(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】パワーモジュール用基板およびパワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/14 20060101AFI20221107BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20221107BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20221107BHJP
H01L 23/15 20060101ALI20221107BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20221107BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
H01L23/14 M
H01L25/04 C
H01L23/14 C
H05K1/02 L
H01L23/36 C
(21)【出願番号】P 2018201990
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】八山 俊一
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/180965(WO,A1)
【文献】特開2014-056933(JP,A)
【文献】特開2005-101353(JP,A)
【文献】特開2005-072456(JP,A)
【文献】特開平04-095371(JP,A)
【文献】特開2019-041108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12-23/29、23/34-23/473
H01L 25/00-25/18
H05K 1/00- 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板と、
該セラミック基板の表面に接合された、凹部が設けられた金属板と、
該金属板の前記凹部の底面に設けられた金属皮膜と、を備えており、
前記金属板は、前記凹部の底面において結晶粒界部に凹みを有して
おり、
前記金属皮膜の少なくとも一部の厚みは、前記結晶粒界部の凹みの深さより小さいパワーモジュール用基板。
【請求項2】
前記結晶粒界部の凹みは、平面視において前記結晶粒界部に沿った網状になっている請求項1に記載のパワーモジュール用基板。
【請求項3】
前記金属皮膜が前記結晶粒界部の凹みの内面を覆って密着している請求項1または請求項2に記載のパワーモジュール用基板。
【請求項4】
前記金属皮膜の表面が銀層からなる請求項
3に記載のパワーモジュール用基板。
【請求項5】
請求項1乃至請求項
4のいずれかに記載のパワーモジュール用基板と、
該パワーモジュール用基板の前記金属板上に搭載された電子部品と、を備えるパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック基板に接合された金属板を有するパワーモジュール用基板およびパワーモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の電子部品が搭載されたパ
ワーモジュールに用いられるパワーモジュール用基板として、例えば、セラミック基板の表面に銅等の金属材料からなる金属板が回路導体として接合されたパワーモジュール用基板が用いられている。
【0003】
パワーモジュール用基板の金属板に電子部品が搭載されてパワーモジュールが作製される。最近では、電子部品の金属板等への接合に、銀粒子の焼結体を用いる技術が提案されている。また、金属板表面に酸化膜が形成されてこの接合が阻害されることを抑制するために、電子部品が搭載される金属板の表面に銀などの金属皮膜を設ける技術も提案されている(例えば特許文献1を参照)。そして、電子部品が搭載される部分に金属皮膜を設け、ボンディングワイヤが接続される部分には金属皮膜を設けないことで、ボンディングワイヤの接続信頼性を高めることが行なわれている(例えば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-202938号公報
【文献】国際公開第2015/114987号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、パワーモジュールは小型、高出力化が要求されており、これに伴って電子部品が高発熱化するため、電子部品とパワーモジュール用基板の金属板との接続に関してもより高い信頼性が要求されている。そのため、電子部品を固定するための接合材、接合材と金属板との間の金属皮膜、あるいはボンディングワイヤ等の接続部材の金属板の表面への接着強度を高める必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様のパワーモジュール用基板は、セラミック基板と、該セラミック基板の表面に接合された、凹部が設けられた金属板と、該金属板の前記凹部の底面に設けられた金属皮膜と、を備えており、前記金属板は、前記凹部の底面において結晶粒界部に凹みを有しており、前記金属皮膜の少なくとも一部の厚みは、前記結晶粒界部の凹みの深さより小さい。
