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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】水晶素子および水晶デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
H03H9/19 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019012295
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020120351
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】藤▲崎▼ 文生
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-009619(JP,A)
【文献】特開2000-031781(JP,A)
【文献】特開2011-211339(JP,A)
【文献】特開2013-128273(JP,A)
【文献】特開2005-130070(JP,A)
【文献】特開2018-110292(JP,A)
【文献】特開2018-121264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-H03H3/10
H03H9/00-H03H9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視して、略矩形となっている水晶片と、
前記水晶片の両主面に設けられている励振電極部と、
前記励振電極部から前記水晶片の一方の短辺まで延設されている接続引出部と、
前記水晶片の他方の短辺の両端部に位置し、当該他方の短辺を含み前記両主面の間をつなぐ側面から外向きに突出している凸部と、
を有し、
平面視して、前記一方の短辺の長さが前記他方の短辺の長さよりも短くなっており、
前記凸部の一部には凹部を有する
ことを特徴とする水晶素子。
【請求項2】
請求項1に記載の水晶素子であって、
前記水晶片の長辺上には前記水晶片の短辺に平行な前記水晶片の長さが変化する変曲点があり、
前記変曲点と前記水晶片の一方の短辺との、前記水晶片の長辺に平行な向きの長さが、前記水晶片の長さの5%以上20%以下の長さとなっている
ことを特徴とする水晶素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水晶素子であって、
前記水晶片の他方の短辺を含む側面を側面視したとき、
前記水晶片の他方の短辺を含む側面に凹部が形成されている
ことを特徴とする水晶素子。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の水晶素子と、
前記水晶素子の前記接続引出部の一部が電気的に接続される搭載パッドが上面に設けられている基板部を主体とする基体と、
前記基体と接合され前記水晶素子を気密封止している蓋体と、
前記接続引出部の一部と前記搭載パッドとを電気的に接続している導電部材と、
を有している水晶デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の水晶デバイスであって、
前記水晶片の長辺上には前記水晶片の短辺に平行な前記水晶片の長さが変化する変曲点があり、
前記基体に前記水晶素子を実装したとき、前記導電部材が前記変曲点と接している
ことを特徴とする水晶デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶素子および当該水晶素子を用いた水晶デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
水晶素子は、一対の励振電極および一対の接続引出部からなる金属パターンが形成されている水晶片を有している。このような水晶片は、平面視して、直線となっている四辺からなる矩形形状となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-85385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水晶素子は、接続電極部および接続引出部からなる金属パターンに交番電圧を印加したとき、励振電極部に挟まれている部分において主振動である厚みすべり振動が生じるが、同時に、副次的な振動である輪郭振動が生じる。また、主振動である厚みすべり振動が、励振電極部で挟まれている部分から漏れ伝搬し、水晶片の端部において反射した振動が生じる。このように、副次的な振動である輪郭振動や励振電極部から漏れ伝搬し水晶片の端部において反射した振動をスプリアス振動という。前述した水晶素子は、平面視して矩形形状の水晶片を用いているため、水晶片の外形寸法に依存する輪郭振動および漏れ伝搬し水晶片の端部において反射した振動が、主振動である厚みすべり振動に与える影響が大きくなり、電気的特性が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために鑑みてなされており、電気的特性を向上させることができる水晶素子および水晶デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
