(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】改修サッシ
(51)【国際特許分類】
E06B 1/62 20060101AFI20221107BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
E06B1/62 B
E06B1/56 A
(21)【出願番号】P 2018115096
(22)【出願日】2018-06-18
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 龍大
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198047(JP,A)
【文献】特開2018-025052(JP,A)
【文献】特開2017-198048(JP,A)
【文献】特開2011-153456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E06B 7/16-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新設枠と気密防水テープと額縁を備え、気密防水テープは、新設枠の室内側端部から既設枠の室内側面又は既設枠よりも室内側の既設仕上げ面にわたって
既設枠と新設枠との隙間にまたがって設けてあり、額縁は、新設枠の室内側に設けてあって気密防水テープを覆っており
、気密防水テープの剥がれを防止する剥がれ防止片を有し、剥がれ防止片は、既設枠と新設枠との隙間の位置
において気密防水テープに向けて設けてあることを特徴とする改修サッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設枠の内側に新設枠を取付けて窓を改修する改修サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、既設枠の内周側に新しい窓枠を取付ける改修サッシが知られている。かかる改修サッシは、既設枠と新設枠の隙間から風や雨水が室内に入ってこないように、当該隙間を塞ぐ必要がある。特許文献1記載の改修用引戸装置は、新設下枠(改修用下枠)と既設下枠との間などにゴム質のシール材79を介在させることで、水密性・気密性を確保している。しかし、既設枠の断面形状は建物によって様々であり、そのように既設枠と新設枠の間にシール材を介在させる構造では、様々な形状の既設枠に対応できず、水密性・気密性が悪くなることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、様々な形状の既設枠に対応できる気密性・水密性の優れた改修サッシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による改修サッシは、新設枠と気密防水テープと額縁を備え、気密防水テープは、新設枠の室内側端部から既設枠の室内側面又は既設枠よりも室内側の既設仕上げ面にわたって既設枠と新設枠との隙間にまたがって設けてあり、額縁は、新設枠の室内側に設けてあって気密防水テープを覆っており、気密防水テープの剥がれを防止する剥がれ防止片を有し、剥がれ防止片は、既設枠と新設枠との隙間の位置において気密防水テープに向けて設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による改修サッシは、新設枠と気密防水テープと額縁を備え、気密防水テープは、新設枠の室内側端部から既設枠の室内側面又は既設枠よりも室内側の既設仕上げ面にわたって既設枠と新設枠との隙間にまたがって設けてあり、額縁は、新設枠の室内側に設けてあって気密防水テープを覆っており、気密防水テープの剥がれを防止する剥がれ防止片を有することで、気密性・水密性が優れており、且つ様々な形状の既設枠に柔軟に対応することができ、しかも気密防水テープが額縁で隠れるので意匠性が良い上、額縁の剥がれ防止片により気密防水テープの剥がれを防止できる。剥がれ防止片が、既設枠と新設枠との隙間の位置において気密防水テープに向けて設けてあることで、気密防水テープの剥がれをより効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の改修サッシの一実施形態を示す縦断面図である。
【
