(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】光検出装置及び光検出装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/02 20060101AFI20221107BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221107BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
H01L31/02 B
H01L21/304 631
H01L27/146 D
H01L27/146 F
(21)【出願番号】P 2019195114
(22)【出願日】2019-10-28
(62)【分割の表示】P 2018131322の分割
【原出願日】2018-07-11
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】森下 勝
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-187007(JP,A)
【文献】特開2013-236248(JP,A)
【文献】特開2017-219443(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145578(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0033029(US,A1)
【文献】特開2004-006834(JP,A)
【文献】特開2001-332654(JP,A)
【文献】国際公開第2013/179764(WO,A1)
【文献】特表2020-529738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02
H01L 21/304
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次元状又は二次元状に配列された複数の受光部と、前記受光部が形成された第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有し、隣り合う前記受光部を互いに隔てるように前記第1主面に開口するトレンチが形成された裏面入射型の受光素子を準備する工程と、
前記受光素子の前記第1主面が基板に対向するように、前記受光素子を前記基板上に配置する工程と、
前記受光素子の前記第2主面側から少なくとも前記トレンチに至るまで前記受光素子を研磨する工程と、
前記配置する工程と前記研磨する工程との間に、前記基板上において、前記基板の厚み方向から見て前記受光素子の側面全体を包囲するように、樹脂モールドを形成する工程と、を含む光検出装置の製造方法。
【請求項2】
前記研磨する工程において、前記受光素子と共に樹脂モールドを研磨する、請求項
1に記載の光検出装置の製造方法。
【請求項3】
前記形成する工程において、少なくとも前記受光素子の前記第2主面の高さ位置まで達するように前記樹脂モールドを形成する、請求項
1又は
2に記載の光検出装置の製造方法。
【請求項4】
前記形成する工程において、ショア硬度がショアA80以上又はショアD30以上である樹脂材料によって前記樹脂モールドを形成する、請求項
1~3のいずれか一項に記載の光検出装置の製造方法。
【請求項5】
前記研磨する工程よりも後に、前記受光素子及び前記樹脂モールドの研磨された表面を覆う被覆部を形成する工程を含む、請求項
1~4のいずれか一項に記載の光検出装置の製造方法。
【請求項6】
前記準備する工程は、ドライエッチング又はウェットエッチングにより前記トレンチを形成する工程を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の光検出装置の製造方法。
【請求項7】
前記準備する工程において準備される前記受光素子は、前記トレンチにより、それぞれ前記受光部を有する複数のブロックに分けられており、
前記受光素子には、前記複数のブロックの配列方向における最も外側に位置する前記ブロックと前記トレンチを介して前記配列方向に対向するように、前記受光部を有さないダミーブロックが設けられている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の光検出装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の受光部は、一次元状に配列されており、
前記トレンチは、前記複数の受光部の配列方向に交差する方向に延びている、請求項1~
7のいずれか一項に記載の光検出装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置及び光検出装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光検出装置として、それぞれ受光部が設けられた複数のブロックを有する裏面入射型の受光素子(裏面入射型イメージセンサ)を基板上に配置してなるものが知られている。例えば、特許文献1には、複数のブロック(裏面入射型のCMOS技術検出回路)を所定間隔で回路基板(配線基板)上に配置し、複数のブロック間にクロム等の金属によって形成された停止層を堆積し、停止層に至るまで複数のブロックの表面(シリコンブロックの表面)を研磨し、その後停止層を除去することによって光検出回路を製造する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような光検出装置においては、イメージング精度を維持する(すなわち、各ブロックの位置関係を維持する)ために、ブロック(受光素子)に対する外力の影響が少ない方が好ましい。一方、特許文献1記載の製造方法では、ブロックの表面を研磨する工程全体において、停止層よりも上方に突出したブロックの一部のみが研磨されて横方向に揺さぶられることにより、ブロックに対して比較的大きな外力が働くおそれがある。また、特許文献1記載の光検出回路では、ブロックの側面を覆う停止層は、最終的に除去され、ブロックの側面を保護する保護材としては機能しないため、ブロックに対する外力の影響を低減する上で向上の余地がある。
