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特許7170641熱可塑性材料からなるプリフォームの外面の汚染除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】熱可塑性材料からなるプリフォームの外面の汚染除去方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20221107BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20221107BHJP
   B29B 11/08 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
B29C49/42
B29C49/06
B29B11/08
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019531260
(86)(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 FR2017053432
(87)【国際公開番号】W WO2018046875
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】1662321
(32)【優先日】2016-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504102770
【氏名又は名称】シデル パルティシパション
【氏名又は名称原語表記】SIDEL PARTICIPATIONS
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケテル,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】イガー,バンジャマン
(72)【発明者】
【氏名】ルトゥリエ,サンディ
(72)【発明者】
【氏名】デマール,ジェローム
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-116814(JP,A)
【文献】特表2010-507503(JP,A)
【文献】特開2016-137629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0118057(US,A1)
【文献】特表2008-546605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/42
B29C 49/06
B29B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
首部(14)を備えた中空本体(12)を含む熱可塑性材料からなるプリフォーム(10)の外面(30)の汚染除去方法であって、前記汚染除去方法は、
- プリフォーム(10)の首部(14)の外面(30)に過酸化水素(H)を凝縮により付着することからなる1つの処理工程(a)と、
- 首部(14)の外面に空気を強制循環させることによって過酸化水素(H)凝縮液(32)の一部を気化させる少なくとも1つの気化工程(b)と、
- 過酸化水素(H)を活性化するために少なくとも1つの紫外線(UV)でプリフォーム(10)の首部(14)の外面(30)を照射することからなる1つの照射工程(c)と、
を連続して含んでいる、汚染除去方法。
【請求項2】
処理工程(a)が、過酸化水素(H)の凝縮温度(Tc)未満の温度を有するプリフォーム(10)の首部(14)で実施されることを特徴とする、請求項1に記載の汚染除去方法。
【請求項3】
気化工程(b)が、過酸化水素(H)の凝縮液の少なくとも一部を気化させるために空気の乾燥によって実施されることを特徴とする、請求項1または2に記載の汚染除去方法。
【請求項4】
気化工程(b)のときに乾燥のために使用される乾燥空気の温度が60°C未満であることを特徴とする、請求項3に記載の汚染除去方法。
【請求項5】
気化工程(b)のときに乾燥のために使用される乾燥空気の温度が20°C~55°Cであることを特徴とする、請求項4に記載の汚染除去方法。
【請求項6】
気化工程(b)のときに乾燥のために使用される乾燥空気の温度が40°Cであることを特徴とする、請求項5に記載の汚染除去方法。
【請求項7】
気化工程(b)のときに乾燥のために使用される乾燥空気が、炉(102)内で循環されることを特徴とする、請求項3から6のいずれか一項に記載の汚染除去方法。
【請求項8】
気化工程(b)のときに乾燥のために使用される乾燥空気が、炉(102)内のプリフォーム(10)の首部(14)を冷却するために使用した後に再利用されることを特徴とする、請求項7に記載の汚染除去方法。
【請求項9】
プリフォーム(10)の内面(28)を汚染除去するためにプリフォームの内部で過酸化水素(H)を凝縮により付着することからなる別の処理工程を含んでいることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の汚染除去方法。
【請求項10】
プリフォームの首部(14)の外面(30)の処理工程(a)が、前記別の処理工程と同時に、あるいはこの処理工程の前または後に実施されることを特徴とする、請求項9に記載の汚染除去方法。
【請求項11】
