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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】RFIDラベル及びRFIDタグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20221107BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20221107BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20221107BHJP
   H01Q 9/42 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
G06K19/077 152
G06K19/077 280
G06K19/077 224
G09F3/00 M
G09F3/10 A
H01Q9/42
G06K19/077 252
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018248103
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020107250
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロデリー エスカロ
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-205164(JP,A)
【文献】特開2009-70323(JP,A)
【文献】特開2011-28373(JP,A)
【文献】特開2005-284515(JP,A)
【文献】特開2007-249401(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0263659(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0101019(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0172742(US,A1)
【文献】特開2007-265144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
G09F 3/00
G09F 3/10
H01Q 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切取線によって一部が分離されるRFIDラベルであって、
基材と、
金属箔によって、所定のアンテナ長さ及び所定のアンテナ幅で形成され、前記基材の表面に配置されたダイポールアンテナと、
前記ダイポールアンテナに接続されたICチップと、
前記基材の前記ダイポールアンテナが配置された面に積層された粘着剤に仮着されたセパレータと、
を備え、
前記切取線は、少なくとも前記ダイポールアンテナの一部においてアンテナ長さ方向に沿い、かつ重なるように、前記基材と前記ダイポールアンテナとを貫通する、
RFIDラベル。
【請求項2】
請求項1に記載のRFIDラベルであって、
前記ダイポールアンテナは、
前記ICチップが接続するICチップ接続部と、
前記ICチップ接続部を有するループ部と、
前記切取線の延びる方向を振幅とし、前記切取線に対して交差する方向に前記ループ部から延びるメアンダと、
前記ダイポールアンテナの他の箇所の幅よりも広いアンテナ幅に形成され、前記振幅の方向に沿った一部と、
を備え、
前記切取線は、前記ダイポールアンテナにおける前記一部に沿い、かつ重なるように、前記基材と前記ダイポールアンテナとを貫通する、
RFIDラベル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のRFIDラベルであって、
前記基材の裏面には、前記基材を保持する保持基材が積層される、
RFIDラベル。
【請求項4】
切取線によって一部が分離されるRFIDタグであって、
基材と、
金属箔によって、所定のアンテナ長さ及び所定のアンテナ幅で形成され、前記基材の表面に配置されたダイポールアンテナと、
前記ダイポールアンテナに接続されたICチップと、
前記基材の前記ダイポールアンテナ及び前記ICチップが配置された面に接着剤を介して積層された支持基材と、
を備え、
前記切取線は、少なくとも前記ダイポールアンテナの一部においてアンテナ長さ方向に沿い、かつ重なるように、前記基材と前記支持基材と前記ダイポールアンテナとを貫通する、
RFIDタグ。
【請求項5】
請求項4に記載のRFIDタグであって、
前記ダイポールアンテナは、
前記ICチップが接続するICチップ接続部と、
前記ICチップ接続部を有するループ部と、