【0007】
本発明の1つの態様のパワーモジュールは、上記構成のパワーモジュール用基板と、該パワーモジュール用基板の前記金属板上に搭載された電子部品とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態のパワーモジュール用基板によれば、金属板の表面において結晶粒界部に凹みを有していることから、接合材、接続部材あるいは金属皮膜の金属板への接着強度が高いものとなるので、電子部品の接続信頼性向上に有効なパワーモジュール用基板となる。
【0009】
本発明の実施形態のパワーモジュールによれば、上記構成であることから、電子部品の接続信頼性が向上したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)はパワーモジュールの実施形態の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のB-B線における断面図である。
【
図2】(a)は
図1のA部の一例を拡大して示す断面図であり、(b)は(a)におけるパワーモジュール用基板の一例を示す平面図である。
【
図3】(a)は
図1のA部の他の例を拡大して示す断面図であり、(b)は(a)におけるパワーモジュール用基板の一例を示す平面図である。
【
図4】(a)はパワーモジュールの実施形態の他の例の要部を拡大して示す断面図であり、(b)は(a)におけるパワーモジュール用基板の一例を示す平面図である。
【
図5】(a)はパワーモジュールの実施形態の他の例の要部を拡大して示す断面図であり、(b)は(a)におけるパワーモジュール用基板の一例を示す平面図である。
【
図6】(a)はパワーモジュールの実施形態の他の例の要部を拡大して示す断面図であり、(b)は(a)におけるパワーモジュール用基板の一例を示す平面図である。
【
図7】(a)および(b)はいずれもパワーモジュールの実施形態の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態のパワーモジュール用基板およびパワーモジュールについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際にパワーモジュール用基板およびパワーモジュール等が使用される際の上下を限定するものではない。
【0012】
図1(a)はパワーモジュール100の実施形態の一例を示す平面図であり、
図1(b)は
図1(a)のB-B線における断面図である。また、
図2(a)は
図1のA部の一例を拡大して示す断面図である。
図2(b)は
図2(a)におけるパワーモジュール用基板10の一例を示す平面図であり、電子部品11、接合材11aおよびボンディングワイヤ12を取り除いた状態を示している。なお、
図2(b)においては、区別しやすいように結晶粒界部2cにドット状の網掛けを施しており、結晶粒界部2cの凹み2aには網掛けを施していない。
【0013】
パワーモジュール用基板10は、セラミック基板1と、セラミック基板1の表面(主面)に接合された金属板2とを備えている。
図2に示す例のように、金属板2は多数の金属結晶粒2bからなり、隣接する金属結晶粒2bの境界である結晶粒界部2cが存在している。この結晶粒界部2cは金属板2の表面に露出している。そして、金属板2はその表面において結晶粒界部2cに凹み2aを有している。
【0014】
このようなパワーモジュール用基板10によれば、パワー半導体素子等の電子部品11を接合材11aで金属板2(21)の表面に固定する際に、
図2(b)に示す例のように、接合材11aの一部が金属板2(21)の表面に露出した結晶粒界部2cの凹み2aに入り込むことになる。そのため、接合材11aと金属板2(21)の表面との接合強度が向上し、電子部品11のパワーモジュール用基板10の金属板2(21)への接着強度が高いものとなる。また、図示はしていないが、電子部品11と金属板2(22)とを接続する接続部材であるボンディングワイヤ12の一部もまた金属板2(22)の表面に露出した結晶粒界部2cの凹み2aに入り込む。そのため、ボンディングワイヤ12と金属板2(22)の表面との接合強度が向上する。よって、電子部品の接続信頼性向上に有効なパワーモジュール用基板10となる。
【0015】
また、凹み2aは結晶粒界部2cの表面に設けられているため、凹み2aは、金属結晶粒2bを取り囲むように配置され、金属板2の表面に均等に配置されている。そのため、
接合材11aと金属板2(21)との接合界面において、接合材11aが金属板2(21)の表面に入り込む部分が均等に配置され、接合材11aと金属板2(21)との接合強度にむらが生じ難い。
【0016】
さらには、金属結晶粒2bと結晶粒界部2cとで化学的、機械的特性等が異なることを利用して、例えばエッチング加工によって容易に結晶粒界部2cのみに凹み2aを形成することができる。
【0017】
図3(a)は
図1のA部の他の例を拡大して示す断面図である。
図3(b)は
