(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20221107BHJP
B41J 2/01 20060101ALN20221107BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/01 307
(21)【出願番号】P 2018193558
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100202393
【氏名又は名称】川口 康
(72)【発明者】
【氏名】古川 航大
(72)【発明者】
【氏名】樋口 祟
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-152940(JP,A)
【文献】特開2009-234099(JP,A)
【文献】特開2009-051030(JP,A)
【文献】特開2011-084004(JP,A)
【文献】特開平05-069556(JP,A)
【文献】特開2002-234173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を複数のノズル孔から吐出して印刷を行うインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであって、
前記インクジェットヘッドにおいて被印刷媒体と対向する側にあって、前記複数のノズル孔が形成されるノズル面と、
前記インクジェットヘッドを支持するヘッド支持部と、
前記インクジェットヘッドを主走査方向に駆動する主走査方向駆動装置と、
を備え、
前記インクジェットヘッドは、前記主走査方向駆動装置によって、前記被印刷媒体に対して移動しながら前記ノズル孔よりインク滴を吐出して印刷を行うものであり、
前記ヘッド支持部は、前記ノズル面を前記被印刷媒体に対向するように露出させる開口部が形成される対向部を有し、
前記開口部から露出される前記ノズル面と前記対向部は略同一平面になると共に、前記ノズル面と前記対向部の間には、前記開口部と前記ノズル面の隙間に相当する凹部が形成されており、
更に前記インクジェットプリンタは、
前記ノズル面及び前記対向部からなる対向面に対して当接された状態で
、前記対向面と平行方向に相対的に移動されることで、先端側が該対向面に摺動して払拭するワイパーと、
前記対向面と前記ワイパーの相対的な位置関係の変更を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ワイパーが前記ノズル面を払拭した後に、前記凹部と、前記ノズル面の中で前記複数のノズル孔が形成されるノズル領域との間の領域であるワイパー待機領域に前記ワイパーが当接した姿勢で、前記ワイパーが所定の待機時間の間、待機するように制御を行い、
更に前記制御部は、前記待機時間の経過後、前記対向面に対する直交方向における前記ワイパーと前記対向面との距離を変化させることなく、前記ワイパー及び前記対向面を前記平行方向に相対移動させることで、前記ワイパーの先端側を、前記ワイパー待機領域から前記凹部を経て前記対向部に摺動させることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記待機時間が1秒以上であることを特徴とする前記請求項
1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記ワイパーの先端側は前記対向面に対して鉛直方向の下方から接触された状態で当接され、前記待機時間は、前記ワイパーの前記先端側に付着したインクが、鉛直方向の下方に移動するのを待つ時間であ
ることを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記ワイパーは、前記ノズル面と接触する舌片状のワイパーブレード部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記ワイパーブレード部の先端は、該先端で払拭されるインク量を考慮して、前記ワイパー待機領域待機位置の範囲に入る厚みに形成されていることを特徴とする請求項
4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記ワイパーを移動させるワイパー機構をさらに備え、
同種類のインクを吐出するノズル孔が並ぶ方向に、前記ワイパーを前記ノズル面に当接させた状態で移動させることで、前記ワイパーが前記ノズル面を払拭することを特徴とする請求項1から請求項
5のうちのいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
インク滴を複数のノズル孔から吐出して印刷を行うインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを支持するヘッド支持部と
、前記インクジェットヘッドを主走査方向に駆動する主走査方向駆動装置とを備え、前記ヘッド支持部は、前記複数のノズル孔が形成されるノズル面を
被印刷媒体に対向するように露出させる開口部が形成される対向部を有するインクジェットプリンタにおいて、