前記切取線の延びる方向を振幅とし、前記切取線に対して交差する方向に前記ループ部から延びるメアンダと、
前記ダイポールアンテナの他の箇所の幅よりも広いアンテナ幅に形成され、前記振幅の方向に沿った一部と、
を備え、
前記切取線は、前記ダイポールアンテナにおける前記一部に沿い、かつ重なるように、前記基材と前記支持基材と前記ダイポールアンテナとを貫通する、
RFIDタグ。
【請求項6】
請求項4または5に記載のRFIDタグであって、
前記基材の裏面には、前記基材を保持する保持基材が積層された、
RFIDタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDラベル及びRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の製造、管理、流通などの分野では、製品に関する情報が視認可能に印字されて製品に取り付けられるタグや、製品に関する情報が視認可能に印字されて製品などに貼付されるラベルが用いられる。近年では、識別情報が書き込まれたICチップから非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術が種々の分野に適用されており、当該分野においても浸透しつつある。
【0003】
このようなRFID仕様のICチップ及びライン状のアンテナパターンを基材に積層したRFIDインレイが組み込まれたタグ、ラベル等(以下、RFID媒体)には、取付けまたは貼付される対象物に関する情報が視認可能に印字されるとともに、組み込まれたICチップには対象物に関する様々な情報を記憶することができる。
【0004】
RFID媒体の中には、媒体の一部が切り離しやすいように、所定の長さの切れ込み部分と所定の長さの切れ込みがない部分が交互に繰り返す加工(いわゆるミシン目加工)による切取線が形成されたRFID媒体がある。使用者は、切取線によって、RFID媒体の一部を容易に切り離すことができる。以下、切れ込み部分をカット部と記し、切れ込みがない部分をアンカット部と記す。
【0005】
切取線が形成されたRFID媒体の用途の一例に、プレゼント用商品への使用が挙げられる。この用途では、RFID媒体の切取線から切り離される分離部に、値段などの情報を印字しておけば、商品購入後に切り離し可能にしておくことができる。
【0006】
特許文献1には、ミシン目を設けたラベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-069936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した切取線が形成されたRFID媒体では、アンテナパターンを切取線が横切ると、アンテナパターンが切断される虞がある。そのために、切取線がアンテナを横切らないようにラベル内におけるアンテナパターンの配置が制約を受けていた。アンテナパターンの大きさや長さは、アンテナの交信距離と関係する。よって、アンテナパターンの長さが短くなると、アンテナの交信距離も短くなり、その結果アンテナ性能が影響を受けていた。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、切取線によって一部が分離されるRFIDラベル及びRFIDタグにおいて、切取線とアンテナパターンとが重なってもアンテナ性能を維持できるRFIDラベル及びRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様によれば、切取線によって一部が分離されるRFIDラベルであって、基材と、金属箔によって、所定のアンテナ長さ及び所定のアンテナ幅で形成され、前記基材の表面に配置されたダイポールアンテナと、前記ダイポールアンテナに接続されたICチップと、前記基材の前記ダイポールアンテナが配置された面に積層された粘着剤に仮着されたセパレータと、を備え、前記切取線が、少なくとも前記ダイポールアンテナの一部においてアンテナ長さ方向に沿い、かつ重なるように、前記基材と前記ダイポールアンテナを貫通する、RFIDラベルが提供される。
【0011】
また、本発明の別の態様によれば、切取線によって一部が分離されるRFIDタグであって、基材と、金属箔によって、所定のアンテナ長さ及び所定のアンテナ幅で形成され、前記基材の表面に配置されたダイポールアンテナと、前記ダイポールアンテナに接続されたICチップと、前記基材の前記ダイポールアンテナ及び前記ICチップが配置された面に接着剤を介して積層された支持基材と、を備え、前記切取線が、少なくとも前記ダイポールアンテナの一部においてアンテナ長さ方向に沿い、かつ重なるように、前記基材と前記支持基材と前記ダイポールアンテナとを貫通する、RFIDタグが提供される。
【発明の効果】
【0012】