【0005】
本発明の一側面は、受光素子に対する外力の影響が低減された光検出装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る光検出装置の製造方法は、一次元状又は二次元状に配列された複数の受光部と、受光部が形成された第1主面と、第1主面とは反対側の第2主面と、を有し、隣り合う受光部を互いに隔てるように第1主面に開口するトレンチが形成された裏面入射型の受光素子を準備する第1工程と、受光素子の第1主面が基板に対向するように、受光素子を基板上に配置する第2工程と、基板上において、受光素子の側面全体を包囲するように、基板の厚み方向において少なくともトレンチの第2主面側の端部よりも基板から離れた位置まで達する樹脂モールドを形成する第3工程と、受光素子の第2主面側から受光素子及び樹脂モールドを研磨する第4工程と、を含む。
【0007】
上記光検出装置の製造方法では、受光素子の側面全体を包囲するように樹脂モールドが形成される。このように形成された樹脂モールドによって、基板に対する受光素子の固定を強固にすることができる。具体的には、樹脂モールドが受光素子の側面全体を支持することにより、受光素子の横方向(すなわち、基板に対して受光素子が横滑りする方向)に作用する外力に対して強い構造を実現できる。従って、上記製造方法によれば、受光素子に対する外力の影響が低減された光検出装置が得られる。さらに、上記製造方法によれば、光検出装置の製造過程においても、受光素子に対する外力の影響を適切に低減できる。具体的には、研磨工程(第4工程)において、受光素子及び樹脂モールドが併せて研磨されることにより、受光素子の側面が樹脂モールドによって支持され、受光素子の歪みの発生を抑制できる。
【0008】
第1工程は、ドライエッチング又はウェットエッチングによりトレンチを形成する工程を含んでもよい。これにより、非常に小さい幅のトレンチを精度良く形成でき、複数の受光部を狭ピッチ且つ高精度に配置することが可能となる。
【0009】
第1工程において準備される受光素子は、トレンチにより、それぞれ受光部を有する複数のブロックに分けられており、受光素子には、複数のブロックの配列方向における最も外側に位置するブロックとトレンチを介して配列方向に対向するように、受光部を有さないダミーブロックが設けられていてもよい。この場合、受光素子の外端部に設けられたダミーブロックが、受光素子に対する外力を吸収する役割を果たす。これにより、受光素子の主要部(すなわち、受光部を有する各ブロック)に対する外力の影響を効果的に低減できる。
【0010】
複数の受光部は、一次元状に配列されており、トレンチは、複数の受光部の配列方向に交差する方向に延びていてもよい。このように複数の受光部(ブロック)がトレンチを介して一次元状に配列された構造(長尺構造)は、外力が働いた際に生じる応力によって折れ易い傾向があるが、受光素子の側面全体を包囲するように樹脂モールドを形成することにより、受光素子に対する外力の影響を適切に低減できる。従って、上記製造方法によれば、このような長尺構造の受光素子を備えた光検出装置を安定して製造することができる。
【0011】
第3工程において、少なくとも受光素子の第2主面の高さ位置まで達するように樹脂モールドを形成してもよい。これにより、研磨工程(第4工程)の全体を通して、受光素子の樹脂モールドから突出した一部のみが研磨されてしまうことがなくなる。その結果、研磨工程における受光素子の歪みの発生をより効果的に抑制できる。
【0012】
第3工程において、ショア硬度がショアA80以上又はショアD30以上である樹脂材料によって樹脂モールドを形成してもよい。この場合、適切な硬度の樹脂モールドを形成することにより、受光素子に対する外力を適切に吸収することが可能となる。また、樹脂モールドの硬度を研磨に適した硬度とすることができ、研磨工程(第4工程)を円滑に実施することが可能となる。
【0013】
第4工程において、少なくともトレンチに至るまで受光素子及び樹脂モールドを研磨してもよい。これにより、それぞれ受光部を有する複数のブロック同士を完全に分離することができる。これにより、ブロック間のクロストークの発生を確実に防止することができる。
【0014】
上記製造方法は、第4工程よりも後に、受光素子及び樹脂モールドの研磨された表面を覆う被覆部を形成する工程を含んでもよい。被覆部により、受光素子の第2主面を適切に保護することができる。また、例えばガラス等の被覆部を形成することにより、受光素子に対する光のバンドパス又は透過率等を用途に合わせて調整すること等が可能となる。
【0015】
本発明の一側面に係る光検出装置は、基板と、一次元状又は二次元状に配列された複数の受光部と受光部が形成された第1主面と第1主面とは反対側の第2主面とを有し、第1主面が基板に対向するように基板上に配置された裏面入射型の受光素子と、基板上において、受光素子の側面全体を包囲するように形成された樹脂モールドと、を備え、受光素子は、隣り合う受光部を互いに隔てるように第1主面から第2主面にかけて設けられた隙間又は隣り合う受光部を互いに隔てるように第1主面に開口するトレンチによって、複数のブロックに分けられており、受光素子の側面から樹脂モールドの外側面までの樹脂モールドの幅は、隙間又はトレンチの幅よりも大きい。