前記主走査方向駆動装置によって前記インクジェットヘッドが前記被印刷媒体に対して移動しながら前記ノズル孔よりインク滴を吐出して印刷を行うインクジェット印刷方法であって、
前記開口部から露出される前記ノズル面と前記対向部は略同一平面になると共に、前記ノズル面と前記対向部の間には、前記開口部と前記ノズル面の隙間に相当する凹部が形成されており、
前記インクジェットヘッド
の前記ノズル面
をワイパーで払拭するノズル面払拭ステップと、
前記ノズル面払拭ステップの後、前記ノズル面の中で前記複数のノズル孔が形成されるノズル領域と、前記対向部と前記インクジェットヘッドとの間に形成される
前記凹部と、の間の領域であるワイパー待機領域
に前記ワイパーが当接した姿勢で、前記ワイパーが所定の待機時間のあいだ待機する待機ステップと、
前記待機ステップの後、前記ノズル面に対する直交方向における前記ワイパーと前記ノズル面との距離が変化することなく、前記ワイパー及び前記ノズル面が、前記ノズル面と平行方向に相対移動することで、前記ワイパーの先端側を、前記ワイパー待機領域から前記凹部を経て前記対向部に摺動させる移動ステップと、を備えるインクジェット印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のノズルを備えたインクジェットプリンタ及びインクジェットプリンタ印刷方法、特にインクジェットプリンタのヘッド部分の清掃に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタでは、印刷を続けると、インクを吐出するノズル孔が形成されているノズル面が残余したインク等で汚れてくる。この汚れを放置したまま印刷を続けると、残余したインクが溜まって形成されたインク滴が滴下して被印刷媒体を汚染したり、ノズルの目詰まりを生じさせたりすることで、印刷品質を低下させてしまう。そのため定期的にノズル面を清掃することが必要である。具体的には、ゴム等の柔軟な材料で形成されたワイパーをノズル面に直接接触させて移動させることで、汚れを拭い払う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしノズル面自体がワイパーによって清浄に保たれているにもかかわらず、被印刷媒体に汚れが生じてしまうケースがあり、その原因がわからなかった。本願発明者が長年、鋭意研究を重ねた結果、その原因はインクジェットヘッドとヘッド支持部の境目に形成された係合部に溜まってしまう主に残余インクからなる汚染物であることがわかった。
【0005】
図7(A)は、インクジェットヘッド15と、ヘッド支持部3において被印刷物載置台17に対向する部分である対向部10を、対向する被印刷物載置台17方向から見た説明図である。インクジェットヘッド15はノズル孔20が形成され、ノズル孔20からインクが吐出される。
図7(A)上のX方向、インクジェットヘッド15のノズル面27中に、インクを吐出する複数のノズル孔20が形成される。ノズル面27を払拭するワイパーのワイパーブレード部30が後述するようにノズル面27に接触される。インクジェットヘッド15はヘッド支持部3によって鉛直方向上向きに支持され、インクジェットヘッド部15とヘッド支持部3との間には係合部25が形成される。ワイパーブレード部30は、ノズル面27に付着した汚れを拭い払って、対向部10上の移動後のワイパーブレード部35の位置まで移動される。
【0006】
図7(B)は、ノズル面の清掃前における、インクジェットヘッド15とヘッド支持部3、及び、ワイパーブレード部30のA-A線矢視断面図(
図7(A)参照)である。ノズル面27に付着した残余インク40を、ノズル面27に接触されるワイパーブレード部30が矢印方向に移動しながら拭い払っていく。
【0007】
図7(C)は、ノズル面27を払拭後、係合部25まで連続してワイパーブレード部30が移動した場合のA-A線矢視断面図(
図7(A)参照)である。ワイパーブレード部30が係合部25に、残余インク40を載せたまま移動していくと、係合部25に残余インク40が溜まっていく。
【0008】
図7(D)は、係合部25に溜まった残余インク40等の汚れが被印刷媒体45に落下して汚染する様子を説明する説明図である。ノズル面27が清浄であっても、被印刷媒体45が残余インクで汚染される原因は、係合部25に溜まった残余インク40が落下するためであることが発明者の研究により明らかになった。