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  • 特許-ガゼット袋およびバッグインボックス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】ガゼット袋およびバッグインボックス
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/20 20060101AFI20221107BHJP
   B65D 77/06 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
B65D30/20 A
B65D77/06 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018161840
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020033062
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】阿部 和也
(72)【発明者】
【氏名】篠原 知也
(72)【発明者】
【氏名】久下 らい蔵
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-218209(JP,A)
【文献】特開2016-074463(JP,A)
【文献】米国特許第05624048(US,A)
【文献】特開平09-314735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0197771(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/20
B65D 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の平面部と、一対の側面部と、前記一対の平面部および前記一対の側面部で形成され、内部に内容物が収納される内容物収納部と、該内容物収納部の上方に設けられた、内部に内容物が収納されない上部内容物未収納部を有するガゼット袋であって、
前記一対の平面部の一方の平面部に設けられた筒部を含む口部と、
前記口部の上方に設けられ、前記内容物収納部と前記上部内容物未収納部を区画する収納部上部シール部と、
前記上部内容物未収納部の所定の領域の周囲のうち、前記収納部上部シール部側の少なくとも一部分が切り込まれずに、他の部分が切り込まれた形状であり、かつ、前記一対の平面部を貫通するように形成された上部切込みと、
前記所定の領域内に設けられた貫通部と、
を有し、
前記所定の領域は、前記口部側に折り曲げて、前記貫通部に前記筒部を通した状態で、前記筒部に対して引っかけ自在に設けられていることを特徴とするガゼット袋。
【請求項2】
記貫通部は略円形状の貫通孔であり、前記貫通孔の直径は、前記口部の前記筒部の外径より大きいことを特徴とする請求項1に記載のガゼット袋。
【請求項3】
前記収納部上部シール部は、前記筒部の下端の周囲に位置して前記一方の平面部の内面と接合されるフランジ部に略接することを特徴とする請求項2に記載のガゼット袋。
【請求項4】
前記内容物収納部の下方に設けられた内部に内容物が収納されない下部内容物未収納部と、前記内容物収納部と該下部内容物未収納部を区画する収納部下部シール部と、
前記下部内容物未収納部に設けられた、前記一対の平面部を貫通するように形成された下部切込みと、
をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガゼット袋。
【請求項5】
前記ガゼット袋は二重袋であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガゼット袋。
【請求項6】
前記ガゼット袋は、外側容器に収納するバッグインボックスの内側容器であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のガゼット袋。
【請求項7】
請求項6に記載のガゼット袋を外側容器に収納していることを特徴とするバッグインボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガゼット袋およびバッグインボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、調味料、酒、ミネラルウォーター等の飲料や工業用薬品などの種々の液体を輸送・保管する際には、使い捨てタイプの容器であるバッグインボックスが広く用いられている。
【0003】