平面視して、略矩形となっている水晶片と、水晶片の両主面に設けられている励振電極部と、励振電極部から水晶片の一方の短辺まで延設されている接続引出部と、水晶片の他方の短辺の両端部に位置し、当該他方の短辺を含み前記両主面の間をつなぐ側面から外向きに突出している凸部と、を有し、平面視して、一方の短辺の長さが他方の短辺の長さよりも短くなっており、前記凸部の一部には凹部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、電気的特性が向上された水晶素子および水晶デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る水晶デバイスの一例である水晶振動子の斜視図である。
図2図1のA-A断面における断面図である。
図3】本実施形態に係る水晶素子で用いる水晶片の上面を平面視した平面図である。
図4】(a)は、本実施形態に係る水晶素子の上面の平面図であり、(b)は、本実施形態に係る水晶素子の下面を上面から平面透視した平面図である。
図5】本実施形態に係る水晶素子の斜視図である。
図6】本実施形態に係る水晶素子の他方の短辺を含む側面を平面視した平面図である。
図7】本実施形態に係る水晶素子の一方の短辺を含む側面を平面視した平面図である。
図8】本実施形態に係る水晶素子が基体に実装されている状態を示した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照にして説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致しない。
【0010】
(水晶デバイスの概略説明)
図1および図2は、本発明の実施形態における水晶デバイスの一例である水晶振動子に関する図面である。図3図7は、本発明の実施形態における水晶素子に関する図面である。図8は、本実施形態に係る水晶素子を基体に実装している状態を示す状態図である。
【0011】
水晶振動子は、例えば、全体として、概略、薄型の直方体形状とされる電子部品であり、その寸法は適宜設定されてよい。例えば、長辺または短辺の長さが0.6mm~7.5mmであり、厚さが0.2mm~1.2mmとなっている。比較的小さいものは、長辺または短辺の長さが0.6mm~3.2mmであり、厚さが0.2mm~0.8mmである。
【0012】
水晶振動子は、例えば、凹部が形成されている基体110と、凹部内に収容されている水晶素子120と、凹部を塞ぐ蓋体130と、を有している。凹部は、蓋体130により封止され、その内部は、例えば、真空とされ、または、適当なガス(例えば窒素)が封入されている。
【0013】
基体110は、基体110の主体となる基板部110aと、水晶素子120を実装するための搭載パッド111と、水晶振動子を不図示の回路基板等に実装するための外部端子112と、を有している。基板部110aは、搭載パッド111と所定の二つの外部端子112とを電気的に接続するための、導体(図示せず)を有している。図示しない導体は、基体110の表面または/内部に設けられている。基体110は、例えば、基体110に凹部を形成するための、枠状の枠部110bを有している。また、枠部110bは、基板部110aの上面の縁部に沿って設けられている。基体110を構成している基板部110aおよび枠部110bは、セラミック等の絶縁材料からなり、搭載パッド111および外部端子112は、例えば、金属等からなる導電層により構成されている。
【0014】
蓋体130は、例えば、金属から構成され、基体110の上面にシーム溶接等により接合されている。
【0015】
水晶素子120は、水晶片121と、水晶片121に設けられている一対の金属パターン122を有している。
【0016】
水晶片121は、いわゆるATカット水晶片である。すなわち、水晶において、X軸(電気軸)、Y軸(機械軸)およびZ軸(光軸)からなる直交座標系XYZを、X軸の回りに、例えば、30°~45°(一例として35°15′)回転させて直交座標系XY´Z´を定義したとき、XZ´平面に平行に切り出された板状と同じカットアングルである。従って、水晶片121は、XZ´平面に平行な一対の主面を有している。
【0017】
水晶素子120は、水晶片121と、水晶片121に設けられている一対の金属パターン122を有している。金属パターン122は、水晶片121に電圧を印加する一対の励
振電極部123、および、水晶素子120を搭載パッド111に実装するための一対の接続引出部124から構成されている。
【0018】
励振電極部123は、一対となっており、例えば、水晶片121の両主面の中央側に(すなわち水晶片121の両主面の外縁から離れて)設けられている。
【0019】
一対の接続引出部124は、接続部124aと引出部124bとから構成されている。接続部124aは、例えば、水晶片121の一方の短辺の縁部に沿って二つ並んで設けられている。引出部124bは、励振電極部123と接続部124aとを電気的に接続するためのものであり、一端が励振電極部123に接続され、他端が接続部124aに接続されている。引出部124bは、例えば、水晶片121の長辺と平行となるように設けられている。なお、引出部124bは、励振電極部123と接続部124aとを電気的に接続することができれば、励振電極部123から水晶片121の長辺に向かって延設され水晶片121の長辺の縁部に沿って接続部124aまで延設されていてもよい。