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、インクジェットヘッドとヘッド支持部の間に形成される係合部に残ってしまう残余インクが落下することによる被印刷媒体の汚染をし難いインクジェットプリンタ及びインクジェット印刷方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、インク滴を複数のノズル孔から吐出して印刷を行うインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであって、前記インクジェットヘッドにおいて被印刷媒体と対向する側にあって、前記複数のノズル孔が形成されるノズル面と、前記インクジェットヘッドを支持するヘッド支持部とを備え、前記ヘッド支持部は、前記ノズル面を前記被印刷媒体に対向するように露出させる開口部が形成される対向部を有し、前記ノズル面及び前記対向部からなる対向面に対して当接された状態で相対的に移動されることで、先端側が該対向面に摺動して払拭するワイパーと、前記対向面と前記ワイパーの相対的な位置関係の変更を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記ワイパーが前記ノズル面を払拭した後に、前記ヘッド支持部と前記インクジェットヘッドとの間に形成される係合部と、前記ノズル面の中で前記複数のノズル孔が形成されるノズル領域との間の領域であるワイパー待機領域で、前記ワイパーが所定の待機時間のあいだ待機するように制御を行うことを特徴とするインクジェットプリンタを提供する。
【0011】
上記(1)に記載の発明によれば、制御部がワイパーを所定の待機時間のあいだ、ノズル領域と係合部の間の領域であるワイパー待機領域で待機する制御を行うので、待機時間のあいだに、ワイパーに溜まったインクが自然に流れて排除される。したがってワイパーに残余インクが溜まりにくいため、待機時間後にワイパーが対向部側に移動しても、ワイパーから係合部に残余インクが吸い込まれて溜まることが生じ難いという優れた効果を奏する。
【0012】
(2)本発明は、前記ワイパーの先端側が前記対向面に対して鉛直方向の下方から接触された状態で当接され、前記待機時間は、前記ワイパーの前記先端側に付着したインクが、鉛直方向の下方に移動するのを待つ時間であり、前記制御部は、前記待機時間後に前記ワイパーが前記係合部を通過して前記対向部を払拭するように前記ワイパーと前記対向面の相対的な位置関係の制御を行うことを特徴とする上記(1)に記載のインクジェットプリンタを提供する。
【0013】
上記(2)に記載の発明によれば、ワイパーが対向面に対して鉛直方向の下方から接触された状態で当接され、待機時間は、ワイパーの先端側に付着したインクが、鉛直方向の下方に移動するのを待つ時間なので、ワイパー先端に付着した残余インクが重力に従って流れ落ちて排除される。したがってワイパーが待機時間の後、係合部を通過しても、ワイパーの先端部には残余インクが残り難いので、係合部に残余インクが溜まりにくく、結果として、残余インクによる被印刷媒体の汚染が生じ難くなるという優れた効果を奏する。
【0014】
(3)本発明は、前記待機時間が1秒以上であることを特徴とする上記(1)又は上記(2)に記載のインクジェットプリンタを提供する。
【0015】
上記(3)に記載の発明によれば、ワイパーがワイパー待機領域で待機する待機時間が1秒以上あるので、残余インクがワイパーの少なくとも先端部分からは重力等によって除去され易い。したがって、待機時間の後、ワイパーが係合部を通過して対向部へと移動する際に、残余インクが係合部に溜まりにくく、結果として、残余インクによる被印刷媒体の汚染が生じ難くなるという優れた効果を奏する。
【0016】
(4)本発明は、前記ワイパーは、前記ノズル面と接触する舌片状のワイパーブレード部を有することを特徴とする上記(1)乃至上記(3)のうちのいずれかに記載のインクジェットプリンタを提供する。
【0017】
上記(4)に記載の発明によれば、ワイパーがノズル面と接触する舌片状のワイパーブレード部を有するので、ノズル面を適切に且つ確実に払拭でき、残余インクをノズル領域から除去できる。したがって、ノズル領域に残った残余インクにより形成されるインク滴が被印刷媒体に滴下して汚染したり、ノズルの目詰まりを生じさせたりすることで、印刷品質を低下させるという事故が生じ難くなるという優れた効果を奏する。
【0018】
(5)本発明は、前記ワイパーを移動させるワイパー機構をさらに備え、同種類のインクを吐出するノズル孔が並ぶ方向に、前記ワイパーを前記ノズル面に当接させた状態で移動させることで、前記ワイパーが前記ノズル面を払拭することを特徴とする上記(1)乃至上記(4)のうちのいずれかに記載のインクジェットプリンタを提供する。
【0019】
上記(5)に記載の発明によれば、ワイパーがノズル面に対して移動させるワイパー機構を有するので、ヘッドを移動させる方向が一方向だけで済みヘッドの駆動機構が単純化できコストを抑え、メンテナンス性も向上するという優れた効果を奏する、またワイパーが払拭する方向が、同種類のインクを吐出するノズル孔が並ぶ方向なので、払拭で思いがけず残余インクによる混色が生じる可能性も低下させることができるという優れた効果を奏する。
【0020】
(6)本発明は、インク滴を複数のノズル孔から吐出して印刷を行うインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを支持するヘッド支持部とを備え、前記ヘッド支持部は、前記複数のノズル孔が形成されるノズル面を前記被印刷媒体に対向するように露出させる開口部が形成される対向部を有するインクジェットプリンタにおいて、前記インクジェットヘッドにおいて被印刷媒体と対向する側にあるワイパーで前記ノズル面を払拭するノズル面払拭ステップと、前記ノズル面の中で前記複数のノズル孔が形成されるノズル領域と、前記対向部と前記インクジェットヘッドとの間に形成される係合部と、の間の領域であるワイパー待機領域で、前記ワイパーが所定の待機時間のあいだ待機する待機ステップとを備えるインクジェット印刷方法を提供する。