照射工程(c)が、プリフォームの熱調整炉(102)内での本体(12)の少なくとも1つの加熱工程後に実施されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の汚染除去方法。
【請求項12】
照射工程(c)が、プリフォーム(10)の外面(30)で実施されることを特徴とする、請求項11に記載の汚染除去方法。
【請求項13】
- 搬送行程に沿って搬送方向にプリフォーム(10)を移送するためのコンベヤ手段(105)と、
- プリフォーム(10)の首部(14)の外面(30)に過酸化水素(H)を凝縮により付着するように構成された外側汚染除去装置(204)と、
- 搬送方向に外側汚染除去装置(204)の下流に配置された気化手段(106)であって、首部の外面に空気を強制循環させる発生器を含んで過酸化水素の凝縮液の一部を気化させるように構成されている、気化手段(106)と、
- 搬送方向に気化手段(106)の下流に配置された紫外線照射手段(108)であって、プリフォーム(10)の外面(30)を照射するように構成された、紫外線照射手段(108)と、
を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の汚染除去方法を実施するための設備(100)。
【請求項14】
さらに、
- プリフォーム(10)の内面に過酸化水素(H)を凝縮により付着するように構成された内側汚染除去装置(202)であって、外側汚染除去装置(204)とは別の内側汚染除去装置(202)と、
- 内側汚染除去装置(202)と外側汚染除去装置(204)とに同時に接続される過酸化水素(H)のガスフロー調製装置と、
を含んでいる、請求項13に記載の設備。
【請求項15】
コンベヤ手段(105)が、搬送されるプリフォームを把持する少なくとも1つのマンドレルを備え、コンベヤ手段(105)は、搬送されるプリフォームの開口部に入って前記プリフォームの開口部の全体または主要部分を遮蔽するように前記マンドレルが構成された、装着領域を有し、
内側汚染除去装置(202)は、マンドレルがプリフォームの開口部を遮蔽する前にプリフォーム(10)に作用するように装着領域の上流に配置されている、請求項14に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航熱可塑性材料からなるプリフォームの外面の汚染除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造設備内での容器加工を意図した熱可塑性材料からなるプリフォームの汚染除去方法は、従来技術から数々の例が知られている。
【0003】
従来技術では、プリフォームの内面を汚染除去するための汚染除去方法と、プリフォームの外面、特にプリフォームの首部を汚染除去するための汚染除去方法とが区別されている。
【0004】
欧州特許第2094312号明細書は、汚染を除去した熱可塑性材料からなるプリフォームから容器を製造するための設備、特に、このような設備に装備されるプリフォームの熱調整炉を記載している。
【0005】
この文献の開示によれば、炉は、プリフォームの第1の加熱領域いわゆる浸透領域の後の加熱行程に配置された紫外線放射による汚染除去手段を含んでいる。
【0006】
そこでは、たとえばランプにより放射される紫外線(UV)を用いてプリフォームの首部の少なくとも外面を照射することで汚染除去が実施される。
【0007】
紫外線などを用いて得られる首部の汚染除去は汚染除去度を高めるが、完全に満足のいくものではない。
【0008】
紫外線により得られる首部の外面の汚染除去は、紫外線が深く浸透しないので、その表面性を理由として制限される。
【0009】
実際、微生物の集積を仮定すると、問題は、この集積の表面にある微生物すなわち上にある微生物だけが紫外線により有効に照射されることにある。
【0010】
このような集積の表面にある微生物は、集積の下にある他の微生物を紫外線から保護する遮蔽物を形成するので、これらの他の微生物は少ししか照射されないか、または全く照射されない。
【0011】
さらに、陰影現象が発生しうるので、紫外線では表面の完全な汚染除去を保証することはできない。ところで、これは特にプリフォームの首部の外面に該当する。
【0012】
射出成形により得られるプリフォームの首部は、実際、その最終的な形状すなわち容器の首部の形状を有する。
【0013】
首部は、後段でキャップによる容器閉鎖を可能にするために、たとえばねじ山を備える。その結果、外面がなめらかなプリフォーム本体に比べて、首部の外面は陰影現象を理由として照射が難しい。
【0014】
紫外線照射は、たとえば過酸化水素(H)によって得られる化学的な汚染除去よりも、カビ等のいくつかのタイプの微生物に対する有効性が低い。
【0015】
炉内でのプリフォームの熱調整時には本体だけが加熱される一方で、首部は変形しないように冷却され、後段で容器を閉鎖できないということがないようにされる。
【0016】
当業者にとって、過酸化水素を活性化するためにプリフォームの首部を加熱できないという事実は障害になっている。そのため、首部の汚染除去は、過酸化水素をさらに用いる化学的な汚染除去によってではなく紫外線を用いた照射により実施されている。
【0017】
一方、国際公開第03/084818号パンフレットは、容器製造のための熱可塑性材料からなるプリフォームの首部の、過酸化水素を用いた汚染除去方法を記載している。
【0018】
この汚染除去方法は、過酸化水素のミストの中に首部を通過させ、次いで、その直後に、あらかじめ決められた最低時間にわたって、過酸化水素で濡れた首部を紫外線作用にさらすことからなる。