図3】同改修サッシの下枠部を拡大して示す縦断面図である。
【
図4】縦額縁と下額縁とのコーナー部を室内側から見た図である。
【
図5】縦額縁と下額縁とのコーナー部の斜視図である。
【
図6】(a)はコーナー部品の平面図、(b)は同コーナー部品の内周側側面図、(c)は同コーナー部品の室内側正面図、(d)はA-A断面図である。
【
図7-1】本発明の改修サッシの施工手順を示す縦断面図(a)と横断面図(b)であって、既設枠に各補助材を取付けた状態を示している。
【
図7-2】本発明の改修サッシの施工手順(
図7-1の続き)を示す縦断面図(a)と横断面図(b)であって、既設枠の内側に新設枠を取付けるときの状態を示している。
【
図7-3】本発明の改修サッシの施工手順(
図7-2の続き)を示す縦断面図(a)と横断面図(b)であって、額縁を取付けるときの状態を示している。
【
図8】気密防水テープの設置状態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の改修サッシの他の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~5は、本発明の改修サッシの一実施形態を示している。この改修サッシは、
図1,2に示すように、建物の躯体開口部に既に取付けられている窓枠(既設枠8)をそのまま残して、既設枠8の内側に室外側から新しい窓枠(新設枠1)を嵌め込んで新設枠1を既設枠8に補助材13a,13b,13c,13d,13eを介してネジ14で固定し、新設枠1の室内側に額縁2,3,4を取付け、新設枠1に新しい障子15a,15bを取付けて窓を改修するものである。
既設枠8は、アルミニウム合金の押出形材よりなる既設下枠16と既設上枠17と左右の既設縦枠18,18を四方枠組みして構成してある。新設枠1は、新設下枠21と新設上枠23と左右の新設縦枠24,24を四方枠組みして構成してある。本実施形態では、既設枠8と新設枠1は、いずれも引違い窓用の窓枠となっている。既設枠8の室内側には、既存の木製額縁(躯体)9が設けられている。
【0009】
既設下枠16は、
図1に示すように、外障子を案内する外レール19が根元付近より切除され、内障子を案内する内レール20にレール補助材13aが長手方向に沿って取付けてある。また、既設下枠16の室内側壁に略L形断面の室内側補助材13bが長手方向に沿って取付けてあり、室内側補助材13b上に新設下枠21を載置して内周側からネジ14で固定してある。室内側補助材13bとレール補助材13aとの隙間にはスペーサー22を配置してある。既設下枠16の室外側端部には、室外側補助材13cが長手方向の略全長に設けてあり、これにより既設下枠16の室外側端部と新設下枠21の室外側端部との間に貫通孔ができないようにしている。
既設上枠17には上枠補助材13dが長手方向に沿って取付けられ、上枠補助材13dと新設上枠23との隙間にスペーサー22を配置し、上枠補助材13dに新設上枠23を内周側からネジ14で固定してある。
既設縦枠18には、
図2に示すように、縦枠補助材13eが長手方向に沿って取付けられ、縦枠補助材13eと新設縦枠24との間にスペーサー22を配置し、縦枠補助材13eに新設縦枠24を内周側からネジ14で固定してある。
【0010】
新設下枠21は、
図1に示すように、室内側壁25の内周側端部より室内側に向けて水平にのびる突壁26を有し、突壁26の先端は既設下枠16の室内側端と見込方向の同じ位置に位置している。突壁26の基端部には、下額縁3の室外側端部が係合する溝27が設けてある。
新設上枠23は、
図1に示すように、室内側壁25より室内側に突出する突出部28を有しており、突出部28は内周側に開口した額縁呑み込み溝5と、室内側端部に設けた見付壁29と、見付壁29の内周側端より室外側に向けてのびる見込壁30を有している。見付壁29は、既設上枠17の室内側面31と同面となっている。
新設縦枠24は、
図2に示すように、新設上枠23と同様に、室内側壁25より室内側に突出する突出部28を有しており、突出部28は内周側に開口した額縁呑み込み溝5と、室内側端部に設けた見付壁29と、見付壁29の内周側端より室外側に向けてのびる見込壁30を有している。見付壁29は、既設縦枠18の室内側面31と同面となっている。
【0011】
本改修サッシは、