これらの態様では、切取線は、ダイポールアンテナの幅が広い箇所において、当該箇所のアンテナ長さ方向に沿い、かつ重なるように形成される。切取線を上記位置に形成することにより、切取線とダイポールアンテナとが重なっても、ダイポールアンテナが完全に分断されないため、アンテナパターンの配置や大きさの制約が少なくなり、アンテナ性能を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るRFIDラベルの一部を切り欠いて示す平面模式図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るRFIDラベルのI-I線における断面図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係るRFIDタグの一部を切り欠いて示す平面模式図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態に係るRFIDタグのIII-III線における断面図である。
図5図5は、本発明の第3実施形態に係るRFIDタグの一部を切り欠いて示す平面模式図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係るRFIDタグのV-V線における断面図である。
図7図7は、変形例としてのダイポールアンテナを備えたRFIDタグの一部を切り欠いて示す平面模式図である。
図8図8は、比較例のRFIDラベルの一部を切り欠いて示す平面模式図である。
図9図9は、比較例のRFIDラベルのVIII-VIII線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[RFIDラベル及びRFIDタグ]
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るRFIDラベル100について説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態に係るRFIDラベル100の一部を切り欠いて示す平面模式図であり、図2は、本発明の第1実施形態に係るRFIDラベル100のI-I線における断面図である。
【0016】
RFIDラベル100は、RFIDインレイ1と、RFIDインレイ1に積層された粘着剤40と、粘着剤40に仮着されたセパレータ50と、を備え、切取線11によって、分離することのできるラベルである。
【0017】
本実施形態において、RFIDインレイとは、紙やフィルム等の基材表面に形成したアンテナパターンにRFID仕様のICチップが異方導電性ペーストにより接合されたものである。
【0018】
本実施形態において、アンテナパターンとは、ダイポールアンテナである。
【0019】
RFIDインレイ1は、基材10と、金属箔によって所定のアンテナ長さ及び所定のアンテナ幅で形成され基材10の表面において切取線11の両側に亘って配置されたダイポールアンテナ20と、ダイポールアンテナ20に接続されたICチップ30と、を有する。
【0020】
本実施形態において、図1図7に示すように、RFIDラベル100の有する一部を分離するための切取線11が延びる方向をRFIDラベル100のC方向と表記し、切取線11に対して交差する方向をRFIDラベル100のD方向と表記する。
【0021】
基材10は、切取線11を境に、第一基材部12と第二基材部13に分離可能である。
【0022】
本実施形態において、切取線11は、図1に示すように、実線で表記されるカット部111と、実線と実線の間のアンカット部112が交互に繰り返す加工、いわゆるミシン目加工によって形成される。カット部111とアンカット部112は、それぞれ所定の長さで形成される。基材10における切取線11が形成される位置については、後述する。
【0023】
本実施形態において、基材10として適用可能な材料としては、上質紙、コート紙等の紙類が挙げられる。基材10の厚さは16μm以上350μm以下であることが好ましく、通常、25μm以上260μm以下とすることが好ましい。
【0024】
基材10の表面には、金属箔によって形成されたダイポールアンテナ20が、図示しない接着剤を介して積層される。ダイポールアンテナ20は、所定のアンテナ長さ及び所定のアンテナ幅で形成され、切取線11の両側である第一基材部12と第二基材部13に亘って配置される。
【0025】
本実施形態において、アンテナ長さとは、ダイポールアンテナ20を構成する各箇所の長辺方向の長さである。また、アンテナ幅とは、図1に示すように、ダイポールアンテナ20を構成する各箇所の幅W2~W5である。ダイポールアンテナ20を構成する各箇所については、ダイポールアンテナ20の説明にて後述する。また、切取線11とダイポールアンテナ20の配置関係は、ダイポールアンテナ20の説明にて後述する。
【0026】