【0021】
上記(6)に記載の発明によれば、ノズル面を払拭する払拭ステップの後、ワイパーを所定の待機時間のあいだ、ノズル領域と係合部の間の領域であるワイパー待機領域で待機させる待機ステップが存在するので、待機時間のあいだに、ワイパー上に溜まったインクが自然に流れて排除され易い。したがってワイパーに残余インクが溜まりにくいため、待機時間後にワイパーが対向部側に移動しても、ワイパーから係合部に残余インクが吸い込まれて溜まることが生じ難いという優れた効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1~6記載のインクジェットプリンタ及びインクジェットプリンタ印刷方法によれば、ワイパーに残余インクが溜まりにくいため、待機時間後にワイパーが対向部側に移動しても、ワイパーから係合部に残余インクが溜まることが生じ難く、結果として被印刷媒体を残余インクで汚染しにくいという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】(A)本発明の第一実施形態に係るインクジェットプリンタ全体の説明図である。(B)インクジェットプリンタの内部機構を説明する説明図である。
【
図2】(A)ヘッドに内蔵されるインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドを支持するヘッド支持部の斜視図である。(B)インクジェットヘッドと、インクジェットヘッドを支持するヘッド支持部を、インクジェットヘッドと対向する被印刷媒体方向から仰ぎ見た様子を示す説明図である。(C)インクジェットヘッドとヘッド支持部をY方向から見た断面図である。
【
図3】(A)ノズル面を払拭するワイパーと、ワイパーを移動させるワイパー機構の説明図である。(B)ワイパー機構と、インクジェットヘッド及びヘッド支持部の配置関係を説明する説明図である。
【
図4】対向面上において、ワイパーが待機するワイパー待機領域と、ノズル領域と、係合部の位置関係を示す説明図である。
【
図5】(A)ノズル面払拭前における、インクジェットヘッドとヘッド支持部、及び、ワイパーブレード部のB-B線矢視断面図(
図4参照)である。(B)ノズル面払拭後、ワイパーブレード部が待機時間中にワイパー待機領域で待機している態様を示すB-B線矢視断面図である。(C)待機時間中にワイパーブレード部の先端から残余インク等の汚れがワイパーブレード部に沿って移動していく様子を説明する説明図である。(D)ワイパーブレード部が係合部を越えて移動した場合にも、係合部に汚れが溜まらないことを説明する説明図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係るインクジェットプリンタ印刷方法のフローチャートである。
【
図7】(A)インクジェットヘッドとヘッド支持部を、対向する被印刷物載置台方向から見た説明図である。(B)ノズル面払拭前における、インクジェットヘッドとヘッド支持部、及び、ワイパーのA-A線矢視断面図である。(C)ノズル面払拭後、係合部まで連続してワイパーが移動した場合のA-A線矢視断面図である。(D)係合部に溜まった残余インク等の汚れが被印刷媒体に落下して汚染する様子を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0025】
図1~
図6は発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。なお、各図において一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0026】
図1(A)は、本発明の第一実施形態に係るインクジェットプリンタ1全体の説明図である。インクジェットプリンタ1は、インク滴を複数のノズル孔120(後述する
図4参照)から吐出して印刷を行うインクジェットヘッド15(後述する
図1(B)参照)を有するヘッド5と、ヘッド5をガイドレール7に沿って主走査方向(図中のY方向)に駆動する主走査方向駆動装置(図示省略)と、インクジェットヘッド15のノズル面に付着した残余インクを払拭するワイパー13を有するワイパー機構50(後述する
図3(A)参照)を有するメンテナンスステーション21(後述する
図1(B)参照)を備える。被印刷媒体9はヘッド5と対向するように載置され、ヘッド5から吐出されるインクによって適切に印刷をされて送り出される。
【0027】
図1(B)は、インクジェットプリンタ1の内部機構を説明する説明図である。ヘッド5は、インク滴を複数のノズル孔120(後述する
図4参照)から吐出して印刷を行うインクジェットヘッド15を少なくとも一つ有し、ガイドレール7に沿って主走査方向(図中Y方向)に移動される。ヘッド5に対向する位置に、被印刷媒体9が被印刷物載置台17上に載置され、制御部29によって被印刷媒体9の送り出しや、インクジェットヘッド15からのインクの吐出等は制御される。メンテナンスステーション21は、被印刷媒体9への印刷が行われる領域外に設けられることが望ましい。