【0016】
上記光検出装置では、受光素子の側面全体を包囲するように、ブロック間の幅よりも大きい幅を有する樹脂モールドが形成されている。このように形成された樹脂モールドによって、基板に対する受光素子の固定を強固にすることができる。具体的には、樹脂モールドが受光素子の側面全体を支持することにより、受光素子の横方向に作用する外力に対して強い構造を実現できる。従って、上記光検出装置によれば、受光素子に対する外力の影響を低減できる。
【0017】
受光素子には、複数のブロックの配列方向における最も外側に位置するブロックと隙間又はトレンチを介して配列方向に対向するように、受光部を有さないダミーブロックが設けられていてもよい。このように受光素子の外端部に設けられたダミーブロックは、受光素子に対する外力を吸収する役割を果たす。これにより、受光素子の主要部(すなわち、受光部を有する各ブロック)に対する外力の影響を効果的に低減できる。
【0018】
複数の受光部は、一次元状に配列されており、隙間又はトレンチは、複数の受光部の配列方向に交差する方向に延びていてもよい。このように複数の受光部(ブロック)が隙間又はトレンチを介して一次元状に配列された構造(長尺構造)は、外力が働いた際に生じる応力によって折れ易い傾向があるが、受光素子の側面全体を包囲する樹脂モールドにより、受光素子に対する外力の影響を適切に低減できる。
【0019】
樹脂モールドは、ショア硬度がショアA80以上又はショアD30以上である樹脂材料によって形成されていてもよい。この場合、適切な硬度の樹脂モールドにより、受光素子に対する外力を適切に吸収することが可能となる。
【0020】
上記光検出装置は、受光素子の第2主面側において、受光素子及び樹脂モールドの表面を覆うように形成された被覆部を更に備えてもよい。被覆部により、受光素子の第2主面を適切に保護することができる。また、例えばガラス等の被覆部によれば、受光素子に対する光のバンドパス又は透過率等を用途に合わせて調整すること等が可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一側面によれば、受光素子に対する外力の影響が低減された光検出装置及びその製造方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】
図2のIIIa-IIIa線及びIIIb-IIIb線に沿った断面図である。
【
図4】
図1に示される光検出装置の製造工程を示す図である。
【
図5】
図1に示される光検出装置の製造工程を示す図である。
【
図6】
図1に示される光検出装置の製造工程を示す図である。
【
図7】
図1に示される光検出装置の製造工程を示す図である。
【
図9】
図8に示される光検出装置の要部拡大断面図である。
【
図10】第3実施形態の光検出装置の斜視図である。
【
図11】
図10のXIa-XIa線及びXIb-XIb線に沿った断面図である。
【
図12】
図10に示される光検出装置の製造工程において準備される受光素子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の光検出装置1の斜視図である。
図2は、光検出装置1の平面図である。
図3の(a)は、
図2におけるIIIa-IIIa線に沿った断面を示しており、
図3の(b)は、
図2におけるIIIb-IIIb線に沿った断面を示している。
図1~
図3に示されるように、光検出装置1は、受光素子10と、配線基板20(基板)と、複数のバンプ30と、樹脂モールド40と、を備えている。以下、配線基板20の厚み方向(受光素子10に対する光の入射方向に平行な方向)をZ軸方向といい、Z軸方向に垂直な一方向をX軸方向といい、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向をY軸方向という。X軸方向は、後述する複数の受光部14(ブロック12)の配列方向である。
【0025】
受光素子10は、X軸方向に沿って一次元状に配列された複数(ここでは7つ)の受光部14(
図3参照)を有する裏面入射型のイメージセンサである。受光素子10は、X軸方向を長手方向とする長尺構造を有する。一例として、受光素子10は、X軸方向を長手方向とする長方形板状を呈しており、X軸方向における幅、Y軸方向における幅、Z軸方向における厚さは、それぞれ、2.5mm、0.6mm、0.15mmである。受光素子10は、例えばシリコン又はInGaAs等の化合物半導体によって形成された基板11を有する。基板11は、配線基板20に対向する主面11a(第1主面)と、主面11aとは反対側の面であり光の入射面として機能する主面11b(第2主面)と、を有する。本実施形態では、基板11は、X軸方向に沿って一次元状に配列された複数(ここでは7つ)のブロック12と、複数のブロック12のX軸方向における両外側に設けられた2つのダミーブロック13と、に完全に分離されている。主面11aには、受光部14が形成されている。受光部14は、例えば、第1導電型の基板11において主面11aに沿った部分に第2導電型の領域が形成されることで構成されたフォトダイオードである。受光素子10は、基板11の主面11b側から入射した光を各受光部14において受光する。
【0026】