本実施形態において、ダイポールアンテナ20を形成するために用いられる金属箔を構成する金属としては、通常アンテナの形成に用いられる導電性金属であれば適用可能である。一例として、銅、アルミニウムが挙げられる。製造コストを抑える観点から、アルミニウムを用いることが好ましい。また、金属箔の厚さは3μm以上25μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、厚さ20μmのアルミニウム箔である。
【0027】
粘着剤40は、少なくとも基材10における切取線11の一方側である第二基材部13のダイポールアンテナ20が配置された面に積層される。また、セパレータ50は、RFIDラベル100よりも広く形成される。セパレータ50は、粘着剤40を介して、RFIDインレイ1に仮着される。
【0028】
本実施形態において、粘着剤40の一例としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等の粘着剤が挙げられる。本実施形態において、粘着剤40は、第二基材部13の、ダイポールアンテナ20が配置された面に留まらず、図2に示すように、第一基材部12のダイポールアンテナ20が配置された面にまで亘って積層されている。
【0029】
本実施形態において、セパレータ50は、汎用品を使用できる。
【0030】
続いて、ダイポールアンテナ20の構成と、ダイポールアンテナ20と切取線11の配置関係について説明する。
【0031】
ダイポールアンテナ20は、ICチップ30が接続するICチップ接続部211,212を有するループ部21と、ループ部21から延びる一対のメアンダ22,23を有する。ICチップ接続部211,212には、ICチップ30が接合される。
【0032】
ループ部21は、矩形状に形成されており、ICチップ接続部211,212を有するとともに、後述する一対のメアンダ22,23それぞれの一端部と接続する端部213,214を有する。
【0033】
メアンダ22,23は、図1に示すように、全体として、C方向を振幅方向とし、ループ部21の端部213,214から蛇行しながらD方向へ延びる形状に形成されている。
【0034】
メアンダ22,23は、C方向に延びる複数の長経路部221と、C方向に延び複数の長経路部221よりも幅が広い長経路部222と、D方向に延びる短経路部223と、D方向に延びる中経路部224を有する。メアンダ22,23において、長経路部221,222、短経路部223、中経路部224のそれぞれの端部は、直交方向に接続されている。
【0035】
メアンダ22,23における長経路部221の幅はW2であり、長経路部222の幅はW3であり、短経路部223の幅はW4であり、中経路部224の幅はW5である。
【0036】
長経路部221の幅W2、短経路部223の幅W4、中経路部224の幅W5は、アンテナ放射効率を考慮して所定の長さで設定される。
【0037】
長経路部222の幅W3は、メアンダ22,23が有する他の箇所の幅W2,W4,W5よりも広く形成されており、切取線は、長経路部222に重なる位置にて、基材10とダイポールアンテナ20とを貫通している。
【0038】
メアンダ22,23の長さ(長経路部221,222、短経路部223、中経路部224の長さの合計)や、折り曲げ段数(長経路部221,222、短経路部223、中経路部224の個数)や、曲げの曲率半径は、アンテナ放射効率を考慮して設定される。
【0039】
本実施形態において、メアンダ22,23は左右非対称な形状である。図1に示すように、メアンダ23は、3本の長経路部221と、2本の短経路部223と、1本の中経路部224を有する。また、メアンダ22は、4本の長経路部221と1本の長経路部222と、4本の短経路部223を有する。また、メアンダ22の長経路部222は、ループ部21の端部213に接続されており、ループ部21の一部がメアンダ23の一部を兼ねた形状に形成されている。
【0040】
上記構成のダイポールアンテナ20と切取線11の配置関係について、以下に説明する。
【0041】
図1に示すRFIDラベル100において、長経路部222の幅W3は、ダイポールアンテナ20における他の箇所の幅W2,W4,W5よりも広く形成されている。切取線11は、長経路部221、短経路部223及び中経路部224よりも幅広に形成されたメアンダ22の長経路部222に重ねて形成されている。
【0042】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態の効果の説明に先立って、比較例のRFIDラベルの一例であるRFIDラベル500について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、比較例のRFIDラベル500の一部を切り欠いて示す平面模式図であり、図9は、比較例のRFIDラベル500のVIII-VIII線における断面図である。