バッグインボックスは、プラスチックフィルムからなる平袋やガゼット袋、溶融プラスチックをブロー成形して得たブローボトル等の、内容物を充填した内側の容器と、内側の容器を収納するダンボール箱等の外側の容器からなる。そして、内容液体に対する耐水性、耐薬品性、ガスバリア性等、また、輸送時の揺れなどによる外側の容器との擦れや衝突に対する耐摩擦性や耐衝撃性等を内側の容器が持ち、一方、輸送・保管上必要な剛性を外側の容器が持つように構成されている。また、内側の容器には、内容物を充填、排出するための口部が設けられており、外側の容器には、その口部を突出させることができる部分が設けられている。
【0004】
バッグインボックスの内側の容器として、内容物を充填した際に、略直方体や略立方体等の外側の容器の形状に追随する形状となる、プラスチックフィルムからなるガゼット袋が多く用いられている。ガゼット袋は、一対の平面部とV字状に折られた一対の側面部を有する。ガゼット袋は、側面部のない袋と比較すると容量が大きくなるため、大容量の内容物を充填することができる。
【0005】
バッグインボックスの内側の容器であるガゼット袋の口部は、一方の平面部に開口を設け、フランジ部を有する口部材をその開口の内部から外側に突出させて、フランジ部を平面部内部と接合することによって、取り付けられている。
【0006】
バッグインボックスの内側の容器であるガゼット袋(バッグインボックス用袋体)を、外側の容器から取り出して手で把持するために、ガゼット袋の上部に把持部を設けたものが開示されている。(特許文献1参照)
【0007】
一方、容器(ガゼット袋)の上下を手で把持することが可能で、かつ、口部が容器の天部中央部に上を向いて設けられている容器(柔軟容器)が開示されている。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開平02-8763号公報
【文献】米国特許出願公開第2011/69908号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のガゼット袋は、手で把持する把持部および口部はともに略直方体または略立方体のガゼット袋の天部に設けられている。そのため、ガゼット袋を手で把持して持ち上げた場合に、口部が斜め上を向いてしまい、内容物を排出しづらかった。また、ガゼット袋の天部(上部)のみを手で把持するため、内容量が多い場合は特に、内容物の排出時に口部の方向が安定せずに、内容物を一定の方向に排出することが困難であるという問題があった。
【0010】
特許文献2に記載の柔軟容器(ガゼット袋)は、上下を手で把持することができ、内容物の排出が容易であるが、口部の外周において周方向の側面において、一対の平面部、一対の側面部がそれぞれ接合されている。そのため、平面部と側面部との接合部の内端縁が、口部の側面に当接する。内端縁が口部の側面に当接している箇所は、接合による密着が不十分となる場合があり、いわゆるトンネル現象が生じ易く、内容物が漏れてしまう恐れがあるという問題があった。
【0011】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、手で把持して内容物の排出が容易にでき、一定の方向に安定した排出ができ、内容物の漏れてしまう恐れがないガゼット袋、およびこのガゼット袋を内側の容器として用いたバッグインボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、本発明のガゼット袋は、一対の平面部と、一対の側面部と、前記一対の平面部および前記一対の側面部で形成され、内部に内容物が収納される内容物収納部と、該内容物収納部の上方に設けられた、内部に内容物が収納されない上部内容物未収納部を有するガゼット袋であって、前記一対の平面部の一方の平面部に設けられた筒部を含む口部と、前記口部の上方に設けられ、前記内容物収納部と前記上部内容物未収納部を区画する収納部上部シール部と、前記上部内容物未収納部の所定の領域の周囲のうち、前記収納部上部シール部側の少なくとも一部分が切り込まれずに、他の部分が切り込まれた形状であり、かつ、前記一対の平面部を貫通するように形成された上部切込みと、前記所定の領域内に設けられた貫通部と、を有し、前記所定の領域は、前記口部側に折り曲げて、前記貫通部に前記筒部を通した状態で、前記筒部に対して引っかけ自在に設けられている
【0013】
記貫通部は略円形状の貫通孔であり、前記貫通孔の直径は、前記口部の前記筒部の外径より大きくてもよい。
【0014】
前記収納部上部シール部は、前記筒部の下端の周囲に位置して前記一方の平面部の内面と接合されるフランジ部に略接してもよい。
【0015】
前記内容物収納部の下方に設けられた内部に内容物が収納されない下部内容物未収納部と、前記内容物収納部と前記下部内容物未収納部を区画する収納部下部シール部と、前記下部内容物未収納部に設けられた、前記一対の平面部を貫通するように形成された下部切込みと、をさらに有してもよい。