ブロック12は、1つの受光部14を有する検出単位である。基板11は、隣り合う受光部14を互いに隔てるように主面11aから主面11bにかけて設けられた複数の隙間Gによって、複数のブロック12に分けられている。各隙間Gは、複数のブロック12の配列方向(X軸方向)に交差するY軸方向及びZ軸方向に延びている。隣り合うブロック12同士は、隙間Gによって完全に分離されている。これにより、隣り合うブロック12間のクロストークの発生が防止されている。隙間Gは、X軸方向における最も外側に位置するブロック12とダミーブロック13との間にも設けられている。すなわち、ダミーブロック13は、基板11のX軸方向における両端部において、最も外側に位置するブロック12と隙間Gを介してX軸方向に対向するように設けられている。ダミーブロック13は、受光部14が設けられていない部分である。本実施形態では、隣り合うブロック12及びダミーブロック13も、隙間Gによって完全に分離されている。ブロック12及びダミーブロック13は、いずれもY軸方向を長手方向とする長方形板状に形成されている。ダミーブロック13のX軸方向における幅は、ブロック12のX軸方向における幅よりも小さい。
【0027】
配線基板20は、例えばシリコン(Si)又はInGaAs等の化合物半導体によって形成された半導体基板、プリント回路基板、In基板、ガラエポ(ガラス繊維シートを芯材としたエポキシ樹脂)基板等である。配線基板20には、信号読出回路、信号処理回路、及び信号出力回路等が形成されている。配線基板20は、受光素子10が実装される主面20aを有する。配線基板20は、受光量に応じて受光素子10の各受光部14から出力された電気信号を処理する。配線基板20は、例えば、CMOS読出回路(ROIC:readout integrated circuit)である。
【0028】
複数のバンプ30は、受光素子10と配線基板20との間に配置されている。複数のバンプ30は、Z軸方向において向かい合う基板11の主面11aと配線基板20の主面20aとの間において、受光素子10と配線基板20とを電気的且つ物理的に接続している。より具体的には、基板11の主面11a及び配線基板20の主面20aのそれぞれには、複数の電極パッド(図示省略)が設けられており、各バンプ30は、Z軸方向において向かい合う電極パッド同士を電気的且つ物理的に接続している。これにより、受光素子10は、基板11の主面11aが配線基板20の主面20aに対向するように、配線基板20上に配置されている。各バンプ30は、例えば、Inバンプである。
【0029】
樹脂モールド40は、配線基板20上において、基板11の主面11bと連続する表面40aを有すると共に、基板11の側面全体を包囲するように形成されている。樹脂モールド40は、基板11と配線基板20との間、及び隙間Gにも充填されている。ただし、樹脂モールド40は、隙間Gに充填されていなくてもよい。すなわち、隙間Gにおいて、樹脂モールド40が存在しない空洞が形成されていてもよい。樹脂モールド40は、例えば、透明樹脂材料によって形成されている。具体的には、樹脂モールド40は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ハイブリッド樹脂等によって形成されている。衝撃吸収性及び加工(特に後述する研磨工程)における取扱い易さ等の観点から、樹脂モールド40は、例えば、ショア硬度(shore hardness)がショアA80以上又はショアD30以上である樹脂材料によって形成されていることが好ましい。
【0030】
図2に示されるように、各ブロック12のX軸方向(配列方向)における幅w1は、例えば1mm程度である。各ダミーブロック13のX軸方向における幅w2は、例えば0.15mm程度である。各ブロック12及び各ダミーブロック13のY軸方向における幅w3は、例えば0.6mm程度である。隙間GのX軸方向における幅w4は、例えば10~20μm程度である。基板11のX軸方向に対向する側面11cから樹脂モールド40の外側面までの樹脂モールド40の幅w5、及び基板11のY軸方向に対向する側面11dから樹脂モールド40の外側面までの樹脂モールド40の幅w6は、例えば0.1mm~0.3mm程度である。少なくとも、樹脂モールド40の幅w5,w6は、隙間Gの幅w4よりも大きい。
【0031】
次に、
図4~
図7を参照して、光検出装置1の製造方法の一例を説明する。
【0032】
まず、
図4に示されるように、以下に述べる製造工程が実施されることにより受光素子10となる予定の受光素子50が準備される(第1工程)。受光素子50は、後述する研磨工程が実施されることによって基板11となる予定の基板51を有する。基板51は、受光部14が形成された主面51a(第1主面)と、主面51aとは反対側の主面51b(第2主面)と、を有する。基板51の主面51b側の一部が研磨され、基板51が薄型化されることにより、基板11となる。受光素子50は、基板51の主面51a側において一次元状に配列された複数(ここでは7つ)の受光部14を有する。本実施形態では、矩形板状に形成された各受光部14の四隅において、電極パッドを介してバンプ30が予め設けられている。
【0033】
第1工程は、ドライエッチング又はウェットエッチング(すなわち、半導体プロセス)により、トレンチTを形成する工程を含む。トレンチTは、隣り合う受光部14を互いに隔てるように、基板51の主面51aに形成される。トレンチTは、主面51aに開口しており、主面51aから主面51b側に向かって延びている。すなわち、トレンチTは、主面51bに貫通しないように主面51aに設けられた凹部(溝部)である。このようなトレンチTにより、基板51の主要部(受光部14が設けられた部分)は、それぞれ1つの受光部14を有する複数のブロック52に分けられる。本実施形態では、複数のブロック52は、互いに同じ大きさに形成される。トレンチT及びブロック52は、それぞれ後述する研磨工程が実施されることによって、隙間G及びブロック12となる予定の部分である。この段階では、隣り合うブロック52同士は、当該ブロック52同士の境界部のうちトレンチTが形成されていない部分(研磨工程によって除去される予定の部分)によって接続されている。
