であって、
前記第1型部および前記第2型部のうちの前記補助材をセットするものに、その型面から延出するように設けられ、前記補助材における上下の面および外周面に開口するように上下に亘って形成された取付スリットが嵌まる板状の取付片を備え、
前記取付片は、前記型面からの延出寸法が、前記取付スリットの上下寸法よりも長く設定されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るシートパッドの製造方法によれば、シートパッドを効率よく得ることができる。
本発明に係る成形型によれば、シートパッドを効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係るシートパッドを示す斜視図である。
図2】実施例のシートパッドの底面図である。
図3】実施例のシートパッドを長手方向に切断した断面図である。
図4】実施例のシートパッドを短手方向に切断した断面図である。
図5】実施例のシートパッドの製造工程を示す説明図である。
図6】実施例のシートパッドの成形に用いられる成形型の第1型を型面側から示す図である。
図7】実施例のシートパッドの製造工程を示す説明図である。
図8】取付片の変更例を示す断面図である。
図9】取付片の別の変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係るシートパッドの製造方法および成形型につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、シートパッドにおいて、該シートパッドを使用する乗員を支える側を上といい、その反対側を下という。従って、座部を構成するシートパッドでは、乗員の臀部を支える側が上であり、車体側が下である。
【実施例
【0012】
図1に示すように、実施例のシートパッド10は、車両の後部座席において使用者の下半身を支持する座部を構成するものである。図3および図4に示すように、シートパッド10は、該シートパッド10の上部を主に構成するパッド本体12と、該シートパッド10の下部に主に配置される補助材14とを備えている。シートパッド10は、パッド本体12が補助材14の上側に積層されており、パッド本体12および補助材14が接合している。実施例のシートパッド10は、該シートパッド10の外面における上面および側面がパッド本体12で構成され(図1参照)、該シートパッド10の外面における下面の一部が補助材14で構成されている(図2参照)。シートパッド10は、補助材14と接するように成形されるパッド本体12の接着力によって、パッド本体12と補助材14とが一体化されている。
【0013】
パッド本体12は、重合反応によって生じるガスや発泡剤などの化学反応を利用する方法(化学反応ガス活用法)や、機械的に攪拌して気体を吹き込むなど、空気を混入させる方法(機械的混入法)等で得られる発泡体が用いられる。パッド本体12は、補助材14をなすビーズ発泡体と異なる発泡体が用いられ、例えばポリウレタンフォームが採用される。また、パッド本体12は、座席に座った使用者側となることから、補助材14よりも柔軟性がある軟質発泡体が用いられている。
【0014】
補助材14は、発泡剤を含んだ発泡ビーズを蒸気等で加熱して発泡および成形することで得られるポリプロピレン発泡体(EPP)やポリスチロール発泡体(EPS)などの弾性を有するビーズ発泡体で構成されている。なお、補助材14は、パッド本体12を構成する素材よりも軽量であり、剛性が大きな素材が用いられる。補助材14は、シートパッド10の外面における下面(車体に接する面)を構成しており、車体に形成された取付部の形状に応じて、下面が凹凸するように形成されている。図2に示すように、シートパッド10には、複数(実施例では5個)の補助材14が配置されている。
【0015】
図3および図4に示すように、シートパッド10は、補助材14における上下の面および外周面(上面および下面の間において上面および下面と交差する方向に延びる面)に開口するように上下に亘って形成された取付スリット16を備えている。また、シートパッド10は、取付スリット16と連続するようにパッド本体12に形成された本体スリット18を備えている。実施例では、補助材14の外周面における一面と該一面と反対側の他面とのそれぞれに取付スリット16が設けられている。また、補助材14における外周面の一面側の取付スリット16と、補助材14における外周面の他面側の取付スリット16とは、該一面と該他面との対向方向に直線的に重ならないようにずらして配置されている。取付スリット16は、シートパッド10の下面に開口しており、シートパッド10を上下方向に貫通しないように形成されている。取付スリット16の上側に連なる本体スリット18は、その深さが、補助材14の上下方向の厚みを越えた上側のパッド本体12までに達しているものの、シートパッド10の上面まで達しない有底形状である。なお、実施例の取付スリット16は、その全てにおいて開口幅および開口から底までの深さが、同じまたは略同じに形成されている。