【0016】
前記ガゼット袋は二重袋であってもよい。
【0017】
前記ガゼット袋は、外側容器に収納するバッグインボックスの内側容器であってもよい。
【0018】
本発明のバッグインボックスは、上述のガゼット袋を外側容器に収納していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の各態様によれば、手で把持して内容物の排出が容易にでき、一定の方向に安定した排出ができ、内容物の漏れてしまう恐れがないガゼット袋、およびこのガゼット袋を内側の容器として用いたバッグインボックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る扁平状態のガゼット袋を示す外観図である。
図2】本発明の一実施形態に係るガゼット袋に内容物を収納した状態を示す外観図である。
図3】本発明の一実施形態に係るガゼット袋を両手で把持して内容物を排出する状態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るバッグインボックスの内側の容器であるガゼット袋1について詳細に説明する。まず、本実施形態に係るガゼット袋1の形状について説明する。図1は、本実施形態に係る扁平状態のガゼット袋1を示す外観図である。図2は、本実施形態に係るガゼット袋1に内容物を収納した状態を示す外観図である。
【0022】
本実施形態に係るガゼット袋1は、プラスチック等のフィルムから構成され、一対の平面部21、22と一対の側面部31、32とからなるガゼット形状である。側面部31、32の各々はフィルムが折り線31a、32aにて半折されて形成されている。そして、側面部31と側面部32とは、互いに半折された折り線31aと32aを突き合わせて向かい合った状態で配置されている。その一対の側面部31、32を一対の平面部21、22により挟持し、端縁同士がヒートシールにより接合されている。
【0023】
本実施形態では、ガゼット袋1は外袋および内袋からなる二重袋である。すなわち、ガゼット袋1を構成する一対の平面部21、22および一対の側面部31、32のそれぞれが、外袋を形成するフィルムと内袋を形成するフィルムとの2枚のフィルムから構成されている。
【0024】
ガゼット袋1の上端部、下端部および左右側端部は、ヒートシールにより形成された上端シール部41、下端シール部42および側部シール部43により閉じられている。そして、ガゼット袋1は、一対の平面部21、22および一対の側面部31、32で形成された、内部に内容物が収納される内容物収納部5を有している。
【0025】
上端シール部41より下方かつ内容物収納部5より上方には、上部内容物未収納部51を有し、内容物収納部5と上部内容物未収納部51を区画する、ヒートシールにより形成された収納部上部シール部44が設けられている。下端シール部42より上方かつ内容物収納部5より下方には、下部内容物未収納部52を有し、内容物収納部5と下部内容物未収納部52を区画する、ヒートシールにより形成された収納部下部シール部45が設けられている。収納部上部シール部44および収納部下部シール部45により、内容物収納部5の上端および下端は閉じられている。
【0026】
上端シール部41と収納部上部シール部44とで仕切られた上部内容物未収納部51、および下端シール部42と収納部下部シール部45とで仕切られた下部内容物未収納部52には、内容物は収納されず、それぞれ、上部切込み61および下部切込み62が形成されている。
【0027】
収納部上部シール部44より下方の、一方の平面部21には、後述する口部7が設けられている。
【0028】
収納部上部シール部44と側面部31、32の折り線31a、32aとのそれぞれの交点から内容物収納部5を通って、側部シール部43に向けて上部斜めシール部46が設けられている。同様に、収納部下部シール部45と側面部31、32の折り線31a、32aとのそれぞれの交点から内容物収納部5を通って、側部シール部43に向けて下部斜めシール部47が設けられている。
【0029】
上部切込み61は、上部内容物未収納部51において、手で把持するための部分を形成する。そして、上部切込み61に囲まれた領域内に後述する貫通部である貫通孔8が形成される。
【0030】
上部切込み61は、所定の領域を囲む周囲が、収納部上部シール部44側の少なくとも一部分が切り込まれずに、他の部分が切り込まれた形状の切込みである。本実施形態においては、上部切込み61は、収納部上部シール部44の上端の一部を底辺とした略四角形状の領域を囲む周囲が、略四角形状の底辺となる部分には切込みが施されておらず、それ以外の部分が切り込まれている形状である。すなわち、収納部上部シール部44側の底辺を残し、他の部分はガゼット袋1を貫通している略逆U字形状の切込みである。