【0034】
トレンチTは、複数のブロック52の配列方向における最も外側のブロック52の外側にも形成される。このようなトレンチTにより、配列方向における最も外側のブロック52とダミーブロック53とが分けられる。ダミーブロック53は、後述する研磨工程が実施されることによってダミーブロック13となる予定の部分である。この段階では、配列方向における最も外側のブロック52とダミーブロック53とは、当該ブロック52とダミーブロック53との境界部のうちトレンチTが形成されていない部分(研磨工程によって除去される予定の部分)によって接続されている。基板51の厚みは、例えば0.35mm程度であり、トレンチTの深さ(主面51aからトレンチTの底部(主面51b側の端部)までの距離)は、例えば0.2mm程度である。
【0035】
続いて、
図5に示されるように、基板51(受光素子50)の主面51aが配線基板20の主面20aに対向するように、受光素子50が配線基板20上に配置される(第2工程)。例えば、受光素子50は、フェースダウンボンディングによって、複数のバンプ30を介して配線基板20上に実装される。
【0036】
続いて、
図6に示されるように、配線基板20上において、基板51の側面全体を包囲するように、樹脂モールド54が形成される(第3工程)。樹脂モールド54は、例えばコンプレッションモールドによって形成される。本実施形態では、樹脂モールド54は、Z方向から見て基板51の側面全体を包囲すると共に、基板51の主面51bの全体を覆うように形成される。すなわち、配線基板20の主面20aを基準として、樹脂モールド54の上面54aは、基板51の主面51bよりも高い位置まで達している。樹脂モールド54は、基板51と配線基板20との間、及びトレンチTの内部にも充填されている。ただし、樹脂モールド54は、トレンチTの内部に充填されていなくてもよい。すなわち、トレンチTの内部において、樹脂モールド54が存在しない空洞が形成されていてもよい。
【0037】
続いて、基板51の主面51b側から、基板51及び樹脂モールド54が研磨される(第4工程)。本実施形態では、まず、樹脂モールド54の上面54a側から樹脂モールド54のみが研磨されることにより、
図7の(a)に示される状態から
図7の(b)に示される状態となる。その後、さらに研磨を続けることにより、基板51及び樹脂モールド54が併せて研磨され、
図1~
図3に示される光検出装置1が得られる。具体的には、少なくともトレンチTに至るまで(すなわち、トレンチTの底部に到達するまで)基板51及び樹脂モールド54が研磨される。その結果、トレンチTは上述した隙間Gとなり、上述した光検出装置1(
図1~
図3参照)が得られる。
【0038】
以上述べた光検出装置1では、Z方向から見て基板11の側面全体を包囲するように、ブロック12間の幅(すなわち、隙間Gの幅w4)よりも大きい幅w5,w6を有する樹脂モールド40が形成されている。このように形成された樹脂モールド40によって、配線基板20に対する受光素子10の固定を強固にすることができる。具体的には、樹脂モールド40がZ方向から見て受光素子10の側面全体を支持することにより、受光素子10の横方向(すなわち、配線基板20に対して受光素子10が横滑りする方向)に作用する外力に対して強い構造を実現できる。従って、光検出装置1によれば、受光素子10に対する外力の影響を低減できる。
【0039】
また、受光素子10には、X軸方向における最も外側に位置するブロック12と隙間Gを介してX軸方向に対向するように、受光部14を有さないダミーブロック13が設けられている。このように受光素子10の外端部に設けられたダミーブロック13は、受光素子10に対する外力を吸収する役割を果たす。これにより、受光素子10の主要部(すなわち、受光部14を有する各ブロック12)に対する外力の影響を効果的に低減できる。なお、X軸方向における最も外側に位置するブロック12(以下「外側ブロック」)とダミーブロック13との間に隙間Gを設けない構成(すなわち、外側ブロックがダミーブロック13及び隙間Gのサイズ分だけ他のブロック12よりも大きい構成)とすることも考えられる。しかし、この場合、外側ブロックと他のブロック12との間で半導体領域の大きさが異なることに起因して、外側ブロックと他のブロック12との間に特性差が生じてしまう。すなわち、外側ブロックに属する受光部14と他のブロック12に属する受光部14との間でユニフォミティ(均一性)が低下するおそれがある。一方、本実施形態のように、全てのブロック12のサイズを均一化し、基板11の外端部において生じた半端な領域(ブロック12よりも小さい領域)をダミーブロック13として利用することにより、上述したユニフォミティの低下を防ぎつつ、受光素子10の主要部に対する外力の影響を効果的に低減できる。
【0040】
また、複数の受光部14は、X軸方向に沿って一次元状に配列されており、隙間Gは、X軸方向に交差する方向(Y軸方向及びZ軸方向)に延びている。このように複数の受光部14(ブロック12)が隙間Gを介して一次元状に配列された構造(長尺構造)は、外力が働いた際に生じる応力によって折れ易い傾向があるが、受光素子10の側面全体を包囲する樹脂モールド40により、受光素子10に対する外力の影響を適切に低減できる。すなわち、上述したように受光素子10の側面全体を包囲するように樹脂モールド40を形成することにより、長尺構造の光検出装置1の信頼性を向上させることができる。