図3(a)におけるパワーモジュール用基板10の一例を示す平面図であり、電子部品11、接合材11aおよびボンディングワイヤ12を取り除いた状態を示している。なお、
図3(b)においては、区別しやすいように結晶粒界部2cにドット状の網掛けを施しており、結晶粒界部2cの凹み2aの底部を破線で示している。
【0018】
図2に示す例では、金属板2(21)の表面において結晶粒界部2cの凹み2aが金属結晶粒2bの周囲に点在しているに対して、
図3に示す例では、金属板2(21)の表面において結晶粒界部2cの表面の全体が凹んでいる。そのため、結晶粒界部2cの凹み2aは、結晶粒界部2cの形状と同形状であり、金属結晶粒2bを取り囲む形状である。このように、結晶粒界部2cの凹み2aは、平面視において結晶粒界部2cに沿った網状とすることができる。結晶粒界部2cの凹み2aが網状であると、接合材11aはこの結晶粒界部の凹み2a内に入り込んでハチの巣状になる。そのため、金属板2(21)と接合材11aとの間に熱応力等が加わったときに、接合材11aの結晶粒界部の凹み2a内に入り込んだ部分が、金属板2(21)の表面方向(平面方向)のいずれの方向の応力に対してもより強固なアンカーとして機能するものとなる。よって、接合材11aが金属板2(21)からより剥がれ難くなるので、接合材11aの金属板2(21)に対する接合強度をさらに向上させることができる。
【0019】
図4(a)は
図1のA部の他の例を拡大して示す断面図である。
図4(b)は
図4(a)におけるパワーモジュール用基板10の一例を示す平面図であり、電子部品11、接合材11aおよびボンディングワイヤ12を取り除いた状態を示している。なお、
図4(b)においては、金属皮膜3の下に隠れている金属結晶粒2bを破線で示している。
【0020】
図4に示す例のように、金属板2の表面に金属皮膜3を備えるパワーモジュール用基板10とすることができる。このとき、金属皮膜3は結晶粒界部2cの凹み2aの内面を覆って金属板2に密着している。
【0021】
このような場合には、金属皮膜3が間に介在することによって、接合材11aの金属板2への接合強度を高めることができる。また、その他の部位では金属板2の酸化を防止することができる。金属皮膜3は結晶粒界部2cの凹み2aの内面を覆って金属板2に密着していることから、金属板2の表面が平たんである場合に比較して金属皮膜3と金属板2との接合面積が大きくなるので、金属皮膜3は金属板2から剥がれ難いものとなっている。金属皮膜3が結晶粒界部2cの凹み2aの内面全体に(底まで)密着していなくても接合面積は大きくなる。しかしながら、金属皮膜3と凹み2aの底との間に空間があると、空間内の気体が熱によって膨張して金属皮膜3が膨れて剥がれやすくなる可能性がある。そのため、凹み2aの内面の全面を覆って密着する金属皮膜3とすることができる。また、結晶粒界部の凹み2aが上述したような網状である場合には、金属皮膜3が金属板2からより剥がれ難くなるので、金属皮膜3の金属板2に対する接合強度をさらに向上させることができる。
【0022】
図5および
図6はパワーモジュール100の他の例の要部を拡大して示しており、それ
ぞれの(a)は断面図であり、(b)は(a)におけるパワーモジュール用基板10の一例を示す平面図であって、電子部品11、接合材11aおよびボンディングワイヤ12を取り除いた状態を示している。なお、(b)においては、金属皮膜3の下に隠れている金属結晶粒2bを破線で示している。
【0023】
図4に示す例では、接合材11aが接合されていない部分まで、例えば金属板2の表面の全体に金属皮膜3が形成されている例である。これに対して、
図5および
図6に示す例のように金属板2の表面の一部に金属皮膜3を設けることができる。例えば、パワーモジュール100において、パワー半導体素子等の電子部品11が搭載される部分、すなわち回路導体として機能する金属板2の表面の一部に金属皮膜3が設けられている。銀層または金層を最表層とする金属皮膜3設けることで、金属板2(21)の上面の電子部品11が搭載される部分の酸化等を抑制することができる。これ以外の、例えばボンディングワイヤ12が接続される部分には金属皮膜3を設けないことで、ボンディングワイヤ12の接続信頼性を高めることができる。
【0024】
また、
図5および
図6に示す例では、金属皮膜3は、金属板2の表面に設けられた凹部2dの底面に設けられている。そのため、金属皮膜3と金属板2との界面、すなわち金属皮膜3と金属板2の凹部2dの底面との界面に、パワーモジュール用基板10を作製する際の、例えば金属皮膜3をめっき法で形成する際の処理液等が浸入し難い構造となっている。そのため、処理液等が金属皮膜3と金属板2との界面の周縁部に浸入することによって、例えばこの界面の周縁部に腐食等が生じるなどして金属皮膜3と金属板2との接合強度が低下してしまう可能性が低減されている。
【0025】
図5および
図6に示す例のように、金属皮膜3の厚みが、凹部2dの深さより小さいものとすることができる。このような場合には、接合材11aの金属皮膜3から金属板2表面への濡れ広がりを抑えることができる。そのため、