【0028】
なお制御部29はCPU、RAMおよびROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUはいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて様々な機能を実現する。RAMはCPUの作業領域、記憶領域として使用され、ROMはCPUで実行されるオペレーティングシステムやプログラムを記憶する。
【0029】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1は、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の特徴を有してよい。例えばインクジェットプリンタ1は、上記において説明をした構成以外に、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の様々な構成を更に備えてもよい。
【0030】
具体的には、インクジェットプリンタ1は、インク供給部(図時省略)、インク供給路(図示省略)、主走査駆動部(図示省略)、ピエゾ駆動部(図示省略)を備えてよい。ヘッド5は、印刷対象である被印刷媒体(メディア)9に対してインクを吐出する部分であり、印刷すべき画像に応じて設定される位置へインクを吐出することにより、被印刷媒体9上に画像を描画する。また、本実施形態において、ヘッド5は、キャリッジ及び複数のインクジェットヘッド15を有する。キャリッジ(図示省略)は、複数のインクジェットヘッド15を保持する保持部材である。本例において、キャリッジは、複数のインクジェットヘッド15を、副走査方向における位置を揃えて、図中にY軸方向と示す主走査方向へ並べて保持する。この場合、副走査方向とは、例えば、主走査方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)である。また、主走査方向とは、所定の方向へ移動しつつインク(インク滴)を吐出する主走査動作におけるインクジェットヘッド15の移動方向のことである。
【0031】
複数のインクジェットヘッド15は、インクジェット方式でインクを吐出する印刷ヘッドである。この場合、インクとは、インクジェットヘッド方式で吐出する液体のことである。また、インクについては、例えば、液体吐出装置で吐出する機能性の液体等と考えることもできる。また、本実施形態においては、複数のインクジェットヘッド15のそれぞれは、互いに異なる色のインクを吐出してよい。より具体的に、複数のインクジェットヘッド15のそれぞれとしては、例えば、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、及びブラック(K)色の各色用のインクジェットヘッドを用いることが考えられる。このように構成すれば、カラー印刷(例えば、フルカラーの印刷)を適切に行うことができる。
【0032】
また、より具体的に、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1において、それぞれのインクジェットヘッド15は、印刷時に被印刷媒体9と対向する面であるノズル面27(後述する
図2(B)参照)に、複数のノズルを有する。この場合、ノズル面27については、例えば、インクジェットヘッド15においてノズルが形成されている面等と考えることもできる。また、本実施形態において、ノズル面27は、略平面である。この場合、略平面とは、例えば、必ずしも完全に平坦な平面である場合に限らず、求められる精度において平面と見なせる面のことである。また、ノズル面27において、複数のノズルは、所定のノズル列方向(ノズル配列方向)へ一定の間隔で並ぶことで、ノズル列を構成する。また、本実施形態において、ノズル列方向は、副走査方向(
図1(B)中X方向)と平行な方向である。また、ノズル列におけるノズルの密度については、例えば、150dpiに対応する密度以上(例えば、150dpi~1200dpiに対応する密度)にすることが好ましい。このように構成すれば、高精細な印刷を適切に行うことができる。また、本例において、それぞれのインクジェットヘッド15としては、ピエゾ方式でインクを吐出するインクジェットヘッドを用いる。この場合、それぞれのインクジェットヘッド15は、複数のノズルに対応する複数のピエゾ素子を更に有する。
【0033】
また、本実施形態において、複数のインクジェットヘッド15から吐出するインクとしては、公知の様々なインクを用いることができる。この場合、必要に応じて、インクを被印刷媒体9に定着させる定着手段として、使用するインクに合わせた構成を更に用いることが好ましい。より具体的に、例えば、紫外線の照射により硬化するインクである紫外線硬化型インク(UVインク)やソルベントUVインク等を用いる場合、紫外線光源を更に有するヘッド5を用いること等が考えられる。また、溶媒の蒸発により被印刷媒体9に定着する蒸発乾燥型のインクを用いる場合、インク又は被印刷媒体9を加熱する加熱手段を定着手段として用いることが考えられる。また、この場合、例えば、被印刷物載置台17内に公知のヒータ等を設置すること等が考えられる。