【0019】
しかしながら、このような汚染除去方法は、以下に述べる様々な詳しい理由から完全に満足を与えるものではない。
【0020】
紫外線のあらかじめ決められた最低照射時間は、特に容器製造設備の生産速度に適合しない。この文献に記載された例によれば、持続時間はたとえば1%の過酸化水素溶液では少なくとも約8秒間である。
【0021】
最終容器に存在する殺菌剤の残留量は、適用される規制を順守するものでなければならず、そのため、汚染除去後は過酸化水素等の殺菌剤を除去できなければならない。
【0022】
したがって、この汚染除去方法によれば、ミストの過酸化水素濃度を必然的にごく薄くして、特に、汚染除去されたプリフォームから製造された容器に許容閾値を超える過酸化水素残留量が残らないようにしなければならない。
【0023】
その結果、得られた首部の外面の汚染除去は満足のいくものではない。
【0024】
このような汚染除去方法は、特に、紫外線を用いた照射だけで実施される上記欧州特許第2094312号明細書の開示による首部外面の汚染除去に比べて過酸化水素の残留量を著しく増す原因になり、その一方で汚染除去度を著しく改善可能にすることはできない。
【0025】
しかも、過酸化水素のミストは多数の小滴の形状で前記外面にたまり、小滴の間には被覆されていない領域が残ってしまうので、プリフォームの首部の外面はもはや均質に被覆されない。
【0026】
一般に、特に農産物加工品のコンディショニングのためには、汚染除去度をさらに、かつ常に高めることが求められている。
【0027】
したがって、得られた汚染除去度を改善する新しい解決方法と、プリフォームの外面、特に限定的ではないがプリフォームの首部の外面の汚染除去操作時に破壊される微生物のタイプとが研究されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【文献】欧州特許第2094312号明細書
【文献】国際公開第03/084818号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の目的は、特に、従来技術の不都合の少なくとも一部を解決するとともに、プリフォームの首部の外面の汚染除去を特に改善することによって、過酸化水素の残留量に関する現行規制を順守しながら汚染除去度がこれまでよりも高い容器を製造可能な、新しい汚染除去方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
このため、本発明は、首部を備えた中空本体を含む熱可塑性材料からなるプリフォームの外面の汚染除去方法を提案し、前記汚染除去方法は、
- プリフォームの少なくとも首部の外面に過酸化水素を凝縮により付着することからなる少なくとも1つの処理工程と、
- 首部の少なくとも外面に空気を強制循環させることによって過酸化水素凝縮液の一部を気化させる少なくとも1つの気化工程と、
- 過酸化水素を活性化するために少なくとも1つの紫外線でプリフォームの首部の少なくとも外面を照射することからなる少なくとも1つの照射工程と、
を連続して含む。
【0031】
欧州特許第2094312号明細書に記載された照射により得られる首部の汚染除去に比べて、凝縮液の過酸化水素は微生物の集積の中心に浸透するので、紫外線のような表面作用に限定されない。
【0032】
国際公開第03/084818号パンフレットの開示によるミストの形状での過酸化水素の付与に比べると、処理工程時の凝縮による付着は、過酸化水素の蒸気膜からなる凝縮液で外面全体を均質に被覆することができる。
【0033】
実際、国際公開第03/084818号パンフレットのプリフォームを通過するミストは、プリフォームに遭遇する直前は液体の小滴から構成される。ミストの温度条件および圧力条件は凝縮温度を下回る。液体の小滴はすでに凝縮され、ミスト中で懸濁している。プリフォームがミストを通過すると、懸濁している小敵が直接プリフォームを濡らし、比較的大きい滴として凝集される。
【0034】
それに対して、本発明では、過酸化水素の付着が「プリフォーム表面での凝縮によって」実施されるので、プリフォームに遭遇する前の前記過酸化水素はガス状であり、すなわち、Hの凝縮温度を上回る温度条件と圧力条件にある。プリフォームはHの凝縮温度よりも低い温度にあるので、Hのガスとプリフォームとが接触する瞬間にしか凝縮が起きない。本発明におけるH付着モードのこうした相違の技術的な効果は、付着したHがプリフォーム上で蒸気膜となること、すなわち、蒸気の液体粒子の大きさが非常に小さいことにある。蒸気の液体粒子は、プリフォーム表面と接触したときしか形成されないので、より大きな滴として凝集されない。蒸気は、均質な膜を形成する。
【0035】
本発明による汚染除去方法では、過酸化水素凝縮液の紫外線を用いた照射工程に従う活性化が、蒸気膜の凝縮による付着直後に実施されず、すなわち処理工程と連続して実施されない。
【0036】
本発明によれば、前記処理工程と照射行程との間に気化工程が実施される。
【0037】
気化工程は、プリフォームの外面、特に首部の外面だけを被覆する凝縮液中の過酸化水素の濃度を徐々に上げることができる。気化工程は、空気の自然対流またはプリフォームの搬送ではなく空気の強制循環で行われるので、外部の諸条件に依存せずに気化レベルを制御することができる。
【0038】
過酸化水素濃度が徐々に上がると、表面に存在する微生物が弱体化し、これによって微生物の脆弱性を高める効果が生じる。