図1に示す例のように、1つの金属板2に2つの電子部品11が搭載される場合などは、2つの電子部品11間が近くても短絡しないのでパワーモジュール用基板10を小型化できる。
【0026】
図6に示す例では、金属皮膜3は結晶粒界部2cの凹み2aを完全に埋めて、その表面はほぼ平坦である。これに対して
図5に示す例の金属皮膜3の厚みは、
図6に示す例の金属皮膜3の厚みより小さく、結晶粒界部2cの凹み2aの深さより小さく、また開口幅の1/2より小さい。そのため、
図5に示す例の金属皮膜3の表面は、金属板2の凹部2dの底面の形状に沿った形状であり、結晶粒界部の凹み2aの上部において凹み2aに沿って凹んでいる。これは、
図4に示す例でも同様である。このように、金属皮膜3の表面は結晶粒界部の凹み2aの上部において凹んでいるものとすることができる。言い換えれば、金属皮膜3はその表面に、金属粒界部の凹み2aに対応する凹み3aを有している。このような場合には、接合材11aが金属皮膜3の凹み3aに入り込んで接合されることから、接合材11aと金属皮膜3との接合強度が向上するので、電子部品11とパワーモジュール用基板10とをさらに強固に接合させることができる。
【0027】
パワーモジュール100は、
図1に示す例のように、上記のようなパワーモジュール用基板10と、このパワーモジュール用基板10の金属板2(21)に搭載された電子部品11とで基本的に構成されている。このようなパワーモジュール100によれば、上記構成のパワーモジュール用基板10を備えていることから、電子部品11の接合信頼性が向上したものとなる。
【0028】
セラミック基板1は、セラミックス焼結体からなり、金属板2を固定して支持するための基体部分である。また、セラミック基板1は、セラミック基板1の表面に接合された複数の金属板2の間を互いに電気的に絶縁させるための絶縁部材としても機能する。また、
セラミック基板1の上下面間で熱を伝導する伝熱部材としても機能する。
【0029】
セラミック基板1のセラミックス焼結体としては、公知の材料を用いることができ、例えば、アルミナ(Al2O3)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体および窒化ケイ素(Si3N4)焼結体などを用いることができる。セラミック基板1は、公知の製造方法によって製造することができ、例えば、アルミナなどの原料粉末に焼結助剤を添加し、基板状に成形したのち、焼成することで製造することができる。
【0030】
金属板2は、例えば銅または銅合金等の金属材料によって形成されている。電気伝導および熱伝導の点では99%以上の純銅を用いるとよく、さらに、金属板2における酸素の含有量が少ない方が、ボンディングワイヤ12と金属板2との接合強度の向上に関して有利である。
【0031】
図1に示す例のパワーモジュール用基板10においては、セラミック基板1の表面(上面)の中央部に接合された金属板2(21)、金属板2(21)を挟むように配置されて接合された2対の計4つの金属板2(22)およびセラミック基板1の下面に接合された金属板2(23)を備えている。この例では、セラミック基板1の上面に接合された金属板2は主として電気回路の配線として機能し、セラミック基板1の下面に接合された金属板2は放熱板として機能する。金属板2の数、形状、配置等はこの例に限られるものではない。
【0032】
金属板2は、例えばチタン、ハフニウムおよびジルコニウムのうち少なくとも1種の活性金属材料を含む、例えばAg-Cu系のろう材(不図示)によってセラミック基板1に接合、つまりろう付けされている。ろう材は、活性金属材料を含まないものでもよい。この場合には、セラミック基板1の上面の所定部位にろう付け用の下地金属層(図示せず)を設けておけばよい。下地金属層は、例えば銀、銅、インジウム、亜鉛、錫、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン、オスミウム、レニウムおよびタングステン等から選択される金属を含む金属材料のメタライズ層としてセラミック基板1の表面の所定位置に形成することができる。
【0033】
金属板2は、打ち抜き加工等であらかじめ所定形状に加工したものをろう付けしてもよいし、セラミック基板1と同程度の大きさの金属素板をセラミック基板1にろう付けした後にエッチング等で所定形状の金属板2に加工してもよい。セラミック基板に上記ろう材を含むろう材ペーストを塗布し、その上に金属板2(金属素板)を載置して加熱することによってろう付けされる。このときのろう材ペーストはスクリーン印刷等で塗布することができるが、セラミック基板1の全面にろう材ペーストを塗布してもよいし、所定形状に塗布してもよい。セラミック基板1の全面に塗布する場合は、金属板2(金属素板)をろう付けした後に、エッチング等によって金属板2間の不要な部分を除去すればよい。
【0034】