図1,2,8に示すように、気密防水テープ7a,7b,7cを新設枠1の内周側面の室内側端部から、外周側に折り曲げて既設枠8の室内側面31又は既設枠8よりも室内側の躯体9の内周側面にわたって設けることで、既設枠8と新設枠1の間の四周の隙間を室内側から塞いでいる。
より詳細に説明すると、気密防水テープ7a,7b,7cは市販のロール状に巻かれた一定幅(例えば25mm幅)のものを使用し、下枠部においては、まず新設下枠21の突壁26の内周側面の室内側端部に、気密防水テープ7aの幅方向の一方側の縁部を長手方向に沿って全長に貼り付けてから気密防水テープ7aを切断し、その後、気密防水テープ7aを突壁26の先端で外周側に折り曲げ、気密防水テープ7aの反対側の縁部をさらに室内側に向けて折り曲げた状態で既設仕上げ面(既存の木製額縁9の内周側面)32に貼り付けている。上枠部においては、まず新設上枠23の突出部28の見込壁30に、気密防水テープ7bの幅方向の一方側の縁部を長手方向に沿って全長に貼り付けてから気密防水テープ7bを切断し、その後、気密防水テープ7bを見込壁30の先端で外周側に折り曲げ、残りの部分を新設上枠23の見付壁29と既設上枠17の室内側面31に跨って貼り付けている。縦枠部においても上枠部と同様に、まず新設縦枠24の突出部28の見込壁30に、気密防水テープ7cの幅方向の一方側の縁部を長手方向に沿って全長に貼り付けてから気密防水テープ7cを切断し、その後、気密防水テープ7cを見込壁30の先端で外周側に折り曲げ、残りの部分を新設縦枠24の見付壁29と既設縦枠18の室内側面31に跨って貼り付けている。
そうして新設枠1の全周に気密防水テープ7a,7b,7cを貼り付けたら、
図8に示すように、縦方向に貼った気密防水テープ7cの長手方向端部と横方向に貼った気密防水テープ7a,7bの長手方向端部に跨るようにして、さらに気密防水テープ7dを貼り、気密防水テープ7a,7b,7c,7dを四周連続させている。
【0012】
本改修サッシは、
図1,2に示すように、新設枠1の室内側部(突壁26、突出部28)から既設仕上げ面(既存の木製額縁9の内周側面)32にわたって内周側から額縁2,3,4を取付けて、新設枠1と既設枠8との隙間や既設枠8、及び気密防水テープ7a,7b,7c,7dを隠している。額縁2,3,4は、上額縁2と左右の縦額縁4,4と下額縁3とからなる。上額縁2と縦額縁4と下額縁3は、アルミニウム合金の押出形材で形成してある。
上額縁2は、
図1に示すように、内周側見込壁33と見付壁34と外周側見込壁35とを有するクランク状断面となっている。内周側見込壁33には、一対の突片36,36が外周側に向けて突出して形成してあり、該突片36,36により新設上枠23の額縁呑み込み溝5に挿入するための挿入部6を構成している。さらに上額縁2は、既設上枠17と新設上枠23との隙間の位置で気密防水テープ7bに室内側から近接する剥がれ防止片37を有しており、これにより気密防水テープ7bが剥がれるのを防いでいる。上額縁2は、外周側見込壁35を躯体(木製額縁)9に内周側からネジ38でネジ止めしてあると共に、内周側見込壁33に外周側に向けて設けた挿入部6を新設上枠23の額縁呑み込み溝5に呑み込ませてある。新設上枠23の額縁呑み込み溝5と上額縁2の挿入部6とは、内外周方向に相対変位可能となっている。
縦額縁4は、
図2に示すように、上額縁2と同様に内周側見込壁33と見付壁34と外周側見込壁35とを有するクランク状断面となっており、内周側見込壁33には外周側に向けて突出する一対の突片36,36よりなる挿入部6を有している。さらに縦額縁4は、既設縦枠18と新設縦枠24との隙間の位置で気密防水テープ7cに室内側から近接する剥がれ防止片37を有しており、これにより気密防水テープ7cが剥がれるのを防いでいる。縦額縁4は、上額縁2と同様に、外周側見込壁35を躯体(木製額縁)9に内周側からネジ38でネジ止めしてあると共に、内周側見込壁33に外周側に向けて設けた挿入部6を新設縦枠24の額縁呑み込み溝5に呑み込ませてある。新設縦枠24の額縁呑み込み溝5と縦額縁4の挿入部6とは、内外周方向に相対変位可能となっている。
下額縁3は、