【0039】
プリフォームの外面に凝縮液を形成するために気化されて使用される過酸化水素の最初の濃度が高くなくても、気化工程によって高濃度の過酸化水素が得られる。
【0040】
国際公開第03/084818号パンフレットに記載された汚染除去方法と比べると、この気化工程は、過酸化水素の濃度をそれほど上げずに汚染除去度を高めることができる主要工程である。
【0041】
気化工程は同様に、過酸化水素凝縮液の一部を除去し、進行中の汚染除去と同時に殺菌剤の除去開始を開始する。これにより、紫外線照射後のプリフォームの残留殺菌剤の量を制御することができる。しかしながら、凝縮液の一部だけを気化することによって、紫外線(UV)照射にさらされる殺菌剤の量を同様に制御することができる。
【0042】
有利には、本発明による汚染除去方法の連続工程が「酸化ストレスを引き起こし、これは、汚染除去方法の間中ずっと照射工程まで徐々に増えていく。
【0043】
その結果、照射工程では、気化工程の際に生じた過酸化水素濃度の上昇により、微生物があらかじめ脆弱化されている。
【0044】
有利には、照射工程時、紫外線による外面の照射は、過酸化水素を活性化するのに必要なエネルギーをもたらす役目を果たす。
【0045】
紫外線によりもたらされたエネルギーは過酸化水素(H)の不均化反応を生じ、その2つの分子(2H)は、2個の水分子(2HO)と1個の二酸素(O)とに分解される。
【0046】
反応中にフリーラジカルが形成され、その場合、これらのフリーラジカルが微生物を破壊しようとするので、それによって、プリフォームの外面、特に首部の外面の汚染除去が得られる。
【0047】
紫外線によりもたらされるエネルギーによって、過酸化水素凝縮液の状態が液体状態からガス状態へと変化し、前記過酸化水素を活性化させる一方でまた、この過酸化水素を除去する。
【0048】
本発明の他の特徴によれば、
- 処理工程が、過酸化水素の凝縮温度未満の温度を有するプリフォームの少なくとも首部で実施される。
【0049】
- 気化工程が、過酸化水素凝縮液の少なくとも一部を気化させるために空気乾燥によって実施される。
【0050】
- 気化工程のときに乾燥のために使用される空気の温度が60°C未満、好ましくは20°C~55°C、有利には約40°Cである。
【0051】
- 気化工程のときに乾燥のために使用される空気が、少なくともプリフォームの首部を冷却するために炉内で循環される冷却空気である。
【0052】
- 気化工程のときに乾燥のために使用される空気は、少なくともプリフォームの一部を冷却するために使用された後で再利用される、冷却空気よりも高温の空気から構成される。
【0053】
- この方法は、プリフォームの内面を汚染除去するためにプリフォームの内部で過酸化水素を凝縮により付着することからなる別の処理工程を含んでいる。
【0054】
- プリフォームの首部の少なくとも外面の処理工程が、前記別の処理工程と同時に、あるいはこの処理工程の前または後に実施される。
【0055】
- 照射工程が、プリフォームの熱調整炉内での本体の少なくとも1つの加熱工程後に実施される。
【0056】
- 照射工程が、プリフォームの外面で実施される。
【0057】
別の1つの側面によれば、本発明は、この方法を実施するための設備を対象とし、この設備は、
- 搬送行程に沿って搬送方向にプリフォームを移送するためのコンベヤ手段と、
- プリフォームの外面に過酸化水素(H)を凝縮により付着するように構成された外側汚染除去装置と、
- 搬送方向に外側汚染除去装置の下流に配置された気化手段であって、過酸化水素の凝縮液の一部を気化させるように構成された、気化手段と、
- 搬送方向に気化手段の下流に配置された紫外線照射手段であって、プリフォームの外面を照射するように構成された、紫外線照射手段と、
を含む。
【0058】
1つの特定の実施形態によれば、設備はさらに、
- プリフォームの内面に過酸化水素(H)を凝縮により付着するように構成された内側汚染除去装置を含み、該内側汚染除去装置は、外側汚染除去装置とは別のものである。設備は、内側汚染除去装置と外側汚染除去装置とに同時に接続される過酸化水素(H)のガスフロー調製装置を含む。
【0059】
この特定の実施形態は、過酸化水素のガスフローの発生器がたった1つだけで、内面と外面で別々に凝縮を調節できるという長所を有する。実際、プリフォームの内側の汚染除去は、過酸化水素の活性化操作の終わりに残留過酸化水素がなくなるか、または、液体飲料ボトル用等のプリフォームがめざす用途での最大許容量未満の量になるように、最適化しなければならない。このように期待される目標は、赤外線単独、または紫外線、または赤外線と紫外線(UV)との組み合わせによる過酸化水素の活性化モードに応じて多少とも制約を受ける。それに対して、プリフォームの外側の汚染除去は、ねじ山を備えた首部の表面等の、なめらかでない表面に対して有効であるように最適化しなければならない。さらに、こうした外面における過酸化水素の活性化は、過酸化水素を活性化するために赤外線を使えない場合、最適化が一段と難しくなるが、プリフォームの首部の場合がまさにそれにあたる。内面と外面に別々に過酸化水素を付着することによって、この2つの汚染除去に特有の制約に応じて各々の付着操作を最適化することができる。
【0060】
外面に付着する過酸化物の凝縮液の一部を気化すれば、潜在的な細菌に作用する過酸化物の濃度を高めることができ、紫外線による低温での活性化がより早くかつ有効になる。
【0061】