【0034】
図2(A)は、ヘッド5に内蔵されるインクジェットヘッド15と、インクジェットヘッド15を支持するヘッド支持部3の斜視図である。インクジェットヘッド15は、被印刷媒体9と対向する側にあって、複数のノズル孔120(後述する
図4参照)が形成されるノズル面27(後述する
図2(B)参照)と、インクジェットヘッド15を支持するヘッド支持部3とを備える。
【0035】
ヘッド支持部3は、ノズル面27を被印刷媒体9(
図1(B)参照)に対向するように露出させる開口部が形成される対向部10(後述する
図2(B)参照)を有する。
【0036】
図2(B)は、インクジェットヘッド15と、インクジェットヘッド15を支持するヘッド支持部3を、インクジェットヘッド15と対向する被印刷媒体9(
図1(B)参照)方向から仰ぎ見た場合を示す説明図である。図中に示すように、ノズル面27と対向部10は略同一平面上に配設される。具体的には、ノズル面27及び対向部10は、略同一平面である対向面23を形成する。
【0037】
図2(C)は、インクジェットヘッド15とヘッド支持部3をY方向から見た断面図である。インクジェットヘッド15とヘッド支持部3を係合する係合部25が、ノズル面27と対向部10が構成する対向面23から見て、Z方向正の向きに凹部として形成される。
【0038】
図3(A)は、ノズル面27を払拭するワイパー13と、ワイパー13を移動させるワイパー機構50の説明図である。具体的には、ワイパー13は、ノズル面27と接触する舌片状の形状でありゴム等の柔軟な材料で形成されるワイパーブレード部30を有する。ワイパー13はワイパー駆動部55により、図中X方向(副走査方向)に移動される。具体的には、同種類のインクを吐出するノズル孔120(後述する
図4参照)が並ぶ方向(
図4中X方向)に、ワイパーブレード部30をノズル面27に当接させた状態で移動させることで、ワイパーブレード部30がノズル面27等を払拭する。
【0039】
このときノズル面27と対向部10とは略同一平面にあって、ワイパー13は、対向面23に沿って平行移動させることによりノズル面27を払拭させる
【0040】
図3(B)は、ワイパー機構50と、インクジェットヘッド15及びヘッド支持部3の配置関係を説明する説明図である。ワイパー機構50の有するワイパー13は、制御部29(
図1(B)参照)により対向面23(
図2(B)参照)に対して当接された状態で相対的に移動されることで、ワイパーが有するワイパーブレード部30の先端側が対向面に摺動されて払拭する。具体的には制御部29(
図1(B)参照)が対向面23とワイパー13の相対的な位置関係の変更を制御する。
【0041】
図4は、対向部110とノズル面127によって形成される対向面123上において、複数のノズル孔120が形成されるノズル領域150と、ワイパーブレード部130が待機するワイパー待機領域160と、ヘッド支持部103とインクジェットヘッド115との間に形成される係合部125の位置関係を示す説明図である。ワイパー待機領域160は、ノズル領域150と係合部125の間の領域である。
【0042】
具体的にはヘッド支持部103には開口部が設けられ、インクジェットヘッド115はノズル孔120が被印刷媒体9に対向するようにヘッド支持部103によって鉛直方向上向きに支持されることが望ましい。係合部125は対向面123に対してZ方向正の向きに凹みをもつ構造である。
【0043】
図5(A)~
図5(D)では、上記した本実施形態に係るインクジェットプリンタ1におけるワイパー13が有するワイパーブレード部130の動作を説明する。
【0044】
図5(A)は、ノズル面127払拭前における、インクジェットヘッド115とヘッド支持部103、及び、ワイパーブレード部130のB-B線矢視断面図(
図4参照)である。
【0045】
ここでワイパーブレード部130の先端は、先端で払拭されるインク量を考慮して、ワイパー待機領域の範囲に入る厚みに形成されていることが好ましい。そのような態様にすることで、残余インクがノズル孔120に詰まることや、係合部25に溜まることを防ぐことができるという効果を奏する。
【0046】
図5(B)は、ノズル面127においてノズル孔120が形成されているノズル領域150払拭後、ワイパーブレード部130が待機時間中にワイパー待機領域160で待機している態様を示すB-B線矢視断面図(
図4参照)である。
【0047】
具体的には、制御部29(図示省略)は、ワイパーブレード部130がノズル面127を払拭した後に、ヘッド支持部103とインクジェットヘッド115との間に形成される係合部125と、ノズル面127の中で複数のノズル孔120が形成されるノズル領域150との間の領域であるワイパー待機領域160で、ワイパー13のワイパーブレード部130が所定の待機時間のあいだ待機するように制御を行う。
【0048】
