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  • 特許-宅配ロッカー 図1
  • 特許-宅配ロッカー 図2
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  • 特許-宅配ロッカー 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】宅配ロッカー
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/124 20060101AFI20221107BHJP
   A47G 29/122 20060101ALI20221107BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20221107BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
A47G29/124
A47G29/122 B
E05B65/00 D
E05B49/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018174065
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020044039
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 亮介
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-284708(JP,A)
【文献】特開平04-114891(JP,A)
【文献】特開平05-147693(JP,A)
【文献】特開平09-032376(JP,A)
【文献】特開2018-036948(JP,A)
【文献】特開昭62-021974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12-29/30
E05B 65/00
E05B 49/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収容するための施錠可能な複数の収容部と、荷物の預け入れ操作及び取り出し操作を行う操作部とを備えた宅配ロッカーであって、
複数の宅配業者情報を記憶する宅配業者記憶部と、
宅配業者と前記収容部との関連付けを記憶する収容部情報記憶部と、
宅配業者が荷物を預け入れる預け入れ操作と、受取人が荷物を取り出す取り出し操作と、宅配業者に配達を依頼する依頼操作と、宅配業者が依頼された荷物を集荷する集荷操作とを前記操作部を操作して実施する操作制御部とを有し、
前記操作制御部は、前記依頼操作では、記憶している複数の宅配業者のうち何れかを選択する操作を必要とし、選択された宅配業者と荷物を収容した前記収容部の情報とを関連付けて前記収容部情報記憶部に保存すると共に、
前記集荷操作においては、宅配業者名の入力に加えてパスワードの入力を必要とし、
宅配業者の所持する業者端末にパスワードを通知するパスワード通知部と、
通知した前記パスワードを宅配業者情報と共に記憶するパスワード記憶部とを有する一方、
前記操作制御部は、選択された宅配業者がパスワード未付与であれば、パスワードを生成して前記業者端末に通知すると共に前記パスワード記憶部に記憶し、パスワードが既に付与されていれば当該パスワードを前記業者端末に通知し、
前記業者端末に通知されたパスワードを前記操作部に入力することで、入力された宅配業者名に関連付けられている前記収容部を前記収容部情報記憶部から読み取り、読み取った収容部を一斉に解錠することを特徴とする宅配ロッカー。
【請求項2】
前記操作制御部は、集荷のために前記パスワードが前記操作部に入力されたら、前記パスワード記憶部の集荷操作した宅配業者に付与されたパスワードを消去することを特徴とする請求項記載の宅配ロッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配業者が配達した荷物を受取人に代わり受け取るための宅配ロッカーに関し、特に宅配物の受け取りに加えて宅配業者に配達を依頼する荷物の収容も可能とした宅配ロッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
不在の受取人に代わって宅配物を受け取るための宅配ボックスは、受取人及び配達者の双方にとって都合が良いため広く使用されている。そこで、このような宅配ボックスを、受け取りだけで無く宅配業者に配達を依頼するための荷物の集荷にも利用しようとしたものがある。
しかしながら、集荷に使用する場合、宅配業者は配達を依頼された荷物がいくつあって、どこに保管されているかを確認してから回収しなければならないため、端末等を使用して荷物の情報を確認する必要があったし、荷物を取り出すためには扉を開けるためのパスワードの入力等必要なため、集荷作業には手間がかかっているのが現状であり、宅配業者の負担が大きかった。