【0041】
また、樹脂モールド40は、ショア硬度がショアA80以上又はショアD30以上である樹脂材料によって形成されている。このように、適切な硬度の樹脂モールド40を形成することにより、受光素子10に対する外力を適切に吸収することが可能となる。
【0042】
また、上述した光検出装置1の製造方法によれば、上述した効果を奏する光検出装置1を容易且つ精度良く製造することができる。さらに、上記製造方法によれば、光検出装置1の製造過程においても、受光素子50に対する外力の影響を適切に低減できる。具体的には、研磨工程(第4工程)において、受光素子50及び樹脂モールド54が併せて研磨されることにより、受光素子50の側面が樹脂モールド54によって支持され、受光素子50の歪みの発生を抑制できる。
【0043】
特に、本実施形態では、第3工程において形成される樹脂モールド54の上面54aは、基板51の主面51bよりも高い位置まで達している。つまり、第3工程において、少なくとも基板51の主面51bの高さ位置まで達するように樹脂モールド54が形成される。これにより、研磨工程(第4工程)の全体を通して、受光素子50の樹脂モールド54から突出した一部のみが研磨されてしまうことがなくなる。つまり、研磨工程において、受光素子50は、基板51の側面全体が常に樹脂モールド54に支持された状態で、樹脂モールド54と併せて研磨されることになる。その結果、研磨工程における受光素子50の歪みの発生をより効果的に抑制できる。
【0044】
また、第1工程は、ドライエッチング又はウェットエッチングによりトレンチTを形成する工程を含んでいる。これにより、非常に小さい幅のトレンチTを精度良く形成でき、複数の受光部14を狭ピッチ且つ高精度に配置することが可能となる。例えば、特許文献1に記載されているように、予め個片化されたブロック(受光部14が設けられた単位検出素子)を個別に配線基板20上に配置する方式では、ブロック間の幅を上述したトレンチTの幅の精度で実現することは困難である。また、各ブロックの姿勢(高さ位置等)を揃えるために高い加工精度が要求される。一方、本実施形態では、トレンチTが形成されていない部分によって各ブロック52が一体的に連結された状態で樹脂モールド54が形成され、研磨工程において各ブロック12に個片化される。これにより、各受光部14(各ブロック12)を狭ピッチ(トレンチTの幅の精度)且つ高精度に配置することができる。
【0045】
また、第1工程において準備される受光素子50は、トレンチTにより、それぞれ受光部14を有する複数のブロック52に分けられている。そして、受光素子50には、複数のブロック52の配列方向における最も外側に位置するブロック52とトレンチTを介して配列方向に対向するように、受光部14を有さないダミーブロック53が設けられている。これにより、研磨工程を実施することによって上述したダミーブロック13を形成することができ、受光素子10の主要部(すなわち、受光部14を有する各ブロック12)に対する外力の影響を効果的に低減できる。
【0046】
また、第1工程で準備される受光素子50において、複数の受光部14は、一次元状に配列されており、トレンチTは、複数の受光部14の配列方向に交差する方向に延びている。上述したように、このように複数の受光部14(ブロック52)がトレンチTを介して一次元状に配列された構造(長尺構造)は、外力が働いた際に生じる応力によって折れ易い傾向があるが、受光素子50の側面全体を包囲するように樹脂モールド54を形成することにより、受光素子50に対する外力の影響を適切に低減できる。特に、研磨工程における受光素子50に対する外力の影響を低減できる。従って、上記製造方法によれば、長尺構造の受光素子10を備えた光検出装置1を安定して製造することができる。
【0047】
また、第3工程において、ショア硬度がショアA80以上又はショアD30以上である樹脂材料によって樹脂モールド54が形成される。これにより、樹脂モールド54の硬度を研磨に適した硬度とすることができ、研磨工程(第4工程)を円滑に実施することが可能となる。また、上述したように、研磨工程(第4工程)を経ることにより、衝撃吸収性の観点から優れた樹脂モールド40が得られる。
【0048】
また、第4工程において、少なくともトレンチTに至るまで受光素子50及び樹脂モールド54が研磨される。これにより、それぞれ受光部14を有する複数のブロック12同士を完全に分離することができる。これにより、ブロック12間のクロストークの発生を確実に防止することができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、
図8及び
図9を参照して、第2実施形態の光検出装置1Aについて説明する。光検出装置1Aは、受光素子10の代わりに受光素子100を備える点で光検出装置1と主に相違し、その他の構成については光検出装置1と同様である。受光素子100は、上述した第1実施形態の光検出装置1の製造方法において、トレンチTに到達する前に基板51及び樹脂モールド54の研磨を終了することによって得られる。受光素子100は、受光部14が形成された主面110a(第1主面)と、主面110aとは反対側の主面110b(第2主面)と、を有する。受光素子100においては、主面110b(第2主面)がトレンチTの底部(主面110b側の端部)まで到達しておらず、トレンチTが残された状態となっている。
図8及び
図9に示されるように、基板110においては、上述したような研磨によって得られた各ブロック120及び各ダミーブロック130は、トレンチTによって分けられているが、トレンチTが形成されていない部分(連結部110c)によって互いに連結されており、完全には分離(個片化)されていない。