金属皮膜3を部分的に設ける場合の金属板2(21)の表面の凹部2dは、平面視の寸法が搭載される電子部品11の寸法より一回り大きい大きさである。凹部2dの深さは、例えば2μm~20μmである。凹部2dは、金属板2の表面に、ブラスト加工等の機械的加工あるいは化学エッチング等の化学的加工を施すことによって形成することができる。いずれの場合でも、例えば、金属皮膜3を形成する位置に開口を設けた被覆材(レジスト膜)を金属板2の上に設けて、開口から露出した部分のみを加工することで凹部2dを形成することができる。エッチングによって凹部2dを形成する場合には、同じ被覆材を用いて、続けて金属皮膜3の形成をすることができる。
【0035】
具体的には、例えば以下のようにして金属板2に凹部2dを形成することができる。まず、セラミック基板1に接合された金属板2の表面に、開口を有する被覆膜を形成する。
被覆膜の形成は、金属板2の表面上に、液状のレジスト材を塗布して乾燥して形成してもよいし、ドライフィルムレジストを貼り付けて形成してもよい。レジスト膜の開口は、露光・現像によって行なうことができる。あるいは、液状の被覆材をスクリーン印刷によって、開口を有する形状に印刷して被覆膜を形成してもよい。次に、めっき前処理も兼ねて、硫酸、塩酸、塩化ヒドロキシルアンモニウムなどの酸性水溶液でレジスト膜の開口内に露出している金属板2の表面の酸化膜を除去して、アルカリにて脱脂処理をする。そして、過硫酸ナトリウムや過硫酸アンモニウムなどのエッチング液にて金属板2の表面をエッチングして凹部2dを形成する。凹部2dの深さは、エッチング液濃度やエッチング時間などによって調節することができる。
【0036】
金属板2の表面の結晶粒界部2cの凹み2aは、上記した凹部2dを形成するためのエッチングと同様のエッチング液を用いて形成することができる。金属皮膜3を部分的に設け、凹部2dを形成する場合には、例えば、上述の凹部2dの形成と同時に形成することができる。エッチング液の種類や濃度、エッチング時間等のエッチング条件を調整することにより、金属結晶粒2bより結晶粒界部2cを深くエッチングすることができる。あるいは、金属板2の表面に凹部2dを形成した後、過硫酸ナトリウムや過硫酸アンモニウムなどの比較的弱いエッチング液で結晶粒界部をエッチングすることで結晶粒界部2cの凹み2aを形成することができる。
【0037】
切削加工で金属板2の凹部2dの底面に細かい網状の凹みを形成することは、凹部2dが小さいことなどから困難である。研磨加工やブラスト加工等でも凹部2dの底面に点状の凹みを有する凹凸面を形成することができるが、小さい凹部2dの底面に細かい網状の凹みを形成することは困難である。
【0038】
結晶粒界部2cの凹み2aが網状であることで、金属皮膜3が結晶粒界部の凹み2aに入り込む部分の形状が壁状となり、接合材11aの金属皮膜3の凹み3aに入り込む部分の形状も壁状となる。結晶粒界部の凹み2aまたは金属皮膜3の凹み3aに入り込んでアンカーとして機能する部分が壁状であるので、アンカーとして機能する部分が点状である場合に比較してより効果的に機能して接合強度が向上する。比較的小さい凹部2dの底面の網状の凹み2aは、上述したようなエッチングにより、容易かつ低コストで形成することができる。なお、結晶粒界部2cの凹み2aおよび金属皮膜3の凹み3aは、全体として網状であればよく、途中で分断された部分を有していてもよい。
【0039】
金属板2の表面の結晶粒界部の凹み2aは、例えば開口幅が3μm~10μm程度で、凹部2dの底面からの深さが2μm~20μmである。結晶粒界部の凹み2aの網目の形状および大きさは、金属板2の凹部2dの底面に露出する金属結晶粒2bの形状および大きさによるものであり、形状は多角形状で最大長さは例えば100μm~600μmである。最大長さとは、多角形の外寸のうち最長となる長さであり、例えば矩形状の場合は対角長さである。また、このときの金属皮膜3の凹み3aは、例えば開口幅が1μm~10μm程度で、凹部2dの底面からの深さが1μm~20μmである。
【0040】
金属皮膜3は、例えばめっき法によってセラミック基板1に接合された金属板2の表面に形成することができる。金属皮膜3を金属板2の表面の一部に設ける場合には、めっき工程において、金属板2の上面における金属皮膜3を形成する領域以外を樹脂材料等からなる被覆材(レジスト膜)でカバーしておけば、金属皮膜3を金属板2の上面の一部にのみ設けることができる。この場合、被覆材は、めっき工程後に機械的または化学的な手段で除去する。機械的な除去は、ジグ等で樹脂材料を引き剥がす方法であり、化学的な除去は有機溶剤または有機酸等の除去剤で除去する方法である。あるいは、金属板2の上面の全面に金属皮膜3を形成し、電子部品11を搭載する領域を被覆材で被覆して、それ以外の領域の金属皮膜3をエッチングで除去することでも、金属板2の上面に金属皮膜3を部
分的に設けることができる。上述した被覆材を用いた凹部2dの形成の後に金属皮膜3の
形成を行なうことで、効率よく凹部2dと金属皮膜3の形成ができる。
【0041】
セラミック基板1と同程度の大きな金属素板をセラミック基板1に接合して、電解めっき法によって所定位置に金属皮膜3を形成した後に、エッチングで所定形状の金属板2を形成することもできる。
【0042】
金属皮膜3は、例えば、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)のような金属の皮膜であり、上述したようにめっき皮膜である。