ここでワイパー13は、対向面23と平行移動された位置を維持した状態で、待機時間のあいだ待機される。
【0049】
このような態様にすることで、ワイパー13を対向面から退避させるために下げる仕組みが必要ではなくなり、装置のコストとしても安価になり、メンテナンスも容易になるという効果を奏する。
【0050】
図5(C)は、待機時間中にワイパーブレード部130の先端から残余インク等の汚れがワイパーブレード部130に沿って移動していく様子を説明する説明図である。
【0051】
具体的には、ワイパー13の有するワイパーブレード部130の先端側は、対向面123(ノズル面127)に対して鉛直方向の下方から接触された状態で当接され、待機時間は、ワイパー13の有するワイパーブレード部130の先端側に付着したインクが、鉛直方向の下方に移動するのを待つ時間である。制御部29(図示省略)は、待機時間経過後にワイパー13のワイパーブレード部130が係合部125を通過してヘッド支持部103の対向部110を払拭するようにワイパー13と対向面123の相対的な位置関係の制御を行う。
【0052】
ここで待機時間は、例えば1秒以上である。適切な待機時間は使用されるインクの粘性等によって異なってくるが、具体的にはインクがUVインクの場合には3秒以上が望ましい。
【0053】
なお本明細書において待機とは、通常のクリーニングにおけるワイパーの払拭速度よりも低速度でワイパー13を移動させる態様を含むこととする。
【0054】
図5(D)は、ワイパーブレード部130が係合部125を越えて移動した場合にも、係合部に汚れが溜まらないことを説明する説明図である。ワイパーブレード部130の先端側には残余インクが存在しにくいので、係合部125には残余インク等の汚れが蓄積しにくい。ただし、ワイパーブレード部130が待機時間経過後にZ方向負の向きに退避して、ノズル面127から離れる態様であって、ワイパーブレード部130が対向部110を払拭しなくてもよい。
【0055】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1によれば、制御部29がワイパー13を所定の待機時間のあいだ、ノズル領域150と係合部125の間の領域であるワイパー待機領域160で待機する制御を行うので、待機時間のあいだに、ワイパー13のワイパーブレード部130に溜まったインクが先端部から排除される。したがってワイパー13に残余インクが溜まりにくいため、待機時間後にワイパー13が対向部110側に移動しても、ワイパー13から係合部125に残余インクが吸い込まれて溜まることが生じ難いという優れた効果を奏する。
【0056】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1によれば、ワイパー13のワイパーブレード部130が対向面123に対して鉛直方向の下方から接触された状態で当接され、待機時間は、ワイパー13が有するワイパーブレード部130の先端側に付着したインクが、鉛直方向の下方に移動するのを待つ時間なので、ワイパー13の先端に付着した残余インクが重力に従って流れ落ちて排除される。したがってワイパー13が待機時間の後、係合部125を通過しても、ワイパー13におけるワイパーブレード部130の先端部には残余インクが残り難いので、係合部125に残余インクが溜まりにくく、結果として、残余インクによる被印刷媒体9の汚染が生じ難くなるという優れた効果を奏する。
【0057】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1によれば、ワイパー13がワイパー待機領域160で待機する待機時間が1秒以上あるので、残余インクがワイパー13の少なくとも先端部分からは重力によって流れ落ち易い。したがって、待機時間の後、ワイパー13が係合部125を通過して対向部110へと移動する際に、残余インクが係合部125に溜まりにくく、結果として、残余インクによる被印刷媒体9の汚染が生じ難くなるという優れた効果を奏する。
【0058】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1によれば、ワイパー13がノズル面127と接触する舌片状のワイパーブレード部130を有するので、ノズル面127を適切に且つ確実に払拭でき、残余インクをノズル領域150から除去できる。したがって、ノズル領域150に残った残余インクにより形成されるインク滴が被印刷媒体9に滴下して汚染したり、ノズルの目詰まりを生じさせたりすることで、印刷品質を低下させるという事故が生じ難くなるという優れた効果を奏する。
【0059】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1によれば、ワイパー13をノズル面127に対して移動させるワイパー機構50を有するので、ヘッド3を移動させる方向が一方向(主走査方向)だけで済み、ヘッド3の駆動機構が単純化できコストが抑えられ、メンテナンス性も向上するという優れた効果を奏する、またワイパー13が払拭する方向が、同種類のインクを吐出するノズル孔120が並ぶ方向なので、払拭で思いがけず残余インクによる混色が生じる可能性も低下させることができるという優れた効果を奏する。