有利には、コンベヤ手段が、搬送されるプリフォームを把持する少なくとも1つのマンドレルを備え、コンベヤ手段は、搬送されるプリフォームの開口部に入って前記プリフォームの開口部の全体または主要部分を遮蔽するように前記マンドレルが構成された、装着領域を有する。内側汚染除去装置は、マンドレルがプリフォームの開口部を遮蔽する前にプリフォームに作用するように装着領域の上流に配置され、および/または、外側汚染除去装置が装着領域の下流に配置される。これによって、外面への過酸化水素の付着が内面への過酸化物の付着に一切影響を及ぼさないようにすることができるので、2つの汚染除去の分離制御が容易になる。
【0062】
さらに別の側面によれば、本発明は、一連のプリフォームを含むシステムと、この一連のプリフォームの汚染除去設備とを対象とし、この設備は、
- 搬送行程に沿って搬送方向にプリフォームを移送するためのコンベヤ手段と、
- ガス状態の過酸化水素の発生器と、
- 過酸化水素の凝縮温度未満の温度で一連のプリフォームを受け取る外側汚染除去装置であって、ガス状態の過酸化水素の発生器に接続され、プリフォームの外面に過酸化水素(H)を凝縮により付着するように構成された外側汚染除去装置と、
- 搬送方向に外側汚染除去装置の下流に配置され、プリフォームの外面を照射するように構成された、紫外線照射手段と、
を含む。
【0063】
本発明の他の特徴および長所は、理解のために添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】プリフォームの1つの実施例、次いで、本発明によるこのようなプリフォームの外面の汚染除去方法の工程(a)、(b)、(c)を連続して示す概略図である。
図2】汚染除去システムと熱調整炉とを含む容器製造設備の一部を概略的に示し、本発明による汚染除去方法の第1の実施例を示す上面図である。
図3図2と同様に容器製造設備の一部を概略的に示し、本発明による汚染除去方法の第2の実施例を示す上面図である。
図4】上記図2および図3と同様に容器製造設備の一部を概略的に示し、本発明による汚染除去方法の第3の実施例を示す上面図である。
図5】上記図2から図4と同様に容器製造設備の一部を概略的に示し、本発明による汚染除去方法の第4の実施例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下の説明では、限定的ではないが、図示された3方向(L、V、T)に関して長手方向、垂直方向、横方向とする。
【0066】
同じく限定的ではないが、長手方向に関して「前方」および「後方」、垂直方向に関して「上方」および「下方」または「上」および「下」、また、横方向に関して「左」および「右」という用語を使用する。
【0067】
「内側」または「外側」および「内」または「外」という用語は、それぞれ、中空本体を含むプリフォームまたは容器に対して使用され、一般にはプリフォームまたは容器の中または外に配置される要素を指す。
【0068】
図1では、熱可塑性材料からなるプリフォーム10の1つの実施例を示し、次いで、前記プリフォーム10が、それぞれ、本発明による熱可塑性材料からなるプリフォームの外面の汚染除去方法に従う連続工程(a)、(b)、(c)を示している。
【0069】
図1に図示した実施例によれば、プリフォーム10は主に中空本体12を含み、該本体は、首部14を備え、垂直方向の軸Oに沿って延びている。
【0070】
プリフォーム10の本体12は、一端が底部16により閉じられ、他端は、首部14のエッジ20(飲み口とも呼ばれる)により画定される開口部18を含む。
【0071】
好ましくは、プリフォーム10は、本体12と首部14との接合位置で半径方向外側に突出して延びるカラー22を含む。
【0072】
このようなプリフォーム10は、熱可塑性材料特にPET(ポリエチレン-テレフタレート)の射出成形によりあらかじめ製造されるので、首部14は、その最終的な形状すなわち容器の首部の形状を有する。
【0073】
この実施例では、首部14は、ねじ山24を備え、係合ねじ付きのキャップにより後段で容器を閉鎖することができる。
【0074】
図1では、プリフォーム10は、いわゆる「首部が上向き」の位置を占有している。プリフォーム10は、カラー22の下面が当接する支持手段25を介して支持されている。
【0075】
プリフォーム10は、首部14においてカラー22とねじ山24との間で配置される環状溝26を含む。
【0076】
プリフォーム10は、底部16から開口部18を画定する首部14のエッジ20までそれぞれ延びる、内面28と外面30とを含む。
【0077】
プリフォーム10の外面30は、一方では、本体12の外面に対応する部分を、他方では、首部14の外面に対応する部分を含む。
【0078】
この汚染除去方法は、特に、プリフォーム10の外面30を汚染除去することをめざしている。
【0079】
プリフォーム10の首部14の外面30の汚染除去が特に求められており、これは、本体12に比べて、一方では、内面28に通じる首部14の開口部18と首部の外面とが近いこと、他方では、容器製造時に首部14が加熱されないことを理由とする。
【0080】
プリフォーム10の熱調整に際し、本体12の加熱は、一般にガラス転移温度よりも高い温度、たとえば80°C~100°Cで行われる。この加熱は、本体12の対応する外面30の部分に存在する微生物の少なくとも一部、特に加熱に対する脆弱性を有する微生物の破壊に寄与する。
【0081】
したがって、上記の理由から、外面30の汚染除去は、限定的ではないが特に、プリフォーム10の首部14の汚染除去の改善をめざしている。