【0043】
金属皮膜3の表面は、銀層または金層からなるものとすることができる。金属板2の上面の電子部品11が搭載される部分に銀層または金層を最表層とする金属皮膜3が配置されていると、金属板2の上面の電子部品11が搭載される部分の酸化等を抑制することができる。そのため、接合材11aを介して電子部品11を金属板2(21)の表面(上面)に接合して搭載することが容易であり、電気的な接続信頼性の向上についても有利である。金属皮膜3は表面が銀または金であればよいので、銀層または金層の単層であってもよいし、最表層を銀層または金層とする複数層で構成されていてもよい。
【0044】
金属皮膜3が銀層または金層である場合、すなわち金属皮膜3が銀層または金層のみからなる場合には、金属皮膜3の形成工程において、めっき、エッチング、熱処理工程数を減らすことができる。そのため、被覆材除去の際の除去剤によるセラミック基板1および金属皮膜3の機械的強度の低下を抑制し、また工程数削減によりパワーモジュール用基板10のコストを低減することができる。
【0045】
金属皮膜3を複数層で構成する場合には、金属板2と接合性のよい下地層を設けることができるので、金属皮膜3の金属板2への接合強度を向上させることができる。金属皮膜3を複数層で構成する場合の例としては、例えば、金属板2側から、ニッケル/パラジウム/銀(Ni/Pd/Ag)、ニッケル/パラジウム/金(Ni/Pd/Au)等があげられる。ニッケル層は、金属皮膜3の金属板2に対する接合強度を向上させる機能を有している。ニッケル層は、銅等の被めっき材(金属板2)に対する密着強度が高い性質を有している。そのため、ニッケル層によって金属皮膜3が金属板2の上面に強固に被着されている。パラジウム層は、ニッケル層のニッケル成分が銀層または金層に拡散することを抑制する機能を有している。また、パラジウム層は、例えば接合材11aとしてはんだを用いる場合には、はんだを介して金属皮膜3上に電子部品11を搭載するときのはんだ濡れ性を向上させる機能も有している。この場合、例えば銀層または金層の一部がはんだ中に溶解したとしても、パラジウム層にはんだが容易に濡れる。そのため、はんだの濡れ性を向上させることができる。
【0046】
また、金属皮膜3が銀層または金層およびそのすぐ下側に配置されたニッケル層を含む場合、すなわち金属皮膜3が、セラミック基板1の上面に順次被着されたニッケル層および銀層または金層のみからなる場合には、金属板2から金属皮膜3への銅等の金属の拡散を抑制することができる。これにより、金属皮膜3の銀層または金層の厚みを抑制することができ、パワーモジュール用基板10のコストを低減することができる。
【0047】
接合材11aとして銀ナノペーストを用いる場合には、金属皮膜3の表面を銀層とすることができる。このようにすることで、銀ナノ粒子と金属皮膜3とが結合しやすくなるので、銀ナノペーストによる電子部品11の金属板2への接合性が高いものとなる。
【0048】
金属皮膜3が上記のようなNi/Pd/Agの3層構成である場合は、各層は以下のようにして形成することができる。銀層は、例えばシアン化銀を主成分とするシアン系の電
気銀めっき液中で、ニッケル層およびパラジウム層を被着させた金属板2に所定の電流密度および時間で電気めっきを施すことによって形成することができる。形成された銀層は、例えば銀を99.99質量%以上含有する、いわゆる純銀層である。銀層は、前述した例のように金属板2の上面に直接に被着させるようにしてもよい。ニッケル層は、例えば硫酸ニッケル等を主成分とするワット浴等のニッケルめっき液中で、金属板2に所定の電流密度および時間で電気めっきを施すことによって形成することができる。形成されたニッケル層は、例えばニッケルを主成分とし、コバルト等の金属成分を含む金属層となっている。パラジウム層は、例えばパラジウムのアンミン錯体等を主成分とするパラジウムめっき液中で、ニッケル層を被着させた金属板2に所定の電流密度および時間で電気めっきを施すことによって形成することができる。形成されたパラジウム層は、例えばパラジウムを99.99質量%以上含有する、いわゆる純パラジウム層である。
【0049】
金属皮膜3を形成する方法は、例えば上述した電気めっき(電解めっき法)以外に無電解めっき法が挙げられるが、金属板2の凹部2dの底面に結晶粒界部の凹み2aが形成されており、金属皮膜3を結晶粒界部の凹み2aの内面を覆って密着させる場合には、電解めっき法の方がより効果的である。それは、無電解めっき法の場合には、結晶粒界部の凹み2aの開口幅や深さによっては、電解めっき法と比較して、結晶粒界部の凹み2aの開口が金属皮膜3で塞がれ、この金属皮膜3と結晶粒界部の凹み2aの底との間に空間が形成されやすいためである。このような空間は金属皮膜3と金属板2とが接合されていない部分であって接合強度が低い部分であり、また加熱により空間内の気体が膨張して金属皮膜3が膨れてしまい、より接合強度が低下してしまうおそれがある。
【0050】
また、セラミック基板1の下面に接合された金属板2(23)の表面にもニッケルなどのめっき層を設けてもよい。これにより、金属板2(23)の表面の酸化を抑制することができる。また、金属板2(23)をはんだ等の伝熱性接合材で放熱体に接合する場合には、はんだ濡れ性を向上させることができ、放熱体への熱伝導性を向上させることができる。