【0020】
水晶素子120は、水晶片121の主面を基体110の基板部110aの上面に対向させて、例えば、基体110の凹部内に収容される。接続引出部124の接続部124aは導電部材140により基体110の搭載パッド111に接合される。これにより、水晶素子120は、基体110の基板部110aに片持ち梁のように支持される。このとき、接続引出部124の接続部124aと基体110の搭載パッド111とは電気的に接続された状態となる。従って、一対の励振電極部123は、接続引出部124、導電部材140、搭載パッド111と電気的に接続され、ひいては、複数の外部端子114のいずれか二つと電気的に接続される。導電部材140は、例えば、導電性接着材からなる。
【0021】
水晶振動子は、例えば、不図示の回路基板の実装面に基体110の下面を対向させて配置され、外部端子112が半田などにより回路基板のパッド上に接合されることによって回路基板に実装される。回路基板には、例えば、発振回路が構成されている。発振回路は、外部端子112および搭載パッド111を介して一対の励振電極部123に交番電圧を印加して発振信号を生成する。この際、発振回路は、例えば、水晶片121の厚みすべり振動のうち基本波振動を利用する。
【0022】
(水晶素子の概略説明)
図3は、本実施形態に係る水晶素子で用いる水晶片の平面図である。図4は、本実施形態に係る水晶素子の平面図であり、図5は、本実施形態に係る水晶素子の斜視図である。図6は、本実施形態に係る水晶素子の他方の短辺を含む側面の側面図であり、図7は、本実施形態に係る水晶素子の一方の短辺を含む側面の側面図である。図8は、本実施形態に係る水晶素子を基体に実装したときの状態を示す状態図である。水晶素子120は、図4および図5に示したように、水晶片121と金属パターン122とから構成されている。
【0023】
(水晶片の詳細説明)
水晶片121は、図3(a)および図3(b)に示したように、概略、長手方向をX軸方向とする長方形となっている。水晶片121は、X軸方向において互いに対向する(X軸に対して垂直となる向きに平行となっている)一対の短辺t1、t2を有している。また、水晶片121は、一対の短辺t1、t2の両端同士をつなぐ(一対の短辺の間に亘って延びる)一対の長辺を有している。なお、用語「辺」は、厳密には直線であるが、本実施形態では便宜上直線以外であってもよいものとする。
【0024】
一対の短辺t1、t2のうち一方の短辺t1は、水晶片121を平面視して、水晶の結晶軸である+X軸側に位置している短辺であり、他方の短辺t2は水晶の結晶軸である-X軸側に位置している短辺である。
【0025】
ここで、一方の短辺t1のX軸に垂直な向きの長さを第一距離dt1とし、他方の短辺t2のX軸に垂直な向きの長さを第二距離dt2とする。なお、第二距離dt2は、他方の短辺t2の一端が一方の長辺と交差している点から他方の短辺t2の他端が他方の長辺と交差している点までの距離のことをいう。
【0026】
水晶片121は、第一距離dt1が第二距離dt2より短くなっている。言い換えると、一方の短辺t1の(X軸に垂直な向きの)長さが、他方の短辺t2の(X軸に垂直な向きの)長さよりも短くなっている。
【0027】
水晶片121は、平面視して、水晶片121の長辺上に水晶片121の短辺t1、t2に平行な向き(X軸に垂直な向き)の水晶片121の長さが変化する変曲点Pを有している。このとき、水晶片121の一方の短辺t1と変曲点Pとの水晶片121の長辺に平行な向きの(X軸に平行な向きの)長さが、水晶片121の長さの5%以上20%以下となっている。
【0028】
ここで、水晶片121の一方の短辺t1と変曲点Pとの水晶片121の長辺に平行な向きの(X軸に平行な向きの)長さを、変曲点距離dpとする。また、水晶片121の長辺の長さ(水晶片121の一方の短辺t1と水晶片121の他方の短辺t2とのX軸に平行な長さ)を水晶片121の長さdlとする。
【0029】
従って、変曲点距離dpと水晶片121の長さdlとは次の関係が成り立っている。
0.05×dl≦dp≦0.20×dl
【0030】
水晶片121は、他方の短辺t2の両端部に凸部125が設けられている。別の観点では、水晶片121を平面視して、水晶片121の両端部から-X軸方向に凸部が突出している状態となっている。
【0031】
凸部125が設けられている水晶片121の他方の短辺t2を含む水晶片121の側面を平面視したとき、図6に示すように、凹部K(K1、K2、K3)が形成されている。
【0032】
凹部Kは、例えば、第一凹部K1、第二凹部K2および第三凹部K3から構成されている。第一凹部K1は、図6のように、水晶片121の下面に連なるように、水晶片121の短辺t2の一端側に設けられている。第二凹部K2は、図6のように、水晶片121の下面に連なるように、水晶片121の短辺t2の他端側に設けられている。第三凹部K3は、図6のように、水晶片121の他方の短辺t2の中点を通過しつつ水晶片121の上面および下面に連なるように設けられている。
【0033】