図1に示すように、見込壁39と見付壁40とで略L形断面を成し、見込壁39より外周側に向けて剥がれ防止片37と脚片41を有している。見込壁39の室外側端部には、新設下枠21の溝27に形成する突起42が下向きに形成してある。見込壁39の室内側端部には、上向きに突出した突部43が設けてある。下額縁3は、見込壁39の室外側端部に設けた突起42を新設下枠21の溝27に係合し、見付壁40及び脚片41の下端を既設仕上げ面32に当接し、剥がれ防止片37と脚片41の間で内周側からネジ38で躯体9に固定してある。剥がれ防止片37は、先端が気密防水テープ7aに当接ないし近接して、気密防水テープ7aの剥がれを防止する。
【0013】
縦額縁4と下額縁3とのコーナー部には、
図3~5に示すように、樹脂製のコーナー部品10が取付けてあり、コーナー部品10により縦額縁4の下端4aと下額縁3の上面との隙間を隠している。コーナー部品10は、
図5,6に示すように、縦額縁4の外側面4bに沿う平面視略クランク状に形成されており、縦額縁4の下端部の外側面4bに両面テープ(図示省略)で接着して取付けてある。コーナー部品10の下面にはシーラー44が取付けてあり、シーラー44の下面が下額縁3の上面に密着している。
コーナー部品10は、
図3~5に示すように、上縁部に縦額縁4の外側面4bに生じた結露水を受ける外側結露水受け部11が設けてある。外側結露水受け部11は、コーナー部品10の上縁部の室内側端部より室外側端部にわたって連続する樋状に形成され、室内側端部が高く、室外側に向かうにつれてしだいに低くなっており、室外側端部に排水部45が設けてある。したがって、縦額縁4の外側面4bに生じた結露水は、コーナー部品10の外側結露水受け部11で受けて室外側に流れ、
図3,5中に矢印46aで示すように、排水部45より新設下枠21上に排水される。
さらにコーナー部品10は、
図5,6に示すように、下縁部に沿って縦額縁4の内側面4cに生じた結露水を受ける内側結露水受け部12が設けてある。内側結露水受け部12は、室内側端部が高く、室外側に向かうにつれてしだいに低くなっており、室外側端部に内周側に向けて開口する排水孔47が設けてある。したがって、縦額縁4の内側面4cに生じた結露水は、コーナー部品10の内側結露水受け部12で受けて室外側に流れ、
図3,5中に矢印46bで示すように、排水孔47を通じて縦額縁4より内周側の下額縁3上に流れ、下額縁3上に溜まった結露水は新設下枠21上に排水される。
新設下枠21の上面には、
図3に示すように、レール48a,48b,48cに排水孔(図示省略)を加工して排水経路49が設けてあり、新設下枠21側に流れた結露水は新設下枠21の排水経路49より室外に排水される。
【0014】
次に、本改修サッシの施工手順を説明する。まず、
図7-1に示すように、既設枠8に各補助材13a,13b,13c,13d,13eを取付ける。次に、
図7-2に示すように、新設枠1を既設枠8の内側に室外側から挿入し、既設枠8と新設枠1の間の隙間に適宜スペーサー22を室内側から差し入れ、新設枠1の位置や姿勢を調整した上で、内周側からネジ14で新設枠1を固定する。その後、新設枠1の内周側面の室内側端部から既設枠8の室内側面31又は既設仕上げ面32にわたって気密防水テープ7a,7b,7c,7dを貼り、既設枠8と新設枠1との間の隙間を四周連続して塞ぐ。その後、
図7-3に示すように、新設枠1の室内側に内周側から額縁2,3,4を取付け、ネジ38で額縁2,3,4を躯体9に固定する。
【0015】
以上に述べたように本改修サッシは、窓枠(新設枠1)の室内側部に内周側が開口した額縁呑み込み溝5を有し、額縁(上額縁2及び縦額縁4)は、外周側に向けて設けた挿入部6を窓枠1の額縁呑み込み溝5に呑み込ませて、躯体9に内周側からネジ止めすることで、額縁2,4の転びを防止することができ、施工性が向上する。また、窓枠1の額縁呑み込み溝5と額縁2,4の挿入部6との間で既設枠8の変形を吸収できる。さらに、額縁2,4の挿入部6を窓枠1の額縁呑み込み溝5に呑み込ませてあることで、窓枠1の転び変形を抑制することができる。
窓枠1の額縁呑み込み溝5と額縁2,4の挿入部6とは、内外周方向に相対変位可能であるため、既設枠8の変形や新設枠1の取付位置の誤差等を容易に吸収できる。
【0016】