そのため、この作業負担の改善を図った宅配ロッカーが提案されている。例えば特許文献1では、荷物を収容する収容部のそれぞれに設けられている扉を大きな1枚の扉の中に形成し、この大きな扉を開けることで複数の荷物を一度に取り出すことを可能とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-182396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような大きな扉を設ける構成は、大きな設計変更を伴うためコスト高であるし、宅配物の預け入れと並行して使用するには、宅配物と配達依頼物の収容部のエリアを分ける必要があるため宅配ロッカーの使用効率が低下した。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、受取人に代わり荷物を受け取る宅配ロッカーを、宅配業者に配達を依頼する荷物の集荷に使用しても宅配業者の業務負担を軽減でき、更に使用効率を落とすことなく利用できる宅配ロッカーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、荷物を収容するための施錠可能な複数の収容部と、荷物の預け入れ操作及び取り出し操作を行う操作部とを備えた宅配ロッカーであって、複数の宅配業者情報を記憶する宅配業者記憶部と、宅配業者と収容部との関連付けを記憶する収容部情報記憶部と、宅配業者が荷物を預け入れる預け入れ操作と、受取人が荷物を取り出す取り出し操作と、宅配業者に配達を依頼する依頼操作と、宅配業者が依頼された荷物を集荷する集荷操作とを操作部を操作して実施する操作制御部とを有し、操作制御部は、依頼操作では、記憶している複数の宅配業者のうち何れかを選択する操作を必要とし、選択された宅配業者と荷物を収容した収容部の情報とを関連付けて収容部情報記憶部に保存すると共に、集荷操作においては、宅配業者名の入力に加えてパスワードの入力を必要とし、宅配業者の所持する業者端末にパスワードを通知するパスワード通知部と、通知したパスワードを宅配業者情報と共に記憶するパスワード記憶部とを有する一方、操作制御部は、選択された宅配業者がパスワード未付与であれば、パスワードを生成して業者端末に通知すると共にパスワード記憶部に記憶し、パスワードが既に付与されていれば当該パスワードを業者端末に通知し、業者端末に通知されたパスワードを操作部に入力することで、入力された宅配業者名に関連付けられている収容部を収容部情報記憶部から読み取り、読み取った収容部を一斉に解錠することを特徴とする。
この構成によれば、配達を依頼する荷物を収容部に収容する際に宅配業者が選択されることで、依頼された宅配業者が荷物を集荷する際に、自身の宅配業者名を入力すれば自身が選択されている収容部を一斉に解錠することが可能となり、荷物の集荷がし易く集荷する際の宅配業者の業務負担を軽減できる。そして、宅配物の預け入れと配達依頼物の収容の双方に使用しても、使用する収容部のエリア設定等をする必要がないため、収容部の使用率を下げずに済む。
【0007】
加えて、集荷する荷物が複数であっても、同一の宅配業者には同一のパスワードが付与されるため、集荷する際にパスワードの入力が必要であっても1つのパスワードの入力で良く、簡易な操作で集荷できる。
【0008】
請求項の発明は、請求項に記載の構成において、操作制御部は、集荷のためにパスワードが操作部に入力されたら、パスワード記憶部の集荷操作した宅配業者に付与されたパスワードを消去することを特徴とする。
この構成によれば、付与されたパスワードは集荷操作でリセットされるワンタイムパス
ワードであるため、宅配業者は集荷する度に異なるパスワードの入力を必要とする。よって、1つのパスワードで複数の収容部を解錠できても、開けられて荷物が盗難に遭うような事態を防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配達を依頼する荷物を収容部に収容する際に宅配業者が選択されることで、依頼された宅配業者が荷物を集荷する際に、自身の宅配業者名を入力すれば自身が選択されている収容部を一斉に解錠することが可能となり、荷物の集荷がし易く集荷する際の業務負担を軽減できる。そして、宅配物の預け入れと配達依頼物の収容の双方に使用しても、使用するエリアの設定等をする必要がないため、収容部の使用率を下げずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る宅配ロッカーの一例を示す構成図である。
図2図1の宅配ロッカーのブロック図である。
図3】配達依頼の流れを示すフローチャートである。
図4】集荷の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1,2は本発明に係る宅配ロッカーの一例を示し、図1は通信先を含めた概略構成図、図2は宅配ロッカーの機能ブロック図を示している。図1に示すように、宅配ロッカー1は荷物を収容する複数の収容部11、荷物の預け入れ操作、取り出し操作等を行う操作部12、宅配業者に対して預かり証を発行する発行部13を備えている。
そして図2に示すように、宅配ロッカー1は、操作部12が一体に設けられた表示部14、利用者情報及び配達業者情報等を記憶する記憶部15、外部と通信する宅配ロッカー通信部16、収容部11に設けられている電気錠11aの制御、表示部14の制御、預かり証の発行、外部との通信等を制御する宅配ロッカー制御部17等を備えている。
【0012】
尚、記憶部15は、宅配業者名及びその通信先等を記憶する宅配業者記憶部、宅配ロッカーを利用する利用者の氏名、住所、通信先等を記憶する利用者情報記憶部、宅配業者と収容部11の関連付けを記憶する収容部情報記憶部、宅配業者に付与したパスワードを記憶するパスワード記憶部等により構成されている。