【0082】
本発明による汚染除去方法の目的は、首部14を備えた中空の本体12を含む、熱可塑性材料からなるプリフォーム10の外面30を汚染除去することにある。
【0083】
このため、汚染除去方法は、
- プリフォーム10の少なくとも首部14の外面30に過酸化水素(H)を凝縮により付着することからなる少なくとも1つの処理工程(a)と、
- 過酸化水素(H)の凝縮液32の一部を気化させる少なくとも1つの気化工程(b)と、
- 過酸化水素(H)を活性化するために少なくとも1つの紫外線(UV)でプリフォーム10の外面30を照射することからなる少なくとも1つの照射工程(c)と、
を連続して含む。
【0084】
図1の左側に図示したプリフォーム10と比べて、隣接するプリフォーム10は、汚染除去方法の工程(a)に際して処理を行っている最中である。
【0085】
前記凝縮液32を形成する蒸気膜の凝縮による付着を得るために、ガス状態にある過酸化水素(H)のフローFsが、過酸化水素(H)の凝縮温度未満の温度を有するプリフォーム10に吹き付けられる。
【0086】
有利には、プリフォーム10の温度は、前記蒸気膜を得るように過酸化水素(H)の露点未満である。
【0087】
前記工程(a)の終わりにプリフォーム10の外面30を被覆する凝縮液32は、蒸気膜の形状をとるので、図1では示されていない。
【0088】
好ましくは、フローFsの吹き付けは、たとえば図1の工程(a)に概略的に示したようなエンクロージャによって少なくとも部分的に閉鎖された所定の処理スペース内で実施される。
【0089】
プリフォーム10の外面30の処理工程(a)は、プリフォーム10の内面28の汚染除去方法の別の処理工程と同時あるいは前か後に実施可能である。
【0090】
過酸化水素(H)の凝縮液32の一部分を気化させる第2の工程(b)に対しては、たとえば空気乾燥が実施され、プリフォーム10の外面30を被覆する凝縮液32の一部を気化させる。
【0091】
有利には、プリフォームの首部14の外面30を被覆する凝縮液32を気化させるために空気乾燥が使用される。
【0092】
このような空気乾燥は、同様に、プリフォーム10の本体12の外面30を被覆する凝縮液32の気化にも適用できる。
【0093】
プリフォーム10の本体12の外面30を被覆する凝縮液32の気化は、同様に、実施される照射による加熱だけで、または空気乾燥と組み合わせて得られる。
【0094】
有利には、気化工程(b)は、プリフォーム10の外面30を均質に被覆する凝縮液32内の過酸化水素の濃度を徐々に上昇させることができる。
【0095】
過酸化水素(H)の濃度が徐々に上昇すると、外面30に存在する微生物を弱体化させてその脆弱性を増す効果があり、これによって、その後、この濃度上昇は微生物の破壊増加に寄与し、最終的に汚染除去の改善をうながす。
【0096】
以下、図2から図5を参照しながら詳しく説明する実施例では、気化工程(b)で乾燥のために使用される空気は、プリフォーム10の熱調整炉内で循環する冷却空気である。
【0097】
有利には、気化工程(b)で乾燥のために使用される空気は、プリフォーム10の少なくとも一部を冷却するために使用された後で再利用される、冷却空気の温度よりも高温の空気を有する。
【0098】
凝縮液32の気化工程(b)で乾燥のために使用される空気は、60°C未満であり、好ましくは20°C~55°Cの温度を有する。
【0099】
有利には、気化工程(b)のために使用される乾燥空気の温度は、約40°Cである。
【0100】
図1に示したように、紫外線(UV)による照射行程(c)は、過酸化水素の凝縮液32の残りの部分すなわち気化されていない部分を活性化するためにプリフォーム10の外面30全体で実施される。
【0101】
この汚染除去方法は、熱可塑性材料からなるプリフォーム10からの容器製造設備100で利用することができる。
【0102】
図2から図5の各図では、このような熱可塑性材料からなるプリフォーム10からの容器製造設備100の一例を部分的に示した。
【0103】
図2から図5は、設備100で本発明による汚染除去方法を実施するための様々な実施例を示すための図である。
【0104】
図で概略的に示したように、設備100は、プリフォーム10を熱調整するための少なくとも1つの炉102を含む。
【0105】
プリフォーム10の本体12だけが設備100の炉102で熱調整され、その構成材料を柔らかくされて容器に加工される。
【0106】
加熱されたプリフォーム10の本体12は、その後、設備100がを含む成形装置(ブロー成形装置とも呼ばれる)内で容器に加工され、前記成形装置(図示せず)は、炉102の下流に配置される。
【0107】
公知のように、このような設備100は、プリフォーム10または容器を移送することを保証するために各々が首部の把持クリップを備えた移送アームをたとえば含む、1つまたは複数のホイール等の移送手段を含んでいる。
【0108】
成形装置は、カルーセル上に周方向に配分された成形ユニットを含み、各ユニットは、ブロー成形または延伸ブロー成形により少なくとも1つのプリフォームを容器に加工するように構成されている。
【0109】
好ましくは、設備100は、成形装置の下流に配置された少なくとも1つの容器充填装置(図示せず)を含む。設備100の設計に応じて、ラベル貼付装置が充填装置の下流に配置され、または変形実施形態では成形装置と充填装置との間に配置される。
【0110】