また本改修サッシは、新設枠1と気密防水テープ7a,7b,7cとを備え、気密防水テープ7a,7b,7cは、新設枠1の内周側面の室内側端部から、外周側に折り曲げて既設枠8の室内側面31又は既設枠8よりも室内側の躯体9の内周側面にわたって設けてあることで、気密性・水密性が優れており、且つ様々な形状の既設枠8に柔軟に対応することができる。気密防水テープ7a,7b,7cは、市販の一定幅のものを新設枠1の内周側面の室内側端部に長手方向に沿って貼り付け、その後、外周側に折り曲げて、既設枠8の室内側面31又は既設枠8よりも室内側の躯体9の内周側面に貼り付けることができ、気密防水テープ7a,7b,7cを貼る際の施工性が良好である。
本改修サッシは、額縁2,3,4を備え、額縁2,3,4は、新設枠1に内周側から取付けられ、既設仕上げ面32に当接しており、気密防水テープ7a,7b,7c,7dが額縁2,3,4で隠れているので、意匠性が良い。
また本改修サッシは、新設枠1の室内側に額縁2,3,4を有し、額縁2,3,4に気密防水テープ7a,7b,7cの剥がれ防止片37を有するので、気密防水テープ7a,7b,7cの剥がれを防止できる。剥がれ防止片37を、既設枠8と新設枠1との隙間の位置に設けることで、気密防水テープ7a,7b,7cの剥がれをより効果的に防止できる。
【0017】
また本改修サッシは、縦額縁4と下額縁3とコーナー部品10とを備え、コーナー部品10は、縦額縁4の外側面4bの結露水を受ける外側結露水受け部11と、縦額縁4の内側面4cの結露水を受ける内側結露水受け部12とを有するので、縦額縁4の外側面4b及び内側面4cに結露水が生じても、コーナー部品10の結露水受け部11,12でその結露水を受けるので、室内の床等(本実施形態では、木製額縁9)が濡れるのを防止できる。
外側結露水受け部11は、室外側に向かうにつれて低くなるように形成し、室外側端部に排水部45を設けることで、結露水を新設下枠21側に導く導水経路を有している(
図3,5参照)ので、結露水を新設下枠21に流し、新設下枠21の排水経路49より室外に排水できる。
内側結露水受け部12は、室外側に向かうにつれて低くなるように形成し、室外側端部に内周側に向けて開口する排水孔47を設けることで、結露水を縦額縁4の内周側の下額縁3上に導く導水経路を有している(
図3,5参照)ので、結露水を縦額縁4の内周側の下額縁3上に導いた後、新設下枠21側に排水できる。
【0018】
図9,10は、本発明の改修サッシの他の実施形態を示している。本実施形態の改修サッシは、上額縁2と縦額縁4の形態がこれまでに説明した実施形態と異なっている。上額縁2と縦額縁4は、見込壁50と見付壁51とを有する略L形断面に形成され、見込壁50に外周側に向けて突出する一対の係止爪52,52を有し、この係止爪52,52を新設枠1の額縁呑み込み溝5に挿入・係止することで取付けられている。見付壁51の外周側端部にはタイト材53が外周側に向けて突出して設けてあり、タイト材53の先端部が既設仕上げ面32に当接している。また、見付壁51の室外側面には気密防水テープ7b,7cの剥がれ防止片37を有している。
【0019】
本実施形態の改修サッシは、額縁2,4の係止爪52,52を新設枠1の額縁呑み込み溝5に挿入・係止するだけで取付けでき、ネジ止めが不要なため、額縁2,4の取付けが簡単に行える。額縁2,4の外周側端部にタイト材53を有し、タイト材53を既設仕上げ面32に当接させることで、既設枠8の変形や新設枠1の取付位置の誤差等をタイト材53で吸収できる。
【0020】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。既設枠、新設枠及び額縁の断面形状、材質は、適宜変更することができ、例えば額縁を樹脂製とすることもできる。レール補助材13aは、戸車近傍位置のみに設けてあってもよい。気密防水テープの材質、厚み、幅は、適宜変更することができる。コーナー部品は、縦額縁の外側面及び内側面の結露水を受ける結露水受け部を有していればよく、具体的な形状、材質、取付け方は、適宜変更することができる。躯体の構造や、窓枠の躯体への納まりは、任意である。本発明は、引違い窓以外のサッシ、例えば片引き窓、すべり出し窓等、あらゆる窓種のサッシに適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 新設枠(窓枠)
2 上額縁(額縁)
3 下額縁(額縁)
4 縦額縁(額縁)
5 額縁呑み込み溝
6 挿入部
7a,7b,7c,7d 気密防水テープ
8 既設枠
9 既存の木製額縁(躯体)
10 コーナー部品
11 外側結露水受け部(結露水受け部)
12 内側結露水受け部(結露水受け部)