【0031】
上部切込み61は、ガゼット袋1を貫通して形成されている。すなわち両平面部21、22を貫通して形成されている。上部切込み61の位置に側面部31、32も重なっている箇所では、側面部31、32も一緒に貫通して切込みが形成されている。そして、切り込まれていない略四角形状の底辺を折り曲げ線として、上部切込み61で囲まれた略四角形状の領域を折り曲げて倒すことで、ガゼット袋1を手で把持するための穴が形成される。
【0032】
上部切込み61の大きさは、略四角形状の領域の内部に、後述する貫通孔8を含む大きさであればよく、また、人の手の親指以外の4本の指が入る程度の大きさが好ましい。例えば、略四角形状の上辺および底辺の長さは70mm~100mmが好ましく、略四角形状の高さは60mm~100mmであることが好ましい。
【0033】
上部切込み61は、上部内容物未収納部51において、手で把持することができるように形成され、また、その領域内に後述する貫通孔8を含むものであれば、略四角形状の領域の周囲の略逆U字形状には限定されず、どのような形状でもよい。
【0034】
上部切込み61に囲まれた所定の領域内には、ガゼット袋1を貫通する貫通孔8が設けられている。貫通孔8は略円形状である。貫通孔8の直径は、後述する口部7の筒部71を通すことができるように、口部7の筒部71の外径より大きいが、大きすぎず、わずかに大きい程度が好ましい。また、口部7の筒部71の外径と等しいか、やや小さい場合でも、ガゼット袋1のフィルムが延びるため、口部7の筒部71を通すことができ、この筒部71をしっかりと保持することができて好ましい。貫通孔8の外周部分や上部切込み61に沿った部分において、貫通孔8や上部切込み61がガゼット袋1を貫通することで平面部21、22および側面部31、32を形成するフィルムがそれぞれバラバラになるのを防ぐため、貫通孔8の外周部分や上部切込み61に沿った部分のフィルムがヒートシールにより接合されて、それぞれのフィルムが一体に閉じられていてもよい。
【0035】
なお、貫通部としては、後述する口部7の筒部71を通すことができればよいので、貫通孔ではなく、貫通した十字や放射状の切込みが入れられていてもよい。この場合、切込みは両平面部21、22を貫通して形成されている。すなわち、この場合は十字や放射状の切込みにより貫通部が形成される。しかし後述するように、口部7がガゼット袋1の上方に向いて引っ張られるとの貫通部の効果を奏するためには、筒部71をしっかり保持できる貫通孔であることが好ましい。
【0036】
下部切込み62は、下部内容物未収納部52に、一対の平面部21、22を貫通するように形成され、ガゼット袋1を手で把持するための部分を形成する切込みである。
【0037】
本実施形態における下部切込み62は、所定の領域の周囲が、収納部下部シール部45側の少なくとも一部分が切り込まれずに、他の部分が切り込まれた形状の切込みである。本実施形態においては、収納部下部シール部45の下端の一部を頂辺とした略四角形状の領域を囲む周囲が、略四角形状の頂辺となる部分には切込みが施されておらず、それ以外の部分が切り込まれている形状である。すなわち、収納部下部シール部45側の頂辺を残し、他の部分はガゼット袋1を貫通している略U字形状の切込みである。
【0038】
なお、下部切込み62の形状は本実施形態の形状に限らない。例えば、下端シール部42の上端を底辺とする略四角形状の領域の周囲が、この底辺となる部分には切込みが施されておらず、それ以外の部分が切り込まれている形状であってもよい。また、下部切込み62の略四角形状の領域の囲む周囲の全ての辺が貫通しており、すなわち、略四角形状の領域が切り抜かれている貫通孔であってもよい。また、下部切込み62は手で把持するための部位であり、下部内容物未収納部52において、手で把持することができれば、どのような形状であってもよい。
【0039】
口部7は、内容物収納部5の内容物を注出入するためのものであり、筒部71とフランジ部72とからなる公知の構成である。筒部71は円筒状であり、外周にはねじ部が設けられており、内部にねじ部が設けられているキャップ(図示なし)と嵌合することにより密封可能である。フランジ部72は、筒部71の下端から水平方向に円形状に広がっている。フランジ部72の筒部71側の面は、ガゼット袋1の内面と接合される面である。本実施形態のガゼット袋1は二重袋であるため、ここでのガゼット袋の内面とは、二重袋の内袋の内面を意味する。少なくともフランジ部72が、ガゼット袋1の内面と熱融着可能な同種の合成樹脂などから形成されていることが望ましい。
【0040】