また、2は宅配業者が携帯する携帯端末を示し、通信ネットワークNを介して宅配ロッカー1と通信を実施する。
【0013】
上記の如く構成された宅配ロッカーの動作は以下の様である。受取人に代わって宅配物を受け取る(収容する)本来の動作に加えて、宅配業者が宅配ロッカー1の利用者から配達を依頼された荷物を集荷する集荷動作を実施する。最初に本願の要部である配達依頼操作、依頼された荷物の集荷操作を説明する。図3は依頼操作のフローチャートであり、図3を参照して説明する。
操作部12を操作して表示部14を配達を依頼する画面に移行させると、表示部14に宅配業者の選択画面が表示され、この中から依頼する宅配業者を選択して入力(S1)する。宅配業者が選択されたら、表示部14には宅配ロッカー1の空いている収容部11の場所が表示され、その中から荷物を入れる収容部11を選択する(S2)。尚、この収容部11の選択は宅配ロッカー制御部17が行っても良く、その場合は指定した収容部11の場所が表示部14に表示される。
【0014】
収容部11を選択したら、選択した収容部11に荷物を入れて扉(図示せず)を閉め、最後に預け入れた荷物の数を入力(S3)する。こうして、個数の入力を受けた宅配ロッカー制御部17は、荷物が収容された収容部11を施錠して、選択された宅配業者に配達依頼情報を通知する。
配達依頼情報は、宅配ロッカー1の場所情報と荷物の個数情報、そして解錠に必要なパスワードの情報等を含み、通信ネットワークNを介して宅配業者の携帯端末2に通知される(S4)。こうして、荷物の配達依頼操作は終了する。
【0015】
ここで、パスワードの付与について説明する。宅配ロッカー制御部17は、宅配業者が選択されると、選択された宅配業者が既にパスワードが付与されているか判別し、付与されていなければ生成して付与し、付与したパスワードは付与した宅配業者の情報と共に記憶部15に記憶される。付与されていれば生成せず、既に付与されているパスワードを使用する。
【0016】
依頼された荷物の集荷の流れは以下の様である。図4は集荷の流れを示すフローチャートであり、この図4を参照して説明する。携帯端末2に通知された情報により配達依頼を認識した宅配業者は、操作部12を操作して宅配ロッカー1に収容されている荷物を集荷する。
【0017】
まず操作部12を操作して表示部14を集荷画面に移行すると、宅配業者選択画面が表示され、自身の宅配業者名を選択して入力(S11)する。続いて、パスワード入力画面が表示され、送信された配達依頼情報に添付されているパスワードを入力(S12)する。このパスワードは、依頼された荷物の数(収容部の数)に関わらず、最初に付与されたパスワードが継続して使用され、1つのパスワードの入力のみで済む。
尚、このとき、間違ったパスワードが入力されたら、宅配業者入力画面に戻る(S13でN)。
【0018】
正しいパスワードが入力されたら、それを認識した宅配ロッカー制御部17は、宅配業者Aに関連付けられている収容部11を記憶部15から読み取り、解錠(S14)する。即ち、荷物を収容する際に選択された宅配業者が集荷操作した宅配業者であれば、その荷物が収容された収容部11が全て解錠(S14)される。また、表示部14には、解錠した収容部11の場所が表示される。
こうして、宅配業者は自身が集荷すべき全ての荷物の場所を確認して取り出し、集荷は終了する。そして、荷物が取り出されたら、パスワードはリセットされ、記憶部15に集荷操作した宅配業者に関連付けられて記憶していたパスワードは消去される。その後、この宅配業者に新たな配達依頼が発生したら、その時点で新たなパスワードが付与される。
【0019】
次に、宅配業者が宅配物を預け入れ、受取人がその荷物を取り出す本来の動作を簡単に説明する。宅配業者による荷物の預け入れは、操作部12を操作して所定の預け入れ操作を行い、届け先の情報(受取人情報)を入力する。そして収容部11に荷物を入れると施錠され、宅配ロッカー1から受取人の携帯電話等に荷物が預け入れられたことが通知される。
この通知を受けた受取人により操作部12が所定の取り出し操作されると、収容部11が解錠され、荷物が取り出しが可能となる。
【0020】
このように、配達を依頼する荷物を収容部11に収容する際に宅配業者が選択されることで、依頼された宅配業者が荷物を集荷する際に、自身の宅配業者名を入力すれば自身が選択されている収容部11を一斉に解錠することが可能となり、荷物の集荷がし易く集荷する際の業務負担を軽減できる。そして、宅配物の預け入れと配達依頼物の収容の双方に使用しても、使用する収容部11のエリア設定等をする必要がないため、収容部11の使用率を下げずに済む。
また、同一の宅配業者には同一のパスワードが付与されるため、集荷する際にパスワードの入力が必要であっても、1つのパスワードを入力するだけで複数の収容部11を開けることができ、簡易な操作で集荷できる。
加えて、付与されたパスワードは集荷操作でリセットされるワンタイムパスワードであるため、宅配業者は集荷する度に異なるパスワードの入力を必要とする。よって、1つのパスワードで複数の収容部11を解錠できても、開けられて荷物が盗難に遭うような事態を防止できる。
【符号の説明】
【0021】
1・・宅配ロッカー、2・・携帯端末(業者端末)、11・・収容部、12・・操作部、14・・表示部、15・・記憶部(宅配業者記憶部、収容部情報記憶部、パスワード記憶部)、16・・宅配ロッカー通信部(パスワード通知部)、17・・宅配ロッカー制御部(操作制御部)、N・・通信ネットワーク。
図1
図2
図3
図4