図2から図5に図示した実施例では、炉102が欧州特許第2094312号明細書に記載かつ図示されたものと類似する構造である。さらなる詳細については、この文献を参照することが有利であろう。
【0111】
炉102は、加熱手段104と冷却手段106の組み合わせを少なくとも含む。
【0112】
加熱手段104および冷却手段106は、炉102の入口Eと出口Sとの間でプリフォーム10が通る「U」字形の加熱行程の少なくとも一部に配置される。
【0113】
炉102は、前記加熱行程に沿ってプリフォーム10を移送するためのコンベヤ手段105を含む。
【0114】
このようなコンベヤ手段105のいくつかの実施例が知られており、該コンベヤ手段は、たとえば、首部14の内部からプリフォーム10を把持してプリフォーム10をそれらの軸Oを中心としてそれ自体個々に運ぶことが可能な把持手段を支持する、少なくとも1つのチェーンを含む(「回転台」とも呼ばれる)。
【0115】
好ましくは、コンベヤ手段105によって、いわゆる「首部が下向き」の位置でプリフォーム10が炉102内に移送される。
【0116】
限定的ではなく例として、炉内へのプリフォームのこのようなコンベヤ手段を記載かつ図示している国際公開第00/48819号パンフレットを参照することができる。
【0117】
そのため、実施例では、炉102が、浸透区間ともいわれる第1の加熱区間「I」、次いで第2のいわば安定化区間「II」、および、分配区間ともいわれる第3の加熱区間「III」を連続して含む。
【0118】
加熱区間104は、たとえば赤外線ランプから構成される。
【0119】
冷却手段106は、概略的にプロペラの形状で示されており、あらかじめ濾過された空気フローFaを用いてプリフォーム10の本体12および首部14を冷却するように構成されている。
【0120】
各プリフォーム10の本体12の空気冷却は、特にプリフォームの外面30の表面材料層を過度に熱することなしに、プリフォーム10の壁厚全体での均質な加熱に有利に働くようにするためのものである。
【0121】
冷却空気は、加熱手段104により引き起こされる対流熱を排出し、材料の厚み内への放射赤外線の浸透をうながすことによって、特に本体12を介して外面30と内面28との間で勾配を設定可能である。
【0122】
冷却空気は同様に、プリフォーム10の首部14を冷却するために使用され、後段で容器の打栓を危うくしうるあらゆる変形を回避する。
【0123】
従来技術では様々な設計が知られており、炉102の冷却手段106は、一方では、本体12に、他方では、首部14に冷却空気フローFaを送ることが可能な少なくとも1つの空気冷却回路を含む。
【0124】
炉102は、さらに、紫外線(UV)を放射可能な照射手段108を含む。
【0125】
図2から図5に示したように、照射手段108は、炉102の第2の安定化区間「II」の全部または一部に配置される。
【0126】
照射手段108は、プリフォーム10の首部14の外面30を少なくとも照射し、有利には本体12の外面を同様に照射するように構成される。
【0127】
設備100は、熱可塑性材料からなるプリフォーム10の汚染除去システム200を含む。
【0128】
好ましくは、汚染除去システム200は、内面28全体の汚染除去を実施するために各プリフォーム10の内部に過酸化水素(H)を含有する蒸気膜を凝縮により付着可能な、少なくとも1つのいわゆる「内側」汚染除去装置202を含む。
【0129】
有利には、プリフォーム10の内面28の汚染除去装置202が、欧州特許第1896245号明細書に記載された汚染除去方法の開示内容を実施可能である。
【0130】
欧州特許第1896245号は、PREDIS(R)によって本出願人がそもそも開発したプリフォーム内面の汚染除去方法と、これらのプリフォームからの容器製造設備とを記載している。
【0131】
最初の工程によれば、過酸化水素(H)の凝縮を得るために、プリフォーム10が過酸化水素(H)の凝縮温度(Tc)未満の温度を有するかどうか確認する。
【0132】
汚染除去システム200の内側汚染除去装置202に導入されるプリフォーム10は室温にあり、その結果、該温度は、過酸化水素(H)の凝縮温度(Tc)未満である。
【0133】
この汚染除去方法の1つの工程によれば、汚染除去装置202は、プリフォーム10の内部に過酸化水素(H)を含有する蒸気ジェットを吹き付け、そうすると内面28が均質な蒸気膜を形成する凝縮液で覆われる。
【0134】
その後、プリフォーム10は炉102に移送され、プリフォーム10の本体12が、炉102の加熱手段104が放射する放射線によって加熱される。
【0135】
第1の加熱区間「I」で付与される加熱によって、本体12と、プリフォーム10の内部に含まれる空気とを、約摂氏七十度(70°C)の過酸化水素(H)の活性化温度(Ta)より高温にすることができる。
【0136】
汚染除去装置202のさらなる詳細については、このようなプリフォーム内部の汚染除去装置を含む殺菌容器、特にボトルの製造設備を記載した欧州特許第1896329号明細書を同様に参照することが有利であろう。
【0137】
より高い汚染除去度での容器製造を保証可能にするために、本発明によれば、プリフォーム10の外面30の汚染除去を同様に実施する。
【0138】
外面30、特に首部14の外面の汚染除去により、設備100内で非常に清潔な環境を保持しながらプリフォーム10のいくつかの汚染リスクを回避することができる。
【0139】