口部7は、ガゼット袋1の一方の平面部21に取り付けられている。詳細には、一方の平面部21に開口が設けられており、口部7の筒部71が、ガゼット袋1の内部から、一方の平面部21の開口を通して外部へ突出している。口部7のフランジ部72は、その筒部71側の面がガゼット袋1の内面と熱融着により接合されている。このため、特許文献2のように、ガゼット袋の平面部と側面部との接合部の内端縁が口部の側面に当接しない。よって、口部7とガゼット袋1との密着が不十分になることがなく、トンネル現象を生じることがないため、口部7とガゼット袋1の接合箇所から内容物が漏れることは抑制される。
【0041】
ガゼット袋1の上部斜めシール部46および収納部上部シール部44は、口部7のフランジ部72の外周に略接している。ここで略接しているとは、これらのシール部と接している状態、およびわずかに離れていている状態を含む。
【0042】
内容物が充填されたガゼット袋1の内容物収納部5は、図2のように、収納部上部シール部44が天部の中心線、収納部下部シール部45が底部の中心線となるような略立方体または略直方体形状に広がる。収納部上部シール部44は、口部7のフランジ部72の外周に略接しているため、口部7が、内容物収納部5の天部の中央部に近づく。さらに二本の上部斜めシール部46が、口部7のフランジ部72の外周と略接することで、三方向から口部7が支えられて口部7の向きが安定し、一定の方向に安定した排出ができる。
【0043】
次に、本実施形態のガゼット袋1の使用方法について説明する。まず、本実施形態のガゼット袋1において、口部7から内容物収納部5の内部に内容物を充填する。内容物が充填されたガゼット袋1の内容物収納部5は、略直方体または略立方体となる。詳細には、ガゼット袋1は二本の下部斜めシール部47と二本の側部シール部43とのそれぞれの交点を結ぶ直線付近で折れ曲がり、折れ曲がった部分より下方で収納部下部シール部45までが内容物収納部5の底部となる。また、ガゼット袋1は二本の上部斜めシール部46と二本の側部シール部43とのそれぞれの交点を結ぶ直線付近で折れ曲がり、折れ曲がった部分より上方で収納部上部シール部44までが、内容物収納部5の天部となる。そして、内容物収納部5は、収納部下部シール部45の内縁が底部の中心線、収納部上部シール部44の内縁が天部の中心線であるような略直方体または略立方体となる。
【0044】
口部7のフランジ部72の外周がガゼット袋1の収納部上部シール部44と略接して設けられているため、内容物収納部5が直方体または立方体となった際に、口部7は内容物収納部5の天部の中心線を形成している収納部上部シール部44と略接する。このため、口部7は内容物収納部5の天部の中央部に近づき、口部7の開口が上方に近い方向を向く。
【0045】
次に、上部切込み61で囲まれた略四角形状の領域を口部7側に折り曲げて倒し、貫通孔8に口部7の筒部71を通して、略四角形状の領域を筒部71に引っかける。このように、略四角形状の領域を口部7の筒部71に引っかけることで、折り曲げられた略四角形状の領域が元の位置に戻ろうとするため、口部7がガゼット袋の上方に向いて引っ張られる。そのため、口部7が一方の平面部21に融着されて固定されているだけの状態よりも、口部7の開口がガゼット袋の上方を向く。また、口部7が一方の平面部21に融着されて固定されているだけの状態よりも、内容物排出時の口部7の動きが抑えられ、安定する。
【0046】
この状態において、上部内容物未収納部51は、上部切込み61で囲まれた領域が穴となっており、一方の手でこの穴を介してガゼット袋を担持し、他方の手で下部切込み62を介してガゼット袋1を把持する。このように、内容物収納部5を挟んで、両手でガゼット袋1を把持することができる。図3は、ガゼット袋1を両手で把持した状態を示す外観図である。これにより、内容物収納部5の内容物を容易に排出することができ、また、口部7の動きが抑えられることで、一定方向に安定した排出が可能となる。
【0047】
このように、本実施形態のガゼット袋1は、内容物収納部5の外側上部の上部内容物未収納部51に上部切込み61が設けられていることで、ガゼット袋1の上部を手で把持することができる。また、貫通孔8を口部7に通し、上部切込み61で囲まれた領域を口部7に引っかけることで、口部7がガゼット袋の開口上方を向くため、内容物排出時の口部7の動きが抑えられ、安定する。
【0048】