【0051】
上記のようなパワーモジュール用基板10に電子部品11を搭載することで、
図1に示す例のようなパワーモジュール100となる。パワーモジュール100は、例えば、自動車などに用いられ、ECU(engine control unit)およびパワーアシストハンドル、モ
ータドライブなどの各種制御ユニットに使用される。パワーモジュール100は、このような車載の制御ユニットに限られるものではなく、例えば、その他の各種インバータ制御回路、電力制御回路、パワーコンディショナー等に用いられる。
【0052】
図1に示す例のパワーモジュール100においては、セラミック基板1の表面(上面)の中央部に接合された金属板2(21)の上に、間隔をあけて2つの金属皮膜3が設けられ、2つの金属皮膜3のそれぞれの上に電子部品11が1つずつ搭載されている。電子部品11が搭載された金属板2(21)を挟むように配置されて接合された金属板2(22)と電子部品11とはボンディングワイヤ12によって電気的に接続されている。この外側の金属板2(22)は、外部の電気回路と接続するための端子として機能する。また、電子部品11で発生した熱は、セラミック基板1の上面に接合された金属板2(21)およびセラミック基板1を介してセラミック基板1の下面に接合された金属板2(23)に伝わり、さらに外部へ放熱することができる。つまり、セラミック基板1の下面に接合された金属板2(23)は放熱板として機能する。電子部品11の数、大きさおよび搭載位置等については、
図1に示す例に限られるものではない。
【0053】
電子部品11は、例えばパワー半導体であり、上記のような各種制御ユニットにおいて、電力制御のために用いられる。例えばSiを用いたMOS-FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBTといったトランジスタ、あるいはSi
CやGaNを用いたパワー素子があげられる。
【0054】
電子部品11は、接合材11aによってパワーモジュール用基板10の金属板2に設けられた金属皮膜3上に接合されて固定される。接合材11aは、例えば、はんだまたは銀ナノペーストを用いることができる。接合材11aの平面視での大きさが電子部品11の大きさより大きいと、電子部品11の側面から金属板2(金属皮膜3)の上面にかけて接合材11aのフィレットが形成されるので、電子部品11の金属板2(金属皮膜3)への接合強度を高めることができる。金属皮膜3を設ける場合は金属皮膜3の平面視の大きさを電子部品11の大きさより大きくする。このとき、金属皮膜3の表面は接合材11aによって覆われて露出しないので、後述する封止樹脂13の接合性が向上する。
【0055】
ボンディングワイヤ12は、電子部品11の端子電極(不図示)と金属板2(22)とを電気的に接続する、接続部材である。ボンディングワイヤ12としては、例えば、銅もしくはアルミニウム製のものを用いることができる。
【0056】
図7(a)および
図7(b)は、いずれもパワーモジュールの実施形態の他の例を示す断面図である。
図1に示す例のパワーモジュール100に対して、パワーモジュール用基板10の金属板2(21)の表面のうち、電子部品11を搭載する領域のみに金属皮膜3が形成されており、封止樹脂等を備えている例である。
【0057】
図7(a)に示す例のパワーモジュール101は、
図1に示す例のような、パワーモジュール用基板10に電子部品11が搭載されたパワーモジュール100が、上面から下面の外周部にかけて封止樹脂13で覆われて、電子部品11が封止されているものである。封止樹脂13は、不活性な銀層または金層である金属皮膜3が形成されていない金属板2の上面等に接合されるので、封止樹脂13による電子部品11の封止の信頼性を効果的に向上させることができる。また、封止樹脂13は、セラミック基板1の下面に接合された金属板2(23)の主面(下面)は覆っていない。そのため、放熱板として機能する金属板2(23)を外部の放熱体等に直接に熱的に接続することができるので、放熱性に優れたパワーモジュール101とすることができる。また、端子として機能する金属板2(22)は、セラミック基板1からはみ出す長さであり、封止樹脂13からもはみ出している。これによって、端子として機能する金属板2(22)と外部の電気回路との電気的に接続が容易に可能となっている。
【0058】
封止樹脂13には、熱伝導性、絶縁性、耐環境性および封止性の点から、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を使用することができる。
【0059】
図7(b)に示す例のパワーモジュール102は、
図1に示す例のパワーモジュール100が、内側空間を有する筐体14の内部空間に配置され、内部空間に封止樹脂13が充填されて電子部品11およびパワーモジュール用基板10が封止されている例である。
【0060】