【0016】
次に、実施例に係るパッド本体12の成形に用いる成形型20について説明する。図5(b)~(d)および図7(c)に示すように、成形型20は、補助材14が取り付けられ、パッド本体12の外面(下面)を規定する第1型部22と、パッド本体12の外面(上面および側面)を規定する第2型部24とを備え、第1型部22と第2型部24とが相対的に開閉可能になっている。実施例の成形型20は、第1型部22が上型であると共に、第2型部24が型閉じ時に第1型部22の下側に配置される下型である。そして、成形型20は、第1型部22の下方に向いた型面に補助材14を取り付け可能になっている。また、実施例の成形型20は、第1型部22が、シートパッド10の長手方向に対応する方向に軸線が延びる図示しない軸で支持されており、第1型部22を回動して開閉するよう構成されている。成形型20は、補助材14を取り付けた第1型部22と第2型部24とを型閉じした際に、パッド本体12の形状に合わせたキャビティ26を画成する(図5(c)~(d)、図7(c)参照)。なお、実施例の成形型20は、キャビティ26においてシートパッド10を上下反転させた状態でパッド本体12を成形している。
【0017】
図5図7に示すように、第1型部22は、キャビティ26を構成する型面からキャビティ26(第2型部24)へ向けて延出するように設けられた取付片28を備えている。第1型部22は、型面から延出する取付片28に、補助材14に予め形成された取付スリット16を嵌め合わせて、補助材14を所定位置に保持可能に構成されている。取付スリット16は、補助材14の上下の面および外周面に開口するように上下に亘って溝状に形成されている。取付片28は、薄い平板状であり、その厚みが、取付スリット16の開口幅よりも厚く設定されて、取付片28に取付スリット16を嵌めた際に、取付片28と取付スリット16とが干渉するようになっている。また、取付片28は、第1型部22の型面からの延出寸法が、当該取付片28に嵌める取付スリット16の上下方向の寸法よりも大きく設定されている。取付片28は、取付片28に取付スリット16を嵌めた際に、取付片28の先端が取付スリット16から突き出るように構成されている。なお、実施例の取付片28は、その幅が、補助材14の外周面にあいた取付スリット16の開口から底までの深さよりも大きく設定されている。取付片28は、取付片28の一側縁に取付スリット16が嵌められると、補助材14の外周面にあいた取付スリット16の開口から取付片28の他側縁が出っ張る。なお、実施例の取付片28は、その全てにおいて厚みおよび幅が、同じまたは略同じに形成されている。また、実施例の取付片28は、対応する取付スリット16の上下寸法に合わせて、第1型部22の型面からの延出寸法がそれぞれ設定されている。
【0018】
図6に示すように、第1型部22の型面には、1つの補助材14に対応して、複数の取付片28が設けられており、1つの補助材14を複数の取付片28で保持するように構成されている。具体的には、第1型部22の型面には、1つの補助材14を両側から挟むように、複数の取付片28が設けられている。実施例では、補助材14の外周面の一面に開口する取付スリット16が嵌まる取付片28と、補助材14の外周面の他面に開口する取付スリット16が嵌まる取付片28とによって、補助材14をシートパッド10の短手方向に対応する方向(第1型部22を支える軸の軸線方向と直交する方向)から挟むようになっている。また、第1型部22の型面には、補助材14の外周面の一面に開口する取付スリット16が嵌まる取付片28と、補助材14外周面の前記一面と反対側の他面に開口する取付スリット16が嵌まる取付片28とが、シートパッド10の長手方向に対応する方向(第1型部22を支える軸の軸線方向)にずらして配置されている。更に、第1型部22の型面には、複数の取付片28の何れもが、第1型部22を支える軸の軸線方向が厚さ方向になるように配置されている。