【0060】
図6は、本発明の第二実施形態に係るインクジェットプリンタ印刷方法を説明するフローチャートである。
【0061】
このインクジェットプリンタ印刷方法は、インク滴を複数のノズル孔から吐出して印刷を行うインクジェットヘッド115(
図5(A)参照)と、インクジェットヘッド115を支持するヘッド支持部103とを備え、ヘッド支持部103は、複数のノズル孔120が形成されるノズル面127を被印刷媒体9に対向するように露出させる開口部が形成される対向部110を有するインクジェットプリンタにおいて、インクジェットヘッド115において被印刷媒体9と対向する側にあるワイパー13でノズル面127を払拭するノズル面払拭ステップと、ノズル面127の中で複数のノズル孔120が形成されるノズル領域150と、ヘッド支持部103とインクジェットヘッド115との間に形成される係合部125と、の間の領域であるワイパー待機領域160で、ワイパー13が所定の待機時間のあいだ待機する待機ステップとを備える。
【0062】
具体的には次の通りである。まずワイパーブレード部130をノズル面127に接触させる(ステップS1)。そしてワイパー13のワイパーブレード部130が移動してノズル面127のノズル領域150を払拭する(ステップS2)。次にワイパー13のワイパーブレード部130がワイパー待機領域160で所定時間のあいだ待機する(ステップS3)。そして、ワイパー13が係合部125を通過してさらに移動する(ステップS4)。
【0063】
本発明の第二実施形態に係るインクジェットプリンタ印刷方法によれば、ノズル面を払拭する払拭ステップの後、ワイパーを所定の待機時間のあいだ、ノズル領域と係合部の間の領域であるワイパー待機領域で待機させる待機ステップが存在するので、待機時間のあいだに、ワイパー上に溜まったインクが自然に流れて排除され易い。したがってワイパーに残余インクが溜まりにくいため、待機時間後にワイパーが対向部側に移動しても、ワイパーから係合部に残余インクが吸い込まれて溜まることが生じ難いという優れた効果を奏する。
【0064】
尚、本発明のインクジェットプリンタ及びインクジェットプリンタ印刷方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0065】
例えば変形実施例として、ノズル面を払拭する方法として、メンテナンスステーションで、固定されたワイパーに対してヘッドが副走査方向に移動して、インクジェットヘッドにおけるノズル面の残余インクの払拭をおこなう態様も考えられる。
【0066】
例えば他の変形実施例として、ワイパーはスポンジ様の材質で形成されて、残余インクを吸収して排除する態様であっても良く、また別の変形実施例としては多数の細い部材を束ねたブラシ状の態様であっても良い。
【0067】
また別の変形実施例としては、インク滴を複数のノズル孔から吐出して印刷を行うインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであって、インクジェットヘッドにおいて被印刷媒体と対向する側にあって、複数のノズル孔が形成されるノズル面と、インクジェットヘッドを支持するヘッド支持部とを備え、ヘッド支持部は、ノズル面を被印刷媒体に対向するように露出させる開口部が形成される対向部を有し、ノズル面及び対向部からなる対向面に対して当接された状態で相対的に移動されることで、先端側が該対向面に摺動して払拭するワイパーと、対向面とワイパーの相対的な位置関係の変更を制御する制御部とを備え、制御部は、対向面のノズル面から対向部の方向にワイパーを払拭させるときに、ヘッド支持部とインクジェットヘッドとの間に形成される係合部の手前でワイパーの払拭速度を低下させてもよい。
【0068】
もちろん制御部は、本発明の第一実施形態に記載するように、ワイパーを略待機させる程度の低速度まで払拭速度を低下させてもよい。すなわち本明細書において、払拭速度が低速度である状態にはワイパー移動が停止状態(待機)にされることも含める。
【0069】
本変形実施例に係るインクジェットプリンタによれば、ワイパーの先端から払拭したインクが重力により流れ落ちやすいので、インクジェットヘッドとヘッド支持部を係合する係合部に残余インクが溜まり難いので、結果として被印刷媒体を残余インクで汚染し難いという優れた効果を奏する。
【符号の説明】
【0070】
1 インクジェットプリンタ
3 ヘッド支持部
5 ヘッド
7 ガイドレール
9 被印刷媒体
10 対向部
13 ワイパー
15 インクジェットヘッド
17 被印刷物載置台
20 ノズル孔
21 メンテナンスステーション
23 対向面
25 係合部
27 ノズル面
29 制御部
30 ワイパーブレード部
35 移動後のワイパーブレード部
40 残余インク
45 被印刷媒体
50 ワイパー機構
55 ワイパー駆動部
103 ヘッド支持部
105 ヘッド
110 対向部
115 インクジェットヘッド
123 対向面
120 ノズル孔
125 係合部
127 ノズル面
130 ワイパーブレード部
140 残余インク
150 ノズル領域
160 ワイパー待機領域