【0043】
比較例としてのRFIDラベル500は、切取線511によって一部が分離されるRFIDラベルである。RFIDラベル500は、切取線511によって第一基材部512と第二基材部513に分離される基材510と、粘着剤580を介して基材510に積層されるRFIDインレイ501を備える。RFIDインレイ501は、基材515と、基材515に積層されるダイポールアンテナ520及びICチップ530を有する。また、RFIDラベル500は、RFIDインレイ501と、RFIDインレイ501の表面に積層された粘着剤540と、粘着剤540に仮着されたセパレータ550とを備える。
【0044】
比較例のRFIDラベル500では、ダイポールアンテナ520のアンテナ幅よりも切取線511のカット部514の長さが長いため、切取線11がダイポールアンテナ20を横切って形成された場合には、ダイポールアンテナ20が完全に切断される虞がある。
【0045】
また、RFIDインレイ501の基材515としてポリエチレンテレフタレートなどの樹脂が使用されている場合には、樹脂の強度が高いため、切取線511を入れてもアンカット部を切断することが難しく、切り離し用途には不向きである。
【0046】
そこで、RFIDラベル500では、図8に示すように、RFIDインレイ501を切取線511から避けて、基材510の第二基材部513側のみに配置していた。このため、ダイポールアンテナ520のサイズは小さく、交信距離が短かった。
【0047】
これに対して、第1実施形態に係るRFIDラベル100では、切取線11は、ダイポールアンテナ20の一部において、アンテナ長さ方向に沿い、かつ重なるように、基材10とダイポールアンテナ20とを貫通しているため、ダイポールアンテナ20の導通は保たれる。このため、RFIDラベル100は、切取線11がダイポールアンテナ20と重なって形成されても、アンテナ性能を維持することができる。
【0048】
また、電気抵抗は、断面積に反比例して増大するため、断面積が小さくなると、アンテナ性能を低下させることがあった。これに対して本実施形態では、切取線11のカット部111が長経路部222に沿いかつ重なるように形成されるので、電気抵抗が増大することもなく、所定の断面積が確保される。よって、RFIDラベル100は、ダイポールアンテナ20と切取線11とが重なっても、アンテナ性能を維持できる。
【0049】
本実施形態においては、切取線11が上記のとおり形成されるため、切取線11の両側に亘ってダイポールアンテナ20を配置しても電気的に分断されることがない。そのため、RFIDラベル100全面を利用して、サイズの大きなアンテナを採用できる。
【0050】
また、本実施形態において、図2に示すように、ダイポールアンテナ20に沿って切取線11が形成されるため、基材10は、金属箔からなるダイポールアンテナ20で補強されている。このため、例えば、RFIDラベル100を扱っている際に、意図せずに、RFIDラベル100が切取線11の途中まで分離されることがあっても、分離が進行して、RFIDラベル100の一部(第一基材部12または第二基材部13)が完全に分離し、紛失することを防止できる。
【0051】
RFIDラベル100の使用に際しては、第一基材部12又は第二基材部13のいずれかを剥離可能とし、例えば、使用者の「控え」として用いることができる。このような利用の場合には、控えとして扱う方の粘着剤40の表面にメジウム、ニス等を印刷又は塗布することにより、粘着性を喪失させておけばよい。
【0052】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るRFIDタグ200について説明する。以下に示す各実施形態では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の機能を有する構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
図3は、第2実施形態に係るRFIDタグ200の一部を切り欠いて示す平面模式図であり、図4は、本発明の第2実施形態に係るRFIDタグ200のIII-III線における断面図である。
【0054】
RFIDタグ200は、切取線11によって第一基材部12と第二基材部13とに分離可能な基材10と、金属箔によって所定のアンテナ長さ及び所定のアンテナ幅で形成され基材10の表面において切取線11の両側に亘って配置されたダイポールアンテナ20と、ダイポールアンテナ20に接続されたICチップ30と、基材10とダイポールアンテナ20とICチップ30が配置された面に積層された接着剤(又は粘着剤)60と、接着剤60を介して積層された支持基材70と、を備える。
【0055】