また、口部7は筒部71を有し、貫通孔8の直径が筒部71の外径よりも大きい場合、貫通孔8に筒部71を容易に通すことができるため好ましい。口部7のフランジ部72の外周が収納部上部シール部44に略接することで、口部7が内容物収納部5の天部の中心部に近い位置にあり、上方を向きやすく、また、上部切込み61で囲まれた領域を口部7側へ折り曲げて倒し、貫通孔8に口部7の筒部71を通して、上部切込み61で囲まれた領域を筒部71に引っかけることで、口部7の開口が上方に向いて引っ張られ、これにより、口部7が一方の平面部21に融着されて固定されているだけの状態よりも口部7の開口がさらに上方を向き、内容物排出時の口部7の動きが抑えられるため、容易に、一定方向に安定した排出が可能である。また、貫通孔8の直径が筒部71の外径と等しいか、やや小さい場合には、貫通孔8が筒部71をしっかり保持して、口部7が上方に向いて引っ張られ、内容物排出時の口部7の動きをより抑えることを可能にするから好ましい。さらに、内容物収納部5の下方の下部内容物未収納部52に下部切込み62が設けられていることで、内容物収納部5を挟んで、一方の手で上部切込み部61により設けられた穴を把持し、他方の手で下部切込み部62により設けられた穴を把持することで、両手でガゼット袋1を把持することが可能であるため、内容物収納部5の内容物を容易に排出することができ、また、口部7の動きが抑えられることで、一定方向に安定した排出が可能となる。
【0049】
次に、本実施形態のガゼット袋1の材質について説明する。本実施形態では、ガゼット袋1は二重袋である。ただし、本発明のガゼット袋は二重袋に限定されず、1枚のフィルムや3枚以上のフィルムからなるガゼット袋であってもよい。本実施形態のガゼット袋1である二重袋は、一対の平面部21、22、一対の側面部31、32がそれぞれ、外袋を形成する外袋フィルムと内袋を形成する内袋フィルムとから構成されている。
【0050】
バッグインボックスの内側容器として用いるガゼット袋である場合、二重袋であることが好ましい。バッグインボックスは、例えば2~20リットル程度の液体の内容物をバッグインボックスの内側容器に充填したものを、ダンボール箱などの外側容器に収納した状態で流通される。流通段階において、外側容器と内側容器との擦れや衝撃、内容物の流動によって内側容器にピンホールが開いて内容物が漏れ出すのを防止するため、衝撃を吸収するよう二重袋とされている。
【0051】
外袋フィルムは、例えば、耐熱性、耐衝撃性を有する外層フィルムと、シール性を有する内層フィルムとの積層体から形成されている。外層フィルムとしては、例えば二軸延伸されたポリアミドフィルムが用いられている。しかし、二軸延伸ポリアミドフィルムには限定されず、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどを用いてもよい。また、酸素や水分が外部から浸透しないように、これらに対する遮断効果を有する、金属酸化物や金属の蒸着膜が付与された二軸延伸ポリアミドフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いてもよい。
【0052】
内層フィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンの未延伸フィルム、またはこれらの樹脂を外層フィルム上に層状に押出したものが用いられる。
【0053】
外層フィルムと内層フィルムとを公知のドライラミネート法や押出しラミネート法などにより積層することで、外袋フィルムを形成することができる。内袋フィルムは、外袋フィルムの内層フィルムと各シール部においてヒートシールにより接合される必要があるため、外袋フィルムの内層フィルムと熱融着可能な同材質の樹脂からなるフィルムが用いられる。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態およびその変形例に限定されることはない。詳細には、本実施形態のガゼット袋1は、下部切込み62を有し、収納部上部シール部44は、口部7のフランジ部72に略接する形態であるが、本発明のガゼット袋はこれに限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0055】
本明細書において「前、後ろ、上、下、右、左、垂直、水平、縦、横、外および内」などの方向を示す言葉は、本発明の構成におけるこれらの方向を説明するために使用している。従って、本発明の明細書を説明するために使用されたこれらの言葉は、本発明の構成において相対的に解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0056】
1…ガゼット袋、21、22…平面部、31、32…側面部、31a、32a…折り線、41…上端シール部、42…下端シール部、43…側部シール部、44…収納部上部シール部、45…収納部下部シール部、46…上部斜めシール部、47…下部斜めシール部、5…内容物収納部、51…上部内容物未収納部、52…下部内容物未収納部、61…上部切込み、62…下部切込み、7…口部、71…筒部、72…フランジ部、8…貫通孔
図1
図2
図3