筐体14は、枠体15と、この枠体15の一方の開口を塞ぐ放熱板16とで構成されており、枠体15と放熱板16とで囲まれた空間が内側空間となる。また、内側空間から筐体14の枠体15を貫通して外部へ導出されたリード端子17を備えている。そして、リード端子17の内部空間内の端部とパワーモジュール用基板10の金属板2(22)とがボンディングワイヤ12で接続されている。これにより、電子部品11と外部の電気回路とが電気的に接続可能となっている。
【0061】
枠体15は、樹脂材料、金属材料またはこれらの混合材料からなり、放熱板16により一方の開口が塞がれてパワーモジュール用基板10を収納する内側空間を形成している。枠体15に用いられる材料としては、放熱性、耐熱性、耐環境性および軽量性の点から、
銅、アルミニウムなどの金属材料またはポリブチルテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)などの樹脂材料を使用することができる。これらの中でも、入手しやすさの点から、PBT樹脂を用いることが望ましい。また、PBT樹脂には、ガラス繊維を添加して繊維強化樹脂とすることが、機械的強度が増大するので好ましい。
【0062】
リード端子17は、内側空間から枠体15を貫通して外部へ導出するように取り付けられている、導電性の端子である。このリード端子17の内側空間側の端部はパワーモジュール用基板10の金属板2(22)と電気的に接続され、外部側の端部は外部の電気回路(図示せず)または電源装置(図示せず)などと電気的に接続される。このリード端子17は、導電性端子に用いられる各種の金属材料は、例えばCuおよびCu合金、AlおよびAl合金、FeおよびFe合金、ステンレススチール(SUS)等を用いることができる。
【0063】
放熱板16は、動作時に電子部品11で生じた熱を、パワーモジュール102の外部に放熱するためのものである。この放熱板16には、Al、Cu、Cu-Wなどの高熱伝導性材料を使用することができる。特に、AlはFeなどの一般的な構造材料としての金属材料と比べて熱伝導性が高く、電子部品11で生じた熱をより効率的にパワーモジュール102の外部に放熱できるので、電子部品11を安定して正常に動作させることが可能となる。また、AlはCuあるいはCu-Wなどの他の高熱伝導性材料と比較して、入手しやすく安価であることから、パワーモジュール102の低コスト化にも有利になる点で優れている。
【0064】
放熱板16とパワーモジュール用基板10の金属板2(23)とは、不図示の伝熱性接合材で熱的に接続されている。伝熱性接合材としては、ろう材を用いて熱的に接続するとともに機械的に強固に接合してもよく、グリスなどで熱的に接続し、機械的には比較的弱く接合してもよく、さらに後述のように封止樹脂13によって接合してもよい。
【0065】
封止樹脂13は、内側空間に充填され、パワーモジュール用基板10に搭載された電子部品11を封止して保護するものである。パワーモジュール用基板10と放熱板16との機械的な接合と内側空間の封止とを同じ封止樹脂13で行なってもよい。この場合、パワーモジュール用基板10と放熱板16との機械的な強固な接合と樹脂封止とを同一工程で行うことができる。
【0066】
パワーモジュール102は、さらに放熱特性を向上させるために、放熱板16の、パワーモジュール用基板10が接合されている側とは反対側の露出した面に、伝熱性接合材19を介して冷却器18を接合してもよい。この伝熱性接合材19は上記した、放熱板16とパワーモジュール用基板10の金属板2(23)とを接続する伝熱性接合材と同様のものを用いることができる。
図7(b)に示す例では、冷却器18は金属等のブロック体に水等の冷媒を通過させる流路を設けたものを示しているが、これ以外の、例えば冷却フィンであってもよい。このような冷却器18は、
図1または
図7(b)に示す例のパワーモジュール100,101にも適用することができ、パワーモジュール用基板10の金属板2(23)に接続すればよい。この場合は、平板状のもの、すなわち
図7(b)に示す放熱板16だけを冷却器18として適用することもできる。
【0067】
パワーモジュール用基板10は、多数個取りパワーモジュール用基板を作製し、これを分割して作製することもできる。多数個取りパワーモジュール用基板は、多数個取りの各々のパワーモジュール用基板10(領域)の配置の位置精度が高いために、分割せずに多数個取りパワーモジュール用基板で電子部品11を実装することも容易にできる。これによって、実装工程の生産性を高めることもでき、パワーモジュール100の生産性を効果的に高めることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・セラミック基板
2(21,22,23)・・・金属板
2a・・・結晶粒界部の凹み
2b・・・金属結晶粒
2c・・・結晶粒界部
2d・・・凹部
3・・・金属皮膜
3a・・・金属皮膜の凹み
10・・・パワーモジュール用基板
11・・・電子部品
11a・・・接合材
12・・・ボンディングワイヤ
13・・・封止樹脂
14・・・筐体
15・・・枠体
16・・・放熱板
17・・・リード端子
18・・・冷却器
19・・・伝熱性接合材
100,101,102・・・・パワーモジュール