図1に関して先に説明したように、この汚染除去方法は、プリフォーム10の外面30に過酸化水素(H)の凝縮液32を凝縮により付着することからなる処理工程(a)を含む。
【0140】
図2に示した第1の実施例では、設備100の汚染除去システム200が、プリフォーム10の外面30の処理工程(a)を実施可能な、いわゆる外側の汚染除去装置204を含む。
【0141】
有利には、図2に示したように、外面30の処理工程(a)が、内面28の処理工程と同時に実施される。
【0142】
汚染除去装置202および204は、炉102の上流に一緒にまとめられているので、過酸化水素(H)のフロー(Fs)の調製のために利用される手段を共有することができる。
【0143】
図2の第1の実施例によれば、プリフォーム10が入口Eから炉102に入ると、前記プリフォーム10は、一方では、外面30を被覆する過酸化水素(H)の凝縮液32を含み、他方では、内面28を被覆する別の凝縮液を含む。
【0144】
その場合、プリフォーム10は、プリフォームの外面30を被覆する過酸化水素(H)の凝縮液32の少なくとも一部の気化工程(b)が実施される第1の加熱区間「I」を通過する。
【0145】
プリフォーム10の首部14に対して、凝縮液32の一部は空気乾燥により気化される。
【0146】
気化工程(b)で乾燥のために使用される空気の温度は、60°C未満であり、好ましくは20°C~55°C、有利には約40°Cである。
【0147】
気化工程(b)で乾燥のために使用される空気は、特にプリフォーム10の首部14を冷却するために炉102内で循環する、濾過された冷却空気から構成される。
【0148】
所望の温度の空気を得るために、気化工程(b)で乾燥のために使用される空気は、たとえば、プリフォーム10の少なくとも一部を冷却するために使用された後で再利用される、冷却空気の当初の温度よりも高温を有する空気から全部または一部が構成される。
【0149】
首部14同様に本体12に対しても、外面の凝縮液32の気化は、図1の工程(b)で空気フローFaにより示したように冷却空気を用いて乾燥により得られる。
【0150】
本体12に対して、気化は、加熱手段104が発生する放射による加熱によって同様に得られ、該加熱手段は、外面30を被覆する凝縮液32の一部の気化に寄与する一方でまた、プリフォーム10の内面28を被覆するために汚染除去装置202により内部に配置される凝縮液の気化を生じる。
【0151】
したがって、気化工程(b)は、プリフォーム10の本体12の外面30に付着した過酸化水素(H)の少なくとも一部を気化させるために、少なくとも加熱によって実施される。
【0152】
過酸化水素(H)を活性化させるために少なくとも1つの紫外線(UV)でプリフォームの外面30を照射することからなる照射工程(c)は、紫外線(UV)を放射する照射手段108が内部に配置される炉102の第2の安定化区間「II」で実施される。
【0153】
図1の工程(c)で示したように、照射手段108により放射される紫外線(UV)は、有利には、各プリフォーム10の外面30に当てられる。
【0154】
図示されていない変形実施形態では、照射手段108により放射される紫外線(UV)が、各プリフォーム10の首部14の外面30だけに当てられる。
【0155】
照射工程(c)によって、気化工程(b)で気化されなかった過酸化水素(H)の凝縮液32の残りの部分を活性化することができる。
【0156】
以下、図3から図5による汚染除去方法の実施例を上記図2と比較しながら説明する。
【0157】
図3で図示した例では、汚染除去装置204による外面30の処理工程(a)が、プリフォーム10の内面28の処理工程と同時ではなく前に実施される。
【0158】
有利には、過酸化水素(H)のフローFsの調製手段を依然として共有可能であるが、プリフォーム10の首部14、次いで本体12の処理を連続して行うことによって付与を最適化している。
【0159】
図4の実施例では、プリフォーム10の外面30の処理工程(a)が、内面28の処理工程の後に実施される。
【0160】
この実施例によれば、処理工程(a)は、容器製造設備100のプリフォーム10の熱調節炉102の入口Eで実施される。
【0161】
汚染除去装置204は、炉102内のプリフォーム10の加熱行程の入口に配置されるので、外面30の処理工程(a)は、内面28の処理工程の後に実施される。
【0162】
有利には、過酸化水素(H)の凝縮液32の外面30を被覆するためにフローFsが吹き付けられる処理スペースの上に、吸入手段(図示せず)が配置される。
【0163】
図5の実施例では、処理工程(a)が、内面28の処理工程後かつプリフォーム10の少なくとも1つの加熱工程後に実施される。
【0164】
処理工程(a)の実施のための汚染除去装置204は、プリフォーム10の熱調節炉102の第2の区間「II」に配置される。
【0165】
この実施例では、処理工程(a)のために、炉102の加熱行程の第1の区間「I」で本体12が加熱されてからすぐに、過酸化水素(H)のフローFsが凝縮液32の形態でプリフォーム10の首部14にのみ付着される。
【0166】
処理工程(a)は、過酸化水素(H)の凝縮温度(Tc)より高温を有するプリフォーム10の本体12の外面30に実施される。
【0167】
図2から図4の実施例と比べて、この処理工程(a)では、本体12の温度が過酸化水素(H)の凝縮温度(Tc)より低くなるとすぐに、過酸化水素(H)の凝縮による付着がプリフォーム10の本体12の外面30で引き起こされる。
図1
図2
図3
図4
図5