【0019】
次に、前述した成形型20を用いたシートパッド10の製造方法について説明する。まず、発泡型を用いたビーズ発泡法によって所要形状に成形して得られた補助材14を用意する。その際、補助材14の上下に亘って外周面に開口する取付スリット16を、ビーズ発泡体成形時の発泡型で一体成形してもよく、一旦、ビーズ発泡体を成形した後に、取付スリット16を、熱切断などの後加工によって形成してもよい(図5(a)および図7(a)参照)。補助材14に予め形成された取付スリット16を、第1型部22の型面から延出するように設けられた板状の取付片28に嵌めて、補助材14を第1型部22にセットする(図5(a)および図7(a)参照)。このとき、取付片28の先端は、取付スリット16から突き出る(図5(b)参照)。また、各補助材14は、複数の取付片28によって両側から挟まれるように、第1型部22にセットされる(図6参照)。
【0020】
別途成形した補助材14を第1型部22にセットした状態で、第2型部24にパッド本体12をなす発泡体原料を供給する(図5(b)参照)。第1型部22と第2型部24とを型閉じして(図7(c)参照)、当該第1型部22、当該第1型部22に取り付けられた補助材14および当該第2型部24で画成されるキャビティ26において、発泡体原料を発泡させる(図5(c)参照)。第1型部22に取り付けられた補助材14がキャビティ26に臨んでいるので、発泡した発泡体原料が補助材14に接すると共に、この状態で発泡体原料が硬化する。これにより、パッド本体12自身の接着力によって、第1型部22に取り付けられた補助材14とキャビティ26で成形されたパッド本体12とが接合して一体化することで、シートパッド10が得られる(図5(d)参照)。そして、成形型20(第1型部22)を開いて、シートパッド10を取り出す(図5(e)参照)。
【0021】
実施例の成形型20およびシートパッド10の製造方法は、取付片28に補助材14に形成した取付スリット16を嵌めて、補助材14を成形型20(第1型部22)にセットしている。このように、取付片28が補助材14を取り付ける際の目印になり、補助材14のセットが簡単であるので、シートパッド10を効率よく得ることができる。実施例では、補助材14の凹凸と型面の凹凸との嵌め合いによって補助材14を取り付けていないので、補助材14の外形の設計の自由度を高くすることができる。例えば、車体との関係で凹凸形状が形成できない補助材14であっても、補助材14を第1型部22にセットすることができ、インサート成形が可能となる。そして、補助材14を複数の取付片28によって両側から挟むことで、第1型部22から補助材14を脱落し難くすることができる。
【0022】
実施例の成形型20およびシートパッド10の製造方法は、取付片28に取付スリット16を嵌めた際に、取付片28の先端が取付スリット16から突き出るように設定している。補助材14の寸法誤差や季節による補助材14の寸法精度の変化などにより補助材14の大きさが変わっても、その変化を吸収して取付片28によって補助材14を適切に保持することができる。また、仮に、補助材14が第1型部22の型面から離れるようにずれたとしても、補助材14に形成された取付スリット16よりも取付片28の方が上下方向に長いので、取付片28から補助材14を外れ難くすることができる。このように、セットした第1型部22の型面から補助材14が脱落し難いので、シートパッド10を効率よく得ることができる。
【0023】
補助材14に形成する取付スリット16の開口幅を取付片28の厚さよりも小さく形成すれば、取付スリット16と取付片28とを簡単に干渉させて、第1型部22から補助材14を脱落し難くすることができる。また、補助材14において取付片28の厚み方向(シートパッド10の長手方向)に並ぶ取付スリット16,16同士の間隔を、該厚み方向に並ぶ取付片28,28同士の間隔よりも狭く設定することでも、取付スリット16と取付片28とを簡単に干渉させて、第1型部22から補助材14を脱落し難くすることができる。更に、補助材14の外周面の一面に開口する取付スリット16の底と補助材14の外周面の他面に開口する取付スリット16の底との間隔を、当該補助材14を挟む取付片28の間隔よりも広く設定することでも、取付スリット16と取付片28とを簡単に干渉させて、第1型部22から補助材14を脱落し難くすることができる。