図4に示すように、接着剤60は、ダイポールアンテナ20及びICチップ30が積層した基材10に、後述する支持基材70を接着するために、基材10のダイポールアンテナ20及びICチップ30が配置された面に積層される。
【0056】
本実施形態において、接着剤60は、通常、基材の貼り合わせに用いられるものであれば使用可能である。また、接着剤60の代わりに、粘着剤を用いてもよい。この場合に使用可能な粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などの粘着剤が挙げられる。
【0057】
支持基材70は、切取線11を境に、第一基材部71と第二基材部72に分離可能である。
【0058】
本実施形態において、支持基材70として適用可能な材料としては、上質紙、コート紙等の紙類が挙げられる。支持基材70の厚さは25μm以上350μm以下であることが好ましく、通常、50μm以上260μm以下とするのが望ましい。
【0059】
本実施形態において、切取線11はダイポールアンテナ20における幅が広い箇所において、アンテナ長さ方向に沿いかつ重なるようにRFIDタグ200の全層を貫通する。
【0060】
図3及び図4に示すように、切取線11は、メアンダ22の振幅方向Cに沿った長経路部222に沿い、かつ長経路部222に重なる位置にて、RFIDタグ200の全層を貫通している。また、上記の長経路部222の幅W3は、ダイポールアンテナ20における他の箇所の幅W2,W4,W5よりも幅が広く形成される。
【0061】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態に係るRFIDタグ200では、ダイポールアンテナ20は、広いアンテナ幅に形成された幅広箇所を有し、切取線11は、幅広箇所においてアンテナ長さ方向に沿って、かつ幅広箇所に重なるように形成されている。このため、ダイポールアンテナ20の導通は保たれる。したがって、RFIDタグ200は、切取線11がダイポールアンテナ20と重なって形成されても、アンテナ性能を維持することができる。
【0062】
また、RFIDタグ200では、ダイポールアンテナ20と切取線11との重なり部分においても、所定の断面積が確保される。よって、RFIDタグ200は、切取線11が重なっても、アンテナ性能を維持できる。
【0063】
また、RFIDタグ200は、糸やタグピンによってアパレル製品等に取り付けて用いることができる。
【0064】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係るRFIDタグ300について説明する。以下に示す各実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の機能を有する構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0065】
第3実施形態では、RFIDタグ300の表面(基材10のダイポールアンテナ20が積層されない面)に、基材10を保持する保持基材90が積層される。
【0066】
図5は、第3実施形態に係るRFIDタグ300の一部を切り欠いて示す平面模式図であり、図6は、本発明の第3実施形態に係るRFIDタグ300のV-V線における断面図である。
【0067】
図6に示すように、RFIDタグ300は、基材10の表面に、接着剤又は粘着剤80を介して、保持基材90が積層される。保持基材90は、基材10を保持する。
【0068】
本実施形態において、接着剤又は粘着剤80は、通常、基材の貼り合わせに用いられるものであれば使用可能である。
【0069】
保持基材90は、切取線11を境に、第一基材部91と第二基材部92に分離可能である。なお、図6において、保持基材90の外縁と支持基材70の外縁との間には空隙があるように記載されているが、実際には、保持基材90の外縁と支持基材70の外縁とは接着剤又は粘着剤80によって貼り合わされている。
【0070】
本実施形態において、保持基材90としては、コート紙等の紙類や、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートとのフィルムを用いることができる。
【0071】
本実施形態において、切取線11は、ダイポールアンテナ20における幅が広い箇所において、アンテナ長さ方向に沿いかつ重なるように、RFIDタグ300の全層を貫通する。
【0072】
図5及び図6に示すように、切取線11は、メアンダ22の振幅方向Cに沿った長経路部222に沿い、かつ長経路部222に重なる位置にて、RFIDタグ300の全層を貫通している。また、上記の長経路部222の幅W3は、ダイポールアンテナ20における他の箇所の幅W2,W4,W5よりも幅が広く形成される。