【0050】
光検出装置1Aによれば、各ブロック120同士が完全に分離されていないものの、隣り合うブロック120間にトレンチTが形成され、連結部110cは研磨によって薄くされているため、ブロック120間のクロストークを効果的に低減できる。なお、連結部110cの厚さ(主面110bからトレンチTの底部までの距離)は例えば0.05mmであり、連結部110cの厚さとトレンチTの深さ(基板110の主面110aからトレンチTの底部までの距離)との比は例えば1:5である。また、トレンチTに至るまで受光素子50及び樹脂モールド54を研磨する場合と比較して、研磨量を低減でき、その分研磨工程を短縮することが可能となる。また、各ブロック120及び各ダミーブロック130を完全に切り離さないことにより、基板110(受光素子100)の強度を確保し易くなる。すなわち、各ブロック120及び各ダミーブロック130を完全分離した場合と比較して、受光素子100に対する外力の影響が低減される。
【0051】
(第3実施形態)
次に、
図10~
図12を参照して、第3実施形態の光検出装置1Bについて説明する。光検出装置1Bは、受光素子10の代わりに受光素子200を備える点で光検出装置1と主に相違し、その他の構成については光検出装置1と同様である。受光素子200は、二次元状に配列された複数の受光部14を有する基板210を備えている。一例として、基板210は、隙間G1,G2によって、3行3列に配置された同じ大きさの9つのブロック220と、X軸方向における両端部に3つずつ設けられた6つのダミーブロック230Aと、Y軸方向における両端部に3つずつ設けられた6つのダミーブロック230Bと、四隅の各々に設けられた4つのダミーブロック230Cと、に分離されている。一例として、各ブロック220及び各ダミーブロック230Bは、X軸方向を長手方向とする長方形板状に形成されている。各ダミーブロック230Aは、Y軸方向を長手方向とする長方形板状に形成されている。各ダミーブロック230Cは、略正方形板状に形成されている。各ブロック220には、基板210の主面210a(第1主面)に沿って1つの受光部14が設けられている。各ダミーブロック230A,230B,230Cには、受光部14は設けられていない。樹脂モールド40は、配線基板20上において、基板210の主面210b(第2主面)と連続する表面40aを有すると共に、基板210の側面全体を包囲するように形成されている。樹脂モールド40は、基板210と配線基板20との間、及び隙間G1,G2にも充填されている。
【0052】
各隙間G1は、複数のブロック220の一方の配列方向(X軸方向)に交差するY軸方向及びZ軸方向に延びている。
図10及び
図11の(a)に示されるように、X軸方向に隣り合うブロック220同士は、隙間G1によって完全に分離されている。これにより、X軸方向に隣り合うブロック220間のクロストークの発生が防止されている。隙間G1は、X軸方向における最も外側に位置するブロック220とダミーブロック230Aとの間にも設けられている。すなわち、ダミーブロック230Aは、基板210のX軸方向における両端部において、最も外側に位置するブロック220と隙間G1を介してX軸方向に対向するように設けられている。各ダミーブロック230AのY軸方向における幅は、ブロック220のY軸方向における幅と一致しており、各ダミーブロック230AのX軸方向における幅は、ブロック220のX軸方向における幅よりも小さい。
【0053】
各隙間G2は、複数のブロック220の他方の配列方向(Y軸方向)に交差するX軸方向及びZ軸方向に延びている。
図10及び
図11の(b)に示されるように、Y軸方向に隣り合うブロック220同士は、隙間G2によって完全に分離されている。これにより、Y軸方向に隣り合うブロック220間のクロストークの発生が防止されている。隙間G2は、Y軸方向における最も外側に位置するブロック220とダミーブロック230Bとの間にも設けられている。すなわち、ダミーブロック230Bは、基板210のY軸方向における両端部において、最も外側に位置するブロック220と隙間G2を介してY軸方向に対向するように設けられている。各ダミーブロック230BのX軸方向における幅は、ブロック220のX軸方向における幅と一致しており、各ダミーブロック230BのY軸方向における幅は、ブロック220のY軸方向における幅よりも小さい。
【0054】
基板210の四隅のそれぞれには、ダミーブロック230Cが設けられている。各ダミーブロック230CのX軸方向における幅は、ダミーブロック230AのX軸方向における幅と一致している。各ダミーブロック230CのY軸方向における幅は、ダミーブロック230BのY軸方向における幅と一致している。隣り合うダミーブロック230Cとダミーブロック230Aとは、隙間G2によって分離されている。隣り合うダミーブロック230Cとダミーブロック230Bとは、隙間G1によって分離されている。
【0055】
図12は、上述した光検出装置1Bの製造工程において準備される受光素子250(受光素子200となる予定の受光素子)の斜視図である。受光素子250は、上述した研磨工程(第4工程)が実施されることによって基板210となる予定の基板251を有する。基板251は、受光部14が形成された主面251a(第1主面)と、主面251aとは反対側の主面251b(第2主面)と、を有する。基板251の主面251b側の一部が研磨され、基板251が薄型化されることにより、基板210となる。受光素子250は、基板251の主面251a側において二次元状(ここでは3行3列)に配列された複数(ここでは9つ)の受光部14を有する。本実施形態では、矩形板状に形成された各受光部14の四隅において、電極パッドを介してバンプ30が予め設けられている。基板251の主面251aには、研磨工程が実施されることによってそれぞれ隙間G1,G2となる予定のトレンチT1,T2がドライエッチング又はウェットエッチングによって形成される。その後、上述した第1実施形態の光検出装置1の製造方法における第2~第4工程と同様の工程が実施されることにより、光検出装置1Bが得られる。