【0024】
このように、補助材14を取付片28と干渉するによう取り付けることで、第1型部22から補助材14を脱落し難くすることができる。特に、補助材14が設計寸法よりも小さい場合であっても、第1型部22において型面から突出する取付片28と補助材14との干渉によって、寸法誤差を吸収して補助材14を第1型部22に取り付けることができる。従って、補助材14の寸法誤差や季節による寸法精度の変化に合わせて、第1型部22の補修などをする手間(労力や時間)を省くことができ、シートパッド10を効率よく得ることができる。また、ビーズ発泡体特有の弾性を有する補助材14と取付片28とを干渉させるので、取付片28との干渉によって補助材14に欠けや割れなどの損傷を与え難い。
【0025】
(変更例)
前述した構成に限定されず、例えば以下のように変更してもよい。
(1)実施例の取付片は、平板状であるが、これに限らず、第1型部(第2型部)の型面から延出する方向に対して厚みが変化する構成や凹凸がある構成などであってもよい。例えば、図8に示すように、取付片28は、第1型部22(第2型部24)の型面に連なる根元側を先端側よりも厚く形成する構成とすることで、補助材14と取付片28とを強く干渉させることができる。
(2)図9に示すように、取付片28は、取付スリット16が嵌め合わせられた際に、第1型部22の型面から離れる方向の補助材14の移動を規制する抜け止め部30を備えていてもよい。このように、取付片28に設けた抜け止め部30によって、取付スリット16を取付片28に嵌めた補助材14における型面から離れる方向の移動を規制することで、補助材14の脱落を防止できる。例えば、抜け止め部30は、取付片28の厚み方向へ出っ張る突起で形成するなど、補助材14と干渉する形状であればよい。なお、図9(a)に示すように、抜け止め部30は、その形状、設置する数や位置を、取付片28の両側で同じとしてもよい。また、図9(b)に示すように、抜け止め部30は、その形状や設置する数や位置等を、取付片28の両側で異ならせてもよい。
【0026】
(3)実施例では、取付片を上型に設けたが、これに限らず、下型に取付片を設けてもよい。
(4)実施例では、取付片を型開きおよび型閉じにおいて移動される移動型(第1型部)に設けたが、これに限らず、取付片を型開きおよび型閉じにおいて移動しない固定型(第2型部)に設けてもよい。軸を支点として回動する移動型に取付片を設ける場合、取付片の厚み方向が軸の軸線方向(シートパッドの長手方向)となるように取付片を配置することが好ましい。これに対して、軸を支点として回動する移動型に対応する固定型に取付片を設ける場合、取付片の厚み方向が軸の軸線方向と直交する方向になるように、取付片を配置することが好ましい。
(5)実施例では、補助材の外周面の一面側を保持する取付片と補助材の外周面の他面側を保持する取付片とを、成形型の開閉における軸の軸線方向(シートパッドの長手方向)にずらして配置したが、これに限らない。例えば、補助材の外周面の一面側を保持する取付片と補助材の外周面の他面側を保持する取付片とを、成形型の開閉における軸の軸線方向と直交する方向(シートパッドの短手方向)に直線的に並ぶように配置してもよい。また、複数の取付片を、補助材の外周面の一面側または他面側の一方だけを保持するように、成形型の開閉における軸の軸線方向(シートパッドの長手方向)または該軸線と直交する方向(シートパッドの短手方向)に並べて配置してもよい。
(6)実施例では、複数の取付片を、その厚み方向が何れも同じになるように配置したが、これに限らない。例えば、軸を支点として開閉する成形型において、厚み方向が軸の軸線方向にある取付片と厚み方向が軸の軸線方向と交差する方向にある取付片とを併存させるなど、取付片の向きが異なっていてもよい。
(7)実施例では、取付スリットの開口幅および開口から底までの深さを同じまたは略同じに形成したが、これに限らない。例えば、取付スリットは、その開口幅や、開口から底までの深さが異なっていてもよい。このとき、取付スリットおよび該取付スリットに対応する取付片が干渉する関係になっていることが望ましい。
【符号の説明】
【0027】
10 シートパッド,12 パッド本体,14 補助材,16 取付スリット,
20 成形型,22 第1型部,24 第2型部,26 キャビティ,
30 抜け止め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9