水晶片121の各種寸法は、適宜に設定されてよい。例えば、水晶片121の長さdl(X軸方向)は0.4mm~7.2mmとなっており、水晶片121の他方の短辺t2の長さdt2は0.3mm~5.0mmとなっている。
【0034】
(金属パターンの詳細説明)
図4(a)は、本実施形態に係る水晶素子120の上面を平面視したときの平面図であり、図4(b)は、本実施形態に係る水晶素子120の下面を上面から平面透視したときの平面図である。図5は、本実施形態に係る水晶素子120の斜視図である。
【0035】
接続引出部124は、前述したように接続部124aと引出部124bとから構成されている。
【0036】
接続部124aは、水晶片121の一方の短辺t1の両端部であって、水晶片121の上面、下面および側面に跨って設けられている。このとき、水晶片121の上面に設けられている接続部124aの長さdu(水晶素子120の上面を平面視したときの水晶片121の一方の短辺t1から水晶片121の他方の短辺t2側を向く接続部124aの辺までのX軸に平行な長さ)が、水晶片121の下面に設けられている接続部124aの長さdd(水晶素子120の下面を平面視したときの水晶片121の一方の短辺t1から水晶片121の他方の短辺t2側を向く接続部124aの辺までのX軸に平行な長さ)よりも短くなっている。
【0037】
また、接続部124aは、図4(a)および図4(b)に示すように、水晶片121の長辺上に位置している変曲点P上と重なるように設けられている。従って、水晶素子120を基体110に導電部材140を用いて実装したとき、図7に示したように、導電部材140が変曲点Pと接するようになっている。
【0038】
また、接続部124aは、図8に示すように、水晶片121の一方の短辺t1を含む側面を平面視したとき、水晶片121の一方の短辺t1の両端に跨るように設けられている。
【0039】
(水晶素子で生じる振動について)
水晶素子120の励振電極部123に交番電圧を印加すると、一対の励振電極部123に挟まれている部分において基本波の厚みすべり振動が生じる。この一対の励振電極部123に挟まれている部分で生じる基本波の厚みすべり振動を主振動とする。
【0040】
このとき、平面視して励振電極部123から水晶片121の外縁に向かう向きに、主振動が漏れ伝搬している。この励振電極部123から水晶片121の外縁に向かう向きに生じる振動を漏れ振動とする。漏れ振動が水晶片121の外縁にまで到達すると、漏れ振動が水晶片121の側面において反射され、水晶片121の外縁から励振電極部123に向かう向きに振動が生じる。この水晶片121の側面で反射された振動を反射振動とする。
【0041】
また、水晶素子120の励振電極部123に交番電圧を印加したとき、主振動だけでなく、副次的な振動である輪郭振動が生じる。輪郭振動は、水晶片121の長さ(X軸に平行な長さおよびZ´軸に平行な長さ)に依存している。
【0042】
前述しているように、本実施形態に係る水晶デバイスは、水晶片121で生じる基本波の厚みすべり振動(主振動)を利用している。従って、水晶素子120および水晶デバイスにおいては、励振電極部123に交番電圧を印加したとき、主振動が他の振動である反射振動および輪郭振動の影響を受けた状態の主振動が利用されているといえる。
【0043】
以上のとおり、本実施形態に係る水晶素子120は、平面視して、略矩形となっている水晶片121と、水晶片121の両主面に設けられている励振電極部123と、励振電極部123から水晶片121の一方の短辺t1まで延設されている接続引出部124と、水晶片121の他方の短辺t2の両端部に設けられている凸部125と、を有し、平面視して、水晶片121の一方の短辺t1の長さ(第一距離dt1)が水晶片121の他方の短辺t2の長さ(第二距離dt2)よりも短くなっている。
【0044】
このように、水晶片121の一方の短辺t1の長さ(第一距離dt1)を水晶片121の他方の短辺t2の長さ(第二距離dt2)より短くすることで、水晶片121の長さに依存している輪郭振動の周波数を分散させることが可能となる。この結果、主振動と輪郭振動とが結合し、水晶素子120の電気的特性が低下することを低減させることができる。
【0045】
また、水晶片121の短辺t2の両端部に凸部125を設けることで、水晶片121の長さに依存している輪郭振動の周波数を分散させることが可能となる。また、このようにすることで、励振電極部123の縁部から水晶片121の他方の短辺t2側の水晶片121の長辺の端部と、励振電極部123との外縁と、の距離を従来と比較して長くすることができる。このため、水晶片121の他方の短辺t2側の水晶片121の長辺の端部で生じた反射振動が主振動に与える影響を低減させることができ、水晶素子120の電気的特性が低下することを低減させることが可能となる。
【0046】
従って、このような構成にすることで、副次的な振動である輪郭振動および水晶片121の外縁における反射振動が主振動に与える影響を低減させることが可能となり、水晶素子120の電気的特性が低下することを低減させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る水晶素子120は、平面視して、水晶片121の長辺上に、水晶片121の短辺に平行な水晶片121の長さが変化する変曲点Pがあり、変曲点Pと水晶片121の一方の短辺t1との、水晶片121の長辺に平行な向き(X軸に平行な向き)の長さ、変曲点長さdpが、水晶片121の長さdlの長さの5%以上20%以下となっている。