【0073】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態に係るRFIDタグ300では、ダイポールアンテナ20は、広いアンテナ幅に形成された幅広箇所を有し、切取線11は、幅広箇所においてアンテナ長さ方向に沿って、かつ幅広箇所に重なるように形成されている。このため、ダイポールアンテナ20の導通は保たれる。したがって、RFIDタグ300は、切取線11がダイポールアンテナ20と重なって形成されても、アンテナ性能を維持することができる。
【0074】
また、RFIDタグ300では、ダイポールアンテナ20と切取線11との重なり部分においても、所定の断面積が確保される。よって、RFIDタグ200は、切取線11が重なっても、アンテナ性能を維持できる。
【0075】
また、第3実施形態に係るRFIDタグ300は、基材10の裏面に接着剤又は粘着剤80を介して保持基材90が積層するため、折れ曲がりなどの外部衝撃に対する強度が向上するとともに、美観性・高級性を付与できる。
【0076】
また、第3実施形態に係るRFIDタグ300では、ICチップ30が保持基材90側に配置されるようにRFIDインレイ1の表裏が反転されて積層されていてもよい。
【0077】
<アンテナパターンの変形例>
第1実施形態から第3実施形態では、ダイポールアンテナ20において、ループ部21の一部がメアンダ23の一部を兼ねた形状に形成されており、この部分に他の長経路部221よりも幅広の長経路部222が形成されている例を説明した。しかし、ダイポールアンテナ20の形状は、図1図6に示されたものに限定されない。
【0078】
図7は、変形例としてのダイポールアンテナ20を備えたRFIDタグ400の一部を切り欠いて示す平面模式図である。
【0079】
ダイポールアンテナ20において、幅広の長経路部222は、切取線11を設ける位置に応じて形成することができる。例えば、第1実施形態に係るRFIDラベル100の第一基材部12側の面積が、図1に示した実施形態よりも狭くてよい場合がある。この場合には、長経路部222を、図1に示した位置から図7に示した位置に変更すればよい。
【0080】
このように、基材10における第一基材部12と第二基材部13の面積の割合は、ラベルやタグの使用態様に合わせて変更することができる。
【0081】
これは、第2実施形態のRFIDタグ200、第3実施形態のRFIDタグ300においても同様に適用できる。
【0082】
本実施形態において示した、ダイポールアンテナ20におけるメアンダ22,23の蛇行回数、蛇行形状等は適宜変更可能であり、図示されたものに限定されない。
【0083】
また、本実施形態において示した、長経路部221の幅W2、短経路部223の幅W4、中経路部224の幅W5は、適宜変更可能であり、図示されたものに限定されない。長経路部222の幅W3も、切取線11よりも広く、アンテナ性能を維持できる範囲であれば、適宜変更可能である。
【0084】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0085】
本実施形態において、メアンダ22,23は、図1図7に示すように左右非対称な形状であるが、メアンダ22,23の形状は左右対称であってもよい。
【0086】
また、本実施形態において、ダイポールアンテナ20では、ループ部21の一部とメアンダ23の一部が一体的に形成されたタイプであるが、ループ部21とメアンダ23は一体的に形成されていなくてもよい。例えば、メアンダ22,23を左右対称に形成してもよい。
【0087】
第3実施形態に係るRFIDタグ300において、接着剤60を粘着剤に代え、支持基材70をセパレータに代えたRFIDラベルとしてもよい。この場合、ICチップ30が保持基材90側に配置されるようにRFIDインレイ1の表裏が反転されて積層されていてもよい。
【0088】
RFIDタグ200,RFIDタグ300、RFIDタグ400には、ダイポールアンテナ20やICチップ30に干渉しない位置に、商品等の対象物に取り付けるための糸や紐を通すことができる貫通孔(タグホール)が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 RFIDインレイ
10 基材
11 切取線
12 第一基材部
13 第二基材部
20 ダイポールアンテナ
21 ループ部
22,23 メアンダ
30 ICチップ
40 粘着剤
50 セパレータ
60 接着剤
70 基材
71 第一基材部
72 第二基材部
80 接着剤又は粘着剤
90 保持基材
91 第一基材部
92 第二基材部
100 RFIDラベル
111 カット部
112 アンカット部
200 RFIDタグ
211,212 ICチップ接続部
213 端部
221 長経路部
222 長経路部
223 短経路部
224 中経路部
300 RFIDタグ
400 RFIDタグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9