【0056】
光検出装置1Bによれば、上述した光検出装置1と同様の効果が奏されると共に、各受光部14を二次元状に狭ピッチ且つ高精度に配置することが可能となる。また、複数のブロック220を包囲するようにダミーブロック230A,230B,230Cが形成されることにより、受光素子200の主要部(すなわち、受光部14を有するブロック220)に対する外力の影響を効果的に低減できる。
【0057】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、各部の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。例えば、1つの受光素子の基板に設けられるブロックの形状及び個数、並びに各受光素子に対応して設けられるバンプの配置及び個数等は、上記実施形態に限定されない。
【0058】
また、
図13に示されるように、第1実施形態の光検出装置1は、受光素子10の主面11b側において、基板11(受光素子10)及び樹脂モールド40の表面(主面10a及び表面40a)を覆うように形成された被覆部60を備えてもよい。すなわち、上述した第1実施形態の光検出装置1の製造工程において、上述した研磨工程(第4工程)よりも後に、被覆部60を形成する工程が含まれてもよい。被覆部60は、例えば、樹脂モールド40と同一の樹脂材料によって形成され得る。このような被覆部60を設けることにより、受光素子10の主面11bを適切に保護することができる。また、被覆部60は、樹脂モールド40とは異なる材料によって形成されてもよい。例えばガラス等によって被覆部60を形成することにより、受光素子10に対する光のバンドパス又は透過率等を用途に合わせて調整すること等が可能となる。第2及び第3実施形態においても同様に、受光素子及び樹脂モールドの表面を覆うように被覆部60が形成されてもよい。
【0059】
上記実施形態では、1つのブロックに1つのチャネル(受光部14)が設けられたが、1つのブロックに複数のチャネルが配置されてもよい。この場合には、同一のブロック内に設けられたチャネル間でクロストークが発生するものの、ブロック間(チャネル群間)でのクロストークが隙間G又はトレンチTによって抑制される。
【0060】
上記実施形態では、
図6に示されるように、第3工程において、樹脂モールド54の上面54aが基板51の主面51bよりも高い位置まで達するように、樹脂モールド54が形成されたが、樹脂モールド54は、Z方向において少なくともトレンチTの底部(主面51b側の端部)よりも配線基板20から離れた位置まで達するように形成されればよい。この場合には、研磨工程(第4工程)における前半において、基板51のみが研磨される期間が含まれることになるが、少なくとも研磨工程の後半において、基板51及び樹脂モールド54の両方が併せて研磨されることにより、受光素子50の歪み(ひいては、研磨工程後の受光素子10の歪み)の発生を抑制できる。なお、
図8及び
図9に示した光検出装置1Aにおいては、樹脂モールドの上面に到達する前に研磨が終了する場合もあり得る。すなわち、主面110bよりも樹脂モールドの上面が低くなる場合もあり得る。このような場合においても、Z方向から見て受光素子の全周に亘って、少なくともトレンチTの底部よりも高い位置まで達した樹脂モールドが形成されるため、受光素子の横方向に作用する外力に対して強い構造を実現できる。ただし、
図8及び
図9に示した光検出装置1Aのように、基板110の主面110bと樹脂モールド40の表面40aとが連続している場合には、受光素子100に対する外力の影響をより効果的に低減できる。
【0061】
また、受光素子と配線基板とを電気的に接続するための構成については、受光素子の種類及び出力端子のレイアウト等に応じた任意の構成を採用し得る。例えば、上記実施形態では、受光素子と配線基板とを電気的に接続する手段としてバンプが用いられたが、バンプの代わりに、半田付け、導電性フィルム、導電性接着剤等の手段が用いられてもよい。また、上記実施形態では、1つの受光部(ブロック)に対して4つの出力端子(一例としてバンプ)が設けられたが、1つのブロックに対して設けられる出力端子の個数は、これに限られない。例えば、1つのブロックに対して1つの出力端子が設けられてもよいし、複数のブロックに対して共通の1つの出力端子が設けられてもよい。
【0062】
また、トレンチTは、ドライエッチング又はウェットエッチング以外の方法で形成されてもよい。例えば、トレンチTは、ダイシング加工等の機械的な加工によって形成されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,1A,1B…光検出装置、10,50,100,200,250…受光素子、11a,51a,110a,210a,251a…主面(第1主面)、11b,51b,110b,210b,251b…主面(第2主面)、12,52,120,220…ブロック、13,53,130,230A,230B,230C…ダミーブロック、14…受光部、20…配線基板(基板)、40,54…樹脂モールド、60…被覆部、G,G1,G2…隙間、T,T1,T2…トレンチ。