【0048】
変曲点長さdpが水晶片121の長さdlの5%より短い場合、接続部124aが並んで設けられている水晶片121の一方の短辺t1の縁部において、副次的な振動である輪郭振動の周波数を分散させることが困難となり、水晶素子120の電気的特性が低下してしまう場合がある。変曲点長さdpが水晶片121の長さdlの20%より長い場合、水晶素子120を平面視して、励振電極部123と変曲点距離Pとの距離が近くなってしまい、水晶片121の一方の短辺t1の端部と変曲点Pとを含んでいる水晶片121の長辺の一部において、反射振動が主振動へ影響を与え、水晶素子120の電気的特性が低下してしまう虞がある。
【0049】
従って、このように水晶片121の長辺上に変曲点Pを設けつつ、変曲点Pの位置を限定することで、副次的な振動である輪郭振動および反射振動が主振動に与える影響を低減させることができ、この結果、水晶素子120の電気的特性が低下することを低減させることが可能となる。
【0050】
また、本実施形態に係る水晶素子120は、水晶片121の他方の短辺t2を含んだ側面を断面視したとき、水晶片121の他方の短辺t2を含む側面に、凹部Kが形成されている。
【0051】
このように、水晶片121の他方の短辺t2を含む側面に、凹部Kを形成することで、水晶片121の他方の短辺t2における長さを部分的に変化させることができる。このため、水晶片121の他方の短辺t2付近で生じる副次的な輪郭振動の周波数を分散させることができ、水晶素子120の電気的特性が低下することを低減させることが可能となる。
【0052】
特に、凸部125にも第一凹部125aおよび第二凹部125bを形成することにより、漏れ振動および反射振動を分散させることができ、反射振動が主振動へ与える影響を低減させることが可能となる。この結果、水晶素子120の電気的特性が低下することを低減させることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、前述したような水晶素子120と、水晶素子120の接続引出部124の一部が電気的に接続さらえる搭載パッドが上面に設けられて
いる基板部110aを主体とする基体110と、基体110と接合され水晶素子120を気密封止する蓋体130と、接続引出部124の一部と搭載パッド111とを電気的に接続している導電部材140と、を有している。
【0054】
このように電気的特性が低下することを低減することができる水晶素子120を水晶デバイスに用いることで、水晶デバイスの電気的特性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、基体110に水晶素子120を実装したとき、導電部材140が変曲点Pと接している。
【0056】
このようにすることで、導電部材140が水晶素子120と基体110とを電気的に接続しつつ接着するときに、導電部材140が水晶素子120を引く力を分散させることが可能となり、導電部材140による主振動への影響を低減させることができる。この結果、水晶デバイスの電気的特性を向上させることが可能となる。
【0057】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の態様であってよい。
【0058】
水晶デバイスは、水晶振動子に限定されない。例えば、水晶デバイスは、水晶振動子となる部分と発振回路となる部分を備えた発振器であってもよい。また、水晶振動子は、水晶素子の他に、サーミスタ、ダイオードまたはトランジスタなどの他の電子部品を備えていてもよい。
【0059】
水晶素子は、平板状でなく、中央部が肉厚となっているメサ型となっていてもよい。
【0060】
励振電極は、略矩形形状でなく、円形または楕円形状となっていてもよい。
【0061】
接続引出部は、X軸方向に沿って直線状に延設されていなくてもよく、例えば、水晶片の長辺側へ延設した後水晶片の短辺に沿って延設されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
110・・・基体
110a・・・基板部
110b・・・枠部
111・・・搭載パッド
112・・・外部端子
120・・・水晶素子
121・・・水晶片
122・・・金属パターン
123・・・励振電極部
124・・・接続引出部
124a・・・接続部
124b・・・引出部
125・・・凸部
130・・・蓋体
140・・・導電部材
K・・・凹部
K1・・・第一凹部
K2・・・第二凹部
K3・・・第三凹部
t1・・・水晶片の一方の短辺
t2・・・水晶片の他方の短辺
P・・・変曲点
dt1・・・第一距離(水晶片の一方の短辺の長さ)
dt2・・・第二距離(水晶片の他方の短辺の長さ)
dp・・・変曲点距離(水晶片の一方の短辺から変曲点までのX軸に平行な長さ)
dl・・・水晶片の長さ(水晶片の一方の短辺と水晶片の他方の短辺とX軸に平行な長さ)
du・・・水晶片の上面に設けられている接続部のX軸に平行な長さ
dd・・・水晶片の下面に設けられている接続部のX軸に平行な長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8